JP5524886B2 - 回転センサ付軸受 - Google Patents

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Description

この発明は、転がり軸受と、磁気式回転センサとを備えた回転センサ付軸受に関する。
この種の回転センサ付軸受は、モータ軸、自動車の車軸等の回転軸と、これに対して静止するハウジング等の静止部材間に転がり軸受を組み込み、その内外輪のうち、静止部材に嵌着する一方の軌道輪の軌道側周面に磁気センサユニットが支持され、磁気センサユニットに保持された磁気センサとギャップを形成するエンコーダが、回転軸に取り付ける他方の軌道輪と一体に回転させられ、磁気センサと外部機器とを電線で接続した状態で使用される。エンコーダは、他方の軌道輪及び回転軸の回転運動を磁気センサで検出する磁界の変化に変換する。その磁気センサの検出信号は、電線を介して外部機器に送られ、外部機器による回転軸の回転速度制御、回転方向制御、回転角度制御等に利用される。
磁気センサユニットとして、磁気センサの収納部を有するセンサ固定リングを備えたものがある。収納部は、磁気センサの回路を内側に固定し、少なくとも回路を樹脂モールド、蓋部材といった適宜の保護材で覆い、外部から絶縁・保護するようになっている。従来、センサ固定リングとして、軌道側周面に対する圧入嵌合で固定する金属板製のものが利用されている。センサ固定リングは、内外輪のうち、一方の軌道輪の軌道側周面に軸方向から圧入嵌合することにより、径方向に支持された状態に固定すると、磁気センサが検出位置に配置されるようになっている。一方の軌道輪は、軸受組み込み先の静止部材に対する嵌合により装着される(例えば、特許文献1)。
特開2002−295465号公報
しかしながら、回転センサ付軸受の組み込み先によっては、回転軸のアンバランスが大きく、一方の軌道輪がクリープを起こす場合がある。特許文献1の回転センサ付軸受は、クリープが発生したときに当該軌道輪に固定されたセンサ固定リングも共に回転することになる。クリープが進行し、軌道輪の回転量が多くなると、磁気センサの回路と、組み込み先に備わる外部機器とを接続している電線が引っ張られ、断線する可能性がある。
上記の背景に鑑み、この発明の課題は、センサ固定リングを装着した軌道輪がクリープを起こし得る回転センサ付軸受の使用条件であっても、クリープ時の断線を耐久性よく防止することにある。
上記の課題を達成する第1の発明は、磁気センサの収納部を有し、内外輪のうち、一方の軌道輪の軌道側周面に支持されるセンサ固定リングと、前記内外輪のうち、他方の軌道輪と一体に回転させられるエンコーダと、前記磁気センサと外部機器とを接続するための電線とを備えた回転センサ付軸受において、前記センサ固定リングは、前記軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、前記センサ固定リング及び前記一方の軌道輪のうち、少なくとも一方の部材の摺動面が、摩擦係数を小さくした低摩擦層からなる構成を採用したものである。第1の発明において、「摩擦係数を小さくした低摩擦層」とは、当該部材の軸回り方向に亘る環状部の他の素材表面部分と比して、前記滑り時の摩擦係数が小さい表面処理層、又は当該環状部に取り付ける副部品のことをいう。
組み込み先において一方の軌道輪にクリープが発生する恐れがある場合、予め、軸受外部材を利用してセンサ固定リングのみを回り止めした状態に組み込むことが可能である。そうすると、軸受運転中にクリープが発生したとき、軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されているセンサ固定リングは、軸受外部材による規制で回転できず、クリープの回転量に応じて軌道側周面との間に軸回り方向の滑りを生じる。したがって、外部機器側と接続されている電線が軸回り方向に引っ張られず、クリープで断線する心配はない。
センサ固定リングの使用時間が長くなると、センサ固定リングの装着構造の寿命は、磁気センサを検出位置に維持できるか否かでも決まるようになる。すなわち、磁気式回転センサでは、バイアス磁界にピーク性があり、磁気センサの位置ずれが検出精度に直結する。磁気センサの検出精度を所定範囲内に維持できるセンサ固定リングの軸方向や径方向の許容振れ範囲は、摺動面の摩耗で決まる。センサ固定リングの環状部や軌道輪を形成する素材は、機械的強度を優先して決定されるので、単一素材の場合、摺動面の摩耗防止に適した素材選びを行うことに限界がある。
センサ固定リング及び一方の軌道輪のうち、少なくとも一方の部材の摺動面を、摩擦係数を小さくした低摩擦層から構成することにより、両部材の摺動面の摩耗を防止することができる。したがって、センサ固定リングの耐久性をよくすることができる。
前記センサ固定リングの装着構造として、例えば、前記軌道側周面は、軸回り方向に亘る周溝部を有し、前記センサ固定リングは、前記周溝部に入り込む突部と、前記軌道側周面に嵌る滑り面部とを有し、前記センサ固定リングは、前記突部の前記周溝部に対する軸方向の引っ掛かりと、前記軌道側周面及び前記滑り面部の径方向の嵌り合いとにより、当該軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着される構造を採用することができる。
上記の構造においては、前記センサ固定リングは、前記軌道側周面を径方向に挟む2個の分割片を連結して環状体に組み立てるようになっており、前記分割片は、前記周溝部に入り込む突部と、前記軌道側周面に嵌る滑り面部とを有し、前記2個の分割片は、互いに同形の成形部品からなることが好ましい。
センサ固定リングの滑り面部及び突部の両側面、並びに、軌道側周面の周溝部の両溝側面及び前記滑り面部と嵌め合う部分は、センサ固定リング及び前記一方の軌道輪の摺動面になる。センサ固定リングの脱落防止性については、周溝部と突部の径方向の掛り代拡大で両部材の摺動面の摩耗に備えることができる。2個の分割片の突部を周溝部の内側へ径方向から入れ、両分割片を連結することでセンサ固定リングを軌道輪に装着することができる。センサ固定リングを硬質な材料で無端環状に形成し、その突部を軸方向から溝縁越しに周溝部の内側へ押し込む装着構造と比して、センサ固定リングの装着が容易であり、また、径方向の掛り代を拡大し易い。2個の分割片で前記軌道側周面を径方向に挟む構造なので、同じ分割片2個を用いることができる。すなわち、2個の分割片を互いに同形の成形部品にするため、同一の金型で2個の分割片を量産することができ、互いに異なる形状の2種の分割片を用いるセンサ固定リングよりも金型コストを低減することができる。突部が周溝部の溝縁を擦るように押し込むことがなく、前記低摩擦層の傷付きを防止することができる。
例えば、前記低摩擦層は、フッ素樹脂から構成することができる。
鉄系合金、アルミニウム、エンジニアリングプラスチックといったセンサ固定リングの環状部、鉄系合金、セラミックスといった軌道輪の形成に採用し得る材料と比して、フッ素樹脂からなる表面は、当該部材の環状部を形成する加工表面や成形表面からなる他の素材表面部分と比して、摩擦係数を小さくすることができる。
例えば、前記低摩擦層をフッ素樹脂のコーティング層から構成することができる。
例えば、前記センサ固定リングの摺動面をフッ素樹脂の低摩擦層にする場合、その摺動面を、低摩擦層を含んだ副部品から構成することが好ましい。
副部品の低摩擦層は、センサ固定リングの環状部を構成する主部品と別に形成することができる。したがって、フッ素樹脂をコーティングするために高温加熱することがなく、センサ固定リングの歪みを防止することができ、環状部を薄肉にするのに好適である。
例えば、前記副部品に、前記突部と、前記突部の両側に連なる前記滑り面部とを形成することができる。
突部の両側に滑り面部を形成する方が、突部と周溝部の接触を安定させ、偏摩耗を防止するのに有利である。突部、突部の両側に連なる滑り面部は、一体の副部品に形成することができるので、副部品の取り付け個数を抑制することができる。
別例として、前記副部品に、前記突部の片側面と、前記突部の片側に連なる前記滑り面部とを形成し、前記センサ固定リングの摺動面を、互いに同形の2個の前記副部品から構成することもできる。
副部品を2個取り付けることになるが、突部の芯を主部品に形成するため、前記一体の副部品の例と比して、突部の強度に優れる。互いに同形の2個の副部品なので、同一の金型のみで2個の副部品を量産することができる。
前記センサ固定リングは、例えば、アルミニウム、鉄系合金などの中から選択される素材で形成することができる。この発明において、アルミニウムとは、アルミニウム合金をも含む概念である。
例えば、アルミニウムを採用する場合、前記センサ固定リングの摺動面を、アルミニウム製の素材表面に硬質陽極酸化皮膜処理を施し、その気孔部にフッ素樹脂を含浸させることにより生成された前記低摩擦層から構成することができる。
硬質陽極酸化皮膜処理の硬化による摺動面の耐摩耗性向上と、フッ素樹脂の含浸による低摩擦性とを両立させることができる。
また、アルミニウム又は鉄系合金を採用する場合、センサ固定リングの摺動面を、アルミニウム又は鉄系合金製の素材表面に施したダイヤモンドライクカーボン皮膜(DLC)処理により生成された前記低摩擦層から構成することができる。
アルミニウム又は鉄系合金は、DLC被膜の生成に耐え得る熱特性を有している。DLC被膜の低摩擦層とすることにより、硬度及び低摩擦性を向上させた摺動面を得ることができる。
前記一方の軌道輪の素材は、一般に、鉄系合金、セラミックスなどであり、DLC被膜の生成に耐え得る熱特性を有している。
したがって、前記一方の軌道輪の摺動面を、軌道輪の素材表面に施したDLC皮膜処理により生成された前記低摩擦層から構成することもできる。
上記の課題を達成する第2の発明は、クリープ時の断線防止手段の点で第1の発明と共通する。第2の発明は、特に、前記一方の軌道輪が、横軸に嵌合される前記内輪からなり、前記センサ固定リングに、外周面上部に位置した油導入凹部と、当該油導入凹部に開口した油入口から当該センサ固定リング及び前記一方の軌道輪の摺動面に油を供給する油孔とが形成されている構成を採用したものである。
横軸を支持する転がり軸受を油潤滑で使用する場合、軸受運転中、軸受内部に供給された潤滑用の油がセンサ固定リングの外周面上部にかかり易い。その外周面上部に油導入凹部を形成することにより、かかった油を油孔の油入口に導くことができる。閉鎖的なところにあるセンサ固定リング及び一方の軌道輪の摺動面に油孔から油を供給することにより、軸受運転中、両部材の摺動面を潤滑し、これら摺動面の摩耗を防止することができる。
前記軌道側周面又は前記センサ固定リングの内周面に、軸回り方向に亘る油溝が形成され、前記油孔から流出した油が前記油溝に満ちて前記センサ固定リング及び前記一方の軌道輪の摺動面に供給されることが好ましい。
上述のように、前記軌道側周面と、前記センサ固定リングの内周面とが互いに径方向から覆い合う閉鎖的なところに、前記周溝部、前記突部、前記滑り面部が含まれる。このような閉鎖的なところに、軸回り方向に亘る油溝を形成すれば、油孔から流出した油を油溝の内側に導き、外周面下部でも油溝に油を満ちるようにすることができる。油が油溝に満ちて両部材の摺動面に全周に亘って供給されるので、センサ固定リングを回り止めしても、軸受運転中、全周に亘ってまんべんなく油膜切れを防ぐことができる。
上記の課題を達成する第3の発明も、クリープ時の断線防止手段の点で第1の発明と共通する。第3の発明は、特に、前記センサ固定リングに、グリースニップルから前記センサ固定リング及び前記一方の軌道輪の摺動面までグリースを供給するグリース供給路が設けられている構成を採用したものである。
グリースニップルからグリース供給路を通じてセンサ固定リング及び一方の軌道輪の摺動面にグリースを供給することができるので、両部材の摺動面をグリースで潤滑し、これら摺動面の摩耗を防止することができる。グリースの付着性から、外輪にセンサ固定リングを装着する場合でも、油を摺動面に供給することができる。
第2の発明及び第3の発明においても、センサ固定リングを、前記2個の分割片で構成し、これら2個の分割片を互いに同形の成形部品で構成することにより、センサ固定リングの装着容易化、同一の金型による2個の分割片の量産を実現することができる。
上述のように、この発明は、センサ固定リングを一方の軌道輪に対して突部及び周溝部で軸回り方向に滑り自在に装着し、これら両部材の摺動面の低摩擦性の向上や潤滑を図ることにより両部材の摺動面の摩耗を防止したので、センサ固定リングを装着した軌道輪がクリープを起こし得る回転センサ付軸受の使用条件であっても、クリープ時の断線を耐久性よく防止することができる。
第1実施形態を軸受中心軸を含む平面で切断した部分断面図 (a)は第1実施形態のセンサ固定リング本体の分解斜視図、(b)はセンサ固定リング本体の連結構造の部分拡大正面図 (a)は第1実施形態の(b)に描いたI−I線の部分拡大断面図、(b)は第1実施形態の収納部付近の一部を切り欠いて描いた部分拡大正面図、 図1の突部付近の部分拡大図 係止爪部の変更例を示す部分拡大正面図 センサ固定リングの別の連結手段を示す部分拡大正面図 第2実施形態を図1と同じ切断面で示した部分断面図 第3実施形態を図1と同じ切断面で示した部分断面図 第4実施形態を図1と同じ切断面で示した部分断面図 第5実施形態を軸受中心軸を含む平面で切断した部分断面図 第6実施形態を図10と同じ切断面で示した部分断面図 第7実施形態を図10と同じ切断面で示した部分断面図
この発明の第1実施形態に係る回転センサ付軸受を添付図面に基づいて説明する。図1、図2に示すように、この回転センサ付軸受は、内外輪10、20間で転動体が転がる転がり軸受と、磁気センサ30の収納部41を有するセンサ固定リング40と、エンコーダ50と、外部機器との接続に用いる電線60と、軸受外部に装着される軸受外部材70とを備えている。センサ固定リング40は、内外輪10、20のうち、一方の軌道輪10の軌道側周面11に支持される。エンコーダ50は、内外輪10、20のうち、他方の軌道輪20と一体に回転させられる。
一方の軌道輪10は、組み込み先の静止部材(図示省略)にすきま嵌めで装着される。他方の軌道輪20は、組み込み先の回転部材(図示省略)の内周に装着される。固定部材と回転部材との間に組み込まれた転がり軸受と、回転部材とは、所定の同軸度をもっている。軸回り方向は、軸受中心軸回りの方向といえる。この発明において、「軸方向」とは、転がり軸受の軸受中心軸に沿った方向をいい、「径方向」とは、当該軸受中心軸に直交する方向をいう。
図示例の転がり軸受は、分離形の円錐ころ軸受になっている。低負荷で回転精度を優先すべき場合、玉軸受、例えば非分離形の深溝玉軸受を採用することもできる。
磁気センサ30及びエンコーダ50は、他方の軌道輪20の回転をバイアス磁界(磁束)の変化に変換し、その磁束の変化を検出信号に変換する磁気式回転センサの構成部品である。この発明において、「回転センサ」とは、回転角度、回転速度、回転方向の少なくとも1種の検出信号を電気信号として出力できるものをいう。エンコーダ50は、他方の軌道輪20の回転をバイアス磁界の変化に変換する部材からなる。磁気センサ30は、バイアス磁界の変化を検出信号に変換する回路からなる。バイアス磁界を印加する部材は、軌道輪10、20のいずれ側に配置するものでもよい。図示例では、磁気センサ30内に収納されたバックマグネットが、磁気センサ30内の磁気センサ素子及びエンコーダ50にバイアス磁界を印加する。このため、エンコーダ50は、磁性材料で形成されたパルサーリングからなる。パルサーリングには、軸回りの回転に応じて磁気センサ30が検出する磁束を変化するように、貫通孔又は径方向の凹凸部が形成されている。エンコーダ50は、軌道輪20と一体に回転させられるように、軌道側周面に圧入嵌合で装着されている。なお、磁気センサとして、ホール素子、磁気抵抗素子等の周知のものを適宜に採用することができる。また、エンコーダとして、軸回り方向にN極とS極が交互に並ぶ磁石を採用し、エンコーダが磁気センサにバイアス磁界を印加する部材を兼ねた方式の回転センサに変更することもできる。この種のエンコーダとして、例えば、軌道側周面に嵌着する芯金に加硫接着されたゴム磁石、他方の軌道輪に直接に圧入嵌合で装着するゴム磁石が挙げられる。
軌道輪10にセンサ固定リング40が装着され、他方の軌道輪20にエンコーダ50が装着された状態にすると、磁気センサ30がエンコーダ50と径方向に規定値のギャップをもって対向する検出位置に配置される。電線60として、磁気センサ30の回路入出力線、磁気センサ30の検出信号線を含んでいる。これらは、1本のケーブルにまとめられている。磁気センサ30の回路と電線60との接続部分は、収納部41の筒口を閉塞する樹脂モールドで保護されている。
センサ固定リング40は、別体に設けられた収納部41と、センサ固定リング本体42とから構成されている。収納部41は、磁気センサ30が室内に固定された状態でセンサ固定リング本体42に装着される。センサ固定リング本体42の軌道輪10側に、軸回り方向に亘る環状部が形成されている。センサ固定リング本体42は、一方向から合わせる収納部41を凹部42aにより前記の検出位置に対応した組み合わせ位置へ案内するようになっている。前記一方向は、軸方向に軸受外部から内部側へ向う軸方向に設定されている(以下、「合わせ方向」と呼ぶ)。なお、この発明において、「軸受外部」とは、軸受運転中に内外輪10、20によって径方向に挟まれた領域の外部をいう。
図3に示すように、収納部41は、センサ固定リング本体42の凹部42aと収納部41間に介在するばね80により抜け止めされている。ばね80は、合わせ方向に動かす収納部41に押されて弾性反発力を蓄積することで凹部42aに掛り、組み合わせ位置に達した収納部41の前記合わせ方向と反対方向の変位を防止する。この固定補助により、収納部41がセンサ固定リング本体42に装着される。ばね80の鉤部81を棒材等で軸方向に突くと、鉤部81がさらに撓まされて鉤部81と凹部42aとの掛りが外れる。このばね操作で固定補助を解除することができる。この解除状態で抜き取った収納部41は、そのまま他のセンサ固定リング本体42に再使用することができる。なお、同図(a)中では、鉤部81の自然状態を二点鎖線で描き、凹部42aに掛った状態を実線で描いた。固定補助は、例えば、ねじ部材で収納部41とセンサ固定リング本体42とを締結することで実施することもできる。
センサ固定リング40は、軌道輪10の軌道側周面11に対して軸回り方向に滑り自在に装着される。図1、図2に示すように、センサ固定リング40は、軌道側周面11を径方向に挟む2個の分割片43を連結して環状体に組み立てるようになっている。センサ固定リング本体42は、2個の分割片43の連結体からなる。収納部41は、センサ固定リング本体42に複数装着することが可能になっている。複数の収納部41を装着すれば、いずれかの収納部41内の磁気センサや回路が故障しても、残りの収納部41を用いて回転センサの使用を継続することができ、耐故障性に優れる。
図2、図4に示すように、軌道輪10の軌道側周面11は、その軸方向一端部に軸回り方向に亘って形成された周溝部12を有する。分割片43は、周溝部12に入り込む突部44と、軌道側周面11に嵌る滑り面部45と、軸回り方向の一端部に形成された係止爪部46と、軸回り方向の他端部に形成された爪受け部47とを有している。突部44及び滑り面部45は、それぞれセンサ固定リング本体42の軸回り方向に亘って形成されている。滑り面部45は、突部44の両側に連なっている。軌道側周面11は、周溝部12の両側に連なる軸回り方向の円周部13を有している。
周溝部12と突部44とが径方向に対向する位置に2個の分割片43を配置し、分割片43を径方向に動かして、軌道側周面11を径方向に挟むように両分割片43を組み合わせる作業を行うと、その間に生じる各分割片43の係止爪部46の弾性変形で互いの係止爪部46と爪受け部47とが掛り合い、また、突部44が周溝部12の内側に入り込む。この掛り合いにより両分割片43が連結される。同時に、センサ固定リング40は、突部44の周溝部12に対する軸方向の引っ掛かりと、円周部13及び滑り面部45の径方向の嵌り合いとにより軌道輪10に装着された状態になる。
2個の分割片43は、互いに同形の成形部品からなる。2個の同形部品なので、係止爪部46、爪受け部47が互いに相手側の分割片43の爪受け部47、係止爪部46と掛かり合う連結構造にすることができる。また、同一の金型で2個の分割片43を量産することができる。また、分割片43に凹部42aを含むので、分割片43ごとに収納部41を装着し、センサ固定リング40に複数の収納部41を装着することができる。
なお、図示例では、係止爪部46が弾性変形する方向を径方向としたが、図示のような係止爪部、爪受け部に限定されず、図5に変更例を示すように、係止爪部46’が軸方向に弾性変形するように形成することもできる。また、係止爪部と爪受け部を用いて連結手段に限定されず、図6に別の連結手段の採用例を示すように、軌道側周面を径方向に挟む2個の分割片90、90のうち、一方の分割片90の軸回り方向の一端部91と、他方の分割片90の他端部92とで一連のねじ孔部が形成されるようにし、このねじ孔部にねじ込むねじ部材93で2個の分割片を締結することによって連結することもできる。
図1、図2に示すように、軸受外部材70は、センサ固定リング40と軸回り方向に噛み合う係止部71を有している。係止部71は、側面に開放され、軸方向に凹入した穴部になっている。分割片43は、係止部71への挿入部48を側面に有している。軸受外部材70は、軌道輪10の装着相手である静止部材(図示省略)に装着されるので、軌道輪10に対しても静止する部材となっている。組み込み先のハウジング、ハウジングカバー、間座といった軸受組み込み用の静止部品が軸受外部材70を兼ねると、部品数の増大を防止することができる。軌道輪10の嵌着後、軸受外部材70を軸方向から接近させることにより、係止部71の内側に挿入部48を入れ込むと、挿入部48と係止部71とが軸回り方向に噛み合った状態になる。その入れ込み位置で軸受外部材70が軌道輪10に対して静止するため、前記の噛み合いが維持され、軸受運転中、センサ固定リング40のみが軌道輪10に対して回り止めされる。前記のようにセンサ固定リング40を軌道輪10の軌道側周面11に装着された状態で、突部44は、周溝部12の溝底面と径方向に接触しないように設計されている。したがって、軸受運転中に軌道輪10のクリープが発生したとき、センサ固定リング40は、軸受外部材70による規制で回転できず、クリープの回転量に応じて軌道側周面11の円周部13との間に軸回り方向の滑りを生じる。クリープ時、突部44が周溝部12に軸方向のいずれか一方向に掛り得る。このとき、突部44のいずれか片方の側面と周溝部12のいずれか片方の溝側面との間に軸回り方向の滑りを生じる。
なお、第1実施形態のように、センサ固定リング40と軸受外部材70とを互いの側面に形成された軸方向の凹凸構造で噛み合うようにするだけでなく、センサ固定リング40の内周面や外周面と、軸受外部材の周面とを径方向の凹凸構造で噛み合うようにすることもできる。
前記のように、軌道輪10の摺動面は、周溝部12の両溝側面、及び両側の円周部13からなり、センサ固定リング40の摺動面は、突部44の両側面、及び両側の滑り面部45からなる。図4に示すように、突部44及び滑り面部45は、分割片43の素材表面に施された表面処理により、他の素材表面部分よりも摩擦係数を小さくした低摩擦層からなる。表面処理は、皮膜処理、表面改質処理のいずれでもよい。
分割片43の素材は、例えば、アルミニウム、鉄系合金、銅系合金、樹脂などの中から選択することができる。分割片43は、アルミダイキャスト、アルミニウム合金の切削加工、鋳鉄、鉄系合金の切削加工、銅系合金の切削加工、射出成形などで形成することができる。アルミニウム、鉄系合金、銅系合金、又は耐熱樹脂で分割片43を形成することにより、分割片43がフッ素樹脂のコーティングに耐え得るものになる。
フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などの中から選択することができる。フッ素樹脂のコーティングは、粉体塗装やエナメル塗装で実施することができる。
図示例では、分割片43が耐熱樹脂で射出成形されているので、成形表面からなる素材表面にフッ素樹脂のコーティングを実施することができる。突部44及び滑り面部45は、フッ素樹脂のコーティング層からなる。フッ素樹脂からなる突部44の両側面及び滑り面部45は、分割片43の成形表面、すなわちセンサ固定リング40の環状部における他の表面部分と比して、クリープで軸回り方向に滑る際の摩擦係数を小さくすることができる。したがって、第1実施形態は、センサ固定リング40の摺動面(突部44の両側面及び滑り面部45)の滑りがよく、両部材(10、40)の摺動面(突部44の両側面、滑り面部45、周溝部12の両溝側面及び円周部13)の摩耗を防止することができる。
また、分割片43をアルミニウムで形成する場合、コーティングに代えて、アルミニウム製の素材表面にタフラム処理を施すことができる。タフラム処理は、素材表面に硬質陽極酸化皮膜処理を施し、封孔処理として、その気孔部にフッ素樹脂を含浸させる処理を行う表面処理のことをいう。硬質陽極酸化皮膜処理は、JIS H8603:1999 「アルミニウム及びアルミニウム合金の工業用硬質陽極酸化皮膜」に準じるようにしている。
タフラム処理で生成された突部44の両側面及び滑り面部45は、切削加工面やダイキャストの成形表面と比して、摩擦係数が小さく、かつ硬度に優れた低摩擦層になる。したがって、センサ固定リング40の摺動面の耐摩耗性と、低摩擦性とを両立させることができる。センサ固定リング40の摺動面の硬度をも向上させることにより、転がり軸受の寿命を超えたセンサ固定リング40の耐久性を得ることも容易になる。
また、分割片43をアルミニウム又は鉄系合金で形成する場合、アルミニウム又は鉄系合金製の素材表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)皮膜層を生成することができる。DLC皮膜処理は、プラズマCVD法やPVD法で実施することができる。DLC皮膜処理で生成された突部44の両側面及び滑り面部45は、アルミニウム又は鉄系合金製の切削加工面や成形表面よりも硬度及び低摩擦性に優れる。
なお、滑り面部45と、円周部13との間には、径方向隙間が設けられている。この径方向隙間の値は、素材表面に後付けする滑り面部45の層の径方向寸法誤差で負の嵌め合いにならないよう、磁気センサ30の検出に支障がない範囲で適切に設定すればよい。
第1実施形態は、上述のようなものであり、軌道輪10のクリープが懸念される使用先では、図1に示すように軸受外部材70を使用することでセンサ固定リング40のみを回り止めすることができる。軸受運転中に軌道輪10のクリープが発生したとき、センサ固定リング40は、軸受外部材70による規制で回転できず、クリープの回転量に応じて軌道側周面11との間に軸回り方向の滑りを生じる。したがって、外部機器側と接続されている電線60が軸回り方向に引っ張られず、クリープで断線する心配はない。センサ固定リング40と軌道輪10の摺動面のうち、少なくともセンサ固定リング40の摺動面の摩擦係数を素材表面よりも小さくしたので、センサ固定リング40の装着構造の耐久性を決める両部材の摺動面(突部44の両側面、滑り面部45、周溝部12の両溝側面及び円周部13)における摩耗を防止することができる。
突部44全体に表面処理層が生成されているので、仮に突部44の先端と周溝部12の底面とが径方向に接触したとしても、突部44の掛り代の摩耗を防止することができる。
第2実施形態を図7に基いて説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に述べ、同一に考えられる構成の説明を省略する。第2実施形態に係る軌道輪10の摺動面(周溝部12の両溝側面及び円周部13)が、低摩擦層からなる点で第1実施形態と異なっている。軌道輪10を形成する素材は、軸受鋼からなる。軌道輪10の軌道側周面11のうち、周溝部12の両溝側面及び円周部13以外の他の表面部分は、切削、研削により形成される。周溝部12の両溝側面及び円周部13は、軌道輪10の素材表面に施したフッ素樹脂のコーティング、又はDLC皮膜処理で生成された低摩擦層からなるので、両部材の摺動面の摩耗を防止することができる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態においては、センサ固定リング40と軌道輪10の摺動面を両方とも低摩擦層で構成することもできる。
第3実施形態を図8に基いて説明する。センサ固定リング40の軌道輪10側に形成された軸回り方向に亘る環状部は、センサ固定リング本体42の主部品と、副部品49とからなる。センサ固定リング本体42の主部品は、環状部の体積の大部分を占め、軌道輪10側の環状部の機械的強度の基礎を成す。このため、主部品は、アルミニウム、鉄系合金、エンジニアリングプラスチックといった素材で形成される。副部品49は、フッ素樹脂の成形部品からなる。
副部品49には、突部44の全体と、突部44の両側に連なる滑り面部45と、装着ベース部とが形成されている。センサ固定リング本体42は、図1の分割片43を副部品49の範囲で径方向に分割したものとなっている。図8に示すように、副部品49は、センサ固定リング本体42に軸回り方向に亘って形成された装着溝部の内側に装着ベース部を嵌め、ねじ部材を用いた主部品との締結、接着等の手段で主部品に取り付けられる。この取り付けは、室温(大気下で20℃)で作業可能な適宜の手段を採用することができる。センサ固定リング本体42をフッ素樹脂のコーティング処理やDLC皮膜処理のように高温に加熱する必要がないので、センサ固定リング40の歪みを防止することができる。
なお、センサ固定リング本体42の装着溝部の両溝縁と、軌道側周面11との間に径方向隙間を設定することにより、滑り面部45と円周部13でセンサ固定リング40の径方向位置が定まるようになっている。
副部品49は、軸回り方向に亘る突部44、滑り面部45を含んだ部品にすることができる。また、副部品49は、突部44、滑り面部45の軸回り方向の分割部を含んだ部品にすることもできる。センサ固定リング本体42が2個の分割片の連結体なので、軸回り方向に一連の突部44等を含んだ副部品49にしても装着溝部による位置決めが可能である。装着溝部を採用しない場合も、前記一連の突部44等を含んだ副部品49にすることができる。両側の滑り面部45を含んだ副部品49なので、取り付け個数を抑制することができる。例えば、前記一連の突部44等を含んだ副部品49にすると、1個の取り付けで済む。
第4実施形態を図9に基いて説明する。以下、第3実施形態との相違点について述べる。副部品49には、突部44の片側面と、突部44の片側に連なる滑り面部45とが形成されている。副部品49は、センサ固定リング本体42の主部品に両側一対で取り付けられている。センサ固定リング40の摺動面(突部44の両側面及び両側の滑り面部45)は、互いに同形の2個の副部品49からなる。突部44の芯を主部品に形成するため、第3実施形態と比して、突部44の強度に優れる。互いに同形の2個の副部品49なので、同一の金型のみで2個の副部品49を量産することができる。
第5実施形態を図10に基いて説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に述べ、同一に考えられる構成の説明を省略する。一方の軌道輪100は、横軸に嵌合される内輪からなる。軸受運転中、軸受外部から軸受内部に油が供給される。センサ固定リング110には、この外周面上部に位置した油導入凹部111と、油導入凹部111に開口した油入口からセンサ固定リング110及び軌道輪100の摺動面に油を供給する油孔112、113とが形成されている。
図示例は、円錐ころ軸受なので、一般に、軌道輪100の小端面側から大端面側(図中、右から左)へ油が流れるように供給される。センサ固定リング110は、軌道側周面101の大端面側の端部に支持されている。センサ固定リング110の全体的な外径(図示省略の収納部を除く)は、保持器の大径側環状部の内径より小さくし、好ましくは、実質的に同一の径方向位置に設定するとよい。これは、保持器の内径側を通過した油もセンサ固定リング110の外周面にかかり易くするためである。
センサ固定リング110の外周面にかかった油は、油導入凹部111の内側に導かれ、その底部に開口した油孔112、113内を流下する。油孔112は、突部114の先端に油出口を有しているので、周溝部102の内側に油を直接に供給する。周溝部102の各溝側面には、油溝103が形成されている。油孔113は、滑り面部115に囲まれたところに油出口を有している。軌道側周面101のうち、油孔113の油出口と径方向に対向する領域の軸方向両側に、油溝104が形成されている。油溝103、104は、軸回り方向に亘っている。滑り面部115は、油溝104に対面する。軌道側周面101の円周部105、106、107は、油溝104と交互に軸方向に並ぶように形成されている。油孔113から流出した油は、直接に滑り面部115と、円周部106とに供給され、滑り面部115に付着した油が円周部105、107にも拡がって供給される。したがって、軸受運転中、センサ固定リング110及び軌道輪100の摺動面を潤滑し、これら摺動面の摩耗を防止することができる。
また、油孔113から流出した油は、油溝103、104の内側に導かれ、これら油溝103、104からも油が突部114の側面、滑り面部115、円周部106等に供給される。油孔112、113から流出して上部(軸受中心軸よりも上方)に供給された油は、下部に伝って突部114、円周部106等の下部にも供給される。軌道側周面101のうち、センサ固定リング110の内周面に径方向から覆われ、軸方向の並びで両端に位置した円周部107と滑り面部115との滑り接触域の内側にある隙間は、閉鎖的になる。この閉鎖的な隙間内に油溝103、104が形成されているため、油孔112、113から流出した油は、周溝部102の下部は勿論、油溝103、104の下部でも油が満ちるようになっている。このため、軸回り方向に亘って油溝103から満ちた油が直接に突部114の側面や周溝部102の側面に供給され、油溝104から満ちた油が直接に円周部105、106、107に供給される。したがって、センサ固定リング110及び軌道輪100の摺動面の油膜切れをまんべんなく防止することができる。
油孔112、113は、上部の軸回り方向の複数個所に形成することにより、センサ固定リング110及び軌道輪100の摺動面への供給を促進することが好ましい。油導入凹部111は、全ての油孔112、113の油入口を含むように軸回り方向に亘って形成してもよいし、各箇所で油孔112、113の油入口を囲むように軸回り方向の複数個所に分散させて形成してもよい。
第6実施形態を図11に基いて説明する。以下、第5実施形態との相違点を述べる。第6実施形態は、センサ固定リング110の内周面のうち、軌道側周面101に径方向から覆われる部分に、軸回り方向に亘る油溝116、117が形成され、油孔112、113から流出した油が油溝116、117に満ちてセンサ固定リング110の摺動面及び軌道輪100の摺動面に供給される。油溝116は、突部114の側面と周溝部102とに軸回り方向に亘って油を供給する点で図10の第5実施形態の油溝103に相当する。図11に示す油溝117は、全ての油孔113の油出口を内側に含むように形成されている。滑り面部118、119は、油溝117の両側に連なっている。したがって、油溝117は、滑り面部118、119及び円周部108に軸回り方向に亘って油を供給する点で図10の第5実施形態の油溝104に相当する。
第7実施形態を図12に基いて説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に述べ、同一に考えられる構成の説明を省略する。第7実施形態は、センサ固定リング120に、グリースニップル121からセンサ固定リング120及び軌道輪130の摺動面までグリースを供給するグリース供給路122が設けられている。グリース供給路122は、滑り面部123に囲まれたところに出口を有している。グリース供給路122の出口は、軌道側周面131の円周部132に径方向に臨む位置にあるため、円周部132にグリースを直接に送り込むことができる。また、グリース供給路122の出口は、グリースガンで圧送されるグリースを軸回り方向に亘って供給するため、グリース保持溝部124の内側に開口している。グリース保持溝部124は、いわば図11の第6実施形態の油溝117に相当する役割を果たす。突部125の両側面及び周溝部133の両側面には、グリースから染み出た油が供給される。したがって、両部材の摺動面をグリースで潤滑し、これら摺動面の摩耗を防止することができる。
この発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。例えば、特願2007−91926、特願2007−73951に開示されているように、収納部を一体に形成したセンサ固定リングを、外輪の軌道側周面に装着する有端環状体とし、センサ固定リングを縮径させて突部を周溝部の内側に入れ込み、そのセンサ固定リングの周方向両端間に装着した間隔保持体でセンサ固定リングの縮径を制限することにより、突部を周溝部の内側に保つようにした装着構造を採用することも可能である。皮膜処理や別部材でセンサ固定リングの摺動面を設ける場合、センサ固定リングを外輪側に装着することもできる。エンコーダをゴム磁石にする場合、芯金を一方の軌道輪側に接近させて磁極面を軸方向に向け、磁気センサとエンコーダの対向方向を軸方向にすることもできる。
10、100、130 内輪(一方の軌道輪)
11、101、131 軌道側周面
12、102、133 周溝部
13、105、106、107、108、132 円周部
20 外輪(他方の軌道輪)
30 磁気センサ
40、110、120 センサ固定リング
41 収納部
42 センサ固定リング本体
43、43’、90 分割片
44、114、125 突部
45、115、118、119、123 滑り面部
46、46’ 係止爪部
47、47’ 爪受け部
48 挿入部
49 副部品
50 エンコーダ
60 電線
70 軸受外部材
71 係止部
93 ねじ部材
103、104、116、117 油溝
111 油導入凹部
112、113 油孔
121 グリースニップル
122 グリース供給路
124 グリース保持溝部

Claims (14)

  1. 磁気センサの収納部を有し、内外輪のうち、一方の軌道輪の軌道側周面に支持されるセンサ固定リングと、
    前記内外輪のうち、他方の軌道輪と一体に回転させられるエンコーダと、
    前記磁気センサと外部機器とを接続するための電線とを備えた回転センサ付軸受において、
    前記センサ固定リングは、前記軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、
    前記センサ固定リング及び前記一方の軌道輪のうち、少なくとも一方の部材の摺動面が、摩擦係数を小さくした低摩擦層からなることを特徴とする回転センサ付軸受。
  2. 前記軌道側周面は、軸回り方向に亘る周溝部を有し、
    前記センサ固定リングは、前記軌道側周面を径方向に挟む2個の分割片を連結して環状体に組み立てるようになっており、
    前記分割片は、前記周溝部に入り込む突部と、前記軌道側周面に嵌る滑り面部とを有し、
    前記センサ固定リングは、前記突部の前記周溝部に対する軸方向の引っ掛かりと、前記軌道側周面及び前記滑り面部の径方向の嵌り合いとにより、当該軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、
    前記2個の分割片は、互いに同形の成形部品からなる請求項1に記載の回転センサ付軸受。
  3. 前記低摩擦層がフッ素樹脂からなる請求項1又は2に記載の回転センサ付軸受。
  4. 前記低摩擦層がコーティング層からなる請求項3に記載の回転センサ付軸受。
  5. 前記センサ固定リングの摺動面が、前記低摩擦層を含んだ副部品からなる請求項3に記載の回転センサ付軸受。
  6. 前記軌道側周面は、軸回り方向に亘る周溝部を有し、
    前記センサ固定リングは、前記周溝部に入り込む突部と、前記軌道側周面に嵌る滑り面部とを有し、
    前記センサ固定リングは、前記突部の前記周溝部に対する軸方向の引っ掛かりと、前記軌道側周面及び前記滑り面部の径方向の嵌り合いとにより、当該軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、
    前記副部品に、前記突部と、前記突部の両側に連なる前記滑り面部とが形成されている請求項5に記載の回転センサ付軸受。
  7. 前記軌道側周面は、軸回り方向に亘る周溝部を有し、
    前記センサ固定リングは、前記周溝部に入り込む突部と、前記軌道側周面に嵌る滑り面部とを有し、
    前記センサ固定リングは、前記突部の前記周溝部に対する軸方向の引っ掛かりと、前記軌道側周面及び前記滑り面部の径方向の嵌り合いとにより、当該軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、
    前記副部品に、前記突部の片側面と、前記突部の片側に連なる前記滑り面部とが形成されており、
    前記センサ固定リングの摺動面が、互いに同形の2個の前記副部品からなる請求項5に記載の回転センサ付軸受。
  8. 前記センサ固定リングの摺動面が、アルミニウム製の素材表面に硬質陽極酸化皮膜処理を施し、その気孔部にフッ素樹脂を含浸させることにより生成された前記低摩擦層からなる請求項1又は2に記載の回転センサ付軸受。
  9. 前記センサ固定リングの摺動面が、アルミニウム又は鉄系合金製の素材表面に施したダイヤモンドライクカーボン皮膜処理により生成された前記低摩擦層からなる請求項1又は2に記載の回転センサ付軸受。
  10. 前記一方の軌道輪の摺動面が、当該軌道輪の素材表面に施したダイヤモンドライクカーボン皮膜処理により生成された前記低摩擦層からなる請求項1又は2に記載の回転センサ付軸受。
  11. 磁気センサの収納部を有し、内外輪のうち、一方の軌道輪の軌道側周面に支持されるセンサ固定リングと、
    前記内外輪のうち、他方の軌道輪と一体に回転させられるエンコーダと、
    前記磁気センサと外部機器とを接続するための電線とを備えた回転センサ付軸受において、
    前記センサ固定リングは、前記軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、
    前記一方の軌道輪が、横軸に嵌合される前記内輪からなり、
    前記センサ固定リングに、外周面上部に位置した油導入凹部と、当該油導入凹部に開口した油入口から当該センサ固定リング及び前記一方の軌道輪の摺動面に油を供給する油孔とが形成されていることを特徴とする回転センサ付軸受。
  12. 前記軌道側周面又は前記センサ固定リングの内周面に、軸回り方向に亘る油溝が形成され、前記油孔から流出した油が前記油溝に満ちて前記センサ固定リング及び前記一方の軌道輪の摺動面に供給される請求項11に記載の回転センサ付軸受。
  13. 磁気センサの収納部を有し、内外輪のうち、一方の軌道輪の軌道側周面に支持されるセンサ固定リングと、
    前記内外輪のうち、他方の軌道輪と一体に回転させられるエンコーダと、
    前記磁気センサと外部機器とを接続するための電線とを備えた回転センサ付軸受において、
    前記センサ固定リングは、前記軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、
    前記センサ固定リングに、グリースニップルから前記センサ固定リング及び前記一方の軌道輪の摺動面までグリースを供給するグリース供給路が設けられていることを特徴とする回転センサ付軸受。
  14. 前記軌道側周面は、軸回り方向に亘る周溝部を有し、
    前記センサ固定リングは、前記軌道側周面を径方向に挟む2個の分割片を連結して環状体に組み立てるようになっており、
    前記分割片は、前記周溝部に入り込む突部と、前記軌道側周面に嵌る滑り面部とを有し、
    前記センサ固定リングは、前記突部の前記周溝部に対する軸方向の引っ掛かりと、前記軌道側周面及び前記滑り面部の径方向の嵌り合いとにより、当該軌道側周面に対して軸回り方向に滑り自在に装着されるようになっており、
    前記2個の分割片は、互いに同形の成形部品からなる請求項11から13のいずれか1項に記載の回転センサ付軸受。
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