JP3419204B2 - 回転部電流伝達機構 - Google Patents

回転部電流伝達機構

Info

Publication number
JP3419204B2
JP3419204B2 JP14959596A JP14959596A JP3419204B2 JP 3419204 B2 JP3419204 B2 JP 3419204B2 JP 14959596 A JP14959596 A JP 14959596A JP 14959596 A JP14959596 A JP 14959596A JP 3419204 B2 JP3419204 B2 JP 3419204B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
wall
transmission mechanism
current transmission
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14959596A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0963734A (ja
Inventor
義啓 田中
貴史 野上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Electric Co Ltd filed Critical Nissin Electric Co Ltd
Priority to JP14959596A priority Critical patent/JP3419204B2/ja
Publication of JPH0963734A publication Critical patent/JPH0963734A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3419204B2 publication Critical patent/JP3419204B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Storing, Repeated Paying-Out, And Re-Storing Of Elongated Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン注入装置に
代表される半導体製造装置、産業用ロボットなどに利用
されるものであって、内部部材側と、該内部部材に対し
限定された角度内で相対的に往復回転する外部部材側と
の間に電流を伝達する回転部電流伝達機構に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体製造装置、産業用ロボ
ットなどでは、回転部材へ電力を供給する手段として、
主として摺動リングとブラシとからなるスリップリング
が使用されている。また、回転部材が所定の角度内を往
復回転する場合には、上記スリップリング以外にも電線
が用いられることがある。上記電線は、どちらに回転し
た場合にも追従できるような長さに設定され、回転部材
の位置により余る場合は、弛んでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、回転部
材へ電力を供給する手段として、上記のスリップリング
を用いた場合は、摺動リングおよびブラシが磨耗する。
これにより、粉塵の発生、接触不良、ノイズの発生など
様々な問題を生じている。この結果、信頼性が低く、メ
ンテナンスが頻繁に必要になり、寿命も短い。特に半導
体製造装置においては、発塵や、制御系に影響を及ぼす
ノイズの削減が切望されている。
【0004】また、上記構成の電線では、電線の断線お
よび絡みが生じるため信頼性が低く、かつ回転角を大き
くできないなどの問題がある。
【0005】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、粉塵の発生を抑え、信頼性が高
く、長寿命で、かつメンテナンスをほとんど必要としな
い回転部電流伝達機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る回
転部電流伝達機構は、上記の課題を解決するために、
オン注入装置においてウェハを静電気力により吸着保持
するチャック部に電力を供給する回転部電流伝達機構で
あって、断面が円形の内壁を有する外部部材と、上記
部材との間にリング状の空間をあけて該外部部材
心円状に取り囲まれる位置に配置され、断面が円形の
を有すると共に、上記外部部材に対し限定された角度
内で相対的に往復回転し、上記チャック部が取り付けら
れる内部部材と、上記リング状の空間内に収納されてい
て、両端の固定部において上記内部部材の外壁および外
部部材の内壁に互いに同じ方向に向けてそれぞれ固定さ
れており、かつ途中で丸く折り返されている弾性を有す
るベルトとを備え、上記ベルトは、例えばポリイミドな
どからなるフィルム状の電気絶縁体の内部に、少なくと
も一つの導体を埋設してなることを特徴としている。
【0007】上記の構成によれば、例えば、内部部材が
一方に回転するなどして、外部部材との相対的な角度が
所定の範囲内で変化すると、例えば、ポリイミドからな
るフィルム内に銅箔などを埋設しているフィルム状電線
などのベルトは、内部部材の外壁に巻き取られる。ま
た、内部部材がもう一方に回転すると、上記ベルトは、
外部部材の内壁に張り付く。いずれの方向に回転する場
合にも、内部部材と外部部材との間のリングの空間が、
ベルトが擦れたり折れたりするのを防ぐガイドの作用を
するため、ベルトは、その両端がそれぞれ内部部材と外
部部材とに固着されたまま、リング状の空間内を滑らか
に転動する。
【0008】そして、ベルトが上記のように転動する
際、ベルト内に埋設された銅箔などの導体により、内部
部材と外部部材との相対的な回転角の変化を許容しつ
つ、外部部材側と内部部材側との間に電流を伝達するこ
とができる。
【0009】それゆえ、上記ベルトと上記外壁および上
記内壁との間で摺動による磨耗が少なく、粉塵の発生が
少ない。さらに、ベルトには無理な力が加わらないので
切れにくく、メンテナンスをほとんど必要としない。加
えて、内部部材と外部部材とはベルト内の導体を介し
て、電気的には常に接続されている。摺動部を経由しな
いので、電気的導通が確実であり、信頼性が高い。
【0010】また、導体が電気絶縁体内で固定されてお
り、複数の導体を、所定の間隔(絶縁距離)をおいて容
易に保持することができる。これらの各導体間は、例え
ばポリイミドなどからなるフィルム状の電気絶縁体によ
り互いに絶縁されている。この結果、ベルト内の導体の
数を増やすことによって、回転部電流伝達機構が伝達す
る電流の回路数を容易に増やすことができる。
【0011】さらに、内部部材の外周部分のリング状の
空間を主に利用した構造であり、例えば、内部部材が中
空であるか中実であるかなど、内部部材の内部の構造に
よらない。この結果、既設の装置の可動部の周りに後付
けすることが容易である。
【0012】請求項2の発明に係る回転部電流伝達機構
は、上記の課題を解決するために、請求項1の構成にお
いて、上記リング状の空間に面する壁面である内部部材
および外部部材の少なくとも一方の壁面に、シリコンゴ
ムやポリアセタールコポリマー樹脂等の電気絶縁体を接
着などして形成される壁面絶縁部が設けられていること
を特徴としている。
【0013】上記の構成によれば、上記ベルトの有する
導体が露出した場合にも、上記ベルト内の各導体と上記
各壁面とは、壁面絶縁部により互いに絶縁されている。
この結果、各導体間の短絡を防止することができ、導体
に電気的に接続されている各機器の損傷を防ぐことがで
きる。
【0014】請求項3の発明に係る回転部電流伝達機構
は、上記の課題を解決するために、請求項1の構成にお
いて、上記リング状の空間に面する壁面である内部部材
および外部部材の少なくとも一方の壁面に絶縁膜を形成
し、該壁面に電気絶縁性を持たせていることを特徴とし
ている。
【0015】上記の構成によれば、壁面に直接処理を施
すことにより、壁面自体に電気絶縁性が付与されてい
る。従って、壁面に絶縁部材を接着するなどの必要がな
くなり、該絶縁部材の剥離により粉塵(パーティクル)
が発生することもない。それゆえ、粉塵の発生をより一
層減少させることができる。
【0016】請求項4の発明に係る回転部電流伝達機構
は、上記の課題を解決するために、請求項3の構成にお
いて、上記絶縁膜が、硬質の陽極酸化皮膜、フッ素樹脂
の塗布膜、および、フッ素樹脂が含浸塗布される硬質の
陽極酸化皮膜のいずれかであることを特徴としている。
【0017】上記の構成によれば、上記絶縁膜により壁
面に電気絶縁性が付与されることになる。絶縁膜は、
壁面を陽極酸化して得られる硬質の陽極酸化皮膜、壁
面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ
素樹脂を塗布して得られる塗布膜、壁面を陽極酸化し
硬質酸化皮膜を形成した後、該皮膜にPTFE等のフッ
素樹脂を含浸塗布して得られる硬質の陽極酸化皮膜のい
ずれかである。このうち、絶縁膜がの陽極酸化皮膜で
ある場合には、電気絶縁性や耐磨耗性等の諸特性に優
れ、剥離することも殆どない壁面が得られる。
【0018】請求項5の発明に係る回転部電流伝達機構
は、上記の課題を解決するために、請求項4の構成にお
いて、上記内部部材および外部部材は、少なくとも上記
リング状の空間の近傍の部分がアルミニウムまたはその
合金からなり、上記絶縁膜は、フッ素樹脂が含浸塗布さ
れる硬質のアルミニウムの陽極酸化皮膜であることを特
徴としている。
【0019】上記の構成によれば、アルミニウムの壁面
を陽極酸化し、多孔質化した硬質の耐食性酸化皮膜を形
成した後、該皮膜にフッ素樹脂を含浸コーティングする
ことにより、上記絶縁膜が得られることになる。すなわ
ち、内部部材および外部部材がアルミニウムまたはその
合金からなる場合、まず、リング状の空間に面する壁面
の全部または所定の部分を陽極酸化し、多孔質かつ硬質
の耐食性酸化皮膜を形成する。次いで、この皮膜にPT
FE等のフッ素樹脂を含浸コーティングし、絶縁膜を形
成する。このように、絶縁膜形成処理をアルミニウム表
面に施すことによって、以下に掲げるように諸特性に優
れた壁面が得られる。
【0020】所望の電気絶縁性を有する壁面が得ら
れ、上記ベルト内の各導体間の短絡を確実に防止するこ
とができる。 耐磨耗性に優れ、剥離することのない壁面が得られ
る。つまり、壁面が滑らかとなり、摩擦が緩和される
(摩擦係数が低い)ので、上記ベルトの耐久性がさらに
向上すると共に、円滑な動作を実現する。また、壁面
は、本体であるアルミニウムの表面に直接処理を施した
もの(即ち、フッ素樹脂が含浸塗布されるアルミニウム
の硬質酸化皮膜)であるので、上記ベルトが動作する際
にも剥離することは殆どない。従って、粉塵の発生をよ
り一層減少させることができる。 硬質の壁面が得られ、取扱いが容易となり、また、き
ず・破損が生じることも殆どない。 耐熱性に優れた壁面が得られ、熱による変形、変性等
の不所望の事態を招来することがない。
【0021】その他、耐食性、寸法加工精度等の点にお
いても、優れた特性を有する壁面が得られることにな
る。
【0022】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕本発明の実施の一形態について図1〜図
7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0023】本実施形態の回転部電流伝達機構を備える
静電チャックは、イオン注入装置においてウェハなどを
吸着保持するために用いられており、角度を変えてイオ
ン注入処理を行うステップ注入などの処理を施すため
に、ウェハを吸着した載置面が所定の角度内を往復回転
できるようになっている。
【0024】図2に示すように、上記静電チャックは、
回転部電流伝達機構1を備えている。回転部電流伝達機
構1は、回転する回転部材2(内部部材)および固定部
材3(外部部材)を有している。また、回転部電流伝達
機構1は、固定部材3から回転部材2へ正負の直流電圧
を供給することができる。
【0025】上記回転部材2の上面には、円板状のホル
ダベース4が固設されている。前記ホルダベース4上に
は、さらに、ウェハなどの吸着対象物5を吸着して固定
する円板状の静電チャック本体6が取り付けられてい
る。上記、吸着対象物5に対して、例えばイオン注入な
どの処理が行われる。
【0026】一方、上記回転部材2の下面は、回転軸7
の上端に固着されており、図示しないダイレクトモータ
などの駆動力が回転軸7を介して伝えられている。ま
た、固定部材3は、固定部支持部材8に固着されてい
る。この例では、回転軸7は、ダイレクトドライブモー
タの出力軸であり、固定部支持部材8は、上記ダイレク
トドライブモータの固定部である。
【0027】上記静電チャック本体6は、この例では双
極型のものであり、セラミックスからなる誘電体9と、
該誘電体9内に並べて埋設された平面形状が半円形の2
つの電極10a・10bとを備えている。各電極10a
・10bは、図示しない配線によって、回転部電流伝達
機構1に接続されている。
【0028】外部電源11により、例えば±350V程
度の直流電圧が、回転部電流伝達機構1を介して両電極
10a・10b間に印加されると、両電極10a・10
bを被包する誘電体9において誘電分極現象が起こり、
静電気力による吸着力が生ずる。静電チャック本体6
は、載置された吸着対象物5を生じた吸着力により吸着
保持する。
【0029】また、静電チャック本体6の載置面外周部
には、吸着対象物5を着脱するための爪12が設けられ
ている。該爪12は、図示しないエアーシリンダなどの
駆動源によって上下方向に進退し、吸着対象物5を昇降
することができる。爪12により持ち上げられた吸着対
象物5は搬送ロボットなどにより搬送される。
【0030】このような静電チャック本体6を用いれ
ば、吸着対象物5の上面に他の物が触れることなく吸着
対象物5を保持することができるので、イオン注入処理
などの際に、吸着対象物5の表面へのパーティクル付着
を防止する上で有利である。
【0031】続いて、図1および図2に基づき、回転部
電流伝達機構1について、詳細に説明する。なお、図1
は、図2に示すX−X線矢視断面図である。
【0032】すなわち、図1に示すように、回転部電流
伝達機構1の回転部材2は、円板状をしており、その下
部に断面が円形の外壁2aを有している。外壁2aの中
心軸は、回転部材2の下面に固着されている回転軸7の
中心軸と同一になるように設定されている。また、固定
部材3は、断面が略L字状でリング状に形成されてい
る。固定部材3の内壁3aは、その断面が円形であり、
前記内壁3aの中心軸が回転部材2の外壁2aの中心軸
と同一になるように、回転部材2の周りに配置されてい
る。この結果、固定部材3の内壁3aと回転部材2の外
壁2aとは対向しており、両者間には、リング状の空間
14が形成されている。なお、この例では、回転部材2
および固定部材3は、共にアルミニウム合金製である。
【0033】上記リング状の空間14内には、薄くて弾
性を有するフィルム状電線15(ベルト)が収納されて
いる。フィルム状電線15の一端は固定部材3に設けら
れた電線固定部16に固着され、他端は回転部材2に設
けられた電線固定部16に固着されている。また、フィ
ルム状電線15は両電線固定部16・16において、互
いに同じ方向に向けて固着されており、かつ途中で丸く
折り返されている。その折り返し部を、図1中の15a
で示している。
【0034】図3に示すように、フィルム状電線15
は、静電チャック本体6へ正負の直流電圧を印加するた
めに2枚の導体17・17を有しており、所定の間隔を
あけて並べられた上記2枚の導体17・17を、ベース
となる絶縁フィルム18(フィルム状の電気絶縁体)お
よびカバーとなる絶縁フィルム19(フィルム状の電気
絶縁体)とで挟み込み、電気絶縁性の接着剤20でそれ
ぞれを接着した構成である。導体17としては、銅箔が
用いられることが多いが、ステンレスやアルミニウムな
ども使用される。また、絶縁フィルム18・19には、
電気絶縁性、機械強度、および弾性の面から、ポリイミ
ドやポリエステルなどが用いられる。上記各導体17・
17間、および、各導体17と回転部材2の外壁2aあ
るいは固定部材3の内壁3aとの間は、上記絶縁フィル
ム18・19により互いに絶縁されている。
【0035】フィルム状電線15の幅は、原理的には制
限が無いが、導体17の幅および厚さは流れる電流の大
きさによって決められる。さらに、各導体17間の絶縁
距離は、印加する電圧および絶縁フィルム18・19の
材質によって決められる。
【0036】また、フィルム状電線15の寿命の指標と
なる屈曲破断回数は、フィルム状電線15の厚さ、およ
びフィルム状電線15の折り返し部15aの曲率半径r
に依存する。すなわち、フィルム状電線15の厚さが厚
くなると屈曲破断回数は小さくなり、上記曲率半径rが
短くなると屈曲破断回数は小さくなる。フィルム状電線
15に対して求められる屈曲破断回数があらかじめ設定
されているときは、導体17や絶縁フィルム18・19
の厚さを薄くすることで、上記曲率半径rを短くするこ
とができ、回転部電流伝達機構1全体の大きさを小さく
することができる。なお、上記曲率半径rは、図1に示
すように、回転部材2の外壁2aの半径をR1 、固定部
材3の内壁3aの半径をR2 とすると、r=(R2 −R
1 )/2で示される。
【0037】本実施形態における、フィルム状電線15
の寸法および材質は、以下の通りである。両絶縁フィル
ム18・19は、ポリイミドからなり、それぞれの厚さ
は、25μmに設定されている。また、導体17・17
としては、厚さが35μmかつ導体幅が3mmの圧延銅
箔を使用している。各導体17・17間の間隔(絶縁距
離)は、3mmに設定されている。これにより、フィル
ム状電線15の厚さは、約145μmとなっている。ま
た、本実施形態においては、回転部材2の有する外壁2
aの半径R1 は、58.5mmと、固定部材3の内壁3
aの半径R2 は、78mmと設定されており、曲率半径
rは、9.75mmとなる。以上に示す寸法関係では、
フィルム状電線15の屈曲破断回数が1010回を上回る
という実験結果を得ている。
【0038】また、図4に示すように、上記フィルム状
電線15と各電線固定部16・16との接続部には、補
強のために電気絶縁性の補強板21が設けられている。
各接続部において、フィルム状電線15の端部は、上記
補強板21を挟んで長さ方向に折り返されて固定されて
いる。上記補強板21は、上記フィルム状電線15内部
の導体17・17に影響しない所で電線固定部16にネ
ジ止めされている(図示せず)。各導体17・17は、
絶縁フィルム19に形成されている穴に充填された、例
えばハンダなどからなるハンダ付け部22を介して、電
線固定部16内の図示しない配線と電気的に接触してい
る。さらに、回転部材2側の電線固定部16内の配線
は、図2に示す各電極10a・10bに接続されてい
る。なお、上記の電線固定部16と電極10a・10b
との間の配線は、図示しない。また、固定部材3側の電
線固定部16内の配線は、外部電源11に接続されてい
る。上記各電線固定部16は、図2に示す回転部材2お
よび固定部材3が金属製の場合には、電気絶縁機能を持
たせておくのが好ましい。
【0039】また、図5に示すように、回転部材2の外
壁2a、および固定部材3の内壁3aには、壁面絶縁部
として、例えばシリコンゴム製の絶縁シート23が着設
されている。さらに、リング状の空間14の上面である
回転部材2の端面、および前記リング状の空間14の下
面である固定部材3の端面には、壁面絶縁部として、例
えばポリアセタールコポリマー樹脂製の絶縁板24が着
設されている。
【0040】次に、回転部材2が時計回りに回転した場
合の各部の動作を図6に示す。図6中の矢印Bは、回転
部材2の回転方向および回転角度を示している。この回
転部電流伝達機構1においては、回転部材2と固定部材
3との間のリング状の空間14は、フィルム状電線15
が擦れたり折れたりするのを防止するガイドの作用を兼
ねている。回転部材2がB方向に回転すると、フィルム
状電線15は、回転部材2の外壁2aに巻き取られる格
好になり、回転部材2が他方(逆B方向)に回転する
と、フィルム状電線15は、固定部材3の内壁3aに張
り付く格好になる。図6においては、時計周りに回転し
た場合を示しているが、逆方向の回転の場合は動きが図
6とは逆になるだけである。
【0041】なお、図1ないし図7において、フィルム
状電線15は、外壁2aおよび内壁3aに接していない
ように図示されているが、これはフィルム状電線15が
分かりやすいように表示するためである。実際には、フ
ィルム状電線15は、外壁2aおよび内壁3aにそれぞ
れ接している。
【0042】回転部材2の最大許容回転角θ〔度〕は、
図7に示すように、回転部材2の外壁2aの半径R1
固定部材3の内壁3aの半径R2 、およびフィルム状電
線15の長さLなどに依存する。フィルム状電線15の
厚さを無視すると、回転角θは、下式(1)のように、 θ=(180/π)(R1 +R2 ) {L−π(R2 −R1 )/2}/R1 2 ・・・(1) 表すことができる。
【0043】上式(1)は、次のようにして導くことが
できる。すなわち、図7に示すように、回転部材2の回
転角をY1 〔rad〕、固定部材3へのフィルム状電線
15の巻き角度をY2 〔rad〕とする。前述したよう
に、フィルム状電線15の折り返し部15aの曲率半径
rは、r=(R2 −R1 )/2であり、これを不変とす
ると、図7のように回転部材2が回転しているとき、下
式(2)および(3)が成り立つ。
【0044】 Y2 2 =(Y1 −Y2 )R1 ・・・(2) Y2 ={R1 /(R1 +R2 )}Y1 ・・・(3) 上式(3)は、上式(2)を変形して得られるものであ
る。
【0045】一方、図7において、回転部材2が、左回
転の最大位置のとき、固定部材3へのフィルム状電線1
5の巻き長さをL2 とすると、フィルム状電線15の折
り返し部15aの長さL3 は、L3 =π(R2 −R1
/2であるから、以下の式(4)、(5)、および
(6)が成り立つ。
【0046】 L2 =L−L3 =L−π(R2 −R1 )/2 ・・・(4) Y2 2 =L2 ・・・(5) Y2 ={L−π(R2 −R1 )/2}/R2 ・・・(6) 上式(6)は、上式(4)および(5)より得られる。
【0047】このときの回転部材2の回転角Y1 は、上
式(3)を変形して、 Y1 ={(R1 +R2 )/R1 }Y2 ・・・(7) となる。上式(7)に上式(6)を代入して、下式
(8)を得る。
【0048】 Y1 =(R1 +R2 ){L−π(R2 −R1 )/2}/R1 2 ・・(8) 上式(8)の単位をradから度に変換すると、前述し
た式(1)が得られる。
【0049】例えば、本実施形態では、回転部材2の有
する外壁2aの半径R1 は、58.5mm、固定部材3
の内壁3aの半径R2 は、78mmと設定されている。
また、フィルム状電線15の長さLは、475mmと設
定されている。従って、前述した式(1)より、最大回
転角θは、761.6〔度〕となる。
【0050】以上のように、フィルム状電線15は、回
転部材2の外壁2aの表面および固定部材3の内壁3a
の表面を滑らずに転動する。これにより、フィルム状電
線15と上記外壁2aおよび上記内壁3aとの間で摺動
による磨耗が少なく、粉塵の発生が少ない。さらに、上
記外壁2aおよび上記内壁3aがガイドの役目を果たす
ことにより、フィルム状電線15はうまく転動する。フ
ィルム状電線15に無理な力が加わらないので、フィル
ム状電線15は切れにくい。この結果、寿命が長く、メ
ンテナンスをほとんど必要としない。加えて、フィルム
状電線15は、絡まったりせず、かつ、より回転軸7に
近い位置に配置されるので、従来より用いられている弛
ませた電線に比べて、最大許容回転角を大きくとること
ができる。
【0051】また、フィルム状電線15においては、絶
縁フィルム18・19が、導体17に対して加えられる
張力を負担し、かつ導体17を保護する。加えて、導体
17として用いられる金属にくらべて絶縁フィルム18
・19が折り曲げに強いので、フィルム状電線15は、
図1に示す折り返し部15aで折れにくくなる。この結
果、フィルム状電線15の耐久性および信頼性をさらに
向上できる。
【0052】さらに、フィルム状電線15が折り曲げに
対して強くなるので、フィルム状電線15の折り返し部
15aの曲率半径rの長さを短くすることができる。例
えば、本実施形態のように、フィルム状電線15の厚さ
が145μm程度のとき、約10mm以上の曲率半径r
があれば、フィルム状電線15は充分な寿命を持つこと
ができる。この結果、リング状の空間14を削減でき、
回転部電流伝達機構1を小型化することもできる。
【0053】また、回転部材2側の電線固定部16と固
定部材3側の電線固定部16とは、フィルム状電線15
内の導体17を介し、電気的には常に接続されている。
摺動部を経由しないので、電気的導通が確実であり、信
頼性が高い。また摺動部を経由しないので、ノイズの発
生を削減できる。特に半導体製造装置においては、ノイ
ズや発塵の与える影響が大きいので、これらの削減によ
る効果は大きい。
【0054】これにより、回転部材2の限定された角度
内の往復回転を許容しつつ、回転部材2と固定部材3と
の間で確実に電流を伝達することができる。
【0055】この結果、図2に示すように、所定の角度
内を往復して回転する静電チャック本体6に、外部電源
11から電力を供給できる。静電チャック本体6に吸着
された吸着対象物5を往復回転させることによって、上
記吸着対象物5に対する処理の均一性を向上させたり、
吸着対象物5に形成された溝部の側壁に万遍なくイオン
注入などの処理を施したりすることができる。
【0056】また、図3に示すように、各導体17は、
絶縁フィルム18と19とに挟まれており、絶縁距離を
おいて固定されている。各導体17は、互いに絡まった
りすることなく、かつ互いに絶縁されているので、フィ
ルム状電線15内に、複数の導体17を設けることが容
易である。加えて、各導体17が絶縁フィルム18・1
9により被包されているので、各導体17と、回転部材
2の外壁2aあるいは固定部材3の内壁3aとの間も絶
縁されている。
【0057】ただし、絶縁フィルム19を設けずに、各
導体17を、絶縁フィルム18上に適当な絶縁距離をお
いて接着剤20により固定する構成としてもよい。この
構成においても、絶縁シート23、絶縁板24を設ける
ことで、たとえ回転部材2または固定部材3が導電性を
有していても、各導体17間の短絡を防止できる。しか
しながら、この構成においては、導体17の切断・損傷
を防止するため、導体17の厚さを考慮することが必要
になる。
【0058】ところで、本発明の発明者は、先に出願し
公開された特開平8−96915号公報において、ベル
トとして導体ベルトそのものを用いる構成について記載
している。このような構成においては、回転部電流伝達
機構が伝達する電流の回路数を増やす場合には、導体ベ
ルトの本数を増やす必要がある。これにより、各導体ベ
ルト間の接触を防止し、絶縁を確保するために、電気絶
縁体で形成されたリング状の絶縁隔壁などによって、リ
ング状の空間14内を上記導体ベルトの本数に応じた空
間に分割して、各空間内に導体ベルトを収納している。
【0059】ところが、本実施形態においては、回路数
を増やす場合、フィルム状電線15の有する導体17の
数を増やすことができるので、フィルム状電線15の本
数を増やす必要がない。この結果、上記のようにリング
状の空間14内に絶縁隔壁などを設ける必要がなく、回
転部電流伝達機構1が伝達する電流の回路数を容易に増
やすことができる。
【0060】さらに、フィルム状電線15を、複数の絶
縁フィルムを積層することにより形成し、各絶縁フィル
ム間に導体17を埋設することによって、フィルム状電
線15の厚さ方向にも複数の導体17を設けることがで
きる。これにより、回転部電流伝達機構1が伝達する電
流の回路数を、さらに増やすことができる。
【0061】加えて、上記の導体ベルトは、金属などで
形成されているためある程度の硬さがあり、曲率半径r
を短くしすぎると当該ベルトが折れてしまう。ところ
が、本実施形態においては、導体17の厚さは、極めて
薄く設定されている。また、絶縁フィルム18・19
は、その厚さが薄く設定されていると共に、例えばポリ
イミドなど、同じ厚さの金属に比べて柔軟性および折り
曲げ強度の点で優れた材質で形成されている。この結
果、フィルム状電線15の寿命をさらに延長することが
できる。
【0062】また、回転部材2の外周部分のリング状の
空間14を主に利用した構造であり、例えば、回転部材
2が中空であるか中実であるかなど、回転部材2の内部
の構造を問わない。この結果、既設の装置の可動部の周
りに後付けすることが容易である。
【0063】さらに、絶縁シート23、および絶縁板2
4をリング状の空間14の壁面である、回転部材2およ
び固定部材3の壁面に着設することにより、各導体17
が露出状態になっている場合にも、各導体17と回転部
材2あるいは固定部材3との間を、互いに絶縁すること
ができる。各導体17が露出状態になった場合、露出し
た前記各導体17間が短絡されて不所望に大きな電流が
流れ、回転部電流伝達機構1、外部電源11、あるいは
回転部電流伝達機構1に接続された負荷を損傷するおそ
れがあるが、このような場合においても、各部の損傷を
防止することができる。
【0064】なお、本実施形態においては、回転部材2
と回転軸7とを別の部材としているが、回転部材2が回
転軸7を兼ねていてもよい。また、回転部材2は中空、
中実を問わない。また、固定部材3は、その内壁3aの
断面が円形であればよく、その外周部の形状は問わな
い。
【0065】さらに、本実施形態の回転部電流伝達機構
1では、外周に配置された固定部材3が固定され、内部
に配置された回転部材2が回転しているが、固定部材と
回転部材との関係は相対的なものであるので、外周部が
回転し、内周部が固定されていてもよい。また、外周部
および内周部の双方が固定されていなくてもよい。
【0066】なお、本実施形態では、回転部電流伝達機
構1を静電チャックに用いているが、これに限らず、例
えば半導体製造装置において往復回転部分に給電する場
合や、産業用ロボットにおいて往復回転するアームに給
電する場合など、他の限定された角度内を往復回転する
可動部を有する装置に適用することができる。また、給
電以外の配線にも用いることができる。
【0067】〔実施形態2〕本発明の他の実施形態につ
いて図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
尚、説明の便宜上、実施形態1において示した部材と同
一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その
説明を省略する。
【0068】実施形態1では、リング状の空間14に面
する回転部材2および固定部材3の壁面に、壁面絶縁部
として、絶縁シート23および絶縁板24が接着して設
けられていた。しかしながら、この場合、接着であるこ
とから、フィルム状電線15の動作に伴って、絶縁シー
ト23および絶縁板24が剥がれてくるおそれがある。
つまり、フィルム状電線15は絶縁シート23などに接
しつつ動作するので、動作中、絶縁シート23などは、
フィルム状電線15との接触・非接触を繰り返すことに
なり、無理な応力が加わった場合、磨耗、剥離が生じる
可能性がある。万一、絶縁シート23などが剥離する
と、リング状の空間14内に粉塵(パーティクル)が発
生することになるが、このような事態は耐久性および信
頼性の観点から望ましくない。
【0069】そこで、本実施形態に係る回転部電流伝達
機構では、図8に示すように、絶縁シート23および絶
縁板24を設ける代わりに、壁面自体に絶縁膜30を形
成し、壁面自体に電気絶縁性を持たせている。この絶縁
膜30は、以下のように形成されている。
【0070】回転部材2および固定部材3は、実施形態
1と同様に、アルミニウム合金製であり、これら回転部
材2および固定部材3の所定の壁面に絶縁膜30を形成
する。所定の壁面とは、リング状の空間14に面する壁
面の全体または一部であって、詳細には、外壁2a、内
壁3a、リング状の空間14の上面である回転部材2の
端面、およびリング状の空間14の下面である固定部材
3の端面からなる壁面の全体または一部である。形成方
法は、まず、所定の壁面を陽極酸化し、多孔質かつ硬質
の陽極酸化皮膜を形成する。このように形成されるアル
ミニウムの硬質酸化皮膜は、良好な耐食性および電気絶
縁性を有している。次いで、電気絶縁性等の諸特性を高
めるために、この皮膜にポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)等のフッ素樹脂を含浸コーティングし、絶
縁膜30を形成する。
【0071】上記のように形成された絶縁膜30は、次
のような特性を有している。 所望の電気絶縁性を有し、フィルム状電線15内の各
導体17間の短絡を確実に防止する。例えば、膜厚30
μm〜60μmの絶縁膜30を上記のように形成するこ
とで、絶縁抵抗2×1010Ω、耐電圧性2800Vと良
好な電気絶縁性を実現することが可能である。 耐磨耗性に優れ、剥離することがない。絶縁膜30
は、摩擦抵抗が低く、つまり、絶縁膜30が形成される
壁面は非常に滑らかなものとなる。また、絶縁膜30
は、フッ素樹脂が含浸塗布されるアルミニウムの酸化膜
であるので、フィルム状電線15が動作する際にも剥離
することは殆どない。従って、粉塵の発生を確実に抑え
ることができる。 絶縁膜30は硬質であるので、表面にきずがつきにく
く、取扱いも容易になる。 絶縁膜30は耐熱性に優れているので、熱によって変
形、変性等を来すことがない。
【0072】上記以外にも、絶縁膜30は、耐食性、非
貼着性、寸法加工精度等の点において優れた特性を有し
ており、このような絶縁膜30を回転部材2および固定
部材3の所定の壁面に形成することによって、高耐久性
および高信頼性の回転部電流伝達機構を実現することが
できる。
【0073】なお、上記のように、回転部材2および固
定部材3の所定の壁面を陽極酸化し、硬質酸化皮膜を形
成することで、壁面にある程度の電気絶縁性を付与する
ことができる。あるいは、酸化膜を形成することなく、
壁面にフッ素樹脂を塗布するだけでも、壁面にある程度
の電気絶縁性を持たせることができる。必要とされる電
気絶縁性等の諸特性を満足させるものであれば、このよ
うに絶縁膜30を形成してもよい。本実施形態では、電
気絶縁性のみならず耐磨耗性、剥離しにくさなどの点を
総合的に考慮し、上述のように、アルミニウムを陽極酸
化して形成した多孔性の硬質酸化皮膜にフッ素樹脂を含
浸コーティングし、絶縁膜30を形成している。フッ素
樹脂は、酸化膜に含浸されるのみとしてもよいし、含浸
され、かつ、酸化膜上に塗布されるものとしてもよい。
また、フッ素樹脂としてはPTFEを用いたが、これ以
外のフッ素樹脂を使用してもよい。さらに、回転部材
2、固定部材3がアルミニウム合金以外の材料からなる
場合にも、表面を多孔質化してフッ素樹脂を含浸塗布し
たり、または、フッ素樹脂を表面に塗布するなどの方法
により壁面に絶縁膜30を形成し、該壁面に電気絶縁性
を持たせることが可能である。
【0074】以上のように、回転部材2および固定部材
3の所定の壁面に絶縁膜30を形成することによって、
壁面自体が、各導体17間の短絡を防ぐのに十分な電気
絶縁性を有することになり、併せて、粉塵の発生を確実
に抑えることができる。
【0075】
【発明の効果】請求項1の発明に係る回転部電流伝達機
構は、以上のように、イオン注入装置においてウェハを
静電気力により吸着保持するチャック部に電力を供給す
る回転部電流伝達機構であって、断面が円形の内壁を有
する外部部材と、上記外部部材との間にリング状の空間
をあけて該外部部材同心円状に取り囲まれる位置に配
置され、断面が円形の外壁を有すると共に、上記外部
材に対し限定された角度内で相対的に往復回転し、上記
チャック部が取り付けられる内部部材と、上記リング状
の空間内に収納されていて、両端の固定部において上記
内部部材の外壁および外部部材の内壁に互いに同じ方向
に向けてそれぞれ固定されており、かつ途中で丸く折り
返されている弾性を有するベルトとを備え、上記ベルト
は、フィルム状の電気絶縁体の内部に、少なくとも一つ
の導体を埋設してなる構成である。
【0076】それゆえ、上記ベルトは上記リング状の空
間内を滑らかに転動する。これにより、粉塵の発生を減
少させることができると共に、メンテナンスの回数を削
減できる。また、内部部材と外部部材とは、摺動部を経
由せずベルトを介して常に接続されている。この結果、
粉塵およびノイズの発生が少なく、メンテナンスがほと
んど不要で、信頼性の高い回転部電流伝達機構を実現で
きるという効果を奏する。
【0077】また、各導体は、上記フィルム状電線内で
固定されているので、複数の導体を一定の間隔(絶縁距
離)をおいて容易に保持することができる。この結果、
フィルム状電線内の導体の数を増やすことにより、回転
部電流伝達機構が伝達する電流の回路数を容易に増やす
ことできるという効果を併せて奏する。
【0078】さらに、内部部材の外周部分のリング状の
空間を主に利用した構造であり、内部部材の内部の構造
によらないので、既設の装置の可動部の周りに、容易に
後付けできるという効果も併せて奏する。
【0079】請求項2の発明に係る回転部電流伝達機構
は、以上のように、請求項1の構成に加えて、上記リン
グ状の空間に面する壁面である内部部材および外部部材
の少なくとも一方の壁面に、電気絶縁体にて形成される
壁面絶縁部が設けられている構成である。
【0080】それゆえ、請求項1の効果に加えて、上記
ベルトの有する導体が露出した場合にも、短絡を防止
し、当該導体に電気的に接続されている各機器の損傷を
防止できるという効果を奏する。
【0081】請求項3の発明に係る回転部電流伝達機構
は、以上のように、請求項1の構成に加えて、上記リン
グ状の空間に面する壁面である内部部材および外部部材
の少なくとも一方の壁面に絶縁膜を形成し、該壁面に電
気絶縁性を持たせている構成である。
【0082】それゆえ、請求項1の効果に加えて、壁面
に絶縁部材を接着するなどの必要がなくなり、該絶縁部
材の剥離により粉塵が発生することもなくなるので、粉
塵の発生をより一層減少させることができるという効果
を奏する。
【0083】請求項4の発明に係る回転部電流伝達機構
は、以上のように、請求項3の構成に加えて、上記絶縁
膜が、硬質の陽極酸化皮膜、フッ素樹脂の塗布膜、およ
び、フッ素樹脂が含浸塗布される硬質の陽極酸化皮膜の
いずれかである構成である。
【0084】それゆえ、請求項3の効果に加えて、上記
いずれかの絶縁膜により、電気絶縁性が付与された殆ど
剥離することのない壁面が得られるという効果を奏す
る。
【0085】請求項5の発明に係る回転部電流伝達機構
は、以上のように、請求項4の構成に加えて、上記内部
部材および外部部材は、少なくとも上記リング状の空間
の近傍の部分がアルミニウムまたはその合金からなり、
上記絶縁膜は、フッ素樹脂が含浸塗布される硬質のアル
ミニウムの陽極酸化皮膜である構成である。
【0086】それゆえ、請求項4の効果に加えて、内部
部材および外部部材のアルミニウム表面に直接処理を施
し、フッ素樹脂が含浸塗布される硬質のアルミニウムの
陽極酸化皮膜を絶縁膜として形成することにより、電気
絶縁性や耐磨耗性等の諸特性に優れ、かつ殆ど剥離する
ことのない壁面が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る回転部電流伝達機
構を示す断面図である。
【図2】上記回転部電流伝達機構を備える静電チャック
の軸方向断面図である。
【図3】上記回転部電流伝達機構の有するフィルム状電
線の断面図である。
【図4】上記フィルム状電線の電線固定部を示す、図1
中のP部の拡大詳細断面図である。
【図5】上記回転部電流伝達機構の有する回転部材およ
び固定部材の壁面を示す、図2中のQ部の拡大詳細断面
図である。
【図6】上記回転部電流伝達機構の動作を示す説明図で
ある。
【図7】上記回転部電流伝達機構の寸法と回転角との関
係を示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る回転部電流伝達機
構の有する回転部材および固定部材のリング状の空間に
面する壁面を示す拡大詳細断面図である。
【符号の説明】
1 回転部電流伝達機構 2 回転部材(内部部材) 3 固定部材(外部部材) 14 リング状の空間 15 フィルム状電線(ベルト) 17 導体 18 絶縁フィルム(フィルム状の電気絶縁体) 19 絶縁フィルム(フィルム状の電気絶縁体) 23 絶縁シート(壁面絶縁部) 24 絶縁板(壁面絶縁部) 30 絶縁膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−147175(JP,A) 特開 平7−79521(JP,A) 特開 平4−218286(JP,A) 実開 平5−8892(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 35/04 B65H 75/38

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン注入装置においてウェハを静電気力
    により吸着保持するチャック部に電力を供給する回転部
    電流伝達機構であって、 断面が円形の内壁を有する外部部材と、 上記外部部材との間にリング状の空間をあけて該外部
    同心円状に取り囲まれる位置に配置され、断面が円
    形の外壁を有すると共に、上記外部部材に対し限定され
    た角度内で相対的に往復回転し、上記チャック部が取り
    付けられる内部部材と、 上記リング状の空間内に収納されていて、両端の固定部
    において上記内部部材の外壁および外部部材の内壁に互
    いに同じ方向に向けてそれぞれ固定されており、かつ途
    中で丸く折り返されている弾性を有するベルトとを備
    え、 上記ベルトは、フィルム状の電気絶縁体の内部に、少な
    くとも一つの導体を埋設してなることを特徴とする回転
    部電流伝達機構。
  2. 【請求項2】上記リング状の空間に面する壁面である内
    部部材および外部部材の少なくとも一方の壁面に、電気
    絶縁体にて形成される壁面絶縁部が設けられていること
    を特徴とする請求項1に記載の回転部電流伝達機構。
  3. 【請求項3】上記リング状の空間に面する壁面である内
    部部材および外部部材の少なくとも一方の壁面に絶縁膜
    を形成し、該壁面に電気絶縁性を持たせていることを特
    徴とする請求項1に記載の回転部電流伝達機構。
  4. 【請求項4】上記絶縁膜は、硬質の陽極酸化皮膜、フッ
    素樹脂の塗布膜、および、フッ素樹脂が含浸塗布される
    硬質の陽極酸化皮膜のいずれかであることを特徴とする
    請求項3に記載の回転部電流伝達機構。
  5. 【請求項5】上記内部部材および外部部材は、少なくと
    も上記リング状の空間の近傍の部分がアルミニウムまた
    はその合金からなり、上記絶縁膜は、フッ素樹脂が含浸
    塗布される硬質のアルミニウムの陽極酸化皮膜であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の回転部電流伝達機構。
JP14959596A 1995-06-13 1996-06-11 回転部電流伝達機構 Expired - Fee Related JP3419204B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14959596A JP3419204B2 (ja) 1995-06-13 1996-06-11 回転部電流伝達機構

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14651895 1995-06-13
JP7-146518 1995-06-13
JP14959596A JP3419204B2 (ja) 1995-06-13 1996-06-11 回転部電流伝達機構

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0963734A JPH0963734A (ja) 1997-03-07
JP3419204B2 true JP3419204B2 (ja) 2003-06-23

Family

ID=26477333

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14959596A Expired - Fee Related JP3419204B2 (ja) 1995-06-13 1996-06-11 回転部電流伝達機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3419204B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5524886B2 (ja) * 2011-03-10 2014-06-18 Ntn株式会社 回転センサ付軸受
JP6650621B2 (ja) * 2016-04-07 2020-02-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 照明装置
WO2018162070A1 (de) 2017-03-09 2018-09-13 Ev Group E. Thallner Gmbh Elektrostatische substrathalterung

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2037430C (en) * 1990-03-02 1995-10-24 Juergen Roder Airbag connecting device
JPH058892U (ja) * 1991-07-17 1993-02-05 古河電気工業株式会社 回転コネクタ
DE4314648A1 (de) * 1993-05-04 1994-11-10 Kabelmetal Electro Gmbh Verfahren zur Herstellung einer Vorrichtung zur Signalübertragung zwischen zwei Endstellen
JPH07147175A (ja) * 1993-11-25 1995-06-06 Nippondenso Co Ltd ケーブルリール

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0963734A (ja) 1997-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012147412A1 (ja) フレキシブル回路体及びその製造方法
JP7240497B2 (ja) 電荷散逸コーティングを施した静電チャック
JP4681789B2 (ja) 弾性接触要素
KR960035595A (ko) 박막자기헤드 슬라이더 및 그 헤드소자 구동용 정전액추에이터
JP5326322B2 (ja) 給電装置、ウェブ用電解めっき装置
CN1874874A (zh) 用于电化学机械处理的垫组件
JP3419204B2 (ja) 回転部電流伝達機構
US2897424A (en) Electrostatic apparatus
CN106253739A (zh) 适于在磁场环境中使用的振动致动器以及医疗系统
WO1996026973A1 (fr) FILM D'EXCELLENTE RESISTANCE A EFFET DE COURONNE ET CONDUCTEURS, BOBINES ET MOTEURS ISOLES l'UTILISANT COMME MATERIAU ISOLANT
US5827080A (en) Rotary section current transmitting mechanism
JP2005228522A (ja) スリップリング装置
JPH0896915A (ja) 回転部電流伝達機構
JP4526759B2 (ja) 静電保持装置及びそれを用いた搬送装置又はステージ
JPH1131855A (ja) 圧電振動子
JP3246957B2 (ja) めっき治具
JP2967590B2 (ja) 記録媒体駆動装置
JPH06198533A (ja) 静電チャック
JP4419579B2 (ja) 静電チャック
JPH0790694A (ja) 表面処理用回転治具
US20220328750A1 (en) Actuator
JP7411276B1 (ja) 配線装置
CN216016341U (zh) 一种具有支撑架结构的电线
JPS61124455A (ja) 静電吸着ゴムベルト
JP2004359270A (ja) 保持搬送用治具

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090418

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100418

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140418

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees