JP5520235B2 - 塩の製造のための方法 - Google Patents

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Description

この出願は2008年2月8日に出願された米国一連番号61/027,433の利益を主張し、その内容を本明細書に援用する。
[0001] 本発明は、重炭酸アルギニンの製造のための新規の方法に関する。
[0002] 重炭酸アルギニンは、個人用ケア組成物、例えば口腔ケア組成物における用途を含め、様々な産業的適用において用途を有している。例えば、米国特許第6,524,558号を参照。重炭酸アルギニンに関する産業的な需要が増大するにつれ、重炭酸アルギニンを製造するための向上したプロセスおよび方法の必要性も増大するであろう。
[0003] 重炭酸アルギニンは、二酸化炭素ガスを飽和アルギニン水溶液を通して泡立てることにより製造することができる。しかし、既存のプロセスの効率は向上する必要がある。既存のプロセスは遅く、反応を完了するのに24〜48時間を必要とする。二酸化炭素は水中で非常に限られた溶解性を有し、そのガスを溶液中に放出すると、室温およびその自然の分圧(3.5×10−4気圧)において約1.2×10−5Mの最大濃度がもたらされる。アルギニンの水中での溶解度は室温においてわずか約15%重量/重量である。濃重炭酸アルギニン溶液(例えば約40%)の製造は溶液への連続的なアルギニンの添加を必要とし、それにより製造時間が増大し、反応の休み無い監視が必要である。従って、重炭酸アルギニンを製造する方法を向上させる必要がある。
米国特許第6,524,558号
[0004] 本発明は、重炭酸アルギニンを製造するための向上した方法に向けられている。アルギニンおよびビカルボネート陰イオンの濃縮溶液は約10分間という短い間に製造することができ(先行技術の方法を用いた約24〜48時間と対比して)、かなり高い濃度、例えば60%w/wにある重炭酸アルギニン溶液を製造することができるため、それに続いて溶液からの重炭酸アルギニン塩のより速くより容易な回収プロセスが行われるので、本方法は既存の技法を越える重要な向上である。
[0005] 本発明には、(i)制御された温度および圧力の下でアルギニンのスラリーを二酸化炭素と反応させてアルギニンおよびビカルボネート陰イオンを含む溶液を形成する、ならびに(ii)場合により溶液から重炭酸アルギニンを回収することを含む、重炭酸アルギニンを製造するための方法である方法1.0が含まれる。
[0006] 本発明の追加の方法には、次の方法が含まれる:
1.1 アルギニンスラリーがアルギニンおよび溶媒を含む、方法1.0;
1.2 アルギニンスラリーが約10重量%〜約90重量%のアルギニン、例えば約50重量%を溶媒中に含む、方法1.1。
1.3 溶媒が水である、方法1.1〜1.2;
1.4 方法1.0〜1.3のうち、工程(i)のアルギニンがアルギニン遊離塩基を含む方法;
1.5 方法1.0〜1.4のうち、アルギニンがL−アルギニンである方法;
1.6 方法1.0〜1.5のうち、工程(i)のアルギニンが塩を含む方法;
1.7 前記の方法のいずれかのうち、工程(i)のアルギニンがアルギニン水酸化物を含む方法;
1.8 前記の方法のいずれかのうち、工程(i)のアルギニンがアルギニン塩酸塩を含む方法;
1.9 前記の方法のいずれかのうち、工程(i)のアルギニンが遊離塩基の形のアルギニンおよびアルギニン塩を含む混合物である方法;
1.10 前記の方法のいずれかのうち、二酸化炭素がスラリーに固体、例えばドライアイスとして添加される方法;
1.11 方法1.0〜1.9のうち、二酸化炭素がスラリーにガスとして添加される方法;
1.12 前記の方法のいずれかのうち、アルギニンスラリーが約10%から約90%までのアルギニンを遊離塩基または塩の形で含む方法;
1.13 前記の方法のいずれかのうち、二酸化炭素分圧が約1psiよりも大きいレベルで維持される方法;
1.14 前記の方法のいずれかのうち、二酸化炭素分圧が約15psiよりも大きい、例えば約30psiよりも大きいレベルで維持される方法;
1.15 前記の方法のいずれかのうち、二酸化炭素分圧が約5psi〜約250psi、例えば約50〜約150psi、例えば約60〜約100psiである方法;
1.16 前記の方法のいずれかのうち、アルギニンスラリーおよび二酸化炭素が約1分間を超える期間、例えば約1分間〜約120分間、例えば約1分間〜約30分間の間圧力の下で維持される方法;
1.17 前記の方法のいずれかのうち、アルギニンスラリーが約30℃〜約80℃に加熱される方法;。
1.18 前記の方法のいずれかのうち、二酸化炭素の導入がアルギニンスラリーの冷却を引き起こす方法;
1.19 前記の方法のいずれかのうち、アルギニンスラリーが約0℃〜約40℃、例えば約0℃〜約20℃に冷却される方法;
1.20 前記の方法のいずれかのうち、アルギニンスラリーおよび二酸化炭素が攪拌される方法;
1.21 前記の方法のいずれかのうち、二酸化炭素がアルギニンスラリー中で溶解した際に炭酸を形成する方法;
1.22 方法1.20のうち、炭酸が溶液中でビカルボネート陰イオンを形成する方法;
1.23 前記の方法のいずれかのうち、最初のアルギニンスラリーが約10〜約14のpHを有する方法;
1.24 前記の方法のいずれかのうち、完成した重炭酸アルギニン溶液が約7〜約10のpHを有する方法;
1.25 前記の方法のいずれかのうち、重炭酸アルギニンが溶液から蒸発により回収される方法;
1.26 方法1.24のうち、蒸発が凍結乾燥によるものである方法;
1.27 方法1.24のうち、蒸発がスプレー乾燥によるものである方法;
1.28 前記の方法のいずれかのうち、重炭酸アルギニンが溶液から沈殿により回収される方法;
1.29 前記の方法のいずれかのうち、さらにアルコールの溶液への添加を含む方法;
1.30 前記の方法のいずれかのうち、さらにビカルボネート塩、例えば炭酸水素ナトリウムのスラリーまたは溶液への添加を含む方法;
1.31 前記の方法のいずれかのうち、炭酸カルシウムがスラリーまたは溶液に添加される方法;
1.32 方法1.27のうち、重炭酸アルギニンを炭酸カルシウムと共沈させる方法;
1.33 重炭酸アルギニン溶液が、重炭酸アルギニンを完全に回収および精製すること無く製品の配合において用いられる、前記の方法のいずれか;
1.34 溶液のpHがpH約8〜約9に調節される、前記の反応のいずれか;
1.35 最初に(例えばアルギニンの溶解性を増進するために)温度を約50℃より高く、例えば約50℃〜約70℃、例えば約55℃まで、例えば約5〜約60分間上げ、次いで(例えば、二酸化炭素の溶解性を増進する、反応を完了させる、および溶液からの二酸化炭素の過度の放出無しに反応容器を開けることを可能にするため)約0℃から約40℃まで、例えば約0℃から約20℃までに下げる、前記の方法のいずれか。
1.36 溶液の最初のpHが約12である、前記の方法のいずれか。
1.37 溶液の最終的なpHが約8〜約9.0である、前記の方法のいずれか。
[0007] 本発明には、二酸化炭素およびアルギニンスラリーを制御された温度および圧力の下で反応させてアルギニンおよびビカルボネート陰イオンの溶液を形成し、次いで塩を溶液から回収することにより重炭酸アルギニン塩を製造するための驚くほど単純な反応が含まれる。最初の反応は既存の方法よりも速く、24時間を超えるのと対比して約10分間であり、アルギニンおよびビカルボネート陰イオンのより濃縮された溶液を生じる(約40%と対比して約60%)。
[0008] 本方法は、アルギニンおよび溶媒、好ましくは水を含むアルギニンスラリーの形成で始まる。アルギニン遊離塩基は室温において水にごくわずかしか溶けないため、アルギニンの水への添加はスラリーを形成し、ここでアルギニンの大部分は溶解しない。あらゆる形のアルギニン、例えば(DまたはL型、通常はL型の)アルギニン遊離塩基、またはアルギニン塩を、スラリーを形成するのに利用することができる。様々なアルギニン塩類、例えば塩酸塩、および医薬的に許容できる塩類は、水中でアルギニン遊離塩基よりも実質的により可溶性であり、これがより濃縮されたアルギニンおよびビカルボネート陰イオンの溶液の製造を可能にすることができると理解されている。従って、スラリーを形成するために塩類を用いてよく、または遊離塩基および塩類の混合物を組み合わせて用いてよい。
[0009] スラリーは、約10重量%〜約90重量%、例えば約20%〜約80%、約30%〜約70%、約40%〜約60%のアルギニンの溶媒への添加により製造される。次いでスラリーを攪拌して均質な混合物を作ることができる。スラリーの最初のpHは一般にアルギニン遊離塩基のために約12、例えば約10〜約13である。
[0010] 1態様において、スラリーはアルギニンの溶解性を増大させるために約30℃〜約80℃まで、例えば約40℃まで、約50℃まで、約55℃まで、約60℃まで、約65℃まで、または約70℃まで加熱してよい。
[0011] 二酸化炭素および水の間の反応は当技術において周知であり、炭酸が最初に形成され、解離してビカルボネートおよび水素イオンになる。次いでビカルボネートがさらに解離してカルボネートおよび追加の水素イオンになる。本発明では、二酸化炭素を加圧した容器中でアルギニンスラリーに添加してビカルボネート陰イオンを形成し、その結果プロトン化されたアルギニン(陽イオン)およびビカルボネート陰イオンの溶液が得られる。
[0012] 二酸化炭素のスラリー中への溶解性は、溶液の温度を低下させることにより増大させることができる;しかし、これはアルギニンの溶解性を低下させる。従って、両方の構成要素の溶解性の間で慎重なバランスが維持されなければならない。従って、1つの態様において、加圧した容器は温度制御されてよい。アルギニンスラリーは好ましくは二酸化炭素をアルギニンスラリーに添加する際に比較的高い温度、例えば約30℃から約80℃までにあり、その後アルギニンスラリーは比較的低い温度、例えば約0℃から約40℃までに放冷される。
[0013] 二酸化炭素のスラリー中への溶解性を増大させるためにアルギニンスラリーの温度を低下させる1つの方法は、二酸化炭素をスラリーの温度よりも低い温度で、例えば二酸化炭素をドライアイスまたは冷却したガスとして導入することにより供給することである。好ましくは、二酸化炭素ガスが本反応において用いられる。加えて、スラリーの直接的な冷却を行ってもよい。
[0014] 二酸化炭素のスラリー中への溶解性は、反応容器中の二酸化炭素の分圧を増大させることにより増大させることができる。従って、二酸化炭素およびアルギニンスラリーの間の反応は、約5psi〜約150psi、例えば約50、約60まで、約70まで、約80まで、約90まで、約100まで、約110まで、約120まで、または約140psiまでで起こってよい。
[0015] 次いでアルギニンスラリーおよび二酸化炭素の間の反応は約1〜約120分間続行させてよい。反応の完了は、ビカルボネート陰イオンの存在下でのアルギニンはアルギニンスラリーと比較して非常に溶けやすいため、スラリー中の溶解していないアルギニンの存在を監視することにより判断することができる。反応を監視する別の方法は、反応容器中のその溶液のpHを直接測定する、または溶液のサンプルをとって、開放された入れ物の中で室温においてそのpHを測定することである。
[0016] 反応の完了によって、固体のアルギニンは残っておらず、アルギニンおよびビカルボネート陰イオンの溶液は透明かつ無色であるのが好ましく、追加の二酸化炭素を反応容器に添加してよい。
[0017] 重炭酸アルギニン溶液の製造の後、重炭酸アルギニン塩は当業者に既知のいずれかの手段により回収されてよい。1態様において、溶媒を、例えば加熱、スプレー乾燥、または凍結乾燥により蒸発させる。別の態様において、塩を溶液から、アルコールの添加により沈殿させる。
[0018] 本方法は、重炭酸アルギニンを1回分で製造するために利用されてよく、または連続的なプロセスにおいて、例えば連続的な攪拌タンク反応器、流動層反応器、および栓流反応器(plug flow reactors)中で用いられてよい。
[0019] 全体において用いられるように、範囲はその範囲内にあるそれぞれおよび全ての値を記述するための略記として用いられる。範囲内のあらゆる値は、範囲の末端として選択することができる。加えて、本明細書において引用される全ての参考文献をそのまま本明細書に援用する。本開示における定義および引用された参考文献の定義において不一致がある場合には、本開示が統制する。配合が記述された場合、実際の配合においてそれが作られ、保管され、使用された際にこれらの成分が互いと反応する可能性があるにも関わらず、当技術で一般的であるようにそれらはそれらの成分に基づいて記述されてよく、その生成物は記述された配合に含まれることを意図していることが理解される。
[0020] 下記の実施例は、本発明の範囲内の説明的な態様をさらに記述し、実証する。本発明の精神および範囲から逸脱すること無く多くの変形が可能であるため、実施例は説明のためにのみ与えられ、この発明を限定するものとして解釈されるべきでない。本明細書において示し、記述したそれらに加えて、本発明の様々な修正は当業者には明らかであるはずであり、それは添付した特許請求の範囲内に収まることを意図する。
実施例1
[0021] 50重量%のL−アルギニンおよび50重量%の水を含むpH12のスラリーを、85gのL−アルギニンを85gの水と室温で混合することにより調製する。スラリーを穏やかな攪拌の下で55℃に加熱する。おおよそ50%のL−アルギニンが溶解していることを、目視観測により決定する。
実施例2
[0022] 25gのドライアイス粒子を実施例1で製造したスラリーに添加し、混合物を加圧した容器に移す。容器から大気をパージするためにドライアイスを昇華させ、次いで容器を密封する。容器中の圧力を80psiまで上昇させ、圧力の下で溶液を3分間維持する。容器を開けると、少量の未反応のアルギニンが容器の底に観察される。
実施例3
[0023] 実施例2の溶液をスパーテルで攪拌して懸濁液を作る。10グラムのドライアイスを容器に添加し、容器を密封する。圧力を90psiに上昇させ、そこで維持する。三分後に容器を開け、濃い透明な無色の溶液が沈殿無しで観察される。溶液は12℃まで下がっており、約60%の濃度および8.79の最終pHの重炭酸アルギニン溶液が生成する。重炭酸アルギニン塩を凍結乾燥により回収する。
実施例4
[0024] 実施例1で生成したスラリーを加圧した容器に移し、二酸化炭素ガスを通して、15psiの二酸化炭素分圧を5分間得る。反応物の温度を10℃まで下げる。重炭酸アルギニン陰イオンの溶液が形成され、重炭酸アルギニン塩をスプレー乾燥により回収する。

Claims (17)

  1. 制御された温度および圧力の下でアルギニンのスラリーを二酸化炭素と反応させてアルギニンおよびビカルボネート陰イオンを含む溶液を形成すること、ここでアルギニンスラリーが反応の期間の間まず30℃〜80℃に加熱され、次いで反応の完了後に0℃から40℃までに冷却され、反応の間の二酸化炭素分圧が50psi〜150psiである;ならびに
    溶液から重炭酸アルギニンを回収すること
    を含む、重炭酸アルギニンを製造するための方法。
  2. アルギニンスラリーがアルギニンおよび溶媒を含み、スラリーが10重量%〜90重量%のアルギニンを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 溶媒が水である、請求項2に記載の方法。
  4. アルギニンが遊離塩基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. アルギニンがL−アルギニン、D−アルギニン、またはそれらの混合物から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. アルギニンがアルギニン塩を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. アルギニンがアルギニン水酸化物、アルギニン塩酸塩、またはそれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 二酸化炭素が反応物に固体として供給される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 二酸化炭素が反応物に圧力の下でガスとして供給される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. アルギニンスラリーが10%〜90%のアルギニンを遊離塩基または塩の形で含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. アルギニンスラリーおよび二酸化炭素が1分間〜120分間の期間の間圧力の下で維持される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 二酸化炭素がアルギニンスラリーに添加される際にアルギニンスラリーが30℃から80℃までの温度にあり、その後アルギニンスラリーを0℃から40℃までの温度に放冷する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. アルギニンスラリーが10〜14のpHを有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 重炭酸アルギニン溶液が7〜10のpHを有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 重炭酸アルギニンが溶液から蒸発により回収される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 請求項1に記載の方法であって、ここで二酸化炭素分圧が反応の間50psi〜150psiのレベルにおいて、1〜120分間維持される、方法。
  17. さらに、炭酸水素ナトリウムをスラリーに添加することを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
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