JP5515401B2 - 真空蒸着用ミドルコート組成物 - Google Patents
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熱硬化型は、ミドルコート層に濃い着色がされていても硬化が可能であるという有利な点をもつ。
一方、UV硬化型は、非常に短い時間で硬化することができるので、リードタイムを非常に短くできるという有利な点をもつ。また、既存のUVラインを使用できるため、UV硬化型が主流である。
〔2〕 前記(メタ)アクリレート系共重合体(A)が、1分子中にフェニル基およびビニル基を有する化合物(a1)と、アルキル(メタ)アクリレート(a2)とを単量体成分として含む共重合体である、〔1〕に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔3〕 前記1分子中にフェニル基およびビニル基を有する化合物(a1)がスチレンである〔2〕に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔4〕 前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)が、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、〔2〕に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔5〕 前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)がメチル(メタ)アクリレートである、〔2〕に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔6〕 前記光硬化性樹脂(B)が、1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有するポリエステルアクリレートである、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔7〕 前記1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有するポリエステルアクリレートが、トリメチロールプロパントリアクリレートおよび/またはプロピレングリコールジアクリレートである、〔6〕に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔8〕 不揮発分として、前記(メタ)アクリレート系重合体(A)を25〜70質量部と、前記光硬化性樹脂(B)を25〜70質量部と、前記光重合開始材(C)を1〜10質量部とを含有する〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔9〕 照射紫外線の積算光量500〜1500mJ/cm2で十分な密着性を発現する、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
〔10〕 プラスチック基材上に金属の真空蒸着層を有し、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の真空蒸着用ミドルコート組成物層を介してトップコート層を有する積層体。
〔11〕 〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の真空蒸着用ミドルコート組成物層を有する自動車用部品または携帯電話機用部品。
本発明の真空蒸着用ミドルコート組成物(以下「本発明の組成物」という。)は、(メタ)アクリレート系共重合体(A)と、光硬化性樹脂(B)と、光重合開始材(C)とを含有する。
(メタ)アクリレート系共重合体(A)(以下「共重合体(A)」という。)は(メタ)アクリレート系化合物を単量体成分として含有し、ガラス転移点50〜70℃、重量平均分子量10000〜50000の範囲内であれば特に限定されない。共重合体(A)は、本発明の組成物に柔軟性を付与することができる。
(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを挙げることができる。ここで、(メタ)アクリレート等の表記は、アクリレートまたはメタクリレートを示す。以下の記載も同様である。
共重合体(A)のガラス転移点は、50〜70℃の範囲内であれば特に限定されないが、55〜65℃の範囲が好ましく、57〜63℃の範囲がより好ましい。
共重合体(A)の重量平均分子量は、10000〜50000の範囲内であれば特に限定されないが、20000〜40000の範囲が好ましく、25000〜35000の範囲がより好ましい。
共重合体(A)中の化合物(a1)と、化合物(a2)との質量比は、特に限定されないが、化合物(a1):化合物(a2)=0:100〜20:80が好ましい。
化合物(a1)としては、例えば、スチレン(エテニルベンゼン)、ビニルトルエン(1−メチル−4−エテニルベンゼン)等を挙げることができる。
化合物(a2)のアルキル基は特に限定されず、直鎖、分枝、または環状であってもよい。
化合物(a2)としては、アルキル基が炭素数1〜18個のものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸メチル)、エチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸エチル)、プロピル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸プロチル)、ブチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸ブチル)、イソブチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸イソブチル)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸シクロヘキシル)等を挙げることができる。
本発明の組成物に用いられる光硬化性樹脂(B)としては、特に限定されないが、例えば、共重合体(A)との相溶性の観点から、光硬化性アクリル樹脂(B1)を挙げることができる。光硬化性樹脂(B)は、本発明の組成物に接着性を付与することができる。
カルボキシ基の数は、接着性により優れ、樹脂との相溶性に優れる点から、化合物(b1)中、1〜3個であるのが好ましい。
化合物(b1)1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、1個または2個である。(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、接着性、意匠性により優れるという点から、化合物(b1)1分子中1個であるのが好ましい。
ヒドロキシ(メタ)アクリレートと多塩基酸および/またはその酸無水物との反応の際に使用される多塩基酸およびその無水物としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸、スベリン酸、マロン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等、およびそれらの混合物が挙げられる。
式(2)で表されmが0である化合物(アクリル酸)と式(2)で表されmが1である化合物との混合物は、市販品として入手することができる。このような市販品としては、例えば、東亞合成社製のM−5600が挙げられる。
式(3)で表される化合物は、市販品として入手することができる。このような市販品としては、例えば、東亞合成社製のM−5400、共栄社化学社製のHOA−MPLが挙げられる。
化合物(b1)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
式(5)で表されるペンタエリスリトールテトラアクリレートとしては、例えば、M−450(東亞合成社製)、ライトアクリレートPE−4A(共栄社化学社製)、Ebecryl PETAK(ダイセルサイテック社製)、NKエステル ATMMT(新中村化学工業社製)が挙げられる。
式(6)で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含む市販品としては、例えば、M−402(東亞合成社製)、ライトアクリレートDPE−6A(共栄社化学社製)、Ebecryl DDHA(ダイセルサイテック社製)、NKエステル A−PPH(新中村化学工業社製)が挙げられる。
化合物(b2)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
光重合開始材(C)としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物のようなカルボニル化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。より具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4′−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、下記式(7)で表される1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロ等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド等のパーオキサイド化合物が挙げられる。
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの市販品としては、例えば、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)が挙げられる。
本発明の組成物は、作業性および得られる塗膜の意匠性を向上できる点から、更に、溶剤を含有するのが好ましい。
溶剤としては、具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
<5.製造方法等>
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法を用いることができる。
以下、本発明の積層体について詳細に説明する。
本発明の積層体は、プラスチック基材と、アンダーコート層と、金属の真空蒸着層と、該蒸着層の上に本発明の組成物を塗布して硬化させて形成されたミドルコートの上に形成されたトップコート層とを有する積層体である。
真空蒸着において使用される金属は、特に限定されず、例えば、スズ、アルミニウム、ニッケル、銅、インジウム等が挙げられる。
真空蒸着の方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。
トップコートを形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
トップコート剤は、特に制限されず、公知のトップコート剤を使用できる。
下記第1表に示す各単量体成分を第1表に示す質量比で混合し、重合開始剤(AIBN(アゾビスイソブチロニトリル))の存在下、メチルエチルケトン中で重合させて、第1表に示される例1、実施例2〜6および比較例1〜4の各共重合体(30%メチルエチルケトン溶液)を得た。
下記第2表に示す各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される例1、実施例2〜6および比較例1〜4の各組成物を得た。
得られた各組成物の接着性および意匠性を以下の方法により評価した。
結果を第2表に示す。
(1)塗装作業性
スプレー塗装の行い易さにより評価を行った。適切な塗料粘度であり、作業上問題がないものを良として「◎」と評価し、作業上問題がないものを可として「○」と評価し、粘度が高くスプレー塗装が困難であるものを不可として「×」と評価した。
(2)意匠性
意匠性の評価は、塗布面を垂直にした状態のABS樹脂に対して、得られた各組成物をスプレーで塗布して、サンプルを得た。
スプレー塗布後、得られたサンプルの塗布面を水平にして、サンプルの塗布面に対して斜め45°の角度からサンプルを肉眼で観察した。
意匠性の評価基準は、塗膜の光沢に優れ、凹凸が少ないものを「◎」、凹凸が少なく実用上問題がないものを「○」、凹凸が目立つ等外観上異常があるものを「×」とした。
(3)密着性
密着性の評価は、碁盤目テープはく離試験によって行った。
具体的には次の手順に従った。
ポリカーボネート(PC)樹脂を基材として用い、その上にUVアンダーコートを塗装し、UV硬化させ、さらにその上にスズ(Sn)を真空蒸着して蒸着金属層を形成した。
その蒸着金属層の上に、例1、実施例2〜6、比較例1〜4に係る組成物を、それぞれ塗装し、塗布後60℃の条件下で3分間熱風乾燥させた後、日本電池社製のGS UV SYSTEMで積算光量が500mJ/cm2、1000mJ/cm2、1500mJ/cm2となるようにUV照射を行い、UV硬化させ、さらに70℃で10分間乾燥して、ミドルコート層を形成した。
さらに、そのミドルコート層の上に、UVトップコートを塗装し、UV硬化させ、碁盤目テープはく離試験用の試験体を作成した。
次に、得られた試験体に、1mmの基盤目100個(10×10)を作り、基盤目上にセロハン粘着テープ(幅18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端をPC樹脂に対して直角に保ちながら瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。
100個中、95個以上が残ったものを合格とした。
・共重合体(A):第1表に示すもの
・光硬化性樹脂(B):トリメチロールプロパントリアクリレート(M−309、東亞合成社製)
・光重合開始材(C):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)
上記第2表に示す結果から明らかなように、ミドルコート組成物のうち、共重合体(A)のガラス転移点が50〜70℃の範囲内にあり、かつ、重量平均分子量が10000〜50000の範囲内にあるものは、塗装作業性、意匠性および密着性のすべてに合格していた。特に、共重合体(A)の単量体成分としてスチレンを含むものは、塗装作業性および意匠性がともに優れ「◎」と評価された。
Claims (4)
- (メタ)アクリレート系共重合体(A)と、光硬化性樹脂(B)と、光重合開始材(C)とを含む真空蒸着用ミドルコート組成物であって、該(メタ)アクリレート系重合体(A)が、ガラス転移点50〜70℃であり、重量平均分子量10000〜50000であり、かつ、前記(メタ)アクリレート系共重合体(A)が、1分子中にフェニル基およびビニル基を有する化合物(a1)と、アルキル(メタ)アクリレート(a2)とを単量体成分として含む共重合体である真空蒸着用ミドルコート組成物。
- 前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)が、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項1に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
- 前記光硬化性樹脂(B)が、1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有するポリエステルアクリレートである、請求項1または2に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
- 不揮発分として、前記(メタ)アクリレート系重合体(A)を25〜70質量部と、前記光硬化性樹脂(B)を25〜70質量部と、前記光重合開始材(C)を1〜10質量部とを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空蒸着用ミドルコート組成物。
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