JP5539048B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
またプラスチック等に使用される硬化性組成物として例えば特許文献1〜3が提案されている。
分子量10,000〜100,000であり、Tg90〜120℃であるポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、
イソシアヌレート骨格を有するポリイソシアネート(b1)に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水酸基含有化合物(b2)を反応させることによって得られ、1分子中に1個以上のイソシアヌレート骨格および6〜15個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンアクリレート(B)と、
光重合開始剤(C)とを含有し、
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部中、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体の量が5〜30質量部であり、前記ウレタンアクリレートが70〜95質量部であり、
前記光重合開始剤の量が前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部に対して1〜10質量部である組成物が、耐擦傷性および耐屈曲性に優れる、プラスチックハードコート用の硬化性樹脂組成物となりうることを見出し、本発明を完成させた。
1. 分子量10,000〜100,000であり、Tg90〜120℃であるポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、
イソシアヌレート骨格を有するポリイソシアネート(b1)に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水酸基含有化合物(b2)を反応させることによって得られ、1分子中に1個以上のイソシアヌレート骨格および6〜15個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンアクリレート(B)と、
光重合開始剤(C)とを含有し、
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部中、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体の量が5〜30質量部であり、前記ウレタンアクリレートが70〜95質量部であり、
前記光重合開始剤の量が前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部に対して1〜10質量部である、プラスチックハードコート用の硬化性樹脂組成物。
2. 前記ウレタンアクリレートの重量平均分子量が1,000〜5,000である上記1に記載の硬化性樹脂組成物。
3. 前記ポリイソシアネートが脂肪族骨格を有するジイソシアネートを用いて製造される上記1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
4. 前記水酸基含有化合物がペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とを反応させることによって得られる上記1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物は、
分子量10,000〜100,000であり、Tg90〜120℃であるポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、
イソシアヌレート骨格を有するポリイソシアネート(b1)に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水酸基含有化合物(b2)を反応させることによって得られ、1分子中に1個以上のイソシアヌレート骨格および6〜15個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンアクリレート(B)と、
光重合開始剤(C)とを含有し、
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部中、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体の量が5〜30質量部であり、前記ウレタンアクリレートが70〜95質量部であり、
前記光重合開始剤の量が前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部に対して1〜10質量部である、プラスチックハードコート用の硬化性樹脂組成物である。
本発明の硬化性樹脂組成物を以下「本発明の組成物」ということがある。
本発明の組成物に含有されるポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、その分子量10,000〜100,000であり、Tg90〜120℃である。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体はホモポリマーおよびコポリマー(共重合体)のうちのいずれであってもよい。なお本発明において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸のうちの一方または両方を意味する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートのうちの一方または両方を意味する。
本発明の組成物はポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)を含有することによって耐擦傷性(耐摩耗性)および耐屈曲性に優れ、塗膜硬度が高くなり、塗装作業性、基材に対する濡れ性、塗膜乾燥性等に優れる。
ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体の分子量は、耐擦傷性(耐摩耗性)により優れ、基材密着性、意匠性、塗装作業性に優れ、塗膜硬度が高くなり、塗装作業性、基材に対する濡れ性、塗膜乾燥性等に優れるという観点から、20,000〜80,000であるのが好ましい。
なお本発明において、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体の分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算で表わされる重量平均分子量である。
ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度は、耐擦傷性(耐摩耗性)および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性に優れ、塗膜の硬度を高くすることができるという観点から、95〜115℃であるのが好ましい。
なお本発明においてポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度は、示差熱分析計(DSC)を用い、ASTMD3418−82に従い、昇温速度10℃/分の測定条件によって得られたものである。
なかでも、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する際に使用されるモノマーは、耐擦傷性(耐摩耗性)および耐屈曲性により優れ、意匠性、基材密着性に優れ、塗膜乾燥性に優れるという観点から、アルキル(メタ)アクリレート(a)を少なくとも含むのが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)は、基材密着性、意匠性に優れ、他の樹脂との相溶性に優れるという観点から、アルキルエステル(−CO2R2)として炭素数1〜12の脂肪族系炭化水素基のエステルを有するのが好ましい。
炭素数1〜12の脂肪族系炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のようなアルキル基;シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基のようなシクロアルキル基が挙げられる。
なかでも、耐擦傷性(耐摩耗性)および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性に優れ、塗膜乾燥性、他の樹脂との相溶性に優れるという観点から、メタクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸n−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸n−ブチルエステルが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)のホモポリマーは、耐擦傷性(耐摩耗性)および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性に優れ、他の樹脂との相溶性に優れるという観点から、(メタ)アクリル酸メチルエステルのホモポリマー、(メタ)アクリル酸n−ブチルエステルのホモポリマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)のコポリマーは、耐擦傷性(耐摩耗性)および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性に優れ、他の樹脂との相溶性に優れるという観点から、(メタ)アクリル酸メチルエステルと(メタ)アクリル酸n−ブチルエステルとのコポリマー、(メタ)アクリル酸メチルエステルとスチレンのコポリマーが好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物に含有されるウレタンアクリレートは、イソシアヌレート骨格を有するポリイソシアネート(b1)に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水酸基含有化合物(b2)を反応させることによって得られ、1分子中に1個以上のイソシアヌレート骨格および6〜15個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものである。本発明の組成物はウレタンアクリレートを含有することによって耐擦傷性および耐屈曲性に優れる。
本願発明者らは、上記B成分をポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含有する組成物に使用することによって耐擦傷性および耐屈曲性に優れる組成物が得られることを見出した。従来、硬化物の硬度を上げることによって耐擦傷性を向上させたが、硬化物の硬度を維持しつつ耐屈曲性を両立させることはこれまでの技術水準では見いだされていなかった。本願発明者らはB成分に優れた耐屈曲性(耐折り曲げ性)があることを見出した。
なお本発明においてウレタンアクリレートはウレタンメタクリレートを包含するものとする。
なかでもポリイソシアネート(b1)は耐擦傷性および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性、耐着色性、耐候性に優れるという観点から、脂肪族骨格を有するジイソシアネートを用いて製造されるものであるのが好ましい。脂肪族骨格を有するジイソシアネートが有する脂肪族炭化水素基は、その炭素原子数が1〜20個であるのが好ましい。2価の脂肪族炭化水素基は直鎖状、分岐状および脂環式のいずれであってもよい。
ポリイソシアネート(b1)は、耐擦傷性および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性、耐着色性、耐候性に優れるという観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いて得られるものであるのが好ましい。
ポリイソシアネート(b1)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
水酸基含有化合物(b2)が有する(メタ)アクリロイルオキシ基は、耐擦傷性および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性、硬化性に優れるという観点から、3〜8個であるのが好ましい。
水酸基含有化合物(b2)としては例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
なかでも耐擦傷性および耐屈曲性により優れ、基材密着性、意匠性、硬化性に優れるという観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが好ましい。
水酸基含有化合物(b2)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせから得られるものであるのが好ましい。
ウレタンアクリレート(B)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物に含有される光重合開始剤(C)は、光によって例えばラジカル重合性官能基を有する化合物を重合させうるものであれば特に制限されない。
例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンのようなアルキルフェノン系光重合開始剤;アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンは、例えば商品名イルガキュア184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)として入手可能である。
光重合開始剤(C)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
本発明の組成物の塗布量としては、本発明の組成物を塗布後または硬化後の塗膜の膜厚が1〜100μmとなる量であるのが好ましく、1〜20μmとなる量であるのがより好ましい。
本発明の組成物を熱で硬化させる場合、80〜120℃の条件下で加熱することができる。
本発明の組成物を紫外線照射によって硬化させる場合、本発明の組成物を硬化させる際に使用する紫外線の照射量としては、速硬化性、作業性の観点から、500〜3,000mJ/cm2が好ましい。本発明の組成物を紫外線照射により硬化させる際の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。紫外線を照射するために使用する装置は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
乾燥は、40〜100℃(好ましくは60℃程度)の条件下において1〜5分間(好ましくは、3分間程度)で行うことができる。
本発明の組成物は塗膜乾燥性に優れるので、本発明の組成物を基材に塗布した後、比較的低温で短時間に溶剤等が塗膜から抜け出ることができる。このため、基材を立てた状態で本発明の組成物を塗布しても組成物がタレを生じることが少なく、硬化させる前の段階で塗膜のタックをほとんどなくすことができる。したがって、本発明の組成物は塗膜乾燥性に優れることによって、意匠性、基材密着性が格段に優れたものとなる。
本発明の組成物を使用して得ることができる積層体としては、例えば、基材と、基材の上に配置されたハードコート(例えばトップコート層、アンダーコート層)とを少なくとも有するものが挙げられる。ハードコートを形成するために本発明の組成物を使用することができる。積層体においてハードコートの厚さは1〜100μmとすることができる。
図1は本発明の組成物を用いて製造された積層体の一例を模式的に示す断面図である。
図1において、積層体100は、基材102と、基材102の上に塗膜104とを有する。塗膜104は本発明の組成物を用いて得られた膜(硬化物)である。基材102としては例えばプラスチック、金属が挙げられる。塗膜104の厚さは1〜100μmとすることができる。基材102(例えば、プラスチック)上に配置された塗膜104は、例えば、プラスチックハードコート(トップコート、プラスチック表面保護剤層)として機能することができる。本発明において基材と塗膜との間には必要に応じてプライマー層を配置することができる(図示せず。)。また基材と塗膜との間に必要に応じて、金属層、アンダーコート層を設けることができる(図示せず。)。
なお本発明の組成物を使用して得られる積層体がアンダーコート層を有する場合アンダーコート層に本発明の組成物を使用することができる。この場合積層体の製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の組成物を使用して得られる積層体は、耐擦傷性および耐屈曲性に優れ、耐擦傷性および耐屈曲性を両立させることができ、基材密着性、意匠性、耐侯性、耐水性に優れる。
<ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の製造>
実施例においてポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定されポリスチレン換算で表わされる。
また、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度は、示差熱分析計(DSC)を用い、ASTMD3418−82に従い、昇温速度10℃/分の測定条件によって測定された。
1.ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A1)
フラスコに、30.0gのメタクリル酸メチル、70.0gの酢酸エチル、0.6gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、窒素置換雰囲気、60℃にて反応を行い、反応開始から3時間で、加熱を停止し反応を終了した。得られたポリマーをポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A1)とする。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A1)のMwは30,000であった。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)は105℃であった。
2.ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A2)
フラスコに、30.0gのメタクリル酸メチル、70.0gの酢酸エチル、0.3gのAIBNを加え、窒素置換雰囲気、60℃にて反応を行い、反応開始から3時間で、加熱を停止し反応を終了した。得られたポリマーをポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A2)とする。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A2)のMwは90,000であった。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A2)のTgは105℃であった。
3.ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A3)
フラスコに、30.0gのメタクリル酸メチル、70.0gの酢酸エチル、0.1gのAIBNを加え、窒素置換雰囲気、60℃にて反応を行い、反応開始から3時間で、加熱を停止し反応を終了した。得られたポリマーをポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A3)とする。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A3)のMwは150,000であった。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A3)のTgは105℃であった。
4.ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A4)
フラスコに、25.5gのメタクリル酸メチル、4.5gのメタクリル酸ブチル、0.6gのAIBNを加え、窒素置換雰囲気、60℃にて反応を行い、反応開始から3時間で、加熱を停止し反応を終了した。得られたポリマーをポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A4)とする。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A4)のMwは30,000であった。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A4)のTgは90℃であった。
5.ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A5)
フラスコに、12.3gのメタクリル酸メチル、17.7gのメタクリル酸ブチル、0.6gのAIBNを加え、窒素置換雰囲気、60℃にて反応を行い、反応開始から3時間で、加熱を停止し反応を終了した。得られたポリマーをポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A5)とする。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A5)のMwは30,000であった。ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A5)のTgは50℃であった。
下記第1表に示す成分を同表に示す量(単位:モル)で使用して、80℃の条件下で12時間反応させてウレタンアクリレート(B1)〜(B5)を製造した。残留イソシアネートパーセントを測定し測定値が0.1%未満になった時点で反応を終了した。
・ポリイソシアネート(b1)HDI由来:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、商品名タケネートD−170、三井化学社製
・ポリイソシアネート(b1)IPDI由来:イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、商品名VESTANAT T−1890、デグッサ社製
・ポリイソシアネート(b1)HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成社製)
・水酸基含有化合物(b2)PETIA:ペンタエリスリトールトリアクリエート(商品名M−306、東亞合成社製)
・水酸基含有化合物(b2)DPPA:ジペンタエリスリトールペンタアクリエート(商品名M−402、東亞合成社製)
・水酸基含有化合物(b2)HEA:2−ヒドロキシエチルアクリエート(ライトエステルHOA 共栄社化学社製)
下記第2表に示す各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される各組成物を得た。第2表において組成比はポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)、ウレタンアクリレート(B)および光重合開始剤(C)の合計を100質量%としたものである。なお比較例3の組成比はポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)およびウレタンアクリレート(B)の合計を100質量%とする。
上記のようにして得られた各組成物の意匠性、基材密着性、耐屈曲性、硬度(鉛筆硬度)を以下の方法および評価基準によって評価した。結果を下記第2表に示す。
塗布面を垂直にした状態のABS樹脂(サイコラック、UMG ABS社製。以下同様。)に対して、得られた各組成物をスプレーで塗布してサンプルを得た。
スプレー塗布後、得られたサンプルの塗布面を水平にして、サンプルの塗布面に対して斜め45°の角度からサンプルを目視で観察し、意匠性を評価した。
意匠性の評価基準は、塗膜の光沢に優れ凹凸が少ない場合を「○」、塗膜の光沢に劣るまたは塗膜に凹凸が多い場合を「×」とした。
具体的には、まず、塗布面を垂直にした状態のABS樹脂(縦5cm、横8cm、厚さ1mm)に対して、上記のとおり得られた各組成物をスプレーで約10μmの膜厚となるように塗布して、スプレー塗布後、得られた試験体を60℃の条件下で3分間乾燥させ、次いで日本電池社製のGS UV SYSTEMで、ピーク強度が80mW/cm2、積算光量が900mJまたは1500mJの条件下で紫外線照射を行い、組成物を硬化させ、試験体を得た。
基材密着性の評価は、碁盤目テープはく離試験によって行った。
上記のようにして得られた試験体の塗膜上に、カッターを用いて塗膜を貫通してABS樹脂の面に達する切り目を入れて1mm間隔の基盤目100個(縦10列×横10列)を作り、基盤目上にセロハン粘着テープ(幅18mm)を完全に付着させ、テープをABS樹脂から瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。
残った基盤目の数を分子として、碁盤目の全数(100個)を分母として結果を記載した。
耐屈曲性の評価には上記のようにして得られた試験体および直径1cmの金属棒を使用する。
耐屈曲性の評価方法について添付の図面を用いて以下に説明する。
図2は本発明における耐屈曲性の評価方法を模式的に示す概略図である。図2(A)はその斜視図であり、図2(B)はその側面図である。
まず、図2(A)に示すように、試験体202の塗膜面(図示せず。)を上にして、試験体202を金属棒204の上に置く。金属棒204は試験体202の短辺(5cm。図示せず。)に水平で長辺(8cm。図示せず。)の中央部付近に配置される。
図2(B)において、水平な台208の上に金属棒204および試験体202を図2(A)のように配置し、試験体202の端部210を台208の上に接地させる。端部210および金属棒204を台208の上に固定した状態で、試験体202の別の端部(図示せず。)に手で力212を加え、試験体202を矢印206の方向に折り曲げる。試験体202は約1秒間で折り曲げられて試験体212となる。折り曲げる前の試験体202と折り曲げた後の試験体212との間の角度(両矢印214で示される角度)は30°である。
耐屈曲性の評価基準は、ヒビ、割れが発生しない場合を「○」、ヒビ、割れが発生した場合を「×」とする。
硬度は、上記のようにして得られた試験体を使用して、硬度B〜2Hの鉛筆(三菱鉛筆ユニ使用)を試験体の塗膜表面に45°の角度であて、9.8Nの荷重を掛けながら引っかいて評価した。傷が付かなかった鉛筆の硬度を鉛筆硬度として記録した。
・ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(A1)〜(A5):上述のとおり製造したポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(A1)〜(A5)
・ウレタンアクリレート(B1)〜(B5):上述のとおり製造したウレタンアクリレート(B1)〜(B5)
・光重合開始剤(C)[Irgacure184]:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、チバスペシャリティケミカルズ社製
・溶剤(酢酸ブチル):関東化学社製
これに対して、実施例1〜5は耐擦傷性および耐屈曲性に優れる。また実施例1〜5は意匠性、基材密着性に優れる。
このように本発明の組成物は高硬度であり耐擦傷性に優れるとともに、脆さを抑え強靭性が高く耐屈曲性に優れる。つまり相反する性能である耐擦傷性と耐屈曲性を高い次元で両立させることができる。また本発明の組成物は意匠性、基材密着性に優れる。
102 基材
104 塗膜
202、212 試験体
204 金属棒
206 矢印
208 台
210 端部
212 力
214 両矢印
Claims (4)
- 分子量10,000〜100,000であり、Tg90〜120℃であるポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、
イソシアヌレート骨格を有するポリイソシアネート(b1)に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水酸基含有化合物(b2)を反応させることによって得られ、1分子中に1個以上のイソシアヌレート骨格および6〜15個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンアクリレート(B)と、
光重合開始剤(C)とを含有し、
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部中、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体の量が5〜30質量部であり、前記ウレタンアクリレートが70〜95質量部であり、
前記光重合開始剤の量が前記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ウレタンアクリレートとの合計100質量部に対して1〜10質量部である、プラスチックハードコート用の硬化性樹脂組成物。 - 前記ウレタンアクリレートの重量平均分子量が1,000〜5,000である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリイソシアネートが脂肪族骨格を有するジイソシアネートを用いて製造される請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記水酸基含有化合物がペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とを反応させることによって得られる請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
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