JP6399504B2 - 金属蒸着膜上塗布用の(ツヤ有り)蓄光塗料を用いた車両用灯具部品 - Google Patents

金属蒸着膜上塗布用の(ツヤ有り)蓄光塗料を用いた車両用灯具部品 Download PDF

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Description

本発明は、蓄光(発光)塗料と、それによって製造された車両用灯具部品に関するものである。
一般に、表面部に艶のある製造体を形成する蓄光塗料が知られている。表面部に艶のある製造体は、艶のないものに比べ、滑らかで美しいという外観上の特徴に加え、顔料粒子が細かいため沈殿が起きにくいという特徴、及び、マスキングの境目の触感が滑らかであるという特徴を有する。
このような表面部に艶のある製造体を形成する蓄光塗料としては、特許文献1がある。
特開2003−120641号公報
しかしながら、塗料設計が難しいため、従来の技術では、2コートで表面部に艶のある蓄光層を形成するに止まり、1コートで表面部に艶のある蓄光層を形成することはできないという問題があった。また、塗料設計が難しいため、従来の技術では、金属蒸着膜から剥がれにくい蓄光層を形成できないという問題があった。
車両用灯具部品においては、プラスティック面、シリコーン重合膜、金属蒸着膜1つ又は2つ以上に塗料を塗布することになるが、この塗布を1つの工程で行うことができれば、塗布に要する時間や労力を節約することができる。
そして、金属蒸着膜上に対する密着性の高い蓄光塗料を開発すれば、その塗料は、プラスティック面、シリコーン重合膜、金属蒸着膜のいずれにも密着性の高い蓄光塗料である。
そこで、本発明は、車両用灯具部品の素材に依存することなく蓄光塗料を塗布することが可能になるように、1コートで蓄光層の表面部に艶を生じさせ、かつ、金属蒸着膜から剥がれにくい蓄光層を形成できる蓄光塗料を提供することを課題とするものである。
本発明では、官能基が3又は4のモノマー樹脂と、アクリル樹脂と、アルキド変性アクリル樹脂を蓄光材料に含有させた。
主にこのような構成をとる本件発明により、1コートで蓄光層の表面部に艶を生じさせ、金属蒸着膜から剥がれにくい蓄光層を形成できる蓄光塗料を提供することが可能となった。これらにより、プラスティック面、シリコーン重合膜、金属蒸着膜のいずれにも密着性の高い蓄光塗料を設計することができ、車両用灯具部品として,例えばエクステンションやインナーレンズの意匠性の向上につなげることができる。
ベース塗料の配合量と役割を示す図 UV硬化型の樹脂ごとに実施した密着性実験の結果を示す図 TMPTAに配合する適切なモノマーを知るための耐熱性実験の結果を示す図 アクリル樹脂を変えて実施した密着性実験の結果を示す図 モノマー樹脂とポリマー樹脂の配合比率を変えて実施した実験結果を示す図 溶剤の沸点と蒸発速度の関係を示す図 沸点が異なる溶剤ごとに実施した実験結果を示す図 固形分を変えて実施した実験結果を示す図 蓄光材料の添加量を変えて実施した実験結果を示す図 着色顔料の添加量を変えて実施した実験結果を示す図 蓄光塗料の製造を含めた製造体の製造方法全体を示す図 同一の蓄光塗料で塗布可能な材質を示す図 製造体の断面の一例を示す図 製造体の製造方法の一例を示す図 製造体の断面の一例を示す図 製造体の製造方法の一例を示す図 製造体の断面の一例を示す図 製造体の製造方法の一例を示す図 製造体の断面の一例を示す図 製造体の製造方法の一例を示す図 製造体の断面の一例を示す図 製造体の製造方法の一例を示す図 製造体の断面の一例を示す図 製造体の製造方法の一例を示す図 明所での導光体とインナーレンズを示す図 蓄光性インナーレンズを示す図 プラスティックと金属蒸着膜と蓄光層の位置関係を示す図 暗所での蓄光機能を有する導光体及びインナーレンズを示す図 導光体入りの車両用灯具用の蓄光性インナーレンズの断面を示す図 導光体入り蓄光性インナーレンズを示す図 導光体入り蓄光性インナーレンズの製造方法の一例を示す図
〈発明の概要〉
本発明は、官能基が3又は4のモノマー樹脂と、アクリル樹脂と、アルキド変性アクリル樹脂と、蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムとを含む蓄光塗料を塗布することによって得られた車両用灯具部品である。以下では、前提として全ての請求項に共通する蓄光塗料の塗料成分や適切な塗布方法について説明し、その上で自動車灯具部品の製造方法について説明する。
〈塗料成分〉
表面に艶を生じるか否かは、モノマー樹脂の選択、モノマー樹脂とポリマー樹脂の含有比率、溶剤の蒸発速度、固形分の割合、蓄光材料の添加量・粒度によって大きく影響される。また、金属蒸着膜から剥がれにくいか否かは、モノマー樹脂とポリマー樹脂の選択、モノマー樹脂とポリマー樹脂の含有比率によって大きく影響される。
以下の説明は、モノマー樹脂としてのTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)、アクリル樹脂、レベリング剤、重合禁止剤、低沸点溶剤、高沸点溶剤、無黄変光重合開始剤、難黄変光重合開始剤とを含む塗料をベース塗料として、その一部を他の物質と入れ替える方法で実験したものである。図1は、ベース塗料の配合量と役割を示したものである。
(モノマー樹脂の選択について)
モノマー樹脂については、製造体の表面に艶を生じさせることができ、かつ、金属蒸着膜から剥がれにくい蓄光層を形成できる樹脂を選択することが望ましい。さらに、モノマー樹脂については、高い耐熱性を有し、かつ、塗膜の均一性を保てる樹脂を選択することが望ましい。
硬化速度が速いほど製造体の表面に艶が生じやすくなる。そして、UV硬化型の樹脂の方が熱硬化型の樹脂に比べて硬化速度が速いので、製造体の表面に艶を生じさせるためには、UV硬化型の樹脂を選択するのが望ましい。
このようにUV硬化型の樹脂を選択することによって、蓄光塗料全体がUV照射によって高速度で硬化するようになる。
もっとも、UV硬化型の樹脂の全てが製造体の表面に艶を生じさせることができるわけではない。そのため、UV硬化型の樹脂の中でも、特に製造体の表面に艶を生じさせることができるものを選択することが望ましい。
図2は、UV硬化型の樹脂を代えながら、表面の艶の状態や塗膜の均一性を比較し、かつ、日本工業規格の「K5600−5−6」に則って、完成した製造体の蓄光層にセロハンテープの粘着面を張り付けて剥離することで金属蒸着膜の密着性を比較した実験の結果を図にしたものである。実験の条件は、基材として3mm程度のポリカーボネートを使用し、その上に金属蒸着用UVアンダー塗膜をスプレーで塗布する方法で形成し、更にその上に50nmから100nm程度の金属蒸着膜を形成したものの上に蓄光塗料を塗布する方法で実施するというものである。また、硬化条件は、溶剤を気化させるための前乾燥工程として摂氏60度以上摂氏80度以下の環境に3分以上10分以下置き、最大波長360nmの高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmから2000mJ/cmでUV照射を実施するというものである。この実験は、ベース塗料のTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)を他の物質と入れ替える方法で実施した。
左から順に、UV硬化型の樹脂名、製造体の表面の艶、塗膜の均一性、金属蒸着膜に対する密着性が記載されている。そして、製造体の表面の艶の欄については、「○」は十分に艶が生じることを、「△」は艶が若干劣ることを、「×」は艶が明らかに劣ることを、それぞれ意味している。塗膜の均一性の欄については、「○」は塗膜の均一性が保たれていることを、「△」は塗膜の均一性が若干劣ることを、「×」は塗膜の均一性が明らかに劣ることを、それぞれ意味している。金属蒸着膜に対する密着性の欄については、「○」は金属蒸着膜から蓄光層が剥がれないことを、「△」は金属蒸着膜から蓄光層が剥離面100%に至らない程度に剥がれることを、「×」は金属蒸着膜から蓄光層が剥離面100%で剥がれることを、それぞれ意味している。
図2のように、製造体の表面に艶を生じさせることができるモノマー樹脂としては、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)と、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)/ウレタンアクリレートとの2つが挙げられる。このうち、前者は、製造体の表面に艶が生じ、かつ、塗膜の均一性が保たれている上、比較的金属蒸着膜から蓄光層が剥がれない。他方、後者は、製造体の表面に艶が生じ、かつ、塗膜の均一性は保たれているものの、金属蒸着膜から蓄光層が剥離面100%で剥がれる。そのため、モノマー樹脂としては、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)を選択することが望ましい。
もっとも、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)のみであれば、摂氏120度の環境に24時間置いた場合、ツヤビケを起こしてしまう。そのため、製造体の表面の艶の状態を良好に保ち、かつ、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくならない範囲で、ツヤビケを防ぐことのできる樹脂をTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)に配合することが望ましい。
分子量、粘度、官能基が高すぎると艶を損なわせる傾向がある。そのため、官能基、分子量、粘度が低いものを選択するのが望ましい。
図3は、摂氏120度の環境に24時間置くという条件で実施した耐熱性実験の結果を図にしたものである。左から順に、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)に配合した物質名、分子量、粘度、官能基、製造体の表面の艶、金属蒸着膜に対する密着性、耐熱性の試験結果が記載されている。TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)に一定の物質を配合した樹脂を用いた実験結果なので、艶が「○」よりも低い場合にはTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)のみを用いたときよりも艶の状態を悪化させていることになり、同じく、金属蒸着膜に対する密着性が「○〜△」よりも低い場合には金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくなったことになる。
図3のように、ヘキサンジオールジアクリレートを配合すると、製造体の表面の艶は損なわれないものの、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくなり、ツヤビケを防ぐこともできない。他方、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンアクリレートをそれぞれ配合すると、ツヤビケを防ぐことはできるものの、製造体の表面の艶が損なわれ、かつ、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくなってしまう。
これらに対して、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)又は/及びPETTA(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)とTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)とを1対1程度の割合で配合すれば、製造体の表面の艶と金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくならない範囲で、ツヤビケを防ぐことができる。そのため、モノマー樹脂は、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)とPETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)又は/及びPETTA(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)とを配合したものを選択することが望ましい。配合比率については、1対3から3対1であることが望ましく、さらには1対1であることが望ましい。
これらの実験結果は、同じような成分を有するモノマー樹脂、すなわち、分子量が298以下であり、粘度が1800以下であり、官能基が3又は/及び4のモノマー樹脂であれば、同様の結果を得られる。そのため、上記説明は、発明の範囲をTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)とPETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)又は/及びPETTA(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)とに限定するものではなく、それと類似する物質を用いても差支えない。
このような条件を満たすものとして、官能基が3の物質としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレートと、イソシアヌル酸トリアクリレートと、これらの物質のエチレンオキサイド変性とプロピレンオキサイド変性と、が挙げられる。
また、このような条件を満たすものとして、官能基が4の物質としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートと、ペンタエリスリトールテトラアクリレートと、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートと、ジグリセリンアクリレートと、これらの物質のエチレンオキサイド変性とプロピレンオキサイド変性と、が挙げられる。
(ポリマー樹脂としてのアクリル樹脂について)
このようなモノマー樹脂を選択した場合、製造体の表面に艶は生じたものの、摂氏120度の環境に24時間置いたとき、その製造体にひび割れが生じる。また、金属蒸着膜上に対する密着性の点も、金属蒸着膜から蓄光層が100%に至らない程度に剥がれる。そのため、ポリマー樹脂は、製造体の艶を損なわない範囲で、モノマー樹脂で残された問題点を補えるもの、すなわち、ひび割れを防止でき、かつ、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれなくなる成分を有する樹脂を選択することが望ましい。
図4は、摂氏120度の環境に24時間置くという条件で実施した耐熱性実験の結果を図にしたものである。左から順に、ポリマー樹脂名、分子量、粘度、Tg値、製造体の表面の艶、金属蒸着膜に対する密着性の試験結果が記載されている。「Tg」とは、非晶質の固体を加熱した場合において、低温では結晶なみに堅く流動性がなかった固体が急速に剛性と粘度が低下し流動性が増す温度のことである。モノマー樹脂のTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)とPETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)又は/及びPETTA(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)とにポリマー樹脂を配合したものを用いた実験結果なので、艶が「○」よりも低い場合にはモノマー樹脂のみを用いたときよりも艶の状態を悪化させていることになり、また、金属蒸着膜に対する密着性が「○〜△」よりも低い場合には金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくなったことになる。前記のように、分子量と粘度が高すぎると、艶を損なうことになる。また、Tg値が高すぎると、金属蒸着膜に対する密着性を損なう。この実験は、ベース塗料のアクリル樹脂を数種類検討する方法で実施した。
図4のように、分子量が37,000であり粘度が22,700mPa/sであるアクリル樹脂(1)は、分子量と粘度が高すぎるため製造体の表面の艶を損なうので、適当ではない。他方、分子量が26,000であり、粘度が8,840 mPa/sであるアクリル樹脂(2)は、艶を損なわない。そのため、製造体の表面の艶を損なわないという点からすると、アクリル樹脂は、分子量が26,000以下であり、粘度が8,840 mPa/s以下であるものを選択するのが望ましい。
また、Tgが摂氏115度であるアクリル樹脂(3)ならば、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくなる。他方、Tgが摂氏90度であるアクリル樹脂(2)ならば、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくならない。そのため、金属蒸着膜に対する密着性の点からすると、アクリル樹脂は、Tgが摂氏90度以下であるものを選択するのが望ましい。
以上から、アクリル樹脂は、分子量が26,000以下であり、粘度が8,840 mPa/s以下であり、Tgが摂氏90度以下であるものを選択することが望ましい。
そして、分子量が26,000であり粘度が8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂(2)に対して、分子量が70,000であり粘度が17,600mPa/sでありTgが摂氏45度であるアルキド変性アクリル樹脂を配合することにより作られるポリマー樹脂であれば、製造体の艶を損なうことなく、ひび割れを防止でき、かつ、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれなくなる。
そのため、ポリマー樹脂としては、分子量が26,000程度であり粘度が8,840mPa/s程度でありTgが摂氏90度程度であるアクリル樹脂に対して、分子量が70,000程度であり粘度が17,600mPa/s程度でありTgが摂氏45度程度であるアルキド変性アクリル樹脂を配合したものを選択するのが望ましい。アクリル樹脂とアルキド変性アクリル樹脂の配合比率については、1対3から3対1であることが望ましく、さらには1対1であることが望ましい。
もっとも、モノマー樹脂とポリマー樹脂の配合比率について、モノマー樹脂の配合比率が低すぎると製造体の表面の艶が損なわれ、他方、ポリマー樹脂の配合比率が低すぎるとひび割れ防止と金属蒸着膜に対する密着性向上の効果が損なわれる。そのため、モノマー樹脂とポリマー樹脂の配合比率は、製造体の表面の艶の状態と金属蒸着膜に対する密着性がいずれも良好であり、ひび割れ防止の効果も損なわれない範囲であることが望ましい。
図5は、モノマー樹脂とポリマー樹脂の適切な配合比率を知るため、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)とアクリル樹脂(2)を用いて実験を実施したものである。「モノマー」はTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)を、「ポリマー」はアクリル樹脂(2)を、それぞれ意味する。図5の耐熱性の欄については、「×」は明らかにひび割れ防止の効果が損なわれることを意味し、「△」は若干ひび割れ防止の効果が損なわれることを意味し、「○」はひび割れ防止の効果が損なわれないことを意味する。
図5のように、モノマー樹脂とポリマー樹脂の配合比率が35:65になると、製造体の表面の艶が損なわれる。他方、モノマー樹脂とポリマー樹脂の配合比率が75:25になると、ひび割れ防止と金属蒸着膜に対する密着性向上の効果が損なわれる。これらに対して、モノマー樹脂とポリマー樹脂の配合比率が65:35であれば、製造体の表面の艶の状態と金属蒸着膜に対する密着性がいずれも良好であり、ひび割れ防止の効果も損なわれない。そのため、モノマー樹脂とポリマー樹脂の配合比率は、65程度:35程度であること、具体的には60以上70以下:30以上40以下であることが望ましく、さらには、65:35であることが望ましい。
(溶剤について)
溶剤については、その蒸発速度が遅いものは、蒸発するまでの間に蓄光材料が動いてしまうことで均一な定着を阻害することになり、艶も損なうことになるので、蒸発速度の速いものを選択することが望ましい。
図6は、沸点と蒸発速度の関係を図にしたものである。図6のように、蒸発速度は、その溶剤の沸点が低いほど速い。そのため、溶剤は、沸点の低いものを選択することが望ましい。この実験は、ベース塗料の低沸点溶剤と高沸点溶剤を数種類検討する方法で実施した。
図7は、沸点の摂氏温度と、製造体の表面の艶、蓄光材料の定着性との関係を図にしたものである。左から順に、沸点の摂氏温度、製造体の表面の艶、蓄光材料の定着性が記載されている。そして、蓄光材料の定着性の欄については、「○」は蓄光材料が均一に定着することを、「△」は若干蓄光材料の均一な定着を阻害することを、「×」は蓄光材料の均一な定着を明らかに阻害することを意味している。
図7のように、沸点が摂氏116度の溶剤になると、若干蓄光材料の均一な定着を阻害するものであり、製造体の表面の艶も失わせる。他方、沸点が摂氏111度の溶剤になると、蓄光材料を均一に定着させることができ、かつ、製造体の表面の艶も失わせない。そのため、溶剤は、沸点が摂氏111度程度以下、具体的には、摂氏115度以下のものが望ましく、さらには、摂氏111度以下の溶剤が望ましい。
(固形分について)
固形分が低い場合、前乾燥工程で塗料が流れてしまうため、蓄光材料が塗膜表面から突起し、製造体の表面に細かい凹凸が発生する。他方、固形分が高い場合、製造体の表面に細かい凹凸が発生することは避けられるものの、レベリングが悪い。そのため、固形分については、製造体の表面に細かい凹凸が発生することを避けられ、かつ、レベリングが良好な範囲であることが望ましい。
図8は、固形分と、製造体の表面の艶、蓄光材料の定着性、レベリング状態、細かい凹凸の発生の有無との関係を図にしたものである。
図8のように、固形分が40%未満になると、製造体の表面に細かい凹凸が発生する。他方、固形分が50%を超えると、レベリング状態が悪くなる。これらに対して、固形分が40%以上50%以下であれば、製造体の表面に細かい凹凸が発生することが避けられ、かつ、レベリング状態が良好なものが得られる。
そのため、固形分については、40%以上50%以下であることが望ましい。
(蓄光材料の選択について)
以上の樹脂との配合に用いる蓄光材料としては、アルミン酸ストロンチウムが望ましい。アルミン酸ストロンチウムであれば特定のものに限定されるわけではなく、例えば、化学組成が主成分SrAl1425で賦活剤Eu,Dyのものを用いても良いし、化学組成が主成分SrAlで賦活剤Eu,Dyのものを用いても良い。
前者の蓄光材料ならば、それを塗布することにより形成された蓄光層は青色又は青緑色に発光する。他方、後者の蓄光材料ならば、それを塗布することにより形成された蓄光層は黄色又は黄緑色に発光する。これらの特色を踏まえて蓄光材料を選択すれば良く、例えば、自動車の部品の蓄光塗料としては、環境にやさしい色としてのイメージが浸透している青色に発光する蓄光層を形成できる蓄光材料を選択すれば良い。
(蓄光材料の添加量について)
蓄光材料の添加量は、製造体の表面の艶、明所での外観、暗所での燐光状態を左右する。蓄光材料の添加量が多すぎると、明所での外観、暗所での燐光状態がいずれも良好になるが、他方で、製造体の表面の艶の状態が悪くなる。これに対して、蓄光材料の添加量が少なすぎると、製造体の表面の艶の状態が良好になるが、他方で、明所での外観、暗所での燐光状態がいずれも劣悪となる。
図9は、蓄光材料の添加量と、製造体の表面の艶、暗所での燐光状態、明所での外観との関係を図にしたものである。上から順に、蓄光材料の添加量、製造体の表面の艶、暗所での燐光状態、明所での外観が記載されている。そして、暗所での燐光状態の欄については、「○」は均一な燐光であることを、「×」は燐光ムラがあることを、それぞれ意味している。明所での外観の欄については、「○」は可視光状態で良好な着色状態であることを、「×」は可視光状態で着色にムラがあることを、それぞれ意味している。
図9のように、蓄光材料の添加量の全体に占める配合重量割合が30%を超えると、明所での外観、暗所での燐光状態がいずれも良好になるが、他方で、製造体の表面の艶の状態が悪くなる。これに対して、蓄光材料の添加量の全体に占める配合重量割合が20%未満になると、製造体の表面の艶の状態が良好になるが、他方で、明所での外観、暗所での燐光状態がいずれも劣悪となる。これらに対して、蓄光材料の添加量の全体に占める配合重量割合が20%以上30%以下であれば、製造体の表面の艶の状態、明所での着色状態、暗所での燐光状態のいずれもが良好になる。
そのため、蓄光材料の添加量の全体に占める配合重量割合は、20%以上30%以下であることが望ましい。
(蓄光材料の粒度について)
蓄光材料の塗料の選択も重要であるが、蓄光材料の粒度も、形成される製造体の艶の程度を大きく左右するものである。
粒度が2μmを大きく上回る蓄光材料を使用すると、製造体の表面にざらつき感が生じてしまい、均一な艶が生じない。他方、粒度が2μmを大きく下回る蓄光塗料は、燐光ムラができてしまう。これらに対して、粒度が2μmの蓄光材料を使用した場合には、製造体の表面に均一な艶を生じさせることができる。
そのため、蓄光材料の粒度は、2μm程度のもの、具体的には、1μmから5μmのものが望ましく、さらには、2μmのものが望ましい。
(着色顔料について)
明所での着色状態と暗所での燐光状態が共に良好なものを開発するため、着色顔料の濃度については、明所での着色状態と暗所での燐光状態が共に十分なものであることが望ましい。
図10は、着色顔料添加量と、着色状態及び燐光状態との関係を図にしたものである。上から順に、着色顔料の添加量、着色状態、燐光状態が記載されている。そして、着色状態の欄については、「○」は十分な着色状態であることを、「△」は若干燐光材料の色目が目立つことを、「×」は明らかに燐光材料の色目が目立つことを意味している。燐光状態の欄については、「○」は鮮やかな燐光であることを、「△」は若干燐光状態が劣るが十分光ることを、「×」は着色により燐光が明らかに阻害されていることを意味している。なお、この実験は、着色顔料を着色染料に変更した場合にも、同様の結果が得られるものである。
図10のように、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量が1重量%になると、燐光状態を阻害することはないものの、明所において、蓄光材料の色目が目立ってしまい、十分な着色が得られない。
他方、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量が10重量%になると、明所での着色状態が十分にはなるものの、燐光を阻害してしまう。
これらに対して、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量が3重量%であれば、少しだけ蓄光顔料の色目が目立つものの、鮮やかな燐光を得られる。他方、5重量%であれば、若干燐光状態が劣るものの、十分な着色を得られる。
以上から、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量は、3重量%程度から5重量%程度の範囲であること、具体的には、2.5重量%以上5.5重量%以下であることが望ましく、更には、3重量%以上5重量%以下であることが望ましい。
(着色上の工夫)
着色顔料の種類については、多様なものが考えられる。
例えば、特に燐光状態を際立たせたいならば、透明性の高い着色顔料又は着色染料を使用し、あるいは、燐光状態を阻害しない色である寒色系の色の着色顔料又は着色染料を使用すればよい。他方、明所と暗所での色が異なることを製造体の特徴としたいのであれば、燐光状態を阻害しない範囲で暖色系の色の着色顔料又は着色染料を使用すればよい。さらに、パステル調の色彩をもつ製造体にしたいのであれば、蛍光顔料や蛍光染料を使用すればよい。
〈蓄光塗料の製造方法について〉
蓄光塗料の粒径が小さい場合、撹拌作業だけでは凝集が起こり、均一な分散ができない。そのため、撹拌後の分散工程においては、凝集を防ぐ方法を選択することが望ましい。
高さ90mmの180mLのビンに塗料を50g〜100g程度投入し、超音波洗浄機にて24kHzから31kHzの振動を5分から10分程度与えて分散を実施すると、凝集を防ぐことができる。もっとも、20分間を超えるような長時間の超音波振動は、塗料の温度上昇を生じさせるため、塗料がゲル化する危険がある。そのため、分散方法としては、高さ90mmの180mLのビンに塗料を50g〜100g程度投入し、超音波洗浄機にて24kHz程度から31kHz程度の振動を5分から10分程度、具体的には、22kHz程度から33kHz程度の振動を5分から15分程度与える方法が望ましく、さらには、24kHz程度から31kHz程度の振動を5分から10程度与える方法が望ましい。
〈塗布方法について〉
蓄光材料は、一般的に、硬い物質である。そのため、スプレーガンには、塗料ノズルとニードルが摩耗することを防止する処理を施すことが望ましい。具体的には、塗料ノズルとニードルの摩耗を防止するため、窒化処理,もしくは,タングステン仕様のスプレーガンを使用することが望ましい。
スプレーガンの塗料ノズル口径については、スプレーガンが詰まらずに塗装することができ、かつ、微粒化が十分であるものが望ましい。スプレーガンの塗料ノズル口径が0.8mmφ未満になると、スプレーガンが詰まる。他方、スプレーガンの塗料ノズル口径が2.5mmφを超えると、微粒化が不足する。これらに対して、スプレーガンの塗料ノズル口径が1.0mmφ以上2.5mmφ以下であれば、スプレーガンが詰まらず、かつ、微粒化も十分である。そのため、スプレーガンの塗料ノズル口径については、1.0mmφ以上2.5mmφ以下であることが望ましい。
蓄光材料の沈殿を防止するため、常時撹拌しながら塗布することが望ましい。
長時間の常温に置いておくと製造体の表面に細かい凹凸を生じさせてしまうため、常温に置いておく時間は、3分間以下であることが望ましい。
このように塗布した蓄光塗料について、溶剤を気化させるための前乾燥工程として摂氏60度以上摂氏80度以下の環境に3分以上10分以下置き、最大波長360nmの高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmから2000mJ/cmでUV照射を実施する。
図11は、製造体の製造工程を示す図である。本件製造体の製造工程は、混液準備ステップ(1101)、分散ステップ(1102)、塗布ステップ(1103)、硬化ステップ(1104)の4段階からなる。「混液準備ステップ」(1101)とは、官能基が3又は4のモノマー樹脂と、艶の向上に寄与させる成分としてアクリル樹脂と、金属蒸着膜並びにプラスティック表面への密着性向上及び耐熱性向上の成分としてアルキド変性アクリル樹脂と、からなる混液を準備する段階のことを意味する。「分散ステップ」(1102)とは、準備された前記混液に対して、平均粒径が1μm〜5μmのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光材料を超音波を印加しながら分散させる段階のことを意味する。「塗布ステップ」(1103)とは、分散ステップの終了後3分以内に、金属蒸着膜上、プラスティック表面上、シリコーン系重合膜上の1つ又は2つ以上に対して、前記分散済みの蓄光塗料を塗布する段階を意味する。「硬化ステップ」(1104)とは、溶剤を気化させるための前乾燥工程として摂氏60度以上摂氏80度以下の環境に3分以上10分以下置き、最大波長360nmの高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmから2000mJ/cmでUV照射を実施する段階を意味する。
〈車両用灯具用のエクステンションとインナーレンズの製造方法について〉
〈製造体の製造方法〉
主に以上のような構成をとる発明により得られた本件蓄光塗料は、金属蒸着膜上だけではなく、プラスティック表面上及びシリコーン系重合膜上に対する密着性も高い。そのため、塗布面の材質に依存することなく、本件蓄光塗料を塗布することができる。図12は、プラスティック面、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜のいずれに対しても同一の本件蓄光塗料を塗布可能であることを示す図である。
このような特徴を有する本件蓄光塗料を用いて製造される車両用灯具部品の製造方法は、以下のような製造工程である。車両用灯具部品の具体例としては、車両用灯具用インナーレンズや車両用灯具用エクステンションが存在する。
車両用灯具用インナーレンズとは、その材質がプラスティックの一種であるポリカーボネート又はアクリルであり、ヘッドランプやリアコンビネーションランプ等の内部に存在する全てのレンズを意味する。図25の右から1つ目から3つ目までは明所でのインナーレンズを示している。
車両用灯具用エクステンション基材としては、塗布面が金属蒸着膜又は/及びシリコーン系重合膜であり、その金属蒸着膜とプラスティックの間にアンダー塗膜を形成している場合と形成していない場合のものが存在する。
以下では、製造工程を実施例として説明する。実施例1は請求項1に、実施例2は請求項2及び5に、実施例3は請求項3及び4に、実施例4は請求項6に、それぞれ対応する。
(プラスティック面、金属蒸着膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図13は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「3」の金属蒸着膜上に「2」の蓄光層が存在する。
図14は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(1401)上に金属蒸着膜を形成し(1402)、その金属蒸着膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(1403)ことによって製造する。
(プラスティック面、アンダー塗膜、金属蒸着膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図15は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「4」のアンダー塗膜の上に「3」の金属蒸着膜が存在し、更にその上に「2」の蓄光層が存在する。
図16は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(1601)上に形成したアンダー塗膜(1602)上に金属蒸着膜を形成し(1603)、その金属蒸着膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(1604)ことによって製造する。
(プラスティック面、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図17は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「3」の金属蒸着膜の上に「5」のシリコーン系重合膜が存在し、更にその上に「2」の蓄光層が存在する。
図18は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(1801)上に形成した金属蒸着膜(1802)上にシリコーン系重合膜を形成し(1803)、そのシリコーン系重合膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(1804)ことによって製造する。
(プラスティック面、アンダー塗膜、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図19は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「4」のアンダー塗膜の上に「3」の金属蒸着膜が存在し、その上に「5」のシリコーン系重合膜が存在し、更にその上に「2」の蓄光層が存在する。
図20は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(2001)上に形成したアンダー塗膜(2002)上に金属蒸着膜を形成し(2003)、その上にシリコーン系重合膜を更に形成し(2004)、そのシリコーン系重合膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(2005)ことによって製造する。
以上の製造工程により、金属蒸着膜とプラスティックの間にアンダー塗膜を形成している場合と形成していない場合のいずれであっても、塗布面である金属蒸着膜又はシリコーン系重合膜上に蓄光層を形成することができる。なお、この場合の金属蒸着膜の膜厚としては、40nmから120nmの範囲内であることが望ましく、更には、80nmから100nmの範囲内であることが望ましい。
なお、インナーレンズを例にとると、図28の右から1つ目から3つ目までは暗所における車両用灯具用のインナーレンズを示している。図26の2601は明所での車両用灯具用のインナーレンズの一例を示しており、図26の2602は暗所での点灯時の車両用灯具用のインナーレンズの一例を示しており、図26の2603は暗所での消灯時の車両用灯具用のインナーレンズの一例を示している。
図21は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に「2」の蓄光層が存在し、その上に「3」の金属蒸着膜が存在し、更にその上に「5」のシリコーン系重合膜が存在する。
このように金属蒸着膜やシリコーン系重合膜を蓄光層よりも上部に形成しても、金属蒸着膜やシリコーン系重合膜の膜厚が薄ければ、外部からの光を透過し、光が蓄光層まで到達する。また、蓄光層が放つ燐光は、シリコーン系重合膜や金属蒸着膜を透過し、外部に届く。
この場合の金属蒸着膜の膜厚については、外部からの光が蓄光層まで届き、かつ、蓄光層が放つ燐光が外部まで届くことが重要であり、膜厚が約80nm以下であること、具体的には、20nmから80nmの範囲内であることが望ましく、更には、20nmから40nmの範囲内であることが望ましい。
シリコーン系重合膜の膜厚についても、外部からの光が蓄光層まで届き、かつ、蓄光層が放つ燐光が外部まで届くことが重要であり、膜厚が約35nm以下であること、具体的には、10nmから30nmの範囲内であることが望ましく、更には、15nmから25nmの範囲内であることが望ましい。
図22は、その製造方法を示す図である。準備したプラスティック面(2201)に対して本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成し(2202)、その上に薄い膜厚の金属蒸着膜を形成し(2203)、更にその上にシリコーン系重合膜を形成する(2204)ことで製造する。
図23は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に「2」の蓄光層が存在する。
図24は、その製造方法を示す図である。準備したプラスティック(2401)面に対して本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(2402)ことで製造する。
この車両用灯具部品の使用方法としては、多様なものが考えられるが、特に、光源側に蓄光層がくるように装着することで、光源が発光している間は光源からの光が蓄光層とプラスティックを透けて外気に届くことで光り、他方、光源が発光していない間は蓄光層が放つ燐光で光るという使用方法が望ましい。
さらに、製造された車両用灯具部品の蓄光層とは反対側の面であるプラスティック面に対して膜厚の薄い金属蒸着膜を形成することにより、明所での非点灯時には蒸着面が見え、明所及び暗所での点灯時には光源の光が見え、暗所での非点灯時には蓄光層が放つ燐光が見えるという使用方法でも良い。
図27は、この場合の使用方法について示した図である。「2」の蓄光層の上に「1」のプラスティック面が存在し、その上に「3」の金属蒸着膜が存在し、更にその上に「5」のシリコーン系重合膜が存在する。光源から照射された光は「照射光」として、蓄光層、プラスティック面、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜を透過し、外部へと到達する。「発光」とは、蓄光層が放つ燐光を意味し、プラスティック面と金属蒸着膜とシリコーン系重合膜を透過し、外部へと到達する。
このように金属蒸着膜やシリコーン系重合膜を形成しても膜厚が薄ければ、外部からの光を透過し、光が蓄光層まで到達する。また、蓄光層が放つ燐光は、プラスティック面と金属蒸着膜とシリコーン系重合膜を透過し、外部に届く。
この場合の金属蒸着膜の膜厚については、外部からの光が蓄光層まで届き、かつ、蓄光層が放つ燐光が外部まで届くことが重要であり、膜厚が約80nm以下であること、具体的には、20nmから80nmの範囲内であることが望ましく、更には、20nmから40nmの範囲内であることが望ましい。
シリコーン系重合膜の膜厚についても、外部からの光が蓄光層まで届き、かつ、蓄光層が放つ燐光が外部まで届くことが重要であり、膜厚が約35nm以下であること、具体的には、10nmから30nmの範囲内であることが望ましく、更には、15nmから25nmの範囲内であることが望ましい。
導光体とは、その材質がプラスティックの一種であるポリカーボネート又はアクリルであり、透明樹脂の内面反射を利用して片側から入射した光を他方へ効率よく導く物のことである。図25の左から1つ目及び2つ目は明所での導光体を示している。
図29は、導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの断面図である。「6」の導光体の表面全体に「2」の蓄光層が存在し、その周りに空間をおいて「7」のインナーレンズ基材が存在する。
図28の左から1つ目及び2つ目は暗所での導光体を示している。そして、図30の3001は明所での導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの一例を示しており、図30の3002は暗所での点灯時の導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの一例を示しており、図30の3003は暗所での消灯時の導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの一例を示している。
図31は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック素材である導光体(3101)の表面全体に蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成し(3102)、その蓄光層上に空間をおいてインナーレンズ基材をはめ込む(3103)ことによって製造する。
なお、本発明は、上述の説明の方法のみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1・・プラスティック面
2・・蓄光層
3・・金属蒸着膜
4・・アンダー塗膜
5・・シリコーン系重合膜
6・・導光体
7・・インナーレンズ基材

Claims (6)

  1. プラスティック基板と、
    そのプラスティック基板の表面上に直接的又はアンダー塗膜を間に挟んで間接的に形成された金属蒸着膜と、
    その金属蒸着膜上又はその上に形成されたシリコーン重合膜上に,分子量が296であり粘度が分散前段階にて常温下で120mPa/sであり官能基が3である「TMPTA」からなるモノマー樹脂と,分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂とアルキド変性アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、
    からなり,蓄光層を最外側の面とし,
    前記モノマー樹脂と前記分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂の配合比率が60以上70以下:30以上40以下であり,
    前記モノマー樹脂がUV硬化型の樹脂である
    車両用灯具部品。
  2. プラスティック基板と、
    そのプラスティック基板の表面上に,分子量が296であり粘度が分散前段階にて常温下で120mPa/sであり官能基が3である「TMPTA」からなるモノマー樹脂と,分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂とアルキド変性アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、
    その蓄光層上に直接的に形成された膜厚80nm以下の金属蒸着膜と、
    からなり,金属蒸着膜を最外側の面とし,
    前記モノマー樹脂と前記分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂の配合比率が60以上70以下:30以上40以下であり,
    前記モノマー樹脂がUV硬化型の樹脂である
    車両用灯具部品。
  3. 透明なプラスティック基板と、
    そのプラスティック基板の表面上かつ車両用灯具の光源側に形成される蓄光層であって,分子量が296であり粘度が分散前段階にて常温下で120mPa/sであり官能基が3である「TMPTA」からなるモノマー樹脂と,分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂とアルキド変性アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、
    からなり,
    前記モノマー樹脂と前記分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂の配合比率が60以上70以下:30以上40以下であり,
    前記モノマー樹脂がUV硬化型の樹脂である
    車両用灯具部品。
  4. さらに蓄光層が形成された反対側のプラスティック基板の表面上に対して直接的に形成された膜厚80nm以下の金属蒸着膜を有する請求項3に記載の車両用灯具部品。
  5. 透明なプラスティック基板と、
    そのプラスティック基板の表面上に,分子量が296であり粘度が分散前段階にて常温下で120mPa/sであり官能基が3である「TMPTA」からなるモノマー樹脂と,分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂とアルキド変性アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、
    その蓄光層上に直接的に形成された膜厚80nm以下の金属蒸着膜と、その金属蒸着膜上に直接的に形成されたシリコーン系重合膜と、
    からなり,シリコーン系重合膜を最外側の面とし,
    前記モノマー樹脂と前記分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂の配合比率が60以上70以下:30以上40以下であり,
    前記モノマー樹脂がUV硬化型の樹脂である
    車両用灯具部品。
  6. 導光体と、
    その導光体の表面全体に形成された蓄光層であって,分子量が296であり粘度が分散前段階にて常温下で120mPa/sであり官能基が3である「TMPTA」からなるモノマー樹脂と,分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂とアルキド変性アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、
    蓄光層の上に空間をおいて配置された透明なプラスティック面と、からなり,
    前記モノマー樹脂と前記分子量が26,000であり粘度が分散前段階にて常温下で8,840mPa/sでありTgが摂氏90度であるアクリル樹脂の配合比率が60以上70以下:30以上40以下であり,
    前記モノマー樹脂がUV硬化型の樹脂である
    車両用灯具部品。
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