JP5515349B2 - アルキルメタクリレートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルキルメタクリレートの製造方法に関するものである。
特許文献1、2、3には、パラジウム化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を触媒として用い、メチルアセチレンを一酸化炭素及びメタノールと反応させメチルメタクリレートを製造する方法が開示されている。かかる反応に使用されるメチルアセチレンは、プロパジエンを0.2%〜3%の範囲で含むものである事が知られている。
特開平2−277551号公報 特表平9−501671号広報 特開平2−290831号公報
従来の方法では、アルキルメタクリレートを製造するのにパラジウム金属当たりの生産性は低く、かかる貴金属触媒を使用する反応としてはその効率は、工業的には必ずしも満足行くものではなかった。
本発明は、効率よくアルキルメタクリレートを製造する方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を含む触媒の存在下、一酸化炭素及びアルコール化合物をメチルアセチレンと反応させる際に、メチルアセチレンのプロパジエン含有量を50ppm以下とし、ホスフィン化合物をメチルアセチレン1モルに対して0.000020モル超使用し、かつ、一酸化炭素及びアルコール化合物を、第10族金属化合物1モルに対して200000モル以上のメチルアセチレンと反応させる、アルキルメタクリレートの製造方法に関する。
本発明によれば、アルキルメタクリレートを効率良く製造することができる。
本発明の方法において用いられるメチルアセチレンは、プロパジエンの含有量が50ppm以下のものであり、好ましくは30ppm以下、より好ましくは20ppm以下、一層好ましくは10ppm以下、最も好ましくは5ppm以下のものである。メチルアセチレンは、アルコキシカルボニル化を著しく阻害するもので無い限りは、プロパジエンのほかにも不純物を含んでいてもよい。かかる不純物として具体的には、ブタジエン、プロピレン、ブテン、プロパン、一酸化炭素、および二酸化炭素などがあげられる。本発明に用いられる一酸化炭素は、純粋な一酸化炭素のほか、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、アルゴン等の触媒やメチルアセチレンに不活性なガスを含んでいてもよい。
本発明の反応は、第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を触媒として用いて実施される。通常、上記触媒は、第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物からなる混合物として使用される。第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物の使用量は、触媒量でよいが、典型的には、以下に例示するような態様で使用される。
第10族金属化合物としては、ニッケル化合物、パラジウム化合物、白金化合物が挙げられ、好ましくはパラジウム化合物を挙げることができる。かかるパラジウム化合物としては、パラジウムアセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテート、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム及びこれらの混合物を挙げることができる。パラジウム化合物として、より好ましくは、パラジウムアセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテート、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、硫酸パラジウム及びこれらの混合物であり、更に好ましくは酢酸パラジウムである。第10族金属化合物の使用量はメチルアセチレン1モルに対して、1/200000モル以下であるが、好ましくは1/1000000〜1/200000モルの範囲である。すなわち、メチルアセチレンが、第10族金属化合物1モルに対して200000モル以上であり、好ましくは200000〜1000000モルの範囲である。
ホスフィン化合物は特に限定されないが、通常は第3級ホスフィン化合物が用いられ、好ましくは下記式(1)で表される芳香族第3級ホスフィン化合物を含むものである。

Figure 0005515349
式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アラルキル基、置換又は無置換アリール基、ピリジル基、シリル基、アミノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基及びアシル基からなる群から選ばれる置換基を表し、それぞれ隣接する基は互いに結合して環を形成していてもよい。nは0〜3の整数を表す。
ホスフィン化合物としてより好ましくは、一般式(1)中の整数nが1以上で表される芳香族第3級ピリジルホスフィン化合物である。芳香族第3級ピリジルホスフィン化合物として、具体的には、ジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル[6−(n−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル[6−(iso−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル[6−(n−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル[6−(iso−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル(6−フェニル−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−ヒドロキシ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−メトキシ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−フルオロ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−クロロ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−ブロモ−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−フルオロフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−クロロフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−ブロモフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3−メチルフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル](2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−フルオロフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−クロロフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−ブロモフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル](6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(n−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(iso−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(n−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(iso−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(n−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(iso−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(n−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(iso−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(2−ピリジル)フェニルホスフィン、トリス(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(6−メチル−2−ピリジル)フェニルホスフィン、トリス(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンが例示され、より一層好ましくは、ジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンが例示される。
これらの芳香族第3級ピリジルホスフィン化合物は単独での使用に限られず、適宜混合して用いてもよい。上記芳香族第3級ピリジルホスフィン化合物の使用量はメチルアセチレン1モルに対して0.000020モル超であれば特に制限は無いが、好ましくはメチルアセチレン1モルに対して0.000020モル超、且つプロパジエン1モルに対して2モル以上の範囲、一層好ましくはメチルアセチレン1モルに対して0.000020モル超0.00048モル以下で、且つプロパジエン1モルに対して2モル以上の範囲である。
上記の芳香族第3級ピリジルホスフィン化合物は公知の方法による製造が可能である。例えば、特開平2−277551号公報に開示されているように、ハロゲン化ピリジンをアルキルリチウムと反応させてリチオ化した後、ホスフィンクロライドを反応させることで種々の芳香族第3級ピリジルホスフィン化合物を製造する事ができる。
また、上記芳香族第3級ピリジルホスフィン化合物に対して単座3級モノホスフィン化合物を共存させた場合にも好ましい結果が得られる。この場合の単座3級モノホスフィン化合物とは、1つのリン原子の他に配位座となるような官能基を含まない3級ホスフィン化合物である。単座3級モノホスフィン化合物としては、トリアルキルホスフィン化合物、又は、アルキル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい、同一又は相異なるアリール基を有する芳香族3級ホスフィン化合物が例示される。かかる単座3級モノホスフィン化合物としては、具体的には、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、(4−メチルフェニル)(ジフェニル)ホスフィン及びこれらの混合物が例示され、好ましくは前記の芳香族3級ホスフィン化合物、更に好ましくはトリフェニルホスフィンが用いられる。その使用量に特に制限は無いが、第10族金属化合物1モルに対して好ましくは、1〜600モルの範囲であり、より好ましくは1〜300モルの範囲である。
プロトン酸としては、有機又は無機のプロトン酸が例示される。プロトン酸として、具体的には、ホウ酸、オルトリン酸、ピロリン酸、硫酸、ハロゲン化水素酸、ベンゼンリン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルメタンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタイド及びこれらの混合物が例示され、好ましくは、スルホン酸化合物、さらに好ましくはメタンスルホン酸が使用される。その使用量は、特に限定されないが、第10族金属化合物1モルに対して好ましくは、3〜300モルで十分であり、より好ましくは、10〜240モルである。
本発明の反応において、触媒としてアミン化合物の使用は必須ではないが、アミン化合物の共存下での反応は好ましい結果を与える場合がある。アミン化合物は、特に限定されないが、通常、公知の3級アミン又は環状アミンが用いられる。アミン化合物として、具体的にはN,N−ジアルキルアニリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、トリアジン、イミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン及びこれらの混合物が例示され、好ましくはN,N−ジメチルアニリン、ピリジンである。アミン化合物の添加量に制限はないが、好ましくはプロトン酸1モルに対して1〜50モル、より好ましくは1〜10モルの範囲である。
本発明に用いられるアルコール化合物に特に制限はないが、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール及びエチレングリコールを挙げることができる。好ましい実施形態として、メタノールを反応させることでメタクリル酸メチルを製造する形態が挙げられる。アルコール化合物の使用量は特に制限されないが、好ましくは、メチルアセチレン1モルに対して1モル以上が使用される。
本発明の反応においては、溶媒の使用は必須ではないが、安全性の観点より、メチルアセチレン・プロパジエンの分圧を低くすることが好ましく、好適には過剰のアルコールを溶媒の代わりに用いる。しかし、別途、別の溶媒を使用することも可能である。使用できる溶媒はアルコキシカルボニル化反応を大きく阻害するものでなければ特に限定されないが、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、スホキシド類、スルホン類、エステル類、ケトン類、エーテル類、アミド類、アルコール類、イオン性流体及びこれらの混合物が挙げられる。その使用量には特に制限はない。溶媒として、具体的にはトルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、アニソール、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジブチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール及びこれらの混合物が例示される。
本発明のメチルアセチレンのアルコキシカルボニル化方法において、その反応温度に特に制限はないが、好ましくは、20〜100℃の範囲において実施される。また、反応時間は、触媒使用量や反応温度並びに圧力等の条件にもよるが、通常は0.5〜48時間である。メチルアセチレンをアルコキシカルボニル化する際の反応圧力は特に限定されないが、好ましくは0.5〜10MPaG(ゲージ圧)であり、さらに好ましくは1から7MPaG(ゲージ圧)の範囲である。このときの一酸化炭素分圧は特に限定されないが、好ましくは0.5〜10MPaG(ゲージ圧)であり、さらに好ましくは1〜7MPaG(ゲージ圧)の範囲である。本発明の反応の実施態様は特に限定されず、例えば、バッチ方式でも連続方式でもよい。
メチルアセチレンをアルコキシカルボニル化して得られるアルコキシカルボニル化合物として、具体的には、アルキルメタクリレート化合物を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
窒素置換した1000mlのシュレンク管中に、酢酸パラジウム125mg(0.550mmol)、ジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン1.49g(5.50mmol)をメタノール750mlに溶解させ、メタンスルホン酸535μl(8.25mmol)を加え、室温で撹拌し、触媒溶液を得た。得られた触媒溶液を窒素置換した1500mlオートクレーブ中に導入し、ドライアイス−エタノール浴によって冷却した。冷却したオートクレーブ中に市販メチルアセチレン203g(5.01mol、プロパジエン含有量3500〜3000ppm)を導入し、一酸化炭素で加圧し1.2MPaに保持した(反応中は全圧が1.2MPaとなるよう、減圧弁にて消費分の一酸化炭素を常時導入した)。50℃で3時間撹拌した後、反応液を再びドライアイス−エタノール浴によって冷却した。未反応の一酸化炭素を抜いた後、35℃まで加熱して気化してきたメチルアセチレンガスを予めドライアイス−エタノール浴によって冷却していたシュレンク管中に液体として捕集し、ボンベにそのまま充填することでプロパジエン含有量が802ppmであるメチルアセチレン99.3g(49%)を得た。
製造例2
市販メチルアセチレンの代わりに、製造例1で得られたメチルアセチレン33.8g(835mmol)を用い、酢酸パラジウム15.0mg(0.0660mmol)、ジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン179mg(0.660mmol)、メタンスルホン酸を128μl(1.98mmol)、メタノール20ml、反応容器として100mlのオートクレーブを使用し、反応圧を2.0MPaに保持した以外は、製造例1と同様の操作を行った。その結果、プロパジエン含有量が37ppmのメチルアセチレン10.7g(32%)を得た。
製造例3
2−ブロモ−6−メチルピリジン(23.5mmol)をテトラヒドロフラン40mlに溶解させ、ドライアイス−エタノール浴下に冷却し、撹拌しながらn−ブチルリチウムの1.59Mヘキサン溶液(23.5mmol)を滴下し、10分撹拌し、反応混合物を得た。得られた反応混合物に、テトラヒドロフラン40mlに溶解させたクロロビス(4−メチルフェニル)ホスフィン(17.5mmol)を加え、更に室温で2時間撹拌した。反応溶液を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥した。溶媒を減圧にて留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで2回精製することにより(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=5/1、9/1)、2.68gのビス(4−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンを得た(収率50%)。
H−NMR(CDCl,270Hz):δ 7.41(1H,td,J=8,2Hz)、7.29−7.10(8H,m)、7.00(1H,d,J=8Hz)、6.81(1H,d,J=8Hz)、2.56(3H,s)、2.34(6H,s)
実施例1
シュレンク管中で45mLのメタノールに酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)とジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン130mg(0.480mmol)を溶解させた後、N,N−ジメチルアニリン0.15ml(1.20mmol)、メタンスルホン酸47μl(0.72mmol)を加え触媒溶液を調製した。この触媒溶液を1.7ml分取(パラジウム0.00030mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積100mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更にメタノール28.3mlを導入した。触媒溶液の入ったオートクレーブをドライアイス−エタノール浴下に冷却し、プロパジエン濃度が3ppm未満のメチルアセチレン6.87g(170mmol)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し5MPaGに保持した。反応中はCO分圧を5MPaGに保つ為、減圧弁にて消費分の一酸化炭素を常時導入した。反応温度65℃で7時間保持した後の反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルメタクリレートの生成量は51万モル/Pdモルであり、回収した生成物あたりの選択率は95%であった。
実施例2
シュレンク管中で45mLのメタノールに酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)とジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン521mg(1.92mmol)を溶解させた後、N,N−ジメチルアニリン0.62ml(4.80mmol)、メタンスルホン酸187μl(2.88mmol)を加え触媒溶液を調製した。この触媒溶液を1.7ml分取(パラジウム0.00030mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積100mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更にメタノール28.3mlを導入した。触媒溶液の入ったオートクレーブをドライアイス−エタノール浴下に冷却し、プロパジエン濃度が24ppmのメチルアセチレン6.67g(165mmol)を導入後、一酸化炭素で加圧し5MPaGに保持した。反応中はCO分圧を5MPaGに保つ為、減圧弁にて消費分の一酸化炭素を常時導入した。反応温度65℃で6時間保持した後の反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルメタクリレートの生成量は52万モル/Pdモルであり、回収した生成物あたりの選択率は96%であった。
実施例3
シュレンク管中で45mLのメタノールに酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)と(6−メチル−2−ピリジル)ジフェニルホスフィン90.5mg(0.32mmol)を溶解させた後、N,N−ジメチルアニリン0.10ml(0.80mmol)、メタンスルホン酸31μl(0.48mmol)を加え触媒溶液を調製した。この触媒溶液を1.7ml分取(パラジウム0.00030mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積100mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更にメタノール28.3mlを導入した。触媒溶液の入ったオートクレーブをドライアイス−エタノール浴下に冷却し、プロパジエン濃度が10ppm未満のメチルアセチレン6.29g(155mmol)を導入後、一酸化炭素で加圧し5MPaGに保持した。反応中はCO分圧を5MPaGに保つ為、減圧弁にて消費分の一酸化炭素を常時導入した。反応温度65℃で7時間保持した後の反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルメタクリレートの生成量は35万モル/Pdモルであり、回収した生成物あたりの選択率は94%であった。
実施例4
シュレンク管中で45mLのメタノールに酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)とジフェニル(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン90.5mg(0.320mmol)、トリフェニルホスフィン85.6mg(0.320mmol)を溶解させた後、N,N−ジメチルアニリン0.20ml(1.60mmol)、メタンスルホン酸62μl(0.96mmol)を加え触媒溶液を調製した。この触媒溶液を1.7ml分取(パラジウム0.00030mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積100mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更にメタノール28.3mlを導入した。触媒溶液の入ったオートクレーブをドライアイス−エタノール浴下に冷却し、プロパジエン濃度が7ppmのメチルアセチレン6.60g(163mmol)を導入後、一酸化炭素で加圧し5MPaGに保持した。反応中はCO分圧を5MPaGに保つ為、減圧弁にて消費分の一酸化炭素を常時導入した。反応温度65℃で7時間保持した後の反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルメタクリレートの生成量は38万モル/Pdモルであり、回収した生成物あたりの選択率は99%であった。
実施例5
シュレンク管中で45mLのメタノールに酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)とジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン86.9mg(0.320mmol)、トリフェニルホスフィン96.4mg(0.360mmol)を溶解させた後、N,N−ジメチルアニリン0.20ml(1.60mmol)、メタンスルホン酸62μl(0.96mmol)を加え触媒溶液を調製した。この触媒溶液を1.7ml分取(パラジウム0.00030mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積100mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更にメタノール28.3mlを導入した。触媒溶液の入ったオートクレーブをドライアイス−エタノール浴下に冷却し、プロパジエン濃度が4ppmのメチルアセチレン6.11g(151mmol)を導入後、一酸化炭素で加圧し5MPaGに保持した。反応中はCO分圧を5MPaGに保つ為、減圧弁にて消費分の一酸化炭素を常時導入した。反応温度65℃で7時間保持した後の反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルメタクリレートの生成量は34万モル/Pdモルであった。回収した生成物あたりの選択率は99%であった。
実施例6
シュレンク管中で45mLのメタノールに酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)とジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン86.9mg(0.320mmol)を溶解させた後、メタンスルホン酸31μl(0.48mmol)を加え触媒溶液を調製し、プロパジエン濃度が13ppmのメチルアセチレン6.30g(156mmol)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った結果、メチルメタクリレートの生成量は15万モル/Pdモルであり、回収した生成物あたりの選択率は84%であった。
実施例7
ホスフィン化合物にジフェニル(2−ピリジル)ホスフィンを86.9mg(0.320mmol)、プロパジエン濃度が25ppmのメチルアセチレンを6.25g(154mmol)使用した以外は、実施例3と同様の操作を行った結果、メチルメタクリレートの生成量は17万モル/Pdモルであり、回収した生成物あたりの選択率は81%であった。
実施例8
ホスフィン化合物にビス(4−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンを98.7mg(0.32mmol)、プロパジエン濃度が11ppmのメチルアセチレンを6.38g(158mmol)使用した以外は、実施例3と同様の操作を行った結果、メチルメタクリレートの生成量は25万モル/Pdモルであった。回収した生成物あたりの選択率は97%であった。
参考例1
プロパジエン濃度が537ppmのメチルアセチレン6.66g(165mmol)を使用した以外は、実施例2と同様の操作を行った結果、メチルメタクリレートの生成量は18万モル/Pdモルにまで低下した、回収した生成物あたりの選択率は81%であった。
比較例1
シュレンク管中で45mLのメタノールに酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)とジフェニル(2−ピリジル)ホスフィン21.7mg(0.0800mmol)を溶解させた後、N,N−ジメチルアニリン26μl(0.20mmol)、メタンスルホン酸8μl(0.12mmol)を加え触媒溶液を調製し、プロパジエン濃度が2ppmのメチルアセチレンを6.11g(151mmol)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った結果、メチルメタクリレートの生成量は僅か0.1万モル/Pdモルであった。
比較例2
プロパジエン濃度が389ppmのメチルアセチレン6.13g(151mmol)を使用した以外は、実施例7と同様の操作を行った結果、メチルメタクリレートの生成量は2.6万モル/Pdモルにまで低下した。
実施例、参考例及び比較例で得られた結果を表1に示す。
表1

Figure 0005515349
本発明は、アルコキシカルボニル化合物の製造方法、具体的には、アルキルメタクリレート、特にメチルメタクリレートの製造に利用できる。

Claims (13)

  1. パラジウム化合物、スルホン酸化合物及び芳香族第3級ピリジルホスフィンを含む触媒の存在下、一酸化炭素及びアルコール化合物をメチルアセチレンと反応させる際に、
    メチルアセチレンのプロパジエン含有量を50ppm以下とし、芳香族第3級ピリジルホスフィンをメチルアセチレン1モルに対して0.000020モル超使用し、かつ、一酸化炭素及びアルコール化合物を、パラジウム化合物1モルに対して200000モル以上のメチルアセチレンと反応させる、アルキルメタクリレートの製造方法。
  2. 触媒がアミン化合物を更に含む、請求項1記載の製造方法
  3. 芳香族第3級ピリジルホスフィンをプロパジエン1モルに対して2モル以上使用する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. メチルアセチレン中のプロパジエン含有量が30ppm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. メチルアセチレン中のプロパジエン含有量が20ppm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. メチルアセチレン中のプロパジエン含有量が10ppm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. メチルアセチレン中のプロパジエン量が5ppm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 芳香族第3級ピリジルホスフィンがジフェニル(2−ピリジル)ホスフィンである請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 芳香族第3級ピリジルホスフィンがジフェニル(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンである請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 芳香族第3級ピリジルホスフィンがビス(4−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンである請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 触媒が単座3級モノホスフィンを更に含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 単座3級モノホスフィンがトリフェニルホスフィンである請求項11に記載の製造方法。
  13. アミン化合物がN,N−ジメチルアニリンである請求項2〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
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