JP2014181202A - メタクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率よくメタクリル酸エステルを製造する方法を提供すること。
【解決手段】メタクリル酸エステルの製造方法であって、第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を含む触媒の存在下、一酸化炭素及びアルコールをメチルアセチレンと反応させるメタクリル酸エステルの製造方法であって、反応途中で反応温度を昇温し前記反応を行うことを特徴とする。前記反応は、反応温度を3℃以上昇温して行うことが好ましい。前記昇温を開始する時点におけるメチルアセチレンの転化率は、20〜70%の範囲内であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、メタクリル酸エステルの製造方法に関するものである。
メタクリル酸エステルを製造する方法として、例えば、特許文献1には、パラジウム化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を触媒として用い、メチルアセチレンを一酸化炭素及びメタノールと反応温度65℃で反応させメタクリル酸メチルを製造する方法が開示されている。
特開2010−120921号公報
しかしながら、上記従来の方法では、メタクリル酸エステルの製造において、パラジウム金属当たりの生産性の点で、必ずしも満足のいくものではなかった。
そこで、本発明の目的は、効率よくメタクリル酸エステルを製造する方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1]第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を含む触媒の存在下、一酸化炭素及びアルコールをメチルアセチレンと反応させるメタクリル酸エステルの製造方法であって、反応途中で反応温度を昇温し前記反応を行うことを特徴とするメタクリル酸エステルの製造方法。
[2]反応温度を3℃以上昇温し前記反応を行う前記[1]に記載の製造方法。
[3]昇温を開始する時点におけるメチルアセチレンの転化率が20〜70%の範囲内である前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]昇温を開始する時点における反応温度が20〜60℃である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]昇温を開始する時点における反応時間が60〜300分である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]触媒がアミン化合物をさらに含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]第10族金属化合物がパラジウム化合物である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]ホスフィン化合物が芳香族第3級ピリジルホスフィンである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]プロトン酸がスルホン酸化合物である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]アミン化合物がN,N−ジメチルアニリンである前記[6]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]直列に連結されたn個(nは2以上の整数を表す。)の反応槽を用いて連続式で前記反応を行う前記[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]メチルアセチレンの流通方向の最下流に位置する第nの反応槽における反応温度が、最上流に位置する第1の反応槽における反応温度より高い温度である前記[11]に記載の製造方法。
本発明によれば、メタクリル酸エステルを効率良く製造することができる。
本発明においては、第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を含む触媒の存在下、一酸化炭素及びアルコールをメチルアセチレンと反応させる。
本発明の方法において用いられるメチルアセチレンは、プロパジエンの含有量が50重量ppm以下のものが好ましく、より好ましくは30重量ppm以下、さらに好ましくは20重量ppm以下、さらにより好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下のものである。メチルアセチレンは、反応を著しく阻害するもので無い限りは、プロパジエンのほかにも不純物を含んでいてもよい。かかる不純物として具体的には、ブタジエン、プロピレン、ブテン、プロパン、一酸化炭素、および二酸化炭素などがあげられる。本発明に用いられる一酸化炭素は、純粋な一酸化炭素のほか、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、アルゴン等の触媒やメチルアセチレンに不活性なガスを含んでいてもよい。
本発明の反応は、第10族金属化合物、ホスフィン化合物及びプロトン酸を含む触媒を用いて実施される。上記触媒は、第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を含む混合物として使用されることが好ましい。第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物の使用量は、触媒量でよいが、典型的には、以下に例示するような態様で使用される。
第10族金属化合物としては、ニッケル化合物、パラジウム化合物、白金化合物が挙げられ、好ましくはパラジウム化合物を挙げることができる。かかるパラジウム化合物としては、パラジウムアセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテート、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム及びこれらの混合物を挙げることができる。パラジウム化合物として、より好ましくは、パラジウムアセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテート、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、硫酸パラジウム及びこれらの混合物であり、さらに好ましくは酢酸パラジウムである。第10族金属化合物の使用量はメチルアセチレン1モルに対して、1/200000モル以下であることが好ましく、より好ましくは1/1000000〜1/200000モルの範囲である。すなわち、メチルアセチレンの使用量が、第10族金属化合物1モルに対して200000モル以上であることが好ましく、より好ましくは200000〜1000000モルの範囲である。
ホスフィン化合物は特に限定されないが、通常は第3級ホスフィン化合物が用いられ、好ましくは下記式(1)
Figure 2014181202
(式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アラルキル基、置換又は無置換アリール基、ピリジル基、シリル基、アミノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基及びアシル基からなる群から選ばれる置換基を表し、それぞれ隣接する基は互いに結合して環を形成していてもよい。nは0〜3の整数を表す。)
で表される芳香族第3級ホスフィン化合物が用いられる。
上記式(1)で表される芳香族第3級ホスフィン化合物の中でも、nが1〜3の整数で表される芳香族第3級ピリジルホスフィンがより好ましい。芳香族第3級ピリジルホスフィンとして、具体的には、ジフェニル−2−ピリジルホスフィン、ジフェニル(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル[6−(n−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル[6−(iso−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル[6−(n−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル[6−(iso−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ジフェニル(6−フェニル−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−ヒドロキシ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−メトキシ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−フルオロ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−クロロ−2−ピリジル)ホスフィン、ジフェニル(6−ブロモ−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−フルオロフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−クロロフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−ブロモフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3−メチルフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル](2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−フルオロフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−クロロフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−ブロモフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル](6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(n−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(iso−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(n−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メチルフェニル)[6−(iso−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(n−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(iso−プロピル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(n−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(4−メトキシフェニル)[6−(iso−ブチル)−2−ピリジル]ホスフィン、ビス(2−ピリジル)フェニルホスフィン、トリス(2−ピリジル)ホスフィン、ビス(6−メチル−2−ピリジル)フェニルホスフィン、トリス(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−エチル−2−ピリジルホスフィン)が例示され、より一層好ましくは、ジフェニル−2−ピリジルホスフィン、ジフェニル(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(2−ピリジルホスフィン)、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジルホスフィン)が例示される。
これらの芳香族第3級ピリジルホスフィンは単独での使用に限られず、適宜混合して用いてもよい。
ホスフィン化合物の使用量は、第10族金属化合物1モルに対して、2〜300モルが好ましく、より好ましくは5〜240モルである。また、メチルアセチレン1モルに対するホスフィン化合物の使用量は、0.000020モル以上が好ましく、より好ましくは0.000020〜0.00048モルであり、プロパジエン1モルに対するホスフィン化合物の使用量は、2モル以上が好ましい。
上記の芳香族第3級ピリジルホスフィンは公知の方法による製造が可能である。例えば、特開平2−277551号公報に開示されているように、ハロゲン化ピリジンをアルキルリチウムと反応させてリチオ化した後、ホスフィンクロライドを反応させることで種々の芳香族第3級ピリジルホスフィンを製造する事ができる。
また、上記芳香族第3級ピリジルホスフィンに対して単座3級モノホスフィン化合物を共存させた場合にも好ましい結果が得られる。この場合の単座3級モノホスフィン化合物とは、1つのリン原子の他に配位座となるような官能基を含まない3級ホスフィン化合物である。単座3級モノホスフィン化合物としては、トリアルキルホスフィン、又は、アルキル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい、同一又は相異なるアリール基を有する芳香族3級ホスフィンが例示される。かかる単座3級モノホスフィン化合物としては、具体的には、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、(4−メチルフェニル)(ジフェニル)ホスフィン及びこれらの混合物が例示され、好ましくは前記の芳香族3級ホスフィン、更に好ましくはトリフェニルホスフィンが用いられる。その使用量に特に制限は無いが、第10族金属化合物1モルに対して好ましくは、1〜600モルの範囲であり、より好ましくは1〜300モルの範囲である。
プロトン酸としては、有機又は無機のプロトン酸が例示される。プロトン酸として、具体的には、ホウ酸、オルトリン酸、ピロリン酸、硫酸、ハロゲン化水素酸、ベンゼンリン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルメタンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタイド及びこれらの混合物が例示され、好ましくは、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルメタンスルホン酸等のスルホン酸化合物、さらに好ましくはメタンスルホン酸が使用される。その使用量は、特に限定されないが、第10族金属化合物1モルに対して、好ましくは3〜300モルであり、より好ましくは10〜240モルである。
前記反応において、触媒としてアミン化合物の使用は必須ではないが、アミン化合物の共存下での反応は好ましい結果を与える場合がある。アミン化合物は、特に限定されないが、通常、公知の3級アミン又は環状アミンが用いられる。アミン化合物として、具体的には、N,N−ジアルキルアニリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、トリアジン、イミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン及びこれらの混合物が例示され、好ましくはN,N−ジメチルアニリン、ピリジンである。アミン化合物の添加量に制限はないが、好ましくはプロトン酸1モルに対して1〜50モル、より好ましくは1〜10モルの範囲である。
本発明に用いられるアルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール等を挙げることができる。中でも、炭素数1〜3のアルコールが好ましい。好ましい実施形態として、メタノールを反応させることによりメタクリル酸メチルを製造する形態が挙げられる。該アルコールの使用量は、該アルコールに含まれる水分量に応じて、反応系に存在する水が第10族金属化合物1モルに対して40000モル以下となるように調整されることが好ましい。該アルコールに含まれる水分量は、1000重量ppm以下が好ましく、750重量ppm以下がより好ましく、500重量ppm以下がさらに好ましく、100重量ppm以下が特に好ましい。メチルアセチレン1モルに対する該アルコールの使用量は、1モル以上が好ましく、1〜5モルが好ましい。
本発明において、反応系に存在する水の量は、第10族金属化合物1モルに対して、40000モル以下が好ましく、4000モル以下がより好ましく、1000モル以下がさらに好ましく、500モル以下がさらにより好ましい。
本発明の反応においては、溶媒の使用は必須ではないが、メチルアセチレン・プロパジエンの分圧を低くすることが好ましく、好適には前記のアルコールを溶媒の代わりに過剰に用いる。しかし、別途、別の溶媒を使用することも可能である。使用できる別の溶媒及びその使用量は、反応を大きく阻害するものでなければ特に限定されないが、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、スルホキシド類、スルホン類、エステル類、ケトン類、エーテル類、アミド類、アルコール類、イオン性液体及びこれらの混合物が挙げられる。溶媒として、具体的にはトルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、アニソール、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジブチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド及びこれらの混合物が例示される。
前記反応において、その反応温度に特に制限はないが、好ましくは、20〜100℃の範囲において実施される。また、反応時間は、触媒使用量や反応温度並びに圧力等の条件にもよるが、好ましくは0.5〜48時間である。前記反応における反応圧力は特に限定されないが、好ましくは0.5〜10MPaG(ゲージ圧)であり、より好ましくは1.0〜7MPaG(ゲージ圧)の範囲である。このときの一酸化炭素分圧は特に限定されないが、好ましくは0.5〜10MPaG(ゲージ圧)であり、より好ましくは1.0〜7MPaG(ゲージ圧)の範囲である。本発明の反応の実施態様は特に限定されず、例えば、バッチ式でも連続式でもよい。
本発明においては、前記反応の途中で反応温度を昇温する。尚、反応の途中で反応温度を昇温するとは、前記触媒、一酸化炭素、アルコール及びメチルアセチレンを所定の反応温度で接触させて温度一定に所定時間保持した以降から反応終了までの間に反応系の温度を昇温することを意味する。かかる昇温は、昇温開始時の反応温度と昇温後の反応温度との温度差が3℃以上となるように行うことが好ましく、該温度差が5℃以上となるように行うことがより好ましい。該昇温は、一定の昇温速度で行ってもよいし、複数の段階で段階的に行ってもよい。
本発明においては、前記触媒、一酸化炭素、アルコール及びメチルアセチレンを所定の反応温度で接触させて温度一定に所定時間保持した後、反応温度の昇温を開始する。反応温度の昇温を開始するタイミングとしては、メチルアセチレンの転化率が20〜70%の範囲内が好ましく、40〜70%の範囲内がより好ましい。昇温を開始する時点における反応温度としては、20〜60℃が好ましく、35〜55℃がより好ましい。昇温後の反応温度としては、45〜100℃が好ましく、55〜70℃がより好ましい。昇温を開始する時点における反応時間としては、60〜300分が好ましく、70〜240分がより好ましい。
前記昇温を段階的に行う場合、段階数、一段階当たりの昇温前後の温度差、一段階毎の保持時間等は、適宜設定することができ、例えば、二段階で昇温を行う場合には、前記触媒、一酸化炭素、アルコール及びメチルアセチレンを所定の反応温度で接触させて温度一定に所定時間保持した後、1回目の昇温を行って温度一定に所定時間保持し、次いで2回目の昇温を行って温度一定に所定時間保持すればよい。二段階で昇温を行う場合、1回目の昇温を開始する時点における反応温度としては、20〜55℃が好ましく、1回目の昇温後の反応温度としては、30〜65℃が好ましく、2回目の昇温後の反応温度としては、45〜100℃が好ましく、55〜70℃がより好ましい(但し、1回目の昇温を開始する時点における反応温度よりも、1回目の昇温後の反応温度の方が高く、1回目の昇温後の反応温度よりも、2回目の昇温後の反応温度の方が高いものとする)。二段階で昇温を行う場合、1回目の昇温を開始する時点におけるメチルアセチレンの転化率としては、20〜45%の範囲内が好ましく、2回目の昇温を開始する時点におけるメチルアセチレンの転化率としては、45〜75%の範囲内が好ましい(但し、1回目の昇温を開始する時点におけるメチルアセチレンの転化率よりも、2回目の昇温を開始する時点におけるメチルアセチレンの転化率の方が高いものとする)。二段階で昇温を行う場合、1回目の昇温を開始する時点における反応時間としては、60〜150分が好ましく、2回目の昇温を開始する時点における反応時間としては、150〜300分が好ましい(但し、1回目の昇温を開始する時点における反応時間よりも、2回目の昇温を開始する時点における反応時間の方が遅いものとする)。
前記反応を連続式で行う場合、直列に連結されたn個(nは2以上の整数を表す。)の反応槽を用いて前記反応を行うことができる。例えば、前記触媒、一酸化炭素、アルコール及びメチルアセチレンを第1の反応槽に供給し、反応混合物を直列に接続した複数の反応器に連続して流通させ、反応途中で反応温度を昇温し、第nの反応槽から反応混合物を抜き出すことにより、連続式で前記反応を行うことができる。前記反応を連続式で直列に連結されたn個の反応槽を用いて行う場合、メチルアセチレンの流通方向の最下流に位置する第nの反応槽における反応温度が、最上流に位置する第1の反応槽における反応温度より高い温度となるように、前記反応を実施することが好ましい。前記nとしては、7以下が好ましい。
直列に連結された2個の反応槽を用いて前記反応を連続式で行う場合、第1の反応槽の反応温度T1と第2の反応槽の反応温度T2との温度差(T2−T1)が3℃以上となるようにすることが好ましく、T2−T1が5℃以上となるようにすることがより好ましい。該T1としては、20〜60℃が好ましく、35〜55℃がより好ましい。該T2としては、45〜100℃が好ましく、55〜70℃がより好ましい。第1の反応槽の出口から抜き出された反応混合物が第2の反応槽に供給される時点において、メチルアセチレンの転化率は20〜70%の範囲内が好ましく、40〜70%の範囲内がより好ましい。第1の反応槽を流通し第2の反応槽に供給されるまでの合計の滞留時間は、60〜300分が好ましく、70〜240分がより好ましい。
nが3以上の整数である場合、第2〜第nの反応槽のうち少なくとも1つの反応槽における反応温度が、第1の反応槽の反応温度T1よりも高い反応温度であればよい。第1の反応槽の反応温度T1と、第2〜第nの反応槽のうち最も反応温度の高い反応槽における反応温度Tmaxとの温度差(Tmax−T1)が3℃以上となるようにすることが好ましく、Tmax−T1が5℃以上となるようにすることがより好ましい。尚、反応温度がTmaxである反応槽は、複数存在してもよい。第2〜第nの反応槽の中でも、少なくとも第nの反応槽においては、その反応温度Tnが、反応温度T1より高い温度であることが好ましく、Tmaxであることがより好ましい。該T1としては、20〜60℃が好ましく、35〜55℃がより好ましい。該Tmaxとしては、45〜100℃が好ましく、55〜70℃がより好ましい。nが3以上の整数であり、直列に連結されたn個の反応槽を用いて前記反応を連続式で行う場合は、連続する2つの反応槽において、上流側の反応槽における反応温度Tu、及び下流側の反応槽における反応温度Tdが、Tu≦Td(但し、連続する2つの反応槽の全てにおいてTu=Tdであることはない。)の関係を満たすように反応温度を設定することが好ましい。
例えば、n=3の場合、第1の反応槽の反応温度T1としては、20〜55℃が好ましく、第2の反応槽の反応温度T2としては、30〜65℃が好ましく、第3の反応槽の反応温度T3としては、45〜100℃が好ましく、55〜70℃がより好ましい。尚、T1、T2及びT3は、T1<T2<T3であることが好ましい。第1の反応槽の出口から抜き出された反応混合物が第2の反応槽に供給される時点において、メチルアセチレンの転化率X1としては、20〜45%の範囲内が好ましく、第2の反応槽の出口から抜き出された反応混合物が第3の反応槽に供給される時点において、第1の反応槽による反応及び第2の反応槽による反応の通算のメチルアセチレンの転化率X2としては、45〜75%の範囲内が好ましい(但し、X1<X2とする)。第1の反応槽を流通し第2の反応槽に供給されるまでの合計の滞留時間t1は、60〜150分が好ましく、第1の反応槽及び第2の反応槽を流通し第3の反応槽に供給されるまでの合計の滞留時間t2は、150〜300分が好ましい(但し、t1<t2とする)。
前記反応により、メタクリル酸エステルを含む反応混合物が得られる。前記反応において得られるメタクリル酸エステルとして、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステルを挙げることができる。メタクリル酸エステルを含む反応混合物の後処理操作については、適宜選択でき、ガス放散操作、蒸留操作、抽出操作等の処理を組み合わせてメタクリル酸エステルを精製することができる。未反応のアルコール、メチルアセチレン及び一酸化炭素はリサイクルされることが好ましい。前記反応後に回収された触媒は、必要に応じて再活性化処理を施した後、リサイクルされることが好ましい。メタクリル酸エステルを含む反応混合物の後処理時には、フェノチアジン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、ハイドロキノン等の重合禁止剤を添加してもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
〔触媒溶液の調製〕
シュレンク管中で50mLのメタノールに酢酸パラジウム2.7mg(0.0118mmol)とジフェニル(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン200mg(0.707mmol)を溶解させた後、N,N−ジメチルアニリン0.23ml(1.77mmol)、メタンスルホン酸70μl(1.06mmol)を加え触媒溶液を調製した。
〔メタクリル酸メチルの製造〕
上記で得られた触媒溶液を1.26ml分取(パラジウム0.000295mmol、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン0.0177mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積230mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更に29mlのメタノールを導入した。オートクレーブをエタノール/ドライアイス浴下に冷却し、プロパジエン濃度が2ppm以下のメチルアセチレン10.7g(純度:98.3モル%、メチルアセチレン含有量:262mmol、プロパジエン含有量:0.0006mmol以下)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し0.5MPaG(ゲージ圧)に保持した。エタノール/ドライアイス浴を外し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、50℃の水浴下にオートクレーブを加熱し、オートクレーブ内の混合物の温度を50℃とした。50℃になった後、COで1.5MPaG(ゲージ圧)まで加圧し、反応を開始した。反応中は反応圧を1.5MPaG(ゲージ圧)に保つ為、減圧弁にて消費分のCOを常時導入した。
反応を開始してから190分までの間、50℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら60℃に昇温した。60℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後400分までの間、60℃で保持した後、冷却した。反応開始後400分の時点で、COの吸収はみられなかった。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルアセチレン転化率は88%であり、メタクリル酸メチルの生成量は7.70×10モル/Pdモルであった。尚、反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率と、反応を開始してから190分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから190分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから190分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、58%であった。
実施例2
〔触媒溶液の調製〕
実施例1〔触媒溶液の調製〕と同様の操作で触媒溶液を調製した。
〔メタクリル酸メチルの製造〕
上記で得られた触媒溶液を1.26ml分取(パラジウム0.000295mmol、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン0.0177mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積230mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更に29mlのメタノールを導入した。オートクレーブをエタノール/ドライアイス浴下に冷却し、プロパジエン濃度が2ppm以下のメチルアセチレン10.0g(純度:98.6モル%、メチルアセチレン含有量:246mmol、プロパジエン含有量:0.0006mmol以下)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し0.5MPaG(ゲージ圧)に保持した。エタノール/ドライアイス浴を外し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、40℃の水浴下にオートクレーブを加熱し、オートクレーブ内の混合物の温度を40℃とした。40℃になった後、COで1.5MPaG(ゲージ圧)まで加圧し、反応を開始した。反応中は反応圧を1.5MPaG(ゲージ圧)に保つ為、減圧弁にて消費分のCOを常時導入した。
反応を開始してから84分までの間、40℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら60℃に昇温した。60℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後400分までの間、60℃で保持した後、冷却した。反応開始後400分の時点で、COの吸収はみられなかった。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルアセチレン転化率は86%であり、メタクリル酸メチルの生成量は7.34×10モル/Pdモルであった。尚、反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率と、反応を開始してから84分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから84分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから84分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、24%であった。
実施例3
〔触媒溶液の調製〕
実施例1〔触媒溶液の調製〕と同様の操作で触媒溶液を調製した。
〔メタクリル酸メチルの製造〕
上記で得られた触媒溶液を1.26ml分取(パラジウム0.000295mmol、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン0.0177mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積230mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更に29mlのメタノールを導入した。オートクレーブをエタノール/ドライアイス浴下に冷却し、プロパジエン濃度が2ppm以下のメチルアセチレン12.4g(純度:99.6モル%、メチルアセチレン含有量:308mmol、プロパジエン含有量:0.0006mmol以下)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し0.5MPaG(ゲージ圧)に保持した。エタノール/ドライアイス浴を外し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、50℃の水浴下にオートクレーブを加熱し、オートクレーブ内の混合物の温度を50℃とした。50℃になった後、COで1.5MPaG(ゲージ圧)まで加圧し、反応を開始した。反応中は反応圧を1.5MPaG(ゲージ圧)に保つ為、減圧弁にて消費分のCOを常時導入した。
反応を開始してから79分までの間、50℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら55℃に昇温した。55℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後187分までの間、55℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら60℃に昇温した。60℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後400分までの間、60℃で保持した後、冷却した。反応開始後400分の時点で、COの吸収はみられなかった。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルアセチレン転化率は75%であり、メタクリル酸メチルの生成量は7.55×10モル/Pdモルであった。尚、反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率と、反応を開始してから79分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから79分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから79分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、25%であった。また、反応を開始してから187分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから187分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから187分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、45%であった。
実施例4
〔触媒溶液の調製〕
実施例1〔触媒溶液の調製〕と同様の操作で触媒溶液を調製した。
〔メタクリル酸メチルの製造〕
上記で得られた触媒溶液を1.26ml分取(パラジウム0.000295mmol、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン0.0177mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積230mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更に29mlのメタノールを導入した。オートクレーブをエタノール/ドライアイス浴下に冷却し、プロパジエン濃度が2ppm以下のメチルアセチレン10.4g(純度:99.6モル%、メチルアセチレン含有量:259mmol、プロパジエン含有量:0.0006mmol以下)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し0.5MPaG(ゲージ圧)に保持した。エタノール/ドライアイス浴を外し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、50℃の水浴下にオートクレーブを加熱し、オートクレーブ内の混合物の温度を50℃とした。50℃になった後、COで1.5MPaG(ゲージ圧)まで加圧し、反応を開始した。反応中は反応圧を1.5MPaG(ゲージ圧)に保つ為、減圧弁にて消費分のCOを常時導入した。
反応を開始してから84分までの間、50℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら55℃に昇温した。55℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後194分までの間、55℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら65℃に昇温した。65℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後400分までの間、65℃で保持した後、冷却した。反応開始後400分の時点で、COの吸収はみられなかった。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルアセチレン転化率は93%であり、メタクリル酸メチルの生成量は7.49×10モル/Pdモルであった。尚、反応を開始してから84分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから84分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから84分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、41%であった。また、反応を開始してから194分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから194分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから194分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、70%であった。
実施例5
〔触媒溶液の調製〕
実施例1〔触媒溶液の調製〕と同様の操作で触媒溶液を調製した。
〔メタクリル酸メチルの製造〕
上記で得られた触媒溶液を1.26ml分取(パラジウム0.000295mmol、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン0.0177mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積230mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更に29mlのメタノールを導入した。オートクレーブをエタノール/ドライアイス浴下に冷却し、プロパジエン濃度が2ppm以下のメチルアセチレン11.2g(純度:99.6モル%、メチルアセチレン含有量:278mmol、プロパジエン含有量:0.0006mmol以下)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し0.5MPaG(ゲージ圧)に保持した。エタノール/ドライアイス浴を外し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、45℃の水浴下にオートクレーブを加熱し、オートクレーブ内の混合物の温度を45℃とした。45℃になった後、COで1.5MPaG(ゲージ圧)まで加圧し、反応を開始した。反応中は反応圧を1.5MPaG(ゲージ圧)に保つ為、減圧弁にて消費分のCOを常時導入した。
反応を開始してから84分までの間、45℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら55℃に昇温した。55℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後194分までの間、55℃で保持した後、COの導入を中断してオートクレーブを密閉し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら60℃に昇温した。60℃になってから、COの導入を再開し、反応開始後400分までの間、60℃で保持した後、冷却した。反応開始後400分の時点で、COの吸収はみられなかった。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルアセチレン転化率は85%であり、メタクリル酸メチルの生成量は7.43×10モル/Pdモルであった。尚、反応を開始してから84分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから84分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから84分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、34%であった。また、反応を開始してから194分までの間のCOの総吸収量と、反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量とから、反応を開始してから194分後のメチルアセチレン転化率(=[反応開始後400分の時点のメチルアセチレン転化率]×[反応を開始してから194分までの間のCOの総吸収量]/[反応を開始してから400分までの間のCOの総吸収量])を求めたところ、63%であった。
比較例1
〔触媒溶液の調製〕
実施例1〔触媒溶液の調製〕と同様の操作で触媒溶液を調製した。
〔メタクリル酸メチルの製造〕
上記で得られた触媒溶液を1.26ml分取(パラジウム0.000295mmol、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン0.0177mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積230mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更に29mlのメタノールを導入した。オートクレーブをエタノール/ドライアイス浴下に冷却し、プロパジエン濃度が2ppm以下のメチルアセチレン10.5g(純度:99.7モル%、メチルアセチレン含有量:261mmol、プロパジエン含有量:0.0006mmol以下)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し0.5MPaG(ゲージ圧)に保持した。エタノール/ドライアイス浴を外し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、50℃の水浴下にオートクレーブを加熱し、オートクレーブ内の混合物の温度を50℃とした。50℃になった後、COで1.5MPaG(ゲージ圧)まで加圧し、反応を開始した。反応中は反応圧を1.5MPaG(ゲージ圧)に保つ為、減圧弁にて消費分のCOを常時導入した。
反応を開始してから400分までの間、50℃で保持した後、冷却した。反応開始後400分の時点で、COの吸収はみられなかった。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルアセチレン転化率は81%であり、メタクリル酸メチルの生成量は7.18×10モル/Pdモルであった。
比較例2
〔触媒溶液の調製〕
実施例1〔触媒溶液の調製〕と同様の操作で触媒溶液を調製した。
〔メタクリル酸メチルの製造〕
上記で得られた触媒溶液を1.26ml分取(パラジウム0.000295mmol、ジフェニル(6−メチル−2ピリジル)ホスフィン0.0177mmol相当)し、窒素雰囲気下で内容積230mlのステンレス製オートクレーブに導入後、更に29mlのメタノールを導入した。オートクレーブをエタノール/ドライアイス浴下に冷却し、プロパジエン濃度が2ppm以下のメチルアセチレン10.8g(純度:99.6モル%、メチルアセチレン含有量:268mmol、プロパジエン含有量:0.0006mmol以下)を導入後、一酸化炭素(CO)で加圧し0.5MPaG(ゲージ圧)に保持した。エタノール/ドライアイス浴を外し、オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、60℃の水浴下にオートクレーブを加熱し、オートクレーブ内の混合物の温度を60℃とした。60℃になった後、COで1.5MPaG(ゲージ圧)まで加圧し、反応を開始した。反応中は反応圧を1.5MPaG(ゲージ圧)に保つ為、減圧弁にて消費分のCOを常時導入した。
反応を開始してから400分までの間、60℃で保持した後、冷却した。反応開始後400分の時点で、COの吸収はみられなかった。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルアセチレン転化率は77%であり、メタクリル酸メチルの生成量は6.79×10モル/Pdモルであった。
本発明は、メタクリル酸エステル、具体的には、メタクリル酸アルキル、特にメタクリル酸メチルの製造に利用できる。

Claims (12)

  1. 第10族金属化合物、プロトン酸及びホスフィン化合物を含む触媒の存在下、一酸化炭素及びアルコールをメチルアセチレンと反応させるメタクリル酸エステルの製造方法であって、反応途中で反応温度を昇温し前記反応を行うことを特徴とするメタクリル酸エステルの製造方法。
  2. 反応温度を3℃以上昇温し前記反応を行う請求項1に記載の製造方法。
  3. 昇温を開始する時点におけるメチルアセチレンの転化率が20〜70%の範囲内である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 昇温を開始する時点における反応温度が20〜60℃である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 昇温を開始する時点における反応時間が60〜300分である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 触媒がアミン化合物をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 第10族金属化合物がパラジウム化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. ホスフィン化合物が芳香族第3級ピリジルホスフィンである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. プロトン酸がスルホン酸化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. アミン化合物がN,N−ジメチルアニリンである請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 直列に連結されたn個(nは2以上の整数を表す。)の反応槽を用いて連続式で前記反応を行う請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. メチルアセチレンの流通方向の最下流に位置する第nの反応槽における反応温度が、最上流に位置する第1の反応槽における反応温度より高い温度である請求項11に記載の製造方法。
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