JPH1017588A - 蔗糖脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

蔗糖脂肪酸エステルの製造方法

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JPH1017588A
JPH1017588A JP8176517A JP17651796A JPH1017588A JP H1017588 A JPH1017588 A JP H1017588A JP 8176517 A JP8176517 A JP 8176517A JP 17651796 A JP17651796 A JP 17651796A JP H1017588 A JPH1017588 A JP H1017588A
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reaction solvent
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応速度が大きく、効率的に高品質な
蔗糖脂肪酸エステルを製造する方法が求められている。 【解決手段】 蔗糖と脂肪酸低級アルキルエステルと
のエステル化反応を反応溶媒還流下、副生するアルコー
ルを留出しながら加熱反応を行い、反応溶媒を5重量%
以下まで留出し、溶融温度以上で加熱して行うことを特
徴とする蔗糖脂肪酸エステルの製造方法により、効率的
に高品質な蔗糖脂肪酸エステルを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蔗糖脂肪酸エステ
ル(以下、SEと略記する。)の製造方法に関する。詳
しくは本発明は、効率的な反応方法を用いて、蔗糖と脂
肪酸低級アルキルエステルとのエステル交換反応を行う
ことによりSEを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】SEは優れた界面性能、良好な生分解性
および高い安全性を兼備しているので、食品、化粧品、
医薬品、台所用洗剤、飼料、樹脂等の添加剤として、ま
た化学工業においては、例えば重合反応、酸化反応等の
助剤として用いられており、きわめて有用な化合物であ
る。
【0003】従来、SEの製造方法として、ピリジン
等の第三級アミン類、ジメチルホルムアルデヒド等のア
ミド類、ジメチルスルホキシド等のジアルキルスルホキ
シド類等の反応溶媒中で、アルカリ触媒の存在下、蔗糖
と脂肪酸低級アルキルエステルとを反応させる方法(溶
媒法)、反応溶媒を用いずに水を使用して蔗糖を脂肪
酸石鹸と共に溶融混合物とした後、アルカリ触媒の存在
下、脂肪酸アルキルエステルを反応させる方法(無溶媒
法又はミクロエマルジョン法)、さらには蔗糖と脂肪
酸とを特定酵素の存在下に直接反応させるいわゆるバイ
オ法等が知られている。
【0004】上記の方法のうち溶媒法は、反応時間が長
く生産性が悪い。特に、高置換度のSEを製造する場合
には、非常に長い反応時間を要し、より効率的な製造方
法が求められていた。従来の改良方法として、蔗糖と脂
肪酸低級アルキルエステルとの反応で均一液となった
後、すなわち、脂肪酸低級アルキルエステル反応率が4
0〜60重量%となった後、反応溶媒を留出しながら反
応を継続させる方法が知られている(特開昭62−21
5598)。
【0005】しかしながら、上記の方法でも脂肪酸低級
アルキルエステルの反応率が90重量%以上となった反
応後期の反応押し切りが十分でなく、更なる改良が望ま
れていた。通常、脂肪酸低級アルキルエステルの最終反
応率を94重量%以上としないと未反応物を多く含有す
るため、SEの商品価値が十分とは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、反応
溶媒存在下、エステル交換反応によりSEを製造する方
法において、より効率的な反応方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、SEを短
時間で工業的に有利に生産する方法について鋭意検討し
た結果、反応後期にほとんど全ての反応溶媒を留出し、
その後、溶融状態で一定時間以上反応させることによ
り、効率的にSEが製造されることを見い出した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、蔗糖と脂肪酸
低級アルキルエステルとを反応溶媒の還流下でアルカリ
触媒存在下、減圧下にて、副生アルコールを留出しなが
ら加熱反応を行い、脂肪酸低級アルキルエステルの反応
率が80〜95重量%に達した後、当該反応溶媒を留出
して全反応混合物中の反応溶媒濃度を5重量%以下と
し、更に、当該反応混合物を溶融状態で0.5時間以上
加熱して、対応する蔗糖脂肪酸エステルを得ることを特
徴とする蔗糖脂肪酸エステルの製造方法を提供するもの
である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる脂肪酸低級アルキルエステルとしては、
通常、炭素数6〜30、好ましくは12〜22の飽和ま
たは不飽和脂肪酸(例えばカプロン酸、カプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸;リノール酸、オレイン
酸、リノレイン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和
脂肪酸)と炭素数1〜6の低級アルコール(例えばメタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)と
のエステルが挙げられる。かかる脂肪酸低級アルキルエ
ステルは、2種以上の混合物を用いても良い。
【0010】脂肪酸低級アルキルエステルは、蔗糖1モ
ルに対して通常0.1〜20モル、好ましくは0.15
〜8モル使用する。このモル比は、目的とするSEの置
換度により決定される。通常、SEの置換度1〜8のい
ずれのものでも良いが、本発明では特に4〜8の高置換
度のものに適用すると好ましい。本発明に用いる反応溶
媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N
−メチルモルホリン、ピリジン、キノリン、ピラジン、
メチルピラジン、N,N−ジメチルピペリジン等の第三
級アミン類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムア
ルデヒド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリド
ン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のジアルキル
スルホキシド類等が挙げられるが、中でもピリジン、
N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキ
シドが好ましく、熱的安定性、蔗糖に対する溶解性およ
び安全性の点から、通常、ジメチルスルホキシド(以
下、DMSOと略記する。)が最も好ましい。反応溶媒
の使用量は、蔗糖と脂肪酸低級アルキルエステルとの合
計量に対して、通常20〜150重量%、好ましくは3
0〜80重量%である。
【0011】本発明に用いるアルカリ触媒としては、ア
ルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ
金属塩等が有効であり、中でも炭酸アルカリ金属塩が好
ましく、特に炭酸カリウムが好ましい。アルカリ触媒の
使用量は、脂肪酸低級アルキルエステル1モルに対し
て、通常、0.01〜0.1モルである。本発明におけ
る反応方式は、回分法で実施し、第1反応工程、反応溶
媒留出工程及び第2反応工程とからなる。
【0012】第1反応工程においては、蔗糖と脂肪酸低
級アルキルエステルとを反応溶媒の還流下でアルカリ触
媒存在下、減圧下にて、副生アルコールを留出しながら
加熱反応を行う必要がある。すなわち、還流装置、凝縮
器及び減圧装置を備えた反応器を用い、反応溶媒の還流
下、副生アルコールを留出しつつ加熱反応を行う。反応
溶媒の1時間当たりの還流量は、通常、全仕込量に対し
て15重量%以上、好ましくは20〜45重量%であ
る。還流量の調整は、加熱量の調整により行う。尚、還
流量は、還流装置の替わりの反応溶媒留出量を測定する
ための凝縮器、副生アルコールを凝縮する凝縮器及び減
圧装置を備えた反応器を用いて、各加熱条件での1時間
当たりの反応溶媒留出量および反応温度を測定してそれ
を各反応温度条件での1時間当たりの還流量とする方法
により測定することができる。反応温度は通常40〜1
50℃の範囲が採用され、特に60〜130℃の範囲が
好ましい。反応温度が低すぎると十分な反応速度が得ら
れず、反応温度が高すぎると反応溶媒の還流量の制御が
困難となり、好ましくない。また、反応圧力は通常0.
01〜200Torrの範囲が採用され、特に0.1〜
70Torrの範囲が好ましい。第1反応工程は、脂肪
酸低級アルキルエステルの反応率が80〜95重量%に
達するまで行う。脂肪酸低級アルキルエステルの反応率
が80重量%に達しないうちに第1反応工程から反応溶
媒留出工程以降に移行すると第2反応工程の効果が十分
に得られず、反応率が95重量%超過するまで第1反応
工程を継続すると脂肪酸低級アルキルエステルの種類に
よっては第1反応工程に時間がかかり過ぎて反応時間の
短縮が十分図れない。脂肪酸低級アルキルエステルの反
応率は、反応混合物中の脂肪酸低級アルキルエステルの
量(重量%)をガスクロマトグラフィー法で測定するこ
とにより確認することができる。
【0013】反応溶媒留出工程は、第1反応工程終了
後、反応溶媒を反応系外へ留出させる工程である。具体
的には、反応混合物中の反応溶媒濃度を5重量%以下、
好ましくは2重量%以下とする。反応混合物中の反応溶
媒濃度が5重量%を超えたままでは、反応押し切りが不
十分で第2反応工程の効果が十分に得られない。反応溶
媒留出工程中に反応混合物の内温が上昇しすぎた場合、
さらに減圧して、内温を125℃以下に調節するのが好
ましい。この反応溶媒の留出により反応混合物は実質的
に無溶媒のものとなる。尚、反応混合物中の反応溶媒濃
度は反応溶媒の留出量から算出して求める。
【0014】第2反応工程では、反応溶媒留出工程後に
得られた実質的に無溶媒の反応混合物を溶融状態で引き
続き反応させる。反応温度は、SEの溶融温度以上で、
60〜125℃の範囲が採用され、特に100〜115
℃の範囲が好ましい。反応温度が高すぎると、SEが着
色し好ましくない。また、反応温度が低すぎると、反応
押し切りが進行せず好ましくない。反応圧力は通常15
Torr以下が採用され、特に10Torr以下が好ま
しい。反応時間は0.5時間以上で、特に1〜3時間が
好ましい。反応時間が0.5時間未満で短いと反応押し
切りが進行せず、脂肪酸低級アルキルエステルの最終反
応率が94重量%以上に達しないことがある。第2反応
工程は、脂肪酸低級アルキルエステルの反応率が94重
量%以上に達するまで実施する。第1反応工程における
脂肪酸低級アルキルエステルの最終反応率が94重量%
以上であった場合も、第2反応工程で最低0.5時間反
応させるのが好ましい。
【0015】本発明に用いる減圧装置としては、機械式
真空ポンプ、拡散ポンプ、ガスエジェクター、スチーム
エジェクター等の減圧装置がある。反応終了後、抽出、
蒸留等の公知の手段により反応混合物から目的とするS
Eを回収することができる。
【0016】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。なお、「部」は重量部、
「%」は重量%を示す。 <実施例1> (第1反応工程)上部に還流冷却管(冷却管温度は60
℃に制御)を有し、攪拌器を備えた反応器に蔗糖174
部、反応溶媒としてDMSO525部、ステアリン酸メ
チル801.06部、および無水炭酸カリウム8.40
部を仕込み、20Torrの圧力下、DMSO還流下で
加熱し、副生するメタノールを留出しながら反応を反応
温度90℃で8時間行った。この時の反応溶媒の1時間
当たりの還流量は全仕込量の22%であった。また、ス
テアリン酸メチルの反応率は、92.11%であった。
【0017】(反応溶媒留出工程)次いで、反応混合物
の内温を110℃まで上げ、真空度を5Torrとして
1.5時間加熱を続け、一方、還流冷却管の凝縮液を反
応器に戻すことなくDMSOの96%を留出して、全反
応混合物中のDMSO濃度を2.3%とした。 (第2反応工程)そして、さらに、残留した反応混合物
を110℃の温度で5Torrの減圧下、1.5時間、
反応を行った。第2反応工程終了時のステアリン酸メチ
ルの反応率は94.10%であった。
【0018】尚、脂肪酸低級アルキルエステルの反応率
は、反応混合物中の脂肪酸低級アルキルエステルの残存
量(重量%)をガスクロマトグラフィー法で測定し、次
式に従って求めた。
【0019】
【数1】
【0020】ガスクロマトグラフィー法による分析の条
件は、以下の通りであった。 分析装置:CG−6AM島津製作所製 カラム : サーモン3000 10% クロモゾルブ
W、2mガラスカラム カラム温度:210℃ INJ温度:220℃ キャリアガス:N2 40ml/min 検出法 :IS ジメチルナフタリン <比較例1>実施例1の方法において、第1反応工程の
条件中、反応溶媒の1時間当たりの還流量を全仕込量の
14%として同様の反応を行い、反応溶媒留出工程及び
第2反応工程を省略したところ、反応開始8時間後のス
テアリン酸メチルの反応率は、80.02%であった。
なお、第1反応工程の反応時間を21時間と大幅に延長
したところ、反応率は94.20%であった。 <実施例2> (第1反応工程)上部に還流冷却管(冷却管温度は45
℃に制御)を有し、攪拌器を備えた反応器に蔗糖138
4部、溶媒としてDMSO4200部、オレイン酸メチ
ル6416部、および無水炭酸カリウム66.83部を
仕込み、20Torrの圧力下、反応溶媒の還流下で加
熱し、副生するメタノールを留出しながら反応を反応温
度90℃で6時間行った。この時の反応溶媒の1時間当
たりの還流量は全仕込量の22%であった。また、オレ
イン酸メチルの反応率は93.90%であった。
【0021】(反応溶媒留出工程)次いで、反応混合物
の内温を105℃まで上げ、真空度を5Torrとして
1.5時間加熱を続け、一方、還流冷却管の凝縮液を反
応器に戻すことなくDMSOの96%を留出して、全反
応混合物中のDMSO濃度を2.3%とした。 (第2反応工程)さらに、残留した反応混合物を110
℃の温度で5Torrの減圧下、0.5時間、第2反応
を行った。この時のオレイン酸メチルの反応率は95.
00%であった。 <比較例2>実施例2の方法において、第1反応工程の
条件中、反応溶媒の1時間当たりの還流量を全仕込量の
14%として同様の反応を行い、反応溶媒留出工程及び
第2反応を省略したところ、反応開始8時間後のオレイ
ン酸メチルの反応率は、88.82%であった。なお、
第1反応工程の反応時間を20時間と大幅に延長したと
ころ、反応率は92.83%であった。
【0022】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、反応速度が
大きく効率的に高品質のSEを製造することができるの
で、工業的価値は大である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蔗糖と脂肪酸低級アルキルエステルとを
    反応溶媒の還流下でアルカリ触媒存在下、減圧下にて、
    副生アルコールを留出しながら加熱反応を行い、脂肪酸
    低級アルキルエステルの反応率が80〜95重量%に達
    した後、当該反応溶媒を留出して全反応混合物中の反応
    溶媒濃度を5重量%以下とし、更に、当該反応混合物を
    溶融状態で0.5時間以上加熱して、対応する蔗糖脂肪
    酸エステルを得ることを特徴とする蔗糖脂肪酸エステル
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応溶媒の還流下での加熱反応における
    反応溶媒の還流量が1時間当たり全仕込量に対し15重
    量%以上である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応溶媒がジメチルスルホキシドである
    請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルカリ触媒が炭酸カリウムである請求
    項1記載の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006054708A1 (ja) * 2004-11-19 2006-05-26 Mitsubishi Chemical Corporation 低置換度ショ糖脂肪酸エステル及びその製造方法
US7524798B2 (en) 2001-08-07 2009-04-28 Sudzucker Aktiengesellschaft Fuchs Petrolub Ag Use of a polyster composition as a hydraulic fluid
JP5952980B1 (ja) * 2016-02-17 2016-07-13 マイクロ波化学株式会社 ショ糖ステアリン酸エステルの製造方法
WO2016194887A1 (ja) * 2015-06-01 2016-12-08 マイクロ波化学株式会社 ショ糖脂肪酸エステルの製造方法

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