JP5515126B2 - パイプライン型a/dコンバータおよびa/d変換方法、ならびにダイナミック型差動増幅器 - Google Patents

パイプライン型a/dコンバータおよびa/d変換方法、ならびにダイナミック型差動増幅器 Download PDF

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本発明は、パイプライン型A/Dコンバータに関する。
アナログ電圧をデジタル信号に変換するために、パイプライン型のA/Dコンバータが利用される。図1(a)〜(c)は、一般的なパイプライン型のA/Dコンバータの構成を示すブロック図および入出力特性である。A/Dコンバータ1100は、カスケードに接続された複数(n段)の単位変換回路UC〜UCを備える。
単位変換回路UC〜UCは、最上位ビットMSBから最下位ビットLSBに向けてmビットずつ、順次A/D変換を実行する。図1(b)は単位変換回路UCの構成を示す。単位変換回路UCは、演算増幅器OA1と、スイッチ回路SW、サブA/DコンバータSADCを備え、標本化状態φ0と、差分増幅状態φ1、をクロック信号と同期しながら時分割的に交互に繰り返す。あるステージの単位変換回路UCが標本化状態φ0にあるとき、それと隣接するステージの単位変換回路UCは差分増幅状態φ1にある。
入力端子Piには、前段からの入力電圧Vinが入力される。入力電圧範囲は−Vref〜+Vrefである。標本化状態φ0において、サブA/DコンバータSADCは、入力電圧Vinを複数の基準電圧と比較し、比較結果kを示す比較データD1を生成する。この例では、6値つまり約2.5ビットの冗長構成を有しており、入力電圧Vinが、以下のように標本化(量子化)される。
−Vref<Vin<−5/8×Vref k=−3
−5/8×Vref<Vin<−3/8×Vref k=−2
−3/8×Vref<Vin<−1/8×Vref k=−1
−1/8×Vref<Vin<+1/8×Vref k=0
+1/8×Vref<Vin<+3/8×Vref k=1
+3/8×Vref<Vin<+5/8×Vref k=2
+5/8×Vref<Vin<+Vref k=3
また、標本化状態φ0において、スイッチSがオン、スイッチSが入力端子Pi側にオンする。またスイッチ回路SWは、入力電圧Vinを選択し、入力キャパシタCs1〜Cs3の一端に印加する。その結果、フィードバックキャパシタCfおよび入力キャパシタCs1〜Cs3は、等しく入力電圧Vinによって充電される。
次にクロック信号の位相が切り替わると差分増幅状態φ1となり、スイッチSがオフし、スイッチSは演算増幅器OAの出力端子Po側にオンする。またサブA/DコンバータSADCは、比較結果をスイッチ回路SWへと出力する。スイッチ回路SWは、比較結果に応じて、基準電圧列+Vref、−Vref、GNDのいずれかを、入力キャパシタCs1〜Cs3それぞれの一端に印加する。上述のように、比較結果を示す変換値kは−3〜+3の間の7値を取り得る。スイッチ回路SWは、kが正のとき、k個の入力キャパシタCに基準電圧+Vrefを印加し、残りに接地電圧GNDを印加する。反対にkが負のときには、(−k)個の入力キャパシタCに基準電圧−Vrefを印加し、残りに接地電圧GNDを印加する。kがゼロのとき、すべてのキャパシタCs1〜Cs3に接地電圧GNDが印加される。
すべてのキャパシタCf、Cs1〜Cs3の容量値が等しくCとすると、演算増幅器OAの反転入力端子(−)に保持される電荷Qは、
Q=−4C・Vin …(1)
で与えられる。また、演算増幅器OAの反転入力端子(−)の電位をvi、その出力電圧をvo、その利得をGとするとき、
(vi−Vref)×k×C+(vi−vo)C=Q=−4C・Vin …(2a)
vo=−G・vi …(2b)
したがって差分増幅状態φ1における単位変換回路UCの出力電圧Vout(=vo)は、式(3)で与えられる。
out=4(Vin−k/4×Vref)/{1+(k+1)/G} …(3)
いま、Gが無限大であると仮定すると、単位変換回路UCの入出力特性として式(3’)を得る。
out=4・(Vin−k×Vref/4) …(3’)
図1(c)には、式(3)で与えられる単位変換回路UCの入出力特性が示される。白丸はサブA/DコンバータSADCの基準電圧を示す。図中、黒丸は式(3’)中の右辺第2項の(k×Vref)で与えられるX軸方向のオフセット電圧を示す。すなわち単位変換回路UCは、入力電圧Vinと、オフセット電圧の差分を利得4で増幅する。
この出力信号Voutは、次段の単位変換回路UCの入力電圧Vinとして供給される。図1(a)に示すように、複数の単位変換回路UCがクロック信号と同期してパイプライン動作を行うことにより、各単位変換回路UCから順次、変換値kを示すデータD1、D2…が出力される。なお最終段の単位変換回路UCは、差分増幅処理は必要ないため、比較器列(サブA/Dコンバータ)のみで構成することができる。
特開2006−54608号公報
K. Sushihara and A. Matsuzawa、「A 7b 450MSPS 50mW CMOS ADC in 0.3mm2」、IEEE International Solid-State Circuits Conference, Digest of Technical、2002、pp.170-171 Yusuke Asada, Kei Yoshihara, Tatsuya Urano, Masaya Miyahara, and Akira、「A 6bit, 7mW, 250fJ, 700MS/s Subranging ADC」、IEEE Asian Solid-State Circuits Conference (A-SSCC)、台湾、2009年11月、5-3、pp.141-144
図1に示すような、従来のパイプライン型A/Dコンバータ1100の変換精度は、回路系の利得の正確さに依存しており、具体的にはキャパシタC、Cs〜Csの比精度と、演算増幅器OA1の利得に依存している。これまでの説明では、演算増幅器OA1の利得Gが無限大であると仮定したが、実際の演算増幅器の利得は有限であり、近年の半導体プロセスの微細化にともなってその利得はますます減少する傾向にある。分解能をNビットとし、変換誤差を1/4LSBとするときの必要利得Gは、
G(dB)>6N+10 …(4)
程度となる。したがって分解能を10ビットとすると、必要な利得Gは70dB以上、分解能を12ビットとすると必要な利得Gは82dB以上となる。近年の微細化されたCMOSデバイスを用いた演算増幅器の利得はせいぜい60dB程度であり、このような高い利得を得ることは困難となっている。
さらにこの変換方式では、演算増幅器を用いた負帰還増幅を前提としている。負帰還回路は演算増幅器の利得を上げることで、回路系の精度が、容量の比精度によって定まるように構成されているが、負帰還回路は発振やセトリング時間の増大を招きやすく、A/Dコンバータの高速化にとって大きな障害となっている。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、負帰還回路を用いないパイプライン型A/Dコンバータの提供にある。
本発明のある態様は、アナログの入力電圧をデジタルデータに変換するA/D変換方法に関する。この方法は、以下の処理を行う。
1. 入力電圧を複数のしきい値電圧と比較し、複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第1ステップ
2. 入力電圧が属するセグメントを挟む第1電圧と第2電圧を生成する第2ステップ
3. 第1電圧と入力電圧の差分を、所定のコモン電圧を基準として増幅することにより第3電圧を生成する第3ステップ
4. 第2電圧と入力電圧の差分を、コモン電圧を基準として増幅することにより第4電圧を生成する第4ステップ
5. 第3電圧と第4電圧の間を、複数のセグメントに分割し、コモン電圧が複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第5ステップ
6. コモン電圧が属するセグメントを挟む第5電圧と第6電圧を生成する第6ステップ
7. 第5電圧とコモン電圧の差分を、コモン電圧を基準として増幅することにより第7電圧を生成する第7ステップ
8. 第6電圧とコモン電圧の差分を、コモン電圧を基準として増幅することにより第8電圧を生成する第8ステップ
第5ステップから第8ステップは繰り返し実行されるものであり、第8ステップから第5ステップに戻るとき、前回の第7ステップで得られた第7電圧を次の第5ステップの第3電圧として、前回の第8ステップで得られた第8電圧を次の第5ステップの第4電圧として利用する。
この態様によると、高速なA/D変換が実現できる。
第6ステップにおいて、第5電圧と第6電圧はそれぞれ、第3電圧と第4電圧を補間することにより生成されてもよい。
第1電圧から第8電圧はそれぞれ、差動信号として生成されてもよい。
第6ステップにおいて、第5電圧と第6電圧は、第3電圧と第4電圧を外挿補間することにより生成されてもよい。
本発明の別の態様は、アナログの入力電圧をデジタルデータに変換するパイプライン型A/Dコンバータに関する。このA/Dコンバータは、直列に接続されたA型変換回路、少なくともひとつのB型変換回路、および比較器列を備える。
A型変換回路は、入力電圧を複数のしきい値電圧と比較し、複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第1サブA/Dコンバータと、入力電圧が属するセグメントの上限以上の電圧レベルを有する第1電圧を生成し、第1電圧と入力電圧の差分を所定のコモン電圧を基準として増幅することにより第3電圧を生成し、後段のB型変換回路に出力する第1増幅回路と、入力電圧が属するセグメントの下限以下の電圧レベルを有する第2電圧を生成し、第2電圧と入力電圧の差分を所定のコモン電圧を基準として増幅することにより第4電圧を生成し、後段のB型変換回路に出力する第2増幅回路と、を備える。
B型変換回路は、前段からの第3電圧と第4電圧の間を複数のセグメントに分割し、コモン電圧が複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第2サブA/Dコンバータと、コモン電圧が属するセグメントの上限以上の電圧レベルを有する第5電圧とコモン電圧の差分を、コモン電圧を基準として増幅することにより第7電圧を生成し、後段のB型変換回路に第3電圧として出力する第3増幅回路と、コモン電圧が属するセグメントの下限以下の電圧レベルを有する第6電圧とコモン電圧の差分を、コモン電圧を基準として増幅することにより第8電圧を生成し、後段のB型変換回路に第4電圧として出力する第4増幅回路と、を備える。比較器列は、前段のB型変換回路からの第3電圧と第4電圧の間を複数のセグメントに分割し、コモン電圧が複数のセグメントのいずれに属するかを判定する。
この態様によると、高速なA/D変換が実現できる。
第1増幅回路は、それぞれの第1端子が共通に接続された複数の第1キャパシタを含む第1キャパシタ列と、標本化状態において第1キャパシタ列の第2端子に入力電圧を印加し、補間増幅状態において、第1キャパシタ列のうち、第1サブA/Dコンバータによる判定結果に応じた個数の第1キャパシタの第2端子に、基準電圧を印加する第1スイッチ回路と、第1キャパシタ列の第1端子と固定電圧端子の間に設けられ、標本化状態においてオンし、補間増幅状態においてオフする第1スイッチと、その第1入力端子にコモン電圧が入力され、その第2入力端子が第1キャパシタ列の第1端子と接続された第1増幅器と、を含んでもよい。第2増幅回路は、第1増幅回路と同様に構成されてもよい。
第3増幅回路および第4増幅回路は、第3電圧と第4電圧を補間することにより、第5電圧と第6電圧を生成してもよい。
第3増幅回路は、それぞれの第1端子が共通に接続された複数の第3キャパシタを含む第3キャパシタ列と、それぞれの第1端子が第3キャパシタ列の第1端子と共通に接続された複数の第4キャパシタを含む第4キャパシタ列と、標本化状態において第3キャパシタ列の第2端子に第3電圧を印加し、補間増幅状態において、第3キャパシタ列のうち、第2サブA/Dコンバータによる判定結果に応じた個数の第3キャパシタの第2端子に、固定電圧を印加する第3スイッチ回路と、標本化状態において第4キャパシタ列の第2端子に第4電圧を印加し、補間増幅状態において、第4キャパシタ列のうち、第2サブA/Dコンバータによる判定結果に応じた個数の第4キャパシタの第2端子に、固定電圧を印加する第4スイッチ回路と、第3キャパシタ列および第4キャパシタ列の共通接続された第1端子と固定電圧端子の間に設けられ、標本化状態においてオンし、補間増幅状態においてオフする第3スイッチと、その第1入力端子にコモン電圧が入力され、その第2入力端子が第3キャパシタ列および第4キャパシタ列の共通接続された第1端子と接続された第3増幅器と、を含んでもよい。第4増幅回路は、第3増幅回路と同様に構成されてもよい。
第3スイッチ回路は、補間増幅状態において、第3キャパシタ列に固定電圧を印加する際、当該固定電圧として前段からの第3電圧を印加するとともに、第4スイッチ回路は、補間増幅状態において、第4キャパシタ列に固定電圧を印加する際、当該固定電圧として前段からの第4電圧を印加することにより、前段の変換回路の増幅器のオフセット電圧をキャンセルしてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、高速なA/Dコンバータが提供される。
図1(a)〜(c)は、一般的なパイプライン型のA/Dコンバータの構成を示すブロック図および入出力特性である。 実施の形態に係るパイプライン型のA/Dコンバータの構成を示すブロック図である。 A型変換回路の機能を説明する図である。 A型変換回路の入出力特性を示す図である。 A型変換回路の構成を示す回路図である。 B型変換回路の機能を説明する図である。 A/Dコンバータの入出力特性を示す図である。 B型変換回路の構成を示す回路図である。 変形例に係るB型変換回路の構成を示す回路図である。 第2の変形例に係るB型変換回路の構成を示す回路図である。 図11(a)、(b)は、図10のB型変換回路の動作を示す図である。 図12(a)、(b)は、差動形式の増幅器を用いた場合の、A型変換回路およびB型変換回路の入出力特性を示す図である。 第3の変形例に係るB型変換回路の構成の一部を示す回路図である。 図13のB型変換回路の入出力特性を示す図である。 ダイナミック型差動増幅器の構成を示す回路図である。 図15のダイナミック型差動増幅器の動作を示す波形図である。 比較技術に係る増幅器の構成を示す回路図である。 図18(a)、(b)は、図15のダイナミック型差動増幅器の具体例を示す回路図である。 図19(a)、(b)は、ダイナミック型差動増幅器の別の具体例を示す回路図である。 図15のダイナミック型差動増幅器の変形例を示す回路図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図2は、実施の形態に係るパイプライン型のA/Dコンバータ100の構成を示すブロック図である。A/Dコンバータ100は、アナログ入力電圧VIをデジタルデータDOUTに変換する。アナログ入力信号VIの入力電圧範囲は、−Vref〜+Vrefであるとする。
A/Dコンバータ100は、直列に接続されたA型変換回路UCAと、少なくともひとつのB型変換回路UCB〜UCBと、比較器列(コンパレータアレイ)CAと、を備える。最終段の比較器列CAは、後述するB型変換回路の第2サブA/Dコンバータ20と同様の処理を行うため、(n+1)段目のB型変換回路UCBn+1の一部として構成されてもよいし、比較器列単体として構成されてもよい。
変換回路UCA、UCB〜UCBおよび比較器列CAは、最上位ビットMSBから最下位ビットLSBに向けてmビットずつ、順次A/D変換を実行する。
各変換回路UCA、UCB〜UCBは、標本化状態φ0と、差分増幅状態(補間増幅状態)φ1、をクロック信号と同期しながら時分割的に交互に繰り返す。あるステージの変換回路が標本化状態φ0にあるとき、それと隣接するステージの変換回路は差分増幅状態(補間増幅状態)φ1にある。
(A型変換回路)
はじめに初段に設けられたA型変換回路UCAについて説明する。
図3は、A型変換回路UCAの機能を説明する図である。A型変換回路UCAは、入力信号VIと、基準電圧列VREF(たとえば、+Vref、−Vref、GND=0Vの3つの電圧)を受ける。A型変換回路UCAは、標本化状態φ0と差分増幅状態φ1を交互に繰り返す。
標本化状態φ0において、A型変換回路UCAは、基準電圧−VrefとVrefの間を、複数のセグメントSEGに分割し、入力信号VIがいずれのセグメントに属するか判定する(標本化)。
具体的にはA型変換回路UCAは、入力電圧VIを、基準電圧−VrefとVrefの間に間隔ΔV(=Vref/M)に配置された複数のしきい値電圧列Vthと比較し、比較結果を示す変換データD1を出力する。変換データD1は、入力電圧VIが属するセグメントの番号kを示している。図3では、入力電圧VIがセグメントSEGに属する場合を示す。
続いてクロック信号の位相が切りかわると、A型変換回路UCAは差分増幅状態φ1となる。A型変換回路UCAは、入力電圧VIに応じた2つの中間電圧Vm、Vmを生成する。
第1中間電圧Vmは、所定のコモン電圧Vcおよび整数のパラメータkを用いて、
Vm=Vc+k×Vref/M …(5a)
で与えられる電圧であり、かつ入力電圧VIが属するセグメントSEGの上側のしきい値電圧より高い電圧である。
第2中間電圧Vmは、整数のパラメータkを用いて、
Vm=Vc+k×Vref/M …(5b)
で与えられる電圧であり、かつ入力電圧VIが属するセグメントSEGの下側のしきい値電圧より低い電圧である。つまり、中間電圧Vm、Vmは、セグメントSEGを挟み込むように決定される。
なお、中間電圧Vm、Vmは、セグメントSEG間のしきい値電圧に対してオフセットさせることが望ましい。オフセット量は、Vref/(2M)が好適である。
そして、A型変換回路UCAは、入力電圧VIと中間電圧Vmの差分を、コモン電圧Vcを基準として利得Gで増幅して第1出力電圧Vaを生成する。同様に、入力電圧VIと中間電圧Vmの差分を、コモン電圧Vcを基準として利得Gで増幅して第2出力電圧Vbを生成する。第1出力電圧Va、第2出力電圧Vbは、それぞれ第1出力端子Po、第2出力端子Poから出力する。
Va=G×(Vm−VI−Vc)+Vc
=G×(k×Vref/M−VI)+Vc …(6a)
Vb=G×(Vm−VI−Vc)+Vc
=G×(k×Vref/M−VI)+Vc …(6b)
つまり式(6a)、(6b)で表される差分増幅処理は、入力電圧VIをコモン電圧Vcにシフト(オフセット)し、中間電圧Vmと入力電圧VIの電位差を増幅した電圧Vaと、中間電圧Vmと入力電圧VIの電位差を増幅した電圧Vbを生成する処理と理解できる。
図4は、A型変換回路UCAの入出力特性を示す図である。以下では、説明の簡素化と理解の容易のために、コモン電圧Vcを接地電圧GND(=0V)として説明する。
第1出力電圧Va、第2出力電圧Vbは、以下の式で与えられる。
Va=G×(VI−k/M・Vref) …(7a)
Vb=G×(VI−k/M・Vref) …(7b)
、kはそれぞれ、2つの直線Va、Vbが、入力電圧VIの電圧範囲を挟むように決められた整数のパラメータである。式(7a)は、傾きがG、x切片が(k/M・Vref)である直線を表し、式(7b)は、傾きがG、x切片が(k/M・Vref)である直線を表す。以下、(k/M・Vref)を第1オフセット電圧、(k/M・Vref)を第2オフセット電圧と称する。
数値k、kは、整数のパラメータα(α≧1)を用いて、以下のように決めてもよい。
=(k+α)
=(k−α)
図4および式(7a)、(7b)から明らかなように、2つの出力電圧Va、Vbの差分(Vb−Va)は、
Vb−Va=G×(k−k)/M・Vref=G×2α/M・Vref …(8)
となり、入力電圧VIの値によらず一定となる。つまり、後段の回路の入力電圧範囲も、入力電圧VIによらずにほぼ一定となる。たとえば
Vb−Va=Vref …(8a)
となるように、つまりG×2α/M=1となるようにα、M、Gの値を決めるとよい。
図4には、M=4、G=2の場合が示され、しきい値電圧Vthは白丸で示される。たとえば標本化状態φ0において、入力電圧VIがk=0すなわち、−Vref/8<VI<Vref/8と判定されると、
Va=G×(VI−1/M・Vref) …(9a)
Vb=G×(VI+1/M・Vref) …(9b)
で与えられる出力電圧Va、Vbが出力される。ここではα=1としている。
続いてA型変換回路UCAの具体的な構成例を説明する。
図5は、A型変換回路UCAの構成を示す回路図である。A型変換回路UCAは、第1サブA/Dコンバータ10、第1増幅回路11a、第2増幅回路11bを備える。
第1サブA/Dコンバータ10は、標本化状態φ0において、入力電圧VIをしきい値電圧列Vthと比較し、入力電圧Viが複数のセグメントのいずれに属するかを判定し、結果を示す変換データD1を生成する。たとえば、しきい値電圧列Vthは、
Vth=Vref/(2M)+j×Vref/M …(10)
を満たすように決定してもよい。ここでjは、−M〜Mの範囲をとる整数である。
第1サブA/Dコンバータ10によって、入力信号VIが以下のように標本化される。
−Vref<VI<−5/8×Vref k=−3
−5/8×Vref<VI<−3/8×Vref k=−2
−3/8×Vref<VI<−1/8×Vref k=−1
−1/8×Vref<VI<+1/8×Vref k=0
+1/8×Vref<VI<+3/8×Vref k=1
+3/8×Vref<VI<+5/8×Vref k=2
+5/8×Vref<VI<+Vref k=3
第1サブA/Dコンバータ10の構成は特に限定されず、公知の、あるいは将来において利用可能となる技術を用いればよい。たとえば、本発明者が提案した非特許文献1、2に記載のコンパレータを、本発明の第1サブA/Dコンバータ10として好適に利用することができる。あるいは、基準電圧列−Vref、GND、Vrefを抵抗分圧することによってしきい値電圧Vthを生成し、コンパレータアレイ(比較器列)を用いて電圧比較を行ってもよい。
第1増幅回路11aは、入力電圧VIが属するセグメントの上限以上の電圧レベルを有する第1電圧Vmを生成し、第1電圧Vmと入力電圧VIの差分を所定のコモン電圧Vcを基準として増幅し、第3電圧Vaを生成する。
第2増幅回路11bは、入力電圧VIが属するセグメントの下限以下の電圧レベルを有する第2電圧Vmを生成し、第2電圧Vmと入力電圧VIの差分を所定のコモン電圧Vcを基準として増幅し、第3電圧Vbを生成する。第1電圧Vmと第2電圧Vmは、入力電圧VIが属するセグメントを挟んでいる。
第1増幅回路11aは、第1スイッチ回路12a、第1増幅器14a、第1キャパシタ列Ca1〜CaM、第1スイッチS1aを含む。同様に、第2増幅回路11bは第2スイッチ回路12b、第2増幅器14b、第2キャパシタ列Cb1〜CbM、第2スイッチS1bを含む。
まず第1増幅回路11aについて説明する。第1増幅器14aは反転増幅器であり、その利得は(−G)である。第1増幅器14aの非反転入力端子にはコモン電圧Vc(接地電圧GND)が印加されており、その反転入力端子の電圧がViであるとき、その出力電圧Vaは、
Va=−G×Vi …(11)
となる。
第1スイッチS1aは、第1増幅器14aの反転入力端子と固定電圧端子(接地端子)の間に設けられる。第1スイッチS1aは、標本化状態φ0においてオンし、差分増幅状態φ1においてオフする。
第1キャパシタ列Ca1〜CaMそれぞれの一端(第1端子)は、第1増幅器14aの反転入力端子と共通に接続される。キャパシタCa1〜CaMの容量値は、等しくCであるものとする。
第1スイッチ回路12aには、第1サブA/Dコンバータ10による比較結果、すなわち値kを示す変換データD1、もしくはそれに応じた制御信号が与えられる。第1スイッチ回路12aは、その内部に複数のスイッチを含むスイッチマトリクスであり、第1キャパシタ列Ca1〜CaMそれぞれの他端(第2端子)に、変換データD1の値kに応じて、入力電圧VI、基準電圧Vref、GND、−Vrefのいずれかを選択的に印加する。
具体的には、標本化状態φ0において第1スイッチ回路12aは、すべてのキャパシタCa1〜CaMの第2端子に入力電圧VIを印加する。このとき、第1スイッチS1aはオンしているから、キャパシタCa1〜CaMは、入力電圧VIによって充電され、それらに蓄えられる電荷の総量Qは、
Q=−M・C・VI (12)
となる。
第1スイッチ回路12aは、差分増幅状態φ1において、キャパシタCa1〜CaMのうち、j個のキャパシタの第2端子に基準電圧Vrefを印加し、残りのキャパシタの第2端子に接地電圧GNDを印加する。個数jは、値kに応じて定められる。このとき、第1増幅器14aの反転入力端子の電位をviとすると、電荷の保存則によって以下の式(13)が成り立つ。
j・C・(VI−Vref)+(M−j)・C・VI=Q=−M・C・VI …(13)
式(13)を整理すると、
vi=−(VI+j・Vref/M) …(14)
を得る。式(11)、(14)から、第1出力電圧Vaは、式(15)で与えられる。
Va=−G×Vi=G×(VI+j・Vref/M) …(15)
第1スイッチ回路12aが、j個のキャパシタの第2端子に基準電圧−Vrefを印加し、残りのキャパシタの第2端子に接地電圧GNDを印加した場合、第1出力電圧Vaは、式(16)で与えられる。
Va=−G×Vi=G×(VI−j・Vref/M) …(16)
つまり、図5のA型変換回路UCAによれば、上述の式(7a)を満たす第1出力電圧Vaを生成することができる。式(7a)においてk=k+1とする場合、第1スイッチ回路12aの状態は以下の通りである。
(1)k≧0のとき
第1スイッチ回路12aは、(k+1)個のキャパシタに−Vrefを印加し、残りのM−(k+1)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(2)k=−1のとき
第1スイッチ回路12aはM個すべてのキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(3)k≦−2のとき
第1スイッチ回路12aは、(−k+1)個のキャパシタに基準電圧Vrefを印加し、残りのM−(−k+1)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
=k+αと一般化すると、第1スイッチ回路12aの状態は以下の通りとなる。
(1)k≧1のとき
第1スイッチ回路12aは、k個のキャパシタに−Vrefを印加し、残りのM−(k)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(2)k=0のとき
第1スイッチ回路12aはM個すべてのキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(3)k≦−1のとき
第1スイッチ回路12aは、k個のキャパシタに基準電圧Vrefを印加し、残りのM−(k)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
第2スイッチ回路12b、第2増幅器14b、キャパシタCb1〜CbM、第2スイッチS1bを含む回路群は、第2出力電圧Vbを生成し、上述した第1出力電圧Vaを生成する回路群と同様に構成され、式(7b)を満たす第2出力電圧Vbを生成する。
式(7b)においてk=k−1とする場合、第2スイッチ回路12bの状態は、以下の通りである。
(1)k≧2のとき
第2スイッチ回路12bは、(k−1)個のキャパシタに−Vrefを印加し、残りのM−(k−1)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(2)k=1のとき
第2スイッチ回路12bはM個すべてのキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(3)k≦0
第2スイッチ回路12bは、(−k+1)個のキャパシタに基準電圧Vrefを印加し、残りのM−(−k+1)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
=k−αと一般化すると、第2スイッチ回路12bの状態は以下の通りとなる。
(1)k≧1のとき
第2スイッチ回路12bは、k個のキャパシタに−Vrefを印加し、残りのM−(k)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(2)k=0のとき
第2スイッチ回路12bはM個すべてのキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
(3)k≦−1のとき
第2スイッチ回路12bは、k個のキャパシタに基準電圧Vrefを印加し、残りのM−(k)個のキャパシタに接地電圧GNDを印加する。
以上がA型変換回路UCAの構成である。コモン電圧Vcを接地電圧GNDとは異なる電圧とする場合、図中の接地端子をコモン電圧端子と置き換えればよい。
(B型変換回路)
B型変換回路UCBは、前段のA型変換回路UCAもしくはB型変換回路UCBからの第1入力電圧(第3電圧)Vi、第2入力電圧(第4電圧)Viを受ける。以下では理解の容易のため、前段がA型変換回路UCAであるものとして説明する。
はじめにB型変換回路UCBの機能を説明する。B型変換回路UCBは、標本化状態φ0と補間増幅状態φ1を交互に繰り返す。図6は、B型変換回路UCBの機能を説明する図である。図7は、A/Dコンバータ100の入出力特性を示す図である。
上述のように、前段のA型変換回路UCAによって生成される入力電圧Vi、Viは、入力電圧VIがコモン電圧Vcと一致するように電圧変換されている。そこでB型変換回路UCBは標本化状態φ0において、2つの入力電圧Vi、Viの間を複数のセグメントSEG〜SEGに分割し、コモン電圧Vc(GND)がいずれのセグメントSEGに属するかを判定する。セグメントSEGの間隔は、等しく以下のΔVに設定される。
ΔV=(Vi−Vi)/L …(17)
Lは2以上の整数である。上述したように前段からの2つの電圧Vi(Va)、Vi(Vb)の差分は、式(8)で与えられるから、セグメントSEGの間隔ΔVは、
ΔV=G×2α/M・Vref/L …(18)
となり、もとの基準電圧Vrefと比例する。式(8a)が成り立つとき、
ΔV=Vref/L …(18a)
である。
図6ではL=8の場合が示される。B型変換回路UCBは、外部からの基準電圧Vref、−Vrefを用いず、前段からの入力電圧Vi、Viを利用して標本化(量子化)を行う点が、B型変換回路UCBの特徴のひとつである。
B型変換回路UCBは、コモン電圧Vc(GND)がj番目のセグメントSEGに属するとき、値jを示す変換データD2を出力する。図6では、接地電圧GNDがj=4番目のセグメントSEGに属している状態を示している。
B型変換回路UCBにおける標本化は、前段において得られた2つのオフセット電圧(k×Vref/M)と(k×Vref/M)の間を複数のセグメントに分割したときに、入力電圧VIがどのセグメントに属しているかを判定することと等価である。
続いてクロック信号の位相が切りかわると、B型変換回路UCBは補間増幅状態φ1となり、式(19a)〜(19d)で与えられる第7電圧(第1出力電圧)Va、第8電圧(第2出力電圧)Vbを出力する。
Vo=−H×Vm
Vm={(L−j)・Vi+j・Vi)}/L …(19a)
Vo=−H×Vm
Vm={(L−j)・Vi+j・Vi)}/L …(19b)
、jは、変換値jに応じて決められる整数である。たとえば、数値j、jは、整数のパラメータβ(β≧1)を用いて、以下のように決めてもよい。
=(j−β) …(20a)
=(j+β) …(20b)
具体的にはβ=1としてもよい。
式(19a)に現れる第5電圧(第1中間電圧と称する)Vmは、2つの入力電圧ViとViをj:(L−j)に内分する電圧である。また式(19b)に現れる第6電圧(第2中間電圧と称する)Vmは、2つの入力電圧ViとViを、j:(L−j)に内分する電圧である。
B型変換回路UCBは、2つの中間電圧Vm、Vmが、コモン電圧Vc(GND)が属するセグメントSEGを挟み込むように、内分点j、jを決定する。B型変換回路UCBは、2つの中間電圧Vm、Vmをそれぞれ、コモン電圧Vcを基準として利得(−H)で反転増幅することにより、出力電圧Vo、Voを生成する。図6には、H=4の場合が示される。
2つの出力電圧VoとVoの差分に着目すると、式(19a)、(19b)から以下の式(21)が成り立つ。
Vo−Vo=−H×{(j−j)・Va+(j−j)Vb}/L …(21)
式(21)に、式(20a)、(20b)を代入すれば、式(22)を得る。
Vb−Va=−H×{−2β・(Vb−Va)}/L …(22)
式(22)に、式(8)を代入すれば、式(23)を得る。
Vb−Va=−H×{−2β・G×2α/M・Vref}/L …(23)
β=1、H=4、G×2α/M=1、L=8が成り立つとき、
Vo−Vo=Vref
となり、後段のB型変換回路UCBに対する入力電圧範囲は一定となる。
2段目以降のB型変換回路UCBは、同様の処理を繰り返し行う。その結果、パイプライン処理によって高い分解能のA/D変換を行うことができる。
以上がB型変換回路UCBの機能である。続いて、この機能を実現するためのB型変換回路UCBの構成を説明する。図8は、B型変換回路UCBの構成を示す回路図である。
B型変換回路UCBは、第2サブA/Dコンバータ20、第7電圧(第1出力電圧)Voを生成する第3増幅回路21a、第8電圧(第2出力電圧)Voを生成する第4増幅回路21bを備える。
第2サブA/Dコンバータ20は、標本化状態φ0において、負の入力電圧(第5電圧)Viと正の入力電圧(第6電圧)Viを複数のセグメントSEG〜SEGに分割し、コモン電圧Vc(GND)がいずれのセグメントSEGに属するかを判定する。第2サブA/Dコンバータ20は、コモン電圧Vc(GND)が、j番目のセグメントSEGに属するとき、値jを示す変換データD2を出力する。
第2サブA/Dコンバータ20の構成は特に限定されず、公知の、あるいは将来において利用可能となる技術を用いればよい。第2サブA/Dコンバータ20は、図6に示すように2つの入力電圧Vi、Viを分圧することによって複数のしきい値電圧Vth〜Vthを生成し、接地電圧GNDを各しきい値電圧Vth〜Vthと比較し、標本化を行ってもよい。この場合、第2サブA/Dコンバータ20は、コンパレータアレイ(比較器列)で構成できる。この第2サブA/Dコンバータ20として、本発明者が提案した非特許文献1、2に記載のコンパレータを利用することができる。
第3増幅回路21aは、コモン電圧Vcが属するセグメントの上限以上の電圧レベルを有する第5電圧Vmとコモン電圧Vcの差分を、コモン電圧Vcを基準として増幅することにより第7電圧Voを生成する。
同様に第4増幅回路21bは、コモン電圧Vcが属するセグメントの下限以下の電圧レベルを有する第6電圧Vmとコモン電圧Vcの差分を、コモン電圧Vcを基準として増幅することにより第8電圧Voを生成する。
この第7電圧Vo、第8電圧Voはそれぞれ、後段の第3電圧Vi、第4電圧Viとなる。
第3増幅回路21aに着目し、その構成を説明する。
第3増幅回路21aは、第3スイッチ回路22aa、第4スイッチ回路22ab、第3増幅器24a、第3キャパシタ列Caa1〜CaaL、第4キャパシタ列Cab1〜CabL、第3スイッチS1aを含む。第4増幅回路21bは、第5スイッチ回路22ba、第6スイッチ回路22bb、第4増幅器24b、第5キャパシタ列Cba1〜CbaL、第6キャパシタ列Cbb1〜CbbL、第4スイッチS1bを含む。第3増幅回路21aと第4増幅回路21bは同様に構成される。
第3増幅器24aは反転増幅器であり、それぞれの利得は(−H)である。
第3スイッチS1aは、第3増幅器24aの反転入力端子と固定電圧端子(接地端子)の間に設けられる。第3スイッチS1aは、標本化状態φ0においてオンし、補間増幅状態φ1においてオフする。
第3キャパシタ列Caa1〜CaaL、第4キャパシタ列Cab1〜CabLそれぞれの一端(第1端子)は、第3増幅器24aの反転入力端子と共通に接続される。キャパシタCaa1〜CaaL、Cab1〜CabLの容量値は、等しくCであるものとする。
第3スイッチ回路22aaおよび第4スイッチ回路22abには、第1サブA/Dコンバータ10による標本化の結果、すなわち値jを示す変換データD、もしくはそれに応じた制御信号が与えられる。第3スイッチ回路22aa、第4スイッチ回路22abは、その内部に複数のスイッチを含むスイッチマトリクスである。
標本化状態φ0において、第3スイッチ回路22aaは、第3キャパシタ列Caa1〜CaaLそれぞれの他端(第2端子)を第1入力端子Piと接続し、第4スイッチ回路22abは、第4キャパシタ列Cab1〜CabMそれぞれの他端(第2端子)を第2入力端子Piと接続する。その結果、第3キャパシタ列Caaが第1入力電圧Viで充電され、第4キャパシタ列Cabが第2入力電圧Viで充電される。
第3スイッチ回路22aaは、補間増幅状態φ1において、L個の第3キャパシタ列Caa1〜CaaLのうち(L−j)個の第2端子を固定電圧端子(接地端子)に接続し、残りのj個のキャパシタを開放、もしくは短絡する。
第4スイッチ回路22abは、補間増幅状態φ1において、L個の第4キャパシタ列Cab1〜CabLのうちj個の第2端子を固定電圧端子(接地端子PGND)に接続し、残りの(L−j)個のキャパシタを開放、もしくは短絡する。このとき第3増幅器24aの反転入力端子の電荷Qは、
Q=−C・Vi・(L−j)−C・Vi・j …(24a)
となる。このときの容量Ctotは、
Ctot=L・C …(25)
であるから、第3増幅器24aの反転入力端子の電位Vmは、
Vm=Q/Ctot={(L−j)・Vi+j・Vi}/L …(26a)
となり、式(19a)と一致することが分かる。
第3増幅器24aは、反転入力端子の電位Vmを利得(−H)で反転増幅し、第1出力端子Poから第1出力電圧Voを出力する。
Vo=(−H)×Vm …(27)
第4増幅回路21bについて説明する。標本化状態φ0において、第5スイッチ回路22baは、第5キャパシタ列Cba1〜CbaLそれぞれの他端(第2端子)を第1入力端子Piと接続し、第6スイッチ回路22bbは、第6キャパシタ列Cbb1〜CbbLそれぞれの他端(第2端子)を第2入力端子Piと接続する。その結果、第5キャパシタ列Cbaが第1入力電圧Viで充電され、第6キャパシタ列Cbbが第2入力電圧Viで充電される。
第5スイッチ回路22baは、補間増幅状態φ1において、L個の第5キャパシタ列Cba1〜CbaLのうち(L−j)個の第2端子を固定電圧端子(接地端子PGND)に接続し、残りのj個のキャパシタを開放、もしくは短絡する。
第6スイッチ回路22bbは、補間増幅状態φ1において、L個の第6キャパシタ列Cbb1〜CbbLのうちj個の第2端子を固定電圧端子(接地端子PGND)に接続し、残りの(L−j)個のキャパシタを開放、もしくは短絡する。このとき第4増幅器24bの反転入力端子の電荷Qは、
Q=−C・Vi・(L−j)−C・Vi・j …(24b)
となる。第3増幅器24aの反転入力端子の電位Vmは、
Vm=Q/Ctot={(L−j)・Vi+j・Vi}/L …(26b)
となり、式(19b)と一致することが分かる。以上がB型変換回路UCBの構成である。
実施の形態に係るA/Dコンバータ100によれば、A型変換回路UCAおよびB型変換回路UCBの増幅器の利得G、Hは、2倍〜8倍程度あれば十分であり、また従来ほど厳密な利得精度が要求されない。したがって負帰還を用いないオープンループ型の広帯域増幅器を用いることができる。負帰還系を用いる場合には、回路の安定性(発振)に十分配慮する必要があるため設計の難易度が高くなり、またセトリング時間が長くなると行った問題が生ずるが、実施の形態に係るA/Dコンバータ100は、オープンループ型で構成することができるため、このような問題を解決することができ、微細なCMOS技術を用いても、容易に高速・高精度なA/Dコンバータを実現することができる。
なお、負帰還型回路にともなう問題が解決できる場合には、実施の形態に係るA/Dコンバータ100において、負帰還型の増幅器を用いても構わないことはいうまでもない。
以下、A/Dコンバータ100の変形例を説明する。
(第1の変形例)
図9は、変形例に係るB型変換回路の構成を示す回路図である。上述のように、実施の形態に係るA/Dコンバータ100では、従来に比べて増幅器に要求される利得の精度は低くてよいが、同じ変換回路に属する第3増幅器24a、第4増幅器24bの利得Hの相対的な精度は、ある程度要求される。通常、このような相対的な精度は、集積回路技術(たとえば対応する素子同士のペアリングなど)を用いることで達成できることはよく知られている。さらに高い相対精度が要求される場合には、図9の回路が有効である。
図9のB型変換回路UCBは、図8のB型変換回路UCBに加えて、利得調整回路26をさらに備える。第3増幅器24a、第4増幅器24bは、可変利得増幅器であり、利得調整回路26は、第3増幅器24a、第4増幅器24bそれぞれの利得Hをデジタル的に調節し、直線性誤差を低減する。
また、利得調整回路26による調整に加えて、あるいはそれと代えて、第3増幅器24aと第4増幅器24bをスワップしながら、差分増幅処理を行う手法も有効である。入力スイッチ28a、28bは、入力電圧Vi、Viを、B型変換回路UCBの2つの入力端子Pi、Piに切りかえて出力する。同様に、出力スイッチ29a、29bは、B型変換回路UCBの2つの出力端子Po、Poからの電圧を、2つの出力端子Po’、Po’との間で切りかえて出力する。
第3増幅器24a、第4増幅器24bの増幅率が同一であれば、入出力端子をスワップしても変換特性は一致する。増幅率にミスマッチが生ずる場合には、利得調整回路26と組み合わせることにより、変換特性を一致させることができる。
(第2の変形例)
ところで、これまでの説明においては増幅器のオフセット電圧はゼロであることを仮定していたが、実際の増幅器には一定量をオフセット電圧があり、精度を劣化させるので、対策が必要である。そこで、第2の変形例では、増幅器のスイッチ動作を工夫することでオフセット電圧の問題を解決する。
図10は、第2の変形例に係るB型変換回路の構成を示す回路図である。図8のスイッチ回路22aa、22ab、22ba、22bbでは、接地電圧GNDをキャパシタ列Caa、Cab、Cba、Cbbに印加する構成であった。これに対して図10のスイッチ回路22aa、22ab、22ba、22bbは、前段からの入力電圧Vi、Viをキャパシタ列Caa、Cab、Cba、Cbbに印加する。
図11(a)、(b)は、図10のB型変換回路の動作を示す図である。図11(a)は標本化状態φ0を、図11(b)は補間増幅状態φ1を示す。
図11(a)を参照する。注目するB型変換回路UCBが標本化状態φ0にあるとき、前段は補間増幅状態φ1であり、前段のスイッチS1a、S1bはオフである。前段の増幅器第3増幅器24a(14a)、第4増幅器24b(14b)にオフセット電圧Voff_a、Voff_bが存在するとき、前段からの電圧Vi、Viには、信号成分Vsig_a、Vsig_bにオフセット電圧Voff_a、Voff_bが重畳されている。B型変換回路UCBにおいて、キャパシタ列は、(Vsig_a+Voff_a)、(Vsig_b+Voff_b)で充電される。ノードxに蓄積される電荷は、
=−(Vsig_a+Voff_a)・C・(L−j)−(Vsig_b+Voff_b)・C・j …(27)
続いて、注目するB型変換回路UCBが補間増幅状態φ1に遷移する。このとき前段の変換回路は標本化状態となり、スイッチS1a、S1bがオンとなる。このときのB型変換回路UCBの入力電圧Vi、Viはそれぞれ、オフセット電圧Voff_a、Voff_bとなる。図11(b)に示す補間増幅状態φ1においては、以下の関係式(28)が成り立つ。Vはノードxの電圧を示す。
(V−Voff_a)・C・(L−j)+(V+Voff_b)・C・j=Q
=−(Vsig_a+Voff_a)・C・(L−j)−(Vsig_b+Voff_b)・C・j …(28)
したがって、
(−Voff_a)・C・(L−j)+(V−Voff_b)・C・j=Q
=−{Vsig_a・(L−j)+Vsig_b・j}/L …(29)
となり、オフセット電圧Voff_a、Voff_bの影響を除去し、高精度なA/D変換が実現できる。
(第3の変形例)
これまでは、シングルエンド形式の増幅器を用いる実施例を説明したが、当業者であれば、差動形式の増幅器を利用可能であることが理解される。
図12(a)、(b)は、差動形式の増幅器を用いた場合の、A型変換回路およびB型変換回路の入出力特性を示す図である。
差動回路を用いると、コモン電圧Vcを中心とした反転信号が得られるため、実施の形態で説明した内分法(内挿補間)に加えて、外分法(外挿補間)を用いることが可能となる。図13は、第3の変形例に係るB型変換回路の構成の一部を示す回路図である。図13では、増幅器a側に関する第3増幅回路21aのみを示している。図14は、図13のB型変換回路の入出力特性を示す図である。
図8の構成では、内分法(内挿)によって、太線で示す直線Vap、Vbpの内側の直線Vin_pのみを生成できる。これに対して、図13の構成では、直線Vap、Vbpの外側の直線Vex_pを生成することができる。
図13のB型変換回路UCBは、差動形式の第1入力電圧Viap,Vian、第2入力電圧Vibp,Vibnを受ける。B型変換回路UCBの第3増幅回路21aは、第2サブA/Dコンバータ20、第3スイッチ回路22ap、22an、第3増幅器24a、キャパシタ列Cap、Can、スイッチS1aを備える。
スイッチS1aは、第3増幅器24aの入力端子の間に設けられる。
キャパシタ列Capは、第3キャパシタ列Caa1〜CaaL、第4キャパシタ列Cab1〜CabLを含む。キャパシタ列Canも同様である。
第3スイッチ回路22ap、22anはマトリクススイッチであり、第2サブA/Dコンバータ20からの制御信号に応じて、キャパシタ列Cap、Canを充電する。
内分法によって電圧を生成する場合、標本化状態φ0において第3スイッチ回路22apは、キャパシタ列Caaに対して正転の入力電圧Vapを、キャパシタ列Cabに対して正転の入力電圧Vbpを印加すればよい。第3スイッチ回路22anは、キャパシタ列Cbaに対して反転の入力電圧Vanを、キャパシタ列Cbbに対して反転の入力電圧Vbnを印加すればよい。これは図8と同様である。内分法によって、Vin_p、Vin_nを生成できる。
in_p={(L−j)Vap+j・Vbp}/L …(30p)
in_n={(L−j)Van+j・Vbn}/L …(30n)
外分法によって電圧を生成する場合、標本化状態φ0において第3スイッチ回路22apは、キャパシタ列Caaに対して正転の入力電圧Vapを、キャパシタ列Cabに対して反転の入力電圧Vbnを印加すればよい。
補間増幅状態φ1において、第3キャパシタ列Caaの(L+j)個のキャパシタを接地し、第4キャパシタ列Cabのj個のキャパシタを接地すると、第3増幅器24aの入力端子には、
ex_p={(L+j)・Vap+j・Vbn}/L …(31p)
を得る。ここでVbn=−Vbpであるから、式(31p)は、
ex_p={(L+j)・Vap−j・Vbp}/L …(31p)
と書き直される。これは、2つの電圧VapとVbpを、j:(L+j)に外分する電圧に他ならない。
第3スイッチ回路22anは、キャパシタ列Cbaに対して反転の入力電圧Vanを、キャパシタ列Cbbに対して正転の入力電圧Vbnを印加すればよい。その結果、式(31n)で表される電圧Vex_nを得る。
ex_n={(L+j)・Van−j・Vbn}/L …(31n)
これは、2つの反転電圧Van、Vbnをj:(L+j)に外分する電圧に他ならない。
すなわち図13のB型変換回路UCBでは、キャパシタ列に印加する電圧を、反転側(n)に拡張し、キャパシタの数を必要なだけ増加すればよい。外挿法を用いた場合、第3増幅器24a、第4増幅器24bの利得Hをさらに低下させることができる。
実施の形態では、コモン電圧Vcが接地電圧GNDである場合について説明したが、本発明はそれに限定されない。回路を正電圧の範囲で動作させたい場合、コモン電圧Vcは、電源電圧Vddの中点電圧Vdd/2としてもよい。あるいは、基準電圧Vrefが与えられる場合には、Vref/2としてもよい。
上述したように、同じ変換回路に属する第1増幅器14aおよび第2増幅器14bの利得(−G)には、相対的な精度は要求されるが、絶対的な精度は必要とされない。また、それぞれの利得は数倍、高くても数十倍程度で足りるという性質を有する。第3増幅器24a、第4増幅器24bについても同様である。そこでこのような特性を有するダイナミック型差動増幅器の好ましい構成を説明する。
図15は、ダイナミック型差動増幅器30の構成を示す回路図である。ダイナミック型差動増幅器30は、第1入力端子Pi1、第2入力端子Pi2に入力された信号Vi1、Vi2を増幅し、増幅された信号Vo1、Vo2を第1出力端子Po1、第2出力端子Po2から出力する。
ダイナミック型差動増幅器30は、第1負荷キャパシタCL1、第2負荷キャパシタCL2、入力差動対32、初期化回路34、制御回路36、テイル電流源M0を備える。
第1負荷キャパシタCL1は、第1出力端子Po1と固定電圧端子(接地端子)の間に設けられる。第2負荷キャパシタCL2は、第2出力端子Po2と接地端子の間に設けられる。
初期化回路34は、第1負荷キャパシタCL1、第2負荷キャパシタCL2の電荷を初期化する。初期化回路34は、たとえば初期化トランジスタM3、M4を含む。初期化トランジスタM3は、第1負荷キャパシタCL1と第2の固定電圧端子(電源端子)の間に設けられる。同様に初期化トランジスタM4は、第2負荷キャパシタCL2と電源端子の間に設けられる。初期化トランジスタM3、M4は、所定の周期でローレベルに遷移する制御クロックVCLKと同期してオン、オフが制御される。初期化トランジスタM3、M4がオンすると、第1負荷キャパシタCL1、第2負荷キャパシタCL2が電源電圧VDDによって充電され、それぞれの電荷が初期化される。
入力差動対32は、入力トランジスタM1、入力トランジスタM2を含む。入力トランジスタM1は、第1負荷キャパシタCL1を負荷とするとともに、その制御端子(ゲート)には第1入力信号Vi1が入力される。同様に入力トランジスタM2は、第2負荷キャパシタCL2を負荷とするとともに、そのゲートには第2入力信号Vi2が入力される。テイル電流源M0は、入力差動対32に動作電流(テイル電流)I=ID1+ID2を供給する。
制御回路36は、第1出力端子Po1と第2出力端子Po2それぞれの電位Vo1、Vo2の中点電圧(Vo1+Vo2)/2が、所定のしきい値電圧Vthに達すると、第1負荷キャパシタCL1および第2負荷キャパシタCL2の充放電経路を遮断する。
第1負荷キャパシタCL1と第2負荷キャパシタCL2の充放電経路を遮断するために、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2が設けられる。第1スイッチSW1は、第1負荷キャパシタCL1と入力トランジスタM1の間に設けられる。第2スイッチSW2は、第2負荷キャパシタCL2と入力トランジスタM2の間に設けられる。
制御回路36は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のオン、オフ状態を切りかえることにより、第1負荷キャパシタCL1および第2負荷キャパシタCL2の充放電経路の導通、遮断を切りかえる。
以上がダイナミック型差動増幅器30の基本的な構成である。続いてその動作を説明する。図16は、図15のダイナミック型差動増幅器30の動作を示す波形図である。横軸は時間、縦軸は出力電圧Vo1、Vo2を示す。
1. 初期化状態
増幅に先立ち、ダイナミック型差動増幅器30は初期化状態にセットされる(t<t)。初期化状態において、制御クロックVCLKがローレベルとなり初期化トランジスタM3、M4がオンする。また制御回路36は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2をオンする。その結果、第1負荷キャパシタCL1、第2負荷キャパシタCL2に電源電圧VDDが印加され、出力電圧Vo1、Vo2が電源電圧VDDに初期化される。
2. 増幅状態
制御クロックVCLKがハイレベルとなると、初期化トランジスタM3、M4がオフし、増幅状態となる(t<t<t)。増幅状態では、入力トランジスタM1、入力トランジスタM2それぞれに、入力電圧Vi1、Vi2に応じた電流ID1、ID2が流れる。電流ID1、ID2は、入力トランジスタM1、入力トランジスタM2の相互コンダクタンスをg、テイル電流をIとして、式(32a)、(32b)で与えられる。
D1=I/2+g×(Vi1−Vi2)/2 …(32a)
D2=I/2−g×(Vi1−Vi2)/2 …(32b)
なお、I=ID1+ID2が成り立つ。
増幅開始からの経過時間をtとすると、出力電圧Vo1、Vo2はそれぞれ、式(33a)、(33b)で与えられる。
o1=VDD−ID1/CL1・t …(33a)
o2=VDD−ID2/CL2・t …(33b)
制御回路36は、出力電圧Vo1、Vo2の中点電圧V=(Vo1+Vo2)/2を監視し、所定のしきい値電圧Vthに達すると、その時刻tに第1スイッチSW1、第2スイッチSW2をオフする。第1負荷キャパシタCL1、第2負荷キャパシタCL2の容量値を等しくCと書くとき、中点電圧Vは、式(34)で与えられる。
=VDD−I×t/(2×C) …(34)
しきい値電圧Vthが、電源電圧の中点電圧VDD/2であるとき、増幅状態の期間Tは、式(35)で与えられる。
T=C×VDD/I …(35)
このときの出力電圧Vo1、Vo2は、式(36a)、(36b)となる。
o1=VDD/2−gm1/2×(Vi1−Vi2)/I×VDD …(36a)
o2=VDD/2+gm2/2×(Vi1−Vi2)/I×VDD …(36b)
したがって、ダイナミック型差動増幅器30の差動利得Gは、式(37)で与えられる。
G=(Vo1−Vo2)/(Vi1−Vi2
=−(gm1+gm2)/2×VDD/(ID1+ID2) …(37)
入力トランジスタM1、入力トランジスタM2のコンダクタンスは、
m1=2×ID1/Veff …(38a)
m2=2×ID2/Veff …(38b)
であるから、この関係を式(37)に代入して、式(39)を得る。
G=−VDD/Veff …(39)
なお、Veff=VGS−Vtである。VGSはゲートソース間電圧、VtはMOSFETのゲートソース間しきい値電圧である。
図15のダイナミック型差動増幅器30の1回の増幅当たりの消費エネルギーEは、
=Q・VDD=2・I・T・VDD=C・VDD …(40)
となる。したがって消費電力Pは、繰り返し周波数をfとして、
=f・E=f・C・VDD …(41)
となる。
図15のダイナミック型差動増幅器30の利点は、図17の増幅器との対比によって明確となる。図17は、比較技術に係る増幅器1030の構成を示す回路図である。増幅器1030は、初期化回路に代えて、負荷抵抗RL1、RL2を備える。キャパシタCL1、CL2およびスイッチSW1、SW2は、トランジスタM1、M2のドレイン電圧をサンプリングするために設けられ、図15のダイナミック型差動増幅器30とは機能が異なっていることに留意すべきである。
増幅器1030は、入力トランジスタM1、入力トランジスタM2のドレイン電流が、負荷抵抗RL1、RL2に定常的に流れる。バイアス状態での出力電圧Vo1、Vo2は、電源電圧VDDの1/2程度に設定されるため、抵抗RL1、RL2は、
=VDD/2I …(42)
が成り立つ。ここでR=RL1=RL2、I=(ID1+ID2)/2である。トランジスタM1、M2の相互コンダクタンスgは、MOSトランジスタの飽和領域での電圧電流の関係式から、
=2・I/Veff …(43)
で与えられる。したがってこの回路の差動利得Gは、
G=−g・R=−VDD/Veff …(44)
となる。つまり、図15のダイナミック型差動増幅器30の利得は、図17の増幅器1030と同じ利得を有することがわかる。
図17の増幅器の消費電力について検討する。電圧Veffは通常0.2V程度であるため、VDD=1Vとすると、約5倍となる。増幅器1030の時間応答は、
o1−Vo2=G・(Vi1−Vi2)・(1−e1/τ) …(45)
τ=R・C
である。この回路には定常電流2・Iが流れることを考慮すると、その消費電力Pは、
=2・I・VDD=VDD /R=C・VDD /τ …(46)
式(45)から明らかなように、増幅器1030の応答時定数τは、抵抗と容量の積で定まるところ、応答速度を速く、つまり時定数τを短くするためには、抵抗値を下げる必要がある。ところが抵抗値を下げると、式(46)で与えられる消費電力は、それと反比例して増加する。
図17の増幅器において、1%のセトリングを仮定すると、半周期で5・τは必要であるため、その消費電力Pは、式(47)で与えられる。
=C・VDD /τ=10・f・C・VDD …(47)
図17の図15の増幅器を対比すると、図15のダイナミック型差動増幅器30の利点が以下のように明らかとなる。
まず、図15のダイナミック型差動増幅器30では、その消費電力Pは式(41)で与えられるため、式(47)で与えられる図17の増幅器1030の消費電力Pに比べて、約1/10程度まで低減できることがわかる。
図17の回路でも、繰り返し周波数fに反比例して負荷抵抗Rを設計すると、消費電力を下げることができるが、広帯域にわたり抵抗値を可変とすることは容易ではなく、非現実的である。つまり現実的には、想定される最高繰り返し周波数fcmaxにおいて十分な応答速度が得られるように抵抗Rを低く設定せざるを得ず、式(47)に示すように消費電力は大きくなる。この点、図15の構成によれば、式(41)に示すように、消費電力は動作電流とは無関係であるため、高速化を目的として動作電流を大きくしても消費電力は増大しないという利点がある。また周波数fを下げた場合には、きわめて低消費電力で動作する増幅器を提供することができる。
続いて、ダイナミック型差動増幅器30のより具体的な構成例を説明する。
図18(a)、(b)は、図15のダイナミック型差動増幅器30の具体例を示す回路図である。
図18(a)のダイナミック型差動増幅器30aにおいて、制御回路36aは、第1分圧キャパシタC、第2分圧キャパシタC、比較器38を含む。第1分圧キャパシタC、第2分圧キャパシタCは、第1出力端子Po1と第2出力端子Po2の間に直列に設けられる。第1分圧キャパシタCと第2分圧キャパシタCの容量値は等しくCである。比較器38は、第1分圧キャパシタC、第2分圧キャパシタCの接続点の電位Vを所定のしきい値電圧Vthと比較し、比較結果に応じた信号によってスイッチSW1、SW2を制御する。
図18(a)の下段に示すように、比較器38は、インバータ39を含んでもよい。インバータ39は、電源電圧VDDと接地電圧GNDを受けており、そのしきい値電圧VthはVDD/2となる。インバータ39の段数は、スイッチSW1、SW2の制御論理に応じて設計すればよい。
初期化回路34aは、第1分圧キャパシタCと第2分圧キャパシタCの接続点Nの電位Vを、第1出力端子Po1、第2出力端子Po2と同じく、電源電圧VDDに初期化する。具体的には、ノードNと電源端子の間に、初期化トランジスタM5が設けられており、これがオンすることにより、ノードNの電位が初期化される。
初期化によってキャパシタC、Cの電荷がゼロに初期化される。プリチャージが解除されて増幅が開始する。第1出力端子Po1、第2出力端子Po2に出力電圧V、Vが発生するとき、寄生容量を無視すると式(48)が成り立つ。
(V−V)=C(V−V) …(48)
式(48)をVについて解くと、式(49)を得る。
=(V+V)/2 …(49)
つまり、接続点Nの電位Vは、2つの出力電圧Vo1、Vo2の中点電圧となり、図15の回路と同様に、中点電圧Vをしきい値電圧と比較できる。
またテイル電流源M0のゲートには、制御クロックVCLKが入力される。これによりテイル電流源M0を初期化状態においてオフすることができるため、消費電力をさらに低減することができる。
図18(b)のダイナミック型差動増幅器30bは、図18(a)のダイナミック型差動増幅器30aに加えて、論理ゲート40を備える。論理ゲート40は、制御回路36の出力信号CNTと、制御クロックVCLKの論理積を、テイル電流源M0のゲートに供給する。この構成によれば、第1負荷キャパシタCL1、第2負荷キャパシタCL2の充放電経路を、より確実に遮断することができる。また、テイル電流源M0をオフすることにより、第1出力端子Po1、第2出力端子Po2の電位が接地電位(0V)まで下がらない。したがって、図18(a)よりもさらに消費電力を低減できる。
図19(a)、(b)は、ダイナミック型差動増幅器の別の具体例を示す回路図である。図19(a)のダイナミック型差動増幅器30cにおいて、制御回路36cは論理ゲートで構成される。具体的には、制御回路36cはANDゲートである。図19(b)は、制御回路36cの具体的な構成を示す回路図である。制御回路36cは、NANDゲート42と、その後段に設けられたインバータ(NOTゲート)44を含む。
NANDゲート42は、PチャンネルトランジスタMP1、MP2、NチャンネルトランジスタMN1、MN2、MN3、MN4を含む。第1PチャンネルトランジスタMP1、第1NチャンネルトランジスタMN1、第2NチャンネルトランジスタMN2は、電源端子と接地端子の間に第1経路を形成するように順にスタックされる。第2PチャンネルトランジスタMP2、第3NチャンネルトランジスタMN3、第4NチャンネルトランジスタMN4は、電源端子と接地端子の間に、第1経路と並列な第2経路を形成するように順にスタックされる。
第1PチャンネルトランジスタMP1、第1NチャンネルトランジスタMN1、第4NチャンネルトランジスタMN4のゲートには、第1入力信号Vが印加される。第2PチャンネルトランジスタMP2、第2NチャンネルトランジスタMN2、第3NチャンネルトランジスタMN3のゲートには、第2入力信号Vが印加される。NANDゲート42の出力端子は、第1、第2PチャンネルトランジスタMP1、MP2のドレインと接続される。
Nチャンネルトランジスタの平均ドレイン電流をIDN、Pチャンネルトランジスタの平均ドレイン電流をIDPとすると、微細なトランジスタでは、電圧−電流特性は式(50a)、(50b)で近似できる。
DN=K(VGS−VTN) …(50a)
DP=−K(VGS−VTP) …(50b)
のNANDゲート42の出力は、Pチャンネルトランジスタを流れる全電流と、Nチャンネルトランジスタに流れる全電流が等しいときに、論理状態が遷移する。したがって、
DN=K(V−VTN)+K(V−VTN
=2・K{(V+V)/2−VTN} …(51a)
DP=K(VDD−V+VTP)+K(VDD−V+VTP
=2・K{−(V+V)/2+VDD+VTP} …(51b)
これらより、IDN=IDPを与える入力電圧V、Vは、
(V+V)/2=(K・VTN+K・VTP)/(K+K)+K/(K+K)・VDD …(52)
となり、VとVの中点電圧で出力論理状態が切り替わることがわかる。このように、分圧キャパシタC、Cに代えて、図19(b)に示すNANDゲート42を用いることによっても、中点電圧をしきい値電圧Vthと比較することができる。
なお、図15〜図19では、入力差動対32がNチャンネルMOSFETで構成される場合を示したが、これと反対に、PチャンネルMOSFETを用いて構成してもよい。この場合、NチャンネルとPチャンネルを置換するとともに、電源電圧と接地電圧を天地反転し、さらに必要に応じて、各トランジスタのゲート信号を反転すればよい。
実施の形態では、制御回路36が、出力電圧Vo1とVo2の中点電圧Vxに応じて、負荷キャパシタCL1、CL2の充放電経路を遮断する場合を説明したが、放電開始からの経過時間を測定するタイマー回路で構成されてもよい。
図20は、図15のダイナミック型差動増幅器30の変形例を示す回路図である。図15のダイナミック型差動増幅器30では、入力トランジスタM1、M2の動作電流を設定するためにテイル電流源M0が設けられている。テイル電流源M0のドレインソース間電圧として0.2V以上必要であるため、電源電圧VDDが低い状況での利用が難しい。そこで、図20のダイナミック型差動増幅器30dは、図15のテイル電流源M0が省略された疑似差動回路で構成される。入力トランジスタM1、M2それぞれのドレイン側には、制御クロックVCLKと同期してオン、オフが制御されるスイッチトランジスタM5、M6が設けられる。スイッチトランジスタM5、M6は、初期化状態においてオフ、増幅状態においてオンする。
図20のダイナミック型差動増幅器30dにおいては、入力トランジスタM1と入力トランジスタM2のゲート電圧Vi1、Vi2を制御することにより、入力トランジスタM1、入力トランジスタM2の動作電流が制御される。スイッチトランジスタM5、M6は、オン、オフの2状態で切り替わるスイッチとして機能するため、動作状態においてそれらのドレインソース間電圧Vdsは実質的にゼロとなる。したがって、ダイナミック型差動増幅器30dは、図15に比べて、テイル電流源M0のドレインソース間電圧Vds(≒0.2V)低い電源電圧VDDでも動作可能となる。
図20において、トランジスタM5、M6を省略し、それらがオフすべき期間に、入力トランジスタM1、M2がオフするようにゲート電圧Vi1、Vi2を制御してもよい。
また図20と図18(b)を組み合わせてもよい。この場合、図20のトランジスタM5、M6のゲートに、図18(b)のゲート40の出力を入力すればよい。
図15〜図20で説明したダイナミック型差動増幅器は、上述のA/Dコンバータに好適に利用できるが、その用途は限定されない。ダイナミック型差動増幅器は、利得の絶対的な精度は要求されないが、相対的な精度が要求されるさまざまなアプリケーションに利用でき、消費電力を好適に低減することができる。
実施の形態にもとづき、特定の語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
100…A/Dコンバータ、UCA…A型変換回路、UCB…B型変換回路、10…第1サブA/Dコンバータ、11a…第1増幅回路、11b…第2増幅回路、12a…第1スイッチ回路、12b…第2スイッチ回路、14a…第1増幅器、14b…第2増幅器、Ca…第1キャパシタ列、Cb…第2キャパシタ列、20…第2サブA/Dコンバータ、21a…第3増幅回路、21b…第4増幅回路、22aa…第3スイッチ回路、22ab…第4スイッチ回路、22ba…第5スイッチ回路、22bb…第6スイッチ回路、24a…第3増幅器、24b…第4増幅器、26…利得調整回路。
本発明は、パイプライン型A/Dコンバータに関する。

Claims (24)

  1. アナログの入力電圧をデジタルデータに変換するA/D変換方法であって、
    前記入力電圧を複数のしきい値電圧と比較し、複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第1ステップと、
    前記入力電圧が属するセグメントを挟む第1電圧と第2電圧を生成する第2ステップと、
    前記第1電圧と前記入力電圧の差分を、所定のコモン電圧を基準として増幅することにより第3電圧を生成する第3ステップと、
    前記第2電圧と前記入力電圧の差分を、前記コモン電圧を基準として増幅することにより第4電圧を生成する第4ステップと、
    前記第3電圧と前記第4電圧の間を、複数のセグメントに分割し、前記コモン電圧が複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第5ステップと、
    前記コモン電圧が属するセグメントを挟む第5電圧と第6電圧を生成する第6ステップと、
    前記第5電圧と前記コモン電圧の差分を、前記コモン電圧を基準として増幅することにより第7電圧を生成する第7ステップと、
    前記第6電圧と前記コモン電圧の差分を、前記コモン電圧を基準として増幅することにより第8電圧を生成する第8ステップと、
    を備え、
    前記第5ステップから第8ステップは繰り返し実行されるものであり、
    前記第8ステップから前記第5ステップに戻るとき、前回の第7ステップで得られた第7電圧を次の第5ステップの第3電圧として、前回の第8ステップで得られた第8電圧を次の第5ステップの第4電圧として利用することを特徴とするA/D変換方法。
  2. 前記第6ステップにおいて、前記第5電圧と前記第6電圧はそれぞれ、前記第3電圧と前記第4電圧を補間することにより生成されることを特徴とする請求項1に記載のA/D変換方法。
  3. 前記第1電圧から第8電圧はそれぞれ、差動信号として生成されることを特徴とする請求項1に記載のA/D変換方法。
  4. 前記第6ステップにおいて、前記第5電圧と前記第6電圧は、前記第3電圧と前記第4電圧を外挿補間することにより生成されることを特徴とする請求項3に記載のA/D変換方法。
  5. アナログの入力電圧をデジタルデータに変換するパイプライン型A/Dコンバータであって、
    直列に接続されたA型変換回路、少なくともひとつのB型変換回路および比較器列を備え、
    前記A型変換回路は、
    前記入力電圧を複数のしきい値電圧と比較し、複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第1サブA/Dコンバータと、
    前記入力電圧が属するセグメントの上限以上の電圧レベルを有する第1電圧を生成し、前記第1電圧と前記入力電圧の差分を所定のコモン電圧を基準として増幅することにより第3電圧を生成し、後段のB型変換回路に出力する第1増幅回路と、
    前記入力電圧が属するセグメントの下限以下の電圧レベルを有する第2電圧を生成し、前記第2電圧と前記入力電圧の差分を所定のコモン電圧を基準として増幅することにより第4電圧を生成し、後段のB型変換回路に出力する第2増幅回路と、
    を備え、
    前記B型変換回路は、
    前段からの前記第3電圧と前記第4電圧の間を複数のセグメントに分割し、前記コモン電圧が複数のセグメントのいずれに属するかを判定する第2サブA/Dコンバータと、
    前記コモン電圧が属するセグメントの上限以上の電圧レベルを有する第5電圧と前記コモン電圧の差分を、前記コモン電圧を基準として増幅することにより第7電圧を生成し、後段のB型変換回路に前記第3電圧として出力する第3増幅回路と、
    前記コモン電圧が属するセグメントの下限以下の電圧レベルを有する第6電圧と前記コモン電圧の差分を、前記コモン電圧を基準として増幅することにより第8電圧を生成し、後段のB型変換回路に前記第4電圧として出力する第4増幅回路と、
    を備え、
    前記比較器列は、前段のB型変換回路からの前記第3電圧と前記第4電圧の間を複数のセグメントに分割し、前記コモン電圧が複数のセグメントのいずれに属するかを判定することを特徴とするA/Dコンバータ。
  6. 前記第1増幅回路は、
    それぞれの第1端子が共通に接続された複数の第1キャパシタを含む第1キャパシタ列と、
    標本化状態において前記第1キャパシタ列の第2端子に前記入力電圧を印加し、補間増幅状態において、前記第1キャパシタ列のうち、前記第1サブA/Dコンバータによる判定結果に応じた個数の第1キャパシタの第2端子に、基準電圧を印加する第1スイッチ回路と、
    前記第1キャパシタ列の前記第1端子と固定電圧端子の間に設けられ、標本化状態においてオンし、補間増幅状態においてオフする第1スイッチと、
    その第1入力端子に前記コモン電圧が入力され、その第2入力端子が前記第1キャパシタ列の前記第1端子と接続された第1増幅器と、
    を含み、
    前記第2増幅回路は、第2キャパシタ列、第2スイッチ回路、第2スイッチ、第2増幅器を含み、前記第1増幅回路と同様に構成されることを特徴とする請求項5に記載のA/Dコンバータ。
  7. 前記第3増幅回路および前記第4増幅回路は、前記第3電圧と前記第4電圧を補間することにより、前記第5電圧と前記第6電圧を生成することを特徴とする請求項5または6に記載のA/Dコンバータ。
  8. 前記第3増幅回路は、
    それぞれの第1端子が共通に接続された複数の第3キャパシタを含む第3キャパシタ列と、
    それぞれの第1端子が前記第3キャパシタ列の前記第1端子と共通に接続された複数の第4キャパシタを含む第4キャパシタ列と、
    標本化状態において前記第3キャパシタ列の第2端子に前記第3電圧を印加し、補間増幅状態において、前記第3キャパシタ列のうち、前記第2サブA/Dコンバータによる判定結果に応じた個数の第3キャパシタの第2端子に、固定電圧を印加する第3スイッチ回路と、
    標本化状態において前記第4キャパシタ列の第2端子に前記第4電圧を印加し、補間増幅状態において、前記第4キャパシタ列のうち、前記第2サブA/Dコンバータによる判定結果に応じた個数の第4キャパシタの第2端子に、固定電圧を印加する第4スイッチ回路と、
    前記第3キャパシタ列および前記第4キャパシタ列の共通接続された前記第1端子と固定電圧端子の間に設けられ、標本化状態においてオンし、補間増幅状態においてオフする第3スイッチと、
    その第1入力端子に前記コモン電圧が入力され、その第2入力端子が前記第3キャパシタ列および前記第4キャパシタ列の共通接続された前記第1端子と接続された第3増幅器と、
    を含み、
    前記第4増幅回路は、第5キャパシタ列、第6キャパシタ列、第5スイッチ回路と、第6スイッチ回路、第4スイッチ、第4増幅器を含み、前記第3増幅回路と同様に構成されることを特徴とする請求項7に記載のA/Dコンバータ。
  9. 前記第3スイッチ回路は、補間増幅状態において、前記第3キャパシタ列に前記固定電圧を印加する際、当該固定電圧として前段からの前記第3電圧を印加するとともに、前記第4スイッチ回路は、補間増幅状態において、前記第4キャパシタ列に前記固定電圧を印加する際、当該固定電圧として前段からの前記第4電圧を印加することにより、前段の変換回路の増幅器のオフセット電圧をキャンセルすることを特徴とする請求項8に記載のA/Dコンバータ。
  10. 前記第1増幅回路から前記第4増幅回路は、差動形式で構成されることを特徴とする請求項8に記載のA/Dコンバータ。
  11. 前記第3増幅回路、前記第4増幅回路は、前記第3電圧の正転信号と反転信号、前記第4電圧の正転信号と反転信号を組み合わせることにより、前記第5電圧と前記第6電圧を、前記第3電圧と前記第4電圧の内挿補間または外挿補間のいずれかにより生成することを特徴とする請求項10に記載のA/Dコンバータ。
  12. 前記第3スイッチ回路は、標本化状態において前記第3キャパシタ列の第2端子に前記第3電圧の正転信号または反転信号を印加し、
    前記第4スイッチ回路は、標本化状態において前記第4キャパシタ列の第2端子に前記第4電圧の正転信号または反転信号を印加することを特徴とする請求項11に記載のA/Dコンバータ。
  13. 前記B型変換回路は、前記第3増幅器および前記第4増幅器の利得をデジタル制御可能な利得調整部をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のA/Dコンバータ。
  14. 前記B型変換回路の前段に設けられ、前記第3電圧と第4電圧をスワップして前記B型変換回路に供給する入力スイッチと、
    前記B型変換回路の後段に設けられ、前記第7電圧、前記第8電圧をスワップして後段のB型変換回路に出力する出力スイッチと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のA/Dコンバータ。
  15. 前記第1増幅器および前記第2増幅器はそれぞれダイナミック型差動増幅器を含み、
    前記ダイナミック型差動増幅器は、
    第1、第2入力端子と、
    第1、第2出力端子と、
    前記第1出力端子と固定電圧端子の間の設けられた第1負荷キャパシタと、
    前記第2出力端子と固定電圧端子の間の設けられた第2負荷キャパシタと、
    前記第1、第2負荷キャパシタの電荷を初期化する初期化回路と、
    前記第1、第2負荷キャパシタをそれぞれ負荷とするとともに、それぞれの制御端子が前記第1、第2入力端子と接続される第1、第2入力トランジスタを含む入力差動対と、
    前記第1出力端子と前記第2出力端子それぞれの電位の中点電圧が所定のしきい値電圧に達すると、前記第1、第2負荷キャパシタの充放電経路を遮断する制御回路と、
    を備えることを特徴とする請求項6に記載のA/Dコンバータ。
  16. 前記第3増幅器および前記第4増幅器はそれぞれダイナミック型差動増幅器を含み、
    前記ダイナミック型差動増幅器は、
    第1、第2入力端子と、
    第1、第2出力端子と、
    前記第1出力端子と固定電圧端子の間の設けられた第1負荷キャパシタと、
    前記第2出力端子と固定電圧端子の間の設けられた第2負荷キャパシタと、
    前記第1、第2負荷キャパシタの電荷を初期化する初期化回路と、
    前記第1、第2負荷キャパシタをそれぞれ負荷とするとともに、それぞれの制御端子が前記第1、第2入力端子と接続される第1、第2入力トランジスタを含む入力差動対と、
    前記第1出力端子と前記第2出力端子それぞれの電位の中点電圧が所定のしきい値電圧に達すると、前記第1、第2負荷キャパシタの充放電経路を遮断する制御回路と、
    を備えることを特徴とする請求項8に記載のA/Dコンバータ。
  17. 前記第1負荷キャパシタと前記第1入力トランジスタの間に設けられた第1スイッチと、
    前記第2負荷キャパシタと前記第2入力トランジスタの間に設けられた第2スイッチと、
    をさらに備え、
    前記制御回路は、前記第1、第2スイッチをオフすることにより、前記第1、第2負荷キャパシタの充放電経路を遮断することを特徴とする請求項15または16に記載のA/Dコンバータ。
  18. 前記ダイナミック型差動増幅器は、前記入力差動対にテイル電流を供給するテイル電流源をさらに備え、
    前記制御回路は、前記テイル電流源をオフすることにより、前記第1、第2負荷キャパシタの充放電経路を遮断することを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載のA/Dコンバータ。
  19. 前記制御回路は、
    前記第1出力端子と前記第2出力端子の間に直列に設けられた第1、第2分圧キャパシタと、
    前記第1、第2分圧キャパシタの接続点の電位を所定のしきい値電圧と比較する比較器と、
    を含むことを特徴とする請求項15から18のいずれかに記載のA/Dコンバータ。
  20. 前記比較器は、電源として電源電圧および接地電圧を受けるインバータを含むことを特徴とする請求項19に記載のA/Dコンバータ。
  21. 前記初期化回路は、前記第1、第2分圧キャパシタの接続点の電位を、前記第1、第2出力端子と同じ電位に初期化することを特徴とする請求項19に記載のA/Dコンバータ。
  22. 前記制御回路は、前記第1負荷キャパシタと前記第2負荷キャパシタそれぞれの電位を受けるNANDゲートを含み、前記NANDゲートの出力に応じて、前記第1、第2負荷キャパシタの充放電経路を遮断し、
    前記NANDゲートは、
    電源端子と接地端子の間に第1経路を形成するように順にスタックされた第1Pチャンネルトランジスタ、第1Nチャンネルトランジスタ、第2Nチャンネルトランジスタと、
    電源端子と接地端子の間に、第1経路と並列1な第2経路を形成するように順にスタックされた第2Pチャンネルトランジスタ、第3Nチャンネルトランジスタ、第4Nチャンネルトランジスタと、
    を含み、
    前記第1Pチャンネルトランジスタ、第1、第4Nチャンネルトランジスタのゲートに、第1入力信号が印加され、
    前記第2Pチャンネルトランジスタ、第2、第3Nチャンネルトランジスタのゲートに、第2入力信号が印加され、
    前記NANDゲートの出力端子が前記第1、第2Pチャンネルトランジスタのドレインと接続されていることを特徴とする請求項21に記載のA/Dコンバータ。
  23. 第1、第2入力端子と、
    第1、第2出力端子と、
    前記第1出力端子と固定電圧端子の間の設けられた第1負荷キャパシタと、
    前記第2出力端子と固定電圧端子の間の設けられた第2負荷キャパシタと、
    前記第1、第2負荷キャパシタの電荷を初期化する初期化回路と、
    前記第1、第2負荷キャパシタをそれぞれ負荷とするとともに、それぞれの制御端子が前記第1、第2入力端子と接続される第1、第2入力トランジスタを含む入力差動対と、
    前記第1出力端子と前記第2出力端子それぞれの電位の中点電圧が所定のしきい値電圧に達すると、前記第1、第2負荷キャパシタの充放電経路を遮断する制御回路と、
    を備えることを特徴とするダイナミック型差動増幅器。
  24. 前記第1負荷キャパシタと前記第1入力トランジスタの間に設けられた第1スイッチと、
    前記第2負荷キャパシタと前記第2入力トランジスタの間に設けられた第2スイッチと、
    をさらに備え、
    前記制御回路は、前記第1、第2スイッチをオフすることにより、前記第1、第2負荷キャパシタの充放電経路を遮断することを特徴とする請求項23に記載のダイナミック型差動増幅器。
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