図1は、本発明に係るデータ保持装置の一実施形態を示す回路図である。
本図に示す通り、本実施形態のデータ保持装置は、インバータINV1〜INV7と、パススイッチSW1〜SW4と、マルチプレクサMUX1、MUX2と、Nチャネル型電界効果トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bと、強誘電体素子(強誘電体キャパシタ)CL1a、CL1b、CL2a、CL2bと、を有して成るラッチ回路である。
インバータINV1の入力端は、データ信号(D)の印加端に接続されている。インバータINV1の出力端は、インバータINV2の入力端に接続されている。インバータINV2の出力端は、パススイッチSW1を介して、マルチプレクサMUX1の第1入力端(1)に接続されている。マルチプレクサMUX1の出力端は、インバータINV3の入力端に接続されている。インバータINV3の出力端は、インバータINV5の入力端に接続されている。インバータINV5の出力端は、出力信号(Q)の引出端に接続されている。マルチプレクサMUX2の第1入力端(1)は、インバータINV3の出力端に接続されている。マルチプレクサMUX2の出力端は、インバータINV4の入力端に接続されている。インバータINV4の出力端は、パススイッチSW2を介して、マルチプレクサMUX1の第1入力端(1)に接続されている。
このように、本実施形態のデータ保持装置は、ループ状に接続された2つの論理ゲート(図1ではインバータINV3、INV4)を用いて、入力されたデータ信号Dを保持するループ構造部LOOPを有して成る。
なお、ループ構造部LOOPは、第1電源電圧VDD1(例えば0.6[V])の供給を受けて駆動されるものである。
インバータINV6の入力端は、マルチプレクサMUX1の第1入力端(1)に接続されている。インバータINV6の出力端は、パススイッチSW3を介して、マルチプレクサMUX2の第2入力端(0)に接続されている。インバータINV7の入力端は、マルチプレクサMUX2の第1入力端(1)に接続されている。インバータINV7の出力端は、パススイッチSW4を介して、マルチプレクサMUX1の第2入力端(0)に接続されている。
強誘電体素子CL1aの正極端は、第1プレートラインPL1に接続されている。強誘電体素子CL1aの負極端は、マルチプレクサMUX2の第2入力端(0)に接続されている。強誘電体素子CL1aの両端間には、トランジスタQ1aが接続されている。トランジスタQ1aのゲートは、Fリセット信号FRSTの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL1bの正極端は、マルチプレクサMUX2の第2入力端(0)に接続されている。強誘電体素子CL1bの負極端は、第2プレートラインPL2に接続されている。強誘電体素子CL1bの両端間には、トランジスタQ1bが接続されている。トランジスタQ1bのゲートは、Fリセット信号FRSTの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL2aの正極端は、第1プレートラインPL1に接続されている。強誘電体素子CL2aの負極端は、マルチプレクサMUX1の第2入力端(0)に接続されている。強誘電体素子CL2aの両端間には、トランジスタQ2aが接続されている。トランジスタQ2aのゲートは、Fリセット信号FRSTの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL2bの正極端は、マルチプレクサMUX1の第2入力端(0)に接続されている。強誘電体素子CL2bの負極端は、第2プレートラインPL2に接続されている。強誘電体素子CL2bの両端間には、トランジスタQ2bが接続されている。トランジスタQ2bのゲートは、Fリセット信号FRSTの印加端に接続されている。
このように、本実施形態のデータ保持装置は、強誘電体素子(CL1a、CL1b、CL2a、CL2b)のヒステリシス特性を用いてループ構造部LOOPに保持されたデータDを不揮発的に記憶する不揮発性記憶部NVMを有して成る。
なお、不揮発性記憶部NVMは、第1電源電圧VDD1よりも高い第2電源電圧VDD2(例えば1.2[V])の供給を受けて駆動されるものである。
また、上記した構成要素のうち、パススイッチSW1は、クロック信号CLKに応じてオン/オフされ、パススイッチSW2は、反転クロック信号CLKB(クロック信号CLKの論理反転信号)に応じてオン/オフされる。すなわち、パススイッチSW1とパススイッチSW2は、互いに排他的(相補的)にオン/オフされる。
一方、パススイッチSW3、SW4は、いずれも制御信号E1に応じてオン/オフされる。また、マルチプレクサMUX1、MUX2は、いずれも制御信号E2に応じてその信号経路が切り換えられる。すなわち、本実施形態のデータ保持装置において、マルチプレクサMUX1、MUX2と、インバータINV6、INV7と、パススイッチSW3、SW4は、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとを電気的に分離する回路分離部SEPとして機能する。
なお、回路分離部SEPを形成する回路要素のうち、ループ構造部LOOPに含まれるマルチプレクサMUX1、MUX2は、第1電源電圧VDD1の供給を受けて駆動されるものであり、不揮発性記憶部NVMに含まれるパススイッチSW3、SW4は、第2電源電圧VDD2の供給を受けて駆動されるものである。
また、インバータINV6、INV7は、第1電源電圧VDD1と第2電源電圧VDD2の双方の供給を受けて駆動されるものであり、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMの間でやり取りされるデータDの電圧レベルを変換するレベルシフタとしての機能を備えている。
図2は、レベルシフト機能を備えたインバータINV6(インバータINV7についても同様)の一構成例を示す回路図である。
図2に示すように、インバータINV6(INV7)は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1〜P3と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1〜N3と、を有して成る。トランジスタN1のゲートは、入力端INに接続されている。トランジスタN1のソースは、接地端に接続されている。トランジスタN1のドレインは、トランジスタP1のドレインに接続される一方、出力端OUTにも接続されている。トランジスタP1、P2のソースは、いずれも第2電源電圧VDD2の印加端に接続されている。トランジスタP1のゲートは、トランジスタP2のドレインに接続されている。トランジスタP2のゲートは、トランジスタP1のドレインに接続されている。トランジスタP2のドレインは、トランジスタN2のドレインに接続されている。トランジスタN2のソースは、接地端に接続されている。トランジスタP3、N3のゲートは、いずれも入力端INに接続されている。トランジスタP3のソースは、第1電源電圧VDD1の印加端に接続されている。トランジスタP3のドレインは、トランジスタN3のドレインに接続される一方で、トランジスタN2のゲートにも接続されている。トランジスタN3のソースは、接地端に接続されている。
上記構成から成るインバータINV6(INV7)において、入力端INにハイレベル(第1電源電圧VDD1)の論理信号が入力された場合には、トランジスタN1、P2がオンとなり、トランジスタN2、P1がオフとなるので、出力端OUTからはローレベル(接地電圧GND)の論理信号が出力される。逆に、入力端INにローレベル(接地電圧GND)の論理信号が入力された場合には、トランジスタN1、P2がオフとなり、トランジスタN2、P1がオンとなるので、出力端OUTからはハイレベル(第2電源電圧VDD2)の論理信号が出力される。すなわち、インバータINV6(INV7)は、入力端INに入力された論理信号の論理を反転した上で、さらに、そのハイレベル電位を第1電源電圧VDD1から第2電源電圧VDD2まで引き上げて出力する。
次に、上記構成から成るデータ保持装置の動作について、詳細な説明を行う。なお、以下の説明では、強誘電体素子CL1a、CL1bの接続ノードに現れる電圧をV1、強誘電体素子CL2a、CL2bの接続ノードに現れる電圧をV2、インバータINV4の入力端に現れる電圧をV3、インバータINV4の出力端に現れる電圧をV4、インバータINV3の入力端に現れる電圧をV5、インバータINV3の出力端に現れる電圧をV6というように、各部のノード電圧に符号を付すことにする。
図3は、本発明に係るデータ保持装置の一動作例を説明するためのタイミングチャートであり、上から順番に、電源電圧(VDD1、VDD2)、クロック信号CLK、データ信号D、制御信号E1、制御信号E2、Fリセット信号FRST、第1プレートラインPL1の印加電圧、第2プレートラインPL2の印加電圧、ノード電圧V1、ノード電圧V2、及び出力信号Qの電圧波形を示している。
まず、データ保持装置の通常動作について説明する。
時点W1までは、Fリセット信号FRSTが「1(ハイレベル:VDD2)」とされており、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれも短絡されているので、これらの強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bには一切電圧が印加されない状態となっている。なお、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2は、いずれも「0(ローレベル:GND)」とされている。
また、時点W1までは、制御信号E1が「0(GND)」とされており、パススイッチSW3とパススイッチSW4がオフされているので、データ書き込み用ドライバ(図1の例ではインバータINV6、INV7)はいずれも無効とされている。
また、時点W1までは、制御信号E2が「1(VDD1)」とされており、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されているので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。
従って、クロック信号CLKのハイレベル期間には、パススイッチSW1がオンされ、パススイッチSW2がオフされるので、データ信号Dが出力信号Qとしてそのまま通過される形となる。一方、クロック信号CLKのローレベル期間には、パススイッチSW1がオフされ、パススイッチSW2がオンされるので、クロック信号CLKの立下がりエッジで、データ信号Dがラッチされる形となる。
なお、図4は、上記した通常動作時の信号経路(図中では太線として描写)を示す回路図である。
次に、強誘電体素子へのデータ書き込み動作について説明する。
時点W1〜W3では、クロック信号CLKが「0(GND)」とされて、反転クロック信号CLKBが「1(VDD1)」とされる。従って、第1パススイッチSW1がオフされ、第2パススイッチがオンされる。このように、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBの論理を予め固定しておくことにより、強誘電体素子に対するデータ書き込み動作の安定性を高めることが可能となる。
また、時点W1〜W3では、Fリセット信号FRSTが「0(GND)」とされ、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオフされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bに対する電圧印加が可能な状態とされる。
また、時点W1〜W3では、制御信号E1が「1(VDD2)」とされ、パススイッチSW3とパススイッチSW4がオンされる。従って、データ書き込み用ドライバ(図1の例ではインバータINV6、INV7)がいずれも有効とされる。
なお、時点W1〜W3では、それまでと同様、制御信号E2が「1(VDD1)」とされており、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されているので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。
また、時点W1〜W2では、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2が「0(GND)」とされ、時点W2〜W3では、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2が「1(VDD2)」とされる。すなわち、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2に対して、同一のパルス電圧が印加される。このようなパルス電圧の印加により、強誘電体素子内部の残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。
図3の例に即して具体的に述べると、時点W1では、出力信号Qが「1(VDD1)」であるため、ノード電圧V1が「0(GND)」となり、ノード電圧V2が「1(VDD2)」となる。従って、時点W1〜W2において、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2が「0(GND)」とされている間、強誘電体素子CL1a、CL1bの両端間には電圧が印加されない状態となり、強誘電体素子CL2aの両端間には負極性の電圧が印加される状態となり、強誘電体素子CL2bの両端間には正極性の電圧が印加される状態となる。一方、時点W2〜W3において、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2が「1(VDD2)」とされている間、強誘電体素子CL2a、CL2bの両端間には電圧が印加されない状態となり、強誘電体素子CL1aの両端間には正極性の電圧が印加される状態となり、強誘電体素子CL1bの両端間には負極性の電圧が印加される状態となる。
このように、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2に対して、パルス電圧を印加することにより、強誘電体素子内部の残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。なお、強誘電体素子CL1aとCL1bとの間、及び、強誘電体素子CL2aとCL2bとの間では、互いの残留分極状態が逆になる。また、強誘電体素子CL1aとCL2aとの間、及び、強誘電体素子CL1bとCL2bとの間でも、互いの残留分極状態が逆になる。
時点W3では、Fリセット信号FRSTが再び「1(VDD2)」とされることによって、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオンされ、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれも短絡されるので、これらの強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bには一切電圧が印加されない状態となる。このとき、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2は、いずれも「0(GND)」とされる。
また、時点W3では、制御信号E1が再び「0(GND)」とされ、パススイッチSW3とパススイッチSW4がオフされるので、データ書き込み用ドライバ(図1の例ではインバータINV6、INV7)がいずれも無効とされる。なお、制御信号E2については不問であるが、図3の例では「0(GND)」とされている。
そして、時点W4では、ループ構造部LOOPに対する第1電源電圧VDD1の供給と不揮発性記憶部NVMに対する第2電源電圧VDD2の供給がいずれも遮断される。このとき、Fリセット信号FRSTは、時点W3から「1(VDD2)」に維持されており、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオンされ、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれも短絡されている。従って、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bに一切電圧が印加されない状態となっているので、電源遮断時に電圧変動が生じた場合であっても、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bに意図しない電圧が印加されることはなく、データ化けを回避することが可能となる。
なお、図5は、上記したデータ書き込み動作時(特に時点W1〜W3)の信号経路(図中では太線として描写)を示す回路図である。
次に、強誘電体素子からのデータ読み出し動作について説明する。
時点R1〜R5では、クロック信号CLKが「0(GND)」とされており、反転クロック信号CLKBが「1(VDD1)」とされている。従って、第1パススイッチSW1がオフされており、第2パススイッチがオンされている。このように、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBの論理を予め固定しておくことにより、強誘電体素子からのデータ読み出し動作の安定性を高めることが可能となる。
時点R1では、最先にFリセット信号FRSTが「1(VDD1)」とされており、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれも短絡されている。従って、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bには一切電圧が印加されない状態となっているので、電源投入時に電圧変動が生じた場合でも、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bに意図しない電圧が印加されることはなく、データ化けを回避することが可能となる。
なお、時点R1において、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2は、いずれも「0(ローレベル:GND)」とされている。
時点R2では、制御信号E1、E2がいずれも「0(GND)」とされた状態(すなわち、データ書き込み用ドライバが無効とされており、かつ、ループ構造部LOOPで通常ループが無効とされている状態)で、ループ構造部LOOPに対する第1電源電圧VDD1と不揮発性記憶部NVMに対する第2電源電圧VDD2が投入される。このとき、図6中の太線で描写された信号ラインは、フローティングとなっている。
続く時点R3では、Fリセット信号FRSTが「0(GND)」とされ、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオフされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bに対する電圧印加が可能な状態とされる一方、第2プレートラインPL2が「0(GND)」に維持されたまま、第1プレートラインPL1が「1(VDD2)」とされる。このようなパルス電圧の印加により、ノード電圧V1及びノード電圧V2として、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した電圧信号が現れる。
図3の例に即して具体的に説明すると、ノード電圧V1としては、比較的低い電圧信号(以下、その論理をWL[Weak Low]と呼ぶ)が現れ、ノード電圧V2としては、比較的高い電圧信号(以下、その論理をWH[Weak Hi]と呼ぶ)が現れる。すなわち、ノード電圧V1とノード電圧V2との間には、強誘電体素子内の残留分極状態の差に応じた電圧差が生じる形となる。
このとき、時点R3〜R4では、制御信号E2が「0(VDD1)」とされ、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第2入力端(0)が選択されるので、ノード電圧V3の論理はWLとなり、ノード電圧V4の論理はWHとなる。また、ノード電圧V5の論理はWHとなり、ノード電圧V6の論理はWLとなる。このように、時点R3〜R4では、装置各部のノード電圧V1〜V6が未だに不安定な状態(インバータINV3及びインバータINV4での論理反転が完全に行われず、その出力論理が確実に「0(GND)」/「1(VDD1)」となっていない状態)である。
続く時点R4では、制御信号E2が「1(VDD1)」とされ、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されるので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。このような信号経路の切り換えに伴い、インバータINV4の出力端(論理:WH)とインバータINV3の入力端(論理:WH)が接続され、インバータINV3の出力端(論理:WL)とインバータINV4の入力端(論理:WL)が接続される。従って、各ノードの信号論理(WH/WL)に不整合は生じず、以降、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている間、インバータINV3は、論理WLの入力を受けて、その出力論理を「1(VDD1)」に引き上げようとし、インバータINV4は、論理WHの入力を受けて、その出力論理を「0(GND)」に引き下げようとする。その結果、インバータINV3の出力論理は、不安定な論理WLから「0(GND)」に確定され、インバータINV4の出力論理は、不安定な論理WHから「1(VDD1)」に確定される。
このように、時点R4において、ループ構造部LOOPが通常ループとされたことに伴い、強誘電体素子から読み出された信号(ノード電圧V1とノード電圧V2との電位差)がループ構造部LOOPで増幅される形となり、出力信号Qとして電源遮断前の保持データ(図2の例では「1(VDD1)」)が復帰される。
その後、時点R5では、Fリセット信号FRSTが再び「1(VDD2)」とされ、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれも短絡されるので、これらの強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bには一切電圧が印加されない状態となる。このとき、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2は、いずれも、「0(GND)」とされる。従って、データ保持装置は、時点W1以前と同様の状態、すなわち、通常の動作状態に復帰される。
なお、図6は、上記したデータ読み出し動作時(特に時点R3〜R4)の信号経路(図中では太線として描写)を示す回路図である。
上記で説明したように、本実施形態のデータ保持装置は、ループ状に接続された論理ゲート(図1ではインバータINV3、INV4)を用いてデータを保持するループ構造部LOOPと、強誘電体素子のヒステリシス特性を用いてループ構造部LOOPに保持されたデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶部NVM(CL1a、CL1b、CL2a、CL2b、Q1a、Q1b、Q2a、Q2b)と、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとを電気的に分離する回路分離部SEP(MUX1、MUX2、INV6、INV7、SW3、SW4)と、を有して成り、回路分離部SEPは、データ保持装置の通常動作中には、強誘電体素子に対する印加電圧を一定に保ちつつ、ループ構造部LOOPを電気的に動作させる構成とされている。
このように、ループ構造部LOOPの信号線から強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bを直接駆動するのではなく、ループ構造部LOOPの信号線と強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bとの間に、バッファとしても機能するデータ書き込み用ドライバ(図1ではインバータINV6、INV7)を設けることにより、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bがループ構造部LOOP内の負荷容量とならないようにすることが可能となる。
また、データ書き込み用ドライバ(インバータINV6、INV7)の出力端にパススイッチSW3、SW4を接続し、制御信号E1に応じて、データの書き込み時にのみ、パススイッチSW3、SW4をオンさせる構成であれば、通常動作時には、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bが駆動されないようにすることが可能となる。
また、データ読み出しの際には、制御信号E2に応じて、マルチプレクサMUX1、MUX2の入出力経路を切り換えることにより、ループ構造部LOOP内の論理ゲート(図1ではインバータINV3、INV4)と強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bとの導通/遮断を制御することができる。従って、特定ノードをフローティングとするために、負荷の大きいクロック線を増設する必要がないため、消費電力の増大を回避することが可能となる。
なお、本実施形態のデータ保持装置では、制御信号E1、E2が新たに必要となるが、これらの信号は、常時駆動されるクロック信号と異なり、通常時には一切駆動されないので、データ保持装置の消費電力には、ほとんど影響を与えることがない。
また、本実施形態のデータ保持装置では、データ書き込み用ドライバ(インバータINV6、INV7)や、マルチプレクサMUX1、MUX2が新たに必要となるが、CPU[Central Processing Unit]などの演算回路内におけるデータ保持装置の占有面積は、数%に過ぎないことが多く、演算回路全体に与える面積増加の影響は殆どないと言える。
このように、本実施形態のデータ保持装置であれば、通常動作中には強誘電体素子が無駄に駆動されることがないので、揮発性のデータ保持装置と同レベルの高速化、並びに、低消費電力化を図ることが可能となる。
すなわち、揮発性のデータ保持装置と同等の取り扱いを行うことができるので、タイミング設計や消費電力設計などの再設計を行わずに、既存回路の記憶素子部分を本発明のデータ保持装置に置き換えることが可能となる。従って、既存回路を容易に不揮発化することができるので、例えば、待機時にデータを消さずに電源を遮断したり、電源投入後、即時に動作再開が可能なCPU等を実現することが可能となる。
また、本実施形態のデータ保持装置において、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMは、互いに異なる第1、第2電源電圧VDD1、VDD2の供給を別個に受けて駆動されるものであり、回路分離部SEPは、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMの間でやり取りされるデータDの電圧レベルを変換するレベルシフタ(図1の例では、レベルシフト機能を備えたインバータINV6、INV7)を有して成る。
このような構成とすることにより、第1電源電圧VDD1を用いてループ構造部LOOPを低電圧駆動するとともに、第1電源電圧VDD1よりも高い第2電源電圧VDD2を用いて不揮発性記憶部NVM(より具体的には、これに含まれる強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2b)を適切に駆動することができるので、低電圧駆動デバイス(超低電圧プロセッサなど)にも好適に組み込むことが可能なデータ保持装置を提供することが可能となる。
なお、上記の実施形態では、インバータINV6とパススイッチSW3、及び、インバータINV7とパススイッチSW4をそれぞれ組み合わせた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、図7に示すように、制御信号E1に応じてその出力状態をハイインピーダンスとすることが可能な3ステートのインバータINV6’、INV7’を用いることで、パススイッチSW3、SW4を省略しても構わない。この場合、インバータINV6’(インバータINV7’についても同様)の構成は、図8に示す通りとなる。
図8は、レベルシフト機能を備えた3ステートのインバータINV6’(インバータINV7’についても同様)の一構成例を示す回路図である。
図8に示すように、レベルシフト機能を備えた3ステートのインバータINV6’(INV7’)は、先出のインバータINV6(INV7)に若干の変更を加えることにより容易に実現することが可能である。より具体的に述べると、3ステートのインバータINV6’(INV7’)は、図2の構成に加えて、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP4及びP5と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN4及びN5と、を有して成る出力段を別途設けるとともに、トランジスタP1のドレインから出力信号を引き出す構成に代えて、上記の出力段から出力信号を引き出す構成とすればよい。
上記の出力段を形成するトランジスタP4のソースは、第2電源電圧VDD2の印加端に接続されている。トランジスタP4のゲートは、反転制御信号E1バーの印加端に接続されている。トランジスタP4のドレインは、トランジスタP5のソースに接続されている。トランジスタP5のドレインは、トランジスタN4のドレインに接続される一方、出力端OUTにも接続されている。トランジスタP5、N4のゲートは、いずれもトランジスタP2のドレインに接続されている。トランジスタN4のソースは、トランジスタN5のドレインに接続されている。トランジスタN5のソースは、接地端に接続されている。トランジスタN5のゲートは、制御信号E1の印加端に接続されている。
上記構成から成る3ステートのインバータINV6’(INV7’)において、制御信号E1がハイレベル(第2電源電圧VDD2)とされている場合、入力端INにハイレベル(第1電源電圧VDD1)の論理信号が入力されたときには、出力端OUTからローレベル(接地電圧GND)の論理信号が出力され、逆に、入力端INにローレベル(接地電圧GND)の論理信号が入力されたときには、出力端OUTからハイレベル(第2電源電圧VDD2)の論理信号が出力される。すなわち、インバータINV6’(INV7’)は、制御信号E1がハイレベルとされているときには、入力端INに入力された論理信号の論理を反転した上で、さらに、そのハイレベル電位を第1電源電圧VDD1から第2電源電圧VDD2まで引き上げて出力する。一方、制御信号E1がローレベル(GND)とされている場合、トランジスタP4、N5がいずれもオフとなるので、出力端OUTはハイインピーダンス状態となる。すなわち、インバータINV6’(INV7’)は、制御信号E1がローレベル(GND)とされているときには、入力端INに入力される論理信号に依らず、出力端OUTをハイインピーダンス状態とすることができる。従って、3ステートのインバータINV6’、INV7’を用いれば、図2に示したパススイッチSW3、SW4を省略することが可能となる。
次に、強誘電体素子からのデータ読み出し動作の変形例について、図9を参照しながら詳細な説明を行う。図9は、本発明に係るデータ保持装置の別の動作例を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、電源電圧(VDD1、VDD2)、クロック信号CLK、データ信号D、制御信号E1、制御信号E2、Fリセット信号FRST、第1プレートラインPL1の印加電圧、第2プレートラインPL2の印加電圧、ノード電圧V1、ノード電圧V2、及び、出力信号Qの電圧波形を示している。
時点R1〜R5では、クロック信号CLKが「0(GND)」とされており、反転クロック信号CLKBが「1(VDD1)」とされている。従って、第1パススイッチSW1がオフされており、第2パススイッチがオンされている。このように、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBの論理を予め固定しておくことにより、強誘電体素子からのデータ読み出し動作の安定性を高めることが可能となる。
時点R1では、最先にFリセット信号FRSTが「1(VDD2)」とされており、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれも短絡されている。従って、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bには一切電圧が印加されない状態となっているので、電源投入時に電圧変動が生じた場合でも、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bに意図しない電圧が印加されることはなく、データ化けを回避することが可能となる。
なお、時点R1において、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2は、いずれも「0(ローレベル:GND)」とされている。
時点R2では、Fリセット信号FRSTが「0(GND)」とされて、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオフされることにより、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bに対する電圧印加が可能な状態とされる一方、第2プレートラインPL2が「0(GND)」に維持されたまま、第1プレートラインPL1が「1(VDD2)」とされる。このようなパルス電圧の印加により、ノード電圧V1及びノード電圧V2として、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した電圧信号が現れる。
図9の例に即して具体的に説明すると、ノード電圧V1の論理としてはWLが現れ、ノード電圧V2の論理としてはWHが現れる。すなわち、ノード電圧V1とノード電圧V2との間には、強誘電体素子内の残留分極状態の差に応じた電圧差が生じる形となる。
ただし、時点R2〜R3では、未だ電源電圧VDDが投入されていないため、ループ構造部LOOP各部のノード電圧V3〜V6はいずれも「0(GND)」となっており、延いては、出力信号Qが「0(GND)」となっている。
続く時点R3では、制御信号E1、E2がいずれも「0(GND)」とされた状態(すなわち、データ書き込み用ドライバが無効とされ、かつ、ループ構造部LOOPで通常ループが無効とされている状態)で、ループ構造部LOOPに対する第1電源電圧VDD1と不揮発性記憶部NVMに対する第2電源電圧VDD2が投入される。このとき、図6中の太線で描写された信号ラインは、フローティングとなっている。
なお、時点R3〜R4では、制御信号E2が「0(GND)」とされて、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第2入力端(0)が選択されるので、ノード電圧V3の論理はWLとなり、ノード電圧V4の論理はWHとなる。また、ノード電圧V5の論理はWHとなり、ノード電圧V6の論理はWLとなる。このように、時点R3〜R4では、装置各部のノード電圧V1〜V6が未だ不安定な状態(インバータINV3及びインバータINV4での論理反転が完全に行われず、その出力論理が確実に「0(GND)」/「1(VDD1)」となっていない状態)である。
続く時点R4では、制御信号E2が「1(VDD1)」とされ、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されるので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。このような信号経路の切り換えに伴い、インバータINV4の出力端(論理:WH)とインバータINV3の入力端(論理:WH)が接続され、インバータINV3の出力端(論理:WL)とインバータINV4の入力端(論理:WL)が接続される。従って、各ノードの信号論理(WH/WL)に不整合は生じず、以降、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている間、インバータINV3は、論理WLの入力を受けて、その出力論理を「1(VDD1)」に引き上げようとし、インバータINV4は、論理WHの入力を受けて、その出力論理を「0(GND)」に引き下げようとする。その結果、インバータINV3の出力論理は、不安定な論理WLから「0(GND)」に確定され、インバータINV4の出力論理は、不安定な論理WHから「1(VDD1)」に確定される。
このように、時点R4において、ループ構造部LOOPが通常ループとされたことに伴い、強誘電体素子から読み出された信号(ノード電圧V1とノード電圧V2との電位差)がループ構造部LOOPで増幅される形となり、出力信号Qとして電源遮断前の保持データ(図9の例では「1(VDD1)」)が復帰される。
その後、時点R5では、Fリセット信号FRSTが再び「1(VDD2)」とされ、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれも短絡されるので、これらの強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bには一切電圧が印加されない状態となる。このとき、第1プレートラインPL1と第2プレートラインPL2は、いずれも、「0(GND)」とされる。従って、データ保持装置は、時点W1以前と同様の状態、すなわち、通常の動作状態に復帰される。
上記したように、図9のデータ読み出し動作は、図3のデータ読み出し動作と異なり、第1電源電圧VDD1と第2電源電圧VDD2の投入前から、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した電圧信号(ノード電圧V1、V2)の引き出し動作を開始する構成とされている。このような構成とすることにより、第1電源電圧VDD1と第2電源電圧VDD2をいずれも投入した後の動作ステップ数を減らして(図3の動作例では3ステップ(時点R3、R4、R5)を要するのに対して、図9の動作例では2ステップ(時点R4、R5)のみ)、通常動作に復帰するまでの所要時間を短縮することが可能となる。
次に、本実施形態のデータ保持装置で用いられる強誘電体素子の特性について、詳細な説明を行う。
図10は、強誘電体素子の特性を説明するための図である。なお、図10の上段には、強誘電体素子Csに電圧Vsを印加する様子が模式的に描写されている。また、図10の下段左側には、強誘電体素子Csのヒステリシス特性が示されており、下段右側には、強誘電体素子Csの容量特性が示されている。
本図に示すように、強誘電体素子Csは、その両端間に電圧Vsを印加した際の残留分極状態に応じて容量特性が変化する。具体的に述べると、強誘電体素子Csの両端間に正極性の電圧Vsを印加して、強誘電体素子Csを非反転状態(S=0)とした場合には、その容量値が小さくなる。逆に、強誘電体素子Csの両端間に負極性の電圧Vsを印加して、強誘電体素子Csを反転状態(S=1)とした場合には、その容量値が大きくなる。従って、強誘電体素子Csに記憶されたデータの読み出しに際しては、上記した容量値の違いを電圧値に変換する必要がある。
そこで、本実施形態データ保持装置は、不揮発性記憶部NVMからデータを読み出す際に、非反転状態(S=0)の強誘電体素子と、反転状態(S=1)の強誘電体素子との容量結合を用いる構成とされている。
図11は、強誘電体素子間の容量結合を用いたデータ読み出し方式を説明するための図である。なお、図11の上段は、強誘電体素子CL1a(強誘電体素子CL2a)が反転状態(S=1)で、強誘電体素子CL1b(強誘電体素子CL2b)が非反転状態(S=0)であるときの容量特性を示しており、図11の下段は、上記と逆に、強誘電体素子CL1a(強誘電体素子CL2a)が非反転状態(S=0)で、強誘電体素子CL1b(強誘電体素子CL2b)が反転状態(S=1)であるときの容量特性を示している。
先にも述べたように、強誘電体素子に対するデータの書き込みに際して、強誘電体素子CL1aとCL1bとの間、及び、強誘電体素子CL2aとCL2bとの間では、互いの残留分極状態が逆になるので、その容量特性としては、一方の容量値が大きいほど、他方の容量値が小さいという関係となる。
従って、互いに残留分極状態が逆である2つの強誘電体素子CL1aとCL1b、並びに、強誘電体素子CL2aとCLK2bを直列に接続し、その一端にパルス電圧を加えたとき、両素子間の接続ノードに現れるノード電圧V1、V2(容量値の比で決まる電圧値であり、図11では読み出し電圧Voutと表記)を検出する構成とすれば、読み出し電圧Voutの振幅値を1[V]近辺まで確保して、読み出しマージンを大幅に改善することが可能となる。
また、本実施形態のデータ保持装置は、強誘電体素子CL1a、CL1bの容量比に応じたノード電圧V1と、強誘電体素子CL2a、CL2bの容量比に応じたノード電圧Vbを比較することで、不揮発性記憶部NVMから読み出されたデータの0/1判定を行う構成とされているため、インバータの閾値を厳密に設定する必要はない。
このように、本実施形態のデータ保持装置では、強誘電体素子間の容量結合を用いたデータ読み出し方式が採用されているが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、図12(第2の変形例)に示すように、強誘電体素子CL1a、CL2aと、インバータINV3、INV4を構成するトランジスタのゲート容量との容量結合を用いることで、不揮発性記憶部NVMからデータを読み出す構成(言い換えれば、図1の構成から、強誘電体素子CL1b、CL2bとトランジスタQ1b、C2bを除いた構成)としても構わないし、若しくは、図13(第3の変形例)に示すように、強誘電体素子CL1a、CL1bと、その他の容量素子C1、C2との容量結合を用いることで、不揮発性記憶部NVMからデータを読み出す構成としても構わない。
図14は、セット/リセット機能を備えたDフリップフロップ(レジスタ)への適用例を示す回路図である。
本図に示すように、Dフリップフロップを構成する場合には、ラッチ回路が2段組(マスタとスレーブ)に直列接続されるが、マスタとスレーブの両方を不揮発化する必要はなく、スレーブ側のラッチ回路にのみ本発明を適用すれば足りる。
また、その通常動作、強誘電体素子へのデータ書き込み動作、及び、強誘電体素子からのデータ読み出し動作は、マスタ側のラッチ回路が接続されている以外、先述と同様であり、各々の動作時における信号経路についても、図15〜図17で示すように、特段重複した説明を要するものではない。
ただし、本図に示すDフリップフロップでは、セット/リセット機能を実現すべく、ループ構造部を形成する論理ゲートとして、インバータではなく、否定論理積演算器NAND1〜NAND4が用いられている。なお、否定論理積演算器NAND1、NAND3に入力されるセット信号SNを「0(GND)」とすれば、出力信号Qが強制的に「1(VDD1)」となり、否定論理積演算器NAND2、NAND4に入力されるリセット信号RNを「0(GND)」とすれば、出力信号Qが強制的に「0(GND)」となる。従って、データの書き込み動作時やデータの読み出し動作時には、セット信号SN及びリセット信号RNを「1(VDD1)」としておく必要がある。
次に、本発明に係るデータ保持装置の第4の変形例について、図18を参照しながら、詳細な説明を行う。図18は、本発明に係るデータ保持装置の第4の変形例を示す回路図である。
本図に示したデータ保持装置は、インバータINV1〜INV7と、パススイッチSW1〜SW4と、マルチプレクサMUX1〜MUX4と、デマルチプレクサDeMUX1、DeMUX2と、Nチャネル型電界効果トランジスタQ11a〜Q1ma、Q11b〜Q1mb、Q21a〜Q2ma、Q21b〜Q2mbと、強誘電体素子(強誘電体キャパシタ)CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbと、を有して成るラッチ回路である。
インバータINV1の入力端は、データ信号(D)の印加端に接続されている。インバータINV1の出力端は、インバータINV2の入力端に接続されている。インバータINV2の出力端は、パススイッチSW1を介して、マルチプレクサMUX1の第1入力端(1)に接続されている。マルチプレクサMUX1の出力端は、インバータINV3の入力端に接続されている。インバータINV3の出力端は、インバータINV5の入力端に接続されている。インバータINV5の出力端は、出力信号(Q)の引出端に接続されている。マルチプレクサMUX2の第1入力端(1)は、インバータINV3の出力端に接続されている。マルチプレクサMUX2の出力端は、インバータINV4の入力端に接続されている。インバータINV4の出力端は、パススイッチSW2を介して、マルチプレクサMUX1の第1入力端(1)に接続されている。
このように、本実施形態のデータ保持装置は、ループ状に接続された2つの論理ゲート(図18ではインバータINV3、INV4)を用いて、入力されたデータ信号Dを保持するループ構造部LOOPを有して成る。
なお、ループ構造部LOOPは、第1電源電圧VDD1(例えば0.6[V])の供給を受けて駆動されるものである。
インバータINV6の入力端は、マルチプレクサMUX1の第1入力端(1)に接続されている。インバータINV6の出力端は、パススイッチSW3を介して、デマルチプレクサDeMUX1の入力端に接続されている。デマルチプレクサDeMUX1の第1出力端〜第m出力端は、それぞれ、マルチプレクサMUX4の第1入力端〜第m入力端に接続されている。マルチプレクサMUX4の出力端は、マルチプレクサMUX2の第2入力端(0)に接続されている。
インバータINV7の入力端は、マルチプレクサMUX2の第1入力端(1)に接続されている。インバータINV7の出力端は、パススイッチSW4を介して、デマルチプレクサDeMUX2の入力端に接続されている。デマルチプレクサDeMUX2の第1出力端〜第m出力端は、それぞれ、マルチプレクサMUX3の第1入力端〜第m入力端に接続されている。マルチプレクサMUX3の出力端は、マルチプレクサMUX1の第2入力端(0)に接続されている。
強誘電体素子CL11a〜CL1maの正極端は、それぞれ、プレートラインPL11〜PL1mに接続されている。強誘電体素子CL11a〜CL1maの負極端は、それぞれ、デマルチプレクサDeMUX1の第1出力端〜第m出力端に接続されている。強誘電体素子CL11a〜1maの両端間には、それぞれ、トランジスタQ11a〜Q1maが接続されている。トランジスタQ11a〜Q1maのゲートは、それぞれ、Fリセット信号FRST1〜FRSTmの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL11b〜CL1mbの正極端は、それぞれ、デマルチプレクサDeMUX1の第1出力端〜第m出力端に接続されている。強誘電体素子CL11b〜CL1mbの負極端は、それぞれ、プレートラインPL21〜PL2mに接続されている。強誘電体素子CL11b〜CL1mbの両端間には、それぞれ、トランジスタQ11b〜Q1mbが接続されている。トランジスタQ11b〜Q1mbのゲートは、それぞれ、Fリセット信号FRST1〜FRSTmの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL21a〜CL2maの正極端は、それぞれ、プレートラインPL11〜PL1mに接続されている。強誘電体素子CL21a〜CL2maの負極端は、それぞれ、デマルチプレクサDeMUX2の第1出力端〜第m出力端に接続されている。強誘電体素子CL21a〜CL2maの両端間には、それぞれ、トランジスタQ21a〜Q2maが接続されている。トランジスタQ21a〜Q2maのゲートは、それぞれ、Fリセット信号FRST1〜FRSTmの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL21b〜CL2mbの正極端は、それぞれ、デマルチプレクサDeMUX2の第1出力端〜第m出力端に接続されている。強誘電体素子CL21b〜CL2mbの負極端は、それぞれ、プレートラインPL21〜PL2mに接続されている。強誘電体素子CL21b〜CL2mbの両端間には、それぞれ、トランジスタQ21b〜Q2mbが接続されている。トランジスタQ21b〜Q2mbのゲートは、それぞれ、Fリセット信号FRST1〜FRSTmの印加端に接続されている。
上記したように、本実施形態のデータ保持装置は、強誘電体素子(CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mb)のヒステリシス特性を用いてループ構造部LOOPに保持されたデータDを不揮発的に記憶する不揮発性記憶部NVMを有して成る。
なお、不揮発性記憶部NVMは、第1電源電圧VDD1よりも高い第2電源電圧VDD2(例えば1.2[V])の供給を受けて駆動されるものである。
また、上記した構成要素のうち、パススイッチSW1は、クロック信号CLKに応じてオン/オフされ、パススイッチSW2は、反転クロック信号CLKB(クロック信号CLKの論理反転信号)に応じてオン/オフされる。すなわち、パススイッチSW1とパススイッチSW2は、互いに排他的(相補的)にオン/オフされる。
一方、パススイッチSW3、SW4は、いずれも制御信号E1に応じてオン/オフされる。また、マルチプレクサMUX1、MUX2は、いずれも制御信号E2に応じてその信号経路が切り換えられる。また、マルチプレクサMUX3、MUX4と、デマルチプレクサDeMUX1、DeMUX2は、いずれも制御信号SEL1〜SELmに応じてその信号経路が切り換えられる。すなわち、本実施形態のデータ保持装置において、マルチプレクサMUX1〜MUX4と、デマルチプレクサDeMUX1、DeMUX2と、インバータINV6、INV7と、パススイッチSW3、SW4は、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとを電気的に分離する回路分離部SEPとして機能する。
なお、回路分離部SEPを形成する回路要素のうち、ループ構造部LOOPに含まれるマルチプレクサMUX1〜MUX4は、第1電源電圧VDD1の供給を受けて駆動されるものであり、不揮発性記憶部NVMに含まれるデマルチプレクサDeMUX1、DeMUX2と、パススイッチSW3、SW4は、第2電源電圧VDD2の供給を受けて駆動されるものである。
また、インバータINV6、INV7は、第1電源電圧VDD1と第2電源電圧VDD2の双方の供給を受けて駆動されるものであり、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMの間でやり取りされるデータDの電圧レベルを変換するレベルシフタとしての機能を備えている。なお、インバータINV6、INV7の回路構成については、説明済みであるため、重複した説明は割愛する。また、先出の図7で示したように、インバータINV6とパススイッチSW3、及び、インバータINV7とパススイッチSW4に代えて、3ステートのインバータINV6’、INV7’を用いてもよい。
このように、上記構成から成るデータ保持装置は、データDをmビット分(m≧2)だけ格納するために、図1の構成をさらに拡張したものであって、制御信号SEL1〜SELmに応じて選択可能な第1記憶領域〜第m記憶領域を有する構成とされている。なお、図18の例に即して説明すると、第x記憶領域(1≦x≦m)は、強誘電体素子CL1xa、CL1xb、CL2xa、CL2xbと、トランジスタQ1xa、Q1xb、Q2xa、Q2xbと、によって形成されている。ただし、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、先出の図12、図13と同様の変形を行うことも可能である。
次に、上記構成から成るデータ保持装置の動作について、詳細な説明を行う。なお、以下の説明では、デマルチプレクサDeMUX1の第1出力端〜第m出力端(マルチプレクサMUX4の第1入力端〜第m入力端)に各々現れる電圧をV11〜V1m、デマルチプレクサDeMUX2の第1出力端〜第m出力端(マルチプレクサMUX3の第1入力端〜第m入力端)に各々現れる電圧をV21〜V2m、インバータINV4の入力端に現れる電圧をV3、インバータINV4の出力端に現れる電圧をV4、インバータINV3の入力端に現れる電圧をV5、インバータINV3の出力端に現れる電圧をV6というように各部のノード電圧に符号を付すことにする。
図19は、本発明に係るデータ保持装置の一動作例(第1記憶領域にデータDを書き込んで、第m記憶領域からデータDを読み出す動作)を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、電源電圧(VDD1、VDD2)、クロック信号CLK、データ信号D、制御信号E1、制御信号E2、制御信号SEL1、Fリセット信号FRST1、プレートラインPL11の印加電圧、プレートラインPL21の印加電圧、ノード電圧V11、ノード電圧V21、制御信号SELm、Fリセット信号FRSTm、プレートラインPL1mの印加電圧、プレートラインPL2mの印加電圧、ノード電圧V1m、ノード電圧V2m、及び出力信号Qの電圧波形を示している。
なお、データDの書き込み先や読み出し元として選択されていない第y記憶領域(1<y<m)に関連する制御信号SELy、Fリセット信号FRSTy、プレートラインPL1yの印加電圧、プレートラインPL2yの印加電圧、ノード電圧V1y、ノード電圧V2yは、データDの書き込み動作中には、データDの書き込み先として選択されていない第m記憶領域のそれと同様となり、データDの読み出し動作中には、データDの読み出し元として選択されていない第1記憶領域のそれと同様となるため、その描写並びに説明を適宜省略する。
まず、データ保持装置の通常動作について説明する。
時点W1までは、Fリセット信号FRST1〜FRSTmが全て「1(ハイレベル:VDD2)」とされており、トランジスタQ11a〜Q1ma、Q11b〜Q1mb、Q21a〜Q2ma、Q21b〜Q2mbが全てオンされ、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbの各両端間がいずれも短絡されているので、これらの強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbには一切電圧が印加されない状態となっている。なお、プレートラインPL11〜PL1mとプレートラインPL21〜PL2mは、いずれも「0(ローレベル:GND)」とされている。
また、時点W1までは、制御信号E1が「0(GND)」とされており、パススイッチSW3とパススイッチSW4がオフされているので、データ書き込み用ドライバ(図18の例ではインバータINV6、INV7)はいずれも無効とされている。
また、時点W1までは、制御信号E2が「1(VDD1)」とされており、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されているので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。
従って、クロック信号CLKのハイレベル期間には、パススイッチSW1がオンされ、パススイッチSW2がオフされるので、データ信号Dが出力信号Qとしてそのまま通過される形となる。一方、クロック信号CLKのローレベル期間には、パススイッチSW1がオフされ、パススイッチSW2がオンされるので、クロック信号CLKの立下がりエッジで、データ信号Dがラッチされる形となる。
次に、第1記憶領域へのデータ書き込み動作について説明する。
時点W1〜W3では、クロック信号CLKが「0(GND)」とされ、反転クロック信号CLKBが「1(VDD1)」とされる。従って、第1パススイッチSW1がオフされて、第2パススイッチがオンされる。このように、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBの論理を予め固定しておくことにより、強誘電体素子に対するデータ書き込み動作の安定性を高めることが可能となる。
また、時点W1〜W3では、データDの書き込み先として第1記憶領域を選択すべく、制御信号SEL1が「1(VDD2)」とされ、その余の制御信号SEL2〜SELmが「0(GND)」とされる。これにより、デマルチプレクサDeMUX1、DeMUX2は、その入力端と第1出力端を結ぶ信号経路が選択された状態となり、マルチプレクサMUX3、MUX4は、その出力端と第1入力端を結ぶ信号経路が選択された状態となる。
また、時点W1〜W3では、Fリセット信号FRST1が「0(GND)」とされ、トランジスタQ11a、Q11b、Q21a、Q21bがオフされて、強誘電体素子CL11a、CL11b、CL21a、CL21bに対する電圧印加が可能な状態とされる。
一方、Fリセット信号FRST2〜FRSTmは、引き続き「1(VDD2)」に維持されるので、第2記憶領域〜第m記憶領域でのデータ化けを回避することが可能となる。
また、時点W1〜W3では、制御信号E1が「1(VDD2)」とされ、パススイッチSW3とパススイッチSW4がオンされる。従って、データ書き込み用ドライバ(図18の例ではインバータINV6、INV7)がいずれも有効とされる。
なお、時点W1〜W3では、それまでと同様、制御信号E2が「1(VDD1)」とされており、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されているので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。
また、時点W1〜W2では、プレートラインPL11、PL21が「0(GND)」とされ、時点W2〜W3では、プレートラインPL11、PL21が「1(VDD2)」とされる。すなわち、プレートラインPL11、PL21に対して、同一のパルス電圧が印加される。このようなパルス電圧の印加により、強誘電体素子内部の残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。
図19の例に即して具体的に述べると、時点W1では出力信号Qが「1(VDD1)」であるため、ノード電圧V11が「0(GND)」となり、ノード電圧V21が「1(VDD1)」となる。従って、時点W1〜W2において、プレートラインPL11、PL21がいずれも「0(GND)」とされている間、強誘電体素子CL11a、CL11bの両端間には、電圧が印加されない状態となり、強誘電体素子CL21aの両端間には、負極性の電圧が印加される状態となり、強誘電体素子CL21bの両端間には、正極性の電圧が印加される状態となる。一方、時点W2〜W3において、プレートラインPL11、PL21がいずれも「1(VDD2)」とされている間、強誘電体素子CL21a、CL21bの両端間には、電圧が印加されない状態となり、強誘電体素子CL11aの両端間には、正極性の電圧が印加される状態となり、強誘電体素子CL11bの両端間には、負極性の電圧が印加される状態となる。
このように、プレートラインPL11、PL21に対して、パルス電圧を印加することにより、強誘電体素子内部の残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。なお、強誘電体素子CL11aとCL11bとの間、及び、強誘電体素子CL21aとCL21bとの間では、互いの残留分極状態が逆になる。また、強誘電体素子CL11aとCL21aとの間、及び、強誘電体素子CL11bとCL21bとの間でも、互いの残留分極状態が逆になる。
なお、時点W1〜W3において、プレートラインPL12〜PL1m、PL22〜PL2mはいずれも「0(GND)」に維持される。
時点W3では、Fリセット信号FRST1が再び「1(VDD2)」とされて、トランジスタQ11a、Q11b、Q21a、Q21bがオンされ、強誘電体素子CL11a、CL11b、CL21a、CL21bの各両端間がいずれも短絡されるので、これらの強誘電体素子CL11a、CL11b、CL21a、CL21bは一切電圧が印加されない状態となる。このとき、プレートラインPL11、PL21はいずれも「0(GND)」とされる。また、制御信号SEL1も「0(GND)」とされる。
また、時点W3では、制御信号E1が再び「0(GND)」とされ、パススイッチSW3とパススイッチSW4がオフされるので、データ書き込み用ドライバ(図18の例ではインバータINV6、INV7)がいずれも無効とされる。なお、制御信号E2については不問であるが、図19の例では「0(GND)」とされている。
また、時点W3において、Fリセット信号FRST2〜FRSTmは、いずれも、「1(VDD2)」に維持され、制御信号SEL2〜SELm、プレートラインPL12〜PL1m、PL22〜PL2mは、いずれも「0(GND)」に維持される。
そして、時点W4では、ループ構造部LOOPに対する第1電源電圧VDD1の供給と不揮発性記憶部NVMに対する第2電源電圧VDD2の供給が遮断される。このとき、Fリセット信号FRST1〜FRSTmは、いずれも第1電源電圧VDD1と第2電源電圧VDD2の遮断前から「1(VDD2)」に維持されており、トランジスタQ11a〜Q1ma、Q11b〜Q1mb、Q21a〜Q2ma、Q21b〜Q2mbがオンされて、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbの各両端間がいずれも短絡されている。従って、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbには一切電圧が印加されない状態となっているので、電源遮断時に電圧変動が生じた場合であっても、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbに意図しない電圧が印加されることはなく、データ化けを回避することが可能となる。
次に、第m記憶領域からのデータ読み出し動作について説明する。
時点R1〜R5では、クロック信号CLKが「0(GND)」とされており、反転クロック信号CLKBが「1(VDD1)」とされている。従って、第1パススイッチSW1がオフされており、第2パススイッチがオンされている。このように、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBの論理を予め固定しておくことにより、強誘電体素子からのデータ読み出し動作の安定性を高めることが可能となる。
時点R1においては、最先に全てのFリセット信号FRST1〜FRSTmが「1(VDD2)」とされており、トランジスタQ11a〜Q1ma、Q11b〜Q1mb、Q21a〜Q2ma、Q21b〜Q2mbがオンされて、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbの各両端間がいずれも短絡されている。従って、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbには一切電圧が印加されない状態となっているので、電源投入時に電圧変動が生じた場合でも、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbに意図しない電圧が印加されることはなく、データ化けを回避することが可能となる。
なお、時点R1において、プレートラインPL11〜PL1mとプレートラインPL21〜PL2mは、いずれも「0(ローレベル:GND)」とされている。
時点R2では、制御信号E1、E2がいずれも「0(GND)」とされた状態(すなわち、データ書き込み用ドライバが無効とされ、かつ、ループ構造部LOOPで通常ループが無効とされている状態)で、ループ構造部LOOPに対する第1電源電圧VDD1と不揮発性記憶部NVMに対する第2電源電圧VDD2が投入される。
続く時点R3では、データDの読み出し元として第m記憶領域を選択すべく、制御信号SELmが「1(VDD2)」とされ、その余の制御信号SEL1〜SEL(m−1)が「0(GND)」とされる。これにより、デマルチプレクサDeMUX1、DeMUX2は、その入力端と第m出力端を結ぶ信号経路が選択された状態となり、マルチプレクサMUX3、MUX4は、その出力端と第m入力端を結ぶ信号経路が選択された状態となる。
また、時点R3では、Fリセット信号FRSTmが「0(GND)」とされ、トランジスタQ1ma、Q1mb、Q2ma、Q2mbがオフされて、強誘電体素子CL1ma、CL1mb、CL2ma、CL2mbに対する電圧印加が可能な状態とされる一方、プレートラインPL2mが「0(GND)」に維持されたままで、プレートラインPL1mが「1(VDD2)」とされる。このようなパルス電圧の印加により、ノード電圧V1m及びノード電圧V2mとして、強誘電体素子内の残留分極状態に応じた電圧信号が現れる。
図19の例(第3記憶領域に論理「1」のデータDが格納されていた場合)に即して具体的に説明すると、ノード電圧V1mの論理としてはWLが現れ、ノード電圧V2mの論理としてはWHが現れる。すなわち、ノード電圧V1mとノード電圧V2mとの間には、強誘電体素子内の残留分極状態の差に応じた電圧差が生じる形となる。
このとき、時点R3〜R4では、制御信号E2が「0(GND)」とされ、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第2入力端(0)が選択されるので、ノード電圧V3の論理はWLとなり、ノード電圧V4の論理はWHとなる。また、ノード電圧V5の論理はWHとなり、ノード電圧V6の論理はWLとなる。このように、時点R3〜R4では、装置各部のノード電圧V1m、V2m、V3〜V6が未だ不安定な状態(インバータINV3及びインバータINV4での論理反転が完全に行われず、その出力論理が確実に「0(GND)」/「1(VDD1)」となっていない状態)である。
なお、時点R3において、Fリセット信号FRST1〜FRST(m−1)は、いずれも「1(VDD2)」に維持されて、制御信号SEL1〜SEL(m−1)、プレートラインPL11〜PL1(m−1)、PL21〜PL2(m−1)は、いずれも「0(GND)」に維持される。
続く時点R4では、制御信号E2が「1(VDD1)」とされ、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されるので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。このような信号経路の切り換えに伴い、インバータINV4の出力端(論理:WH)とインバータINV3の入力端(論理:WH)が接続され、インバータINV3の出力端(論理:WL)とインバータINV4の入力端(論理:WL)が接続される。従って、各ノードの信号論理(WH/WL)に不整合は生じず、以降、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている間、インバータINV3は、論理WLの入力を受けて、その出力論理を「1(VDD1)」に引き上げようとし、インバータINV4は、論理WHの入力を受けて、その出力論理を「0(GND)」に引き下げようとする。その結果、インバータINV3の出力論理は、不安定な論理WLから「0(GND)」に確定され、インバータINV4の出力論理は、不安定な論理WHから「1(VDD1)」に確定される。
このように、時点R4において、ループ構造部LOOPが通常ループとされたことに伴い、強誘電体素子から読み出された信号(ノード電圧V1mとノード電圧V2mとの電位差)がループ構造部LOOPで増幅される形となり、出力信号Qとして第3記憶領域の保持データ(図19の例では「1(VDD1)」)が復帰される。
その後、時点R5では、Fリセット信号FRSTmが再び「1(VDD2)」とされ、トランジスタQ1ma、Q1mb、Q2ma、Q2mbがオンされて、強誘電体素子CL1ma、CL1mb、CL2ma、CL2mbの各両端間がいずれも短絡されるので、これらの強誘電体素子CL1ma、CL1mb、CL2ma、CL2mbには、一切電圧が印加されない状態となる。このとき、プレートラインPL1mとプレートラインPL2mは、いずれも「0(GND)」とされる。従って、データ保持装置は、時点W1以前と同様の状態、すなわち、通常の動作状態に復帰される。
上記で説明したように、第3変形例のデータ保持装置において、強誘電体素子のヒステリシス特性を用いてループ構造部LOOPに保持されたデータDを不揮発的に記憶する不揮発性記憶部NVMは、強誘電体素子を用いたm個の記憶領域を有して成り、所定の制御信号SEL1〜SELmに応じて、データDの書き込み先ないしは読み出し元となる記憶領域を選択して用いる構成とされている。このような構成とすることにより、複数のデータDを任意に切り換えて使用することが可能なデータ保持装置を実現することができる。
なお、データ保持装置の通常動作時には、強誘電体素子が信号線から分離されるので、強誘電体素子の増加によって、データ保持装置の性能劣化(速度劣化や消費電力の増加など)が招かれることはない。
次に、第3記憶領域からのデータ読み出し動作の変形例について、図20を参照しながら詳細な説明を行う。図20は、本発明に係るデータ保持装置の別の動作例を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、電源電圧(VDD1、VDD2)、クロック信号CLK、データ信号D、制御信号E1、制御信号E2、制御信号SEL1、Fリセット信号FRST1、プレートラインPL11の印加電圧、プレートラインPL21の印加電圧、ノード電圧V11、ノード電圧V21、制御信号SELm、Fリセット信号FRSTm、プレートラインPL1mの印加電圧、プレートラインPL2mの印加電圧、ノード電圧V1m、ノード電圧V2m、及び、出力信号Qの電圧波形を示している。
なお、データDの書き込み先や読み出し元として選択されていない第y記憶領域(1<y<m)に関連する制御信号SELy、Fリセット信号FRSTy、プレートラインPL1yの印加電圧、プレートラインPL2yの印加電圧、ノード電圧V1y、ノード電圧V2yは、データDの書き込み動作中には、データDの書き込み先として選択されていない第m記憶領域のそれと同様となり、データDの読み出し動作中には、データDの読み出し元として選択されていない第1記憶領域のそれと同様となるため、その描写並びに説明を適宜省略する。
時点R1〜R5では、クロック信号CLKが「0(GND)」とされており、反転クロック信号CLKBが「1(VDD1)」とされている。従って、第1パススイッチSW1がオフされており、第2パススイッチがオンされている。このように、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBの論理を予め固定しておくことにより、強誘電体素子からのデータ読み出し動作の安定性を高めることが可能となる。
時点R1では、最先にFリセット信号FRST1〜FRSTmが「1(VDD2)」とされており、トランジスタQ11a〜Q1ma、Q11b〜Q1mb、Q21a〜Q2ma、Q21b〜Q2mbがオンされて、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbの各両端間がいずれも短絡されている。従って、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbには一切電圧が印加されない状態となっているので、電源投入時に電圧変動が生じた場合であっても、強誘電体素子CL11a〜CL1ma、CL11b〜CL1mb、CL21a〜CL2ma、CL21b〜CL2mbに意図しない電圧が印加されることはなく、データ化けを回避することが可能となる。
なお、時点R1において、プレートラインPL11〜PL1mとプレートラインPL21〜PL2mは、いずれも「0(ローレベル:GND)」とされている。
時点R2では、Fリセット信号FRSTmが「0(GND)」とされて、トランジスタQ1ma、Q1mb、Q2ma、Q2mbがオフされ、強誘電体素子CL1ma、CL1mb、CL2ma、CL2mbに対する電圧印加が可能な状態とされる一方、プレートラインPL2mが「0(GND)」に維持されたまま、プレートラインPL1mが「1(VDD2)」とされる。このようなパルス電圧の印加により、ノード電圧V1m及びノード電圧V2mとして、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した電圧信号が現れる。
図20の例(第3記憶領域に論理「1」のデータDが格納されていた場合)に即して具体的に説明すると、ノード電圧V1mの論理としてはWLが現れ、ノード電圧V2mの論理としてはWHが現れる。すなわち、ノード電圧V1mとノード電圧V2mとの間には、強誘電体素子内の残留分極状態の差に応じた電圧差が生じる形となる。
ただし、時点R2〜R3では、未だ第1電源電圧VDD1が投入されていないため、ループ構造部LOOP各部のノード電圧V3〜V6はいずれも「0(GND)」となっており、延いては、出力信号Qが「0」(GND)となっている。
続く時点R3では、データDの読み出し元として第m記憶領域を選択すべく、制御信号SELmが「1(VDD2)」とされ、その余の制御信号SEL1〜SEL(m−1)が「0(GND)」とされる。これにより、デマルチプレクサDeMUX1、DeMUX2は、その入力端と第m出力端を結ぶ信号経路が選択された状態となり、マルチプレクサMUX3、MUX4は、その出力端と第m入力端を結ぶ信号経路が選択された状態となる。
また、時点R3では、制御信号E1、E2が共に「0(GND)」とされた状態(すなわち、データ書き込み用ドライバが無効とされ、かつ、ループ構造部LOOPで通常ループが無効とされている状態)で、ループ構造部LOOPに対する第1電源電圧VDD1と不揮発性記憶部NVMに対する第2電源電圧VDD2が投入される。
なお、時点R3〜R4では、制御信号E2が「0(GND)」とされて、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第2入力端(0)が選択されるので、ノード電圧V3の論理はWLとなり、ノード電圧V4の論理はWHとなる。また、ノード電圧V5の論理はWHとなり、ノード電圧V6の論理はWLとなる。このように、時点R3〜R4では、装置各部のノード電圧V1〜V6が未だ不安定な状態(インバータINV3及びインバータINV4での論理反転が完全に行われず、その出力論理が確実に「0(GND)」/「1(VDD1)」となっていない状態)である。
続く時点R4では、制御信号E2が「1(VDD1)」とされ、マルチプレクサMUX1とマルチプレクサMUX2の第1入力端(1)が選択されるので、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている。このような信号経路の切り換えに伴い、インバータINV4の出力端(論理:WH)とインバータINV3の入力端(論理:WH)が接続され、インバータINV3の出力端(論理:WL)とインバータINV4の入力端(論理:WL)が接続される。従って、各ノードの信号論理(WH/WL)に不整合は生じず、以降、ループ構造部LOOPにて通常ループが形成されている間、インバータINV3は、論理WLの入力を受けて、その出力論理を「1(VDD1)」に引き上げようとし、インバータINV4は、論理WHの入力を受けて、その出力論理を「0(GND)」に引き下げようとする。その結果、インバータINV3の出力論理は、不安定な論理WLから「0(GND)」に確定され、インバータINV4の出力論理は、不安定な論理WHから「1(VDD1)」に確定される。
このように、時点R4において、ループ構造部LOOPが通常ループとされたことに伴い、強誘電体素子から読み出された信号(ノード電圧V1mとノード電圧V2mとの電位差)がループ構造部LOOPで増幅される形となり、出力信号Qとして第3記憶領域の保持データ(図20の例では「1(VDD1)」)が復帰される。
その後、時点R5では、Fリセット信号FRSTmが再び「1(VDD2)」とされ、トランジスタQ1ma、Q1mb、Q2ma、Q2mbがオンされて、強誘電体素子CL1ma、CL1mb、CL2ma、CL2mbの各両端間がいずれも短絡されるので、これらの強誘電体素子CL1ma、CL1mb、CL2ma、CL2mbには、一切電圧が印加されない状態となる。このとき、プレートラインPL1mとプレートラインPL2mは、いずれも「0(GND)」とされる。従って、データ保持装置は、時点W1以前と同様、通常動作状態に復帰される。
上記したように、図20のデータ読み出し動作は、図19のデータ読み出し動作と異なり、第1電源電圧VDD1と第2電源電圧VDD2の投入前から、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した電圧信号(ノード電圧V1m、V2m)の引き出し動作を開始する構成とされている。このような構成とすることにより、第1電源電圧VDD1と第2電源電圧VDD2を投入した後の動作ステップ数を減らして(図19の動作例では、3ステップ(時点R3、R4、R5)を要するのに対して、図20の動作例では、2ステップ(時点R4、R5)のみ)、通常動作に復帰するまでの所要時間を短縮することが可能となる。
次に、第4変形例のデータ保持装置をCPUに適用した場合の処理切替動作について、図21を参照しながら説明する。図21は、データ入れ替えによる処理切替動作の一例を示す模式図であり、データ保持装置の第1記憶領域と第m記憶領域を任意に切り替えて用いることにより、処理A(例えば動画圧縮処理)と処理B(例えば表計算処理)が交互に切り替えられる様子が模式的に示されている。なお、図21の左側には、縦軸を時間軸として処理Aと処理Bが交互に切り替えられる様子が示されており、図21の右側には、CPU内部で使用されているデータ保持装置の動作状態が模式的に示されている。
処理Aから処理Bに移る場合、データ保持装置は、処理Aに関するデータDAを第1記憶領域(CL11a〜CL21b)に書き込み、処理Bに関するデータDBを第m記憶領域(CL1ma〜CL2mb)から読み出すことで、データ保持装置に格納されているデータの入替処理を行う。一方、処理Bから処理Aに移る場合には、上記と逆に、データ保持装置は、処理Bに関するデータDBを第m記憶領域(CL1ma〜CL2mb)に書き込み、処理Aに関するデータDAを第1記憶領域(CL11a〜CL21b)から読み出すことで、データ保持装置に格納されているデータの入替処理を行う。このようなデータの入替処理により、CPUで実行される処理を瞬時に切り替えることが可能となる。
なお、データ入れ替えによってCPUの処理切替を行う場合、先出の図19、図20で示した電源オフ期間は必ずしも必要ではない。
次に、強誘電体素子のセルパターンのレイアウトについて、図22〜図25を参照しながら詳細に説明する。図22〜図25は、それぞれ、強誘電体素子のセルパターンの第1レイアウト例〜第4レイアウト例を示す模式図である。なお、図中の符号a〜dは、それぞれ、強誘電体素子を示しており、符号x、yは、それぞれ、素子間距離を示している。
半導体基板上に複数の強誘電体素子を形成する際、そのレイアウト段階では、いずれの強誘電体素子も同一の形状(例えば、上面視した場合に正方形や長方形となる形状)に設計されているが、マスキングプロセスやエッチングプロセスを経て半導体基板上に形成される実際の素子形状は、プロセスの特性上、設計通りの形状とはならないことが多い。
例えば、図22において、強誘電体素子a、dは、いずれの四辺にも別の素子が近接していないため、素子のコーナー部分がエッチングされやすく、半導体基板上に形成される実際の素子形状は、各々の四隅全てが比較的大きく丸められた形となる。一方、強誘電体素子b、cは、各々の一辺が互いに対向する形で互いに近接しているため、この一辺を含む素子のコーナー部分がエッチングされにくく、半導体基板上に形成される実際の素子形状は、各々の四隅のうち、互いに対向する二隅が比較的小さく丸められた形となり、その余の二隅が比較的大きく丸められた形となる。図23〜図25の例についても、上記と同様である。
このように、半導体基板上に形成される実際の素子形状は、素子の疎密に応じて四隅のエッチング度合いが異なるものとなるが、強誘電体素子CL1aと強誘電体素子CL1bとのペア、並びに、強誘電体素子CL2aと強誘電体素子CL2bとのペアについては、それぞれ半導体基板上に形成された実際の形状が等しくなるように配置するとよい。
図22の例であれば、強誘電体素子a、dを第1ペアとし、強誘電体素子b、cを第2ペアとすればよい。また、図23の例であれば、強誘電体素子a、bを第1ペアとし、強誘電体素子c、dを第2ペアとしてもよいし(図中(a)を参照)、若しくは、強誘電体素子a、cを第1ペアとし、強誘電体素子b、dを第2ペアとしてもよい(図中(b)を参照)。また、図24の例であれば、強誘電体素子a、cを第1ペアとし、強誘電体素子b、dを第2ペアとしてもよいし(図中(a)を参照)、強誘電体素子a、bを第1ペアとし、強誘電体素子c、dを第2ペアとしてもよいし(図中(b)を参照)、若しくは、強誘電体素子a、dを第1ペアとし、強誘電体素子b、cを第2ペアとしてもよい(図中(c)を参照)。また、図25の例であれば、強誘電体素子a、dを第1ペアとし、強誘電体素子b、cを第2ペアとすればよい。
このようなセルパターンのレイアウトを行うことにより、一対となる強誘電体素子の形状(面積)を揃えて、そのペア性を高めることが可能となり、延いては、データ保持装置のデータ保持特性を向上することが可能となる。
また、図18で示すように、記憶領域を複数設ける場合についても上記と同様であり、強誘電体素子CL11a〜CL1maと強誘電体素子CL11b〜CL1mbとのペア、並びに、強誘電体素子CL21a〜CL1maと強誘電体素子CL21b〜CL2mbとのペアについては、互いの形状(面積)を揃えておくことが重要である。
次に、本発明に係るデータ保持装置の第5の変形例について、図26を参照しながら、詳細な説明を行う。図26は、本発明に係るデータ保持装置の第5の変形例を示す回路図である。なお、ここまでの説明では、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMの各々に異なる電源電圧が供給されている構成を例示したが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMの双方に同一の電源電圧を供給する構成としてもよい。そこで、以下で説明する第5の変形例においては、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMの各々に供給される電源電圧の一致/不一致に言及することなく、先に説明した他の構成とは異なる部分について重点的に説明する。
図26に示すように、本変形例のデータ保持装置は、ループ構造部LOOPと、不揮発性記憶部NVMと、回路分離部SEPを有するほか、さらに、セット/リセット制御部SRCと、クロックパルス制御部CPCと、テスト回路部TESTと、を有しており、セット/リセット機能を備えたDフリップフロップ(レジスタ)として機能する。
ループ構造部LOOPは、否定論理積演算器NAND1〜NAND4と、パススイッチSW1、SW2、SW5、SW6と、インバータINV5及びINV5’と、3ステートインバータINV8及びINV8’と、を有する。
インバータINV8の入力端は、データDの入力端に接続されている。インバータINV8’の入力端は、スキャンデータSDの入力端に接続されている。インバータINV8及びINV8’の出力端は、いずれもパススイッチSW6を介して、否定論理積演算器NAND1の第1入力端に接続されている。否定論理積演算器NAND1の第2入力端は、内部セット信号SNLの入力端に接続されている。否定論理積演算器NAND1の出力端は、否定論理積演算器NAND2の第1入力端に接続される一方、パススイッチSW1を介して、否定論理積演算器NAND4の第1入力端にも接続されている。否定論理積演算器NAND2の第2入力端は、内部リセット信号RNLの入力端に接続されている。否定論理積演算器NAND2の出力端は、パススイッチSW5を介して、否定論理積演算器NAND1の第1入力端に接続されている。
否定論理積演算器NAND4の第2入力端は、内部リセット信号RNLの入力端に接続されている。否定論理積演算器NAND4の出力端は、インバータINV5を介して、出力データQの出力端に接続される一方、インバータINV5’を介して、スキャン出力データSOの出力端にも接続されている。また、否定論理積演算器NAND4の出力端は、否定論理積演算器NAND3の第1入力端にも接続されている。否定論理積演算器NAND3の第2入力端は、内部セット信号SNLの入力端に接続されている。否定論理積演算器NAND3の出力端は、パススイッチSW2を介して、否定論理積演算器NAND4の第1入力端に接続されている。
インバータINV8の制御端は、反転スキャン制御信号SCB(スキャン制御信号SCBの論理反転信号)の入力端に接続されている。インバータINV8’の制御端はスキャン制御信号SCの入力端に接続されている。従って、インバータINV8とインバータINV8’は、互いに排他的(相補的)にその出力端がハイインピーダンス状態とされる。
パススイッチSW1の制御端とパススイッチSW5の制御端は、いずれも内部クロック信号CPLの入力端に接続されている。パススイッチSW2の制御端とパススイッチSW6の制御端は、いずれも反転内部クロック信号CPLB(内部クロック信号CPLの論理反転信号)の入力端に接続されている。従って、パススイッチSW1及びSW5と、パススイッチSW2及びSW6とは、互いに排他的(相補的)にオン/オフされる。より具体的に述べると、パススイッチSW1及びSW5がオンとされているときには、パススイッチSW2及びSW6がオフとされ、逆に、パススイッチSW1及びSW5がオフとされているときには、パススイッチSW2及びSW6がオンとされる。
このように、本変形例のデータ保持装置においても、ループ状に接続された論理ゲート(マスタ側では否定論理積演算器NAND1及びNAND2、スレーブ側では否定論理積演算器NAND3及びNAND4)を用いて、入力されたデータ信号Dを保持するというループ構造部LOOPの基本構成は、先述の実施例と同様である。ただし、本変形例のデータ保持装置を形成するループ構造部LOOPは、マルチプレクサMUX1及びMUX2が取り除かれており、データ退避/復帰時のクロック停止処理を必要としない点や、スキャンパスを用いたシリアルデータの入出力機能を備えている点などに特徴を有している。
不揮発性記憶部NVMは、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、及び、CL2bと、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、及び、Q2bと、を有する。
強誘電体素子CL1aの正極端は、D系統の第1プレートラインPL1Dに接続されている。強誘電体素子CL1aの負極端は、回路分離部SEP(インバータINV9)を介して、ループ構造部LOOPを形成する否定論理積演算器NAND4の第1入力端に接続されている。強誘電体素子CL1aの両端間にはトランジスタQ1aが接続されている。トランジスタQ1aのゲートは、D系統のFリセット信号FRSTDの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL1bの正極端は、回路分離部SEP(インバータINV9)を介してループ構造部LOOPを形成する否定論理積演算器NAND4の第1入力端に接続されている。強誘電体素子CL1bの負極端は、D系統の第2プレートラインPL2Dに接続されている。強誘電体素子CL1bの両端間には、トランジスタQ1bが接続されている。トランジスタQ1bのゲートは、D系統のFリセット信号FRSTDの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL2aの正極端は、U系統の第1プレートラインPL1Uに接続されている。強誘電体素子CL2aの負極端は、回路分離部SEP(インバータINV10)を介して、ループ構造部LOOPを形成する否定論理積演算器NAND3の第1入力端に接続されている。強誘電体素子CL2aの両端間には、トランジスタQ2aが接続されている。トランジスタQ2aのゲートは、U系統のFリセット信号FRSTUの印加端に接続されている。
強誘電体素子CL2bの正極端は、回路分離部SEP(インバータINV10)を介して、ループ構造部LOOPを形成する否定論理積演算器NAND3の第1入力端に接続されている。強誘電体素子CL2bの負極端は、U系統の第2プレートラインPL2Uに接続されている。強誘電体素子CL2bの両端間には、トランジスタQ2bが接続されている。トランジスタQ2bのゲートは、U系統のFリセット信号FRSTUの印加端に接続されている。
このように、本変形例のデータ保持装置においても、強誘電体素子(CL1a、CL1b、CL2a、CL2b)のヒステリシス特性を用いて、ループ構造部LOOPに保持されたデータDを不揮発的に記憶するという不揮発性記憶部NVMの基本構成は、先述の実施例と同様である。ただし、本変形例のデータ保持装置を形成する不揮発性記憶部NVMは、テスト回路部TESTを用いて強誘電体素子(CL1a、CL1b、CL2a、CL2b)の特性評価を行うべく、第1プレートライン、第2プレートライン、及び、Fリセット信号ラインをそれぞれ2系統(U系統/D系統)ずつ有する点に特徴を有している。
回路分離部SEPは、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとを電気的に分離する手段として、3ステートインバータINV9及びINV10を有する。インバータINV9及びINV10は、いずれも制御信号E1に応じて、各々の出力端がハイインピーダンス状態とされる。
セット/リセット制御部SRCは、センスアンプ(差動アンプ)SAと、論理積演算器AND1及びAND2と、を有する。センスアンプSAの第1入力端は、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端(強誘電体素子CL1aの負極端と強誘電体素子CL1bの正極端との接続ノード)に接続されている。センスアンプSAの第2入力端は、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端(強誘電体素子CL2aの負極端と強誘電体素子CL2bの正極端との接続ノード)に接続されている。センスアンプSAの第1出力端(反転形式)は、論理積演算器AND1の第1入力端に接続されている。論理積演算器AND1の第2入力端は、外部セット信号SNの入力端に接続されている。論理積演算器AND1の出力端は、内部セット信号SNLの出力端として機能する。センスアンプSAの第2出力端は、論理積演算器AND2の第1入力端に接続されている。論理積演算器AND2の第2入力端は外部リセット信号RNの入力端に接続されている。論理積演算器AND2の出力端は、内部リセット信号RNLの出力端として機能する。センスアンプSAの制御端は、センスアンプイネーブル信号SAEの入力端に接続されている。なお、上記構成から成るセット/リセット制御部SRCの具体的な動作については、後ほど詳細に説明する。
クロックパルス制御部CPCは、否定論理積演算器NAND5を有する。否定論理積演算器NAND5の第1入力端は、外部クロック信号CPの入力端に接続されている。否定論理積演算器NAND5の第2入力端(反転入力形式)は、データ保持制御信号HSの入力端に接続されている。否定論理積演算器NAND5の出力端は、内部クロック信号CPLの出力端として機能する。従って、内部クロック信号CPLは、データ保持制御信号HSがハイレベル(クロック無効状態)であるときには、外部クロック信号CPに依ることなく、常にハイレベルの信号となり、データ保持制御信号HSがローレベル(クロック有効状態)であるときには、外部クロック信号CPの論理反転信号となる。
テスト回路部TESTは、3ステートインバータINV11〜INV14と、パススイッチSW7〜SW10と、を有する。
インバータINV11及びINV12の入力端は、いずれも第1デジタルプレートラインPL1_Dに接続されている。インバータINV11の出力端は、U系統の第1プレートラインPL1Uに接続されている。インバータINV12の出力端は、D系統の第1プレートラインPL1Dに接続されている。インバータINV11の制御端は、U系統の反転アナログイネーブル信号TESTUB(アナログイネーブル信号TESTUの論理反転信号)の入力端に接続されている。インバータINV12の制御端は、D系統の反転アナログイネーブル信号TESTDB(アナログイネーブル信号TESTDの論理反転信号)の入力端に接続されている。
パススイッチSW7の入力端は、U系統の第1アナログプレートラインPL1U_Aに接続されている。パススイッチSW7の出力端は、U系統の第1プレートラインPL1Uに接続されている。パススイッチSW7の制御端は、U系統のアナログイネーブル信号TESTUの入力端に接続されている。パススイッチSW8の入力端は、D系統の第1アナログプレートラインPL1D_Aに接続されている。パススイッチSW8の出力端は、D系統の第1プレートラインPL1Dに接続されている。パススイッチSW8の制御端は、D系統のアナログイネーブル信号TESTDの入力端に接続されている。
インバータINV13及びINV14の入力端は、いずれも第2デジタルプレートラインPL2_Dに接続されている。インバータINV13の出力端は、U系統の第2プレートラインPL2Uに接続されている。インバータINV14の出力端は、D系統の第2プレートラインPL2Dに接続されている。インバータINV13の制御端は、U系統の反転アナログイネーブル信号TESTUB(アナログイネーブル信号TESTUの論理反転信号)の入力端に接続されている。インバータINV14の制御端は、D系統の反転アナログイネーブル信号TESTDB(アナログイネーブル信号TESTDの論理反転信号)の入力端に接続されている。
パススイッチSW9の入力端は、U系統の第2アナログプレートラインPL2U_Aに接続されている。パススイッチSW9の出力端は、U系統の第2プレートラインPL2Uに接続されている。パススイッチSW9の制御端は、U系統のアナログイネーブル信号TESTUの入力端に接続されている。パススイッチSW10の入力端は、D系統の第2アナログプレートラインPL2D_Aに接続されている。パススイッチSW10の出力端はD系統の第2プレートラインPL2Dに接続されている。パススイッチSW10の制御端は、D系統のアナログイネーブル信号TESTDの入力端に接続されている。
上記構成から成るテスト回路部TESTにおいて、U系統のアナログイネーブル信号TESTUと、D系統のアナログイネーブル信号TESTDは、互いに背反論理とされる。具体的に述べると、U系統のアナログイネーブル信号TESTUがハイレベル(イネーブル論理)とされているときには、D系統のアナログイネーブル信号TESTDがローレベル(ディセーブル論理)とされる。逆に、U系統のアナログイネーブル信号TESTUがローレベル(ディセーブル論理)とされているときには、D系統のアナログイネーブル信号TESTDがハイレベル(イネーブル論理)とされる。なお、上記構成から成るテスト回路部TESTの具体的な動作については、後ほど詳細に説明する。
図27は、第5変形例のデータ保持装置で使用される信号ピンを示したブロック図であり、図28は、上記信号ピンの機能説明表である。両図に示した通り、本変形例のデータ保持装置には、ロジック制御用の信号ピンとして、クロック端子(CP)、データ入力端子(D)、プリセット端子(SN)、クリア端子(RN)、スキャンデータ入力端子(SD)及び、スキャン制御端子(SC)が設けられている。また、強誘電体素子制御用の信号ピンとしては、強誘電体素子ライトイネーブル端子(E1)、データホールド端子(HS)、センスアンプイネーブル端子(SAE)、U系統強誘電体素子リセット端子(FRSTU)、D系統強誘電体素子リセット端子(FRSTD)、第1プレートラインデジタル入力端子(PL1_D)、及び、第2プレートラインデジタル入力端子(PL2_D)が設けられている。また、強誘電体素子テスト用の信号ピンとしては、U系統のPL1/2アナログイネーブル端子(TESTU)、D系統のPL1/2アナログイネーブル端子(TESTD)、PL1Uアナログ入力端子(PL1U_A)、PL2Uアナログ入力端子(PL2U_A)、PL1Dアナログ入力端子(PL1D_A)、PL2Dアナログ入力端子(PL2D_A)、スキャン出力端子(SO)、及び、出力端子(Q)が設けられている。
図29は、センスアンプSAの一構成例を示す回路図である。本構成例のセンスアンプSAは、Pチャネル型電界効果トランジスタP1〜P4と、Nチャネル型電界効果トランジスタN1〜N5と、を有する。
トランジスタP1のソースとバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。トランジスタP1のドレインは、センスアンプSAの第2出力端(第2出力信号SDC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタP1のゲートは、センスアンプイネーブル信号SAEの入力端に接続されている。
トランジスタP2のソースとバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。トランジスタP2のドレインは、センスアンプSAの第2出力端(第2出力信号SDC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタP2のゲートは、センスアンプSAの第1出力端(第1出力信号SDnC_OUTの出力端)に接続されている。
トランジスタP3のソースとバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。トランジスタP3のドレインは、センスアンプSAの第1出力端(第1出力信号SDnC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタP3のゲートは、センスアンプSAの第2出力端(第2出力信号SDC_OUTの出力端)に接続されている。
トランジスタP4のソースとバックゲートは、電源電圧VDDの印加端に接続されている。トランジスタP4のドレインは、センスアンプSAの第1出力端(第1出力信号SDnC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタP4のゲートは、センスアンプイネーブル信号SAEの入力端に接続されている。
トランジスタN1のドレインは、センスアンプSAの第2出力端(第2出力信号SDC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタN1のソースは、トランジスタN3のドレインに接続されている。トランジスタN1のゲートは、センスアンプSAの第1出力端(第1出力信号SDnC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタN1のバックゲートは、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
トランジスタN2のドレインは、センスアンプSAの第1出力端(第1出力信号SDnC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタN2のソースは、トランジスタN4のドレインに接続されている。トランジスタN2のゲートは、センスアンプSAの第2出力端(第2出力信号SDC_OUTの出力端)に接続されている。トランジスタN2のバックゲートは、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
トランジスタN3のドレインは、トランジスタN1のソースに接続されている。トランジスタN3のソースは、トランジスタN5のドレインに接続されている。トランジスタN3のゲートは、ソースアンプSAの第1入力端(第1入力信号SDnCの入力端)に接続されている。トランジスタN3のバックゲートは、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
トランジスタN4のドレインは、トランジスタN2のソースに接続されている。トランジスタN4のソースは、トランジスタN5のドレインに接続されている。トランジスタN4のゲートは、ソースアンプSAの第2入力端(第2入力信号SDCの入力端)に接続されている。トランジスタN4のバックゲートは、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
トランジスタN5のドレインは、トランジスタN3及びN4の各ソースに接続されている。トランジスタN5のソースとバックゲートは、接地電圧VSSの印加端に接続されている。トランジスタN5のゲートは、センスアンプイネーブル信号SAEの入力端に接続されている。
上記構成から成るソースアンプSAにおいて、センスアンプイネーブル信号SAEがハイレベル(イネーブル論理)とされているときには、トランジスタP1及びP2がオフとなり、トランジスタN5がオンとなって、ソースアンプSAの動作が許可された状態となる。このとき、第1入力信号SDnCが第2入力信号SDCよりも高電圧であれば、第1出力信号SDnC_OUTがハイレベル(電源電圧VDD)となり、第2出力信号SDC_OUTがローレベル(接地電圧VSS)となる。逆に、第1入力信号SDnCが第2入力信号SDCよりも低電圧であれば、第1出力信号SDnC_OUTがローレベル(接地電圧VSS)となり、第2出力信号SDC_OUTがハイレベル(電源電圧VDD)となる。一方、センスアンプイネーブル信号SAEがローレベル(ディセーブル論理)とされているときには、トランジスタP1及びP2がオンとなり、トランジスタN5がオフとなって、ソースアンプSAの動作が禁止された状態となる。このとき、第1出力信号SDnC_OUT及び第2出力信号SDC_OUTは、第1入力信号SDnC及び第2入力信号SDCに依らず、常にハイレベル(電源電圧VDD)に固定される。
次に、図面を参照しながら、上記構成から成るデータ保持装置の動作説明を行う。
まず、データ保持装置の通常動作について説明する。図30は、通常動作時における装置各部の動作状態を示す回路図である。
データ保持装置の通常動作時において、クロックパルス制御部CPCには、外部クロック信号CPを有効とするように、ローレベル(0)のデータ保持制御信号HSが入力される。これにより、クロックパルス制御部CPCからループ構造部LOOPには、内部クロック信号CPLとして、外部クロック信号CP(より正確には、その論理反転信号)が供給されるので、ループ構造部LOOPでは、内部クロック信号CPL(延いては、外部クロック信号CP)に基づいて、データ信号Dのラッチ動作が行われる。
また、データ保持装置の通常動作時において、回路分離部SEPには、3ステートインバータINV9及びINV10(強誘電体素子への書き込みドライバに相当)をオフとするように、ローレベル(0)の制御信号E1が入力される。これにより、3ステートインバータINV9及びINV10の出力端がいずれもハイインピーダンス状態となり、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に分離される。
また、データ保持装置の通常動作時において、不揮発性記憶部NVMには、ハイレベル(1)のFリセット信号FRSTD、FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがいずれもオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれもショートされるので、各々の強誘電体素子に対する意図しない電圧印加を回避することが可能となる。なお、このとき、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
また、データ保持装置の通常動作時において、セット/リセット制御部SRCには、ローレベル(0)のセンスアンプイネーブル信号SAEが入力される。これにより、ソースアンプSAの第1出力信号SDnC_OUT、及び、第2出力信号SDC_OUTは、いずれもハイレベルに固定される。従って、セット/リセット制御部SRCからループ構造部LOOPには、外部セット信号SN及び外部リセット信号RNがそのまま内部セット信号SNL及び内部リセット信号RNLとして出力される。
また、データ保持装置の通常動作時において、テスト回路部TESTには、ローレベル(0)のアナログイネーブル信号TESTD、TESTUが入力される。これにより、スイッチSW7〜SW10はいずれもオフとされ、3ステートインバータINV11〜INV14はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_D、及び、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、いずれもハイレベル(1)の電圧信号が印加される。従って、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、それぞれ3ステートインバータINV11〜INV14を介して、ローレベル(0)の電圧信号が印加される。また、このとき、第1アナログプレートラインPL1D_A、PL1U_A、及び、第2アナログプレートラインPL2D_A、PL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
次に、データ保持装置のデータ書き込み動作(不揮発性記憶部NVMへのデータ退避動作)について説明する。図31は、データ書き込み動作時における装置各部の動作状態を示す回路図である。
データ保持装置のデータ書き込み動作時において、クロックパルス制御部CPCには、外部クロック信号CPを無効とするように、ハイレベル(1)のデータ保持制御信号HSが入力される。これにより、外部クロック信号CPに依ることなく、内部クロック信号CPLをハイレベルに固定することができるので、ループ構造部LOOPの格納データ(つまり、不揮発性記憶部NVMに退避すべきデータ)の内容が変化してしまわないように、データ信号Dの入力経路を遮断することが可能となり、延いては、不揮発性記憶部NVMに対するデータ書き込み動作(データ退避動作)の安定性を高めることが可能となる。
また、データ保持装置のデータ書き込み動作時において、回路分離部SEPには、3ステートインバータINV9及びINV10(強誘電体素子への書き込みドライバに相当)をオンとするように、ハイレベル(1)の制御信号E1が入力される。これにより、3ステートインバータINV9及びINV10は、各々の論理反転出力が可能な状態となり、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に導通される。
また、データ保持装置のデータ書き込み動作時において、不揮発性記憶部NVMには、ローレベル(0)のFリセット信号FRSTD、FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがいずれもオフされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)とされるので、各々の強誘電体素子に対してデータ書込電圧を印加することが可能となる。なお、このとき、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、上記のデータ書込電圧として、いずれも同一のパルス電圧信号(例えば、ハイレベルからローレベル)が印加される。このようなパルス電圧信号の印加により、強誘電体素子内部の残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。これについては、先に述べた通りであるため、重複した説明は割愛する。
また、データ保持装置のデータ書き込み動作時において、セット/リセット制御部SRCには、通常動作時と同様、ローレベル(0)のセンスアンプイネーブル信号SAEが入力される。これにより、ソースアンプSAの第1出力信号SDnC_OUT、及び、第2出力信号SDC_OUTは、いずれもハイレベルに固定される。従って、セット/リセット制御部SRCからループ構造部LOOPには、外部セット信号SN及び外部リセット信号RNがそのまま内部セット信号SNL及び内部リセット信号RNLとして出力される。
また、データ保持装置のデータ書き込み動作時において、テスト回路部TESTには、通常動作時と同様、ローレベル(0)のアナログイネーブル信号TESTD、TESTUが入力される。これにより、スイッチSW7〜SW10はいずれもオフとされ、3ステートインバータINV11〜INV14はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_D、及び、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、いずれも同一のパルス電圧信号(例えばローレベルからハイレベル)が印加される。従って、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、それぞれ3ステートインバータINV11〜INV14を介して、同一のパルス電圧信号(例えばハイレベルからローレベル)が印加される。また、このとき、第1アナログプレートラインPL1D_A、PL1U_A、及び、第2アナログプレートラインPL2D_A、PL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
次に、データ保持装置のデータ読み出し動作(ループ構造部LOOPへのデータ復帰動作)について説明する。図32は、データ読み出し動作時における装置各部の動作状態を示す回路図である。
データ保持装置のデータ読み出し動作時において、クロックパルス制御部CPCには、通常動作時と同様、外部クロック信号CPを有効とするように、ローレベル(0)のデータ保持制御信号HSが入力される。これにより、クロックパルス制御部CPCからループ構造部LOOPには、内部クロック信号CPLとして、外部クロック信号CP(より正確にはその論理反転信号)が供給される。このように、第5変形例のデータ保持装置では、外部クロック信号CPの入力を停止させることなく、不揮発性記憶部NVMからループ構造部LOOPへのデータ復帰が行われる。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、回路分離部SEPには、通常動作時と同じく、3ステートインバータINV9及びINV10(強誘電体素子への書き込みドライバに相当)をオフとするように、ローレベル(0)の制御信号E1が入力される。これにより、3ステートインバータINV9及びINV10の出力端がいずれもハイインピーダンス状態となり、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に分離される。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、不揮発性記憶部NVMには、ローレベル(0)のFリセット信号FRSTD、FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがいずれもオフされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)とされるので、各々の強誘電体素子に対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。なお、このとき、上記のデータ読出電圧としては、第2プレートラインPL2D、PL2Uがローレベルに維持されたまま、第1プレートラインPL1D、PL1Uに所定のパルス電圧信号(例えば、ローレベルからハイレベル)が印加される。このようなパルス電圧信号の印加により、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端(強誘電体素子CL1aの負極端と強誘電体素子CL1bの正極端との接続ノード)、及び、U系統出力端(強誘電体素子CL2aの負極端と強誘電体素子CL2bの正極端との接続ノード)には、それぞれ、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した復帰電圧信号(ソースアンプSAの第1入力信号SDnC、及び、第2入力信号SDCに相当)が現れる。これについては、先に述べた通りであるため、重複した説明は割愛する。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、セット/リセット制御部SRCには、ハイレベル(1)のセンスアンプイネーブル信号SAEが入力される。これにより、ソースアンプSAの第1出力信号SDnC_OUT、及び、第2出力信号SDC_OUTは、それぞれ、第1入力信号SDnCの電圧レベルと第2入力信号SDCの電圧レベルの高低に応じた論理レベルとなる。具体的に述べると、第1入力信号SDnCが第2入力信号SDCよりも高電圧であれば、第1出力信号SDnC_OUTがハイレベル(1)となり、第2出力信号SDC_OUTがローレベル(0)となる。逆に、第1入力信号SDnCが第2入力信号SDCよりも低電圧であれば、第1出力信号SDnC_OUTがローレベル(0)となり、第2出力信号SDC_OUTがハイレベル(1)となる。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、セット/リセット制御部SRCに入力される外部セット信号SN及び外部リセット信号RNは、いずれも、ハイレベル(1)に固定される。これにより、セット/リセット制御部SRCからループ構造部LOOPには、ソースアンプSAの第1出力信号SDnC_OUT及び第2出力信号SDC_OUTがそのまま内部セット信号SNL及び内部リセット信号RNLとして出力される。
なお、ループ構造部LOOPにおいては、否定論理積演算器NAND1、NAND3に入力される内部セット信号SNLがローレベル(0)になると、出力信号Qが強制的にハイレベル(1)となり、否定論理積演算器NAND2、NAND4に入力される内部リセット信号RNLがローレベル(0)になると、出力信号Qが強制的にローレベル(0)となる。すなわち、第5構成例のデータ保持装置では、不揮発性記憶部NVMの出力信号に基づいて、ループ構造部LOOPのセット/リセット制御(内部セット信号SNL及び内部リセット信号RNLの生成制御)を行うことによって、データの読み出し動作(復帰動作)が実現される。
例えば、データ保持装置のデータ書き込み動作によって、ループ構造部LOOPから不揮発性記憶部NVMに書き込まれた退避データが「1」である場合を考える。この場合、データ保持装置のデータ読み出し動作によって、不揮発性記憶部NVMからセット/リセット制御部SRCに入力される第1入力信号SDnCは、同じく不揮発性記憶部NVMからセット/リセット制御部SRCに入力される第2入力信号SDCよりも低電圧となる。従って、ソースアンプSAの第1出力電圧SDnC_OUTがローレベル(0)となり、延いては、内部セット信号SNLがローレベル(0)となるので、出力信号Qが強制的にハイレベル(1)にセットされる。このことは、揮発性記憶部NVMに書き込まれた退避データ「1」がループ構造部LOOPに復帰されたことを意味する。
逆に、データ保持装置のデータ書き込み動作によって、ループ構造部LOOPから不揮発性記憶部NVMに書き込まれた退避データが「0」である場合を考える。この場合、データ保持装置のデータ読み出し動作によって、不揮発性記憶部NVMからセット/リセット制御部SRCに入力される第1入力信号SDnCは、同じく不揮発性記憶部NVMからセット/リセット制御部SRCに入力される第2入力信号SDCよりも高電圧となる。従って、ソースアンプSAの第2出力電圧SDC_OUTがローレベル(0)となり、延いては、内部リセット信号RNLがローレベル(0)となるので、出力信号Qが強制的にローレベル(0)にリセットされる。このことは、揮発性記憶部NVMに書き込まれた退避データ「0」がループ構造部LOOPに復帰されたことを意味する。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、テスト回路部TESTには、通常動作時と同じく、ローレベル(0)のアナログイネーブル信号TESTD、TESTUが入力される。これにより、スイッチSW7〜SW10はいずれもオフとされて、3ステートインバータINV11〜INV14はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_Dには、所定のパルス電圧信号(例えば、ハイレベルからローレベル)が印加され、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、ハイレベル(1)の電圧信号が印加される。従って、第1プレートラインPL1D、PL1Uには、それぞれ3ステートインバータINV11及びINV12を介して、同一のパルス電圧信号(例えば、ローレベルからハイレベル)が印加され、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、それぞれ3ステートインバータINV13及びINV14を介して、ローレベル(0)の電圧信号が印加される。また、このとき、第1アナログプレートラインPL1D_A、PL1U_A、及び、第2アナログプレートラインPL2D_A、PL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
上記したように、第5変形例のデータ保持装置は、先出の構成と異なり、ループ構造部LOOPをデータ復帰用のセンスアンプとして流用するのではなく、別途独立したセンスアンプSAを設け、これを用いてループ構造部LOOPのセット/リセット制御を行う構成とされている。また、第5変形例のデータ保持装置は、外部クロック信号CPを停止させることなく、これを内部クロック信号CPLとしてループ構造部LOOPに伝達するか否かを制御する構成とされている。このような構成とすることにより、データ退避/復帰時に外部クロックCPを停止する必要がなくなるので、設計時のタイミング解析が容易となるほか、ゲーテッドクロックなどを用いた低消費電力技術との整合性が良くなる。
次に、データ保持装置のテスト動作(強誘電体素子のアナログ特性評価動作)について説明する。図33は、テスト動作時(特に、一連のテスト動作シーケンスに含まれる格納データの復帰ステップ時)における装置各部の動作状態を示す回路図である。なお、以下では、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端からソースアンプSAに入力される第2入力信号SDCのアナログ特性評価(第2入力信号SDCの電圧値測定)を行う場合を例に挙げ、これを「不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作」と称して、具体的に説明する。
不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、クロックパルス制御部CPCには、通常動作時やデータ読み出し動作時と同様、外部クロック信号CPを有効とするように、ローレベル(0)のデータ保持制御信号HSが入力される。これにより、クロックパルス制御部CPCからループ構造部LOOPには、内部クロック信号CPLとして、外部クロック信号CP(より正確には、その論理反転信号)が供給される。このように、第5変形例のデータ保持装置では、外部クロック信号CPの入力を停止させることなく、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作が行われる。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、回路分離部SEPには、通常動作時やデータ読み出し動作時と同様、3ステートインバータINV9及びINV10(強誘電体素子への書き込みドライバに相当)をオフとするように、ローレベル(0)の制御信号E1が入力される。これにより、3ステートインバータINV9及びINV10の出力端がいずれもハイインピーダンス状態となり、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に分離される。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、不揮発性記憶部NVMのU系統には、ローレベル(0)のFリセット信号FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ2a、Q2bがいずれもオフされて、強誘電体素子CL2a、CL2bの各両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)とされるので、各々の強誘電体素子に対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。なお、このとき、上記のデータ読出電圧としては、第2プレートラインPL2Uがローレベルに維持されたまま、第1プレートラインPL1Uに所定のパルス電圧信号(例えばローレベルからハイレベル)が印加される。このようなパルス電圧信号の印加によって、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端(強誘電体素子CL2aの負極端と強誘電体素子CL2bの正極端との接続ノード)には、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した復帰電圧信号(ソースアンプSAの第2入力信号SDCに相当)が現れる。これについては、先述の通りであるため、重複した説明は割愛する。
一方、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、不揮発性記憶部NVMのD系統には、ハイレベル(1)のFリセット信号FRSTDが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1bがいずれもオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1bの各両端間がいずれもショートされる。また、このとき、第1プレートラインPL1D、及び、第2プレートラインPL2Dには、いずれも所定のアナログ電圧値(ローレベル(接地電圧VSS)とハイレベル(電源電圧VDD)との間で任意に設定することが可能な中間電圧値)を有する参照電圧信号Vrefが印加される。従って、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端(強誘電体素子CL1aの負極端と強誘電体素子CL1bの正極端との接続ノード)からソースアンプSAには、第1入力信号SDnCとして上記の参照電圧信号Vrefが直接入力される形となる。なお、ソースアンプSAの第1入力信号SDnCとして、参照電圧Vrefの直接入力を行う意義については、後ほど詳細に説明する。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、セット/リセット制御部SRCには、ハイレベル(1)のセンスアンプイネーブル信号SAEが入力される。これにより、ソースアンプSAの第1出力信号SDnC_OUT、及び、第2出力信号SDC_OUTは、それぞれ、第1入力信号SDnCの電圧レベルと第2入力信号SDCの電圧レベルとの高低に応じた論理レベルとなる。具体的に述べると、第1入力信号SDnCが第2入力信号SDCよりも高電圧であれば、第1出力信号SDnC_OUTがハイレベル(1)となり、第2出力信号SDC_OUTがローレベル(0)となる。逆に、第1入力信号SDnCが第2入力信号SDCよりも低電圧であれば、第1出力信号SDnC_OUTがローレベル(0)となり、第2出力信号SDC_OUTがハイレベル(1)となる。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、セット/リセット制御部SRCに入力される外部セット信号SNと外部リセット信号RNは、いずれもハイレベル(1)に固定される。これにより、セット/リセット制御部SRCからループ構造部LOOPには、ソースアンプSAの第1出力信号SDnC_OUT及び第2出力信号SDC_OUTがそのまま内部セット信号SNL及び内部リセット信号RNLとして出力される。これについては、先に述べたデータ読み出し動作時と同様である。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、テスト回路部TESTに入力されるU系統のアナログイネーブル信号TESTUはローレベル(0)とされる。これにより、スイッチSW7、SW9はいずれもオフとされて、3ステートインバータINV11、INV13はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_Dには、所定のパルス電圧信号(例えば、ハイレベルからローレベル)が印加され、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、ハイレベル(1)の電圧信号が印加される。従って、U系統の第1プレートラインPL1Uには、3ステートインバータINV11を介して、所定のパルス電圧信号(例えば、ローレベルからハイレベル)が印加され、U系統の第2プレートラインPL2Uには、3ステートインバータINV13を介して、ローレベル(0)の電圧信号が印加される。なお、このとき、U系統の第1アナログプレートラインPL1U_A、及び、U系統の第2アナログプレートラインPL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
一方、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、テスト回路部TESTに入力されるD系統のアナログイネーブル信号TESTDはハイレベル(1)とされる。これにより、スイッチSW8、SW10はいずれもオンとされて、3ステートインバータINV12、INV14はいずれもオフとされる。なお、このとき、D系統の第1アナログプレートラインPL1D_A、及び、D系統の第2アナログプレートラインPL2D_Aには、いずれも所定電圧値の参照電圧信号Vrefが印加される。従って、D系統の第1プレートラインPL1D、及び、D系統の第2プレートラインPL2Dには、それぞれスイッチSW8、SW10を介して、所定電圧値の参照電圧信号Vrefが印加される。
図34は、強誘電体素子のアナログ特性評価動作を説明するためのタイミングチャートであり、U系統の第1プレートラインPL1Uに印加されるパルス電圧信号、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端に現れる復帰電圧信号(ソースアンプSAの第2入力信号SDCに相当)、及び、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端に直接入力される参照電圧信号Vref(図34では、3つの電圧値Vref1〜Vref3)が描写されている。
不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、U系統の第2プレートラインPL2Uがローレベルに維持されたまま、U系統の第1プレートラインPL1Uに所定のパルス電圧信号(例えば、ローレベルからハイレベル)が印加されたとき、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端(強誘電体素子CL2aの負極端と強誘電体素子CL2bの正極端との接続ノード)には、先にも述べたように、強誘電体素子内の残留分極状態に対応した復帰電圧信号(ソースアンプSAの第2入力信号SDCに相当)が現れる。
ここで、不揮発性記憶部NVMにデータ「0」が格納されていた場合(S=0)には、ソースアンプSAの第2入力信号SDCが第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)(先述の論理WLに相当)となり、不揮発性記憶部NVMにデータ「1」が格納されていた場合(S=1)には、ソースアンプSAの第2入力信号SDCが第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)よりも高い第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)(先述の論理WHに相当)となる。
一方、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端(強誘電体素子CL1aの負極端と強誘電体素子CL1bの正極端との接続ノード)には、任意のアナログ電圧値を有する参照電圧信号Vref(ソースアンプSAの第1入力電圧SDnCに相当)が装置外部から直接入力されている。
従って、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端に現れる復帰電圧信号をソースアンプSAの第2入力信号SDCとして入力しつつ、ソースアンプSAの第1入力信号SDnCとして入力される参照電圧信号Vrefの電圧値をステップ制御またはスイープ制御によって順次変化させていき、その都度、ループ構造部LOOPに復帰される出力信号Qの論理レベルをモニタすることにより、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端に現れる復帰電圧信号(ソースアンプSAの第2入力信号SDC)のアナログ電圧値を知ることができる。
図35は、参照電圧信号Vrefと出力信号Qとの関係を示す模式図である。なお、本図に示したテストシーケンスでは、データ「0」書込ステップ(0S)、データ読出ステップ(R)、データ「1」書込ステップ(1S)、及び、データ読出ステップ(R)を1サイクルとして、各々のサイクル毎に参照電圧信号Vrefの電圧値を順次変化させながら、その都度、ループ構造部LOOPに復帰される出力信号Qの論理レベルをモニタし、そのモニタ結果に基づいて、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端に現れる復帰電圧信号のアナログ電圧値が測定される。
なお、データ「0」書込ステップ(0S)、及び、データ「1」書込ステップ(1S)は、それぞれ、ループ構造部LOOPにデータ「0」及びデータ「1」を入力した後、不揮発性記憶部NVMにループ構造部LOOPの格納データを退避させるステップである。また、データ読出ステップ(R)は、不揮発性記憶部NVMの格納データをループ構造部LOOPに復帰させ、その復帰データを出力信号Qとして読み出すステップである。
以下、図35の例に即して具体的に説明する。
まず、第1サイクルX1において、参照電圧信号Vrefの電圧値は、第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)、及び、第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)のいずれよりも低い電圧値Vref1に設定される。従って、不揮発性記憶部NVMにデータ「0」とデータ「1」のいずれを書き込んだ場合でも、ループ構造部LOOPには常にデータ「1」が復帰される。すなわち、第1サイクルX1に含まれる2回のデータ読出ステップでは、出力信号Qとして、いずれもデータ「1」が読み出される。
次に、第2サイクルX2において、参照電圧信号Vrefの電圧値は、第1サイクルX1で設定された電圧値Vref1よりも高い電圧値Vref2に設定される。なお、図35の例において、電圧値Vref2は、第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)よりも高く、かつ、第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)よりも低くなっている。従って、不揮発性記憶部NVMにデータ「0」を書き込んだ場合には、ループ構造部LOOPにデータ「0」が復帰され、不揮発性記憶部NVMにデータ「1」を書き込んだ場合には、ループ構造部LOOPにデータ「1」が復帰される。すなわち、第2サイクルX2に含まれる2回のデータ読出ステップでは、出力信号Qとして、データ「0」とデータ「1」が順次読み出される。これは、不揮発性記憶部NVMに格納されているデータの内容(0/1)を判別して、ループ構造部LOOPへのデータ復帰が正常に行われている動作状態である。
この時点で、第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)は、電圧値Vref1よりも高く電圧値Vref2よりも低い電圧値であることが分かる。
その後も、第3サイクルX3では、参照電圧信号Vrefの電圧値が電圧値Vref2よりも高い電圧値Vref3に設定され、続く第4サイクルX4では、参照電圧信号Vrefの電圧値が電圧値Vref3よりも高い電圧値Vref4に設定される。ただし、電圧値Vref3及びVref4は、電圧値Vref2と同じく、第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)よりも高いが、第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)よりも低いので、不揮発性記憶部NVMにデータ「0」を書き込んだ場合には、ループ構造部LOOPにデータ「0」が復帰され、不揮発性記憶部NVMにデータ「1」を書き込んだ場合には、ループ構造部LOOPにデータ「1」が復帰される。すなわち、第3サイクルX3及び第4サイクルX4に各々含まれる2回ずつのデータ読出ステップでは、出力信号Qとして、データ「0」とデータ「1」が順次読み出される。
次に、第5サイクルX5では、参照電圧信号Vrefの電圧値が電圧値Vref4よりも高い電圧値Vref5に設定される。なお、図35の例において、電圧値Vref5は第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)、及び、第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)のいずれよりも高くなっている。従って、不揮発性記憶部NVMにデータ「0」とデータ「1」のいずれを書き込んだ場合でも、ループ構造部LOOPには常にデータ「0」が復帰される。すなわち、第5サイクルX5に含まれる2回のデータ読出ステップでは、出力信号Qとして、いずれもデータ「0」が読み出される。
この時点で、第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)は、電圧値Vref4よりも高く電圧値Vref5よりも低い電圧値であることが分かる。
なお、図35の例では、その後も第6ステップX6以降のシーケンスが継続されるように描写されているが、第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)、及び、第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)の双方のアナログ電圧値が判明した時点で、テストシーケンスを終了してもよい。
また、図35では、データ「0」書込ステップ(0S)、データ読出ステップ(R)、データ「1」書込ステップ(1S)、及び、データ読出ステップ(R)を1サイクルとしたテストシーケンスを例に挙げて説明を行ったが、テストシーケンスはこれに限定されるものではなく、例えば、データ「0」書込ステップ(0S)とデータ読出ステップ(R)を1サイクルとして、第1の復帰電圧レベルVSO(S=0)のみの測定を行った後に、改めて、データ「1」書込ステップ(1S)とデータ読出ステップ(R)を1サイクルとして、第2の復帰電圧レベルVSO(S=1)のみの測定を行う構成としても構わない。
また、上記では、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端からソースアンプSAに入力される第2入力信号SDCのアナログ特性評価(第2入力信号SDCの電圧値測定)を行う場合を例に挙げて説明を行ったが、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端からソースアンプSAに入力される第1入力信号SDnCのアナログ特性評価(第1入力信号SDnCの電圧値測定)を行う場合についても、同様であることは言うまでもない。
すなわち、第1入力信号SDnCの電圧値測定を行う場合であれば、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端強誘電体素子CL1aの負極端と強誘電体素子CL1bの正極端との接続ノード)から格納データの内容に応じた復帰電圧信号(ソースアンプSAの第1入力電圧SDnCに相当)を引き出す一方、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端(強誘電体素子CL2aの負極端と強誘電体素子CL2bの正極端との接続ノード)には、任意のアナログ電圧値を有する参照電圧信号Vref(ソースアンプSAの第2入力電圧SDCに相当)を直接入力してやり、上記と同様のテストシーケンスを実行すればよい。
次に、スキャンパスを活用したデータ保持装置のテスト動作について説明する。図36は、スキャンパスを活用したデータ保持装置のテスト動作を説明するためのブロック図である。演算装置1は、x個(ただし、xは2以上の整数)のレジスタREG1〜REGxを並列に有する半導体集積回路装置である。なお、レジスタREG1〜REGxは、それぞれ、先に述べた第5変形例のデータ保持装置(図26などを参照)に相当する。
演算装置1の通常動作時には、前段ロジック回路(不図示)からレジスタREG1〜REGxに対して、それぞれデータD1〜Dxが入力され、レジスタREG1〜REGxから後段ロジック回路(不図示)に対して、それぞれ出力信号Q1〜Qxが出力される。
一方、演算装置1のテスト動作時には、レジスタREG1〜REGxがスキャンパスを介してシリアル接続されたシフトレジスタを形成するように、テスタ(シーケンサ)2から制御信号が入力される。すなわち、最前段のレジスタREG1には、テスタ2からスキャンデータSD1が入力され、レジスタREG1のスキャン出力信号SO1は、レジスタREG2にスキャンデータSD2として入力される。次段以降のレジスタについても同様であり、前段レジスタのスキャン出力信号が後段レジスタのスキャンデータとして順次入力されていき、最終段のレジスタREGxから出力されるスキャン出力信号SOxは、テスタ2に入力される。
このように、スキャンパスを活用してデータ保持装置のテスト動作を行う構成とすることにより、テスト対象のデータ保持装置(図36ではレジスタREG1〜REGx)が多数存在するシステムにおいても、装置外部に引き出されるデータ出力端子のピン数を不要に増大することなく、適切にテスト動作を行うことが可能となる。
図37Aは、スキャンパスを活用したテスト動作の一例を示すフローチャートであり、基本的には、先出の図35で例示したテストシーケンスを踏襲したものである。
まず、ステップS11では、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに対して、データ「0」の入力が行われる。なお、データ「0」の入力手法としては、データDの入力端からデータ「0」を入力する手法、スキャンデータSDの入力端からデータ「0」を入力する手法、或いは、外部リセット信号RNを用いてループ構造部LOOPをリセットすることによりデータ「0」を入力する手法のいずれを採用しても構わない。
次に、ステップS12では、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPから各不揮発性記憶部NVMに対してデータ退避が行われ、続くステップS13では、レジスタREG1〜REGxの各不揮発性記憶部NVMから各ループ構造部LOOPに対してデータ復帰が行われる。このとき、第1入力信号SDnCの電圧値測定を行う場合には、第2入力電圧SDCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよく、逆に、第2入力信号SDCの電圧値測定を行う場合には、第1入力電圧SDnCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよい。このようなデータ退避/復帰動作については、先に述べた通りであるため、重複した説明を割愛する。
次に、ステップS14では、スキャンパスを活用して、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータのシリアル出力が行われる。具体的には、x発のクロック信号に同期して、テスタ2から最前段のレジスタREG1に対してスキャンデータSD1がx回入力され、これに応じて最終段のレジスタREGxからテスタ2に対してスキャン出力信号SOxがx回出力される。すなわち、テスタ2には、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータが逆順(レジスタREGx〜REG1の順序)でシリアル出力される。なお、このとき、テスタ2から最前段のレジスタREG1に対して入力されるスキャンデータSD1の内容については、不問である。
次に、ステップS15では、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに対して、データ「1」の入力が行われる。なお、データ「1」の入力手法としては、データDの入力端からデータ「1」を入力する手法、スキャンデータSDの入力端からデータ「1」を入力する手法、或いは、外部セット信号SNを用いてループ構造部LOOPをセットすることによりデータ「1」を入力する手法のいずれを採用しても構わない。
次に、ステップS16では、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPから各不揮発性記憶部NVMに対してデータ退避が行われ、続くステップS17では、レジスタREG1〜REGxの各不揮発性記憶部NVMから各ループ構造部LOOPに対してデータ復帰が行われる。このとき、第1入力信号SDnCの電圧値測定を行う場合には、第2入力電圧SDCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよく、逆に、第2入力信号SDCの電圧値測定を行う場合には、第1入力電圧SDnCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよい。このようなデータ退避/復帰動作については、先に述べた通りであるため、重複した説明を割愛する。
次に、ステップS18では、スキャンパスを活用して、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータのシリアル出力が行われる。具体的には、x発のクロック信号に同期して、テスタ2から最前段のレジスタREG1に対してスキャンデータSD1がx回入力され、これに応じて最終段のレジスタREGxからテスタ2に対してスキャン出力信号SOxがx回出力される。すなわち、テスタ2には、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータが逆順(レジスタREGx〜REG1の順序)でシリアル出力される。
次に、ステップS19では、参照電圧Vrefの電圧値が更新されて、フローがステップS11に戻される。このような一連のステップを1サイクルとして、先出の図35で例示したテストシーケンスが実行され、第1入力信号SDnCないし第2入力信号SDCの電圧値が測定される。
図37Bは、スキャンパスを活用したテスト動作の別の一例を示すフローチャートであり、基本的には、先出の図35で例示したテストシーケンスを踏襲したものである。
まず、ステップS21では、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに対して、データ「0」の入力が行われる。なお、データ「0」の入力手法としては、データDの入力端からデータ「0」を入力する手法、スキャンデータSDの入力端からデータ「0」を入力する手法、或いは、外部リセット信号RNを用いてループ構造部LOOPをリセットすることによりデータ「0」を入力する手法のいずれを採用しても構わない。
次に、ステップS22では、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPから各不揮発性記憶部NVMに対してデータ退避が行われ、続くステップS23では、レジスタREG1〜REGxの各不揮発性記憶部NVMから各ループ構造部LOOPに対してデータ復帰が行われる。このとき、第1入力信号SDnCの電圧値測定を行う場合には、第2入力電圧SDCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよく、逆に、第2入力信号SDCの電圧値測定を行う場合には、第1入力電圧SDnCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよい。このようなデータ退避/復帰動作については、先に述べた通りであるため、重複した説明を割愛する。
次に、ステップS24では、スキャンパスを活用して、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータのシリアル出力が行われるとともに、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに対して、データ「1」のシリアル入力が行われる。具体的には、x発のクロック信号に同期して、テスタ2から最前段のレジスタREG1に対して、データ「1」のスキャンデータSD1がx回入力され、これに応じて最終段のレジスタREGxからテスタ2に対して、スキャン出力信号SOxがx回出力される。すなわち、テスタ2に対しては、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータが逆順(レジスタREGx〜REG1の順序)でシリアル出力されるとともに、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに対しては、データ「1」が順次シリアル入力される。従って、図37AのステップS14とステップS15を単一のステップS24にまとめることが可能となる。
次に、ステップS25では、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPから各不揮発性記憶部NVMに対してデータ退避が行われ、続くステップS26では、レジスタREG1〜REGxの各不揮発性記憶部NVMから各ループ構造部LOOPに対してデータ復帰が行われる。このとき、第1入力信号SDnCの電圧値測定を行う場合には、第2入力電圧SDCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよく、逆に、第2入力信号SDCの電圧値測定を行う場合には、第1入力電圧SDnCとして任意の参照電圧信号Vrefを直接入力すればよい。このようなデータ退避/復帰動作については、先に述べた通りであるため、重複した説明を割愛する。
次に、ステップS27では、スキャンパスを活用して、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータのシリアル出力が行われるとともに、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに対して、データ「0」のシリアル入力が行われる。具体的には、x発のクロック信号に同期して、テスタ2から最前段のレジスタREG1に対して、データ「0」のスキャンデータSD1がx回入力され、これに応じて最終段のレジスタREGxからテスタ2に対して、スキャン出力信号SOxがx回出力される。すなわち、テスタ2に対しては、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに復帰されたデータが逆順(レジスタREGx〜REG1の順序)でシリアル出力されるとともに、レジスタREG1〜REGxの各ループ構造部LOOPに対しては、データ「0」が順次シリアル入力される。従って、図37AのステップS18とステップS11を単一のステップS27にまとめることが可能となる。
次に、ステップS28では、参照電圧Vrefの電圧値が更新されて、フローがステップS22に戻される。このような一連のステップを1サイクルとして、先出の図35で例示したテストシーケンスが実行され、第1入力信号SDnCないし第2入力信号SDCの電圧値が測定される。
上記したように、第5変形例のデータ保持装置であれば、システムに組み込まれた状態でも、強誘電体素子のアナログ特性評価を詳細に行うことが可能となる。
図38は、本発明に係るデータ保持装置の第6の変形例を示す回路図である。なお、本変形例は、先出の第5変形例とほぼ同様の構成であり、ループ構造部LOOPの出力信号Qのみが回路分離部SEPに入力される構成とされている。なお、回路分離部SEPは、3ステートインバータINV9に対して、出力信号Qを直接入力する一方、3ステートインバータINV10に対しては、別途新たに挿入されたインバータ10’を介して出力信号Qの論理反転信号を入力する構成とされている。このような構成とすることにより、ループ構造部LOOPには何ら手を加えることなく、回路分離部SEP、不揮発性記憶部NVM、及び、セット/リセット制御部SRCなどを後付けすることができるので、既存のデータ記憶装置を容易に不揮発化することが可能となる。
図39は、本発明に係るデータ保持装置の第7の変形例を示す回路図である。なお、本変形例は、図1のデータ保持装置において、第1プレートライン、第2プレートライン、及び、Fリセット信号ラインをそれぞれ2系統(U系統/D系統)に分離した上で、先述のテスト回路部TESTを組み込んだ構成に相当する。
まず、データ保持装置の通常動作について説明する。図40は、通常動作時における装置各部の動作状態を示す回路図である。
データ保持装置の通常動作時において、ループ構造部LOOPでは、パルス駆動されるクロック信号CLKないし反転クロック信号CLKBに基づいて、データ信号Dのラッチ動作が行われる。
また、データ保持装置の通常動作時において、回路分離部SEPでは、制御信号E1がローレベル(0)とされて、スイッチSW3及びSW4がいずれもオフとされ、また、制御信号E2がハイレベル(1)とされて、マルチプレクサMUX1及びMUX2の第1入力端(1)が選択される。これにより、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に分離された状態で、ループ構造部LOOPの通常ループが形成される。
また、データ保持装置の通常動作時において、不揮発性記憶部NVMには、ハイレベル(1)のFリセット信号FRSTD、FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがいずれもオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれもショートされるので、各々の強誘電体素子に対する意図しない電圧印加を回避することが可能となる。なお、このとき、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
また、データ保持装置の通常動作時において、テスト回路部TESTには、ローレベル(0)のアナログイネーブル信号TESTD、TESTUが入力される。これにより、スイッチSW7〜SW10はいずれもオフとされ、3ステートインバータINV11〜INV14はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_D、及び、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、いずれもハイレベル(1)の電圧信号が印加される。従って、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、それぞれ3ステートインバータINV11〜INV14を介して、ローレベル(0)の電圧信号が印加される。また、このとき、第1アナログプレートラインPL1D_A、PL1U_A、及び、第2アナログプレートラインPL2D_A、PL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
次に、データ保持装置のデータ書き込み動作(不揮発性記憶部NVMへのデータ退避動作)について説明する。図41は、データ書き込み動作時における装置各部の動作状態を示す回路図である。
データ保持装置のデータ書き込み動作時において、ループ構造部LOOPに入力されるクロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBがそれぞれローレベル(0)及びハイレベル(1)に固定される。これにより、ループ構造部LOOPの格納データ(つまり、不揮発性記憶部NVMに退避すべきデータ)の内容が変化してしまわないように、データ信号Dの入力経路を遮断することが可能となり、延いては、不揮発性記憶部NVMに対するデータ書き込み動作(データ退避動作)の安定性を高めることが可能となる。
また、データ保持装置のデータ書き込み動作時において、回路分離部SEPでは、制御信号E1がハイレベル(1)とされて、スイッチSW3及びSW4がオンとされ、また、制御信号E2がハイレベル(1)とされて、マルチプレクサMUX1及びMUX2の第1入力端(1)が選択される。これにより、ループ構造部LOOPの通常ループが形成された状態で、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に導通される。
また、データ保持装置のデータ書き込み動作時において、不揮発性記憶部NVMには、ローレベル(0)のFリセット信号FRSTD、FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがいずれもオフされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)とされるので、各々の強誘電体素子に対してデータ書込電圧を印加することが可能となる。なお、このとき、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、上記のデータ書込電圧として、いずれも同一のパルス電圧信号(例えば、ハイレベルからローレベル)が印加される。このようなパルス電圧信号の印加により、強誘電体素子内部の残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。これについては、先に述べた通りであるため、重複した説明は割愛する。
また、データ保持装置のデータ書き込み動作時において、テスト回路部TESTには、通常動作時と同様、ローレベル(0)のアナログイネーブル信号TESTD、TESTUが入力される。これにより、スイッチSW7〜SW10はいずれもオフとされ、3ステートインバータINV11〜INV14はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_D、及び、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、いずれも同一のパルス電圧信号(例えばローレベルからハイレベル)が印加される。従って、第1プレートラインPL1D、PL1U、及び、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、それぞれ3ステートインバータINV11〜INV14を介して、同一のパルス電圧信号(例えばハイレベルからローレベル)が印加される。また、このとき、第1アナログプレートラインPL1D_A、PL1U_A、及び、第2アナログプレートラインPL2D_A、PL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
次に、データ保持装置のデータ読み出し動作(ループ構造部LOOPへのデータ復帰動作)について説明する。図42は、データ読み出し動作時における装置各部の動作状態を示す回路図である。
データ保持装置のデータ読み出し動作時において、ループ構造部LOOPに入力されるクロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBは、データ書き込み動作時と同様、それぞれローレベル(0)及びハイレベル(1)に固定される。なお、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBのパルス駆動は、データ読み出し動作が完了した後に再開される。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、回路分離部SEPでは、制御信号E1がローレベル(0)とされて、スイッチSW3及びSW4がオフとされ、また、制御信号E2がローレベル(0)とされて、マルチプレクサMUX1及びMUX2の第2入力端(0)が選択される。これにより、不揮発性記憶部NVMからループ構造部LOOPにデータを読み出すことが可能な接続形態で、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に導通される。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、不揮発性記憶部NVMには、ローレベル(0)のFリセット信号FRSTD、FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bがいずれもオフされて、強誘電体素子CL1a、CL1b、CL2a、CL2bの各両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)とされるので、各々の強誘電体素子に対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。なお、このとき、上記のデータ読出電圧としては、第2プレートラインPL2D、PL2Uがローレベルに維持されたまま、第1プレートラインPL1D、PL1Uに所定のパルス電圧信号(例えば、ローレベルからハイレベル)が印加される。このようなパルス電圧信号の印加により、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端(強誘電体素子CL1aの負極端と強誘電体素子CL1bの正極端との接続ノード)、及び、U系統出力端(強誘電体素子CL2aの負極端と強誘電体素子CL2bの正極端との接続ノード)には、それぞれ、強誘電体素子内の残留分極状態に対応したノード信号V1及びV2が現れる。このようにして不揮発性記憶部NVMから読み出された復帰電圧信号(ノード電圧V1とノード電圧V2との電位差)は、制御信号E2がローレベル(0)からハイレベル(1)に立ち上げられたときに、ループ構造部LOOPで増幅される形となり、出力信号Qとして電源遮断前の保持データが復帰される。これについては、先に述べた通りであるため、重複した説明は割愛する。
また、データ保持装置のデータ読み出し動作時において、テスト回路部TESTには、通常動作時と同じく、ローレベル(0)のアナログイネーブル信号TESTD、TESTUが入力される。これにより、スイッチSW7〜SW10はいずれもオフとされて、3ステートインバータINV11〜INV14はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_Dには、所定のパルス電圧信号(例えば、ハイレベルからローレベル)が印加され、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、ハイレベル(1)の電圧信号が印加される。従って、第1プレートラインPL1D、PL1Uには、それぞれ3ステートインバータINV11及びINV12を介して、同一のパルス電圧信号(例えば、ローレベルからハイレベル)が印加され、第2プレートラインPL2D、PL2Uには、それぞれ3ステートインバータINV13及びINV14を介して、ローレベル(0)の電圧信号が印加される。また、このとき、第1アナログプレートラインPL1D_A、PL1U_A、及び、第2アナログプレートラインPL2D_A、PL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
次に、データ保持装置のテスト動作(強誘電体素子のアナログ特性評価動作)について説明する。図43は、テスト動作時(特に、一連のテスト動作シーケンスに含まれる格納データの復帰ステップ時)における装置各部の動作状態を示す回路図である。なお、以下では、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端に現れるノード電圧V2のアナログ特性評価を行う場合を例に挙げ、これを「不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作」と称して、具体的に説明する。
不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、ループ構造部LOOPに入力されるクロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBは、データ書き込み動作時やデータ読み出し動作と同様、それぞれローレベル(0)及びハイレベル(1)に固定される。なお、クロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBのパルス駆動は、テスト動作が完了した後に再開される。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、回路分離部SEPでは、制御信号E1がローレベル(0)とされて、スイッチSW3及びSW4がオフとされ、また、制御信号E2がローレベル(0)とされて、マルチプレクサMUX1及びMUX2の第2入力端(0)が選択される。これにより、不揮発性記憶部NVMからループ構造部LOOPにデータを読み出すことが可能な接続形態で、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとが電気的に導通される。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、不揮発性記憶部NVMのU系統には、ローレベル(0)のFリセット信号FRSTUが入力される。これにより、トランジスタQ2a、Q2bがいずれもオフされて、強誘電体素子CL2a、CL2bの各両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)とされるので、各々の強誘電体素子に対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。なお、このとき、上記のデータ読出電圧としては、第2プレートラインPL2Uがローレベルに維持されたまま、第1プレートラインPL1Uに所定のパルス電圧信号(例えばローレベルからハイレベル)が印加される。このようなパルス電圧信号の印加によって、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端(強誘電体素子CL2aの負極端と強誘電体素子CL2bの正極端との接続ノード)には、強誘電体素子内の残留分極状態に対応したノード電圧V2が現れる。これについては先述の通りであるため、重複した説明は割愛する。
一方、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、不揮発性記憶部NVMのD系統には、ハイレベル(1)のFリセット信号FRSTDが入力される。これにより、トランジスタQ1a、Q1bがいずれもオンされて、強誘電体素子CL1a、CL1bの各両端間がいずれもショートされる。また、このとき、第1プレートラインPL1D、及び、第2プレートラインPL2Dには、いずれも所定のアナログ電圧値を有する参照電圧信号Vrefが印加される。従って、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端(強誘電体素子CL1aの負極端と強誘電体素子CL1bの正極端との接続ノード)に現れるノード電圧V1は、上記の参照電圧信号Vrefとなる。
また、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、テスト回路部TESTに入力されるU系統のアナログイネーブル信号TESTUはローレベル(0)とされる。これにより、スイッチSW7、SW9はいずれもオフとされて、3ステートインバータINV11、INV13はいずれもオンとされる。なお、このとき、第1デジタルプレートラインPL1_Dには、所定のパルス電圧信号(例えば、ハイレベルからローレベル)が印加され、第2デジタルプレートラインPL2_Dには、ハイレベル(1)の電圧信号が印加される。従って、U系統の第1プレートラインPL1Uには、3ステートインバータINV11を介して、所定のパルス電圧信号(例えば、ローレベルからハイレベル)が印加され、U系統の第2プレートラインPL2Uには、3ステートインバータINV13を介して、ローレベル(0)の電圧信号が印加される。なお、このとき、U系統の第1アナログプレートラインPL1U_A、及び、U系統の第2アナログプレートラインPL2U_Aには、いずれもローレベル(0)の電圧信号が印加される。
一方、不揮発性記憶部NVMのU系統テスト動作時において、テスト回路部TESTに入力されるD系統のアナログイネーブル信号TESTDはハイレベル(1)とされる。これにより、スイッチSW8、SW10はいずれもオンとされて、3ステートインバータINV12、INV14はいずれもオフとされる。なお、このとき、D系統の第1アナログプレートラインPL1D_A、及び、D系統の第2アナログプレートラインPL2D_Aには、いずれも所定電圧値の参照電圧信号Vrefが印加される。従って、D系統の第1プレートラインPL1D、及び、D系統の第2プレートラインPL2Dには、それぞれスイッチSW8、SW10を介して、所定電圧値の参照電圧信号Vrefが印加される。
このように、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端に現れるノード電圧V2を読み出しつつ、ノード電圧V1として入力される参照電圧信号Vrefの電圧値をステップ制御またはスイープ制御によって順次変化させていき、その都度、ループ構造部LOOPに復帰される出力信号Qの論理レベルをモニタすることにより、不揮発性記憶部NVMのU系統出力端に現れるノード電圧V2のアナログ電圧値を知ることが可能となる。この点については、先に述べた通りであるため、詳細な説明は割愛する。また、不揮発性記憶部NVMのD系統出力端に現れるノード電圧V1のアナログ電圧値を知りたい場合には、上記と逆の制御を行えばよい点についても、先に述べた通りである。
このように、データの退避/復帰に際して、クロック信号の停止を必要とするデータ保持装置にも、テスト回路部TESTを組み込むことは当然に可能である。
図44は、電源オン/オフ時におけるデータ破壊防止動作を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、電源電圧VDD、外部クロック信号CP、データ信号D、スキャン制御信号SC、スキャンデータSD、外部リセット信号RN、外部セット信号SN、データ保持制御信号HS、制御信号E1、センスアンプイネーブル信号SAE、U系統のFリセット信号FRSTU、D系統のFリセット信号FRSTD、第1デジタルプレートラインPL1_D、第2デジタルプレートラインPL2_D、U系統の第1アナログプレートラインPL1U_A、U系統の第2アナログプレートラインPL2U_A、D系統の第1アナログプレートラインPL1D_A、D系統の第2アナログプレートラインPL2D_A、U系統のアナログイネーブル信号TESTU、D系統のアナログイネーブル信号TESTD、スキャン出力データSO、及び、出力信号Qが描写されている。
本タイミングチャートで示したように、本発明に係るデータ保持装置では、電源オン/オフ時などの過渡状態において、強誘電体素子に電圧信号を印加するドライバ(INV)が誤動作した場合でも、強誘電体素子の両端間に対して、不揮発性記憶部NVMに格納されているデータが破壊されてしまうほどの高電圧が印加されないように、適切なシーケンス制御を行っている。これにより、信頼性の高い不揮発記憶が可能となる。
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
例えば、上記実施形態では、ループ構造部LOOPを形成する論理ゲートとして、インバータや否定論理積演算器を用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、否定論理和演算器など、その他の論理ゲートを用いることも可能である。
また、図1などでは、ループ構造部LOOPと不揮発性記憶部NVMとを電気的に分離する回路分離部SEPの構成要素として、インバータINV6、INV7とパススイッチSW3、SW4の組み合わせを用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、図7などで示したように、回路分離部SEPの構成要素として、3ステートのインバータINV6’、INV7’(出力をフローティングとすることが可能なインバータ)を用いてもよい。
また、回路分離部SEPのポイントは、通常動作時、強誘電体素子に電圧を加えないようにすることができるという点にあり、上記実施形態で例示した構成(すなわち、通常動作時に強誘電体素子に対する印加電圧を一定電圧に保つ構成)の他にも、強誘電体素子が有する電圧印加用電極の少なくとも一をフローティング状態に保つ構成が考えられる。具体例としては、図1において、通常動作時には、トランジスタQ1a、Q1b、Q2a、Q2bをオフにしつつ、第1プレートラインPL1及び第2プレートラインPL2をフローティング状態にするなどの方法が考えられる。また、回路構成自体を変更するのであれば、強誘電体素子とノード電圧V1(V2)の引出端との間、若しくは、強誘電体素子とプレートラインPL1(PL2)との間に、新たにトランジスタを追加し、そのオン/オフ制御を行う構成とすればよい。
また、通常動作時、ないしは、データの読み出し動作時、強誘電体素子に対する印加電圧を一定に保つ場合には、強誘電体素子の両端間に接続されたトランジスタがオンしていればよく、プレートラインの電圧は必ずしもローレベルでなくともよい。
また、図1などでは、ループ構造部LOOPに供給される第1電源電圧VDD1より不揮発性記憶部NVMに供給される第2電源電圧VDD2の方が高い電圧レベルである構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、第1電源電圧VDD1より第2電源電圧VDD2の方が低い電圧レベルである構成も考えられる。
先でも説明したように、不揮発ロジック技術では、電源オフ/オン時などに強誘電体素子を駆動して、レジスタデータの退避/復帰が行われるが、ここで、強誘電体素子の駆動に用いる電圧レベルを極力下げることができれば、強誘電体素子を駆動する際に消費される電力を削減することが可能となる。
例えば、ループ構造部LOOPが3.3[V]の第1電源電圧VDD1で駆動される場合に、1.5[V]の第2電源電圧VDD2を用いて不揮発性記憶部NVMを駆動する構成とすれば、強誘電体素子の駆動に際して、不必要に大きな電力を消費せずに済む。
このように、ループ構造部LOOPを高電圧で駆動して、不揮発性記憶部NVMを低電圧で駆動する場合には、回路分離部SEPを形成するインバータINV6、INV7にレベルシフタ機能を備えた構成(図2や図8を参照)とする必要はなく、図45に示すように、第1電源電圧VDD1よりも低い第2電源電圧VDD2で駆動する単純なインバータを用いることが可能となる。
また、上記で説明した種々の実施形態を任意に組み合わせて、新たな構成を得ることについても、当業者であれば容易に想到し得るものであり、このような構成については、当然、本発明の技術的範囲に属すると解釈されるべきである。