<データ保持装置(第1実施形態)>
図1は、データ保持装置の第1実施形態を示す回路図である。本実施形態のデータ保持装置100は、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタN11〜N17と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP11〜P14と、インバータINV11及びINV12と、を有する。
トランジスタP11〜P14それぞれのソースは、電源端(=電源電位VDDに設定されたノード)に接続されている。トランジスタP11、P13及びN11それぞれのドレインと、トランジスタP12及びN12それぞれのゲートは、インバータINV11の入力端に接続されている。トランジスタP12、P14及びN12それぞれのドレインと、トランジスタP11及びN11それぞれのゲートは、インバータINV12の入力端に接続されている。トランジスタP13のゲートには、信号W1NAが入力されている。トランジスタP14のゲートには、信号W0NAが入力されている。インバータINV11の出力端は、反転出力信号QNの出力端に接続されている。インバータINV12の出力端は、出力信号Qの出力端に接続されている。
トランジスタN11のソースは、トランジスタN13及びN16それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN12のソースは、トランジスタN14及びN17それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN13及びN14それぞれのソースは、トランジスタN15のドレインに接続されている。トランジスタN15〜N17それぞれのソースは、接地端(=接地電位VSSに設定されたノード)に接続されている。トランジスタN13のゲートには、入力信号INN(負)が入力端されている。トランジスタN14のゲートには、入力信号INP(正)が入力されている。トランジスタN15のゲートには、信号SAEが入力されている。トランジスタN16のゲートには、信号W1NBが入力されている。トランジスタN17のゲートには、信号W0NBが入力されている。
上記構成から成るデータ保持装置100において、トランジスタP11及びN11は、CMOS[complementary MOS]インバータ101aを形成しており、トランジスタP12及びN12は、CMOSインバータ101bを形成している。
なお、CMOSインバータ101aの出力ノード(=トランジスタP11及びN11双方のドレイン)は、CMOSインバータ101bの入力ノード(=トランジスタP12及びN12双方のゲート)に接続されている。また、CMOSインバータ101bの出力ノード(=トランジスタP12及びN12双方のドレイン)は、CMOSインバータ101aの入力ノード(=トランジスタP11及びN11双方のゲート)に接続されている。
すなわち、上記4つのトランジスタ(P11、P12、N11、N12)は、ループ状に接続された2つのCMOSインバータ101a及び101bを含むインバータループ101として機能する。なお、インバータループ101を形成する論理ゲートとしては、狭義のインバータのみならず、広義のインバータ(NANDやNOR)を用いてもよい。
また、上記構成から成るデータ保持装置100において、トランジスタN13及びN14は、CMOSインバータ101a及び101bそれぞれの接地ノード(=トランジスタN11及びN12それぞれのソース)に接続された差動対回路102として機能する。
トランジスタP13及びP14は、CMOSインバータ101a及び101bそれぞれの出力ノードを第1電位(=電源電位VDDまたはこれに準ずる高電位)に設定する第1電位設定部103(いわゆるチャージアップ回路)として機能する。
トランジスタN16及びN17は、CMOSインバータ101a及び101bそれぞれの接地ノードを第2電位(=接地電位VSSまたはこれに準ずる低電位)に設定する第2電位設定部104として機能する。
このように、本実施形態のデータ保持装置100は、一般的なセンスアンプをベースとしつつ、インバータループ101を用いたラッチ機能を実現するために、第2電位設定部104を追加した構成とされている。以下では、その動作について詳細に説明する。
<動作説明>
図2は、データ保持装置100の一動作例を示すためのタイミングチャートであり、紙面の上から順に、信号W0NA及びW0NB、信号W1NA及びW1NB、信号SAE、入力信号INN及びINP、出力信号Q、並びに、反転出力信号QNが描写されている。
まず、データ保持時におけるデータ保持装置100の動作状態について説明する。図2の時刻t1〜t2、時刻t3〜t4、時刻t5〜t6、時刻t8〜t9、又は、時刻t11〜t12で示したように、インバータループ101を用いてデータを保持する際には、信号W0NA及びW0NB、並びに、信号W1NA及びW1NBがいずれもハイレベルとされる一方、入力信号INN及びINPがいずれもローレベルとされる。なお、信号SAEの論理レベルについては不問である。
上記制御により、図3で示したように、トランジスタN13及びN14、並びに、トランジスタP13及びP14がいずれもオフして、トランジスタN16及びN17がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路102と第1電位設定部103がいずれも無効となり、第2電位設定部104がCMOSインバータ101a及び101bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、データ保持装置100は、インバータループ101単体と等価になるので、インバータループ101に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ101にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて、反転出力信号QNがハイレベルに保持される(時刻t3〜t4または時刻t11〜t12を参照)。逆に、インバータループ101にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて、反転出力信号QNがローレベルに保持される(時刻t5〜t6または時刻t8〜t9を参照)。
次に、「0」書込時におけるデータ保持装置100の動作状態について説明する。図2の時刻t2〜t3で示したように、インバータループ101にデータ「0」を書き込む際には、信号W1NA及びW1NBがいずれもハイレベルとされる一方、信号W0NA及びW0NB、並びに、入力信号INN及びINPがいずれもローレベルとされる。なお、信号SAEの論理レベルについては不問である。
上記制御により、図4で示したように、トランジスタN13及びN14、トランジスタP13、並びに、トランジスタN17がいずれもオフして、トランジスタP14及びN16がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路102が無効となり、第1電位設定部103がCMOSインバータ101bの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となり、第2電位設定部104がCMOSインバータ101aの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ101bの出力ノードが強制的にハイレベルに引き上げられるので、出力信号Qがローレベルに引き下げられて、反転出力信号QNがハイレベルに引き上げられた状態となる。この状態は、インバータループ101に書き込まれたデータ「0」がスルー出力されている状態に相当する。
次に、「1」書込時におけるデータ保持装置100の動作状態について説明する。図2の時刻t4〜t5で示したように、インバータループ101にデータ「1」を書き込む際には、信号W0NA及びW0NBがいずれもハイレベルとされる一方、信号W1NA及びW1NB、並びに、入力信号INN及びINPがいずれもローレベルとされる。なお、信号SAEの論理レベルについては不問である。
上記制御により、図5で示したように、トランジスタN13及びN14、トランジスタP14、並びに、トランジスタN16がいずれもオフして、トランジスタP13及びN17がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路102が無効となり、第1電位設定部103がCMOSインバータ101aの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となり、第2電位設定部104がCMOSインバータ101bの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ101aの出力ノードが強制的にハイレベルに引き上げられるので、反転出力信号QNがローレベルに引き下げられて、出力信号Qがハイレベルに引き上げられた状態となる。この状態は、インバータループ101に書き込まれたデータ「1」がスルー出力されている状態に相当する。
次に、プリチャージ時におけるデータ保持装置100の動作状態について説明する。図2の時刻t6〜t7、または、時刻t9〜t10で示したように、入力信号INN及びINPのセンシング動作に先立って、CMOSインバータ101a及び101bそれぞれの出力ノードに付随する寄生容量をプリチャージする際には、信号W0NA及びW0NB、信号W1NA及びW1NB、並びに、信号SAEがいずれもローレベルとされる。なお、差動対回路102に対しては、本プリチャージ動作の開始とともに、センシング対象となる入力信号INN及びINPを入力しておくとよい。
上記制御により、図6で示したように、トランジスタN15〜N17がいずれもオフして、トランジスタP13及びP14がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路102と第2電位設定部104がいずれも無効となり、第1電位設定部103がCMOSインバータ101a及び101bそれぞれの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ101a及び101bそれぞれの出力ノードが強制的にハイレベルに引き上げられるので、それぞれに付随する寄生容量がプリチャージされる。このとき、出力信号Q及び反転出力信号QNは、いずれもローレベルとなる。
次に、センシング時におけるデータ保持装置100の動作状態について説明する。図2の時刻t7〜t8、または、時刻t10〜t11で示したように、差動対回路102への入力信号INN及びINPをセンシングする際には、信号W0NA及びW1NA、並びに信号SAEがいずれもハイレベルとされる一方、信号W0NB及びW1NBがいずれもローレベルとされる。
上記制御により、図7で示したように、トランジスタN16及びN17、並びに、トランジスタP13及びP14がいずれもオフして、トランジスタN15がオンした状態となる。すなわち、差動対回路102が有効となり、第1電位設定部103と第2電位設定部104がいずれも無効となる。
従って、トランジスタN13及びN14には、それぞれ、入力信号INN及びINPに応じた電流が流れるので、CMOSインバータ101a及び101bそれぞれの出力ノード間に電位差が生じる。インバータループ101は、この電位差を増幅することにより、出力信号Q及び反転出力信号QNの論理レベルを確定する。
例えば、図2の時刻t7〜t8で示したように、INP<INNであるときには、図7で示したように、トランジスタN13に流れる電流よりもトランジスタN14に流れる電流の方が大きくなるので、CMOSインバータ101aの出力ノードよりもCMOSインバータ101bの出力ノードの方が低電位となる。このような電位差が生じると、インバータループ101の増幅作用により、相対的に高電位であるCMOSインバータ101aの出力ノードがハイレベルに引き上げられて、相対的に低電位であるCMOSインバータ101bの出力ノードがローレベルに引き下げられる。その結果、出力信号Qがハイレベルとなり、反転出力信号QNがローレベルとなる。
一方、図2の時刻t10〜t11で示したように、INP>INNであるときには、図7におけるトランジスタN13及びN14それぞれに流れる電流の大小関係が逆となり、出力信号Q及び反転出力信号QNそれぞれの論理レベルが反対になる。より具体的に述べると、トランジスタN13に流れる電流よりもトランジスタN14に流れる電流の方が小さくなるので、CMOSインバータ101aの出力ノードよりもCMOSインバータ101bの出力ノードの方が高電位となる。従って、インバータループ101の増幅作用により、相対的に低電位であるCMOSインバータ101aの出力ノードがローレベルに引き下げられて、相対的に高電位であるCMOSインバータ101bの出力ノードがハイレベルに引き上げられる。その結果、出力信号Qがローレベルとなり、反転出力信号QNがハイレベルとなる。
このように、本実施形態のデータ保持装置100によれば、単一のインバータループ101を活用して、ラッチ機能(図2の時刻t1〜t6、時刻t8〜t9、時刻t11〜t12、並びに、図3〜図5を参照)とセンシング機能(図2の時刻t6〜t8、時刻t9〜t10、並びに、図6及び図7を参照)の双方を実現することが可能となる。
従って、例えば、図22のセンスアンプSAとして、本実施形態のデータ保持装置100を用いれば、データ保持部Mが不要となるので、インバータループの重複を解消して回路面積を縮小することが可能となる(約半減)。
<データ保持装置(第2実施形態)>
図8は、データ保持装置の第2実施形態を示す回路図である。本実施形態のデータ保持装置200は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN21〜N24と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP21〜P27と、インバータINV21及びINV22と、を有する。
トランジスタN21〜N24それぞれのソースは、接地端(=接地電位VSSに設定されたノード)に接続されている。トランジスタN21、N23及びP21それぞれのドレインと、トランジスタN22及びP22それぞれのゲートは、インバータINV21の入力端に接続されている。トランジスタN22、N24及びP22それぞれのドレインと、トランジスタN21及びP21それぞれのゲートは、インバータINV22の入力端に接続されている。トランジスタN23のゲートには、信号W1NAが入力されている。トランジスタN24のゲートには、信号W0NAが入力されている。インバータINV21の出力端は、反転出力信号QNの出力端に接続されている。インバータINV22の出力端は、出力信号Qの出力端に接続されている。
トランジスタP21のソースは、トランジスタP23及びP26それぞれのドレインに接続されている。トランジスタP22のソースは、トランジスタP24及びP27それぞれのドレインに接続されている。トランジスタP23及びP24それぞれのソースは、トランジスタP25のドレインに接続されている。トランジスタP25〜P27それぞれのソースは、電源端(=電源電位VDDに設定されたノード)に接続されている。トランジスタP23のゲートには、入力信号INN(負)が入力されている。トランジスタP24のゲートには、入力信号INP(正)が入力されている。トランジスタP25のゲートには、信号SAEが入力されている。トランジスタP26のゲートには、信号W1NBが入力されている。トランジスタP27のゲートには、信号W0NBが入力されている。
上記構成から成るデータ保持装置200において、トランジスタP21及びN21は、CMOSインバータ201aを形成しており、トランジスタP22及びN22は、CMOSインバータ201bを形成している。
なお、CMOSインバータ201aの出力ノード(=トランジスタP21及びN21双方のドレイン)は、CMOSインバータ201bの入力ノード(=トランジスタP22及びN22双方のゲート)に接続されている。また、CMOSインバータ201bの出力ノード(=トランジスタP22及びN22双方のドレイン)は、CMOSインバータ201aの入力ノード(=トランジスタP21及びN21双方のゲート)に接続されている。
すなわち、上記4つのトランジスタ(P21、P22、N21、N22)は、ループ状に接続された2つのCMOSインバータ201a及び201bを含むインバータループ201として機能する。なお、インバータループ201を形成する論理ゲートとしては、狭義のインバータのみならず、広義のインバータ(NANDやNOR)を用いてもよい。
また、上記構成から成るデータ保持装置200において、トランジスタP23及びP24は、CMOSインバータ201a及び201bそれぞれの電源ノード(=トランジスタP21及びP22それぞれのソース)に接続された差動対回路202として機能する。
トランジスタN23及びN24は、CMOSインバータ201a及び201bそれぞれの出力ノードを第1電位(=接地電位VSSまたはこれに準ずる低電位)に設定する第1電位設定部203として機能する。
トランジスタP26及びP27は、CMOSインバータ201a及び201bそれぞれの電源ノードを第2電位(=電源電位VDDまたはこれに準ずる低電位)に設定する第2電位設定部204として機能する。
このように、本実施形態のデータ保持装置200は、第1実施形態(図1)のデータ保持装置100を極性反転した構成(NMOS差動対型→PMOS差動対型、NMOS→PMOS、VDD→VSS)であり、単一のインバータループ201を用いてラッチ機能とセンシング機能を共に実現することが可能である点については、先と何ら変わりがない。
なお、データ保持装置200の動作を理解するためには、先に述べたデータ保持装置100の動作説明について、符号の読み替え(「101」〜「104」→「201」〜「204」、「N11」〜「N12」→「N21」〜「N22」、「N13」〜「N17」→「P23」〜「P27」、「P11」〜「P12」→「P21〜「P22」、「P13」〜「P14」→「N23」〜「N24」)、各種制御信号(W0NA、W0NB、W1NA、W1NB、SAE)の論理反転、並びに、入力信号(INN、INP)の大小反転を行えば足りるので、重複した動作説明は割愛する。
<不揮発ラッチ(第1構成例)>
次に、不揮発ラッチへの適用例について説明する。図9は、不揮発ラッチの全体構成を示す回路図である。本構成例の不揮発ラッチ300は、センスアンプ310と、強誘電体キャパシタ321〜324と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ331〜333と、否定論理和演算器341〜344と、アナログスイッチ351〜354と、パワーオンハイホールド回路360(以下では、POHH[power-on-high-hold]回路360と呼ぶ)と、を有する。
否定論理和演算器341の第1入力端には、信号PL1_DNが入力されている。否定論理和演算器342の第1入力端には、信号PL2_DNが入力されている。否定論理和演算器343の第1入力端には、信号RNLNが入力されている。否定論理和演算器344の第1入力端には、信号SNLNが入力されている。否定論理和演算器341〜344それぞれの第2入力端には、いずれも信号FRSTNLが入力されている。なお、否定論理和演算器343及び344は、3ステート出力型(H/L/出力HiZ)であり、それぞれの制御端には、信号E1が入力されている。
否定論理和演算器341の出力端(=信号PL1の出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ321及び323それぞれの正極端に接続されている。否定論理和演算器342の出力端(=信号PL2の出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ322及び324それぞれの正極端に接続されている。否定論理和演算器343の出力端(=信号SDnCの出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ321及び322それぞれの負極端に接続されている。否定論理和演算器344の出力端(=信号SDCの出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ323及び324それぞれの負極端に接続されている。
トランジスタ331は、強誘電体キャパシタ321に対して並列接続されている。トランジスタ332は、強誘電体キャパシタ324に対して並列接続されている。トランジスタ333は、信号SDnCの出力端と信号SDCの出力端との間に接続されている。トランジスタ331〜333それぞれのゲートには、信号FRSTNLが入力されている。
アナログスイッチ351は、信号PLD_Aの印加端とセンスアンプ310の負入力端(=入力信号INNの入力端に相当)との間に接続されており、その制御端に入力される信号TESTDに応じてオン/オフされる。アナログスイッチ352は、信号PLU_Aの印加端とセンスアンプ310の正入力端(=入力信号INPの入力端に相当)との間に接続されており、その制御端に入力される信号TESTUに応じてオン/オフされる。
アナログスイッチ353は、信号SDnCの印加端とセンスアンプ310の負入力端との間に接続されており、その制御端に反転入力される信号FED_DNに応じてオン/オフされる。アナログスイッチ354は、信号SDCの印加端とセンスアンプ310の正入力端との間に接続されており、その制御端に反転入力される信号FEU_DNに応じてオン/オフされる。
POHH回路360は、電源投入時において、たとえ信号FRSTがハイレベル(VDD)となっても、電源電位VDDが少なくともCMOS回路の動作可能電圧に達するまでの間、信号FRSTNLをハイレベルに保持する。なお、電源投入完了後、POHH回路360は、通常のインバータとして動作する。
センスアンプ310は、入力信号INP及びINNの差動入力を受けて出力信号Q及び反転出力信号QNを生成するセンシング機能のほか、データ信号Dの入力を受けてこれを保持するラッチ機能を備えている。すなわち、センスアンプ310には、図22のデータ保持部MとセンスアンプSA双方の機能が集約されている。以下では、その回路構成について説明する。
<センスアンプ>
図10は、センスアンプ310の一構成例(データ保持装置の第3実施形態に相当)を示す回路図である。本構成例のセンスアンプ310は、図1のデータ保持装置100と基本的に同様の回路構成から成り、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN31〜N37と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP31〜P36と、インバータINV31及びINV32と、論理積演算器AND31及びAND32と、否定論理和演算器NOR31及びNOR32と、を有する。
トランジスタP31及びP32それぞれのソースは、電源端(=電源電位VDDに設定されたノード)に接続されている。トランジスタP31、P33及びN31それぞれのドレインと、トランジスタP32及びN32それぞれのゲートは、インバータINV31の入力端(=信号RNLNの印加端)に接続されている。トランジスタP32、P34及びN32それぞれのドレインと、トランジスタP31及びN31それぞれのゲートは、インバータINV32の入力端(=信号SNLNの印加端)に接続されている。トランジスタP33及びP34それぞれのソースは、トランジスタP35及びP36それぞれのドレインに接続されている。トランジスタP35及びP36それぞれのソースは、電源端に接続されている。トランジスタP33のゲートには、信号W1Nが入力されている。トランジスタP34のゲートには、信号W0Nが入力されている。トランジスタP35及びP36それぞれのゲートには、いずれも信号SAEが入力されている。インバータINV31の出力端は、反転出力信号QNの出力端に接続されている。インバータINV32の出力端は、出力信号Qの出力端に接続されている。
トランジスタN31のソースは、トランジスタN33及びN36それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN32のソースは、トランジスタN34及びN37それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN33及びN34それぞれのソースは、トランジスタN35のドレインに接続されている。トランジスタN35〜N37それぞれのソースは、接地端(=接地電位VSSに設定されたノード)に接続されている。トランジスタN33のゲートには、入力信号INN(負)が入力されている。トランジスタN34のゲートには、入力信号INP(正)が入力されている。トランジスタN35のゲートには、信号SAEが入力されている。トランジスタN36のゲートには、制御信号W1Nが入力されている。トランジスタN37のゲートには、信号W0Nが入力されている。
論理積演算器AND31及びAND32それぞれの第1入力端には、クロック信号CPが入力されている。なお、センスアンプ310のラッチ機能が有効(LEN_DN=L)である場合、インバータループ311は、クロック信号CPに応じたハイスルー/ローホールド型ラッチとして動作する(詳細は後述)。論理積演算器AND31の第2入力端には、データ信号Dが入力されている。論理積演算器AND32の第2入力端には、反転データ信号DN(=データ信号Dの論理反転信号)が入力されている。
否定論理和演算器NOR31及びNOR32それぞれの第1入力端には、信号LEN_DNが入力されている。なお、信号LEN_DNは、センスアンプ310の機能として、ラッチ機能を有効とするときにローレベルとなり、センシング機能を有効とするときにハイレベルとなる(詳細は後述)。否定論理和演算器NOR31の第2入力端には、論理積演算器AND31の出力信号が入力されている。否定論理和演算器NOR32の第2入力端には、論理積演算器AND32の出力信号が入力されている。なお、否定論理和演算器NOR31の出力信号は、信号W1Nに相当する。一方、否定論理和演算器NOR32の出力信号は、信号W0Nに相当する。
上記構成から成るセンスアンプ310において、トランジスタP31及びN31は、CMOSインバータ311aを形成しており、トランジスタP32及びN32は、CMOSインバータ311bを形成している。
なお、CMOSインバータ311aの出力ノード(=トランジスタP31及びN31双方のドレイン)は、CMOSインバータ311bの入力ノード(=トランジスタP32及びN32双方のゲート)に接続されている。また、CMOSインバータ311bの出力ノード(=トランジスタP32及びN32双方のドレイン)は、CMOSインバータ311aの入力ノード(=トランジスタP31及びN31双方のゲート)に接続されている。
すなわち、上記4つのトランジスタ(P31、P32、N31、N32)は、ループ状に接続された2つのCMOSインバータ311a及び311bを含むインバータループ311として機能する。なお、インバータループ311を形成する論理ゲートとしては、狭義のインバータのみならず、広義のインバータ(NANDやNOR)を用いてもよい。
また、上記構成から成るセンスアンプ310において、トランジスタN33及びN34は、CMOSインバータ311a及び311bそれぞれの接地ノード(=トランジスタN31及びN32それぞれのソース)に接続された差動対回路312として機能する。
なお、トランジスタN33のゲートは、センスアンプ310の負入力端に相当する。従って、アナログスイッチ353がオンしているときには、トランジスタN33のゲートに強誘電体キャパシタ321及び322が接続される形となる。
同様に、トランジスタN34のゲートは、センスアンプ310の正入力端に相当する。従って、アナログスイッチ354がオンしているときには、トランジスタN34のゲートに強誘電体キャパシタ323及び324が接続される形となる。
なお、強誘電体キャパシタ321〜324は、不揮発性デバイスの一例であり、同様の機能を有する限り、いかなる不揮発性デバイスを用いても構わない。例えば、強誘電体キャパシタ321及び322の一方を省略してもよいし、或いは、一方を通常のキャパシタに置換してもよい。強誘電体キャパシタ323及び324についても同様である。
すなわち、データ読出手法としては、非反転状態の強誘電体素子と反転状態の強誘電体素子との容量結合を用いてもよいし、或いは、強誘電体素子とその他の容量素子との容量結合を用いてもよい。
また、例えば、強誘電体キャパシタ321及び322(または強誘電体キャパシタ323及び324)を省略し、センスアンプ310のセンシング動作時に入力信号INP(またはINN)を所定の基準電位に固定してもよい。
トランジスタP33及びP34は、CMOSインバータ311a及び311bそれぞれの出力ノードを第1電位(=電源電位VDDまたはこれに準ずる高電位)に設定する第1電位設定部313(いわゆるチャージアップ回路)として機能する。
トランジスタN36及びN37は、CMOSインバータ311a及び311bそれぞれの接地ノードを第2電位(=接地電位VSSまたはこれに準ずる低電位)に設定する第2電位設定部314として機能する。
このように、本構成例のセンスアンプ310は、一般的なセンスアンプをベースとしつつ、インバータループ311を用いたラッチ機能を実現するために、第2電位設定部314を追加した構成とされている。以下では、不揮発ラッチ300とこれに用いられるセンスアンプ310それぞれの動作について詳述する。
<動作説明>
まず、データ保持時の動作状態について、図11及び図12を参照しながら説明する。図11及び図12は、それぞれ、データ保持時における不揮発ラッチ300及びセンスアンプ310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ310のインバータループ311を用いてデータを保持する際には、図12で示したように、信号LEN_DNとクロック信号CPがいずれもローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもハイレベルとなる。また、データ保持時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN35、並びに、トランジスタP33及びP34がいずれもオフして、トランジスタN36及びN37、並びに、トランジスタP35及びP36がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路312と第1電位設定部313がいずれも無効となり、第2電位設定部314がCMOSインバータ311a及び311bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、センスアンプ310は、インバータループ311単体と等価になるので、インバータループ311に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ311にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて反転出力信号QNがハイレベルに保持される。逆に、インバータループ311にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて反転出力信号QNがローレベルに保持される。このように、図12の動作状態は、先に説明した図3の動作状態とほぼ同様である。
一方、不揮発ラッチ300全体に目を向けると、データ保持時には、図11で示したように、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器343及び344がいずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。また、データ保持時には、信号FRSTNLがハイレベルとなる。従って、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの両端間が互いにショートされた上でローレベル(=接地電位VSS)に固定される(PL1=PL2=L、PL1_DN=PL2_DN=H)。これにより、強誘電体キャパシタ321〜324に対する意図しない電圧印加を回避してデータ化けを防止することが可能となる。
また、データ保持時には、図11で示したように、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもハイレベルとなる。従って、アナログスイッチ353及び354がいずれもオフするので、強誘電体キャパシタ321〜324とセンスアンプ310との間が電気的に分離された状態となる。ただし、センスアンプ310の入力信号INN及びINPをそれぞれローレベルに固定するのであれば、信号FED_DN及びFEU_DNをいずれもローレベルとし、アナログスイッチ353及び354をそれぞれオンさせても構わない。
また、信号TESTD及びTESTUは、センスアンプ310の特性試験時にハイレベルとなり、それ以外の通常動作時(データ保持時、データ書込時、データ退避時、及び、データ復帰時)にはローレベルとなる。なお、信号TESTD及びTESTUがハイレベルになると、アナログスイッチ351及び352がオンするので、特性試験用の信号PLD_A及びPLU_Aをセンスアンプ310に入力することが可能となる。
次に、「0」書込時の動作状態について、図13及び図14を参照しながら説明する。図13及び図14は、それぞれ、「0」書込時における不揮発ラッチ300及びセンスアンプ310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ310のインバータループ311にデータ「0」を書き込む際には、図14で示したように、信号LEN_DNとデータ信号Dがそれぞれローレベルとなり、クロック信号CPと反転データ信号DNがそれぞれハイレベルとなる。従って、信号W1Nがハイレベルとなり、信号W0Nがローレベルとなる。また、「0」書込時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN35及びN37、並びに、トランジスタP33がいずれもオフし、トランジスタP34〜P36とトランジスタN36がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路312が無効となり、第1電位設定部313がCMOSインバータ311bの出力ノード(=SNLN)を第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となり、第2電位設定部314がCMOSインバータ311aの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ311bの出力ノード(=SNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、出力信号Qがローレベルに引き下げられて、反転出力信号QNがハイレベルに引き上げられた状態となる。この状態は、インバータループ311に書き込まれたデータ信号D(=データ「0」)がスルー出力されている状態に相当する。このように、図14の動作状態は、先に説明した図4の動作状態とほぼ同様である。
なお、「1」書込時におけるセンスアンプ310の動作状態についても、基本的には、「0」書込時のそれと同様であり、インバータループ311に書き込まれたデータ信号D(=データ「1」)がスルー出力されている状態となる。より具体的に述べると、「1」書込時には、図14で示した信号のうち、データ信号Dがハイレベルとなり、反転データ信号DNがローレベルとなるので、トランジスタN36及びN37のオン/オフ状態、並びに、トランジスタP33及びP34のオン/オフ状態が先とは逆となる。従って、CMOSインバータ311aの出力ノード(=RNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、反転出力信号QNがローレベルに引き下げられて、出力信号Qがハイレベルに引き上げられた状態となる。このような動作状態は、先に説明した図5の動作状態とほぼ同様である。
一方、不揮発ラッチ300全体に目を向けると、「0」書込時には、図13で示したように、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器343及び344がいずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。また、データ保持時には、信号FRSTNLがハイレベルとなる。従って、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの両端間が互いにショートされた上でローレベル(=接地電位VSS)に固定される(PL1=PL2=L、PL1_DN=PL2_DN=H)。これにより、強誘電体キャパシタ321〜324に対する意図しない電圧印加を回避してデータ化けを防止することが可能となる。
また、「0」書込時には、図13で示したように、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもハイレベルとなる。従って、アナログスイッチ353及び354がいずれもオフするので、強誘電体キャパシタ321〜324とセンスアンプ310との間が電気的に分離された状態となる。ただし、センスアンプ310の入力信号INN及びINPをそれぞれローレベルに固定するのであれば、信号FED_DN及びFEU_DNをいずれもローレベルとし、アナログスイッチ353及び354をそれぞれオンさせても構わない。
このように、図13の動作状態は、先に説明した図11の動作状態と全く同一である。なお、「1」書込時における不揮発ラッチ300全体の動作状態についても、「0」書込時のそれと全く同一であるので、重複した説明を割愛する。
次に、データ退避時の動作状態について、図15及び図16を参照しながら説明する。図15及び図16は、それぞれ、データ退避時における不揮発ラッチ300及びセンスアンプ310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ310のインバータループ311からデータを退避する際には、図16で示したように、信号LEN_DNとクロック信号CPがいずれもローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもハイレベルとなる。なお、クロック信号CPの停止処理については、不図示のコントローラを用いて実施するとよい。また、データ退避時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN35、並びに、トランジスタP33及びP34がいずれもオフして、トランジスタN36及びN37、並びに、トランジスタP35及びP36がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路312と第1電位設定部313がいずれも無効となり、第2電位設定部314がCMOSインバータ311a及び311bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、センスアンプ310は、インバータループ311単体と等価になるので、インバータループ311に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ311にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて反転出力信号QNがハイレベルに保持される。逆に、インバータループ311にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて反転出力信号QNがローレベルに保持される。このように、図16の動作状態は、先に説明した図3または図12の動作状態と全く同一である。
一方、不揮発ラッチ300全体に目を向けると、データ退避時には、図15で示したように、信号FRSTNLがローレベルとなる。従って、トランジスタ331〜333がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれに対してデータ書込電圧を印加することが可能となる。
なお、データ退避時には、信号E1がハイレベルとなるので、否定論理和演算器343及び344は、それぞれ、信号RNLN及びSNLNの論理反転信号(=反転出力信号QN及び出力信号Qに相当)を出力することが可能な状態となる。
また、データ退避時には、信号PL1_DN及びPL2_DNがそれぞれパルス駆動される。その結果、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの正極端にパルス状(ハイレベル→ローレベル、または、ローレベル→ハイレベル)の信号PL1及びPL2が印加されるので、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。この状態は、出力信号Q及び反転出力信号QNに相当するデータが強誘電体キャパシタ321〜324に書き込まれた状態に相当する。
ただし、データ退避時には、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもハイレベルとなる。従って、アナログスイッチ353及び354がいずれもオフするので、強誘電体キャパシタ321〜324から信号SDnC及びSDCが読み出されることはない。
次に、データ復帰時(プリチャージ)の動作状態について、図17及び図18を参照しながら説明する。図17及び図18は、それぞれ、データ復帰時(プリチャージ)における不揮発ラッチ300及びセンスアンプ310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ310による入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ321〜324から読み出される信号SDnC及びSDCに相当)のセンシング動作に先立って、CMOSインバータ311a及び311bそれぞれの出力ノードに付随する寄生容量をプリチャージする際には、図18で示したように、信号LEN_DNがハイレベルとなり、クロック信号CPがローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもローレベルとなる。また、プリチャージ時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN35〜N37がいずれもオフして、トランジスタP33〜P36がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路312と第2電位設定部314がいずれも無効となり、第1電位設定部313がCMOSインバータ311a及び311bそれぞれの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ311a及び311bそれぞれの出力ノード(=RNLN及びSNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、それぞれに付随する寄生容量がプリチャージされる。このとき、出力信号Q及び反転出力信号QNは、いずれもローレベルとなる。このような動作状態は、先に説明した図6の動作状態とほぼ同様である。
一方、不揮発ラッチ300全体に目を向けると、データ復帰時(プリチャージ)には、図17で示したように、信号FRSTNLがローレベルとなる。従って、トランジスタ331〜333がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれに対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。
なお、データ復帰時(プリチャージ)には、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器343及び344は、いずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。
また、データ復帰時(プリチャージ)には、信号PL1_DNがローレベルとなり、信号PL2_DNがハイレベルとなる。その結果、強誘電体キャパシタ321及び323それぞれの正極端に印加される信号PL1がハイレベルとなり、強誘電体キャパシタ322及び324それぞれの正極端に印加される信号PL2がローレベルとなる。このようなデータ読出電圧の印加により、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの残留分極状態に対応した信号SDnC及びSDCが現れる。
また、データ復帰時(プリチャージ)には、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ353及び354がいずれもオンするので、センスアンプ310の差動対回路312には、プリチャージ動作の開始とともに、センシング対象となる入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ321〜324から読み出された信号SDnC及びSDC)が入力される状態となる。
次に、データ復帰時(センシング)の動作状態について、図19及び図20を参照しながら説明する。図19及び図20は、それぞれ、データ復帰時(センシング)における不揮発ラッチ300及びセンスアンプ310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ310を用いて入力信号INN及びINPをセンシングする際には、図20で示したように、信号LEN_DNがハイレベルとなり、クロック信号CPがローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもローレベルとなる。また、センシング時には、信号SAEがハイレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN36及びN37、並びに、トランジスタP35及びP36がいずれもオフして、トランジスタN33〜N35、並びに、トランジスタP33及びP34がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路312が有効となり、第1電位設定部313と第2電位設定部314がいずれも無効となる。
従って、トランジスタN33及びN34には、それぞれ、入力信号INN及びINPに応じた電流が流れるので、CMOSインバータ311a及び311bそれぞれの出力ノード間に電位差が生じる。インバータループ311は、この電位差を増幅することにより、出力信号Q及び反転出力信号QNの論理レベルを確定する。
例えば、INP<INNであるときには、トランジスタN33に流れる電流よりもトランジスタN34に流れる電流の方が大きくなるので、CMOSインバータ311aの出力ノードよりもCMOSインバータ311bの出力ノードの方が低電位となる。このような電位差が生じると、インバータループ311の増幅作用により、相対的に高電位であるCMOSインバータ311aの出力ノードがハイレベルに引き上げられて、相対的に低電位であるCMOSインバータ311bの出力ノードがローレベルに引き下げられる。その結果、出力信号Qがハイレベルとなり、反転出力信号QNがローレベルとなる。このような動作状態は、強誘電体キャパシタ321〜324に退避されていたデータ「1」がインバータループ311に復帰されたことを意味する。
逆に、INP>INNであるときには、トランジスタN33に流れる電流よりもトランジスタN34に流れる電流の方が小さくなるので、CMOSインバータ311aの出力ノードよりもCMOSインバータ311bの出力ノードの方が高電位となる。従って、インバータループ311の増幅作用により、相対的に低電位であるCMOSインバータ311aの出力ノードがローレベルに引き下げられて、相対的に高電位であるCMOSインバータ311bの出力ノードがハイレベルに引き上げられる。その結果、出力信号Qがローレベルとなり、反転出力信号QNがハイレベルとなる。このような動作状態は、強誘電体キャパシタ321〜324に退避されていたデータ「0」がインバータループ311に復帰されたことを意味する。
一方、不揮発ラッチ300全体に目を向けると、データ復帰時(センシング)には、図19で示したように、信号FRSTNLがローレベルとなる。従って、トランジスタ331〜333がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれに対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。
なお、データ復帰時(センシング)には、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器343及び344は、いずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。
また、データ復帰時(センシング)には、信号PL1_DNがローレベルとなり、信号PL2_DNがハイレベルとなる。その結果、強誘電体キャパシタ321及び323それぞれの正極端に印加される信号PL1がハイレベルとなり、強誘電体キャパシタ322及び324それぞれの正極端に印加される信号PL2がローレベルとなる。このようなデータ読出電圧の印加により、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの残留分極状態に対応した信号SDnC及びSDCが現れる。
また、データ復帰時(センシング)には、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ353及び354がいずれもオンするので、センスアンプ310の差動対回路312には、プリチャージ動作の開始時点から継続して、センシング対象となる入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ321〜324から読み出された信号SDnC及びSDC)が入力されている。このように、図19の動作状態は、先に説明した図17の動作状態と全く同一である。
<素子レイアウト>
図21は、強誘電体キャパシタ321〜324と差動対回路312(=トランジスタN33及びN34)が集積化される半導体装置を平面視したときのレイアウト図である。なお、本図中において、実線は、トランジスタN33及びN34それぞれのゲート領域を示しており、破線は、トランジスタN33及びN34それぞれのアクティブ領域を示しており、一点鎖線は、強誘電体キャパシタ321〜324それぞれの形成領域を示している。
センスアンプ310の集積化に際しては、そのセンシング精度を高めるべく、差動対回路312のアナログ特性、延いては、トランジスタN33及びN34のペア性を高めておくことが重要となる。
そこで、トランジスタN33及びN34は、それぞれのアクティブ領域が強誘電体キャパシタ321〜324から見て互いに対称性を持つようにレイアウトされている。なお、本図の例では、強誘電体キャパシタ321〜324が格子状に配列されており、かつ、強誘電体キャパシタ321及び323相互の中間線ILを対称軸として、トランジスタN33及びN34それぞれのアクティブ領域が互いに線対称となるように配置されている。
このような配置により、トランジスタN33及びN34は、それぞれのアクティブ領域と強誘電体キャパシタ321〜324の形成領域とのオーバーラップ領域(ハッチング部分を参照)が同一の面積となるように配置された状態となる。ただし、上記のオーバーラップ領域が同一の面積でありさえすれば、必ずしも幾何学的な対称性を持つ必要はない。例えば、トランジスタN33が図示の位置から紙面上方向にずれており、トランジスタN33から中間線ILまでの距離と、トランジスタN34から中間線ILまでの距離が不一致であったとしても、上記のオーバーラップ領域が同一の面積でありさえすれば、トランジスタN33及びN34のペア性が保たれる。
<変形例>
なお、上記の不揮発ラッチ300をスレーブとし、その前段(=論理積演算器AND31及びAND32のデータ入力端の上流側)にマスタとなるインバータループを設けることにより、不揮発フリップフロップとして利用することも可能である。
<データ保持装置(第4実施形態)>
図23は、データ保持装置の第4実施形態を示す回路図である。本実施形態のデータ保持装置1100は、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタN111〜N119と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP111〜P116と、インバータINV111及びINV112と、を有する。
トランジスタP111〜P114それぞれのソースは、電源端(=電源電位VDDに設定されたノード)に接続されている。トランジスタP111、P113及びN111それぞれのドレインと、トランジスタP112及びN112それぞれのゲートは、インバータINV111の入力端に接続されている。トランジスタP112、P114及びN112それぞれのドレインと、トランジスタP111及びN111それぞれのゲートは、インバータINV112の入力端に接続されている。トランジスタP113のゲートには、信号W1NAが入力されている。トランジスタP114のゲートには、信号W0NAが入力されている。インバータINV111の出力端は、反転出力信号QNの出力端に接続されている。インバータINV112の出力端は、出力信号Qの出力端に接続されている。
また、トランジスタN111のソースは、トランジスタN113のドレインに接続されている。トランジスタN112のソースは、トランジスタN114のドレインに接続されている。トランジスタN113及びN114それぞれのソースは、トランジスタN115のドレインに接続されている。トランジスタN115のソースは接地端(=接地電位VSSに設定されたノード)に接続されている。トランジスタN115のゲートには、信号SAEが入力されている。
トランジスタP115のソースは、電源端に接続されている。トランジスタP115及びN118それぞれのドレインは、トランジスタN113のゲートに接続されている。トランジスタN118のソースは、接地端に接続されている。トランジスタP115のゲートには、信号W1NCが入力されている。トランジスタN118のゲートには、信号W1NDが入力されている。トランジスタN116は、入力信号INN(負)の印加端とトランジスタN113のゲートとの間に接続されている。なお、トランジスタN116のゲートには、信号W1NEが入力されている。
トランジスタP116のソースは、電源端に接続されている。トランジスタP116及びN119それぞれのドレインは、トランジスタN114のゲートに接続されている。トランジスタN119のソースは、接地端に接続されている。トランジスタP116のゲートには、信号W0NCが入力されている。トランジスタN119のゲートには、信号W0NDが入力されている。トランジスタN117は、入力信号INP(正)の印加端とトランジスタN114のゲートとの間に接続されている。なお、トランジスタN117のゲートには、信号W0NEが入力されている。
上記構成から成るデータ保持装置1100において、トランジスタP111及びN111は、CMOS[complementary MOS]インバータ1101aを形成しており、トランジスタP112及びN112は、CMOSインバータ1101bを形成している。
なお、CMOSインバータ1101aの出力ノード(=トランジスタP111及びN111双方のドレイン)は、CMOSインバータ1101bの入力ノード(=トランジスタP112及びN112双方のゲート)に接続されている。また、CMOSインバータ1101bの出力ノード(=トランジスタP112及びN112双方のドレイン)は、CMOSインバータ1101aの入力ノード(=トランジスタP111及びN111双方のゲート)に接続されている。
すなわち、上記4つのトランジスタ(P111、P112、N111、N112)は、ループ状に接続された2つのCMOSインバータ1101a及び1101bを含むインバータループ1101として機能する。なお、インバータループ1101を形成する論理ゲートとしては、狭義のインバータのみならず、広義のインバータ(NANDやNOR)を用いてもよい。
また、上記構成から成るデータ保持装置1100において、トランジスタN113及びN114は、CMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの接地ノード(=トランジスタN111及びN112それぞれのソース)に接続された差動対回路1102として機能する。
トランジスタP113及びP114は、CMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの出力ノードを第1電位(=電源電位VDDまたはこれに準ずる高電位)に設定する第1電位設定部1103(いわゆるチャージアップ回路)として機能する。
トランジスタP115及びP116、並びに、トランジスタN116〜N119は、差動対回路1102のゲート制御を行うことによりCMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの接地ノードを第2電位(=接地電位VSSまたはこれに準ずる低電位)に設定する差動対制御部1104として機能する。
差動対制御部1104に含まれる複数のトランジスタのうち、トランジスタP115及びP116は、差動対回路1102のゲートをオン電位(ここでは電源電位VDD)に設定する第1トランジスタに相当し、トランジスタN116及びN117は、差動対回路1102のゲートに繋がる入力信号経路を導通/遮断する第2トランジスタに相当する。また、トランジスタN118及びN119は、差動対回路1102のゲートをオフ電位(ここでは接地電位VSS)に設定する第3トランジスタに相当する。
このように、本実施形態のデータ保持装置1100は、一般的なセンスアンプをベースとしつつ、インバータループ1101を用いたラッチ機能を実現するために、差動対制御部1104を追加した構成とされている。以下では、その動作について詳細に説明する。
<動作説明>
図24は、データ保持装置1100の一動作例を示したタイミングチャートであり、紙面の上から順に、信号W0NA及びW0NC〜W0NE、信号W1NA及びW1NC〜W1NE、信号SAE、入力信号INN及びINP、出力信号Q、並びに、反転出力信号QNが描写されている。
まず、データ保持時におけるデータ保持装置1100の動作状態について説明する。図24の時刻t21〜t22、時刻t23〜t24、時刻t25〜t26、時刻t28〜t29、又は、時刻t31〜t32で示したように、インバータループ1101を用いてデータを保持する際には、信号W0NA及びW1NA、並びに、信号SAEがいずれもハイレベルとされる一方、信号W0NC〜W0NE、及び、信号W1NC〜W1NEがいずれもローレベルとされる。なお、信号INN及びINPの論理レベルについては不問(例えばローレベル)である。
上記の制御により、図25で示すように、トランジスタN116〜N118、並びに、トランジスタP113及びP114がいずれもオフして、トランジスタN113〜N115、並びに、トランジスタP115及びP116がいずれもオンした状態となる。すなわち、第1電位設定部1103が無効となり、差動対回路1102が差動対制御部1104によるゲート制御に基づいてCMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、データ保持装置1100は、インバータループ1101の単体と等価になるので、インバータループ1101に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ1101にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて、反転出力信号QNがハイレベルに保持される(時刻t23〜t24または時刻t31〜t32を参照)。逆に、インバータループ1101にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて、反転出力信号QNがローレベルに保持される(時刻t25〜t26または時刻t28〜t29を参照)。
次に、「0」書込時におけるデータ保持装置1100の動作状態について説明する。図24の時刻t22〜t23で示したように、インバータループ1101にデータ「0」を書き込む際には、信号W0NC及びW0ND、信号W1NA、並びに、信号SAEがいずれもハイレベルとされる一方、信号W0NA及びW0NE、並びに、信号W1NC〜W1NEがいずれもローレベルとされる。なお、信号INN及びINPの論理レベルについては不問(例えばローレベル)である。
上記制御により、図26で示したように、トランジスタN114及びN116〜N118と、トランジスタP113及びP116がいずれもオフして、トランジスタN113、N115及びN119と、トランジスタP114及びP115がいずれもオンした状態となる。すなわち、第1電位設定部1103がCMOSインバータ1101bの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となり、差動対回路1102が差動対制御部1104によるゲート制御に基づいてCMOSインバータ1101aの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ1101bの出力ノードが強制的にハイレベルに引き上げられるので、出力信号Qがローレベルに引き下げられて、反転出力信号QNがハイレベルに引き上げられた状態となる。この状態は、インバータループ1101に書き込まれたデータ「0」がスルー出力されている状態に相当する。
次に、「1」書込時におけるデータ保持装置1100の動作状態について説明する。図24の時刻t24〜t25で示したように、インバータループ1101にデータ「1」を書き込む際には、信号W0NA、信号W1NC及びW1ND、並びに、信号SAEがいずれもハイレベルとされる一方、信号W0NC〜W0NE、並びに、信号W1NA及びW1NEがいずれもローレベルとされる。なお、信号INN及びINPの論理レベルについては不問(例えばローレベル)である。
上記制御により、図27で示したように、トランジスタN113、N116〜N117及びN119と、トランジスタP114及びP115がいずれもオフし、トランジスタN114、N115及びN118と、トランジスタP113及びP116がいずれもオンした状態となる。すなわち、第1電位設定部1103がCMOSインバータ1101aの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となり、差動対回路1102が差動対制御部1104によるゲート制御に基づいてCMOSインバータ1101bの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ1101aの出力ノードが強制的にハイレベルに引き上げられるので、反転出力信号QNがローレベルに引き下げられて、出力信号Qがハイレベルに引き上げられた状態となる。この状態は、インバータループ1101に書き込まれたデータ「1」がスルー出力されている状態に相当する。
次に、プリチャージ時におけるデータ保持装置1100の動作状態について説明する。図24の時刻t26〜t27、または、時刻t29〜t30で示したように、入力信号INN及びINPのセンシング動作に先立って、CMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの出力ノードに付随する寄生容量をプリチャージする際には、信号W0NA及びW0ND、信号W1NA及びW1ND、並びに、信号SAEがいずれもローレベルとされ、信号W0NC及びW0NE、並びに、信号W1NC及びW1NEがいずれもハイレベルとされる。なお、差動対回路1102に対しては、本プリチャージ動作の開始とともに、センシング対象となる入力信号INN及びINPを入力しておくとよい。
上記の制御により、図28で示したように、トランジスタN115、N118及びN119とトランジスタP115及びP116がいずれもオフして、トランジスタN116及びN117とトランジスタP113及びP114がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路1102と差動対制御部1104がいずれも無効となり、第1電位設定部1103がCMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの出力ノードが強制的にハイレベルに引き上げられるので、それぞれに付随している寄生容量がプリチャージされる。このとき、出力信号Q及び反転出力信号QNは、いずれもローレベルとなる。
次に、センシング時におけるデータ保持装置1100の動作状態について説明する。図24の時刻t27〜t28、または、時刻t30〜t31で示したように、差動対回路1102への入力信号INN及びINPをセンシングする際には、信号W0NA、W0NC及びW0NE、信号W1NA、W1NC及びW1NE、並びに、信号SAEがいずれもハイレベルとされる一方、信号W0ND及びW1NDがいずれもローレベルとされる。
上記の制御により、図29で示したように、トランジスタN118及びN119、並びに、トランジスタP113〜P116がいずれもオフして、トランジスタN113〜N117がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路1102が有効となり、第1電位設定部1103と差動対制御部1104がいずれも無効となる。
従って、トランジスタN113及びN114には、それぞれ、入力信号INN及びINPに応じた電流が流れるので、CMOSインバータ1101a及び1101bそれぞれの出力ノード間に電位差が生じる。インバータループ1101は、この電位差を増幅することにより、出力信号Q及び反転出力信号QNの論理レベルを確定する。
例えば、図24の時刻t27〜t28で示すように、INP<INNであるときには、図29で示したように、トランジスタN113に流れる電流よりもトランジスタN114に流れる電流の方が大きくなるので、CMOSインバータ1101aの出力ノードよりもCMOSインバータ1101bの出力ノードの方が低電位となる。このような電位差が生じると、インバータループ1101の増幅作用により、相対的に高電位であるCMOSインバータ1101aの出力ノードがハイレベルに引き上げられて、相対的に低電位であるCMOSインバータ1101bの出力ノードがローレベルに引き下げられる。その結果、出力信号Qがハイレベルとなり、反転出力信号QNがローレベルとなる。
一方、図24の時刻t30〜t31で示したように、INP>INNであるときには、図29におけるトランジスタN113及びN114それぞれに流れる電流の大小関係が逆となり、出力信号Q及び反転出力信号QNそれぞれの論理レベルが反対になる。より具体的に述べると、トランジスタN113に流れる電流よりもトランジスタN114に流れる電流の方が小さくなるので、CMOSインバータ1101aの出力ノードよりもCMOSインバータ1101bの出力ノードの方が高電位となる。従って、インバータループ1101の増幅作用により、相対的に低電位であるCMOSインバータ1101aの出力ノードがローレベルに引き下げられ、相対的に高電位であるCMOSインバータ1101bの出力ノードがハイレベルに引き上げられる。その結果、出力信号Qがローレベルとなり、反転出力信号QNがハイレベルとなる。
このように、本実施形態のデータ保持装置1100によれば、単一のインバータループ1101を活用して、ラッチ機能(図24の時刻t21〜t26、時刻t28〜t29、時刻t31〜t32、並びに、図25〜図27を参照)とセンシング機能(図24の時刻t26〜t28、時刻t29〜t30、並びに、図28及び図29を参照)の双方を実現することが可能となる。
従って、例えば、図22のセンスアンプSAとして、本実施形態のデータ保持装置1100を用いれば、データ保持部Mが不要となるので、インバータループの重複を解消して回路面積を縮小することが可能となる(約半減)。
なお、先の第1実施形態(図1)で示したように、上記の差動対制御回路1104に代えて、インバータループ1101の接地ノードと接地端との間を導通/遮断する接地用トランジスタを別途設ければ、より少ない素子でインバータループ1101の接地ノードを第2電位に設定することも可能である。ただし、当該構成を採用した場合には、上記の接地用トランジスタを介するリークパスが形成されるので、センスアンプオフセットが増大してしまう。一方、差動対制御回路1104を用いた構成であれば、上記のリークパスが存在せず、センスアンプオフセットの増大を招くことがないので、歩留まりや信頼性を向上することが可能となる。
<データ保持装置(第5実施形態)>
図30は、データ保持装置の第5実施形態を示す回路図である。本実施形態のデータ保持装置1200は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN121〜N128と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP121〜P127と、インバータINV121及びINV122と、を有する。
トランジスタN121〜N124それぞれのソースは、接地端(=接地電位VSSに設定されたノード)に接続されている。トランジスタN121、N123及びP121それぞれのドレインと、トランジスタN122及びP122それぞれのゲートは、インバータINV121の入力端に接続されている。トランジスタN122、N124及びP122それぞれのドレインと、トランジスタN121及びP121それぞれのゲートは、インバータINV122の入力端に接続されている。トランジスタN123のゲートには、信号W1NAが入力されている。トランジスタN124のゲートには、信号W0NAが入力されている。インバータINV121の出力端は、反転出力信号QNの出力端に接続されている。インバータINV122の出力端は、出力信号Qの出力端に接続されている。
また、トランジスタP121のソースは、トランジスタP123のドレインに接続されている。トランジスタP122のソースは、トランジスタP124のドレインに接続されている。トランジスタP123及びP124それぞれのソースは、トランジスタP125のドレインに接続されている。トランジスタP125のソースは電源端(=電源電位VDDに設定されたノード)に接続されている。トランジスタP125のゲートには、信号SAEが入力されている。
トランジスタP126のソースは、電源端に接続されている。トランジスタP126及びN127それぞれのドレインは、トランジスタP123のゲートに接続されている。トランジスタN127のソースは、接地端に接続されている。トランジスタP126のゲートには、信号W1NDが入力されている。トランジスタN127のゲートには、信号W1NCが入力されている。トランジスタN125は、入力信号INN(負)の印加端とトランジスタP123のゲートとの間に接続されている。トランジスタN125のゲートには信号W1NEが入力されている。
トランジスタP127のソースは、電源端に接続されている。トランジスタP127及びN128それぞれのドレインは、トランジスタP124のゲートに接続されている。トランジスタN128のソースは、接地端に接続されている。トランジスタP127のゲートには、信号W0NDが入力されている。トランジスタN128のゲートには、信号W0NCが入力されている。トランジスタN126は、入力信号INP(正)の印加端とトランジスタP124のゲートとの間に接続されている。トランジスタN126のゲートには信号W0NEが入力されている。
上記構成から成るデータ保持装置1200において、トランジスタP121及びN121は、CMOSインバータ1201aを形成しており、トランジスタP122及びN122は、CMOSインバータ1201bを形成している。
なお、CMOSインバータ1201aの出力ノード(=トランジスタP121及びN121双方のドレイン)は、CMOSインバータ1201bの入力ノード(=トランジスタP122及びN122双方のゲート)に接続されている。また、CMOSインバータ1201bの出力ノード(=トランジスタP122及びN122双方のドレイン)は、CMOSインバータ1201aの入力ノード(=トランジスタP121及びN121双方のゲート)に接続されている。
すなわち、上記4つのトランジスタ(P121、P122、N121、N122)は、ループ状に接続された2つのCMOSインバータ1201a及び1201bを含むインバータループ1201として機能する。なお、インバータループ1201を形成する論理ゲートとしては、狭義のインバータのみならず、広義のインバータ(NANDやNOR)を用いてもよい。
また、上記構成から成るデータ保持装置1200において、トランジスタP123及びP124は、CMOSインバータ1201a及び1201bそれぞれの電源ノード(=トランジスタP121及びP122それぞれのソース)に接続された差動対回路1202として機能する。
トランジスタN123及びN124は、CMOSインバータ1201a及び1201bそれぞれの出力ノードを第1電位(=接地電位VSSまたはこれに準ずる低電位)に設定する第1電位設定部1203として機能する。
トランジスタP126及びP127、並びに、トランジスタN125〜N128は、差動対回路1202のゲート制御を行うことによりCMOSインバータ1201a及び1201bそれぞれの電源ノードを第2電位(=電源電位VSSまたはこれに準ずる高電位)に設定する差動対制御部1204として機能する。
なお、差動対制御部1204に含まれている複数のトランジスタのうち、トランジスタN127及びN128は、差動対回路1202のゲートをオン電位(ここでは接地電位VSS)に設定する第1トランジスタに相当し、トランジスタN125及びN126は、差動対回路1202のゲートに繋がる入力信号経路を導通/遮断する第2トランジスタに相当する。また、トランジスタP126及びP127は、差動対回路1202のゲートをオフ電位(ここでは電源電位VDD)に設定する第3トランジスタに相当する。
このように、本実施形態のデータ保持装置1200は、第4実施形態(図23)のデータ保持装置1100を極性反転した構成(NMOS差動対型→PMOS差動対型、NMOS→PMOS、VDD→VSS)であり、単一のインバータループ1201を用いてラッチ機能とセンシング機能を共に実現することが可能である点については、先と何ら変わりがない。
なお、データ保持装置1200の動作を理解するためには、先に述べたデータ保持装置1100の動作説明について、符号の読み替え(「1101」〜「1104」→「1201」〜「1204」、「N111」〜「N112」→「N121」〜「N122」、「N113」〜「N115」→「P113」〜「P127」、「N116」〜「N117」→「N125」〜「N126」、「N118」〜「N119」→「P126」〜「P127」、「P111」〜「P112」→「P121」〜「P122」、「P113」〜「P114」→「N123」〜「N124」、「P115」〜「P116」→「N127」〜「N128」)、各種制御信号(W0NA、W0NC〜W0NE、W1NA、W1NC〜W1NE、SAE)の論理反転、並びに、入力信号(INN、INP)の大小反転を行えば足りるので、重複した動作説明は割愛する。
<不揮発ラッチ(第2構成例)>
次に、不揮発ラッチへの適用例について説明する。図31は、不揮発ラッチの全体構成を示す回路図である。本構成例の不揮発ラッチ1300は、センスアンプ1310と、強誘電体キャパシタ1321〜1324と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ1331〜1333と、否定論理和演算器1341〜1344と、アナログスイッチ1351〜1354と、パワーオンハイホールド回路1360(以下では、POHH[power-on-high-hold]回路1360と呼ぶ)と、を有する。
否定論理和演算器1341の第1入力端には、信号PL1_DNが入力されている。否定論理和演算器1342の第1入力端には、信号PL2_DNが入力されている。否定論理和演算器1343の第1入力端には、信号RNLNが入力されている。否定論理和演算器1344の第1入力端には、信号SNLNが入力されている。否定論理和演算器1341〜1344それぞれの第2入力端には、いずれも信号FRSTNLが入力されている。なお、否定論理和演算器1343及び1344は、3ステート出力型(H/L/出力HiZ)であり、それぞれの制御端には、信号E1が入力されている。
否定論理和演算器1341の出力端(=信号PL1の出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ1321及び1323それぞれの正極端に接続されている。否定論理和演算器1342の出力端(=信号PL2の出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ1322及び1324それぞれの正極端に接続されている。否定論理和演算器1343の出力端(=信号SDnCの出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ1321及び1322それぞれの負極端に接続されている。否定論理和演算器1344の出力端(=信号SDCの出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ1323及び1324それぞれの負極端に接続されている。
トランジスタ1331は、強誘電体キャパシタ1321に対して並列接続されている。トランジスタ1332は、強誘電体キャパシタ1324に対して並列接続されている。トランジスタ1333は、信号SDnCの出力端と信号SDCの出力端との間に接続されている。トランジスタ1331〜1333それぞれのゲートには、信号FRSTNLが入力されている。
アナログスイッチ1351は、信号PLD_Aの印加端とセンスアンプ1310の負入力端(=入力信号INNの入力端)との間に接続されており、その制御端に入力される信号TESTDに応じてオン/オフされる。アナログスイッチ1352は、信号PLU_Aの印加端とセンスアンプ1310の正入力端(=入力信号INPの入力端)との間に接続されており、その制御端に入力される信号TESTUに応じてオン/オフされる。
アナログスイッチ1353は、信号SDnCの印加端とセンスアンプ1310の負入力端との間に接続されており、その制御端に反転入力される信号FED_DNに応じてオン/オフされる。アナログスイッチ1354は、信号SDCの印加端とセンスアンプ1310の正入力端との間に接続されており、その制御端に反転入力される信号FEU_DNに応じてオン/オフされる。
POHH回路1360は、電源投入時において、たとえ信号FRSTがハイレベル(VDD)となっても、電源電位VDDが少なくともCMOS回路の動作可能電圧に達するまでの間、信号FRSTNLをハイレベルに保持する。なお、電源投入完了後、POHH回路1360は、通常のインバータとして動作する。
センスアンプ1310は、入力信号INP及びINNの差動入力を受けて出力信号Q及び反転出力信号QNを生成するセンシング機能のほか、データ信号Dの入力を受けてこれを保持するラッチ機能を備えている。すなわち、センスアンプ1310には、図22のデータ保持部MとセンスアンプSA双方の機能が集約されている。以下では、その回路構成について説明する。
<センスアンプ>
図32は、センスアンプ1310の一構成例(データ保持装置の第6実施形態に相当)を示す回路図である。本構成例のセンスアンプ1310は、図23のデータ保持装置1100と基本的に同様の回路構成から成り、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN131〜N137と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP131〜P138と、インバータINV131及びINV132と、否定論理積演算器NAND131〜NAND134と、を有する。
トランジスタP131〜P134、並びに、トランジスタP137及びP138それぞれのソースは、電源端(=電源電位VDDに設定されたノード)に接続されている。トランジスタP131、P133、P137及びN131それぞれのドレインと、トランジスタP132及びN132それぞれのゲートは、いずれもインバータINV131の入力端(=信号RNLNの印加端)に接続されている。トランジスタP132、P134、P138及びN132それぞれのドレインと、トランジスタP131及びN131それぞれのゲートは、いずれもインバータINV132の入力端(=信号SNLNの印加端)に接続されている。トランジスタP133のゲートには、信号W1Nxが入力されている。トランジスタP134のゲートには、信号W0Nxが入力されている。トランジスタP137及びP138それぞれのゲートには、いずれも信号SAEが入力されている。インバータINV131の出力端は、反転出力信号QNの出力端に接続されている。インバータINV132の出力端は、出力信号Qの出力端に接続されている。
また、トランジスタN131のソースは、トランジスタN133のドレインに接続されている。トランジスタN132のソースは、トランジスタN134のドレインに接続されている。トランジスタN133及びN134それぞれのソースは、トランジスタN135のドレインに接続されている。トランジスタN135のソースは接地端(=接地電位VSSに設定されたノード)に接続されている。トランジスタN135のゲートには、信号SAEが入力されている。
また、トランジスタP135のソースは、電源端に接続されている。トランジスタP135のドレインは、トランジスタN133のゲートに接続されている。トランジスタN136は、入力信号INN(負)の印加端とトランジスタN133のゲートとの間に接続されている。トランジスタP135及びN136それぞれのゲートには、信号W1Nyが入力されている。
また、トランジスタP136のソースは、電源端に接続されている。トランジスタP136のドレインは、トランジスタN134のゲートに接続されている。トランジスタN137は、入力信号INP(正)の印加端とトランジスタN134のゲートとの間に接続されている。トランジスタP136及びN137それぞれのゲートには、信号W0Nyが入力されている。
否定論理積演算器NAND131及びNAND132それぞれの第1入力端には、クロック信号CPが入力されている。なお、センスアンプ1310のラッチ機能が有効(LEN_DN=H)である場合、インバータループ1311は、クロック信号CPに応じたハイスルー/ローホールド型ラッチとして動作する(詳細は後述)。否定論理積演算器NAND131の第2入力端には、データ信号Dが入力されている。否定論理積演算器NAND132の第2入力端には、反転データ信号DN(データ信号Dの論理反転信号)が入力されている。なお、否定論理積演算器NAND131の出力信号は、信号W1Nxに相当する。一方、否定論理積演算器NAND132の出力信号は、信号W0Nxに相当する。
否定論理積演算器NAND133及びNAND134それぞれの第1入力端には、信号LEN_DNが入力されている。なお、信号LEN_DNは、センスアンプ1310の機能として、ラッチ機能を有効とするときにハイレベルとなり、センシング機能を有効とするときにローレベルとなる(詳細は後述)。否定論理積演算器NAND133の第2入力端には、信号W1Nxが入力されている。否定論理積演算器NAND134の第2入力端には、信号W0Nxが入力されている。なお、否定論理積演算器NAND133の出力信号は、信号W1Nyに相当する。一方、否定論理積演算器NAND134の出力信号は、信号W0Nyに相当する。
上記構成から成るセンスアンプ1310において、トランジスタP131及びN131は、CMOSインバータ1311aを形成しており、トランジスタP132及びN132は、CMOSインバータ1311bを形成している。
なお、CMOSインバータ1311aの出力ノード(=トランジスタP131及びN131双方のドレイン)は、CMOSインバータ1311bの入力ノード(=トランジスタP132及びN132双方のゲート)に接続されている。また、CMOSインバータ1311bの出力ノード(=トランジスタP132及びN132双方のドレイン)は、CMOSインバータ1311aの入力ノード(=トランジスタP131及びN131双方のゲート)に接続されている。
すなわち、上記4つのトランジスタ(P131、P132、N131、N132)は、ループ状に接続された2つのCMOSインバータ1311a及び1311bを含むインバータループ1311として機能する。なお、インバータループ1311を形成する論理ゲートとしては、狭義のインバータのみならず、広義のインバータ(NANDやNOR)を用いてもよい。
また、上記構成から成るセンスアンプ1310において、トランジスタN133及びN134は、CMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの接地ノード(=トランジスタN131及びN132それぞれのソース)に接続された差動対回路1312として機能する。
なお、トランジスタN136のドレイン(またはソース)は、センスアンプ1310の負入力端に相当する。従って、アナログスイッチ1353がオンしているときには、トランジスタN136のドレイン(またはソース)に強誘電体キャパシタ1321及び1322が接続される形となる。
同様に、トランジスタN137のドレイン(またはソース)は、センスアンプ1310の正入力端に相当する。従って、アナログスイッチ1354がオンしているときには、トランジスタN137のドレイン(またはソース)に強誘電体キャパシタ1323及び1324が接続される形となる。
なお、強誘電体キャパシタ1321〜1324は、不揮発性デバイスの一例であり、同様の機能を有する限り、いかなる不揮発性デバイスを用いても構わない。例えば、強誘電体キャパシタ1321及び1322の一方を省略してもよいし、一方を通常のキャパシタに置換してもよい。強誘電体キャパシタ323及び324についても同様である。
すなわち、データ読出手法としては、非反転状態の強誘電体素子と反転状態の強誘電体素子との容量結合を用いてもよいし、或いは、強誘電体素子とその他の容量素子との容量結合を用いてもよい。
また、例えば、強誘電体キャパシタ1321及び1322(または強誘電体キャパシタ1323及び1324)を省略し、センスアンプ1310のセンシング動作時に入力信号INP(またはINN)を所定の基準電位に固定してもよい。
トランジスタP133及びP134並びにトランジスタP137及びP138は、CMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの出力ノードを第1電位(=電源電位VDDまたはこれに準ずる高電位)に設定する第1電位設定部1313(いわゆるチャージアップ回路)として機能する。
トランジスタP135及びP136、並びに、トランジスタN136及びN137は、差動対回路1312のゲート制御を行うことにより、CMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの接地ノードを第2電位(=接地電位VSSまたはこれに準ずる低電位)に設定する差動対制御部1314として機能する。
なお、差動対制御部1314に含まれている複数のトランジスタのうち、トランジスタP135及びP136は、差動対回路1312のゲートをオン電位(ここでは電源電位VDD)に設定する第1トランジスタに相当し、トランジスタN136及びN137は、差動対回路1312のゲートに繋がる入力信号経路を導通/遮断する第2トランジスタに相当する。
また、本実施形態では、先の第4実施形態(図23)と異なり、差動対回路1312のゲートをオフ電位(ここでは接地電位VSS)に設定するための第3トランジスタ(図23のトランジスタN118及びN119)が省略されている。すなわち、オフ電位を設定する機能については、入力信号INN及びINPの生成主体である否定論理和演算器1343及び1344に移譲されている。
このように、本構成例のセンスアンプ1310は、一般的なセンスアンプをベースとしつつ、インバータループ1311を用いたラッチ機能を実現するために、差動対制御部1314を追加した構成とされている。以下では、不揮発ラッチ1300とこれに用いられるセンスアンプ1310それぞれの動作について詳述する。
<動作説明>
まず、データ保持時の動作状態について、図33及び図34を参照しながら説明する。図33及び図34は、それぞれ、データ保持時における不揮発ラッチ1300及びセンスアンプ1310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ1310のインバータループ1311を用いてデータを保持する際には、図34で示したように、クロック信号CPがローレベルとなり、信号LEN_DNがハイレベルとなるので、信号W1Nx及びW0Nxがいずれもハイレベルとなり、信号W1Ny及びW0Nyがいずれもローレベルとなる。また、データ保持時には、信号SAEがハイレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN136及びN137、トランジスタP133及びP134、並びに、トランジスタP137及びP138がいずれもオフして、トランジスタN133〜N135、並びに、トランジスタP135及びP136がいずれもオンした状態となる。すなわち、第1電位設定部1313が無効となり、差動対回路1312が差動対制御部1314によるゲート制御に基づいてCMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、センスアンプ1310は、インバータループ1311単体と等価になるので、インバータループ1311に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ1311にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて反転出力信号QNがハイレベルに保持される。逆に、インバータループ1311にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて反転出力信号QNがローレベルに保持される。このように、図34の動作状態は、先に説明した図25の動作状態とほぼ同様である。
一方、不揮発ラッチ1300全体に目を向けると、データ保持時には、図33で示したように、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器1343及び1344がいずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。また、データ保持時には、信号FRSTNLがハイレベルとなる。従って、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの両端間が互いにショートされた上でローレベル(=接地電位VSS)に固定される(PL1=PL2=L、PL1_DN=PL2_DN=H)。これにより、強誘電体キャパシタ1321〜1324に対する意図しない電圧印加を回避してデータ化けを防止することが可能となる。
また、データ保持時には、図33で示したように、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ1353及び1354がいずれもオンするので、強誘電体キャパシタ1321〜1324とセンスアンプ1310との間が電気的に導通された状態となる。その結果、センスアンプ1310の入力信号INN及びINPがそれぞれローレベルに固定される。
また、信号TESTD及びTESTUは、センスアンプ1310の特性試験時にハイレベルとなり、それ以外の通常動作時(データ保持時、データ書込時、データ退避時、及びデータ復帰時)にはローレベルとなる。なお、信号TESTD及びTESTUがハイレベルになると、アナログスイッチ1351及び1352がオンするので、特性試験用の信号PLD_A及びPLU_Aをセンスアンプ1310に入力することが可能となる。
次に、「0」書込時の動作状態について、図35及び図36を参照しながら説明する。図35及び図36は、それぞれ、「0」書込時における不揮発ラッチ1300及びセンスアンプ1310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ1310のインバータループ1311にデータ「0」を書き込む際には、図36で示したように、信号LEN_DNとクロック信号CPがいずれもハイレベルとなる。また、データ信号Dがローレベルとなり、反転データ信号DNがハイレベルとなる。従って、信号W1Nx及びW0Nyがハイレベルとなり、信号W1Ny及びW0Nxがローレベルとなる。また、「0」書込時には、信号SAEがハイレベルとなる。
上記の制御により、トランジスタN134及びN136と、トランジスタP133及びP136〜P138がいずれもオフして、トランジスタN133、N135及びN137と、トランジスタP134及びP135がいずれもオンした状態となる。すなわち、第1電位設定部1313がCMOSインバータ1311bの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となり、差動対回路1312が差動対制御部1314によるゲート制御に基づいてCMOSインバータ1311aの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ1311bの出力ノード(=SNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、出力信号Qがローレベルに引き下げられて、反転出力信号QNがハイレベルに引き上げられた状態となる。この状態は、インバータループ1311に書き込まれたデータ信号D(=データ「0」)がスルー出力されている状態に相当する。このように、図36の動作状態は、先に説明した図26の動作状態とほぼ同様である。
なお、「1」書込時におけるセンスアンプ1310の動作状態についても、基本的には「0」書込時のそれと同様であり、インバータループ1311に書き込まれたデータ信号D(=データ「1」)がスルー出力されている状態となる。具体的に述べると、「1」書込時には、図36で示した信号のうち、データ信号Dがハイレベルとなり、反転データ信号DNがローレベルとなるので、トランジスタN136及びN137のオン/オフ状態、トランジスタP133及びP134のオン/オフ状態、並びに、トランジスタP135及びP136のオン/オフ状態がそれぞれ先とは逆となる。従って、CMOSインバータ1311aの出力ノード(=RNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、反転出力信号QNがローレベルに引き下げられて、出力信号Qがハイレベルに引き上げられた状態となる。このような動作状態は、先に説明した図27の動作状態とほぼ同様である。
一方、不揮発ラッチ1300全体に目を向けると、「0」書込時には、図35で示したように、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器1343及び1344がいずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。また、データ保持時には、信号FRSTNLがハイレベルとなる。従って、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの両端間が互いにショートされた上でローレベル(=接地電位VSS)に固定される(PL1=PL2=L、PL1_DN=PL2_DN=H)。これにより、強誘電体キャパシタ1321〜1324に対する意図しない電圧印加を回避してデータ化けを防止することが可能となる。
また、「0」書込時には、図35で示したように、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ1353及び1354がいずれもオンするので、強誘電体キャパシタ1321〜1324とセンスアンプ1310との間が電気的に導通された状態となる。その結果、センスアンプ1310の入力信号INN及びINPがそれぞれローレベルに固定される。
このように、図35の動作状態は、先に説明した図33の動作状態と全く同一である。なお、「1」書込時における不揮発ラッチ1300全体の動作状態についても、「0」書込時のそれと全く同一であるので、重複した説明を割愛する。
次に、データ退避時の動作状態について、図37及び図38を参照しながら説明する。図37及び図38は、それぞれ、データ退避時における不揮発ラッチ1300及びセンスアンプ1310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ1310のインバータループ1311からデータを退避する際には、図38で示したように、クロック信号CPがローレベルとなり、信号LEN_DNがハイレベルとなるので、信号W1Nx及びW0Nxがいずれもハイレベルとなり、信号W1Ny及びW0Nyがいずれもローレベルとなる。なお、クロック信号CPの停止処理については、不図示のコントローラを用いて実施するとよい。また、データ退避時には、信号SAEがハイレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN136及びN137、トランジスタP133及びP134、並びに、トランジスタP137及びP138がいずれもオフして、トランジスタN133〜N135、並びに、トランジスタP135及びP136がいずれもオンした状態となる。すなわち、第1電位設定部1313が無効となり、差動対回路1312が差動対制御部1314によるゲート制御に基づいてCMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、センスアンプ1310は、インバータループ1311単体と等価になるので、インバータループ1311に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ1311にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて反転出力信号QNがハイレベルに保持される。逆に、インバータループ1311にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて反転出力信号QNがローレベルに保持される。このように、図38の動作状態は、先に説明した図25または図34の動作状態と全く同一である。
一方、不揮発ラッチ1300全体に目を向けると、データ退避時には、図37で示したように、信号FRSTNLがローレベルとなる。従って、トランジスタ1331〜1333がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれに対してデータ書込電圧を印加することが可能となる。
なお、データ退避時には、信号E1がハイレベルとなるので、否定論理和演算器1343及び1344は、それぞれ、信号RNLN及びSNLNの論理反転信号(=反転出力信号QN及び出力信号Qに相当)を出力することが可能な状態となる。
また、データ退避時には、信号PL1_DN及びPL2_DNがそれぞれパルス駆動される。その結果、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの正極端に、パルス状(ハイレベル→ローレベル、または、ローレベル→ハイレベル)の信号PL1及びPL2が印加されるので、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。この状態は、出力信号Q及び反転出力信号QNに相当するデータが強誘電体キャパシタ1321〜1324に書き込まれた状態に相当する。
次に、データ復帰時(プリチャージ)の動作状態について、図39及び図40を参照しながら説明する。図39及び図40は、それぞれ、データ復帰時(プリチャージ)における不揮発ラッチ1300及びセンスアンプ1310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ1310による入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ1321〜1324から読み出される信号SDnC及びSDCに相当)のセンシング動作に先立って、CMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの出力ノードに付随する寄生容量をプリチャージする際には、図40で示したように、信号LEN_DN及びクロック信号CPがいずれもローレベルとなるので、信号W1Nx及びW0Nx、並びに、信号W1Ny及びW0Nyがいずれもハイレベルとなる。また、プリチャージ時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN135とトランジスタP133〜P136がいずれもオフして、トランジスタN133及びN134、トランジスタN136及びN137、並びに、トランジスタP137及びP138がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路1312と差動対制御部1314がいずれも無効となり、第1電位設定部1313がCMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの出力ノード(=RNLN及びSNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、それぞれに付随する寄生容量がプリチャージされる。このとき、出力信号Q及び反転出力信号QNは、いずれもローレベルとなる。このような動作状態は、図28の動作状態とほぼ同様である。
一方、不揮発ラッチ1300全体に目を向けると、データ復帰時(プリチャージ)は、図39で示したように、信号FRSTNLがローレベルとなる。従って、トランジスタ1331〜1333がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれに対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。
なお、データ復帰時(プリチャージ)には、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器1343及び1344は、いずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。
また、データ復帰時(プリチャージ)には、信号PL1_DNがローレベルとなり、信号PL2_DNがハイレベルとなる。その結果、強誘電体キャパシタ1321及び1323それぞれの正極端に印加される信号PL1がハイレベルとなり、強誘電体キャパシタ1322及び1324それぞれの正極端に印加される信号PL2がローレベルとなる。このようなデータ読出電圧の印加により、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの残留分極状態に対応した信号SDnC及びSDCが現れる。
また、データ復帰時(プリチャージ)には、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ1353及び1354がいずれもオンするので、センスアンプ1310の差動対回路1312には、プリチャージ動作の開始とともに、センシング対象となる入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ1321〜1324から読み出された信号SDnC及びSDC)が入力される状態となる。
次に、データ復帰時(センシング)の動作状態について、図41及び図42を参照しながら説明する。図41及び図42は、それぞれ、データ復帰時(センシング)における不揮発ラッチ1300及びセンスアンプ1310の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ1310を用いて入力信号INN及びINPをセンシングする際には、図42で示したように、信号LEN_DN及びクロック信号CPがいずれもローレベルとなるので、信号W1Nx及びW0Nx、並びに、信号W1Ny及びW0Nyがいずれもハイレベルとなる。また、センシング時には、信号SAEがハイレベルとなる。
上記制御により、トランジスタP133〜P138がいずれもオフして、トランジスタN133〜N137がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路1312が有効となり、第1電位設定部1313と差動対制御部1314がいずれも無効となる。
従って、トランジスタN133及びN134には、それぞれ、入力信号INN及びINPに応じた電流が流れるので、CMOSインバータ1311a及び1311bそれぞれの出力ノード間に電位差が生じる。インバータループ1311は、この電位差を増幅することにより、出力信号Q及び反転出力信号QNの論理レベルを確定する。
例えば、INP<INNであるときには、トランジスタN133に流れる電流よりもトランジスタN134に流れる電流の方が大きくなるので、CMOSインバータ1311aの出力ノードよりもCMOSインバータ1311bの出力ノードの方が低電位となる。このような電位差が生じると、インバータループ1311の増幅作用により、相対的に高電位であるCMOSインバータ1311aの出力ノードがハイレベルに引き上げられて、相対的に低電位であるCMOSインバータ1311bの出力ノードがローレベルに引き下げられる。その結果、出力信号Qがハイレベルとなり、反転出力信号QNがローレベルとなる。このような動作状態は、強誘電体キャパシタ1321〜1324に退避されていたデータ「1」がインバータループ1311に復帰されたことを意味する。
逆に、INP>INNであるときには、トランジスタN133に流れる電流よりもトランジスタN134に流れる電流の方が小さくなるので、CMOSインバータ1311aの出力ノードよりもCMOSインバータ1311bの出力ノードの方が高電位となる。従って、インバータループ1311の増幅作用により、相対的に低電位であるCMOSインバータ1311aの出力ノードがローレベルに引き下げられて、相対的に高電位であるCMOSインバータ1311bの出力ノードがハイレベルに引き上げられる。その結果、出力信号Qがローレベルとなり、反転出力信号QNがハイレベルとなる。このような動作状態は、強誘電体キャパシタ1321〜1324に退避されていたデータ「0」がインバータループ1311に復帰されたことを意味する。
一方、不揮発ラッチ1300全体に目を向けると、データ復帰時(センシング)には、図41で示したように、信号FRSTNLがローレベルとなる。従って、トランジスタ1331〜1333がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれに対してデータ読出電圧を印加することが可能となる。
なお、データ復帰時(センシング)には、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器1343及び1344は、いずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。
また、データ復帰時(センシング)には、信号PL1_DNがローレベルとなり、信号PL2_DNがハイレベルとなる。その結果、強誘電体キャパシタ1321及び1323それぞれの正極端に印加される信号PL1がハイレベルとなり、強誘電体キャパシタ1322及び1324それぞれの正極端に印加される信号PL2がローレベルとなる。このようなデータ読出電圧の印加により、強誘電体キャパシタ1321〜1324それぞれの残留分極状態に対応した信号SDnC及びSDCが現れる。
また、データ復帰時(センシング)には、信号FED_DN及びFEU_DNがいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ1353及び1354がいずれもオンするので、センスアンプ1310の差動対回路1312には、プリチャージ動作の開始時点から継続して、センシング対象となる入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ1321〜1324から読み出された信号SDnC及びSDC)が入力されている。このように、図41の動作状態は、先に説明した図39の動作状態と全く同一である。
<変形例>
なお、上記の不揮発ラッチ1300をスレーブとし、その前段(=否定論理積演算器NAND131及びNAND132のデータ入力端の上流側)にマスタとなるインバータループを設けることにより、不揮発フリップフロップとして利用することも可能である。
<不揮発ラッチ(第3構成例)>
図43は、不揮発ラッチの全体構成を示す回路図である。本構成例の不揮発ラッチ2300は、不揮発データ保持装置の一例であり、センスアンプ2110と、否定論理和演算器2120D及び2120Uと、アナログスイッチ2130D及び2130Uと、パワーオンハイホールド回路2140(以下では、POHH[power-on-high-hold]回路2140と呼ぶ)と、記憶領域2150と、を有する。
センスアンプ2110は、入力信号INP及びINNの差動入力を受けて出力信号Q及び反転出力信号QNを生成するセンシング機能だけでなく、データ信号Dの入力を受けてこれを保持するラッチ機能を備えた構成とされている(詳細は後述)。
否定論理和演算器2120Dの第1入力端には、信号RNLNが入力されている。否定論理和演算器2120Uの第1入力端には、信号SNLNが入力されている。否定論理和演算器2120D及び2120Uそれぞれの第2入力端には、いずれも信号FRSTMBが入力されている。なお、否定論理和演算器2120Dの出力端は、センスアンプ2110の負入力端(=入力信号INNの入力端に相当)に接続されている。一方、否定論理和演算器2120Uの出力端は、センスアンプ2110の正入力端(=入力信号INPの入力端に相当)に接続されている。また、否定論理和演算器2120D及び2120Uは、いずれも3ステート出力型(H/L/出力HiZ)であり、それぞれの制御端には信号E1が入力されている。
アナログスイッチ2130Dは、信号PLD_Aの印加端とセンスアンプ2110の負入力端との間に接続されており、その制御端に入力される信号TESTDに応じてオン/オフされる。アナログスイッチ2130Uは、信号PLU_Aの印加端とセンスアンプ2110の正入力端との間に接続されており、その制御端に入力される信号TESTUに応じてオン/オフされる。
POHH回路2140は、電源投入時において、たとえ信号FRSTがハイレベル(VDD)となっても、電源電位VDDが少なくともCMOS[complementary MOS]回路の動作可能電圧に達するまでの間、信号FRSTMBをハイレベルに保持する。なお、電源投入完了後、POHH回路2140は、通常のインバータとして動作する。
記憶領域2150は、センスアンプ2110のインバータループ(=ループ構造部に相当、詳細は後述)に保持されたデータ信号Dを不揮発的に記憶するための手段であり、強誘電体キャパシタ2201〜2204と、アナログスイッチ2205及び2206と、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタ2207〜2211と、否定論理和演算器2212及び2213と、パワーオンハイホールド回路2214(以下では、POHH回路2214と呼ぶ)と、を含む。
否定論理和演算器2212の第1入力端には、信号PL1_DNが入力されている。否定論理和演算器2213の第1入力端には、信号PL2_DNが入力されている。否定論理和演算器2212及び2213それぞれの第2入力端には、いずれも信号FESEL1Nが入力されている。
POHH回路2214は、先のPOHH回路2140と同じく、電源投入時において、たとえ信号FESEL1がハイレベル(VDD)となっても、電源電位VDDが少なくともCMOS回路の動作可能電圧に達するまでの間、信号FESEL1Nをハイレベルに保持する。電源投入完了後、POHH回路2214は、通常のインバータとして動作する。
否定論理和演算器2212の出力端(=信号PL1の印加端に相当)は、強誘電体キャパシタ2201及び2203それぞれの正極端に接続されている。否定論理和演算器2213の出力端(=信号PL2の出力端に相当)は、強誘電体キャパシタ2202及び2204それぞれの正極端に接続されている。
アナログスイッチ2205は、否定論理和演算器2120Dの出力端及びセンスアンプ2110の負入力端と、強誘電体キャパシタ2201及び2202それぞれの負極端(=信号SDnC1の印加端に相当)との間に接続されており、制御端に反転入力される信号FED_DN1に応じてオン/オフされる。アナログスイッチ2206は、否定論理和演算器2120Uの出力端及びセンスアンプ2110の正入力端と、強誘電体キャパシタ2203及び2204それぞれの負極端(=信号SDC1の印加端に相当)との間に接続されており、制御端に反転入力される信号FEU_DN1に応じてオン/オフされる。
トランジスタ2207は、強誘電体キャパシタ2201の正極端と負極端との間に接続されている。トランジスタ2208は、強誘電体キャパシタ2204の正極端と負極端との間に接続されている。トランジスタ2209は、強誘電体キャパシタ2201及び2202それぞれの負極端と、強誘電体キャパシタ2203及び2204それぞれの負極端との間に接続されている。トランジスタ2210は、強誘電体キャパシタ2201及び2202それぞれの負極端と接地端との間に接続されている。トランジスタ2211は、強誘電体キャパシタ2203及び2204それぞれの負極端と接地端の間に接続されている。なお、トランジスタ2207〜2211それぞれのゲートには、いずれも信号FESEL1Nが入力されている。
上記構成から成る記憶領域2150において、強誘電体キャパシタ2201〜2204は、それぞれのヒステリシス特性を用いてセンスアンプ2110のインバータループ(不図示)に保持されたデータ信号Dを不揮発的に記憶する不揮発性記憶部Aとして働く。
また、アナログスイッチ2205及び2206は、センスアンプ2110のインバータループ(不図示)と不揮発性記憶部Aを電気的に分離する回路分離部Bとして働く。
また、トランジスタ2207〜2211、及び、否定論理和演算器2212及び2213は、強誘電体素子2201〜2204それぞれの両端間をショートしつつ、強誘電体素子2201〜2204それぞれの正極端及び負極端を接地する回路接地部Cとして働く。
なお、詳細は後述するが、アナログスイッチ2205及び2206がいずれもオフしてセンスアンプ2110と不揮発性記憶部Aが電気的に分離されるときには、信号FESEL1Nがハイレベルとされて、トランジスタ2207〜2211が全てオンする。また、このとき、信号PL1_DN及びPL2_DNがいずれもハイレベルとされて、信号PL1及びPL2がいずれもローレベルとされる。
一方、アナログスイッチ2205及び2206がいずれもオンして、センスアンプ2110と不揮発性記憶部Aとが電気的に導通されるときには、信号FESEL1Nがローレベルとされて、トランジスタ2207〜2211が全てオフする。また、このとき、信号PL1_DN及びPL2_DNがパルス駆動され、信号PL1及びPL2として書込電圧ないし読出電圧が印加される。
このような回路接地部Cを設けることにより、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの両端間をショートするだけでなく、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの正極端及び負極端を接地することができるので、不揮発的に記憶されたデータ信号Dをより確実に保護することが可能となる。例えば、電源投入時において、信号PL1またはPL2の印加端に想定外の電圧が印加された場合でも、強誘電体キャパシタ2201〜2204の両端間には何ら電圧が掛からないので、意図しないデータ破壊(データ化け)を防止することができる。
また、mビット(m≧2)のデータ信号Dを保持する場合には、mビット分の記憶領域2150(*)(ただし*=1、2、m)を並列に用意し、単一のセンスアンプ2110を共有する構成とすればよい。つまり、不揮発性記憶部A、回路分離部B、及び、回路接地部Cは、それぞれ、mビット分の記憶領域2150(*)毎に設けられることになる。なお、信号PL1_DN及びPL2_DNは、各ビットの記憶領域2150(*)全てに共通して入力すればよい。一方、信号FED_DN*、信号FEU_DN*、及び、信号FESEL*は、各ビットの記憶領域2150(*)毎にそれぞれ入力すればよい。
このように、mビット分の記憶領域2150(*)で単一のセンスアンプを共有する構成であれば、不揮発ラッチ2100の回路面積を縮小することが可能となる。
なお、当該構成は、センスアンプ2110に接続されたビット線(=信号PL1及びPL2の入力線がこれに相当)に複数のメモリセル(=不揮発性記憶部Aがこれに相当)を繋げた構成として理解することもできる。
不揮発性記憶部Aをメモリセルとして見たときのメリットは、強誘電体キャパシタ2201〜2204をそれぞれ相補的に動かせばよいので、低電圧駆動が可能であり、電源回路の省略や消費電力の削減を図ることができる、という点である。特に、不揮発ラッチ2100は、ロジック回路内に混載して使うことが前提のため、ロジック回路と同じ低電圧(1.5V程度)で動作可能であることは、非常に重要であると言える。
<センスアンプ>
図44は、センスアンプ2110の一構成例を示す回路図である。本構成例のセンスアンプ2110は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN211〜N217と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP211〜P216と、インバータINV211及びINV212と、論理積演算器AND211及びAND212と、否定論理和演算器NOR211及びNOR212と、を有する。
トランジスタP211及びP212それぞれのソースは、電源端(=電源電位VDDに設定されたノード)に接続されている。トランジスタP211、P213及びN211それぞれのドレインと、トランジスタP212及びN212それぞれのゲートは、インバータINV211の入力端(=信号RNLNの印加端)に接続されている。トランジスタP212、P214及びN212それぞれのドレインと、トランジスタP211及びN211それぞれのゲートは、インバータINV212の入力端(=信号SNLNの印加端)に接続されている。トランジスタP213及びP214それぞれのソースは、トランジスタP215及びP216それぞれのドレインに接続されている。トランジスタP215及びP216それぞれのソースは、電源端に接続されている。トランジスタP213のゲートには、信号W1Nが入力されている。トランジスタP214のゲートには、信号W0Nが入力されている。トランジスタP215及びP216それぞれのゲートには、いずれも信号SAEが入力されている。インバータINV211の出力端は、反転出力信号QNの出力端に接続されている。インバータINV212の出力端は、出力信号Qの出力端に接続されている。
トランジスタN211のソースは、トランジスタN213及びN216それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN212のソースは、トランジスタN214及びN217それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN213及びN214それぞれのソースは、トランジスタN215のドレインに接続されている。トランジスタN215〜N217それぞれのソースは、接地端(=接地電位VSSに設定されたノード)に接続されている。トランジスタN213のゲートには、入力信号INN(負)が入力されている。トランジスタN214のゲートには、入力信号INP(正)が入力されている。トランジスタN215のゲートには、信号SAEが入力されている。トランジスタN216のゲートには、制御信号W1Nが入力されている。トランジスタN217のゲートには、信号W0Nが入力されている。
論理積演算器AND211及びAND212それぞれの第1入力端には、クロック信号CPが入力されている。なお、センスアンプ2110のラッチ機能が有効(LEN_DN=L)である場合、インバータループ2111は、クロック信号CPに応じたハイスルー/ローホールド型ラッチとして動作する(詳細は後述)。論理積演算器AND211の第2入力端には、データ信号Dが入力されている。論理積演算器AND212の第2入力端には、反転データ信号DN(=データ信号Dの論理反転信号)が入力されている。
否定論理和演算器NOR211及びNOR212それぞれの第1入力端には、信号LEN_DNが入力されている。信号LEN_DNは、センスアンプ2110の機能として、ラッチ機能を有効とするときにローレベルとなり、センシング機能を有効とするときにハイレベルとなる(詳細は後述)。否定論理和演算器NOR211の第2入力端には、論理積演算器AND211の出力信号が入力されている。否定論理和演算器NOR212の第2入力端には、論理積演算器AND212の出力信号が入力されている。なお、否定論理和演算器NOR211の出力信号は、信号W1Nに相当する。一方、否定論理和演算器NOR212の出力信号は、信号W0Nに相当する。
上記構成から成るセンスアンプ2110において、トランジスタP211及びN211は、CMOSインバータ2111aを形成しており、トランジスタP212及びN212は、CMOSインバータ2111bを形成している。
なお、CMOSインバータ2111aの出力ノード(=トランジスタP211及びN211双方のドレイン)は、CMOSインバータ2111bの入力ノード(=トランジスタP212及びN212双方のゲート)に接続されている。また、CMOSインバータ2111bの出力ノード(=トランジスタP212及びN212双方のドレイン)は、CMOSインバータ2111aの入力ノード(=トランジスタP211及びN211双方のゲート)に接続されている。
すなわち、上記4つのトランジスタ(P211、P212、N211、N212)は、ループ状に接続された2つのCMOSインバータ2111a及び2111bを含むインバータループ2111として機能する。なお、インバータループ2111を形成する論理ゲートとしては、狭義のインバータのみならず、広義のインバータ(NANDやNOR)を用いてもよい。
また、上記構成から成るセンスアンプ2110において、トランジスタN213及びN214は、CMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの接地ノード(=トランジスタN211及びN212それぞれのソース)に接続された差動対回路2112として機能する。
トランジスタN213のゲートは、センスアンプ2110の負入力端に相当する。従って、アナログスイッチ2205がオンしているときには、トランジスタN213のゲートに強誘電体キャパシタ2201及び2202が接続される形となる。
同様に、トランジスタN214のゲートは、センスアンプ2110の正入力端に相当する。従って、アナログスイッチ2206がオンしているときには、トランジスタN214のゲートに強誘電体キャパシタ2203及び2204が接続される形となる。
なお、強誘電体キャパシタ2201〜2204は、不揮発性デバイスの一例であり、同様の機能を有する限り、いかなる不揮発性デバイスを用いても構わない。例えば、強誘電体キャパシタ2201及び2202の一方を省略してもよいし、一方を通常のキャパシタに置換してもよい。強誘電体キャパシタ2203及び2204についても同様である。
すなわち、データ読出手法としては、非反転状態の強誘電体素子と反転状態の強誘電体素子との容量結合を用いてもよいし、或いは、強誘電体素子とその他の容量素子との容量結合を用いてもよい。
また、例えば、強誘電体キャパシタ2201及び2202(または強誘電体キャパシタ2203及び2204)を省略し、センスアンプ2110のセンシング動作時に入力信号INP(またはINN)を所定の基準電位に固定してもよい。
トランジスタP213及びP214は、CMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの出力ノードを第1電位(=電源電位VDDまたはこれに準ずる高電位)に設定する第1電位設定部2113(いわゆるチャージアップ回路)として機能する。
トランジスタN216及びN217は、CMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの接地ノードを第2電位(=接地電位VSSまたはこれに準ずる低電位)に設定する第2電位設定部2114として機能する。
このように、本構成例のセンスアンプ2110は、一般的なセンスアンプをベースとしつつ、インバータループ2111を用いたラッチ機能を実現するために、第2電位設定部2114を追加した構成とされている。
なお、本構成例のセンスアンプ2110では、差動対回路2112の回路形式として、NMOS差動対型を例に挙げたが、これをPMOS差動対型に変更することもできる。その場合には、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタで形成された差動対回路がインバータループ2111の電源ノードに接続される形となり、回路全体の極性反転(NMOS→PMOS、VDD→VSS、並びに、各種制御信号の論理反転)を行えばよい。
以下では、不揮発ラッチ2100とこれに用いられるセンスアンプ2110それぞれの動作について詳述する。
<動作説明>
まず、データ保持時の動作状態について、図45及び図46を参照しながら説明する。図45及び図46は、それぞれ、データ保持時における不揮発ラッチ2100及びセンスアンプ2110の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ2110のインバータループ2111を用いてデータを保持する際には、図46で示すように、信号LEN_DNとクロック信号CPがいずれもローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもハイレベルとなる。また、データ保持時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN215、並びに、トランジスタP213及びP214がいずれもオフして、トランジスタN216及びN217、並びに、トランジスタP215及びP216がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路2112と第1電位設定部2113がいずれも無効となり、第2電位設定部2114がCMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、センスアンプ2110は、インバータループ2111単体と等価になるので、インバータループ2111に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ2111にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて反転出力信号QNがハイレベルに保持される。逆に、インバータループ2111にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて反転出力信号QNがローレベルに保持される。
一方、不揮発ラッチ2100全体に目を向けると、データ保持時には、図45で示したように、信号FRSTMB及びE1がいずれもハイレベルとなる。従って、センスアンプ2110の入力信号INN及びINPがいずれもローレベル(=接地電位VSS)に固定される(INN=INP=L)。
また、データ保持時には、信号FED_DN1及びFEU_DN1がいずれもハイレベルとなる。従って、アナログスイッチ2205及び2206がオフするので、強誘電体キャパシタ2201〜2204とセンスアンプ2110との間が電気的に分離される。
また、データ保持時には、信号PL1_DN及びPL2_DN、並びに、信号FESEL1Nがいずれもハイレベルとなる。従って、トランジスタ2207〜2211が全てオンするとともに、信号PL1及びPL2がいずれもローレベルとなる。従って、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの両端間が互いにショートされた上で、それぞれの正極端及び負極端がいずれもローレベル(=接地電位VSS)に固定される(PL1=PL2=L、SDnC1=SDC1=L)。
特に、トランジスタ2210及び2211をオンすることにより、信号SDnC1及びSDC1をそれぞれ接地電位に固定することができるので、強誘電体キャパシタ2201〜2204に対する意図しない電圧印加を回避してデータ破壊(データ化け)をより確実に防止することが可能となる。
ただし、否定論理和演算器2212及び2213が信号PL1及びPL2をローレベルとすることにより、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの正極端が接地電位に固定されていることを鑑みると、トランジスタ2210及び2211は、回路接地部Cの必須要素ではないと言える。
また、信号TESTD及びTESTUは、センスアンプ2110の特性試験時にハイレベルとなり、それ以外の通常動作時(データ保持時、データ書込時、データ退避時、及びデータ復帰時)にはローレベルとなる。なお、信号TESTD及びTESTUがハイレベルになると、アナログスイッチ2130D及び2130Uがオンするので、特性試験用の信号PLD_A及びPLU_Aをセンスアンプ2110に入力することが可能となる。
次に、「0」書込時の動作状態について、図47及び図48を参照しながら説明する。図47及び図48は、それぞれ、「0」書込時における不揮発ラッチ100及びセンスアンプ110の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ2110のインバータループ111にデータ「0」を書き込む際には、図48で示したように、信号LEN_DNとデータ信号Dがそれぞれローレベルとなり、クロック信号CPと反転データ信号DNがそれぞれハイレベルとなる。従って、信号W1Nがハイレベルとなり、信号W0Nがローレベルとなる。また、「0」書込時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN215及びN217、並びに、トランジスタP213がいずれもオフし、トランジスタP214〜P216とトランジスタN216がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路2112が無効となり、第1電位設定部2113がCMOSインバータ2111bの出力ノード(=SNLN)を第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となり、第2電位設定部2114がCMOSインバータ2111aの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ2111bの出力ノード(=SNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、出力信号Qがローレベルに引き下げられて、反転出力信号QNがハイレベルに引き上げられた状態となる。この状態は、インバータループ2111に書き込まれたデータ信号D(=データ「0」)がスルー出力されている状態に相当する。
なお、「1」書込時におけるセンスアンプ2110の動作状態についても、基本的には「0」書込時のそれと同様であり、インバータループ2111に書き込まれたデータ信号D(=データ「1」)がスルー出力されている状態となる。具体的に述べると、「1」書込時には、図48で示す信号のうち、データ信号Dがハイレベルとなり、反転データ信号DNがローレベルとなるので、トランジスタN216及びN217のオン/オフ状態、及び、トランジスタP213及びP214のオン/オフ状態が先とは逆となる。従って、CMOSインバータ2111aの出力ノード(=RNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、反転出力信号QNがローレベルに引き下げられて、出力信号Qがハイレベルに引き上げられた状態となる。
一方、不揮発ラッチ2100全体に目を向けると、「0」書込時には、図47で示したように、信号FRSTMB及びE1がいずれもハイレベルとなる。従って、センスアンプ2110の入力信号INN及びINPがいずれもローレベル(=接地電位VSS)に固定される(INN=INP=L)。
また、「0」書込時には、信号FED_DN1及びFEU_DN1がいずれもハイレベルとなる。従って、アナログスイッチ2205及び2206がオフするので、強誘電体キャパシタ2201〜2204とセンスアンプ2110との間が電気的に分離される。
また、「0」書込時には、信号PL1_DN及びPL2_DN、並びに、信号FESEL1Nがいずれもハイレベルとなる。従って、トランジスタ2207〜2211が全てオンするとともに、信号PL1及びPL2がいずれもローレベルとなる。従って、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの両端間が互いにショートされた上で、それぞれの正極端および負極端がいずれもローレベル(=接地電位VSS)に固定される(PL1=PL2=L、SDnC1=SDC1=L)。
特に、トランジスタ2210及び2211をオンすることにより、信号SDnC1及びSDC1をそれぞれ接地電位に固定することができるので、強誘電体キャパシタ2201〜2204に対する意図しない電圧印加を回避してデータ破壊(データ化け)をより確実に防止することが可能となる。
ただし、先にも述べたように、否定論理和演算器2212及び2213が信号PL1及びPL2をローレベルとすることにより、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの正極端が接地電位に固定されていることを鑑みると、トランジスタ2210及び2211は、回路接地部Cの必須要素ではないと言える。
このように、図47の動作状態は、先に説明した図45の動作状態と全く同一である。なお、「1」書込時における不揮発ラッチ2100全体の動作状態についても、「0」書込時のそれと全く同一であるので、重複した説明を割愛する。
次に、データ退避時の動作状態について、図49及び図50を参照しながら説明する。図49及び図50は、それぞれ、データ退避時における不揮発ラッチ2100及びセンスアンプ2110の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ2110のインバータループ2111から記憶領域2150(=1ビット目の記憶領域2150(1)と理解してもよい)にデータを退避する際には、図50で示すように、信号LEN_DNとクロック信号CPがいずれもローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもハイレベルとなる。なお、クロック信号CPの停止処理については、不図示のコントローラを用いて実施するとよい。また、データ退避時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN215、並びに、トランジスタP213及びP214がいずれもオフして、トランジスタN216及びN217、並びに、トランジスタP215及びP216がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路2112と第1電位設定部2113がいずれも無効となり、第2電位設定部2114がCMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの接地ノードを第2電位(ここでは接地電位VSS)に設定する状態となる。
従って、センスアンプ2110は、インバータループ2111単体と等価になるので、インバータループ2111に書き込まれたデータを保持する状態となる。例えば、インバータループ2111にデータ「0」が書き込まれている場合には、出力信号Qがローレベルに保持されて反転出力信号QNがハイレベルに保持される。逆に、インバータループ2111にデータ「1」が書き込まれている場合には、出力信号Qがハイレベルに保持されて反転出力信号QNがローレベルに保持される。このように、図50の動作状態は、先に説明した図46の動作状態と全く同一である。
一方、不揮発ラッチ2100全体に目を向けると、データ退避時には、図49で示したように、信号FRSTMBがローレベルとなり、信号E1がハイレベルとなる。従って、否定論理和演算器2120D及び2120Uは、信号RNLN及びSNLNの論理反転信号(=反転出力信号QN及び出力信号Qに相当)を出力することが可能な状態となる。
また、データ退避時には、信号FED_DN1及びFEU_DN1がいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ2205及び2206がいずれもオンするので、強誘電体キャパシタ2201〜2204とセンスアンプ2110との間が電気的に導通される(SDnC1=QN、SDC1=Q)。
また、データ退避時には、信号FESEL1Nがローレベルとなる。従って、トランジスタ2207〜2211がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれに対してデータ書込電圧を印加することが可能となる。
また、データ退避時には、信号PL1_DN及びPL2_DNがパルス駆動される。その結果、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの正極端にパルス状(ハイレベル→ローレベル、または、ローレベル→ハイレベル)の信号PL1及びPL2が印加されるので、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。この状態は、出力信号Q及び反転出力信号QNに相当するデータが強誘電体キャパシタ2201〜2204に書き込まれた状態に相当する。
次に、データ復帰時(プリチャージ)の動作状態について、図51及び図52を参照しながら説明する。図51及び図52は、それぞれ、データ復帰時(プリチャージ)における不揮発ラッチ2100及びセンスアンプ2110の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ2110による入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ2201〜2204から読み出される信号SDnC1及びSDC1に相当)のセンシング動作に先立って、CMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの出力ノードに付随する寄生容量をプリチャージする際には、図52で示したように、信号LEN_DNがハイレベルとなり、クロック信号CPがローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもローレベルとなる。また、プリチャージ時には、信号SAEがローレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN215〜N217がいずれもオフして、トランジスタP213〜P216がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路2112と第2電位設定部2114が無効となり、第1電位設定部2113がCMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの出力ノードを第1電位(ここでは電源電位VDD)に設定する状態となる。
従って、CMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの出力ノード(=RNLN及びSNLN)が強制的にハイレベルに引き上げられるので、それぞれに付随する寄生容量がプリチャージされる。このとき、出力信号Q及び反転出力信号QNは、いずれもローレベルとなる。
一方、不揮発ラッチ2100全体に目を向けた場合、データ復帰時(プリチャージ)には、図51で示したように、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器2120D及び2120Uは、いずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。
また、データ復帰時(プリチャージ)には、信号FESEL1Nがローレベルとなる。従って、トランジスタ2207〜2211がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ2201〜2204にデータ読出電圧を印加することが可能となる。
また、データ復帰時(プリチャージ)には、信号PL1_DNがローレベルとなり、信号PL2_DNがハイレベルとなる。その結果、強誘電体キャパシタ2201及び2203それぞれの正極端に印加される信号PL1がハイレベルとなり、強誘電体キャパシタ2202及び2204それぞれの正極端に印加される信号PL2がローレベルとなる。このようなデータ読出電圧の印加により、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの残留分極状態に対応した信号SDnC1及びSDC1が現れる。
また、データ復帰時(プリチャージ)には、信号FED_DN1及びFEU_DN1がいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ2205及び2206がいずれもオンするので、強誘電体キャパシタ2201〜2204とセンスアンプ2110との間が電気的に導通される。その結果、センスアンプ2110の差動対回路2112には、プリチャージ動作の開始と共に、センシング対象となる入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ2201〜2204から読み出された信号SDnC1及びSDC1)が入力される状態となる。
次に、データ復帰時(センシング)の動作状態について、図53及び図54を参照しながら説明する。図53及び図54は、それぞれ、データ復帰時(センシング)における不揮発ラッチ2100及びセンスアンプ2110の動作状態を示す回路図である。
センスアンプ2110を用いて入力信号INN及びINPをセンシングする際には、図54で示したように、信号LEN_DNがハイレベルとなり、クロック信号CPがローレベルとなるので、信号W1N及びW0Nがいずれもローレベルとなる。また、センシング時には、信号SAEがハイレベルとなる。
上記制御により、トランジスタN216及びN217、並びに、トランジスタP215及びP216がいずれもオフして、トランジスタN213〜N215、並びに、トランジスタP213及びP214がいずれもオンした状態となる。すなわち、差動対回路2112が有効となり、第1電位設定部2113と第2電位設定部2114が無効となる。
従って、トランジスタN213及びN214には、それぞれ、入力信号INN及びINPに応じた電流が流れるので、CMOSインバータ2111a及び2111bそれぞれの出力ノード間に電位差が生じる。インバータループ2111は、この電位差を増幅することにより、出力信号Q及び反転出力信号QNの論理レベルを確定する。
例えば、INP<INNであるときには、トランジスタN213に流れる電流よりもトランジスタN214に流れる電流の方が大きくなるので、CMOSインバータ2111aの出力ノードよりもCMOSインバータ2111bの出力ノードの方が低電位となる。このような電位差が生じると、インバータループ2111の増幅作用により、相対的に高電位であるCMOSインバータ2111aの出力ノードがハイレベルに引き上げられて、相対的に低電位であるCMOSインバータ2111bの出力ノードがローレベルに引き下げられる。その結果、出力信号Qがハイレベルとなり、反転出力信号QNがローレベルとなる。このような動作状態は、強誘電体キャパシタ2201〜2204に退避されていたデータ「1」がインバータループ111に復帰されたことを意味する。
逆に、INP>INNであるときには、トランジスタN213に流れる電流よりもトランジスタN214に流れる電流の方が小さくなるので、CMOSインバータ2111aの出力ノードよりもCMOSインバータ2111bの出力ノードの方が高電位となる。従って、インバータループ2111の増幅作用により、相対的に低電位であるCMOSインバータ2111aの出力ノードがローレベルに引き下げられて、相対的に高電位であるCMOSインバータ2111bの出力ノードがハイレベルに引き上げられる。その結果、出力信号Qがローレベルとなり、反転出力信号QNがハイレベルとなる。このような動作状態は、強誘電体キャパシタ2201〜2204に退避されていたデータ「0」がインバータループ111に復帰されたことを意味する。
一方、不揮発ラッチ2100全体に目を向けると、データ復帰時(センシング)には、図53で示したように、信号E1がローレベルとなるので、否定論理和演算器2120D及び2120Uは、いずれも出力ハイインピーダンス状態(=それぞれの出力端が電位的にフローティングとされた状態)となる。
また、データ復帰時(センシング)には、信号FESEL1Nがローレベルとなる。従って、トランジスタ2207〜2211がいずれもオフし、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの両端間がいずれもオープン状態(非ショート状態)となるので、強誘電体キャパシタ2201〜2204にデータ読出電圧を印加することが可能となる。
また、データ復帰時(センシング)には、信号PL1_DNがローレベルとなり、信号PL2_DNがハイレベルとなる。その結果、強誘電体キャパシタ2201及び2203それぞれの正極端に印加される信号PL1がハイレベルとなり、強誘電体キャパシタ2202及び2204それぞれの正極端に印加される信号PL2がローレベルとなる。このようなデータ読出電圧の印加により、強誘電体キャパシタ2201〜2204それぞれの残留分極状態に対応した信号SDnC1及びSDC1が現れる。
また、データ復帰時(センシング)には、信号FED_DN1及びFEU_DN1がいずれもローレベルとなる。従って、アナログスイッチ2205及び2206がいずれもオンするので、強誘電体キャパシタ2201〜2204とセンスアンプ2110との間が電気的に導通される。その結果、センスアンプ2110の差動対回路2112には、プリチャージ開始時点から継続して、センシング対象となる入力信号INN及びINP(=強誘電体キャパシタ2201〜2204から読み出された信号SDnC1及びSDC1)が入力されている。このように、図53の動作状態は、先に説明した図51の動作状態と全く同一である。
<変形例>
なお、上記の不揮発ラッチ2100をスレーブとし、その前段(=論理積演算器AND211及びAND212のデータ入力端の上流側)にマスタとなるインバータループを設けることにより、不揮発フリップフロップとして利用することも可能である。
<不揮発データ保持装置>
図56は、不揮発データ保持装置の一構成例を示す回路図である。本構成例の不揮発データ保持装置1は、不揮発性記憶部10と、センスアンプ20と、制御部30を有する。
不揮発性記憶部10は、強誘電体素子11〜14(強誘電体キャパシタ)を含み、それぞれのヒステリシス特性を用いてデータを不揮発的に記憶する。各素子の接続関係について述べると、強誘電体素子11及び13それぞれの正極端は、いずれも信号PL1の印加端に接続されている。強誘電体素子12及び14それぞれの正極端は、いずれも信号PL2の印加端に接続されている。強誘電体素子11及び12それぞれの負極端は、いずれもセンスアンプ20の第1入力端(=第1入力信号SDnCの入力端)に接続されている。強誘電体素子13及び14それぞれの負極端は、いずれもセンスアンプ20の第2入力端(=第2入力信号SDCの入力端)に接続されている。
すなわち、強誘電体素子11及び12は、信号PL1の印加端と信号PL2の印加端との間に直列接続された第1強誘電体素子対に相当し、強誘電体素子13及び14は、同じく信号PL1の印加端と信号PL2の印加端との間に直列接続された第2強誘電体素子対に相当する。
不揮発性記憶部10にデータを書き込む際には、強誘電体素子11及び12それぞれの負極端にデータ信号Dが印加され、強誘電体素子13及び14それぞれの負極端に反転データ信号DN(=データ信号Dの論理反転信号)が印加される。一方、不揮発性記憶部10からデータを読み出す際には、強誘電体素子11〜14それぞれの負極端に対するデータ信号D及び反転データ信号DNの入力が遮断されて、センスアンプ20に第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCをそれぞれ出力する状態となる。なお、不揮発性記憶部10のデータ書込動作及びデータ読出動作については、後ほど詳細に説明する。
センスアンプ20は、第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの差動入力を受けて出力信号Q及び反転出力信号QNを生成する。なお、センスアンプ20は、制御部30から入力される信号SAEに応じて、その動作が許可/禁止(イネーブル/ディセーブル)される。また、本構成例では、センスアンプ20で第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの差動入力を受け付ける構成を採用しているが、例えば、強誘電体素子13及び14を割愛し、センスアンプ20の第2入力端を所定の基準電位に固定しても構わない(SDC=Vref)。
制御部30は、信号PL1及びPL2、並びに、信号SAEをそれぞれ生成することにより、不揮発性記憶部10とセンスアンプ20を制御する(詳細は後述)。
なお、不揮発性データ保持装置1を不揮発性フリップフロップ(ないしは不揮発性ラッチ)として用いる場合には、先出の図64に倣い、ループ状に接続された複数の論理ゲートを用いてデータを保持するループ構造部(LOOP)と、当該ループ構造部と不揮発性記憶部10とを電気的に分離する回路分離部(SEP)をさらに設ければよい。
<データ書込動作>
次に、不揮発性記憶部10のデータ書込動作を説明する。図57及び図58は、それぞれ「0」書込時(D=L)及び「1」書込時(D=H)における第1強誘電体素子対(強誘電体素子11及び12)の動作状態を示す模式図である。なお、各図の左側には、強誘電体素子11及び12それぞれの電圧印加状態が示されている。また、各図の右側(吹き出し枠)には、強誘電体素子11及び12それぞれのヒステリシス特性が示されている。
図57で示したように、強誘電体素子11及び12それぞれの負極端にローレベルのデータ信号Dが印加されている状態で、信号PL1及びPL2をいずれもハイレベルに設定すると、強誘電体素子11及び12それぞれの残留分極状態が非反転状態に設定される。この状態は、データ「0」が不揮発性記憶部10に書き込まれた状態に相当する。
一方、図58のように、強誘電体素子11及び12それぞれの負極端にハイレベルのデータ信号Dが印加されている状態で、信号PL1及びPL2をいずれもローレベルに設定すると、強誘電体素子11及び12それぞれの残留分極状態が反転状態に設定される。この状態は、データ「1」が不揮発性記憶部10に書き込まれた状態に相当する。
そこで、制御部30は、不揮発性記憶部10にデータを書き込む際、強誘電体素子11及び12それぞれの負極端にデータ信号Dが印加されている状態で、信号PL1及びPL2をいずれもパルス状(ハイレベル→ローレベル、または、ローレベル→ハイレベル)に駆動する。その結果、強誘電体素子11及び12それぞれの残留分極状態が反転状態/非反転状態のいずれかに設定される。
なお、第2強誘電体素子対(強誘電体素子13及び14)には、反転データ信号DNが入力されるので、強誘電体素子13及び14それぞれの残留分極状態は、強誘電体素子11及び12のそれと逆になる。
<データ読出動作>
次に、不揮発性記憶部10のデータ読出動作を説明する。図59及び図60は、それぞれ、「0」読出時(SDnC=Vlow)及び「1」読出時(SDnC=Vhigh)における第1強誘電体素子対(強誘電体素子11及び12)の動作状態を示した模式図である。なお、各図の左側には、強誘電体素子11及び12それぞれの電圧印加状態が示されている。また、各図の右側(吹き出し枠)には、強誘電体素子11及び12それぞれのヒステリシス特性と容量特性が示されている。
各図で示したように、データ信号Dの印加端が電位的にフローティングとされている状態で、信号PL1をハイレベル(電源電位VDD)に設定して、信号PL2をローレベル(接地電位GND)に設定すると、強誘電体素子11の両端間には正極性の電圧が印加され、強誘電体素子12の両端間には負極性の電圧が印加される。このとき、強誘電体素子11及び12それぞれの容量特性は、それぞれの残留分極状態に応じて変化する。
例えば、図59のように、データ「0」が不揮発性記憶部10に書き込まれている場合には、強誘電体素子11及び12それぞれの残留分極状態が非反転状態に設定されているので、正極性の電圧印加を受ける強誘電体素子11の容量値が相対的に小さくなり、負極性の電圧印加を受ける強誘電体素子12の容量値が相対的に大きくなる。従って、強誘電体素子11の両端間電圧が相対的に高くなり、強誘電体素子12の両端間電圧が相対的に低くなるので、センスアンプ20の第1入力信号SDnCが下側電圧Vlowとなる。
反対に、図60のように、データ「1」が不揮発性記憶部10に書き込まれている場合には、強誘電体素子11及び12それぞれの残留分極状態が反転状態に設定されているので、正極性の電圧印加を受ける強誘電体素子11の容量値が相対的に大きくなり、負極性の電圧印加を受ける強誘電体素子12の容量値が相対的に小さくなる。従って、強誘電体素子11の両端間電圧が相対的に低くなり、強誘電体素子12の両端間電圧が相対的に高くなるので、センスアンプ20の第1入力信号SDnCが上側電圧Vhighとなる。
なお、改めて図示はしないが、センスアンプ20の第2入力信号SDCについては、上記と逆に、データ「0」読出時に上側電圧Vhighとなり、データ「1」読出時に下側電圧Vlowとなる。
従って、第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの差動入力を受け付けるセンスアンプ20を用いて、適切なデータ読出タイミングで各信号値を比較することにより、不揮発性記憶部10から読み出されたデータの論理レベルを判定することができる。先の例に即して述べると、SDnC<SDCならばデータ「0」であり、SDnC>SDCならばデータ「1」である。
<データ読出タイミング>
次に、センスアンプ20のデータ読出タイミングについて説明する。図61は、データ読出動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、本図の上段には、第1入力信号SDnC(実線)及び第2入力信号SDC(破線)が重ねて描写されており、本図の下段には、信号PL1(実線)及びPL2(破線)が重ねて描写されている。
制御部30は、不揮発性記憶部10からデータを読み出す際、時刻t41において、センスアンプ20を停止(SAE=L)させた状態で、信号PL1をハイレベル(電源電位VDD)に設定し、信号PL2をローレベル(接地電位GND)に設定する。
このような信号制御により、第1入力信号SDnC及び第2入力信号SDCは、不揮発性記憶部10に記憶されているデータの論理レベルに応じた電圧値(上側電圧Vhighまたは下側電圧Vlow)となる。本図では、データ「0」が不揮発性記憶部10に書き込まれているという前提の下、第1入力信号SDnCが相対的に低い下側電圧Vlowとなっており、第2入力信号SDCが相対的に高い上側電圧Vhighとなっている。
ここで、従来のデータ読出動作(以下ではノーマルリードと呼ぶ)では、時刻taにおいて、信号PL1及びPL2それぞれを先述の論理レベル(相異なる電位)に維持したまま、センスアンプ20を動作(SAE=H)させることにより、第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの比較処理が行われていた。
一方、今回新規に提案するデータ読出動作(以下では、アフターリードと呼ぶ)では、時刻t42において、信号PL1及びPL2をいずれも同一の電位(例えば電源電位VDD)に設定した後、時刻tbにおいて、センスアンプ20を動作(SAE=H)させることにより、第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの比較処理が行われる。
なお、本図では、センスアンプ20の差動入力段を形成する入力トランジスタがNMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]であるという前提の下、時刻t42において、信号PL1及びPL2をいずれも電源電位VDDに設定しているが、入力トランジスタがPMOSFET[P-channel type MOSFET]であれば、信号PL1及びPL2をいずれも接地電位GNDに設定することも可能である。
また、時刻t42において、信号PL1及びPL2をいずれもセンスアンプ20の動作点電位(例えばVDD/2)に設定することができれば、センスアンプ20のダイナミックレンジを最大限に活かすことが可能となる。
以下では、データ読出動作をノーマルリードからアフターリードに変更することの技術的意義について説明する。
図62は、強誘電体素子対の面積比率とオフセット変動の相関図である。本図の横軸には、強誘電体素子対の面積比率A1/A2が対数表示されている。なお、A1はPL1側の強誘電体素子(11、13)の実効面積を示しており、A2はPL2側の強誘電体素子(12、14)の実効面積を示している。従って、面積比率A1/A2が小さいほどPL2側の強誘電体素子(12、14)が相対的に大きいことを意味し、面積比率A1/A2が大きいほどPL1側の強誘電体素子(11、13)が相対的に大きいことを意味する。
一方、本図の縦軸には、第1入力信号SDnCまたは第2入力信号SDCの上側電圧Vhigh、下側電圧Vlow、及び、オフセット電圧Vofs(=(Vhigh+Vlow)/2)について、それぞれのシミュレーション値(VDD=1.5V、室温条件下)が表示されている。なお、図中の小破線、大破線、及び、実線は、それぞれ、ノーマルリード時の上側電圧Vhigh、下側電圧Vlow、及び、オフセット電圧Vofsを示しており、図中の一点鎖線、二点鎖線、及び、三点鎖線は、それぞれ、アフターリード時の上側電圧Vhigh、下側電圧Vlow、及び、オフセット電圧Vofsを示している。
本図で示したように、ノーマルリード時には、強誘電体素子11〜14の実効面積ばらつき(=面積比率A1/A2の変動)に対する第1入力信号SDnCまたは第2入力信号SDCのオフセット変動(=オフセット電圧Vofsの傾き)が大きいので、データ読出時の動作マージンを十分に確保することができない場合があった。
例えば、強誘電体素子11及び12の面積比率が1よりも小さく、強誘電体素子13及び14の面積比率が1よりも大きい場合には、第1入力信号SDnCが低電位側にオフセットし、第2入力信号SDCが高電位側にオフセットする。従って、データ「1」の読出時(SDnC=Vhigh、SDC=Vlow)には、動作マージン(Vmargin=Vhigh−Vlow)が小さくなり、最悪の場合にはスタック状態(=不揮発性記憶部10に書き込まれているデータの論理レベルに依ることなく、読み出されたデータの論理レベルが固定してしまう状態)に陥るおそれがあった。
また、上記と逆に、強誘電体素子11及び12の面積比率が1よりも大きく、強誘電体素子13及び14の面積比率が1よりも小さい場合には、第1入力信号SDnCが高電位側にオフセットし、第2入力信号SDCが低電位側にオフセットするので、データ「0」の読出時(SDnC=Vlow、SDC=Vhigh)の動作マージンが小さくなる。
また、第1強誘電体素子対(11、12)の面積比率と第2強誘電体素子対(13、14)の面積比率が共に1よりも小さい場合(或いは1よりも大きい場合)であっても、それぞれの面積比率に差がある限り、オフセット変動の大きいノーマルリード時には、動作マージンの確保に支障を来たすおそれがあった。
図63は、ノーマルリード時のデータ読出特性を示す度数分布図(サンプル数n=4096)である。なお、丸マークは下側電圧Vlowの分布を示しており、四角マークは上側電圧Vhighの分布を示している。本図の破線領域で示すように、下側電圧Vlowが高電位側に大きくオフセットし、上側電圧Vhighが低電位側に大きくオフセットした場合には、データ読出時の動作マージンが著しく小さくなる。
一方、今回新規に提案するアフターリードであれば、信号PL1と信号PL2を同電位とした状態で、第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの比較処理が行われる。従って、強誘電体素子11〜14の実効面積ばらつきに対する第1入力信号SDnCまたは第2入力信号SDCのオフセット変動を小さく抑えることができるので、データ読出時の動作マージンを改善することが可能となり、延いては、製品の歩留まりや信頼性を向上することができる。これを鑑みると、データ読出時にアフターリードを行うことは、不揮発データ保持装置1の量産化を進める上で、極めて重要かつ有用な技術であると言える。
なお、上記実施形態では、センスアンプ20で第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの差動入力を受け付ける構成を例に挙げたが、第1入力信号SDnCと第2入力信号SDCの一方を所定の基準電位Vrefに固定した場合であっても、アフターリードによる動作マージンの改善効果を享受できることは言うまでもない。
<総括>
以下では、本明細書中に開示されている種々の実施形態について、総括的に述べる。
本明細書中に開示されているデータ保持装置は、ループ状に接続された2つのインバータを含むインバータループと、各インバータの接地ノードまたは電源ノードに接続された差動対回路と、各インバータの出力ノードを第1電位に設定する第1電位設定部と、各インバータの接地ノードまたは電源ノードを第2電位に設定する第2電位設定部と、を有する構成(第1の構成)とされている。
なお、第1の構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路は、各インバータの接地ノードに接続されており、前記第1電位は、電源電位またはこれに準ずる高電位であり、前記第2電位は、接地電位またはこれに準ずる低電位である構成(第2の構成)にするとよい。
また、第1の構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路は、各インバータの電源ノードに接続されており、前記第1電位は、接地電位またはこれに準ずる低電位であり、前記第2電位は、電源電位またはこれに準ずる高電位である構成(第3の構成)にしてもよい。
また、第1〜第3いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記インバータループを用いてデータを保持する際には、前記差動対回路と前記第1電位設定部がいずれも無効となり、前記第2電位設定部が各インバータの接地ノードまたは電源ノードを前記第2電位に設定した状態となる構成(第4の構成)にするとよい。
また、第1〜第4いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記インバータループにデータを書き込む際には、前記差動対回路が無効となり、前記第1電位設定部が一方のインバータの出力ノードを前記第1電位に設定する状態となり、前記第2電位設定部が他方のインバータの接地ノードまたは電源ノードを前記第2電位に設定する状態となる構成(第5の構成)にするとよい。
また、第1〜第5いずれかの構成から成るデータ保持装置において、各インバータの出力ノードに付随する寄生容量をプリチャージする際には、前記差動対回路と前記第2電位設定部がいずれも無効となり、前記第1電位設定部が各インバータの出力ノードを前記第1電位に設定する状態となる構成(第6の構成)にするとよい。
また、第1〜第6いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路への入力信号をセンシングする際には、前記差動対回路が有効となり、前記第1電位設定部と前記第2電位設定部がいずれも無効となる構成(第7の構成)にするとよい。
また、第1〜第7いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路を形成する一対のトランジスタのうち、少なくとも一方のゲートには、不揮発性記憶デバイスが接続されている構成(第8の構成)にするとよい。
また、第8の構成から成るデータ保持装置において、前記不揮発性記憶デバイスは、強誘電体キャパシタを含む構成(第9の構成)にするとよい。
また、第9の構成から成るデータ保持装置において、前記一対のトランジスタは、前記強誘電体キャパシタから見て互いに対称性を持つようにレイアウトされている構成(第10の構成)にするとよい。
また、第9または第10の構成から成るデータ保持装置において、前記一対のトランジスタは、それぞれのアクティブ領域と前記強誘電体キャパシタの形成領域とのオーバーラップ領域が同一の面積となるように配置されている構成(第11の構成)にするとよい。
また、本明細書に開示されているデータ保持装置は、ループ状に接続された2つのインバータを含むインバータループと、各インバータの接地ノードまたは電源ノードに接続された差動対回路と、各インバータの出力ノードを第1電位に設定する第1電位設定部と、前記差動対回路のゲート制御を行うことにより各インバータの接地ノードまたは電源ノードを第2電位に設定する差動対制御部を有する構成(第12の構成)とされている。
なお、上記第12の構成から成るデータ保持装置において、前記差動対制御部は、前記差動対回路のゲートをオン電位に設定する第1トランジスタと、前記差動対回路のゲートに繋がる入力信号経路を導通/遮断する第2トランジスタを含む構成(第13の構成)にするとよい。
また、上記第13の構成から成るデータ保持装置において、前記差動対制御部は、前記差動対回路のゲートをオフ電位に設定する第3トランジスタをさらに含む構成(第14の構成)にするとよい。
また、上記第12〜第14いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路は、各インバータの接地ノードに接続されており、前記第1電位は、電源電位またはこれに準ずる高電位であり、前記第2電位は、接地電位またはこれに準ずる低電位である構成(第15の構成)にするとよい。
また、上記第12〜第14いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路は、各インバータの電源ノードに接続されており、前記第1電位は、接地電位またはこれに準ずる低電位であり、前記第2電位は、電源電位またはこれに準ずる高電位である構成(第16の構成)にしてもよい。
また、上記第12〜第16いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記インバータループを用いてデータを保持する際には、前記第1電位設定部が無効となり、前記差動対回路が前記差動対制御部によるゲート制御に基づいて各インバータの接地ノード又は電源ノードを前記第2電位に設定する状態となる構成(第17の構成)にするとよい。
また、上記第12〜第17いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記インバータループにデータを書き込む際には、前記第1電位設定部が一方のインバータの出力ノードを前記第1電位に設定する状態となり、前記差動対回路が前記差動対制御部によるゲート制御に基づいて他方のインバータの接地ノードまたは電源ノードを前記第2電位に設定する状態となる構成(第18の構成)にするとよい。
また、上記第12〜第18いずれかの構成から成るデータ保持装置において、各インバータの出力ノードに付随する寄生容量をプリチャージする際には、前記差動対回路と前記差動対制御部がいずれも無効となり、前記第1電位設定部が各インバータの出力ノードを前記第1電位に設定する状態となる構成(第19の構成)にするとよい。
また、上記第12〜第19いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路への入力信号をセンシングする際には、前記差動対回路が有効となり、前記第1電位設定部と前記差動対制御部がいずれも無効となる構成(第20の構成)にするとよい。
また、上記第12〜第20いずれかの構成から成るデータ保持装置において、前記差動対回路を形成する一対のトランジスタのうち、少なくとも一方のゲートには、不揮発性記憶デバイスが接続されている構成(第21の構成)にするとよい。
また、上記第21の構成から成るデータ保持装置において、前記不揮発性記憶デバイスは、強誘電体キャパシタを含む構成(第22の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されている不揮発データ保持装置は、ループ状に接続された複数の論理ゲートを用いてデータを保持するループ構造部と、強誘電体素子のヒステリシス特性を用いて前記ループ構造部に保持されたデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶部と、前記ループ構造部と前記不揮発性記憶部とを電気的に分離する回路分離部と、前記強誘電体素子を接地する回路接地部と、を有する構成(第23の構成)とされている。
なお、上記第23の構成から成る不揮発データ保持装置において、前記回路接地部は、前記強誘電体素子の両端間をショートしつつ、前記強誘電体素子の両端または一端を接地する構成(第24の構成)にするとよい。
また、上記第23または第24の構成から成る不揮発データ保持装置は、前記強誘電体素子からデータを読み出す際、非反転状態の強誘電体素子と、反転状態の強誘電体素子との容量結合を用いる構成(第25の構成)にするとよい。
また、上記第23または第24の構成から成る不揮発データ保持装置は、前記強誘電体素子からデータを読み出す際、前記強誘電体素子と、その他の容量素子との容量結合を用いる構成(第26の構成)としてもよい。
上記第23〜第26いずれかの構成から成る不揮発データ保持装置において、前記不揮発性記憶部、前記回路分離部、及び、前記回路接地部は、それぞれ、単一の前記ループ構造部を共有する複数の記憶領域毎に設けられている構成(第27の構成)にするとよい。
また、上記第23〜第27いずれかの構成から成る不揮発データ保持装置において、前記不揮発性記憶部は、正極端が第1信号の印加端に接続されて負極端が前記回路分離部の第1端に接続された第1強誘電体素子と、正極端が第2信号の印加端に接続されて負極端が前記回路分離部の第1端に接続された第2強誘電体素子と、正極端が前記第1信号の印加端に接続されて負極端が前記回路分離部の第2端に接続された第3強誘電体素子と、正極端が前記第2信号の印加端に接続されて負極端が前記回路分離部の第2端に接続された第4強誘電体素子と、を含む構成(第28の構成)にするとよい。
また、上記第28の構成から成る不揮発データ保持装置において、前記回路接地部は、前記第1強誘電体素子の正極端と負極端との間に接続された第1トランジスタと、前記第4強誘電体素子の正極端と負極端との間に接続された第2トランジスタと、前記第1及び第2強誘電体素子それぞれの負極端と前記第3及び第4強誘電体素子それぞれの負極端との間に接続された第3トランジスタと、前記第1及び第3強誘電体素子それぞれの正極端に接続された第1論理ゲートと、前記第2及び第4強誘電体素子それぞれの正極端に接続された第2論理ゲートと、を含む構成(第29の構成)にするとよい。
また、上記第29の構成から成る不揮発データ保持装置において、前記回路接地部は、前記第1及び第2強誘電体素子それぞれの負極端と接地端との間に接続された第4トランジスタと、前記第3及び第4強誘電体素子それぞれの負極端と接地端との間に接続された第5トランジスタと、をさらに含む構成(第30の構成)にするとよい。
また、上記第30の構成から成る不揮発データ保持装置において、前記回路接地部は、前記ループ構造部と前記不揮発性記憶部とが電気的に分離されるときに前記第1及び第2論理ゲートそれぞれの出力をローレベルとした上で前記第1〜第5トランジスタを全てオンする構成(第31の構成)にするとよい。
また、上記第23〜第31いずれかの構成から成る不揮発データ保持装置は、前記ループ構造部として、前記不揮発性記憶部からデータを読み出すセンスアンプのインバータループを流用する構成(第32の構成)にするとよい。
また、上記第32の構成から成る不揮発データ保持装置にて、前記センスアンプは、ループ状に接続された2つのインバータを含むインバータループと、各インバータの接地ノードまたは電源ノードに接続された差動対回路と、各インバータの出力ノードを第1電位に設定する第1電位設定部と、各インバータの接地ノードまたは電源ノードを第2電位に設定する第2電位設定部と、を含む構成(第33の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されている不揮発データ保持装置は、データを不揮発的に記憶する不揮発性記憶部と、前記不揮発性記憶部からデータを読み出すセンスアンプと、前記不揮発性記憶部及び前記センスアンプを制御する制御部を有し、前記不揮発性記憶部は、第1信号の印加端と前記センスアンプの第1入力端との間に接続された第1強誘電体素子と、第2信号の印加端と前記センスアンプの第1入力端との間に接続された第2強誘電体素子と、を含み、前記制御部は、前記不揮発性記憶部からデータを読み出す際、前記センスアンプを停止させた状態で前記第1信号及び前記第2信号をそれぞれ相異なる第1電位及び第2電位に設定し、その後、前記第1信号及び前記第2信号をいずれも同一の第3電位に設定した状態で前記センスアンプを動作させる構成(第34の構成)とされている。
なお、上記第34の構成から成る不揮発性データ保持装置において、前記第3電位は、電源電位、接地電位、若しくは、前記センスアンプの動作点電位である構成(第35の構成)にするとよい。
また、上記第34または第35の構成から成る不揮発性データ保持装置において、前記制御部は、前記不揮発性記憶部にデータを書き込む際、前記第1強誘電体素子及び前記第2強誘電体素子それぞれの負極端にデータ信号が印加されている状態で前記第1信号及び前記第2信号をいずれもパルス駆動する構成(第36の構成)にするとよい。
また、上記第34〜第36いずれかの構成から成る不揮発性データ保持装置において、前記不揮発性記憶部は、前記第1信号の印加端と前記センスアンプの第2入力端との間に接続された第3強誘電体素子と、前記第2信号の印加端と前記センスアンプの第2入力端との間に接続された第4強誘電体素子をさらに含む構成(第37の構成)にするとよい。
また、第37の構成から成る不揮発性データ保持装置において、前記不揮発性記憶部にデータを書き込む際、前記第3強誘電体素子及び前記第4強誘電体素子それぞれの負極端には、前記データ信号を論理反転した反転データ信号が印加される構成(第38の構成)にするとよい。
また、上記第34〜第36いずれかの構成から成る不揮発性データ保持装置において、前記センスアンプの第2入力端は、所定の基準電位に固定されている構成(第39の構成)にしてもよい。
また、上記第34〜第39いずれかの構成から成る不揮発性データ保持装置は、ループ状に接続された複数の論理ゲートを用いてデータを保持するループ構造部と、前記ループ構造部と前記不揮発性記憶部とを電気的に分離する回路分離部とをさらに有する構成(第40の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されているデータ読出方法は、第1信号の印加端と第2信号の印加端との間に直列接続された強誘電体素子対からデータを読み出す方法であって、前記強誘電体素子対に接続されたセンスアンプを停止させた状態で前記第1信号及び前記第2信号をそれぞれ相異なる第1電位及び第2電位に設定するステップと、前記第1信号及び前記第2信号をいずれも同一の第3電位に設定した状態で前記センスアンプを動作させるステップと、を有する構成(第41の構成)とされている。
上記第41の構成から成るデータ読出方法において、前記第3電位は、電源電位、接地電位、又は、前記センスアンプの動作点電位である構成(第42の構成)にするとよい。
<その他の変形例>
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。