JP5509669B2 - 銅または銅合金の組織観察用エッチング液、エッチング方法および組織観察方法 - Google Patents
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また、従来から、鋳造材料の凝固状態や組織の流れ等を観察(マクロ組織観察)する場合、マクロ腐蝕エッチング液を用いて被観察面をエッチング(マクロ腐蝕)する作業が多く行われている。
また、材料の凝固状態や組織の流れ等を観察するマクロ組織観察において用いられるマクロ腐蝕エッチング液としては、M2b(硝酸(1.40)1ml、蒸留水100ml),M3(硝酸(1.40)10〜60ml、蒸留水90ml),M4(硝酸(1.40)50ml、蒸留水50ml)に示されるような希硝酸が多用されている。
また、本発明は、酸化感受性が高く、酸化物生成が発生しやすい銅合金や耐蝕性の高い銅合金、或は高純度銅などの組織を、特別な技能や高額な専用設備を用いることなく、効率よく明確・容易に観察できる良好な被観察面が得られる組織観察方法を提供することを目的とする。
本発明の銅又は銅合金の組織観察用エッチング液は、エッチング剤として硝酸を含み、エッチング作用を調整する緩衝材として硫酸銅塩と硫酸と水酸化ナトリウムとを含むものであり、エッチングされる被観察面の酸化を抑制あるいは促進する水酸化皮膜の生成促進を図るために、中和剤として水酸化物である水酸化ナトリウムを含有させるとともに、水酸基のラジカル性を期待して過酸化水素を含有させているので、汎用性が高いものとなり、酸化感受性が高く、酸化物生成が発生しやすい銅合金や耐蝕性の高い銅合金、或は高純度銅などの組織を観察する際に行うミクロ腐蝕エッチング液および/またはマクロ腐蝕エッチング液として用いることができ、特別な技能や高額な専用設備を用いることなく、組織状態や結晶粒界を明確・容易に観察できる被観察面が得られるものとなる。
また、本発明の銅又は銅合金の組織観察用エッチング液は、成分の安全性が高く、取り扱い・処理が簡単で、特別な廃液処理を必要としないものとなる。
このため、本発明の組織観察用エッチング液は、汎用性が高く、酸化感受性が高く、酸化物生成が発生しやすい銅合金や耐蝕性の高い銅合金、或は高純度銅などの組織を観察する際に行うミクロ腐蝕エッチング液および/またはマクロ腐蝕エッチング液として用いることができ、これを用いて銅または銅合金をエッチングした場合、特別な技能や高額な専用設備を用いることなく、銅または銅合金の組織状態や結晶粒界を明確・容易に観察できる被観察面が得られる。
また、本発明の組織観察方法においては、組織観察される試料である銅又は銅合金からなる被観察面が複数ある場合であっても、複数の試料に対して一括してエッチング工程を行うことができるので、個々の試料を個別にエッチングする場合と比較して、容易に効率よくエッチング工程を行うことができ、複数個の試料の組織観察を効率よく行うことができる。
本発明の銅または銅合金の組織観察用エッチング液は、建浴組成として、硝酸、硫酸、硫酸銅塩、水酸化ナトリウム及び過酸化水素を含有するものである。
本発明の組織観察用エッチング液は、広い汎用性を有しているため、本発明の組織観察用エッチング液を用いてエッチングする銅または銅合金としては、特に限定されないが、例えば、6N高純度純銅、Cu−Si−Zn黄銅、コルソン系銅合金など既存液・既存手法では好適なエッチングが困難なものや、一般無酸素銅、タフピッチ銅、燐脱酸銅など一般的な銅または銅合金などが挙げられる。コルソン系銅合金としては、例えば、Cu、Ni、Si、Mgを含む銅合金やCu、Ni、Si、Zn、Snを含む銅合金などが挙げられる。
次に、本発明の組織観察用エッチング液を用いて、銅または銅合金からなる被観察面をエッチング(ミクロ腐蝕またはマクロ腐蝕)した後、被観察面の組織観察を行う組織観察方法について説明する。
マクロ組織観察またはミクロ組織観察を行うために、本発明の組織観察用エッチング液を用いて、銅または銅合金からなる被観察面をエッチング(ミクロ腐蝕またはマクロ腐蝕)する方法としては、特に限定されないが、例えば、組織観察用エッチング液に銅又は銅合金からなる被観察面を浸してエッチングする方法(以下、「第1の方法」という。)や、組織観察用エッチング液に銅又は銅合金からなる被観察面を浸し、組織観察用エッチング液に超音波を伝導させながら被観察面をエッチングする方法(以下、「第2の方法」という。)や、第1の方法と第2の方法の両者を組み合わせた方法などが挙げられ、エッチングされる銅または銅合金の特性や、組織観察の目的などに応じて適宜決定できる。
しかし、酸化感受性が高く、酸化物生成が発生しやすいMn,Mg,Znなどを含有する銅合金からなる被観察面をマクロ腐蝕する場合には、より良好な被観察面を得るために、第1の方法を行った後に、第2の方法を行うことが好ましい。
より詳細には、本実施形態の組織観察用エッチング液は、水酸化ナトリウムおよび過酸化水素を含有するので、これを用いて被観察面をエッチング(ミクロ腐蝕またはマクロ腐蝕)した場合、被観察面が酸化腐蝕されるのに先立って、中和緩衝剤である水酸化ナトリウムから遊離残留した水酸イオンと過酸化水素との作用に促進されて、被観察面の表面に酸化を抑制あるいは促進する水酸化皮膜が生成され、被観察面の蝕性に起因する被観察面の腐蝕速度が適切に調整される。
また、エッチング液で湿らせた脱脂綿などを用いて被観察面を擦る従来のエッチング方法では、擦る速度や圧力、被観察面のエッチング量などが、作業者の技量などによって変動するので、再現性が乏しく、特にエッチングしにくい材料をエッチングする場合には職人的技能に頼らず得ないという問題もあった。
Cu−Ni−Si−Zn−Snからなる試験体を、被観察面を上に向けてビーカーに入れ、表1に示すエッチング液1に浸し、エッチング液に超音波を伝導させながら試験体を120秒間エッチングした。その後、純水洗浄とドライヤーによる乾燥とを行い、倒立型金属顕微鏡(日本光学製エピショット)用いて被観察面のミクロ組織観察を行った。その結果を図1に示す。
表1に示すエッチング液2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、Cu−Ni−Si−Mgからなる試験体を、エッチングした。その後、実施例1と同様にして被観察面のミクロ組織観察を行った。その結果を図2に示す。
図2は、エッチング後の被観察面の顕微鏡写真である。図2に示すように、エッチング液2を用いた場合、被観察面にエッチングに起因する傷線の出現はなく、結晶粒界を明瞭に出現させることができた。
OFC(普通無酸素銅)組成加工品からなる試験体を、表1に示すエッチング液1に浸し、被観察面を30分間エッチングした。その後、純水洗浄とドライヤーによる乾燥とを行い、被観察面のマクロ組織観察を行った。その結果を図3に示す。図3は、エッチング後の被観察面の写真である。
その後、マクロ組織観察を行った被観察面を、実施例1と同様にしてミクロ組織観察した。その結果を図4に示す。図4は、エッチング後の被観察面の顕微鏡写真である。
図3に示すように、塑性加工による材料の流動状態や熱影響が詳細に観察できる精密なマクロ組織観察が可能であるとともに、図4に示すように、ミクロ組織観察も可能である。
実施例1と同様の試験体を、m11相当液である表1に示すエッチング液3を用い、エッチング液で湿らせた脱脂綿を用いて被観察面を擦る方法でエッチングした。その後、実施例1と同様にして被観察面のミクロ組織観察を行った。その結果を図5に示す。
図5は、エッチング後の被観察面の顕微鏡写真である。図5に示すように、エッチング液3を用いた場合、結晶粒界は不明瞭であった。
実施例2と同様の試験体を、m11相当液である表1に示すエッチング液3を用い、エッチング液で湿らせた脱脂綿を用いて被観察面を擦る方法でエッチングした。その後、実施例1と同様にして被観察面のミクロ組織観察を行った。その結果を図6に示す。
図6は、エッチング後の被観察面の顕微鏡写真である。図6に示すように、エッチング液3を用いた場合、被観察面にエッチングに起因する傷線が発生しており、結晶粒界は不明瞭であった。
Claims (5)
- 建浴組成として、硝酸、硫酸、硫酸銅塩、水酸化ナトリウム及び過酸化水素を含有することを特徴とする銅または銅合金の組織観察用エッチング液。
- 前記硫酸銅塩が、硫酸銅五水和物塩であることを特徴とする請求項1に記載の銅または銅合金の組織観察用エッチング液。
- 前記建浴組成が、1リットル中に、
硝酸0.43〜0.57mol/l、
硫酸0.51〜0.68mol/l、
硫酸銅五水和物塩0.005〜0.05mol/l、
水酸化ナトリウム0.03〜0.035mol/l、
過酸化水素1〜2mol/lを含有し、
残りが水からなるものであることを特徴とする請求項2に記載の銅または銅合金の組織観察用エッチング液。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の組織観察用エッチング液を用いて、銅または銅合金をエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の組織観察用エッチング液に銅または銅合金からなる被観察面を浸し、前記組織観察用エッチング液に超音波を伝導させながら前記被観察面をエッチングするエッチング工程と、エッチング後の前記被観察面の組織観察を行う観察工程とを備えることを特徴とする組織観察方法。
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