搬送源は、アノード流体供給通路またはカソード流体供給通路に設けられており、流体を浄化部を介して搬送させるものであり、ポンプ、ファン、コンプレッサ、ブロアが例示される。浄化部としては、燃料電池のカソードに供給されるカソード流体に含まれる塵埃を低減させてカソード流体を浄化させるフィルタが例示される。更に、浄化部としては、燃料電池のアノードに供給されるアノード流体の燃料原料に含まれる硫黄成分を脱硫させて燃料原料を浄化させる脱硫器、システムにおける水を精製させて浄化させる水精製器のうちの少なくとも一つが例示される。上記したフィルタ、脱硫器および水精製器は、定期的または不定期的にメンテナンスされるメンテナンス部品であることが多い。上記したフィルタ、脱硫器および水精製器は、メンテナンスされないと、浄化能力を低下させる。しかしユーザによってメンテナンスコストが無視できないことがある。
本発明の好ましい形態によれば、残寿命延長処理される浄化部以外に定期的または不定期的にメンテナンスされるメンテナンス部品が設けられている。この場合、制御部は、残寿命延長処理されるメンテナンス部品の次回のメンテナンス時期を記憶する記憶部をもつ。この場合、制御部は、残寿命延長処理において、メンテナンス部品の次回のメンテナンス時期に浄化部の次回のメンテナンス時期を合わせるように、浄化部を通過する流体の単位時間当たりの流量を低下させて、浄化部の残寿命の延長を図る残寿命延長処理を実行して前記浄化部のメンテナンス時期を遅延させる。
本発明の好ましい形態によれば、制御部は、残寿命延長処理される浄化部以外のメンテナンス部品の次回のメンテナンス時期を記憶する記憶部をもつ。この場合、制御部は、残寿命延長処理において、浄化部以外のメンテナンス部品の次回のメンテナンス時期に浄化部の次回のメンテナンス時期を合わせるように、浄化部の劣化が進行すると、浄化部を通過する流体を燃料電池に搬送させる単位時間当たりの流量を低下させて、浄化部の残寿命の延長を図る残寿命延長処理を実行して浄化部のメンテナンス時期を遅延させる。
好ましい形態によれば、浄化部としては、燃料電池のカソードに供給されるカソード流体を浄化させるフィルタとすることができる。浄化部以外のメンテナンス部品としては、脱硫器および/または水精製器が挙げられる。この場合、本発明の好ましい形態によれば、制御部は、残寿命延長処理されるフィルタ以外のメンテナンス部品(脱硫器および/または水精製器)の次回のメンテナンス時期を記憶する記憶部をもつ。この場合、制御部は、残寿命延長処理において、フィルタ以外のメンテナンス部品(脱硫器および/または水精製器)の次回のメンテナンス時期にフィルタの次回のメンテナンス時期を合わせるように、フィルタの劣化が進行すると、フィルタを通過する流体を燃料電池に搬送させる単位時間当たりの流量を低下させて、フィルタの残寿命の延長を図り、残寿命の終期を遅延させる残寿命延長処理を実行し、フィルタのメンテナンス時期を遅延させることができる。
また好ましい形態によれば、浄化部としては、アノード流体の燃料原料を浄化させる脱硫器とすることができる。この場合、脱硫器以外のメンテナンス部品としては、フィルタおよび/または水精製器が挙げられる。この場合、本発明の好ましい形態によれば、制御部は、残寿命延長処理される脱硫器以外のメンテナンス部品(フィルタおよび/または水精製器)の次回のメンテナンス時期を記憶する記憶部をもつ。この場合、制御部は、残寿命延長処理において、脱硫器以外のメンテナンス部品(フィルタおよび/または水精製器)の次回のメンテナンス時期にフィルタの次回のメンテナンス時期を合わせるように、脱硫器の劣化が進行すると、脱硫器を通過する燃料原料を搬送させる単位時間当たりの流量を低下させて、脱硫器の残寿命の延長を図る残寿命延長処理を実行して脱硫器のメンテナンス時期を遅延させることができる。
また好ましい形態によれば、浄化部としては、システムにおける水を浄化させる水精製器とすることができる。この場合、水精製器以外のメンテナンス部品としては、フィルタおよび/または脱硫器が挙げられる。この場合、本発明の好ましい形態によれば、制御部は、残寿命延長処理される水精製器以外のメンテナンス部品(フィルタおよび/または脱硫器)の次回のメンテナンス時期を記憶する記憶部をもつ。この場合、制御部は、残寿命延長処理において、水精製器以外のメンテナンス部品(フィルタおよび/または脱硫器)の次回のメンテナンス時期に水精製器の次回のメンテナンス時期を合わせるように、水精製器の劣化が進行すると、水精製器を通過する水を搬送させる単位時間当たりの流量を低下させて、水精製器の残寿命の延長を図る残寿命延長処理を実行して水精製器のメンテナンス時期を遅延させることができる。
好ましい形態によれば、脱硫器の残寿命については、脱硫器を通過する燃料累積量(累積モル量)、累積発電量、累積運転時間、起動・停止の累積回数、水素利用率などのアノード活物質利用率等といった要因の少なくとも一つに基づいて求めることができる。好ましい形態によれば、残寿命延長処理の内容を規定する閾値を設定する設定器が設けられている。システムの設置場所などに応じて設定器から閾値が設定され、残寿命延長処理の内容が調整される。本発明の好ましい形態によれば、アノード流体は燃料電池のアノードに供給されるアノードガスであり、カソード流体は燃料電池のカソードに供給されるカソードガスである。
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念を示す。燃料電池システム(以下システムともいう)は、燃料電池で形成されたスタック1と、燃料をスタック1のアノード10に供給するアノードガス供給系2と、カソードガスをスタック1のカソード11に供給するカソードガス供給系5と、スタック1を冷却させる冷却系6と、制御部7とを有する。アノードガス供給系2は、燃料原料源21とスタック1のアノード10とを繋ぐアノードガス供給通路20と、アノードガス供給通路20に設けられた脱硫器31と、アノードガス供給通路20に設けられた燃料バルブ22および燃料ポンプ23(燃料原料搬送源)と、アノードガス供給通路20に設けられ燃料原料を水蒸気で改質させてガス状の燃料を形成する改質器24と、アノードガス供給通路20に設けられアノードガスの水分を低下させる凝縮器27と、アノードガス供給通路20を開閉させる入口バルブ28と、スタック1のアノード10から排出されたアノードオフガスを吐出させるアノードオフガス吐出通路29と、アノードオフガス吐出通路29に設けられた出口バルブ30とを有する。
図1に示すように、脱硫器31は、アノードガス供給通路20において改質部25の上流に設けられており、燃料原料に含まれる硫黄成分を低減させて燃料原料を浄化させる脱硫剤を有しており、定期的または不定的にメンテナンスされるメンテナンス部品である。
スタック1は多数の膜電極接合体(MEA)を有する。MEAは、アノード10及びカソード11に挟持された固体高分子型のイオン伝導膜12(例えば炭化フッ素系、炭化水素系の膜、無機系の膜、または、有機および無機の混合系の膜)を有する。燃料電池は酸化還元反応により電気エネルギを発生させるものである。MEAは、シート型でも良いし、チューブ型でも良い。スタック1は、ブレーカなどの遮断器47およびインバータ48を介して商用電源49と接続されて系統連係されている。スタック1の電力で不足するときには、制御部7は、商用電源49の電力を加えて電力負荷(例えば、システムの内部に設けられている内部負荷、システムの外部に設けられている外部負荷)を作動させる。
更に図1に示すように、アノードガス供給系2(アノード流体供給系)は、アノードガス供給通路20とバーナ26とを連通させる分岐路40と、空気通路41と、空気通路41に設けられたポンプ42(燃焼用空気搬送源)とを有する。燃料原料源21の燃料原料は分岐路40から燃焼用燃料としてバーナ26に供給される。ポンプ42が作動すると、燃焼用空気がバーナ26に供給される。ひいては燃焼用燃料がバーナ26において燃焼用空気により燃焼され、改質部25を加熱させる。なお、改質部25で改質される燃料原料はガス状でも良いし、液状でも良く、具体的には、都市ガス(天然ガスなど)、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が例示される。バーナ26で燃焼された後の排気ガスは、排ガス通路90および凝縮水器91を介して外気に放出される。
図1に示すように、カソードガス供給系5(カソード流体供給系)は、加湿路50aおよび吸湿路50bを区画する水分保持部材50cをもつ加湿器50と、加湿器50の加湿路50aを介してカソードガス(空気)をスタック1のカソード11に供給するためのカソードガス供給通路52(カソード流体供給通路)と、カソードガス供給通路52に設けられたカソードガスポンプ53(カソード流体搬送源,搬送源)と、カソードガス供給通路52に設けられ塵埃除去用のフィルタ51(浄化部)と、カソードガス供給通路52を開閉させる入口バルブ54と、スタック1のカソード11から吐出されたカソードオフガスを加湿器50の吸湿路50bおよび凝縮器52xを介して吐出させるカソードオフガス吐出通路55と、カソードオフガス吐出通路55に連通し加湿器50の吸湿路50bを迂回させる復路用の迂回路56と、スタック1のカソード11から吐出されたカソードオフガスを迂回路56に流す復路用の迂回バルブ57とを有する。加湿器50の水分保持部材50cは、水分保持性およびガスバリヤ性を有しており、例えばイオン交換膜等で形成されている。図1から理解できるように、迂回バルブ57は、加湿器50の吸湿路50bに流れる流量と迂回路56に流れる流量との比を可変にできる。更に、カソードガス供給通路52に連通し加湿器50の加湿路50aを迂回させる往路用の迂回路58と、スタック1のカソード11に供給される直前のカソードガスを迂回路58に流す往路用の迂回バルブ59とを有する。迂回バルブ59は、加湿器50の加湿路50aに流れる流量と迂回路58に流れる流量との比を可変にできる。なお、場合によっては、往路用の迂回路58と往路用の迂回バルブ59とを廃止することもできる。フィルタ51は、カソードガスに含まれる塵埃等を低減させるものであり、定期的または不定期的にメンテナンスされるメンテナンス部品である。
図1に示すように、改質器24は、燃料原料を気相状または液相状の水で改質させる改質部25と、改質反応に適するように改質部25を加熱させるバーナ26(加熱部)とを有する。改質部25に改質用の気相状または液相状の水を供給する改質水系34が設けられている。改質水系34は、システムの凝縮器で凝縮された凝縮水を受けて改質用の水として貯留するタンク35と、タンク35と改質部25とを繋ぐ改質水通路36と、改質水通路36においてタンク35の下流に設けられた水精製器33と、改質水通路36に設けられた水ポンプ37(水搬送源)および水バルブ38と、液相状の水を気相化させて水蒸気とする蒸発部39とを有する。水精製器33は、凝縮水等の水に含まれる不純物を低減させて水を浄化させて精製させるイオン交換樹脂等の水精製材を有しており、定期的または不定期的にメンテナンスされるメンテナンス部品である。蒸発部39は改質器24と別体でも良いし、改質器24に搭載されていても良い。システムにおける凝縮器52x,91,27で凝縮された凝縮水は、凝縮器52x,91,27よりも重力方向の下方に配置されているタンク35に溜まる。タンク35に溜められた水は水精製器33で精製されて水の純度を高め、改質用の水として蒸発部39に供給され、水蒸気化される。
本実施形態によれば、上記したフィルタ51,脱硫器31および水精製器33はメンテナンス部品であり、定期的または不定期的にメンテナンスされる。メンテナンスコストをできるだけ低減させるため、システムの設計時において、フィルタ51,脱硫器31および水精製器33のそれぞれのメンテナンス時期が基本的には同一時期となり得るように、フィルタ51,脱硫器31および水精製器33の容量、材質等が設定されている。ただし、燃料電池システムの設置場所が変更されるときには、脱硫器31および水精製器33のメンテナンス時期よりも、フィルタ51のメンテナンス時期が変動するおそれがある。その理由としては、カソードガスである外気に含まれる塵埃等は、燃料電池システムの設置場所(住宅地、工業地帯、山地、幹線道路の近くの地域、舗装されていない道路の近くの地域、黄砂が多い地域等)に影響を受け易いためである。
冷却系6は、スタック1の内部に形成されている冷媒通路13に連通する循環路60と、冷媒(冷却水等の冷却液)を循環路60において循環させる冷媒ポンプ61(冷媒搬送源)と、循環路60に設けられ循環路60の冷媒の温度を検知する温度センサ62と、循環路60の冷媒を加熱させるヒータ63(電力消費要素)とを有する。冷媒ポンプ61が作動すれば、冷媒が循環路60および冷媒通路13に循環し、スタック1の熱を奪うことができる。なお、スタック1の起動時に、制御部7はヒータ63を発熱させて循環路60の冷媒を予熱させ、スタック1を予熱させることができる。循環路60の冷媒の温度は、スタック1の運転温度に実質的に相当する。
図1に示すように、貯湯系8が設けられている。貯湯系8は、貯湯通路80と、循環路60と貯湯通路80とを熱交換させる熱交換器81と、貯湯通路80の水を搬送させるポンプ82(貯湯水搬送源)と、貯湯通路80に繋がる貯湯槽85と、貯湯槽85内の水が不足したら補充水(例えば水道水)を補充する補充通路84とを有する。ポンプ82が作動すれば、貯湯通路80の水が搬送され、循環路60の熱エネルギが貯湯通路80に伝達され、貯湯通路80の水温が上昇し、ひいては貯湯槽85に熱エネルギ(温水)が蓄積される。
図2に示すように、制御部7は、入力処理部7aと、タイマー機能をもつCPU7cと、メモリ7dと、出力処理部7eとを有する。燃料バルブ22、燃料ポンプ23、ポンプ42、冷媒ポンプ61、カソードガスポンプ53、入口バルブ28、出口バルブ30、入口バルブ54、迂回バルブ57等を制御する。制御部7には入力処理部7aを介して、温度センサ72,スタック1の発電電圧を検知する電圧センサ1a、スタック1の発電電流を検知する電流センサ1c、残寿命延命処理の内容を規定する閾値を設定する設定器1d、残寿命延命処理を実行させる実行スイッチ1e、残寿命延命処理の実行をキャンセルさせるキャンセルスイッチ1f、システムを起動させる起動スイッチ1xの信号がそれぞれ入力される。
メモリ7dの所定のエリアには、現時点よりも所定時間前における時間帯MA(例えば1週間前の月曜日から日曜日まで)の電力消費履歴に関するデータを格納することができる。電力消費履歴に関するデータとしては、スタック1が発電した電力の発電データ、燃料原料の使用量およびコスト、商用電源49から購入した電力データ、商用電源49から購入した電力コストが挙げられる。更にメモリ7dの所定のエリアには、フィルタ51の前回のメンテナンス時期、次回のメンテナンス時期およびメンテナンスコストが格納され、且つ、脱硫器31の前回のメンテナンス時期、次回のメンテナンス時期およびメンテナンスコストが格納され、且つ、水交換器33の前回のメンテナンス時期、次回のメンテナンス時期およびメンテナンスコストが格納される。フィルタ51,脱硫器31,水交換器33が交換されるとき、フィルタ51のスイッチ51r,脱硫器31のスイッチ31r,水交換器33のスイッチ33rからの信号が制御部7に入力され、前回のメンテナンス時期(今回のメンテナンス時期に相当)として格納される。次回のメンテナンス時期は制御部7により演算で求められ、メモリ7dのエリアに格納される。なお、スイッチからの信号に変えて、操作者(メンテナンス者)が操作盤(操作基板のディップスイッチなど)より前回のメンテナンス時期および/または今回のメンテナンス時期を入力してもよいし、交換後の確認操作信号から前回のメンテナンス時期を制御部7に格納してもよい。なお、前回および次回の順にメンテナンスが行われるため、前回のメンテナンス時期は、今回実施されるメンテナンス時期に相当する。
スタック1の発電運転時には、スタック1と電力負荷とを電気接続した状態で、制御部7は、燃料バルブ22を開放した状態で燃料ポンプ23を作動させて、燃料原料源21の炭化水素系の燃料原料を改質器24の改質部25に供給し、更に、水ポンプ37が作動し、水タンク35の改質用水を蒸発部39により水蒸気化した後に改質部25に供給する。この結果、燃料原料は改質部25で水蒸気改質されて35アノードガス(水素含有ガス)となる。そのアノードガスは凝縮器27で過剰の水分を落とした後、開放している入口バルブ28からスタック1のアノード10に供給される。更に、制御部7は、入口バルブ54を開放した状態でカソードガスポンプ53を作動させて、カソードガスをフィルタフィルタ51を通過させた後、加湿器50の加湿路50aで加湿させ、その後、スタック1のカソード11に供給する。これによりスタック1が発電運転する。
スタック1のアノード10から吐出されたアノードオフガスは、アノードオフガス吐出通路29から外部またはバーナ26に吐出される。スタック1のカソード11から吐出されたカソードオフガスは、カソードオフガス吐出通路55から加湿器50の吸湿路50bに流れて吸湿路50bで吸湿される。迂回バルブ57の制御により、カソードオフガスが加湿器50の吸湿路50bに流れる流量と、カソードオフガスが迂回路56に流れる流量との比率を可変に制御できる。
さて、カソードガスがスタック1のカソード11に単位時間あたり相対的に100の流量を供給される場合、フィルタ51の目詰まりが進行していると、制御部7がポンプ53(搬送源)に指示する指示値は次第に増加していく。指示値は基本的にはポンプ53のデューティ値に相当する。指示値が高い方が、ポンプ53の負荷は増加する。スタック1の発電運転の累積時間が長くなると、浄化部として機能するフィルタ51の目詰まりは次第に進行する。このため同量のカソードガスをスタック1に搬送するにあたり、ポンプ53の指示値は高くなる。
フィルタ51の劣化(目詰まり)が進行すると、カソードガスの流量が制約され、スタック1の発電出力が低下するのでも、フィルタ51を交換することが好ましい。しかしながらユーザによってメンテナンスコストが無視できないときがある。この点について本実施形態によれば、フィルタ51の劣化(目詰まり)が進行すると、制御部7は、フィルタ51を通過するカソードガス(カソード流体)をスタック1のカソード11に搬送させる単位時間当たりの流量を低下させることにより、フィルタ51の残寿命の延長を図り、寿命の終期を遅延させる残寿命延長処理を実行する。
具体的には、ポンプ53の指示値が所定値以上で所定時間継続されるとき、制御部7は、フィルタ51の目詰まりが進行したと判定し、スタック1の発電指示値を低下させ、ひいてはポンプ53の指示値を低下させ、フィルタ51を通過させてスタック1のカソード11に供給するカソードガス(空気)の単位時間あたりの流量を低下させる。
この場合、制御部7は、燃料ポンプ23の指示値も低下させ、燃料ポンプ23が改質部25に供給する単位時間あたり燃料原料の流量も低下させる。同様に、水ポンプ37が蒸発部39に供給する単位時間あたり改質用水の流量も低下させる。この場合、スタック1が発電する発電出力が低下する。もし電力が不足するときには、インバータ48が制御部7により制御され、商用電源49からの電力が燃料電池システム側に電力負荷側に供給される。なお、本実施形態においても、後述する実施形態のように、フィルタ51の残寿命の終期が脱硫器31や水精製器33の次回のメンテナンス時期に合致できるか否かを判定し、フィルタ51の残寿命の終期が脱硫器31や水精製器33の次回のメンテナンス時期に合致できるのであれば、合致できるようにフィルタ51の残寿命を延長させて良い。
(実施形態2)
図3は実施形態2を示す。図3は制御部7が実行するフローチャートを示す。ポンプ53の指示値(デューティ比相当)が高い方が、カソードガスを同量搬送するにあたり、ポンプ53の単位時間あたり回転数(駆動量)が大きいことに相当するため、フィルタ51の目詰まりが進行していると推定される。図3に示すように、制御部7は、フィルタ51の目詰まりが進行している状態で発電運転が実行されているか判定する。すなわち、制御部7は、ポンプ53の指示値がP10以上でT10min以上継続しているか否か判定する(ステップS102)。継続していなければ(ステップS102のNO)、フィルタ51の目詰まりはあまり進行していないと推定されるため、フィルタ51の残寿命延長処理を実施せずに、メインルーチンにリターンする。
継続していれば(ステップS102のYES)、フィルタ51の目詰まりがかなり進行し始めていると推定される。このため、フィルタ51の残寿命を延長させるべく、スタック1の発電出力がQ1[W]以下となるまで(ステップS106)、制御部7はスタック1の発電指示値をΔQ[W]づつ低下させる(ステップS104)。発電指示値は、システムにおけるスタック1の最高発電電力の指示値でも良いし、そうでなくても良い。スタック1の発電指示値が低下するにつれて、前述したように、制御部7は、燃料ポンプ23の指示値も低下させ、燃料ポンプ23が改質部25に供給する単位時間あたり燃料原料の流量も低下させる。同様に、水ポンプ37が蒸発部39に供給する単位時間あたり改質用水の流量も低下させる。そして、前回のメンテナンス後のスタック1の累積運転時間がY1(例えば1000時間)に到達するまで、スタック1の発電出力がQ1[W]以下に低下した状態で発電運転される。これによりフィルタ51の寿命が延長され、寿命の終期が遅延される。なお、電力が不足する場合には、商用電源49から自動的に給電される。
フィルタ51の目詰まりなどにより、スタック1の発電出力がQ1以下に低下すれば(ステップS106のYES)、制御部7は、前回のメンテナンス後のスタック1の累積運転時間がY1(例えば1000時間)以上か否か判定する(ステップS108)。ステップS108においてNOであれば、スタック1の累積運転時間がY1未満であり比較的短いにもかかわらず、ポンプ53の指示値が高めであり、フィルタ51の目詰まりが進行していると推定される。この場合、システムの発電出力が低下し、発電コストが増加する。このため、制御部7はユーザまたはメンテナンス者にその旨を通告させる通告1を実行する(ステップS130)。通告されたユーザまたはメンテナンス者は、フィルタ51をメンテナンスすることが好ましい。なお、システムの設置場所が塵埃等が多い場所のときには、前回のメンテナンス後のスタック1の累積運転時間が短いときであっても、フィルタ51の目詰まりが進行する。システムの設置環境は、フィルタ51の目詰まりの進行に大きく影響する。
通告1を実施した後、制御部7は、ポンプ53の指示値がP11以上(P11>P10)で時間T11min以上継続しているか否かを判定する(ステップS132)。すなわち、制御部7は、ステップS132において、フィルタ51の目詰まりが更に進行しているか否かを判定する。継続していれば(ステップS132のYES)、スタック1の累積運転時間がY1未満であり、比較的短いにもかかわらず、フィルタ51がシステムの設置場所などの影響を受け、フィルタ51の目詰まりが早期に進行していると推定される。このため、制御部7はスタック1の発電を停止させるか否かを判定する発電停止判定処理(ステップS134)を実施する。発電停止判定処理(図4参照)では、制御部7は、メモリ7dのエリアに格納されている電力消費履歴のデータを読み込む(ステップS180)。電力消費履歴に関するデータとしては、スタック1が発電した発電データ、燃料原料の使用量およびコスト、商用電源49から購入した電力データが挙げられる。
次に制御部7は、目詰まりしたフィルタ51の残寿命の終期を次回のフィルタ51のメンテナンス時期まで延長させつつ、スタック1の発電出力を低下させて運転させたときにおける予想コストC1と、燃料電池システムにおける発電を中断して、メンテナンス者によりフィルタ51をメンテナンスした後に、燃料電池システムを再び発電させたときにおける予想コストC2とを比較する損益演算を実施する(ステップS182)。予想コストC2は、メンテナンスコストを含む。
予想コストC1が予想コストC2よりも高く、発電が損失であれば(ステップS184のYES)、スタック1の発電を停止させる(ステップS186)と共に、ユーザまたはメンテナンス者にフィルタ51のメンテナンスを通告させる通行を実行し(ステップS188)、メインルーチンにリターンする。予想コストC1が予想コストC2よりも安く、スタック1の発電が利益であれば(ステップS184のNO)、フィルタ51の目詰まりを許容した状態でスタック1の発電運転を継続させる(ステップS184のNO)。
上記したステップS108における判定の結果、スタック1の累積運転時間がY1(例えば1000時間)以上であるとき(ステップS108のYES)、制御部7は、ポンプ53の指示値がP12(P12>P10)以上で時間T12min以上継続しているか否か判定する(ステップS110)。すなわち、制御部7は、フィルタ51の目詰まりが更に進行しているか否かを判定する。
継続していなければ(ステップS110のNO)、すなわち、フィルタ51の目詰まりは許容範囲内であり、フィルタ51が異状でない。このため、ポンプ53の指示値は維持されたままの状態で、スタック1の発電出力を低下させつつ発電運転させる。これにより制御部7はフィルタ51の目詰まりを許容しつつ、フィルタ51の残寿命を延長させつつ、スタック1の発電出力を低下させたままスタック1を発電運転させる。この場合、スタック1のカソードに供給されるカソードガスの単時間あたりの供給流量が低下し、フィルタ51の目詰まりの進行が抑えられるため、カソードガスを通過させるフィルタ51の残寿命が延長される。
ポンプ53の指示値がP12(P12>P10)以上で時間T12min以上継続していれば(ステップS110のYES)、フィルタ51の目詰まりが更に進行したと考えられる。このため、制御部7は、スタック1の発電出力がQ2[W]以下となるまで(Q2<Q1)、スタック1の発電指示値をΔQ[W]づつ低下させる(ステップS112,S114)。スタック1の発電指示値が低下することは、フィルタ51を介してスタック1のカソードに供給されるカソードガスの単時間あたりの供給流量が低下することに相当し、フィルタ51の目詰まりの進行が遅延する。故に、カソードガスを通過させるフィルタ51の残寿命が延長される。すなわち、制御部7はスタック1の発電出力を低下させつつ、フィルタ51の残寿命の延長を図る。この場合、電力が不足するときには、商用電源49から給電される。
スタック1の発電出力がQ2[W]以下に低下すれば(ステップS114のYES)、制御部7は、前回のメンテナンス後の累積運転時間がY2(例えば2000時間)以上か否か判定する(ステップS116)。累積運転時間がY2未満であるにもかかわらず、スタック1の発電出力がQ2未満と低下していれば(ステップS116のNO)、フィルタ51の目詰まりはかなり進行していると推定される。このため、制御部7はユーザまたはメンテナンス者に通告させる通告3を実行する(ステップS140)。これによりユーザまたはメンテナンス者フィルタ51のメンテナンスを実施することが好ましい。
通告3を実行した後においても、制御部7は、ポンプ53の指示値がP13(P13>P10,P13>P12)以上で時間T13min以上継続するまで、発電出力を低下させたまま、スタック1の発電運転を継続させる(ステップS142)。すなわち、制御部7は、フィルタ51の目詰まりが進行している状態であっても、目詰まりが許容される範囲内であれば、スタック1の発電出力を低下させつつ、フィルタ51の残寿命の延長を図る。なお、ポンプ53の指示値がP13(P13>P10)以上で時間T13min以上継続していれば(ステップS142のYES)、フィルタ51の目詰まりがかなり進行していると推定される。このため、制御部7はスタック1の発電停止判定処理を実行する(ステップS144)。
発電停止判定処理では、前記したように、制御部7は、予想コストC1と予想コストC2とを比較する損益演算を実施し、予想コストC1が予想コストC2よりも高く、発電が損失であれば、スタック1の発電を停止させると共に、ユーザまたはメンテナンス者にその旨を通告させる通行を実行し、メインルーチンにリターンする。予想コストC1が予想コストC2よりも安く、残寿命延長処理が利益であれば、スタック1の発電を継続させる。仮に、スタック1の発電出力がQ2[W]以下と低下していたとしても(ステップS114のYES)、前回のメンテナンス時期から累積運転時間がY2以上であれば(ステップS116のYES)、フィルタ51の目詰まりは許容範囲内であり、制御部7は、発電出力の低下およびフィルタ51の目詰まりを許容させつつ、スタック1を発電運転させる。
すなわち、制御部7は、電力Q2[W]を低下させると共に、指示値P12,累積運転時間Y2を増加させる方向に、Q2,P12,Y2を変更させる(ステップS118)。変更カウント回数を1増加させる(ステップS120)。変更カウント回数がNA未満であれば(ステップS122のNO)であれば、ステップS110に進み、同様の制御(フィルタ51の残寿命延長処理)を実行する。これにより前回のフィルタのメンテナンスからの累積運転時間が長くなるにつれて、制御部7は、スタック1の発電出力を少しずつ低下させつつ、フィルタ51の残寿命の延長を図り、寿命の終期を遅延させる。
スタック1の発電出力がQ3[W]以上であれば、フィルタ51の目詰まりは許容範囲内であるため、制御部7は、ポンプ53の指示値を維持して発電出力を低下させたまま、発電を継続させる(ステップS124のNO)。しかしながら、スタック1の発電出力がQ3[W]未満となれば(ステップS124のYES)、フィルタ51の目詰まりがかなり進行していると推定される。更に発電出力が低下しており、システムの発電コストが増加する。このため制御部7はスタック1の発電停止判定を実行する(ステップS144)。発電停止判定処理では、前述したように制御部7は予想コストC1と予想コストC2とを比較する損益演算を実施する。予想コストC1が予想コストC2よりも高く、発電が損失であれば、残寿命延長処理を終了させると共に、ユーザまたはメンテナンス者に通告させる通行を実行し、メインルーチンにリターンする。予想コストC1が予想コストC2よりも安く、残寿命延長処理が利益であれば、残寿命延長処理を継続させる。
本実施形態によれば、上記した累積運転時間Y1,Y2,時間T10,T12,T13、ポンプ53の指示値P10,P12,P13,発電出力Q1,Q2,Q3、回数NA等のデータは、フィルタ51(浄化部)の残寿命延長処理の内容を規定する閾値として機能するものであるが、設定器75からユーザ、システム据付者、メンテナンス者等により、メモリ7dの所定のエリアに任意に格納可能とされていることが好ましい。但し、予め設定されていても良い。なお、T10=T12=T13でも良い。T10≒T12≒T13でも良い。または、T10<T12<T13でも良く、または、T10>T12>T13でも良い。またフィルタ51の目詰まりは、脱硫器31や水精製器33に比較して、燃料電池システムの設置場所に大きく影響されるため、システムの設置場所に応じて設定器75から任意に設定できることは、有意義である。殊に、システムの設置場所に応じて累積運転時間Y1,Y2等を設定器75から任意に設定できることは、有意義である。なお、本実施形態においても、後述する実施形態のように、フィルタ51の残寿命が脱硫器31や水精製器33の次回のメンテナンス時期に合致できるか否かを判定し、フィルタ51の残寿命が脱硫器31や水精製器33の次回のメンテナンス時期に合致できるのであれば、合致できるようにフィルタ51の残寿命を延長させて良い。
(実施形態3)
図5および図6は実施形態3を示す。図5および図6は、制御部7が実行するフィルタ51(メンテナンス部品)の残寿命延長処理のフローチャートを示す。図5に示すように、制御部7は、フィルタ51の目詰まりが進行しているか否か判定する。すなわち、制御部7は、ポンプ53の指示値がP1以上で時間T1min以上継続しているか否かを判定する(ステップS204)。継続していなければ(ステップS204のNO)、フィルタ51の目詰まりはあまり進行していないと推定されるので、ステップS204の判定が続けられる。上記が継続していれば、フィルタ51の目詰まりが進行していると推定される。このため制御部7は、フィルタ51の残寿命を延長させるべく、スタック1の最高発電出力をΔQ[W]低下させる(ステップS206)。スタック1の最高発電出力とは、その条件においてスタック1が発電できる最高発電出力を意味する。
ここで、最高発電出力が低下することは、スタック1のカソードに供給されるカソードガスの単位時間あたりの供給流量の最高値、スタック1のアノードに供給されるアノードガスの単位時間あたりの供給流量の最高値、蒸発部39に供給される単位時間あたりの改質用水の供給流量の最高値を低下させることに相当する。すなわち、カソードガスポンプ53の単位時間あたりの回転数(駆動量)、燃料ポンプ23の単位時間あたりの回転数(駆動量)、水ポンプ37の単位時間あたりの回転数(駆動量)を低下させることに相当する。
制御部7は、スタック1が最高発電出力の大きさを検知するため、スタック1の最高発電出力で発電するまで待機する(ステップS208のNO)。スタック1が最高発電出力で発電していれば(ステップS208のYES)、制御部7は、スタック1の最高発電出力がQ1[W]以下に低下しているか否かを判定する(ステップS210)。スタック1の最高発電出力がQ1[W]を越えていれば(ステップS214のNO)、フィルタ51の目詰まりは許容範囲内であり、制御部7はステップS204に戻る。これによりスタック1の発電出力を低下させつつ、フィルタ51の残寿命を延長できる。
スタック1の最高発電出力がQ1[W]以下に低下していれば(ステップS210のYES)、制御部7は、フィルタ51の前回のメンテナンスからの累積運転時間がY1以上か否かを判定する(ステップS214)。前回のメンテナンスからの累積運転時間がY1未満と短いにもかかわらず(ステップS214のNO)、スタック1の最高発電出力がQ1[W]以下と低下していれば(ステップS210のYES)、フィルタ51の目詰まりが早期に進行していると推定される。フィルタ51の目詰まりは、外気の汚れに対応するものであり、システムの設置場所が工場地帯か、黄砂発生地帯か、農地か、住宅地か等の相違に大きく影響されるためである
このようにフィルタ51の目詰まりが早期に進行していると推定されると、制御部7は、ユーザまたはメンテナンス者にその旨を報知する通告1を実施する(ステップS250)。これによりフィルタ51のメンテナンスが実施されることが好ましい。更に、制御部7は、ポンプ53の指示値がP11(P11>P1)以上で時間T11min以上継続しているか否か判定する(ステップS252)。すなわち、制御部7は、フィルタ51の目詰まりが進行したか否かを判定する。
継続していなければ(ステップS252のNO)、フィルタ51の目詰まりは許容範囲内であると推定される。このため、制御部7は、ポンプ53の指示値を維持した状態で、スタック1の発電運転を継続させる(ステップS252のNO)。これによりスタック1の発電出力を低下させつつフィルタ51の残寿命を延長できる。継続していれば(ステップS252のYES)、発電停止判定処理を実施する(ステップS254)。
ステップS214における判定の結果、前回のメンテナンスからの累積運転時間がY1以上経過しており(ステップS214のYES)、且つ、ポンプ53の指示値がP2(P2>P1)以上で時間T2min以上継続するまで、制御部7はスタック1の最高発電出力をQ1[W]に維持する(ステップS216のNO)。これによりフィルタ51の残寿命は延長される。
ポンプ53の指示値がP2(P2>P1)以上で時間T2min以上継続していれば(ステップS216のYES)、フィルタ51の目詰まりが進行している。このため、制御部7はスタック1の最高発電出力をΔQ[W]低下させる(ステップS218)。更に、制御部7は、スタック1の最高発電出力を検知すべく、スタック1が最高発電出力で発電中か否かを判定する(ステップS220)。なお、スタック1が最高発電出力で発電していなければ、最高発電出力で発電するまで待機する(ステップS220のNO)。
スタック1が最高発電出力で発電していれば(ステップS222のYES)、制御部7はスタック1の最高発電出力がQ2[W]以下に低下しているか否かを(Q2<Q1)判定する(ステップS222)。スタック1の発電出力を最高発電出力がQ2[W]以下であれば(ステップS222のYES)、制御部7は、フィルタ51の前回のメンテナンスからの累積運転時間がY2(例えばY2=2000時間,Y2>Y1)以上経過しているか否かを判定する(ステップS224)。
最高発電出力がQ2[W]以下であり(ステップS222のYES)、且つ、前回のメンテナンスからの累積運転時間がY2以上経過していれば(ステップS224のYES)、最高発電出力をQ2[W]よりも低下させるように,且つ、ポンプ53の指示値P2,累積運転時間Y2を増加させるように、制御部7はQ2,P2,Y2を変更させる(ステップS226)。更に変更回数を1増加させる(ステップS228)。変更回数がNA回に到達するまで、制御部7はステップS216〜ステップS228を繰り返す。この場合、ポンプ53の指示値P2は、フィルタ51の目詰まりの進行度に適応するように次第に増加する。これによりスタック1に供給される単位時間あたりのカソード流量を低下させてスタック1の発電出力を低下させることにより、フィルタ51の目詰まりの進行を遅延させる。すなわち、スタック1の発電出力を低下させつつ発電運転を継続させ、フィルタ51の残寿命の延長を図る。このようにスタック1の最高発電出力がQ3[W]以下となるまで(Q3<Q2<Q1)、制御部7はポンプ53の指示値を維持させる。スタック1の最高発電出力がQ3[W]以下と低くなれば(ステップS234のYES)、発電出力がかなり低下し、フィルタ51の目詰まりがかなり進行しており、スタック1の発電停止判定(ステップS294)を行う。
ここで、前回のメンテナンスからの累積運転時間がY1以上であり、Y2(Y2>Y1)未満であるにもかかわらず(ステップS224のNO)、スタック1の最高発電出力がQ2[W]以下であり、低いため(Q3<Q2<Q1)、フィルタ51の目詰まりがかなり進行している推定される。このため、制御部7はユーザまたはメンテナンス者にその旨を報知する通告3を実施する(ステップS290)。これによりフィルタ51のメンテナンスが実施されることが好ましい。その後、制御部7は、フィルタ51の目詰まりが更に進行するまで、ポンプ53の指示値を維持させた状態で発電を行う。
そして、制御部7は、ポンプ53の指示値がP12(P12>P2)以上で、時間T12min以上継続しているか否か判定する(ステップS292)。ステップS292においてNOであれば、フィルタ51の目詰まりは許容範囲内である。このため制御部7はポンプ53の指示値を維持し、発電運転を継続させる。もし、ステップS292においてYESであれば、発電停止判定処理を実施し(ステップS294)、システムによる発電の損益を判定し、損失であれば、発電を停止させる。発電が利益であれば、発電を継続させる。
本実施形態によれば、上記した累積運転時間Y1,Y2,時間T1,T2,T11,T12,T13、ポンプ53の指示値P1,P2,P11,P12、発電出力Q1,Q2,Q3、回数NA等のデータは、設定器75からユーザ、システム据付者、メンテナンス者等により、メモリ7dの所定のエリアに格納可能とされていることが好ましい。だし、固定値として予め設定されていても良い。フィルタ51の目詰まりは、脱硫器31や水精製器33に比較して、燃料電池システムの設置場所に大きく影響されるため、システムの設置場所に応じて設定器75から任意に設定できることは、有意義である。殊に、システムの設置場所に応じて累積運転時間Y1,Y2等を設定器75から任意に設定できることは、有意義である。なお、本実施形態においても、後述する実施形態のように、フィルタ51の残寿命が脱硫器31や水精製器33の次回のメンテナンス時期に合致できるか否かを判定し、フィルタ51の残寿命が脱硫器31や水精製器33の次回のメンテナンス時期に合致できるのであれば、合致できるようにフィルタ51の残寿命を延長させて良い。
(実施形態4)
図7は実施形態4を示す。図7は制御部7が実行する残寿命延長処理のフローチャートを示す。図7に示すように、制御部7は、フィルタ51の前回のメンテナンス時期から累積運転時間がY7(例えば600時間,Y7<Y1,Y2)以上か否かを判定する(ステップS402)。更に、スタック1の最高発電出力がQ7[W]以上か否かを判定する(Q7>Q1。ステップS404)。
ポンプ53の指示値がP8(P8<P1)以上で時間T8min以上継続していれば(ステップS406のYES)、フィルタ51の目詰まりが少し進行している。ステップS406においてYESであれば、ポンプ53の指示値がP9(P8<P9)以上で時間T9min以上継続しているか否かを判定する(ステップS408)。ステップS408においてYESであれば、ステップS406においてYESと判定された時刻から、ステップS408においてYESと判定された時刻までの時間ΔTを求める(ステップS410)。制御部7は、ポンプの指示値P8とポンプの指示値P9との指示値の差ΔPと、時間ΔTとに基づいて、制御部7はフィルタ51の残寿命を推定する(ステップS)。
更に、制御部7は、脱硫器31の次回のメンテナンス時期、水精製器33の次回のメンテナンス時期をメモリ7dの所定のエリアから読み込む(ステップS414)。次に、フィルタ51の残寿命が脱硫器31の次回のメンテナンス時期に合致できるか否かを判定する(ステップS416)。更に、フィルタ51の残寿命が水精製器33の次回のメンテナンス時期に合致できるか否かを判定する(ステップS418)。合致できるのであれば(ステップS416のYES,ステップS418のYES)、制御部7はフィルタ51の残寿命延長処理を実施する(ステップS430)。残寿命延長処理は、前記した残寿命延長処理が例示されるが、これに限定されるものではなく、要するに、スタック1に供給されるカソードガスの単位時間あたりの流量を低下させてスタック1の発電出力を低下させつつも、フィルタ51の残寿命を延長できる制御であれば良い。電力が不足する場合には、不足電力を商用電源49から購入することが好ましい。合致できなければ、制御部7は、フィルタ51の残寿命延長処理ではなく、通常発電運転を指示し(ステップS420)、フィルタ51の残寿命延長処理を実施させない旨をユーザまたはメンテナンス者に通告する(ステップS422)。
本実施形態によれば、上記した累積運転時間Y8、時間T8,T9、ポンプ53の指示値P8,P9等のデータは、設定器75からユーザ、システム据付者、メンテナンス者等により、メモリ7dの所定のエリアに格納可能とされていることが好ましい。フィルタ51の目詰まりは、脱硫器31や水精製器33に比較して、燃料電池システムの設置場所に大きく影響されるため、システムの設置場所に応じて設定器75から任意に設定できることは、有意義である。殊に、システムの設置場所に応じて累積運転時間Y8を設定器75から任意に設定できることは、有意義である。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。例えば、浄化部としてはアノードガスの燃料原料の硫黄成分を低減させて燃料原料を浄化させる脱硫器31とすることができる。この場合、脱硫器31以外のメンテナンス部品としては、フィルタ51および/または水精製器33が挙げられる。この場合、残寿命延長処理される脱硫器31以外のメンテナンス部品(フィルタ51および/または水精製器33)の次回のメンテナンス時期は、メモリ7dのエリアに格納されている。この場合、制御部7は、脱硫器31の残寿命を延長させる残寿命延長処理を実施するにおいて、脱硫器31以外のメンテナンス部品であるフィルタ51および/または水精製器33の次回のメンテナンス時期に、脱硫器31の次回のメンテナンス時期を合わせるように、脱硫器31を通過する燃料原料を搬送させる単位時間当たりの流量を低下させて、脱硫器31の残寿命の延長を図り、脱硫器31のメンテナンス時期を遅延させることができる。スタック1は固定高分子型の燃料電池に限定されず、固体酸化物型の燃料電池でも、りん酸型の燃料電池でも良い。なおポンプ53,37,23,42等は、必要に応じてファン、コンプレッサ、ブロアとしても良い。