以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成要素のみを抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
(実施の形態1)
[燃料電池システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システム100は、燃料電池101と、燃料電池101を冷却する第1熱媒体が通流する第1熱媒体経路59と、第1熱媒体経路59内の第1熱媒体を通流させるための第1流量制御器107と、異常を検知する異常検知器110aと、異常検知器110aにより異常が検知されて実行される異常停止処理時の方が、通常停止処理時よりも発電停止後の燃料電池101の冷却量が多くなるよう第1流量制御器107を制御する制御器110と、を備える。ここで、本発明において、通常の停止処理とは、燃料電池システム100の発電運転中において、異常検知器により異常が検知されることで実行される停止処理(異常停止処理)とは異なる停止処理のことを指す。例えば、図示されない電力負荷の電力需要が発電運転を実行する必要のない所定の閾値以下にまで低下することで実行される停止処理や予め設定された停止時刻になることで実行される停止処理等である。
これにより、燃料電池システム100に異常が発生した場合に通常の停止処理よりも燃料電池101の冷却量が増加するため、燃料電池101の低温化が促進され、メンテナンス作業により速やかに移行することができる。
燃料電池101としては、固体高分子電解質形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池等を用いることができる。また、燃料電池101内部には、燃料電池101内で発生した熱を回収して、燃料電池101を冷却する第1熱媒体が通流する第1熱媒体流路101cが設けられている。第1熱媒体流路101cの入口(図示せず)には、第1熱媒体供給経路51が接続され、第1熱媒体流路101cの出口(図示せず)には、第1熱媒体排出経路52が接続されている。なお、本実施の形態1においては、第1熱媒体供給経路51と第1熱媒体排出経路52から第1熱媒体経路59が構成されているが、第1熱媒体経路59は、第1熱媒体供給経路51及び第1熱媒体排出経路52以外の経路(配管)等を有していてもよい。
また、第1流量制御器107としては、例えば、第1熱媒体を送出し、かつ、第1熱媒体経路59を通流する第1熱媒体の流量調節が可能なポンプを用いてもよく、また、第1熱媒体を送出するポンプと流量調整弁とを組み合わせて流量調整を行う流量調節器を用いてもよい。
検知器130aは、燃料電池101の状態に関する物理量を検知するセンサであり、例えば、第1熱媒体経路を流れる第1熱媒体の温度検知器、第1熱媒体を貯えるタンクの水位検知器、燃料ガスの流量を計測する燃料ガス流量計、酸化剤ガスの流量を計測する酸化剤ガス流量計、燃料電池システム100の筐体内の可燃ガスセンサ等が例示される。
異常判定器110aは、本発明の異常検知器を構成するものであり、検知器140aの検出値に基づき各種異常を判定する。なお、燃料電池システム100の異常のうち検知器の故障については、異常判定器110aが、異常検知器として機能し、上記検知器の故障と異なる異常については、異常判定器110aと当該異常を判定する際の判定対象となる検出値を出力する検知器とが異常検知器として機能する。
本実施の形態の燃料電池システムにおいては、制御器110は、異常停止処理時の方が通常停止処理時よりも、燃料電池101の冷却量が多くなるよう第1流量制御器107の動作時間及び操作量の少なくともいずれか一方を制御してもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムは、制御器が、異常停止処理時の方が通常停止処理時よりも、燃料電池の冷却量が多くなるよう第1流量制御器の動作時間及び操作量の少なくともいずれか一方を制御する態様の一例を示すものである。
[燃料電池システムの構成]
図2は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの概略構成を示す模式図である。なお、図2において、燃料電池システムにおける上下方向を図における上下方向として表している。
図2に示すように、本発明に係る燃料電池システム100は、燃料電池101、水素生成装置102、酸化剤ガス供給器103、冷却水タンク104、第1凝縮水タンク105A、第2凝縮水タンク105B、熱交換器(放熱器)106、第1ポンプ(第1流量制御器)107、第2ポンプ(第2送出器)108、貯湯タンク(蓄熱器)109、制御器110、異常判定器110a、リモコン120、ハウジングからなるパッケージ111、及び各検知器131〜140を備えており、使用者がリモコン120を操作することにより、燃料電池システム100の運転開始及び運転停止を行うことができるように構成されている。パッケージ111は、本実施の形態においては、鉛直方向に長く延びるように形成されており、該パッケージ111内部には、燃料電池101等の各機器が配設されている。
なお、上記異常判定器110aは、本発明の異常検知器を構成するものであり、各検知器131〜140の検出値に基づき異常を判定する。また、熱交換器106は、放熱器の一例であり、熱交換器106に代えて、空冷により燃料電池101の冷却水を冷却する形態を採用しても構わない。この場合、冷却水の冷却量は、冷却水の放熱器への流入量及び空冷ファンの操作量の少なくともいずれか一方により調整される。
水素生成装置102は、改質器、変成器、浄化器(いずれも図示せず)、及びバーナ(燃焼器)102aを有していて、水素生成装置102の改質器の原料ガス供給口(図示せず)には、原料ガス供給経路41の下流端が接続されている。ここでは、原料ガスとして、メタンを主成分とする都市ガスが用いられており、原料ガス供給経路41の上流端は、都市ガスの配管(図示せず)に接続されている。また、原料ガス供給経路41には、その上流側から、第1開閉弁71、ブースターポンプ112a、流量調整弁112b、及び第2開閉弁72が設けられている。第1開閉弁71及び第2開閉弁72は、原料ガス供給経路41を通流する原料ガスの通流を許可/阻止するように構成されており、例えば、電磁弁等の弁を用いることができる。ブースターポンプ112aは、原料ガス供給経路41を通流する原料ガスを昇圧するように構成され、流量調整弁112bは、原料ガス供給経路41を通流する原料ガスの流量を調整するように構成されていて、ブースターポンプ112aと流量調整弁112bが、原料ガス供給器112を構成する。なお、ここでは、ブースターポンプ112aと流量調整弁112bが、原料ガス供給器112を構成したが、これに限定されず、ブースターポンプ112aのみで、原料ガス供給器112を構成してもよい。すなわち、ブースターポンプ112aが、原料ガスの昇圧及び流量調整を行うように構成してもよい。
バーナ102aには、オフ燃料ガス経路43の下流端が接続されており、燃料電池101で使用されなかった余剰の燃料ガスがオフガスとして、バーナ102aに供給されるように構成されている。また、バーナ102aには、カソードパージガス排出経路50の下流端が接続されており、後述する燃料電池システム100の起動処理時又は運転停止時に行われる燃料電池101のカソードパージ処理によって、掃気された酸化剤ガス流路101bに存在するガス(以下、カソードパージガスという)が、バーナ102aに供給される。さらに、バーナ102aには、燃焼空気供給経路56の下流端が接続されており、その上流端には、燃焼空気供給器117が接続されている。
これにより、バーナ102aは、図示されない流路を通じて供給された原料ガス(または、燃料電池101からオフ燃料ガス経路43を介して供給されたオフガス、または、燃料電池101からカソードパージガス排出経路50を介して供給されたカソードパージガス)を燃焼空気供給器117から燃焼空気供給経路56を介して供給された燃焼空気によって燃焼させる。なお、燃焼空気供給器117としては、例えば、ブロワやシロッコファン等のファン類を使用することができる。
また、水素生成装置102の改質器の水供給口(図示せず)には、改質用水供給経路57の下流端が接続されており、その上流端は、第2凝縮水タンク105Bの下部に接続されている。また、改質用水供給経路57の途中には、改質用水供給経路57を通流する改質用水(凝縮水)の流量を調整する第3ポンプ113が設けられている。なお、本実施の形態においては、第2凝縮水タンク105Bから直接、水素生成装置102の改質器に凝縮水を供給する構成としたが、これに限定されず、第1凝縮水タンク105Aから直接、水素生成装置102の改質器に供給する構成としてもよく、また、第2凝縮水タンク105Bに貯えられた凝縮水を冷却水タンク104に供給し、冷却水タンク104に貯えられている冷却水とともに、水素生成装置102の改質器に供給する構成としてもよい。
さらに、水素生成装置102の浄化器には、酸化用空気供給路58の上流端が接続されており、その下流端は、酸化用空気供給器116に接続されている。酸化用空気供給器116は、浄化器での酸化反応に用いられる空気を供給するように構成されている。なお、酸化用空気供給器116としては、例えば、ブロワやシロッコファン等のファン類を使用することができる。
そして、改質器では、バーナ102aで生成された燃焼排ガスの伝熱を利用して、原料ガス供給器112から原料ガス供給経路41を介して供給される原料ガス(メタン)と、第1凝縮水タンク105Aから供給される凝縮水と、を改質反応させることにより、水素リッチな改質ガスを生成する。また、変成器では、改質器で生成された改質ガスを、変成反応させることにより、改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減させる。浄化器では、変成器で一酸化炭素が低減された改質ガス中の一酸化炭素を、酸化用空気供給器116から酸化用空気供給路58を介して供給された酸化用空気と反応させることにより、一酸化炭素が10ppm以下にまで低減された燃料ガスが生成される。なお、本実施の形態においては、原料ガスとしてメタンを使用しているが、これに限定されず、エタン、プロパンなどの炭化水素を含むガス、気体のアルコールを含むガス等に例示されるような少なくとも炭素及び水素から構成される有機化合物を含むガスを使用することができる。また、本実施の形態の水素生成装置102は、変成器、浄化器を設けるよう構成されているが、これらを設けない形態を採用しても構わない。
また、水素生成装置102の浄化器の出口には、燃料ガス供給経路42の上流端が接続されており、その途中には、三方弁からなる第1切替器73が設けられ、また、燃料ガス供給経路42の下流端は、燃料電池101の燃料ガス流路101aの上流端に接続されている。具体的には、燃料ガス供給経路42は、第1燃料ガス供給経路42aと第2燃料ガス供給経路42bから構成されていて、第1燃料ガス供給経路42aの上流端は、水素生成装置102の浄化器の出口と接続されていて、その下流端は、第1切替器73の第1ポート73aと接続されている。また、第2燃料ガス供給経路42bの上流端は、第1切替器73の第3ポート73cに接続されていて、その下流端は、燃料電池101の燃料ガス流路101aの上流端に接続されている。なお、第1切替器73の第2ポート73bには、燃料電池バイパス経路44の上流端が接続され、その下流端は、オフ燃料ガス経路43の途中に接続されている。
燃料ガス供給経路42の第2燃料ガス供給経路42bの適所には、第2燃料ガス供給経路42bを構成する配管内の圧力を検知する第1圧力検知器131と第2燃料ガス供給経路42bを通流する燃料ガス等の流量を検知する第1流量検知器132が、それぞれ設けられている。そして、第1圧力検知器131及び第1流量検知器132は、それぞれ、検知した圧力値及び流量を制御器110内の異常判定器110aに出力するように構成されている。第1圧力検知器131は、公知の圧力検知器(例えば、ダイアフラム式圧力センサ等)を使用することができ、第1流量検知器132は、公知の流量検知器(例えば、熱線式流量センサ等)を使用することができる。
また、燃料電池101の燃料ガス流路101aの下流端には、オフ燃料ガス経路43の上流端が接続されており、その下流端は、水素生成装置102のバーナ102aに接続されている。オフ燃料ガス経路43の燃料電池バイパス経路44との接続点より上流側には、オフ燃料ガス経路43を通流する燃料ガス等の通流を許可/阻止するための第4開閉弁75が設けられている。また、オフ燃料ガス経路43の燃料電池バイパス経路44との接続点より下流側には、第1凝縮器114が設けられていて、オフ燃料ガス経路43と第1凝縮器114の一次流路114aとが接続されている。第1凝縮器114は、水蒸気を凝縮して水に液化することにより、未反応の燃料ガスと水分とを分離するように構成されている。そして、オフ燃料ガス経路43の第1凝縮器114の下流側には、鉛直方向に延びるように形成された第1凝縮水経路45の上流端が接続されていて、第1凝縮水経路45の下流端は、第2凝縮水タンク105Bの上部(ここでは、上端面)に接続されている。さらに、オフガス燃料ガス経路43の燃料電池バイパス経路44の接続点よりも下流側には、第7開閉弁78が設けられている。
これにより、水素生成装置102で生成された燃料ガスが、燃料電池101の燃料ガス流路101aに供給され、燃料ガス流路101aに供給された燃料ガスは、燃料ガス流路101aを通流する間に、各セルのアノード(図示せず)に供給されて、電気化学反応に供される。また、燃料電池101で使用されなかった余剰の燃料ガスは、オフガスとしてオフ燃料ガス経路43に流入する。オフ燃料ガス経路43に流入した余剰の燃料ガスは、第1凝縮器114の一次流路114aを通流する間に、燃料ガス中に含まれる水蒸気が凝縮され、水に液化される。そして、第1凝縮器114で分離された余剰の燃料ガスは、オフガスとしてバーナ102aに供給され、上述したように、バーナ102aで燃焼される。一方、第1凝縮器114で分離された水は、第1凝縮水経路45を介して、第2凝縮水タンク105Bに供給される。
第2凝縮水タンク105Bの内部には、水位検知器135が設けられている。水位検知器135は、タンク内部に貯えられた水の水位を検知し、検知した水位を制御器110に出力するように構成されている。
酸化剤ガス供給器103は、燃料電池101の酸化剤ガス流路101bに酸化剤ガス(ここでは、空気)を供給することができるように構成されていて、例えば、ブロワやシロッコファン等のファン類を使用することができる。酸化剤ガス供給器103には、酸化剤ガス供給経路46の上流端が接続されていて、その下流端は、燃料電池101の酸化剤ガス流路101bに接続されている。
酸化剤ガス供給経路46には、その上流側から順に、第3開閉弁74、酸化剤ガス供給経路46を構成する配管内の圧力を検知する第2圧力検知器133、及び酸化剤ガス供給経路46を通流する酸化剤ガス等の流量を検知する第2流量検知器134が設けられている。第3開閉弁74は、酸化剤ガス供給経路46を開閉するように構成されており、例えば、電磁弁等の弁を用いることができる。第2圧力検知器133及び第2流量検知器134は、それぞれ、検知した圧力値及び流量を制御器110の異常判定器110aに出力するように構成されている。第2圧力検知器133は、公知の圧力検知器(例えば、ダイアフラム式圧力センサ等)を使用することができ、第2流量検知器134は、公知の流量検知器(例えば、熱線式流量センサ等)を使用することができる。
また、酸化剤ガス供給経路46の第3開閉弁74と第2圧力検知器133との間には、パージガス供給経路49の下流端が接続されていて、その上流端は、原料ガス供給経路41の流量調整弁112bと第2開閉弁72との間の部分に接続されている。パージガス供給経路49は、パージガス又は補圧ガスとしての原料ガスが通流するように構成されていて、その途中には、第6開閉弁77が設けられている。第6開閉弁77は、パージガス供給経路49を開閉するように構成されており、例えば、電磁弁等の弁を用いることができる。
燃料電池101の酸化剤ガス流路101bの下流端には、オフ酸化剤ガス経路47の上流端が接続されていて、その下流端は、燃料電池システム100の外部に開口されている。オフ酸化剤ガス経路47の途中には、オフ酸化剤ガス経路47を開閉する第5開閉弁76が設けられている。オフ酸化剤ガス経路47の上流端と第5開閉弁76との間には、カソードパージガス排出経路50の上流端が接続されており、その下流端は、上述したように、水素生成装置102のバーナ102aに接続されている。また、カソードパージガス排出経路50には、第9開閉弁81が設けられている。
また、オフ酸化剤ガス経路47の第5開閉弁76より下流側には、第2凝縮器115が設けられていて、オフ酸化剤ガス経路47と第2凝縮器115の一次流路115aとが接続されている。第2凝縮器115は、オフ酸化剤ガス経路47を流れるオフ酸化剤ガス中の水蒸気を凝縮して水に液化することにより、燃料電池101で使用されなかった余剰のオフ酸化剤ガスと水分とを分離するように構成されている。そして、第2凝縮器115の下流側のオフ酸化剤ガス経路47には、鉛直下方向に延び、第1凝縮水タンク105Aに接続されている。
これにより、酸化剤ガス供給器103から、酸化剤ガス供給経路46を介して、燃料電池101の酸化剤ガス流路101bに酸化剤ガスが供給され、酸化剤ガス流路101bに供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路101bを通流する間に、各セルのカソード(図示せず)に供給されて、電気化学反応に供される。また、燃料電池101で電気化学反応に使用されなかった余剰の酸化剤ガスは、上記電気化学反応で生成された水とともにオフ酸化剤ガス経路47に流入する。オフ酸化剤ガス経路47に流入した余剰の酸化剤ガスは、第2凝縮器115の二次流路115bを通流する間に、酸化剤ガス中に含まれる水蒸気が凝縮され、水に液化される。そして、第2凝縮器115より排出された余剰の酸化剤ガスは、オフ酸化剤ガス経路47を介して第1凝縮水タンク105Aに導入後、第1凝縮水タンク105Aに設けられた排気口より排出され、最終的に燃料電池システム100外(パッケージ111外)に排出される。一方、第2凝縮器115で分離された水は、第1凝縮水タンク105Aに供給される。なお、第1凝縮水タンク105Aに供給された水は、所定量貯まると第2凝縮水タンク105Bに供給される。
そして、燃料電池101では、燃料ガス流路101aから各セルのアノードに供給された燃料ガスと、酸化剤ガス流路101bから各セルのカソードに供給された酸化剤ガスとが、電気化学的に反応して電気と熱が発生する。燃料電池101で電気化学反応に使用されなかった余剰の燃料ガスは、オフ燃料ガス経路43を通流して、第2凝縮水タンク105Bに貯えられる。
また、燃料電池101には、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発生した熱を回収して、燃料電池101を冷却するための冷却水(第1熱媒体)が通流する冷却水流路101cが設けられている。冷却水流路101cの上流端には、冷却水供給経路51の下流端が接続されており、その上流端は、冷却水を貯えるための冷却水タンク104の下部に接続されている。また、冷却水流路101cの下流端には、冷却水排出経路52の上流端が接続されており、その下流端は、冷却水タンク104の下端面に接続されている。
冷却水タンク104の内部には、水位検知器136が設けられている。水位検知器136は、タンク内部に貯えられた水の水位を検知し、検知した水位を制御器110に出力するように構成されている。なお、冷却水は、燃料電池101を冷却する第1熱媒体の一例であり、第1熱媒体としては、不凍液(例:エチレングリーコール含有液)等に例示される他の熱媒体であっても構わない。
冷却水経路(第1熱媒体経路)の適所、例えば、燃料電池101内の冷却水流路101c以外の冷却水経路に、熱交換器106が設けられ、冷却水供給経路51と熱交換器106の一次流路106aとが接続される。本実施の形態では、熱交換器106は、その一例として冷却水供給経路51に設けられている。また、熱交換器106は、一次流路106aを通流する冷却水と、後述する二次流路106bを通流する貯湯水(第2熱媒体)と、の間で熱交換することができるように構成されている。なお、冷却水供給経路51、熱交換器106の一次流路106a、燃料電池101の冷却水流路101c、及び冷却水排出経路52から、冷却水経路(第1熱媒体経路)が構成される。
また、冷却水排出経路52の上流端近傍には、温度検知器137が設けられている。温度検知器137は、冷却水経路を通流する冷却水の温度を検知し、検知した温度を制御器110に出力するように構成されている。また、本実施の形態においては、温度検知器137を熱交換器106より下流の冷却水供給経路51に設け、燃料電池101に流入する冷却水流路101cから排出された冷却水の温度を検知するように構成されている。温度検知器137で検知された温度は、制御器110に出力するように構成されている。なお、冷却水の温度を検知する温度検知器は、上記構成に限定されず、温度検知器137及び温度検知器137のいずれか一方でも構わないし、冷却水経路(第1熱媒体経路)上であればいずれの箇所に設けても構わない。
さらに、冷却水経路(ここでは、冷却水供給経路51)の適所には、冷却水経路を通流する冷却水の流量を調整するための第1ポンプ(第1流量制御器)107及び該冷却水経路を通流する冷却水の流量を検知するための第3流量検知器138が設けられている。なお、第3流量検知器138は、公知の流量検知器(例えば、熱線式流量センサ等)を使用することができる。
また、本発明の第1流量制御器として、ここでは、流量調節が可能なポンプを用いているが、これに限定されず、例えば、図3に示すような構成としてもよい。図3は、図2に示す燃料電池システム100の他の構成を示す模式図である。なお、図3においては、一部を省略している。
図3に示すように、冷却水経路(ここでは、冷却水排出経路52)より分岐し、熱交換器106をバイパスする熱交バイパス経路208を設け、燃料電池101を通過後の冷却水が熱交バイパス経路208と熱交換器106とのそれぞれに流入する流量を調整する流量調整器(例えば、混合弁209)と、ポンプとを組合せて、熱交換器106に通流する冷却水の流量調整を行う構成を本発明の第1流量制御器として採用してもよい。
これにより、冷却水供給経路51を通流する冷却水は、熱交換器106の一次流路106aを通流する間に、熱交換器106の二次流路106bを通流する貯湯水と熱交換して冷却される。冷却された冷却水は、燃料電池101の冷却水流路101cに供給される。冷却水流路101cに供給された冷却水は、燃料電池101で発生した熱を回収して、燃料電池101を冷却する。そして、燃料電池101の排熱を回収した冷却水は、冷却水タンク104に供給される。
貯湯タンク109は、ここでは、鉛直方向に延びるように形成されていて、貯湯タンク109の下部には、市水を供給するための水供給路53が接続されており、貯湯タンク109の上部には、貯湯水を利用者に供給するための貯湯水供給路54が接続されている。また、貯湯水供給路54には、貯湯水を利用する熱負荷が接続されている(図示せず)。熱負荷としては、例えば、給湯機器、暖房機器や空調機器が挙げられる。
また、貯湯タンク109の下端面には、貯湯水経路55の上流端が接続されていて、その下流端は、貯湯タンク109の上部に接続されている。貯湯水経路55には、上流側から順に第2ポンプ(第2送出器)108、第1凝縮器114、第2凝縮器115、及び熱交換器106が設けられていて、貯湯水経路55は、第1凝縮器114の二次流路114b、第2凝縮器115の二次流路115b、及び熱交換器106の二次流路106bとそれぞれ接続されている。
これにより、貯湯水経路55を通流する貯湯水(第2熱媒体)は、第1凝縮器114の二次流路114bを通流する間に、第1凝縮器114の一次流路114aを通流するオフガスと熱交換して加熱され、ついで、第2凝縮器115の二次流路115bを通流する間に、第2凝縮器115の一次流路115aを通流する酸化剤ガスと熱交換して加熱される。そして、第2凝縮器115の二次流路115bを通流した貯湯水は、熱交換器106の二次流路106bを通流する間に、熱交換器106の一次流路106aを通流する冷却水と熱交換して加熱される。加熱された貯湯水は、貯湯水経路55を通流して、貯湯タンク109の上端部に供給される。このような構成により、貯湯タンク109は、下部には市水温度に近い温度の低い水が貯えられ、熱交換器106等により高温化した熱媒体が上部に貯えられる、いわゆる積層沸き上げ型の貯湯タンクとなる。
また、燃料電池システム100は、貯湯水経路55には熱交換器106を通過後の貯湯水の温度を検知する温度検知器141と、温度検知器141よりも下流側の貯湯水経路55には、貯湯タンク109をバイパスして第1凝縮器114よりも上流の貯湯水経路55に接続する貯湯バイパス経路(第2熱媒体バイパス経路)207と、熱交換器106を通過後の貯湯水の流入先を貯湯タンク109と貯湯バイパス経路207との間で切り替える第2熱媒体切替器206とを備える。また、燃料電池101には、適宜な配線により、インバータ118が電気的に接続されていて、燃料電池101が発電した直流電流を交流電流に変換し、燃料電池システム100外の電力負荷に電力を供給するように構成されている。また、インバータ118より出力された電流が流れる電路には、系統連系点を介して、系統電源が接続されている(いずれも図示せず)。すなわち、燃料電池101の出力電力と系統電源からの電力が、系統連系点で系統連系されている。
また、パッケージ111の適所には、吸気口61及び排気口62が設けられている。吸気口61及び排気口62は、パッケージ111内全体に外気が通流するように、なるべく互いに離れて設けられていることが好ましく、排気口62は、メタンを主成分とする都市ガスや水素等の酸素よりも軽い可燃性ガスが滞留しやすいパッケージ111の上部に設けられていることが好ましい。また、排気口62近傍には、換気ファン119が配置されている。なお、換気ファン119は、シロッコファンなどのファン類を使用することができる。
これにより、換気ファン119によって、吸気口61から外気が吸気され、吸気された外気が排気口62から排出される。
燃料電池システム100のパッケージ111内には、可燃性ガスセンサ140が設けられている。可燃性ガスセンサ140は、燃料電池システム100(パッケージ111)内の可燃性ガス(例えば、原料ガスや水素ガス)の漏れ(濃度)を検知して、検知した可燃性ガスの濃度を制御器110に出力するように構成されている。なお、本実施の形態においては、可燃性ガスセンサ140は、メタンを主成分とする都市ガスや水素等の酸素よりも軽い可燃性ガスが滞留しやすいパッケージ111の上部であって、換気ファン119近傍に設けられている。
さらに、パッケージ111内には、制御器110の制御基板等の温度を検知する温度検知器139が設けられている。温度検知器139は、検知した温度を制御器110に出力するように構成されている。
制御器110は、マイコン等のコンピュータによって構成されており、CPU等からなる演算処理部、メモリ等からなる記憶部、通信部、及びカレンダー機能を有する時計部を有している(いずれも図示せず)。演算処理部は、記憶部に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、燃料電池システム100に関する各種の制御を行う。また、演算処理部は、記憶部に記憶されたデータや操作入力部から入力されたデータを処理するが、特に、記憶部から読み出した異常判定プログラムと各検知器131〜140から入力されたデータ(物理量)とに基づき、燃料電池システム100の停止を伴う異常が発生しているかを判定する異常判定器110aとしても機能し、異常判定器110aで異常と判定された場合、後述する燃料電池システム100の停止処理が実行される。
ここで、本明細書において、制御器とは、単独の制御器だけでなく、複数の制御器が協働して燃料電池システム100の制御を実行する制御器群をも意味する。このため、制御器110は、単独の制御器から構成される必要はなく、複数の制御器が分散配置され、それらが協働して燃料電池システム100を制御するように構成されていてもよい。
なお、本実施の形態においては、異常判定器110aが、各検知器131〜140から入力されたデータ(物理量)に基づき異常であるか否かを判定(異常が発生したか否かを検知)する構成としたが、これに限定されず、各検知器131〜140がマイコン等の演算器を備えることにより、それぞれが検知する物理量に基づき異常であるか否かを判定する(異常が発生したか否かを検知)構成としてもよい。
また、リモコン120は、マイコンで構成された制御部(図示せず)、通信部(図示せず)、表示部120a、及びキー操作部120bを有していて、制御部が、通信部等を制御している。また、リモコン120は、制御信号を通信部で受信し、これを制御部が処理して表示部120aに伝達する。また、リモコン120のキー操作部120bから入力された操作信号が、リモコン120の制御部及び通信部を介して、制御器110に送信され、制御器110の通信部で受信される。なお、以下の説明では、その説明を簡略化するために、制御器110とリモコン120との信号のやりとりは、双方の通信部による通信及びリモコン120における制御部の処理を省略して記述する。
[燃料電池システムの動作]
次に、本実施の形態2に係る燃料電池システム100の起動処理(起動動作)について、図2を参照しながら説明する。なお、以下の動作は、使用者がリモコン120を操作することで、制御器110が燃料電池システム100を制御することにより遂行される。
まず、起動処理開始時においては、原料ガス及び酸化剤ガスが酸化剤ガス供給経路46を通流しないように、第3開閉弁74、第5開閉弁76、及び第6開閉弁77は、それぞれの弁を閉止した状態を維持する。また、一酸化炭素が充分に低減されていない燃料ガスが、燃料電池101の燃料ガス流路101aに供給されないように、第1切替器73は、第1ポート73aを第2ポート73bと連通させ、かつ、第3ポート73cを遮断する。ついで、第1開閉弁71は、その弁を開放し、原料ガス供給経路41に原料ガスが供給される。
次に、第2開閉弁72が、その弁を開放する。これにより、原料ガスが、水素生成装置102をバイパスして、原料ガス供給器112から図示されない流路を介してバーナ102aに供給される。また、燃焼空気が、燃焼空気供給器117から燃焼空気供給経路56を介してバーナ102aに供給される。バーナ102aでは、供給された原料ガスを燃焼空気によって燃焼させ、燃焼排ガスが生成される。生成された燃焼排ガスは、水素生成装置102内に設けられた燃焼排ガス経路(図示せず)を通流し、改質器、変成器、浄化器を加熱した後、燃料電池システム100(パッケージ111)の外部に排出される。このとき、燃燃焼排ガスからの伝熱により、水素生成装置102の改質器、変成器、及び浄化器が加熱される。
次に、水素生成装置102の改質器に、原料ガスが、原料ガス供給器112から原料ガス供給経路41を介して供給され、また、第1凝縮水タンク105Aから改質用水供給経路57を介して改質用水(凝縮水)が供給される。そして、供給された水が加熱されて水蒸気になり、原料ガスと水蒸気が反応して、水素を含む改質ガスが生成される。生成された改質ガスは、水素生成装置102の変成器及び浄化器を通過し、一酸化炭素が低減された、燃料ガスとして水素生成装置102より送出される。送出された燃料ガスは、水素生成装置102の浄化器の出口から第1燃料ガス供給経路42aに導入される。
第1燃料ガス供給経路42aに導入された燃料ガスは、第1燃料ガス供給経路42a、燃料電池バイパス経路44、及びオフ燃料ガス経路43(正確には、燃料電池バイパス経路44とオフ燃料ガス経路43との合流部よりも下流側のオフ燃料ガス経路43)を通流して、バーナ102aに供給される。バーナ102aに燃料ガスが供給されるようになると、原料ガス供給器112からバーナ102aへの水素生成装置102をバイパスした直接的な原料ガスの供給が停止される。
次に、水素生成装置102の改質器に設けられた温度検知器(図示せず)が、所定の温度(例えば、500℃)になると、第6開閉弁77及び第9開閉弁81は、その弁を開放し、原料ガスが、パージガス供給経路49及び酸化剤ガス供給経路46(正確には、酸化剤ガス供給経路46の第3開閉弁74よりも下流側の経路)を通流して、燃料電池101の酸化剤ガス流路101bに供給され、燃料電池システム100の停止期間中に燃料ガス流路101aより電解質を介して酸化剤ガス流路101bに侵入した水素が、原料ガスによってパージされる(燃料電池システム100の起動処理時におけるカソードパージ処理)。カソードパージ処理によって、掃気されたカソードパージガス及び原料ガスは、カソードパージガス排出経路50を通流して、バーナ102aに供給され、燃焼される。そして、少なくともカソードパージ処理開始前に酸化剤ガス流路101b内に封入されたガスをバーナ102aに送出させるのに必要な量以上の原料ガスを供給すると、第6開閉弁77及び第9開閉弁81は、閉止し、燃料電池システム100の起動処理時におけるカソードパージ処理を終了する。
そして、水素生成装置102の改質器、変成器、及び浄化器に設けられた温度検知器(それぞれ、図示せず)が所定の温度(例えば、改質器が、600〜650℃、変成器が、200〜250℃、浄化器が130〜170℃)を検知すると、燃料電池システム100の起動処理を終了し、発電処理(発電動作)に移行開始する。
次に、本実施の形態1に係る燃料電池システム100の発電処理(発電動作)について説明する。
まず、制御器110は、水素生成装置102の改質器、変成器、及び浄化器に設けられた温度検知器が検知した温度が、それぞれ所定の温度(例えば、改質器が、600〜650℃内の所定温度、変成器が、200〜250℃内の所定温度、浄化器が130〜170℃内の所定温度)になると、変成器及び浄化器で一酸化炭素が充分に低減されたと判断して、発電処理開始信号を出力する。
すると、第3開閉弁74、第4開閉弁75、及び第5開閉弁76は、それぞれの弁を開放する。また、第1切替器73は、第1ポート73aを第3ポート73cと連通させ、かつ、第2ポート73bを遮断するとともに、酸化剤ガス供給器103の動作を開始させる。
これにより、水素生成装置102で生成された燃料ガスが、第1燃料ガス供給経路42a及び第2燃料ガス供給経路42b(すなわち、燃料ガス供給経路42)を通流して、燃料電池101の燃料ガス流路101aに供給される。また、酸化剤ガス供給器103から酸化剤ガスが、酸化剤ガス供給経路46を通流して、燃料電池101の酸化剤ガス流路101bに供給される。このとき、第1及び第2流量検知器132、134は、それぞれ、第2燃料ガス供給経路42b及び酸化剤ガス供給経路46を通流する燃料ガス及び酸化剤ガスの流量を検知し、検知した流量を制御器110に出力する。
そして、燃料電池101の燃料ガス流路101a及び酸化剤ガス流路101bに供給された燃料ガスと酸化剤ガスは、それぞれ、各セルのアノードとカソードに供給され、電気化学的に反応して水が生成し、電気と熱が発生する。発生した電気は、インバータ118によって、直流電流から交流電流に変換され、燃料電池システム100外の電力負荷に供給される。
燃料電池101で使用されなかった余剰の燃料ガスは、オフガスとしてオフ燃料ガス経路43に供給される。オフ燃料ガス経路43に供給された余剰の燃料ガスは、第1凝縮器114の一次流路114aを通流する間に、燃料ガス中に含まれる水蒸気が凝縮され、水に液化される。そして、第1凝縮器114を通過した余剰の燃料ガスは、オフガスとしてバーナ102aに供給され、上述したように、バーナ102aで燃焼される。一方、第1凝縮器114で分離された水は、オフ燃料ガス経路43を介して、第2凝縮水タンク105Bに供給される。
また、燃料電池101で電気化学反応に使用されなかった余剰の酸化剤ガスは、オフ酸化剤ガス経路47に供給される。オフ酸化剤ガス経路47に供給された余剰の酸化剤ガスは、第2凝縮器115の一次流路115aを通流する間に、酸化剤ガス中に含まれる水蒸気が凝縮され、水に液化される。そして、第2凝縮器115を通過した余剰の酸化剤ガスは、第1凝縮水タンク105Aの排気口を介して、最終的に燃料電池システム100外に排出される。一方、第2凝縮器115で分離された水は、オフ酸化剤ガス経路47を介して、第1凝縮水タンク105Aに供給される。
さらに、第1ポンプ107を動作させることで、燃料電池101の冷却水流路101cに、冷却水タンク104から冷却水経路(正確には、冷却水供給経路51)を介して、冷却水が供給される。具体的には、冷却水は、冷却水タンク104から冷却水供給経路51を通流して、熱交換器106の一次流路106aに供給される。熱交換器106の一次流路106aに供給された冷却水は、熱交換器106の一次流路106aを通流する間に、熱交換器106の二次流路106bを通流する貯湯水と熱交換して冷却される。そして、冷却された冷却水は、冷却水供給経路51を通流して、燃料電池101の冷却水流路101cに供給される。冷却水流路101cに供給された冷却水は、燃料電池101で発生した熱を回収して、燃料電池101を冷却する。燃料電池101の排熱を回収した冷却水は、冷却水排出経路52を通流して、冷却水タンク104に供給される。
一方、貯湯タンク109の下部(ここでは、下端面)から貯湯水経路55に供給された貯湯水は、第1凝縮器114の二次流路114b及び第2凝縮器115の二次流路115abを通流する間に、それぞれ、第1凝縮器114の一次流路114a及び第2凝縮器115の一次流路115aを通流する余剰の燃料ガス及び酸化剤ガスと熱交換して、加熱される。加熱された貯湯水は、熱交換器106の二次流路106bに供給され、該熱交換器106の二次流路106bを通流する間に、熱交換器106の一次流路106aを通流する冷却水と熱交換して、さらに加熱される。そして、加熱された貯湯水は、貯湯水経路55を通流して、貯湯タンク109の上部に供給され、貯湯水供給路54から熱負荷に供給される。
次に、本実施の形態2に係る燃料電池システム100の通常の停止処理(停止動作)について説明する。なお、ここで言う通常の停止処理とは、燃料電池システム100の発電運転中において、異常検知器により異常が検知されることで実行される停止処理(異常停止処理)とは異なる停止処理のことを指す。例えば、電力負荷の電力需要が発電運転を実行する必要のない所定の閾値以下にまで低下することで実行される停止処理や予め設定された停止時刻になることで実行される停止処理等である。
また、本発明においては、停止処理(停止動作)を、制御器110が停止指令を出力してから、燃料電池システム100がその停止処理を完了するまでの動作として定義する。なお、燃料電池システム100の停止処理の完了後は、制御器110は動作していて、制御器110以外の部分の動作は停止しており、起動要求が発生した場合には、制御器110により起動指令が出力され、速やかに起動処理を開始可能な待機状態に移行する。
制御器110が停止指令を出力する場合としては、例えば、使用者の操作によりリモコン120に設けられた停止ボタンによって停止指令が入力されたとき、または電力負荷の電力需要が所定の閾値以下になった(図示されない負荷電力検知器で検出される負荷電力の電力需要が所定の閾値以下となった)ときに、停止指令を出力する。また、燃料電池101の発電の停止は、インバータ118の出力をゼロにするとともに、インバータ118の出口側の電路を電気的に切り離すことによって行われる。
以下、本実施の形態2に係る燃料電池システム100の通常の停止処理(停止動作)について図4A、図4B及び図5に基づき説明する。図4Aは、本発明の実施の形態2の燃料電池システムにおける通常の停止処理の主な動作を示すフローチャートである。図4Bは、本発明の実施の形態2の燃料電池システムにおける通常の停止処理の主な動作を示すフローチャートである。図5は、本発明の実施の形態2の燃料電池システムの通常の停止処理における燃料電池の排熱回収動作を示すフローチャートである。
まず、図4Aに示すように、酸化剤ガス供給器103の動作を停止し、酸化剤ガス流路101bへの酸化剤ガスの供給を停止するとともに(ステップS100)、第3開閉弁74及び第5開閉弁76を閉鎖し、燃料電池101の酸化剤ガス流路101bを外気と遮断する(ステップS101)。
また、第1切替器73は、第1ポート73aを第2ポート73bと連通させ、第3ポート73cを遮断するとともに、第4開閉弁75は、その弁を閉止する(ステップS102)。これにより、第1切替器73の第3ポート73cと第4開閉弁75との間の流路、すなわち、第2燃料ガス供給経路42b、燃料電池101の燃料ガス流路101a、及びオフ燃料ガス経路43の第4開閉弁75までの流路に、燃料ガスが閉じ込められ、外部から燃料ガス流路101aに空気等の混入が抑制され、アノードの劣化を抑制することができる。
また、ブースターポンプ112a、第3ポンプ113及び酸化用空気供給器116が停止して、水素生成装置102に、原料ガス、改質用水及び酸化用空気の供給が停止される(ステップS103)。さらに、第1開閉弁71及び第2開閉弁72は、その弁を閉止する(ステップS104)。
これにより、水素生成装置102への原料ガス、改質用水及び酸化用空気の供給が停止し、水素生成装置102から燃料電池101の燃料ガス流路101aへの燃料ガスの供給が停止する。これに伴い、燃料電池101からのバーナ102aへのオフガスの供給が停止し、バーナ102aでの燃焼が停止する。上記バーナ102aでの燃焼停止に際しては、消火した後において、バーナ102aの燃焼空間に残存するガスを燃焼空気供給器117により供給される空気により筐体111外部に排出する動作が実行され、バーナ102aの燃焼停止処理が完了する。そして、上記一連の動作により燃料電池101へ燃料ガス及び酸化剤ガスの供給は停止されるので発電も停止する。一方、バーナ102aの燃焼停止後において、燃焼空気供給器117により供給された空気により水素生成装置102(改質器16)は空冷され、水素生成装置102の温度が時間経過とともに温度低下する。
次に、水素生成装置102の改質器(図示せず)に設けられた温度検知器(図示せず)の検知温度(ステップS105)がカソードパージ温度以下になると(ステップS106でYes)、第5開閉弁76、第6開閉弁77及び第9開閉弁81を開放するとともに(ステップS107)、第1開閉弁71及び第2開閉弁72を開放し、ブースターポンプ112aの動作を開始する(燃料電池システム100の停止処理時におけるカソードパージ処理の開始)(ステップS108)。ここで、カソードパージ温度とは、停止処理時におけるカソードパージ処理時の水素生成装置102の温度上昇を加算しても改質器に使用される触媒の耐熱温度未満になる温度(例えば、600℃)として定義される。なお、停止処理時におけるカソードパージ処理開始時には、水素生成装置102の改質器内部は、停止直後に当該内部空間に封止された原料ガスと水蒸気とが残存した状態であるため、停止処理時におけるカソードパージ処理時に原料から炭素が析出する可能性は低くなる。
これにより、原料ガス(パージガス)が、原料ガス供給経路41からパージガス供給経路49を通流して、酸化剤ガス供給経路46(正確には、パージガス供給経路49と酸化剤ガス供給経路46との合流部よりも下流側の酸化剤ガス供給経路46)を介して、燃料電池101の酸化剤ガス流路101bに供給される。そして、酸化剤ガス流路101bに存在する酸化剤ガスは、パージガスによりパージされ、オフ酸化剤ガス経路47(正確には、オフ酸化剤ガス経路47の第5開閉弁76の上流側の経路)及びカソードパージガス排出経路50を通流して、バーナ102aに供給される。バーナ102aに供給された酸化剤ガス及び原料ガスは、バーナ102aで燃焼される(ステップS109)。
そして、上記停止処理時におけるカソードパージ処理が開始されてからの経過時間T1の測定を行い(ステップS110)、本経過時間T1がカソードパージ時間J1以上になると(ステップS111でYes)、ブースターポンプ112aを停止し、第1開閉弁71及び第2開閉弁72を閉止し(ステップS112)、第5開閉弁76、第6開閉弁77及び第9開閉弁81を閉止する(燃料電池システム100の停止処理時におけるカソードパージ処理の終了)(ステップS113)。なお、上記カソードパージ時間は、燃料電池101の酸化剤ガス流路101b内の酸化剤ガスが少なくとも酸化剤ガス流路101bから掃気されるのに必要な時間として定義される。
これにより、第3開閉弁74、第6開閉弁77、第5開閉弁76及び第9開閉弁81により形成される閉流路、すなわち、パージガス供給経路49の第6開閉弁77から下流側の経路、酸化剤ガス供給経路46の第3開閉弁74から下流側の経路、酸化剤ガス流路101b、オフ酸化剤ガス経路47の第5開閉弁76、及びカソードパージガス排出経路50の第9開閉弁81までの流路(以下、パージガス封止流路)に、パージガスが閉じ込められ、外部から酸化剤ガス流路101bに空気等の混入が抑制される。
次に、燃料電池システム100の停止処理時におけるカソードパージ処理が終了した後の上記冷却動作中において、水素生成装置102の改質器に設けられた温度検知器は、改質器の温度t1を再検知し(ステップS114)、検知された温度が、待機可能温度(例えば、500℃)以下である場合(ステップS115でYes)、燃焼空気供給器117は、バーナ102aへの燃焼空気の供給を停止する(ステップS116)。なお、上記待機可能温度は、燃料電池システム100が待機状態に移行可能な温度であり、例えば、水素生成装置102に原料ガスのみを供給しても炭素析出することのない上限温度として定義される。
一方、燃料電池システム100の停止処理において、上述の一連の停止処理だけでなく、燃料電池101の冷却系統において、所定の冷却動作(排熱回収動作)が並行して実行される。具体的には、図5に示すように、燃料電池101の発電を停止した後において、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を実行して(ステップS200)、貯湯水は、熱交換器106で冷却水と熱交換して、燃料電池101が保有している余熱を回収する。
そして、制御器110は、改質器に設けられた温度検知器で検知される温度が、カソードパージ温度以下になり、停止処理時におけるカソードパージ処理が開始される場合に(ステップS201)、第1ポンプ107の動作を停止させる(ステップS202)。そして、停止処理時におけるカソードパージ処理が完了すると(ステップS203)、第1ポンプ107の動作を再開し(ステップS204)、図4BのステップS115で改質器の温度t1が待機可能温度以下にまで低下したことを確認し(ステップS205)、図4BのステップS116で燃焼用空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作を停止する際に、併せて第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を停止させる(ステップS206)。
そして、上記水素生成装置102の待機可能温度までの冷却動作及びこの冷却動作に伴い実行される上記燃料電池の冷却動作が完了すると、燃料電池システム100は、待機状態に移行する(図4AのステップS117、図4BのステップS207)。なお、この待機状態とは、次の燃料電池システムの運転開始を待機している状態のことであり、例えば、所定の起動要求が発生した場合に、制御器110より起動指令が出力され、次の起動処理の実行に移行されるような状態として定義される。なお、上記起動要求の例としては、例えば、電力負荷の電力需要が燃料電池システムの発電出力の下限以上になることや、使用者がリモコン120のキー操作部120bを操作して発電開始要求を行うことが挙げられる。
上記待機状態において、水素生成装置102は、燃焼用空気供給器117が停止しているため自然放冷されるが、その際に、図4Aに示すように水素生成装置102の改質器に設けられた温度検知器が改質器の温度t1を再度検知し(ステップS118)、検知した温度t1が上記待機可能温度よりも低いFPパージ温度(例えば、300℃)以下になった場合(ステップS119)、第1開閉弁71、第2開閉弁72、及び第7開閉弁78は、それぞれの弁を開放し、ブースターポンプ112aが起動する(水素生成装置102に対するパージ処理(FP(Fuel Processor)パージ処理)の開始)(ステップS120)。これにより、原料ガス供給器112から水素生成装置102に原料ガス(パージガス)が供給され、水素生成装置102内に設けられた改質器等の反応器に存在する水蒸気等のガスが原料ガスによりパージされ、水素生成装置102より掃気され、バーナ102aに送出される。バーナ102aに送出されたガスは、バーナ102aで燃焼される(ステップS121)。このFPパージ処理により、水素生成装置102内で、水蒸気が結露して、改質触媒等の触媒が劣化するのを抑制することができる。なお、上記第2パージ温度は、水素生成装置102に対する上記FPパージ処理時のバーナ102aでの燃焼動作による改質器の温度上昇分を加算しても、改質器内の原料ガスが炭素析出しない温度として定義される。
そして、上記FPパージ処理を開始してからの経過時間T2を計測し(ステップS122)、この経過時間T2がFPパージ時間J2以上になると(ステップS123)、ブースターポンプ112aを停止し、第1開閉弁71、第2開閉弁72及び第7開閉弁78を閉止する(FPパージ処理の終了)(ステップS124)。なお、上記FPパージ時間は、少なくとも水素生成装置102内の水蒸気が掃気されるのに必要な時間として定義される。
このように、本実施の形態2に係る燃料電池システム100では、正常な状態で運転停止に移行する場合においては、少なくとも燃料電池101の機能を保護する程度の停止処理(例えば、燃料電池システム100の停止処理時におけるカソードパージ処理)を実行し、速やかに待機状態に移行するように構成されている。また、冷却動作を実行するにしても、水素生成装置102が再起動可能な温度状態(つまり、改質器の温度が待機可能温度以下の状態)になるまでの間だけ、排熱回収動作をする等の必要最低限の冷却動作を実行するように構成されている。従って、速やかに待機状態に移行できるとともに、次回の起動処理は、待機状態に移行してからの経過時間によっては、燃料電池101等の機器温度が周囲温度(外気温度)よりも高く、燃料電池101を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮され、システムの起動性が向上する。
なお、本実施の形態2の燃料電池システム100の停止処理においては、水素生成装置102(改質器)の冷却動作、FPパージ処理、燃料電池101のカソードパージ処理、及び燃料電池101の排熱回収動作を実行するよう構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、水素生成装置102(改質器)の冷却動作、FPパージ処理、燃料電池101のカソードパージ処理、及び燃料電池101の排熱回収動作の少なくともいずれか一つを実行しない形態を採用しても構わないし、水素生成装置102(改質器)の冷却動作、燃料電池101の排熱回収動作のそれぞれの停止タイミングを上記フローと異なるタイミングで停止する形態を採用しても構わない。
次に、本実施の形態2に係る燃料電池システム100の各検知器131〜140の検出値に基づき、異常を検知する工程とその後の停止処理(以下、異常検知/停止処理という)について説明する。
まず、本実施の形態2に係る燃料電池システム100における異常検知器により検知される異常のうち、特に、燃料電池システム100の運転停止を伴う異常について、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明における燃料電池システム100の運転停止を伴う異常の例を示す表である。
本発明において、燃料電池システム100の運転停止を伴う異常には、第1の異常と第2の異常とを含んで規定されている。つまり、燃料電池システム100の運転停止を伴う異常は、第1の異常及び第2の異常以外の異常を含んで規定されてもよい。
ここで、第1の異常とは、各検知器131〜140が検知した異常に対応する所定の停止処理を実行することで、メンテナンス作業員がメンテナンス作業を行うことなく、燃料電池システムが待機状態に移行される異常をいう。
また、第2の異常とは、各検知器131〜140の検出値に基づき異常判定器110aが判定した異常に対応する所定の停止処理を実行し、さらに、メンテナンス作業員がメンテナンス作業を行わなければ、燃料電池システムが待機状態に移行できない異常をいう。換言すると、第2の異常は、各検知器131〜140によって異常が検知された後に、実行される停止処理が完了しても、その後、メンテナンス作業員によるメンテナンスが実行されなければ、起動要求が発生しても、起動が許可され、制御器110より起動指令が出力されることはなく、燃料電池システムが起動処理を開始しない異常をいう。ここで、メンテナンスとは、燃料電池システム100が設置されている場所にまで、メンテナンス作業員が来て、燃料電池システム100の異常回復作業や修理等の作業を行うことをいう。
そして、図6に示すように、本実施の形態においては、第1の異常として、冷却水温度異常と第1ポンプ異常を規定している。なお、これらの異常は例示であり、これらの異常の一部を第1の異常として規定してもよく、また、これらの異常以外の異常を第1の異常と規定してもよい。
冷却水温度異常とは、冷却水供給経路51から燃料電池101の冷却水流路101cの上流端に供給される冷却水、又は冷却水流路101cの下流端から冷却水排出経路52に排出される冷却水の温度を温度検知器(ここでは、冷却水流路101cの下流端から冷却水排出経路52に排出される冷却水の温度を検知する温度検知器137)が検知し、検知した温度が過昇温又は過降温したような場合の異常をいう。
また、第1ポンプ異常とは、第1ポンプ107が、正常に作動しないことをいう。例えば、第1ポンプ107にゴミが混入したために、第1ポンプ107は、第1ポンプ107の操作量下限以上で作動するが、第1ポンプ107の動作を検知する回転検知器(図示せず)で、ポンプの回転動作や往復動作に伴うパルス出力が所定時間出力されない場合、つまり、ポンプの動作が所定時間検出されない場合、制御器110は、第1ポンプ107の操作量を増加させる信号を出力する。そして、第1ポンプ107から、この信号に基づいても、パルス出力がないような場合、制御器110は、第1ポンプ107が異常であると判定し、当該異常は、燃料電池システム100の運転停止を伴う異常と判定される。ここで、本異常を第1の異常として扱う理由は、第1ポンプ107のメンテで交換等を必要とする致命的な異常ではなく、ゴミ噛み等の所定の回復処理を実行することで回復可能な異常である可能性もあるからである。なお、上記第1の異常であっても、例えば、同一の異常が、複数回(例えば、3回)/週、又は連続して2回検知されたような場合には、制御器110は、第2の異常として判定する場合がある。
また、図6に示すように、本実施の形態においては、第2の異常として、機器の異常(例えば、冷却水タンク水位検知器の故障、凝縮水タンク水位検知器の故障、流量検知器の故障、冷却水経路に設けられた温度検知器の故障、電圧変換器の故障、換気ファンの故障)、ガス漏れ異常(例えば、燃料ガス流路のガス漏れ異常、酸化剤ガス流路のガス漏れ異常、可燃性ガス漏れ異常)、及び制御器の温度上昇異常が規定されている。なお、これらの異常は例示であり、これらの異常の一部を第2の異常として規定してもよく、また、これらの異常以外の異常を第2の異常と規定してもよい。
冷却水タンク水位検知器の故障が想定される異常としては、例えば、冷却水タンク104より水抜き動作を実行した場合に、水位検知器136で検知される冷却水タンク104の水位が、異常判定時間を経過しても所定の閾値以下にならない異常をいう。このような異常は、フロート式の水位センサでフロートが上側に固着した場合に、起こる可能性があることから水位検知器135の故障が想定される異常として、制御器110は、当該異常を第2の異常と判定する。
凝縮水タンク水位検知器の故障が想定される異常としては、例えば、第1凝縮水タンク105Aより水抜き動作を実行した場合に、水位検知器135で検知される第1凝縮水タンク105Aの水位が、異常判定時間を経過しても所定の閾値以下となる異常が挙げられる。このような異常は、フロート式の水位センサでフロートが上側に固着した場合に、起こる可能性があることから、水位検知器136の故障が想定される異常として、制御器110は、当該異常は第2の異常と判定する。
流量検知器の故障が想定される異常としては、例えば、酸化剤ガス供給器103の操作量に対して第2流量検知器134で検知される酸化剤ガスの流量が許容範囲外(例えば、所定の閾値以下)となる異常、または、第1ポンプ107の操作量に対して第3流量検知器138で検知される流量が、許容範囲外(例えば、所定の閾値以下)となる異常が挙げられる。このような異常は、流量検知器内にゴミ詰まりの場合に起こる可能性があることから、流量検知器の故障が想定される異常として、制御器110は、当該異常は第2の異常と判定する。
電圧変換器(インバータ118)の故障が想定される異常としては、例えば、温度検知器139が検知した制御器110の制御基板等の温度が、許容範囲外(例えば、所定の閾値以上)となる異常が挙げられる。このような異常は、例えば、電圧変換器の回路内でショートが発生した場合に起こる可能性があることから、電圧変換器の故障が想定される異常として、制御器110は、当該異常を第2の異常と判定する。
冷却水経路に設けられた温度検知器の故障が想定される異常としては、例えば、温度検知器137、141がサーミスタである場合、これらの検出値が、ショートや断線を示す値となる異常が挙げられる。制御器110は、当該異常を第2の異常と判定する。
燃料ガス流路のガス漏れ異常とは、例えば、上述したように、燃料電池システム100の停止処理時から発電開始されるまでの間において、第1切替器73の第3ポート73cと第4開閉弁75が閉止され、第2燃料ガス供給経路42b、燃料ガス流路101a、及びオフ燃料ガス経路43に燃料ガスが閉じ込められた状態にあるときに、第1圧力検知器131で検知される上記封止された燃料ガス経路内の圧力が、所定の閾値以下となる異常をいう。このような異常は、例えば、燃料電池101が破損し、燃料ガス流路101aから燃料ガスが漏れ出たような場合や第1切替器73及び/又は第4開閉弁75が故障して、燃料ガスを閉止することができなくなったような場合に起こる可能性があり、これらの場合に燃料電池システム100の停止後に運転を再開しても運転を継続することは困難であることから、制御器110は、当該異常を第2の異常と判定する。
酸化剤ガス流路のガス漏れ異常とは、例えば、上述したように、燃料電池システム100の停止処理時から発電開始される迄の間において、第3開閉弁74と第5開閉弁76が閉止され、パージガス流路に原料ガスが閉じ込められた状態にあるときに、第2圧力検知器133で検知される上記封止された酸化剤ガス経路内の圧力が、所定の閾値以下となる異常をいう。このような異常は、例えば、燃料電池101が破損し、酸化剤ガス流路101bから原料ガスが漏れ出たような場合や第3開閉弁74及び/又は第5開閉弁76が故障して、原料ガスを閉止することができなくなったような場合に起こる可能性があり、これらの場合に燃料電池システム100の停止後に運転を再開しても運転を継続することは困難であることから、制御器110は、第2の異常と判定する。
可燃性ガス濃度異常とは、可燃性ガスセンサ140が可燃性ガスを検知した異常をいう。例えば、燃料電池システム100(パッケージ111)内に可燃性ガスが漏れて、可燃性ガスセンサ140が可燃性ガスを検知した場合が挙げられる。制御器110は、当該異常を第2の異常として判定する。
換気ファンの故障が想定される異常としては、例えば、制御器110が、換気ファン119の動作開始信号を出力後、換気ファン119のファン回転数を検知する回転検知器(図示せず)により回転が検知できない時間が所定時間以上継続する異常が挙げられる。このような異常は、例えば、換気ファン119にゴミ詰まりが発生した場合に起こる可能性があることから、換気ファン119の故障が想定される異常として、制御器110は、当該異常を第2の異常と判定する。
制御器110の温度上昇異常としては、温度検知器139が検知した制御器110の制御基板等の温度が、許容範囲外(例えば、所定の閾値以下)となる異常が挙げられ、制御器110は、当該異常を第2の異常と判定する。
なお、上記で例示したような異常のうち各検知器の故障については、異常判定器110aが、本発明の異常検知器として機能し、上記検知器の故障と異なる異常については、異常判定器110aと当該異常を判定する際の判定対象となる検出値を出力する検知器とが本発明の異常検知器として機能する。
次に、本実施の形態2に係る燃料電池システム100の異常検知及びこれに続き実行される異常停止処理について、図7を参照しながら説明する。
図7は、図2に示す燃料電池システム100における制御器110の記憶部に格納された異常検知による停止処理プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。
まず、燃料電池システム100の発電運転中において、制御器110の演算処理部は、各検知器131〜140から検知された検知値を取得し(ステップS301)、該ステップS301で取得した検知値が、異常であるかを判定する(ステップS302)。異常ではないと判定した場合には、ステップS301に戻り、異常が検知されない限り、ステップS301とステップS302を繰り返して、異常の有無を監視する。一方、異常であると判定した場合には、ステップS303に進む。
ステップS303では、制御器110の制御により異常判定器110aにより判定された異常に対応する停止処理(以下、異常停止処理という)が実行される。そして、この停止処理を完了すると、ステップS304に進む。
ステップS304では、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第1の異常である場合、ステップS305に進み、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第2の異常である場合には、ステップS306に進む。
ステップS305では、上記異常停止処理を完了すると、水素生成装置102は待機状態に移行し、本プログラムを終了する。一方、ステップS306では、燃料電池システム100は起動要求が発生しても起動が許可されない起動不許可状態に移行し、本プログラムを終了する。なお、上記異常停止処理は、各異常に対して同一の停止処理を実行するものでなく、各異常に対応した所定の回復処理が実行される。ただし、各異常に対して共通する冷却動作(水素生成装置102の冷却動作、燃料電池101の排熱回収動作等)が実行される。
ここで、図8を参照しながら、燃料電池システム100の停止を伴う異常の一例である温度検知器137が故障した場合における異常停止処理について説明する。図8は、図7に示す異常検知による停止処理プログラムのフローチャートにおける異常停止処理をさらに詳細に示すフローチャートである。なお、温度検知器137の故障は、第2の異常に属するが、以下の異常停止処理は、第2の異常が検知された場合に限らず、燃料電池100の発電運転停止が必要な異常が検知された場合は、燃料電池101の排熱回収動作及び水素生成装置102の冷却動作について同様に実行されるよう構成されている。つまり、第1の異常が検知された場合においても、燃料電池101の排熱回収動作及び水素生成装置102の冷却動作について同様の処理が実行される。
図8に示すように、温度検知器137の検出値がショートまたは断線を示す値となり、異常判定器110aが燃料電池システム100の停止を伴う異常と判定した場合、通常の停止処理のカソードパージ処理の終了まで(図4AのステップS100〜ステップS113及び図4BのステップS200〜ステップS203まで)は、通常の停止処理と同様の停止動作を行う(ステップS500)。その後、燃焼空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作により改質器の温度t1が待機可能温度以下になった後も、燃焼空気供給器117、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を継続し、水素生成装置102の冷却動作及び燃料電池101の排熱回収動作を継続する(ステップS501)。
そして、上記冷却動作において改質器に設けられた温度検知器により改質器の温度t1を検知し(ステップS502)、上記温度検知器の検知温度t1がFPパージ温度以下になると(ステップS503)、通常の停止処理と同様のFPパージ処理を実行する(ステップS504)。すなわち、図4Bに示すステップS120〜ステップS124を行う。その後、FPパージ処理が完了すると(ステップS505)、制御器110は、燃焼空気供給器117、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を停止させ(水素生成装置102の冷却動作の停止及び燃料電池101の冷却動作の停止)(ステップS506)、燃料電池システム100を起動不許可状態に移行させる(ステップS507)。ここで、起動不許可状態に移行とは、使用者が燃料電池システム100の起動を開始するように、リモコン120を操作しても、制御器110の演算処理部が、上述した燃料電池システム100の起動処理を行うことがない状態にすることをいう。すなわち、本実施の形態2においては、各検知器131〜140により燃料電池システム100の停止を伴う異常が検知された場合においては、制御器110は、使用者がリモコン120のキー操作部120bを操作することにより、起動指令が制御器110の通信部に送信されても、燃料電池システム100の起動処理を許可しないように構成されている。
なお、本実施の形態2においては、異常停止処理においてカソードパージ処理やFPパージ処理を実行するよう構成されているが、異常判定器110aで検知された異常が、ガス漏れ系の異常(例えば、燃料ガス流路のガス漏れ異常、酸化剤ガス流路のガス漏れ異常、可燃ガス漏れ異常)である場合は、パージ処理中に可燃ガスである原料ガスが燃料電池システム100のパッケージ111内に漏洩して危険であるため、これらのパージ処理を実行しないように構成されることが好ましい。
また、通常停止処理及び異常停止処理における燃料電池101の排熱回収動作においては、この動作と並行して図9に示す貯湯水温度の制御が実行される。図9は、本発明の実施の形態2の燃料電池システム100における貯湯制御の概要を示すフローチャートである。
貯湯水温度の制御は、貯湯タンク109内には貯湯下限温度(例えば、60℃)以上の温水が貯えられるよう制御するものである。具体的には、図9に示すように、温度検知器141により熱交換器106を通過後の貯湯水の温度t3を検知し(ステップS600)、この貯湯水の温度t3が、貯湯下限温度以上である場合には(ステップS601でYes)、制御器110は、貯湯タンク109側に貯湯水が流入するように第2熱媒体切替器206を制御する(ステップS602)。一方、この貯湯水の温度t3が、貯湯下限温度未満である場合には(ステップS601でNo)、制御器110は、貯湯バイパス経路207側になるよう第2熱媒体切替器206を制御する(ステップS603)。
ここで、異常停止処理と通常停止処理を比較すると、異常停止処理では、改質器の温度が待機可能温度以下になってから改質器の温度がFPパージ処理可能な温度(FPパージ温度以下の温度)になるまでの期間において、通常停止処理のように自然放冷により水素生成装置102が冷却するのを待つのではなく、燃焼空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作及び第1ポンプ107及び第2ポンプ108による燃料電池101の排熱回収動作を継続し、水素生成装置102及び燃料電池101をより速やかに冷却する。
このため、本実施の形態2に係る燃料電池システム100では、異常停止処理は、通常停止処理の場合に比して、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなる停止処理が実行されるので、燃料電池システム100内の機器温度が、メンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温され、メンテナンス作業の着手が迅速化される。一方、メンテナンス作業の必要のない通常の停止処理の場合は、上記強制停止処理時に比して、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が抑制されるので、次回起動時において、システムを構成する機器(例えば、水素生成装置102、燃料電池101等)を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
なお、上述の本実施の形態2の燃料電池システム100においては、異常停止処理時においてFPパージ処理が完了するまで水素生成装置102(改質器16)の冷却動作及び燃料電池101の排熱回収動作が実行されたが、本例に限定されるものではなく、異常停止処理時の方が、通常の停止処理時よりも水素生成装置102の冷却量及び燃料電池101の排熱回収量が増加するのであればいかなる形態であっても構わない。
また、本実施の形態2においては、異常停止処理では、通常停止処理の場合に比して、燃焼空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作時間及び第1ポンプ107及び第2ポンプ108による燃料電池101の排熱回収動作時間を多くなるように制御することで、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなるよう制御したが、これに限定されず、燃焼空気供給器117により供給される燃焼空気量、熱交換器106を通流する冷却水量及び貯湯水量の少なくともいずれか一方が多くなるよう制御する形態を採用しても構わない。具体的には、燃焼空気供給器117により供給される燃焼空気量を増加させるために燃焼空気供給器117の操作量を通常の停止処理における水素生成装置102の冷却動作時よりも増加させる形態を採用できる。
また、熱交換器106を通流する冷却水量及び貯湯水量を増加させるために、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の操作量を通常の停止処理における燃料電池の排熱回収動作時よりも増加させる形態を採用できるが、これに限定されるものではない。例えば、図2に示すように、第1流量調整器が、第1ポンプ107と、燃料電池101を通過後の冷却水が熱交バイパス経路208と熱交換器106とのそれぞれに流入する流量を調整する流量調整器(例えば、混合弁209)と、で構成される場合、混合弁209を制御して、熱交換器106側に流入する冷却水量を増加させる形態を採用しても構わない。なお、この場合、制御器110は、上記混合弁209の制御とともに、第1ポンプ107の操作量を維持または増加させるように、第1ポンプ107を制御する。
また、上述の本実施の形態2に係る燃料電池システム100においては、異常停止処理は、第1の異常が検知された場合や第2の異常が検知された場合に限らず、燃料電池システムの発電運転を停止することが必要な異常が検知された場合には、通常の停止処理に比して、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなる停止処理が実行される形態を採用した。しかしながら、停止処理完了後にメンテナンス作業を必要としない第1の異常が検知された際の異常停止処理については、通常の停止処理と同様の燃料電池101の排熱回収動作及び水素生成装置102の冷却動作を実行する形態を採用しても構わない。これにより、第1の異常が検知された場合の異常停止処理においては、メンテナンス作業への移行性を向上させるための燃料電池101の排熱回収動作や水素生成装置102の冷却動作が実行されない。従って、次回起動時において、システムを構成する機器(例えば、水素生成装置102、燃料電池101等)を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、燃料電池システム100の起動性が向上する。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの概略構成を示す模式図である。
図10に示すように、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システム100は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、水素生成装置102に代えて燃料ガス供給器200、燃料電池101のアノード流路及びカソード流路から排出された燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて燃焼するバーナ205を備える点において異なる。なお、上記燃料ガス供給器は、例えば、水素インフラや水素ボンベ等の燃料ガス源から供給される燃料ガスの流量を制御する流量制御器であり、流量調整弁や、昇圧器と流量調整弁を組合せた構成等が使用される。
本実施の形態3に係る燃料電池システム100は、通常の発電運転時において、燃料ガス供給器200から供給される水素を含む燃料ガスと酸化剤ガス供給器103から供給される酸化剤ガスを用いて燃料電池101が発電する。そして、上記発電運転時において、制御器110の制御により第1ポンプ107及び第2ポンプ108を動作させることで、燃料電池101の排熱は、第1ポンプ107の動作により循環する冷却水経路204内の冷却水により回収される。そして、冷却水により回収された熱は、熱交換器106を介して第2ポンプ108の動作により循環する貯湯水経路55内の貯湯水により回収され、貯湯タンク109内に温水として貯えられる。なお、上記発電運転時においては当然、燃料電池101の上流及び下流の燃料ガス経路202上に、それぞれ設けられた第8開閉弁201、第7開閉弁78は開放されるとともに、燃料電池101の上流及び下流の酸化剤ガス経路203上に、それぞれ設けられた、第3開閉弁74及び第5開閉弁76も開放されている。また、熱交換器106は、放熱器の一例であり、熱交換器106に代えて、実施の形態2と同様に空冷により燃料電池の冷却水を冷却する形態を採用しても構わない。また、この場合、冷却水の冷却量は、冷却水の放熱器への流入量及び空冷ファンの操作量の少なくともいずれか一方により調整される。
次に、上記燃料電池システム100の通常の停止処理について、図11に基づいて説明する。図11は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムにおける通常の停止処理の主な動作を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、制御器110により停止指令が出力されると、制御器110は、燃料ガス供給器200、酸化剤ガス供給器103による燃料電池システム100への燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を停止し、燃料ガス経路202上の第8開閉弁201及び第5開閉弁76と酸化剤ガス経路上の第3開閉弁74及び第7開閉弁とをそれぞれ閉止させる。また、制御器110は、インバータ118の動作も停止させ、燃料電池101の発電運転を停止する。
そして、燃料電池101の発電停止後において、燃料電池101に残存する余熱を熱回収するため燃料電池システム100の発電運転時と同様に第1ポンプ107及び第2ポンプ108を動作させ、燃料電池の排熱回収動作を実行する(ステップS700)。この排熱回収動作においては、燃料電池システム100の発電運転時と同様に、温度検知器141で検知される温度が貯湯タンク109に貯えることが可能な下限温度(貯湯下限温度:例えば、60℃)以上になるように、制御器110は、温度検知器141の検知温度に基づいて第2ポンプ108の操作量を制御して貯湯水の流量を制御する。
そして、上記排熱回収動作中において温度検知器137により燃料電池101を通過してから熱交換器106に流入するまでの間の冷却水経路204内を流れる冷却水の温度(冷却水温度t2)を検知し(ステップS701)、温度検知器137の検知温度が上記貯湯下限温度以上の温度である貯湯可能温度(例えば、63℃)未満になった場合、制御器110は、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を停止させ、停止処理を完了するとともに燃料電池システム100を待機状態に移行する。なお、本実施の形態3においては、温度検知器137で検知した冷却水の温度を燃料電池101の温度としてみなしているが、これに限定されず、例えば、燃料電池101の温度を直接、温度検知器で検知するようにしてもよい。また、本実施の形態においては、温度検知器137で検知した冷却水の温度に基づいて、第1流量制御器(第1ポンプ107)の操作量を制御することで、燃料電池101を冷却している。また、上記フローにおいては、燃料電池101の温度が貯湯可能温度未満になるまで燃料電池101の排熱回収動作を実行するよう構成されているが、本例に限定されるものではなく、上記排熱回収動作を実行しない形態を採用しても構わない。
次に、燃料電池システム100の発電運転時において、各検知器131〜140で検知された検出値に基づき異常判定器110aにより異常と判定された場合における燃料電池システム100の異常停止処理の一例について、図12に基づき説明する。図12は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムにおける異常停止処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の異常停止処理は、図6に示される第1の異常及び第2の異常が検知された場合に限らず、燃料電池100の発電運転停止が必要な異常が検知された場合に、燃料電池101の排熱回収動作及び水素生成装置102の冷却動作について同様に実行されるよう構成されている。
図12に示すように、まず、異常判定器110aにより燃料電池システム100の停止を伴う異常に属する所定の異常が発生したと判定された場合、各異常に対応する異常停止処理が実行される。本例においては、制御器110の制御により停止指令が出力され、通常の停止処理と同様に燃料ガス供給器200及び酸化剤ガス供給器103からの燃料ガス及び酸化剤ガスの供給が停止される。さらに、制御器110の制御により燃料ガス経路202上の第8開閉弁201及び第5開閉弁76と酸化剤ガス経路上の第3開閉弁74及び第7開閉弁78とがそれぞれ閉止される。
そして、上記のように燃料電池101への燃料ガス及び酸化剤ガスの供給を停止して、燃料電池101の発電を停止した後において、通常の停止処理と同様に燃料電池101に残存する余熱を熱回収するため第1ポンプ107及び第2ポンプ108を動作させ、燃料電池101の排熱回収動作を実行する(ステップS800)。そして、上記排熱回収動作中において温度検知器137により燃料電池101を通過し熱交換器106に流入するまでの間の冷却水経路204内の冷却水の温度を計測し(ステップS801)、冷却水温度t2が、熱交換器106を介して冷却水から貯湯水に伝熱可能であるような温度(排熱回収可能温度:例えば、40℃)未満になると(ステップS802)、制御器110により第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を停止させ(ステップS803)、停止処理を完了するとともに、燃料電池システム100を起動不許可状態に移行させる(ステップS804)。
なお、上記排熱回収可能温度は、上記貯湯可能温度よりも低く市水温度よりも高い温度として設定される。また、上記ステップS701、S702の判定条件は、熱交換器106を介して冷却水から貯湯水に伝熱可能な状態であるか否かを判定可能な条件であれば任意の判定条件でよく、例えば、温度検知器137の検知温度と熱交換器106に流入する貯湯水の温度を検知する温度検知器141の検知温度と差が0よりも大きい所定の閾値以下であるか否かに基づき判断してもよい。
また、上記通常停止処理及び異常停止処理における排熱回収動作においては、この動作と並行して、実施の形態2で説明した貯湯制御(図9参照)が同様に実行され、貯湯タンク109内には貯湯下限温度以上の温水が貯えられるよう制御される。さらに、図12に示す異常停止処理時における燃料電池101の排熱回収動作は一例であり、これに限定されるものではなく、異常停止処理時の方が通常の停止処理よりも燃料電池101の冷却量が増加する形態であれば、いずれの形態であっても構わない。例えば、実施の形態2で説明した燃料電池システム100の異常停止処理時の燃料電池101の排熱回収動作(図8参照)に代えて実施する形態を採用しても構わない。
このように本実施の形態3に係る燃料電池システムにおいては、異常停止処理は、通常処理に比べ冷却水温度がより低くなるまで燃料電池101の排熱回収動作が継続されるため、燃料電池101及び燃料電池101に通流する流体が流れる機器の温度(冷却水経路204、熱交換器106等)をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることができる。一方、メンテナンス作業の必要のない通常の停止処理の場合は、上記異常停止処理時に比して、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が抑制されるので、次回起動時において、燃料電池101を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
また、上述の本実施の形態3に係る燃料電池システム100においては、実施の形態2に係る燃料電池システム100と同様に、異常停止処理は、第1の異常が検知された場合や第2の異常が検知された場合に限らず、燃料電池システムの発電運転を停止することが必要な異常が検知された場合には、通常の停止処理に比して、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなる停止処理が実行される形態を採用している。しかしながら、停止処理完了後にメンテナンス作業を必要としない第1の異常が検知された際の異常停止処理については、通常の停止処理と同様の燃料電池101の排熱回収動作及び水素生成装置102の冷却動作を実行する形態を採用しても構わない。これにより、第1の異常が検知された場合の異常停止処理においては、メンテナンス作業への移行性を向上させるための燃料電池101の排熱回収動作や水素生成装置102の冷却動作が実行されない。従って、次回起動時において、システムを構成する機器(例えば、水素生成装置102、燃料電池101等)を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、燃料電池システム100の起動性が向上する。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る燃料電池システム100は、実施の形態3に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、制御器110が、発電運転時において、燃料電池101の温度に基づいて熱交換器106を通過する冷却水の通流量を制御する点を新たな特徴とする。具体的には、制御器110は、発電運転時において、冷却水経路(ここでは、冷却水排出経路52)に設けられた温度検知器137が検知した温度に基づいて、温度検知器137の検知温度が、燃料電池101を通過した冷却水温度よりも低い所定の温度になるよう熱交換器106を通過する冷却水の通流量を制御する点を新たな特徴とする。上記通流量の制御については、第1流量制御器が、第1ポンプ107で構成される場合、第1ポンプの操作量によりこれを制御している。また、第1流量制御器が、第1ポンプ107及び燃料電池101を通過後の冷却水が熱交バイパス経路208と熱交換器106とのそれぞれ流入する流量を調整する流量調整器(例:混合弁209)で構成される形態を採用し、第1ポンプ107及び流量調整器の操作量により、上記通流量を制御しても構わない。
また、本実施の形態4に係る燃料電池システム100は、異常停止処理時において、上記通流量が発電運転時における通流量よりも大きくなるよう第1流量制御器を制御することを特徴とする。具体的には、制御器110は、第1ポンプ107の操作量を、燃料電池システム100の発電運転時の操作量よりも大きい所定の操作量となるように制御する(以下、強制冷却動作と称する)点と、強制冷却動作時において、熱交換器106を通過した、貯湯水が貯湯バイパス経路に流入するよう第2熱媒体切替器206を制御する点と、が実施の形態3に係る燃料電池システム100と異なる。以下、図13を参照しながら、本実施の形態4に係る燃料電池システム100の異常停止処理について説明する。
図13は、本発明の実施の形態4の燃料電池システム100における異常停止処理の一例を示すフローチャートである。
図13に示すように、本実施の形態4に係る燃料電池システム100の異常停止処理では、燃料電池101の発電停止後において第1ポンプ107及び第2ポンプ108を動作させ、燃料電池101の排熱回収動作を継続させる(ステップS800)。この排熱回収動作においては、発電運転時と同様に温度検知器137の検知温度が上記所定の温度になるよう第1ポンプ107の操作量を制御している。すなわち、ステップS800が、燃料電池101の温度を考慮して第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を制御する第1の冷却工程となる。なお、ここでは、温度検知器137で検知された冷却水の温度を燃料電池101の温度とみなしている。
その後、温度検知器137の検知温度が上記貯湯下限温度以上の温度である貯湯可能温度(例えば、63℃)未満になると(ステップS800bでYes)、制御器110は、温度検知器137で検知される温度に拘わらず、熱交換器106を通過する冷却水の通流量が所定値以上になるよう第1流量制御器を制御する強制冷却動作に移行する。例えば、強制冷却動作時の冷却水の通流量が、発電運転時の平均通流量よりも大きい値になるよう第1流量制御器を制御することが好ましい。具体的には、制御器110が、第1ポンプ107の操作量を発電運転時の平均操作量よりも大きい所定の操作量となるように制御する(ステップS800c)。すなわち、ステップS800cが、燃料電池101の温度に拘わらず第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を所定値よりも増加する第2の冷却工程となる。
なお、上記発電運転時の平均通流量は、例えば、第3流量検知器138で検知された流量と検知間隔との積の発電運転時における総和を発電運転時間で除した値となる。ここで、図3に示すように熱交換器をバイパスする経路208を設ける場合は、上記第3流量検知器138の検知流量と流量検知した時点における混合弁209の開度とに基づき熱交換器106を通流する冷却水の流量を算出し、この算出値と検知間隔との積の発電運転時における総和を発電運転時間で除すことで、上記平均通流量が求められる。また、上記発電運転時の平均操作量は、例えば、制御器110から第1ポンプ107へ出力指令される操作量と指令間隔との積の発電運転時における総和を発電運転時間で除した値となる。
ステップS801以降は、実施の形態3に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様に、温度検知器137の温度が排熱回収可能温度未満になるまで上記強制冷却動作が継続される。これにより、異常停止処理時の排熱回収動作時において上記強制冷却動作を実施しない場合に比して、燃料電池101の排熱回収動作をより迅速化することができる。また、上記ステップS800においては、通常の発電運転時と同様の排熱回収動作の実行の是非を判断する際に、温度検知器137の検知温度を用いたが、他の条件で継続の是非を判断しても構わない。例えば、異常停止処理開始後の燃料電池101の排熱回収動作の経過時間を、時計部により計測し、本経過時間が、所定時間J3以上になると、強制冷却動作に移行するよう制御しても構わない。
一方、制御器110は、上記強制冷却動作において、貯湯バイパス経路207側に貯湯水が流入するように第2熱媒体切替器206を制御する。これは、以下の理由による。熱交換器106を通流する冷却水の流量を上昇させることで、燃料電池101がより速やかに冷却され、ひいては、冷却水経路を通流する冷却水がより低い温度となる。これにより、熱交換器106を通過後の貯湯水温度が、貯湯下限温度未満となり易くなる。このため、貯湯水下限温度未満の貯湯水が、貯湯タンク109に供給されるのを抑制するように、制御器110は第2熱媒体切替器206を制御する。ただし、強制冷却動作における、貯湯バイパス経路207側への切替制御は、強制冷却動作時において、常に本制御を実施することを意味するものでなく、貯湯タンク109側に適宜切替える場合も含むものとする。例えば、熱交換器106通過後の貯湯水温度が、貯湯下限温度よりも高い場合に、貯湯タンク109側に適宜切替る場合も含む。
なお、冷却水経路に図3に示すようなバイパス経路208を有する場合、制御器110は、上記強制冷却動作において、混合弁209の熱交換器106側への開度が、発電運転時における平均開度よりも大きくなるよう制御してもよい。また、制御器110は、発電運転時と同様の排熱回収動作(ステップS800〜S800b)を経ずに、異常停止処理の開始に伴い、強制冷却動作(ステップS800c)を開始してもよい。この場合、制御器110は、異常停止処理時は、燃料電池101の温度に拘わらず強制的に第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を所定値よりも増加するよう制御することとなる。また、本実施の形態4に係る燃料電池システム100においても、上記実施の形態3に係る燃料電池システム100と同様に、制御器110は、通常の停止処理時には、温度検知器137で検知した冷却水の温度に基づいて、第1流量制御器(第1ポンプ107)の操作量を制御することで、燃料電池101を冷却する。したがって、本実施の形態4においては、制御器110は、通常の停止処理時には、温度検知器137で検知した冷却水の温度に基づいて、第1流量制御器(第1ポンプ107)の操作量を制御することで、燃料電池101を冷却し、異常停止処理時には、燃料電池101の温度(温度検知器137で検知した冷却水の温度)に拘わらず強制的に第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を所定値よりも増加するよう制御する。
また、本実施の形態4に係る燃料電池システム100においては、実施の形態2で示した燃料電池101の排熱回収動作(図5参照)に代えて、図12に示す燃料電池101の排熱回収動作を実施する形態を採用しても構わない。なお、上記発電運転時の平均開度は、例えば、制御器110から第1ポンプ107へ出力指令される開度と指令間隔との積の発電運転時における総和を発電運転時間で除した値となる。
このように構成された本実施の形態4に係る燃料電池システム100では、異常停止処理において、熱交換器106を通過する冷却水の流量を、発電運転時の平均通流量よりも大きい所定の通流量となるように第1流量制御器を制御することで、燃料電池101及び燃料電池101に通流する流体が流れる機器の温度(例えば、冷却水経路204、熱交換器106等)をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることができる。
なお、本実施の形態4に係る燃料電池システム100は、実施の形態3に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作(燃料電池システム100の発電運転等の諸動作)を異なるように構成したが、これに限定されず、実施の形態2に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作を上述したように構成してもよい。
(実施の形態5)
図14は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池システム100における異常停止処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態5に係る燃料電池システム100は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、図14に示すように、異常停止処理が異なる。
具体的には、本実施の形態5に係る燃料電池システム100の異常停止処理では、燃料電池101の発電停止後において、第1ポンプ107及び第2ポンプ108を動作させ、燃料電池101の排熱回収動作を実行する(ステップS800)。この排熱回収動作においては、発電運転時と同様に温度検知器137の検知温度が上記所定の温度になるよう第1ポンプ107の操作量を制御している。すなわち、ステップS800が、燃料電池101の温度を考慮して第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を制御する第1の冷却工程となる。なお、ここでは、温度検知器137で検知された冷却水の温度を燃料電池101の温度とみなしている。
その後、カソードパージ処理開始までは、上記排熱回収動作を実行し、カソードパージ処理完了後、制御器110は、温度検知器137で検知される温度に拘わらず、熱交換器106を通過する冷却水の通流量が所定値以上になるよう第1流量制御器を制御する強制冷却動作に移行する。例えば、強制冷却動作時の冷却水の通流量が、発電運転時の平均通流量よりも大きい値になるよう第1流量制御器を制御することが好ましい。具体的には、制御器110は、第1ポンプ107の操作量を発電運転時の平均操作量よりも大きい所定の操作量となるように制御する(ステップS800c)。すなわち、ステップS800cが、燃料電池101の温度に拘わらず第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を所定値よりも増加する第2の冷却工程となる。
これにより、異常停止処理時の排熱回収動作時において上記強制冷却動作を実施しない場合に比して、燃料電池101の冷却量が、通常の停止時よりも多くなるため、燃料電池101の排熱回収動作をより迅速化することができる。
なお、ステップS801以降は、実施の形態2に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様にFPパージ処理が完了するまで上記強制冷却動作が行われる。
このように構成された本実施の形態5に係る燃料電池システム100では、実施の形態4に係る燃料電池システム100よりも、燃料電池101及び燃料電池101に通流する流体が流れる機器の温度(冷却水経路204、熱交換器106等)をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることができる。
なお、本実施の形態5に係る燃料電池システム100は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作(燃料電池システム100の発電運転等の諸動作)を異なるように構成したが、これに限定されず、実施の形態3に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作を上述したように構成してもよい。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムは、燃料電池の発電停止後、封止された燃料電池の反応ガス経路内の圧力低下に伴い、反応ガス経路内にガスを補給する補圧動作を実行するよう構成されており、制御器が、異常停止処理時の方が、通常停止処理時よりも補圧動作の頻度を増加する態様の一例を示すものである。
ところで、燃料電池システム100は、停止処理時において、通常、燃料電池101のガス流路(燃料ガス流路101a、酸化剤ガス流路101b)の入口及び出口を閉止して、ガス流路を閉空間とするための封止動作が実行されるよう構成されている。しかしながら、停止処理を行う際に、燃料電池システム100を構成する機器の温度の低下に伴って、ガス流路内の圧力が低下して、過剰に負圧になり、電解質等の構成部材にダメージを与える可能性がある。そこで、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システム100では、ガス流路内の圧力が、燃料電池101の耐負圧限界値よりも大きい所定の圧力閾値P1以下となった場合に、ガス流路(燃料ガス流路101a、酸化剤ガス流路101b)内にガスを補給する補圧処理を実施するように構成されている。
また、本実施の形態6に係る燃料電池システム100においては、異常停止処理時における燃料電池101の排熱回収動作において、通常の停止処理時における燃料電池101の排熱回収動作よりも単位時間当たりの冷却量を増加させるように構成されている。従って、通常停止処理時よりも燃料電池101の温度の低下速度が速く、圧力低下も速くなるため、上記補圧処理の頻度を通常の停止処理における補圧処理の頻度よりも増加させるように構成されている。以下に、その詳細について説明する。
まず、本実施の形態6に係る燃料電池システム100の構成は、図10に示す実施の形態3に係る燃料電池システム100と同様の構成である。また、通常の停止処理については、実施の形態3と同様に燃料電池101の排熱回収動作が実行されるとともに、さらに、補圧処理が実行される。なお、補圧処理については後述する。
また、本実施の形態6に係る燃料電池システム100における燃料電池101の排熱回収動作は、実施の形態3に係る燃料電池システム100の排熱回収動作(図11参照)と同じであるが、排熱回収動作において、熱交換器106を通流する冷却水の流量が、温度検知器137で検知される温度が燃料電池101を通過した冷却水温度よりも低い所定の温度になるように、制御器110が、第1ポンプ107の操作量を制御する。
次に、本実施の形態6に係る燃料電池システム100の補圧処理について、図15を参照しながら説明する。図15は、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システム100において実行される補圧処理の一例を示すフローチャートである。
図15に示すように、停止処理開始後、燃料電池101のガス流路(燃料ガス流路101a及び酸化剤ガス流路101b)の封止動作が実行される(ステップS900)。次に、燃料電池101内のガス流路内の圧力値を検知し、本圧力値が、上記所定の圧力閾値P1以下である場合(ステップS901でYes)に、ガス流路内にガスが供給され、補圧される(ステップS902)。そして、再び、燃料電池101内のガス流路内の圧力値が検知され、本圧力値が、大気圧以上である場合に、ガス流路内へのガスの供給を停止し、ガス流路の外気との連通が遮断され、補圧処理が終了する。
具体的には、燃料ガス流路101aの場合は、燃料ガス流路101aの入口及び出口に設けられた、第8開閉弁201及び第7開閉弁78が閉止され、封止動作が実行される(ステップS900)。ついで、制御器110は、第1圧力検知器131で検知された圧力値が、上記所定の圧力閾値P1(例えば、大気圧に対して−5kPa)以下である場合(ステップS901でYes)に、第7開閉弁78を閉止したまま、第8開閉弁201を開放させ、燃料ガス供給器200を制御して、ガスを補給させる(ステップS902)。そして、制御器110は、第1圧力検知器131で検知された圧力値を取得して、該取得した圧力値が大気圧以上になった場合に、燃料ガス供給器200から燃料ガス流路101aへのガスの供給を停止させ、第8開閉弁201を閉止し、補圧動作を停止する。
一方、酸化剤ガス流路101bの場合も同様に、酸化剤ガス流路101bの入口及び出口に設けられた、第3開閉弁74及び第5開閉弁76が閉止され、封止動作が実行される(ステップS900)。ついで、制御器110は、第2圧力検知器133で検知した圧力値が、上記所定の圧力閾値P1(例えば、大気圧に対して−5kPa)以下である場合(ステップS901でYes)に、第5開閉弁76を閉止したまま、第3開閉弁74を開放させ、酸化剤ガス流路101b内に外気を導入して、酸化剤ガス流路101b内を補圧する(ステップS902)。そして、制御器110は、第2圧力検知器133で検知された圧力値を取得して、該圧力値が、大気圧と同等になった場合に、第3開閉弁74を閉止し、補圧動作を停止する。
そして、制御器110は、上記補圧動作実行後もステップS901を定期的(例えば、30sec毎)に実行し、ガス流路内の圧力値が、補圧が必要なレベルにまで低下すれば適宜上記補圧処理を実行する。
なお、上記補圧処理の実行を判断する際に、ガス経路内の圧力を直接検知する圧力検知器(第1圧力検知器131、第2圧力検知器133)を用いたが、この圧力と相関する上記ガス流路内の温度検知器(例えば、温度検知器143等)の検知温度、時計部で計測された上記圧力と相関する停止処理開始後の経過時間に基づき上記補圧動作を実行する形態を採用しても構わない。
次に、本実施の形態6に係る燃料電池システム100における異常停止処理について説明する。上記異常停止処理は、実施の形態3に係る燃料電池システム100における燃料電池101の排熱回収動作と同様のフロー(図11参照)で実施されるが、熱交換器106を通流する冷却水の流量が、通常の停止処理の場合よりも大きくなるように制御される。具体的には、実施の形態4に係る燃料電池システム100と同様に、本実施の形態6に係る燃料電池システム100の制御器110は、温度検知器137で検知される温度に拘わらず、熱交換器106を通過する冷却水の通流量が所定値以上になるように第1流量制御器を制御する、強制冷却動作を実行する。この場合、例えば、制御器110は、強制冷却動作時の冷却水の通流量が、発電運転時の平均通流量よりも大きい値になるように第1流量制御器を制御することが好ましい。具体的には、制御器110が、第1ポンプ107の操作量を発電運転時の平均操作量よりも大きい所定の操作量となるように制御する。なお、発電運転時の平均通流量及び平均操作量は、実施の形態4と同様の算出値が例示される。
上記のように異常停止処理時において、制御器110が、通常の停止処理よりも燃料電池101の冷却速度が上昇するよう排熱回収動作を実行するので、燃料電池101の温度の低下が通常の停止処理時よりも迅速化され、ガス経路内が補圧が必要なレベルにまで低下する頻度が上昇する。従って、本実施の形態6に係る燃料電池システム100の異常停止処理においては、通常の停止処理よりも高い頻度で上記補圧動作を実行することにより、燃料電池101のガス流路内の過剰な負圧化が抑制され、燃料電池101が保護される。
なお、本実施の形態6に係る燃料電池システム100は、実施の形態3に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作(燃料電池システム100の発電運転等の諸動作)を異なるように構成したが、これに限定されず、実施の形態2に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作を上述したように構成してもよい。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る燃料電池システムは、原料を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する改質器と、改質器を加熱する燃焼器と、燃焼器に燃焼空気を供給する燃焼空気供給器と、を有する水素生成装置を備え、制御器が、異常検知器により水素生成装置に関係する異常以外の燃料電池に関係する異常が検知され実行される異常停止処理においては、通常停止処理時よりも燃料電池の冷却量が増加するよう第1流量制御器を制御するとともに、改質器の冷却量は通常停止処理時と同等になるよう燃焼空気供給器を制御する態様の一例を示すものである。
ここで、「水素生成装置に関係する異常」とは、水素生成装置を構成する機器に関係する異常を指す。例えば、原料ガス流量の異常、改質器の温度異常、バーナの燃焼異常等が例示される。
ここで、「水素生成装置に関係する異常以外の燃料電池に関係する異常」とは、水素生成装置以外で燃料電池の発電運転に関係する機器の異常を指す。例えば、冷却水の温度異常、酸化剤ガスの流量異常、冷却水タンクの水位異常、凝縮水タンクの水位異常等が例示される。
本発明の実施の形態7に係る燃料電池システム100は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、各検知器131〜140の検出値に基づき異常を検知後の停止処理が、実施の形態2に係る燃料電池システム100と異なる。具体的には、制御器110は、燃料電池101の排熱回収動作については、上述した実施の形態2に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様に行い、一方、水素生成装置102の冷却動作については、通常の停止処理と同様に行う。以下、図16を参照しながら説明する。
図16は、本実施の形態7に係る燃料電池システム100の異常停止処理を示すフローチャートである。
図16に示すように、異常判定器110aが燃料電池システム100の停止を伴う異常と判定した場合、通常の停止処理のカソードパージ処理の終了まで(図4AのステップS100〜ステップS113及び図4BのステップS200〜ステップS203まで)は、通常の停止処理と同様の停止動作を行う(ステップS500)。その後、燃焼空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作により改質器の温度t1が待機可能温度以下になると、燃焼空気供給器117の動作を停止し、水素生成装置102の冷却動作を停止する。一方、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を継続し、燃料電池101の排熱回収動作を実行する(ステップS501a)。
そして、上記冷却動作において改質器に設けられた温度検知器により改質器の温度t1を検知し(ステップS502)、上記温度検知器の検知温度t1が第2パージ温度以下になると(ステップS503)、通常の停止処理と同様のFPパージ処理を実行する(ステップS504)。すなわち、図4Bに示すステップS120〜ステップS124を行う。その後、FPパージ処理が完了すると(ステップS505)、制御器110は、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を停止させ(ステップS506a)、燃料電池システム100を起動不許可状態に移行させる(ステップS507)。
このように本実施の形態7に係る燃料電池システム100では、異常停止処理は、通常停止処理の場合に比して、燃料電池101の冷却量が多くなる停止処理が実行されるので、メンテナンス作業を行う燃料電池システム100内の機器温度が、メンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温され、メンテナンス作業の着手が迅速化される。また、水素生成装置102については、改質器の冷却を通常の停止処理と同様に、改質器の温度t1が待機可能温度以下になると、燃焼空気供給器117の動作を停止して、自然放冷により、改質器を含む水素生成装置102を冷却する。すなわち、改質器の冷却量が通常停止処理と同等になるように燃焼空気供給器117を制御することで、メンテナンス作業の必要のない水素生成装置102の冷却量が抑制されるので、次回起動時において、水素生成装置102を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
一方、メンテナンス作業の必要のない通常の停止処理の場合は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施の形態7に係る燃料電池システム100は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作(燃料電池システム100の発電運転等の諸動作)を異なるように構成したが、これに限定されず、実施の形態3に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作を上述したように構成してもよい。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係る燃料電池システムは、原料を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する改質器と、改質器を加熱する燃焼器と、燃焼器に燃焼空気を供給する燃焼空気供給器と、を有する水素生成装置を備え、制御器は、異常検知器により水素生成装置に関係する異常が検知された場合は、通常停止処理時よりも改質器の冷却量が増加するよう燃焼空気供給器を制御するとともに、燃料電池の冷却量は通常停止処理時の同等になるよう第1流量制御器を制御する態様の一例を示すものである。
ここで、「水素生成装置に関係する異常」とは、水素生成装置を構成する機器に関係する異常を指す。例えば、原料ガス流量の異常、改質器の温度異常、バーナの燃焼異常等が例示される。
本発明の実施の形態8に係る燃料電池システム100は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と各検知器131〜145の検出値に基づき異常を検知後の停止する工程とその後の異常検知/停止処理が異なる。具体的には、水素生成装置102に関係する異常が検知された場合の異常停止処理が異なる。
ここで、図17を参照しながら、水素生成装置102の構造について、詳細に説明する。
図17は、図2に示す燃料電池システム100における水素生成装置102の構成を詳細に示す模式図である。なお、図20においては、燃料電池システム100における上下方向を図における上下方向として表している。
図17に示すように、本実施の形態8に係る燃料電池システム100の水素生成装置102は、ここでは、円筒状に形成されており、中心軸を共有する容器1、外筒2、及び内筒3を有している。容器1は、上部に大径部が形成され、その下部に大径部より径の小さな小径部が形成された段付き円筒で構成されている。容器1の下端は、底板5により閉止されており、その上端は、環状の板部材6を介して外筒2と接続されている。なお、容器1の外側には、断熱部材4が容器1を覆うように設けられている。
外筒2及び内筒3の上端は、蓋部材7により閉止されている。一方、外筒2の下端は開放されていて、内筒3の下端は、内筒用底板8により閉止されている。内筒3の内部には、円筒状の輻射筒9が設けられている。
輻射筒9の上端は、蓋部材7により閉止されており、その下端は、開放されている。輻射筒9と内筒3との間に形成された筒状の空間は、燃焼排ガス流路10を構成する。燃焼排ガス流路10の下流端近傍(内筒3の上部)には、燃焼排ガス出口11が設けられている。該燃焼排ガス出口11には、燃焼排ガス経路59の上流端が接続されており、その下流端は、パッケージ111の外部に開口されている。
輻射筒9の内部には、蓋部材7を貫通して下方に伸びるようにバーナ(燃焼器)102aが配設されている。また、輻射筒9の内部には、着火検知器141及びCOセンサ142が設けられている。着火検知器141は、バーナ102aでの着火の有無を検知し、検知信号を制御器110に出力するように構成されていて、COセンサ142は、バーナ102aからの燃焼排ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度を検知して、検知信号を制御器110に出力するように構成されている。なお、ここでは、着火検知器141として、フレームロッドを使用し、COセンサ142として、CO濃度センサを使用している。
バーナ102aには、燃焼空気供給経路56の下流端が接続されていて、その上流端は、燃焼空気供給器117に接続されている。なお、燃焼空気供給器117としては、例えば、ブロワやシロッコファン等のファン類を使用することができる。
外筒2の上部には、原料ガス供給口12が設けられていて、該原料ガス供給口12には、原料ガス供給経路41の下流端が接続されている。ここでは、原料ガスとして、メタンを主成分とする都市ガスが用いられており、原料ガス供給経路41の上流端は、都市ガスの配管(図示せず)に接続されている。また、原料ガス供給経路41には、その上流側から、第1開閉弁(封止器)71、原料ガス供給器112、及び第2開閉弁(封止器)72が設けられている。第1開閉弁71及び第2開閉弁72は、原料ガス供給経路41を通流する原料ガスの通流を許可/阻止するように構成されており、例えば、電磁弁等の弁を用いることができる。また、原料ガス供給器112は、水素生成装置102に供給する原料ガスの流量を調整する機器であり、例えば、ブースターポンプ112aと流量調整弁112bとの組合せや、流量調整弁単体で構成されている(図2参照)。
また、外筒2の上部には、水供給口13が設けられており、該水供給口13には、改質用水供給経路57の下流端が接続されている。改質用水供給経路57の上流端には、水供給器105が接続されている。水供給器105は、改質用水供給経路57に改質用水を供給し、かつ、改質用水供給経路57を通流する改質用水の流量を調整する。
外筒2と内筒3との筒状空間の下部は、改質触媒収容空間が構成されていて、該改質触媒収容空間には、改質触媒が充填された改質触媒層14が形成されている。また、改質触媒収容空間の上方には、原料ガス及び改質用水を予熱する予熱部15が構成されている。改質触媒収容空間、改質触媒層14、及び予熱部15から改質器16が構成される。これにより、改質器16では、バーナ102aで生成された燃焼排ガスの伝熱を利用して、原料ガス供給器112から供給された原料ガス(メタン)と、水供給器105から供給された改質用水と、を予熱部15で予熱し、予熱した原料ガスと改質用水を改質触媒層14で水蒸気改質反応させることにより、水素を含有する水素含有ガスが生成される。
また、底板5と内筒用底板8との間には、空間が形成されていて、該空間が緩衝空間部17を構成する。緩衝空間部17の底板5の中央部分には、温度検知器143が配設されている。
温度検知器143は、改質器16を通流した水素含有ガスの温度を検知し、検知した温度を改質器16の温度として制御器110に出力するように構成されている。なお、本実施の形態においては、温度検知器143を改質器16の下流端よりも下方に設け、改質器16を通流した後の水素含有ガスの温度を検知するように構成したが、これに限定されず、改質器16の改質触媒層14の内部に設け、改質器16の改質触媒層14を通流する水素含有ガスの温度を検知するように構成してもよい。
また、容器1と外筒2との間には、筒状の空間18が緩衝空間部17と連通するように形成されており、該空間18と緩衝空間部17が、水素含有ガス流路19を構成する。これにより、改質器16を通流した水素含有ガスは、改質触媒層14の下流端から緩衝空間部17へ流出し、底板5の底壁に当たって反転して、水素含有ガス流路19を流通する。
水素含有ガス流路19の上方にある、容器1の大径部と外筒2との筒状空間には軸方向に所定の間隔をおいて、一対の仕切り板20、21が配設されていて、該一対の仕切り板20、21によって、上記筒状空間が、変成触媒収容空間22、空気混合部25、及び酸化触媒収容空間26に分割されている。
変成触媒収容空間22には、変成触媒が充填された変成触媒層23が形成されていて、変成触媒収容空間22と変成触媒層23から変成器24が構成されている。また、仕切り板20には、変成器24と空気混合部25とを連通するように複数の貫通孔29が設けられており、該貫通孔29が、変成器24の出口29を構成する。これにより、水素含有ガス流路19を通流した水素含有ガスは、変成器24に流入する。そして、水素含有ガスが、変成触媒層23を通流する間に、水素含有ガス中の一酸化炭素と水とが変成反応により、二酸化炭素と水素が生成され、一酸化炭素を低減させる。そして、一酸化炭素が低減された水素含有ガスは、変成器24の出口29から空気混合部25に流出する。
空気混合部25を形成する容器1には、一酸化炭素酸化反応用の空気を供給する空気供給口30が設けられている。空気供給口30には、酸化用空気供給路58の下流端が接続されていて、その上流端は、酸化用空気供給器116が接続されている。これにより、変成器24の出口29から空気混合部25に流出した水素含有ガスは、酸化用空気供給器116から供給された空気と混合される。
また、空気混合部25における変成器24の出口29の上方には、温度検知器144が設けられている。温度検知器144は、変成器24を通流した水素含有ガスの温度を検知し、検知した温度を変成器24の温度として制御器110に出力するように構成されている。なお、本実施の形態においては、温度検知器144を変成器24の出口29よりも上方に設け、変成器24を通流した後の水素含有ガスの温度を検知するように構成したが、これに限定されず、変成器24の変成触媒層23の内部に設け、変成器24の変成触媒層23を通流する水素含有ガスの温度を検知するように構成してもよい。
酸化触媒収容空間26には、酸化触媒が充填された酸化触媒層27が形成されていて、酸化触媒収容空間26と酸化触媒層27から浄化器28が構成されている。また、仕切り板21には、空気混合部25と浄化器28とを連通するように複数の貫通孔31が設けられており、該貫通孔31が、浄化器28の入口31を構成する。さらに、空気混合部25における浄化器28の入口31の下方には、温度検知器145が設けられている。温度検知器145は、浄化器28に流入する水素含有ガスと空気の混合ガスの温度を検知し、検知した温度を浄化器28の温度として制御器110に出力するように構成されている。なお、本実施の形態においては、温度検知器145を浄化器28の入口31よりも下方に設け、浄化器28を通流する前の燃料ガスの温度を検知するように構成したが、これに限定されず、浄化器28の酸化触媒層27の内部に設け、浄化器28の酸化触媒層27を通流する燃料ガスの温度を検知するように構成してもよい。
また、酸化触媒収容空間26を構成する容器1の上部には、燃料ガス出口32が設けられている。燃料ガス出口32には、燃料ガス供給経路42の上流端が接続されており、その下流端には、燃料電池101が接続されている(図2参照)。
これにより、仕切り板21の貫通孔31(浄化器28の入口31)から、空気混合部25で空気と混合された水素含有ガスが、浄化器28に流入し、酸化触媒層27を通流する間に、水素含有ガス中の一酸化炭素と空気中の酸素とが、反応して、一酸化炭素が数ppmにまで低減された燃料ガスが生成される。生成された燃料ガスは、燃料ガス出口32から燃料ガス供給経路42を通流して、燃料電池101に供給される。
なお、本実施の形態の水素生成装置102においては、変成器24及び浄化器28を設ける形態について採用したが、改質器16で生成される水素含有ガス中に含まれる一酸化炭素を更に低減する必要のない場合は、上記変成器24及び浄化器28を設けない形態を採用しても構わない。例えば、燃料電池101が、一酸化炭素に対して被毒しにくい機器(例:固体酸化物燃料電池)である場合、上記形態が採用される。
次に、本実施の形態8に係る燃料電池システム100の各検知器131〜145の検出値に基づき、異常を検知する工程とその後の異常検知/停止処理について説明する。
まず、本実施の形態8に係る燃料電池システム100における異常検知器により検知される異常のうち、特に、水素生成装置102に関係する異常について、図18を参照しながら説明する。図18は、本発明における水素生成装置102に関係する異常の例を示す表である。なお、図18に示す、水素生成装置102に関係する異常が、異常検知器により検知されると、燃料電池システム100の運転停止処理が行われる。
図18に示すように、第1の異常として、バーナ失火異常を規定している。なお、この異常は例示であり、この異常以外の異常を第1の異常と規定してもよい。
バーナ失火異常とは、水素生成装置102内で水素生成反応が開始されて以降の水素生成動作中において、着火検知器141が、バーナ102aの着火を検知しないことをいう。
従って、本異常は、水素生成装置102の起動処理において、バーナ102aの燃焼開始時における着火異常は含まない。バーナ102aが安定に燃焼し、水素生成装置102が昇温して、水蒸気改質反応への移行を開始した後の起動処理及び水素利用機器101への燃料ガス供給動作中に発生する失火異常を指す。
なお、上記第1の異常であっても、例えば、再起動後に同一の異常が、複数回(例えば、3回)/週、又は連続して2回検知されたような場合には、第2の異常に該当する異常として、当該異常に対応する停止処理を実行する。
また、図18に示すように、本実施の形態においては、第2の異常として、機器の故障(例えば、温度検知器の故障、COセンサの故障、及び燃焼空気供給器の故障)、ガス漏れ異常(例えば、可燃性ガス漏れ異常)、温度検知器の検出温度異常(例えば、改質温度の過昇温、過降温)が規定されている。なお、これらの異常は例示であり、これらの異常の一部を第2の異常として規定してもよく、また、これらの異常以外の異常を第2の異常と規定してもよい。
温度検知器の故障が想定される異常とは、例えば、各温度検知器143〜145がサーミスタである場合、これらの検出値が、ショートや断線を示す値となる異常が挙げられる。本実施の形態においては、当該異常を第2の異常として扱い、当該異常に対応する停止処理を実行する。
COセンサの故障が想定される異常とは、COセンサ142が、接触燃焼式のセンサである場合、本センサの検出値が電気抵抗の断線を示す値となる異常が挙げられる。本実施の形態においては、当該異常を水素生成装置102の運転停止を伴う異常と規定する。
燃焼空気供給器の故障が想定される異常とは、例えば、燃焼空気供給器117の回転数が、制御器110からの操作量に対して、許容範囲外(例えば、目標回転数に対応する設定操作量に対して操作量を増加させても所定時間以上、目標回転数に至らない場合)となる異常が挙げられる。このような異常は、モータ劣化により操作量の指令値に対して所望の回転数が得られない場合に起こる可能性があることから、燃焼空気供給器の故障が想定される異常として、本実施の形態においては、当該異常を第2の異常と規定する。
可燃性ガス漏れ異常とは、可燃性ガスセンサ140が可燃性ガスを検知した異常をいう。例えば、パッケージ111内に可燃性ガス(原料ガスや燃料ガス等)が漏れて、可燃性ガスセンサ140が可燃性ガスを検知した場合が挙げられる。本実施の形態においては、当該異常を第2の異常と規定する。
なお、上記で例示したような異常のうち各異常検知器の故障については、異常判定器110aが、本発明の異常検知器として機能し、上記検知器の故障と異なる異常については、異常判定器110aと当該異常を判定する際の判定対象となる検出値を出力する検知器とが本発明の異常検知器として機能する。
次に、本実施の形態8に係る燃料電池システム100の異常検知及びこれに続き実行される停止処理(異常検知/停止処理)について、説明する。
図19は、図2に示す燃料電池システム100における制御器110の記憶部に格納された異常検知による停止処理プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。
図19に示すように、燃料電池システム100の発電運転中において、制御器110の演算処理部は、実施の形態2に係る燃料電池システム100と同様に、各検知器131〜145から検知された検知値を取得し(ステップS301)、該ステップS301で取得した検知値が、異常であるかを判定する(ステップS302)。異常ではないと判定した場合には、ステップS301に戻り、異常が検知されない限り、ステップS301とステップS302を繰り返して、異常の有無を監視する。一方、異常であると判定した場合には、ステップS302aに進む。
ステップS302aでは、制御器110は、ステップS302で異常判定器110aにより判定された異常が、水素生成装置102に関係する異常であるか否かを判定し、水素生成装置102に関係する異常である場合には、ステップS303aに進み、水素生成装置102に関係しない異常である場合には、ステップS303に進む。
ステップS303aでは、水素生成装置に関係する異常停止処理が実行される。そして、この停止処理を完了すると、ステップS304に進む。一方、ステップS303では、実施の形態2に係る燃料電池システム100と同様に、制御器110の制御により異常判定器110aにより判定された異常に対応する停止処理(以下、異常停止処理という)が実行される。そして、この停止処理を完了すると、ステップS304に進む。
ステップS304では、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第1の異常である場合、ステップS305に進み、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第2の異常である場合には、ステップS306に進む。
ステップS305では、上記異常停止処理を完了すると、水素生成装置102は待機状態に移行し、本プログラムを終了する。一方、ステップS306では、燃料電池システム100は起動要求が発生しても起動が許可されない起動不許可状態に移行し、本プログラムを終了する。なお、上記異常停止処理は、各異常に対して同一の停止処理を実行するものでなく、各異常に対応した所定の回復処理が実行される。
ここで、水素生成装置102に関係する異常の一例である温度検知器143の故障の場合における異常停止処理について説明する。図20は、図19に示す異常停止処理プログラムのフローチャートにおける水素生成装置102に関係する異常停止処理をさらに詳細に示すフローチャートである。なお、温度検知器137の故障は、水素生成装置102に関係する第2の異常に属するが、以下の異常停止処理は、水素生成装置102に関係する第2の異常が検知された場合に限らず、水素生成装置102に関係する異常が検知された場合は、水素生成装置102の冷却動作について同様に実行されるよう構成されている。つまり、水素生成装置102に関係する第1の異常が検知された場合においても、水素生成装置102の冷却動作について同様の処理が実行される。
図20に示すように、温度検出器137の検出値がショートまたは断線を示す値となり、異常判定器110aが異常と判定し、水素生成装置102に関係する以上であると判定された場合、制御器110は、通常停止処理のカソードパージ処理の終了まで(図4AのステップS100〜ステップS113)は、通常停止処理と同様の停止動作を行う(ステップS500)。その後、制御器110は、燃焼空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作により改質器16の温度t1が待機可能温度以下になった後も、燃焼空気供給器117の動作を実行し、水素生成装置102の冷却動作を実行する。(ステップS501b)。
そして、上記冷却動作において改質器に設けられた温度検知器により改質器の温度t1を検知し(ステップS502)、上記温度検知器の検知温度t1がFPパージ温度以下になると(ステップS503)、通常の停止処理と同様のFPパージ処理を実行する(ステップS504)。すなわち、図4Bに示すステップS120〜ステップS124を行う。その後、FPパージ処理が完了すると(ステップS505)、制御器110は、燃焼空気供給器117の動作を停止させ(ステップS506b)、燃料電池システム100を起動不許可状態に移行させる(ステップS507)。
一方、制御器110は、燃料電池101の排熱回収動作を、通常停止処理と同様に行う。すなわち、図5に示す排熱回収動作を実行する。
このように本実施の形態8に係る燃料電池システム100では、通常の停止処理の場合及び水素生成装置102に関係しない燃料電池システム100の各機器の異常が発生した場合には、実施の形態2に係る燃料電池システム100と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態8に係る燃料電池システム100では、水素生成装置102に関係する異常が発生した場合には、通常停止処理に比べて、水素生成装置102の冷却量が多くなる、異常停止処理が実行されるので、メンテナンスを必要とする水素生成装置102の温度が、メンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温され、メンテナンス作業の着手が迅速化される。一方、メンテナンス作業の必要のない燃料電池101の冷却量が抑制されるので、次回起動時において、燃料電池101を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
なお、本実施の形態8においては、水素生成装置102に関係しない燃料電池システム100の各機器の異常が発生した場合には、実施の形態2に係る燃料電池システム100と同様の異常停止処理を行うように構成したが、これに限定されず、実施の形態7に係る燃料電池システム100と同様の異常停止処理を行うように構成してもよい。
また、上記異常停止処理における水素生成装置102の冷却動作において、バーナ102aに供給する燃焼空気量は、水素生成装置102の定格運転時における供給量よりも多くなるよう制御することが好ましい。具体的には、水素生成装置102に関係する異常停止処理における水素生成装置102の冷却動作において、制御器110が、水素生成装置102の定格運転時の操作量よりも大きくなるよう制御する。これにより、水素生成装置102の温度がより速やかに低下し、メンテナンス作業へ移行し易くなる。ここで、水素生成装置102の定格運転とは、水素生成装置102の水素供給運転時において、安定して供給可能な最大水素量を供給している運転として定義される。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9に係る燃料電池システムは、制御器は、異常検知器によりメンテナンスが不要な第1の異常を検知して実行される異常停止処理時よりも、メンテナンスが必要な第2の異常を検知して実行される異常停止処理時の方が、燃料電池の冷却量が多くなるよう前記第1流量制御器を制御する態様の一例を示すものである。
図21は、本発明の実施の形態9に係る燃料電池システム100における制御器110の記憶部に格納された異常検知/停止処理プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。
まず、燃料電池システム100の発電運転中において、制御器110の演算処理部は、各検知器131〜140から検知された検知値を取得し(ステップS301)、該ステップS301で取得した検知値が、異常であるかを判定する(ステップS302)。異常ではないと判定した場合には、ステップS301に戻り、異常が検知されない限り、ステップS301とステップS302を繰り返して、異常の有無を監視する。一方、異常であると判定した場合には、ステップS304に進む。
ステップS304では、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第1の異常である場合、ステップS305aに進み、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第2の異常である場合には、ステップS306aに進む。
ステップS305aでは、制御器110の制御により異常判定器110aにより判定された各異常に対応する第1異常停止処理が実行される。そして、この停止処理を完了すると、燃料電池システム100は待機状態に移行する(ステップS305)。なお、上記第1異常停止処理は、各異常に対して同一の停止処理を実行するものでなく、各異常に対応した所定の回復処理が実行される。ただし、各異常に対して共通する冷却動作(水素生成装置の冷却動作、燃料電池の排熱回収動作等)も実行される。
また、ステップS306aでは、制御器110の制御により異常判定器110aにより判定された各異常に対応する第2異常停止処理が実行される。そして、この停止処理を完了すると、燃料電池システム100は起動要求が発生しても起動が許可されない起動不許可状態に移行する(ステップS306)。なお、上記第2異常停止処理は、各異常に対して同一の停止処理を実行するものでなく、各異常に対応した所定の回復処理が実行される。ただし、各異常に対して共通する冷却動作(水素生成装置の冷却動作、燃料電池の排熱回収動作等)も実行される。
ここで、図22を参照しながら、第1の異常の一例である冷却水ポンプ異常の場合における第1異常停止処理について説明する。図22は、図21に示す異常検知/停止処理プログラムのフローチャートにおける第1異常停止処理をさらに詳細に示すフローチャートである。
図22に示すように、第1ポンプ107の回転検出器(図示せず)の検出値に基づき異常判定器110aが第1の異常と判定した場合、通常の停止処理の待機状態に移行するまで、すなわち、改質器の温度t1が待機可能温度以下になり、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の動作を停止するまで(図4AのステップS100〜ステップS116及び図4BのステップS200〜ステップS206まで)は、通常の停止処理と同様の停止動作を行う(ステップS40)。
その後、冷却水ポンプ異常に対応する回復処理を開始する。まず、第1ポンプ107の動作を再開する(ステップS41)。また、この際に、制御器110は、第1ポンプ107の操作量が、燃料電池システム100が最大電力で発電運転している際の第1ポンプの操作量よりも大きい操作量となるようにする。そして、第1ポンプ107の動作を再開した後の経過時間T3を計測し(ステップS42)、この経過時間T3が回復処理時間J3以上になると(ステップS43でYes)、第1ポンプ107の動作を停止し、異常回復処理を完了する(ステップS44)。そして、この異常回復処理を完了すると、制御器110は燃料電池システム100を待機状態に移行する(図21のステップS305参照)。ここで、上記回復処理時間J3は、第1ポンプ107がゴミ噛みにより異常が発生した場合に、第1ポンプ内107に噛んだゴミが第1ポンプ107から排出可能と推定される上記回復処理の実行時間として定義される。
なお、制御器110は、各検知器131〜140により第1の異常が検知された場合において、使用者がリモコン120のキー操作部120bを操作することにより、起動要求信号が制御器110の通信部に送信された場合には、燃料電池システム100の起動処理を許可するように構成されている。
一方、本実施の形態9に係る燃料電池システム100における第2異常停止処理は、実施の形態2に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様の処理を行う。すなわち、制御器110は、図8に示した異常停止処理を行う。また、本実施の形態9に係る燃料電池システム100における第2異常停止処理では、実施の形態2に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様に、水素生成装置102の冷却動作及び燃料電池101の排熱回収動作を実行し、また、燃料電池101の排熱回収動作においては、この動作と並行して図9に示した貯湯水温度の制御が実行される。
ここで、上記第2異常停止処理と、第1異常停止処理とを比較すると改質器の温度が待機可能温度以下になってから改質器の温度がFPパージ処理可能な温度(FPパージ温度以下の温度)になるまでの期間において、第1異常停止処理のように自然放冷により水素生成装置102が冷却するのを待つのではなく、燃焼空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作及び第1ポンプ107及び第2ポンプ108による燃料電池101の排熱回収動作を実行し、水素生成装置102及び燃料電池101をより速やかに冷却するよう制御する点が異なる。
すなわち、このように構成された本実施の形態9に係る燃料電池システム100では、第2異常停止処理は、第1異常停止処理の場合に比して、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなるよう制御することで、燃料電池システム100内の機器温度をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることを可能にするものである。
一方、第1異常停止処理は、第2異常停止処理に比して、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が少なくなるよう制御されるため、待機状態に移行してからの経過時間によっては、燃料電池システム100を構成する機器温度(例えば、改質器)が周囲温度(外気温度)よりも高くなる。このため、燃料電池システム100を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
なお、本実施の形態9においては、第2異常停止処理は、第1異常停止処理の場合に比して、燃焼空気供給器117による水素生成装置102の冷却動作時間及び第1ポンプ107及び第2ポンプ108による燃料電池101の排熱回収動作時間を長くなるように制御することで、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなるよう制御したが、これに限定されず、燃焼空気供給器117、第1ポンプ107及び第2ポンプ108の操作量を多くなるように制御することで、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなるよう制御してもよい。
また、本実施の形態9においては、第1の異常が検知された場合において、待機状態に移行後は、制御器110は、次の起動要求(例えば、リモコン120を介した使用者による起動要求信号)が発生してから起動処理を行うように構成したが、これに限定されず、制御器110は、図21の待機状態に移行後、次の起動要求の発生を待たず自動的に次の起動処理に移行するよう構成されてもよい。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10に係る燃料電池システム100は、実施の形態3に係る燃料電池システムと基本的構成は同じであるが、燃料電池システム100の異常検知及びこれに続き実行される異常検知/停止処理が、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様の処理を行うように構成されている。以下、実施の形態9に係る燃料電池システム100の異常停止処理と異なる処理について説明する。
図23は、本発明の実施の形態10の燃料電池システムにおける第1異常停止処理の一例を示すフローチャートである。
まず、異常判定器110aにより第1の異常に属する所定の異常が発生したと判定された場合、各異常に対応する第1異常停止処理が実行される。本例においては、制御器110の制御により停止指令が出力され、通常の停止処理と同様に燃料ガス供給器200及び酸化剤ガス供給器103からの燃料ガス及び酸化剤ガスの供給が停止される。さらに、制御器110の制御により燃料ガス経路202上の第8開閉弁201及び第5開閉弁76と酸化剤ガス経路上の第3開閉弁74及び第7開閉弁78とがそれぞれ閉止される。
そして、通常の停止処理と同様の排熱回収動作を実行した後、第1ポンプ107及び第2ポンプ108を停止する(ステップS700〜S703)。ここで、ステップS702における貯湯可能温度は、燃料電池101の冷却動作の停止を判断する上記第1の閾値の一例である。その後、異常判定器110aにより判定された各異常に対応する所定の異常回復処理を実行した後(ステップS703a)、燃料電池システムを待機状態に移行する(ステップS704)。なお、上記異常回復処理は、上記排熱回収動作(ステップS700〜S703)、及び異常回復処理(ステップS703a)は、必ずしも実行する必要はなく、異常の内容によっては、いずれも実行しなくても構わない。
すなわち、本実施の形態10に係る燃料電池システム100では、異常検知器が、メンテナンスが不要な第1の異常を検知した場合に実行される第1異常停止処理は、上記実施の形態3に係る燃料電池システム100の通常停止処理と同様に行われ、メンテナンスが必要な第2の異常を検知した場合に実行される第2異常停止処理は、上記実施の形態3に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様に行われる。
このように本実施の形態10に係る燃料電池システムにおいても、第2異常停止処理は、第1異常停止処理に比して、燃料電池101の冷却量が多くなるよう構成されているため、燃料電池101及び燃料電池101に通流する流体が流れる機器(燃料電池101、冷却水経路204、熱交換器106等)の温度をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることを可能にするものである。
一方、第1異常停止処理は、第2異常停止処理に比して、燃料電池101の冷却量が少なくなるよう制御されるため、待機状態に移行してからの経過時間によっては、燃料電池システム100を構成する機器(例えば、燃料電池101)の温度が周囲温度(外気温度)よりも高くなる。このため、燃料電池システム100を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
(実施の形態11)
本発明の実施の形態11に係る燃料電池システム100は、異常停止処理時において、熱交換器106を通過する冷却水の通流量が、第1の異常による異常停止処理(第1異常停止処理)時における通流量よりも第2の異常による異常停止処理(第2異常停止処理)時の方が、大きくなるよう第1流量制御器を制御することを特徴とする。具体的には、制御器110は、第2異常停止処理に、第1ポンプ107の操作量を、燃料電池システム100の発電運転時の操作量よりも大きい所定の操作量となるように制御する(以下、強制冷却動作と称する)点と、強制冷却動作時において、熱交換器106を通過した、貯湯水が貯湯バイパス経路に流入するよう第2熱媒体切替器206を制御する点と、が実施の形態10に係る燃料電池システム100と異なる。
すなわち、本実施の形態11に係る燃料電池システム100は、通常停止処理と第1異常停止処理は、実施の形態10に係る燃料電池システム100と同様の処理を行い、第2異常停止処理は、実施の形態4に係る燃料電池システム100と同様に、強制冷却動作(図13に示すフロー)を行う。これにより、異常停止処理時の排熱回収動作時において、第2異常停止処理の方が、強制冷却動作を実施しない第1異常停止処理を行う場合に比して、燃料電池101の排熱回収動作をより迅速化することができる。
また、制御器110は、第2異常停止処理時の強制冷却動作においても、実施の形態4に係る燃料電池システム100と同様に、貯湯バイパス経路207側に貯湯水が流入するように第2熱媒体切替器206を制御する。
なお、冷却水経路に図3に示すようなバイパス経路208を有する場合、制御器110は、上記強制冷却動作において、混合弁209の熱交換器106側への開度が、発電運転時における平均開度よりも大きくなるよう制御してもよい。
また、制御器110は、発電運転時と同様の排熱回収動作(ステップS800〜S800b)を経ずに、第2異常停止処理の開始に伴い、強制冷却動作(ステップS800c)を開始してもよい。この場合、制御器110は、第2異常停止処理時は、燃料電池101の温度に拘わらず強制的に第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を所定値よりも増加するよう制御することとなる。
また、本実施の形態11に係る燃料電池システム100においても、制御器110は、通常停止処理及び第1異常停止処理時には、上記実施の形態3に係る燃料電池システム100の通常停止処理と同様に、温度検知器137で検知した冷却水の温度に基づいて、第1流量制御器(第1ポンプ107)の操作量を制御することで、燃料電池101を冷却する。したがって、本実施の形態11においては、制御器110は、通常の停止処理時及び第1異常停止処理時には、温度検知器137で検知した冷却水の温度に基づいて、第1流量制御器(第1ポンプ107)の操作量を制御することで、燃料電池101を冷却し、第2異常停止処理時には、燃料電池101の温度(温度検知器137で検知した冷却水の温度)に拘わらず強制的に第1流量制御器(第1ポンプ)107の操作量を所定値よりも増加するよう制御する。
このように構成された本実施の形態11に係る燃料電池システム100では、第2異常停止処理において、熱交換器106を通過する冷却水の流量を、発電運転時の平均通流量よりも大きい所定の通流量となるように第1流量制御器を制御することで、燃料電池101及び燃料電池101に通流する流体が流れる機器の温度(例えば、冷却水経路204、熱交換器106等)をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることができる。
(実施の形態12)
本発明の実施の形態12に係る燃料電池システム100は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、第2異常停止処理を実施の形態5に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様の強制冷却動作を行う点が異なる。
すなわち、図14に示すように、制御器110は、ステップS800では、発電運転時と同様に温度検知器137の検知温度が上記所定の温度になるよう第1ポンプ107の操作量を制御する、第1の冷却工程を行う。そして、カソードパージ処理完了後、制御器110は、温度検知器137で検知される温度に拘わらず、熱交換器106を通過する冷却水の通流量が、第1ポンプ107の操作量を発電運転時の平均操作量よりも大きい所定の操作量となるように制御する、第2の冷却工程を行う(ステップS800c)。
これにより、異常停止処理時の排熱回収動作時において、強制冷却動作を実施しない第1異常停止処理を行う場合に比して、第2異常停止処理を行う場合の方が、燃料電池101の冷却量が多くなるため、燃料電池101の排熱回収動作をより迅速化することができる。
このように構成された本実施の形態12に係る燃料電池システム100では、実施の形態9に係る燃料電池システム100よりも、燃料電池101及び燃料電池101に通流する流体が流れる機器の温度(冷却水経路204、熱交換器106等)をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることができる。
(実施の形態13)
本発明の実施の形態13に係る燃料電池システムは、燃料電池の発電停止後、封止された燃料電池の反応ガス経路内の圧力低下に伴い、反応ガス経路内にガスを補給する補圧動作を実行するよう構成されており、制御器が、第2の異常により異常停止処理時の方が、第1の異常による異常停止処理時よりも補圧動作の頻度を増加する態様の一例を示すものである。
本発明の実施の形態13に係る燃料電池システム100は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、実施の形態6に係る燃料電池システム100と同様に、補圧処理を行うように構成されている点が実施の形態9に係る燃料電池システム100と異なる。そして、本実施の形態13に係る燃料電池システム100は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様に、異常停止処理時における燃料電池101の排熱回収動作において、第2異常停止処理の方が、第1停止処理よりも、単位時間当たりの冷却量を増加させるように構成されている。従って、第2異常停止処理の方が、第1異常停止処理時よりも燃料電池101の温度の低下速度が速く、圧力低下も速くなるため、上記補圧処理の頻度を第1異常停止処理における補圧処理の頻度よりも増加させるように構成されている。これにより、燃料電池101のガス流路内の過剰な負圧化が抑制され、燃料電池101が保護される。
(実施の形態14)
本発明の実施の形態14に係る燃料電池システムは、制御器が、異常検知器がメンテナンスが不要であり、かつ水素生成装置に関係する異常以外の燃料電池に関係する第1の異常を検知して実行される異常停止処理時は、改質器及び燃料電池の冷却量が通常停止処理時と同等になるよう燃焼空気供給器及び第1流量制御器を制御し、異常検知器が、メンテナンスが必要であり、かつ水素生成装置に関係する異常以外の燃料電池に関係する第2の異常を検知して実行される異常停止処理時は、通常停止処理時よりも燃料電池の冷却量が増加するよう第1流量制御器を制御するとともに、改質器の冷却量は通常停止処理時と同等になるよう燃焼空気供給器を制御する態様の一例を示すものである。
ここで、「メンテナンスが不要であり、かつ水素生成装置に関係する異常以外の燃料電池に関係する第1の異常」とは、水素生成装置以外で燃料電池の発電運転に関係する機器の異常のうちメンテナンスが不要な異常を指す。例えば、冷却水の温度異常等が例示される。また、「メンテナンスが必要であり、かつ水素生成装置に関係する異常以外の燃料電池に関係する第2の異常」とは、水素生成装置以外で燃料電池の発電運転に関係する機器の異常のうちメンテナンスが必要な異常を指す。例えば、冷却水タンク、凝縮水タンクの水位異常、冷却水温度検知器の故障、酸化剤ガス漏れ異常等が例示される。
本発明の実施の形態14に係る燃料電池システム100は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、各検知器131〜140の検出値に基づき異常を検知後の停止処理が、実施の形態9に係る燃料電池システム100と異なる。具体的には、制御器110は、第1異常停止処理については、上述した実施の形態9に係る燃料電池システム100の第1異常停止処理と同様に行う。また、制御器110は、第2異常停止処理における燃料電池101の排熱回収動作については、上述した実施の形態9に係る燃料電池システム100の第2異常停止処理と同様に行い、一方、水素生成装置102の冷却動作については、通常の停止処理と同様に行う。すなわち、本実施の形態14に係る燃料電池システム100では、第2異常停止処理は、実施の形態7に係る燃料電池システム100の異常停止処理と同様の処理(図16に示すフロー)を実行する。
このように構成された本実施の形態14に係る燃料電池システム100では、第2異常停止処理は、通常停止処理(及び第1異常停止処理)の場合に比して、燃料電池101の冷却量が多くなる停止処理が実行されるので、メンテナンス作業を行う燃料電池システム100内の機器温度が、メンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温され、メンテナンス作業の着手が迅速化される。また、水素生成装置102については、改質器の冷却を通常の停止処理と同様に、改質器の温度t1が待機可能温度以下になると、燃焼空気供給器117の動作を停止して、自然放冷により、改質器を含む水素生成装置102を冷却する。すなわち、改質器の冷却量が通常停止処理と同等になるように燃焼空気供給器117を制御することで、メンテナンス作業の必要のない水素生成装置102の冷却量が抑制されるので、次回起動時において、水素生成装置102を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
一方、メンテナンス作業の必要のない通常の停止処理及び第1異常の停止処理の場合は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施の形態14に係る燃料電池システム100は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作(燃料電池システム100の発電運転等の諸動作)を異なるように構成したが、これに限定されず、実施の形態10に係る燃料電池システム100と基本的構成を同じとし、その動作を上述したように構成してもよい。
(実施の形態15)
本発明の実施の形態15に係る燃料電池システムは、制御器が、異常検知器がメンテナンスが不要な水素生成装置に関係する第1の異常を検知して実行される異常停止処理時は、改質器及び燃料電池の冷却量が通常停止処理時と同等になるよう燃焼空気供給器及び第1流量制御器を制御し、異常検知器が、メンテナンスが必要な水素生成装置に関係する第2の異常を検知して実行される異常停止処理時は、通常停止処理時よりも改質器の冷却量が増加するよう第1流量制御器を制御するとともに、燃料電池の冷却量は通常停止処理時と同等になるよう第1流量制御器を制御する態様の一例を示すものである。
ここで、「メンテナンスが不要な水素生成装置に関係する第1の異常」とは、水素生成装置を構成する機器に関係する異常のうちメンテナンスが不要な異常を指す。例えば、バーナの失火異常が挙げられる。「メンテナンスが必要な水素生成装置に関係する第2の異常」とは、水素生成装置を構成する機器に関係する異常のうちメンテナンスが必要な異常を指す。例えば、機器の故障(温度検知器故障、COセンサ故障)、ガス漏れ異常等が例示される。
図24は、本発明の実施の形態15に係る燃料電池システム100における制御器110の記憶部に格納された異常検知による停止処理プログラムの内容を概略的に示すフローチャートである。
本発明の実施の形態15に係る燃料電池システム100は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と基本的構成は同じであるが、各検知器131〜145の検出値に基づき異常を検知後の停止する工程とその後の異常検知/停止処理が異なる。
具体的には、図24に示すように、燃料電池システム100の発電運転中において、制御器110の演算処理部は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様に、各検知器131〜145から検知された検知値を取得し(ステップS31)、該ステップS31で取得した検知値が、異常であるかを判定する(ステップS32)。異常ではないと判定した場合には、ステップS31に戻り、異常が検知されない限り、ステップS31とステップS32を繰り返して、異常の有無を監視する。一方、異常であると判定した場合には、ステップS33に進む。
ステップS33では、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第1の異常である場合、ステップS34に進み、異常判定器110aで異常と判定した当該異常が、第2の異常である場合には、ステップS36に進む。
ステップS34では、制御器110の制御により異常判定器110aにより判定された各異常に対応する第1異常停止処理が実行される。そして、この停止処理を完了すると、燃料電池システム100は待機状態に移行する(ステップS35)。なお、上記第1異常停止処理は、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様に、各異常に対して同一の停止処理を実行するものでなく、各異常に対応した所定の回復処理が実行される。ただし、各異常に対して共通する冷却動作(水素生成装置の冷却動作、燃料電池の排熱回収動作等)も実行される。
一方、ステップS36では、制御器110は、水素生成装置102に関係する異常であるか否かを判定し、水素生成装置102に関係する異常である場合には、ステップS37に進み、水素生成装置102に関係しない異常である場合には、ステップS38に進む。
ステップS37では、実施の形態8に係る燃料電池システム100と同様に、水素生成装置に関係する異常停止処理が実行される。そして、この停止処理を完了すると、燃料電池システム100は起動要求が発生しても起動が許可されない起動不許可状態に移行する(ステップS39)。
また、ステップS38では、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様に、制御器110の制御により異常判定器110aにより判定された各異常に対応する第2異常停止処理が実行される。そして、この停止処理を完了すると、燃料電池システム100は起動要求が発生しても起動が許可されない起動不許可状態に移行する(ステップS39)。なお、上記第2異常停止処理は、各異常に対して同一の停止処理を実行するものでなく、各異常に対応した所定の回復処理が実行される。ただし、各異常に対して共通する冷却動作(水素生成装置の冷却動作、燃料電池の排熱回収動作等)も実行される。
このように本実施の形態15に係る燃料電池システム100では、通常の停止処理の場合及び第1の異常が発生した場合には、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態15に係る燃料電池システム100では、第2の異常が発生し、その異常が、水素生成装置102に関係する異常である場合には、水素生成装置102に関係する異常停止処理は、通常停止処理に比べて、改質器16(図17参照)を含む水素生成装置102の冷却量が増加するよう第1ポンプ107を制御されるので、メンテナンスを必要とする水素生成装置102の温度が、メンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温され、メンテナンス作業の着手が迅速化される。一方、メンテナンス作業の必要のない燃料電池101の冷却量は抑制されるので、次回起動時において、燃料電池101を昇温するのに必要なエネルギーが削減され、起動処理に要する時間が短縮されるので、燃料電池システム100の起動性が向上する。
さらに、本実施の形態15に係る燃料電池システム100では、第2の異常が発生し、その異常が、水素生成装置102に関係しない異常、すなわち、燃料電池システム100の水素生成装置102以外の各機器の異常である場合には、第1異常停止処理に比して、第2異常停止処理は、燃料電池101及び水素生成装置102の冷却量が多くなるよう制御することで、燃料電池システム100内の機器温度をメンテナンス作業者が火傷等をしない程度にまでより早く降温させ、メンテナンス作業への移行を迅速化させることを可能にするものである。
なお、本実施の形態15においては、第2の異常が発生し、その異常が、水素生成装置102に関係しない燃料電池システム100の各機器の異常である場合には、実施の形態9に係る燃料電池システム100と同様の第2異常停止処理を行うように構成したが、これに限定されず、実施の形態7に係る燃料電池システム100と同様の異常停止処理を実行するように、すなわち、通常停止処理時よりも改質器16の冷却量が増加するよう燃焼空気供給器117を制御するとともに、燃料電池101の冷却量は通常停止処理時の同等になるよう第1ポンプ107を制御するように構成してもよい。
なお、上記実施の形態においては、例えば、水素生成装置(改質器)の冷却動作、FPパージ処理、燃料電池のカソードパージ処理、及び燃料電池の排熱回収動作の少なくともいずれか一つを実行しない形態を採用しても構わないし、水素生成装置(改質器)の冷却動作、燃料電池の排熱回収動作のそれぞれの停止タイミングを上記フローと異なるタイミングで停止する形態を採用しても構わない。また、上記実施の形態においては、異常停止処理時においてFPパージ処理が完了するまで水素生成装置102(改質器16)の冷却動作及び/又は燃料電池101の排熱回収動作が実行したが、これに限定されるものではなく、異常停止処理時の方が、通常の停止処理時よりも水素生成装置102の冷却量及び燃料電池101の排熱回収量が増加するのであればいかなる形態であっても構わない。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の要旨を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。