JP5508767B2 - 積層用ポリエチレン系樹脂材料、及びそれを用いた積層体、発泡加工紙並びに断熱容器・その製造方法 - Google Patents

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本発明は、積層用ポリエチレン系樹脂材料、及びそれを用いた積層体、発泡加工紙並びに断熱容器・その製造方法に関し、さらに詳しくは、ラミネート時の成形加工性が良好で、加熱によって十分な高さの発泡セル(発泡層)が得られる積層用ポリエチレン系樹脂材料、その樹脂材料を用いた発泡性積層体、該発泡性積層体から得られる発泡加工紙及び該発泡性積層体を加熱発泡したカップなどの断熱容器・その製造方法に関する。
従来、食品包装材等の積層体に供せられる、積層用樹脂または積層用樹脂組成物としては、低密度ポリエチレン樹脂、あるいは低密度ポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との組成物等が一般的に用いられている(例えば、特開平9−234837号公報、特開平10−120841号公報、特開平10−278196号公報、特開2000−052514号公報、特開2000−053823号公報、特開2002−127333号公報、特開2003−276131号公報、特開2004−256613号公報、特開2005−008667号公報、特開2005−153899号公報、特開2000−265388号公報等)。
しかしながら、昨今においては、生産性の向上や環境問題等から、より高速化が要求され、より厳しい加工条件やダウンゲージなどが求められている。
これら高速化に伴い、ラミネート加工時のドローレゾナンスやネックインが小さい、ロスが少ない等の成形加工性の安定性、あるいはダウンゲージに伴う、機械的強度の向上等の諸性能に優れる樹脂材料が要求されている。これらの要求を満足させるために、広い分子量分布を有する樹脂組成物や、溶融張力の高い低密度ポリエチレン樹脂とメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との組成物等が提案されているが、いまだ十分な性能を満足するに至っていない。
また、紙基材を用いたラミネート製品、例えば紙容器や発泡紙コップ等の断熱容器などに供せられる積層用ポリエチレン樹脂においても、成形加工性に優れ、より高い発泡性能に優れた材料が求められている。
例えば、断熱性を有する容器としては、従来は合成樹脂製の発泡体が多く使用されている。また、廃棄し易く印刷適性の良い容器として、紙を複数枚使用した断熱紙容器や、紙基材の両面をポリエチレン樹脂層で積層された材料を使用し、表面のポリエチレン樹脂層を発泡させ断熱性を付与した紙容器がある。
例えば、紙を基材とした技術としては、紙の少なくとも一面にポリエチレンを押出ラミネートし、他面には蒸気圧保持層を形成させ加熱により表面に不規則な凹凸模様を有する加工紙を製造する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、胴部材の片側壁面に熱可塑性樹脂フィルムがラミネートまたはコーティングされ、加熱によりフィルムを発泡させて発泡断熱層を形成させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、容器胴部材及び底部材からなる紙製容器において、容器胴部材の外壁面の一部に有機溶剤含有インキによる印刷を施し、胴部材外壁面全体を熱可塑性合成樹脂フィルムで被覆されている紙容器を加熱することにより、印刷部分に比較的厚い発泡層を存在させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、少なくとも外面側からシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−αオレフィン共重合体の発泡層、紙を主体とする基材層、熱可塑性樹脂層とを備えた積層体からなる発泡加工紙、積層体が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。こうして得られた発泡層を保有する加工紙、発泡積層体は、発泡層により容器とした際に、手とのなじみがよく滑りにくく、断熱性に優れるとともに紙を複数枚使用した断熱性容器に比較しコストが安いというメリットがある。
また、特許文献6においては、紙容器における胴部材原材料シートの紙基材の少なくとも片面に、溶融状態の熱可塑性樹脂をTダイから紙基材に接するまでの時間が0.11〜0.33秒となるように押出ラミネートしてなる紙製容器の胴部材原材料シートが記載され、低密度ポリエチレンを2種混合してMFRを調整した組成物が提案されている。
しかし、従来の発泡層を有する加工紙、積層体は、発泡性が十分とは言えず更なる発泡性の改良が望まれていた。また、発泡性を向上させようとしてMFRを高くすると、発泡層の外観が不良となるか、押出ラミネート加工時の加工性が不安定となる等の問題があった。
特公昭48−32283号公報 特開昭57−110439号公報 特開平07−232774号公報 特開平10−128928号公報 特開2007−168178号公報 特開2008−105747号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ラミネート時の成形加工性の改良されたポリエチレン系樹脂材料であって、特に加熱によって十分な高さの発泡セル(発泡層)が得られ、紙カップ等の断熱容器に好適に使用される積層用ポリエチレン系樹脂材料、それを用いた発泡性積層体、高い発泡層(セル)を有した発泡加工紙及びカップなどの断熱容器・その製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)およびイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)からなる変性用原料樹脂(C)100重量部に対して、ラジカル発生剤を0.001〜1.0重量部を配合し、変性して得られた積層用ポリエチレン系樹脂材料が、ラミネート成形時の成形安定性に優れ、紙等の基材との積層体を製造する際の高速成形性等の諸性能に優れ、発泡性能にも優れ、加工発泡紙や断熱容器等に使用し得ることを見出し、本発明を完成させた。
また、紙を主体とする基材の片面に、該積層用ポリエチレン系樹脂材料で形成したポリエチレン系樹脂層(I)を有する発泡性積層体、特に、ポリエチレン系樹脂層(I)を有し、さらにもう一方の面に、基材から放出される蒸気等を保持する特定の融点を有する基材(c)を形成した発泡性積層体が、発泡性に優れ、該積層体を加熱すれば発泡層(セル)の外観が良好な発泡加工紙となり、あるいは該発泡性積層体を用いて優れた断熱性能を有するカップ等の断熱容器が製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、紙を主体とした基材(b)と、該紙を主体とした基材(b)の一方の面に、紙を主体とした基材(b)から放出される気体で発泡され得る、積層用ポリエチレン系樹脂材料で形成されたポリエチレン系樹脂層(I)と、上記紙を主体とした基材(b)のもう一方の面に、紙を主体とした基材(b)から放出される気体を保持する基材(c)層を有する積層体において、前記積層用ポリエチレン系樹脂材料が、 前記積層用ポリエチレン系樹脂材料が、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)およびイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)からなる変性用原料樹脂(C)100重量部に対して、ラジカル発生剤0.001〜1.0重量部を配合し、変性させて得られる積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)であって、下記(x1)〜(x3)の性状を満足することを特徴とする積層体が提供される。
(x1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10min、
(x2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が0.880〜0.960g/cm
(x3)JIS K7210で使用されるメルトインデクサーを使用し、シリンダー温度240℃、定速押出量3g/分の条件で測定したメモリーエフェクト(ME)が1.5以上
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、変性用原料樹脂(C)が、下記(a1)〜(a2)の要件を満足する高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)95〜5重量%と、下記(b1)〜(b2)の要件を満足するイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)5〜95重量%からなるポリエチレン樹脂組成物であることを特徴とする積層体が提供される。
(a1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したMFRが0.01〜100g/10min、
(a2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が0.905〜0.940g/cm
(b1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したMFRが0.01〜100g/10min、
(b2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が0.860〜0.970g/cm
本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)が、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1)であることを特徴とする積層体が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜第3のいずれかの発明において、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)が、超低密度ポリエチレン樹脂(B1)および/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)であることを特徴とする積層体が提供される。
本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、基材(c)層として、熱可塑性樹脂(D)で形成された熱可塑性樹脂層(II)を有することを特徴とする積層体が提供される。
本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、熱可塑性樹脂(D)の融点と、積層用ポリエチレン樹脂材料(X)の融点との差が、下記式(3)を満足することを特徴とする積層体が提供される。
Tm(D)−Tm(X)≧10 式(3)
(ただし、Tm(X):ポリエチレン系樹脂層(I)のポリエチレン樹脂材料(X)の融点Tm(℃)、 Tm(D):熱可塑性樹脂層(II)の熱可塑性樹脂(D)の融点Tm(℃)である)
本発明の第の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係り、積層体を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られた発泡加工紙が提供される。
本発明の第の発明によれば、第の発明において、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡して形成された発泡セルの高さが、370μm以上であることを特徴とする発泡加工紙が提供される。
本発明の第の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係り、積層体を用いて、容器を形成した後、該容器を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られた断熱容器が提供される。
本発明の第10の発明によれば、第の発明において、断熱容器がカップ状容器であることを特徴する断熱容器が提供される。
本発明の第11の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明に係り、紙を主体とする基材(b)と、該紙を主体とする基材(b)の一方の面に、積層用ポリエチレン系樹脂材料で形成したポリエチレン系樹脂層(I)と、該紙を主体とする基材(b)のもう一方の面に、紙を主体とした基材(b)から放出される気体を保持する熱可塑性樹脂(D)で形成された熱可塑性樹脂層(II)を含む積層体で容器を成形後、該容器を加熱温度100〜200℃に加熱して、該紙を主体とする基材(b)から放出される気体によってポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させることを特徴とする断熱容器の製造方法が提供される。
ポリエチレン系樹脂をラジカル発生剤で変性してなる本発明の積層用ポリエチレン樹脂材料は、分子量分布や溶融弾性等の諸性能の調整条件が広く、またラミネート成形の加工条件の選択幅が広くなるので、成形安定性、発泡性等の諸性能が大幅に改良される。
特に変性用原料樹脂(C)として、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂、イオン重合法ポリエチレン樹脂を単独で、またはそれらの配合物を選択し、ラジカル発生剤の存在下で変性させた積層用ポリエチレン系樹脂材料を用いると、ラミネート成形時の高速成形においても、ドローレゾナンスが発生せず、ドローダウン性がよく(ネックインが小)、ロスが少なく、成形安定性等の諸性能に優れたものとなる。
また、紙を主体とする基材(b)の片面に、該積層用ポリエチレン系樹脂材料で形成したポリエチレン系樹脂層(I)を少なくとも一層有する積層体、好ましくは、さらにもう一方の面に、基材から放出される水蒸気等の気体を保持する基材(c)、好ましくは、熱可塑性樹脂で形成した積層体は、加熱すれば、紙基材(b)から発生する水蒸気等の気体で、ポリエチレン系樹脂層(I)が発泡し、優れた発泡(セル)層と、均一な高さを有する外観が良好な発泡加工紙となる。
また、発泡性のポリエチレン系樹脂層(I)を有する積層体を用いて、容器を成形後、発泡させることにより優れた断熱性能を有するカップ等の断熱容器が容易に製造できる。
以下、本発明の積層用ポリエチレン樹脂材料を用いた積層体、発泡加工紙、並びに断熱容器・その製造方法について、項目毎に詳細に説明する。
I.[積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)]
本発明において、積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)は、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)およびイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)からなるポリエチレン系樹脂(変性用原料樹脂と称す)(C)に対して、特定量のラジカル発生剤を配合して変性して得られる積層用ポリエチレン系樹脂材料である。
(1)[高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)]
本発明において高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)とは、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)、エチレンとビニルエステルとの共重合体(A2)、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(A3)、それらの混合物から選択される少なくとも1種のポリエチレン系樹脂が挙げられる。
[高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1)]
本発明における高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1)(低密度ポリエチレン樹脂と称することもある)は、JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜90g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分の範囲で選択される。メルトフローレート(MFR)が、0.01g/10分では高速加工性が悪化し、ハンドリングが悪くなる。またメルトフローレート(MFR)が100g/10分を超えるものは、押出ラミネート成形加工時の加工安定性が悪化するので好ましくない。
また、試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度は、0.905〜0.940g/cm、好ましくは0.910〜0.938g/cm、0.912〜0.937g/cmの範囲で選択される。密度が0.905g/cm未満では、ラミネート成形時のすべりが悪く、ハンドリングが悪くなるので好ましくない。また、密度が0.940g/cmを超えるものは、工業的に製造することが難しいものとなる。
[エチレンとビニルエステルとの共重合体(A2)]
上記エチレンとビニルエステル共重合体(A2)は、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいコモノマーとして、酢酸ビニルを挙げることができる。また、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。
[エチレンとα,β−不飽和カルボン酸、その誘導体との共重合体(A3)]
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸、その誘導体との共重合体(A3)の代表的な共重合体としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン・(メタ)アクリル酸のアルキルエステル共重合体;エチレン・無水マレイン酸・酢酸ビニル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸エチル共重合体等の二元共重合体又は多元共重合体等が挙げられる。
これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
この中でも特に好ましいものとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲である。
[高圧ラジカル重合法]
(i)重合条件
本発明において高圧ラジカル重合法は、酸素、有機過酸化物などのラジカル開始剤の存在下において、超高圧下、塊状または溶液重合によって製造する方法である。
重合温度は100〜300℃、好ましくは120〜280℃、より好ましくは、150〜250℃の範囲で重合される。重合温度が100℃未満では、収率の低下や安定した製品を製造できない惧れがあり、300℃を超える場合には、反応が安定せずに、分子量の大きい重合体を得ることが難しくなる。また、重合圧力は50〜400MPa、好ましくは70〜350MPa、より好ましくは100〜300MPaの条件であり、重合圧力が50MPa未満では充分な分子量のものが得られず加工性や物性の低下が生じ、400MPaを超える場合には安定的な製造運転が行い難くなる。
(ii)重合操作
樹脂(A)の製造に際しては、基本的には通常の高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンの製造設備及び技術を利用することができる。反応器の形式としては攪拌翼付のオートクレーブ型、又はチューブラー型のものを使用することができ、必要に応じて複数個の反応器を直列又は並列に接続して多段重合をすることもできる。更に、オートクレーブ型反応器の場合には、反応器内部を複数ゾーンに仕切ることにより、温度分布を設けたり、より厳密な温度制御をすることも可能である。このような操作によって、メモリーエフェクト等を制御することが可能である。
(iii)ラジカル開始剤
ラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジt−ブチルジパーオキシイソフタレート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、アセチルパーオキサイド、i−ブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、1,1−ビスt−ブチルパーキシシクロヘキサン、2,2−ビスt−ブチルパーオキシオクタン、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中でも、半減期1分を得るための分解温度が、160〜200℃のものが好ましい。
上記ラジカル発生剤の配合量は、原料ポリエチレン100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.5〜2重量部の範囲である。また必要ならば、連鎖移動剤等を用いて、分子量調節などを行ってもよい。
連鎖移動剤としては、水素、プロピレン、ブテン−1、C〜C20若しくはそれ以上の飽和脂肪族炭化水素又はハロゲン置換炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロパラフィン類、クロロホルム、四塩化炭素、C〜C20若しくはそれ以上の飽和脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール、C〜C20若しくはそれ以上の飽和脂肪族カルボニル化合物、例えばアセトン及びメチルエチルケトン、並びに芳香族化合物、例えばトルエン、ジエチルベンゼン及びキシレンのような化合物が挙げられる。
(2)[イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)]
本発明においてイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)とは、(b1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.01〜100g/10minであり、(b2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が、0.860〜0.970g/cmを満足するエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。
上記イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)は、一般的には(i)密度が0.860〜0.910g/cm未満、MFRが0.01〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(超低密度ポリエチレン樹脂とも称す)、(ii)密度0.910〜0.940g/cm未満、MFRが0.01〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とも称す)、(iii)密度が0.940〜0.970g/cm、MFRが0.01〜100g/10分の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体(高密度ポリエチレン樹脂とも称する)を包含するものである。
イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)の(b1)JIS K7210に準拠して測定(190℃、21.18N荷重)したメルトフローレート(MFR)は、0.01〜100g/10min、好ましくは0.3〜80g/10分、より好ましくは0.5〜70g/cmの範囲で選択される。
MFRが、0.01g/10分未満では、押出ラミネート加工時の高速加工性が悪化するので好ましくない。また、MFRが100g/10minを超えるものは、押出ラミネートの加工性が不安定となるため好ましくない。
イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)の(b2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度は、0.860〜0.970g/cm、好ましくは0.880〜0.960g/cm、より好ましくは0.890〜0.950g/cmである。該密度が0.860g/cm未満ではラミネート成形時のすべりが悪く、ハンドリングが悪くなるので好ましくない。また、密度が0.970g/cmを超えるものは、工業的に製造することが難しいものとなる。
上記α−オレフィンとしては、直鎖または分岐鎖状の炭素数3〜20のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンを挙げることができる。これら共重合体の中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等の二元共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン共重合体等の三元共重合体が好適である。
これらα−オレフィンの含有量は、合計で通常30mol%以下、好ましくは3〜20mol%の範囲で選択されることが望ましい。
上記イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)は、低、中、高圧で、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒を含む)等のイオン重合触媒を用い、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等により、重合温度、圧力等の重合条件、助触媒等をコントロールすることにより好適に製造可能である。
上記イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)の中でも、シングルサイト系触媒で製造されるポリエチレン樹脂(B)が好ましく、特に密度0.860〜0.910g/cm未満の超低密度ポリエチレン樹脂や0.910〜0.940g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
これらシングルサイト系触媒で製造される超低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、従来のチーグラー触媒やフィリップス触媒で製造されるものより低分子量成分が少なく、透明性、耐ブロッキング性がよく、融点も低く、低温ヒートシール性(高速化)もよく、押出ラミネート成形やシーラントフィルム等に好適に使用されている。
上記のシングルサイト系触媒で製造される超低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂とは、一般的にはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、必要により助触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含む触媒の存在下に、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られるものである。例えば、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開平3−163088号公報、特開昭61−296008号公報、特開昭63−22804号公報、特開昭58−19309号公報、特開昭63−61010号公報、特開昭63−152608号公報、特開昭63−264606号公報、特開昭63−280703号公報等に開示されるメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
[イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)の製造方法]
本発明においてイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合、通常、常圧〜70kg/cmG、好ましくは常圧〜20kg/cmGであり、高圧法の場合、通常1500kg/cmG以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合方法については、一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
上記イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)は、特に製造触媒、プロセス等に限定されるものではなく、成書『ポリエチレン技術読本』(松浦一雄・三上尚孝編著、工業調査会刊行、2001年)のp.123〜160、p.163〜196等に記載されている方法により製造することが可能である。
(3)[変性用原料樹脂(C)]
本発明における変性原料用樹脂(C)は、上記高圧ラジカル法ポリエチレン樹脂(A)および/またはイオン重合法ポリエチレン樹脂(B)であって、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)、エチレンとビニルエステルとの共重合体(A2)、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体(A3)およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種と、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)の密度0.860〜0.910g/cmの超低密度ポリエチレン樹脂(B1)、密度0.910〜0.940g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)、0.940g/cm以上の高密度ポリエチレン樹脂(B3)から選択される少なくとも1種、およびそれらの混合物(配合物)が包含される。
具体的には、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル(A3)等の高圧ラジカル法ポリエチレン樹脂の単独、もしくは超低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂等のイオン重合法ポリエチレン樹脂の単独、あるいは2種の高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂組成物、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)との組成物、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)とエチレン−アクリル酸エチル等のエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体(A3)との組成物等が好ましく、特に高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)を主体とした組成物が、ラミネート成形時の成形加工性がよいことからより好ましい。
また、イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)は、超低密度ポリエチレン樹脂(B1)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)、高密度ポリエチレン樹脂(B3)の単独であるか、あるいはそれらの組成物である、超低密度ポリエチレン樹脂(B1)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)との組成物、超低密度ポリエチレン樹脂(B1)と高密度ポリエチレン樹脂(B3)との組成物、直鎖状低密度ポリエチレン(B2)と高密度ポリエチレン(B3)との組成物等が挙げられる。
また、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)とイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)との組成物では、(1)高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)と超低密度ポリエチレン樹脂(B1)との組成物、(2)高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)との組成物、(3)高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)と高密度ポリエチレン樹脂(B3)との組成物、(4)高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)及び超低密度ポリエチレン樹脂(B1)との組成物、(5)高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)との組成物、(6)高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)及び高密度ポリエチレン樹脂(B3)との組成物、(7)高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)、超低密度ポリエチレン樹脂(B1)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)との組成物、(8)エチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)と超低密度ポリエチレン樹脂(B1)との組成物、(9)エチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)との組成物、(10)エチレン−酢酸ビニル共重合体(A2)、超低密度ポリエチレン樹脂(B1)及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)との組成物、(11)エチレン−アクリル酸エチル共重合体と超低密度ポリエチレン樹脂(B1)との組成物、(12)エチレン−アクリル酸エチル共重合体と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)との組成物等が挙げられる。
上記組成物における樹脂同士の配合割合は、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)95〜5重量%とイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)5〜95重量%、好ましくは樹脂(A)/樹脂(B)が90〜10重量%/10〜90重量%、より好ましくは樹脂(A)/樹脂(B)が、85〜15重量%/15〜85重量%の範囲で選択されることが望ましい。
該組成物の樹脂(A)及び樹脂(B)が上記の範囲を逸脱する場合には、相互の効果が発揮されない虞が生じる。特に上記組成物において、ラミネート時の加工性を重視した場合には、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1)を主体とした配合物とすることが望ましい。
以下、変性方法について詳述する。
[変性方法]
本発明における変性用原料樹脂(C)の変性方法は、特に限定されるものではないが、通常は、押出機内で樹脂とラジカル発生剤を同時に溶融混練して反応させる溶融反応法、または有機溶媒に樹脂とラジカル発生剤を溶解し、加温混合攪拌しながら反応させる溶液反応法等が好適に用いられる。
上記変性を好適に行うためには、ラジカル反応前に、樹脂とラジカル発生剤とを定量ブレンドし、均一に分散することが必要である。具体的には、ラジカル反応設備に定量供給装置により計量しながら樹脂とラジカル発生剤を供給する方法、樹脂とラジカル発生剤とをタンブラーミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合装置を用いてドライブレンドしてからラジカル反応設備に供給する方法、ドライブレンドした後、押出機で溶融ブレンドした後にラジカル反応設備に供給する方法、押出機に樹脂とラジカル発生剤をそれぞれ定量供給しながら溶融ブレンドしてからラジカル反応設備に供給する方法などが用いられる。
上記ラジカル発生剤の存在下で変性反応を行う場合においては、ラジカル反応を抑制した温度で十分に樹脂中にラジカル発生剤を分散させることが肝要であり、そのためには、ラジカル反応を抑制できる混練温度の選定が重要となる。
変性時のラジカル反応温度[T(1)](℃)は、下記の式(1)を満たすことが望ましく、さらに式(1−1)を満たすことが好ましい。
60+30<T(1)<T60+120 ・・・・・ 式(1)
60+40<T(1)<T60+110 ・・・・・ 式(1−1)
(式中、T60は、ラジカル発生剤(C)の1時間半減期温度[℃]を表す。)
また、溶融ブレンド法では、ラジカル反応に必要な樹脂とラジカル発生剤の全量を溶融ブレンドする方法、ラジカル発生剤の全量と樹脂の一部だけを溶融ブレンドしておきラジカル反応時に希釈ブレンドする方法等を用いることができるが、ラジカル反応に必要な樹脂とラジカル発生剤の全量を溶融ブレンドする方法が好適である。
溶融ブレンドでは、ラジカル反応を抑制した温度で十分に樹脂中にラジカル発生剤を分散させることが目的である。そのためには、ラジカル反応を抑制できる混練温度の選定が重要となる。本発明では、この混練温度[T(2)](℃)は下記式(2)を満たすことが好ましい。
Tm<T(2)<T60+5 ・・・・・ (2)
溶融混練であるため、樹脂の融点(Tm)以下では、混練が実質的に不可能である。
また、混練温度が上記式(2)の上限を超えると、無視し得ない量のラジカル発生剤が分解するので好ましくない。さらに、ラジカル発生剤の分解速度は、高温ほど速くなるため、ラジカル反応をさせない溶融ブレンドをするためには、できるだけ低温で混練することが望ましく、下記式(2−1)で行うことがより好ましい。
Tm<T(2)<T60−3 ・・・・・ (2−1)
本発明に係る変性ポリエチレン系樹脂(E)を製造する好ましい方法として、ポリエ
チレンとラジカル発生剤とを、上記の式(1)又は式(1−1)を満たす温度T(1)で溶融混練する工程を含む方法でも良いし、また、別の方法として、ポリエチレンとラジカル発生剤とを、上記の式(2)又は式(2−1)を満たす温度T(2)で溶融混練する第一工程と、次いで、前記第一工程の生成物を前記の式(1)又は式(1−1)を満たす温度T(1)で溶融混練する第二工程を含む方法でも良い。
上記ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジヒドロ芳香族、ジクミル化合物等が挙げられる。その有機過酸化物としては、例えば、(i)t−ブチルハイドロパーオサキイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、(ii)メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、(iii)イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、(iv)ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルヘキシン)−3、ジ−t−アミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、(v)2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール、(vi)t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、(vii)ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカルボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類、(viii)3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン等の環状有機過酸化物類などが挙げられる。中でも好ましいのは、環状有機過酸化物類である。
ラジカル発生剤の配合量は、変性用原料樹脂100重量部に対し、0.001〜1.0重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部であることが好ましい。ラジカル発生剤の配合量が0.001重量部未満では効果が発揮されず、1.0重量部を超えると、流動性の悪化や、成形後のフィルム中のゲルやフィッシュアイの発生原因となる惧れが生じる。
上記変性で得られる組成物においては、(1)比較的高メモリーエフェクト(ME)の高圧ラジカル重合法の低密度ポリエチレン樹脂(A1)と機械的強度等に優れるイオン重合法ポリエチレン樹脂(B1)を組み合わせ、かつ少量のラジカル発生剤を使用して変性することにより、ポリエチレン樹脂に微架橋が起こり、ME(メモリーエフェクト)値の向上と調製を容易にコントロールすることができること、(2)ラミネート加工時のネックインの改良が可能であること、(3)メモリーエフェクト(ME)の向上と調製が容易になったことによる発泡セルの高さと均一性の向上、製品外観の向上が図れること、(4)発泡セルの破泡対策が容易に図れることなどの利点が発揮される。
(5)[積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)]
本発明における積層用ポリエチレン系樹脂材料は、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)およびイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)からなる変性用原料樹脂(C)100重量部に対して、ラジカル発生剤0.001〜1.0重量部の存在下で変性したものであって、変性後の積層用ポリエチレン系樹脂材料は、下記の性状を満足することが肝要である。
(x1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したメルトフローレート(MFR)が、0.01〜100g/10min、
(x2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が0.880〜0.960g/cm
(x3)メモリーエフェクト(ME)1.5以上
本発明における積層用ポリエチレン系樹脂材料のメルトフローレート(MFR)は、(x1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定され、0.01〜100g/10min、好ましくは0.05〜80g/10min、より好ましくは0.1〜70g/10minの範囲である。
該MFRが、0.01g/10min 未満では、成形加工性が悪化し、ハンドリングが低下する懸念が生じる。
また、密度は、(x2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠し、0.880〜0.960g/cm、好ましくは0.890〜0.950g/cm、より好ましくは0.900〜0.940g/cmの範囲であることが望ましい。密度が0.880g/cm未満では滑りが悪く、ハンドリングが低下する懸念が生じる。
さらにラミネート成形時の成形安定性、後述の発泡積層体、断熱容器等の発泡性能を高めるためには、積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)の溶融弾性を高める必要性から積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)のメモリーエフェクト(ME)が、好ましくは(x3)メモリーエフェクト(ME)1.5以上の性状を満足することが望ましい。
特に上記(x3)の性状を容易に満足させるためには、変性用原料樹脂(C)として、前記高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1)を選択することが好ましく、特に高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂であって、JIS K7210で使用されるメルトインデクサーを使用し、測定条件をシリンダー温度240℃、定速押出量3g/分の条件で測定したメモリーエフェクト(ME)が1.5以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.7以上を満足する高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂を選択することが望ましい。
<メモリーエフェクト(ME)の測定法>
上記積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)および高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A)のメモリーエフェクト(ME)は、JIS K7210で使用されるメルトインデクサー(三鈴エリー(株)製半自動メルトテンション計)を使用し、シリンダー温度240℃、定速押出量3g/分の条件にて、以下のようにして測定される。
装置に2.095mmφのMFR測定用ノズルをセットし、樹脂を炉へ充填する。ピストンを乗せ、0.09g/分の定速押出で5分間保持し、その後3g/分の定速押出とし6分30秒までエアー抜きを行う。6分30秒経過後、3g/分を維持したままストランドをカットし、オリフィス下端からのストランド長さが20mmとなった時点でのストランドの径を、オリフィス下端から15mmの位置でKEYENCE製レーザー寸法測定器(LS−3033)を用いて測定する。測定したストランドの直径をD、ダイスのオリフィス径をD(2.095mm)として次式によりMEが求められる(ただし、MEの実測値は小数点第2位を四捨五入して求める)。
ME=D/D
本発明における積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)は、上述したように、分子量分布や溶融弾性等の調整条件が広く、ラミネート成形の加工条件の選択幅が広くなり、成形安定性、発泡性等の諸性能が大幅に改良される。特に変性用原料樹脂(C)として、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1)を選択し、イオン重合法ポリエチレン樹脂として、シングルサイト系樹脂(B)を選択し、ラジカル発生剤の存在下で変性させることにより、低温ヒートシール性、機械的強度等に優れ、ラミネート成形時の高速成形性、成形安定性等の諸性能に優れるものとなる。
また、微架橋されることにより、樹脂材料の溶融弾性が向上することにより、材料の発泡特性が向上し、発泡セルの均一性、発泡セルの高さ等が要求されるカップ等の断熱容器等に好適に活用され得る。
本発明では、上記積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)の特性を損ねない範囲で、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、金属石鹸等の中和剤、アンチブロッキング剤、滑剤、分散剤、顔料、染料等の着色剤、防曇剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤などの添加剤を配合してもよい。また、上記積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)の特性を損ねない範囲で、他のポリオレフィン系樹脂等を配合しても構わない。
II.[積層体]
本発明の積層体は、上記積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)と基材(a)が積層されてなる積層体であって、ラミネート成形時に該積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)の優れた諸性質が発揮される。
上記基材(a)としては、高、中、低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのプロピレン系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などのナイロン又はポリアミド系樹脂;ポリアクリロニトリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、セロハンなどのセルロース系ポリマーなどのフィルム形成能を有する熱可塑性樹脂フィルムまたはシート(これらの延伸物、印刷物)、アルミニウム、鉄、銅、またはこれらを主成分とする合金等の金属箔または金属板、シリカ蒸着プラスチックフィルム、アルミナ蒸着プラスチックフィルム等の無機酸化物の蒸着フィルム、金、銀、アルミニウム等の金属またはこれら金属の酸化物以外の化合物等の蒸着フィルム、上質紙、クラフト紙、板紙、グラシン紙、合成紙等の紙類、セロファン、織布、不織布等が用いられる。
本発明の積層体は、上記の基材(a)と本発明の積層用ポリエチレン系樹脂材料を用いて、通例のラミネート方法等で種々様々の積層体を製造できる。
なお、本発明の積層用ポリエチレン系樹脂材料は、特にラミネート積層体を製造する際のラミネート性能(高速成形加性、ドローダウン性、低ネックイン等)に優れ、目的、用途によって各種基材と積層化できる。したがって、本発明の積層用ポリエチレン系樹脂材料を用いた積層体は、包装用材料、容器等として活用される。例えばAl等金属に押出ラミネートした各種の積層フィルムないしシートは、菓子、スナック、即席ラーメン、ふりかけ、粉末スープなどの乾燥食品、ハム、ソーセージ、畜肉などの肉製品、こんにゃく、漬け物、味噌、液状スープなどの水物食品、液体容器などの各種食品や液体洗剤、液体薬品などの食品分野に使用される袋、容器包装にも、その優れた接着性、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性、破袋強度、自動充填包装適性などの特性を活かして有効に使用することができる。また、牛乳等の乳製品、果汁、お茶、酒、清涼飲料水等に使用される紙容器、あるいは、輸液バッグ、容器用の医療用分野等に好適に使用される。
本発明の積層体を製造する方法は、特に制約はないが、溶融樹脂をダイレクトに積層する押出ラミネート法、事前にフィルムとしたものを積層するサンドイッチラミネート法、ドライラミネート法、共押出法等により、各種基材に押出コーティング或いは基材と共押出することができる。
押出ラミネート法は、Tダイより押出した溶融樹脂膜を、基材上に連続的に被覆・圧
着する方法で、被覆と接着を同時に行う成形加工法である。
また、サンドイッチラミネート法は、基材と積層するフィルムの間に溶融した樹脂を流し込んで、この溶融した樹脂が接着剤のような働きをして接着・積層する方法である。
また、ドライラミネート法は、積層する基材またはフィルムを貼合する接着剤を塗布し、貼合面を圧着して積層体を製造する方法である。また、共押出法は、複数の押出機を使用して、基材を構成する樹脂と本発明の積層用ポリエチレン系樹脂組成物とをともに共押出して、共押出ダイスの出口手前で合接させて積層体を製造する方法である。
[発泡性積層体]
本発明の発泡性積層体とは、少なくとも紙を主体とする基材(b)と積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)とを含む積層体である。
本発明の明細書中における発泡性積層体の発泡性とは、加熱により発泡する性質を指す。発泡性がよいとは、主に高い発泡倍率を得ることができる状態を指し、紙を主体とする基材が包含する水分が主に加熱されることによって発生する水蒸気で、積層体の厚さ方向に発泡セルが生長する際の発泡セルの高さが尺度になる。また、発泡セル高さの均一性も尺度に取り入れられる。
本発明の積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)は、特にラミネートによる積層体を製造する際のラミネート性能(高速成形加性、ドローダウン性、低ネックイン等)に優れるばかりでなく、紙カップ等の断熱性材料の製造時の発泡特性にも優れるという特性をあわせ有し、特に紙を主体とする基材を使用した発泡加工紙、断熱容器等を製造する際に特異な効果を発揮するものである。
以下に本発明の発泡性積層体についてさらに詳述する。
本発明の積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)と紙を主体とする基材(b)との積層体は、紙を主体とした基材(b)と、その基材(b)の一方の面に、積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)を用いて形成されたポリエチレン系樹脂層(I)を設けた積層体であって、該積層体を加熱することにより、主に紙を主体とする基材(b)に包含する水分を蒸発させて、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させることができる発泡性積層体である。特に、紙を主体とした基材(b)の他の面に、加熱した際に紙を主体とする基材(b)から放出される水蒸気や揮発性ガス等の気体を保持する基材(c)層、好ましくは熱可塑性樹脂層を設けて、ポリエチレン系樹脂層(I)のみを発泡させる積層体とすることが望ましい。
本発明の発泡性積層体を製造するには、上記積層体の製造方法と同様にして行うことができる。
[紙を主体とする基材(b)]
本発明において紙を主体とする基材(b)は、基材(b)に含まれた水分等の蒸気や揮発ガス等の気体によって表面のポリエチレン樹脂層(I)を発泡させることができれば特に限定されない。
本発明において紙を主体とする基材(b)とは、(i)紙、あるいは(ii)予め紙に加熱により揮発性ガスを発生する物質をコーティングした基材、ラミネート成形過程で紙とポリエチレン系樹脂層(I)間に加熱により揮発性ガスを発生する物質をコーティングしたもの、(iii)紙を主体とする基材中へ加熱により揮発性ガスを発生する物質を配合した基材を意味するものである。
本発明においては、主に紙に含まれる水分が加熱によって発生される水蒸気の作用によって基材表面のポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させるものであるが、加熱分解によって発生する揮発ガスによって基材表面のポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させることができるものであれば良く、特に限定されるものではない。
上記、(i)紙としては、上質紙、クラフト紙、アート紙、再生紙、合成紙、樹脂とゼオライト、炭酸カルシウム等の無機物含有するシート等が挙げられる。該紙の坪量は100〜400g/m、特に150〜350g/mが好ましい。また、紙の含水率は4〜15重量%、好ましくは5〜13重量%、より好ましくは5〜12重量%程度のものが例示される。
また、(ii)紙に、熱により揮発性ガスを発生する物質をコーティングした基材としては、紙に溶剤系インキや水溶性のインキ、塗料、接着剤をコーティングした基材等が挙げられる。例えば特開2000−238225号公報等にみられるように、基材とポリエチレン系樹脂層(I)間に発泡性物質を添加した接着剤層を設け、加熱によって発生する発泡性物質から発生する揮発性ガスによって、基材表面のポリエチレン系樹脂層(I)の発泡を促進させることが可能である。
また、(iii)加熱により揮発性ガスを発生する物質を配合した基材に使用される揮発性ガスを発生する物質としては、無機または有機の発泡剤、含水ポリマー、発泡剤内包のマイクロカプセル等が挙げられ、例えば特開2002−145239号公報等にみられるように、抄紙工程において熱発泡性の発泡剤を添加して抄紙した紙、あるいは紙に発泡剤を内包するマイクロカプセル、含水させた吸水性ポリマー等を配合した基材等などが挙げられる。
さらに、紙を主体とする基材(b)には、パルプ紙や合成紙等の紙にインクなどで絵や文字、模様などを印刷することもできる。
[ポリエチレン系樹脂層(I)]
本発明においてポリエチレン系樹脂層(I)は、上記積層用ポリエチレン樹脂材料を使用し、紙を主体とした基材(b)の一方の面に、上記積層体の製造方法と同様にして形成することができ、一般的には、ラミネート成形等で形成させることができる。ついで該積層体を加熱し、紙を主体とした基材(b)から放出される水蒸気等の気体によって発泡させることができる。また、積層体の発泡倍率を高く、かつ均一な発泡セルを形成させるためには、該積層用ポリエチレン系樹脂材料の融点が80〜130℃の範囲、好ましくは、85〜120℃、より好ましくは90〜110℃程度の範囲内のものを選択することが望ましい。
ポリエチレン系樹脂層(I)の厚みについては、特に限定されないが、20〜100μmであり、発泡層を厚くするという点で、30〜100μmが好ましい。ポリエチレン系樹脂層(I)の厚みが、20μm未満では発泡層を十分に厚くすることができない虞が生じる。
[基材(c)層]
本発明に用いる基材(c)層とは、基材(b)から放出される蒸気等の気体を保持する役割を有するものである。ここで基材(b)から放出される蒸気等の気体を保持するとは、基材から放出される蒸気等の気体をポリエチレン系樹脂層(I)側に拡散させ、ポリエチレン系樹脂層(I)を優先的に発泡させるように、水蒸気等をバリアすることを意味し、上記基材(a)と同種の材料であってもよいが、ポリエチレン系樹脂層(I)に比して高い融点を有するか、もしくは加熱によって融解しない材料等が選択される。特にカップなどのような断熱容器においては、基材(c)層として熱可塑性樹脂(D)を選択し、熱可塑性樹脂層(II)を設けることが好ましい。
また、カップ等の断熱容器等の好ましい例としては、ポリエチレン系樹脂層(I)を考慮すると、熱可塑性樹脂(D)の融点(Tm)は、100℃〜160℃の範囲、好ましくは110℃〜150℃、より好ましくは115℃〜140℃の範囲で選択されることが望ましい。ここで、融点TmはDSCによって測定されるセカンドスキャンの融点で最高ピーク高さの融点である。
熱可塑性樹脂(D)の融点が100℃より低い場合は、耐熱性が不足し熱可塑性樹脂層(II)が発泡してしまう惧れがあるため好ましくない。また、また160℃を超えると、低温ヒートシール性が不良となる惧れがあるため好ましくない。したがって、融点が160℃を超える熱可塑性樹脂(D)を使用する場合においては、該ポリエチレン系樹脂層(I)を考慮して、シーラント層等のヒートシール層を設けた積層体としてもよい。
本発明において使用される熱可塑性樹脂(D)とは、例えば、高・中・低密度ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテンー1樹脂、ポリ−4−メチル−ペンテンー1樹脂等のような炭素数2〜10のα―オレフィンの単独重合体またはそれらの相互共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいはこれらとの混合物等が挙げられる。
これらの中でも、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂等の紙基材と接着性の乏しい樹脂を使用する場合においては、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂、エチレン−不飽和カルボン酸との共重合体等の通例の接着性樹脂等を介して積層体としても良い。
上記熱可塑性樹脂(D)には、必要に応じて、上記熱可塑性樹脂層(II)の特性を損ねない範囲で、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、金属石鹸等の中和剤、アンチブロッキング剤、滑剤、分散剤、顔料、染料等の着色剤、防曇剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤などの添加剤を配合してもよい。
本発明の基材(c)の厚みは、特に限定されないが、発泡層を厚くするという点で、10〜100μm、特に20〜100μmが好ましい。基材(c)の厚みが、10μm未満では発泡層厚みを十分に高くすることができない。
本発明に係る発泡積層体においては、本発明の効果を損なわない範囲において、該層間、あるいはその内及び/又は外層等に他の層を設けてもよく、例えば、外側から、{ポリエチレンフィルム層/ポリエチレン系樹脂層(I)/基材/熱可塑性樹脂層(II)}、{ポリエチレンフィルム層/バリア層/接着層/ポリエチレン系樹脂層(I)/基材/熱可塑性樹脂層(II)}、{ポリエチレン系樹脂層(I)/基材/熱可塑性樹脂層(II)/バリア層/熱可塑性樹脂層(II)}のように基材とポリエチレン系樹脂層(I)または、さらに熱可塑性樹脂層(II)を設けた積層体の内及び/又は外層、あるいは該層間に一層または複数層のフィルム層、装飾層、補強層、接着剤層、バリア層等を設けてもよい。
また、必要に応じて印刷等を施しても良い。印刷は、部分的または全面的に着色インキで印刷してもよい。また、必要に応じて発泡性インキを使用して、部分的または全面的に発泡部位を設けてもよい。印刷の位置、印刷面積の大小、印刷の方法、使用されるインキなどは、従来公知の技術を適宜選択して用いることができる。
上記装飾層としては、印刷された紙、フィルム、不織布、織布等が挙げられる。
また補強層とは、基材に積層された発泡性のポリエチレン系樹脂層(I)が加熱によって発泡されるときに発泡層が破裂しないように、発泡性のポリエチレン系樹脂層(I)の外層にポリエチレン樹脂フィルムなどを積層して発泡層の過度の発泡による破裂防止や、不ぞろいの発泡セルを均一に矯正する、あるいはフィルム、不織布等を積層して、機械的強度を持たせるなどの役割を果たすものである。樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等でよい。
また、接着剤層を形成する樹脂としては、エチレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸等をグラフトした変性ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ホットメルト、通常の接着剤等が挙げられる。
またバリア層を形成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリエステル(OPET)、延伸ポリアミド、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム等の金属、無機酸化物の蒸着フィルム、アルミ蒸着等の金属蒸着フィルム、金属箔等が挙げられる。
III.[発泡加工紙]
本発明の発泡加工紙は、上記の発泡性積層体を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られるものである。すなわち、好ましくは上記発泡性積層体を発泡させる際に、ポリエチレン系樹脂層(I)と基材(b)から放出される水蒸気等の気体を保持する基材(c)として熱可塑性樹脂(D)を選択し、該熱可塑性樹脂(D)が下記式(4)を満足させるように行う。
ここで、基材(b)から放出される水蒸気等の気体を保持するとは、所定の加熱条件で基材から放出された水蒸気を(I)層側に拡散させ、(I)層を優先的に発泡させるよう、蒸気をバリアすることを指す。この式(4)を満足させるように行うと、加熱による発泡処理条件を広くすることができるうえ、ポリエチレン系樹脂層(I)を優先的に発泡させることができるので好ましい。
Tm(D)−Tm(X)≧10 式(3)
(ただし、Tm(X):ポリエチレン系樹脂層(I)の積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)の融点Tm(℃)、 Tm(D):基材(c)の熱可塑性樹脂(D)の融点Tm(℃)である)
発泡加工紙の発泡セルの高さは、370μm以上、好ましくは380μm以上とすることが望ましい。発泡セルの高さが370μm未満であると、十分な断熱性が得られない。
なお、本明細書中において、「発泡性」とは、加熱により発泡する性質を指す。発泡性がよいとは、主に高い発泡倍率を得ることができる状態を指し、紙基材からの水蒸気等により積層体の厚さ方向に発泡セルが成長する際の発泡セルの高さが尺度になる。また、発泡セル高さの均一性も尺度に取り入れられる。
加熱方法としては特に制限はないが、熱風、マイクロ波、高周波、赤外線、遠赤外線等が挙げられる。加熱温度には特に制約はないが、紙中の水分を蒸発させ、発泡性の樹脂が溶融する温度でなければならず、例えば、100〜140℃が好ましい。加熱時間は10秒間〜15分間が好ましい。加熱温度が100℃未満、加熱時間が10秒未満であると、十分な発泡セル高さが得られない場合がある。
上記発泡加工紙は、下記のカップ等断熱容器用の断熱・保温材料としてはもちろんのこと、緩衝材料、遮音材料、発泡紙等としても用いられ、スリーブ材、紙皿、トレー、滑り止め材、果物の包装材、発泡紙等の農業用、産業用、生活用資材等として活用される。
IV.[断熱容器]
本発明の断熱容器は、上記紙を主体とする基材(b)と積層用ポリエチレン樹脂材料とを少なくとも有する積層体、好ましくは、該紙を主体とする基材の他面に、基材中の水蒸気等の気体を保持する基材(c)の熱可塑性樹脂(D)を積層した積層体を用いて容器を形成した後、該容器を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られるものである。
本発明の断熱容器においても、上記発泡加工紙と同様に、発泡セルの高さは、370μm以上、好ましくは380μm以上とすることが望ましい。発泡セルの高さが370μm未満であると、十分な断熱性が得られない虞が生じる。 これにより得られた断熱容器は、トレー及びカップなどとして使用される。用途としては、ホット飲料容器、カップスープ容器、カップ味噌汁容器、カップ麺容器、納豆容器、弁当容器、コーヒーカップ容器、電子レンジ対応容器等が例示できる。
V.[断熱容器の製造方法]
上記断熱容器、特にカップの製造方法は、少なくとも、紙を主体とする基材の一方の面に、ポリエチレン樹脂材料を用いて、加熱によって基材(b)から放出される水蒸気等の気体によって発泡されるポリエチレン樹脂層(I)を形成し、基材(b)の他面に、基材から放出される蒸気等を保持する基材(c)層が形成された発泡性積層体を形成し、ついで容器に成形後、加熱温度100〜200℃で加熱して、基材(b)から放出される蒸気等によってポリエチレン樹脂層(I)を発泡させることを特徴とする。
断熱容器の製造方法においても上記発泡加工紙の製造方法と基本的には同様である。上記基材(b)に樹脂層をラミネートするには、通例のラミネート方法が適用される。押出ラミネートにおいては、ダイス直下の樹脂温度200〜350℃、好ましくは260〜350℃、より好ましくは270〜350℃の範囲で行われる。また、成形速度は、10〜400m/分、好ましくは10〜350m/分位で行われ、必要に応じて、基材とポリエチレン樹脂との接着性を向上させるためにコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、フレーム処理等を行っても良い。また、必要に応じて、アンカーコート剤を塗布しても良い。
このようにして製造された発泡積層体を、ロール巻き原反もしくは連続的に繰り出して、該発泡積層体から胴部材用ブランクと底板部材用ブランクを打ち抜きし、常用のカップ成型機で胴部材と底板部材を接合させてカップ状等に成型した後、回分式あるいは転送するベルトコンベヤーで輸送して熱風、マイクロ波、高周波、赤外線、遠赤外線等が具備する加熱炉、オーブントンネル等で加熱発泡して断熱性容器が成形される。
特に断熱容器を連続的に製造するためには、好ましくは、加熱によって基材(b)から放出される蒸気等の気体によって発泡される積層用ポリエチレン樹脂材料と、基材から放出される蒸気等の気体を保持する基材(c)、好ましくは熱可塑性樹脂(D)との融点差が、次の式(4)の関係を満足させるようにすることが望ましい。
Tm(D)−Tm(X)≧10 −−−−−式(4)
(ただし、Tm(X):層(I)を形成するポリエチレン樹脂材料(X)の融点Tm(℃)、Tm(D):基材(b)中の蒸気等の気体を保持する基材(c)の熱可塑性樹脂(D)の融点Tm(℃)である)
これにより、押出ラミネート等の高速成形性もよく、連続的に、発泡倍率が高く、均一な発泡セルを有する発泡層を形成することが可能になり、外観性が良く、印刷性、生産性が向上する。また、加熱時間は10秒間〜15分間が好ましい。加熱温度が100℃未満、加熱時間が10秒未満であると、十分な発泡セル高さが得られない場合がある。また、加熱温度が200℃を超え、および/または加熱時間が15分間を超える場合には、生成した発泡セルが加熱過多になって発泡セルに、へたり等が生じ、製品のばらつきの原因となる虞が生じる。
このように本発明の断熱容器の製造方法においては、押出ラミネート加工時の成形性と、ロスが少なく、かつ、発泡倍率が高く、均一な発泡セルが形成された発泡層となり、断熱性、外観の良好性等に優れた断熱性容器を容易に得ることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例において用いるポリエチレン樹脂、その物性、得られた発泡性積層体等の試験方法は、以下の通りである。
(1)MFR:JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定した。
(2)密度:ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを10
00ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加
熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし、室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、タテヨコ2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃でJIS−K7112に準拠して測定した。
(3)メモリーエフェクト(ME): JIS K7210で使用されるメルトインデクサー(三鈴エリー(株)製半自動ME計)を用いて測定した。
<測定条件>
シリンダー温度240℃、定速押出量3g/分の条件にて、次のように実施した。
測定装置に2.095mmφのMFR測定用ノズルをセットし、樹脂を炉へ充填する。ピストンを乗せ、0.09g/分の定速押出で5分間保持し、その後3g/分の定速押出とし6分30秒までエアー抜きを行う。6分30秒経過後、3g/分を維持したままストランドをカットし、オリフィス下端からのストランド長さが20mmとなった時点でのストランドの径を、オリフィス下端から15mmの位置でKEYENCE製レーザー寸法測定器(LS−3033)を用いて測定する。測定したストランドの直径をD、ダイスのオリフィス径をD(2.095mm)として次式によりMEを求めた(ただし、実測値は少数点第2位を四捨五入した)。
ME=D/D
(4)融点:ペレットを熱プレスでシートとし、パンチで打ち抜いてサンプルとした。測定は、下記の条件で、第一昇温、降温、第二昇温の手順で実施し、第二昇温の最高ピーク高さの温度を融点とした。
装置:セイコーインスツルメンツ製DSC220
昇降温条件 :第一昇温 30℃から200℃までを40℃/分
降温 200℃から20℃までを10℃/分
第二昇温 20℃から200℃までを10℃/分
温度保持時間:第一昇温後 5分間、降温後 5分
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム
(5)加工性(溶融膜安定性):ポリエチレン系樹脂層(I)を押出ラミネートする際、加工が安定的に行えるかを目視にて評価した。
○:溶融膜が安定して、加工できる。
×:溶融膜が不安定で、均一な厚みのサンプル採取が不能。
(6)発泡セルの高さ:発泡加工紙の厚みをダイヤルゲージで測定し、基材および熱可塑性樹脂層(II)の厚みを徐し発泡セル高さとした。
(7)発泡セルの均一性:発泡加工紙表面を目視にて観察し、部分的な過剰発泡の有無と均一性を評価した。○:良好、×:セル高さが不均一
1.高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(A1)
高圧ラジカル法低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)A1−1およびA1−2は、オートクレーブ反応器を有する高圧ラジカル法低密度ポリエチレン製造設備において製造した。
性状を以下に示した。
A1−1:高圧法低密度ポリエチレン樹脂
MFR7g/10分、密度0.919g/cm、ME=2.0、Tm(融点)=106℃
A1−2:高圧法低密度ポリエチレン樹脂
MFR4g/10分、密度0.923g/cm、ME=2.1、Tm(融点)=110℃
2.イオン重合法エチレン・α−オレフィン共重合体(B)
イオン重合法エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、次の方法で製造した。
<触媒調製>
触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチルの所定量に、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して、等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
<重合>
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が66重量%となるように40kg/hの割合で連続的に供給した。また、重合温度が158℃を維持するように触媒供給量を調整した。反応終了後、MFR17g/10分、密度0.898g/cm、ME=1.1、Tm(融点)85℃の性状を有するエチレン・1−ヘキセン共重合体(B1)を得た。
(実施例1)
<積層用ポリエチレン樹脂材料の調製>
ポリオレフィン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1−1)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B1)を30/70の割合で配合し、ラジカル発生剤である3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナンが0.01重量部となるよう、化薬アクゾ(株)製トリゴノックス301(純度41%、一時間半減期温度が146℃)を計量し、ヘンシェルミキサーにて2分間混合し、混合物を40mmΦ単軸押出機にて窒素シールの下、ラジカル反応温度(T2)240℃、押出機滞留時間90秒の条件にてラジカル反応させて積層用ポリエチレン樹脂材料(X1)得た。
そのポリエチレン樹脂材料(X1)の性状はMFR10g/10min、密度0.904g/cm、ME1.6、Tm101℃)であった。
<発泡加工紙の製造>
坪量157g/m、含水率7%の紙基材(b)の片面にコロナ処理(30W・min/m)を施し、40Φ押出機、ダイス有効幅360mmの押出ラミネーターを用い、熱可塑性樹脂層(II)を構成する材料としてMFR10g/10min、密度0.936g/cm、融点129℃のポリエチレン樹脂を樹脂温度320℃、加工速度20m/min、20μm厚にて押出ラミネート加工し、熱可塑性樹脂層(II)と紙基材との積層体を得た。
次に、上記積層体の熱可塑性樹脂層(II)と反対面の紙基材面にコロナ処理(30W・min/m)を施し、40φ押出機、ダイス有効幅360mmの押出ラミネーターを用い樹脂温度320℃、加工速度20m/min、40μm厚にてポリエチレン系樹脂層(I)を構成する材料として、上記で得られた積層用ポリエチレン樹脂材料(X1)を押出ラミネート加工し、ポリエチレン系樹脂層(I)と紙基材と熱可塑性樹脂層(II)からなる発泡性積層体を得た。
得られた発泡性積層体を130℃のオーブン中に2分間放置後、オーブンから取り出し、常温にて放冷して発泡加工紙を得た。この発泡加工紙の発泡セル高さは450μmであった。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン系樹脂(A1−1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B1)とを60/40の割合で配合し、実施例1と同様に、ヘンシェルミキサーにて2分間混合し、混合物を40mmφ単軸押出機にて窒素シールの下、160℃にて溶融混合しポリエチレン系樹脂層(I)を構成する積層用ポリエチレン樹脂材料(X2)を得た。
その積層用ポリエチレン樹脂材料(X2)の性状は、MFR6g/10min、密度0.910g/cm、ME2.1、Tm104℃)であった。上記積層用ポリエチレン樹脂材料(X2)を用いて実施例1と同様にして、発泡性積層体を得た。得られた発泡性積層体を130℃のオーブン中に2分間放置後オーブンから取り出し、常温にて放冷して発泡加工紙を得た。この発泡加工紙の発泡セル高さは420μmであった。
結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリオレフィン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1−2)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B1)を30/70の割合で配合し、ラジカル発生剤である3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナンが0.01重量部となるよう、化薬アクゾ(株)製トリゴノックス301(純度41%、一時間半減期温度が146℃)を計量し、ヘンシェルミキサーにて2分間混合し、混合物を40mmΦ単軸押出機にて窒素シールの下、ラジカル反応温度(T2)240℃、押出機滞留時間90秒の条件にてラジカル反応させて積層用ポリエチレン樹脂材料(X3)得た。
そのポリエチレン樹脂材料(X3)の性状はMFR9g/10min、密度0.905g/cm、ME1.6、Tm103℃)であった。上記積層用ポリエチレン樹脂材料(X3)を用いて実施例1と同様にして、発泡性積層体を得た。得られた発泡性積層体を130℃のオーブン中に2分間放置後オーブンから取り出し、常温にて放冷して発泡加工紙を得た。この発泡加工紙の発泡セル高さは400μmであった。
結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン樹脂
(A1−1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B1)を30/70の比率で配合し、ラジカル発生剤を配合せずに、ヘンシェルミキサーにて2分間混合し、混合物を40mmΦ単軸押出機にて窒素シールの下、160℃にて溶融混合しポリエチレン系樹脂層(I)を構成するポリエチレン樹脂(MFR13g/10min、密度0.904g/cm、ME1.4、Tm100℃)を使用した。それ以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。
得られた発泡性積層体を130℃のオーブン中に2分間放置後オーブンから取り出し、常温にて放冷して発泡加工紙を得た。この発泡加工紙の発泡セル高さは360μmであった。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(A1−1:MFR7g/10分、密度0.919g/cm、ME=2.0、Tm=融点106℃)をそのまま用いた。それ以外は比較例1と同様にして発泡性積層体を得た。
得られた発泡性積層体を130℃のオーブン中に2分間放置後オーブンから取り出し、常温にて放冷して発泡加工紙を得た。この発泡加工紙の発泡セル高さは320μmであった。結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(A1−2:MFR4g/10分、密度0.923g/cm、ME=2.1、Tm(融点)110℃)をそのまま用いた。それ以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。
得られた発泡性積層体を130℃のオーブン中に2分間放置後オーブンから取り出し、常温にて放冷して発泡加工紙を得た。この発泡加工紙の発泡セル高さは300μmであった。結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、エチレン・α−オレフィン共重合体(B1)をそのまま用いた。それ以外は実施例1と同様にして発泡性積層体の作製を試みたが、Tダイからの溶融膜が不安定であり、均一な発泡性積層体を得ることができなかった。
Figure 0005508767
〔評価結果〕
上記の結果を示す表1から明らかなように、本発明の構成要件を満足する実施例1〜3は、いずれも溶融膜の加工安定性がよく、かついずれの実施例でも発泡が均一で、発泡セルの高さも目標とする370μmを超える高いものであった。
一方、比較例1は、変性用原料樹脂にラジカル発生剤を配合しなかったため、ラミネート成形時に溶融膜の安定性が悪く、正常な発泡性積層体が得られず、発泡が不均一で、発泡セルの高さも360μmと低いものであった。
また、比較例2、3は、高圧法低密度ポリエチレン樹脂単独なため、発泡セルの高さがいずれも本発明の目標とする370μmを達成できなかった。
また、比較例4は、イオン重合法低密度ポリエチレン樹脂単独なため、成形加工性が悪く、正常な発泡性積層体が得られず、発泡特性を測定できなかった。
本発明における積層用ポリエチレン系樹脂材料は、成形加工性がよく、種々の基材と積層され、包装材料、包装容器等に使用される。
また、該材料と紙基材との発泡性積層体は、加熱によって十分な高さの発泡セル(発泡層)が得られ、発泡加工紙、並びに該発泡性積層体を使用したカップなどの断熱容器の製造に適用できる。上記発泡性積層体は、緩衝材料、断熱材料、発泡加工紙として使用され、スリーブ材、紙皿、トレー、滑り止め材、果物の包装材、発泡紙等の農業用、生活用資材等として活用される。また、断熱容器は、トレー及びカップなどとして使用される。用途としては、ホット飲料、カップスープ、カップ味噌汁、カップラーメン、納豆容器、電子レンジ対応容器等として使用されるなど産業上きわめて有用である。

Claims (11)

  1. 紙を主体とした基材(b)と、該紙を主体とした基材(b)の一方の面に、紙を主体とした基材(b)から放出される気体で発泡され得る、積層用ポリエチレン系樹脂材料で形成されたポリエチレン系樹脂層(I)と、上記紙を主体とした基材(b)のもう一方の面に、紙を主体とした基材(b)から放出される気体を保持する基材(c)層を有する積層体において、
    前記積層用ポリエチレン系樹脂材料が、高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)およびイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)からなる変性用原料樹脂(C)100重量部に対して、ラジカル発生剤0.001〜1.0重量部を配合し、変性させて得られる積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)であって、下記(x1)〜(x3)の性状を満足することを特徴とする積層体。
    (x1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10min、
    (x2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が0.880〜0.960g/cm
    (x3)JIS K7210で使用されるメルトインデクサーを使用し、シリンダー温度240℃、定速押出量3g/分の条件で測定したメモリーエフェクト(ME)が1.5以上
  2. 変性用原料樹脂(C)が、下記(a1)〜(a2)の要件を満足する高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)95〜5重量%と、下記(b1)〜(b2)の要件を満足するイオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)5〜95重量%からなるポリエチレン樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
    (a1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したMFRが0.01〜100g/10min、
    (a2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が0.905〜0.940g/cm
    (b1)JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したMFRが0.01〜100g/10min、
    (b2)試験温度23℃、JIS−K7112に準拠した密度が0.860〜0.970g/cm
  3. 高圧ラジカル重合法ポリエチレン系樹脂(A)が、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン樹脂(A1)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. イオン重合法ポリエチレン系樹脂(B)が、超低密度ポリエチレン樹脂(B1)および/または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(B2)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記基材(c)層として、熱可塑性樹脂(D)で形成された熱可塑性樹脂層(II)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 熱可塑性樹脂(D)の融点と、積層用ポリエチレン樹脂材料(X)の融点との差が、下記式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
    Tm(D)−Tm(X)≧10 式(3)
    (ただし、Tm(X):ポリエチレン系樹脂層(I)のポリエチレン樹脂材料(X)の融点Tm(℃)、 Tm(D):熱可塑性樹脂層(II)の熱可塑性樹脂(D)の融点Tm(℃)である)
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層体を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られた発泡加工紙。
  8. ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡して形成された発泡セルの高さが、370μm以上であることを特徴とする請求項7に記載の発泡加工紙。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層体を用いて容器を形成した後、該容器を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られた断熱容器。
  10. 請求項9に記載の断熱容器が、カップ状容器であることを特徴する断熱容器。
  11. 紙を主体とする基材(b)と、該紙を主体とする基材(b)の一方の面に、請求項1〜4のいずれかに記載の積層用ポリエチレン系樹脂材料(X)で形成したポリエチレン系樹脂層(I)と、該紙を主体とする基材(b)のもう一方の面に、紙を主体とした基材(b)から放出される気体を保持する熱可塑性樹脂(D)で形成された熱可塑性樹脂層(II)とを含む積層体で容器を成形後、該容器を加熱温度100〜200℃に加熱して、該紙を主体とする基材(b)から放出される気体によってポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させることを特徴とする断熱容器の製造方法。
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