JP2022143003A - プロピレン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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三紀子 野口
Mikiko Noguchi
貴行 植草
Takayuki Uekusa
宏和 田中
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Abstract

【課題】白化を抑制することができ、かつ、成形加工性に優れる適度な溶融張力を有するプロピレン系樹脂組成物を提供すること。【解決手段】プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、前記共重合体(A)以外のプロピレン系分岐ポリマー(B)と、前記共重合体(A)およびポリマー(B)以外のプロピレン系重合体(C)とを含有するプロピレン系樹脂組成物であって、前記プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1~50g/10分であり、前記プロピレン系樹脂組成物の溶融張力が5~300mNである、プロピレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物、接着性樹脂組成物、ペレット、成形体、無延伸フィルム、シート、射出成形体、ブロー成形体および自動車部品に関する。
近年、柔軟性、耐熱性、透明性に優れると共に、環境適性、衛生性を有するポリオレフィンからなる軟質材料として、プロピレンを主成分としたプロピレン系重合体が知られている。
現在、このようなプロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物の用途が広がる中で、従来のプロピレン系樹脂組成物は、ブロー成形や延伸工程などの成形加工時や二次加工時に成形体が白化(以下単に「白化」ともいう。)しやすい課題があった。また、例えば、ブロー成形や押出成形などの成形時にドローダウンやネックインしやすく、成形性が十分ではなかった。該成形性の指標の一つとしては、溶融張力が挙げられる。
前記白化を抑制でき、かつ、成形性に優れるプロピレン系樹脂組成物として、特許文献1や2には、高い溶融張力を有するプロピレン系分岐ポリマーを含むプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
特開2017-216207号公報 特開2019-85480号公報
しかしながら、前記特許文献1や2に記載などの従来のプロピレン系樹脂組成物は、白化をある程度は抑制できるが、その程度は十分ではなく、白化の抑制と成形性の両立の点で改良の余地があった。
本発明は以上のことに鑑みてなされたものであり、成形加工時や二次加工時の成形体の白化を抑制することができ、かつ、成形加工性に優れる適度な溶融張力を有するプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の構成例は、以下の通りである。
なお、本明細書では、数値範囲を示す「A~B」は、A以上B以下を示す。
[1] プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、
前記共重合体(A)以外のプロピレン系分岐ポリマー(B)と、
前記共重合体(A)およびポリマー(B)以外のプロピレン系重合体(C)と
を含有するプロピレン系樹脂組成物であって、
前記プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1~50g/10分であり、
前記プロピレン系樹脂組成物の溶融張力(230℃)が5~300mNである、
プロピレン系樹脂組成物。
[2] 前記共重合体(A)、ポリマー(B)および重合体(C)の合計100質量%に対し、
前記共重合体(A)の含有量が1~40質量%であり、
前記ポリマー(B)の含有量が0.5~40質量%であり、
前記重合体(C)の含有量が20~98.5質量%である、
[1]に記載のプロピレン系樹脂組成物。
[3] 前記ポリマー(B)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分以上である、[1]または[2]に記載のプロピレン系樹脂組成物。
[4] 前記共重合体(A)が、プロピレンから導かれる構成単位(i)、エチレンから導かれる構成単位(ii)および炭素数4~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(iii)を含有し、これらの合計100モル%に対し、
前記構成単位(i)の含有量が50~92モル%であり、
前記構成単位(ii)の含有量が5~20モル%であり、
前記構成単位(iii)の含有量が3~30モル%である、
[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
[5] 前記共重合体(A)の示差走査熱量計により測定した融点が100℃未満、または、融解ピークが観測されない、[1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
[6] 前記共重合体(A)がプロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体である、[1]~[5]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
[7] 前記重合体(C)が、ホモポリプロピレンまたはランダムプロピレン共重合体である、[1]~[6]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物を含有する、接着性樹脂組成物。
[9] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[8]に記載の接着性樹脂組成物を含有する、ペレット。
[10] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[8]に記載の接着性樹脂組成物を含有する、成形体。
[11] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[8]に記載の接着性樹脂組成物を含有する、無延伸フィルム。
[12] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[8]に記載の接着性樹脂組成物を含有する、シート。
[13] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[8]に記載の接着性樹脂組成物を含有する、射出成形体。
[14] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[8]に記載の接着性樹脂組成物を含有する、ブロー成形体。
[15] [1]~[7]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[8]に記載の接着性樹脂組成物を含有する、内装部品および外装部品から選ばれる自動車部品。
本発明によれば、白化を抑制することができ、かつ、成形加工性に優れる適度な溶融張力を有するプロピレン系樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は成形性に優れ、このような成形加工性に優れるプロピレン系樹脂組成物から、引張特性、耐白化性に優れる成形体を形成することができる。
≪プロピレン系樹脂組成物≫
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物(以下「本組成物」ともいう。)は、プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A)(以下単に「共重合体(A)」ともいう。)と、前記共重合体(A)以外のプロピレン系分岐ポリマー(B)(以下単に「ポリマー(B)」ともいう。)と、前記共重合体(A)およびポリマー(B)以外のプロピレン系重合体(C)(以下単に「重合体(C)」ともいう。)とを含有し、
メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1~50g/10分であり、溶融張力が5~300mNである、組成物である。
本組成物のメルトフローレートのMFRは、0.1g/10分以上であり、好ましくは0.3g/10分以上、より好ましくは0.5g/10分以上であり、50g/10分以下、好ましくは49g/10分以下、より好ましくは48g/10分以下である。
MFRが前記範囲にあると、成形性、機械強度、耐白化性にバランス良く優れる。
なお、MFRが前記範囲の下限を下回ると、流動性が低く成形が困難となる傾向にあり、MFRが前記範囲の上限を上回ると、機械強度が低くなる可能性がある。
該MFRは、ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した値である。
本組成物の溶融張力は、5mN以上であり、好ましくは5.5mN以上、より好ましくは6mN以上であり、300mN以下、好ましくは290mN以下、より好ましくは280mN以下である。
溶融張力が前記範囲にあると、ドローダウン等が起り難く、成形加工性に優れ、また、高速成形の際にも破断しにくくなる。
該溶融張力は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
本組成物の引張弾性率は、好ましくは200~2000MPa、より好ましくは250~1980MPa、さらに好ましくは300~1960MPaである。
該引張弾性率は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
本組成物の引張破壊応力は、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。
該引張破壊応力は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
本組成物のショアD硬度(瞬間値)は、好ましくは30~90、より好ましくは32~88、さらに好ましくは34~86である。
該ショアD硬度(瞬間値)は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
引張弾性率および引張破壊応力が前記範囲にあり、かつ、ショアD硬度が前記範囲にあると、柔軟性と引張強度等の機械強度とにバランスよく優れる組成物(成形体)を得ることができる。
<プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A)>
共重合体(A)は、プロピレンと、エチレンと、α-オレフィンとの共重合体であれば特に制限されないが、ランダム共重合体であることが好ましい。
共重合体(A)を用いることで、白化を抑制することができ、柔軟性に優れ、油等への溶出成分量が少ない成形体を容易に形成することができる。
本組成物に含まれる共重合体(A)は、1種でも、2種以上でもよい。
前記α-オレフィンとしては特に制限されないが、炭素数4~20のα-オレフィンであることが好ましい。
前記α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセンが挙げられる。これらの中でも、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましく、1-ブテンがより好ましい。
前記α-オレフィンは2種以上を用いてもよいが、好ましくは1種である。
共重合体(A)は、プロピレンから導かれる構成単位(i)、エチレンから導かれる構成単位(ii)および炭素数4~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(iii)を含有することが好ましい。
前記構成単位(i)の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、特に好ましくは61モル%以上であり、好ましくは92モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは88モル%以下、よりさらに好ましくは86モル%以下、特に好ましくは85モル%以下である。
前記構成単位(ii)の含有量は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは6モル%以上、さらに好ましくは8モル%以上であり、好ましくは20モル%以下、より好ましくは19モル%以下、さらに好ましくは18モル%以下である。
前記構成単位(iii)の含有量は、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは29モル%以下、さらに好ましくは28モル%以下である。
また、前記構成単位(i)~(iii)の合計100モル%に対する、構成単位(ii)および(iii)の合計含有量は、好ましくは10~45モル%、より好ましくは12~45モル%である。
前記構成単位(i)~(iii)それぞれの含有量は、構成単位(i)~(iii)の合計を100モル%とした時の含有量である。
構成単位(i)~(iii)の含有量が前記範囲にあると、透明性、柔軟性および機械強度にバランスよく優れる傾向にあり、ポリマー(B)や重合体(C)との相容性が良好となる傾向にある。
該構成単位(i)~(iii)の含有量は、13C-NMRで測定することができ、具体的には、特開2007-186664号公報に記載された方法で測定することができる。
共重合体(A)のMFRは、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上であり、好ましくは35g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下、よりさらに好ましくは5g/10分以下、特に好ましくは3g/10分以下である。
MFRが前記範囲にあると、成形性および機械強度にバランス良く優れる。
なお、MFRが前記範囲の下限を下回ると、流動性が低く成形が困難となり、他の樹脂との相容性が低下する傾向にあり、MFRが前記範囲の上限を上回ると、べたつき成分が増加する傾向にある。
該MFRは、ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した値である。
共重合体(A)のDSCにより測定した融点Tmは、好ましくは、100℃未満であるか、または、融解ピークが観測されないことであり、融解ピークが観測される場合、Tmは、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは85℃以下である。
Tmが前記範囲にある、または、融解ピークが観測されないことで、柔軟性に優れる成形体を容易に形成することができる。
該融解ピークは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定され、ここで、Tmは、融解ピークのピーク頂点の温度のことをいい、融解ピークが観測されないとは、-100~200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないことをいう。なお、融解ピークが2つ以上観測される場合、これらのピークのピーク頂点の温度のうち、最も低い温度が融点である。
前記融解ピークが観測される場合、そのピークの積算値である融解熱量(ΔH)は、好ましくは10J/g以上、より好ましくは20J/g以上であり、好ましくは50J/g以下、より好ましくは45J/g以下、さらに好ましくは40J/g以下である。
ΔHが前記範囲にあると、柔軟性と低べたつき性にバランス良く優れる。
共重合体(A)のガラス転移温度Tgは、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-20℃以下である。
Tgが前記範囲にあると、耐寒性、低温特性に優れる成形体を容易に形成することができる。
該Tgは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
共重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.01~10dl/g、より好ましくは0.05~10dl/gである。
極限粘度[η]が、前記範囲にあると、耐熱老化性、低温特性、機械強度などの特性に優れる成形体を容易に形成することができる。
共重合体(A)の引張弾性率は、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上であり、好ましくは200MPa以下、より好ましくは150MPa以下である。
引張弾性率が前記範囲にあると、柔軟性により優れる成形体を容易に得ることができる。
該引張弾性率は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
共重合体(A)のショアA硬度(瞬間値)は、好ましくは20~97、より好ましくは30~97である。
特に、引張弾性率が10MPa以下である共重合体(A)のショアA硬度(瞬間値)は、好ましくは20以上、より好ましくは30以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは45以下である。
また、引張弾性率が10MPaを超える共重合体(A)のショアA硬度(瞬間値)は、好ましくは48以上、より好ましくは50以上であり、好ましくは97以下である。
ショアA硬度(瞬間値)が前記範囲にあると、柔軟性により優れる成形体を容易に得ることができる。
該ショアA硬度(瞬間値)は、下記実施例に記載の方法で測定した値である。
共重合体(A)の製造方法としては特に制限されないが、公知の触媒、例えば、固体状チタン成分と有機金属化合物とを主成分とする触媒、または、メタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン触媒の存在下で、オレフィンを共重合させることで製造することができる。好ましくは、後述のように、メタロセン触媒の存在下、プロピレン、エチレンおよびα-オレフィンを共重合させることにより得られ、該触媒としては、例えば、国際公開第2004/087775号や特開2007-186664号公報に記載の触媒を用いることができる。
本組成物中の共重合体(A)の含有量は、共重合体(A)、ポリマー(B)および重合体(C)の合計100質量%に対し、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上、好ましくは40質量%以下、より好ましくは38質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
共重合体(A)の含有量が前記範囲にあると、透明性、機械物性(柔軟性または剛性など)、耐白化性に優れる成形体を容易に形成することができる。
2種以上の共重合体(A)を用いる場合、前記共重合体(A)の含有量は、本組成物に含まれるこれら2種以上の共重合体(A)の合計量のことをいう。ポリマー(B)や重合体(C)などの他の成分を2種以上用いる場合も同様である。
<プロピレン系分岐ポリマー(B)>
ポリマー(B)は、分岐鎖(例:長鎖分岐鎖)を有し、かつ、プロピレンに由来する構成単位を有するポリマーであり、前記共重合体(A)以外のポリマーである。
ポリマー(B)を用いることで、溶融張力や溶融粘弾性等の流動特性に優れ、成形加工性に優れる。
本組成物に含まれるポリマー(B)は、1種でも、2種以上でもよい。
前記分岐鎖は、プロピレンに由来する構成単位を有することが好ましい。
前記分岐鎖の炭素数は、好ましくは500以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、さらに好ましくは40,000以上であり、例えば200,000以下である。
分岐鎖の炭素数が前記範囲にあると、成形加工性に優れる適度な溶融張力やひずみ硬化性を有する。
ポリマー(B)の分岐構造の有無は、例えば、特開2011-144356号公報に記載の方法に基づいて確認することができる。
ポリマー(B)の分岐構造(例:分岐指数)は、例えば、同一分子量における分岐ポリマーと直鎖状ポリマーとの慣性半径の違いから特定できると考えられる。また、例えば、分岐ポリマーと直鎖状ポリマーとがブレンドされた混合物においても、分岐ポリマーおよび直鎖状ポリマーの分子量、該混合物の慣性半径および直鎖状ポリマーの慣性半径から、分岐ポリマーの分岐構造の推定が可能であると考えられる。例えば、分岐ポリマーと直鎖状ポリマーとの混合物の慣性半径は、同じ分子量の直鎖状ポリマーの慣性半径より小さくなると考えられる。前記慣性半径は、例えば、極限粘度からも推定可能である。
ポリマー(B)は、架橋構造等の立体網目構造を有していてもよいが、該立体網目構造を有さないことが好ましい。
ポリマー(B)としては、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンが挙げられる。
前記ランダムポリプロピレンやブロックポリプロピレンとしては、プロピレンと、炭素数2および/または4以上のα-オレフィンとの共重合体が挙げられ、該炭素数4以上のα-オレフィンしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテンが挙げられる。
なお、ポリマー(B)が、プロピレン以外に由来する構成単位を有する場合、前記分岐鎖は、プロピレン以外に由来する構成単位から分岐した鎖であってもよい。
ポリマー(B)は、白化を抑制することができ、ラミネート強度、シール強度、良好な外観、絶縁性に優れる成形体を容易に形成することができる等の点から、ランダムポリプロピレンであることが好ましい。
ポリマー(B)としては、未変性のポリマーであっても、変性ポリマー(例:酸変性ポリマー)であってもよい。該変性ポリマーとしては、下記ポリオレフィンの変性物と同様の重合体等が挙げられる。
ポリマー(B)のASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定したMFRは、好ましくは0.5g/10分以上、より好ましくは0.8g/10分以上であり、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下である。
MFRが前記範囲にあると、成形性により優れる組成物を容易に得ることができる。
ポリマー(B)のGPCにより測定した重量平均分子量は、好ましくは50,000~1,000,000、より好ましくは100,000~800,000である。
ポリマー(B)は、従来公知の方法(例:末端二重結合を有するマクロモノマーを合成し、該マクロモノマーとプロピレン等とを共重合する方法や、過酸化物および架橋剤の存在下でプロピレン等を溶融混錬することにより合成する方法)で合成して得たものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
該市販品の一例としては、MFR(230℃、2.16kg荷重)が1.3~8.5g/10分であり、融点が156~157℃である市販品や、MFR(230℃、2.16kg荷重)が2.1~2.3g/10分であり、融点が163℃である市販品が挙げられる。
本組成物中のポリマー(B)の含有量は、共重合体(A)、ポリマー(B)および重合体(C)の合計100質量%に対し、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
ポリマー(B)の含有量が前記範囲にあると、成形加工性に優れる適度な溶融張力を有する組成物を容易に得ることができる。
<プロピレン系重合体(C)>
重合体(C)は、前記共重合体(A)およびポリマー(B)以外のプロピレン系重合体であれば特に制限されず、ホモポリプロピレンであっても、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン等との共重合体であってもよい。該共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
また、重合体(C)としては、未変性の重合体であっても、変性重合体であってもよい。該変性重合体としては、下記ポリオレフィンの変性物と同様の重合体等が挙げられる。
本組成物に含まれる重合体(C)は、1種でも、2種以上でもよい。
重合体(C)としては、耐熱性に優れる成形体を容易に形成することができる等の点を考慮すると、ホモポリプロピレンが好ましく、衝撃特性や透明性に優れる成形体を容易に形成することができる等の点を考慮すると、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンとのランダム共重合体(ランダムプロピレン共重合体)がより好ましい。
前記ランダム共重合体における、プロピレンから導かれる構成単位の含有量は、プロピレンから導かれる構成単位と、プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の合計100モル%に対して、通常90モル%以上であり、プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、通常10モル%以下であり、好ましくは8モル%以下、より好ましくは7.5モル%以下であり、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.2モル%以上である。
前記プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセンが挙げられる。これらの中では、プロピレン以外の炭素数2~10のα-オレフィンとの共重合体が好ましい。
前記プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンは2種以上を用いてもよい。
重合体(C)の示差走査熱量計(DSC)により測定した融点Tmは、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上であり、好ましくは170℃以下、より好ましくは168℃以下である。
Tmが前記範囲にあると、成形性、耐熱性および透明性にバランス良く優れ、結晶性のポリプロピレンとしての特性が良好で好ましい。
該Tmは、DSC測定装置を用い、200℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分で-20℃まで冷却し、-20℃で1分間保持した後、再度昇温速度10℃/分で200℃まで昇温したときに観測される融点(融解ピークのピーク頂点の温度)である。
なお、該融解ピークの積算値である融解熱量(ΔH)は、好ましくは50mJ/mg以上である。
重合体(C)のアイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)は、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上である。
mmmm分率が前記範囲にあると、剛性と透明性とにバランス良く優れ、特に、透明性に優れる成形体を容易に形成することができる。
mmmm分率は、例えば、特開2007-186664号公報に記載されているように、13C-NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位におけるアイソタクティック連鎖の存在割合、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、該公報に記載の方法で測定できる。
重合体(C)のMFR(230℃、2.16kg荷重下で測定)は、好ましくは0.01g/10分以上、より好ましくは0.1g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上であり、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下、さらに好ましくは20g/10分以下である。
MFRが前記範囲にあると、成形性により優れる組成物を容易に得ることができる。
重合体(C)は、チーグラー・ナッタ型触媒やメタロセン触媒を用いた公知の様々な方法によって製造することができる。
本組成物中の重合体(C)の含有量は、共重合体(A)、ポリマー(B)および重合体(C)の合計100質量%に対し、好ましくは20質量%以上、より好ましくは27質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、好ましくは98.5質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは93質量%以下である。
重合体(C)の含有量が前記範囲にあると、透明性、機械物性(柔軟性または剛性など)に優れる成形体を容易に形成することができる。
<添加剤>
本組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記(A)~(C)以外の添加剤、具体的には、前記(A)~(C)以外のポリオレフィンまたはその変性物、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤(結晶造核剤)、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
これら添加剤は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
例えば、結晶化速度を速め、成形サイクルを短縮することができ、透明性を高め剛性を調整することができる等の点から、結晶造核剤を用いてもよい。
該結晶造核剤は、プロピレン系樹脂に対して造核効果を有する物質であることが好ましく、具体例としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族リン酸金属塩、アルジトール系誘導体、ロジンの金属塩が挙げられる。
前記芳香族カルボン酸金属塩としては、p-t-ブチル安息香酸アルミニウムが好適である。前記芳香族リン酸金属塩としては、リン酸2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)アルミニウムが好適である。前記アルジトール系誘導体としては、ヘキシトール系誘導体、ノニトール系誘導体が好ましく、中でも、p-メチル-ベンジリデンソルビトール、p-エチル-ベンジリデンソルビトール、7,8,9-トリデオキシ-3,5:4,6-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-D-グリセロ-L-グロ-ノニトールが好適に用いられる。
結晶造核剤を用いる場合、本組成物中の結晶造核剤の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であり、通常2質量%以下、好ましくは1質量%以下である。
<本組成物の調製方法>
本組成物は、配合する各成分を、種々公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、または、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することで調製することができる。さらに、必要により、造粒や粉砕等を行ってもよい。
これら、混合や混練する際には、配合する各成分を、一度に添加してもよく、段階的に添加してもよい。
≪接着性樹脂組成物≫
本発明に係る接着性樹脂組成物は、前記本組成物を含有する。該接着性樹脂組成物は、本組成物のみからなってもよいし、本組成物と他の成分とを含んでいてもよい。
接着性樹脂組成物中の前記本組成物の含有量は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは1~40質量%である。
接着性樹脂組成物は、基材(例:樹脂)との接着性および相容性により優れ、また、得られる成形体表面の濡れ性をより改良できる場合がある等の点から、ポリオレフィンの変性物を含有することが好ましい。
該ポリオレフィンの変性物の具体例としては、前記共重合体(A)、ポリマー(B)または重合体(C)を、1種または2種以上の極性モノマーでグラフト変性したものが挙げられる。
前記極性モノマーの好適な例としては、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が挙げられる。該不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、例えば、カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する不飽和カルボン酸化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物(例:不飽和ジカルボン酸の酸無水物)が挙げられる。
これらの化合物における不飽和部分としては、例えば、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基が挙げられる。
前記極性モノマーとしては、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物がより好ましい。
前記ポリオレフィンの変性物における変性量(グラフト量)は、基材との接着性および相容性により優れる等の点から、該変性物100質量%に対し、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
前記変性量の制御は、例えば、グラフト条件を適宜に選択することにより行えばよい。
前記極性モノマーをグラフトさせる方法としては特に制限されず、溶液法、溶融混練法等、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。具体的には、例えば、前記共重合体(A)、ポリマー(B)または重合体(C)を溶融し、または、溶媒に溶解させて溶液とし、そこにグラフトモノマーを添加してグラフト反応させる方法が挙げられる。
接着性樹脂組成物に前記ポリオレフィンの変性物を配合する際の、該ポリオレフィンの変性物の含有量は、接着性樹脂組成物100質量%に対し、好ましくは40~90質量%、より好ましくは40~80質量%である。
ポリオレフィンの変性物の含有量が前記範囲にあると、高い接着強度を示す組成物を容易に得ることができる。
接着性樹脂組成物は、通常、単層または多層の基材の片面または両面に積層されて多層フィルムとして用いられる。具体的には、Tダイフィルム成形法やインフレーションフィルム成形法等の公知の多層フィルム成形方法により、前記接着性樹脂組成物と基材層とを共押出しする方法や、予め成形された基材上に、前記接着性樹脂組成物を設ける方法などにより積層されて多層フィルムとして用いられる。
前記基材としては特に制限されないが、好ましくは熱可塑性樹脂製の基材が挙げられる。
該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂(例:ホモポリプロピレン、プロピレンと少量のα-オレフィンとの共重合体)、ポリエチレン系樹脂(例:低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン)、公知のエチレン系重合体(例:エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・n-ブチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体)、ポリ-4-メチル-ペンテン-1、これらの混合物が挙げられる。
なお、前記基材は、従来公知の方法で表面処理されていてもよく、着色または印刷されていてもよい。
前記多層フィルムは、アルミニウム板、鋼板、ステンレス板等の金属板、およびそれらの塗装板、ガラス板、合成樹脂板等の加工用部材、さらにはこれらの部材を用いた家電製品や自動車部品、電子部品を保護するための表面保護フィルムなどとして好適に利用でき、具体的には、例えば、光学板保護フィルム、レンズ保護フィルム、半導体ウエハー用バックグラインドテープ、ダイシングテープ、プリント基板用保護テープ等のエレクトロニクス分野に用いられるフィルム、窓ガラス保護用フィルム、焼付塗装用フィルムとして好適に利用できる。
接着性樹脂組成物は、該組成物に配合する各成分を、種々公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、または、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することで調製することができる。さらに、必要により、造粒や粉砕等を行ってもよい。
これら、混合や混練する際には、配合する各成分を、一度に添加してもよく、段階的に添加してもよい。
≪ペレット≫
本発明に係るペレットは、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含む。
該ペレットの形状、大きさ等については特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよい。
該ペレットは、本組成物または前記接着性樹脂組成物に配合する各成分を、バンバリーミキサー、ロール、押出機などの混練機で溶融混練した後、造粒することで製造することができる。
≪成形体≫
本発明に係る成形体は、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含む。
該成形体は、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を、従来公知の成形法、例えば、シート(フィルム)成形法、ブロー成形法、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、インフレーション成形法、押出ブロー成形法、射出ブロー成形法、真空成形法、カレンダー成形法、溶融Tダイキャスティング法により成形することで製造することができる。
前記成形体としては特に制限されないが、本組成物および前記接着性樹脂組成物は前記効果を奏するため、該効果がより発揮される成形体であることが好ましい。
前記成形体の具体例としては、(無延伸)フィルム、シート、射出成形体、ブロー成形体、自動車部品(例:自動車内装部品、自動車外装部品)が挙げられる。より具体的には、例えば、多層ホース、チューブ、化粧シート、フローリングマット等の土木・建材部品、電線・ケーブルの被覆材(例:絶縁層、シース層)、不織布、伸縮フィルム、食品包装用フィルム、包装用シート、(シートを熱成形した)食品包装用トレイや飲料用カップ、(シートを折り曲げ加工した)プラスチック容器が挙げられる。
<無延伸フィルム>
前記無延伸フィルムは、延伸されていないフィルムであれば特に制限されず、形状、大きさ(厚み)等については、所望の用途に応じて適宜選択すればよい。また、該無延伸フィルムは、単層であってもよく、多層であってもよい。多層である場合、そのうちの少なくとも1層が、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含むフィルムであればよい。なお、前記無延伸フィルムが多層である場合、その全ての層が延伸されていないこという。
該無延伸フィルムの厚み(多層である場合は合計厚)は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。
なお、本明細書において、フィルムとシートとは特に区別しているわけではないが、通常、フィルムは厚さ250μm未満の膜状体のことをいい、シートは厚さ250μm以上の薄い板状体のことをいう。
前記無延伸フィルムの具体的な用途としては、例えば、食品、液体、医薬品等を包装するための包装用フィルムが挙げられる。
<シート>
前記シートは特に制限されず、形状、大きさ(厚み)等については、所望の用途に応じて適宜選択すればよい。また、該シートは、単層であってもよく、多層であってもよい。多層である場合、そのうちの少なくとも1層が、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含むシートであればよい。
該シートの厚み(多層である場合は合計厚)は、好ましくは250~2000μm、より好ましくは250~1500μmである。
前記シートの具体的な用途としては、例えば、食品、液体、医薬品等を包装するための包装用シート、該シートから形成された容器(例:シートを熱成形したトレイ、カップ、シートを折り曲げ加工した容器)が挙げられる。
<射出成形体およびブロー成形体>
前記射出成形体としては特に制限されないが、例えば、従来公知の射出成形装置を用いて公知の条件を採用して、所望の形状に射出成形することで製造した成形体が挙げられる。
該射出成形体は、例えば、自動車内装用トリム材、自動車用外装部品、家電製品のハウジング、容器などに幅広く用いることができる。
前記ブロー成形体としては特に制限されないが、例えば、従来公知のブロー成形装置を用いて公知の条件を採用して、所望の形状にブロー成形することで製造した成形体が挙げられる。
前記ブロー成形体は、多層成形体であってもよく、この場合、少なくとも1層が、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含む層である。
前記射出成形体およびブロー成形体の具体的な用途としては、例えば、食品容器、飲料容器、キャップ、医薬品容器、その他各種容器、日用品(例:衣装ケース、バケツ、洗面器、筆記用具等の文具用品、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース)、家電製品のハウジング、自動車部品が挙げられる。
<自動車内装部品および自動車外装部品>
前記自動車内装部品および自動車外装部品としては特に制限されず、例えば、射出成形などで成形された自動車部品が挙げられる。
前記自動車内装部品の具体例としては、トリム、インストルメントパネル、コラムカバーが挙げられる。前記自動車外装部品の具体例としては、フェンダー、バンパー、サイドモール、マッドガード、ミラーカバーが挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
<原材料>
下記実施例および比較例で用いた原材料としては、以下の原材料を用いた。
[プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A)]
後述の製造例により得たプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A-1)~(A-2)を用いた。
[プロピレン系分岐ポリマー(B)]
・プロピレン系分岐ポリマー(B-1):MFR(230℃、2.16kg荷重)=1.3g/10分、融点157℃のプロピレン分岐ポリマー
・プロピレン系分岐ポリマー(B-2):MFR(230℃、2.16kg荷重)=8.5g/10分、融点157℃のプロピレン分岐ポリマー
[プロピレン系重合体(C)]
・プロピレン系重合体(C-1):ランダムプロピレン共重合体、(株)プライムポリマー製、商品名:プライムポリプロF227、エチレン含量=3モル%、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10分、融点=150℃、mmmm分率=96%
・プロピレン系重合体(C-2):プロピレン・エチレン共重合体、エクソンモービル・ケミカル社製、商品名:Vistamaxx3000、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10分
・プロピレン系重合体(C-3):プロピレン・1-ブテン共重合体、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10分、融点=83℃
[(A)~(C)以外の重合体]
・オレフィン系共重合体(D-1):エチレン・1-ブテン共重合体、MFR(190℃、2.16kg荷重)=3.6g/10分、融点=77℃
[プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A-1)の製造例]
重合用触媒として、特開2007-186664号公報に記載の方法で調製したジフェニルメチレン(3-tert-ブチル-5-エチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用い、助触媒として、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム(株)製、アルミニウム換算で0.3mmol)を用い、原料となるエチレン、プロピレンおよび1-ブテンを、連続重合設備を用いてヘキサン溶液中で重合することでプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A-1)を得た。
[プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A-2)の製造例]
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、833mlの乾燥ヘキサン、1-ブテン120g、および、トリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内を60℃に昇温し、プロピレンで系内の圧力が0.33MPaになるように加圧した。その後、エチレンで系内の圧力が0.63MPaになるように調整した。次いで、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム(株)製)とを接触させたトルエン溶液を前記重合装置内に添加し、内温を60℃になるように保ち、エチレンで系内の圧力が0.63MPaになるように保ちながら20分間重合した後、20mlのメタノールを添加して重合を停止した。脱圧後、得られた重合液を、2000mlのメタノール中に入れ、ポリマーを析出し、得られたポリマーを真空下130℃、12時間乾燥することで、プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A-2)を得た。
<プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の物性の測定方法>
得られたプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A-1)~(A-2)の物性値を、以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
a)組成比
特開2007-186664号公報に記載の方法により、13C-NMRスペクトルの解析により求めた。
なお、本明細書において、プロピレンから導かれる構成単位の含有量を「プロピレン含量」ともいい、エチレンから導かれる構成単位の含有量を「エチレン含量」ともいい、α-オレフィンから導かれる構成単位の含有量を「α-オレフィン含量」ともいう。
b)MFR
ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重におけるMFRを測定した。
c)ガラス転移温度Tg、融点Tm、融解熱量ΔH
190℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、共重合体(A)を5分間加熱後、10MPaの加圧下で2分間成形した。その後、20℃、10MPaの加圧下で4分間冷却することで、厚み0.5mmのシート(試験片)を作製した。
作製した試験片を、室温で72時間経過させた後、約10mgにカットし、カットした試験片を、窒素雰囲気下で20℃から降温速度10℃/分で-20℃まで冷却し、その温度で5分間保持した。さらに、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した後、降温速度10℃/分で-100℃まで冷却し、その温度で5分間保持した。その後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。
ガラス転移温度Tgおよび融点Tmは、2度目に昇温させた際の吸熱曲線より求めた。融解熱量ΔHは、結晶融解ピークの積算値から算出した。なお、融点Tmおよび融解熱量ΔHが観測されなかった場合は、「ND」と示す。
d)極限粘度[η]
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。
e)引張弾性率
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、共重合体(A)を6分間加熱後、10MPaの加圧下で2分間成形した。その後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することで、厚み2mmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過後、作製したシートから、ASTM D638に準拠して、JIS K 7161-2:2014に規定の5A形ダンベルを作製し、該ダンベルを用い、23℃、引張速度50mm/分の条件下で引張試験を行った時の引張弾性率を測定した。
f)硬度(ショアA、瞬間値)
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、共重合体(A)を6分間加熱後、10MPaの加圧下で2分間成形した。その後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することで、厚み2mmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過した後、ASTM D2240に準拠し、デュロメータ硬度計(A型)を用い、前記の通り作製したシートを3枚重ねた試験片に押針を接触した直後に目盛を読み取ることでショアA硬度(瞬間値)を測定した。
Figure 2022143003000001
[実施例1~5および比較例1~7]
(株)東洋精機製作所製ラボプラストミルに、表2に記載の原材料を、表2に記載の配合比(質量%)で入れ、200℃、60rpmの条件で約5分間溶融混錬することで、プロピレン系樹脂組成物を調製した。
<プロピレン系樹脂組成物の物性の測定方法>
調製したプロピレン系樹脂組成物の物性値を、以下の方法により測定した。結果を表2に示す。
a)MFR
ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重におけるMFRを測定した。
b)溶融張力
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用いて、以下の条件でプロピレン系樹脂組成物を紐状に押し出した。押し出されたストランドをロードセルに取り付けたプーリーを介してローラーを用いて巻き取っていった時の、ロードセルの荷重値を溶融張力とした。なお、溶融張力が観測されなかった場合は、「ND」と示す。
設定温度:230℃
キャピラリー直径:2.095mm
キャピラリー長さ:8.00mm
シリンダー押出速度:15mm/分
巻き取り速度:15m/分
c)引張弾性率および破壊応力
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、プロピレン系樹脂組成物を6分間加熱後、10MPaの加圧下で2分間成形した。その後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することで、厚み2mmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過後、作製したシートから、ASTM D638に準拠して、JIS K 7161-2:2014に規定の5A形ダンベルを作製し、該ダンベルを用い、23℃、引張速度50mm/分の条件下で引張試験を行った時の引張弾性率および破壊応力を測定した。
d)硬度(ショアD、瞬間値)
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、プロピレン系樹脂組成物を6分間加熱後、10MPaの加圧下で2分間成形した。その後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することで、厚み2mmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過した後、ASTM D2240に準拠し、デュロメータ硬度計(D型)を用い、前記の通り作製したシートを3枚重ねた試験片に押針を接触した直後に目盛を読み取ることでショアD硬度(瞬間値)を測定した。
e)耐白化性
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、プロピレン系樹脂組成物を6分間加熱後、10MPaの加圧下で2分間成形した。その後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することで、厚み500μmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過した後、作製したシートから、JIS K 6251に規定の2号形ダンベルを作製し、該ダンベルを引張速度50mm/分で15mm伸長させた前後の色相(L値)を、分光測定計(コニカミノルタ(株)製、CM-3700d)を用いて測定し、下記式に基づいて、色相変化(ΔL)を算出した。ΔL値が小さいほど、良好な耐白化性を有することを示す。なお、比較例2で得られたプロピレン系樹脂組成物を用いた耐白化性試験では、引張途中でダンベルが破断したため、ΔL値を測定できなかった。このため、表2ではNDと示す。
ΔL=L値(伸長後)-L値(伸長前)
Figure 2022143003000002

Claims (15)

  1. プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、
    前記共重合体(A)以外のプロピレン系分岐ポリマー(B)と、
    前記共重合体(A)およびポリマー(B)以外のプロピレン系重合体(C)と
    を含有するプロピレン系樹脂組成物であって、
    前記プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1~50g/10分であり、
    前記プロピレン系樹脂組成物の溶融張力(230℃)が5~300mNである、
    プロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記共重合体(A)、ポリマー(B)および重合体(C)の合計100質量%に対し、
    前記共重合体(A)の含有量が1~40質量%であり、
    前記ポリマー(B)の含有量が0.5~40質量%であり、
    前記重合体(C)の含有量が20~98.5質量%である、
    請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記ポリマー(B)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分以上である、請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記共重合体(A)が、プロピレンから導かれる構成単位(i)、エチレンから導かれる構成単位(ii)および炭素数4~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(iii)を含有し、これらの合計100モル%に対し、
    前記構成単位(i)の含有量が50~92モル%であり、
    前記構成単位(ii)の含有量が5~20モル%であり、
    前記構成単位(iii)の含有量が3~30モル%である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記共重合体(A)の示差走査熱量計により測定した融点が100℃未満、または、融解ピークが観測されない、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 前記共重合体(A)がプロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体である、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  7. 前記重合体(C)が、ホモポリプロピレンまたはランダムプロピレン共重合体である、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を含有する、接着性樹脂組成物。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項8に記載の接着性樹脂組成物を含有する、ペレット。
  10. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項8に記載の接着性樹脂組成物を含有する、成形体。
  11. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項8に記載の接着性樹脂組成物を含有する、無延伸フィルム。
  12. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項8に記載の接着性樹脂組成物を含有する、シート。
  13. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項8に記載の接着性樹脂組成物を含有する、射出成形体。
  14. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項8に記載の接着性樹脂組成物を含有する、ブロー成形体。
  15. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項8に記載の接着性樹脂組成物を含有する、内装部品および外装部品から選ばれる自動車部品。
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