JP2022152305A - プロピレン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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貴行 植草
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Abstract

【課題】柔軟性と引張強度と耐白化性とにバランスよく優れるプロピレン系樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(I)~(IV)を満たす共重合体(A)1~99質量%、および、共重合体(A)以外の重合体であり、MFR(230℃、2.16kg荷重、ASTM D1238E準拠)が0.1~500g/10minであるプロピレン系重合体(B)1~99質量%(但し、(A)と(B)との合計を100質量%とする。)を含有するプロピレン系樹脂組成物。(I)プロピレン由来の構成単位(i)および炭素数5~20のα-オレフィン由来の構成単位(ii)の合計100モル%に対し、構成単位(i)の含有量が75~95モル%、構成単位(ii)の含有量が5~25モル%(II)DSCで測定した融点が95℃以下であるか観測されない(III)アイソタクティックトライアッド分率が85%以上(IV)極限粘度(135℃、デカリン)が0.5~10dl/g【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物、接着性樹脂組成物、ペレット、成形体、無延伸フィルム、シート、射出成形体、ブロー成形体および自動車部品に関する。
近年、耐熱性、透明性等に優れると共に、環境適性、衛生性を有するポリオレフィンからなる材料として、ポリプロピレン系重合体を主成分としたプロピレン系樹脂組成物が知られている。
現在、このようなプロピレン系樹脂組成物の用途が広がる中で、現在使用されているプロピレン系樹脂組成物の性能は十分ではなく、例えば、引張強度や成形加工時の耐白化性の点で改良の余地があった。
特許文献1には、特定の、プロピレンと炭素数5以上のα-オレフィンとの共重合体が、ある程度の引張強度を有し、屈曲白化が起こらないことが記載されている。
特開2000-7731号公報
しかしながら、特許文献1に記載などの従来のプロピレン系重合体を用いたプロピレン系樹脂組成物は、柔軟性と引張強度と耐白化性とのバランスの点で改良の余地があった。
本発明は以上のことに鑑みてなされたものであり、柔軟性と引張強度と耐白化性とにバランスよく優れるプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の構成例は、以下の通りである。
なお、本明細書では、数値範囲を示す「A~B」は、A以上B以下を示す。
[1] 下記要件(I)~(IV)を満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(A)1~99質量%、および、
前記共重合体(A)以外の重合体であり、ASTM D1238Eに準拠して測定した、230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1~500g/10minであるプロピレン系重合体(B)1~99質量%(但し、共重合体(A)と重合体(B)との合計を100質量%とする。)を含有するプロピレン系樹脂組成物。
(I)プロピレンから導かれる構成単位(i)および炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の合計を100モル%とした時、該構成単位(i)の含有量が75~95モル%であり、該構成単位(ii)の含有量が5~25モル%である
(II)示差走査熱量分析(DSC)で測定した融点が95℃以下であるか観測されない
(III)13C-NMRで測定したアイソタクティックトライアッド分率が85%以上である
(IV)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~10dl/gである
[2] 前記共重合体(A)の、13C-NMRで測定したアイソタクティックトライアッド分率が90%以上である、[1]記載のプロピレン系樹脂組成物。
[3] 前記共重合体(A)の、ASTM D1238Eに準拠して測定した、230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1~30g/10minである、[1]または[2]に記載のプロピレン系樹脂組成物。
[4] 前記共重合体(A)における前記炭素数5~20のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンおよび1-ドデセンから選ばれる少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物を含む接着性樹脂組成物。
[6] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[5]に記載の接着性樹脂組成物を含むペレット。
[7] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[5]に記載の接着性樹脂組成物を含む成形体。
[8] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[5]に記載の接着性樹脂組成物を含む無延伸フィルム。
[9] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[5]に記載の接着性樹脂組成物を含むシート。
[10] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[5]に記載の接着性樹脂組成物を含む射出成形体。
[11] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[5]に記載の接着性樹脂組成物を含むブロー成形体。
[12] [1]~[4]のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物、または、[5]に記載の接着性樹脂組成物を含む、内装部品および外装部品から選ばれる自動車部品。
本発明によれば、柔軟性と引張強度と耐白化性とにバランスよく優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
≪プロピレン系樹脂組成物≫
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物(以下「本組成物」ともいう。)は、下記要件(I)~(IV)を満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(A)1~99質量%、および、
前記共重合体(A)以外の重合体であり、ASTM D1238Eに準拠して測定した、230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1~500g/10minであるプロピレン系重合体(B)1~99質量%(但し、共重合体(A)と重合体(B)との合計を100質量%とする。)を含有する。
本組成物の破壊応力は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、さらに好ましくは25MPa以上、特に好ましくは30MPa以上である。
該破壊応力は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
本組成物のショアD硬度(瞬間値)は、好ましくは30~80、より好ましくは32~78である。
該ショアD硬度(瞬間値)は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
<プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)>
前記プロピレン・α-オレフィン共重合体(A)は、下記要件(I)~(IV)を満たす。
本組成物に用いる共重合体(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
(I)プロピレンから導かれる構成単位(i)および炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の合計を100モル%とした時、該構成単位(i)の含有量が75~95モル%であり、該構成単位(ii)の含有量が5~25モル%である
(II)示差走査熱量分析(DSC)で測定した融点が95℃以下であるか観測されない
(III)13C-NMRで測定したアイソタクティックトライアッド分率(mm分率)が85%以上である
(IV)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~10dl/gである
共重合体(A)は、プロピレンと、1種または2種以上の炭素数5~20のα-オレフィンとを用いて得られた共重合体であれば特に制限されないが、ランダム共重合体であることが好ましい。
前記構成単位(i)の含有量は、75~95モル%であり、好ましくは80~95モル%、より好ましくは85~95モル%である。
前記構成単位(ii)の含有量は、5~25モル%であり、好ましくは5~20モル%、より好ましくは5~15モル%である。
前記構成単位(i)および(ii)それぞれの含有量は、構成単位(i)および(ii)の合計を100モル%とした時の含有量である。
構成単位(i)および(ii)の含有量が前記範囲にあると、柔軟性および機械強度にバランスよく優れる、特に柔軟性と引張強度とにバランスよく優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
該構成単位(i)および(ii)の含有量は、13C-NMRで測定することができ、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記炭素数5~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセンが挙げられ、タイ分子の多い結晶構造を生成することができ、柔軟性と引張強度とによりバランスよく優れる共重合体となる等の点から、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンが好ましく、1-オクテンがより好ましい。
前記炭素数5~20のα-オレフィンは2種以上を用いてもよいが、好ましくは1種である。
共重合体(A)は、DSCにより測定した融点Tmが95℃以下、または、DSCにより測定した融点が観測されない(DSCにより融解ピークが観測されない)。
融点が観測される場合、Tmは、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下であり、下限は特に制限されない。
融点が前記範囲にある、または、融点が観測されないと、柔軟性に優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
該融点は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。ここで、該融点は、融解ピークのピーク頂点の温度のことをいい、融解ピークが観測されないとは、-100~200℃の範囲において、結晶融解熱量(ΔH)が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないことをいう。なお、融解ピークが2つ以上観測される場合、これらのピークのピーク頂点の温度のうち、最も温度が融点である。
前記融解ピークが観測される場合、そのピークの積算値である融解熱量(ΔH)は、好ましくは1~50J/g、より好ましくは5~45J/g、さらに好ましくは10~40J/gである。
ΔHが前記範囲にあると、柔軟性と機械強度とにバランス良く優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
共重合体(A)の前記mm分率は、85%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、特に好ましくは98%以上である。
mm分率が前記範囲にあると、流動性、機械強度および耐衝撃性にバランスよく優れる組成物(成形体)、特に射出成形体を容易に得ることができる。
前記mm分率は、特開2007-186664号公報に記載された方法によって測定・解析を行うことができる。
共重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.5~10dl/gであり、好ましくは1~5dl/g、より好ましくは1.5~2.5dl/gである。
極限粘度[η]が前記範囲にあると、成形性、機械強度などの特性に優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
共重合体(A)の、ASTM D1238Eに準拠して測定した、230℃、2.16kg荷重でのMFRは、好ましくは0.1~30g/10min、より好ましくは0.2~15g/10minである。
MFRが前記範囲にあると、成形性および機械強度にバランス良く優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
共重合体(A)の引張弾性率は、好ましくは0.5~200MPa、より好ましくは1~180MPa、さらに好ましくは2~150MPaである。
該引張弾性率は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
共重合体(A)の破壊応力は、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。
該破壊応力は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
共重合体(A)のショアA硬度(瞬間値)は、好ましくは50~99、より好ましくは60~98である。なお、ショアA硬度の測定が困難な場合は、代わりにショアD硬度を用いて同様の評価を行うことができ、共重合体(A)のショアD硬度(瞬間値)は、好ましくは12~62、より好ましくは18~60である。
該ショアA硬度(瞬間値)およびショアD硬度(瞬間値)は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定される。
引張弾性率(および破壊応力)が前記範囲にあり、かつ、ショアA硬度あるいはショアD硬度が前記範囲にあると、柔軟性と引張強度等の機械強度とにバランスよく優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
共重合体(A)の製造方法としては特に制限されないが、公知の触媒、例えば、固体状チタン成分と有機金属化合物とを主成分とする触媒、または、メタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン触媒の存在下で、プロピレンおよび炭素数5~20のα-オレフィンを共重合させることで製造することができる。好ましくは、メタロセン触媒の存在下、プロピレンおよび炭素数5~20のα-オレフィンを共重合させることにより得られ、該触媒としては、例えば、国際公開第2004/087775号、特開2007-186664号公報、国際公開第2006/68308号、国際公開第2014/50816号、国際公開第2014/50817号に記載の触媒を用いることができる。
共重合体(A)の含有量は、共重合体(A)と重合体(B)との合計100質量%に対し、1~99質量%であり、好ましくは5~95質量%、より好ましくは6~93質量%、さらに好ましくは7~91質量%、特に好ましくは8~90質量%である。
共重合体(A)の含有量が前記範囲にあると、柔軟性と引張強度と耐白化性とにバランスよく優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
<プロピレン系重合体(B)>
プロピレン系重合体(B)は、前記共重合体(A)以外の重合体であり、かつ、ASTM D1238Eに準拠して測定した、230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1~500g/10minであるプロピレン系重合体であれば特に制限されない。
本組成物に用いる重合体(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
重合体(B)は、ホモポリプロピレンであっても、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン等との共重合体であってもよい。該共重合体は、ランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)であっても、ブロック共重合体であってもよい。
重合体(B)としては、ホモポリプロピレンまたはプロピレンとプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンとのランダム共重合体が好ましい。
重合体(B)としては、未変性の重合体であっても、変性重合体であってもよい。該変性重合体としては、下記ポリオレフィンの変性物と同様の重合体等が挙げられる。
耐熱性に優れる成形体を容易に得ることができる等の点を考慮すると、ホモポリプロピレンが好ましく、耐白化性や衝撃特性に優れる成形体を容易に得ることができる等の点を考慮すると、前記ランダム共重合体が好ましい。
前記ランダム共重合体としては、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2~10のα-オレフィンとの共重合体、または、プロピレンとエチレンと炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体が好ましい。
前記ランダム共重合体における、プロピレンから導かれる構成単位の含有量は、プロピレンから導かれる構成単位と、プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の合計100モル%に対して、通常90モル%以上であり、プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、通常10モル%以下であり、好ましくは8モル%以下、より好ましくは7.5モル%以下であり、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.2モル%以上である。
前記プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセンが挙げられる。
前記プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンは2種以上を用いてもよい。
重合体(B)の前記MFRは、0.1~400g/10minであり、好ましくは0.5g/10min以上であり、好ましくは300g/10min以下、より好ましくは200g/10min以下、さらに好ましくは100g/10min以下、特に好ましくは90g/10min以下である。
MFRが前記範囲にあると、成形性により優れる組成物を容易に得ることができ、共重合体(A)との分散性に優れ、引張強度などの機械的強度に優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
重合体(B)のDSCにより測定した融点は、好ましくは110~170℃、より好ましくは120~170℃、さらに好ましくは125~168℃である。
融点が前記範囲にあると、成形性、耐熱性および透明性にバランス良く優れ、結晶性のポリプロピレンとしての特性が良好で好ましい。
該融点は、DSC測定装置を用い、200℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分で-20℃まで冷却し、-20℃で1分間保持した後、再度昇温速度10℃/分で200℃まで昇温したときに観測される融点(融解ピークのピーク頂点の温度)である。
なお、該融解ピークの積算値である融解熱量(ΔH)は、好ましくは50mJ/mg以上である。
重合体(B)のアイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上である。
mmmm分率が前記範囲にあると、剛性と透明性とにバランス良く優れ、特に、透明性に優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
mmmm分率は、例えば、特開2007-186664号公報に記載されているように、13C-NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位におけるアイソタクティック連鎖の存在割合、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、該公報に記載の方法で測定できる。
重合体(B)は、チーグラー・ナッタ型触媒やメタロセン触媒を用いた公知の様々な方法によって製造することができる。
重合体(B)の含有量は、共重合体(A)と重合体(B)との合計100質量%に対し、1~99質量%であり、好ましくは5~95質量%、より好ましくは7~94質量%、さらに好ましくは9~93質量%、特に好ましくは10~92質量%である。
重合体(B)の含有量が前記範囲にあると、柔軟性と引張強度と耐白化性とにバランスよく優れる組成物(成形体)を容易に得ることができる。
<添加剤>
本組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記共重合体(A)および重合体(B)以外の添加剤、具体的には、前記共重合体(A)および重合体(B)以外のポリオレフィンまたはその変性物、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤(結晶造核剤)、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
これら添加剤は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
例えば、結晶化速度を速め、成形サイクルを短縮することができ、透明性を高め剛性を調整することができる等の点から、結晶造核剤を用いてもよい。
該結晶造核剤は、プロピレン系樹脂に対して造核効果を有する物質であることが好ましく、具体例としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族リン酸金属塩、アルジトール系誘導体、ロジンの金属塩が挙げられる。
前記芳香族カルボン酸金属塩としては、p-t-ブチル安息香酸アルミニウムが好適である。前記芳香族リン酸金属塩としては、リン酸2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)アルミニウムが好適である。前記アルジトール系誘導体としては、ヘキシトール系誘導体、ノニトール系誘導体が好ましく、中でも、p-メチル-ベンジリデンソルビトール、p-エチル-ベンジリデンソルビトール、7,8,9-トリデオキシ-3,5:4,6-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-D-グリセロ-L-グロ-ノニトールが好適に用いられる。
結晶造核剤を用いる場合、本組成物中の結晶造核剤の含有量は、通常0.01~2質量%、好ましくは0.05~1質量%である。
<本組成物の調製方法>
本組成物は、該組成物に配合する各成分を、種々公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、または、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することで調製することができる。さらに、必要により、造粒や粉砕等を行ってもよい。
これら、混合や混練する際には、配合する各成分を、一度に添加してもよく、段階的に添加してもよい。
≪接着性樹脂組成物≫
本発明に係る接着性樹脂組成物は、前記本組成物を含有する。該接着性樹脂組成物は、本組成物のみからなってもよいし、本組成物と他の成分とを含んでいてもよい。
接着性樹脂組成物中の前記本組成物の含有量は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは1~40質量%である。
接着性樹脂組成物は、基材(他の樹脂)との接着性および相容性により優れ、また、得られる成形体表面の濡れ性をより改良できる場合がある等の点から、ポリオレフィンの変性物を含有することが好ましい。
該ポリオレフィンの変性物の具体例としては、前記共重合体(A)や重合体(B)を、1種または2種以上の極性モノマーでグラフト変性したものが挙げられる。
前記極性モノマーの好適な例としては、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が挙げられる。該不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、例えば、カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する不飽和カルボン酸化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物(例:不飽和ジカルボン酸の酸無水物)が挙げられる。
これらの化合物における不飽和部分としては、例えば、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基が挙げられる。
前記極性モノマーとしては、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物がより好ましい。
前記ポリオレフィンの変性物における変性量(極性モノマーのグラフト量)は、基材(他の樹脂)との接着性および相容性により優れる等の点から、該変性物100質量%に対し、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
前記変性量の制御は、例えば、グラフト条件を適宜に選択することにより行えばよい。
前記極性モノマーをグラフトさせる方法としては特に制限されず、溶液法、溶融混練法等、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。具体的には、例えば、前記共重合体(A)や重合体(B)を溶融し、または、溶媒に溶解させて溶液とし、そこにグラフトモノマーを添加してグラフト反応させる方法が挙げられる。
接着性樹脂組成物に前記ポリオレフィンの変性物を配合する際の、該ポリオレフィンの変性物の含有量は、接着性樹脂組成物100質量%に対し、好ましくは40~90質量%、より好ましくは40~80質量%である。
ポリオレフィンの変性物の含有量が前記範囲にあると、高い接着強度を示す組成物を容易に得ることができる。
接着性樹脂組成物は、通常、単層または多層の基材の片面または両面に積層されて多層フィルムとして用いられる。具体的には、Tダイフィルム成形法やインフレーションフィルム成形法等の公知の多層フィルム成形方法により、前記接着性樹脂組成物と基材層とを共押出しする方法や、予め成形された基材上に、前記接着性樹脂組成物を設ける方法などにより積層されて多層フィルムとして用いられる。
前記基材としては特に制限されないが、好ましくは熱可塑性樹脂製の基材が挙げられる。
該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂(例:ホモポリプロピレン、プロピレンと少量のα-オレフィンとの共重合体)、ポリエチレン系樹脂(例:低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン)、公知のエチレン系重合体(例:エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・n-ブチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体)、ポリ-4-メチル-ペンテン-1、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
なお、前記基材は、従来公知の方法で表面処理されていてもよく、着色または印刷されていてもよい。
前記多層フィルムは、アルミニウム板、鋼板、ステンレス板等の金属板、およびそれらの塗装板、ガラス板、合成樹脂板等の加工用部材、さらにはこれらの部材を用いた家電製品や自動車部品、電子部品を保護するための表面保護フィルムなどとして好適に利用でき、具体的には、例えば、光学板保護フィルム、レンズ保護フィルム、半導体ウエハー用バックグラインドテープ、ダイシングテープ、プリント基板用保護テープ等のエレクトロニクス分野に用いられるフィルム、窓ガラス保護用フィルム、焼付塗装用フィルムとして好適に利用できる。
接着性樹脂組成物は、該組成物に配合する各成分を、種々公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、または、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することで調製することができる。さらに、必要により、造粒や粉砕等を行ってもよい。
これら、混合や混練する際には、配合する各成分を、一度に添加してもよく、段階的に添加してもよい。
≪ペレット≫
本発明に係るペレットは、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含む。
該ペレットの形状、大きさ等については特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよい。
該ペレットは、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を、バンバリーミキサー、ロール、押出機などの混練機で溶融し、造粒することで製造することができる。
≪成形体≫
本発明に係る成形体は、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含む。
該成形体は、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を、従来公知の成形法、例えば、シート(フィルム)成形法、ブロー成形法、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、インフレーション成形法、押出ブロー成形法、射出ブロー成形法、真空成形法、カレンダー成形法、溶融Tダイキャスティング法により成形することで製造することができる。
前記成形体としては特に制限されないが、本組成物および前記接着性樹脂組成物は前記効果を奏するため、該効果がより発揮される成形体であることが好ましい。
前記成形体の具体例としては、(無延伸)フィルム、シート、射出成形体、ブロー成形体、自動車部品(例:自動車内装部品、自動車外装部品)が挙げられる。より具体的には、例えば、多層ホース、パイプ、チューブ、化粧シート、フローリングマット等の土木・建材部品、電線・ケーブルの被覆材(例:絶縁層、シース層)、不織布、伸縮フィルム、食品包装用フィルム、包装用シート、(シートを熱成形した)食品包装用トレイや飲料用カップ、(シートを折り曲げ加工した)プラスチック容器が挙げられる。
<無延伸フィルム>
前記無延伸フィルムは、延伸されていないフィルムであれば特に制限されず、形状、大きさ(厚み)等については、所望の用途に応じて適宜選択すればよい。また、該無延伸フィルムは、単層であってもよく、多層であってもよい。多層である場合、そのうちの少なくとも1層が、前記本組成物または前記接着性樹脂組成物を含むフィルムであればよい。なお、前記無延伸フィルムが多層である場合、その全ての層が延伸されていないこという。
前記無延伸フィルムの厚み(多層である場合は合計厚)は、好ましくは5~150μm、より好ましくは10~100μmである。
なお、本明細書において、フィルムとシートとは特に区別しているわけではないが、通常、フィルムは厚さ250μm未満の膜状体のことをいい、シートは厚さ250μm以上の薄い板状体のことをいう。
前記無延伸フィルムの具体的な用途としては、例えば、食品、液体、医薬品等を包装するための包装用フィルムが挙げられる。
<シート>
前記シートは特に制限されず、形状、大きさ(厚み)等については、所望の用途に応じて適宜選択すればよい。また、該シートは、単層であってもよく、多層であってもよい。多層である場合、そのうちの少なくとも1層が、本組成物または前記接着性樹脂組成物を含むシートであればよい。
前記シートの厚み(多層である場合は合計厚)は、好ましくは250~2000μm、より好ましくは250~1500μmである。
前記シートの具体的な用途としては、例えば、食品、液体、医薬品等を包装するための包装用シート、該シートから形成された容器(例:シートを熱成形したトレイ、カップ、シートを折り曲げ加工した容器)が挙げられる。
<射出成形体およびブロー成形体>
前記射出成形体としては特に制限されないが、例えば、従来公知の射出成形装置を用いて公知の条件を採用して、所望の形状に射出成形することで製造した成形体が挙げられる。
該射出成形体は、例えば、自動車内装用トリム材、自動車用外装部品、家電製品のハウジング、容器、チューブ、パイプなどに幅広く用いることができる。
前記ブロー成形体としては特に制限されないが、例えば、従来公知のブロー成形装置を用いて公知の条件を採用して、所望の形状にブロー成形することで製造した成形体が挙げられる。
前記ブロー成形体は、多層成形体であってもよく、この場合、少なくとも1層が、本組成物または前記接着性樹脂組成物を含む層である。
前記射出成形体およびブロー成形体の具体的な用途としては、例えば、食品容器、飲料容器、キャップ、医薬品容器、その他各種容器、日用品(例:衣装ケース、バケツ、洗面器、筆記用具等の文具用品、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース)、家電製品のハウジング、自動車部品、チューブ、パイプが挙げられる。
<自動車内装部品および自動車外装部品>
前記自動車内装部品および自動車外装部品としては特に制限されず、例えば、射出成形などで成形された自動車部品が挙げられる。
前記自動車内装部品の具体例としては、トリム、インストルメントパネル、コラムカバーが挙げられる。前記自動車外装部品の具体例としては、フェンダー、バンパー、サイドモール、マッドガード、ミラーカバーが挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[製造例1]プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-1)の製造
充分に窒素置換した950mLの連続重合器に、その一つの供給口から、乾燥ヘキサンを1807mL/hrの速度で供給し、別の供給口から1-オクテンを355mL/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(4.5mmol/L)を57mL/hrの速度で供給した。また、同時に連続重合器の別の供給口から、プロピレンを1080mL/hrの速度で、水素を0.19NL/hrの速度で、特許第5980339号公報の合成例4に従って合成した(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(以下「触媒a」ともいう。)と、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム(株)製)とを接触させたヘキサン溶液(0.03mmol/L、ジルコニウム/メチルアルミノキサン=1/300mol比)を60mL/hrの速度で重合器内に供給し、重合温度65℃、全圧3.6MPaG、滞留時間17min、攪拌回転数700rpmの条件下で連続溶液重合を実施した。その後、メタノール/ヘキサン溶液(メタノール/ヘキサン=2/98体積比)を100mL/hrの速度で添加し、重合を停止した。次いで、180℃の窒素雰囲気下で30分間乾燥し、真空下で30分間乾燥することで、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-1)を163g/hrの生産スピードで製造した。
[製造例2]プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-2)の製造
乾燥ヘキサンの供給速度を1718mL/hrに、1-オクテンの供給速度を440mL/hrに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液の濃度、供給速度をそれぞれ4mmol/L、61mL/hrに、水素の供給速度を0.15NL/hrに、触媒aとメチルアルミノキサンとを接触させたヘキサン溶液の供給速度を52mL/hrに変更した以外は製造例1と同様の方法により、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-2)を製造した。
[製造例3]プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-3)の製造
乾燥ヘキサンの供給速度を1891mL/hrに、1-オクテンの供給速度を265mL/hrに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液の濃度、供給速度をそれぞれ4mmol/L、80mL/hrに、水素の供給速度を0.1NL/hrに、触媒aとメチルアルミノキサンとを接触させたヘキサン溶液の供給速度を69mL/hrに変更した以外は製造例1と同様の方法により、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-3)を製造した。
[製造例4]プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-4)の製造
充分に窒素置換した950mLの連続重合器に、その一つの供給口から、乾燥ヘキサンを1852mL/hrの速度で供給し、別の供給口から1-オクテンを585mL/hrの速度で、国際公開第2006/025540号の合成例4に従って合成したジフェニルメチレン(3-tert-ブチル-5-エチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(以下「触媒b」ともいう。)とメチルアルミノキサンとトリイソブチルアルミニウムとを接触させたヘキサン溶液(0.05mmol/L、ジルコニウム/メチルアルミノキサン/トリイソブチルアルミニウム=1/250/200mol比)を82mL/hrの速度で重合器内に供給した。また、同時に連続重合器の別の供給口から、プロピレンを1340mL/hrの速度で、水素を0.03NL/hrの速度で供給し、重合温度65℃、全圧3.6MPaG、滞留時間15min、攪拌回転数700rpmの条件で連続溶液重合を実施した。その後、メタノール/ヘキサン溶液(メタノール/ヘキサン=2/98体積比)を100mL/hrの速度で添加し、重合を停止した。次いで、180℃の窒素雰囲気下で30分間乾燥し、真空下で30分間乾燥することで、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-4)を146g/hrの生産スピードで製造した。
[製造例5]プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-5)の製造
乾燥ヘキサンの供給速度を1737mL/hrに、1-オクテンの供給速度を695mL/hrに、触媒bとメチルアルミノキサンとトリイソブチルアルミニウムとを接触させたヘキサン溶液の供給速度を101mL/hrに変更した以外は製造例4と同様の方法により、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-5)を製造した。
[製造例6]プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-6)の製造
乾燥ヘキサンの供給速度を1552mL/hrに、1-オクテンの供給速度を395mL/hrに、触媒bとメチルアルミノキサンとトリイソブチルアルミニウムとを接触させたヘキサン溶液の供給速度を72mL/hrに、プロピレンの供給速度を1300mL/hrに、水素の供給速度を0.01NL/hrに、重合温度を74℃に、滞留時間を17minに変更した以外は製造例4と同様の方法により、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-6)を製造した。
[製造例7]プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-7)の製造
充分に窒素置換した950mLの連続重合器に、その一つの供給口から、乾燥ヘキサンを1506mL/hrの速度で供給し、別の供給口から1-オクテンを560mL/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(7.5mmol/L)を60mL/hrの速度で供給した。また、同時に連続重合器の別の供給口から、プロピレンを1180mL/hrの速度で、水素を0.04NL/hrの速度で、特許第6568082号公報の合成例2に従って合成した下記式で表されるメタロセン触媒(以下「触媒c」ともいう。)とメチルアルミノキサンとを接触させたヘキサン溶液(0.05mmol/L、ジルコニウム/メチルアルミノキサン=1/300mol比)を55mL/hrの速度で重合器内に供給し、重合温度65℃、全圧3.6MPaG、滞留時間17min、攪拌回転数700rpmの条件下で連続溶液重合を実施した。その後、メタノール/ヘキサン溶液(メタノール/ヘキサン=2/98体積比)を100mL/hrの速度で添加し、重合を停止した。次いで、180℃の窒素雰囲気下で30分間乾燥し、真空下で30分間乾燥することで、プロピレン・α-オレフィン共重合体(A-7)を219g/hrの生産スピードで製造した。
Figure 2022152305000001
[比較用プロピレン・α-オレフィン共重合体]
比較用のプロピレン・α-オレフィン共重合体としては、以下のプロピレン・α-オレフィン共重合体(cA-1)および(cA-2)を用いた。
・プロピレン・α-オレフィン共重合体(cA-1):エクソンモービル・ケミカル社製のプロピレン・エチレン共重合体(商品名:Vistamaxx3980、MFR(230℃、2.16kg荷重)=8g/10min)
・プロピレン・α-オレフィン共重合体(cA-2):エクソンモービル・ケミカル社製のプロピレン・エチレン共重合体(商品名:Vistamaxx3000、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10min)を用いた。
<共重合体(A-1)~(A-7)および(cA-1)~(cA-2)の物性>
前記製造例で得られた共重合体(A-1)~(A-7)および(cA-1)~(cA-2)の物性値を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
a)プロピレンおよびα-オレフィン含量
共重合体中のプロピレンおよびα-オレフィン含量は、次の条件で13C-NMR測定を行い、得られた13C-NMRスペクトルの解析により算出した。なお、本明細書において、α-オレフィンから導かれる構成単位の含有量を「α-オレフィン含量」ともいう。
装置:ブルカー・バイオスピン社製AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00μ秒)
ポイント数:64k
測定範囲:250ppm(-55~195ppm)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:64回
測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1[v/v])
試料濃度:ca.60mg/0.6mL
測定温度:120℃
ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)
ケミカルシフト基準:CH3(P)mmmmシグナル(21.59ppm)
b)アイソタクティックトライアッド分率(mm分率)
オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1[v/v])溶液(CH3(P)mmmmシグナル:21.59ppmを基準)で13C-NMR測定を行い、得られた13C-NMRスペクトルの19.2~22.2ppmに現れるピークの全面積(100%)に対して、21.0~22.2ppmに現れるピークの面積の割合(%)を算出し、該ピークの面積の割合(%)をmm分率とした。
c)MFR
ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重における共重合体のMFRを測定した。
d)極限粘度[η]
共重合体の極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。
e)融点Tm、融解熱量ΔH
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、共重合体を6分間加熱し、10MPaの加圧下で2分間成形した後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することで厚み500μmのシート(試験片)を作製した。
成形から室温で72時間経過した後、約10mgの試験片を、窒素雰囲気下で20℃から降温速度10℃/minで-20℃まで冷却し、その温度で5分間保持した。次いで、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度で10分間保持した後、降温速度10℃/minで-100℃まで冷却し、その温度で5分間保持した後、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温した。
融解熱量ΔHは、1度目に昇温させた時の結晶融解ピークの積算値から算出した。また、融点Tmは、2度目に昇温させた時の結晶融解ピークのピーク頂点の温度の温度を融点とした。なお、融解ピークが2つ以上観測される場合、これらのピークのピーク頂点の温度のうち、最も高い温度を融点とした。
f)引張弾性率、破壊応力
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、共重合体を6分間加熱し、10MPaの加圧下で2分間成形した後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することにより厚み2mmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過後、得られたシートから、ASTM D638に準拠してJIS K 7161-2:2014に規定の5A形ダンベルを作製し、該ダンベルを23℃、引張速度50mm/minの条件下で引張弾性率、破壊応力を測定した。
g)ショアA硬度(瞬間値)
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、共重合体を6分間加熱し、10MPaの加圧下で2分間成形した後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することにより厚み2mmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過した後、デュロメータ硬度計(A型)を用い、作製したシートを3枚重ねた試験片に押針を接触後直ちに目盛を読み取った(ASTM D2240に準拠)。
h)ショアD硬度(瞬間値)
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、共重合体を6分間加熱し、10MPaの加圧下で2分間成形した後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することにより厚み2mmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過した後、デュロメータ硬度計(D型)を用い、作製したシートを3枚重ねた試験片に押針を接触後直ちに目盛を読み取った(ASTM D2240に準拠)。
Figure 2022152305000002
[実施例1~7および比較例1~2]
ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)に、表2に記載の組成に記載の原材料を表2に記載の量(質量%)で入れ、200℃、60rpmの条件で5分間混練し、プロピレン系樹脂組成物を調製した。
なお、実施例および比較例で用いたプロピレン系重合体(B-1)は、以下の通りである。
プロピレン系重合体(B-1):ランダムポリプロピレン((株)プライムポリマー製、プライムポリプロF227、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10min、融点=150℃、mmmm分率=96%)
得られたプロピレン系樹脂組成物を用いた以外は、前記と同様にして、引張弾性率、破壊応力、ショアD硬度(瞬間値)を測定した。結果を表2に示す。
<耐白化性>
得られたプロピレン系樹脂組成物を、200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、6分間加熱し、次いで、10MPaの加圧下で2分間成形した後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することで、厚み500μmのシートを作製した。
成形から室温で72時間経過した後、得られたシートから、JIS K 6251に規定の2号形ダンベルを作製し、50mm/minの引張速度でこれを15mm伸張させた前後の色相(L値)を、分光測色計(コニカミノルタ(株)製、CM-3700d)を用いて測定し、下記式に基づいて、色相変化(ΔL)を算出した。ΔL値が小さいほど良好な耐白化性を有することを表す。
ΔL=L値(伸張後)-L値(伸張前)
Figure 2022152305000003

Claims (12)

  1. 下記要件(I)~(IV)を満たすプロピレン・α-オレフィン共重合体(A)1~99質量%、および、
    前記共重合体(A)以外の重合体であり、ASTM D1238Eに準拠して測定した、230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1~500g/10minであるプロピレン系重合体(B)1~99質量%(但し、共重合体(A)と重合体(B)との合計を100質量%とする。)を含有するプロピレン系樹脂組成物。
    (I)プロピレンから導かれる構成単位(i)および炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の合計を100モル%とした時、該構成単位(i)の含有量が75~95モル%であり、該構成単位(ii)の含有量が5~25モル%である
    (II)示差走査熱量分析(DSC)で測定した融点が95℃以下であるか観測されない
    (III)13C-NMRで測定したアイソタクティックトライアッド分率が85%以上である
    (IV)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~10dl/gである
  2. 前記共重合体(A)の、13C-NMRで測定したアイソタクティックトライアッド分率が90%以上である、請求項1記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記共重合体(A)の、ASTM D1238Eに準拠して測定した、230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1~30g/10minである、請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記共重合体(A)における前記炭素数5~20のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンおよび1-ドデセンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を含む接着性樹脂組成物。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項5に記載の接着性樹脂組成物を含むペレット。
  7. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項5に記載の接着性樹脂組成物を含む成形体。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項5に記載の接着性樹脂組成物を含む無延伸フィルム。
  9. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項5に記載の接着性樹脂組成物を含むシート。
  10. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項5に記載の接着性樹脂組成物を含む射出成形体。
  11. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項5に記載の接着性樹脂組成物を含むブロー成形体。
  12. 請求項1~4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物、または、請求項5に記載の接着性樹脂組成物を含む、内装部品および外装部品から選ばれる自動車部品。
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