JP2007063396A - ポリプロピレン系樹脂組成物、およびその組成物からなるフィルムまたはシート - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物、およびその組成物からなるフィルムまたはシート Download PDF

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Abstract

【課題】 加熱処理後においても、透明性と柔軟性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、フィルムまたはシート。
【解決手段】 下記(a1)及び(a2)を満たす結晶性プロピレン系ブロック共重合体50〜95重量部と、下記(b1)を満たす非晶性オレフィン系重合体50〜5重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に、造核剤が0.0001〜5重量部含有されてなるポリプロピレン系樹脂組成物、フィルムまたはシート。
(a1):20℃キシレン可溶部を5重量%以上含有すること。
(a2):20℃キシレン不溶部の示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に観測される最大の結晶融解ピークの温度が130〜155℃であること。
(b1):示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に、結晶の融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピーク及び結晶化熱量が1J/g以上である結晶化ピークがいずれも観測されないこと。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱処理後においても、透明性および柔軟性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、およびその組成物からなるフィルムまたはシートに関するものである。
ポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートは、食品包装、衣料包装、雑貨包装等の透明性および柔軟性が要求される各種包装材料用途に広く用いられている。なかでも、輸液バッグや血液バッグ等の医療用容器に用いられる軟質フィルムは、近年、環境問題に対する関心の高まりから、ポリオレフィン系樹脂からなる軟質フィルムへの切替えが進められている。例えば、特許文献1には、特定のプロピレン系ブロック共重合体と造核剤からなる高透明フィルムが記載されており、また、特許文献2には、特定のプロピレン系ブロック共重合体からなる透明性、柔軟性、耐熱性に優れた医療容器が記載されている。
特開平11−92619号公報 特開平11−178886号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている樹脂組成物からなる高透明性フィルムや、特許文献2に記載されている樹脂組成物からなる医療容器は、透明性および柔軟性を有するものの、高温で加熱処理を行うと透明性および柔軟性が著しく低下するという問題点があった。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題、すなわち本発明の目的は、加熱処理後においても、透明性および柔軟性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、およびその組成物からなるフィルムまたはシートを提供することにある。
すなわち本発明は、下記要件(a1)および要件(a2)を満たす結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))50〜95重量部と、下記要件(b1)を満たす非晶性オレフィン系重合体(成分(B))50〜5重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、成分(A)と成分(B)の合計を100重量部とする)に、さらに造核剤(成分(C))が0.0001〜5重量部含有されてなるポリプロピレン系樹脂組成物、およびその組成物からなるフィルムまたはシートに係るものである。
(a1):20℃キシレン可溶部(CXS部)を5重量%以上含有すること(ただし、結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))全体を100重量%とする)。
(a2):20℃キシレン不溶部(CXIS部)の示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に観測される最大の結晶融解ピークの温度(Tm)が130〜155℃であること。
(b1):示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に、結晶の融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上である結晶化ピークがいずれも観測されないこと。
本発明によれば、加熱処理後においても、透明性および柔軟性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、およびその組成物からなるフィルムまたはシートが提供される。
本発明の結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))は、20℃キシレン可溶部(CXS部)を5重量%以上含有し(要件(a1))、好ましくは10〜50重量%含有する共重合体である。CXS部が5重量%未満であると、加熱処理後のフィルムまたはシートの柔軟性が低下することがある。
20℃キシレン不溶部(CXIS部)の示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に観測される最大の結晶融解ピークの温度(Tm)は130〜155℃であり(要件(a2))、好ましくは130〜145℃である。CXIS部の結晶融解ピークの温度が130℃未満であると、結晶性が低下して加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性が低下することがあり、155℃を超えると、結晶性が高くなりすぎて加熱処理後のフィルムまたはシートの柔軟性が低下することがある。
本発明の結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))は、前記の要件(a1)および要件(a2)を満たす結晶性プロピレン系ブロック共重合体である。例えば、プロピレンと他のオレフィンとのブロック共重合体が挙げられる。他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、α−オレフィン等が挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、炭素原子数4〜20のオレフィンが挙げられる。炭素原子数4〜20のオレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。
プロピレンと他のオレフィンとのブロック共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−1−ブテンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンブロック共重合体等が挙げられ、これらの結晶性プロピレン系ブロック共重合体は、単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。これらの結晶性プロピレン系ブロック共重合体として好ましくは、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性および柔軟性の観点から、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体として好ましくは、エチレンに由来する単量体単位(以下、「エチレン単位」と称する)の含有量が1.5〜6.0重量%であるプロピレン−エチレン共重合体部分(以下、「x成分」と称する)が40〜85重量%であり、エチレン単位の含有量が7.0〜17重量%であるプロピレン−エチレン共重合体部分(以下、「y成分」と称する)が15〜60重量%である結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である。ただし、x成分とy成分の合計を該共重合体全体とする。
上記の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の極限粘度として好ましくは、y成分の極限粘度([η]y)が2〜5dl/gであり、y成分の極限粘度([η]y)とx成分の極限粘度([η]x)との比([η]y/[η]x)が0.5〜1.8である結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体である。
本発明のブロック共重合体は、例えば二段重合法によって、第一工程で製造される共重合体部分と、第二工程で製造されるコモノマーの含有量が第一工程の該共重合体と異なる共重合体部分とを、逐次重合して得られるブロック共重合体に例示されるように、一種の混合系の共重合体であってもよく、重合体末端とそれと異なる重合体末端が結合した典型的なブロック共重合体に限定されるものではない。
前記の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体において、x成分とy成分の割合は、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性および柔軟性の観点から、好ましくは、x成分が55〜83重量%であり、y成分が45〜17重量%である。より好ましくはx成分が73〜83重量%であり、y成分が27〜17重量%である。
前記のy成分が17〜27重量%であるプロピレン−エチレン共重合体部分を得るためには、例えば、重合工程においてy成分が17〜27重量%であるプロピレン−エチレン共重合体を製造することも可能であるが、重合によりy成分の割合が27〜60重量%のプロピレン−エチレン共重合体を製造し、溶融混練時にx成分のみを追加投入してy成分の割合を17〜27重量%となるように調整することも可能である。
前記の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体において、x成分のエチレン単位の含有量は、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性の観点から、好ましくは2.5〜4.5重量%である。
前記の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体において、y成分のエチレン単位の含有量は、加熱処理後のフィルムまたはシートの柔軟性の観点から、好ましくは8.0〜12重量%である。
プロピレン−エチレン共重合体部分のエチレン単位の含有量は、高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページに記載されている方法により13C−NMR法で測定される。
例えば二段重合法により、第一工程でx成分を重合し、次いで第二工程でy成分を重合する場合、x成分のエチレン単位の含有量(Ex)は、第一工程の重合終了後に共重合体をサンプリングして分析される。
また、y成分のエチレン単位の含有量(Ey)は、第二工程の重合終了後にブロック共重合体をサンプリングし、ブロック共重合体のエチレン単位の含有量(Exy)を分析し、さらにx成分の割合(Px)、y成分の割合(Py)から次式より求めることができる。
Ex×Px/100+Ex×Px/100=Exy
Ey=(Exy−Ex×Px/100)×100/Py
前記の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体中のy成分の極限粘度([η]y)は、フィルムまたはシートの加工性の観点から好ましくは2.0〜5.0dl/gであり、より好ましくは2.5〜4.0dl/gである。
前記の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体中のy成分の極限粘度([η]y)とx成分の極限粘度([η]x)との比([η]y/[η]x)は、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性の観点から好ましくは0.5〜1.8であり、より好ましくは0.8〜1.5である。
極限粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定される。例えば二段重合法により、第一工程でx成分を重合し、次いで第二工程でy成分を重合する場合、x成分の極限粘度([η]x)は、第一工程の重合終了後に共重合体をサンプリングして分析される。
また、y成分の極限粘度([η]y)は、第二工程の重合終了後にブロック共重合体をサンプリングし、ブロック共重合体の極限粘度([η]xy)を分析し、さらにx成分の割合(Px)、y成分の割合(Py)から次式より求めることができる。
[η]x×Px/100+[η]y×Py/100=[η]xy
[η]y=([η]xy−[η]x×Px/100)×100/Py
前記の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体は、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性および柔軟性の観点から、y成分のエチレン単位の含有量(Ey)とx成分のエチレン単位の含有量(Ex)との差(Ey−Ex)が3〜15重量%の範囲であることが好ましい。
本発明の結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))の製造方法としては、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒の存在下に、単一の重合槽中で複数の共重合体成分を逐次重合する回分式重合法、または、少なくとも2槽の重合槽を使用して少なくとも2種の共重合体成分を連続的に重合する連続式重合法等の多段重合法が挙げられる。
具体的には、例えば、二段重合法により製造を行う場合、
(a)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物の存在下、一般式Ti(OR1n4-n(R1は炭素原子数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の数字を表わす。)で表されるチタン化合物、および/またはエーテル化合物を、有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物及びエーテル化合物と四塩化チタンとの混合物で処理して得られる三価のチタン化合物含有固体触媒成分、
(b)有機アルミニウム化合物
(c)Si−OR2結合(R2は炭素原子数1〜20の炭化水素基である)を有するケイ素化合物よりなる触媒系、または
(a)一般式Ti(OR1n4-n(R1は炭素原子数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の数字を表わす。)で表わされるチタン化合物を、一般式AlR2 m3-m(R2は炭素原子数1〜20の炭化水素基、Yはハロゲン原子、mは1≦m≦3の数字を表わす。)で表わされる有機アルミニウム化合物で還元して得られる炭化水素溶媒に不溶のハイドロカルビルオキシ基を含有する固体生成物を、エチレンで予備重合処理したのち、炭化水素溶媒中エーテル化合物及び四塩化チタンの存在下に80〜100℃の温度でスラリー状態で処理して得られるハイドロカルビルオキシ基含有固体触媒成分、
(b)有機アルミニウム化合物よりなる触媒系等の少なくともチタン原子、マグネシウム原子、およびハロゲン原子を必須成分とするチーグラー・ナッタ型触媒の存在下に、(b)成分中のアルミニウム原子/(a)成分中のチタン原子のモル比を通常1〜2000、好ましくは5〜1500、(c)成分/(b)成分中のアルミニウム原子のモル比を通常0.02〜500、好ましくは0.05〜50となるように使用し、重合温度は通常20〜150℃、好ましくは50〜95℃、重合圧力は通常大気圧〜4.1MPa、好ましくは0.2〜4.1MPaの条件下に、第一工程でプロピレンとエチレンおよび分子量調節のために水素を供給してプロピレン−エチレン共重合体部分(x成分)を生成した後、引き続いて第二工程でプロピレンとエチレンと水素を供給してプロピレン−エチレン共重合体部分(y成分)を生成することによって製造できる。このような製造方法の具体的な例として、特開平9−324022号公報に記載の方法を挙げることができる。
本発明の結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))のメルトフローレート(以下、MFR(g/10分)と称する)は、通常0.1〜50g/10分であり、フィルムまたはシートの加工性の観点から、好ましくは0.5〜30g/10分である。
なお、結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))のMFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるものである。
なお、本発明の結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))は、有機過酸化物の存在下または非存在下に公知の方法で、例えばメルトフローレートで代表される流動性を変化させることが可能である。
本発明の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))は、示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に、結晶の融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上である結晶化ピークがいずれも観測されない重合体である(要件(b1))。
本発明の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))は、前記の要件(b1)を満たすオレフィン系重合体であり、例えば、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られる非晶性オレフィン系共重合体が挙げられる。
前記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。
前記の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))としては、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性および柔軟性の観点から、プロピレン−α−オレフィン共重合体、またはプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、なかでもプロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体がより好ましく、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が特に好ましい。
前記の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))に含有されるプロピレンに由来する単量体単位の含有量は、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性および柔軟性の観点から、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上である(ただし、非晶性オレフィン系重合体(成分(B))全体を100モル%とする)。
前記の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))は、必要に応じて、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン以外の単量体に由来する単量体単位を含有していてもよく、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン以外の単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物、ポリエン化合物等が挙げられる。
本発明の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))は、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]は、通常0.5〜10dl/gであり、フィルムまたはシートの加工性の観点から、好ましくは1.5〜5dl/gである。
本発明の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の分子量分布(Mw/Mn)は、3以下であり、好ましくは2.5以下である。分子量分布(Mw/Mn)が3を超えると、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性が低下することがある。
本発明の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の製造方法としては、公知のチーグラー・ナッタ型触媒や公知のシングルサイト触媒を用いて製造する方法が挙げられる。加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性をより高めるという観点から、公知のシングルサイト触媒を用いる製造方法が好ましい。
前記のシングルサイト触媒としては、メタロセン系触媒や非メタロセン系の錯体触媒が挙げられる。メタロセン系触媒としては、例えば、特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報等に記載のメタロセン系触媒が挙げられる。
また、非メタロセン系の錯体触媒としては、例えば、特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報等に記載の非メタロセン系の錯体触媒が挙げられる。
前記のシングルサイト触媒の中でも、入手が容易であるという観点から、メタロセン系触媒が好ましく、より好ましくは、少なくとも1個のシクロペンタジエン形アニオン骨格を有し、C1対掌構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体を含むメタロセン系触媒である。
また、メタロセン触媒を用いた製造方法の例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書に記載の方法が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))と非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の含有量は、成分(A)50〜95重量部、非晶性オレフィン系重合体(成分(B))50〜5重量部である(ただし、成分(A)と成分(B)の合計を100重量部とする)。成分(A)および成分(B)の含有量として、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性および柔軟性の観点から、好ましくは成分(A)60〜95重量部および成分(B)40〜5重量部であり、より好ましくは成分(A)60〜90重量部および成分(B)40〜10重量部である。
本発明で用いられる造核剤(成分(C))は、例えば、高密度ポリエチレン、ポリビニルシクロアルカン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等の高分子型造核剤、タルク等の無機フィラー、リン酸アルミニウム塩等の有機金属塩類、ソルビトール系造核剤、ロジン系造核剤等が挙げられる。
なかでも密度が0.94〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレン、ポリビニルシクロアルカンの高分子型造核剤、またはリン酸アルミニウム塩が、加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性および低臭気という観点で好ましい。これらの造核剤は市販のものから使用できる。
本発明で用いられる造核剤(成分(C))の配合量は、前記結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))と非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の合計100重量部に対して、0.0001〜5重量部であり、好ましくは0.0005〜3重量部であり、さらに好ましくは0.0005〜2重量部である。造核剤(成分(C))の配合量は、種類によってその最適配合量が異なる。例えば、ポリビニルシクロヘキサン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等の高分子型造核剤は、通常0.0001〜0.01重量部程度の配合量で本発明の効果は得られる。また、前記のその他の造核剤では、通常0.01〜5重量部の配合量で本発明の効果が得られる。造核剤の配合量が0.0001重量部より少ないと加熱処理後のフィルムまたはシートの透明性が得られないことがある。また、5重量部を超える場合では、造核剤の分散不良が起こり外観が悪化することがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、通常0.1〜50g/10分であり、フィルムまたはシートの加工性の観点から、好ましくは0.5〜30g/10分である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明に用いられる結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))、および非晶性オレフィン系重合体(成分(B))以外の他の樹脂を配合してもよい。他の樹脂としては、例えば、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、ポリ1−ブテン、テルペン系樹脂、合成石油樹脂、フェノール系樹脂、SEBS、SEPS等の水添スチレン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は市販のものから使用できる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、防曇剤、防錆剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、顔料等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、前記の各成分の配合割合を本発明の要件の範囲になるように調整し、さらに必要に応じて添加剤等を配合して以下の方法で均一になるように混合した後、各種の公知の方法で溶融混練し、造粒する方法が挙げられる。
混合に用いられる装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等が挙げられる。また、溶融混練に用いられる装置としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー混練機、バンバリーミキサー等が挙げられる。造粒する方法としては、ニーダー等で混練した樹脂をプレスしペレット状に裁断する方法、混練機からダイスを通して出てきた樹脂を、回転カッター刃にて水中にて裁断する方法、または混練機からダイスを通して出てきた樹脂をストランド状にして水中に通し、冷却後裁断する方法等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を溶融混練して造粒する場合、混練温度は、通常150〜300℃であり、好ましくは170〜270℃であり、より好ましくは180〜250である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からフィルムまたはシートを成形する方法としては、公知の成形法によって成形する方法が挙げられる。成形法としては、例えば、Tダイフィルム成形法、逐次2軸延伸フィルム成形法、インフレーションフィルム成形法、Tダイシート成形法、カレンダー成形法、押出ラミネート成形法、射出成形法等が挙げられ、好ましくTダイフィルム成形法、逐次2軸延伸フィルム成形法、インフレーションフィルム成形法である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの厚さは、5〜1000μmであり、好ましくは、10〜500μmである。フィルムまたはシートの厚さは、要求される物性(例えば、柔軟性等)や用途に応じて決めればよい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートを成形する際に、製品の包装加工適性を向上させる観点から、多層Tダイ成形機、多層インフレーション成形機等を用いて、結晶性ポリプロピレン系樹脂を両外層に積層し、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を中間層とした多層フィルムまたは多層シートにしてもよい。この場合の結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、フィルムまたはシートの耐熱性を向上させるという観点から示差走査熱量測定による最大の結晶融解ピークの温度が130〜165℃である結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
前記の積層フィルムまたはシートの外層片側の厚さとして好ましくは、加熱処理後のフィルムまたはシートの柔軟性の観点から、中間層に対して1/3〜1/20程度である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの用途としては、一般的に行われている100℃以上での空気雰囲気下もしくは不活性ガス雰囲気下での加熱処理、水蒸気による加圧加熱処理、熱水による加圧加熱処理が必要な輸液バッグや血液バッグ等の医療用容器だけでなく、食品包装、その他、加熱処理後でも透明性および柔軟性が要求される用途に広く用いることができる。
実施例
次に本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。はじめに以下の実施例および比較例における物性値の測定方法を説明する。
<結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))>
(1)冷キシレン可溶部(CXS、単位:重量%)
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、20℃に4時間保持した。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃で乾燥させて、ろ液中の溶解している試料重量を測定し、可溶部の含有量(重量%)を求めた。
(2)20℃キシレン不溶部(CXIS部)の示差走査熱量測定での結晶融解ピークの温度(Tm)(単位:℃)
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全溶融後、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、析出物と溶液にろ別し、析出物を乾固して減圧下70℃にて乾燥した。得られたCXIS部を示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、製品名DSC220C:入力補償DSC)を用いて、以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間保持した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この(iii)で観察されるピークが結晶の融解ピークであり、観察されるピークが1つのときは、そのピークの温度を結晶融解ピークの温度(Tm)とし、ピークが複数観察される場合は、そのピーク高さが最大となるときの温度を結晶融解のピーク温度(Tm)とした。
(3)x成分、y成分の割合(単位:重量%)
x成分、およびy成分の重合時の物質収支から、x成分の割合(Px)、y成分の割合(Py)を求めた。
(4)極限粘度([η])(単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
x成分、y成分の極限粘度([η]x、[η]y)
第一工程のx成分の重合終了後に測定した極限粘度[η]xと、第二工程の重合終了後に測定した極限粘度[η]xy、およびx成分の割合(Px)、y成分の割合(Py)から、次式によりy成分の極限粘度[η]yを求めた。
[η]y=([η]xy−[η]x×Px/100)×100/Py
(5)エチレン単位の含有量(単位:重量%)
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページに記載されている方法により、13C−NMR法で測定を行った。
x成分、y成分のエチレン単位の含有量(Ex、Ey)
第一工程のx成分の重合終了後に測定したエチレン単位の含有量(Ex)と、第二工程の重合終了後に測定したエチレン単位の含有量(Exy)、およびx成分の割合(Px)、y成分の割合(Py)から、次式によりy成分のエチレン単位の含有量(Ey)を求めた。
Ey=(Exy−Ex×Px/100)×100/Py
(6)メルトフローレート(MFR)(単位:g/10分)
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
<非晶性ポリオレフィン系重合体(成分(B))>
(7)非晶性オレフィン系重合体の単量体組成(単量体含有量、単位:モル%)
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13C−NMRスペクトルにおいて、プロピレン単位由来のメチル炭素のスペクトル強度と、1−ブテン単位由来のメチル炭素スペクトルとの強度比からプロピレン単位と1−ブテン単位の組成比を算出した。
(8)極限粘度([η]、単位:dl/g)
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりの非晶性オレフィン系重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlである非晶性オレフィン系重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(9)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法によって、下記の条件で測定を行った。
装置 :Waters社製 150C ALC/GPC
カラム :昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M
2本
温度 :140℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
溶出溶媒流速:1.0ml/min
試料濃度:1mg/ml
測定注入量:400μl
分子量標準物質:標準ポリスチレン
検出器 :示差屈折
(10)結晶融解ピーク(単位:℃)、結晶化ピーク(単位:℃)
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。この(ii)で観察されるピークが結晶化ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の結晶化ピークの有無を確認した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この(iii)で観察されるピークが結晶融解ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の結晶融解ピークの有無を確認した。
<プレスシート物性>
(11)透明性(ヘイズ)(単位:%)
厚さ300μmのプレスシートを作成し、JIS−K7105に従い測定した。
なお、加熱処理による透明性の変化を測定するため、プレスシートを121℃に設定したオーブン中に30分間保持して加熱処理を行い、加熱処理前後のヘイズを測定した。加熱処理前後のヘイズの差が大きいものほど、加熱処理によって透明性が低下したことを意味する。
(12)柔軟性(単位:MPa)
厚さ300μmのプレスシートを作成し、島津製作所(株)製引張試験機(オートグラ
フAG−500E)を用いて、標線間距離20mm、引張速度200mm/分、荷重19
6.1N、温度23℃で引張試験を行い、標線間伸びが200%になったときの引張応力
を求めた。
なお、加熱処理による柔軟性の変化を測定するため、プレスシートを121℃に設定したオ
ーブン中に30分間保持して加熱処理を行い、加熱処理前後の引張応力を測定した。加熱
処理前後の引張応力の差が大きいものほど、加熱処理によってプレスシートの柔軟性が低下した(加熱処理によって硬くなった)ことを意味する。
[結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))の製造例]
<固体触媒の合成>
撹拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に、濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間撹拌した後20℃で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2kg/Lになるようにトルエンを加えた後、フタル酸ジイソブチル47.6モルを加え、95℃で30分間反応を行なった。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行なった。次いで、フタル酸ジイソブチル3.13モル、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン274モルを加え、105℃で3時間反応を行なった。反応終了後同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行なった。次いで、スラリー濃度を0.4kg/Lに調整した後、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行なった。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行なった後、さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.4kgを得た。固体触媒成分はチタン原子1.8重量%、マグネシウム原子20.1重量%、フタル酸エステル8.4重量%、エトキシ基0.3重量、ブトキシ基0.2重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
<固体触媒成分の予備活性化>
内容積3LのSUS製、撹拌機付きオートクレーブに充分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン37.5ミリモルと上記固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を30℃以下に保ちながらプロピレン15gを約30分かけて連続的に供給して予備活性化を行なった後、得られた固体触媒スラリーを内容積150Lの撹拌機付きSUS製オートクレーブに移送し液状ブタン100Lを加えて保存した。
<重合>
SUS製の内容積1m3の撹拌機付き流動床反応器を2槽連結し、第一槽で前段部(x成分)のプロピレンとエチレンの共重合を、第二槽で後段部(y成分)のプロピレンとエチレンの共重合を連続的に実施する。
(1)第一槽(x成分)
内容積1m3の撹拌機付き流動床反応器において、重合温度70℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度0.2体積%、気相部エチレン濃度2.4体積%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を供給しながら、トリエチルアルミニウム75ミリモル/時間、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン7.5ミリモル/時間および予備活性化した固体触媒成分0.29g/時間を連続的に供給し、流動床のポリマーホールド量45kgでプロピレンとエチレンの共重合を行い9.6kg/時間のポリマーが得られた。得られたポリマーは失活することなく第二槽に連続的に移送した。
(2)第二槽(y成分)
内容積1m3の撹拌機付き流動床反応器において、重合温度80℃、重合圧力1.2MPa、気相部の水素濃度0.2体積%、気相部エチレン濃度9.0体積%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を供給しながら、流動床のポリマーホールド量を80kgで、第一槽より移送された触媒含有ポリマーでのエチレンとプロピレンとの共重合を連続的に継続することにより18.1kg/時間の白色の流動性の良いポリマーが得られた。得られたポリマーの物性評価結果を表1に示した。
得られたポリマーを有機過酸化物(パーオキサイド)の存在下で溶融混練し、MFRが3.0g/10分になるように調整しながら造粒することによって、プロピレン系ブロック共重合体(以下(A−1)とする)のペレットを得た。
Figure 2007063396
[非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の製造例]
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明の非晶性ポリオレフィン系重合体にあたるプロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で一昼夜減圧乾燥した。得られた共重合体の生成速度は7.10kg/時間であった。
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体(以下(B−1)とする)の物性評価結果を表2に示した。
Figure 2007063396
[実施例1]
<ポリプロピレン系樹脂組成物の製造>
成分(A)として前記の方法によって製造された結晶性プロピレン系ブロック共重合体(A−1)80重量部と、成分(B)として前記の方法によって製造されたプロピレン−1−ブテン共重合体(B−1)20重量部の合計100重量部に対して、造核剤(成分C)として高密度ポリエチレン((C−1):京葉ポリエチ(株)製、MFR(190℃、荷重21.18N)=18g/10分、結晶融解ピーク温度=130℃、密度0.954g/cm3)0.1重量部を配合し、さらに酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガフォス168)0.1重量部を配合し、ブラベンダー社製プラスチコーダーPLV151型なる混練機を用い、スクリュー回転数10rpmにて、230℃で2分間混練した後、100rpmにて5分間混練することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表3に配合組成を示した。
<プレスシートの製造>
前記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を温度230℃にてシートの厚さが300μmになるようにプレス成形した後、30℃で冷却してプレスシートを得た。得られたプレスシートの加熱処理前後の物性を表4に示した。
[実施例2]
成分(A)として実施例1で用いた結晶性プロピレン系ブロック共重合体(A−1)90重量部と、成分(B)として実施例1で用いたプロピレン−1−ブテン共重合体(B−1)10重量部の合計100重量部とした以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表3に配合組成を示した。また、実施例1と同様にして得られたプレスシートの加熱処理前後の物性を表4に示した。
[実施例3]
成分(A)として実施例1で用いた結晶性プロピレン系ブロック共重合体(A−1)60重量部と、成分(B)として実施例1で用いたプロピレン−1−ブテン共重合体(B−1)40重量部の合計100重量部に対して、造核剤(成分(C))として実施例1で用いた高密度ポリエチレン(C−1)2重量部を配合した以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表3に配合組成を示した。また、実施例1と同様にして得られたプレスシートの加熱処理前後の物性を表4に示した。
[実施例4]
造核剤(成分(C))としてポリビニルシクロヘキサン(C−2)を0.1重量%含有するマスターバッチ(住友化学(株)製、グレード名WF605MB)1重量部(最終的なポリビニルシクロヘキサン濃度は0.001重量部)を配合した以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表3に配合組成を示した。また、実施例1と同様にして得られたプレスシートの加熱処理前後の物性を表4に示した。
[比較例1]
成分(A)として実施例1で用いた結晶性プロピレン系ブロック共重合体(A−1)100重量部に対して、成分(B)、および成分(C)を配合しなかった以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表3に配合組成を示した。また、実施例1と同様にして得られたプレスシートの加熱処理前後の物性を表4に示した。
[比較例2]
成分(A)として実施例1で用いた結晶性プロピレン系ブロック共重合体(A−1)80重量部と、成分(B)として実施例1で用いたプロピレン−1−ブテン共重合体((B−1)20重量部の合計100重量部に対して、造核剤(成分(C))を配合しなかった以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表3に配合組成を示した。また、実施例1と同様にして得られたプレスシートの加熱処理前後の物性を表4に示した。
[比較例3]
成分(A)として実施例1で用いた結晶性プロピレン系ブロック共重合体(A−1)100重量部に対して、成分(C)として実施例1で用いた高密度ポリエチレン((C−1)0.1重量部を配合し、成分(B)は配合しなかった以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を得た。表3に配合組成を示した。また、実施例1と同様にして得られたプレスシートの加熱処理前後の物性を表4に示した。
本発明の要件を満足するポリプロピレン系樹脂組成物からなるシートは、実施例1〜4に示したように加熱処理後においても透明性および柔軟性に優れたものであることが分かる。
これに対して、比較例1は、本発明の要件である非晶性オレフィン系重合体(成分(B))および、造核剤(成分(C))を配合しなかったものであり、加熱処理後のシートの透明性の低下が著しく、また柔軟性の低下も大きいことが分かる。
また、比較例2は、本発明の要件である造核剤(成分(C))を用いなかったものであり、加熱処理後のシートの柔軟性は改良されているものの、透明性の低下が大きいことが分かる。
また、比較例3は、本発明の要件である非晶性オレフィン系重合体(成分(B))を用いなかったものであり、加熱処理後のシートの柔軟性の低下が大きいことが分かる。
Figure 2007063396
Figure 2007063396


Claims (5)

  1. 下記要件(a1)および要件(a2)を満たす結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))50〜95重量部と、下記要件(b1)を満たす非晶性オレフィン系重合体(成分(B))50〜5重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、成分(A)と成分(B)の合計を100重量部とする)に、さらに造核剤(成分(C))が0.0001〜5重量部含有されてなるポリプロピレン系樹脂組成物。
    (a1):20℃キシレン可溶部(CXS部)を5重量%以上含有すること(ただし、結晶性プロピレン系ブロック共重合体(成分(A))全体を100重量%とする)。
    (a2):20℃キシレン不溶部(CXIS部)の示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に観測される最大の結晶融解ピークの温度(Tm)が130〜155℃であること。
    (b1):示差走査熱量測定によって−100〜200℃の範囲に、結晶の融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上である結晶化ピークがいずれも観測されないこと。
  2. 非晶性オレフィン系重合体(成分(B))が、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種の非晶性オレフィン系重合体である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 非晶性オレフィン系重合体(成分(B))が、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体から選ばれる少なくとも1種の非晶性オレフィン系重合体である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の分子量分布(Mw/Mn)が3以下である請求項1〜3に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。
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