JP2006206745A - ポリプロピレン系樹脂組成物、フィルムまたはシート - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物、フィルムまたはシート Download PDF

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Abstract

【課題】 柔軟性、透明性および耐熱性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなるフィルムまたはシートを提供すること。
【解決手段】 下記の要件(a1)〜(a3)を充足する結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))50〜98重量%と非晶性オレフィン系重合体(成分(B))50〜2重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、ポリプロピレン系樹脂組成物の全重量を100重量%とする)、および、その組成物からなるフィルムまたはシート。
要件(a1):冷キシレン可溶部の含有量(CXS)が20重量%以下であること。
要件(a2):示差走査熱量測定によって、−100〜200℃に観測されるピーク高さが最大である結晶融解ピークの温度が100〜160℃であること。
要件(a3):230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレートが0.1〜100g/
10分であること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなるフィルムまたはシートに関するものである。さらに詳しくは、柔軟性、透明性および耐熱性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなるフィルムまたはシートに関するものである。
従来、柔軟性を有する樹脂として、非晶質ポリオレフィンと結晶性ポリプロピレンからなる樹脂組成物が知られている。
例えば、特開平5−194802号公報には、常温域から高温域まで柔軟性と機械的強度に富む樹脂組成物として、プロピレン及び/又はブテン−1成分含有量が50重量%以上である非晶質ポリオレフィン、及び結晶性ポリプロピレンを含有してなる樹脂組成物が記載されている。
また、特開平11−193309号公報には、ポリプロピレン等の樹脂と混合した場合に、柔軟性、引張伸び特性、耐傷付性及び透明性に優れた熱可塑性樹脂組成物を与えるプロピレン−1−ブテン共重合体として、ショアーA硬度が70以下であり、極限粘度が0.3以上であり、示差走査熱量計で測定したときの結晶融解ピーク及び結晶化ピークのいずれをも有しないプロピレン−1−ブテン共重合体が記載されており、また、その共重合体及びポリオレフィン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
特開平5−194802号公報 特開平11−193309号公報
しかし、上記の公報等に記載されているポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムを加熱処理した場合、フィルムが白化して透明性が低下することがあり、また、耐熱性においても、必ずしも、充分に満足できるものではなく、柔軟性に加えて、透明性および耐熱性の改良が求められていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、柔軟性、透明性および耐熱性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなるフィルムまたはシートを提供することにある。
すなわち、本発明は、
下記の要件(a1)〜(a3)を充足する結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))50〜98重量%と非晶性オレフィン系重合体(成分(B))50〜2重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、ポリプロピレン系樹脂組成物の全重量を100重量%とする)、および、その組成物からなるフィルムまたはシートに係るものである。
要件(a1):冷キシレン可溶部の含有量(CXS)が20重量%以下であること。
要件(a2):示差走査熱量測定によって、−100〜200℃に観測されるピーク高さが最大である結晶融解ピークの温度が100〜160℃であること。
要件(a3):230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレートが0.1〜100g/
10分であること。
本発明によれば、柔軟性、透明性および耐熱性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなるフィルムまたはシートを得ることができる。
本発明で用いられる結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))の冷キシレン可溶部の含有量(CXS)は20重量%以下であり(要件(a1))、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下である。前記共重合体(成分(A))のCXSが20重量%を超えた場合、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの耐熱性が低下することがある。
そして、結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))の示差走査熱量測定(DSC)によって、−100〜200℃に観測されるピーク高さが最大である結晶融解ピークの温度(Tm)は100〜160℃であり(要件(a2))、好ましくは120〜150℃である。Tmが100℃未満の場合、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの耐熱性が低下することがあり、Tmが160℃を超えた場合、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの柔軟性が低下することがある。
さらに、結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))の230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレート(MFR)は0.1〜100g/10分であり(要件(a3))、好ましくは、0.5〜50g/10分であり、より好ましくは、1〜30g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合、または、100g/10分を超えた場合、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートを製造するときの加工性が低下することがある。
前記の結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))中のα−オレフィンとしては、例えば、炭素原子数4〜20のα−オレフィンの鎖状オレフィンが挙げられ、鎖状オレフィンとしては、例えば、直鎖状オレフィン、分岐状オレフィンが挙げられる。
直鎖状オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等が挙げられ、分岐状オレフィンとしては、例えば、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。
これらの中でも、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が好ましい。
本発明で用いられる結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))中のエチレンから誘導される構造単位の含有量は、通常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。α−オレフィンから誘導される構造単位の含有量は、通常0.1〜30重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%である(但し、前記共重合体(成分(A))に含有される単量体から誘導される全構造単位の含有量を100重量%とする)。
前記共重合体(成分(A))に含有されるエチレンから誘導される構造単位の含有量、または、α−オレフィンから誘導される構造単位の含有量は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの柔軟性、透明性および耐熱性のバランスの観点から前記の範囲が好ましい。
結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))の製造方法としては、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒を用いる重合方法が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒が挙げられ、チタン含有固体状遷移金属成分として、好ましくは、チタン、マグネシウムおよびハロゲンを必須成分とし、電子供与性化合物を任意成分とする固体成分、または、三塩化チタンであり、有機金属成分として、好ましくはアルミニウム化合物である。
重合方法としては、例えば、スラリー重合、気相重合、バルク重合、溶液重合、またはこれらを組み合わせた重合方法が挙げられる。
結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))としては、市販の該当品を用いてもよい。
本発明の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))は、オレフィン単量体単位を含有する重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)により、−100〜200℃に結晶の融解熱量が1J/g以上の融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークのいずれもが観測されない非晶性の重合体である。該要件を充足しない場合は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの透明性、柔軟性が低下することがある。
本発明の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))は、前記の要件を充足する非晶性オレフィン系重合体であれば特に限定されないが、例えば、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれたオレフィンの単独重合体、もしくはエチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィンからなる群から選ばれた少なくとも2種以上のオレフィンを共重合して得られる共重合体、もしくはこれらの混合物が挙げられる。
前記の非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、鎖状オレフィンが挙げられ、鎖状オレフィンとしては、例えば、直鎖状オレフィンや分岐状オレフィンが挙げられる。
直鎖状オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等が挙げられ、分岐状オレフィンとしては、例えば、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。
非晶性オレフィン系重合体(成分(B))としては、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、1−ヘキセン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体等が挙げられる。
非晶性オレフィン系重合体(成分(B))として、フィルムまたはシートの透明性、柔軟性の観点から好ましくは、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体が挙げられ、より好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体が挙げられ、特に好ましくはプロピレン単量体単位を少なくとも50モル%以上含有するプロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体が挙げられる。(但し、非晶性オレフィン系重合体(成分(B))に含有される単量体から誘導される構造単位の合計を100モル%とする。)
非晶性オレフィン系重合体(成分(B))は、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン以外の単量体から誘導される構造単位を含有していてもよく、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン以外の単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物、ポリエン化合物等が挙げられる。
非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]として、好ましくは、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの耐熱性や透明性が低下することを防止するという観点から、0.5〜10dl/gであり、より好ましくは1.5〜5dl/gである。
非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の分子量分布(Mw/Mn)は、耐熱性が低下することを防止するという観点から、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。ここで、非晶性ポリオレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から求められる値である。
非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の製造方法としては、例えば、公知のチーグラー・ナッタ型触媒や公知のシングルサイト触媒を用いて製造する方法が挙げられる。耐傷付き性や耐熱性をより高めるという観点から、好ましくは、公知のシングルサイト触媒を用いる製造方法である。
シングルサイト触媒としては、例えば、メタロセン系触媒や非メタロセン系の錯体触媒が挙げられる。メタロセン系触媒としては、例えば、特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報等に記載のメタロセン系触媒が挙げられる。
また、非メタロセン系の錯体触媒としては、例えば、特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報等に記載の非メタロセン系の錯体触媒が挙げられる。
シングルサイト触媒の中でも、好ましくは、入手が容易であるという観点から、メタロセン系触媒が好ましく、より好ましくは、少なくとも1個のシクロペンタジエン形アニオン骨格を有し、C1対掌構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体を含むメタロセン系触媒である。
また、メタロセン触媒を用いた製造方法の例として、欧州特許公開第1211287号明細書に記載の方法が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有される結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))の含有量は50〜98重量%であり、非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の含有量は50〜2重量%である(但し、ポリプロピレン系樹脂組成物の全重量を100重量%とする)。
好ましくは非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の含有量が30〜3重量%(すなわち、結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))の含有量は70〜97重量%)であり、より好ましくは非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の含有量が20〜3重量%(すなわち、結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(成分(A))の含有量が80〜97重量%)である。
非晶性オレフィン系重合体(成分(B))の含有量が、50重量%を超えた場合、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの耐熱性が低下することがあり、2重量%未満の場合、柔軟性が低下することがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、耐候性安定剤、結晶核剤、造核剤、防曇剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填剤、帯電防止剤、内部剥離剤、分散剤、アンチブロッキング剤、滑剤、抗菌剤、石油樹脂、発泡剤、発泡助剤、高周波加工助剤、有機顔料、無機顔料等の各種添加剤を加えてもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、各成分の配合割合を本発明の要件の範囲に調製した後、各種の公知の方法で混合する方法、混合後さらに溶融混練し、造粒または粉砕する方法が挙げられる。
混合に用いられる装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等が挙げられ、そして、溶融混練に用いられる装置としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を溶融混練して製造する場合、溶融混練温度は、通常150〜300℃であり、好ましくは170〜270℃であり、より好ましくは180〜250である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からフィルムまたはシートを成形する方法としては、公知の成形法によって成形する方法が挙げられる。前記の成形法としては、例えば、Tダイフィルム成形法、逐次2軸延伸フィルム成形法、インフレーションフィルム成形法、Tダイシート成形法、カレンダー成形法、押出ラミネート成形法、射出成形法等が挙げられ、好ましくは、Tダイフィルム成形法、逐次2軸延伸フィルム成形法、インフレーションフィルム成形法である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシートの用途としては、食品包装材料、食品容器、医療用品包装材料、医療用容器、衣料・雑貨包装材料、保護フィルム、文具等が挙げられる。
以下に、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明する。
測定方法
物性測定は、下記のとおりの方法に従って行った。
(1)非晶性オレフィン系重合体の単量体組成(単位:モル%)
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13C−NMRスペクトルにおいて、プロピレン単位由来のメチル炭素のスペクトル強度と1−ブテン単位由来のメチル炭素スペクトルとの強度比からプロピレン単位と1−ブテン単位の組成を算出した。
(2)冷キシレン可溶部(CXS、単位:重量%)
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、20℃に4時間保持した。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃で乾燥させて、ろ液中の溶解している試料重量を測定し、可溶部の含有量(重量%)を求めた。
(3)極限粘度([η]、単位:dl/g)
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりの非晶性オレフィン系重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlである非晶性重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(4)結晶融解ピーク温度(Tm、単位:℃)
JIS K7121に従い、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)によって測定を行った。具体的には、状態調整として、室温から200℃まで30℃/分で昇温し、200℃で5分間保持した。次に、10℃/分で−100℃まで降温した。次に、−100℃で5分間保持した後、−100℃から200℃まで10℃/分で昇温し、結晶融解ピークの測定し、ピークが最大となる温度をTmとした。
(5)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法によって測定した。測定装置はWaters社製150C/GPC、測定溶媒はo−ジクロロベンゼン、使用カラムは昭和電工社製Sodex Packed ColumnA−80M(2本)、分子量標準物質はポリスチレン(東ソー社製、分子量68〜8,400,000)を用い、溶出温度140℃、溶出溶媒流速1.0ml/分の条件で、重合体約5mgを5mlのo−ジクロロベンゼンに溶解したものを400μlインジェクションし、示差屈折検出器にてポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、この比である分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(6)柔軟性(ヤング率、単位:MPa)
ASTM D−882に従い、フィルムのヤング率を測定した。
(7)透明性(ヘイズ値、単位:%)
JIS K7105に従い、フィルムのヘイズ値を測定した。
(8)耐熱性(耐熱白化性、Δヘイズ、単位:%)
熱処理前のフィルムのヘイズ値と下記条件で熱処理後のフィルムのヘイズ値とをJIS K7105に従い測定し、熱処理前後でのフィルムのヘイズ値の差(Δヘイズ)を求めた。この値が小さいほど耐熱性(耐熱白化性)に優れることを示す。
熱処理温度:60℃
熱処理時間:24時間
(9)耐べたつき性
耐熱性(耐熱白化性)の評価で行った60℃での熱処理後のフィルムを手で触り、フィルム表面の感触を以下の基準で評価した。べたつきが無い場合、耐べたつき性に優れることを示す。
○:べたつきが無かった。
×:べたつきが有った。
実施例1
[非晶性オレフィン系重合体の製造]
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節剤として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明の非晶性ポリオレフィン系重合体(成分(B))にあたるプロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。得られた共重合体の生成速度は7.10kg/時間であった。
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体(成分(B))の物性評価結果を表1に示した。
Figure 2006206745
[ポリプロピレン系樹脂組成物ペレットの製造]
成分(A)として結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(住友化学(株)製 ノーブレンFLX81K9、CXS含有量=1.1重量%、Tm=147℃、MFR=7g/10分)95重量%と、成分(B)として、前記の表1記載の非晶性オレフィン系重合体5重量%を配合し、2軸のバッチ式混練機ブラベンダープラスチコーダー(ブラベンダー社製)を用いて、温度220℃、スクリュー回転数100rpm、混練時間5分の条件で、溶融混練を行った。次いで得られた樹脂組成物塊を、220℃で厚み2mmのプレスシートにし、それをペレット状に細かく裁断してフィルムの製造に必要な樹脂組成物ペレット300gを得た。
[フィルムの製造]
上記樹脂組成物ペレットを20mmφTダイ押出機(田辺プラスチック製 L/D=27)によって樹脂温度260℃で溶融押出し、水温30℃に調整された冷却ロールにて厚さ100μmのフィルムに成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
実施例2
実施例1の[ポリプロピレン系樹脂組成物ペレットの製造]で用いた成分(A)の配合量を90重量%に、成分(B)の配合量を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。
実施例3
実施例1の[ポリプロピレン系樹脂組成物ペレットの製造]で用いた成分(A)を結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(住友化学(株)製 ノーブレンFSX66E2、CXS含有量=2.6重量%、Tm=132℃、MFR=5.5g/10分)に変更し、また、その配合量を90重量%に変更し、そして、実施例1で用いた成分(B)の配合量を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。
比較例1
実施例1の[ポリプロピレン系樹脂組成物ペレットの製造]で用いた成分(A)を結晶性プロピレン−エチレン共重合体(住友化学(株)製 ノーブレンS131、CXS含有量=6.0重量%、Tm=133℃、MFR=1.5g/10分)に変更し、また、その配合量を90重量%に変更し、そして、実施例1で用いた成分(B)の配合量を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。
比較例2
実施例1の[ポリプロピレン系樹脂組成物ペレットの製造]で成分(A)として用いた結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(住友化学(株)製 ノーブレンFLX81K9、CXS含有量=1.1重量%、Tm=147℃、MFR=7g/10分)の配合量を100重量%に変更し、成分(B)を配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。
Figure 2006206745
本発明の要件を満足する実施例1〜3は、柔軟性、透明性および耐熱性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなるフィルムであることが分かる。
これに対して、比較例1は、本発明の要件である結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(成分(A))を用いなかったものであり、透明性、耐熱白化性および耐べとつき性が不十分なものであることが分かる。
また、比較例2は、本発明の要件である非晶性オレフィン系重合体(成分(B))を用いなかったものであり、柔軟性が不十分なものであることが分かる。

Claims (4)

  1. 下記の要件(a1)〜(a3)を充足する結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))50〜98重量%と非晶性オレフィン系重合体(成分(B))50〜2重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(但し、ポリプロピレン系樹脂組成物の全重量を100重量%とする)。
    要件(a1):冷キシレン可溶部の含有量(CXS)が20重量%以下であること。
    要件(a2):示差走査熱量測定によって、−100〜200℃に観測されるピーク高さが最大である結晶融解ピークの温度が100〜160℃であること。
    要件(a3):230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレートが0.1〜100g/10分であること。
  2. 結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(A))が、結晶性プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 非晶性オレフィン系重合体(成分(B))が、プロピレン−α−オレフィン共重合体およびプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種の非晶性オレフィン系重合体である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008149503A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Sekisui Film Kk 多層熱収縮性ポリオレフィン系樹脂フィルム
JP2008266502A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Sumitomo Chemical Co Ltd ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含有してなるフィルム

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