JP5508305B2 - 光輝性複層塗膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被塗装物上に順次形成された中塗り塗膜、光輝性顔料を含む第1ベース塗膜、光輝性顔料を含む第2ベース塗膜及びクリア塗膜を含む、
優れた光輝性を有する複層塗膜形成方法に関する。
自動車車体の塗装は、通常、被塗装物上に、電着塗膜、中塗り塗膜及び上塗り塗膜を順次形成させることによって実施される。従来の方法では、被塗装物を電着塗料中に浸漬することによって電着塗装した後、高温で焼付処理することにより塗料を硬化させて電着塗膜を形成させ、その後、電着塗膜上に中塗り塗料を塗装した後、焼付処理して中塗り塗膜を形成させ、さらに中塗り塗膜上に上塗り塗料を塗装した後、焼付処理して上塗り塗膜を形成させるのが一般的である。
例えば、近年主流となっているメタリック塗色やマイカ塗色の複層塗膜は、上塗り塗料として、高い光輝性を得るための光輝性顔料を含むベース塗料及び透明なクリア塗料を使用して形成される。なお、光輝性が高い塗膜は、一般に、角度を変えて塗膜を観察した際に、観察の角度による明度の変化が顕著であり、さらに、光輝性顔料が塗膜中に比較的均一に存在して、メタリックムラがほとんど見られない塗膜である。また、上記のように、観察の角度による明度の変化が顕著であると、一般に、フリップフロップ性が高いといわれる。
通常、光輝性顔料としては、メタリック塗色の場合には金属性の光沢を有するアルミニウムフレーク顔料が、そしてマイカ塗色の場合には干渉性を有するマイカがそれぞれ使用される。一般に、これらの塗色の複層塗膜は、焼付処理された中塗り塗膜上に、光輝性顔料を含有するベース塗料及びクリア塗料をウェット・オン・ウェットで順次塗装し、次いで、得られる未硬化塗膜を1回の焼付処理で硬化させることにより形成される。
しかしながら、メタリック塗色やマイカ塗色の複層塗膜をウェット・オン・ウェット塗装で形成する場合、ベース塗料に含有される光輝性顔料の配向が乱れることにより、光輝性が低下するという問題がある。
また、近年では環境負荷低減の観点から水性塗料の採用が増加しているが、水性塗料は希釈溶剤である水の揮散速度が遅く且つ揮散速度が温度や湿度等の塗装環境条件によって大きく影響を受けるため、水性塗料を使用したウェット・オン・ウェット塗装の場合には、有機溶剤型塗料を使用する場合に比べて、光輝性顔料の配向の乱れが生じやすくなり、結果として、光輝性の低下がより顕著となるという問題がある。
上記のような問題を解決するために、従来様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、被塗装物上に、水性第1ベース光輝性塗料を塗装して未硬化の第1ベース塗膜を形成させ、未硬化の第1ベース塗膜の上に水性第2ベース光輝性塗料を塗装して未硬化の第2ベース塗膜を形成させ、未硬化の第2ベース塗膜の上にクリア塗料を塗装してクリア塗膜を形成させ、未硬化の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を一度に加熱硬化させる工程を含む光輝性塗膜形成方法が開示されている。当該文献には、上記の方法において、水性第1ベース光輝性塗料及び水性第2ベース光輝性塗料中の塗料固形分含有量を調節することによって、金属性の光沢を有するアルミニウムフレーク顔料等では光輝ムラのない金属外観を示し、また、干渉性を有するマイカ顔料等では
非常に高いフリップフロップ性を発現する光輝性塗膜を得ることができると記載されている。
また、特許文献2には、被塗装物上に、光輝性顔料含有水性ベースコート塗料(A1)を塗装して未硬化の第1ベースコート塗膜を形成させ、未硬化の第1ベースコート塗膜上に光輝性顔料含有水性ベースコート塗料(A2)を塗布して未硬化の第2ベースコート塗膜を形成させ、その後、両塗膜を同時に加熱硬化させる工程を含む光輝性複層塗膜形成方法が開示されている。当該文献には、上記の方法において、水性ベースコート塗料中の塗料固形分含有量及び光輝性顔料含有水性ベースコート塗料(A1)中に含有される無機微粒子の粒径を制御することによって、光輝感と塗膜の平滑性に優れた塗膜を得ることができると記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の光輝性塗膜形成方法によって形成される塗膜においても、メタリックムラが発生し、十分な光輝性が得られない場合がある。また、特許文献2に記載の光輝性複層塗膜形成方法によって形成される塗膜についても、さらなる光輝性の向上が求められている。
特開2004−351389号公報 特表2009−505807号公報
したがって、本発明の目的は、光輝性が高い複層塗膜の形成方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するための手段を種々検討した結果、今回、複層塗膜の形成時に使用される第1及び第2水性ベース塗料の各塗料固形分濃度、第2水性ベース塗料の光輝性顔料濃度、第1水性ベース塗料によって形成される塗膜に対する第2水性ベース塗料の接触角、第2水性ベース塗料によって形成される第2ベース塗膜の膜厚及び第1ベース塗膜と第2ベース塗膜との膜厚の相対比率を、それぞれ特定の範囲内にコントロールすることにより、光輝性が高い複層塗膜を形成せしめることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、被塗装物上に形成された中塗り塗膜、中塗り塗膜上に形成された第1ベース塗膜、第1ベース塗膜上に形成された第2ベース塗膜及び第2ベース塗膜上に形成されたクリア塗膜を含んでなる複層塗膜の形成方法であって、
(a) 中塗り塗膜上に、光輝性顔料を含有する熱硬化性の第1水性ベース塗料を塗装して未硬化の第1ベース塗膜を形成させる第1ベース塗膜形成工程;
(b) 未硬化の第1ベース塗膜上に、光輝性顔料を含有する熱硬化性の第2水性ベース塗料を塗装して未硬化の第2ベース塗膜を形成させる第2ベース塗膜形成工程;
(c) 未硬化の第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜をプレヒート処理するプレヒート工程;
(d) プレヒート処理された第2ベース塗膜上に、熱硬化性のクリア塗料を塗装して未硬化のクリア塗膜を形成させるクリア塗膜形成工程;
(e) プレヒート処理された第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜ならびに未硬化のクリア塗膜からなる複層塗膜を加熱硬化させて、硬化した複層塗膜を形成させる焼付工程
を含み、
(i) 第1水性ベース塗料が、塗料固形分濃度50質量%において10〜20°の範囲内の第2水性ベース塗料の接触角、及び16〜45質量%の範囲内の塗料固形分濃度を有し、
(ii) 第2水性ベース塗料が、5〜15質量%の範囲内の塗料固形分濃度を有し、且つ第2水性ベース塗料の塗料固形分100質量部に対して10〜60質量部の範囲内の光輝性顔料を含有し、
(iii) 硬化した第2ベース塗膜の膜厚が2〜8μmの範囲内であり、
(iv) 硬化した第1ベース塗膜と第2ベース塗膜との膜厚の比率が1.5:1〜6:1の範囲内にある、
ことを特徴とする複層塗膜の形成方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、光輝性顔料の配向性が向上し、優れた光輝性を有する複層塗膜を形成せしめることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明によれば、第1ベース塗膜形成工程、第2ベース塗膜形成工程、プレヒート工程、クリア塗膜形成工程、及び焼付工程を含む、被塗装物上に形成された中塗り塗膜、中塗り塗膜上に形成された第1ベース塗膜、第1ベース塗膜上に形成された第2ベース塗膜及び第2ベース塗膜上に形成されたクリア塗膜の少なくとも4層の塗膜からなる複層塗膜の形成方法が提供される。
また、本発明の方法は、中塗り塗膜形成工程を実施する前に、電着塗膜形成工程をさらに含んでいてもよい。この場合、本発明の方法により形成される複層塗膜は、被塗装物上に形成された電着塗膜、電着塗膜上に形成された中塗り塗膜、中塗り塗膜上に形成された第1ベース塗膜、第1ベース塗膜上に形成された第2ベース塗膜、及び第2ベース塗膜上に形成されたクリア塗膜の少なくと5層を含む。
本明細書において、「被塗装物」は、本発明の方法によってその表面に複層塗膜の形成が予定される物を意味し、「塗装物」は、本発明の方法によって形成される複層塗膜を被塗装物の表面に備える物を意味する。
本発明の方法において使用される被塗装物の構成材料としては、金属もしくはそれを含有する合金、又はプラスチックを挙げることができる。本発明の方法に従い被塗装物上に形成される複層塗膜が電着塗膜をさらに含む場合、被塗装物の構成材料としては、導電性の金属もしくはそれを含有する合金、又は予め導電処理が施されたプラスチックが好ましい。一例として、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属又はそれらを含有する合金が挙げられる。また、本発明の複層塗膜の形成方法によって得られる塗装物の用途としては、例えば、乗用車、トラック、オートバイ等の自動車車体及び部品が挙げられ、該塗装物の形状としては、上記のような用途に使用するための形状が好ましい。それ故、本発明において特に好ましい被塗装物としては、上記の如き金属もしくはそれを含む合金からなる、自動車車体及び/又は部品を製造するための板ならびに成型物が挙げられる。上記のような材料及び形状からなる被塗装物に本発明の方法を適用することにより、優れた光輝性を有する複層塗膜を備えた塗装物を製造することができる。
以下、各工程についてさらに詳細に説明する。
電着塗膜形成工程
本工程は、被塗装物上に、熱硬化性の電着塗料を塗装して電着塗膜を形成させる工程である。
本明細書において、「電着塗料」は、上記のような被塗装物の表面に塗装されることにより、塗装物の錆、腐食を防止するとともに、塗装物表面の耐衝撃性を強化するために使用される塗料である。
本工程において使用される電着塗料は、当該分野で慣用されている熱硬化性の水性塗料であることが好ましく、カチオン型電着塗料又はアニオン型電着塗料のいずれも使用することができる。かかる電着塗料は、基体樹脂及び硬化剤と、水及び/又は親水性有機溶剤からなる水性媒体とを含有する水性塗料であることが好ましい。
耐錆性の観点から、基体樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を、そして硬化剤としては、例えば、ブロック化ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂等を使用することが好ましい。ここで、親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等を挙げることができる。上記の好適な構成からなる電着塗料を塗装することにより、耐錆性及び耐衝撃性の高い電着塗膜を得ることができる。
本明細書において、「電着塗膜」は、上記の如き電着塗料を被塗装物上に塗装することにより形成される塗膜を意味する。
本工程において、電着塗料を被塗装物上に塗装する手段は、当該分野で慣用されている電着塗装方法を採用することができる。この塗装方法により、予め成形処理が施された被塗装物においても、その表面のほぼ全体にわたって耐錆性の高い塗膜を形成させることができる。
本工程において形成される電着塗膜は、続いて形成される中塗り塗膜との間における混層の発生を防止し、結果として得られる複層塗膜の塗装外観を向上させるために、熱硬化性の電着塗料を塗装した後、未硬化の該塗膜を焼付処理して加熱硬化させることが好ましい。
一般に190℃を超える温度で焼付処理を行うと、塗膜が固くなりすぎて脆くなり、逆に110℃未満の温度で焼付処理を行うと、上記の成分の反応が不十分となり、いずれも好ましくない。それ故、本工程において、未硬化の電着塗膜の焼付処理の温度は一般に110〜190℃、特に120〜180℃の範囲内であることが好ましい。また、焼付処理の時間は通常10〜60分間であることが好ましい。上記の条件下で焼付処理を行うことにより、硬化した乾燥状態の電着塗膜を得ることができる。
また、上記の条件下で焼付処理した後の、硬化した電着塗膜の乾燥膜厚は通常5〜40μm、特に10〜30μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書において、「乾燥膜厚」は、熱硬化性の塗料を塗装して未硬化の塗膜を形成させた後、該未硬化の塗膜を焼付処理して形成される硬化した乾燥状態の塗膜の厚さを意味する。乾燥膜厚は、例えば、JIS K 5600−1−7(1999)にしたがって測定することができる。
上記に従い電着塗膜を形成させることにより、塗装物の耐錆性及び耐衝撃性を向上させることができる。
中塗り塗膜形成工程
本工程は、被塗装物上又は上記の如くして形成される電着塗膜上に、熱硬化性の中塗り塗料を塗装して、中塗り塗膜を形成させる工程である。
本明細書において、「中塗り塗料」は、塗膜の表面平滑性を確保し、且つ耐衝撃性及び耐チッピング性(小石などの障害物の衝突によって生じる塗膜の損傷に対する耐性)等の塗膜物性を強化するために使用される塗料である。
本工程において使用される熱硬化性の中塗り塗料は、当該分野で慣用されている熱硬化性の水性塗料であって、基体樹脂及び硬化剤と、水及び/又は親水性有機溶剤からなる水性媒体とを含有する水性塗料であることが好ましい。
上記の基体樹脂及び硬化剤としては、当該分野で慣用されている公知の化合物を使用することができ、基体樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を、そして硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等を使用することができる。
また、本発明の方法に使用される中塗り塗料は、上記の成分に加えて、所望により、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤、顔料等を適宜含有してもよい。
上記のごとき構成からなる中塗り塗料を塗装することにより、塗装物の表面平滑性、耐衝撃性及び耐チッピング性を向上させることができる。
本明細書において、「中塗り塗膜」は、上記の中塗り塗料を被塗装物又は電着塗膜の上に塗装して形成される塗膜を意味する。
中塗り塗料の塗装方法としては、当該分野で慣用されている通常の塗装方法を採用することができる。かかる塗装方法としては、例えば、刷毛又は塗装機を用いる塗装方法を挙げることができる。中でも塗装機を用いる塗装方法が好ましい。該塗装機としては、例えば、エアレススプレー塗装機、エアスプレー塗装機、塗料カセット式のような回転霧化式静電塗装機が好ましく、回転霧化式静電塗装機が特に好ましい。上記の塗料及び塗装方法を使用することにより、良好な塗装外観を有する中塗り塗膜を得ることができる。
本工程で形成される中塗り塗膜は、未硬化で且つ水性媒体を含有する状態であってもよく、また、未硬化で且つ塗料中に含有される水性媒体を揮散させた状態であってもよく、或いは続いて実施される第1ベース塗膜形成工程の前に、予め上記で説明した如き焼付処理を実施することにより、塗膜を硬化させ、且つ塗料中に含有される水性媒体を揮散させた乾燥状態であってもよい。後述する第1ベース塗膜形成工程によって形成される第1ベース塗膜との混層の発生を防止し、第1ベース塗膜に含有される光輝性顔料の配向性を向上させるという観点から、中塗り塗膜は、予め焼付処理によって硬化させた乾燥状態の塗膜であることが好ましい。かかる場合、未硬化の中塗り塗膜の焼付処理の温度は通常110〜180℃、特に120〜160℃の範囲内であることが好ましい。また、焼付処理の時間は10〜60分間であることが好ましい。上記の条件で焼付処理を行うことにより、高い反応度の中塗り塗膜を得ることができる。
また、上記の条件で焼付処理した後の硬化した乾燥状態の中塗り塗膜の膜厚は一般に10〜50μm、特に15〜40μmの範囲内であることが好ましい。
上記の如き構成からなる中塗り塗膜を形成させることにより、塗装物の塗装外観を向上させるとともに、耐衝撃性及び耐チッピング性を向上させることができる。
第1ベース塗膜形成工程
本工程は、中塗り塗膜上に、光輝性顔料を含有する熱硬化性の第1水性ベース塗料を塗装して未硬化の第1ベース塗膜を形成させる工程である。
本明細書において、「第1水性ベース塗料」は、光輝性顔料を含有する水性塗料であって、光輝性を付与するために使用される塗料である。
上記熱硬化性の第1水性ベース塗料としては、基体樹脂、硬化剤及び光輝性顔料と、水及び/又は親水性有機溶剤からなる水性媒体とを含有する水性塗料を好適に使用することができる。
上記基体樹脂及び硬化剤としては、当該分野で慣用されている公知の化合物を使用することができ、基体樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を、そして硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。
上記光輝性顔料は、塗膜に光輝感又は光干渉性を付与することを目的として使用される顔料であって、例えば、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、マイカ(雲母)、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、雲母状酸化鉄、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆アルミナ、酸化鉄被覆シリカ、酸化鉄被覆アルミナ等を挙げることができる。中でもアルミニウムフレーク顔料又は着色アルミニウムフレーク顔料が好適である。
熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される光輝性顔料は、鱗片状又は薄板状の形状であることが好ましい。上記の形状である場合、光輝性顔料は一般に5〜20μm、特に8〜15μmの範囲内の平均粒径を有することが好ましい。また、光輝性顔料は一般に0.05〜0.40μm、特に0.05〜0.30μmの範囲内の平均厚さを有することが好ましい。上記の形状の光輝性顔料を含有する熱硬化性の第1水性ベース塗料を使用することにより、光輝性顔料による光の反射強度が向上し、光輝性に優れた塗膜を形成せしめることができる。
なお、本明細書において、光輝性顔料の平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定される体積基準粒度分布のメジアン径(d50)を意味し、例えば、マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3300, 日機装社製)等を用いることにより測定することができる。また、本明細書において、光輝性顔料の平均厚さは、形成された塗膜の、塗膜表面に対して垂直方向の断面を電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡写真上に無作為にひいた直線上にある当該光輝性顔料20個の厚さを平均した値である。
本発明の方法において使用される熱硬化性の第1水性ベース塗料は、上記の光輝性顔料をそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。光輝性顔料濃度が第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分100質量部に対して5質量部未満の場合、光輝性顔料による金属光沢感の付与等の効果を十分に発揮することができず、下地隠蔽性も低下することから好ましくない。また、光輝性顔料濃度が60質量部を超えると、塗料の物性が低下して塗装時の作業性を損なわれるだけでなく、塗膜の表面平滑性が損なわれることから好ましくない。それ故、熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される光輝性顔料の含有量は、第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分100質量部に対して、一般に5〜60質量部、12〜40質量部の範囲内にあることが好ましい。
なお、熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分の質量は後記の方法により算出することができ、光輝性顔料の含有量(質量)は、未硬化の第1水性ベース塗料に含有される光輝性顔料の質量に基づいて決定することができる。
上記の濃度で光輝性顔料を含有する第1水性ベース塗料を使用することにより、光輝性及び平滑性に優れた塗膜を形成せしめることができる。
前記水性媒体としては、水及び/又は少なくとも1種類の親水性有機溶剤からなる媒体を使用することができ、該親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等を使用することができる。
また、本工程で使用される熱硬化性の第1水性ベース塗料は、16〜45質量%の範囲内の塗料固形分濃度を有し、そして塗料固形分濃度50質量%において10〜20°の範囲内の第2水性ベース塗料の接触角を有することができる。
熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度は、第1水性ベース塗料の全質量に対する塗料固形分の質量の割合によって表される。本明細書において、「塗料固形分」は、塗料を110℃で1時間乾燥させた後に残存する、塗料に含有される基体樹脂、硬化剤、光輝性顔料等の不揮発性成分を意味する。それ故、熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度は、アルミ箔カップ等の耐熱容器に未硬化の第1水性ベース塗料を量り取り、容器底面にわたって展延した後、110℃で1時間乾燥させ、乾燥後に残存する塗料成分の質量を秤量して、乾燥前の塗料の全質量に対する乾燥後に残存する塗料成分の質量の割合を求めることにより算出することができる。
熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度が45質量%を超える場合、光輝性顔料の配向が低下し、形成される複層塗膜の光輝性が低下することから好ましくない。他方、熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度が16質量%未満である場合、結果として得られる第1ベース塗膜の下地隠蔽性が低下するだけでなく、塗膜の強度が低下することから好ましくない。それ故、熱硬化性の第1水性ベース塗料は、16〜45質量%の範囲内の塗料固形分濃度を有し、特に20〜40質量%の範囲内の塗料固形分濃度を有することが好ましい。
上記の組成及び濃度で塗料固形分を含有する熱硬化性の第1水性ベース塗料を使用することにより、高い光輝性を有する複層塗膜を得ることができる。
また、前記熱硬化性の第1水性ベース塗料の塗料固形分濃度50質量%における第2水性ベース塗料の接触角は、該熱硬化性の第1水性ベース塗料を塗装して、ウエット塗膜を形成せしめた後、予備加熱(プレヒート)、エアブローなどを行なうことにより、該ウエット塗膜の塗料固形分濃度を50質量%に調整し、次いで、該塗膜上に第2水性ベース塗料を10mg滴下し、滴下から30秒後の該第2水性ベース塗料の接触角を測定することによって得ることができる。
熱硬化性の第1水性ベース塗料の塗料固形分濃度50質量%における第2水性ベース塗料の接触角が10°未満である場合及び20°を越える場合には、光輝性顔料の配向が低下し、形成される複層塗膜の光輝性が低下することから好ましくない。それ故、熱硬化性の第1水性ベース塗料は、塗料固形分濃度50質量%において、10〜20°の範囲内の第2水性ベース塗料の接触角を有することが好ましい。
上記予備加熱は、通常、上記熱硬化性の第1水性ベース塗料が塗装された被塗物を乾燥炉内で約40〜約100℃の温度で30秒間〜20分間程度加熱することにより行うことができ、また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に常温又は約25℃〜約80℃の温度に加熱された空気を30秒間〜15分間程度吹き付けることにより行うことができる。
前記熱硬化性の第1水性ベース塗料の、塗料固形分濃度50質量%における第2水性ベース塗料の接触角を10〜20°の範囲内に調整する方法としては、形成される複層塗膜の光輝性及び耐水性の観点から、該熱硬化性の第1水性ベース塗料に、HLBが11〜19、特に12〜15の範囲内にある非イオン性界面活性剤(A)を含有せしめる方法が好ましい。
なお、上記HLBは、質量分率に基づくグリフィン式:
HLB=20×(MH/M)
式中、MHは非イオン性界面活性剤(A)中の親水部分の分子量を示し、Mは非イオ
ン性界面活性剤(A)の分子量を示す、
によって算出される値である。
HLBが11〜19の範囲内にある非イオン性界面活性剤(A)としては、例えば、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、オレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱硬化性の第1水性ベース塗料が、HLBが11〜19の範囲内にある非イオン性界面活性剤(A)を含有する場合、非イオン性界面活性剤(A)の配合量は、第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分100質量部を基準として、一般に1〜10質量部、特に2〜5質量部の範囲内にあることが好ましい。
本発明の方法において、第1水性ベース塗料として、塗料固形分濃度50質量%における第2水性ベース塗料の接触角が10〜20°の範囲内になる水性塗料を使用する場合に、光輝性に優れた複層塗膜が形成される理由としては、第1ベース塗膜が、塗料固形分濃度が50質量%と比較的高く、溶媒である水の量が比較的少ない状態においても、20°以下の比較的低い第2水性ベース塗料の接触角を維持するため、上記第1水性ベース塗料を塗装して得られる未硬化の第1ベース塗膜上に、後述する第2水性ベース塗料が比較的均一に濡れ広がることが推察される。また、一方で10°以上の第2水性ベース塗料の接触角を有することにより、第1ベース塗膜と第2ベース塗膜が過度に混層しないため、光輝性顔料の配向の乱れが生じにくいことが推察される。
また、本発明の方法に使用される熱硬化性の第1水性ベース塗料は、上記の成分に加えて、所望により、着色顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有してもよい。
上記着色顔料は、塗膜に所望の色彩を付与するための顔料であって、例えば、酸化チタン等の白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック等の黒色顔料;ペリレンマルーン、赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、キナクリドン
系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレッド、ジオキサジンバイオレッド等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルー等の青色顔料;フタロシアニングリーン等の緑色顔料等を挙げることができる。
本発明の方法に使用される熱硬化性の第1水性ベース塗料は、上記の着色顔料をそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。熱硬化性の第1水性ベース塗料に含有される着色顔料の濃度は、第1水性ベース塗料に含有される塗料固形分100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、特に0.1〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
本明細書において、「第1ベース塗膜」は、上記の第1水性ベース塗料を中塗り塗膜の上に塗装して形成される塗膜を意味する。
熱硬化性の第1水性ベース塗料を塗装する方法としては、当該分野で慣用されている通常の塗装方法を採用することができる。かかる塗装方法としては、例えば、刷毛又は塗装機を用いる塗装方法を挙げることができる。なかでも、塗装機を用いる塗装方法が好ましい。また、塗装機としては、エアレススプレー塗装機、エアスプレー塗装機、塗料カセット式のような回転霧化式静電塗装機が好ましい。なかでも、回転霧化式静電塗装機が特に好ましい。
上記の塗料及び塗装方法を使用することにより、光輝性に優れた複層塗膜を形成することができる。
本発明の方法では、以下で説明する焼付工程において、未硬化の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を同時に焼付処理することにより、各塗膜を加熱硬化させて、硬化した乾燥状態の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を含む複層塗膜を形成させる。それ故、本工程においては焼付処理は行なわれない。本工程で形成される第1ベース塗膜は、未硬化で且つ水性媒体を含有する状態で、続いて実施される第2ベース塗膜形成工程に供される。
本発明に従えば、上記のごとき構成からなる第1ベース塗膜を形成させることにより、光輝性顔料の配向性を向上させることができる。
第2ベース塗膜形成工程
本工程は、未硬化の第1ベース塗膜上に、光輝性顔料を含有する熱硬化性の第2水性ベース塗料を塗装して未硬化の第2ベース塗膜を形成させる工程である。
本明細書において、「第2水性ベース塗料」は、光輝性顔料を含有する水性塗料であって、光輝性を付与するために使用される塗料である。
上記熱硬化性の第2水性ベース塗料としては、基体樹脂、硬化剤及び光輝性顔料と、水及び/又は親水性有機溶剤からなる水性媒体とを含有する水性塗料を好適に使用することができる。
上記基体樹脂及び硬化剤としては、当該分野で慣用されている公知の化合物を使用することができ、基体樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタ
ン樹脂等を、そして硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物等を使用することができる。
前記光輝性顔料は、塗膜に光輝感又は光干渉性を付与することを目的として使用される顔料であって、例えば、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、マイカ(雲母)、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、雲母状酸化鉄、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆アルミナ、酸化鉄被覆シリカ、酸化鉄被覆アルミナ等を挙げることができる。中でもアルミニウムフレーク顔料又は着色アルミニウムフレーク顔料が好ましい。
前記水性媒体としては、水及び/又は少なくとも1種類の親水性有機溶剤からなる媒体を使用することができ、該親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等を挙げることができる。
また、本発明の方法に使用される熱硬化性の第2水性ベース塗料は、上記の成分に加えて、所望により、着色顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有してもよい。
熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度は、第2水性ベース塗料の全質量に対する塗料固形分の質量の割合によって表される。
熱硬化性の第2水性ベース塗料中の塗料固形分濃度が低い場合、水性媒体の含有量が高くなるため、プレヒート工程における水性媒体の揮散に伴い、未硬化の塗膜は膜厚方向に向かって顕著に収縮する。その結果として、焼付工程において形成される硬化した乾燥状態の塗膜の膜厚は薄くなる。未硬化の塗膜が膜厚方向に向かって収縮すると、膜厚方向すなわち下層の塗膜表面方向に向かって、未硬化塗膜に含有される光輝性顔料等の塗料成分を配向させる力が作用する。このように、水性媒体の揮散に伴う未硬化塗膜の収縮によって生じる収縮力が、未硬化の第2ベース塗膜に含有される光輝性顔料に対して作用する配向の駆動力となる。熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度が15質量%を超える場合、上記の収縮力が低下し、光輝性顔料の配向が低下することから好ましくない。他方、熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度が5質量%未満であると、結果として得られる第2ベース塗膜の下地隠蔽性が低下するだけでなく、塗膜の強度が低下することから好ましくない。それ故、熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分濃度は、5〜15質量%の範囲内にあり、特に8〜12質量%の範囲内にあることが好ましい。
上記の組成及び濃度で塗料固形分を含有する熱硬化性の第2水性ベース塗料を使用することにより、光輝性に優れた第2ベース塗膜を得ることができる。
なお、熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分の質量は前記と同様の方法により算出することができる。
本発明の方法に使用される熱硬化性の第2水性ベース塗料は、前記の光輝性顔料をそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。光輝性顔料濃度が第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分100質量部に対して10質量部未満の場合、光輝性顔料による金属光沢感の付与等の効果を十分に発揮することができず、下地隠蔽性も低下することから好ましくない。また、光輝性顔料濃度が60質量部を超えると、塗料の物性が低下して塗装時の作業性が損なわれるだけでなく、塗膜の表面平滑性も損なわれることから好ましくない。それ故、熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される光輝性顔料濃
度は、第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分100質量部に対して、10〜60質量部の範囲内にあり、特に15〜40質量部の範囲内にあることが好ましい。
なお、熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分の質量は前記の方法により算出することができ、光輝性顔料の質量は、未硬化の第2水性ベース塗料に含有される光輝性顔料の質量に基づいて決定することができる。
また、本発明の方法に使用される熱硬化性の第2水性ベース塗料は、前記着色顔料をそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。熱硬化性の第2水性ベース塗料に含有される着色顔料の濃度は、第2水性ベース塗料に含有される塗料固形分100質量部に対して、一般に0〜20質量部、特に0.1〜5質量部の範囲内にあることが好ましい。
本明細書において、「第2ベース塗膜」は、上記の第2水性ベース塗料を第1ベース塗膜の上に塗装して形成される塗膜を意味する。
熱硬化性の第2水性ベース塗料を塗装する方法としては、前記で説明した第1水性ベース塗料を塗装する方法と同様の方法を採用することができる。特に回転霧化式静電塗装機を用いる塗装方法が好ましい。
上記の塗料及び塗装方法を使用することにより、光輝性に優れた複層塗膜を形成せしめることができる。
本発明の方法では、以下で説明する焼付工程において、未硬化の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を同時に焼付処理することにより、各塗膜を加熱硬化させて、硬化した乾燥状態の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を含む複層塗膜が形成せしめられる。それ故、本工程においては焼付処理は行なわれない。
本工程で形成される第2ベース塗膜は、未硬化で且つ水性媒体を含有する状態で、続いて実施されるプレヒート工程又は焼付工程に供される。
本発明に従えば、上記の如き構成からなる第2ベース塗膜を形成せしめることにより、形成される複層塗膜の光輝性を向上させることができる。
プレヒート工程
本工程は、未硬化で且つ水性媒体を含有する第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜をプレヒート処理して、これらの塗膜に含有される水性媒体を短時間で揮散させ、未硬化で且つ乾燥状態の第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜を形成させる工程である。
本明細書において、「プレヒート処理」は、塗膜が表面に形成された被塗装物を、塗膜に含有される基体樹脂及び硬化剤が反応・硬化しないか又は実質的に反応・硬化しない時間及び温度条件下で加熱することにより、該塗膜に含有される水性媒体及び/又は他の揮発性物質を、最終的に得られる複層塗膜の品質に実質的に影響を与えない含有量まで揮散させる処理を意味する。また、本明細書において、「乾燥状態」は、塗膜に含有される水性媒体が、最終的に得られる複層塗膜の品質に実質的に影響を与えない含有量まで揮散した状態を意味する。
本発明の方法においては、熱硬化性の第1ベース塗料及び第2ベース塗料が未硬化の状態で順次塗装(ウェット・オン・ウェット塗装)される。それ故、焼付処理によって塗膜を硬化させる前にプレヒート処理を行うことにより、第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜
から水性媒体を短時間で揮散させて、未硬化で且つ乾燥状態の第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜(プレヒート処理された第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜)を形成させることができる。
未硬化の第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜をプレヒート処理すると、前記で説明したように、水性媒体の揮散に伴い未硬化の塗膜は膜厚方向に向かつて顕著に収縮する。これにより、プレヒート処理された第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜は、焼付工程において形成される硬化した乾燥状態の塗膜の膜厚と実質的に等しい膜厚にまで収縮する。
プレヒート処理を行う前の第2ベース塗膜は、未硬化で且つ水性媒体を含有しているため、該塗膜中の光輝性顔料は比較的自由に配向しうる。ここでプレヒート処理を行うと、塗膜の収縮によって生じる収縮力が光輝性顔料に対して作用する配向の駆動力となり、各々の光輝性顔料が被塗装物の塗装面に対して平行又は実質的にほぼ平行に整列するように配向される。光輝性顔料が鱗片状又は薄板状の形状を有する場合、上記のように光輝性顔料自体が整列する際に、各々の表面(反射面)も塗装面に対して平行又は実質的にほぼ平行に整列するように配向される。塗装物の表面における光の反射は、第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜に含有される各光輝性顔料の反射面における光の反射の和として観測される。このため、光輝性顔料の配向性が向上することにより、塗装物の表面方向からの入射光の反射強度が向上する。
本工程において、プレヒート処理の温度は通常60〜100℃、特に65〜90℃の範囲内であることが好ましい。また、プレヒート処理の時間は通常1〜10分間であることが好ましい。
上記の条件下でプレヒート処理を行うことにより、第2ベース塗膜中の光輝性顔料の配向性を向上させ、結果として複層塗膜を備える塗装物の表面における光輝性を向上させることができる。
クリア塗膜形成工程
本工程は、前記プレヒート処理された未硬化の第2ベース塗膜上に熱硬化性のクリア塗料を塗装して、未硬化のクリア塗膜を形成させる工程である。
本明細書において、「クリア塗料」は、第1及び第2ベース塗膜を保護するために使用される透明な塗料である。
本工程において使用される熱硬化性のクリア塗料は、当該分野で慣用されている熱硬化性の塗料であって、基体樹脂及び硬化剤と、水性媒体又は有機溶剤からなる媒体とを含有する塗料であることが好ましい。ここで上記の基体樹脂及び硬化剤としては、当該分野で慣用されている公知の化合物を使用することができ、基体樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂等を、そして硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物等を使用することができる。水性媒体としては、水及び/又は少なくとも1種類の親水性有機溶剤からなる媒体を使用することができ、該親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等を挙げることができる。
また、本発明の方法に使用される熱硬化性のクリア塗料は、上記の成分に加えて、所望により、上記で説明した着色顔料及び光輝性顔料の他、体質顔料、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有してもよい。
上記の如き構成からなる熱硬化性のクリア塗料を塗装することにより、第1及び第2ベース塗膜の保護に十分な乾燥膜厚を有し、且つ表面平滑性に優れたクリア塗膜を得ることができる。
本明細書において、「クリア塗膜」は、上記のクリア塗料をプレヒート処理された第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜の上に塗装して形成される塗膜を意味する。
クリア塗料を塗装する方法としては、前記で説明した第1水性ベース塗料を塗装する方法と同様の方法を採用することができる。回転霧化式静電塗装機を用いる塗装方法が特に好ましい。
上記の塗料及び塗装方法を使用することにより、タレなどの好ましくない不具合を生じることなく、良好な塗装外観を有するクリア塗膜を得ることができる。
本発明の方法では、以下で説明する焼付工程において、未硬化の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜、及びクリア塗膜を同時に焼付処理することにより、これらの塗膜を加熱硬化させて、硬化した乾燥状態の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を含む複層塗膜を形成させる。
本工程で形成されるクリア塗膜は、未硬化の状態で、続いて実施される焼付工程に供される。
焼付工程
本工程は、以上で説明した未硬化の第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を同時に焼付処理して、硬化した第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を含む複層塗膜を形成させる工程である。
本工程において、焼付処理の温度は通常100〜180℃、特に110〜160℃の範囲内であることが好ましい。また、焼付処理の時間は通常10〜60分間であることが好ましい。
本工程において形成される硬化した乾燥状態の第1ベース塗膜の膜厚が5μm未満である場合、塗膜の強度が低下することから好ましくない。また、前記塗膜の乾燥膜厚が15μmを超えると、光輝性顔料の配向性が低下することから好ましくない。それ故、本工程において形成される硬化した乾燥状態の第1ベース塗膜の膜厚は一般に5〜15μm、特に7〜13μmの範囲内であることがより好ましい。
本発明の方法が適用される塗装物が自動車車体及び/又は部品を製造するための板ならびに成型物である場合、被塗装物上に形成される硬化した乾燥状態の第1ベース塗膜と第2ベース塗膜との合計膜厚は、通常20μm未満であることが好ましい。
また、本工程において形成される硬化した乾燥状態の第1ベース塗膜と第2ベース塗膜との膜厚の比率は1.5:1〜6:1の範囲内にあり、特に1.5:1〜4:1の範囲内となるように、第2ベース塗膜を形成させることが好ましい。より具体的には、本工程において形成される硬化した乾燥状態の第2ベース塗膜の膜厚が2μm未満である場合、塗膜の単位面積当たりに含有される光輝性顔料の量が少なくなり、反射強度が低下することから好ましくない。また、前記塗膜の乾燥膜厚が8μmを超えると、光輝性顔料の配向性が低下することから好ましくない。それ故、本工程において形成される硬化した乾燥状態の第2ベース塗膜の膜厚は、2〜8μmの範囲内であり、特に3〜6μmの範囲内にあることが好ましい。
本工程において形成される硬化した乾燥状態のクリア塗膜の膜厚が15μm未満である場合、表面平滑性が低下することから好ましくない。また、前記塗膜の乾燥膜厚が60μmを超えると、クリア塗料の塗装時に、タレが生じ、表面平滑性が低下することから好ましくない。それ故、本工程において形成される硬化した乾燥状態のクリア塗膜の膜厚は一般に15〜60μm、特に25〜45μmの範囲内にあることが好ましい。
上記の条件下で焼付処理を行うことにより、優れた光輝性を有する複層塗膜を備える塗装物を製造することができる。
複層塗膜を備える塗装物
以上に説明した本発明の複層塗膜の形成方法を、種々の被塗装物、好ましくは金属又はそれを含む合金からなる自動車車体及び/又は部品を製造するための板又は成型物に適用することにより、従来技術による複層塗膜と比較して、優れた光輝性を有する複層塗膜を備える塗装物を得ることができる。
かくして、本発明に従えば、以上の方法で形成される複層塗膜を備える塗装物が提供される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水130部及び「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5% 2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した)、塗料固形分濃度30%のアクリル樹脂エマルション(AC)を得た。得られたアクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
モノマー乳化物(1):
脱イオン水42部、「アクアロンKH−10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):
脱イオン水18部、「アクアロンKH−10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
製造例2
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、1−オクタノールで希釈し、塗料固形分濃度70%のポリエステル樹脂溶液(PE)を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であった。
製造例3
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部、エチレングリコールモノブチルエーテル10部、1−オクタノール25部、リン酸基含有樹脂溶液(注1)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(P1)を得た。
(注1)リン酸基含有樹脂溶液:
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、メトキシプロパノール27.5部及びイソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱した。次いで、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注2)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部及びt−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌しながら熟成して塗料固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。リン酸基含有樹脂の酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注2)リン酸基含有重合性モノマー:
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部及びイソブタノール41部を入れ、90℃に昇温した後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した。その後、さらに1時間攪拌しながら熟成した後、イソプロパノ−ル59部を加えて、塗料固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーの酸価は285mgKOH/gであった。
製造例4
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)38部、エチレングリコールモノブチルエーテル20部、1−オクタノール50部、リン酸基含有樹脂溶液(注1)16部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.4部を均一に混合して、光輝性顔料分散液(P2)を得た。
第1水性ベース塗料の製造
製造例5
製造例1で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例2で得たポリエステル樹脂溶液(PE)57部、製造例3で得た光輝性顔料分散液(P1)62部、「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、塗料固形分80%)37.5部及び「ノイゲンTDX−100D」(商品名、第一工業製薬社製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、HLB13.5、塗
料固形分90%)1.7部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えて、pH8.0、塗料固形分濃度30%、20℃におけるフォード且つプNo.4による粘度40秒、塗料固形分濃度50%における第2水性ベース塗料の接触角18°の第1水性ベース塗料(BC1−1)を得た。なお、上記塗料固形分濃度50質量%における第2水性ベース塗料の接触角は、ブリキ板上に、上記第1水性ベース塗料(BC1−1)を、膜厚12μmになるように塗装し、80℃でプレヒートすることにより、塗料固形分濃度を50%に調整した後、23℃、65%RHの雰囲気下で、界面化学社製のCA−X型接触角計を用いて、後記の製造例12で得た第2水性ベース塗料(BC2−1)10mgの液滴を該塗膜上に滴下し、滴下から30秒後の該第2水性ベース塗料(BC2−1)の接触角を測定することによって得られた値である。
製造例6〜11
下記表1に示す配合に従って、製造例5と同様の方法により、pH8.0、塗料固形分濃度30%、20℃におけるフォード且つプNo.4による粘度が40秒の第1水性ベース塗料(BC1−2)〜(BC1−7)を得た。また、該第1水性ベース塗料(BC1−2)〜(BC1−7)の塗料固形分濃度50質量%における第2水性ベース塗料の接触角を下記表1にあわせて示す。
Figure 0005508305
(注3)「ノイゲンTDX−80D」(商品名、第一工業製薬社製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、HLB13.1、塗料固形分90%)。(注4)「ノイゲンTDX−120D」(商品名、第一工業製薬社製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、HLB14.3、塗料固形分90%)。
(注5)「ノイゲンTDX−50」(商品名、第一工業製薬社製、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、HLB9.0、塗料固形分100%)。
第2水性ベース塗料の製造
製造例12
製造例1で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例2で得たポリエス
テル樹脂溶液(PE)57部、製造例4で得た光輝性顔料分散液(P2)124部及び「サイメル325」37.5部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えて、pH8.0、塗料固形分濃度9%、20℃におけるフォード且つプNo.4による粘度40秒の第2水性ベース塗料(BC2−1)を得た。
試験用被塗物の作製
30cm×45cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。
塗膜形成方法
実施例1
上記試験用被塗物に、中塗り塗料組成物(商品名「TP−65−2」、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させた。次いで、上記中塗り塗膜上に、製造例5で得た第1水性ベース塗料(BC1−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、膜厚12μmとなるように静電塗装し、第1ベース塗膜を形成した。1分間放置後、該第1ベース塗膜上に、製造例12で得た第2水性ベース塗料(BC2−1)を、膜厚3μmとなるように静電塗装し、第2ベース塗膜を形成した。2分間放置後、80℃で3分間プレヒートした後、該第2ベース塗膜上にクリア塗料(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント社製、アクリル樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を膜厚40μmとなるように塗装し、クリア塗膜を形成した。7分間放置後、140℃で30分間加熱して、上記第1ベース塗膜、第2ベース塗膜及びクリア塗膜を同時に硬化させることにより、試験板を作製した。
実施例2〜4、比較例1〜3
実施例1において、第1水性ベース塗料(BC1−1)を下記表2に示す第1水性ベース塗料(BC1−2)〜(BC1−7)のいずれかに変更する以外は、実施例1と同様にして試験板を作製した。
評価試験
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表2に示す。
(試験方法)
メタリックムラ:
各試験板を肉眼で観察し、メタリックムラの発生程度を下記基準で評価した。
◎:メタリックムラがほとんど認められず、極めて優れた塗膜外観を有する、
○:メタリックムラがわずかに認められるが、優れた塗膜外観を有する、
△:メタリックムラが認められ、塗膜外観がやや劣る、
×:メタリックムラが多く認められ、塗膜外観が劣る。
Figure 0005508305

Claims (3)

  1. 被塗装物上に形成された中塗り塗膜、中塗り塗膜上に形成された第1ベース塗膜、第1ベース塗膜上に形成された第2ベース塗膜及び第2ベース塗膜上に形成されたクリア塗膜を含んでなる複層塗膜の形成方法であって、
    (a) 中塗り塗膜上に、光輝性顔料を含有する熱硬化性の第1水性ベース塗料を塗装して未硬化の第1ベース塗膜を形成させる第1ベース塗膜形成工程;
    (b) 未硬化の第1ベース塗膜上に、光輝性顔料を含有する熱硬化性の第2水性ベース塗料を塗装して未硬化の第2ベース塗膜を形成させる第2ベース塗膜形成工程;
    (c) 未硬化の第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜をプレヒート処理して、未硬化で且つ乾燥状態の第1ベース塗膜及び第2ベーズ塗膜を形成するプレヒート工程;
    (d) プレヒート処理された第2ベース塗膜上に、熱硬化性のクリア塗料を塗装して未硬化のクリア塗膜を形成させるクリア塗膜形成工程;
    (e) プレヒート処理された第1ベース塗膜及び第2ベース塗膜ならびに未硬化のクリア塗膜からなる複層塗膜を加熱硬化させて、硬化した複層塗膜を形成させる焼付工程
    を含み、
    (i) 第1水性ベース塗料が、塗料固形分濃度50質量%において10〜20°の範囲内の第2水性ベース塗料の接触角、及び16〜45質量%の範囲内の塗料固形分濃度を有し、
    (ii) 第2水性ベース塗料が、5〜15質量%の範囲内の塗料固形分濃度を有し、且つ第2水性ベース塗料の塗料固形分100質量部に対して10〜60質量部の範囲内の光輝性顔料を含有し、
    (iii) 硬化した第2ベース塗膜の膜厚が2〜8μmの範囲内であり、
    (iv) 硬化した第1ベース塗膜と第2ベース塗膜との膜厚の比率が1.5:1〜6:1の範囲内にある、
    ことを特徴とする複層塗膜の形成方法。
  2. 第1水性ベース塗料が、HLBが11〜19の範囲内である非イオン性界面活性剤を、第1水性ベース塗料の塗料固形分100質量部に対して1〜10質量部の範囲内で含有する請求項1に記載の複層塗膜の形成方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で形成される複層塗膜を備える塗装物。
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