JP5507787B2 - 金属組成物を含有する水性組成物、および、該水性組成物からなる消臭剤、抗菌剤および防カビ剤 - Google Patents
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Description
80℃に加熱した20%硫酸水溶液5kgに細かく砕いた土壌3kgを添加して撹拌し、容器内を窒素充填して24時間静置した。沈殿画分をろ過により除去して土壌の酸抽出液を得て、これを水で希釈して土壌由来の金属組成物(#1)を得た。同様の操作を繰り返して金属組成物(#2)を得た。
四塩化チタンTiCl419g(5.78mL)を、イソプロピルアルコール25mLとイオン交換水25mLとの混合溶液中に滴下し、5分間室温で撹拌して得た透明溶液の一部をエバポレーターで50℃にて濃縮してシロップ状濃縮液を得た。この濃縮液にイオン交換水を添加希釈してエバポレーターで濃縮する操作を3回繰り返して塩酸を除去した。得られた濃縮液をイオン交換水で希釈して凍結乾燥し、白色粉末を得た。本品のチタン(Ti)とリン(P)含有量をICP発光光度分析法で測定し、炭素(C)、水素(H)および窒素(N)の含有量を、全自動元素分析装置を用いる元素分析で測定し、塩素(Cl)の含有量を蛍光X線分析法で測定した。その結果、チタン含有量は27.3〜27.0%、水素含有量は3.6%、塩素含有量が30%であり、リン、炭素および窒素は検出されなかった。残りの元素が酸素(O)とすると酸素(O)が39.1〜39.4%となる。この元素含有比率の結果は、4水酸化チタン1.5塩酸塩0.5水和物の元素含有比率の理論値(チタン27.1%、塩素30.0%、水素3.6%、酸素39.3%)と完全に一致することから、チタンに4残基のヒドロキシル基が結合し、かつ1〜2分子の塩酸塩が付加した四水酸化チタン塩酸塩であると結論した。
製造例1で製造した金属組成物(#1)1重量部にイオン交換水9重量部を添加撹拌して均一な水性組成物原液を得た。この水性組成物原液に等容量のイオン交換水を添加して水性組成物を得た。
実施例1で製造した水性組成物原液に等容量の製造例2で製造した四水酸化チタン塩酸塩100mgをイオン交換水500mLに溶解した溶液を添加した金属組成物の水性組成物(以下、「チタン配合水性組成物1」と称す。)を得た。
製造例1で製造した金属組成物(#2)に製造例2で製造した四水酸化チタン塩酸塩を最終チタン濃度2mg/Lで添加したチタン配合組成物を調製した。このチタン配合組成物1重量部にイオン交換水49重量部を添加撹拌して均一な水性組成物(以下、「チタン配合水性組成物2」と称す。)を得た。
(試料布の作製)
実施例1および実施例2で調製した水性組成物およびチタン配合水性組成物1のそれぞれに、試験布(綿100%)を1時間以上含浸させた。ついで、吊り下げて、室温で一夜以上自然乾燥させて得た含浸布を試料布として用いて消臭(消臭活性1)、抗菌および防カビ(防カビ効果1)の活性を評価した。実施例3で調製したチタン配合水性組成物2について、同様の方法で作製した含浸布を試料布として用いて抗菌および防カビ(防カビ効果2)の活性を評価した。
磁器タイル((株)INAX製、SP型、100mm角平、5mm厚)表面をアルコールで拭き乾燥させた後に、エアーコンプレッサー((株)マキタ製品AC700型)およびエアー圧0.5〜0.7MPa、ノズル径0.5mmのスプレーガン((株)近畿製作所製)を用いて、製造例3で調製したチタン配合水性組成物2の約2mLを噴霧して乾燥(以下、「噴霧加工」という)させたタイルを試料タイルとして用いて消臭(消臭活性2)の活性を評価した。試験試料として磁器タイルを用いた場合には、シックハウスなどの原因物質であるホルムアルデヒドの試験試料への吸着が、試験試料として布を用いた場合に比べて抑制されるので、本発明の水性組成物のホルムアルデヒド消臭活性効果をより良い条件で評価することができる。
試料布および5Lテドラーバッグを用いる検知管法で試験した。水性組成物またはチタン配合水性組成物1を含浸させた含浸布から切り出した試料布(縦5cm×横5cm)を入れたテドラーバッグに、アンモニアガスを100ppmの濃度で注入し、24時間後のバッグ中のアンモニア濃度を測定し、アンモニア濃度の減少度を指標として消臭活性を評価した。イオン交換水を含浸させて作製した対照試験布を用いる試験にて、アンモニアの試料布への吸着および自然減少によるアンモニア濃度低下の比較対照とした。
試料タイルおよび5Lテドラーバッグを用いる検知管法で試験した。製造例3で調製したチタン配合水性組成物2で噴霧加工した磁器タイルをテドラーバックに入れ、臭気成分(アンモニア、硫化水素、酢酸、アセトアルデヒドまたはホルムアルデヒド)を図1〜5記載の所定の初期濃度で注入し、2時間後および24時間後のバック中の臭気成分の濃度を検知管法で測定した。同時に試験試料を入れない試験(以下、「空試験」と記す)における臭気成分の自然減少度を測定し、これとの比較により消臭効果を評価した。
日本工業規格(JIS)L1902(繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果)にしたがって抗菌活性を評価した。試験菌として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC 6538P、および、大腸菌(Escherichia coli)NBRC 3301を用いた。前記含浸布から切り出した試料布および無加工標準綿布のそれぞれ0.4g(縦18mm×横18mm)をバイアル瓶に入れ、バイアル瓶をアルミニウム箔で包みオートクレーブ滅菌した後、クリーンベンチ内で乾燥させた。乾燥後、滅菌キャップでバイアル瓶を密栓した。この滅菌した試料布または無加工標準綿布が入ったバイアル瓶中に1/20濃度のニュートリエント培地で調製した試験菌懸濁液0.2mLを接種し、37±1℃で培養した。18時間培養後、バイアル瓶に菌の洗い出し液を加えて菌を振盪分散させ、洗い出し液中の生菌数を混釈平板培養法で測定した。
日本工業規格(JIS)Z2911に準じてカビ抵抗性を試験した。試験菌としてアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)ATCC 6275、および、ペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)ATCC 9849を用いた。試料布(縦50mm×横50mm)をオートクレーブ滅菌して乾燥させ、この試料布に試験菌の混合胞子懸濁液を噴霧し、28℃で培養し、試料布上のカビの生育状況を4日目、7日目、10日目および14日間に観察し、カビの生育状況を指標として防カビ効果を評価した。
日本工業規格(JIS)L1902に準じてカビ抵抗性を試験した。試験菌としてアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)ATCC 6275を用いた。試料布(縦18mm×横18mm)をオートクレーブ滅菌した後、クリーンベンチ内で乾燥させ、滅菌キャップで密栓した。この試料布に試験菌の胞子懸濁液を接種し、27±1℃で18時間培養した。培養後、バイアル瓶に洗い出し液を添加して菌を洗い出し、洗い出し液中の生菌数を27±1℃で3日間培養して生菌数を計測した。
(消臭活性1の評価結果)
臭気成分であるアンモニアガスは試料布に吸着してテドラーバッグ中のアンモニア濃度を低下させる傾向があるため、対照試験布を用いた試験により試料布に吸着したアンモニア量および自然減少したアンモニア量を消去して残存するテドラーバッグ中のアンモニア濃度を基準にすることにより、本発明の水性組成物の分解反応による消臭活性を評価した。
実施例3で得られたチタン配合水性組成物2で噴霧加工した磁器タイルを用いたアンモニア、硫化水素、酢酸、アセトアルデヒドまたはホルムアルデヒドに対する消臭活性2の結果を表2に示し、そのプロットを本発明の効果の明確化のために図1〜5に示す。図1〜図5において、○は空試験における濃度変化を示し、●はチタン配合水性組成物2(実施例3)で噴霧加工した磁器タイル存在下での濃度変化を示す。
無加工標準綿布に大腸菌を2.2×104個植菌して18時間培養した場合、4.7×107個に増殖し、黄色ブドウ球菌を1.6×104個植菌して18時間培養した場合、1.0×107個に増殖した。この試験条件において、水性組成物(実施例1)およびチタン配合水性組成物1(実施例2)を含浸させた試料布に同条件で試験菌を植種して18時間培養した場合の生菌数は、いずれも20個以下であり、本抗菌試験系における最強の抗菌活性を示した。また、無加工標準綿布に大腸菌を1.7×104個植菌した場合、18時間培養後には3.4×107個に増殖し、黄色ブドウ球菌を1.5×104個植菌した場合は、18時間培養後には7.6×106個に増殖した。この試験条件において、チタン配合水性組成物2(実施例3)を含浸させた試料布に同条件で試験菌を植菌して18時間培養した場合の生菌数は、いずれも20個以下であり、大腸菌および黄色ブドウ球菌はほぼ完全に殺菌された。
アスペルギルス ニガーとペニシリウム シトリナムの混合胞子懸濁液を噴霧して28℃で培養した場合の無加工標準綿布では、培養4日目から評価(4+)の著しいカビの生育が認められ、7日目〜14日目には評価(5+)の極めて著しい生育が認められ、14日目のカビの生育面積は、無加工標準綿布面積の1/3以上に達した。この試験条件において、水性組成物(実施例1)を含浸させた試料布では、培養4日目のカビの生育は強く抑制され、評価(1+)の軽度の生育が認められる程度であった。その後、7日目〜14日目には評価(4+)のカビの生育が認められ、14日目のカビの生育面積は試験布面積の1/3以上に達した。また、チタン配合水性組成物1(実施例2)を含浸させた試料布では、培養4日目のカビの生育は完全に抑制され、7日目は評価(1+)の軽度の生育が認められる程度であり、10日目で評価(2+)、14日目で評価(3+)のカビの生育が認められ、14日目のカビの生育面積は試料布面積の1/3以下であった。
無加工標準綿布にアスペルギルス ニガー胞子(6.6×104個)懸濁液を噴霧して27±1℃で18時間培養した場合の生菌数は2.7×104個であった。この試験条件において、チタン配合水性組成物2(実施例3)を含浸させた試料布の培養後の生菌数は5.2×103個であり、本発明のチタン配合水性組成物2の存在によりアスペルギルス ニガー(黒麹カビ)の増殖が強く(約1/5)抑制された。
Claims (3)
- 鉄、アルミニウム、カリウムおよびチタンを含む金属組成物を含有する水性組成物からなる消臭剤であって、
鉄の含有量が16〜40ppm、
アルミニウムの含有量が40〜50ppm、
カリウムの含有量が0.20〜0.45ppm、
チタンの含有量が0.1〜27.2ppmであって、
銀イオンを含まず、
対象物に固着させて使用するための消臭剤。 - 鉄、アルミニウム、カリウムおよびチタンを含む金属組成物を含有する水性組成物からなる抗菌剤であって、
鉄の含有量が16〜40ppm、
アルミニウムの含有量が40〜50ppm、
カリウムの含有量が0.20〜0.45ppm、
チタンの含有量が0.1〜27.2ppmであって、
銀イオンを含まず、
対象物に固着させて使用するための抗菌剤。 - 鉄、アルミニウム、カリウムおよびチタンを含む金属組成物を含有する水性組成物からなる防カビ剤であって、
鉄の含有量が16〜40ppm、
アルミニウムの含有量が40〜50ppm、
カリウムの含有量が0.20〜0.45ppm、
チタンの含有量が0.1〜27.2ppmであって、
銀イオンを含まず、
対象物に固着させて使用するための防カビ剤。
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