JP4153584B2 - 抗菌剤とその製造方法及び抗菌処理方法 - Google Patents

抗菌剤とその製造方法及び抗菌処理方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住居、病院、公共施設、工業製品、工業廃棄物等の殺菌、消臭、防黴等の処理に用いる抗菌剤、及びその製造方法、並びに抗菌剤を用いた抗菌処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、MRSA等の病院内感染や公共施設における病原性大腸菌O−157等の感染が大きな社会問題となっており、その防止対策が強く望まれている。また、マンション等の気密性の高い住居が増加したため、特に浴室のような湿度の高い場所における防黴の要望も高くなっている。
【0003】
従来、病院内感染防止のための殺菌や住居内での殺菌には、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤や、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩等が用いられることが多かった。
【0004】
特に、塩素系殺菌剤は、真菌類や、結核菌を除く細菌類に対して殺菌効果があり、ウイルスも不活性化できる等スペクトルが広いという特性があること、即効性があること、耐性菌が発生しないこと、殺菌だけではなく臭気成分を同時に酸化分解できること、分解後は安全な食塩あるいは尿素などになること等、優れた性質を有しており、最も一般的に使用されている殺菌剤である。
【0005】
しかし、塩素系殺菌剤は、残効性がなく、処理後新たに外部から微生物が飛来した場合には、その増殖を抑制することができないという欠点があり、頻繁に処理を繰り返して行わなければならなかった。また、第4級アンモニウム塩については、塩素系殺菌剤と類似の殺菌特性は有するものの、臭気成分を分解できず、日常一般的に使用する陰イオン界面活性剤と反応し、失効してしまうため、塩素系殺菌剤に比べて用途が限定されるという問題点があった。
【0006】
一方、長期間効果が持続する抗菌剤としては、亜鉛、銀、銅などの重金属のイオンが一般的に使用されている。重金属イオンは、広い殺菌スペクトルを示し、特に細菌類に対して殺菌効果が高いこと、長期間抗菌効果が持続すること、耐性菌が発生しにくいこと等の特性がある。重金属イオンの種類としては、安全性の点で特に銀イオンが優れており、近年広く使用されている。
【0007】
しかしながら、銀イオンは、処理直後の殺菌力及び消臭力に関しては、塩素系殺菌剤などの酸化剤に比べると不十分であり、且つ防黴性能を発現させるためには、細菌に対するよりも高濃度の銀イオンを必要とする。更に、処理対象物中に硫化物が共存する場合は、銀イオンが水に不要な硫化物に変化するため、それ以降は抗菌効果が著しく低下するという問題点もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、発明者らは即効性を有する酸化剤と残効性のある銀イオンとを組み合わせることにより、広い殺菌スペクトルを示し、耐性菌が発生しにくく、安全性が高く、且つ殺菌に対しても消臭に対しても即効性と残効性とを示し、硫化物に対しても抵抗が高い抗菌剤を開発することを検討した。
【0009】
酸化剤と組み合わせる場合、銀イオンは水溶液の状態で存在することが望ましい。このように銀イオンを溶液の状態に保つ方法としては、銀をチオ硫酸の錯塩又はチオシアン酸の錯塩とする方法、あるいはアミノ酸銀とする方法などが広く知られている。しかしながら、チオ硫酸、チオシアン酸、アミノ酸は酸化剤の酸化力により分解され、有効成分である銀イオンが沈澱してしまうため、銀のチオ硫酸錯塩、銀のチオシアン錯塩、アミノ酸銀を酸化剤と混合することはできなかった。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、酸化剤と銀イオンを共存させ、広い殺菌スペクトルを示し、耐性菌が発生しにくく、安全性が高く、硫化物に対して抵抗が高く、且つ殺菌に対しても消臭に対しても即効性と残効性とを兼ね備えた抗菌剤及びその製造方法を提供する、並びにその抗菌剤での処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明が提供する抗菌剤は、塩化物水溶液中に、0.05mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として含み、且つ酸化剤を含有することを特徴とする。
【0012】
この抗菌剤においては、前記水溶液中に2.5mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として含むこと、前記水溶液中の塩化物イオンの含有量が0.02モル/リットル以上であること、前記酸化剤が次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の抗菌剤の製造方法は、塩化物水溶液と銀化合物又は銀メタルとを混合し、該水溶液中に0.05mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として溶解させ、更に酸化剤を溶解させることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明による抗菌処理方法は、銀イオンのクロロ錯塩と酸化剤とを含む塩化物水溶液を使用し、あるいは銀イオンのクロロ錯塩を含む塩化物水溶液及び酸化剤を使用して、対象物を処理することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、酸化剤と共存させるために、銀イオンをクロロ錯塩の形態にして安定化させている。銀イオンのクロロ錯塩は、高濃度の塩素イオンを存在させることによって安定化する。塩素イオンを供給する化合物としては、塩化物であれば特に限定されることはないが、例えば酸化剤としてアルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムと共存させる場合には、アルカリ性でも水酸化物を形成して沈澱を生じることのない塩化物、具体的には塩化ナトリウム、塩化カリウム等が特に望ましい。
【0016】
銀イオンのクロロ錯塩は、チオシアン酸錯塩やチオ硫酸錯塩あるいはアミノ酸銀とは異なり、次亜塩素酸ナトリウムによって酸化分解されることはない。しかも、銀のクロロ錯塩は塩素イオンによって安定化されているため、塩素系酸化剤の使用時においても、混在する塩素イオンにより塩化銀を生成して沈澱を生じることがない。
【0017】
また、一般に銀イオンは、硫黄又は硫化物の存在下では硫化銀に変化して、抗菌活性を失うことが知られている。しかし本発明では、銀イオンに酸化剤を共存させることにより、硫黄あるいは硫化物を酸化することができるため、硫化銀の生成を防ぐことができる。従って、本発明の抗菌剤は、従来の銀系抗菌剤を適用することができなかった硫黄又は硫化物の存在している場所での抗菌処理にも用いることができる。
【0018】
本発明で使用する酸化剤としては、特に限定されるものではないが、価格が安価であるということ、無色であるということ、水溶液状態で数カ月程度は十分安定であること、特に即効性が優れているという点で、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩が適している。次亜塩素酸塩はより即効性が期待される一方、亜塩素酸塩はpHが中性付近のため、混合可能な金属イオンの種類を広く選択することが可能であり、次亜鉛素酸塩よりも分解に対して安定であるという特徴がある。
【0019】
尚、酸化剤の多くは自己分解して含量が低下する性質を有するが、銀のクロロ錯塩は酸化剤の分解を促進することがないので、銀のクロロ錯塩を共存させることで酸化剤の安定性が損なわれることはない。
【0020】
上記した本発明の抗菌剤の抗菌作用は、塩化物水溶液中に0.05mg/リットル以上の銀イオンを含むことで発揮される。しかし、酸化剤の共存下であっても、硫化物形態の硫黄を含む有機物が存在する場合には、若干の銀が硫化銀となって消費されるため、2.5mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として含むことが望ましい。即ち、2.5mg/リットル未満の銀イオン濃度の場合には、抗菌作用がやや乏しいので、硫化物形態の硫黄を含まない対象物の抗菌に使用することが望ましい。
【0021】
また、上記水溶液中の塩化物濃度は、必要とする銀イオン濃度に応じて適宜定めることができる。例えば、0.003モル/リットル以上の塩化物イオン濃度があれば、銀をクロロ錯イオンとして溶解することができるが、銀イオン濃度を硫化物存在下でも有効な2.5mg/リットル以上とするためには、塩化物イオン濃度を0.02モル/リットル以上とすることが好ましい。また、水溶液中の酸化剤の濃度は、任意濃度で使用可能であるが、処理対象物が硫黄や硫化物などを多く含む場合には必要に応じて高濃度にするなど、適宜勘案して使用することが望まれる。
【0022】
上記のごとく本発明の抗菌剤は、酸化剤と銀イオンのクロロ錯塩、及びクロロ錯塩を安定化するための塩化物を主成分とするが、その他の添加物として、界面活性剤、芳香剤、色素等を含むことができる。
【0023】
かかる本発明の抗菌剤を製造する方法としては、所定濃度の塩化物水溶液と銀化合物又は銀メタルとを混合して、その塩化物水溶液中に0.05mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として溶解させる。更に、この銀をクロロ錯塩として含む塩化物水溶液に、酸化剤を所定濃度で溶解させることにより抗菌剤を得ることができる。
【0024】
また、本発明による抗菌処理方法では、本発明の抗菌剤である銀イオンのクロロ錯塩と酸化剤とを含む塩化物水溶液を使用して対象物を処理するが、銀イオンのクロロ錯塩を含む塩化物水溶液と酸化剤とを使用して処理してもよい。本発明の抗菌剤を用いる場合、原液で処理することもできるが、原液で処理した後に水で洗浄する方法、あるいは原液を水で希釈した後に処理する方法もある。
【0025】
原液で処理した場合には、酸化剤が即効性を、銀イオンのクロロ錯塩が残効性を示す。原液で処理した後に水で洗浄する方法では、洗浄時に塩素イオン濃度が低下し、銀イオンのクロロ錯塩が難溶性の塩化銀に変化して処理対象物の表面に固定化される。この方法で生成した塩化銀は非常な微粒子であり、分散し且つ広い表面積を持っているため強い抗菌活性を長期間示し、通常は塩化銀が生成した場合に見られる黒化も生じない。更に、水で希釈した後に処理する方法では、希釈時に銀イオンのクロロ錯塩が塩化銀に変化し、原液処理後に水洗した場合と同様に、酸化剤による即効性と微小な塩化銀による残効性を示す。
【0026】
尚、本発明では、酸化剤と銀のクロロ錯塩の水溶液を対象としているが、固体のクロロ錯塩と固体酸化剤の混合物についても同様の効果が期待できる。
【0027】
【実施例】
実施例1
[抗菌剤溶液の安定性]
塩化ナトリウムを35重量%、銀のクロロ錯塩を銀イオンの量として500ppm含む水溶液(溶液A)と、約137g/lの有効塩素を含む次亜塩素酸ナトリウム水溶液(溶液B)とを、容量比で1:1で混合して抗菌剤溶液(溶液C)を得た。
【0028】
これらの各溶液A、B、Cを30℃の条件で50日間保管し、有効塩素量の変化、溶液の状態の変化を調査し、その結果を表1に示した。その結果、銀クロロ錯塩の存在下でも有効塩素の減少が促進されることはなく、保存性が低下することはないことが明らかとなった。また、次亜塩素酸ナトリウムと混合することにより、銀クロロ錯塩が不安定化して沈澱を生じることがないことも明らかになった。
【0029】
【表1】
Figure 0004153584
【0030】
実施例2
[黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果]
上記実施例1の抗菌剤溶液(溶液C)を用いて、黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果を評価した。また、対照として、次亜塩素酸ナトリウム溶液(溶液B)を用いて、同様の評価を行った。評価方法は以下の通りである。
【0031】
床材(リノリウム)を10×10cmに切断し、中性洗剤を含む水の中で1時間の煮沸を4回繰り返し、可塑剤等を除去した。これらの床材に、200倍に希釈した溶液Bと、100倍に希釈したCを、それぞれ霧吹きで約1ml/枚の割合で噴霧した。噴霧回数は、毎日、1日おき、2日おき、6日に一度の4通りとした。また、各床材には、黄色ブドウ球菌102CFU/mlを約1ml/枚づつ毎日噴霧して接種した。溶液Cで処理する区については、溶液処理後、床材表面が乾燥した後に接種を行った。試験開始7日目にYP培地を床材上に噴霧し、30℃、100%R.H.のもとで、2日間培養した。
【0032】
得られた結果を下記表2に示した。表中の○は、処理溶液の噴霧を実施した日を示す。表2から分かるように、次亜塩素酸ナトリウムのみを含む溶液Bでは、黄色ブドウ球菌に対する残効性が認められなかったが、同量の有効塩素を含むようにに希釈した溶液Cでは、2日間の残効性が認められた。
【0033】
【表2】
Figure 0004153584
【0034】
実施例3
[成育速度の比較]
塩化カルシウム35gと塩化銀0.05gを水100mlに溶解して、銀のクロロ錯塩溶液(溶液a)を調整した。更に、この溶液aの7容量に対して、3容量相当の4.3%亜塩素酸ナトリウム溶液を添加して、抗菌剤溶液(溶液b)を調整した。
【0035】
次に、Trypto−Soya Broth“Nissui”(TSB)培地(日水製薬社製)をpH7.2に調整後、121℃にて15分間滅菌し、2分割した。この各TBS培地に、上記溶液a又は溶液bを0.1%(Ag濃度換算で溶液aが0.5mg/l及び溶液bが0.35mg/l)になるように、それぞれ添加した。
【0036】
上記の溶液a又は溶液bを添加した各TBS培地に、前培養した大腸菌の菌液(菌種:Escherichia coli MC1061)を100倍に希釈して20μlずつ接種し、37℃で28時間培養した。その間、分光光度計(Shimadzu SP−20A)を用いて660nmにおける吸光度を60分ごとに測定し、図1の生育曲線を得た。尚、対照には菌株未接種の培地を使用し、上記と同様に培養処理した。
【0037】
TBS培地はペプトン、大豆ペプトンなど硫黄を硫化物の形で含む蛋白質が存在する培地であるが、図1から分かるように、対照では6時間で菌の増殖が始まるのに対し、溶液aを添加した場合は8時間後まで、及び溶液bを添加した場合は19時間後まで菌の増殖が抑えられた。
【0038】
実施例4
[最小成育阻止濃度]
上記実施例3の溶液a又は溶液bを用いて、実施例3と同じ大腸菌(E. coli)に対する最小生育阻止濃度を調べた。即ち、Nutrient Broth(NB)培地(DIFCO製)をpH7.2に調整後、121℃で15分間加熱滅菌した。これらの培地に溶液a又は溶液bを加え、各培地中の溶液濃度が下記表1に示す濃度になるようにした。
【0039】
その後、各培地に、前培養した菌液(菌種:E.coli MC1061)を100倍に希釈して20μlずつ接種し、37℃で24時間培養した。培養後の培地の吸光度を実施例1と同様に測定し、吸光度0.05以上の場合を「+」(成育有り)とし、それ以下を「−」(成育無し)として、下記表3に示した。
【0040】
【表3】
Figure 0004153584
【0041】
表3から分かるように、代表的なグラム陰性細菌E. coliに対しては、溶液aが濃度0.8%(Ag濃度4.0mg/l)以上で抗菌力を示すのに対し、更に酸化剤の亜塩素酸塩を含む溶液bでは濃度0.5%(Ag濃度2.5mg/l)で抗菌力を示した。この結果から、銀イオンと共に酸化剤を含む溶液bは、硫黄を含む培地であっても、溶液aよりも低濃度で抗菌作用があることが分かる。
【0042】
次に、上記のE. coliに代えて、代表的なグラム陽性菌であるブドウ球菌Staphylococcus aureus IF03183を用いて、上記と同様の試験を行い、同様に吸光度を測定して結果を下記表4に示した。下記表4の結果より、代表的なグラム陽性細菌S. aureusに対する抗菌力は、溶液aが濃度1.0%(Ag濃度5.0mg/l)以上なのに対して、溶液bでは濃度0.5%(Ag濃度2.5mg/l)であり、溶液bが低濃度で抗菌力を示すことが分かる。
【0043】
【表4】
Figure 0004153584
【0044】
上記と同様の試験を、前記の大腸菌E. coli MC1061及びブドウ球菌S. aureus IFO3183(共に培地を変更)、その他の細菌、酵母、糸状菌(黴類)について実施して、溶液bの最小生育阻止濃度(MIC)をまとめた。尚、この試験において使用した培地は、大腸菌E. coli MC1061ではデゾキシコレート培地、ブドウ球菌S. aureus IFO3183ではMSA培地、その他の細菌についてはNB培地、酵母はSABOURAUD培地、糸状菌ではPDA培地とした。また、培養期間は、25℃において細菌は1日、酵母は3日、糸状菌は7日間とした。
【0045】
その結果、大腸菌E. coli MC1061とブドウ球菌S. aureus IFO3183は、前記NB培地を用いた場合と同じ結果のMIC0.5%であった。その他の細菌では、Pseudomonas fluorescens IAM12022がMIC0.5%、Bacillus subtilis 3013 がMIC0.3%、Streptcoccus lactis 12546がMIC0.4%であった。酵母では、Pnichia membranaefaciens IAM4911及びDebaryomyces hasenii IAM12209が共にMIC0.3%であった。また、糸状菌(黴類)では、Aspergillus oryzae IFO4296及びPenicillium citrinum IFOが共にMIC0.5%であった。
【0046】
このように、本発明の抗菌剤である溶液bは、細菌よりも生育の抑制が困難である酵母及び黴類であっても、細菌の場合と同程度の濃度(Ag濃度で1.5〜2.5mg/l程度)で、その生育を抑える効果が認められた。
【0047】
実施例5
[消臭試験]
上記実施例3の溶液bを用いて、瞬間消臭試験を実施した。まず、豆腐製造過程で副生する大豆の絞り粕「おから」を2枚のシャーレに100gずつ広げ、その内の一枚には約1gの溶液bを表面に均一に散布し、残りの一枚は無処理(溶液添加無し)とし、20℃で開放状態で放置した。
【0048】
その結果、無処理のサンプルは3時間で明らかに臭気が感じられ、徐々に褐色に変化したが、溶液bを噴霧したサンプルは4週間を経ても無臭であり、着色も認められなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、酸化剤と銀イオンを共存させた塩化物水溶液からなり、殺菌及び消臭に対して即効性と残効性とを兼ね備え、広い殺菌スペクトルを示し、耐性菌が発生しにくく安全性が高いうえ、硫化物が共存する媒体中や環境でも十分な安定性を保持し、且つ価格的にも実用的であって、消臭作用及び抗菌防黴作用に優れた抗菌剤、及びその製造方法、並びにこの抗菌剤を用いる抗菌処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3での硫化物を含む培地での大腸菌の生育試験において、培養時間と細菌の繁殖(吸光度で表示)との関係を示したグラフである。

Claims (6)

  1. 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムから選ばれた少なくとも1種の塩化物の水溶液中に、0.05mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として含み、且つ酸化剤の次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムを含有することを特徴とする抗菌剤。
  2. 前記水溶液中に2.5mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗菌剤。
  3. 前記水溶液中の塩化物イオンの含有量が0.02モル/リットル以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌剤。
  4. 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムから選ばれた少なくとも1種の塩化物の水溶液と銀化合物又は銀メタルとを混合し、該水溶液中に0.05mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として溶解させ、更に酸化剤の次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムを溶解させることを特徴とする抗菌剤の製造方法。
  5. 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムから選ばれた少なくとも1種の塩化物の水溶液中に、0 . 05mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として含み、且つ酸化剤の次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムを含有する抗菌剤を使用して、対象物を処理することを特徴とする抗菌処理方法
  6. 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムから選ばれた少なくとも1種の塩化物の水溶液中に0 . 05mg/リットル以上の銀イオンをクロロ錯塩として含む水溶液と、酸化剤の次亜塩素酸ナトリウム又は亜塩素酸ナトリウムとを使用して、対象物を処理することを特徴とする抗菌処理方法。
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