以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係るカプセル型内視鏡システムの構成例を示す概略斜視図であり、図2は、姿勢変移機構の構成例を示す概略斜視図である。本実施の形態1に係るカプセル型内視鏡システムは、被検体101の体腔内に導入されて撮像した被検体内画像の画像データを受信装置102に対して無線送信するカプセル型内視鏡103と、カプセル型内視鏡103から無線送信された画像データを受信する受信装置102と、カプセル型内視鏡103が導入された被検体101を例えば仰向け状態で載置する載置手段としてのベッド104と、このベッド104に設けられてベッド104に載置された被検体101の重力方向に対する姿勢を変移させるようにベッド104の姿勢を前後方向および左右方向に傾倒変移させる姿勢変移手段としての姿勢変移機構105と、を備える。
カプセル型内視鏡103は、内部に照明手段、撮像手段、通信手段、電源等の各種の構成部材が収納されて被検体101の口腔から飲み込み可能な大きさのものであるが、その内部構成については、本実施の形態1に直接関連しない事項であり、従来から既知のものを使用すればよく、その詳細および説明は省略する。ただし、本実施の形態1のカプセル型内視鏡103は、カプセル軸方向の両側に照明手段および撮像手段を備えて、両方向の撮像が可能な複眼型カプセル型内視鏡が用いられている。
ここで、本実施の形態1は、被検体101内で比較的広い空間のある臓器である例えば胃111を観察対象部位とするものであり、カプセル型内視鏡103は口腔から胃111内に導入された飲料水などの液体112に浮遊して胃111内を撮像観察するように構成されている。例えば、カプセル型内視鏡103は、液体112に対する比重、重心位置の設定等により、液体112表面上に常に水平状態となって浮遊することで、複眼型による2方向の観察方向が重力方向に対して常に水平方向となる所定の姿勢を維持するように構成されている。
また、受信装置102は、被検体101の体外表面に貼付されるループアンテナ等の受信アンテナ121を備えており、カプセル型内視鏡103から無線送信された画像データ等を、受信アンテナ121を介して受信する。
ベッド104は、被検体101を仰向け状態で載置するに十分な大きさを有し、ベッド104の姿勢が傾倒変移されても載置された被検体101の載置位置がずれないように被検体101を固定するための固定ベルト141を備えている。
姿勢変移機構105は、まず、ベッド104の四隅下側にそれぞれ配設されて長さが伸縮自在な4本の脚151A〜151Dを備える。各151A〜151Dは、同一構造、例えば図2に示すような3段階伸縮構造からなり、伸縮時の長さを測定するための目盛によるマーカ152A1〜152D1,152A2〜152D2が付されているとともに、現在のマーカ152A1〜152D1,152A2〜152D2の位置を検出するためのフォトセンサ153A1〜153D1,153A2〜153D2を備えている。また、姿勢変移機構105は、これら脚151A〜151Dの長さが伸びる方向に駆動させる油圧制御装置154A1〜154D1と、これら脚151A〜151Dの長さが縮む方向に駆動させる油圧制御装置154A2〜154D2と、これら脚151A〜151Dと油圧制御装置154A1〜154D1,154A2〜154D2との間を連結する油圧伝達パイプ155A〜155Dと、を備える。これにより、油圧制御装置154A2〜154D2を加圧駆動させることで脚151A〜151Dは縮む方向に変移し、油圧制御装置154A1〜154D1を減圧駆動させることで脚151A〜151Dは伸びる方向に変移する。そして、これら脚151A〜151Dの長さをそれぞれ独立して伸縮制御することで、ベッド104の姿勢は、前後方向および左右方向に傾倒変移可能となる。
図3は、姿勢変移機構105に対する制御系の構成例を示す概略ブロック図である。本実施の形態1のカプセル型内視鏡システムは、姿勢変移機構105に対する制御系として、予め設定されたカプセル型内視鏡103による被検体101内での観察方向に応じて予め決定された姿勢変移機構105の変移姿勢毎の変移パラメータを記憶した記憶手段としてのEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)106と、EEPROM106に記憶された変移パラメータを用いて姿勢変移機構105の変移動作を制御する制御手段としてのCPU107とを備える。
図4は、EEPROM106中の姿勢記憶部161に記憶された変移パラメータ例を示す説明図である。本実施の形態1では、変移パラメータとして、姿勢番号nで特定される変移姿勢毎の各脚151A〜151Dの変移量を示す長さ情報を含む他、変移姿勢毎にその変移姿勢を維持するための維持時間も記憶されている。また、1〜NなるN個の姿勢番号nは、変移姿勢毎に予め決定された変移順序を示す変移パラメータの一つとして記憶されている。
例えば、図4に示す例によれば、姿勢番号1で示す最初の変移姿勢は、いずれの脚151A〜151Dも最長の初期長さ50(cm)で、その維持時間は1(分)に設定され、姿勢番号2で示す2番目の変移姿勢は、脚151Aが30(cm)、脚151Bが20(cm)、脚151Cが40(cm)に縮むようにそれぞれの長さが設定され、脚151Dの長さは50(cm)のままとされ、その維持時間は3(分)に設定されている。
図5−1および図5−2は、EEPROM106に格納された変移パラメータに基づいてCPU107により実行される変移駆動機構105の動作制御例を示す概略フローチャートである。液体112およびカプセル内視鏡103を飲み込んだ被検体101がベッド104上に仰向け姿勢で載置された状態で、観察が開始されると、まず、変移順序を示す姿勢番号をn=1にセットする(ステップS100)。次いで、EEPROM106の姿勢記憶部161中から姿勢番号nの変移パラメータを読み込む(ステップS101)。すなわち、姿勢番号nの脚151A〜151Dの長さ情報、および維持時間の情報を読み込む。そして、脚151Aに関する長さデータであれば(ステップS102:Yes)、該長さデータに基づき加圧であるか減圧であるかを決定するとともに変移に必要なマーカ数を計算し(ステップS103)、油圧制御装置154A1又は154A2に対して減圧信号または加圧信号を送信出力する(ステップS104)。そして、フォトセンサ153A1又は153A2からのマーカ検出信号を読み込み(ステップS105)、マーカ152A1又は152A2を検出した場合には(ステップS106:Yes)、マーカカウント数を減圧の場合には−1デクリメントし、加圧の場合には+1インクリメントする(ステップS107)。この処理を予め演算された必要なマーカ数に達するまで繰返す(ステップS108:Yes)ことで、脚151Aの長さが長さデータに一致するように伸縮させる。
また、上記処理と並行して、脚151Bに関する長さデータに関しては(ステップS102:No,ステップS112:Yes)、該長さデータに基づき加圧であるか減圧であるかを決定するとともに変移に必要なマーカ数を計算し(ステップS113)、油圧制御装置154B1又は154B2に対して減圧信号または加圧信号を送信出力する(ステップS114)。そして、フォトセンサ153B1又は153B2からのマーカ検出信号を読み込み(ステップS115)、マーカ152B1又は152B2を検出した場合には(ステップS116:Yes)、マーカカウント数を減圧の場合には−1デクリメントし、加圧の場合には+1インクリメントする(ステップS117)。この処理を予め演算された必要なマーカ数に達するまで繰返す(ステップS118:Yes)ことで、脚151Bの長さが長さデータに一致するように伸縮させる。
また、上記処理と並行して、脚151Cに関する長さデータに関しては(ステップS112:No,ステップS122:Yes)、該長さデータに基づき加圧であるか減圧であるかを決定するとともに変移に必要なマーカ数を計算し(ステップS123)、油圧制御装置154C1又は154C2に対して減圧信号または加圧信号を送信出力する(ステップS124)。そして、フォトセンサ153C1又は153C2からのマーカ検出信号を読み込み(ステップS125)、マーカ152C1又は152C2を検出した場合には(ステップS126:Yes)、マーカカウント数を減圧の場合には−1デクリメントし、加圧の場合には+1インクリメントする(ステップS127)。この処理を予め演算された必要なマーカ数に達するまで繰返す(ステップS128:Yes)ことで、脚151Cの長さが長さデータに一致するように伸縮させる。
さらに、上記処理と並行して、脚151Dに関する長さデータに関しては(ステップS122:No)、該長さデータに基づき加圧であるか減圧であるかを決定するとともに変移に必要なマーカ数を計算し(ステップS133)、油圧制御装置154D1又は154D2に対して減圧信号または加圧信号を送信出力する(ステップS134)。そして、フォトセンサ153D1又は153D2からのマーカ検出信号を読み込み(ステップS135)、マーカ152D1又は152D2を検出した場合には(ステップS136:Yes)、マーカカウント数を減圧の場合には−1デクリメントし、加圧の場合には+1インクリメントする(ステップS137)。この処理を予め演算された必要なマーカ数に達するまで繰返す(ステップS138:Yes)ことで、脚151Dの長さが長さデータに一致するように伸縮させる。
EEPROM106に記憶されている変移パラメータに基づくこのような並行処理により、各脚151A〜151Dの長さの伸縮制御を行ったら、当該姿勢番号nに設定されている維持時間が経過するまで、変移させた姿勢を維持する。変移したベッド104の姿勢に応じてベッド104上に載置された被検体101の重力方向に対する姿勢も変移する。具体的には、胃111内に導入された液体112の表面(水平面)の位置が変移し、液体112表面に浮遊しているカプセル型内視鏡103の観察部位が変移する。維持時間が経過したら(ステップS109:Yes)、姿勢番号nを+1インクリメントし(ステップS110)、最終姿勢番号n=Nに達していなければ(ステップS111:No)、次の姿勢番号nについて上記変移駆動を同様に繰返す。
図6は、上記のような姿勢変移機構105によるベッド104の姿勢変移に伴う被検体101の姿勢を順次変移させた場合のカプセル型内視鏡103による胃111内の観察の様子を模式的に示す説明図である。例えば、姿勢番号1の変移姿勢で図6(a)に示すように観察方向が水平方向のカプセル型内視鏡103が胃111内の観察部位A,A′を1分間撮像観察した後、姿勢変移機構105を動作させて被検体101を図6(b)に示すような姿勢番号2の姿勢に変移させる。図6(b)に示す変移姿勢は、観察方向が水平方向のカプセル型内視鏡103が胃111内の観察部位B,B′を撮像観察する変移姿勢であり、この姿勢で3分間撮像観察を行う。引き続き、姿勢変移機構105を動作させて被検体101を図6(c)に示すような姿勢番号3の姿勢に変移させる。図6(c)に示す変移姿勢は、観察方向が水平方向のカプセル型内視鏡103が胃111内の観察部位C,C′を撮像観察する変移姿勢であり、この姿勢で設定された時間だけ撮像観察を行う。以下、同様に繰返す。これにより、カプセル型内視鏡103の一方の撮像手段は、胃111内の観察部位としてA→B→C→…、カプセル型内視鏡103の他方の撮像手段は、胃111内の観察部位としてA′→B′→C′→…を順に撮像観察することができる。
このように、本実施の形態1のカプセル型内視鏡システムによれば、ベッド104に載置された被検体101の重力方向に対する姿勢を変移させるようベッド104の姿勢を変移させる姿勢変移機構105を備え、予め設定されたカプセル型内視鏡103による被検体101の胃111内での観察方向に応じて予め決定された姿勢変移機構105の変移姿勢毎の変移パラメータをEEPROM106に記憶しておき、予め記憶された変移パラメータを用いて姿勢変移機構105の変移動作をCPU107によって制御するようにしたので、被検体101の姿勢が予め設定された観察部位A,B,C,…、A′,B′,C′,…に向けた観察方向となるようにベッド104の姿勢を変移させることができる。よって、観察部位に対する観察方向を予め設定しそれに応じた姿勢変移機構105の変移姿勢毎の変移パラメータを決定してEEPROM106に記憶させておくだけで、胃111のような広い空間のある臓器内の観察を隈なく行うことができる。
特に、本実施の形態1では、液体112を用い、カプセル型内視鏡103を液体112表面に水平に浮遊させているので、液体112の表面(水平面)がカプセル型内視鏡103の観察方向に一致することとなり、被検体101の変移姿勢の制御を所望の観察部位に対する液体112の表面(水平面)位置の制御として行うことができる。
また、ベッド104の姿勢の変移を姿勢番号に従い予め決定された変移順序で行うので、順不同に行う場合に比べ、変移姿勢間の変移時間を最短にすることができ、胃111内の観察を隈なく行う観察時間を短縮させることができる。また、EEPROM106中に記憶させる変移パラメータ中に変移姿勢毎の維持時間を含んでいるので、観察しにくい部位等にあっては、維持時間を長めに設定することで漏れなく観察できる等、変移姿勢毎に最適な観察時間で観察することができる。
本発明は、上述した実施の形態1に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。例えば、図7に示すように、被検体101の観察対象部位である胃111付近の体表部位において複数の受信アンテナ121a〜121nを貼付しておき、受信装置102は各受信アンテナ121a〜121nを介してカプセル型内視鏡103から画像データを受信した際の各受信アンテナ121a〜121nの受信強度情報も取得して受信装置102に接続された位置情報受信部122で被験者1の姿勢変移によるカプセル型内視鏡103の位置を確認するようにしてもよい。そして、この位置情報受信部122における位置情報を、図8に示すように、CPU107に取り込むことで、EEPROM106に記憶された変移姿勢毎の変移パラメータに基づき姿勢変移機構105の変移量を算出する上で、位置情報受信部122が検出している位置情報を加味することで変移パラメータに微調整を加え、カプセル型内視鏡103の位置をよりターゲット位置に近づけるようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、複眼型のカプセル型内視鏡103が液体112表面に水平状態で浮遊するように重心位置等を設定したが、液体112表面において垂直状態あるいは斜め状態で浮遊するように重心位置を設定してもよい。また、カプセル型内視鏡103による観察も、このような浮遊状態に応じて、気中を観察するものでも、液中を観察するものでも、気中と液中とをそれぞれ観察するものであってもよい。さらには、複眼型のカプセル型内視鏡103に限らず、一端側にのみ撮像手段等を備える単眼型のカプセル型内視鏡であってもよく、その場合の液体112に対する浮遊状態についても同様である。
さらには、本実施の形態1では、ベッド104の姿勢を変移させる姿勢変移機構105は、4本の脚151A〜151Dをベースとする例で説明したが、伸縮自在な4本の脚151A〜151Dを用いる場合に限らず、例えば水平面内でベッド104を回転自在に支持する2軸方向の回転支持機構を組合せたような構成であってもよい。
本実施の形態1では、ベッド(載置台)の傾きを変化させることで、被検体内でのカプセル型内視鏡の姿勢を制御したが、カプセル型内視鏡内に永久磁石を設置し、被検体外に磁界発生装置と磁界発生部が発生する磁界を制御する磁界制御部を備え、磁界発生装置の発生する磁界によって、カプセル型内視鏡に被検体内での位置・姿勢を制御するようにしても良い。
この時、磁界制御部が発生する磁界の強度,方向,分布あるいはそれらを一意に決定する値(磁界発生部の姿勢や位置,磁界発生部が電磁石の場合は電磁石に流す電流値)をパラメータとして予め記憶しておく記憶部を備え、記憶部に備えられたパラメータに従って、磁界制御部が磁界発生部を制御するようにしても良い。これにより、カプセル型内視鏡を予め設定された経路,姿勢で被検体内を移動することができ、胃のような広い空間のある臓器内の観察を隈なく行うことができる。
また、本実施の形態1と同様に載置台の姿勢を予め決められた順序で制御するようにし、記憶部に載置台の姿勢と発生する磁界のパラメータが関連付けて記憶され、載置台の姿勢と発生磁界が記憶部に記憶されたパラメータに従って制御されるようにしても良い。これにより、より確実に広い空間のある臓器内の観察を隈なく行うことができる。
さらに、本実施の形態1では、カプセル型内視鏡が水中で浮遊するように比重が設定されているが、これに限らず、水中に沈んだ状態で所定の姿勢になる様にカプセル型内視鏡の比重と重心位置が設定されるようにしても良い。この場合も、被検体の姿勢が変化しても、重力方向に対するカプセル型内視鏡の姿勢が変化しないので、カプセル型内視鏡の視野を変換することができる。これにより、広い空間のある臓器内の観察を隈なく行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明にかかる被検体内情報取得装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、患者等の被検体を横たわらせるベッド(診察台)と一体化した態様の被検体内情報取得装置を例示して本発明の実施の形態を説明するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置の一構成例を示す外観模式図である。図10は、本発明の実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置の機能構成の一例を示すブロック図である。この実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210は、臓器内部にカプセル型内視鏡を導入した患者等の被検体Knの臓器内部の画像を取得するための装置であり、かかる検査対象の被検体Kn(n=1,2,3,…)を順次横たわらせるベッド201と一体化される。具体的には、図9,10に示すように、この被検体内情報取得装置210は、臓器内部にカプセル型内視鏡が導入された被検体Knを支持するベッド201と、このベッド201の被検体支持部201aに付設された複数の受信アンテナA1〜A12と、を有する。また、被検体内情報取得装置210は、検査対象の被検体Knを特定するための患者番号の入力、および被検体Kn内の画像(すなわち臓器内部の画像)の保存開始および保存終了を操作するための操作部211と、被検体Knの患者番号を表示する表示部212と、複数の受信アンテナA1〜A12を介して被検体Kn内の画像を受信する受信部213と、受信部213に受信された被検体Kn内の画像を保存する記憶部214と、かかる被検体内情報取得装置210の各構成部を制御する制御部215とを有する。
ベッド201は、臓器内部にカプセル型内視鏡が導入された被検体Knを支持するとともに、この支持した被検体Kn内の検査部位の近傍に固定配置した複数の受信アンテナA1〜A12を有する支持部材である。具体的には、ベッド201は、臓器内部にカプセル型内視鏡が導入された複数の被検体K1,K2,…,Knを順次横たわらせるための診断用寝台であり、かかる被検体K1,K2,…,Knを順次支持する被検体支持部201aに複数の受信アンテナA1〜A12を有する。
受信アンテナA1〜A12は、ベッド201の被検体支持部201aに例えば格子状に付設される。具体的には、かかる被検体支持部201aに付設された受信アンテナA1〜A12は、この被検体支持部201aに横たわった状態の被検体K1,K2,…,Knの検査部位(すなわちカプセル型内視鏡が導入される検査対象の臓器)の近傍に固定配置される。この場合、かかる受信アンテナA1〜A12は、この被検体支持部201aに横たわった状態の被検体Knの検査部位内のカプセル型内視鏡近傍に位置する。かかる被検体Kn内の検査部位の近傍に固定配置される受信アンテナは、1以上であればよく、その配置数量は特に12個に限定されない。
なお、かかるカプセル型内視鏡は、カプセル型の筐体内部に撮像機能と無線通信機能とを有する装置である。かかるカプセル型内視鏡は、被検体Knの臓器内部に導入された場合、この臓器内部の画像を順次撮像し、撮像した臓器内部の画像を含む無線信号を外部に順次送信する。
操作部211は、検査対象の被検体Knを特定するための患者番号の入力および被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像の保存開始および保存終了を操作するためのものであり、検査対象の被検体Knを特定するための患者番号を制御部215に対して送信する特定情報入力手段および、かかる臓器内部の画像の保存開始および保存終了を制御部215に対して指示する指示手段として機能する。具体的には、操作部211は、ベッド201に横たわらせるべき検査対象の被検体Knの患者番号を入力するための、テンキー等の特定情報入力部211cと、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内の画像の保存開始を操作するための開始ボタン211aと、この被検体Kn内の画像の保存終了を操作するための終了ボタン211bとを有する。特定情報入力部211cは、検査対象の被検体Knをベッド201に横たわられるときに、患者番号を入力される。操作部211は、この検体Knの患者番号を制御部215に送信する。開始ボタン211aは、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を記憶部214に保存し始める際に押し下げられる。かかる開始ボタン211aが押し下げられた場合、操作部211は、この被検体Knの臓器内部の画像を記憶部214に保存する画像保存処理の開始を指示する開始指示情報を制御部215に入力する。このようにして、操作部211は、この被検体Knの臓器内部の画像の保存開始を制御部215に対して指示する。一方、終了ボタン211bは、この被検体Knの臓器内部の画像を記憶部214に保存し終える際に押し下げられる。かかる終了ボタン211bが押し下げられた場合、操作部211は、この被検体Knに関する画像保存処理の終了を指示する終了指示情報を制御部215に入力する。このようにして、操作部211は、被検体Knの臓器内部の画像の保存終了を制御部215に対して指示する。
表示部212は、被検体Knの患者番号を表示する番号表示画面212aを有する。このような表示部212は、臓器内部に導入したカプセル型内視鏡から臓器内部の画像を取得するためにベッド201に横たわらせる被検体Knの患者番号を番号表示画面212aに表示し、このベッド201に順次横たわらせるn人の被検体K1,K2,・・・,Knのそれぞれに対応して特定情報入力部211cから入力された患者番号を番号表示画面212aに表示する。すなわち、表示部212は、臓器内部に導入したカプセル型内視鏡から臓器内部の画像を取得するためにベッド201に横たわらせるべき検査対象の被検体Knの患者番号を番号表示画面212aに表示する。なお、本実施の形態2では、表示部212は、患者番号ごとに画像の保存終了を知らせる内容を番号表示画面212aに表示する。
かかる番号表示画面212aに表示される患者番号は、例えば、複数の被検体にカプセル型内視鏡をそれぞれ導入して臓器内部の画像群を被検体毎に取得する集団検診を行う場合に検査対象の複数の被検体にそれぞれ付与される番号(例えば患者の順序を示す番号)であり、かかる複数の被検体のそれぞれを特定する特定情報の一例である。このような患者番号を表示する番号表示画面212aは、かかる集団検診を受ける複数の被検体の特定情報、すなわち、ベッド201に横たわらせるべき検査対象の各被検体をそれぞれ特定する特定情報を順次表示する特定情報表示手段として機能する。
受信部213は、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を順次受信する受信手段として機能する。具体的には、受信部213は、ベッド201の被検体支持部201aに付設された複数の受信アンテナA1〜A12とケーブル等によって接続される。かかる受信部213は、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像(すなわち検査部位内の画像)を受信アンテナA1〜A12を介して順次受信する。この場合、受信部213は、かかる被検体Knの検査部位内のカプセル型内視鏡によって送信された無線信号を受信アンテナA1〜A12を介して受信し、受信した無線信号に対して復調処理等を行って、この無線信号に含まれる臓器内部の画像を取得する。このようにして、受信部213は、かかる被検体Knの検査部位内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を順次受信する。受信部213は、受信した臓器内部の画像を制御部215に順次送信する。
記憶部214は、受信部213によって受信された臓器内部の画像を記憶する記憶手段として機能する。具体的には、記憶部214は、かかる臓器内部の画像を被検体別に保存する記憶媒体214aと、この記憶媒体214aを着脱可能に挿着するドライブ等の記憶ユニット214bとを有する。記憶媒体214aは、例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)等の可搬型の記憶媒体であり、記憶ユニット214bに対して着脱可能に挿着される。かかる記憶ユニット214bに挿着された記憶媒体214aは、受信部213によって受信された臓器内部の画像を被検体別に順次保存する。この場合、記憶媒体214aは、検査対象の被検体別に作成されたフォルダF1,…,Fnを有し、かかるフォルダF1,…,Fn内に被検体K1,…,Knの各画像群(臓器内部の画像群)をそれぞれ保存する。なお、かかる記憶媒体214aのフォルダF1,…,Fnには、特定情報入力部211cから入力された被検体K1,…,Knの各特定情報(例えば上述した被検体K1,…,Knの各患者番号)がフォルダ名としてそれぞれ付与される。
制御部215は、被検体内情報取得装置210の各構成部である操作部211、表示部212、受信部213、および記憶部214をそれぞれ制御し、かかる各構成部間の情報の入出力を制御する。具体的には、制御部215は、操作部211からの情報入力を制御し、表示部212の情報表示処理を制御し、受信部213の画像受信処理を制御し、記憶媒体214aの画像保存処理を制御する。この場合、制御部215は、臓器内部の画像の保存開始を指示してから保存終了を指示するまでの間に受信部213が受信した一連の臓器内部の画像を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行う。また、制御部215は、特定情報入力部211cから入力された患者番号、すなわちかかる記憶媒体214aに臓器内部の画像群を保存するためにベッド201に横たわらせるべき検査対象の被検体Knの患者番号を番号表示画面212aに表示する制御を行う。さらに、制御部215は、かかる番号表示画面212aに表示する被検体Knの患者番号と、この被検体Knの一連の臓器内部の画像(この被検体Knの検査部位内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像群)とを対応付ける。また、制御部215は、患者番号ごとに画像の保存終了を知らせる文章等を番号表示画面212aに表示する制御を行う。
このような制御部215は、受信制御部215a、記憶制御部215b、および表示制御部215cを有する。受信制御部215aは、受信部213の画像受信処理を制御する。具体的には、受信制御部215aは、操作部211が臓器内部の画像の保存開始を指示してから保存終了を指示するまでの期間、ベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を順次受信するように受信部213を制御する。
さらに具体的には、受信制御部215aは、開始ボタン211aが押し下げられた際に操作部211から入力される開始指示情報をトリガーにして、被検体Kn内のカプセル型内視鏡から受信した臓器内部の画像を制御部215に順次送信するように受信部213を制御する。かかる受信制御部215aの制御に基づいて、受信部213は、受信アンテナA1〜A12を介して被検体Kn内のカプセル型内視鏡から無線信号を順次受信し、受信した無線信号に含まれる臓器内部の画像を取得し、取得した臓器内部の画像を制御部215に順次送信する。一方、受信制御部215aは、終了ボタン211bが押し下げられた際に操作部211から入力される終了指示情報をトリガーにして、この被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を受信し終えるように受信部213を制御する。かかる受信制御部215aの制御に基づいて、受信部213は、この被検体Kn内のカプセル型内視鏡から受信した無線信号に含まれる臓器内部の画像を抽出する処理を終了する。
記憶制御部215bは、記憶部214の画像保存処理を制御する。具体的には、記憶制御部215bは、受信部213によって受信された臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行う。この場合、記憶制御部215bは、操作部211が臓器内部の画像の保存開始を指示してから保存終了を指示するまでの間に受信部213によって受信された一連の臓器内部の画像を一群にし、かかる臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行う。
さらに具体的には、記憶制御部215bは、開始ボタン211aが押し下げられた際に操作部211から入力される開始指示情報をトリガーにして、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内の画像群を保持管理するためのフォルダFnを記憶媒体214a内に作成し、受信部213から順次入力された臓器内部の画像群をこのフォルダFn内に順次保存するよう記憶部214を制御する。この場合、記憶制御部215bは、特定情報入力部211cより入力された患者番号をフォルダFnのフォルダ名にする。このようにして、記憶制御部215bは、この被検体Knの患者番号とフォルダFn内の臓器内部の画像群(すなわち、この被検体Knの検査部位内のカプセル型内視鏡によって撮像された一連の臓器内部の画像)とを対応付ける。その後、記憶制御部215bは、終了ボタン211bが押し下げられた際に操作部211から入力される終了指示情報をトリガーにして、この被検体Kn内の画像群をフォルダFn内に保存し終えるよう記憶部214を制御する。かかる記憶制御部215bは、ベッド201に横たわるべき被検体Knが入れ替わる毎に操作部211から繰り返し入力される開始指示情報および終了指示情報をトリガーにしてこのような記憶部214に対する制御を繰り返す。これによって、記憶制御部215bは、記憶媒体214a内のフォルダF1,F2,…,Fnに被検体K1,K2,…,Knの各画像群(臓器内部の画像群)をそれぞれ保存させる。
表示制御部215cは、表示部212の情報表示処理を制御する。具体的には、表示制御部215cは、特定情報入力部211cから入力した患者番号、すなわちカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像群を取得するためにベッド201に横たわらせるべき被検体Knの患者番号を番号表示画面212aに表示するよう表示部212を制御する。なお、かかる番号表示画面212aに現に表示された患者番号の被検体Knは、記憶媒体214a内のフォルダFnに臓器内部の画像群が保存されるべき現在の被検体である。また、表示制御部215cは、患者番号ごとに画像の保存終了を知らせる文章等を番号表示画面212aに表示するよう表示部212を制御する。
つぎに、この実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210を用いて集団検診を行って、複数の被検体内の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存するための制御部215の処理手順について説明する。図11は、臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行う制御部215の処理手順を例示するフローチャートである。
図11に示すように、制御部215は、特定情報入力部211cからの患者番号の送信の有無を判断する(ステップS201)。具体的には、操作部211は、上述したように、特定情報入力部211cからの入力がある際に、制御部215に患者番号情報を送信する。制御部215は、かかる患者番号情報が操作部211によって送信されなければ、患者番号情報なしと判断し(ステップS201,No)、このステップS201を繰り返す。すなわち、制御部215は、かかる患者番号情報が特定情報入力部211cから入力されるまで、このステップS201を繰り返す。
一方、制御部215は、かかる患者番号情報が特定情報入力部211cから入力、送信された場合、この被検体Knに関する患者番号情報ありと判断し(ステップS201,Yes)、ベッド201に横たわらせるべき被検体(すなわち被検体支持部201aに支持される被検体)の患者番号を表示するよう表示部212を制御する(ステップS202)。この場合、表示制御部215cは、かかる被検体の患者番号を番号表示画面212aに表示するよう表示部212を制御する。かかる表示制御部215cの制御に基づいて番号表示画面212aに表示される患者番号は、カプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像群を取得するためにベッド201の被検体支持部201aに横たわらせるべき検査対象の被検体を特定するものである。
その後、制御部215は、現にベッド201に横たわった状態の被検体Knの臓器内部の画像を保存する画像保存処理の開始指示の有無を判断する(ステップS203)。具体的には、操作部211は、上述したように、開始ボタン211aが押し下げられた際に、制御部215に開始指示情報を入力する。制御部215は、かかる開始指示情報が操作部211によって入力されなければ、この被検体Knに関する画像保存処理の開始指示なしと判断し(ステップS203,No)、このステップS203を繰り返す。すなわち、制御部215は、かかる開始指示情報が操作部211によって入力されるまで、このステップS203を繰り返す。
一方、制御部215は、かかる開始指示情報が操作部211によって入力された場合、この被検体Knに関する画像保存処理の開始指示ありと判断し(ステップS203,Yes)、臓器内部の画像群を被検体別に保存するためのフォルダを記憶媒体214a内に作成する(ステップS204)。この場合、記憶制御部215bは、かかる開始指示情報をトリガーにして、現にベッドに横たわった状態の被検体Knに対応するフォルダFnを記憶媒体214a内に作成する。そして、記憶制御部215bは、この被検体Knの患者番号をこのフォルダFnのフォルダ名にして、この被検体Knの患者番号とフォルダFnとを対応付ける。すなわち、かかるフォルダFn内に保存される臓器内部の画像群は、この被検体Knの患者番号と対応付けられる。このようなフォルダFnは、この被検体Knの臓器内部の画像群を保持管理するためのものであり、フォルダ名として付与された被検体Knの患者番号によって被検体別に容易に識別される。
続いて、制御部215は、現にベッドに横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を受信するよう受信部213を制御する(ステップS205)。この場合、受信制御部215aは、上述した開始指示情報をトリガーにして、この被検体Kn内のカプセル型内視鏡から受信した無線信号に含まれる臓器内部の画像を取得するよう受信部213を制御する。さらに、受信制御部215aは、かかる無線信号をもとに取得した臓器内部の画像を制御部215に送信するよう受信部213を制御する。このようにして、制御部215は、受信部213によって受信された被検体Kn内の画像(すなわちカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像)を取得する。
つぎに、制御部215は、受信部213によって受信された臓器内部の画像を被検体別に記憶媒体214aに保存するよう記憶部214を制御する(ステップS206)。この場合、記憶制御部215bは、受信部213から取得した臓器内部の画像、すなわち、現にベッドに横たわった状態の被検体Kn内の画像を記憶媒体214aのフォルダFn内に保存するよう記憶部214を制御する。記憶制御部215bは、かかる被検体別に作成されたフォルダFn内に臓器内部の画像を保存する制御を行うことによって、被検体別に被検体Knの臓器内部の画像を記憶媒体214aに保存することができる。
その後、制御部215は、現にベッド201に横たわった状態の被検体Knの臓器内部の画像を保存する画像保存処理の終了指示の有無を判断する(ステップS207)。具体的には、操作部211は、上述したように、終了ボタン211bが押し下げられた際に、制御部215に終了指示情報を入力する。制御部215は、かかる終了指示情報が操作部211によって入力されなければ、この被検体Knに関する画像保存処理の終了指示なしと判断し(ステップS207,No)、上述したステップS205に戻り、このステップS205以降の処理手順を繰り返す。すなわち、制御部215は、操作部211によって開始指示情報が入力されてから終了指示情報が入力されるまでの期間、上述したステップS205〜S207の処理手順を順次繰り返す。これによって、記憶媒体214aのフォルダFn内には、かかる期間に受信部213によって受信された臓器内部の画像群(すなわち、この被検体Knの臓器内部の画像群)が保存される。
一方、制御部215は、かかる終了指示情報が操作部211によって入力された場合、現にベッド201に横たわった状態の被検体Knに関する画像保存処理の終了指示ありと判断し(ステップS207,Yes)、この被検体Kn(現被検体)の臓器内部の画像を保存終了するよう記憶部214を制御する(ステップS208)。この場合、記憶制御部215bは、かかる終了指示情報をトリガーにして、臓器内部の画像群を記憶媒体214aのフォルダFn内に保存する画像保存処理をこの現被検体である被検体Knに関して終了するよう記憶部214を制御する。さらに、受信制御部215aは、かかる終了指示情報をトリガーにして、この被検体Kn内のカプセル型内視鏡から受信した無線信号に含まれる臓器内部の画像を取得する処理を終了するよう受信部213を制御する。
つぎに、制御部215は、かかる終了指示情報をトリガーにして、画像の保存が終了したことを知らせる内容を文章等によって番号表示画面212aに表示する(ステップS209)。その後、制御部215は、上述したステップS201に戻り、このステップS201以降の処理手順を繰り返す。
このような制御部215は、ベッド201に横たわらせるべき被検体Kn(n=1,2,3,…)が順次入れ替わる毎に、上述したステップS201〜S209の処理手順を順次繰り返す。これによって、制御部215は、上述した集団検診対象の複数の被検体K1,K2,…,Knの各画像群を被検体別に記憶媒体214aに順次保存することができる。この場合、記憶媒体214aは、かかる制御部215の制御に基づいて、被検体別のフォルダF1,F2,…,Fnに被検体K1,K2,…,Knの各画像群(臓器内部の画像群)をそれぞれ保存する。
つぎに、n人の被検体K1,K2,…,Knのそれぞれにカプセル型内視鏡を導入し、かかるカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部(例えば胃内部)の画像群を複数の被検体別に取得する集団検診を行う場合を例示して、この実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の動作を説明する。図12は、実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置を用いて複数の被検体別に臓器内部の画像群を取得する集団検診が行われている状態を例示する模式図である。
まず、被検体内情報取得装置210に対して所定の準備作業が行われる。具体的には、電源投入等によって被検体内情報取得装置210を起動させ、被検体別に臓器内部の画像群を保存するための記憶媒体214aを記憶ユニット214bに挿着する。つぎに、制御部215は、特定情報入力部211cから患者番号が入力された場合に、患者番号を番号表示画面212aに表示するよう表示部212を制御する。
一方、集団検診対象のn人の被検体K1,K2,…,Knには、図12に示すように、ベッド201に横たわる順に患者番号1,2,…,nがそれぞれ付与される。かかる被検体K1,K2,…,Knは、例えば胃内部の画像群が撮像される場合、ベッド201に横たわる直前またはベッド201に横たわった直後にカプセル型内視鏡202を飲込み、胃内部にカプセル型内視鏡202を導入する。かかるカプセル型内視鏡202を胃内部に導入した被検体K1,K2,…,Knは、ベッド201に順次横たわる。この場合、被検体K1,K2,…,Knの各人は、このベッド201の被検体支持部201aに例えば十数分程度横たわる(支持される)。被検体内情報取得装置210は、かかるベッド201に順次横たわらせた被検体K1,K2,…,Knの各画像群(胃内部の画像群)を被検体別に取得する。
具体的には、特定情報入力部211cから入力し、番号表示画面212aに表示された患者番号が「1」である場合、患者番号1の被検体K1を被検体支持部201aに横たわらせる。現にベッド201に横たわる被検体K1の胃内部には、カプセル型内視鏡202および必要量の水が導入される。この状態において、操作部211の開始ボタン211aおよび終了ボタン211bが必要時間(例えば十数分間)空けて順次操作される。この場合、被検体内情報取得装置210は、この被検体K1内のカプセル型内視鏡202によって撮像された胃内部の画像群を記憶媒体214aのフォルダF1内に保存する。
つぎに、制御部215は、フォルダF1内への画像の保存が終了したことを知らせる内容を文章等で番号表示画面212aに表示させ、その後、特定情報入力部211cから入力された患者番号、すなわちベッド201に次ぎに横たわらせるべき被検体の患者番号「2」を番号表示画面212aに表示するよう表示部212を制御する。これにより、番号表示画面212aに患者番号が「2」と表示され、図12に示すように、今までベッド201に横たわっていた被検体K1に代えて患者番号2の被検体K2をベッド201に横たわらせる。この場合、被検体K1と入れ替わって現にベッド201に横たわる被検体K2の胃内部には、被検体K1の場合と同様にカプセル型内視鏡202および必要量の水が導入される。
なお、カプセル型内視鏡202は、カプセル型の筐体内部に撮像機能と無線通信機能とを有する装置であり、例えば水中で浮遊可能な比重(すなわち1以下の比重)を有する。このようなカプセル型内視鏡202は、例えば胃内部に導入された水中で浮遊した状態で胃内部の画像を順次撮像し、撮像した胃内部の画像を含む無線信号を外部に順次送信する。
このようなカプセル型内視鏡202および必要量の水を胃内部に導入した被検体K2をベッド201に横たわらせた状態において、操作部211の開始ボタン211aが押し下げられ、その十数分後に操作部211の終了ボタン211bが押し下げられる。かかる開始ボタン211aが押し下げられてから終了ボタン211bが押し下げられるまでの十数分間、被検体内情報取得装置210は、この被検体K2内のカプセル型内視鏡202によって撮像された胃内部の画像群(すなわち検査部位内の画像群)を記憶媒体214aのフォルダF2内に保存する。
具体的には、制御部215は、開始ボタン211aが押し下げられた際に操作部211から入力された開始指示情報をトリガーにして、現にベッド201に横たわった状態の被検体K2に対応するフォルダF2を記憶媒体214a内に作成し、受信部213によって受信された胃内部の画像(被検体K2内の画像)を記憶媒体214aのフォルダF2内に順次保存させる。この場合、受信部213は、かかる開始ボタン211aが押し下げられてから終了ボタン211bが押し下げられるまでの十数分間、被検体支持部201aの受信アンテナA1〜A12の少なくとも一つを介して被検体K2内のカプセル型内視鏡202から無線信号を順次受信し、受信した無線信号に含まれる胃内部の画像を順次取得する。そして、受信部213は、取得した胃内部の画像(被検体K2内の画像)を制御部215に順次送信する。
なお、かかる数十分間が経過する間、現にベッド201に横たわった状態の被検体K2は、必要に応じて体位を変化させる。これによって、被検体K2内のカプセル型内視鏡202は、胃内部において撮像方向を変化させ、この胃内部の画像を全体的に撮像する。
制御部215は、かかる十数分間に受信部213によって受信された一連の胃内部の画像を一群にし、かかる胃内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存するよう記憶部214を制御する。この場合、記憶媒体214aは、この被検体K2の胃内部の画像群をフォルダF2内に保存する。つぎに、制御部215は、フォルダF2内への画像の保存が終了したことを知らせる内容を文章等で番号表示画面212aに表示するよう表示部212を制御する。その後、特定情報入力部211cから入力された患者番号、すなわちベッド201に次に横たわらせるべき被検体の患者番号を番号表示画面212aに表示するよう表示部212を制御する。
このようにして、集団検診対象の被検体K1,K2,K3,K4,K5,…,Knは、特定情報入力部211cから入力し、番号表示画面212aに表示された患者番号に従ってベッド201に順次横たわる。被検体内情報取得10は、上述した被検体K2の場合と同様に、かかるベッド201に順次横たわらせた被検体K1,K2,K3,K4,K5,…,Knの各胃内部のカプセル型内視鏡202から胃内部の画像群を順次取得し、取得した各胃内部の画像群を被検体別のフォルダF1,F2,F3,F4,F5,…,Fn内にそれぞれ保存する。
かかる集団検診が終了した後、被検体K1,K2,K3,K4,K5,…,Knの各胃内部の画像群をフォルダF1,F2,F3,F4,F5,…,Fn内に保存した状態の記憶媒体214aは、図12に示すように、記憶ユニット214bから取り外され、所定の画像表示装置203に挿着される。記憶媒体214aは、上述したように可搬型であり、記憶ユニット214bから取り外した後、容易に持ち運ぶことができる。
画像表示装置203は、カプセル型内視鏡202によって撮像された臓器内部の画像群を被検体別に保持管理するデータ管理機能と、かかる臓器内部の画像群を表示する画像表示機能とを有するワークステーション等のような構成を有する。なお、画像表示装置203は、被検体内情報取得装置210に対して別体の装置であって、一般に病院内に設置される。
このような画像表示装置203は、上述した記憶媒体214aが挿着された場合、この記憶媒体214aを媒介にして被検体K1,K2,…,Knの各画像群(臓器内部の画像群)を取り込むことができる。画像表示装置203は、取得した被検体K1,K2,…,Knの臓器内部の画像群の中から観察すべき所望の臓器内部の画像群をディスプレイに順次表示する。また、画像表示装置203は、ケーブル等を介してプリンタ204が接続され、かかる観察すべき所望の臓器内部の画像群を順次プリントアウトできる。
医師または看護師等のユーザは、かかる画像表示装置203に表示された臓器内部の画像またはプリンタ204によってプリントアウトされた臓器内部の画像を視認することによって、集団検診対象の被検体K1,K2,…,Knの臓器内部(例えば胃内部)を観察(検査)する。これをもとに、ユーザは、かかる集団検診対象の被検体K1,K2,…,Knをそれぞれ診断できる。
ここで、本発明の実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210は、上述したように、操作部211、表示部212、受信部213、記憶部214、および制御部215を例えばベッド201に付設した構成を有する。このため、かかる被検体内情報取得装置210は、上述した画像表示装置203に例示される複数の被検体内の画像群を一括してデータ管理可能なワークステーション等を用いなくとも、複数の被検体K1,K2,…,Knの臓器内部の画像群を被検体別に受信でき、受信した臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存できる。この結果、かかる複数の被検体K1,K2,…,Knの臓器内部の画像群を被検体別に取得する機能を備えた装置の規模を小型化することができる。
また、このような被検体内情報取得装置210は、例えば複数の被検体を順次支持するベッド201と一体化されているので、上述した集団検診を行うための検診車内等の所望の場所に容易に運搬することができる。
さらに、このような被検体内情報取得装置210は、記憶ユニット214bに着脱可能に挿着した記憶媒体214aのフォルダF1,F2,…,Fn内に、複数の被検体K1,K2,…,Knの各画像群(臓器内部の画像群)を保存している。この結果、上述した集団検診によって取得した複数の被検体K1,K2,…,Knの臓器内部の画像群を容易に被検体別に保存することができ、かかる複数の被検体内の画像群のデータ管理を被検体別に容易に行うことができる。
また、かかる記憶媒体214aが記憶ユニット214bに対して着脱可能な可搬型の記憶媒体であるため、上述した集団検診によって取得した複数の被検体内の画像群を容易に持ち運ぶことができ、かかる複数の被検体内の画像群を画像表示装置203等のワークステーションに容易に取り込ませることができる。
さらに、複数の受信アンテナA1〜A12は、ベッド201の被検体支持部201aに支持される被検体の検査部位の近傍に固定配置される態様で被検体支持部201aに付設され、このように受信アンテナA1〜A12が付設されたベッド201の被検体支持部201aに複数の被検体を順次横たわらせるようにした。このため、かかる被検体各人の体表上に複数の受信アンテナを貼付しなくとも、かかる被検体支持部201aに付設された受信アンテナA1〜A12を介して被検体内の画像群を順次受信することができる。これに加えて、かかる被検体各人に所定の受信装置を取り付ける必要もない。この結果、被検体の体表上の複数箇所に貼付された複数の受信アンテナを介してカプセル型内視鏡から画像群を順次受信する従来の受信装置に比して、上述した集団検診をスムーズに行うことができ、かかる集団検診によって複数の被検体内の画像群を取得する際に掛かる手間を軽減することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、臓器内部にカプセル型内視鏡を導入した被検体を支持するベッドの被検体支持部に1以上の受信アンテナを付設し、かかる受信アンテナが、この被検体支持部に支持された被検体の検査部位近傍に固定配置されるようにし、ベッドに横たわらせた被検体内のカプセル型内視鏡から臓器内部の画像群をこの被検体支持部の受信アンテナを介して被検体別に順次受信するように構成した。また、かかるベッドに現に横たわった状態の被検体内の画像の保存開始および保存終了を操作するための操作部を有し、この操作部が臓器内部の画像の保存開始を指示してから保存終了を指示するまでの間に、この被検体支持部の受信アンテナを介して被検体内のカプセル型内視鏡から受信した一連の臓器内部の画像を被検体別に記憶媒体に保存するように構成した。このため、かかる複数の被検体各人の体表上に受信アンテナを貼付しなくとも、且つ、かかる複数の被検体各人に所定の受信装置を取り付けなくとも、かかる受信アンテナが付設されたベッドの被検体支持部に複数の被検体を順次横たわらせる(支持させる)ことによって、これら複数の被検体内の画像群を被検体別に順次受信することができる。この結果、被検体各人に対する受信アンテナの貼付作業および受信装置の取付作業に掛かる手間を省くことができるとともに、被検体の臓器内部に導入したカプセル型内視鏡から臓器内部の画像を容易に取得でき、複数の被検体の臓器内部の画像群を被検体別に順次取得する集団検診を容易に行うことが可能な被検体内情報取得装置を実現できる。
また、複数の被検体内の画像群を被検体別に記憶媒体に保存するので、被検体各人に受信装置を携帯させていた従来技術に比して少数の記憶媒体(例えば単一の記憶媒体)に被検体別の臓器内部の画像群を容易に保存することができ、上述した集団検診によって取得した複数の被検体内の画像群のデータ管理を被検体別に容易に行うことができる。
さらに、かかる臓器内部の画像群を被検体別に保存する記憶媒体を可搬型にし、且つ、本発明にかかる被検体内情報取得装置に対してこの可搬型の記憶媒体を着脱可能に挿着するように構成した。この結果、上述した集団検診によって取得した複数の被検体内の画像群を容易に持ち運ぶことができ、かかる複数の被検体内の画像群を所定の画像表示装置に容易に取り込ませることができる。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態2では、ベッド201に順次横たわらせる被検体の患者番号を番号表示画面212aに順次表示させていたが、この実施の形態3では、現にベッド201に横たわった状態の被検体内のカプセル型内視鏡から受信した臓器内部の画像をさらに表示するように構成している。
図13は、本発明の実施の形態3にかかる被検体内情報取得装置の一構成例を示す外観模式図である。図14は、本発明の実施の形態3にかかる被検体内情報取得装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図13,14に示すように、この実施の形態3にかかる被検体内情報取得装置220は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の表示部212に代えて表示部222を有し、制御部215に代えて制御部225を有する。その他の構成は実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
表示部222は、上述した番号表示画面212aを有し、特定情報入力部211cから入力された患者番号、すなわち臓器内部に導入したカプセル型内視鏡から臓器内部の画像を取得するためにベッド201に横たわらせるべき検査対象の被検体Knの患者番号を番号表示画面212aに表示する。これに加えて、表示部222は、被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を表示する画像表示画面222bを有する。このような表示部222は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の表示部212と同様に番号表示画面212aに患者番号を順次表示するとともに、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡から受信部213に順次受信された臓器内部の画像を画像表示画面222bに順次表示する。すなわち、このような画像表示画面222bは、上述した受信部213に受信された臓器内部の画像を順次表示する画像表示手段として機能する。
制御部225は、被検体内情報取得装置220の各構成部である操作部211、表示部222、受信部213、および記憶部214をそれぞれ制御し、かかる各構成部間の情報の入出力を制御する。具体的には、制御部225は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の制御部215と同様に、操作部211からの情報入力を制御し、表示部222の番号表示画面212aに表示する患者番号の表示処理を制御し、受信部213の画像受信処理を制御し、記憶媒体214aの画像保存処理を制御する。この場合、制御部225は、上述した制御部215と同様に、受信部213によって受信された臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行う。また、制御部225は、特定情報入力部211cから入力された患者番号を番号表示画面212aに表示する制御を行うとともに、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を画像表示画面222bに順次表示する制御を行う。
このような制御部225は、上述した受信制御部215aおよび記憶制御部215bを有し、実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の制御部215の表示制御部215cに代えて表示制御部225cを有する。表示制御部225cは、表示部222の情報表示処理を制御する。具体的には、表示制御部225cは、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の表示制御部215cと同様に、特定情報入力部211cから入力された患者番号、すなわちベッド201に横たわらせるべき被検体Knの患者番号を番号表示画面212aに表示するよう表示部222を制御する。さらに、表示制御部225cは、現にベッド201に横たわった状態の被検体Knの臓器内部の画像を画像表示画面222bに表示するよう表示部222を制御する。この場合、表示制御部225cは、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡から受信部213が順次受信した臓器内部の画像を画像表示画面222bに順次表示するよう表示部222を制御する。
つぎに、この実施の形態3にかかる被検体内情報取得装置220を用いて集団検診を行って、複数の被検体内の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存するための制御部225の処理手順について説明する。図15は、臓器内部の画像を画像表示画面222bに表示し且つ臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行う制御部225の処理手順を例示するフローチャートである。
制御部225は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の制御部215と略同様に、番号表示画面212aに特定情報入力部211cから入力された患者番号を順次表示する制御を行い、操作部211が臓器内部の画像の保存開始を指示してから保存終了を指示するまでの間に受信部213によって受信された臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行う。この場合、制御部225は、上述した受信部213によって受信された臓器内部の画像を画像表示画面222bに順次表示する制御をさらに行う。
すなわち、図15に示すように、制御部225は、上述したステップS201〜S205と同様に、特定情報入力部211cからの患者番号の送信の有無を判断し(ステップS301)、患者番号情報が特定情報入力部211cから入力、送信された場合、番号表示画面212aに患者番号を表示する制御を行い(ステップS302)、画像保存処理の開始指示の有無を判断し(ステップS303)、開始指示ありの場合に被検体別のフォルダFnを記憶媒体214a内に作成し(ステップS304)、現にベッド201に横たわった状態の被検体Knの臓器内部の画像を受信するよう受信部213を制御する(ステップS305)。この場合、制御部225は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の制御部215と同様に、受信部213によって受信された臓器内部の画像を取得する。
つぎに、制御部225は、現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡から受信部213が受信した臓器内部の画像を画像表示画面222bに表示する制御を行う(ステップS306)。この場合、表示制御部225cは、かかる受信部213によって受信された臓器内部の画像を画像表示画面222bに表示するよう表示部222を制御する。
かかる表示制御部225cの制御に基づいて、表示部222は、番号表示画面212aに患者番号を表示するとともに、かかる受信部213に受信された臓器内部の画像(すなわち現にベッド201に横たわった状態の被検体Kn内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像)を画像表示画面222bに表示する。
その後、制御部225は、上述したステップS206〜S209と同様に、受信部213によって受信された臓器内部の画像を被検体別に記憶媒体214aに保存する制御を行い(ステップS307)、画像保存処理の終了指示の有無を判断し(ステップS308)、終了指示ありの場合に現被検体の臓器内部の画像を保存し終えるよう記憶部214を制御し(ステップS309)、画像の保存が終了したことを知らせる内容を文章等によって番号表示画面212aに表示する(ステップS310)。
ここで、制御部225は、ステップS308において画像表示処理の終了指示なしと判断した場合、上述したステップS305に戻り、このステップS305以降の処理手順を繰り返す。すなわち、制御部225は、操作部211によって開始指示情報が入力されてから終了指示情報が入力されるまでの期間、上述したステップS305〜S308の処理手順を順次繰り返す。これによって、画像表示画面222bには、かかる期間に受信部213によって受信された一連の臓器内部の画像が順次表示される。また、記憶媒体214aのフォルダFn内には、かかる期間に受信部213によって受信された臓器内部の画像群(すなわち、現にベッド201に横たわった状態の被検体Knの臓器内部の画像群)が保存される。
なお、制御部225は、ステップS310の処理手順を行って画像の保存が終了したことを知らせる内容を、文章等によって番号表示画面212aに表示した後、上述したステップS301に戻り、このステップS301以降の処理手順を繰り返す。このような制御部225は、ベッド201に横たわらせるべき被検体Kn(n=1,2,3,…)が順次入れ替わる毎に、上述したステップS301〜S310の処理手順を順次繰り返す。これによって、制御部225は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の制御部215と同様に、集団検診対象の複数の被検体K1,K2,…,Knの各画像群(臓器内部の画像群)を被検体別のフォルダF1,F2,…,Fnに順次保存することができる。
つぎに、n人の被検体K1,K2,…,Knのそれぞれにカプセル型内視鏡を導入し、かかるカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部(例えば胃内部)の画像群を複数の被検体別に取得する集団検診を行う場合を例示して、この実施の形態3にかかる被検体内情報取得装置220の動作を説明する。図16は、番号表示画面212aに現被検体の患者番号を表示するとともに画像表示画面222bに現被検体の臓器内部の画像を表示する表示部222の状態を例示する模式図である。
上述した図12に示した状態と略同様に、集団検診対象の複数の被検体K1,K2,…,Knは、特定情報入力部211cから入力され、番号表示画面212aに表示された患者番号に従ってベッド201に順次横たわる。なお、このベッド201に横たわった状態の被検体K1,K2,…,Knの各人は、例えば胃内部にカプセル型内視鏡202および必要量の水が導入される。被検体内情報取得装置220は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210と略同様に、かかるベッド201に順次横たわらせた被検体K1,K2,…,Knの各胃内部のカプセル型内視鏡202から胃内部の画像群を順次取得し、取得した各胃内部の画像群を被検体別のフォルダF1,F2,…,Fn内にそれぞれ保存する。この場合、被検体内情報取得220は、現にベッド201に横たわった状態の現被検体内(現に番号表示画面212aに表示されている患者番号の被検体内)に導入されたカプセル型内視鏡202によって撮像された胃内部の画像を受信部213によって順次受信し、かかる受信部213に受信された胃内部の画像を画像表示画面222bに順次表示する。
具体的には、集団検診対象の複数の被検体K1,K2,…,Knのうちの患者番号「2」の被検体K2がベッド201に現に横たわっている場合、被検体内情報取得装置220は、かかる現被検体である被検体K2の患者番号と胃内部の画像とを表示部222に表示する。すなわち、制御部225は、表示部222に対し、この被検体K2の患者番号を表示する制御を行うとともに、この被検体K2内のカプセル型内視鏡202から受信部213に受信された胃内部の画像を順次表示する制御を行う。かかる制御部225の制御に基づいて、表示部222は、図16に示すように、この被検体K2の患者番号「2」を番号表示画面212aに表示するとともに、この被検体K2の胃内部の画像を画像表示画面222bに表示する。このような表示部222は、この被検体K2内のカプセル型内視鏡202によって撮像された胃内部の画像を受信部213が受信した場合、その都度、かかる受信部213によって受信された被検体K2の胃内部の画像を画像表示画面222bに順次表示する。
かかる集団検診が終了した後、被検体K1,K2,…,Knの各胃内部の画像群をフォルダF1,F2,…,Fn内に保存した状態の記憶媒体214aは、上述した図12に示したように、記憶ユニット214bから取り外され、画像表示装置203に挿着される。かかる記憶媒体214aが挿着された画像表示装置203は、上述したように、この記憶媒体214aを媒介にして被検体K1,K2,…,Knの各画像群(臓器内部の画像群)を取り込み、取得した被検体K1,K2,…,Knの臓器内部の画像群の中から観察すべき所望の臓器内部の画像群をディスプレイに順次表示する。また、画像表示装置203は、かかる観察すべき所望の臓器内部の画像群を必要に応じてプリンタ204にプリントアウトする。
医師または看護師等のユーザは、上述した実施の形態2の場合と同様に、かかる画像表示装置203に表示された臓器内部の画像またはプリンタ204によってプリントアウトされた臓器内部の画像を視認することによって、集団検診対象の被検体K1,K2,…,Knの臓器内部(例えば胃内部)を観察(検査)する。これをもとに、ユーザは、かかる集団検診対象の被検体K1,K2,…,Knをそれぞれ診断できる。
ここで、本発明の実施の形態3にかかる被検体内情報取得装置220は、操作部211、表示部222、受信部213、記憶部214、および制御部225を例えばベッド201に付設した構成を有する。このため、かかる被検体内情報取得装置220は、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の場合と同様に、画像表示装置203に例示される複数の被検体内の画像群を一括してデータ管理可能なワークステーション等を用いなくとも、複数の被検体K1,K2,…,Knの臓器内部の画像群を被検体別に受信でき、受信した臓器内部の画像群を被検体別に記憶媒体214aに保存できる。この結果、かかる複数の被検体K1,K2,…,Knの臓器内部の画像群を被検体別に取得する機能を備えた装置の規模を小型化することができる。
また、このような被検体内情報取得装置220は、例えば複数の被検体を順次支持するベッド201と一体化されているので、上述した実施の形態2にかかる被検体内情報取得装置210の場合と同様に、集団検診を行うための検診車内等の所望の場所に容易に運搬することができる。
さらに、かかる被検体内情報取得装置220は、現にベッド201に横たわった状態の現被検体内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を画像表示画面222bに順次表示する。このため、かかる画像表示画面222bに順次表示された臓器内部の画像を視認することによって、この現被検体内におけるカプセル型内視鏡の導入部位(すなわちカプセル型内視鏡の現在位置)を容易に把握することができる。この結果、かかる現被検体内の所望の検査部位(胃、小腸等の消化管)にカプセル型内視鏡が導入されたか否かを容易に確認できるとともに、かかるカプセル型内視鏡によって撮像された所望の検査部位内の画像群を確実に取得することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態3では、上述した実施の形態2と同様の構成を有し、さらに、受信部によって受信された被検体内の画像を順次表示する画像表示画面を有し、ベッドに支持された状態の被検体内のカプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像を画像表示画面に順次表示するように構成した。このため、上述した実施の形態2の作用効果に加え、さらに、かかる画像表示画面に順次表示された臓器内部の画像を視認することによって、この被検体内におけるカプセル型内視鏡の現在位置を容易に把握することができる。この結果、上述した実施の形態2の作用効果を享受するとともに、被検体内の所望の検査部位にカプセル型内視鏡が導入されたか否かを容易に確認でき、かかるカプセル型内視鏡によって撮像された所望の検査部位内の画像群を確実に取得可能な被検体内情報取得装置を実現できる。
なお、本発明の実施の形態2,3では、複数の受信アンテナが付設された被検体支持部に被検体を順次支持するベッドと一体化した被検体内情報取得装置を例示したが、これに限らず、臓器内部にカプセル型内視鏡が導入された被検体を支持するとともに、この被検体の検査部位の近傍に固定配置された1以上の受信アンテナを有する支持部材と一体化した被検体内情報取得装置であってもよい。
具体的には、本発明にかかる被検体内情報取得装置と一体化される支持部材は、所定の台または支柱等に支持された状態で略直立し、かかる直立状態で被検体を支持するとともに、この支持した被検体の検査部位の近傍に1以上の受信アンテナを固定配置する器具であってもよい。この場合、かかる直立型の支持部材は、被検体によって抱え込まれる態様で被検体を支持する。また、かかる直立型の支持部材における被検体支持部に、1以上の受信アンテナが例えば格子状に付設される。かかる受信アンテナが付設された支持部材は、被検体に対する高さ調整を行えるようにし、胃または小腸等の被検体内の所望の検査部位に合わせて受信アンテナの位置調整を行えるようにしてもよい。
また、本発明の実施の形態2,3では、記憶ユニット214bに対して着脱可能に挿着した可搬型の記憶媒体214aに複数の被検体内の画像群を保存していたが、これに限らず、記憶部214に代えてフラッシュメモリ等の半導体メモリまたはハードディスクを有する記憶装置を設け、かかる記憶装置に複数の被検体内の画像群を被検体別に保存してもよい。この場合、かかる記憶装置を本発明にかかる被検体内情報取得装置に対して着脱可能にし、かかる被検体内情報取得装置から取り外した記憶装置を所定のワークステーション(例えば画像表示装置203)に接続して複数の被検体内の画像群をこのワークステーションに取り込ませてもよい。または、かかる記憶装置を本発明にかかる被検体内情報取得装置に対して一体化し、かかる記憶装置と画像表示装置203等のワークステーションとをケーブル等によって接続して複数の被検体内の画像群をこのワークステーションに取り込ませてもよい。
さらに、本発明の実施の形態2,3では、複数の被検体各人を特定する特定情報として患者番号を例示していたが、これに限らず、かかる特定情報は、検査対象の複数の被検体各人を特定可能な情報であればよく、例えば、複数の被検体各人に付与されたID情報(文字、数字、および記号の少なくとも一つを用いて形成された情報)であってもよいし、被検体各人の患者名であってもよい。この場合、本発明にかかる被検体情報取得装置の表示部には、患者情報に代えて患者IDまたは患者名等の他の特定情報を順次表示すればよい。
また、本発明の実施の形態2,3では、臓器内部にカプセル型内視鏡が導入された被検体Knを支持するベッド201の被検体支持部201aに受信アンテナA1〜A12を付設していたが、これに限らず、かかるベッド201の被検体支持部201a上に展開するシートに1以上の受信アンテナを付設し、このシートを被検体Kn内の所望の検査部位に合わせて被検体支持部201a上に展開することによって、かかるシートに付設された1以上の受信アンテナをこの被検体内の検査部位の近傍に固定配置するようにしてもよい。
具体的には、例えば図17に示すように、ベッド201の被検体支持部201a上に展開されるシート201bに受信アンテナA1〜A12を付設し、かかるシート201bに付設された受信アンテナA1〜A12を被検体Kn内の検査部位の近傍に固定配置してもよい。この場合、シート201bには、かかる受信アンテナA1〜A12と接続されたコネクタ213bが設けられ、受信部213には、かかるコネクタ213bに接続されるコネクタ213aが設けられる。受信部213は、かかるコネクタ213a,213bおよびケーブル等を介して受信アンテナA1〜A12に接続され、かかる受信アンテナA1〜A12を介して被検体Kn内の画像群を受信する。このようなシート201bは、ベッド201の被検体支持部201aに対する相対位置を変更することができる。このため、かかる被検体支持部201aに支持される被検体内の所望の検査部位に合わせた被検体支持部201a上の位置にシート201bを展開することによって、かかるシート201bの受信アンテナA1〜A12を被検体内の所望の検査部位の近傍に自由に固定配置することができる。
また、本発明の実施の形態2,3では、制御部215,225は、特定情報入力部211cから入力された患者番号、すなわちベッド201の被検体支持部201aに横たわらせるべき検査対象の被検体Knの患者番号を番号表示画面212aに表示させるとともにフォルダFnのフォルダ名にするようにしていたが、これに限らず、例えば、制御部215,225は、自動で患者番号を更新し、その更新した患者番号が番号表示画面212aに表示させる患者番号となり、フォルダFnのフォルダ名となるようにしてもよい。
具体的には、被検体情報取得装置210,220が電源投入等によって起動した後、制御部215,225は、カプセル型内視鏡によって撮像された臓器内部の画像群を取得するためにベッド201の被検体支持部201aに横たわらせるべき検査対象の被検体を特定する患者番号を例えば「1」に初期化し、番号表示画面212aに表示させ、現にベッド201に横たわった状態の被検体K1の現患者番号、すなわち現に番号表示画面212aに表示されている患者番号をフォルダ名にして画像を保存し、画像の保存終了指示情報をトリガーにして、患者番号に所定数(例えば+1)を加算することによって患者番号を更新させる。このように、更新された患者番号が、現被検体の次にベッド201に横たわらせるべき被検体Kn(すなわち現被検体の次に臓器内部の画像群が記憶媒体214aに保存される被検体)を特定する患者番号となり、フォルダFnのフォルダ名となるようにしてもよい。
(実施の形態4)
図18は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡を有する被検体内情報取得システムの一構成例を示す模式図である。図18に示すように、この被検体内情報取得システムは、被検体301内の画像を撮像するカプセル型内視鏡302と、カプセル型内視鏡302によって撮像された被検体301内の画像を受信する受信装置303と、受信装置303によって受信した被検体301内の画像を表示する画像表示装置304と、受信装置303と画像表示装置304との間のデータの受け渡しを行うための携帯型記録媒体305とを備える。
本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302は、被検体301の臓器内部に導入された液体中に浮遊した状態で被検体301の臓器内部の画像を撮像し、撮像した臓器内部の画像を外部の受信装置303に順次無線送信する。このようなカプセル型内視鏡302は、被検体301内の画像を撮像する撮像機能と被検体301内の画像を外部に無線送信する無線通信機能とを備えたカプセル型内視鏡本体(以下、単にカプセル本体という)302aと、このカプセル本体302aの筐体外壁に付着してカプセル本体302aを所定の液体中に浮遊させる浮き部材302b,302cとを有する。
カプセル本体302aは、時系列に沿って被検体301内の画像を順次撮像するとともに、撮像した被検体301内の画像を外部の受信装置303に順次無線送信する。浮き部材302b,302cは、かかるカプセル本体302aの筐体外壁に付着することによって、被検体301の臓器内部の液体中にカプセル本体302aを浮遊させるよう機能する。具体的には、カプセル本体302aおよび浮き部材302b,302cは、互いに別体の状態で被検体301の臓器内部に導入される。かかるカプセル本体302aおよび浮き部材302b,302cは、互いに別体の状態を維持しつつ臓器の蠕動等によって被検体301内を進行し、観察すべき所望の臓器内部に到達する。この被検体301の臓器内部において、浮き部材302b,302cは、カプセル本体302aの筐体外壁に付着する。このように観察対象の臓器内部においてカプセル本体302aに浮き部材302b,302cを装着した状態のカプセル型内視鏡302は、この観察対象の臓器内部に導入された水等の液体に浮遊する。この場合、かかる液体中に浮遊した状態のカプセル型内視鏡302(具体的にはカプセル本体302a)は、所定間隔、例えば0.5秒間隔で被検体301内の画像を逐次撮像し、撮像した被検体301内の画像を受信装置303に逐次送信する。
受信装置303は、例えば被検体301の体表上に分散配置された複数の受信アンテナ303a〜303hが接続され、かかる複数の受信アンテナ303a〜303hを介してカプセル型内視鏡302(具体的にはカプセル本体302a)からの無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる被検体301内の画像を取得する。また、受信装置303は、携帯型記録媒体305が着脱可能に挿着され、かかる被検体301内の画像を携帯型記録媒体305に逐次保存する。このようにして、受信装置303は、カプセル型内視鏡302(具体的にはカプセル本体302a)によって撮像された被検体301内の画像群を携帯型記録媒体305に保存する。
受信アンテナ303a〜303hは、例えばループアンテナを用いて実現され、カプセル本体302aによって送信された無線信号を受信する。このような受信アンテナ303a〜303hは、被検体301の体表上の所定位置、例えば被検体301内におけるカプセル本体302aの移動経路(すなわち消化管)に対応する位置に分散配置される。なお、受信アンテナ303a〜303hは、被検体301に着用させるジャケットの所定位置に分散配置されてもよい。この場合、受信アンテナ303a〜303hは、被検体301がこのジャケットを着用することによって、被検体301内におけるカプセル本体302aの移動経路に対応する被検体301の体表上の所定位置に配置される。このような受信アンテナは、被検体301に対して1以上配置されればよく、その配置数は、特に8つに限定されない。
携帯型記録媒体305は、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の携帯可能な記録メディアである。携帯型記録媒体305は、受信装置303および画像表示装置304に対して着脱可能であって、両者に対する挿着時にデータの出力および記録が可能な構造を有する。具体的には、携帯型記録媒体305は、受信装置303に挿着された場合、受信装置303によって取得された被検体301内の画像群等の各種データを逐次保存する。一方、携帯型記録媒体305は、画像表示装置304に挿着された場合、かかる被検体301内の画像群等の保存データを画像表示装置304に出力する。このようにして、かかる携帯型記録媒体305の保存データは、画像表示装置304に取り込まれる。また、携帯型記録媒体305には、患者名および患者ID等の被検体301に関する患者情報等が画像表示装置304によって書き込まれる。
画像表示装置304は、カプセル本体302aによって撮像された被検体301内の画像等を表示するためのものである。具体的には、画像表示装置304は、上述した携帯型記録媒体305を媒介にして被検体301内の画像群等の各種データを取り込み、取得した被検体301内の画像群をディスプレイに表示するワークステーション等のような構成を有する。このような画像表示装置304は、医師または看護師等のユーザが被検体301内の画像を観察(検査)して被検体301を診断するための処理機能を有する。この場合、ユーザは、画像表示装置304に被検体301内の画像を順次表示させて被検体301内の部位、例えば食道、胃、小腸、および大腸等を観察(検査)し、これをもとに、被検体301を診断する。
つぎに、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302の構成を説明する。図19は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302の一構成例を示す模式図である。図20は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302のカプセル本体302aの一構成例を示す側断面模式図である。
図19に示すように、この実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302は、互いに異なる方向の撮像視野V1,V2を有する多眼のカプセル本体302aと、被検体301の臓器内部に導入された液体中でカプセル本体302aを浮遊させる浮き部材302b,302cと、かかるカプセル本体302aに浮き部材302b,302cを装着するための粘着剤306とを有する。かかるカプセル本体302aは、図19,20に示すように、カプセル型の筐体311と、被検体の臓器内部を照明する照明部312,313と、照明部312,313によって照明された臓器内部の画像をそれぞれ撮像する撮像部314,315と、撮像部314,315によってそれぞれ撮像された被検体内の各画像を外部に無線送信する無線通信部316と、かかるカプセル本体302aの各構成部に駆動電力を供給する電源部317と、かかるカプセル本体302aの各構成部を制御する制御部318とを有する。なお、図20には、筐体311の外壁面に形成される粘着剤306が図示されていない。
カプセル本体302aは、上述したように、被検体301の臓器内部の画像を撮像する撮像機能と、撮像した臓器内部の画像を被検体301外の受信装置303に順次無線送信する無線通信機能とを有する。具体的には、カプセル本体302aは、互いに異なる方向に撮像視野V1,V2を有し、かかる撮像視野V1,V2の各被写体の画像(すなわち被検体301内の画像)を交互に撮像する。カプセル本体302aは、撮像した被検体301内の画像を外部の受信装置303に順次無線送信する。かかるカプセル本体302aの筐体311の外壁には、被検体301の臓器内部において例えば2つの浮き部材302b,302cが付着される。
浮き部材302b,302cは、上述したようにカプセル本体302aに対して別体の状態で被検体301の臓器内部に導入され、かかるカプセル本体302aを臓器内部の液体中で浮遊させる。具体的には、浮き部材302b,302cは、例えばゼラチン等の生体内で溶解可能な材料を用いてカプセル型に形成された空洞部材である。かかる浮き部材302b,302cは、内部が空洞であり、カプセル本体302aの筐体311に付着することによって液体中でカプセル本体302aを浮遊させる浮きとして機能する。すなわち、浮き部材302b,302cは、カプセル本体302aの筐体311に付着してカプセル型内視鏡302の比重を所定の液体(被検体301の臓器内部に導入される液体)の比重以下にする。また、浮き部材302b,302cは、例えば所定のpH値以下の液体(胃酸等の酸性の液体)に接触することによって溶解する。
このような浮き部材302b,302cは、カプセル型内視鏡302の比重を臓器内部の液体の比重以下に設定可能であれば、カプセル本体302aの筐体311に比して小型に形成されることが望ましい。具体的には、かかるカプセル型の浮き部材302b,302cの長手方向の長さは、カプセル本体302aの筐体311の長手方向の長さに比して短いことが望ましい。これによって、かかる筐体311の外壁に付着した状態の浮き部材302b,302cが、カプセル本体302aの撮像視野V1,V2内に入ることを容易に防止できる。
筐体311は、被検体の内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、その外壁面に上述した浮き部材302b,302cを付着し、その内部にカプセル本体302aの各構成部を収容する。具体的には、筐体311は、筒状構造のケース本体311aと光学ドーム311b,311cとによって形成される。
ケース本体311aは、両端が開口した筒状のケースであり、照明部312,313、撮像部314,315、無線通信部316、電源部317、および制御部318等のカプセル本体302aの各構成部を内部に収容する。この場合、かかるケース本体311aの一方の開口端近傍には照明部312および撮像部314が固定配置され、他方の開口端近傍には照明部313および撮像部315が固定配置される。また、かかる撮像部314と撮像部315との間に挟まれたケース本体311aの内部領域には、無線通信部316、電源部317、および制御部318が配置される。
光学ドーム311b,311cは、ドーム状に形成された透明な光学部材である。具体的には、光学ドーム311bは、ケース本体311aの一方の開口端、すなわち、照明部312および撮像部314が固定配置された撮像視野V1側の開口端に取り付けられるとともに、この開口端を閉じる。光学ドーム311cは、ケース本体311aの他方の開口端、すなわち、照明部313および撮像部315が固定配置された撮像視野V2側の開口端に取り付けられるとともに、この開口端を閉じる。
このようなケース本体311aと両端の光学ドーム311b,311cとによって形成される筐体311は、カプセル本体302aの各構成部(照明部312,313、撮像部314,315、無線通信部316、電源部317、制御部318等)を液密に収容する。また、かかるケース本体311aの外壁面には、浮き部材302b,302cを付着するための粘着剤306が塗布される。
粘着剤306は、撮像視野V1,V2の外部領域であるケース本体311aの外壁面に対して浮き部材302b,302cを着脱可能に付着する付着手段として機能する。具体的には、粘着剤306は、撮像視野V1,V2の外部領域である筐体311の外壁面、すなわちケース本体311aの外壁面に塗布される。この場合、粘着剤306は、ケース本体311aの外周に沿って連続的に(すなわち帯状に)塗布されてもよいし、ケース本体311aの外壁面上の所望の位置に部分的に塗布されてもよい。このような粘着剤306は、被検体301の臓器内部において、撮像視野V1,V2の外部領域であるケース本体311aの外壁面に対して浮き部材302b,302cを着脱可能に付着する。かかる粘着剤306によってケース本体311aの外壁面に付着した状態の浮き部材302b,302cは、上述したように、撮像視野V1,V2の外部領域に位置し、かかる撮像視野V1,V2を遮らない。
照明部312は、撮像部314によって撮像される被検体301の臓器内部(すなわち撮像視野V1内の被写体)を照明する照明手段として機能する。具体的には、照明部312は、筐体311内部の光学ドーム311b側に配置され、光学ドーム311b越しに撮像部314の被写体を照明する。このような照明部312は、撮像部314の被写体に対して照明光を発光する複数の発光素子312aと、照明部312の機能を実現するための回路が形成された照明基板312bとを有する。
複数の発光素子312aは、照明基板312bに実装され、光学ドーム311b越しに撮像部314の撮像視野V1に対して照明光を発光する。複数の発光素子312aは、かかる照明光によって撮像部314の被写体(すなわち撮像視野V1内に位置する被検体301の臓器内部)を照明する。照明基板312bは、例えば円盤形状に形成されたリジットな回路基板であり、筐体311内部の光学ドーム311b側に配置される。かかる照明基板312bの中央部分には、後述する撮像部314のレンズ枠が挿通される。
照明部313は、撮像部315によって撮像される被検体301の臓器内部(すなわち撮像視野V2内の被写体)を照明する照明手段として機能する。具体的には、照明部313は、筐体311内部の光学ドーム311c側に配置され、光学ドーム311c越しに撮像部315の被写体を照明する。このような照明部313は、撮像部315の被写体に対して照明光を発光する複数の発光素子313aと、照明部313の機能を実現するための回路が形成された照明基板313bとを有する。
複数の発光素子313aは、照明基板313bに実装され、光学ドーム311c越しに撮像部315の撮像視野V2に対して照明光を発光する。複数の発光素子313aは、かかる照明光によって撮像部315の被写体(すなわち撮像視野V2内に位置する被検体301の臓器内部)を照明する。照明基板313bは、例えば円盤形状に形成されたリジットな回路基板であり、筐体311内部の光学ドーム311c側に配置される。かかる照明基板313bの中央部分には、後述する撮像部315のレンズ枠が挿通される。
撮像部314は、筐体311の姿勢によって決定される撮像方向に撮像視野V1を有し、かかる撮像視野V1の被写体の画像を撮像する撮像手段として機能する。具体的には、撮像部314は、筐体311内部の光学ドーム311b側に固定配置され、照明部312によって照明された撮像視野V1の被写体(すなわち撮像視野V1内の臓器内部)の画像を撮像する。このような撮像部314は、CCDまたはCMOS等の固体撮像素子314aと、固体撮像素子314aの受光面に被写体の画像を結像する光学系314bと、撮像部314の機能を実現するための回路が形成された撮像基板314cとを有する。
固体撮像素子314aは、照明部312によって照明された被写体の画像を撮像する。具体的には、固体撮像素子314aは、筐体311の姿勢によって決定される撮像方向に撮像視野V1を有し、照明部312によって照明された撮像視野V1内の被写体の画像を撮像する。さらに具体的には、固体撮像素子314aは、撮像視野V1内に位置する被写体からの光を受光する受光面を有し、この受光面を介して受光した被写体からの光を光電変換して被写体の画像(すなわち撮像視野V1内に位置する被検体301の臓器内部の画像)を撮像する。
光学系314bは、かかる固体撮像素子314aの受光面に被写体の画像を結像するレンズ314dと、このレンズ314dを保持するレンズ枠314eとを有する。レンズ314dは、撮像視野V1内に位置する被写体からの光を固体撮像素子314aの受光面に集光して、この被写体の画像を固体撮像素子314aの受光面に結像する。
レンズ枠314eは、両端が開口した筒状構造を有し、筒内部にレンズ314dを保持する。具体的には、レンズ枠314eは、一端の開口部近傍の筒内部にレンズ314dを保持する。また、レンズ枠314eの他端は、固体撮像素子314aの受光面に被写体からの光を導く態様で固体撮像素子314aに固定される。なお、かかるレンズ枠314eの一端(レンズ314dの保持部側)は、上述した照明基板312bに挿通され、照明基板312bに対して固定される。
撮像基板314cは、例えば円盤形状に形成されたリジットな回路基板であり、筐体311内部の光学ドーム311b側に固定配置される。具体的には、撮像基板314cは、照明基板312bの近傍であって、この照明基板312bに比して筐体311の中心C寄りに固定配置される。かかる撮像基板314cには、上述した固体撮像素子314aと制御部318とが実装される。
撮像部315は、筐体311の姿勢によって決定される撮像方向に撮像視野V2を有し、かかる撮像視野V2の被写体の画像を撮像する撮像手段として機能する。具体的には、撮像部315は、筐体311内部の光学ドーム311c側に固定配置され、照明部313によって照明された撮像視野V2の被写体(すなわち撮像視野V2内の臓器内部)の画像を撮像する。このような撮像部315は、CCDまたはCMOS等の固体撮像素子315aと、固体撮像素子315aの受光面に被写体の画像を結像する光学系315bと、撮像部315の機能を実現するための回路が形成された撮像基板315cとを有する。
固体撮像素子315aは、照明部313によって照明された被写体の画像を撮像する。具体的には、固体撮像素子315aは、筐体311の姿勢によって決定される撮像方向であって上述した撮像視野V1と異なる方向に撮像視野V2を有し、照明部313によって照明された撮像視野V2内の被写体の画像を撮像する。さらに具体的には、固体撮像素子315aは、撮像視野V2内に位置する被写体からの光を受光する受光面を有し、この受光面を介して受光した被写体からの光を光電変換して被写体の画像(すなわち撮像視野V2内に位置する被検体301の臓器内部の画像)を撮像する。
光学系315bは、かかる固体撮像素子315aの受光面に被写体の画像を結像するレンズ315dと、このレンズ315dを保持するレンズ枠315eとを有する。レンズ315dは、撮像視野V2内に位置する被写体からの光を固体撮像素子315aの受光面に集光して、この被写体の画像を固体撮像素子315aの受光面に結像する。
レンズ枠315eは、両端が開口した筒状構造を有し、筒内部にレンズ315dを保持する。具体的には、レンズ枠315eは、一端の開口部近傍の筒内部にレンズ315dを保持する。また、レンズ枠315eの他端は、固体撮像素子315aの受光面に被写体からの光を導く態様で固体撮像素子315aに固定される。なお、かかるレンズ枠315eの一端(レンズ315dの保持部側)は、上述した照明基板313bに挿通され、照明基板313bに対して固定される。
撮像基板315cは、例えば円盤形状に形成されたリジットな回路基板であり、筐体311内部の光学ドーム311c側に固定配置される。具体的には、撮像基板315cは、照明基板313bの近傍であって、この照明基板313bに比して筐体311の中心C寄りに固定配置される。かかる撮像基板315cには、上述した固体撮像素子315aが実装される。
なお、かかる撮像部314,315の各撮像視野V1,V2は、上述したように、筐体311の姿勢によって決定され、例えば筐体311から互いに反対方向に位置する被写体(被検体301の臓器内部)をそれぞれ捉える。この場合、撮像部314は、撮像視野V1の中心軸である撮像部314の光軸と筐体311の長手方向の中心軸CLとが互いに平行または同一直線上に位置するように固定配置される。撮像部315は、撮像部314の撮像視野V1に対して反対方向に撮像視野V2を向け、且つ、撮像視野V2の中心軸である撮像部315の光軸と中心軸CLとが互いに平行または同一直線上に位置するように固定配置される。
無線通信部316は、撮像部314,315によってそれぞれ撮像された被検体内の各画像を外部の受信装置303(図18参照)に順次無線送信する無線通信手段として機能する。具体的には、無線通信部316は、筐体311内部の撮像部314,315の間に配置され、撮像視野V1,V2の各被写体である臓器内部の各画像を受信装置303に順次無線送信する。このような無線通信部316は、かかる被検体内の各画像を受信装置303に無線送信する無線ユニット316aと、無線通信部316の機能を実現するための回路が形成された無線基板316bとを有する。
無線ユニット316aは、被検体内の画像を含む画像信号を変調して無線信号を生成する通信回路と、この無線信号を外部に送信するアンテナとを有する。具体的には、無線ユニット316aは、上述した固体撮像素子314aによって撮像された被検体内の画像(すなわち撮像視野V1の臓器内部の画像)を含む画像信号を受信し、受信した画像信号に対して変調処理等を行い、この被検体内の画像を含む無線信号を生成する。その後、無線ユニット316aは、かかる撮像視野V1の臓器内部の画像を含む無線信号を被検体外の受信装置303に順次送信する。これと同様に、無線ユニット316aは、上述した固体撮像素子315aによって撮像された被検体内の画像(すなわち撮像視野V2の臓器内部の画像)を含む画像信号を受信し、受信した画像信号に対して変調処理等を行い、この被検体内の画像を含む無線信号を生成する。その後、無線ユニット316aは、かかる撮像視野V2の臓器内部の画像を含む無線信号を被検体外の受信装置303に順次送信する。このような無線ユニット316aは、撮像視野V1の臓器内部の画像を含む無線信号と撮像視野V2の臓器内部の画像を含む無線信号とを交互に生成し、生成した各無線信号を外部の受信装置303に交互に送信する。無線基板316bは、円盤形状に形成されたリジットな回路基板であり、例えば筐体311内部の撮像部314,315の間に配置される。かかる無線基板316bには、無線ユニット316aが実装される。
電源部317は、例えば筐体311内部の撮像部315と無線通信部316との間に固定配置され、カプセル本体302aの各構成部(すなわち照明部312,313、撮像部314,315、無線通信部316、および制御部318等)に対して駆動電力を供給する。このような電源部317は、所定の電力を有する電池317aと、電源部317の機能を実現するための回路が形成された電源基板317b,317cと、かかる電池317aからの電力供給のオンオフ状態を切り替えるスイッチ317dとを有する。
電池317aは、例えば酸化銀電池等のボタン型電池であり、図20に示すように電源基板317b,317cの間に必要数(例えば2つ)接続される。電源基板317b,317cは、かかる電池317aに電気的に接続されるプラス極端子およびマイナス極端子を有する。かかる電源基板317b,317cとカプセル本体302aの各構成部の回路基板(すなわち照明基板312b,313b、撮像基板314c,315c、および無線基板316b)とは、フレキシブル基板等によって電気的に接続される。スイッチ317dは、例えば外部の磁力によってオンオフの切替動作を行うリードスイッチであり、電源基板317cに設けられる。具体的には、スイッチ317dは、かかるオンオフの切替動作を行って電池317aからの電力供給のオンオフ状態を切り替える。これによって、スイッチ317dは、電池317aからカプセル本体302aの各構成部への電力の供給を制御する。
制御部318は、例えば撮像基板314cに実装され、カプセル本体302aの各構成部を制御する。具体的には、制御部318は、上述した照明部312,313の各発光素子312a,313a、撮像部314,315の各固体撮像素子314a,315a、および無線通信部316の無線ユニット316aを制御する。さらに具体的には、制御部318は、複数の発光素子312aの発光動作に同期して固体撮像素子314aが撮像視野V1の被写体の画像を所定時間毎に撮像するように、かかる複数の発光素子312aと固体撮像素子314aとの動作タイミングを制御する。また、制御部318は、複数の発光素子313aの発光動作に同期して固体撮像素子315aが撮像視野V2の被写体の画像を所定時間毎に撮像するように、かかる複数の発光素子313aと固体撮像素子315aとの動作タイミングを制御する。制御部318は、このような発光素子312aおよび固体撮像素子314aに対する制御と発光素子313aおよび固体撮像素子315aに対する制御とを所定時間毎に交互に行う。このような制御部318は、ホワイトバランス等の画像処理に関する各種パラメータを有し、固体撮像素子314a,315aによって交互に撮像された被写体の各画像をそれぞれ含む各画像信号を交互に生成する画像処理機能を有する。また、制御部318は、かかる被検体内の画像を含む各画像信号を無線通信部316に交互に送信し、かかる被検体内の画像を含む各無線信号を交互に生成出力するように無線ユニット316aを制御する。
つぎに、図20を参照しつつカプセル本体302aの比重および重心について説明する。この実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302のカプセル本体302aは、上述したように、カプセル形状の筐体311の内部に、照明部312,313、撮像部314,315、無線通信部316、電源部317、および制御部318を収容した構造を有する。このような構造のカプセル本体302aは、筐体311の外壁に浮き部材302b,302cを付着させた場合に、臓器内部の液体中で浮遊する。すなわち、かかるカプセル本体302aの筐体311に浮き部材302b,302cを付着した状態のカプセル型内視鏡302の比重は、被検体の臓器内部に導入される所定の液体(例えば水等)の比重以下に設定される。
ここで、カプセル本体302aの比重は、上述した粘着剤306によって筐体311の外壁に浮き部材302b,302cを付着することによって臓器内部の液体中で浮遊できる程度であれば、この臓器内部の液体の比重に比して大きくてもよい。このような比重を有するカプセル本体302aは、上述した照明部312,313、撮像部314,315、無線通信部316、電源部317、および制御部318を筐体311の内部に高密度に収容できる。このため、かかるカプセル本体302aの外形サイズは、臓器内部の液体に沈むカプセル型内視鏡に比して同程度またはそれ以下に小型化することができる。
かかるカプセル本体302aに浮き部材302b,302cを付着して形成されるカプセル型内視鏡302は、臓器内部の液体表面に浮遊することが望ましい。すなわち、このようなカプセル型内視鏡302の比重は、臓器内部の液体表面からカプセル型内視鏡302の一部分(例えば光学ドーム311b)を浮上させる程度のものであることが望ましい。
一方、カプセル本体302aの重心は、臓器内部の液体中で浮遊した状態の筐体311の浮遊姿勢を特定の浮遊姿勢に維持するように設定される。具体的には、カプセル本体302aの重心Gは、例えば筐体311の中心Cを境にして筐体311内部の光学ドーム311c側に電源部317の電池317a等を配置することによって、筐体311の中心Cから外れた位置に設定される。この場合、かかる重心Gは、筐体311の中心Cを境にして上述した撮像部314の反対側に設定される。
このように筐体311の中心Cから外れた位置にカプセル本体302aの重心Gを設定することによって、臓器内部の液体中で浮遊した状態の筐体311の浮遊姿勢は、特定の浮遊姿勢に維持される。具体的には、この筐体311の浮遊姿勢は、かかる重心Gによって、臓器内部の液体(すなわちカプセル型内視鏡302が浮遊する液体)の上方に撮像部314の撮像視野V1を向けるとともに臓器内部の液体中に撮像部315の撮像視野V2を向けるような特定の浮遊姿勢に維持される。
なお、かかる重心Gは、筐体311の中心Cから外れた位置であって筐体311の中心軸CL上またはその近傍に設定されることが望ましい。このような位置に重心Gを設定することによって、筐体311の浮遊姿勢は、撮像部314の撮像視野V1を略鉛直上方に向けるとともに撮像部315の撮像視野V2を略鉛直下方に向けるような特定の浮遊姿勢に維持される。
つぎに、被検体301の胃内部にカプセル型内視鏡302および必要量の水を導入し、この胃内部の水面に浮遊した状態で被検体301の胃内部の画像を撮像するカプセル型内視鏡302の動作を説明する。図21は、カプセル本体302aと複数の浮き部材302b,302cとが互いに別体の状態で被検体301の胃内部に導入される状態を例示する模式図である。図22は、実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302が胃内部の水面に浮遊した状態で胃内部の画像を順次撮像する状態を例示する模式図である。
まず、カプセル型内視鏡302は、カプセル本体302aと複数の浮き部材302b,302cとを互いに別体の状態にして被検体301の口から飲込まれる。かかるカプセル本体302aおよび複数の浮き部材302b,302cは、互いに別体の状態を維持しつつ被検体301の食道を通過し、図21に示すように被検体301の胃に順次到達する。
なお、かかるカプセル本体302aは、浮き部材302b,302cの前に被検体301に飲込まれてもよいが、浮き部材302b,302cの後に被検体301に飲み込まれることが望ましい。何故ならば、カプセル本体302aは、浮き部材302b,302cの後に飲込まれた場合、かかる浮き部材302b、302cの後を容易に追うことができ、臓器内部において筐体311の外壁に浮き部材302b,302cを付着させ易くなるからである。
ここで、被検体301がほぼ同一の体位を維持しつつカプセル本体302aおよび複数の浮き部材302b,302cを飲込んだ場合、かかるカプセル本体302aおよび複数の浮き部材302b,302cは、被検体301の胃内部の部分領域1000に集中する。かかる部分領域1000に集中したカプセル本体302aおよび複数の浮き部材302b,302cは、胃内部において一体化してカプセル型内視鏡302を形成する。具体的には、胃内部のカプセル本体302aは、粘着剤306によって筐体311の外壁に複数の浮き部材302b,302cを付着させる。この場合、複数の浮き部材302b,302cは、かかるカプセル本体302aの筐体311の外壁に付着した状態で上述した撮像視野V1,V2の外部領域に位置する。このようなカプセル型内視鏡302の比重は、かかる浮き部材302b,302cによって水の比重以下(すなわち1以下)に設定される。
その後、被検体301は、胃内部のカプセル型内視鏡302を浮遊させるに十分な量の水を飲み込む。このようにして、被検体301の胃内部に必要量の水が導入される。この胃内部に既に導入されているカプセル型内視鏡302は、かかる必要量の水の表面に浮遊した状態で胃内部の画像を順次撮像する。
具体的には、図22に示すように、筐体311の外壁に浮き部材302b,302cを付着させた状態のカプセル本体302aは、胃内部の水Wの表面に浮遊し、特定の浮遊姿勢をとる。ここで、カプセル本体302aの重心Gは、上述したように、筐体311の中心Cから外れた位置であって中心Cを境にして撮像部314の反対側に(望ましくは中心軸CL上に)設定される。このような位置に重心Gを設定することによって、かかる浮遊状態のカプセル本体302aは、水Wの表面において特定の浮遊姿勢、すなわち、光学ドーム311bを水面から浮上させ且つ光学ドーム311cを水中に沈めた態様の浮遊姿勢をとる。すなわち、カプセル本体302aは、かかる重心Gに起因して、水Wの上方(気中)に撮像部314の撮像視野V1を向けるとともに、水Wの表面下(液中)に撮像部315の撮像視野V2を向ける態様の浮遊姿勢を維持する。
このような浮遊姿勢を維持するカプセル本体302aは、水Wの上方に位置する気中の胃内部の画像と水Wの水面下に位置する液中の胃内部の画像とを交互に撮像する。この場合、撮像部314は、撮像視野V1の被写体である気中の胃内部の画像を光学ドーム311b越しに撮像する。撮像部315は、撮像視野V2の被写体である液中の胃内部の画像を光学ドーム311c越しに撮像する。かかる浮遊状態のカプセル本体302aは、このように気中の胃内部の画像と液中の胃内部の画像とを順次撮像することによって、被検体301の胃内部の全体的な画像を短時間に効率よく撮像することができる。カプセル本体302aは、かかる撮像部314,315によって交互に撮像された気中の胃内部の画像と液中の胃内部の画像とを被検体301外の受信装置303に順次無線送信する。
その後、かかるカプセル型内視鏡302を浮遊させていた水Wは、胃内部から後段の臓器(十二指腸等)に徐々に流出する。この場合、胃内部における水量が減少し、これに伴い、この胃内部における胃酸の濃度が増加する。これによって、胃内部の液体のpH値が所定値以下に減少する(すなわち胃内部の液体の酸性が強くなる)。胃内部のカプセル型内視鏡302は、かかる酸性の強い液体(酸性液体)に接触する。
ここで、かかるカプセル型内視鏡302の浮き部材302b,302cは、上述したように、所定のpH値以下の酸性液体によって溶解する。したがって、浮き部材302b,302cは、この胃内部の酸性液体によって溶解し、液状になる。この場合、胃内部のカプセル本体302aは、かかる浮き部材302b,302cを脱して単体になる。かかる単体のカプセル本体302aは、浮き部材302b,302cに対して別体の状態を維持しつつ、胃内部から後段の臓器(十二指腸等)に進行し、その後、小腸および大腸を経て被検体301の外部に排出される。
なお、かかるカプセル本体302aは、被検体301の消化管内を蠕動等によって無理なく進行可能な外形サイズに形成されたものであり、臓器内部に導入してから体外に自然排出されるまでの期間における被検体301の安全性が既に確認されたものである。したがって、浮き部材302b,302cに対して別体の状態を維持するカプセル本体302aは、被検体301に無理な負担を掛けることなく被検体301の臓器内部を進行することができる。また、カプセル本体302aに対して別体の状態を維持する浮き部材302b,302cは、かかるカプセル本体302aに比して小型に形成されているので、被検体301に無理な負担を掛けることなく被検体301の臓器内部を進行することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、カプセル型の筐体内部に撮像機能および無線通信機能を備えたカプセル本体と複数の浮き部材とを互いに別体の状態で被検体の臓器内部に順次導入し、この臓器内部においてカプセル本体の筐体外壁に複数の浮き部材を付着するようにし、かかるカプセル本体の筐体外壁に複数の浮き部材を付着して形成される当該カプセル型内視鏡の比重を臓器内部の液体の比重以下にしている。このため、被検体の臓器内部を容易に移動可能な大きさを維持した状態でカプセル本体および複数の浮き部材を観察対象の臓器内部に順次導入でき、被検体に無理な負担を掛けることなく、この観察対象の臓器内部においてカプセル本体の筐体外壁に複数の浮き部材を付着した状態のカプセル型内視鏡を形成できる。この結果、被検体内に導入する際に飲込み易い大きさを維持しつつ、被検体の臓器内部において液体中で浮遊可能なカプセル型内視鏡を実現することができる。
また、かかるカプセル本体の筐体外壁に付着した浮き部材を被検体の臓器内部で溶解するように構成したので、観察対象の臓器内部から後段の臓器に進行する際に、浮き部材に対して別体の状態をカプセル本体に維持させることができる。この結果、被検体に無理な負担を掛けることなく、観察対象の臓器内部の画像を撮像し終えたカプセル本体を被検体の外部に自然排出することができる。
さらに、粘着剤によってカプセル本体の筐体外壁に浮き部材を着脱可能に付着したので、十二指腸等の細い臓器内部にカプセル本体が進行する際に浮き部材を容易に離脱させることができる。このため、かかる浮き部材が筐体外壁に溶け残った場合であっても、観察対象の臓器内部から後段の臓器に進行する際に、浮き部材に対して別体の状態をカプセル本体に確実に維持させることができる。
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5について説明する。上述した実施の形態4では、粘着剤306によってカプセル本体302aの筐体311に複数の浮き部材302b,302cを着脱可能に付着させていたが、この実施の形態5では、浮き部材に磁性部材を形成し、且つ、カプセル本体の筐体内部に磁石を固定配置し、かかる磁石の磁力によってカプセル本体の筐体外壁に浮き部材を着脱可能に付着させている。
図23は、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。図24は、本発明の実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡のカプセル本体の一構成例を示す側断面模式図である。図23,24に示すように、この実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡320は、上述した実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302のカプセル本体302aに代えてカプセル本体320aを有し、浮き部材302b,302cに代えて浮き部材320b,320cを有する。このカプセル本体320aは、上述した実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302のカプセル本体302aと同様の構成を有し、筐体311の内部に磁石321をさらに有する。なお、この実施の形態5にかかる被検体内情報取得システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡302に代えてカプセル型内視鏡320を有する。その他の構成は実施の形態4と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル本体320aは、上述した実施の形態4のカプセル本体302aと同様の撮像機能および無線通信機能を有し、筐体311の内部に固定配置した磁石321の磁力によって、筐体311の外壁に浮き部材320b,320cを着脱可能に付着させる。浮き部材320b,320cは、上述した実施の形態4の浮き部材302b,302cの場合と同様にカプセル本体320aに対して別体の状態で被検体301の臓器内部に導入され、かかるカプセル本体320aを臓器内部の液体中で浮遊させる。具体的には、浮き部材320b,320cは、例えば樹脂部材を用いてカプセル型に形成された空洞部材に磁性部材を加えたものである。このような浮き部材320b,320cは、かかるカプセル型の空洞部材の外壁面の一部領域または全領域に膜状の磁性部材(磁性膜)を形成したものであってもよいし、かかるカプセル型の空洞部材の内壁面に塊状または膜状の磁性部材を形成したものであってもよい。かかる浮き部材320b,320cは、カプセル本体320aの筐体311に付着することによって液体中でカプセル本体320aを浮遊させる浮きとして機能する。すなわち、浮き部材320b,320cは、カプセル本体320aの筐体311に付着してカプセル型内視鏡320の比重を所定の液体(被検体301の臓器内部に導入される液体)の比重以下にする。
このような浮き部材320b,320cは、カプセル型内視鏡320の比重を臓器内部の液体の比重以下に設定可能であれば、カプセル本体320aの筐体311に比して小型に形成されることが望ましい。具体的には、かかるカプセル型の浮き部材320b,320cの長手方向の長さは、カプセル本体320aの筐体311の長手方向の長さに比して短いことが望ましい。これによって、かかる筐体311の外壁に付着した状態の浮き部材320b,320cが、カプセル本体320aの撮像視野V1,V2内に入ることを容易に防止できる。
磁石321は、撮像視野V1,V2の外部領域であるケース本体311aの外壁面に対して浮き部材320b,320cを着脱可能に付着する付着手段として機能する。具体的には、磁石321は、例えばリング状または棒状の永久磁石であって、筐体311のケース本体311aの内壁面に必要数配置される。このような磁石321は、ケース本体311aを介して筐体311の外部近傍に磁力を発生し、撮像視野V1,V2の外部領域であるケース本体311aの外壁面に対して浮き部材320b,320cを磁力によって着脱可能に付着する。かかる磁石321の磁力によってケース本体311aの外壁面に付着した状態の浮き部材320b,320cは、撮像視野V1,V2の外部領域に位置し、かかる撮像視野V1,V2を遮らない。
つぎに、図24を参照しつつカプセル本体320aの比重および重心について説明する。この実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡320のカプセル本体320aは、上述したように、カプセル形状の筐体311の内部に、照明部312,313、撮像部314,315、無線通信部316、電源部317、制御部318、および磁石321を収容した構造を有する。このような構造のカプセル本体320aは、磁石321の磁力によって筐体311の外壁に浮き部材320b,320cを付着させた場合に、臓器内部の液体中で浮遊する。すなわち、かかるカプセル本体320aの筐体311に浮き部材320b,320cを付着した状態のカプセル型内視鏡320の比重は、被検体の臓器内部に導入される所定の液体(例えば水等)の比重以下に設定される。
ここで、カプセル本体320aの比重は、上述した磁石321の磁力によって筐体311の外壁に浮き部材320b,320cを付着することによって臓器内部の液体中で浮遊できる程度であれば、この臓器内部の液体の比重に比して大きくてもよい。このような比重を有するカプセル本体320aは、上述した照明部312,313、撮像部314,315、無線通信部316、電源部317、制御部318、および磁石321を筐体311の内部に高密度に収容できる。このため、かかるカプセル本体320aの外形サイズは、臓器内部の液体に沈むカプセル型内視鏡に比して同程度またはそれ以下に小型化することができる。
かかるカプセル本体320aに浮き部材320b,320cを付着して形成されるカプセル型内視鏡320は、臓器内部の液体表面に浮遊することが望ましい。すなわち、このようなカプセル型内視鏡320の比重は、臓器内部の液体表面からカプセル型内視鏡320の一部分(例えば光学ドーム311b)を浮上させる程度のものであることが望ましい。
なお、カプセル本体320aの重心Gは、上述した実施の形態4の場合と同様に、筐体311の中心Cを境にして筐体311内部の光学ドーム311c側に電源部317の電池317a等を配置することによって、筐体311の中心Cから外れた位置に設定される。この場合、かかる重心Gは、筐体311の中心Cを境にして上述した撮像部314の反対側に設定される。
つぎに、被検体301の胃内部にカプセル型内視鏡320および必要量の水を導入し、この胃内部の水面に浮遊した状態で被検体301の胃内部の画像を撮像するカプセル型内視鏡320の動作を説明する。図25は、実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡320が胃内部の水面に浮遊した状態で胃内部の画像を順次撮像する状態を例示する模式図である。
まず、カプセル型内視鏡320は、カプセル本体320aと複数の浮き部材320b,320cとを互いに別体の状態にして被検体301の口から飲込まれる。かかるカプセル本体320aおよび複数の浮き部材320b,320cは、上述した実施の形態4の場合と同様に、互いに別体の状態を維持しつつ被検体301の食道を通過し、被検体301の胃に順次到達する。
なお、かかるカプセル本体320aは、浮き部材320b,320cの前に被検体301に飲込まれてもよいが、浮き部材320b,320cの後に被検体301に飲み込まれることが望ましい。何故ならば、カプセル本体320aは、浮き部材320b,320cの後に飲込まれた場合、かかる浮き部材320b、320cの後を容易に追うことができ、臓器内部において筐体311の外壁に浮き部材320b,320cを付着させ易くなるからである。
このように別体の状態で被検体301の口から飲み込まれたカプセル本体320aおよび浮き部材320b,320cは、上述した実施の形態4の場合と同様に、被検体301の胃内部の部分領域1000(図21参照)に集中する。かかる胃内部の部分領域1000に集中したカプセル本体320aおよび複数の浮き部材320b,320cは、胃内部において一体化してカプセル型内視鏡320を形成する。具体的には、胃内部のカプセル本体320aは、磁石321の磁力によって複数の浮き部材320b,320cを引き寄せるとともに、この磁力によって筐体311の外壁に複数の浮き部材320b,320cを付着させる。この場合、複数の浮き部材320b,320cは、かかるカプセル本体320aの筐体311の外壁に付着した状態で上述した撮像視野V1,V2の外部領域に位置する。このようなカプセル型内視鏡320の比重は、かかる浮き部材320b,320cによって水の比重以下(すなわち1以下)に設定される。
その後、被検体301は、胃内部のカプセル型内視鏡320を浮遊させるに十分な量の水を飲み込む。このようにして、被検体301の胃内部に必要量の水が導入される。この胃内部に既に導入されているカプセル型内視鏡320は、かかる必要量の水の表面に浮遊した状態で胃内部の画像を順次撮像する。
具体的には、図25に示すように、磁力によって筐体311の外壁に浮き部材320b,320cを付着させた状態のカプセル本体320aは、胃内部の水Wの表面に浮遊し、特定の浮遊姿勢をとる。ここで、カプセル本体320aの重心Gは、上述した実施の形態4の場合と同様に、筐体311の中心Cから外れた位置であって中心Cを境にして撮像部314の反対側に(望ましくは中心軸CL上に)設定される。このような位置に重心Gを設定することによって、かかる浮遊状態のカプセル本体320aは、水Wの表面において特定の浮遊姿勢、すなわち、光学ドーム311bを水面から浮上させ且つ光学ドーム311cを水中に沈めた態様の浮遊姿勢をとる。すなわち、カプセル本体320aは、かかる重心Gに起因して、水Wの上方(気中)に撮像部314の撮像視野V1を向けるとともに、水Wの表面下(液中)に撮像部315の撮像視野V2を向ける態様の浮遊姿勢を維持する。
このような浮遊姿勢を維持するカプセル本体320aは、上述した実施の形態4の場合と同様に、水Wの上方に位置する気中の胃内部の画像と水Wの水面下に位置する液中の胃内部の画像とを交互に撮像する。このように気中の胃内部の画像と液中の胃内部の画像とを順次撮像することによって、かかる浮遊状態のカプセル本体320aは、被検体301の胃内部の全体的な画像を短時間に効率よく撮像することができる。カプセル本体320aは、かかる撮像部314,315によって交互に撮像された気中の胃内部の画像と液中の胃内部の画像とを被検体301外の受信装置303に順次無線送信する。
その後、かかるカプセル型内視鏡320を浮遊させていた水Wは、胃内部から後段の臓器(十二指腸等)に徐々に流出する。かかる水Wの流水作用によって、カプセル型内視鏡320は、胃内部から後段の臓器に進行し始める。ここで、かかるカプセル型内視鏡320の浮き部材320b,320cは、上述したように、磁石321の磁力によって筐体311の外壁に着脱可能に付着している。このような浮き部材320b,320cは、十二指腸等の細い臓器内部にカプセル本体320aが進行する際に臓器内壁に接触して、磁石321の磁場から容易に外れる。
したがって、カプセル本体320aは、胃内部から十二指腸に進行する際に浮き部材320b,320cを容易に離脱させることができ、かかる浮き部材320b,320cに対して別体の状態で十二指腸等の後段の臓器内部を進行できる。かかるカプセル本体320aは、浮き部材320b,320cに対して別体の状態を維持しつつ、胃内部から後段の臓器(十二指腸等)に進行し、その後、小腸および大腸を経て被検体301の外部に排出される。
なお、かかるカプセル本体320aは、被検体301の消化管内を蠕動等によって無理なく進行可能な外形サイズに形成されたものであり、臓器内部に導入してから体外に自然排出されるまでの期間における被検体301の安全性が既に確認されたものである。したがって、浮き部材320b,320cに対して別体の状態を維持するカプセル本体320aは、被検体301に無理な負担を掛けることなく被検体301の臓器内部を進行することができる。また、カプセル本体320aに対して別体の状態を維持する浮き部材320b,320cは、かかるカプセル本体320aに比して小型に形成されてので、被検体301に無理な負担を掛けることなく被検体301の臓器内部を容易に進行することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態5では、上述した実施の形態4と略同様の構成を有するカプセル本体の筐体内部に粘着剤に代えて磁石を配置し、且つ、複数の浮き部材に磁性部材を形成している。また、かかるカプセル本体と複数の浮き部材とを互いに別体の状態で被検体の臓器内部に順次導入し、この臓器内部においてカプセル本体の筐体外壁に複数の浮き部材を磁力によって付着するようにし、かかるカプセル本体の筐体外壁に複数の浮き部材を付着して形成される当該カプセル型内視鏡の比重を臓器内部の液体の比重以下にしている。このため、上述した実施の形態4と同様の作用効果を享受するとともに、別体の状態で臓器内部に導入されたカプセル本体と複数の浮き部材とを磁力によって容易に一体化することができ、被検体に無理な負担を掛けることなく、観察対象の臓器内部において液体中で浮遊可能なカプセル型内視鏡を容易に実現することができる。
また、磁力によってカプセル本体の筐体外壁に複数の浮き部材を付着させているので、観察対象の臓器内部から後段の臓器(例えば十二指腸等の細い臓器)に進行する際に、カプセル本体から浮き部材を容易に離脱することができる。この結果、かかる後段の臓器に向けて進行し始めたカプセル本体と浮き部材とを容易に別体の状態にすることができ、被検体に無理な負担を掛けることなく、観察対象の臓器内部の画像を撮像し終えたカプセル本体と浮き部材とを被検体の外部に自然排出することができる。
なお、本発明の実施の形態4,5では、筐体311の内部に2つの撮像部314,315を有する多眼のカプセル本体に対して浮き部材を付着したカプセル型内視鏡を例示したが、これに限らず、カプセル型の筐体内部に1つの撮像部を有する単眼のカプセル本体に対して浮き部材を付着したカプセル型内視鏡であってもよい。
具体的には、例えば図26に示すように、単一の撮像視野V1を有する単眼のカプセル本体330aの筐体外壁に複数の浮き部材302b,302cを付着して本発明の変形例にかかるカプセル型内視鏡330を構成してもよい。かかるカプセル本体330aの筐体331は、一端が開口し且つ他端がドーム状に閉じた筒状構造のケース本体331aと、このケース本体331aの一端(開口端)に取り付けられる光学ドーム311bとによって形成される。かかるカプセル本体330aは、上述した照明部312、撮像部314、無線通信部316、電源部317、および制御部318等に例示されるように、撮像視野V1の被写体の画像を撮像する撮像機能と撮像視野V1の被写体の画像を受信装置303に無線送信する無線通信機能とを筐体331の内部に備えればよい。
このようなカプセル型内視鏡330において、複数の浮き部材302b,302cは、上述した実施の形態4と同様にケース本体331aの外壁に粘着剤306によって着脱可能に付着してもよいし、図26に示すようにケース本体331aのドーム状端部に粘着剤306によって着脱可能に付着してもよい。かかるドーム状端部に複数の浮き部材302b,302cを付着した状態のカプセル型内視鏡330は、臓器内部の液体中に浮遊した状態で液中に撮像視野V1を向ける。この場合、かかるカプセル型内視鏡330のカプセル本体330aの重心は、筐体331の中心から外れた位置に設定しなくてもよく、かかる筐体331の中心等の任意の位置に設定してもよい。
また、かかる複数の浮き部材302b,302cに代えて磁性部材を備えた浮き部材320b,320cを筐体331の外壁に付着させてもよい。この場合、かかるカプセル本体330aは、上述した実施の形態5の場合と同様に、筐体331のケース本体331aの内部にリング状または棒状の磁石321を有し、この磁石321の磁力によって筐体331の外壁に浮き部材320b,320cを着脱可能に付着すればよい。なお、筐体331のドーム状端部の内壁に磁石321を配置し、この磁石321の磁力によって筐体331のドーム状端部に浮き部材320b,320cを着脱可能に付着させてもよい。この場合、かかるカプセル型内視鏡330のカプセル本体330aの重心は、筐体331の中心から外れた位置に設定しなくてもよく、かかる筐体331の中心等の任意の位置に設定してもよい。
なお、本発明の実施の形態4,5および変形例では、カプセル本体の筐体外壁に2つの浮き部材を付着していたが、これに限らず、カプセル型内視鏡の比重を臓器内部の液体の比重以下に設定可能であれば、このカプセル型内視鏡のカプセル本体の筐体外壁には1以上の浮き部材が付着していればよい。
また、本発明の実施の形態4,5では、2つの浮き部材を被検体の臓器内部に導入していたが、これに限らず、被検体の臓器内部には、臓器内部の液体中にカプセル本体を浮遊させるに十分な浮き部材を1つ導入してもよいが、複数の浮き部材を互いに別体の状態で順次導入することが望ましい。被検体の臓器内部に複数の浮き部材を別体の状態で導入することによって、この臓器内部でカプセル本体の筐体外壁に1以上の浮き部材を確実に付着できるからである。このことは、上述したカプセル型内視鏡330に例示される本発明の変形例についても同様である。
さらに、本発明の実施の形態4,5および変形例では、カプセル型の浮き部材を例示していたが、これに限らず、カプセル本体の筐体外壁に付着する浮き部材の外形は球状、楕円状等の丸みを帯びた形状であってもよいが、上述したようなカプセル型であることが望ましい。何故ならば、カプセル型の浮き部材は、カプセル本体の筐体外壁に付着する際の筐体外壁に対する接触面積が球状等の場合に比して大きくなり、この筐体外壁に付着し易いからである。
また、本発明の実施の形態4では、被検体の臓器内部で浮き部材302b,302cを溶解していたが、これに限らず、浮き部材302b,302cを樹脂部材等の臓器内部で溶解しない部材を用いて形成し、上述した実施の形態5の場合と同様に浮き部材302b,302cを被検体の外部に自然排出してもよい。
さらに、本発明の実施の形態5では、浮き部材320b,320cを臓器内部で溶解せずに被検体の外部に自然排出していたが、これに限らず、浮き部材320b,320cをゼラチン等の臓器内部で溶解可能な部材と磁性部材とを用いて形成し、上述した実施の形態4の場合と同様に浮き部材320b,320cを臓器内部で溶解してもよい。
また、本発明の実施の形態4では、所定のpH値以下の酸性液体によって浮き部材302b,302cを溶解していたが、これに限らず、浮き部材302b,302cは、酵素によって溶解するものでもよいし、臓器内部で所定の時間以上が経過した場合に溶解するものでもよい。このことは、磁性部材を備えた浮き部材320b,320cについても同様である。
さらに、本発明の実施の形態4,5では、撮像視野V1,V2が互いに反対方向を向いていたが、これに限らず、かかる撮像視野V1,V2は、互いに異なる方向を向くものであればよい。この場合、撮像視野V1の中心軸(撮像部314の光軸)および撮像視野V2の中心軸(撮像部315の光軸)は、互いに平行または同一直線上に位置してもよいし、筐体311中心軸CLに対して傾斜してもよい。
また、本発明の実施の形態5では、カプセル型筐体内に磁石を備え、浮き部材に磁性材料を備えたが、これに限らず、カプセル型筐体内に磁性材料を備え、浮き部材に磁石を備えても良い。また、カプセル型筐体と浮き部材の両方に磁石を備えても同様の効果が得られる。
さらに、本発明の実施の形態5では、カプセル型筐体の磁石は永久磁石でも電磁石でも良い。電磁石の場合は、電流を流すことで浮き部材を吸着できると共に、電流を停止することで、浮き部材を切り離すことができる。従ってカプセル型筐体と浮き部材を嚥下後に電磁石に通電し、浮き部材を吸着し、検査終了後に通電を停止し、浮き部材を分離することで、検査終了後の通過性を向上することができる。