以下、図面を参照して、本発明にかかる体内観察システムおよび体内観察方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる体内観察システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、この実施の形態1にかかる体内観察システム1は、患者等の被検体(図示せず)の臓器内部に導入されるカプセル型内視鏡2と、この被検体内部のカプセル型内視鏡2を磁気的に誘導するための外部磁界を発生する磁界発生部3と、磁界発生部3のコイル(電磁石)に対して電流を供給するコイル用電源4と、を備える。また、体内観察システム1は、この被検体の体表面上に配置される複数の受信アンテナ5と、これら複数の受信アンテナ5を介してカプセル型内視鏡2からの画像信号を受信する受信部6と、この被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の現在位置および現在姿勢を検出する位置姿勢検出部7と、を備える。また、体内観察システム1は、各種情報を入力する入力部8と、この被検体の体内画像等の各種情報を表示する表示部9と、各種情報を記憶する記憶部10と、かかる体内観察システム1の各構成部を制御する制御部11と、を備える。
カプセル型内視鏡2は、被検体の体内画像群を取得する体内画像取得装置の一例であり、被検体の体内画像を撮像する撮像機能と、この撮像機能によって撮像した体内画像を被検体外部に無線送信する無線通信機能とを有する。具体的には、カプセル型内視鏡2は、患者等の被検体の臓器内部に導入され、この被検体の臓器内部を蠕動運動等によって移動する。かかるカプセル型内視鏡2は、被検体の体外に自然排出されるまでの期間、この被検体の体内画像を順次取得し、取得した体内画像を含む画像信号を被検体外部の受信部6に順次無線送信する。また、カプセル型内視鏡2は、永久磁石等の磁性体または電磁石(以下、単に磁石という)を内蔵し、被検体の体外から磁界発生部3が形成した外部磁界によって誘導される。なお、かかるカプセル型内視鏡2の詳細な構成は、後述する。
磁界発生部3は、ヘルムホルツコイル等の電磁石を複数組み合わせて実現され、被検体内部のカプセル型内視鏡2を誘導可能な磁界(外部磁界)を発生する。具体的には、磁界発生部3は、直交する3軸(x軸、y軸、z軸)による3軸直交座標系(以下、xyz座標系という)が規定され、かかるxyz座標系の各軸方向(x軸方向、y軸方向、z軸方向)に対して所望強度の磁界をそれぞれ発生する。磁界発生部3は、例えばベッド等に載置した状態の被検体(図示せず)をxyz座標系の空間内部(すなわち磁界発生部3の複数の電磁石によって囲まれた空間内部)に位置させ、かかるxyz座標系の各軸方向の磁界によって形成される外部磁界、すなわち3次元の回転磁界または3次元の勾配磁界をこの被検体内部のカプセル型内視鏡2(詳細には後述する磁石28)に対して印加する。磁界発生部3は、かかる外部磁界の磁気引力または磁気斥力によって、この被検体内部のカプセル型内視鏡2を所望の位置に誘導する(変位させる)。
また、磁界発生部3は、この被検体内部のカプセル型内視鏡2の撮像方向を変更する方向変更手段として機能する。具体的には、磁界発生部3は、上述した外部磁界の磁界方向を変更することによって、この被検体内部のカプセル型内視鏡2の姿勢、すなわちこの被検体に対するカプセル型内視鏡2の相対的な方向を変更する。これによって、磁界発生部3は、この被検体内部のカプセル型内視鏡2の撮像方向(詳細には、後述する撮像部23の撮像方向)を変更する。なお、かかる磁界発生部3が発生するxyz座標系の各軸方向の磁界(すなわち回転磁界および勾配磁界等の外部磁界)は、コイル用電源4から供給される交流電流(コイル用電源4からの通電量)によって制御される。
なお、かかるxyz座標系は、上述したように磁界発生部3に対して規定した(すなわち磁界発生部3に固定された)3軸直交座標系であってもよいが、カプセル型内視鏡2を臓器内部に含む被検体(図示せず)に対して固定される3軸直交座標系であってもよいし、この被検体を載置するベッド(図示せず)に対して固定される3軸直交座標系であってもよい。
コイル用電源4は、被検体内部のカプセル型内視鏡2に対して印加する外部磁界を発生させるための電流を磁界発生部3に供給するためのものである。かかるコイル用電源4は、制御部11の制御に基づいて、磁界発生部3の複数の電磁石に対して交流電流を供給し、上述したxyz座標系の各軸方向の磁界を発生させる。
複数の受信アンテナ5は、被検体内部に導入されたカプセル型内視鏡2からの無線信号を捕捉するためのものである。具体的には、複数の受信アンテナ5は、上述したカプセル型内視鏡2を臓器内部に導入する被検体の体表面上に分散配置され、この臓器内部を通過するカプセル型内視鏡2からの無線信号を補足する。複数の受信アンテナ5は、かかるカプセル型内視鏡2からの無線信号を受信部6に送出する。なお、かかるカプセル型内視鏡2からの無線信号は、カプセル型内視鏡2が撮像機能によって取得した被検体の体内画像を含む画像信号に対応する。
受信部6は、上述した複数の受信アンテナ5と接続され、これら複数の受信アンテナ5を介してカプセル型内視鏡2からの画像信号を受信する。具体的には、受信部6は、これら複数の受信アンテナ5のうちの最も受信電界強度の高い受信アンテナを選択し、この選択した受信アンテナを介してカプセル型内視鏡2からの無線信号を受信する。受信部6は、この受信したカプセル型内視鏡2からの無線信号に対して復調処理等を行って、この無線信号に含まれる画像信号を抽出し、この抽出した画像信号を制御部11に送出する。
位置姿勢検出部7は、被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の位置および姿勢を3次元的に検出する。具体的には、位置姿勢検出部7は、制御部11の制御に基づいて、上述したxyz座標系の3軸方向のうちの2軸方向に対して磁界を発生し、かかる2軸方向の各磁界の作用によって、被検体内部のカプセル型内視鏡2から誘導磁界を発生させる。位置姿勢検出部7は、上述したxyz座標系の2軸方向について、この被検体内部のカプセル型内視鏡2からの誘導磁界の磁界強度および磁界方向を検出する。位置姿勢検出部7は、かかる誘導磁界の検出結果をもとに、上述したxyz座標系におけるカプセル型内視鏡2の空間座標と方向ベクトル(カプセル型内視鏡2の長手方向および径方向の各方向ベクトル)とを算出する。位置姿勢検出部7は、かかるxyz座標系におけるカプセル型内視鏡2の空間座標および方向ベクトルをもとに、この被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の現在位置および現在姿勢を3次元的に検出する。位置姿勢検出部7は、このように検出した被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の現在位置情報および現在姿勢情報を制御部11に送出する。
なお、かかるカプセル型内視鏡2の姿勢は、カプセル型内視鏡2が有するカプセル型筐体の長手方向と、このカプセル型筐体の径方向(カプセル型筐体の長手方向に対して垂直な方向)によって規定されるカプセル型内視鏡2の長手軸中心の回転状態とによって決定される。
入力部8は、キーボードおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、医師または看護師等のユーザによる入力操作に応じて、制御部11に各種情報を入力する。かかる入力部8によって制御部11に入力される各種情報は、例えば、制御部11に対して指示する指示情報、カプセル型内視鏡2の撮像機能に関する情報、被検体の患者情報、被検体の検査情報等である。なお、カプセル型内視鏡2の撮像機能に関する情報は、例えば、被検体の体内画像を順次する際のフレームレート、画角、体内画像の一辺の画素数、光学系の焦点位置または撮像時間等の体内画像の撮像条件等である。また、被検体の患者情報は、被検体の患者名、患者ID、生年月日、性別、年齢等であり、被検体の検査情報は、被検体に対して実施されるカプセル型内視鏡検査(消化管内部にカプセル型内視鏡2を導入して消化管内部を観察するための検査)を特定する検査ID、検査日等である。
表示部9は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイを用いて実現され、制御部11によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部9は、カプセル型内視鏡2が撮像した被検体の体内画像群、被検体の患者情報、および被検体の検査情報等のカプセル型内視鏡検査に有用な情報を表示する。医師または看護師等のユーザは、かかる表示部9に表示された体内画像群を観察し、かかる体内画像群の観察を通して被検体の臓器内部を検査する。また、表示部9は、被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の現在位置情報および現在姿勢情報等のカプセル型内視鏡2の磁気誘導に有用な情報を表示する。
記憶部10は、RAM、EEPROM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の書き換え可能に情報を保存する各種記憶メディアを用いて実現される。記憶部10は、制御部11が記憶指示した各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から制御部11が読み出し指示した情報を制御部11に送出する。かかる記憶部10が記憶する情報は、例えば、被検体の体内画像群、被検体の患者情報および検査情報、被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の現在位置情報および現在姿勢情報、カプセル型内視鏡2の撮像機能に関する情報等である。
制御部11は、体内観察システム1の各構成部(磁界発生部3、コイル用電源4、受信部6、位置姿勢検出部7、入力部8、表示部9、および記憶部10)の動作を制御し、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部11は、入力部8によって入力された指示情報に基づいて、上述した受信部6、位置姿勢検出部7、表示部9、および記憶部10の各動作を制御する。また、制御部11は、入力部8によって入力された指示情報に基づいて、磁界発生部3に対するコイル用電源4の通電量を制御し、このコイル用電源4の制御を通して、上述した磁界発生部3の磁界発生動作を制御する。この場合、制御部11は、磁界発生部3がカプセル型内視鏡2に対して外部磁界を発生するタイミングと、受信部6がカプセル型内視鏡2からの無線信号を受信するタイミングと、位置姿勢検出部7がカプセル型内視鏡2の現在位置および現在姿勢を検出するタイミングとが重ならないように、磁界発生部3、受信部6、および位置姿勢検出部7の各動作タイミングを制御する。
また、制御部11は、磁界制御部11aおよび速度設定部11bを有し、磁界発生部3が被検体内部のカプセル型内視鏡2に印加する外部磁界を制御することによって、この被検体内部のカプセル型内視鏡2の誘導(被検体内部における変位および姿勢変更の少なくとも一つ)を制御する。具体的には、速度設定部11bは、入力部8によって入力されたカプセル型内視鏡2の撮像機能に関する情報(例えばフレームレート、画角、体内画像の一辺の画素数、および撮像条件)をもとに角速度を算出し、この算出した角速度を、かかる磁界発生部3による外部磁界の磁界方向を変更する際の角速度として設定する。磁界制御部11aは、磁界発生部3に対するコイル用電源4の通電量の制御を通して、磁界発生部3が被検体内部のカプセル型内視鏡2に印加する外部磁界(勾配磁界または回転磁界)の磁気引力、磁気斥力、および磁界方向を制御する。かかる磁界制御部11aは、速度設定部11bによって設定された角速度で外部磁界の磁界方向(すなわち、この外部磁界に追従して姿勢を変更するカプセル型内視鏡2の撮像方向)を磁界発生部3に変更させる。
さらに、制御部11は、上述した受信部6によって復調された画像信号をもとに被検体の体内画像を生成(再構築)する画像処理機能を有する。具体的には、制御部11は、受信部6から画像信号を取得し、この取得した画像信号に対して所定の画像処理を行って被検体の体内画像を生成する。制御部11は、このように生成した被検体の体内画像を記憶部10に順次記憶させ、入力部8からの指示情報に基づいて、かかる被検体の体内画像群を表示部9に表示させる。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる体内画像取得装置の一例であるカプセル型内視鏡2の構成を詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡2の一構成例を示す模式図である。図3は、カプセル型内視鏡2による体内画像の撮像タイミングを例示する模式図である。図2に示すように、カプセル型内視鏡2は、被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体20を備える。また、カプセル型内視鏡2は、この筐体20の内部に、被検体の体内を照明する照明部21と、照明部21によって照明された被検体の体内画像を撮像する撮像部23と、撮像部23によって撮像された体内画像を生成する信号処理部24と、かかる体内画像を外部に無線送信する送信部25と、制御部26と、かかるカプセル型内視鏡2の各構成部に電力を供給する電池27と、上述した磁界発生部3の外部磁界に追従して筐体20を動作させる磁石28と、を備える。
筐体20は、患者等の被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型内視鏡2の外装ケースとして機能する。かかる筐体20は、筒状構造を有する筒状胴部20aとドーム構造を有する光学ドーム20bとによって形成され、複数の照明部21、撮像部23、信号処理部24、送信部25、制御部26、電池27、および磁石28を液密に内包する。筒状胴部20aは、一端がドーム形状をなし且つ他端が開口した筒状構造の外装部材であり、複数の照明部21、撮像部23、信号処理部24、送信部25、制御部26、電池27、および磁石28を内部に収容する。かかる筒状胴部20aの開口端部には光学ドーム20bが取り付けられる。光学ドーム20bは、所定の光波長帯域に対して透明なドーム状の光学部材であり、筒状胴部20aの開口端部を塞ぐ。
複数の照明部21は、LED等の発光素子を用いて実現され、被検体の体内(臓器内部)を照明光によって照明する。具体的には、複数の照明部21は、光学ドーム20bを介して被検体の臓器内部に照明光(例えば白色光)を照射し、この照明光によって、光学ドーム20b越しに撮像部23の撮像視野である臓器内部を照明する。
撮像部23は、筐体20の内部に固定配置され、複数の照明部21によって照明された被検体の体内画像を撮像する。具体的には、撮像部23は、集光レンズ等の光学系23aと、CMOSイメージセンサまたはCCD等の固体撮像素子23bとを有する。光学系23aは、上述した照明部21によって照明された被検体の臓器内部(すなわち撮像部23の撮像視野)からの反射光を集光して、固体撮像素子23bの受光面に被写体画像を結像する。固体撮像素子23bは、この光学系23aの焦点位置に受光面を配置し、この受光面を介して臓器内部からの反射光を受光し、この受光した反射光に対して光電変換処理を行って体内画像の画像データを生成する。
かかる光学系23aおよび固体撮像素子23bを有する撮像部23は、図2に示すように、画角θ[deg.]を有し、カプセル型の筐体20の長手方向の中心軸CLと略平行な撮像方向Fに、この画角θによって規定される撮像視野(以下、カプセル型内視鏡2の撮像視野という場合がある)を有する。この場合、かかる撮像部23の光軸は、筐体20の中心軸CLと略平行であり、望ましくは略一致する。また、かかる撮像部23は、この撮像視野内に位置する臓器内部の体内画像を所定のフレームレートf[フレーム/秒]で順次撮像する。かかる撮像部23によって撮像された体内画像の画像データは、信号処理部24に順次送出される。
信号処理部24は、撮像部23から画像データを取得し、この取得した画像データに対して所定の画像処理を行って、撮像部23が撮像した体内画像を含む画像信号を生成する。かかる信号処理部24によって生成された画像信号は、送信部25に順次送出される。送信部25は、上述した撮像部23によって撮像された体内画像を外部に順次無線送信する。具体的には、送信部25は、信号処理部24によって生成された画像信号(すなわち、撮像部23が撮像した体内画像を含む画像信号)を取得し、この取得した画像信号に対して変調処理等を行って、この画像信号を変調した無線信号を生成する。送信部25は、かかる無線信号を外部(具体的には図1に示した受信部6)に順次送信する。
制御部26は、上述した複数の照明部21、撮像部23、および送信部25を制御し、かかるカプセル型内視鏡2の各構成部の間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部26は、図3に示すように、複数の照明部21が照明光によって照明した被検体の体内画像を所定の撮像間隔T毎に撮像部23に撮像させる。この場合、制御部26は、撮像間隔T毎に発光時間tだけ照明光を複数の照明部21に同時発光させるとともに、この照明光の発光時間tと同時期に撮像部23を露光させる。また、制御部26は、かかる撮像部23によって撮像された体内画像を時系列に沿って順次、送信部25に無線送信させる。
なお、かかる制御部26によって制御される撮像部23の撮像間隔Tは、1フレームの体内画像を撮像開始してから次のフレームの体内画像を撮像開始するまでの時間間隔であり、複数の照明部21が発光する照明光の発光時間t、撮像部23の受光時間(露光時間)、および上述した信号処理部24による体内画像の画像処理時間等を含む。かかる撮像間隔Tは、上述した撮像部23のフレームレートfを規定する。すなわち、撮像部23のフレームレートfは、この撮像間隔Tの逆数と同値である。また、かかる制御部26によって制御される複数の照明部21の発光時間tは、撮像部23が1フレームの体内画像を撮像する際の撮像時間の一例であり、撮像部23の受光時間と同値である。
磁石28は、上述した磁界発生部3(図1参照)が形成した外部磁界によるカプセル型内視鏡2の誘導を可能にするためのものである。具体的には、磁石28は、筐体20内部の所定位置に配置され、所定の方向、例えば筐体20の長手方向、さらに望ましくは撮像部23の撮像方向Fと同一方向に磁化される。かかる磁石28は、上述した磁界発生部3による外部磁界に追従して筐体20を動作させる。この場合、磁石28は、磁界発生部3による外部磁界の磁気引力または磁気斥力によって筐体20を移動させる。かかる磁石28の作用によって、カプセル型内視鏡2は被検体内部における所望の位置に変位する。一方、磁石28は、磁界発生部3による外部磁界の磁界方向の変化に追従して筐体20の姿勢、すなわちカプセル型内視鏡2の姿勢を変化させる。かかる磁石28の作用によって、被検体に対するカプセル型内視鏡2の相対的な方向が変化するとともに、撮像部23の撮像方向Fが被検体内部における所望の方向に変更される。
なお、かかるカプセル型内視鏡2の筐体20の内部には、図2に特に図示していないが、上述した位置姿勢検出部7が形成した磁界の作用によって誘導磁界を発生する磁界発生コイルが配置される。この磁界発生コイルは、例えば、直交する2軸方向にコイルの開口方向を配置する2つのコイルを用いて実現される。
つぎに、被検体に対する相対的なカプセル型内視鏡2の撮像方向Fを磁界発生部3に変更させる制御部11の動作について説明する。図4は、磁界発生部3による外部磁界の磁界方向の制御を通してカプセル型内視鏡2の撮像方向Fを制御する制御部11の処理手順を例示するフローチャートである。
制御部11は、上述したように被検体内部のカプセル型内視鏡2の磁石28に印加する外部磁界を磁界発生部3に発生させる。そして、制御部11は、この外部磁界の磁界方向を制御することによって、この被検体に対するカプセル型内視鏡2の相対的な方向(すなわち被検体内部におけるカプセル型内視鏡2の姿勢)を磁界発生部3に変更させ、この結果、このカプセル型内視鏡2の撮像部23の撮像方向Fを磁界発生部3に変更させる。
すなわち、図4に示すように、制御部11は、まず、上述した磁界発生部3に磁界方向を変更させる外部磁界の角速度を設定する(ステップS101)。このステップS101において、速度設定部11bは、入力部8によって入力されたカプセル型内視鏡2の撮像機能に関する情報として、撮像部23の画角θおよびフレームレートfと体内画像の一辺の画素数mと照明光の発光時間tとを取得し、この取得した各種情報を適宜用いて外部磁界の角速度を設定する。
詳細には、速度設定部11bは、画角θとフレームレートfとを乗算した乗算値未満である角速度ω1[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω1を、上述した撮像間隔Tにおいて外部磁界の磁界方向を変更する際の外部磁界の平均角速度として設定する。また、速度設定部11bは、体内画像の一辺の画素数mと照明光の発光時間tとの乗算値によって画角θを除算した除算値未満である角速度ω2[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω2を、上述した撮像間隔Tのうちの撮像時間(例えば発光時間t)内に外部磁界の磁界方向を変更する際の外部磁界の平均角速度として設定する。かかる角速度ω1,ω2は、記憶部10に記憶され、必要に応じて制御部11によって読み出される。
なお、ここでいう体内画像の一辺の画素数mは、体内画像を撮像する撮像部23の受光面の一辺(例えば長辺)の画素数と、この受光面の一辺に対応する体内画像の表示系(例えば図1に示した表示部9)の一辺の画素数とのいずれか一方である。速度設定部11bは、この撮像部23の一辺の画素数がこの表示系の一辺の画素数以下である場合、上述した一辺の画素数mとして撮像部23の一辺の画素数を用い、この撮像部23の一辺の画素数がこの表示系の一辺の画素数を越える場合、上述した一辺の画素数mとして表示系の一辺の画素数を用いる。
つぎに、制御部11は、被検体内部のカプセル型内視鏡2の姿勢変更指示の有無を判断する(ステップS102)。このステップS102において、制御部11は、被検体内部のカプセル型内視鏡2の姿勢を変更する指示情報を入力されていない場合、このカプセル型内視鏡2の姿勢変更の指示なしと判断し(ステップS102,No)、このステップS102の処理手順を繰り返す。一方、制御部11は、かかるカプセル型内視鏡2の姿勢変更の指示情報を入力部8によって入力された場合、このカプセル型内視鏡2の姿勢変更の指示ありと判断し(ステップS102,Yes)、上述したステップS101において設定した角速度ω1,ω2で外部磁界の磁界方向を磁界発生部3に変更させる(ステップS103)。
このステップS103において、磁界制御部11aは、撮像部23の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間(照明光の発光時間tまたは撮像部23の受光時間)を除く期間、上述した角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)で外部磁界の磁界方向を変更するように磁界発生部3を制御する。一方、磁界制御部11aは、撮像部23の撮像間隔Tのうちの体内画像の撮像時間、すなわち撮像部23が体内画像を撮像している期間、上述した角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))で外部磁界の磁界方向を変更するように磁界発生部3を制御する。
なお、磁界制御部11aは、入力部8によって入力された撮像部23のフレームレートfをもとに撮像部23の撮像間隔Tを把握し、受信部6によって受信されたカプセル型内視鏡2からの情報(体内画像等)または受信タイミング等の同期信号をもとに、撮像部23の撮像タイミングを把握する。
このように磁界制御部11aが磁界発生部3による外部磁界の磁界方向を制御することによって、磁界発生部3は、撮像部23の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、外部磁界の磁界方向に追従するカプセル型内視鏡2の撮像方向Fを上述した角速度ω1で変更し、撮像部23が体内画像を撮像している期間、外部磁界の磁界方向に追従するカプセル型内視鏡2の撮像方向Fを上述した角速度ω2で変更する。その後、制御部11は、上述したステップS102に戻り、このステップS102以降の処理手順を繰り返す。
つぎに、被検体内部のカプセル型内視鏡2が2フレームの体内画像を順次撮像する場合を例示して、上述した制御部11によって磁界方向を制御された磁界発生部3の外部磁界が被検体内部のカプセル型内視鏡2に及ぼす作用並びに本発明にかかる体内観察方法における体内画像撮像ステップおよび撮像方向変更ステップについて具体的に説明する。図5は、外部磁界の磁界方向に追従してカプセル型内視鏡2が撮像方向Fを変更しつつ体内画像を順次撮像する状態を例示する模式図である。図6は、撮像方向Fの変更に伴って変位するカプセル型内視鏡2の撮像視野を例示する模式図である。図7は、撮像方向Fの変更に伴ってカプセル型内視鏡2の撮像視野がずれる状態を例示する模式図である。
なお、図5,6において、撮像視野A1,A2は、被検体の臓器内部を捉えたカプセル型内視鏡2(詳細には撮像部23)の撮像視野であり、上述したように画角θによって規定される。かかる撮像視野A1,A2のうち、撮像視野A1は、カプセル型内視鏡2が順次撮像する2フレームの体内画像のうちの1フレーム目の体内画像に対応する撮像視野であり、撮像視野A2は、これら2フレームの体内画像のうちの2フレーム目の体内画像に対応する撮像視野である。
図5に示すように、カプセル型内視鏡2は、上述した制御部11によって磁界方向を制御された磁界発生部3の外部磁界に追従して、被検体に対する相対的な方向(すなわち姿勢)を変更するとともに、撮像視野A1に対応する体内画像と撮像視野A2に対応する体内画像とを順次撮像する。この場合、カプセル型内視鏡2は、かかる磁界発生部3の外部磁界の磁界方向に追従して撮像方向Fを撮像視野A1の撮像方向F(点線矢印)から撮像視野A2の撮像方向F(実線矢印)に変更する。
ここで、上述した磁界発生部3は、磁界制御部11aの制御に基づいて、カプセル型内視鏡2の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、このカプセル型内視鏡2の姿勢変更を誘導する外部磁界の磁界方向を角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)で変更し、この撮像間隔Tのうちのカプセル型内視鏡2が体内画像を撮像している期間、この外部磁界の磁界方向を角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))で変更する。カプセル型内視鏡2は、かかる角速度ω1,ω2で磁界方向を変更する外部磁界に追従して、撮像視野A1の撮像方向Fを撮像視野A2の撮像方向Fに角速度ω1で変更し、特に撮像視野A1,A2の体内画像を撮像している各期間、角速度ω2で撮像方向Fを変更する。
このように、カプセル型内視鏡2が磁界発生部3の外部磁界の作用によって撮像方向Fを変更する場合、かかる撮像方向Fの変更角度α[deg.]は、このカプセル型内視鏡2の画角θ未満になる。具体的には、図6に示すように、撮像視野A1の撮像方向Fと撮像視野A2の撮像方向F(すなわち変更後の撮像方向F)とのなす変更角度αは、常に画角θ未満になる。例えば、カプセル型内視鏡2の撮像部23のフレームレートfが4[フレーム/秒]であり、画角θが120[deg.]である場合、上述した角速度ω1は、480[deg./秒]未満であり、この角速度ω1で磁界方向を変更する外部磁界の作用によって、この撮像方向Fの変更角度αは常に120[deg.]未満になる。
この結果、撮像方向Fの撮像視野A1は、変更後の撮像方向Fの撮像視野A2の少なくとも一部の視野領域と重複する。カプセル型内視鏡2は、このように視野領域が重複する撮像視野A1,A2の各体内画像を順次撮像することによって、体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡2は、被検体の体内画像群を時系列に沿って順次撮像した場合、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できる。
ここで、かかるカプセル型内視鏡2によって撮像された連続的な体内画像群は、時間的に隣接する体内画像間における画像の重複部分をより多くすることが望ましい。何故ならば、かかる画像の重複部分を多くする程、時間的に隣接する体内画像間のパターンマッチング処理によって、これら連続的な体内画像群内の各体内画像をより正確に連結できるからである。この場合、上述した速度設定部11bは、カプセル型内視鏡2の撮像間隔Tにおいて外部磁界の磁界方向を変更する際の外部磁界の平均角速度として、画角θとフレームレートfとの乗算値の半数以下である角速度ω1を設定することが望ましい。
このように角速度ω1(≦フレームレートf×画角θ÷2)を設定することによって、撮像視野A1の撮像方向Fと撮像視野A2の撮像方向Fとのなす変更角度αは、図6に示すように、常に画角θの半数以下になる。例えば、カプセル型内視鏡2の撮像部23のフレームレートfが4[フレーム/秒]であり、画角θが120[deg.]である場合、この角速度ω1は、240[deg./秒]以下であり、この角速度ω1で磁界方向を変更する外部磁界の作用によって、この撮像方向Fの変更角度αは常に60[deg.]以下になる。
この結果、撮像方向Fの撮像視野A1は、変更後の撮像方向Fの撮像視野A2の半分以上と重複する。カプセル型内視鏡2は、このように視野領域が半分以上重複する撮像視野A1,A2の各体内画像を順次撮像することによって、体内画像間において半分以上の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡2は、外部磁界に追従して回転する撮像方向Fの回転中心と画角θの中心とが一致しない場合であっても、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群をより確実に取得できる。
一方、カプセル型内視鏡2は、上述したように、撮像間隔Tのうちの撮像視野A1,A2の体内画像を撮像している各期間、角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))で磁界方向を変更する磁界発生部3の外部磁界に追従して、撮像方向Fを角速度ω2で変更する。この場合、撮像視野A1,A2は、かかる外部磁界の作用による撮像方向Fの変更に伴って視野ずれ量を発生させる。
具体的には、図7に示すように、撮像視野A1は、かかる磁界発生部3の外部磁界に追従する撮像方向Fの変化に伴って視野ずれ量eを発生させる。ここで、この撮像視野A1の撮像方向Fは、上述したように、体内画像の撮像時間内において角速度ω2で変化(回転)する。このため、かかる撮像方向Fの変化に伴って体内画像の撮像時間内に変位する撮像視野A1の視野ずれ量eは、この撮像視野A1に対応する体内画像の1画素分のずれ量未満になる。例えば、カプセル型内視鏡2の画角θが120[deg.]であり、1フレームの体内画像の撮像時間、すなわち照明光の発光時間tが0.02[秒]であり、体内画像の一辺の画素数m、例えば撮像部23の受光面の一辺の画素数が200画素である場合、上述した角速度ω2は、30[deg./秒]未満であり、この角速度ω2で磁界方向を変更する外部磁界の作用によって、この撮像視野A1の視野ずれ量eは、常に、撮像部23の受光面の1画素未満のずれ量になる。
なお、撮像部23の受光面の一辺の画素数が、この受光面の一辺に対応する体内画像の表示系の一辺の画素数以下である場合、この体内画像の一辺の画素数mは、この撮像部23の一辺の画素数と同値である。一方、この撮像部23の受光面の一辺の画素数が、この受光面の一辺に対応する体内画像の表示系の一辺の画素数を越える場合、この体内画像の一辺の画素数mは、この表示系の一辺の画素数と同値である。したがって、撮像部23の受光面の一辺の画素数が、この受光面の一辺に対応する体内画像の表示系の一辺の画素数以下である場合、上述したように撮像視野A1の視野ずれ量eは撮像部23の受光面の1画素未満のずれ量になる。一方、この撮像部23の一辺の画素数がこの表示系の一辺の画素数を越える場合、上述した撮像視野A1の視野ずれ量eは、この表示系の1画素未満のずれ量になる。
この結果、かかる撮像視野A1の変位に起因する体内画像のぶれは、この撮像部23の一辺の画素数がこの体内画像の表示系の一辺の画素数以下である場合、撮像部23の受光面の1画素未満に軽減でき、この撮像部23の一辺の画素数がこの体内画像の表示系の一辺の画素数を越える場合、この体内画像の表示系の1画素未満に軽減できる。カプセル型内視鏡2は、上述した角速度ω2で撮像方向Fを変更することによって、体内画像を撮像するとともに撮像方向Fを変更する場合であっても、画像ぶれを軽減した鮮明な体内画像を順次撮像することができる。かかる体内画像のぶれ軽減効果は、撮像視野A1の次に体内画像が撮像される次フレームの撮像視野A2についても同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、被検体の体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型筐体の内部に、カプセル型筐体の姿勢によって規定される撮像方向の体内画像を順次撮像する撮像部と、外部磁界の磁界方向に追従してカプセル型筐体の姿勢を変更する磁石とを配置し、被検体の体内に導入されたカプセル型筐体内部の磁石に対して体外の磁界発生部が外部磁界を印加し、この外部磁界の磁界方向をこの撮像部の画角とフレームレートとの乗算値未満である角速度で変更して、このカプセル型筐体の姿勢とともに撮像部の撮像方向をこの角速度で変更するように構成した。このため、1フレームの体内画像の撮像開始から次のフレームの体内画像の撮像開始までの期間(すなわち上述した撮像間隔Tの期間)、この外部磁界の磁界方向に追従して変化する撮像部の撮像方向の変更角度をこの撮像部の画角未満に維持することができ、これによって、撮像方向の変更に伴って変位する各撮像視野の少なくとも一部の視野領域を互いに重複させることができる。この結果、被検体の体内画像群を時系列に沿って順次撮像した場合に、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できる体内観察システムおよび体内画像取得装置、並びにこれら体内画像群の観察を通して被検体の臓器内部を観察する体内観察方法を実現することができる。
この実施の形態1にかかる体内観察システムおよび体内画像取得装置を用いることによって、被検体の臓器内部の撮像漏れを可能な限り低減できるとともに、臓器内部の略全範囲に亘って連続的な体内画像群を取得でき、これによって、胃または大腸等の被検体の臓器内部を隈なく観察することができる。
また、1フレームの体内画像を撮像している期間、この体内画像の一辺の画像数と撮像時間との乗算値によって撮像部の画角を除算した除算値未満である角速度で外部磁界の磁界方向を変更して、この撮像部の撮像方向をこの角速度で変更するように構成した。このため、この撮像方向の変化に伴って体内画像の撮像時間内に変位する撮像部の撮像視野の視野ずれ量を体内画像の1画素分のずれ量未満に維持できる。この撮像視野の体内画像のぶれをこの撮像部の受光面の1画素未満または体内画像の表示系の1画素未満に軽減することができる。この結果、体内画像を撮像するとともに撮像方向を変更する場合であっても、画像ぶれを軽減した鮮明な体内画像を順次撮像することができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、体内画像の撮像条件(例えば照明光の発光時間、撮像部23の受光時間等)を固定していたが、この実施の形態2では、体内画像の撮像条件を複数種類にし、これら複数種類の撮像条件を所定の順序に沿って切り替えて体内画像を順次撮像している。
図8は、本発明の実施の形態2にかかる体内観察システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図8に示すように、この実施の形態2にかかる体内観察システム31は、上述した実施の形態1にかかる体内観察システム1のカプセル型内視鏡2に代えて複数種類の撮像条件をもつカプセル型内視鏡32を備え、制御部11に代えて制御部33を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル型内視鏡32は、被検体の体内画像を撮像するための撮像条件(例えば照明光の発光条件および撮像部の受光条件等)を複数種類有し、これら複数種類の撮像条件を所定の順序に沿って切り替えて、被検体の体内画像を順次撮像する。これによって、カプセル型内視鏡32は、複数種類の撮像条件によって撮像された体内画像群を取得する。なお、かかる撮像条件の種類は、1フレームの体内画像を撮像する際の照明光の発光条件および撮像部23の受光条件等の組合せによって規定される。かかるカプセル型内視鏡32が有する他の機能およびカプセル型内視鏡32の構造は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡2と略同様である。なお、かかるカプセル型内視鏡32が有する複数種類の撮像条件については、後述する。
制御部33は、磁界制御部33aおよび速度設定部33bを有し、磁界発生部3が被検体内部のカプセル型内視鏡32に印加する外部磁界を制御することによって、この被検体内部のカプセル型内視鏡32の誘導(被検体内部における変位および姿勢変更の少なくとも一つ)を制御する。速度設定部33bは、入力部8によって入力されたカプセル型内視鏡32の撮像機能に関する情報(例えばフレームレート、画角、体内画像の一辺の画素数、および撮像条件)と撮像条件の種類数とを適宜用いて角速度を算出し、この算出した角速度を、上述した磁界発生部3による外部磁界の磁界方向を変更する際の角速度として設定する。磁界制御部33aは、速度設定部33bによって設定された角速度で外部磁界の磁界方向(すなわち、この外部磁界に追従して姿勢を変更するカプセル型内視鏡32の撮像方向)を磁界発生部3に変更させる。かかる制御部33が有する他の機能は、上述した実施の形態1にかかる体内観察システム1の制御部11と同様である。
つぎに、本発明の実施の形態2にかかる体内画像取得装置の一例であるカプセル型内視鏡32の構成を詳細に説明する。図9は、本発明の実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡32の一構成例を示す模式図である。図10は、複数種類の撮像条件を有するカプセル型内視鏡32による体内画像の撮像タイミングを例示する模式図である。図9に示すように、この実施の形態2にかかるカプセル型内視鏡32は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡2の制御部26に代えて制御部36を有する。この制御部36は、複数種類の撮像条件を所定の順序に沿って順次切り替えて撮像部23に体内画像を順次撮像させる。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
制御部36は、複数種類の撮像条件を予め設定され、これら複数種類の撮像条件を所定の順序に沿って順次切り替えて撮像部23に被検体の体内画像を順次撮像させる。具体的には、図10に示すように、制御部36は、体内画像の撮像条件として例えば照明光の発光時間t1〜t4を撮像間隔T毎(すなわちフレーム毎)に所定の順序に沿って切り替えて、照明光の発光量によって種別される複数種類の体内画像を撮像部23に順次撮像させる。なお、かかる照明光の発光時間t1〜t4のうち、発光時間t4が最大値であり、発光時間t3は発光時間t1,t2に比して大きく、発光時間t2は発光時間t1に比して大きい。
より具体的には、制御部36は、複数の照明部21に発光時間t1だけ照明光を発光させるとともに、この発光時間t1の照明光によって照明された被検体の体内画像(第1発光条件の体内画像)を撮像部23に撮像させ、この直後の撮像間隔Tにおいて、複数の照明部21に発光時間t2だけ照明光を発光させるとともに、この発光時間t2の照明光によって照明された被検体の体内画像(第2発光条件の体内画像)を撮像部23に撮像させる。続いて、制御部36は、発光時間t2を発光時間t3に切り替え、複数の照明部21に発光時間t3だけ照明光を発光させるとともに、この発光時間t3の照明光によって照明された被検体の体内画像(第3発光条件の体内画像)を撮像部23に撮像させ、この直後の撮像間隔Tにおいて、複数の照明部21に発光時間t4だけ照明光を発光させるとともに、この発光時間t4の照明光によって照明された被検体の体内画像(第4発光条件の体内画像)を撮像部23に撮像させる。その後、制御部36は、かかる照明光の発光時間t1〜t4を同様に繰り返し切り替えて、第1発光条件の体内画像、第2発光条件の体内画像、第3発光条件の体内画像、および第4発光条件の体内画像を撮像部23に繰り返し撮像させる。かかる制御部36が有する他の機能は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡2の制御部26と同様である。
なお、制御部36は、かかる照明光の発光時間t1〜t4の切り替えに同期して撮像部23の受光時間を順次切り替える。この場合、制御部36は、第1発光条件の体内画像を撮像する際の撮像部23の受光時間と発光時間t1とを同値に制御し、第2発光条件の体内画像を撮像する際の撮像部23の受光時間と発光時間t2とを同値に制御し、第3発光条件の体内画像を撮像する際の撮像部23の受光時間と発光時間t3とを同値に制御し、第4発光条件の体内画像を撮像する際の撮像部23の受光時間と発光時間t4とを同値に制御する。
つぎに、被検体に対する相対的なカプセル型内視鏡32の撮像方向Fを磁界発生部3に変更させる制御部33の動作について説明する。制御部33は、上述したステップS101〜S103(図4参照)と略同様の処理手順を繰り返し行って、体内画像の撮像間隔Tの期間に磁界方向を変更する際の外部磁界の角速度ω1と、各体内画像の撮像時間内に磁界方向を変更する際の外部磁界の角速度ω2とを設定し、この設定した角速度ω1,ω2でカプセル型内視鏡32の撮像方向Fを変更するように磁界発生部3を制御する。
この場合、速度設定部33bは、上述したステップS101において、入力部8によって入力されたカプセル型内視鏡32の撮像機能に関する情報(画角θ、フレームレートf、体内画像の一辺の画素数m、および発光時間t1〜t4等の撮像条件)と撮像条件の種類数nとを取得する。かかる速度設定部33bは、画角θとフレームレートfとの乗算値を撮像条件の種類数nによって除算した除算値未満である角速度ω1[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω1を、上述した撮像間隔Tにおいて外部磁界の磁界方向を変更する際の外部磁界の平均角速度として設定する。また、かかる速度設定部33bは、体内画像の一辺の画素数mと照明光の発光時間との乗算値によって画角θを除算した除算値未満である角速度ω2[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω2を、各体内画像の撮像時間(例えば照明光の発光時間)内に外部磁界の磁界方向を変更する際の外部磁界の平均角速度として設定する。ここで、かかる角速度ω2の算出処理に用いられる照明光の発光時間は、上述したカプセル型内視鏡32の制御部36の制御に基づいて切り替わる複数種類の発光時間のうちの最大値(例えば上述した発光時間t1〜t4のうちの発光時間t4)である。
一方、上述したステップS103において、磁界制御部33aは、撮像部23の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間(照明光の発光時間または撮像部23の受光時間)を除く期間、かかる角速度ω1(<フレームレートf×画角θ÷撮像条件の種類数n)で外部磁界の磁界方向を変更するように磁界発生部3を制御する。また、磁界制御部33aは、撮像部23の撮像間隔Tのうちの体内画像の撮像時間、すなわち撮像部23が体内画像を撮像している期間、かかる角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t4))で外部磁界の磁界方向を変更するように磁界発生部3を制御する。
つぎに、被検体内部のカプセル型内視鏡32が図10に示したように4種類の撮像条件(具体的には4種類の発光時間t1〜t4)を所定の順序に沿って切り替えて体内画像を順次撮像する場合を例示して、上述した制御部33によって磁界方向を制御された磁界発生部3の外部磁界が被検体内部のカプセル型内視鏡32に及ぼす作用並びに本発明にかかる体内観察方法における体内画像撮像ステップおよび撮像方向変更ステップについて具体的に説明する。図11は、外部磁界の磁界方向に追従してカプセル型内視鏡32が撮像方向Fを変更しつつ複数種類の撮像条件の体内画像を順次撮像する状態を例示する模式図である。
なお、図11において、撮像視野A1,A2は、4種類の発光時間t1〜t4のうちの最小値である発光時間t1の照明光によって照明される撮像視野であり、撮像視野B1,B2は、発光時間t1に比して大きい発光時間t2の照明光によって照明される撮像視野であり、撮像視野C1,C2は、発光時間t2に比して大きい発光時間t3の照明光によって照明される撮像視野であり、撮像視野D1,D2は、発光時間t3に比して大きい発光時間t4の照明光によって照明される撮像視野である。かかる撮像視野A1,A2、撮像視野B1,B2、撮像視野C1,C2、および撮像視野D1,D2は、被検体の臓器内部を捉えたカプセル型内視鏡32の撮像視野であり、上述した画角θによって規定される。また、撮像方向F1〜F8は、いずれもカプセル型内視鏡32の撮像方向Fの一例であり、撮像方向F1,F5は、かかる撮像視野A1,A2にそれぞれ対応し、撮像方向F2,F6は、かかる撮像視野B1,B2にそれぞれ対応する。また、撮像方向F3,F7は、かかる撮像視野C1,C2にそれぞれ対応し、撮像方向F4,F8は、かかる撮像視野D1,D2にそれぞれ対応する。
図11に示すように、カプセル型内視鏡32は、上述した制御部33によって磁界方向を制御された磁界発生部3の外部磁界に追従して、被検体に対する相対的な方向(すなわち姿勢)を変更するとともに、撮像方向F1、撮像方向F2、撮像方向F3、撮像方向F4、撮像方向F5、撮像方向F6、撮像方向F7、撮像方向F8の順に撮像方向を連続的に変更する。この場合、カプセル型内視鏡32は、かかる撮像方向の変更に伴って、撮像視野A1、撮像視野B1、撮像視野C1、撮像視野D1、撮像視野A2、撮像視野B2、撮像視野C2、撮像視野D2の順に撮像視野を変更して、第1発光条件の体内画像、第2発光条件の体内画像、第3発光条件の体内画像、および第4発光条件の体内画像を順次繰り返し撮像する。
ここで、上述した磁界発生部3は、磁界制御部33aの制御に基づいて、カプセル型内視鏡32の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、このカプセル型内視鏡32の姿勢変更を誘導する外部磁界の磁界方向を角速度ω1(<フレームレートf×画角θ÷撮像条件の種類数n)で変更し、この撮像間隔Tのうちのカプセル型内視鏡32が体内画像を撮像している期間、この外部磁界の磁界方向を角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t4))で変更する。カプセル型内視鏡32は、かかる角速度ω1,ω2で磁界方向を変更する外部磁界に追従して、撮像方向F1、撮像方向F2、撮像方向F3、撮像方向F4、撮像方向F5、撮像方向F6、撮像方向F7、撮像方向F8の順に撮像方向を角速度ω1で変更する。かかるカプセル型内視鏡32は、特に体内画像を撮像している各期間、角速度ω2で撮像方向を変更する。
このように、カプセル型内視鏡32が磁界発生部3の外部磁界の作用によって撮像方向を変更する場合、撮像方向F1〜F8の各撮像方向間の変更角度β[deg.]は、常に、このカプセル型内視鏡32の撮像条件の種類数n(=4)によって画角θを除算した除算値未満になる。すなわち、同種類の体内画像(第1発光条件の体内画像)の撮像視野A1,A2にそれぞれ対応する撮像方向F1と撮像方向F5とのなす変更角度αは、図11に示すように各撮像方向間の変更角度βの4倍であって、常に画角θ未満になる。これと同様に、第2発光条件の体内画像の撮像視野B1,B2にそれぞれ対応する撮像方向F2と撮像方向F6とのなす変更角度α、第3発光条件の体内画像の撮像視野C1,C2にそれぞれ対応する撮像方向F3と撮像方向F7とのなす変更角度α、および第4発光条件の体内画像の撮像視野D1,D2にそれぞれ対応する撮像方向F4と撮像方向F8とのなす変更角度αは、いずれも変更角度βの4倍であって、常に画角θ未満になる。
例えば、カプセル型内視鏡32の撮像部23のフレームレートfが4[フレーム/秒]であり、画角θが120[deg.]であり、撮像条件の種類数nが4である場合、本実施の形態2における角速度ω1は、120[deg./秒]未満であり、この角速度ω1で磁界方向を変更する外部磁界の作用によって、各撮像方向間の変更角度βは常に30[deg.](=画角θ/4)未満になり、かかる各変更角度αは常に120[deg.](=画角θ)未満になる。
この結果、撮像方向F1の撮像視野A1は、変更後の撮像方向F5の撮像視野A2の少なくとも一部の視野領域と重複し、撮像方向F2の撮像視野B1は、変更後の撮像方向F6の撮像視野B2の少なくとも一部の視野領域と重複する。また、撮像方向F3の撮像視野C1は、変更後の撮像方向F7の撮像視野C2の少なくとも一部の視野領域と重複し、撮像方向F4の撮像視野D1は、変更後の撮像方向F8の撮像視野D2の少なくとも一部の視野領域と重複する。カプセル型内視鏡32は、このように撮像視野A1,A2間、撮像視野B1,B2間、撮像視野C1,C2間、および撮像視野D1,D2間において視野領域を各々重複させることによって、照明光の発光量別に種別される体内画像群を撮像でき、且つ、かかる体内画像群のうちの同種類の体内画像間(具体的には、第1発光条件の体内画像間、第2発光条件の体内画像間、第3発光条件の体内画像間、および第4発光条件の体内画像間)の少なくとも一部の画像部分を確実に重複させることができる。かかるカプセル型内視鏡32は、被検体の体内画像群を時系列に沿って順次撮像した場合、同種類の撮像条件の体内画像間の少なくとも一部の画像部分が重複する態様で連続する体内画像群を確実に撮像することができる。
ここで、本実施の形態2における角速度ω1は、上述した実施の形態1の場合と略同様に、画角θとフレームレートfとの乗算値を撮像条件の種類数nによって除算した除算値の半数以下に設定することが望ましい。このように角速度ω1(≦フレームレートf×画角θ÷撮像条件の種類数n÷2)を設定することによって、撮像方向F1,F5間の変更角度α、撮像方向F2,F6間の変更角度α、撮像方向F3,F7間の変更角度α、および撮像方向F4,F8間の変更角度αは、常に画角θの半数以下になる。
例えば、カプセル型内視鏡32の撮像部23のフレームレートfが4[フレーム/秒]であり、画角θが120[deg.]であり、撮像条件の種類数nが4である場合、この角速度ω1は、60[deg./秒]以下であり、この角速度ω1で磁界方向を変更する外部磁界の作用によって、上述した各撮像方向間の変更角度βは常に15[deg.](=画角θ/4)未満になり、上述した各変更角度αは常に60[deg.](=画角θ/2)未満になる。
この結果、撮像方向F1の撮像視野A1は、変更後の撮像方向F5の撮像視野A2の半分以上と重複し、撮像方向F2の撮像視野B1は、変更後の撮像方向F6の撮像視野B2の半分以上と重複する。また、撮像方向F3の撮像視野C1は、変更後の撮像方向F7の撮像視野C2の半分以上と重複し、撮像方向F4の撮像視野D1は、変更後の撮像方向F8の撮像視野D2の半分以上と重複する。カプセル型内視鏡32は、このように撮像視野A1,A2間、撮像視野B1,B2間、撮像視野C1,C2間、および撮像視野D1,D2間において各々半分以上の視野領域を重複させることによって、同種類の撮像条件の体内画像間において半分以上の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡32は、外部磁界に追従して回転する撮像方向の回転中心と画角θの中心とが一致しない場合であっても、同種類の撮像条件の体内画像間の少なくとも一部の画像部分が重複する態様で連続する体内画像群をより確実に取得できる。
一方、カプセル型内視鏡32は、上述したように、撮像間隔Tのうちの体内画像を撮像している各期間、角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t4))で磁界方向を変更する磁界発生部3の外部磁界に追従して、撮像方向を角速度ω2で変更する。ここで、発光時間t4は、4種類の発光条件(発光時間t1〜t4)のうちの最大値である。このため、かかる角速度ω2で磁界方向を変更する外部磁界に追従して変位する撮像視野A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2の各視野ずれ量は、照明光の発光時間t1〜t4を順次切り替えた場合(すなわち照明光の発光量を順次切り替えた場合)であっても、常に、撮像部23の受光面の1画素未満のずれ量になる。この結果、上述した実施の形態1の場合と略同様に、カプセル型内視鏡32は、複数種類の撮像条件の体内画像を撮像している各期間、かかる角速度ω2で撮像方向を変更することによって、体内画像を撮像するとともに撮像方向を変更する場合であっても、複数種類の撮像条件の体内画像群の画像ぶれを軽減でき、かかる複数種類の撮像条件の体内画像群を鮮明に順次撮像することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、撮像部が撮像する体内画像の撮像条件を複数種類に設定し、これら複数種類の撮像条件を所定の順序に沿って切り替えて、複数種類の撮像条件の体内画像を順次撮像し、この撮像部のフレームレートと画角との乗算値を撮像条件の種類数によって除算した除算値未満である角速度で外部磁界の磁界方向を変更して、この外部磁界の磁界方向に追従する撮像部の撮像方向をこの角速度で変更するようにし、その他を上述した実施の形態1と同様に構成した。このため、複数種類の撮像条件によって種別される複数種類の体内画像群の各撮像間隔の期間、これら複数種類の体内画像群の各撮像方向のうちの同種類の撮像条件が繰り返される撮像方向の変更角度をこの撮像部の画角未満に維持することができ、これによって、撮像方向の変更に伴って変位する各撮像視野のうち、同種類の撮像条件が繰り返される各撮像視野間において少なくとも一部の視野領域を互いに重複させることができる。この結果、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受するとともに、同種類の撮像条件の体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する態様で時間的に連続する体内画像群を確実に取得できる体内観察システムおよび体内画像取得装置、並びにこれら体内画像群の観察を通して被検体の臓器内部を観察する体内観察方法を実現することができる。
この実施の形態2にかかる体内観察システムおよび体内画像取得装置を用いることによって、被検体の臓器内部の撮像漏れを可能な限り低減できるとともに、胃または大腸等の比較的広い空間を形成する臓器内部において変化する臓器内壁部と撮像部との相対的な距離に合った様々な光量の体内画像を光量別に連続して順次撮像することができる。これによって、時間的に連続する体内画像群を光量別に種別することができるとともに、被検体の臓器内部を鮮明に且つ隈なく観察することができる。
なお、本発明の実施の形態2にかかる体内観察システムおよび体内画像取得装置は、上述した体内画像の撮像条件が1種類である場合(すなわち撮像条件の種類数n=1の場合)、実施の形態1にかかる体内観察システムおよび体内画像取得装置と同じである。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、カプセル型内視鏡2の磁石28に印加した外部磁界の磁界方向を変更して、この外部磁界の磁界方向に追従するカプセル型内視鏡2の撮像方向Fを変更していたが、この実施の形態3では、被検体を載置したベッド等の載置部を駆動することによって、この載置部上の被検体の姿勢を変更し、この結果、この被検体内部のカプセル型内視鏡の撮像方向をこの被検体に対して相対的に変更している。
図12は、本発明の実施の形態3にかかる体内観察システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図12に示すように、この実施の形態3にかかる体内観察システム41は、上述した実施の形態1にかかる体内観察システム1のカプセル型内視鏡2に代えて液体に浮遊可能なカプセル型内視鏡42を備え、制御部11に代えて制御部46を備える。また、体内観察システム41は、上述した磁界発生部3、コイル用電源4、および位置姿勢検出部7を備えておらず、カプセル型内視鏡42を臓器内部に導入する被検体100を載置するベッド43と、このベッド43を駆動して被検体100の姿勢を変更する駆動部44と、かかるベッド43および駆動部を支持する支持部45とを備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル型内視鏡42は、被検体の臓器内部に導入される液体(例えば水または生理食塩水等)に比して小さい比重を有し、この液体の液面において特定の浮遊姿勢を維持しつつ、被検体の体内画像を順次撮像する。かかるカプセル型内視鏡42は、被検体100の臓器内部に導入された後、この臓器内部の液面に浮遊し、上述した外部磁界に追従して撮像方向を変更する代わりに、ベッド43上に載置された被検体100の姿勢を変更することによって、この被検体100に対して相対的に体内画像の撮像方向を変化させる。かかるカプセル型内視鏡42が有する他の機能および構造は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡2と同様である。なお、かかるカプセル型内視鏡42の構成については、後述する。
ベッド43は、カプセル型内視鏡42を臓器内部に導入される被検体100を載置する載置手段として機能する。具体的には、ベッド43は、図12に示すようにxyz座標系が規定され、このxyz座標系の空間内に被検体100を載置する。また、ベッド43は、ベルト43a,43b,43cを有する。ベルト43a,43b,43cは、ベッド43上に載置された被検体100を束縛し、これによって、被検体100の姿勢変更の際にベッド43から被検体100が落下することを防止する。
駆動部44は、ベッド43上に載置した被検体100内部のカプセル型内視鏡42の撮像方向を変更する方向変更手段として機能する。具体的には、駆動部44は、制御部46の制御に基づいて、xyz座標系の軸回り(例えばx軸回り、y軸回り)にベッド43を回転駆動し、このベッド43上の被検体100の姿勢を変更する。これによって、駆動部44は、この被検体100の臓器内部の液面に浮遊した状態のカプセル型内視鏡42の撮像方向を被検体100に対して相対的に変更する。
制御部46は、駆動制御部46aおよび速度設定部46bを有し、上述した実施の形態1の制御部11のようにコイル用電源4の通電量制御を通して磁界発生部3の外部磁界を制御する代わりに、駆動部44を制御することによって、ベッド43上の被検体100に対するカプセル型内視鏡42の相対的な姿勢を制御する。速度設定部46bは、入力部8によって入力されたカプセル型内視鏡42の撮像機能に関する情報(例えばフレームレート、画角、体内画像の一辺の画素数、および撮像条件)を適宜用いて角速度を算出し、この算出した角速度を、上述したxyz座標系の軸回りにベッド43を回転する際の角速度として設定する。駆動制御部46aは、速度設定部46bによって設定された角速度でベッド43を駆動部44に回転駆動させ、かかる駆動部44の駆動制御を通して、ベッド43上の被検体100に対するカプセル型内視鏡42の相対的な姿勢を制御する。この結果、駆動制御部46aは、この被検体100に対して相対的に、被検体100内部のカプセル型内視鏡42の撮像方向を駆動部44に変更させる。なお、かかる制御部46は、上述した実施の形態1にかかる体内観察システム1の制御部11と同様の画像処理機能を有し、この制御部11と同様に、受信部6、入力部8、表示部9、および記憶部10を制御する。
つぎに、本発明の実施の形態3にかかる体内画像取得装置の一例であるカプセル型内視鏡42の構成を詳細に説明する。図13は、本発明の実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡42の一構成例を示す模式図である。図13に示すように、この実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡42は、上述した実施の形態1にかかるカプセル型内視鏡2の磁石28を備えていない。また、カプセル型内視鏡42は、上述したように、被検体100の臓器内部に導入される液体に比して小さい比重を有し、被検体100の臓器内部において、この液体の液面Sに浮遊する。また、カプセル型内視鏡42は、筐体20の中心から外れた位置に重心を有し、この液面Sに浮遊した状態において、この重心によって規定される特定の浮遊姿勢を維持する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
かかる特定の浮遊姿勢を液面Sにおいて維持するカプセル型内視鏡42は、液面Sに対して所定の方向(例えば鉛直上方)に撮像方向Fを向ける。この撮像方向Fは、臓器内部の液面Sにカプセル型内視鏡42を浮遊させた被検体100の姿勢変更、すなわち、この被検体100を載置したベッド43の回転駆動に伴い、この被検体100に対して相対的に変化する。
つぎに、被検体100に対する相対的なカプセル型内視鏡42の撮像方向Fを駆動部44に変更させる制御部46の動作について説明する。制御部46は、上述したステップS101〜S103(図4参照)と略同様の処理手順を繰り返し行って、体内画像の撮像間隔Tの期間にベッド43を回転駆動する際の角速度ω1と、体内画像の撮像時間内にベッド43を回転駆動する際の角速度ω2とを設定し、この設定した角速度ω1,ω2で被検体100内部のカプセル型内視鏡42の撮像方向Fを被検体100に対して相対的に変更するように駆動部44を制御する。
この場合、制御部46は、上述したステップS101に代えてベッド43の回転駆動の角速度を設定する。具体的には、速度設定部46bは、入力部8によって入力されたカプセル型内視鏡42の撮像機能に関する情報(画角θ、フレームレートf、体内画像の一辺の画素数m、および発光時間t等の撮像条件)を取得する。速度設定部46bは、画角θとフレームレートfとの乗算値未満である角速度ω1[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω1を、上述した撮像間隔Tにおいてベッド43上の被検体100の姿勢を変更する際のベッド43の平均角速度として設定する。また、速度設定部46bは、体内画像の一辺の画素数mと照明光の発光時間tとの乗算値によって画角θを除算した除算値未満である角速度ω2[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω2を、各体内画像の撮像時間(例えば照明光の発光時間)内にベッド43上の被検体100の姿勢を変更する際のベッド43の平均角速度として設定する。
一方、制御部46は、上述したステップS103に代えて、かかる角速度ω1,ω2でベッド43を駆動部44に回転駆動させる。具体的には、駆動制御部46aは、撮像部23の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間(照明光の発光時間または撮像部23の受光時間)を除く期間、かかる角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)でベッド43をxyz座標系の軸回りに回転駆動するように駆動部44を制御する。また、駆動制御部46aは、撮像部23の撮像間隔Tのうちの体内画像の撮像時間、すなわち撮像部23が体内画像を撮像している期間、かかる角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))でベッド43をxyz座標系の軸回りに回転駆動するように駆動部44を制御する。
つぎに、被検体100の臓器内部の液面Sに浮遊した状態のカプセル型内視鏡42が液面Sに対して鉛直上方に撮像方向Fを向けて体内画像を順次撮像する場合を例示して、上述した制御部46に駆動制御された駆動部44によるベッド43の回転駆動が被検体100内部のカプセル型内視鏡42に及ぼす作用並びに本発明にかかる体内観察方法における体内画像撮像ステップおよび撮像方向変更ステップについて具体的に説明する。図14は、被検体100を載置したベッド43の回転駆動に伴ってカプセル型内視鏡42が被検体100に対して相対的に撮像方向Fを変更しつつ体内画像を順次撮像する状態を例示する模式図である。
図14に示すように、カプセル型内視鏡42は、被検体100の臓器内部(例えば胃等)の液面Sに浮遊するとともに特定の浮遊姿勢を維持して、この液面Sに対して鉛直上方に撮像方向Fを向ける。かかる浮遊状態のカプセル型内視鏡42は、上述した制御部46に制御された駆動部44によるベッド43の回転駆動(例えばy軸回りの回転駆動)に伴って、ベッド43上の被検体100に対する相対的な方向(すなわち姿勢)を変更するとともに、被検体100に対して相対的に変位する撮像視野の体内画像を順次撮像する。この場合、カプセル型内視鏡42は、臓器内部の液面Sに対して鉛直上方に撮像方向Fを向けつつ、かかるベッド43の回転駆動に伴って撮像方向Fを被検体100に対して相対的に変更する。
ここで、上述した駆動部44は、駆動制御部46aの制御に基づいて、カプセル型内視鏡42の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、被検体100を載置したベッド43を角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)で回転駆動し、この撮像間隔Tのうちのカプセル型内視鏡42が体内画像を撮像している期間、このベッド43を角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))で回転駆動する。カプセル型内視鏡42は、かかる角速度ω1,ω2によるベッド43の回転駆動に伴い、被検体100に対して相対的に角速度ω1で撮像方向Fを変更し、特に体内画像を撮像している各期間、被検体100に対して相対的に角速度ω2で撮像方向Fを変更する。
このように、カプセル型内視鏡42がベッド43の回転駆動の作用によって被検体100に対して相対的に撮像方向Fを変更する場合、かかる撮像方向Fの変更角度α[deg.]は、図14に示すように、常にカプセル型内視鏡42の画角θ未満になる。この結果、撮像方向Fの撮像視野は、変更後の撮像方向Fの撮像視野の少なくとも一部の視野領域と重複する。カプセル型内視鏡42は、このように撮像視野の視野領域を重複させつつ体内画像を順次撮像することによって、体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡42は、被検体の体内画像群を時系列に沿って順次撮像した場合、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できる。
ここで、本実施の形態3における角速度ω1は、上述した実施の形態1の場合と同様に、画角θとフレームレートfとの乗算値の半数以下に設定することが望ましい。このように角速度ω1(≦フレームレートf×画角θ÷2)を設定することによって、各撮像方向間の変更角度αは、常に画角θの半数以下になる。この結果、撮像方向Fの撮像視野は、変更後の撮像方向Fの撮像視野の半分以上と重複する。カプセル型内視鏡42は、このように各撮像視野間において半分以上の視野領域を重複させることによって、体内画像間において半分以上の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡42は、撮像方向Fの回転中心と画角θの中心とが一致しない場合であっても、時間的に隣接する体内画像間の少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群をより確実に取得できる。
一方、カプセル型内視鏡42は、上述したように、撮像間隔Tのうちの体内画像を撮像している各期間、角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))によるベッド43の回転駆動に伴い、被検体100に対して相対的に角速度ω2で撮像方向Fを変更する。このため、かかる角速度ω2で変化する撮像方向Fに追従して変位する撮像視野の視野ずれ量は、常に撮像部23の受光面の1画素未満のずれ量になる。この結果、上述した実施の形態1の場合と同様に、カプセル型内視鏡42は、体内画像を撮像している各期間、かかる角速度ω2で撮像方向Fを変更することによって、体内画像を撮像するとともに撮像方向Fを変更する場合であっても、画像ぶれを軽減した鮮明な体内画像を順次撮像することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態3では、被検体の体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型筐体の内部に撮像部を固定配置し、かかるカプセル型筐体と撮像部とを有するカプセル型内視鏡の比重を、被検体内部に導入される液体に比して小さく設定して、この液体の液面にカプセル型内視鏡を浮遊させ、且つこのカプセル型筐体の中心から外れた位置にカプセル型内視鏡の重心を設定して、この液体の液面において特定の浮遊姿勢をカプセル型内視鏡に維持させるとともに、この液面に対して所定の方向に撮像部の撮像方向を向けるようにし、臓器内部の液面にカプセル型内視鏡を浮遊させた状態の被検体を載置した載置部(例えば上述したベッド43)をこの撮像部の画角とフレームレートとの乗算値未満である角速度で回転駆動して、この被検体に対して相対的に撮像方向を変更するように構成した。このため、この撮像部によって順次撮像される体内画像の撮像間隔の期間、この被検体に対して相対的に変化する撮像方向の変更角度をこの撮像部の画角未満に維持することができ、これによって、撮像方向の変更に伴って変位する各撮像視野の少なくとも一部の視野領域を互いに重複させることができる。この結果、上述した実施の形態1の場合と同様に、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できる体内観察システムおよび体内画像取得装置、並びにこれら体内画像群の観察を通して被検体の臓器内部を観察する体内観察方法を実現することができる。
この実施の形態3にかかる体内観察システムおよび体内画像取得装置を用いることによって、被検体の臓器内部の撮像漏れを可能な限り低減できるとともに、臓器内部の略全範囲に亘って連続的な体内画像群を取得でき、これによって、胃または大腸等の被検体の臓器内部を隈なく観察することができる。
また、1フレームの体内画像を撮像している期間、この体内画像の一辺の画像数と撮像時間との乗算値によって撮像部の画角を除算した除算値未満である角速度で被検体の載置部を回転駆動して、この被検体に対して相対的に撮像部の撮像方向をこの角速度で変更するように構成した。このため、この撮像方向の変化に伴って体内画像の撮像時間内に変位する撮像部の撮像視野の視野ずれ量を体内画像の1画素分のずれ量未満に維持でき、上述した実施の形態1の場合と同様に、この撮像視野の体内画像のぶれをこの撮像部の受光面の1画素未満または体内画像の表示系の1画素未満に軽減することができる。この結果、体内画像を撮像するとともに撮像方向を変更する場合であっても、画像ぶれを軽減した鮮明な体内画像を順次撮像することができる。
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態3では、被検体100を載置したベッド43を回転駆動することによって、被検体100に対して相対的にカプセル型内視鏡42の撮像方向Fを変更していたが、この実施の形態4では、このベッド43を回転駆動する代わりに、カプセル型内視鏡の内部の撮像部23を回転駆動して、撮像部23の撮像方向Fを変更している。
図15は、本発明の実施の形態4にかかる体内観察システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図15に示すように、この実施の形態4にかかる体内観察システム51は、上述した実施の形態3にかかる体内観察システム41のカプセル型内視鏡42に代えてカプセル型内視鏡52を備え、制御部46に代えて制御部56を備える。このカプセル型内視鏡52は、被検体100の外部に配置される制御部56によらず、自ら撮像方向を変更する機能を有する。また、体内観察システム51は、上述した駆動部44を備えていない。すなわち、この体内観察システム51において、ベッド43は、xyz座標系の軸回りに回転駆動して被検体100の姿勢を変更するものではなく、支持部45によって固定される。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
カプセル型内視鏡52は、上述したように、被検体100の外部に配置された制御部56の制御によらずに、体内画像の撮像方向を自ら変更する。例えば、カプセル型内視鏡52は、上述した実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡41と同様に比重および重心を設定され、被検体100の臓器内部に導入された液体の液面に浮遊するとともに、この液面において特定の浮遊姿勢を維持する。かかるカプセル型内視鏡52は、この特定の浮遊姿勢を維持した状態において、自ら撮像方向を変更するとともに被検体の体内画像を順次撮像する。かかるカプセル型内視鏡52が有する他の機能およびカプセル型内視鏡52の構造は、上述した実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡42と同様である。
なお、カプセル型内視鏡52は、特に、被検体100内部の液面に浮遊しなくてもよい。すなわち、かかるカプセル型内視鏡52の比重は、被検体100の臓器内部に導入される液体の比重以上であってもよい。この場合、カプセル型内視鏡52の重心は、カプセル型筐体(後述する図16に示す筐体20)の内部における特定の位置に設定されればよく、特に筐体20の中心から外れた位置に設定されなくてもよい。
制御部56は、上述した実施の形態3にかかる体内観察システム41の制御部46と同様に、受信部6、入力部8、表示部9、および記憶部10を制御する。一方、制御部56は、カプセル型内視鏡52の撮像方向の変更を制御する機能を有していない。この場合、入力部8は、制御部56に対して指示する指示情報、被検体の患者情報、および被検体の検査情報等を制御部56に入力すればよく、フレームレート、画角、体内画像の一辺の画素数、撮像条件等のカプセル型内視鏡52の撮像機能に関する情報を制御部56に入力しなくてもよい。
なお、この実施の形態4において、被検体100を載置するベッド43は、xyz座標系の軸回りに回転駆動して被検体100の姿勢を変更するものではないため、上述したベルト43a,43b,43cによって被検体100を束縛する必要がない。すなわち、かかるベッド43は、ベルト43a,43b,43cを備えていなくてもよい。
つぎに、本発明の実施の形態4にかかる体内画像取得装置の一例であるカプセル型内視鏡52の構成を詳細に説明する。図16は、本発明の実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡52の一構成例を示す模式図である。図16に示すように、この実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡52は、撮像部23の撮像方向Fを変更する駆動部54をさらに備え、上述した実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡42の制御部26に代えて、この駆動部54の駆動制御機能を有する制御部55を備える。この駆動部54は、複数の照明部21と撮像部23とを含む撮像機構53を回転駆動することによって撮像部23の撮像方向Fを変更する。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
駆動部54は、少なくとも撮像部23を回転駆動して撮像部23の撮像方向Fを変更する方向変更手段として機能する。具体的には、駆動部54は、複数の照明部21と撮像部23とを含む撮像機構53を回転駆動して、撮像方向Fの撮像視野に対する照明光の照射(すなわち照明光による撮像視野の照明)を確保しつつ、この撮像方向Fを変更(回転)する。かかる駆動部54は、被検体100内部のカプセル型内視鏡52が被検体100に対して相対的に静止した状態であっても、撮像方向Fを順次変更する。
制御部55は、駆動制御部55aおよび速度設定部55bを有し、上述した駆動部54を制御することによって、カプセル型内視鏡52の撮像方向Fを制御する。速度設定部55bは、カプセル型内視鏡52の撮像機能に関する情報(例えばフレームレートf、画角θ、体内画像の一辺の画素数m、および発光時間t等の撮像条件)を予め取得し、この取得した情報を適宜用いて角速度を算出する。速度設定部55bは、上述した駆動部54によって撮像機構53を回転駆動する(すなわち撮像方向Fを回転する)際の角速度として、この算出した角速度を設定する。駆動制御部55aは、速度設定部55bによって設定された角速度で撮像機構53を駆動部54に回転駆動させ、これによって、撮像部23の撮像方向Fを駆動部54に変更させる。すなわち、駆動制御部55aは、かかる駆動部54の駆動制御を通して撮像部23の撮像方向Fを制御する。なお、かかる制御部55が有する他の機能は、上述した実施の形態3にかかるカプセル型内視鏡42の制御部26と同様である。
つぎに、被検体100の体内画像を順次撮像する撮像部23の撮像方向Fを駆動部54に変更させるカプセル型内視鏡52の制御部55の動作について説明する。制御部55は、上述したステップS101〜S103(図4参照)と略同様の処理手順を繰り返し行って、体内画像の撮像間隔Tの期間に撮像機構53を回転駆動する際の角速度ω1と、体内画像の撮像時間内に撮像機構53を回転駆動する際の角速度ω2とを設定し、この設定した角速度ω1,ω2で撮像方向Fを変更するように駆動部54を制御する。
この場合、制御部55は、上述したステップS101に代えて撮像機構53の回転駆動の角速度を設定する。具体的には、速度設定部55bは、カプセル型内視鏡52の撮像機能に関する情報(画角θ、フレームレートf、体内画像の一辺の画素数m、および発光時間t等の撮像条件)を予め取得する。速度設定部55bは、画角θとフレームレートfとの乗算値未満である角速度ω1[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω1を、上述した撮像間隔Tにおいて撮像機構53を回転駆動する際の角速度として設定する。また、速度設定部55bは、体内画像の一辺の画素数mと照明光の発光時間tとの乗算値によって画角θを除算した除算値未満である角速度ω2[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω2を、各体内画像の撮像時間(例えば照明光の発光時間)内に撮像機構53を回転駆動する際の角速度として設定する。
一方、制御部55は、上述したステップS103に代えて、かかる角速度ω1,ω2で撮像機構53を駆動部54に回転駆動させる。具体的には、駆動制御部55aは、撮像部23の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間(照明光の発光時間または撮像部23の受光時間)を除く期間、かかる角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)で撮像機構53を回転駆動するように駆動部54を制御する。また、駆動制御部55aは、撮像部23の撮像間隔Tのうちの体内画像の撮像時間、すなわち撮像部23が体内画像を撮像している期間、かかる角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))で撮像機構53を回転駆動するように駆動部54を制御する。
つぎに、上述した図3に示したように発光時間tの照明光によって照明された被検体100の体内画像を撮像間隔T毎に順次撮像する場合を例示して、かかる制御部55に駆動制御された駆動部54による撮像方向Fの変更作用並びに本発明にかかる体内観察方法における体内画像撮像ステップおよび撮像方向変更ステップについて具体的に説明する。図17は、駆動部54の作用によってカプセル型内視鏡52の撮像方向Fが変化する状態を例示する模式図である。
図17に示すように、撮像機構53は、駆動部54の作用によって回転駆動するとともに撮像方向Fを順次変更する。この場合、複数の照明部21は、かかる駆動部54の作用によって変化(回転)する撮像方向Fの撮像視野を撮像間隔T毎に発光時間tだけ順次照明し、撮像部23は、かかる撮像方向Fの撮像視野の画像、すなわち被検体100の体内画像を撮像間隔T毎に順次撮像する。
ここで、駆動部54は、上述した駆動制御部55aの制御に基づいて、撮像部23の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、撮像機構53を角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)で回転駆動し、この撮像間隔Tのうちの撮像部23が体内画像を撮像している期間、この撮像機構53を角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))で回転駆動する。この場合、撮像部23は、かかる角速度ω1,ω2による撮像機構53の回転駆動に伴って、角速度ω1で撮像方向Fを変更し、特に体内画像を撮像している各期間、角速度ω2で撮像方向Fを変更する。
このように駆動部54が撮像機構53の回転駆動によって撮像方向Fを変更する場合、かかる撮像方向Fの変更角度α[deg.]は、図17に示すように、常にカプセル型内視鏡52の画角θ未満になる。この結果、撮像方向Fの撮像視野は、変更後の撮像方向Fの撮像視野の少なくとも一部の視野領域と重複する。撮像部23は、このように撮像視野の視野領域を重複させつつ体内画像を順次撮像することによって、体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。この実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡52は、かかる撮像部23が被検体の体内画像群を時系列に沿って順次撮像した場合、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できる。
ここで、この実施の形態4における角速度ω1は、上述した実施の形態3の場合と同様に、画角θとフレームレートfとの乗算値の半数以下に設定することが望ましい。このように角速度ω1(≦フレームレートf×画角θ÷2)を設定することによって、各撮像方向間の変更角度αは、常に画角θの半数以下になる。この結果、撮像方向Fの撮像視野は、変更後の撮像方向Fの撮像視野の半分以上と重複する。カプセル型内視鏡52は、このように各撮像視野間において半分以上の視野領域を重複させることによって、体内画像間において半分以上の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかるカプセル型内視鏡52は、撮像方向Fの回転中心と画角θの中心とが一致しない場合であっても、時間的に隣接する体内画像間の少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群をより確実に取得できる。
一方、撮像部23は、上述したように、撮像間隔Tのうちの体内画像を撮像している各期間、角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間t))による撮像機構53の回転駆動に伴い、角速度ω2で撮像方向Fを変更する。このため、かかる角速度ω2で変化する撮像方向Fに追従して変位する撮像視野の視野ずれ量は、常に撮像部23の受光面の1画素未満のずれ量になる。この結果、上述した実施の形態3の場合と同様に、カプセル型内視鏡52は、体内画像を撮像している各期間、かかる角速度ω2で撮像方向Fを変更することによって、体内画像を撮像するとともに撮像方向Fを変更する場合であっても、画像ぶれを軽減した鮮明な体内画像を順次撮像することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、被検体の体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型筐体の内部に、体内画像を順次撮像する撮像部と、この撮像部を回転駆動する駆動部とを配置し、この撮像部の画角とフレームレートとの乗算値未満である角速度で駆動部に撮像部を回転駆動させて、この撮像部の撮像方向を変更するように構成した。このため、この撮像部によって順次撮像される体内画像の撮像間隔の期間、この駆動部の作用によって変更する撮像方向の変更角度をこの撮像部の画角未満に維持することができ、これによって、撮像方向の変更に伴って変位する各撮像視野の少なくとも一部の視野領域を互いに重複させることができる。この結果、上述した実施の形態3の場合と同様に、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できるとともに、被検体に対してカプセル型筐体が静止した状態であっても、撮像部の撮像方向を順次変更できる体内観察システムおよび体内画像取得装置、並びにこれら体内画像群の観察を通して被検体の臓器内部を観察する体内観察方法を実現することができる。
この実施の形態4にかかる体内観察システムおよび体内画像取得装置を用いることによって、被検体の臓器内部の撮像漏れを可能な限り低減できるとともに、臓器内部の略全範囲に亘って連続的な体内画像群を取得でき、これによって、胃または大腸等の被検体の臓器内部を隈なく観察することができる。
また、1フレームの体内画像を撮像している期間、この体内画像の一辺の画像数と撮像時間との乗算値によって撮像部の画角を除算した除算値未満である角速度で駆動部に撮像部を回転駆動させて、この撮像部の撮像方向をこの角速度で変更するように構成した。このため、この撮像方向の変化に伴って体内画像の撮像時間内に変位する撮像部の撮像視野の視野ずれ量を体内画像の1画素分のずれ量未満に維持でき、上述した実施の形態3の場合と同様に、この撮像視野の体内画像のぶれをこの撮像部の受光面の1画素未満または体内画像の表示系の1画素未満に軽減することができる。この結果、体内画像を撮像するとともに撮像方向を変更する場合であっても、画像ぶれを軽減した鮮明な体内画像を順次撮像することができる。
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5について説明する。上述した実施の形態1では、被検体の臓器内部に導入したカプセル型内視鏡2の姿勢を磁界発生部3の外部磁界によって変更することによって、このカプセル型内視鏡2の撮像方向Fを変更していたが、この実施の形態5では、かかるカプセル型内視鏡に代えて、被検体の臓器内部に挿入可能な細長の挿入部を有する内視鏡装置を有し、この挿入部の先端部を湾曲駆動することによって撮像部の撮像方向を変更している。
図18は、本発明の実施の形態5にかかる体内観察システムの一構成例を模式的に示すブロック図である。図19は、本発明の実施の形態5にかかる体内画像取得装置の一例である内視鏡装置の挿入部先端の内部構成を例示する縦断面模式図である。図18に示すように、この実施の形態5にかかる体内観察システム61は、被検体の体内画像を順次取得する内視鏡装置62と、内視鏡装置62によって取得された体内画像群を表示する画像表示装置63とを備える。内視鏡装置62は、被検体の臓器内部に挿入可能な細長の挿入部64aを有する内視鏡本体64と、挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動する湾曲駆動部65と、この先端部64bの湾曲駆動を操作する操作部66と、被検体の臓器内部に挿入された挿入部64aを介して臓器内部を照明する照明部68と、を備える。また、内視鏡装置62は、各種情報を入力する入力部70と、被検体の体内画像群等の各種情報を記憶する記憶部71と、かかる内視鏡装置62の各構成部を制御する制御部72と、を備える。
内視鏡本体64は、上述したように、被検体の臓器内部に挿入可能な細長の挿入部64aを有する。また、図19に示すように、内視鏡本体64は、この挿入部64aの内部に光ファイバ等のライトガイド67と、撮像部69とを有する。挿入部64aは、可撓性のある細長な部材であり、被検体の口または肛門等から臓器内部に挿入される。かかる挿入部64aは、後述する湾曲駆動部65の作用によって先端部64bを湾曲させる。
ライトガイド67は、光ファイバ等を用いて実現され、挿入部64aの内部に導光経路を形成する。かかるライトガイド67は、照明部68によって発光された照明光を挿入部64aの基端部側から先端部64b側へ伝達し、この照明光を撮像部69の撮像視野(例えば被検体の臓器内部)に導く。
撮像部69は、挿入部64aの先端部64bの内部に固定配置され、ライトガイド67によって導入された照明光、すなわち照明部68の照明光によって照明された被検体の体内画像を撮像する。具体的には、撮像部69は、集光レンズ等の光学系69aと、CMOSイメージセンサまたはCCD等の固体撮像素子69bとを有する。光学系69aは、照明部68の照明光によって照明された被検体の臓器内部(すなわち撮像部69の撮像視野)からの反射光を集光して、固体撮像素子69bの受光面に被写体画像を結像する。固体撮像素子69bは、この光学系69aの焦点位置に受光面を配置し、この受光面を介して臓器内部からの反射光を受光し、この受光した反射光に対して光電変換処理を行って体内画像の画像データを生成する。
かかる光学系69aおよび固体撮像素子69bを有する撮像部69は、図19に示すように、画角θ[deg.]を有し、挿入部64aの長手方向の中心軸と略平行な撮像方向Fに、この画角θによって規定される撮像視野を有する。この場合、かかる撮像部69の光軸は、挿入部64aの長手方向の中心軸と略平行であり、望ましくは略一致する。また、かかる撮像部69は、この撮像視野内に位置する臓器内部の体内画像を所定のフレームレートf[フレーム/秒]で順次撮像する。かかる撮像部69によって撮像された体内画像の画像データは、画像表示装置63に順次送出される。
湾曲駆動部65は、挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動して撮像部69の撮像方向Fを変更する方向変更手段として機能する。具体的には、湾曲駆動部65は、挿入部64aの先端部64bに接続されたケーブル(図示せず)と、このケーブルを介して先端部64bを湾曲させるアクチュエータ(図示せず)とを有する。かかる湾曲駆動部65は、制御部72の制御に基づいて、xyz座標系の空間内部における所望の方向(上下方向、左右方向等)に先端部64bを湾曲駆動する。これによって、湾曲駆動部65は、この先端部64b内の撮像部69の撮像方向Fを変更する。
操作部66は、かかる撮像部69の撮像方向Fを変更する湾曲駆動部65を操作するためのものである。かかる操作部66は、例えば医師または看護師等のユーザによって把持され、湾曲駆動部65に挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動させるための指示情報を制御部72に入力する。
照明部68は、上述した挿入部64aの内部に配置されたライトガイド67を介して撮像部69の撮像視野に照明光を照射し、この照明光によって撮像部69の撮像視野を照明する。具体的には、照明部68は、LED等の発光素子68aと、複数色のカラーフィルタを有するカラーフィルタ群68bとを有する。発光素子68aは、白色光を発光し、この発光した白色光をカラーフィルタ群68bに透過させる。カラーフィルタ群68bは、複数色のカラーフィルタ、例えば、光の3原色である赤色、緑色、および青色の各カラーフィルタ(以下、RGBカラーフィルタという)を有し、このRGBカラーフィルタを回転して、発光素子68aからの白色光を透過させるカラーフィルタの色を順次変更する。かかるカラーフィルタ群68bは、発光素子68aからの白色光を所定の間隔で赤色光、緑色光、および青色光に順次変化させる。かかる発光素子68aおよびカラーフィルタ群68bを有する照明部68は、制御部72の制御に基づいて、上述したライトガイド67を介して撮像部69の撮像視野に赤色、緑色、および青色の各照明光を所定の間隔で順次照射し、かかる複数色の各照明光によって撮像部69の撮像視野を順次照明する。
入力部70は、キーボードおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、医師または看護師等のユーザによる入力操作に応じて、制御部72に各種情報を入力する。かかる入力部70によって制御部72に入力される各種情報は、例えば、制御部72に対して指示する指示情報、撮像部69の撮像機能に関する情報等である。なお、撮像部69の撮像機能に関する情報は、例えば、被検体の体内画像を順次する際のフレームレートf、画角θ、体内画像の一辺の画素数m、光学系の焦点位置または撮像時間等の体内画像の撮像条件等である。
記憶部71は、RAM、EEPROM、フラッシュメモリ、またはハードディスク等の書き換え可能に情報を保存する各種記憶メディアを用いて実現される。記憶部71は、制御部72が記憶指示した各種情報を記憶し、記憶した各種情報の中から制御部72が読み出し指示した情報を制御部72に送出する。かかる記憶部71が記憶する情報は、例えば、入力部70によって入力された撮像部69の撮像機能に関する情報等である。
制御部72は、内視鏡装置62の各構成部(湾曲駆動部65、操作部66、照明部68、撮像部69、入力部70、および記憶部71)の動作を制御し、かかる各構成部間における信号の入出力を制御する。具体的には、制御部72は、入力部70によって入力された指示情報に基づいて、照明部68による照明光の発光動作および撮像部による体内画像の撮像動作を制御する。また、制御部72は、操作部66によって入力された指示情報に基づいて、湾曲駆動部65の動作を制御する。
かかる制御部72は、撮像制御部72a、駆動制御部72b、および速度設定部72cを有する。撮像制御部72aは、照明部68に赤色、緑色、および青色の各照明光を所定の間隔で順次出力させ、かかる赤色、緑色、および青色の各照明光(以下、赤色光、緑色光、青色光という場合がある)によって順次照明された被検体の体内画像を面順次方式によって撮像部69に撮像させる。具体的には、図20に示すように、撮像制御部72aは、照明部68に発光時間tRの赤色光、発光時間tGの緑色光、および発光時間tBの青色光を順次出力させ、かかる赤色光、緑色光、および青色光によって順次照明された被検体の体内画像を所定の撮像間隔T毎に撮像部69に撮像させる。この場合、撮像制御部72aは、撮像間隔T毎に所定の順序(例えば、赤色光、緑色光、青色光の順)で照明部68に赤色光、緑色光、および青色光を繰り返し出力させ、かかる照明光の各発光時間tR,tG,tBと同時期に撮像部69を順次露光させる。
なお、かかる撮像部69が面順次方式によって撮像する1フレームの体内画像は、発光時間tRの赤色光によって照明された被検体の体内画像(以下、赤色分光画像という)と、発光時間tGの緑色光によって照明された被検体の体内画像(以下、緑色分光画像という)と、発光時間tBの青色光によって照明された被検体の体内画像(以下、青色分光画像という)とを合成して形成される。すなわち、かかる撮像部69の1フレームの体内画像の撮像時間は、これら赤色光、緑色光、および青色光の各発光時間tR,tG,tBを加算した加算値である。また、かかる撮像部69の撮像間隔Tは、上述したように、1フレームの体内画像を撮像開始してから次のフレームの体内画像を撮像開始するまでの時間間隔であり、赤色光、緑色光、および青色光の各発光時間tR,tG,tBおよび撮像部69の受光時間(露光時間)等を含む。
速度設定部72cは、入力部70によって入力された撮像部69の撮像機能に関する情報(フレームレートf、画角θ、体内画像の一辺の画素数m、および発光時間等の撮像条件)を予め取得し、この取得した情報を適宜用いて角速度を算出する。速度設定部72cは、上述した湾曲駆動部65によって挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動する(すなわち撮像部69の撮像方向Fを変更する)際の角速度として、この算出した角速度を設定する。駆動制御部72bは、速度設定部72cによって設定された角速度で挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動部65に湾曲駆動させ、これによって、先端部64b内の撮像部69の撮像方向Fを湾曲駆動部65に変更させる。すなわち、駆動制御部72bは、かかる湾曲駆動部65の駆動制御を通して撮像部69の撮像方向Fを制御する。
一方、画像表示装置63は、上述した撮像部69が面順次方式によって順次撮像した被検体の体内画像群を取得し、この被検体の体内画像群を表示するワークステーション等のような構成を有する。具体的には、画像表示装置63は、ケーブル63a等を介して撮像部69から画像データ群を取得し、取得した画像データ群に対して所定の画像処理を行って被検体の体内画像群を生成する。画像表示装置63は、大容量の記憶媒体を有し、得られた被検体の体内画像群をこの記憶媒体に保存する。また、画像表示装置63は、各種情報を入力する入力部を有し、この入力部によって入力された各種情報(例えば被検体の患者情報および検査情報)を被検体の体内画像とともに表示する。すなわち、画像表示装置63は、被検体に対する内視鏡検査に有用な情報を表示する。また、画像表示装置63は、医師または看護師等のユーザが被検体の体内画像を観察(検査)するための処理機能を有する。ユーザは、かかる画像表示装置63に被検体の体内画像群を表示させることによって、この被検体の臓器内部を観察できる。
つぎに、内視鏡本体64の挿入部64aの先端部64bに内蔵された撮像部69の撮像方向Fを湾曲駆動部65に変更させる制御部72の動作について説明する。図21は、湾曲駆動部65の駆動制御を通して撮像部69の撮像方向Fを制御する制御部72の処理手順を例示するフローチャートである。制御部72は、被検体の臓器内部に挿入された挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動部に湾曲駆動させ、これによって、この先端部64b内の撮像部69の撮像方向Fを湾曲駆動部65に変更させる。
すなわち、図21に示すように、制御部72は、まず、上述した挿入部64aの湾曲駆動の角速度を設定する(ステップS201)。このステップS201において、速度設定部72cは、入力部70によって入力された撮像部69の撮像機能に関する情報、例えば撮像部69の画角θおよびフレームレートfと体内画像の一辺の画素数mと照明光の発光時間tR,tG,tBとを取得し、この取得した各種情報を適宜用いて湾曲駆動の角速度を設定する。
詳細には、速度設定部72cは、画角θとフレームレートfとを乗算した乗算値未満である角速度ω1[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω1を、上述した撮像間隔Tにおいて先端部64bを湾曲駆動する際の平均角速度として設定する。また、速度設定部72cは、体内画像の一辺の画素数mと照明光の発光時間tSとの乗算値によって画角θを除算した除算値未満である角速度ω2[deg./秒]を算出し、この算出した角速度ω2を、上述した撮像間隔Tのうちの撮像時間内に先端部64bを湾曲駆動する際の平均角速度として設定する。なお、この発光時間tSは、上述した赤色光の発光時間tRと緑色光の発光時間tGと青色光の発光時間tBとを加算した合計値である。かかる角速度ω1,ω2は、記憶部71に記憶され、必要に応じて制御部72によって読み出される。
つぎに、制御部72は、挿入部64aの湾曲指示の有無を判断する(ステップS202)。このステップS202において、制御部72は、挿入部64aの湾曲駆動の指示情報を入力されていない場合、挿入部64aの湾曲指示なしと判断し(ステップS202,No)、このステップS202の処理手順を繰り返す。一方、制御部72は、挿入部64aの湾曲駆動の指示情報を操作部66によって入力された場合、挿入部64aの湾曲指示ありと判断し(ステップS202,Yes)、上述したステップS201において設定した角速度ω1,ω2で挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動部65に変更させる(ステップS203)。
このステップS203において、駆動制御部72bは、撮像部69の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、上述した角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)で挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動するように湾曲駆動部65を制御する。一方、駆動制御部72bは、撮像部69の撮像間隔Tのうちの体内画像の撮像時間、すなわち撮像部69が面順次方式によって体内画像を撮像している期間、上述した角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間tS))で挿入部64aの先端部64bを湾曲駆動するように湾曲駆動部65を制御する。
このように駆動制御部72bが湾曲駆動部65を駆動制御することによって、湾曲駆動部65は、撮像部69の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、挿入部64aの先端部64bの湾曲駆動に伴って変化する撮像部69の撮像方向Fを上述した角速度ω1で変更し、撮像部69が面順次方式によって体内画像を撮像している期間、挿入部64aの先端部64bの湾曲駆動に伴って変化する撮像部69の撮像方向Fを上述した角速度ω2で変更する。その後、制御部72は、上述したステップS202に戻り、このステップS202以降の処理手順を繰り返す。
つぎに、被検体の臓器内部に挿入された挿入部64aの先端部64b内の撮像部69が2フレームの体内画像を順次撮像する場合を例示して、上述した制御部72に駆動制御された湾曲駆動部65による撮像方向Fの変更作用並びに本発明にかかる体内観察方法における体内画像撮像ステップおよび撮像方向変更ステップについて具体的に説明する。図22は、挿入部64aの先端部64bの湾曲駆動に伴って撮像部69が撮像方向Fを変更しつつ面順次方式による体内画像を順次撮像する状態を例示する模式図である。図23は、撮像方向Fの変更に伴って各分光画像の撮像視野がずれる状態を例示する模式図である。
なお、図22において、撮像視野E1,E2は、被検体の臓器内部を捉えた撮像部69の撮像視野であり、上述したように画角θによって規定される。かかる撮像視野E1,E2のうち、撮像視野E1は、撮像部69が面順次方式によって順次撮像する2フレームの体内画像のうちの1フレーム目の体内画像に対応する撮像視野であり、撮像視野E2は、これら2フレームの体内画像のうちの2フレーム目の体内画像に対応する撮像視野である。また、図23において、撮像視野ER,EG,EBは、1フレームの体内画像の撮像視野E1に含まれる撮像視野である。撮像視野ERは、この1フレームの体内画像の赤色分光画像の撮像視野であり、撮像視野EGは、この1フレームの体内画像の緑色分光画像の撮像視野であり、撮像視野EBは、この1フレームの体内画像の青色分光画像の撮像視野である。
図22に示すように、挿入部64aは、上述した制御部72に駆動制御された湾曲駆動部65の作用によって先端部64bを湾曲させる。この先端部64b内の撮像部69は、かかる先端部64bの湾曲駆動に伴って撮像方向Fを撮像視野E1の撮像方向F(点線矢印)から撮像視野E2の撮像方向F(実線矢印)に変更するとともに、かかる撮像視野E1,E2の各体内画像を面順次方式によって順次撮像する。
ここで、湾曲駆動部65は、上述した駆動制御部72bの制御に基づいて、撮像部69の撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間、挿入部64aの先端部64bを角速度ω1(<フレームレートf×画角θ)で湾曲駆動し、この撮像間隔Tのうちの撮像部69が面順次方式によって体内画像を撮像している期間、この先端部64bを角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間tS))で変更する。この場合、撮像部69は、かかる角速度ω1,ω2による先端部64bの湾曲駆動に伴って、角速度ω1で撮像視野E1の撮像方向Fを撮像視野E2の撮像方向Fに変更し、特に撮像視野E1,E2の体内画像を撮像している各期間、角速度ω2で撮像方向Fを変更する。
このように湾曲駆動部65が先端部64bの湾曲駆動によって撮像方向Fを変更する場合、かかる撮像方向Fの変更角度α[deg.]は、図22に示すように、常に撮像部69の画角θ未満になる。この結果、撮像方向Fの撮像視野E1は、変更後の撮像方向Fの撮像視野E2の少なくとも一部の視野領域と重複する。撮像部69は、このように視野領域を重複させつつ撮像視野E1,E2の各体内画像を順次撮像することによって、体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかる撮像部69は、被検体の体内画像群を時系列に沿って順次撮像した場合、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できる。
ここで、この実施の形態5における角速度ω1は、上述した実施の形態1の場合と同様に、画角θとフレームレートfとの乗算値の半数以下に設定することが望ましい。このように角速度ω1(≦フレームレートf×画角θ÷2)を設定することによって、撮像視野E1の撮像方向Fと撮像視野E2の撮像方向Fとのなす変更角度αは、図22に示すように、常に画角θの半数以下になる。この結果、撮像方向Fの撮像視野E1は、変更後の撮像方向Fの撮像視野E2の半分以上と重複する。撮像部69は、このように視野領域が半分以上重複する撮像視野E1,E2の各体内画像を順次撮像することによって、体内画像間において半分以上の画像部分が重複する体内画像群を確実に撮像することができる。かかる撮像部69は、撮像方向Fの回転中心と画角θの中心とが一致しない場合であっても、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群をより確実に取得できる。
一方、撮像部69は、上述したように、撮像間隔Tのうちの撮像視野E1,E2の体内画像を面順次方式によって撮像している各期間、角速度ω2(<画角θ÷(一辺の画素数m×発光時間tS))による先端部64bの湾曲駆動に伴い、角速度ω2で撮像方向Fを変更する。この場合、面順次方式による体内画像の撮像視野E1,E2は、かかる撮像方向Fの変更に伴って視野ずれ量を発生させる。
具体的には、図23に示すように、面順次方式による体内画像の撮像視野E1に含まれる撮像視野ER,EG,EBは、かかる撮像方向Fの変化に伴って視野ずれ量eを発生させる。ここで、この撮像部69の撮像方向Fは、上述したように、体内画像の撮像時間内、すなわち各照明光の発光時間tS内において角速度ω2で変化(回転)する。このため、かかる撮像方向Fの変化に伴って体内画像の撮像時間内に変位する撮像視野ER,EG,EBの視野ずれ量eは、撮像視野ER,EG,EBを含む撮像視野E1に対応する体内画像(すなわち面順次方式による体内画像)の1画素分のずれ量未満になる。
この結果、かかる撮像視野ER,EG,EBの変位に起因する赤色分光画像と緑色分光画像と青色分光画像との画像ぶれ、すなわち、かかる赤色分光画像と緑色分光画像と青色分光画像との合成によって形成される面順次方式の体内画像の色ぶれは、この撮像部69の一辺の画素数がこの体内画像の表示系の一辺の画素数以下である場合、撮像部69の受光面の1画素未満に軽減でき、この撮像部69の一辺の画素数がこの体内画像の表示系の一辺の画素数を越える場合、この体内画像の表示系の1画素未満に軽減できる。このように、撮像部69は、上述した角速度ω2で撮像方向Fを変更することによって、体内画像を撮像するとともに撮像方向Fを変更する場合であっても、面順次方式による体内画像の色ぶれを軽減でき、面順次方式による鮮明な体内画像を順次撮像することができる。かかる体内画像の色ぶれ軽減効果は、撮像視野E1の次に体内画像が撮像される次フレームの撮像視野E2についても同様に得られる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態5では、被検体の体内に挿入される細長の挿入部の先端部内に撮像部を固定配置し、この撮像部の画角とフレームレートとの乗算値未満である角速度でこの挿入部の先端部を湾曲駆動して、この撮像部の撮像方向をこの角速度で変更するように構成した。このため、この撮像部によって順次撮像される体内画像の撮像間隔の期間、この先端部の湾曲駆動に伴って変化する撮像部の撮像方向の変更角度をこの撮像部の画角未満に維持することができ、これによって、撮像方向の変更に伴って変位する各撮像視野の少なくとも一部の視野領域を互いに重複させることができる。この結果、被検体の体内画像群を時系列に沿って順次撮像した場合に、時間的に隣接する体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複する連続的な体内画像群を確実に取得できる体内観察システムおよび体内画像取得装置、並びにこれら体内画像群の観察を通して被検体の臓器内部を観察する体内観察方法を実現することができる。
この実施の形態5にかかる体内観察システムおよび体内画像取得装置を用いることによって、被検体の臓器内部の撮像漏れを可能な限り低減できるとともに、臓器内部の略全範囲に亘って連続的な体内画像群を取得でき、これによって、胃または大腸等の被検体の臓器内部を隈なく観察することができる。
また、面順次方式による1フレームの体内画像を撮像している期間、この体内画像の一辺の画像数と撮像時間との乗算値によって撮像部の画角を除算した除算値未満である角速度で挿入部の先端部を湾曲駆動して、この撮像部の撮像方向をこの角速度で変更するように構成した。このため、面順次方式による体内画像を形成する各分光画像の撮像視野の視野ずれ量を体内画像の1画素分のずれ量未満に維持でき、これによって、かかる各分光画像の画像ぶれをこの撮像部の受光面の1画素未満または体内画像の表示系の1画素未満に軽減することができる。この結果、面順次方式による体内画像を撮像するとともに撮像方向を変更する場合であっても、かかる各分光画像の画像ぶれに起因する体内画像の色ぶれを軽減でき、面順次方式による鮮明な体内画像を順次撮像することができる。
なお、本発明の実施の形態1,2では、カプセル型内視鏡に内蔵した磁石28の磁化方向と撮像部23の撮像方向Fとを一致させていたが、これに限らず、例えばカプセル型の筐体20の長手方向に対して所定の角度で傾斜する方向または筐体20の径方向に磁石28を磁化して、この磁石28の磁化方向と撮像部23の撮像方向Fとを一致させなくてもよい。この場合、磁界発生部3の外部磁界に追従して変化する撮像方向Fの変化量は、磁石28の磁化方向と撮像部23の撮像方向Fとを一致させたカプセル型内視鏡の撮像方向Fの変化量以下である。このため、磁石28の磁化方向と撮像部23の撮像方向Fとを一致させたカプセル型内視鏡の撮像方向Fを変更する際の磁界方向の角速度条件と同じ条件でカプセル型内視鏡の姿勢を制御すれば、磁石28の磁化方向と撮像部23の撮像方向Fとを一致させていない場合であっても、一致させた場合と同様に、連続的な体内画像を確実に取得できるとともに、体内画像の画像ぶれを軽減できる。
また、本発明の実施の形態2では、照明光の発光時間を複数種類に設定し、これら複数種類の発光時間を所定の順序で切り替えて照明光の発光量を変化させていたが、これに限らず、カプセル型内視鏡32の制御部36は、体内画像の輝度情報等をもとに、撮像部23と臓器内壁との相対距離に応じて好適な照明光の発光量を調光してもよいし、照明光の発光時間を調整してもよい。この場合、被検体外の制御部33は、かかるカプセル型内視鏡32から取得した体内画像の輝度情報等をもとに照明光の発光時間を把握し、この把握した発光時間をもとに磁界方向の角速度ω2を設定してもよい。
さらに、本発明の実施の形態1〜3では、体内画像のフレームレートfおよび撮像条件等の角速度ω1,ω2の算出に必要な情報を入力部8によって入力していたが、これに限らず、受信部6によってカプセル型内視鏡から受信した情報、例えば、体内画像の受信時間、体内画像の輝度情報等をもとに、フレームレートf、発光時間等の撮像条件、撮像条件の種類数n、体内画像の一辺の画素数m等の角速度ω1,ω2の算出に必要な情報を把握してもよい。
また、本発明の実施の形態2では、複数種類の撮像条件として照明光の発光時間が異なる4種類の撮像条件(発光時間t1〜t4の撮像条件)を設定したが、これに限らず、2種類以上の発光時間によって種別される撮像条件であってもよい。また、発光時間に代えて照明光の発光波長別に種別される複数種類の撮像条件を設定してもよいし、光学系の焦点位置すなわち撮像部のピント位置別に種別される複数種類の撮像条件を設定してもよいし、照明光の発光時間、発光波長、ピント位置等を適宜組み合わせて複数種類の撮像条件を設定してもよい。いずれの場合であっても、同種類の撮像条件の体内画像間において少なくとも一部の画像部分が重複するように、上述した外部磁界の磁界方向を変更すればよい。
例えば、複数種類の発光波長を撮像条件として設定する場合、図24に示すように、複数種類の発光波長(すなわち照明光の発光色)を体内画像の撮像間隔T毎に所定の順序に沿って切り替えればよい。この場合、カプセル型内視鏡32の制御部36は、複数種類の発光波長の照明光として、発光時間tRの赤色光、発光時間tGの緑色光、発光時間tBの青色光、および発光時間tWの白色光を所定の順序に沿って繰り返し切り替えてもよい。また、被検体外の制御部33は、かかるカプセル型内視鏡32によって撮像された体内画像群のうちの同じ発光波長帯域(または同じ受光波長帯域)の各体内画像間で少なくとも一部の画像部分が重複するように、外部磁界の磁界方向を磁界発生部3に変更させればよい。
また、本発明の実施の形態2では、4種類の発光時間t1〜t4のうちの最小時間である発光時間t1から発光時間が順次増加する順序を発光時間の1サイクルの切替順序にしていたが、これに限らず、発光時間の1サイクルの切替順序が固定されていれば、発光時間が順次減少する順序を1サイクルの切替順序にしてもよいし、発光時間が増加または減少を繰り返す順序を1サイクルの切替順序にしてもよい。
さらに、本発明の実施の形態1〜5では、速度設定部によって角速度ω1,ω2を算出していたが、これに限らず、撮像条件に応じて予め設定した角速度ω1,ω2を入力部によって被検体外の制御部に入力してもよいし、撮像方向を変更するカプセル型内視鏡または内視鏡装置の制御部に角速度ω1,ω2を予め設定してもよい。
また、本発明の実施の形態2では、発光時間t1〜t4のうちの最大値である発光時間t4を用いて角速度ω2を算出していたが、これに限らず、複数種類の発光時間に応じて角速度ω2を複数種類算出し、発光時間に合わせて角速度ω2を切り替えてもよい。例えば、発光時間t1の照明光を発光する場合、この発光時間t1を用いて算出した角速度ω2で撮像方向Fを変更し、発光時間t2の照明光を発光する場合、この発光時間t2を用いて算出した角速度ω2で撮像方向Fを変更し、発光時間t3の照明光を発光する場合、この発光時間t3を用いて算出した角速度ω2で撮像方向Fを変更し、発光時間t4の照明光を発光する場合、この発光時間t4を用いて算出した角速度ω2で撮像方向Fを変更すればよい。これによって、撮像時間に応じて磁界方向の角速度ω2を最適値に設定できるため、撮像時間が長い場合に角速度ω2を小さくし、また、撮像時間が短い場合に角速度ω2を大きくすることができる。この結果、体内画像の画像ぶれを短時間で効率的に軽減することができる。
さらに、本発明の実施の形態3では、被検体100を載置したベッド43を回転駆動して、撮像方向Fを被検体100に対して相対的に変更していたが、これに限らず、カプセル型内視鏡を臓器内部に含む被検体100の体位を検査者または被検体100自身によって変更して、撮像方向Fを被検体100に対して相対的に変更してもよい。この場合、例えば図25に示すように、ベッド101を用いて被検体100の体位を臥位、立位、および座位に適宜変更して、被検体100内部のカプセル型内視鏡の撮像方向Fを被検体100に対して相対的に変更してもよい。この場合、体内画像の撮像間隔Tにおいて角速度ω1で被検体100の体位を変更し、体内画像の撮像時間(例えば発光時間t)において角速度ω2で被検体100の体位を変更すればよい。
また、本発明の実施の形態3では、被検体100を載置する載置手段としてベッド43を用いていたが、これに限らず、被検体100を姿勢(体位)変更可能に載置するリクライニングシートであってもよい。この場合、体内画像の撮像間隔Tにおいて角速度ω1でリクライニングシートを駆動(例えば背もたれ部を駆動)して被検体100の体位を変更し、体内画像の撮像時間において角速度ω2でリクライニングシートを駆動して被検体100の体位を変更すればよい。
さらに、本発明の実施の形態1〜5では、フレームレートf、画角θ、撮像条件の種類数n、および撮像条件等の角速度ω1,ω2の算出に必要な情報を入力部8によって入力していたが、これに限らず、カプセル型内視鏡の仕様に合わせて速度設定部に事前に設定してもよい。この時、角速度ω1は、カプセル型内視鏡に設定されたフレームレートfの最大値を基準に、角速度ω2はカプセル型内視鏡に設定された発光時間tの最大値をもとに決定する。これによって、撮像条件が変化する場合でも、確実な画像取得を実現できる。
また、本発明の実施の形態1〜5では、入力部8への入力に応じて、速度設定部に設定された角速度ω1,ω2で角度を定速で変化させていたが、これに限らず、入力部8への入力量に応じて、角速度を変化するようにしてもよい。この時、角速度ω1,ω2を角速度の最大値として、速度設定部に設定する。これにより、操作者の意思によって観察方向の変化速度を変えることができるので、確実な画像取得を実現できるとともに、操作性が向上する。
さらに、本発明の実施の形態1〜5では、撮像タイミングを把握し、撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間を角速度ω1、撮像している期間を角速度ω2で撮像部の方向を変化させていたが、これに限らず、撮像タイミングを把握していない状態でも、角速度として、角速度ω1,ω2の小さい方の値を設定し、設定された角速度で撮像部の方向を変化させることによって、確実に画像を取得することができる。さらに、上述したように、角速度ω1,ω2の小さい方の値を、角速度の最大値として設定してもよい。
また、本発明の実施の形態1〜5では、角速度を規定することによって、少なくとも画像の一部が重複する連続的な体内画像群を確実に取得しているが、これに限らず、角度の変化量を規定することによって、確実に画像を取得することができる。具体的には、上述した速度設定部の代わりに移動量設定部を備え、撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間の角度の変化量φを移動量設定部に設定する。この時、角度の変化量φが画角θ以下になるようにする。体内画像を撮像している期間終了後に、撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間に撮像部の角度を変化量φ(<画角θ)だけ変化する。その後、次の体内画像を撮像する期間が終了するまで、撮像部の姿勢を維持すればよい。この場合も、上述したように角速度を規定した場合と同様の作用効果が得られる。
ここで、かかる移動量設定部を備える体内観察システムでは、体内画像を撮像する期間(タイミング)を把握し、撮像間隔T内であって体内画像の撮像時間を除く期間で撮像部の方向を変化させたが、これに限らず、撮像タイミングを把握しない状態でも、撮像部の角度を変化量φだけ変化させた後に、撮像間隔Tと体内画像を撮像する時間との和の期間、撮像部の方向を維持することによって、重複する連続的な体内画像群を確実に取得することができる。
さらに、撮像部の方向を一定時間維持した後に、この一定時間とフレームレートfと画角θとを乗算した値よりも小さく且つ画角θよりも小さい角度分、撮像部の角度を変化するように制御してもよい。この場合、撮像部の方向の平均角速度が常に角速度ω1以下となるので、重複する連続的な体内画像群を取得することができる。
また、本発明の実施の形態1では、撮像部23または表示部9の一辺の画素数mと発光時間tとの乗算値によって画角θを除算した除算値未満に角速度ω2を設定していたが、これに限らず、撮像部23または表示部9の各画素内に撮像または表示される角度の最小値を発光時間tによって除算した除算値未満に角速度ω2を設定してもよい。この場合、撮像部23または表示部9の各画素に撮像または表示される角度が異なる場合であっても、全ての画素において画像ぶれを軽減でき、この結果、より鮮明に体内画像を撮像することができる。