JP5505393B2 - 電子部品、誘電体磁器組成物およびその製造方法 - Google Patents

電子部品、誘電体磁器組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐還元性を有する誘電体磁器組成物と、この誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックコンデンサなどの電子部品と、に関する。
電子部品としての積層セラミックコンデンサは、小型、大容量、高信頼性の電子部品として広く利用されており、1台の電子機器の中で使用される個数も多数にのぼる。近年、機器の小型・高性能化にともない、積層セラミックコンデンサに対する更なる小型化、大容量化、低価格化、高信頼性化への要求はますます厳しくなっている。
積層セラミックコンデンサは、通常、内部電極層用のペーストと誘電体層用のペーストとを使用して、シート法や印刷法等により積層し、積層体中の内部電極層と誘電体層とを同時に焼成して製造される。内部電極層の導電材としては、一般にPdやPd合金が用いられているが、Pdは高価であるため、比較的安価なNiやNi合金等の卑金属が使用されるようになってきている。内部電極層の導電材として卑金属を用いる場合、大気中で焼成を行なうと内部電極層が酸化してしまうため、誘電体層と内部電極層との同時焼成を、還元性雰囲気中で行なう必要がある。しかし、還元性雰囲気中で焼成すると、誘電体層が還元され、比抵抗が低くなってしまう。このため、非還元性の誘電体材料が開発されている。
しかし、非還元性の誘電体材料を用いた積層セラミックコンデンサは、電界の印加によるIR(絶縁抵抗)の劣化が著しく、IR寿命が短く、信頼性が低いという問題がある。
また、コンデンサには、温度特性が良好であることも要求され、特に、用途によっては、厳しい条件下で温度特性が平坦であることが求められる。近年、自動車のエンジンルーム内に搭載するエンジン電子制御ユニット(ECU)、クランク角センサ、アンチロックブレーキシステム(ABS)モジュールなどの各種電子装置に積層セラミックコンデンサが使用されるようになってきている。これらの電子装置は、エンジン制御、駆動制御およびブレーキ制御を安定して行うためのものなので、回路の温度安定性が良好であることが要求される。
これらの電子装置が使用される環境は、寒冷地の冬季には−20℃程度以下まで温度が下がり、また、エンジン始動後には、夏季では+130℃程度以上まで温度が上がることが予想される。最近では電子装置とその制御対象機器とをつなぐワイヤハーネスを削減する傾向にあり、電子装置が車外に設置されることもあるので、電子装置にとっての環境はますます厳しくなっている。したがって、これらの電子装置に用いられるコンデンサは、高い比誘電率を有するとともに、容量温度特性に優れている必要がある。
これに対し、比誘電率を高く維持しつつ、容量温度特性を向上させることを目的として、本出願人は、既に以下に示す誘電体磁器組成物を提案している(特許文献1,2)。特に、これら特許文献1,2によると、容量温度特性が、EIA規格のX8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)を満足させることが可能となった。
しかしながら、特許文献1,2の誘電体磁器組成物では、TCバイアス特性(直流電圧印加時の容量温度特性)に劣るという問題や、室温から高温部までのIR温度依存性が悪いという問題があり、製品としての実際の使用が困難になることがあった。
特許第3348081号公報 特許第3341003号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、高い比誘電率と良好な温度特性を確保し、しかもTCバイアス特性およびIR温度依存性が改善された誘電体磁器組成物およびその製造方法を提供することである。また、本発明は、このような誘電体磁器組成物を用い、小型・大容量化を実現でき、特に薄層小型化対応の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することも目的とする。
本発明者等は、誘電体磁器組成物に含有される誘電体粒子を、粒子表面から粒子内部に向かって、Alの濃度が除々に低くなっていくような構成とすることにより、比誘電率や容量温度特性を確保しつつ、TCバイアス特性およびIR温度依存性を改善することが可能となることを突き止め、この知見に基づき本発明に到達した。
すなわち、本発明に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムを含む主成分と、Alの酸化物と、を有する誘電体磁器組成物であって、
前記誘電体磁器組成物は、複数の誘電体粒子を有しており、
前記誘電体粒子は、粒子表面から粒子内部に向かって、Alの濃度が低くなっていることを特徴とする。
本発明において、好ましくは、前記誘電体粒子は、少なくとも粒子中心部に、実質的にAlが含有されていないAl非拡散領域を、有している。
粒子中心部にAlが含有されていないAl非拡散領域を形成することにより、容量温度特性の劣化を有効に防止することができる。なお、本発明において、”実質的にAlが含有されていない”とは、誘電体粒子中におけるAlの含有割合が、重量比で10ppm未満の状態を意味する。また、粒子中心部とは、厳密な意味での粒子の中心である必要はなく、略中心であればよい。
好ましくは、前記誘電体粒子は、実質的にAlを含有している領域であって、前記Alが粒子表面から粒子内部に向かって拡散している領域であるAl拡散領域を有しており、
前記誘電体粒子の粒径をDとした場合に、前記Al拡散領域の粒子表面からの深さTAlが、前記粒径Dの5〜45%であり、より好ましくは、20〜40%である。
前記Al拡散領域は、前記誘電体粒子内において、実質的にAlを含有している領域であり、このAl拡散領域は、誘電体粒子表面から粒子内部に向かって広がっている。Al拡散領域の深さTAlが、小さすぎると本発明の効果が得難くなり、TCバイアス特性が劣化してしまう傾向にある。一方、深さTAlが、大きすぎると、粒子中心部付近までAlが含有されていることとなり、容量温度特性が悪化してしまう傾向にある。なお、深さTAlが、前記粒径Dの50%であるということは、Alが粒子中心部まで拡散していることとなる。すなわち、粒子中心部に実質的にAlを含んでいることとなる。
好ましくは、前記誘電体磁器組成物は、複数の前記誘電体粒子と、隣り合う前記誘電体粒子間に存在する結晶粒界と、を有しており、
粒子表面からの深さが前記粒径Dの5%である深さTにおけるAlの含有割合が、前記結晶粒界におけるAlの含有割合を100%とした場合に、20〜80%であり、より好ましくは20〜60%、さらに好ましくは35〜50%である。
前記Alの酸化物の含有量が、前記主成分100モルに対して、Al換算で、好ましくは0〜4.0モル(だだし、0は含まず)であり、より好ましくは1.0〜2.0モルである。
好ましくは、前記誘電体磁器組成物が、
MgO,CaO,BaO,SrOおよびCrから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
酸化シリコンを主成分として含む第2副成分と、
,MoOおよびWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
R2の酸化物(ただし、R2はY、Dy、Ho、Tb、GdおよびEuから選択される少なくとも一種)を含む第6副成分と、
MnOを含む第7副成分と、をさらに有し、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜3モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.01〜0.5モル、
第5副成分:0モルより多く、5モル以下、
第6副成分:0モルより多く、9モル以下(ただし、第6副成分のモル数は、R2元素換算での比率である)、
第7副成分:0モルより多く、0.5モル以下、
である。
本発明においては、チタン酸バリウムおよびAlの酸化物に加えて、前記第1〜第3、第5〜第7副成分を含有させることにより、容量温度特性を向上させることができ、たとえばEIA規格のX7R特性(−55〜125℃、ΔC/C=±15%以内)を満足させることができる。
好ましくは、前記誘電体磁器組成物は、R1の酸化物(ただし、R1はSc,Er,Tm,YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分をさらに有し、
前記第4副成分の含有量が、前記主成分100モルに対して、R1元素換算で、0.5〜7モルである。
本発明においては、前記誘電体磁器組成物に、前記第1〜第3、第5〜第7副成分に加えて、前記R1の酸化物を含む第4副成分をさらに含有させることにより、容量温度特性のさらなる向上を図ることができ、たとえばEIA規格のX8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)を満足させることができる。
本発明の誘電体磁器組成物の製造方法は、上記いずれかに記載の誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
主成分と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなるAlの酸化物のうち少なくとも一部と、を仮焼きする工程を有する。
本発明に係る電子部品は、上記本発明の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する。電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
本発明に係る積層セラミックコンデンサは、上記本発明の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、内部電極層と、を交互に積層することにより構成される。
本発明によると、誘電体磁器組成物に含有される誘電体粒子を、粒子表面から粒子内部に向かって、Alの濃度が低くなっていくような構成とするため、誘電率や容量温度特性を確保しつつ、TCバイアス特性およびIR温度依存性が改善された誘電体磁器組成物およびその製造方法を提供することができる。また、本発明によると、積層セラミックコンデンサなどの電子部品の誘電体層として、このような誘電体磁器組成物を用いることにより、上記特性を有し、小型・大容量化を実現でき、特に薄層小型化対応の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することができる。
なお、本発明において、”IR温度依存性”とは、絶縁抵抗IRが温度変化に対してどのように変動するのかを見極める指標である。このIR温度依存性は、所定温度(たとえば125℃または150℃)でのIRが、基準温度(たとえば室温25℃)でのIRに対して変化する割合(変化率)を算出することで評価できる。複数の温度間でのIRの変化率が小さいほどIR温度依存性が良く、大きいほどIR温度依存性が悪いと判断できる。
たとえば、容量温度特性がEIA規格のX7R特性や、X8R特性を満足していたとしても、これらの温度範囲内(特に室温から高温度域まで)でのIR温度依存性が悪いと、特に、高温度域における信頼性が低下してしまい、製品としての実際の使用が困難になってしまう。そのため、このIR温度依存性に優れていることは、特に、高温度域においてコンデンサを安定して使用することができるか否かを判断する重要な指標である。
本発明では、たとえば、複数の温度として室温(25℃)と高温部(150℃)を例示し、それぞれの温度での絶縁抵抗をIR25、IR150 としたときに、下記式(1)で示される”IR桁落ち”の大小を算出することで、IR温度依存性の善し悪しを評価している。
log(IR150 /IR25) …式(1)
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は図1に示す誘電体層2の要部拡大断面図である。 図3は誘電体粒子の粒子内構造を説明するための概念図である。 図4は誘電体粒子の粒子内構造を説明するための概念図である。 図5は実施例1における粒子表面からの深さTとAlの含有割合との関係を示すグラフである。 図6は実施例1におけるAl拡散領域の深さTAlとTCバイアス特性との関係を示すグラフである。 図7は実施例1におけるAl拡散領域の深さTAlとIR温度依存性との関係を示すグラフである。 図8は実施例2における粒子表面からの深さTとAlの含有割合との関係を示すグラフである。 図9は実施例2におけるAl拡散領域の深さTAlとTCバイアス特性との関係を示すグラフである。 図10は実施例2におけるAl拡散領域の深さTAlとIR温度依存性との関係を示すグラフである。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層されたコンデンサ素子本体10を有する。コンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
コンデンサ素子本体10の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は通常、縦(0.4〜5.6mm)×横(0.2〜5.0mm)×高さ(0.2〜1.9mm)程度とすることができる。
誘電体層2
誘電体層2は、本発明に係る誘電体磁器組成物を含有する。
本発明に係る誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウム(好ましくは、組成式BaTiO2+m で表され、mが0.995≦m≦1.010であり、BaとTiとの比が0.995≦Ba/Ti≦1.010である)を含む主成分と、Alの酸化物と、を有する。
Alの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、Al換算で、好ましくは0〜4.0モル(だだし、0は含まず)であり、より好ましくは1.0〜2.0モルである。Alの酸化物は、誘電体磁器組成物の焼結性を高める効果を有する。Alの酸化物の含有量が多過ぎると、高温負荷寿命が悪化してしまう傾向にある。一方、Alの酸化物を添加しないと、誘電体磁器組成物の焼結性が低下し、焼結が困難となってしまう。
本実施形態においては、上記Alの酸化物のうち少なくとも一部は、誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子に固溶しており、しかも、Alの酸化物は、この誘電体粒子中においては、粒子表面から粒子内部に向かって、その含有割合(濃度)が低くなっていくという構成を有している。なお、この点については、後に詳述する。
誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物は、上記主成分およびAlの酸化物以外に、以下の各副成分(第1〜第3、第5〜第7副成分)をさらに含有する。
すなわち、MgO,CaO,BaO,SrOおよびCrから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
酸化シリコンを主成分として含む第2副成分と、
,MoOおよびWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
R2の酸化物(但し、R2はY、Dy、Ho、Tb、GdおよびEuから選択される少なくとも一種)を含む第6副成分と、
MnOを含む第7副成分と、をさらに含有する。
上記第1〜第3、第5〜第7副成分の含有比率は、主成分100モルに対して、好ましくは、
第1副成分:0.1〜3モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.01〜0.5モル、
第5副成分:0モルより多く、5モル以下、
第6副成分:0モルより多く、9モル以下、
第7副成分:0モルより多く、0.5モル以下、
であり、より好ましくは、
第1副成分:0.5〜2.5モル、
第2副成分:2.0〜5.0モル、
第3副成分:0.01〜0.4モル、
第5副成分:0.5〜3モル、
第6副成分:0.5〜9モル、
第7副成分:0.01〜0.5モルである。
なお、第6副成分の上記比率は、R2の酸化物のモル比ではなく、R2元素単独のモル比である。すなわち、たとえば第6副成分としてYの酸化物を用いた場合、第6副成分の比率が1モルであることは、Yの比率が1モルなのではなく、Yの比率が1モルであることを意味する。
また、本明細書では、主成分および各副成分を構成する各酸化物を化学量論組成で表しているが、各酸化物の酸化状態は、化学量論組成から外れるものであってもよい。但し、各副成分の上記比率は、各副成分を構成する酸化物に含有される金属量から上記化学量論組成の酸化物に換算して求める。
上記第1〜第3、第5〜第7副成分を含有させることで、高い誘電率を維持しながら、X7R特性を満足させることができる。第1〜第3、第5〜第7副成分の好ましい含有量は上述の通りであり、その理由は以下の通りである。
第1副成分(MgO,CaO,BaOおよびSrO)は、容量温度特性を平坦化させる効果を示す。第1副成分の含有量が少なすぎると、容量温度変化率が大きくなってしまう。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化する。なお、第1副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
第2副成分(酸化シリコンを主成分として含有する)は、主として焼結助剤として作用するが、薄層化した際の初期絶縁抵抗の不良率を改善する効果を有する。第2副成分の含有量が少なすぎると、容量温度特性が悪くなり、また、IR(絶縁抵抗)が低下する。一方、含有量が多すぎると、IR寿命が不十分となるほか、誘電率の急激な低下が生じてしまう。
第3副成分(V,MoOおよびWO)は、キュリー温度以上での容量温度特性を平坦化する効果と、IR寿命を向上させる効果とを示す。第3副成分の含有量が少なすぎると、このような効果が不十分となる。一方、含有量が多すぎると、IRが著しく低下する。なお、第3副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
第5副成分(CaZrOまたはCaO+ZrO)は、キュリー温度を高温側へシフトさせる効果と、容量温度特性を平坦化する効果とを示す。また、CR積、直流絶縁破壊強度を改善する効果がある。ただし、第5副成分の含有量が多すぎると、IR加速寿命が著しく悪化し、容量温度特性が悪くなってしまう。
第6副成分(R2の酸化物)は、IRおよびIR寿命を改善する効果を示し、容量温度特性への悪影響も少ない。ただし、R2の酸化物の含有量が多すぎると、焼結性が悪化する傾向にある。第6副成分のうちでは、特性改善効果が高く、しかも安価であることから、Yの酸化物が好ましい。
第7副成分(MnO)は、焼結を促進する効果と、IRを高くする効果と、IR寿命を向上させる効果とを示す。ただし、第7副成分の含有量が多すぎると容量温度特性に悪影響を与えてしまうため、0.5モル以下とすることが好ましい。
好ましくは、第2副成分が、SiO、MO(但し、Mは、Ba、Ca、SrおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、LiOおよびBから選ばれる少なくとも1種で表される。
より好ましくは、上記第2副成分が、(Ba,Ca)SiO2+x (ただし、x=0.7〜1.2)で表される。[(Ba,Ca)SiO2+x ]中のBaOおよびCaOは第1副成分にも含まれるが、複合酸化物である(Ba,Ca)SiO2+x は融点が低いため主成分に対する反応性が良好なので、BaOおよび/またはCaOを上記複合酸化物として添加することもできる。なお、BaとCaとの比率は任意であり、一方だけを含有するものであってもよい。
誘電体層2の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、一層あたり4.5μm以下、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下である。厚さの下限は、特に限定されないが、たとえば0.5μm程度である。
誘電体層2の積層数は、特に限定されないが、20以上であることが好ましく、より好ましくは50以上、特に好ましくは、100以上である。積層数の上限は、特に限定されないが、たとえば2000程度である。
誘電体層2の微細構造
図2に示すように、誘電体層2は、誘電体粒子(結晶粒)2aと、隣接する複数の誘電体粒子2a間に形成された結晶粒界(粒界相)2bとを含んで構成される。この誘電体粒子2aは、主に、主成分であるチタン酸バリウムから構成されている粒子であり、本実施形態の誘電体粒子2aは、チタン酸バリウムの他に、少なくともAlを含有している。
本実施形態においては、誘電体粒子2aに含有されているAlは、粒子表面から粒子内部に向かって、その濃度が除々に低くなっていくような態様で含有されている。本発明は、この点に最大の特徴を有しており、誘電体粒子2aにAlを含有させ、しかも、粒子内におけるAlの濃度が低くなっていくように制御することにより、誘電率や容量温度特性を確保しつつ、TCバイアス特性およびIR温度依存性を改善することができる。以下、図3および図4を使用して、誘電体粒子2aの粒子内構造の好ましい態様について詳細に説明する。
図3に示すように、誘電体粒子2aは、Alを実質的に含有し、しかも、このAlが粒子表面から粒子内部に向かって拡散しているAl拡散領域を有している。Al拡散領域は、粒子表面から深さTAlまで広がっており、誘電体粒子2aの粒径Dの長さを100%とした場合に、この深さTAlは、好ましくは5〜45%、より好ましくは20〜40%、さらに好ましくは25〜35%である。Al拡散領域の深さTAlが、小さすぎると本発明の効果が得難くなり、TCバイアス特性が劣化してしまう傾向にある。一方、深さTAlが、大きすぎると、粒子中心部付近までAlが含有されていることとなり、容量温度特性が悪化してしまう傾向にある。本実施形態においては、Alの含有割合が、重量比で10ppm以上含有されている領域を、Al拡散領域とした。
なお、誘電体粒子2aの粒径Dは、図2に示す断面において誘電体粒子2aの面積を測定し、円相当径として直径を算出し1.5倍した値である。
上記Al拡散領域の深さTAlを測定する方法としては、特に限定されないが、たとえば、TEMによる線分析により測定することができる。すなわち、まず、誘電体粒子2aに対して、誘電体粒子2aの略中心を通るように粒子の端から端まで一直線になるようにTEMで線分析を行う。その後90度ずらして同一の粒子に対して、線分析を行い、これらの結果を平均することにより求めることができる。
また、誘電体粒子2aには、深さTAlより内側に、Alを実質的に含有していないAl非拡散領域が形成されている。本実施形態においては、Alの含有割合が、重量比で10ppm未満となっている領域をAl非拡散領域とした。このAl非拡散領域は、少なくとも図3に示す粒子中心部を含む領域であることが好ましい。この粒子中心部は、粒子表面からの深さが粒径Dの50%の深さである深さT50に相当する部分であるが、厳密な意味での粒子の中心である必要は必ずしも無く、略中心であればよい。本実施形態においては、粒子表面から粒子内部に向かって、Alの濃度が低くなるような構成とするとともに、粒子中心部には、Alを実質的に含有していないAl非拡散領域を形成することにより、容量温度特性の向上を図ることができる。
粒子中心部にAl非拡散領域が形成されているか否かを調べる方法としては、特に限定されないが、たとえば上記と同様にTEMによる線分析を行うことにより、調べることができる。
さらに、本実施形態においては、図4に示す粒子表面からの深さTにおけるAlの含有割合が所定範囲であることが好ましい。なお、この深さTは、粒子表面からの深さが粒径Dの5%であることを意味する。具体的には、図2に示す結晶粒界2bにおけるAlの含有割合を100%とした場合に、深さTにおけるAlの含有割合が、20〜80%であることが好ましく、より好ましくは20〜60%、さらに好ましくは35〜50%である。深さTにおけるAlの含有割合が少なすぎると、TCバイアス特性が悪化してしまう傾向にある。
また、上記Tに加えて、粒子表面からの深さが粒径Dの10%、20%、30%、40%の深さである深さT10、T20、T30、T40におけるAlの含有割合についても、以下に示すような所定範囲とすることがより好ましい。すなわち、結晶粒界2bにおけるAlの含有割合を100%とした場合に、それぞれ、
10:5〜30%、
20:3〜20%、
30:0〜10%、
40:0〜3%、
であることが好ましい。
なお、粒子表面からの深さが粒径Dの50%の深さであるT50(すなわち、中心部)におけるAlの含有割合は、実質的に0%であることが好ましい。また、各深さT、T10、T20、T30、T40、T50におけるAlの含有割合を測定する方法は、特に限定されないが、たとえば上記と同様にTEMによる線分析を行うことにより、測定することができる。
内部電極層3
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.1〜3μm、特に0.2〜2.0μm程度であることが好ましい。
外部電極4
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本実施形態では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ1の製造方法
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電体磁器組成物粉末を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調整する。
誘電体層用ペーストは、誘電体磁器組成物粉末と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
誘電体磁器組成物粉末としては、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。誘電体磁器組成物粉末中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。塗料化する前の状態で、誘電体磁器組成物粉末の粒径は、通常、平均粒径0.1〜1μm程度である。
なお、本実施形態においては、上記誘電体磁器組成物粉末を調製する際には、主成分であるチタン酸バリウムと、焼結後の誘電体層2に含まれることとなるAlの酸化物のうち少なくとも一部と、を予め仮焼きしておくことが好ましい。主成分とAlの酸化物(または焼成によりAlの酸化物となる化合物)とを、予め仮焼きしておくことにより、焼結後の誘電体層2に含有される誘電体粒子2a中に、Alを良好に拡散させることができる。
仮焼き温度は、好ましくは600℃以上、1000℃未満、より好ましくは700℃以上、900℃以下とする。仮焼きをより高い温度で行うことにより、誘電体粒子2a中のAlの含有割合を高めることができることができるとともに、より内部までAlを拡散させることができ、Al拡散領域の深さTAlを大きくすることができる。ただし、仮焼き温度が高すぎると、誘電体粒子中に、Alが均一に分散してしまい、容量温度特性、TCバイアス特性、およびIR温度依存性が劣化してしまう傾向にある。
仮焼き時間は、好ましくは0.5〜6時間、より好ましくは2〜4時間とする。仮焼き時間を長くすることにより、誘電体粒子2a中のAlの含有割合を高めることができることができるとともに、より内部までAlを拡散させることができ、Al拡散領域の深さTAlを大きくすることができる。ただし、仮焼き時間を長くしすぎると、Al拡散領域が誘電体粒子の中心部まで広がってしまい、容量温度特性、TCバイアス特性、およびIR温度依存性が劣化してしまう傾向にある。
なお、仮焼きを行う際には、主成分およびAlの酸化物以外のその他の副成分を添加して、仮焼きを行っても良い。
そして、仮焼きにより得られた仮焼き粉を必要に応じて粉砕し、その後、所望の組成となるように、その他の原料を添加して、混合することにより誘電体磁器組成物粉末を得ることができる。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ処理は、内部電極層ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、脱バインダ雰囲気中の酸素分圧を10−45 〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、脱バインダ効果が低下する。また酸素分圧が上記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
また、それ以外の脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、より好ましくは200〜350℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは2〜20時間とする。また、焼成雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とすることが好ましく、還元性雰囲気における雰囲気ガスとしては、たとえばNとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
グリーンチップ焼成時の雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−7〜10−3Paとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
また、焼成時の保持温度は、好ましくは1100〜1400℃、より好ましくは1200〜1300℃である。保持温度が上記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、誘電体磁器組成物の還元が生じやすくなる。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
還元性雰囲気中で焼成した場合、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。
アニール雰囲気中の酸素分圧は、10−1〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層が酸化する傾向にある。
アニールの際の保持温度は、1100℃以下、特に500〜1100℃とすることが好ましい。保持温度が上記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、IRが低く、また、高温負荷寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、IRの低下、高温負荷寿命の低下が生じやすくなる。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜10時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
第1実施形態によると、高い誘電率を確保しつつ、容量温度特性がX7R特性を満足し、しかも、TCバイアス特性およびIR温度依存性の向上された積層セラミックコンデンサを得ることができる。
第2実施形態
第2実施形態は、第1実施形態と比較して、誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物の組成が、以下の点で異なっている以外は、第1実施形態と同様な構成と作用を有し、その重複する説明は省略する。
すなわち、第2実施形態においては、上述の第1実施形態で説明した主成分、Alの酸化物、第1〜第3、第5〜第7副成分に加えて、R1の酸化物(ただし、R1はSc,Er,Tm,YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分を含有する。
第4副成分(R1の酸化物)は、キュリー温度を高温側へシフトさせる効果と、容量温度特性を平坦化する効果とを示す。第4副成分の含有量は、主成分100モルに対して、R1元素換算で、好ましくは0.5〜7モル、より好ましくは0.5〜5.0モルである。第4副成分の含有量が少なすぎると、上記効果が不十分となり、容量温度特性が悪くなってしまう。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化する傾向にある。第4副成分のうちでは、特性改善効果が高く、しかも安価であることから、Yb酸化物が好ましい。
また、第2実施形態では、第4副成分および第6副成分の合計の含有量は、主成分100モルに対し、好ましくは13モル以下、より好ましくは10モル以下(ただし、第4副成分および第6副成分のモル数は、R1およびR2元素単独での比率である)である。焼結性を良好に保つためである。
第2実施形態においては、主成分、Alの酸化物、第1〜第3、第5〜第7副成分に加えて、第4副成分を含有するため、容量温度特性のさらなる向上を図ることができ、具体的には、X8R特性を満足することができる。しかも、誘電体磁器組成物に含有される誘電体粒子を、粒子表面から粒子内部に向かって、Alの濃度が低くなっていくような構成とするため、TCバイアス特性およびIR温度依存性を改善することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した第1実施形態および第2実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、上述した各実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、本発明の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
実施例1においては、第1実施形態(X7R特性)に相当する積層セラミックコンデンサ試料を作製し、評価を行った。
まず、主成分の原料であるBaTiO:100モルと、Al:2.0モルと、を準備した。次いで、これらの原料を混合して仮焼き前粉体を得て、この仮焼き前粉体を、以下の条件で仮焼きを行い、それぞれ仮焼き温度の異なる6種類の仮焼き済み粉体(表1の試料1〜5に対応)を得た。
仮焼き温度:700〜1000℃の各温度
仮焼き時間:2時間
なお、各試料の仮焼き温度は、次の通りとした。すなわち、試料1(700℃)、試料2(750℃)、試料3(800℃)、試料4(850℃)、試料5(1000℃)とした。
次いで、得られた各仮焼き済み粉体を粉砕し、以下に示す各副成分を添加して、ボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥させて誘電体原料(誘電体磁器組成物粉末)を得た。
MgCO(第1副成分):2.4モル
(Ba0.6 Ca0.4 )SiO(第2副成分):3.0モル
(第3副成分):0.02モル
CaZrO(第5副成分):1.0モル
(第6副成分):2.0モル
MnCO(第7副成分):0.1モル
なお、上記各副成分の添加量は、主成分100モルに対するモル数を各酸化物換算で示した。ただし、第6副成分については、Y換算ではなく、Y元素換算のモル数で示した。すなわち、Y換算では、1.0モルとなる。
そして、得られた乾燥後の誘電体原料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、酢酸エチル100重量部と、ミネラルスピリット6重量部と、トルエン4重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
次に、Ni粒子44.6重量部と、テルピネオール52重量部と、エチルセルロース3重量部と、ベンゾトリアゾール0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを得た。
これらのペーストを用い、以下のようにして、図1に示される積層型セラミックチップコンデンサ1を製造した。
まず、得られた誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上にグリーンシートを形成した。この上に内部電極用ペーストを印刷した後、PETフィルムからシートを剥離した。次いで、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着して、グリーンチップを得た。
次いで、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:30℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1240℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧:10−2Pa)とした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1000℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−1Pa)とした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を5〜75℃としたウェッターを用いた。
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料1〜5を得た。なお、これらの試料1〜5は、仮焼き時の温度を、それぞれ700〜1000℃の範囲で変化させた試料である。
得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4とし、1層あたりの誘電体層の厚み(層間厚み)は3.5μm、内部電極層の厚みは1.0μmとした。
次いで、得られた各コンデンサ試料について、各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)におけるAl含有割合、Al拡散領域の深さTAl、容量温度特性(X7R特性)、TCバイアス特性、IR温度依存性、および比誘電率εを、それぞれ下記に示す方法により測定した。
各深さT(T 、T 10 、T 20 、T 30 、T 40 、T 50 )におけるAl含有割合
得られたコンデンサ試料の誘電体層を厚み10μmまで加工した後、イオンミリングにより試料をさらに薄片化した。その後、走査型透過電子顕微鏡(TEM)にて観察を行い、各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)におけるAl含有割合を測定した。
具体的には、まず、誘電体粒子の略中心を通るように粒子の端から端まで一直線になるように、図4に示す各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)においてTEMで線分析を行った。その後、90度ずらして同一の粒子に対して、各深さTにおいて線分析を行い、これらの結果を平均することにより各深さTにおけるAlの含有割合を測定した。なお、本実施例においては、誘電体粒子内部におけるAlの含有割合とは別に、結晶粒界におけるAlの含有割合を測定し、結晶粒界におけるAlの含有割合を100%とした場合における、各深さTにおけるAlの含有割合をパーセンテージで算出することにより評価した。結果を図5および表1に示す。
なお、深さT、T10、T20、T30、T40およびT50は、それぞれ粒子表面からの深さが粒径Dの5%、10%、20%、30%、40%および50%の深さに相当する。
Al拡散領域の深さT Al
上記と同様にして、TEMにより、誘電体粒子の略中心を通るように粒子の端から端まで一直線になるようにTEMで線分析を行い、その後90度ずらして同一の粒子に対して、線分析を行い、これらの測定結果を平均することにより、Al拡散領域の深さTAlを求めた。なお、本実施例においては、Alの含有割合が、重量比で10ppm以上であった領域をAl拡散領域として、評価した。結果を表1に示す。
容量温度特性(X7R特性)
容量温度特性は、得られたコンデンサ試料に対し、−55℃〜125℃の温度範囲で静電容量を測定し、これらの温度範囲で最も容量温度特性が悪くなる125℃の温度環境下での静電容量の変化率(ΔC/C、単位は%)を算出し、X7R特性(−55〜125℃、ΔC/C=±15%以内)を満足するかどうかを調べた。なお、静電容量の測定にはデジタルLCRメータ(YHP製4274A)を用い、周波数1kHz、入力信号レベル1Vrmsの条件下で測定した。本実施例では、−15%以上を良好とした。結果を表1に示す。
TCバイアス特性
TCバイアス特性は、得られたコンデンサ試料に対して、デジタルLCRメーターにて、1kHz、1Vrms、7.0V/μmのバイアス電圧(直流電圧)で−55℃〜150℃まで温度を変化させて測定し、25℃のバイアス電圧無印加状態の測定値からの静電容量の変化率(単位は%)を算出して評価した。なお、静電容量の測定にはLCRメーターを用い、周波数1kHz、入力信号レベル1Vrmsの条件下で測定した。TCバイアス特性は、0%に近いほうが好ましく、本実施例では、−30%以上を良好とした。結果を図6および表1に示す。
IR温度依存性
IR温度依存性(IR桁落ち)は、得られたコンデンサ試料の150℃における絶縁抵抗IR150 と、25℃における絶縁抵抗IR25とを測定し、下記式(1)で示される桁落ちを算出して評価した。本実施例においては、−2.00以上を良好とした。結果を図7および表1に示す。
log(IR150 /IR25) …式(1)
なお、各温度での絶縁抵抗の測定には、温度可変IR測定器を用い、測定電圧7.0V/μm、電圧印加時間60sで測定した。
比誘電率ε
比誘電率εは、得られたコンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件下で測定された静電容量から算出した(単位なし)。本実施例の試料は、比誘電率がいずれも1000以上となり、良好な結果であった。
Figure 0005505393
表1に、試料1〜5の各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)におけるAlの含有割合、Al拡散領域の深さTAl、125℃での容量温度特性(X7R特性)、TCバイアス特性およびIR温度依存性の測定結果を示す。
表1より、試料1〜4は、いずれも誘電体粒子内のAlの含有割合が、粒子表面から粒子内部に向かって低くなるような構成となっていることが確認できた。特に、この傾向は、各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)と、Alの含有割合と、をグラフ化した図5からも明らかである。
そして、これらの試料1〜4は、いずれも容量温度特性が−15%以上、すなわちX7R特性を満足し、TCバイアス特性が−30%以下となり、さらにIR温度依存性が−2.00以上となり、良好な結果となった。
一方で、誘電体粒子全体にAlが均一に分散していた試料5は、容量温度特性がX7R特性を満足できず、また、TCバイアス特性、IR温度依存性についても劣る結果となった。
これらの結果より、誘電体粒子内のAlの含有割合が、粒子表面から粒子内部に向かって低くなるような構成とすることにより、X7R特性を満足しつつ、TCバイアス特性およびIR温度依存性の向上が可能となることが確認できた。
なお、Al拡散領域の深さTAlとTCバイアス特性との関係をグラフ化した図6より、これら試料1〜5においては、Al拡散領域の深さTAlが大きくなっていくと、ある一定の大きさまでは、TCバイアス特性が向上していき、その後、急激にTCバイアス特性が悪化してしまうことが確認できる。また、IR温度依存性についても同様な傾向となることが、Al拡散領域の深さTAlとIR温度依存性との関係をグラフ化した図7より確認できる。
実施例2
実施例2においては、第2実施形態(X8R特性)に相当する積層セラミックコンデンサ試料を作製し、評価を行った。
まず、主成分の原料であるBaTiO:100モルと、Al:1.0モルと、を準備した。次いで、これらの原料を混合して仮焼き前粉体を得て、この仮焼き前粉体を、以下の条件で仮焼きを行い、それぞれ仮焼き温度の異なる6種類の仮焼き済み粉体(表2の試料6〜10に対応)を得た。
仮焼き温度:700〜1000℃の各温度
仮焼き時間:2時間
なお、実施例2の試料6〜10の仮焼き温度は、実施例1の試料1〜5とそれぞれ対応する温度とした。
次いで、得られた各仮焼き済み粉体を粉砕し、以下に示す各副成分を添加して、ボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥させて誘電体原料(誘電体磁器組成物粉末)を得た。
MgCO(第1副成分):0.36モル
(Ba0.6 Ca0.4 )SiO(第2副成分):3.0モル
(第3副成分):0.1モル
Yb(第4副成分):2.19モル
CaZrO(第5副成分):1.2モル
(第6副成分):2.4モル
MnCO(第7副成分):0.15モル
なお、上記各副成分の添加量は、主成分100モルに対するモル数を各酸化物換算で示した。ただし、第4,6副成分については、それぞれ、Yb、Y換算ではなく、Yb元素およびY元素換算のモル数で示した。
そして、得られた誘電体原料を使用して、実施例1と同様の方法により、誘電体層用ペーストを得た。
また、実施例1と同様の方法により、内部電極層用ペーストを得た。
これらのペーストを用い、実施例1と同様にして、図1に示される積層型セラミックチップコンデンサ1を製造した。実施例2においては、仮焼き時の温度を、それぞれ600〜1000℃の範囲で変化させた試料6〜10を得た。
次いで、得られた各コンデンサ試料について、各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)におけるAl含有割合、Al拡散領域の深さTAl、TCバイアス特性、IR温度依存性、および比誘電率εを、実施例1と同様にして、それぞれ測定した。また、上記各特性に加えて、150℃での容量温度特性(X8R)を下記に示す方法により測定した。
容量温度特性(X8R特性)
容量温度特性は、得られたコンデンサ試料に対し、−55℃〜150℃の温度範囲で静電容量を測定し、これらの温度範囲で最も容量温度特性が悪くなる150℃の温度環境下での静電容量の変化率(ΔC/C、単位は%)を算出し、X8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)を満足するかどうかを調べた。なお、静電容量の測定にはデジタルLCRメータ(YHP製4274A)を用い、周波数1kHz、入力信号レベル1Vrmsの条件下で測定した。本実施例では、−15%以上を良好とした。結果を表2に示す。
Figure 0005505393
表2に、試料6〜10の各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)におけるAlの含有割合、Al拡散領域の深さTAl、容量温度特性(X8R特性)、TCバイアス特性およびIR温度依存性の測定結果を示す。
なお、実施例2においては、比誘電率εは、いずれの試料も1000以上となり、良好な結果であった。
表2より、試料6〜9は、いずれも誘電体粒子内のAlの含有割合が、粒子表面から粒子内部に向かって低くなるような構成となっていることが確認できた。特に、この傾向は、各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)と、Alの含有割合と、をグラフ化した図8からも明らかである。
そして、これらの試料6〜9は、いずれも容量温度特性が−15%以上、すなわちX8R特性を満足し、TCバイアス特性が−30%以下となり、さらにIR温度依存性が−2.00以上となり、良好な結果となった。
一方、誘電体粒子全体にAlが均一に分散している試料10は、容量温度特性がX8R特性を満足できず、また、TCバイアス特性、IR温度依存性についても劣る結果となった。
これらの結果より、誘電体粒子内のAlの含有割合が、粒子表面から粒子内部に向かって低くなるような構成とすることにより、X8R特性を満足しつつ、IR温度依存性を向上させることができ、さらに、Al拡散領域の深さTAlを本発明の好ましい範囲とすることにより、TCバイアス特性の向上が可能となることが確認できた。
なお、Al拡散領域の深さTAlとTCバイアス特性との関係をグラフ化した図9より、これら試料6〜10においては、Al拡散領域の深さTAlが大きくなっていくと、ある一定の大きさまでは、TCバイアス特性が向上していき、その後、急激にTCバイアス特性が悪化してしまうことが確認できる。また、IR温度依存性についても同様な傾向になることが、Al拡散領域の深さTAlとIR温度依存性との関係をグラフ化した図10より確認できる。
実施例3
実施例3においては、BaTiOとAlとを仮焼きする際の仮焼き条件を変更した以外は、実施例2と同様にして、コンデンサの試料11〜14を作製し、実施例2と同様に評価を行った。
すなわち、実施例3においては、以下の条件で仮焼きを行った。
仮焼き温度:700℃
仮焼き時間:2〜20時間
なお、各試料の仮焼き時間は、次の通りとした。すなわち、試料11(4時間)、試料12(6時間)、試料13(8時間)、試料14(20時間)とした。また、下記の表3に示した試料6は、実施例2の試料6(仮焼き時間:2時間)と同じ試料である。
Figure 0005505393
表3に、試料6,11〜14の各深さT(T、T10、T20、T30、T40、T50)におけるAlの含有割合、Al拡散領域の深さTAl、容量温度特性(X8R特性)、TCバイアス特性およびIR温度依存性の測定結果を示す。
なお、実施例3においては、比誘電率εは、いずれの試料も1000以上となり、良好な結果であった。
表3より、実施例の試料6,11〜13は、いずれも誘電体粒子内のAlの含有割合が、粒子表面から粒子内部に向かって低くなるような構成となっていることが確認できた。そして、これらの試料6,11〜13は、いずれも容量温度特性が−15%以上、すなわちX8R特性を満足し、TCバイアス特性が−30%以下となり、さらにIR温度依存性が−2.00以上となり、良好な結果となった。
一方、参考例の試料14は、誘電体粒子内のAlの含有割合が、粒子表面から粒子内部に向かって低くなるような構成となっていたが、深さT50、すなわち、誘電体粒子の中心部にもAlが含有されていた。そして、この試料14は、容量温度特性がX8R特性を満足できず、また、TCバイアス特性、IR温度依存性についても劣る結果となった。
これらの結果より、誘電体粒子内のAlの含有割合が、粒子表面から粒子内部に向かって低くなるような構成とし、さらに、誘電体粒子の中心部には、実質的にAlを含有させないようにすることにより、X8R特性を満足しつつ、TCバイアス特性およびIR温度依存性を向上できることが確認できた。
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
2a… 誘電体粒子
2b… 結晶粒界
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (7)

  1. 主成分であるチタン酸バリウムと、Alの酸化物と、を有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
    前記誘電体磁器組成物は、複数の誘電体粒子を有しており、
    前記誘電体粒子は、粒子表面から粒子内部に向かって、Alの濃度が低くなっており、
    前記誘電体磁器組成物は、複数の前記誘電体粒子と、隣り合う前記誘電体粒子間に存在する結晶粒界と、を有しており、
    粒子表面からの深さが前記粒径Dの5%である深さTにおけるAlの含有割合が、前記結晶粒界におけるAlの含有割合を100%とした場合に、20〜80%であることを特徴とする電子部品
  2. 主成分であるチタン酸バリウムと、Alの酸化物と、を有する誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
    前記誘電体磁器組成物は、複数の誘電体粒子を有しており、
    前記誘電体粒子は、粒子表面から粒子内部に向かって、Alの濃度が低くなっており、
    前記誘電体粒子は、少なくとも粒子中心部に、実質的にAlが含有されていないAl非拡散領域を、有していることを特徴とする電子部品
  3. 前記誘電体粒子は、実質的にAlを含有している領域であって、前記Alが粒子表面から粒子内部に向かって拡散している領域であるAl拡散領域を有しており、
    前記誘電体粒子の粒径をDとした場合に、前記Al拡散領域の粒子表面からの深さTAlが、前記粒径Dの5〜45%である請求項1または2に記載の電子部品
  4. EIA規格のX7R特性を満足する請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品
  5. 前記Alの酸化物の含有量が、前記主成分100モルに対して、Al換算で、0〜4.0モル(だだし、0は含まず)である請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品を製造する方法であって、
    主成分と、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなるAlの酸化物のうち少なくとも一部と、を仮焼きする工程を有する電子部品の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品は、積層セラミックコンデンサであり、
    前記誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、内部電極層と、が交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサ。
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