JP5504572B2 - フォトレジスト用重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、その他のフォトリソグラフィー工程に使用されるフォトレジスト用重合体の製造方法に関するものである。
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、より微細な加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。しかし、i線等の近紫外線を光源とするリソグラフィープロセスでは、0.10μm以下といったサブクォーターミクロンレベルの微細加工を行うことは極めて困難であると言われている。
そこで、サブクォーターミクロンレベルの微細加工を可能とするために、より波長の短い放射線を光源として利用することが検討されている。このような短波長の放射線としては、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等を挙げることができる。これらの放射線の中でも、KrFエキシマレーザー(波長248nm)やArFエキシマレーザー(波長193nm)が注目されている。
ところで、前記のような微細加工の分野では、レジスト形成用の感放射線性重合体、多層レジストの上層膜形成用重合体、下層膜(反射防止膜等)形成用重合体等、様々なフォトレジスト用重合体が用いられている。
そして、これらのフォトレジスト用重合体には、光学的性質、化学的性質、塗布性、基板や下層膜に対する密着性等の製品本来の特性は勿論のこと、金属異物等の異物や金属成分等の不純物の混入を極力回避することが求められている。特に、微細かつ精密な加工が要求される半導体材料向けのフォトレジスト用重合体は、異物の混入は直ちに形状欠陥等の不具合に繋がり、また、金属成分の混入も欠陥の増加又は経時的な品質低下等の不具合を引き起こすため、不純物の含有量を極力低減することが求められている。
そこで、フォトレジスト用重合体の製造において、原料、中間体、製品等の送液に用いられていた金属配管に代えて、非金属ライニング配管を用いる方法が知られている(なお、このような方法に関する先行技術文献は特に見当たらない。)。非金属ライニング配管は、金属配管の内面に、ガラスやフッ素樹脂(登録商標:テフロン等)等の非金属材料をライニングした配管であり、フォトレジスト用重合体の不純物(特に金属系不純物)の含有量を低減させることが期待できる。
また、孔径の小さなフィルターやイオン交換膜を用いて、フォトレジスト用重合体中の異物を除去することによって、フォトレジスト用重合体の不純物含有量を低減させる方法も知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開2002−62667号公報 特開2005−132974号公報 特開2005−300737号公報 特開2003−330202号公報 特開2004−195427号公報
しかしながら、前記の方法は、不純物(特に金属異物や金属成分)の含有量を十分に満足できるレベルまで低減できているとは言い難く、不純物含有量の低いフォトレジスト用重合体を得るという点において未だ課題を残すものであった。
また、非金属ライニング配管を用いる方法は、非金属材料ライニング配管に導電性がなく(グラスライニング:体積抵抗率1×1013Ωcm程度、フッ素樹脂ライニング:体積抵抗率1×1018Ωcm程度)、静電気が蓄積され易い点が問題であった。
即ち、比較的遅い速度(0.8〜1.0m/s程度)で送液を行っても、配管に静電気が蓄積され、ライニングが静電気破壊されしまう場合があるため、金属配管に由来する金属異物や金属成分がフォトレジスト用重合体に不純物として混入するという課題があった。一方、静電気の発生を避けるために、送液速度を遅くした場合、製品の生産性を著しく低下させるという課題があった。
更に、特許文献1〜5に記載の方法のように、異物を事後的に濾別する方法を採った場合、フィルターの目詰まりが発生し易く、また、濾過工程にかかる時間や労力が甚大なものとなるために、製品の生産性が著しく低いという課題があった。フォトレジスト用重合体は、少量かつ多品種の生産が強いられるため、生産性の低下は重大な問題であると言える。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、生産性が高く、製造過程において不純物(特に金属異物や金属成分)の混入を十分に抑制することができ、不純物含有量が極力低減されたフォトレジスト用重合体を得ることができるフォトレジスト用重合体の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、非金属ライニング配管を用いた場合でも、配管同士の接続部にアース材を挿入し、そのアース材を接地して静電気を逃がすことによって、比較的速い速度で送液を行っても、ライニング部分の静電気破壊は起こらず、不純物(特に金属異物や金属成分)の混入も回避できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明により、以下のフォトレジスト用重合体の製造方法が提供される。
[1] 複数の非金属ライニング配管によって液状物を送液する工程を備え、前記非金属ライニング配管同士の接続部に、送液される前記液状物と接触するようにアース材を挿入し、前記アース材を接地した状態で、前記液状物の送液を行う、フォトレジスト用重合体の製造方法。
[2] 前記アース材が、ステンレス鋼、タンタル、チタン、ジルコニウム及びニッケル基超合金の群から選択される少なくとも1種の金属からなるものである前記[1]に記載の製造方法。
[3] 前記液状物が、フォトレジスト用重合体溶液及びフォトレジスト用重合体スラリーのうちの1種である前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記液状物が、飽和炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒及び酢酸エステル系溶媒から選択される少なくとも1種の溶媒を含むものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記飽和炭化水素系溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンであり、前記ケトン系溶媒が、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンであり、前記酢酸エステル系溶媒が、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである前記[4]に記載の製造方法。
本発明の製造方法は、生産性が高く、製造過程において不純物(特に金属異物や金属成分)の混入を十分に抑制することができ、不純物含有量が極力低減されたフォトレジスト用重合体を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」というときは、アクリレート及びメタクリレートの双方を意味するものとする。
[1]本発明の特徴的な構成:
本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法は、図1に示すように、複数の非金属ライニング配管2A,2Bによって液状物を送液する工程を備え、非金属ライニング配管2A,2B同士の接続部に、送液される液状物と接触するようにアース材4Aを挿入し、アース材4Aを接地した状態で、液状物の送液を行う製造方法である。
金属配管を非金属材料でライニングすることで、金属異物の混入や金属成分の溶出を効果的に防止することができる。
また、導電性がなく、静電気が蓄積され易い非金属ライニング配管を用いた場合でも、アース材から静電気を逃がすことができる。従って、静電気の蓄積によるライニング部分の静電気破壊が起こらず、製造過程において、金属配管に由来する金属異物や金属成分がフォトレジスト用重合体に不純物として混入してしまう事態を十分に抑制することができ、不純物含有量が極力低減されたフォトレジスト用重合体を得ることが可能となる。このような不純物量が大幅に低減されたフォトレジスト用重合体は、半導体素子や液晶表示素子等を製造する際に、不純物に起因する欠陥等の不具合を十分に抑制することができる。従って、フォトレジスト材料の感度や解像度を向上させ、所望のパターンを精度よく形成することができる点において有用である。
更に、比較的速い速度(例えば、1〜10m/s程度)で送液を行っても、ライニング部分の静電気破壊が起こらないことに加えて、異物の混入を回避できるため、事後的な異物の濾過工程が不要、或いは濾過を行う場合でも、濾過時間や労力を軽減することができる。従って、製品の生産性を飛躍的に向上させることが可能となる。
[1−1]非金属ライニング配管:
「非金属ライニング配管」とは、図1に示す非金属ライニング配管2A,2Bのように、金属配管6の内面を、ガラスや樹脂等の非金属材料からなるライニング8で被覆した配管を意味する。ライニングの材料となる非金属材料しては、ガラス、フッ素樹脂(登録商標:テフロン)等を挙げることができる。なお、本明細書において、「ライニング」というときは、ライニング(膜厚1mm以上)の他、コーティング(膜厚1mm未満)も含むものとする。
[1−2]液状物:
本発明の製造方法は、複数の非金属ライニング配管によって液状物を送液する工程を備えている。「液状物」には、液体、溶液、スラリー等が含まれる。具体的には、重合体の原料となるモノマー、反応や再沈等に用いられる溶媒、重合開始剤の溶液、反応後の重合液、再沈後のスラリー、製品の重合体溶液等を挙げることができる。従って、原料・溶媒等の仕込み配管、中間体や製品の送液配管、製品の取り出し配管、濾過用の循環配管等の配管は、本発明の製造方法の適用対象となり得る。
本発明の製造方法は、高い生産性(高収率)を達成可能であるという理由から、液状物が、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレンの群から選択される少なくとも1種の溶媒を含むものであることが好ましい。
中でも、液状物が、飽和炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒及び酢酸エステル系溶媒から選択される少なくとも1種の溶媒を含むものであることが更に好ましい。これらの溶媒は、撹拌や移送により静電気が発生し易いため、本発明の適用による効果が大きいからである。
「飽和炭化水素系溶媒」としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の鎖状飽和炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環状飽和炭化水素;等を挙げることができる。「ケトン系溶媒」としては、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等の鎖状ケトン;シクロヘキサノン等の環状ケトン;等を挙げることができる。「酢酸エステル系溶媒」としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールの酢酸エステル;等を挙げることができる。
また、本発明の製造方法は、液状物が、フォトレジスト用重合体溶液及びフォトレジスト用重合体スラリーのうちの1種であることが好ましい。即ち、これらを送液する配管の接続部に、アース材を挿入することが好ましい。重合体溶液や重合体スラリーは、飽和炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、酢酸エステル系溶媒等を含むことが多く、撹拌や移送により静電気が発生し易い。従って、本発明の適用による効果が大きいからである。
[1−3]アース材:
本発明の製造方法では、アース材を用いる。「アース材」は、金属等の導電性材料からなるものを用いることができる。中でも、ステンレス鋼、タンタル、チタン、ジルコニウム及びニッケル基超合金の群から選択される少なくとも1種の金属からなるものであることが好ましい。これらの材質からなるアース材は、静電気除去の効果を得られるのは勿論のこと、フォトレジスト重合体等への金属成分の溶出を有効に防止することができる。
「ステンレス鋼」としては、より高いレベルで金属溶出を低減させるという理由から、SUS316、SUS316L、SUS304又はSUS420からなるものが好ましく、これらの表面に物理研磨処理又は電解研磨処理を施したものが更に好ましい。「ニッケル基超合金」としては、ハステロイ(商品名)等を好適に用いることができる。
アース材の形状は、配管同士の接続部から挿入できる限り、特に制限はない。例えば、図2A及び図2Bに示すような、中心孔16が形成された円環状のアース材4Aを好適に用いることができる。
円環状のアース材は、配管内部の液状物と接触させるという観点からは、中心孔の内径を配管内径と同等以下に構成し、非金属ライニング配管の内周面からアース材の内周が突出するように構成することが好ましい。例えば、内径13mmφの非金属ライニング配管を用いる場合であれば、円環状のアース材は、外径20〜50mm、中心孔の内径7〜13mm程度に構成することが好ましい。
一方、配管内の残液を減らすという観点からは、図1に示すように、少なくとも非金属ライニング配管2A,2Bの内周面と、シール材12A,12Bの内周面とが同一面上に存する(即ち、段差がない)面一構造となっていることが好ましく、非金属ライニング配管の内周面と、シール材の内周面と、アース材の先端面とが同一面上に存する面一構造となっていることが更に好ましい。即ち、アース材は、シール材の環内に少なくとも一部が露出するように配置されていればよい。
また、図1及び図2Aに示すように、円環状のアース材4Aの外周側には、アース線14を接続し得るように凸部18を形成することが好ましい。凸部18の形状はアース線14を接続し得る限り特に制限はないが、図2Aに示すように、幅5〜30mm、長さ15〜50mmの略矩形状とすることが好ましい。
アース材としては、図3A及び図3Bに示すような短冊状のアース材4Bを用いることも好ましい。短冊状のアース材の形状は、非金属ライニング配管の内周面からアース材の先端を突出させることができ、かつ、アース線を接続し得る限り特に制限はない。例えば、幅5〜50mm、長さ20〜100mmの短冊状とすることが好ましい。
環状アース材の厚さは、0.1〜100mmとすることが好ましく、1〜50mmとすることが更に好ましい。短冊状アース材の厚さは、0.1〜50mmとすることが好ましく、1〜10mmとすることが更に好ましい。厚さを0.1mm以上とすることにより、十分に静電気を除去する効果を得ることができる。一方、厚さを100mm以内とすることで、アース材と液状物との接触面積を最小限に抑えることができ、フォトレジスト用重合体への金属成分の溶出を有効に防止することができる。短冊状アース材は、液漏れを防止するため、厚さを50mm以内とすることが好ましい。
本発明の製造方法では、非金属ライニング配管同士の接続部に、送液される液状物と接触するようにアース材を挿入する。通常、液状物を送液する配管は、図1に示す非金属ライニング配管2A,2Bのように、その両端部に鍔状のフランジ部10A,10Bが形成されており、シール材12A,12Bを挟み込んだ状態で、フランジ部10A,10Bを相互に当接させてボルト止め等することにより、配管同士を接続することができる。従って、二つの配管のフランジ部の間にアース材を挿入すればよい。
図1に示す例では、フランジ部10A,10B間に、円環状の2枚のシール材12A,12Bを挟み込み、更にそのシール材12A,12Bの間にアース材4Aを挿入した例である。このように、2枚のシール材の間にアース材を挿入することにより、配管接続部の液密性を確保した状態で、アース材を挿入することが可能となる。
シール材とアース材は別体として構成されたものを、使用時に組み合わせてもよいが、予めシール材とアース材が一体化された配管接続用パッキンを用いることが好ましい。このような配管接続用パッキンを用いれば、配管の組み立て等が容易となる。例えば、環状のシール材と、シール材に挟み込まれるとともに、シール材の環内に少なくとも一部が露出するように配置されたアース材とを備えた配管接続用パッキンを好適に用いることができる。
例えば、図2A及び図2Bに示す配管接続用パッキン20Aは、配管のフランジ面と当接し得る、環状のシール材12A,12Bと、シール材12A,12Bに挟み込まれるとともに、シール材12A,12Bの環内に突出するように配置されたアース材4Aとを備えた、配管接続用パッキンである。
また、図3A及び図3Bに示す配管接続用パッキン20Bも、配管のフランジ面と当接し得る、環状のシール材12C,12Dと、シール材12C,12Dに挟み込まれるとともに、シール材12C,12Dの環内に突出するように配置されたアース材4Aとを備えた配管接続用パッキンの例である。
なお、図2Aや図3Aでは、アース材4A,4Bがシール材12A〜12Dの環内に突出するように構成された配管接続用パッキンの例を示したが、アース材の先端面がシール材の内周面と面一構造となるように構成したものも好ましい。
アース材は、製造装置を構成する複数の配管のうち少なくとも一部の接続部に挿入されていることが好ましく、配管4m当たり1箇所以上挿入されていることが更に好ましく、製造装置を構成する複数の配管の全ての接続部に挿入されていることが特に好ましい。
[2]本発明の製造方法の全体構成:
以下、本発明の製造方法の全体構成を、図4の製造工程フローを参照しながら説明する。
[2−1]重合工程:
まず、重合性単量体を適当な溶剤に希釈した状態で重合反応を行い、フォトレジスト用重合体を合成する。図4に示すように、重合反応が行われる反応槽50には、重合性単量体等の原料52が配管54によって供給される。そして、反応槽50には、再沈槽56が配管58によって接続されている。また、反応槽50には、溶剤を供給するストレージ配管60が接続されている。従って、これらの配管54,58及びストレージ配管60において、配管同士の接続部にアース材を挿入し、アースを接地した状態で、単量体、重合開始剤溶液、重合溶媒、重合液等の送液を行えばよい。
[2−1A]レジスト形成用重合体の原料となる単量体:
重合性単量体としては、レジスト形成用の感放射線性重合体、多層レジストにおける上層膜や下層膜(反射防止膜等)形成用重合体等の繰り返し単位を構成し得るエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物等を挙げることができる。
「レジスト形成用の感放射線性重合体」は、少なくとも、酸によって分解してアルカリ可溶性となる化学構造を有する繰り返し単位(1)と、半導体基板等の基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(2)とを必須単位とし、必要により、溶剤やアルカリ現像液への溶解性を調節するための非極性置換基を有する繰り返し単位(3)を含んで構成されている。
「繰り返し単位(1)」は、従来からレジストとして一般的に用いられている化学構造のものであり、例えば、非極性置換基が酸によって解離してアルカリ現像液に可溶な極性基が発現する化学構造のものを挙げることができる。
繰り返し単位(1)は、(a)酸によって分解してアルカリ可溶性となる官能基(酸解離性アルカリ可溶性基)を有する単量体を重合させるか、(b)アルカリ可溶性基を有する単量体を重合させて重合体とした後、そのアルカリ可溶性基を、アルカリに溶解せず酸によって解離する官能基(酸解離性保護基)で保護することにより得ることができる。
(a)酸によって分解してアルカリ可溶性となる官能基(酸解離性アルカリ可溶性基)を有する単量体を重合させる方法を採る場合には、フェノール性水酸基、カルボキシル基又はヒドロキシフルオロアルキル基等のアルカリ可溶性基を有する重合性化合物に、tert−ブチル基等の非極性酸解離性保護基を結合させた後、重合させる。
「アルカリ可溶性基を有する重合性化合物」としては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン等のヒドロキシスチレン類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−トリフルオロメチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸、カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメタクリレート等のエチレン性二重結合を有するカルボン酸類;
p−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)スチレン、2−(4−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)シクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルアクリレート、2−(4−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)シクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルトリフルオロメチルアクリレート、5−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)メチル−2−ノルボルネン等のヒドロキシフルオロアルキル基を有する重合性化合物;等を挙げることができる。
「非極性酸解離性保護基」としては、例えば、tert−ブチル基、tert−アミル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−プロピル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、8−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル基、8−エチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル基等の飽和炭化水素基;
1−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、1−iso−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルオキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、iso−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、シクロペンチルオキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルオキシメチル基、tert−ブトキシカルボニル基等の含酸素炭化水素基;等を挙げることができる。
(b)アルカリ可溶性基を有する単量体を重合させて重合体とした後、そのアルカリ可溶性基を、アルカリに溶解せず酸によって解離する官能基(酸解離性保護基)で保護する方法を採る場合には、前記「アルカリ可溶性基を有する重合性化合物」をそのまま重合させ、その重合体のアルカリ可溶性基を、酸触媒の存在下、ビニルエーテル、ハロゲン化アルキルエーテル等のアルカリ不溶性ないし難溶性の置換基を与える化合物と反応させることにより、酸解離性保護基を導入すればよい。
酸解離性保護基導入用の酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、強酸性イオン交換樹脂等を挙げることができる。
「繰り返し単位(2)」を与える化合物としては、極性基として、フェノール性水酸基、カルボキシル基、ヒドロキシフルオロアルキル基等を有する化合物を挙げることができる。具体的には、繰り返し単位(1)の項で説明した「アルカリ可溶性基を有する重合性化合物」、これらの化合物を更に極性基で置換した化合物、ノルボルネン環、テトラシクロドデセン環等の脂環構造に極性基が結合した基を有する重合性化合物、等を挙げることができる。
「極性基」としては、ラクトン構造を含む官能基が特に好ましい。例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、1,3−シクロヘキサンカルボラクトン、2,6−ノルボルナンカルボラクトン、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン、メバロン酸δ−ラクトン等のラクトン構造を含む官能基を挙げることができる。
ラクトン構造以外の「極性基」としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル基等のヒドロキシアルキル基等を挙げることができる。
「繰り返し単位(3)」を与える化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデン等のエチレン性二重結合を有する芳香族化合物;アクリル酸、メタクリル酸、トリフルオロメチルアクリル酸、ノルボルネンカルボン酸、2−トリフルオロメチルノルボルネンカルボン酸、カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメタクリレート等のエチレン性二重結合を有するカルボン酸に酸安定性非極性基が置換したエステル化合物;ノルボルネン、テトラシクロドデセン等のエチレン性二重結合を有する脂環式炭化水素化合物等を挙げることができる。
「酸安定性非極性置換基」としては、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、2−アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基等を挙げることができる。
繰り返し単位(1)、(2)及び(3)を与える単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体の仕込み比は、レジストとしての基本性能を損なわない限り、特に制限はない。一般的には、繰り返し単位(1)が10〜70モル%、繰り返し単位(2)が30〜90モル%、繰り返し単位(3)が0〜50モル%となるように仕込むことが好ましく、繰り返し単位(1)が10〜60モル%、繰り返し単位(2)が40〜90モル%、繰り返し単位(3)が0〜40モル%となるように仕込むことがより好ましい。
上層膜・下層膜形成用重合体としては、レジスト形成用重合体を構成する繰り返し単位のうち、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)からなる重合体、即ち、繰り返し単位(1)を含まない構造の重合体を挙げることができる。このような重合体は、例えば、繰り返し単位(2)を与える化合物、及び繰り返し単位(3)を与える化合物を重合させて得ることもできるし、レジスト形成用重合体を酸で分解することによって得ることもできる。
単量体の仕込み比は、上層膜・下層膜の使用目的により適宜調整される。一般的には、繰り返し単位(2)が10〜100モル%、繰り返し単位(3)が0〜90モル%となるように仕込むことが好ましい。
[2−1B]上層膜・下層膜形成用重合体の原料となる単量体:
上層膜や下層膜を反射防止膜として使用する場合には、上層膜・下層膜形成用重合体には、架橋点と、フォトリソグラフィーにおいて照射される放射線を吸収する化学構造とが導入されている必要がある。
「架橋点」としては、エステル結合やウレタン結合等により架橋可能な反応性の官能基、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の反応性官能基を導入することができる。このような反応性官能基を含む単量体としては、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類;これまで例示してきた重合性化合物に反応性官能基を導入した単量体を用いることができる。
放射線を吸収する化学構造は、使用する放射線の波長により異なる。例えば、ArFエキシマレーザー光に対しては、ベンゼン環及びその類縁体を含む化学構造を挙げることができる。このような化学構造を含む単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン等のスチレン類及びその誘導体;置換されていてもよいフェニル(メタ)アクリレート、置換されていてもよいナフタレン(メタ)アクリレート、置換されていてもよいアントラセンメチル(メタ)アクリレート等のエチレン性二重結合を有する芳香環含有エステル類等を挙げることができる。
この放射線を吸収する化学構造を有する単量体は、繰り返し単位(2)、繰り返し単位(3)のいずれとして導入されてもよい。放射線を吸収する化学構造を有する単量体の組成比は、10〜100モル%とすることが好ましい。
[2−1C]反応条件等:
重合方法は特に限定されず、溶液重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤を使用し、前述の重合性化合物を適当な溶媒中で重合させればよい。
「重合開始剤」としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート等の有機過酸化物等のラジカル重合開始剤を挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
「連鎖移動剤」としては、例えば、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、4,4−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシ−1−メルカプトブタン等のチオール化合物等を挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤や連鎖移動剤の使用量は、重合反応に用いる単量体や重合開始剤、連鎖移動剤の種類、重合温度、重合溶剤、重合方法、精製条件等の製造条件によって、適宜調整することができる。
「溶媒」としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体1質量部に対して、0.5〜20質量部とすることが好ましく、1〜10質量部とすることがより好ましい。溶剤の使用量が少なすぎると、単量体が析出したり、粘性が高すぎて重合系を均一に保てなくなるおそれがある。一方、溶剤の使用量が多すぎると、単量体の重合転化率が不十分となったり、得られる重合体の分子量を所望の値まで高めることができなくなるおそれがある。
重合反応の条件は特に限定されないが、反応温度は、通常、40〜120℃であり、50〜100℃とすることが好ましい。また、反応時間は、通常、1〜48時間であり、1〜24時間とすることが好ましい。
一般に、重合体の重量平均分子量が高すぎると、塗膜形成時に使用される溶媒やアルカリ現像液への溶解性が低くなる傾向にある。一方、重量平均分子量が低すぎると、塗膜性能が悪くなる傾向にある。そのため、重合反応温度又は添加する重合開始剤の量を調整することによって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、2000〜40000の範囲になるよう調整することが好ましく、3000〜30000の範囲になるよう調整することがより好ましい。
反応槽としては、内面が、導電性付与物質を含有するグラスライニング層によって被覆された反応槽を用いることが好ましい。重合溶媒として、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン等の攪拌等により静電気を発生し易い溶媒を用いた場合でも、静電気の発生を緩和することができ、安全かつ効率的に重合液を調製することができる。
「導電性付与物質」としては、例えば、白金、酸化バナジウム、酸化ルテニウム等を挙げることができる。これらの成分を含むガラスをライニングすることで、前記グラスライニング層を形成することができる。
この重合工程では、得られる重合液の濃度(固形分濃度)を、1〜80質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることがより好ましく、10〜50質量%とすることが更に好ましい。固形分濃度の調整は、例えば、重合性単量体又は溶媒の添加量を調整することにより行うことができる。
[2−2]再沈工程:
次いで、重合液を貧溶媒等の再沈溶媒に滴下して重合体を再沈させ、フォトレジスト用重合体スラリーとする。この再沈工程では、残存モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等の低分子成分が除去されて、フォトレジスト用重合体が精製される。
図4に示すように、再沈工程が行われる再沈槽56には、反応槽50、濾過装置62が配管58,64によって接続されている。また、再沈槽56には、溶剤を供給するストレージ配管66が接続されている。従って、これらの配管58,64及びストレージ配管66において、配管同士の接続部にアース材を挿入し、アースを接地した状態で、重合液、再沈溶媒、フォトレジスト用重合体スラリー等の送液を行えばよい。
再沈の方法は特に限定されず、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、貧溶媒中に、所望により濃度調整した重合液を滴下することにより行うことができる。また良溶媒を用いて、再沈操作を2回以上繰り返し、重合体の精製を行ってもよい。
「貧溶媒」は、重合液中の重合体を析出させるものであればその種類は特に限定されない。例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン及びトルエンのうちの少なくとも一種を用いることが好ましい。これらの貧溶媒を用いて再沈を行うと、重合液中に残存する不純物を効率良く除去することができ、得られるフォトレジスト用重合体のスラリー液の収率を向上させることができる。
貧溶媒の使用量は特に限定されず、貧溶媒の種類、重合液に含まれる溶媒の種類や含有量によって適宜選択すればよい。例えば、重合液全量に対して、重合体質量換算で0.5〜50倍の貧溶媒を使用することが好ましく、1〜30倍使用することがより好ましく、2〜20倍使用することが更に好ましい。
「良溶媒」としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。これらの良溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、この再沈工程により得られるフォトレジスト用重合体スラリーは、その温度が10〜35℃となるように調整することが好ましく、15〜35℃となるように調整することがより好ましく、20〜35℃となるように調整することが更に好ましい。スラリーの温度は、再沈槽に備えられた温度制御装置、使用する貧溶媒の温度等により制御することができる。
[2−3]濾過・再溶解工程:
更に、フォトレジスト用重合体スラリーを濾過して、低分子成分を除去する。
図4に示すように、濾過工程が行われる濾過装置62には、再沈槽56が配管64によって接続されている。また、濾過装置62には、溶剤を供給するストレージ配管70が接続されている。従って、配管64及びストレージ配管70において、配管同士の接続部にアース材を挿入し、アースを接地した状態で、フォトレジスト用重合体スラリー等の送液を行えばよい。濾過の後、フォトレジスト用重合体68を取り出し、溶媒を加えて再溶解する。この再溶解により、溶媒が最終製品の溶媒に置換される。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(実施例1)
重合液、フォトレジスト用重合体スラリー、最終製品の接液する配管はフッ素樹脂ライニング配管とした。配管の内径は13mmφとした。これらの配管の接続部に当たるフランジ部には、図1、図2A及び図2Bに示すのと同様に、アース材4Aを挿入し、アース材4Aに接続したアース線14を接地した。アース材4Aは厚さ3mmのタンタル板からなる円環状のものを用いた。アース材4Aは、外径40mm、中心孔の内径13mmに構成した。凸部18は、幅20mm、長さ40mmの略矩形状とした。製造工程における配管中の流体の送液速度は1〜5m/sとした。
<重合工程>
撹拌機、温度計、還流冷却装置、単量体溶液滴下ノズル、及び開始剤溶液滴下ノズル等が設置された容積200Lの重合槽に、重合溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)32kgを投入し、十分に窒素置換した後、100rpmで攪拌しながら80℃まで昇温した。その後、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン(NLM)15kgのMEK溶液、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MAdMA)20kgのMEK溶液、アゾビスイソブチロニトリル0.5kgのMEK溶液をそれぞれ3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間熟成した後、室温まで冷却して重合液を得た。
高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した結果、この重合液のモノマー転化率は90%であり、重合体100質量%に対する残存モノマー量は約11質量%であった。また、得られた重合体について、以下の方法により、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は1.73であった。
[Mw、Mn、及びMw/Mn]:
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0ml/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度「Mw/Mn」は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
<再沈工程>
容積200Lの導電性グラスライニング層を備える再沈槽中に100kgのメタノールを仕込み、これを150rpmで攪拌しながら、前記重合液(固形分濃度:約25質量%)20kgを、12.5g/分の滴下速度で滴下し、再沈を行った。これにより白色のフォトレジスト重合体スラリーを得た。
その後、フッ素樹脂製(登録商標:テフロン)の濾布(通気量;3.0cm/cm・sec、濾過面積:1m)を容器底部に張った加圧濾過器を用い、0.2MPaの圧力で窒素加圧し、フォトレジスト重合体スラリーを加圧濾過した。これにより、フォトレジスト用重合体(白色固体)を得た。次いで、この白色固体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)50kgに投入し、1時間溶解させてフォトレジスト用重合体溶液(最終製品)を得た。得られたフォトレジスト用重合体溶液には未溶解分はなく、清澄な溶液であった。
(比較例1)
配管にアース材を挿入しないことを除いては、実施例1と同様にしてフォトレジスト用重合体溶液を得た。
比較例1で得られた重合体について、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は1.74であった。
[評価方法]
<金属異物量>
実施例1及び比較例1で得られた各フォトレジスト用重合体溶液において、下記の方法により、金属異物量の測定を行った。
フォトレジスト用重合体溶液1gを石英ルツボに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)を完全に蒸発させた後、550℃で灰化処理を行った。次いで、王水に溶解させ、誘電結合プラズマ質量分析装置(商品名「ELAN DRC Plus」、PerkinElmer社製)によって、金属異物量を測定した。なお、評価した金属種は、Ta、Na、Ti、Ni、W、Fe、Cu、K、Li、Ba、Zn、Mg、B、Al、Co、Zr、Ca、Mn、Cr、Moであった。
<容器における破損の有無>
実施例1及び比較例1におけるフッ素樹脂ライニング配管の破損状況を目視確認した。
[評価結果]
実施例1で得られたフォトレジスト用重合体溶液中の金属異物量は、測定した全ての金属種において検出下限未満(ND=0.5ppb未満)であった。また、実施例1で用いたフッ素樹脂ライニング配管で破損は確認されなかった。
比較例1で得られたフォトレジスト用重合体溶液中の金属異物量は、測定した全ての金属種において測定機器の検出量下限未満(ND=0.5ppb未満)であった。しかし、フッ素樹脂ライニング配管は静電気による破損が28箇所確認された。
本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法は、金属異物等の異物や金属成分等の不純物の混入に対して厳格なサブクォーターミクロンレベルの微細加工等の用途に用いられるフォトレジスト用重合体の製造に好適に用いられる。
管構造の一の実施形態を示す概略断面図であり、配管構造を配管の中心軸に沿って切断した切断面を示す図である。 管構造の一部をなす配管接続用パッキンの一の実施形態を示す概略平面図である。 図2Aに示す配管接続用パッキンをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 管構造の一部をなす配管接続用パッキンの別の実施形態を示す概略平面図である。 図3Aに示す配管接続用パッキンをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の製造方法の一の実施形態を示す工程図である。
符号の説明
1:配管構造、2A,2B:非金属ライニング配管、4,4A,4B:アース材、6:金属配管、8:ライニング、10A,10B:フランジ部、12A,12B,12C,12D:シール材、14:アース線、16:中心孔、18:凸部、20A,20B:配管接続用パッキン、50:反応槽、52:原料、54,58,64:配管、60,66,70:ストレージ配管、62:濾過装置、68:製品。

Claims (5)

  1. 複数の非金属ライニング配管によって液状物を送液する工程を備え、
    前記非金属ライニング配管同士の接続部に、送液される前記液状物と接触するようにアース材を挿入し、前記アース材を接地した状態で、前記液状物の送液を行う、フォトレジスト用重合体の製造方法。
  2. 前記アース材が、ステンレス鋼、タンタル、チタン、ジルコニウム及びニッケル基超合金の群から選択される少なくとも1種の金属からなるものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記液状物が、フォトレジスト用重合体溶液及びフォトレジスト用重合体スラリーのうちの1種である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記液状物が、飽和炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒及び酢酸エステル系溶媒から選択される少なくとも1種の溶媒を含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記飽和炭化水素系溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンであり、
    前記ケトン系溶媒が、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンであり、
    前記酢酸エステル系溶媒が、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである請求項4に記載の製造方法。
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