JP5206065B2 - フォトレジスト用重合体の製造方法及びそれに用いる蒸留缶 - Google Patents

フォトレジスト用重合体の製造方法及びそれに用いる蒸留缶 Download PDF

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Description

本発明は、フォトレジスト用重合体の製造方法、及びそれに用いる蒸留缶に関する。更に詳しくは、重合体の不溶解成分等の異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することのできるフォトレジスト用重合体の製造方法、及びそれに好適に用いられる蒸留缶に関する。
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、より微細な加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。従来のリソグラフィープロセスでは、一般に放射線としてi線等の近紫外線が用いられている。しかしながら、この近紫外線では、サブクオーターミクロンレベルの微細加工が困難である。そこで、例えば、0.10μm以下のレベルでの微細加工を可能とするために、より短波長の放射線を利用することが検討されている。
利用可能な短波長の放射線としては、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等を挙げることができる。これらのうち、特にKrFエキシマレーザー(波長:248nm)や、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)が注目されている。そして、これらの放射線の照射に適した、レジスト形成用の感放射線性樹脂組成物、多層レジストにおける上層膜や下層膜(反射防止膜等)を形成するための樹脂組成物等をはじめとする、フォトリソグラフィーに使用される樹脂組成物が数多く提案されている。
フォトリソグラフィーに使用される樹脂組成物に含まれる重合体は、レジスト膜や反射防止膜に要求される光学的性質、化学的性質、基板又は下層膜に対する密着性や塗布性等の物理的性質を備えていることが求められる。特に、フォトレジスト用の樹脂組成物に含まれる重合体については、異物の含有量を極力低減することが要求される。これは、微細で精密なパターン形状の形成が要求される半導体材料の製造工程においては、重合体に対する不溶解成分等の異物の混入が、形状欠陥等の悪影響を及ぼすことになるためである。従って、高性能な半導体材料を製造する上では、重合体に混入される可能性のある不溶解成分等の異物の低減管理が必須となっている。
重合体への異物混入量を低減するための手法としては、異物除去を目的として、孔径の小さなフィルタを用いて濾過する濾過工程を備えた樹脂の製造方法や精製方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2002−62667号公報 特開2005−132974号公報
しかしながら、特許文献1及び2等で開示された従来の濾過工程では、必ずしも十分なレベルにまで異物混入量を低減可能であるとはいえず、更なる改良が要求されている。更には、濾過工程による異物の捕集を繰り返すことで、濾過に使用するフィルタの目詰まりが容易に発生する場合があった。また、濾過速度が遅いために、濾過操作に多大な時間と労力が必要とされ、生産性が低下するという問題もあった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、重合体の不溶解成分等の異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することのできるフォトレジスト用重合体の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、重合体の不溶解成分等の異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することのできるフォトレジスト用重合体の製造方法に好適に用いられる蒸留缶を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、(1)蒸留缶を使用してフォトレジスト用重合体を含有する溶液を蒸留し、溶媒等を留去すると、蒸留缶内の液面が下降し、蒸留缶の内壁に薄く付着した溶液が過剰に加熱されることで重合体の一部が析出すること、及び(2)析出した重合体が再溶解し難く、不溶解成分等の異物として溶液中に残存しやすいこと、等の知見を見出した。そこで、本発明者らはこれらの知見に基づき、液面変動に追従して加熱領域を変動させることが可能な加熱用ジャケットを備えた蒸留缶を使用してフォトレジスト用重合体を含有する溶液を蒸留することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すフォトレジスト用重合体の製造方法、及び蒸留缶が提供される。
[1]缶体と、前記缶体の外周に配設される、前記缶体の内部に導入された液体の液面変動に追従して加熱領域を変動させることが可能な加熱用ジャケットと、を備えた蒸留缶を使用して、フォトレジスト用重合体を含有する溶液を蒸留する蒸留工程を有するフォトレジスト用重合体の製造方法。
[2]前記加熱用ジャケットが、前記缶体の上下方向に2〜10箇所に分割されたものである前記[1]に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
[3]前記加熱用ジャケットが、前記缶体の下部に対応する位置に熱媒入口を有するとともに、前記缶体の上部に対応する位置から下部に対応する位置にわたって、独立した複数の熱媒出口を有するものである前記[1]に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
[4]前記溶液が、重合により得られた前記フォトレジスト用重合体を含有する反応溶液と、常圧における沸点が、レジスト塗膜形成用の溶媒(a)の常温における沸点以下である貧溶媒と、を混合して得られた、前記フォトレジスト用重合体を含有する沈殿物を、前記溶媒(a)と、常圧における沸点が前記溶媒(a)の沸点以下である良溶媒(b)の少なくともいずれかを含有する溶媒に再溶解させて得られたものであり、前記蒸留工程が、前記溶液に含有される不純物を、常圧下又は減圧下で留去する工程である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
[5]前記不純物のうち、常圧における沸点が前記溶媒(a)の沸点以下である成分の割合が、前記フォトレジスト用重合体に対して1質量%以下である前記[4]に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
[6]前記良溶媒(b)の、前記フォトレジスト用重合体を溶解させる速度が、前記溶媒(a)の、前記フォトレジスト用重合体を溶解させる速度に比して速く、前記良溶媒(b)に前記フォトレジスト用重合体を溶解させた溶液(b)の粘度が、前記溶媒(a)に前記フォトレジスト用重合体を、前記溶液(b)と同一の濃度で溶解させた溶液(a)の粘度に比して低い前記[4]または[5]に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
[7]前記溶媒(a)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、及び乳酸エチルからなる群より選択される少なくとも一種である前記[]〜[6]のいずれかに記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
[8]前記良溶媒(b)が、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも一種である前記[]〜[7]のいずれかに記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
[9]缶体と、前記缶体の外周に配設される、前記缶体の内部に導入された液体の液面変動に追従して加熱領域を変動させることが可能な加熱用ジャケットと、を備えた蒸留缶。
[10]前記加熱用ジャケットが、前記缶体の上下方向に2〜10箇所に分割されたものである前記[9]に記載の蒸留缶。
[11]前記加熱用ジャケットが、前記缶体の下部に対応する位置に熱媒入口を有するとともに、前記缶体の上部に対応する位置から下部に対応する位置にわたって、独立した複数の熱媒出口を有するものである前記[9]に記載の蒸留缶。
本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法によれば、重合体の不溶解成分等の異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することができる。
本発明の蒸留缶は、重合体の不溶解成分等の異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することのできるフォトレジスト用重合体の製造方法に好適であるといった効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.蒸留缶:
本発明の蒸留缶は、缶体と、缶体の外周に配設される、缶体の内部に導入された液体の液面変動に追従して加熱領域を変動させることが可能な加熱用ジャケットと、を備えたものである。以下、その詳細について説明する。
図1は、本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法に用いられる蒸留缶の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の蒸留缶10は、缶体1と、缶体1の外周に配設された加熱用ジャケット3とを備えている。この加熱用ジャケット3は、缶体の上下方向に分割された複数の部分(分割ジャケット単位3a,3b,3c,3d)により構成されている。分割ジャケット単位3a,3b,3c,3dは、それぞれ独立して制御可能に構成されている。このため、蒸留が進行して溶媒等の成分が留去されて、缶体1内の液面2が下がった場合であっても、液面2の下降に追従させて缶体1を加熱する領域を任意に変動させる(下げる)ことができる。
従って、本実施形態の蒸留缶10を用いてフォトレジスト用重合体を含有する溶液を蒸留すれば、缶体1の内壁に薄く付着した溶液が過剰に加熱されることを回避することが可能であり、フォトレジスト用重合体の一部が析出してしまう等の不具合の発生を容易に回避することができる。このため、異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することができる。
分割ジャケット単位3a,3b,3c,3dには、熱媒入口4a,4b,4c,4d、及び熱媒出口5a,5b,5c,5dがそれぞれ配設されている。熱媒出口5a,5b,5c,5dには、分割ジャケット単位3a,3b,3c,3d内の熱媒の流出及び保持を制御可能なバルブ6a,6b,6c,6dがそれぞれ配設されている。また、缶体1には、その内部に導入された溶液(被蒸留物)を撹拌可能な撹拌機7が配設されている。なお、蒸留缶10には、特に図示しないが、温度計、還流冷却装置、減圧装置、及び滴下ノズル等をはじめとする、一般的な蒸留缶が備える通常の装置、部品、機器等が配設されている。
加熱用ジャケットは、缶体の上下方向に2〜10箇所に分割されていることが好ましく、2〜8箇所に分割されていることが更に好ましい。加熱用ジャケットの分割数を上記の数値範囲とすることで、缶体を加熱する領域を、液面の下降により効率的に追従させて変動させる(下げる)ことができる。なお、分割数が10を超える場合には、熱伝達面積が小さくなるため、蒸留缶内の温度制御が不十分となる可能性がある。
図2は、本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法に用いられる蒸留缶の他の実施形態を示す模式図である。図2に示すように、本実施形態の蒸留缶20は、缶体11と、缶体11の外周に配設された加熱用ジャケット13とを備えている。この加熱用ジャケット13は、缶体11の下部に対応する位置に熱媒入口14を有するとともに、缶体11の上部に対応する位置から下部に対応する位置にわたって、独立した複数の熱媒出口15a,15b,15c,15dを有するものである。熱媒出口15a,15b,15c,15dのそれぞれには、バルブ16a,16b,16c,16dが配設されており、それぞれ独立して制御可能に構成されている。このため、蒸留が進行して溶媒等の成分が留去されて、缶体11内の液面12が下がった場合であっても、缶体11の上部に対応する位置の熱媒出口15aから順次開放して加熱用ジャケット13内の熱媒を排出する(オーバーフローさせる)ことにより、液面12の下降に追従させて缶体11を加熱する領域を任意に変動させる(下げる)ことができる。
従って、本実施形態の蒸留缶200を用いてフォトレジスト用重合体を含有する溶液を蒸留すれば、缶体11の内壁に薄く付着した溶液が過剰に加熱されることを回避することが可能であり、フォトレジスト用重合体の一部が析出してしまう等の不具合の発生を容易に回避することができる。このため、異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することができる。
缶体11には、その内部に導入された溶液(被蒸留物)を撹拌可能な撹拌機17が配設されている。なお、蒸留缶20には、特に図示しないが、温度計、還流冷却装置、減圧装置、及び滴下ノズル等をはじめとする、一般的な蒸留缶が備える通常の装置、部品、機器等が配設されている。
缶体として用いることのできる容器は特に限定されず、一般的な蒸留缶として使用可能な公知の容器を採用することができる。缶体として用いることのできる容器の具体例としては、低炭素鋼板容器、ステンレス系鋼板容器、グラスライニングやポリテトラフルオロエチレン(登録商標「テフロン」、デュポン社)ライニングがその内壁に施された容器等を挙げることができる。
加熱用ジャケットに導入する熱媒としては、温水や加圧蒸気等を用いることができる。なお、図2に示す実施形態の蒸留缶20については、液面12の下降に追従させて缶体11の上部に対応する位置の熱媒出口15aから順次開放して熱媒をオーバーフローさせる都合上、温水を熱媒として使用することが好ましい。蒸留缶内の温度は、30〜150℃に制御することが好ましく、50〜120℃に制御することが更に好ましい。
本発明に係るフォトレジスト用重合体の製造方法では、図1及び図2に示すような、液体の液面変動に追従して加熱領域を変動させることが可能な加熱用ジャケット3,13を備えた蒸留缶10,20を使用して、フォトレジスト用重合体を含有する溶液(フォトレジスト用重合体溶液)を蒸留する。この蒸留は、常圧下又は減圧下で実施することが好ましい。これにより、フォトレジスト用重合体溶液に含有される不純物の大部分を留去することができる。より具体的には、不純物のうち、後述する溶媒(a)の沸点以下である成分の割合が、フォトレジスト用重合体に対して、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下であるフォトレジスト用重合体溶液を調製することができる。
被蒸留液であるフォトレジスト用重合体溶液は、例えば、フォトレジスト用重合体を含有する反応溶液と、常圧における沸点が、レジスト塗膜形成用の溶媒(a)の常温における沸点以下である貧溶媒とを混合して得られた沈殿物を、溶媒(a)と、常圧における沸点が溶媒(a)の沸点以下である良溶媒(b)の少なくともいずれかを含有する溶媒に再溶解させて得ることができる。
溶媒(a)は、レジスト塗膜形成用の溶媒である。溶媒(a)の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等を挙げることができる。これらの溶媒(a)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
良溶媒(b)は、常圧における沸点が溶媒(a)の沸点以下の溶媒であり、フォトレジスト用重合体にとっての良溶媒である。良溶媒(b)の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル等を挙げることができる。これらの良溶媒(b)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
良溶媒(b)の、フォトレジスト用重合体を溶解させる速度は、溶媒(a)のフォトレジスト用重合体を溶解させる速度に比して速く、かつ、良溶媒(b)にフォトレジスト用重合体を溶解させた溶液(b)の粘度が、溶媒(a)にフォトレジスト用重合体を、溶液(b)と同一の濃度で溶解させた溶液(a)の粘度に比して低いことが好ましい。これらの特性(溶解特性及び粘度特性)を満たす良溶媒(b)を用いることによって、通液及び濾過に要する時間を大幅に短縮することができる。
フォトレジスト用重合体を含有する沈殿物には貧溶媒が含まれているので、溶媒(a)単独では溶解できない場合もある。このため、沈殿物を再溶解させるには、溶媒(a)に比してフォトレジスト用重合体を溶解させる速度が速い(溶解力が高い)良溶媒(b)を、溶媒(a)とともに用いることが好ましい。なお、良溶媒(b)は、最終製品であるフォトレジストとなる前の段階で除去する必要がある。このため、良溶媒(b)の常圧における沸点は、溶媒(a)の状圧における沸点以下であることが好ましい。
フォトレジスト用重合体を含有する反応溶液と貧溶媒を混合して、フォトレジスト用重合体を含有する沈殿物を調製する方法(沈殿操作)については、特に限定されず、公知の手法に従って行うことができる。この沈殿操作により、反応溶液から、残存モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等の低分子成分をはじめとする不純物の大半を除去することができ、フォトレジスト用重合体の精製を行うことができる。
貧溶媒は、常圧における沸点が、溶媒(a)の常圧における沸点以下のものであり、フォトレジスト用重合体を析出させ得る溶媒であれば特に限定されない。貧溶媒の具体例としては、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、水、及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。なかでも、アルコール系溶媒と炭化水素系溶媒の少なくともいずれかであることが好ましい。
アルコール系溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等を挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、炭化水素系溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。これらの炭化水素系溶媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
沈殿操作に際して使用する貧溶媒の量は特に限定されず、貧溶媒の種類、反応溶液に含有される溶媒の種類・含有割合等によって適宜調整される。一例を挙げると、反応溶液の全量に対して、質量換算で、0.5〜50倍の貧溶媒と混合する(接触させる)ことが好ましく、1〜30倍の貧溶媒と混合することが更に好ましく、2〜20倍の貧溶媒と混合することが特に好ましい。
フォトレジスト用重合体を含有する反応溶液は、例えば、重合性化合物(単量体)を溶剤の存在下で重合させることにより調製することができる。
単量体としては、通常、レジスト形成用の感放射線性樹脂組成物、多層レジストにおける上層膜や下層膜(反射防止膜等)を形成するための樹脂組成物等をはじめとする、フォトリソグラフィーに使用される樹脂組成物に含まれるフォトレジスト用樹脂(重合体)の製造に用いられる、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を具体例として挙げることができる。
レジスト形成用のポジ型感放射線性樹脂組成物に含まれる重合体は、例えば、酸によって分解してアルカリ現像液に可溶となる化学構造を有する繰り返し単位、より具体的には、非極性置換基が酸によって解離してアルカリ現像液に可溶な極性基となる化学構造を有する繰り返し単位(1)と、半導体基板等の基板に対する密着性を高めるための極性基を有する繰り返し単位(2)とを必須成分として有するものである。なお、必要に応じて、溶剤やアルカリ現像液への溶解性を調節するための非極性の置換基を有する繰り返し単位(3)を更に含んで構成されている。
繰り返し単位(1)は、従来レジストとして一般的に用いられている化学構造であり、酸によって分解してアルカリ可溶性になる化学構造を有する単量体を重合させるか、或いは、アルカリ可溶性の化学構造を有する単量体を重合させた後、アルカリ可溶性の化学構造におけるアルカリ可溶性基を、アルカリに溶解せず酸によって解離する基(酸解離性保護基)で保護することにより構成することができる。
酸によって分解してアルカリ可溶性になる化学構造を有する単量体の例としては、アルカリ可溶性置換基を含有する重合性化合物に、酸解離性保護基が結合した化合物を挙げることができる。具体的には、非極性の酸解離性保護基で保護されたフェノール性水酸基、カルボキシル基やヒドロキシフルオロアルキル基を有する化合物等を挙げることができる。酸によって分解してアルカリ可溶性になる化学構造を有する単量体の具体例としては、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン等のヒドロキシスチレン類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、2−トリフルオロメチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸、カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメタクリレート等のエチレン性二重結合を有するカルボン酸類;p−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)スチレン、2−(4−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)シクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルアクリレート、2−(4−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)シクロヘキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルトリフルオロメチルアクリレート、5−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)メチル−2−ノルボルネン等のヒドロキシフルオロアルキル基を有する重合性化合物等を挙げることができる。
酸解離性保護基の具体例としては、tert−ブチル基、tert−アミル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−プロピル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、8−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル基、8−エチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル基等の飽和炭化水素基;1−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、1−iso−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルオキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、iso−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、シクロペンチルオキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルオキシメチル基、tert−ブトキシカルボニル基等の含酸素炭化水素基等を挙げることができる。
一方、アルカリ可溶性の化学構造を有する単量体を重合させた後、アルカリ可溶性の化学構造におけるアルカリ可溶性基を酸解離性保護基で保護するには、アルカリ可溶性基を有する化合物を重合反応させた後、酸触媒の存在下、ビニルエーテルやハロゲン化アルキルエーテル等のアルカリに溶解しない置換基を導入可能な化合物と反応させればよい。酸触媒の具体例としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、強酸性イオン交換樹脂等を挙げることができる。
繰り返し単位(2)を構成するために用いられる単量体の例としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、ヒドロキシフルオロアルキル基を極性基として有する化合物等を挙げることができる。具体的には、「酸によって分解してアルカリ可溶性になる化学構造を有する単量体の具体例」として例示したヒドロキシスチレン類、エチレン性二重結合を有するカルボン酸類、ヒドロキシフルオロアルキル基を有する重合性化合物、これらの化合物に更に極性基が結合した単量体、ノルボルネン環、テトラシクロドデセン環等の脂環構造に極性基が結合した単量体等を挙げることができる。
繰り返し単位(2)に導入される極性基としては、ラクトン構造を含むものが特に好ましい。具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、1,3−シクロヘキサンカルボラクトン、2,6−ノルボルナンカルボラクトン、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン、メバロン酸δ−ラクトン等のラクトン構造を含む置換基等を挙げることができる。また、ラクトン構造以外の極性基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル基等のヒドロキシアルキル基等を挙げることができる。
繰り返し単位(3)を構成するために用いられる単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデン等のエチレン性二重結合を有する芳香族化合物;アクリル酸、メタクリル酸、トリフルオロメチルアクリル酸、ノルボルネンカルボン酸、2−トリフルオロメチルノルボルネンカルボン酸、カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメタクリレート等のエチレン性二重結合を有するカルボン酸に酸安定性非極性基が置換したエステル化合物;ノルボルネン、テトラシクロドデセン等のエチレン性二重結合を有する脂環式炭化水素化合物等を挙げることができる。
上述してきた単量体は、繰り返し単位(1)〜(3)のそれぞれにおいて、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ポジ型感放射線性樹脂組成物に含まれるフォトレジスト用重合体を構成する繰り返し単位(1)〜(3)のそれぞれの割合は、レジストとしての基本性能を損なわない範囲で適宜設定される。例えば、繰り返し単位(1)は、通常10〜70モル%、好ましくは10〜60モル%である。また、繰り返し単位(2)は、通常30〜90モル%、好ましくは40〜90モル%であるが、同一の極性基を有する単量体単位については、70モル%以下とすることが好ましい。更に、繰り返し単位(3)は、通常50モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
一方、多層レジストにおける上層膜や下層膜(反射防止膜等)を形成するための樹脂組成物に含まれる重合体は、前述のポジ型感放射線性樹脂組成物に含まれる重合体の化学構造から、繰り返し単位(1)を除いた化学構造のものが好適に使用される。この重合体を構成する繰り返し単位(2)及び(3)のそれぞれの割合は、形成される塗膜の目的により適宜設定される。例えば、繰り返し単位(2)は、通常10〜100モル%であり、繰り返し単位(3)は、通常0〜90モル%である。
なお、多層レジストにおける上層膜や下層膜(反射防止膜等)を形成するための樹脂組成物に含まれる重合体は、その構造中に、架橋点と、フォトリソグラフィーにおいて照射される放射線を吸収する化学構造と、を含む必要がある。架橋点としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の、エステル結合やウレタン結合等により架橋可能な反応性置換基等を挙げることができる。架橋点となる反応性置換基を含有する単量体としては、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類の他、上述の重合性化合物に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の反応性置換基が結合した単量体を適宜用いることができる。
放射線を吸収する化学構造は、使用する放射線の波長により異なるが、例えばArFエキシマレーザー光に対しては、ベンゼン環及びその類縁構造を含む化学構造が好適に用いられる。このような化学構造を含む単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン等のスチレン類及びその誘導体;置換又は非置換のフェニル(メタ)アクリレート、置換又は非置換のナフタレン(メタ)アクリレート、置換又は非置換のアントラセンメチル(メタ)アクリレート等のエチレン性二重結合を有する芳香族含有エステル類等を挙げることができる。放射線を吸収する化学構造を有する単量体は、極性基の有無により、繰り返し単位(2)と(3)のいずれとして導入されてもよい。但し、放射線を吸収する化学構造を有する単量体に由来する構成単位の含有割合は、10〜100モル%とすることが好ましい。なお、本明細にいう「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
フォトレジスト用重合体の重合方法については特に限定されず、溶液重合等の公知の方法を採用することができる。具体的には、重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤を使用し、前述の単量体(重合性化合物)を適当な溶媒中で重合させることにより、反応溶液として得ることができる。重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート等の有機過酸化物等のラジカル重合開始剤等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
連鎖移動剤の具体例としては、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、4,4−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシ−1−メルカプトブタン等のチオール化合物を挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤及び連鎖移動剤の使用量は、重合反応に用いる単量体、重合開始剤、及び連鎖移動剤の種類、重合温度、重合溶剤、重合方法、精製条件等の製造条件により適宜設定される。一般に、得られるフォトレジスト用重合体の重量平均分子量が高すぎると、塗膜形成時に使用される溶媒やアルカリ現像液への溶解性が低くなる傾向にある。一方、重量平均分子量が低すぎると、塗膜性能が低下する傾向にある。このため、フォトレジスト用重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、2000〜40000であることが好ましく、3000〜30000であることが更に好ましい。
また、重合反応に用いる溶剤(重合溶剤)としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。これらの重合溶剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記溶剤の使用量は特に限定されないが、通常、単量体1質量部に対して0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。溶剤の使用量が少な過ぎると、単量体が析出したり、反応溶液が高粘度になり過ぎたりして、重合系を均一に保てなくなる場合がある。一方、溶剤の使用量が多過ぎると、単量体の転化率が不十分となり、得られる重合体の分子量を所望の値まで高めることができない場合がある。
重合反応の条件は特に限定されないが、反応温度は、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃である。また、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。この重合反応によって得られる反応溶液の濃度(固形分濃度)は、1〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることが更に好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]:
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流速:1.0mL/分、溶出溶剤:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
[フォトレジスト用重合体溶液中の不溶解異物]:
フォトレジスト用重合体溶液の調製に用いた溶媒を、光線透過距離10mmの石英セルに充填し、500nmの光線を透過させて溶媒の透過率を測定し、ベースラインを作成した。調製したフォトレジスト用重合体溶液(試料)を石英セルに充填し、500nmの光線を透過させ、作成したベースラインを基準として試料の透過率を測定・算出した。直線透過率が90%以上であった場合を「不溶解異物無し」と評価した。
[フォトレジスト用重合体溶液中の低沸点成分]:
島津製作所社製のガスクロマログラフ装置(商品名「GC−14B」)を使用し、温度:200℃、時間:30分、サンプル量:3μLの条件で分析を行った。溶媒(a)(PGMEA)のピーク面積に対する、低沸点成分(アセトン及びメタノール)のピーク面積の割合から、低沸点成分の含有割合を算出した。
[蒸留缶内壁における析出物の発生有無]:
蒸留缶内壁における析出物の発生有無を目視により確認した。
(実施例1)
<重合体溶液調製工程>
撹拌機、温度計、還流冷却装置、モノマー溶液滴下ノズル、及び開始剤溶液滴下ノズルが設置された容積200Lの重合反応容器に、メチルエチルケトン(MEK)32kgを投入して十分に窒素置換した後、100rpmで撹拌しながら80℃まで昇温した。次いで、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン(NLM)15kg、及び2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MAdMA)20kgのMEK溶液と、アゾビスイソブチロニトリル0.5kgのMEK溶液を、それぞれ3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した後、室温まで冷却して重合体溶液を調製した。高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した結果、モノマーの転化率は90%であり、重合体100%に対する残存モノマー量は、約11%であった。また、得られた重合体の分子量分布(分散度:Mw/Mn)は1.73であった。
<沈殿・再溶解工程>
100kgのメタノールを入れた容積200Lの容器中に、重合体溶液(固形分濃度:約25%)20kgを、150rpmの撹拌速度で撹拌しながら12.5g/minの滴下速度で滴下して沈殿を生じさせ、白色のスラリーを得た。ポリテトラフルオロエチレン(登録商標「テフロン」、デュポン社)製の濾布(通気量:3.0cm/(cm・sec)、濾過面積:1m)を底部に張設した加圧濾過器を使用し、0.2MPaで窒素加圧した条件でスラリーを濾過することで白色固体(フォトレジスト用重合体)を得た。得られた白色固体5kgを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)30kgとアセトン50kgの混合溶媒に1時間溶解させてフォトレジスト用重合体溶液を得た。得られたフォトレジスト用重合体溶液は、未溶解分のない清澄な溶液であった。
<蒸留工程>
得られたフォトレジスト用重合体溶液を、撹拌機、温度計、還流冷却装置、減圧装置、及びフォトレジスト用重合体溶液滴下ノズルが設置された、図1に示すような、容積200Lの蒸留缶(分割ジャケット単位の数:4)内に移送した。加熱用ジャケット内に90℃の温水を供給し、減圧条件下で蒸留を行った。蒸留の初期段階は、全ての分割ジャケット単位に温水を供給して蒸留を行った。蒸留缶内の液面の低下に伴い、最上部の分割ジャケット単位から順次温水供給を停止しつつ、分割ジャケット単位3cへの温水の供給を停止するまで蒸留を続行して、フォトレジスト用重合体を含有する溶液を得た。蒸留終了後の蒸留缶内壁に、析出物の発生は認められず、得られた溶液は、未溶解分のない清澄な溶液であった。また、得られた溶液の透過率は95%であり、低沸点成分の含有割合は0.4%であった。
(比較例1)
「蒸留工程」において、図1に示すような蒸留缶を使用せず、一体型の加熱用ジャケット(加熱領域を変動させることが不可能なもの)が缶体の外周に配設された蒸留缶を使用して蒸留を行ったこと以外は、前述の実施例1と同様にして、フォトレジスト用重合体を含有する溶液を得た。蒸留終了後の蒸留缶内壁に、析出物の発生は認められた。また、得られた溶液の透過率は70%であり、不溶解異物の発生が示唆された。更に、低沸点成分の含有割合は0.5%であった。
本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法によれば、重合体の不溶解成分等の異物の混入量が低減されたフォトレジスト用重合体を効率よく製造することができる。このようにして製造されたフォトレジスト用重合体は、微細で精密なパターン形状の形成が要求される半導体材料の製造工程等で好適に用いることができる。
本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法に用いられる蒸留缶の一実施形態を示す模式図である。 本発明のフォトレジスト用重合体の製造方法に用いられる蒸留缶の他の実施形態を示す模式図である。
符号の説明
1,11:缶体、2,12:液面、3a,3b,3c,3d:分割ジャケット単位、3,13:加熱用ジャケット、4a,4b,4c,4d,14:熱媒入口、5a,5b,5c,5d,15a,15b,15c,15d:熱媒出口、6a,6b,6c,6d,16a,16b,16c,16d:バルブ、7:撹拌機、10,20:蒸留缶

Claims (11)

  1. 缶体と、前記缶体の外周に配設される、前記缶体の内部に導入された液体の液面変動に追従して加熱領域を変動させることが可能な加熱用ジャケットと、を備えた蒸留缶を使用して、フォトレジスト用重合体を含有する溶液を蒸留する蒸留工程を有するフォトレジスト用重合体の製造方法。
  2. 前記加熱用ジャケットが、前記缶体の上下方向に2〜10箇所に分割されたものである請求項1に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
  3. 前記加熱用ジャケットが、前記缶体の下部に対応する位置に熱媒入口を有するとともに、
    前記缶体の上部に対応する位置から下部に対応する位置にわたって、独立した複数の熱媒出口を有するものである請求項1に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
  4. 前記溶液が、
    重合により得られた前記フォトレジスト用重合体を含有する反応溶液と、常圧における沸点が、レジスト塗膜形成用の溶媒(a)の常温における沸点以下である貧溶媒と、を混合して得られた、前記フォトレジスト用重合体を含有する沈殿物を、
    前記溶媒(a)と、常圧における沸点が前記溶媒(a)の沸点以下である良溶媒(b)の少なくともいずれかを含有する溶媒に再溶解させて得られたものであり、
    前記蒸留工程が、
    前記溶液に含有される不純物を、常圧下又は減圧下で留去する工程である請求項1〜3のいずれか一項に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
  5. 前記不純物のうち、常圧における沸点が前記溶媒(a)の沸点以下である成分の割合が、前記フォトレジスト用重合体に対して1質量%以下である請求項4に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
  6. 前記良溶媒(b)の、前記フォトレジスト用重合体を溶解させる速度が、
    前記溶媒(a)の、前記フォトレジスト用重合体を溶解させる速度に比して速く、
    前記良溶媒(b)に前記フォトレジスト用重合体を溶解させた溶液(b)の粘度が、
    前記溶媒(a)に前記フォトレジスト用重合体を、前記溶液(b)と同一の濃度で溶解させた溶液(a)の粘度に比して低い請求項4または5に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
  7. 前記溶媒(a)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、及び乳酸エチルからなる群より選択される少なくとも一種である請求項〜6のいずれか一項に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
  8. 前記良溶媒(b)が、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、及び酢酸エチルからなる群より選択される少なくとも一種である請求項〜7のいずれか一項に記載のフォトレジスト用重合体の製造方法。
  9. 缶体と、前記缶体の外周に配設される、前記缶体の内部に導入された液体の液面変動に追従して加熱領域を変動させることが可能な加熱用ジャケットと、を備えた蒸留缶。
  10. 前記加熱用ジャケットが、前記缶体の上下方向に2〜10箇所に分割されたものである請求項9に記載の蒸留缶。
  11. 前記加熱用ジャケットが、前記缶体の下部に対応する位置に熱媒入口を有するとともに、
    前記缶体の上部に対応する位置から下部に対応する位置にわたって、独立した複数の熱媒出口を有するものである請求項9に記載の蒸留缶。
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