以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態における遊技機1の斜視図である。
遊技機1は、島設備に固定される本体枠(外枠)2にヒンジ4を介して一側部が開閉回動自在に取り付けられる開閉枠を備える。開閉枠は、前面枠(遊技枠)3及びガラス枠(前枠)18によって構成される。
前面枠3には、遊技領域10aを有する遊技盤10(図2参照)が配設される。また、前面枠3には、遊技盤10の前面を覆うカバーガラス18aを備えたガラス枠18が取り付けられる。前面枠3及びガラス枠18は、それぞれ個別に開放することが可能であり、例えばガラス枠18のみを開放して遊技盤10の遊技領域10a(図2参照)にアクセスすることができる。また、ガラス枠18が開放されていない状態で前面枠3を開放することによって、遊技盤10の裏側に配置された遊技制御装置500(図7参照)等にアクセスすることができる。
ガラス枠18のカバーガラス18aの周囲には、装飾光を発光する装飾部材9が設置される。装飾部材9の内部にはランプやLED等によって構成された枠装飾装置18d(図8参照)が備えられている。枠装飾装置18dを所定の発光態様によって発光させることによって、装飾部材9は所定の発光演出を行う。
ガラス枠18の中央上部には、照明ユニット11が設置される。照明ユニット11の内部には、ランプやLED等の発光部材が備えられている。
照明ユニット11の左側には第1可動式照明13が、照明ユニット11の右側には第2可動式照明14が設置される。第1可動式照明13及び第2可動式照明14は、上スピーカ30aの上方に配置されている。第1可動式照明13及び第2可動式照明14には、LED等の照明部材の他に、照明駆動モータである枠演出装置18f(図8参照)がそれぞれ備えられている。枠演出装置18fは、演出内容に応じて照明部材を回転させる。
また、遊技機1には、音響(効果音や警報音、報知音等)を発する上スピーカ30a及び下スピーカ30bが備えられる。上スピーカ30aはガラス枠18の上方に配置され、下スピーカ30bは後述する上皿21の下方に配置される。
第1可動式照明13の右側には、遊技機1において異常が発生したこと等を報知するための遊技状態LED29が備えられている。遊技機1において異常が発生した場合には、さらに、上スピーカ30a及び下スピーカ30bから異常を報知するための報知音が出力される。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施等が含まれる。不正行為は、磁石によって発射された遊技球の軌道を不正に操作する行為や、遊技機1を振動させる行為等である。これらの不正行為は、磁気センサスイッチ39a(図7参照)によって磁気を検出したり、振動センサスイッチ39b(図7参照)によって振動を検出したりすることによって検知される。
また、不正に開閉枠を開放する行為も不正行為に含まれる。この不正行為は、前面枠開放検出スイッチ(SW)3b(図7参照)やガラス枠開放検出スイッチ(SW)18b(図7参照)によって営業時間中に前面枠3やガラス枠18が開放されたことを検出することで検知される。
以上のような不正行為が検出されると、遊技機1は遊技状態LED29や上スピーカ30a及び下スピーカ30b等によって異常を報知する。
ガラス枠18のカバーガラス18aの下方には、上皿21等を含む上皿ユニットが備えられる。上皿21は、図示しない打球発射装置に遊技球(遊技媒体)を供給する。上皿ユニットには、演出ボタン31を備えた上皿カバーユニット20が含まれている。
さらに、ガラス枠18の下方位置であって前面枠3に固定される固定パネル22には、下皿23及び打球発射装置(図示省略)の操作部24等が備えられる。遊技者が操作部24を回動操作することによって、打球発射装置は、上皿21から供給される遊技球を遊技盤10の遊技領域10a(図2参照)に発射する。
下皿23には、貯留されている遊技球を外部に排出するための球抜き機構16が備えられる。前面枠3の下部右側には、ガラス枠18を施錠するための鍵25が備えられている。
上皿21の右上部には、遊技球を借りる場合に操作される球貸ボタン26、及びカードユニット(図示省略)からプリペイドカードを排出させるために操作される排出ボタン27が設けられている。球貸ボタン26と排出ボタン27との間には、プリペイドカード等に記憶されている有価価値の残高を表示する残高表示部28が設けられる。
また、上皿ユニットの上皿21の手前側には、演出ボタン31からなるボタン装置60が備えられる。ボタン装置60は、演出ボタン31の入力操作を検出する演出ボタンスイッチ(SW)31a(図8参照)を内蔵する。遊技者は、演出ボタン31を操作することによって、表示装置48(図2参照)での特図変動表示ゲームにおいて遊技者の操作を介入させた遊技演出を行うことができる。例えば、遊技者は、特図変動表示ゲームにおける遊技演出の演出表示パターンを選択することができる。なお、変動表示ゲームには、特図変動表示ゲームと普図変動表示ゲームが含まれ、本明細書では、単に変動表示ゲームとした場合には特図変動表示ゲームを指すものとする。
また、特図変動表示ゲームの実行中だけでなく、通常遊技状態で遊技者が演出ボタン31を操作することによっても演出表示パターンを変更できるようにしてもよい。なお、通常遊技状態とは特別な遊技状態が発生していない遊技状態であり、特別な遊技状態とは例えば後述する特定遊技状態(普電サポート状態又は時短状態)や、特図変動表示ゲームにおいて大当りの発生確率が高い確変状態、大当り状態(特別遊技状態)である。
さらに、遊技機1は、特図変動表示ゲームがリーチ状態中である場合に所定の確率で演出ボタン31を連続して操作することを要求し、遊技演出の興趣を高めるように構成されている。
図2は、遊技機1に備えられる遊技盤10の正面図である。
遊技盤10は、各種部材の取り付けベースとなる木製又は合成樹脂製の平板状の遊技盤本体10bを備える。遊技盤本体10bの前面には、ガイドレール32で囲まれた遊技領域10aが形成される。遊技盤本体10bの前面であってガイドレール32の外側には、前面構成部材(サイドケース)33が取り付けられている。
遊技機1では、ガイドレール32で囲まれた遊技領域10a内に打球発射装置(図示省略)から遊技球を発射して遊技が行われる。遊技領域10aには、方向変換部材としての風車45や図示しない多数の障害釘等が配設されており、発射された遊技球はこれら方向変換部材により転動方向を変えながら遊技領域10aを流下する。
遊技領域10aの略中央には、特図変動表示ゲームの表示領域となる窓部を有するセンターケース46が取り付けられている。センターケース46の窓部には、複数の識別情報を変動表示(可変表示)する特図変動表示ゲームを実行可能な表示装置48が配置されている。表示装置48は、例えば液晶ディスプレイを備え、センターケース46の窓部を介して遊技盤10の前面側から表示内容が視認可能となるように配設される。なお、表示装置48は、液晶ディスプレイを備えるものに限らず、EL、CRT等のディスプレイを備えるものであってもよい。
表示装置48の表示領域には、複数の変動表示領域が設けられており、各変動表示領域に識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタが表示される。その他、表示装置48には、遊技の進行に基づく背景画像(例えば大当り表示やファンファーレ表示、エンディング表示等)が表示される。
センターケース46の左側の遊技領域10aには、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。普図始動ゲート34には、普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ(SW)34a(図7参照)が設けられている。遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、普図変動表示ゲームが実行される。
さらに、センターケース46の左下側の遊技領域10aには、三つの一般入賞口44が配置され、センターケース46の右下側の遊技領域10aには、一つの一般入賞口44が配置される。一般入賞口44への遊技球の入賞は、一般入賞口44に備えられた入賞口スイッチ44a〜44n(図7参照)によって検出される。
また、センターケース46の下方の遊技領域10aには、特図変動表示ゲームの開始条件を与える第1始動入賞口37が設けられ、その直下には第2始動入賞口を有する始動入賞装置38が設けられる。始動入賞装置38は、上部に逆「ハ」の字状に開いて遊技球が第2始動入賞口に流入し易い状態に変換する一対の可動部材38aを備えている。遊技球が第1始動入賞口37又は始動入賞装置38の第2始動入賞口に入賞した場合には、特図変動表示ゲームが実行される。
始動入賞装置38の一対の可動部材38aは、通常状態では遊技球の直径程度の間隔をおいて閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。始動入賞装置38の上方には第1始動入賞口37が設けられているので、可動部材38aが閉状態である場合には遊技球は第2始動入賞口に入賞し難くなる。一方、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、普電ソレノイド38b(図7参照)によって可動部材38aは、逆「ハ」の字状に開いて、第2始動入賞口に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な入賞容易状態)に変化させられる。
なお、可動部材38aは、後述する遊技制御装置500(図7参照)によって制御される。遊技制御装置500は、可動部材38aを制御することによって、時短状態や普電サポート状態等の特定遊技状態を発生させる。時短状態とは、始動入賞装置38における入賞容易状態の発生頻度を普通動作時よりも高めた状態である。普電サポート状態とは、可動部材38aの開時間を延長して、始動入賞装置38における入賞容易状態を普通動作時よりも長く(延長)した状態である。
始動入賞装置38の下方の遊技領域10aには、大入賞口ソレノイド42b(図7参照)によって、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉42aを有する大入賞口を備えた特別変動入賞装置42が設けられている。特別変動入賞装置42は、特図変動表示ゲームの結果によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に変換し、遊技球の大入賞口への流入を容易にさせ、遊技球が大入賞口に入賞した場合に遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部には、大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としてのカウントスイッチ42d(図7参照)が配設されている。
一般入賞口44、第1始動入賞口37、始動入賞装置38の第2始動入賞口、及び特別変動入賞装置42の大入賞口に遊技球が入賞すると、払出制御装置580(図7参照)は、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球を前面枠3の上皿21に排出するように払出装置(図示省略)を制御する。
特別変動入賞装置42の下方には、入賞口等に入賞しなかった遊技球を回収するアウト口43が設けられている。
遊技領域10aの外側(例えば、遊技盤10の右下部)には、表示装置48における特図変動表示ゲームや普図変動表示ゲームを実行する一括表示装置50が設けられている。一括表示装置50には、現在の遊技状態等の情報を表示する表示部が設けられる。
一括表示装置50は、7セグメント型の表示器等で構成された変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特図1表示器)及び第2特図変動表示部(特図2表示器)と、普図変動表示ゲーム用の変動表示部(普図表示器)と、各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示部(特図1始動記憶表示器や特図2始動記憶表示器、普図始動記憶表示器等)を備える。
特図1始動記憶表示器は、特図1表示器の変動開始条件となる第1始動入賞口37に入賞した遊技球の球数(特図1始動記憶数)を所定の上限数(例えば4つ)の範囲内で表示する。特図2始動記憶表示器は、特図2表示器の変動開始条件となる第2始動入賞口に入賞した遊技球の球数(特図2始動記憶数)を所定の上限数(例えば4つ)の範囲内で表示する。普図始動記憶表示器は、普図表示器の変動開始条件となる普図始動ゲート34を通過した遊技球の球数(普図始動記憶数)を所定の上限数(例えば4つ)の範囲内で表示する。
ここで、遊技機1における遊技の流れ及び普図変動表示ゲームや特図変動表示ゲームの詳細について説明する。
遊技機1では、打球発射装置(図示省略)から遊技領域10aに向けて遊技球が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域10a内の各所に配置された障害釘や風車45等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域10aを流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口44、第1始動入賞口37、第2始動入賞口又は特別変動入賞装置42に入賞するか、遊技領域10aの最下部に設けられたアウト口43へ流入し遊技機1から排出される。そして、一般入賞口44、第1始動入賞口37、第2始動入賞口又は特別変動入賞装置42に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出装置から上皿21に払い出される。
遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34を通過すると、ゲートスイッチ(SW)34a(図7参照)によって検出され、一括表示装置50の普図表示器において普図変動表示ゲームが実行される。
普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない場合や、普図変動表示ゲームの結果が当りとなって第2始動入賞口の可動部材38aが開放状態に変換されている場合に、遊技球が普図始動ゲート34を通過すると、普図始動記憶数の上限数未満ならば、普図始動記憶数が1加算されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。普図始動入賞の記憶数は、一括表示装置50の普図始動記憶表示器に表示される。
普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられた普図表示器で実行されるようになっている。普図表示器は、普通識別情報(普図)として点灯状態の場合に当りを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後にLEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
普図変動表示ゲームの停止表示が特定結果となれば、普図の当りとなって、始動入賞装置38の一対の可動部材38aが所定時間(例えば0.3秒間)開放される開放状態(入賞容易状態)となる。これにより、始動入賞装置38の第2始動入賞口に遊技球が入賞し易くなり、特図2変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
第1始動入賞口37に入賞した遊技機球及び始動入賞装置38の第2始動入賞口に入賞した遊技球は、それぞれ始動口1スイッチ37d(図7参照)と始動口2スイッチ38d(図7参照)によって検出される。第1始動入賞口37に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶される。第2始動入賞口に入賞した遊技球は、特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶される。
また、始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置500(図7参照)のRAMの特図記憶領域に特図始動入賞記憶として各々4回分を限度に記憶される。特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の特図1始動記憶表示器及び特図2始動記憶表示器に表示されるとともに、表示装置48においても表示される。
遊技制御装置500は、第1始動入賞口37又は第2始動入賞口への入賞、若しくはそれらの始動記憶に基づいて、一括表示装置50の特図1表示器又は特図2表示器で特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームを行う。
特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。表示装置48においては、各特図変動表示ゲームに対応して複数の識別情報(第1〜第3図柄等)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
表示装置48における飾り特図変動表示ゲームは、例えば数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第1図柄)、右(第3図柄)、中(第2図柄)の順に変動表示を開始して(図12及び図31参照)、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。表示装置48では、特図始動記憶数に対応する回数の飾り特図変動表示ゲームが実行されるとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現等の多様な演出表示が行われる。
第1始動入賞口37又は第2始動入賞口への遊技球の入賞が所定のタイミングでなされたときには、特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当り状態(特別遊技状態)となる。これに対応して、表示装置48の表示態様も特別結果態様(例えば、「7、7、7」等のゾロ目数字のいずれか)となる。
このとき、特別変動入賞装置42は、大入賞口ソレノイド42b(図7参照)への通電によって、大入賞口が所定の時間(例えば30秒)だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。これにより特別変動入賞装置42の開閉扉42aが所定の時間又は所定数の遊技球が入賞するまで大きく開くので、この間遊技者は多くの遊技球を獲得することができるという特典が付与される。
特図1変動表示ゲームが開始可能な状態で、第1始動入賞口37に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って特図1始動記憶が記憶される。このとき、特図1始動記憶数が1加算されるとともに、特図1始動記憶に基づいて直ちに特図1変動表示ゲームが開始され、この際に特図1始動記憶数が1減算される。一方、特図1変動表示ゲームが直ちに開始できない状態、例えば既に特図1変動表示ゲームが行われ当該特図1変動表示ゲームが終了していない場合や、特別遊技状態となっている場合に、第1始動入賞口37に遊技球が入賞すると、特図1始動記憶数が上限数未満ならば、特図1始動記憶数が1加算される。特図2変動表示ゲームの特図2始動記憶数も、特図1変動表示ゲームの場合と同様に上限数未満の範囲で増減する。なお、以下の説明において、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
次に、図3〜図5を参照して、演出ボタン31からなるボタン装置60の構成について説明する。
図3(A)は、ボタン装置60の縦断面図である。図3(B)は上部ロックされた状態のボタン装置60の縦断面図であり、図3(C)は下部ロックされた状態のボタン装置60の縦断面図である。図4(A)及び図4(B)は演出ボタン31が上部ロックされる場合を説明する図であり、図5(A)及び図5(B)は演出ボタン31が下部ロックされる場合を説明する図である。
図3(A)に示すように、ボタン装置60は、上皿カバーユニット20のカバー部20aに形成された貫通部20bに対して摺動自在に設けられる演出ボタン31と、演出ボタン31の入力操作を規制する規制部61と、演出ボタン31の入力操作を検出する演出ボタンスイッチ31aとを備える。
演出ボタン31は円筒状に形成された部材であって、演出ボタン31の上端は操作面31bによって閉塞されており、下端は開口している。演出ボタン31の開口部には、フランジ部31cが径方向外側に向かって突出形成される。また、演出ボタン31の操作面31bの裏面には、軸部31dが設けられる。軸部31dは、開口部から下方に突出するように形成されている。
上皿カバーユニット20は、その内部に、底壁部20cと、カバー部20aと底壁部20cとの間に形成される中間壁部20dとを備えている。演出ボタン31は、演出ボタン31の操作面31bと中間壁部20dとの間に設けられたバネ62によって上方に付勢されている。バネ62はコイルスプリングであって、演出ボタン31の軸部31dがバネ62の内部を軸方向に挿通する。
中間壁部20dには演出ボタン31の軸部31dが通過可能な貫通孔20eが形成されており、貫通孔20eと対応する位置の底壁部20cには演出ボタンスイッチ31aが設けられている。
遊技者によって操作されていない状態では、演出ボタン31は、バネ62の反力によってフランジ部31cの上面がカバー部20aの貫通部20bの下端面に当接し、操作面31bはカバー部20aよりも上方に突出する。このとき、演出ボタン31の軸部31dの先端は、演出ボタンスイッチ31a内に挿入されていない。
遊技者によって演出ボタン31の操作面31bが押されると、演出ボタン31はバネ62の反力に抗して押し下げられ、フランジ部31cの下面が上皿カバーユニット20の中間壁部20dの上面に当接する。このとき、演出ボタン31の軸部31dの先端は、中間壁部20dの貫通孔20eを介して演出ボタンスイッチ31a内に挿入される。演出ボタンスイッチ31aによって演出ボタン31の軸部31dが挿入されたことを検出することで、遊技者による演出ボタン31の入力操作を検知することができる。
規制部61は、規制軸61aを駆動可能なプランジャ型ソレノイドである。規制部61は規制軸61aを突出させることで、図3(B)に示すように演出ボタン31のフランジ部31cを規制軸61aの上面と貫通部20bの下端面とによって挟み込んで演出ボタン31の入力操作を規制(上部ロック)し、又は図3(C)に示すように演出ボタン31のフランジ部31cを規制軸61aの下面と中間壁部20dの上面とによって挟み込んで演出ボタン31の入力操作を規制(下部ロック)する。
図3(A)に示すように、演出ボタン31のフランジ部31cの先端部分には、規制部61の規制軸61aが当接した場合に、演出ボタン31を上方に誘導する上方誘導傾斜面31eが形成されている。また、規制部61の規制軸61aの先端部分には、演出ボタン31のフランジ部31cが当接した場合に、演出ボタン31を下方に誘導する下方誘導傾斜面61bが形成されている。
図4(A)に示すように、規制部61の規制軸61aが駆動されたときに、規制軸61aの先端がフランジ部31cの上方誘導傾斜面31eに当接する位置に演出ボタン31がある場合には、規制軸61aの突出に応じて、規制軸61aの先端が上方誘導傾斜面31eを介して演出ボタン31を押し上げる。これにより、演出ボタン31は、図3(B)及び図4(B)に示すように上部ロックされる。
一方、図5(A)に示すように、規制部61の規制軸61aが駆動されたときに、フランジ部31cの先端が規制軸61aの下方誘導傾斜面61bに当接する位置に演出ボタン31がある場合には、規制軸61aの突出に応じてフランジ部31cの先端が下方誘導傾斜面61bに沿って下方に移動し、演出ボタン31が押し下げられる。これにより、演出ボタン31は、図3(C)及び図5(B)に示すように下部ロックされる。
本実施形態の遊技機1では、演出ボタン31の位置に応じて演出ボタン31を上部ロック又は下部ロックするように構成したが、図6(A)及び図6(B)に示すように演出ボタン31の位置によらず演出ボタン31を下部ロックするように構成してもよい。つまり、図6(A)に示すように、規制部61の規制軸61aの下方誘導傾斜面61bを、演出ボタン31のフランジ部31cの先端の可動範囲に亘って形成する。これにより、規制部61の規制軸61aが駆動されたときに、フランジ部31cの先端が常に規制軸61aの下方誘導傾斜面61bに当接するようになるので、図6(B)に示すように演出ボタン31を下部ロックすることができる。演出ボタン31を上部ロックする場合には操作面31bがカバー部20aよりも上方に突出しているので(図3(B)参照)、上部ロック中に遊技者が演出ボタン31を叩いたりすると、規制部61の規制軸61aが破損してしまう可能性がある。しかしながら、演出ボタン31の入力操作を下部ロックのみによって規制する場合には操作面31bがカバー部20aから上方に突出しないので(図3(C)参照)、遊技者が演出ボタン31を無理に操作するのを防止でき、前述したような規制軸61aの破損を回避することができる。
図7は、遊技機1が備える遊技制御装置500の構成を示すブロック図である。
遊技制御装置500は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)である。遊技制御装置500は、遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン)511を有するCPU部510と、入力ポートを有する入力部520と、出力ポートやドライバなどを有する出力部530、CPU部510と入力部520と出力部530との間を接続するデータバス540等から構成されている。
CPU部510は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン511と、入力部520内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)521からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン511に入力させるインバータ等からなる反転回路512と、水晶振動子のような発振子を有し、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)513とを備える。
遊技制御装置500及び遊技制御装置500によって駆動されるソレノイドやモータ等の電子部品には、電源装置300で生成されたDC32V、DC12V、DC5V等の所定レベルの直流電圧が供給される。
電源装置300は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V、DC5V等のより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータを有する通常電源部310と、遊技用マイコン511の内部のRAM511cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部320と、停電監視回路や初期化スイッチを有し、遊技制御装置500に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号等の制御信号を生成して出力する制御信号生成部330とを備える。
電源装置300は遊技制御装置500と別個に構成されているが、バックアップ電源部320及び制御信号生成部330は別個の基板上あるいは遊技制御装置500と一体に設けてもよい。遊技機1の遊技盤10(図2参照)及び遊技制御装置500は機種変更の際に交換の対象となるので、電源装置300若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部320及び制御信号生成部330を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
バックアップ電源部320は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置500の遊技用マイコン511に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAM511cに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部330は、例えば通常電源部310で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。遊技制御装置500は、停電復旧後、RAM511cに保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。なお、バックアップ電源部320は、遊技データを2〜3日以上保持させることが可能となっている。
初期化スイッチ信号は初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン511のRAM511c及び払出制御装置580のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン511が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
遊技用マイコン511は、CPU(中央処理ユニット)511a、データを書き換え不能に記憶する読出し専用のROM(リードオンリメモリ)511b及びデータを書き換え可能に記憶する随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)511cを備える。
ROM511bは、遊技制御のための不変の情報(プログラムや固定データ、各種乱数の判定値等)を書き換え不能に記憶する。RAM511cは、遊技制御時にCPU511aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM511b又はRAM511cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
また、ROM511bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間や演出内容、リーチ状態の発生の有無等を規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶している。
変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1〜3をCPU511aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報である。また、変動パターン振り分け情報には、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターン振り分け情報、結果が15R当り、12R当り又は2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターン振り分け情報等が含まれる。例えば、特図変動表示ゲームがリーチなしの変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてノーマル(N)リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)1リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)2リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、大当りとなる特図変動表示ゲームにてプレミアムリーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報等がある。
さらに、これらのパターン振り分け情報には、後半変動パターン振り分け情報、前半変動パターン振り分け情報が含まれている。
ここで、特図変動表示ゲームにおけるリーチ状態とは、表示状態が変化可能な表示装置48(図2参照)を有し、表示装置48が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な特別遊技状態となる遊技機1において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態(例えば、最後に停止する識別情報を除く複数の識別情報が特別遊技状態となる特別結果を発生可能な識別情報で停止し、最後に停止する識別情報が変動表示している状態)をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置48の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置48の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置48に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置48における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報(第1〜第3図柄)を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合に、左及び右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。この他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、特別結果態様は除き、同一の識別情報となった状態)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしても良い。
また、リーチ状態とは、表示装置48において、予め定められた図柄が停止することで当りとなる有効ラインが定められ、その有効ライン上の一部の表示領域に予め定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行なわれている状態、および有効ライン上の表示領域の全てまたは一部の図柄が大当り図柄の全てまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態をいう。
リーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性(信頼度)が異なるリーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル(SP)1リーチ、スペシャル(SP)2リーチ、スペシャル(SP)3リーチ、プレミアリーチ等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル(SP)1リーチ<スペシャル(SP)2リーチ<スペシャル(SP)3リーチ<プレミアリーチの順に高くなるようになっている。これらのリーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様(大当り)が導出される場合における変動表示態様に含まれるようになっている。すなわち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定される場合(はずれとなる場合)における変動表示態様が含まれることがある。
特図変動表示ゲームがリーチ状態の場合には通常とは異なる演出がランプや音で行なわれることがあり、これら演出をリーチ演出という。また、リーチ状態においては、特別図柄等とは異なるキャラクタを表示させたり、表示装置48に表示される背景等の表示態様を変化させたりすることがあり、これら表示をリーチ演出表示という。
再び図7を参照して、遊技用マイコン511の説明を続ける。
遊技用マイコン511のCPU511aは、ROM511b内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置580や演出制御装置550に対する制御信号(コマンド)を生成したり、ソレノイドや表示装置48の駆動信号を生成したりして、遊技機1全体の制御を行う。
遊技用マイコン511は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、普図変動表示ゲームの当り判定用乱数等を生成するための乱数生成回路を備えている。さらに、遊技用マイコン511は、水晶発振器513からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU511aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
CPU511aは、後述する特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理(S1001)や特図普段処理(S1009)にて、ROM511bに記憶されている複数の変動パターン振り分け情報の中から、何れか一の変動パターン振り分け情報を取得する。具体的には、CPU511aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り又ははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態又は高確率状態)、現在の遊技状態としての始動入賞装置38の動作状態(通常動作状態又は時短動作状態)、始動記憶数等に基づいて、複数の変動パターン振り分け情報の中から何れか一の変動パターン振り分け情報を選択して取得する。
払出制御装置580は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置500からの賞球払出し指令に従って、払出装置の払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置580は、カードユニットからの貸球要求信号に基づいて払出装置の払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。
遊技制御装置500の入力部520には、第1始動入賞口37内の始動口1スイッチ37d、第2始動入賞口内の始動口2スイッチ38d、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ44a〜44n、カウントスイッチ42dに接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V−5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)521が設けられている。近接I/F521は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出することができ、異常が検知された場合には異常検知信号を出力するように構成されている。異常検知信号は、入力ポート523に入力される。
近接I/F521に入力された信号の出力はすべて入力ポート522に供給され、データバス540を介して遊技用マイコン511に読み込まれるとともに、遊技制御装置500から中継基板591を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F521の出力のうち始動口1スイッチ37dと始動口2スイッチ38dの検出信号は、入力ポート522の他、反転回路512を介して遊技用マイコン511へ入力されるようになっている。反転回路512を設けているのは、遊技用マイコン511の信号入力端子が、マイクロスイッチ等からの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、すなわちロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
したがって、始動口1スイッチ37dと始動口2スイッチ38dとしてマイクロスイッチを使用する場合には、反転回路512を設けずに遊技用マイコン511に検出信号を直接入力させるように構成することができる。つまり、始動口1スイッチ37dと始動口2スイッチ38dからの負論理の信号を遊技用マイコン511に直接入力させたい場合には、近接スイッチを使用することはできない。前述のように近接I/F521は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F521には、電源装置300から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
また、入力部520には、遊技機1の前面枠3等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ39a及び振動センサスイッチ39bからの信号及び近接I/F521により変換された第1始動入賞口37内の始動口1スイッチ37d、第2始動入賞口内の始動口2スイッチ38d、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ44a〜44n、カウントスイッチ42dからの信号を取り込んでデータバス540を介して遊技用マイコン511に供給する入力ポート522が設けられている。入力ポート522が保持しているデータは、遊技用マイコン511が入力ポート522に割り当てられているアドレスをデコードすることによってイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる。後述の他のポートも同様である。
さらに、入力部520には、遊技機1の前面枠3に設けられた前面枠開放検出スイッチ3b及びガラス枠18に設けられたガラス枠開放検出スイッチ18bからの信号、及び払出制御装置580からの払出異常を示すステータス信号や払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号を取り込んでデータバス540を介して遊技用マイコン511に供給する入力ポート523が設けられている。オーバーフロースイッチ信号は、下皿23に遊技球が所定量以上貯留されて満杯になったことを検出した場合に出力される信号である。
入力部520には、電源装置300からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号等の信号を遊技用マイコン511等に入力するためのシュミットトリガ回路524が設けられており、シュミットトリガ回路524はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置300からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦入力ポート523に入力され、データバス540を介して遊技用マイコン511に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン511に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
一方、シュミットトリガ回路524によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン511に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部530の各出力ポートに供給される。リセット信号RSTは出力部530を介さずに中継基板591に直接出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板591のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板591を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。
なお、リセット信号RSTは入力部520の各入力ポート522、523には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン511によって出力部530の各出力ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部520の各入力ポート522、523から遊技用マイコン511が読み込んだデータは、遊技用マイコン511のリセットによって廃棄されるためである。
遊技制御装置500の出力部530は、データバス540に接続され払出制御装置580へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効、無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置550へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート531aと、演出制御装置550へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート531bとを備える。遊技制御装置500から払出制御装置580及び演出制御装置550へは、パラレル通信でデータが送信される。出力部530には、演出制御装置550の側から遊技制御装置500へ信号を入力できないようにするため、つまり片方向通信を担保するために第1出力ポート531aからのデータストローブ信号SSTB及び第2出力ポート531bからの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ532aが設けられている。なお、第1出力ポート531aから払出制御装置580へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。
出力部530には、データバス540に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号等を中継基板591を介して出力するバッファ532bが実装されている。バッファ532bは遊技店に設置される実機(量産販売品)としての遊技機1の遊技制御装置500には実装されない部品である。
なお、近接I/F521から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ532bを通さずに中継基板591を介して試射試験装置へ供給される。一方、磁気センサスイッチ39aや振動センサスイッチ39bのようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦、遊技用マイコン511に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工される。中継基板591には、バッファ532bから出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板591上のポートには、遊技用マイコン511から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
また、出力部530には、データバス540に接続され特別変動入賞装置42を開閉させる大入賞口ソレノイド42bや始動入賞装置38の可動部材38aを開閉させる普電ソレノイド38bの開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート531c、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート531d、大当り情報等の遊技機1に関する情報を外部情報端子508へ出力するための第5出力ポート531eが設けられている。外部情報端子508から出力された遊技機1に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。
さらに、出力部530には、第1ドライバ(駆動回路)533a、第2ドライバ533b、第3ドライバ533c、及び第4ドライバ533dが設けられている。第1ドライバ533aは、第3出力ポート531cから出力される大入賞口ソレノイド42bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号や普電ソレノイド38bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する。第2ドライバ533bは、第3出力ポート531cから出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する。第3ドライバ533cは、第4出力ポート531dから出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する。第4ドライバ533dは、第5出力ポート531eから管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子508へ出力する。
第1ドライバ533aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置300から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第3ドライバ533cには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第2ドライバ533bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。12Vを出力する第3ドライバ533cによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第2ドライバ533bによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子508へ出力する第4ドライバ533dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ532bや第3出力ポート531c、第1ドライバ533a等は、遊技制御装置500の出力部530ではなく、中継基板591側に設けるようにしてもよい。
さらに、出力部530には、外部の検査装置592へ各遊技機1の識別コードやプログラム等の情報を送信するためのフォトカプラ534が設けられている。フォトカプラ534は、遊技用マイコン511が検査装置592との間でシリアル通信によってデータの送受信を行えるように双方通信可能に構成されている。このデータ送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン511が有するシリアル通信端子を利用して行われるため、入力ポート522のようなポートは設けられていない。
次に、図8を参照して、遊技機1が備える演出制御装置550の構成について説明する。図8は、演出制御装置550の構成を示すブロック図である。
演出制御装置550は、遊技制御装置500の遊技用マイコン511と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)551と、主制御用マイコン551の制御下で映像制御等を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)554と、映像制御用マイコン554からのコマンドやデータに従って表示装置48(図2参照)への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)558と、各種メロディや効果音等を上スピーカ30a及び下スピーカ30bから再生させるために音の出力を制御する音源LSI560とを備える。
主制御用マイコン551と映像制御用マイコン554には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるプログラムROM553、555がそれぞれ接続され、VDP558にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM557が接続され、音源LSI560には音声データが記憶された音声ROM561が接続されている。主制御用マイコン551は、遊技用マイコン511からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン554へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI560への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。主制御用マイコン551と映像制御用マイコン554の作業領域を提供するRAM551a、554aは、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAM551a、554aはチップの外部に設けるようにしてもよい。
主制御用マイコン551と映像制御用マイコン554との間、主制御用マイコン551と音源LSI560との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。
主制御用マイコン551とVDP558との間は、パラレル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアル方式の場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。
VDP558には、画像ROM557から読み出されたキャラクタ等の画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)558aや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ558b、LVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置48へ送信する映像信号を生成する信号変換回路558c等が設けられている。
VDP558から主制御用マイコン551へは、表示装置48の映像と前面枠3や遊技盤10に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。また、VDP558から映像制御用マイコン554へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン554からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが入力される。
映像制御用マイコン554から主制御用マイコン551へは、映像制御用マイコン554が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。
主制御用マイコン551と音源LSI560との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン554には、主制御用マイコン551よりも高速なCPUが使用されている。主制御用マイコン551とは別に映像制御用マイコン554を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン551のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置48に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン554と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。また、CPUを2個設けることによって、2個のCPUの制御プログラムを別々に並行して開発することが可能となり、これによって新機種の開発期間を短縮することができる。
演出制御装置550には、遊技制御装置500から送信されてくるコマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)552が設けられている。コマンドI/F552を介して、遊技制御装置500から演出制御装置550へ送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置500の遊技用マイコン511はDC5Vで動作し、演出制御装置550の主制御用マイコン551はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F552には信号のレベル変換の機能が設けられている。
演出制御装置550には、センターケース46を含む遊技盤10に設けられているLED等を有する盤装飾装置10dを制御する盤装飾LED制御回路10c、前面枠3に設けられているLED等を有する枠装飾装置18dを制御する枠装飾LED制御回路18c、センターケース46を含む遊技盤10に設けられている盤演出装置(表示装置48における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物等)10fを駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路10e、前面枠3に設けられている枠演出装置(第1可動式照明13、第2可動式照明14を動作させるモータ等)18fを駆動制御する枠演出モータ制御回路18eが設けられている。これらの制御回路10c、18c、10e、18eは、アドレス/データバス559を介して主制御用マイコン551と接続されている。
また、演出制御装置550には、遊技機1のボタン装置60に内蔵されている演出ボタンスイッチ31aや盤演出装置10fのモータの初期位置を検出する演出モータスイッチのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン551へ検出信号を入力するスイッチ入力回路570、上スピーカ30aを駆動するオーディオパワーアンプ等からなるアンプ回路562a、下スピーカ30bを駆動するアンプ回路562bが設けられている。
電源装置300の通常電源部310は、演出制御装置550及び演出制御装置550によって制御される電子部品に対して所定レベルの直流電圧を供給するために、複数種類の電圧を生成可能に構成されている。具体的には、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネル等からなる表示装置48を駆動するためのDC12V、コマンドI/F552の電源電圧となるDC5Vの他に、LEDやスピーカを駆動するためのDC18Vやこれらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させるのに使用するNDC24Vの電圧を生成することが可能となっている。さらに、主制御用マイコン551や映像制御用マイコン554として、3.3Vあるいは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5Vに基づいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC−DCコンバータが演出制御装置550に設けられる。なお、DC−DCコンバータは通常電源部310に設けるようにしてもよい。
電源装置300の制御信号生成部330により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン551、映像制御用マイコン554、VDP558、音源LSI560、ランプやモータ等を駆動制御する制御回路10c、18c、10e、18e、スピーカを駆動するアンプ回路562a、562bに供給され、これらをリセット状態にする。電源装置300は、映像制御用マイコン554の有する汎用のポートを利用して、VDP558に対するリセット信号を生成して供給する機能を有している。これにより、映像制御用マイコン554とVDP558の動作の連携性を向上させることができる。
以上が、本実施形態における遊技機1の構成である。次に、遊技機1で実行される遊技制御について説明する。
遊技機1の遊技制御装置500は、ゲートスイッチ34aからの検出信号の入力に基づき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM511bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当りはずれを判定する。そして、一括表示装置50の普図表示器に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する。普図変動表示ゲームの結果が当りの場合には、遊技制御装置500は、普図表示器に特別の結果態様を表示させ、始動入賞装置38の可動部材38aを所定時間開放するように普電ソレノイド38bを動作させる。なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合には、遊技制御装置500は、普図表示器にはずれの結果態様を表示させる。
遊技制御装置500は、第1始動入賞口37に備えられた始動口1スイッチ37dからの検出信号の入力に基づき、始動記憶を記憶する。遊技制御装置500は、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM511bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する。
また、遊技制御装置500は、始動入賞装置38に備えられた始動口2スイッチ38dからの検出信号の入力に基づき、始動記憶を記憶する。遊技制御装置500は、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM511bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する。
遊技制御装置500は、第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置550に出力する。そして、遊技制御装置500は、一括表示装置50の特図1表示器や特図2表示器において、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合には、遊技制御装置500は、一括表示装置50の特図1表示器や特図2表示器にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
これに対して、特図変動表示ゲームの結果が当りの場合には、遊技制御装置500は、一括表示装置50の特図1表示器や特図2表示器に特別結果態様を表示させるとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。特別遊技状態を発生させる処理においては、遊技制御装置500は、大入賞口ソレノイド42bにより特別変動入賞装置42の開閉扉42aを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。そして、大入賞口に所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば25秒又は1秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(15回、12回、又は2回)繰り返すサイクル遊技を行う。
一方、演出制御装置550は、遊技制御装置500からの制御信号に基づき、表示装置48で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この演出制御装置550は、遊技制御装置500からの制御信号に基づき、上スピーカ30a及び下スピーカ30bからの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等も行う。
図9及び図10を参照して、遊技機1で実行される遊技の遊技状態について説明する。
まず、図9を参照して特図変動表示ゲームで大当りが発生した場合について説明する。図9は、特図変動表示ゲームで大当りが発生した場合の大当り図柄の振り分けパターンの一例を示すテーブルである。図9(A)は、遊技球の第1始動入賞口37への入賞に基づいて実行される特図1変動表示ゲームの結果が大当りとなる場合の大当り図柄の振り分けパターンを示す。図9(B)は、遊技球の第2始動入賞口への入賞に基づき実行される特図2変動表示ゲームの結果が大当りとなる場合の大当り図柄の振り分けパターンを示す。
特図1変動表示ゲームの結果が大当りとなる場合は、遊技制御装置500は、図9(A)のテーブルを用いて、当該特図1変動表示ゲームの始動記憶に記憶されていた大当り図柄乱数値に対応する図柄番号を特定し、図柄番号に対応する大当り図柄の種類を特定する。
同様に、特図2変動表示ゲームの結果が大当りになる場合は、遊技制御装置500は、図9(B)のテーブルを用いて、当該特図2変動表示ゲームの始動記憶に記憶されていた大当り図柄乱数値に対応する図柄番号を特定し、図柄番号に対応する大当り図柄の種類を特定する。
特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲーム)で大当りが発生した場合の大当り図柄の振り分けは、15R確変A、15R確変B、12R確変A、12R確変Bとなっている。ここで、確変Aと確変Bとでは、1Rあたりの特別変動入賞装置42の開閉扉42aの開放時間が異なる。確変Aでは、途中のラウンド(例えば5R)までは1Rあたり最大20秒の開放時間が設定され、それ以降のラウンド(6R以降)では1Rあたり0.5秒の開放時間が設定される。確変Bでは、全ラウンドにおいて1Rあたり最大20秒の開放時間が設定される。
本実施形態では、特図変動表示ゲームの大当り確率状態が通常状態の場合は、特別遊技状態(大当り状態)の終了後、大当りの発生確率が高い確変状態となるとともに、始動入賞装置38の動作状態が普電サポート状態となって普電サポート回数が100回に設定される。
普電サポート回数は、特図変動表示ゲームの実行回数に対応する。したがって、特別遊技状態終了後に、特図変動表示ゲームの結果が100回連続してはずれると、始動入賞装置38の動作状態は、普電サポート状態から通常状態に移行する。なお、本実施形態では、大当りの確率状態を高確率状態から低確率状態に移行させる転落抽選を実行しているが、転落抽選の当選の有無に関わらず、特図変動表示ゲームが100回終了するまで普電サポート状態は継続する。普電サポート状態となっている間は、確率状態の報知状態を非報知とし、遊技状態を報知するモード表示内容は一切変更しない。
ところで、遊技球が始動入賞装置38の第2始動入賞口に入賞するためには、可動部材38aが開状態になっている必要があるので、第2始動入賞口の方が第1始動入賞口37よりも遊技球の入賞率が低くなる。そのため、特図2変動表示ゲームにおいて大当りが発生した場合には、特図1変動表示ゲームで大当りとなる場合よりも遊技者に有利となるように構成されている。具体的には、図9(B)のテーブルによる大当り図柄の振り分けでは、一定の遊技価値の獲得が望める15R大当りとなる図柄乱数範囲(0〜112)が、図9(A)のテーブルにおける15R大当りの図柄乱数範囲(0〜135)よりも広く設定される。したがって、特図2変動表示ゲームでは15R大当りの振分確率が、特図1変動表示ゲームにおける15R大当りの振分確率よりも高くなる。
次に、図10を参照して、各遊技状態の遷移について説明する。図10は、遊技機1の遊技状態遷移パターンを示す状態遷移図である。
本実施形態の遊技機1では、大当りの確率状態を高確率状態から低確率状態に移行させる転落抽選を実行している。図10においては、主に転落抽選に当選するタイミングに係る遊技状態遷移について説明する。
遊技機1における遊技開始時点では、遊技状態は通常遊技状態(通常状態)となっている。通常遊技状態では、始動入賞装置38の可動部材38aは普電サポートされておらず、大当りの発生確率は低確率(通常確率)である。
そして、第1始動入賞口37又は第2始動入賞口に入賞した始動記憶に対応する特図変動表示ゲームの結果が大当りになると、遊技状態は特別遊技状態となる。このとき、大当りの発生確率は低確率で、可動部材38aも普電サポートされていないが、図9(A)及び図9(B)に示す大当り図柄の種類に応じて特別変動入賞装置42の開閉扉42aが開放される。
特別遊技状態の終了後に、遊技状態は、始動入賞装置38の可動部材38aが所定回数(例えば100回)連続して普電サポートされる第1特定遊技状態となる。このとき大当り図柄の種類が確変である場合は、大当りの発生確率は高確率となり、大当り図柄の種類が通常である場合は、大当りの発生確率は低確率(通常確率)となる。なお、図9(A)及び図9(B)に示した大当り図柄は全て確変であるので、第1特定遊技状態が開始された直後は大当りの発生確率が必ず高確率となっている。
第1特定遊技状態では転落抽選が実行される。転落抽選に当選した場合は、大当りの発生確率を高確率から低確率に変更する、いわゆる転落が実行される。そして、所定回数の特図変動表示ゲームが実行されるまで普電サポートを継続し、すなわち大当りの発生確率が低確率に設定された第1特定遊技状態を継続する。その後、停止時間演出が実行され、遊技状態は通常遊技状態に戻る。
一方、第1特定遊技状態において転落抽選に当選しなかった場合は、所定回数の普電サポート終了後、第2特定遊技状態となる。第2特定遊技状態とは、転落抽選に当選せずに、特別遊技状態終了後から所定回数の普電サポートが実行された後の遊技状態であり、大当りの発生確率は第1特定遊技状態から維持されるが、普電サポート状態は解除されている状態である。
そして、第2特定遊技状態でも転落抽選が実行され、転落抽選に当選した場合は、前述した転落が実行され、遊技状態は通常遊技状態に戻る。
次に、図11及び図12を参照して、遊技機1の演出制御装置550によって実行される飾り特図変動表示ゲームでの演出表示パターンの変更制御について説明する。図11は、演出ボタン31の操作に基づく演出表示パターンの変更について説明する図である。図12(A)〜図12(C)は、演出ボタン31の連続操作要求がある場合における演出表示パターンの変更を説明する図である。
図11に示すように、遊技機1は、遊技者の演出ボタン31の操作に基づいて、飾り特図変動表示ゲームにおける演出表示パターンを選択可能に構成されている。遊技機1の演出制御装置550は、一括表示装置50(図2参照)で実行される特図変動表示ゲームに対応して、飾り特図変動表示ゲームを表示装置48において実行する。飾り特図変動表示ゲーム中の表示装置48には、飾り特図変動表示ゲームに関する複数の識別情報が変動表示されるだけでなく、飾り特図変動表示ゲームを演出するためのキャラクタや背景画像等からなる演出表示が表示される。
演出制御装置550は、飾り特図変動表示ゲーム中に演出ボタン31の入力操作を受け付け、飾り特図変動表示ゲームを演出するための演出表示パターン(演出A〜演出C)を変更する。演出ボタン31が1回操作される毎に、表示装置48に表示される演出表示パターンが切り換えられる。なお、本実施形態では、飾り特図変動表示ゲーム実行中だけでなく、客待ちデモ中に演出ボタン31を操作することによっても演出表示パターンを変更することができるようになっている。
ところで、遊技機1の演出制御装置550は、図12(A)に示すように飾り特図変動表示ゲームがリーチ状態になった場合に、所定の確率で、演出ボタン31の連続操作(連打)を要求する。つまり、演出制御装置550は、演出ボタン31の連続操作要求を表示装置48に表示させ、遊技者による演出ボタン31の連続操作を促す。このリーチ状態中の演出ボタン31の連続操作要求は、演出表示パターン選択とは異なる遊技演出であって、大当りになる期待度を高めるための遊技演出である。なお、演出ボタン31の連続操作要求中には、演出表示パターンの変更はできないようになっている。
リーチ状態中に演出ボタン31を連打するような遊技演出を行う場合には、図12(B)及び図12(C)に示すように、遊技者が、1回目の飾り特図変動表示ゲームが終了したことに気付かずに、2回目の飾り特図変動表示ゲーム開始時にも演出ボタン31を連打し続けることがある。連続操作要求による勢いで、2回目の飾り特図変動表示ゲームの開始時に演出ボタン31が連打されていると、遊技者の意志に関係なく演出表示パターンが変更、例えば演出Aから演出Bに変更されてしまう可能性がある(図12(C)参照)。演出ボタン31の連打状態によっては、演出表示パターンが連続して変更されてしまうこともある。このように遊技者の意志によらず飾り特図変動表示ゲームにおける演出表示パターンが変更されると、遊技に対する興趣が低下してしまう。
そこで、上記問題を解消するため、飾り特図変動表示ゲームの実行を制御する遊技機1の演出制御装置550は、異なる複数の演出表示パターンを記憶する記憶手段と、選択された演出表示パターンで飾り特図変動表示ゲームを実行する実行手段と、演出ボタン31の操作に基づいて演出表示パターンを切り替える切替手段と、飾り特図変動表示ゲームの開始から所定の無効時間だけ演出ボタン31からの入力操作を受け付けず、演出表示パターンの切替を禁止する切替制御手段と、を備えている。そのため、飾り特図変動表示ゲーム開始時に演出ボタン31が連打されていたとしても、飾り特図変動表示ゲーム開始後から無効時間が経過するまでは演出表示パターンの切り替えが禁止されるので、遊技者の意志に関係なく演出表示パターンが変更されてしまうことを防止することが可能となる。
なお、演出表示パターン変更に関する演出制御装置550の各種処理の詳細については、図29〜図34を参照して後述する。
以下では、図13〜図27を参照して、主基板である遊技制御装置500によって実行される各種処理の詳細を説明する。
〔メイン処理(遊技制御装置)〕
図13及び図14を参照して、メイン処理について説明する。図13はメイン処理の前半部のフローチャートであり、図14はメイン処理の後半部のフローチャートである。
メイン処理は、遊技機1の電源投入時に実行される。例えば、遊技場で営業を開始するために遊技機1の電源を投入する場合や停電から復帰した場合に実行される。
遊技機1の遊技制御装置500は、メイン処理の実行が開始されると、まず、割込み禁止する(S701)。次いで、遊技制御装置500は、割込みが発生した場合に実行されるジャンプ先を示すベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理を実行し(S702)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定する(S703)。そして、遊技制御装置500は、割込み処理のモードを設定する(S704)。
次に、遊技制御装置500は、払出制御装置(払出基板)580のプログラムが正常に起動するまで待機する(S705)。例えば、4ミリ秒間待機する。このように制御することによって、電源投入の際に、遊技制御装置500が先に起動してしまい、払出制御装置580の起動が完了する前に、コマンドを当該払出制御装置580に送信してしまい、払出制御装置580が送信されたコマンドを取りこぼすのを回避することができる。
その後、遊技制御装置500は、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ)に対するアクセスを許可する(S706)。遊技制御装置500は、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定し(S707)、遊技用マイコン511に予め搭載されているシリアルポートを使用しない状態に設定する(S708)。本実施形態では、払出制御装置580や演出制御装置550とパラレル通信を行っているため、シリアルポートを使用しないためである。
続いて、遊技制御装置500は、電源装置300内の初期化スイッチ信号がオンに設定されているか否か判定する(S709)。初期化スイッチ信号は、遊技機1に電源が投入された場合に、初期化された状態で遊技を開始するか否かを設定するための信号である。
例えば、閉店時などに正常に電源が切断され、翌日の開店時に電源が投入された場合には、初期化された状態で遊技が開始されるように、初期化スイッチ信号がオンに設定される。一方、停電発生後に再度電源が投入された場合には、遊技を可能な限り停電前の遊技状態に近い状態で再開するために、遊技機が初期化されないように、初期化スイッチ信号がオフに設定される。
遊技制御装置500は、初期化スイッチ信号がオフに設定されている場合には(S709の結果が「N」)、RWM内の停電検査領域をチェックする(S710)。さらに詳しく説明すると、停電検査領域には停電検査領域チェックデータが記憶される。S710の処理では、遊技制御装置500は、停電検査領域に記憶された停電検査領域チェックデータが正常であるか否かをチェックする。
遊技制御装置500は、RWM内の停電検査領域の停電検査領域チェックデータが正常である、すなわち停電から復旧したと判定した場合には(S711の結果が「Y」)、チェックサムと呼ばれる検証用データを算出するチェックサム算出処理を実行する(S712)。そして、遊技制御装置500は、チェックサム算出処理で算出されたチェックサムの値が、電源切断時に算出されたチェックサムの値と一致するか否かを判定する(S713)。
一方、遊技制御装置500は、初期化スイッチ信号がオンに設定されている場合(S709の結果が「Y」)や、停電から復旧していない場合(S711の結果が「N」)、電源切断時のチェックサムの値とS712の処理で算出されたチェックサムの値とが一致しない場合には(S713の結果が「N」)、図14のS821〜S823の初期化処理を実行する。初期化処理の詳細については後述する。
遊技制御装置500は、算出されたチェックサムの値と電源切断時のチェックサムの値とが一致する場合には(S713の結果が「Y」)、停電処理が正常に実行されたため、停電前の状態に復旧させるための処理を実行する(図14のS801〜S806)。
図14に示すように、遊技制御装置500は、停電時の情報が正常に記憶されていたか否かを判定するための情報が記憶されていた、RWM(リードライトメモリ:実施例ではRAM)内の領域をクリア(初期化)する。具体的には、初期化すべき領域(停電検査領域及びチェックサムが記憶されていた領域)に停電復旧時の初期値をセーブ(保存)する(S801)。そして、遊技制御装置500は、エラー関連の情報及び不正行為を監視するための情報を記憶する領域をリセットする(S802)。
次に、遊技制御装置500は、RWM内の遊技状態を記憶する領域から停電発生時の遊技状態が高確率状態であったか否かを判定する(S803)。高確率状態でないと判定された場合には(S803の結果が「N」)、遊技制御装置500はS806以降の処理を実行する。
停電発生時の遊技状態が高確率状態であったと判定された場合には(S803の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、高確率報知フラグをオンに設定して高確率報知フラグ領域にセーブ(保存)する(S804)。続いて、遊技制御装置500は、一括表示装置50に設けられる高確率報知LEDをオン(点灯)に設定する(S805)。
さらに、遊技制御装置500は、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置550に送信する(S806)。特図ゲーム処理番号は、特図ゲームの状態を示す番号であり、停電発生時にRWMの所定の領域に記憶されている。このように、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置550に送信することで、可能な限り停電発生前に近い状態で遊技を再開することができる。
ここで、初期化処理(S821〜S823)を実行する場合について説明する。初期化処理は、正常に電源が切断された遊技機1を起動する場合や停電発生前の状態に復帰できない場合に実行される。
遊技制御装置500は、初期化処理において、まず、使用する作業領域をリセットする(S821)。そして、遊技制御装置500は、初期化すべき領域に電源投入時用の初期値をセーブし(S822)、電源投入時のコマンドを演出制御装置550に送信して(S823)、S807以降の処理を実行する。
遊技制御装置500は、S806又はS823の処理が終了すると、遊技用マイコン511(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動させる(S807)。
なお、CTC回路は、遊技用マイコン511内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器513からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、前述したCTC回路とを備えている。タイマ割込み信号は、分周された信号に基づいてCPU511aに所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込みを発生させるための信号である。乱数更新トリガ信号(CTC)は、分周された信号に基づいて乱数生成回路に供給され、乱数生成回路が乱数を更新するトリガとなる。
遊技制御装置500は、CTC回路を起動すると、乱数生成回路の起動設定を行う(S808)。具体的には、CPU511aが乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)に乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)を設定するなどの処理を実行する。さらに、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブする(S809)。その後、遊技制御装置500は、割込みを許可する(S810)。
なお、本実施形態のCPU511a内の乱数生成回路では、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変更されるように構成されており、ソフト乱数レジスタの初期値に基づいて各種初期値乱数の初期値(スタート値)を設定することによって、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことが可能となり、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。各種初期値乱数には、例えば、大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図変動表示ゲームの当りを決定する乱数(当り乱数)、大当りの確率状態を高確率状態から低確率状態に落とす転落抽選に当選する乱数(転落当選乱数)が含まれる。
続いて、遊技制御装置500は、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を実行する(S811)。本実施形態では、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数を使用して生成するように構成されている。すなわち、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数、転落当選乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。なお、各種乱数の発生源は前述の態様に限定されるわけではなく、大当り乱数がソフトウェア乱数であってもよいし、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数、転落当選乱数がハードウェア乱数であってもよい。
S811の処理後、遊技制御装置500は、電源装置300から入力され、ポート及びデータバスを介して読み込まれる停電監視信号がオンであるか否かを判定する(S812)。停電監視信号がオンであるか否かによって停電が発生したか否かを判定することができる。停電監視信号がオンでない場合、すなわち停電していない場合には(S812の結果が「N」)、遊技制御装置500はS811の初期値乱数更新処理を再び実行し、S811とS812の処理を繰り返し実行する(ループ処理)。
また、初期値乱数更新処理(S811)の前に割り込みを許可(S810)することによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生した場合に、割込み処理を優先して実行することが可能となる。したがって、初期値乱数更新処理の実行が完了するまでタイマ割込み処理を実行できないために、割込み処理に含まれる各種処理を実行する時間が不足してしまうことを回避できる。
なお、初期値乱数更新処理(S811)は、メイン処理の他に、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行してもよい。ただし、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行する場合には、両方の処理で初期値乱数更新処理が実行されることを回避するため、メイン処理における初期値乱数更新処理の実行時に割込みを禁止し、初期値乱数を更新後に割込みを解除する必要がある。しかし、本実施形態のようにタイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行せず、メイン処理でのみ初期値乱数更新処理を実行すれば、初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても問題が生じることはなく、さらに、メイン処理が簡素化されるという利点がある。
一方、停電監視信号がオンに設定されている場合には(S812の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、停電が発生したものと見なして停電発生時の処理を実行する(S813〜S818)。
遊技制御装置500は、割込みを禁止し(S813)、全出力ポートをオフに設定する(S814)。その後、遊技制御装置500は、停電復旧検査領域に停電復旧検査領域チェックデータをセーブする(S815)。
さらに、遊技制御装置500は、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し(S816)、算出されたチェックサムの値をRWMのチェックサム領域にセーブする(S817)。最後に、遊技制御装置500は、RWMの内容が変更されないようにRWMへのアクセスを禁止し(S818)、遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。このように、停電復旧検査領域にチェック用のデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出して記憶させることで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判定することが可能となる。
〔タイマ割込み処理(遊技制御装置)〕
次に、図15を参照して、遊技制御装置500によって実行されるタイマ割込み処理について説明する。図15は、遊技制御装置500によって実行されるタイマ割込み処理のフローチャートである。
タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路によって生成される周期的(例えば、1ミリ秒周期)なタイマ割込み信号がCPU511aに入力されることによって開始される。
タイマ割込み処理が開始されると、遊技制御装置500は、まず、所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すことによってレジスタを退避させる(S901)。なお、本実施形態では遊技用マイコン511としてZ80系のマイコンを使用している。Z80系のマイコンには、表レジスタと裏レジスタが備えられており、表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避させることでS901の処理を実装することが可能である。
次に、遊技制御装置500は、入力部520を介して入力される各種センサやスイッチ等からの入力信号を取り込み、各入力ポートの状態を読み込む入力処理を実行する(S902)。各種センサには、始動口1スイッチ37d、始動口2スイッチ38d、普図のゲートスイッチ34a、カウントスイッチ42d等が含まれる。また、入力処理では、入力信号にチャタリング除去等を行って入力情報を確定させる。
さらに、遊技制御装置500は、各種処理でセットされた遊技制御に関する出力データを、演出制御装置550及び払出制御装置580に送信するための出力処理を実行する(S903)。出力データは、ソレノイド等のアクチュエータの駆動制御などを行うための情報であり、制御対象となるソレノイドには、例えば大入賞口ソレノイド42b、普電ソレノイド38bが含まれる。また、出力処理では、遊技機における遊技データを収集する情報収集端末装置(図示せず)に遊技データを出力するも含まれる。
遊技制御装置500は、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置550や払出制御装置580等に送信するコマンド送信処理を実行する(S904)。遊技制御装置500は、特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、及び停電から復旧した場合に演出制御装置550に停電復旧処理を実行させる停電復旧コマンドを演出制御装置550に送信したり、払出装置から払い出す賞球数を指定する賞球コマンドを払出制御装置580に送信したりする。
S904の処理後、遊技制御装置500は、大当り図柄乱数1及び大当り図柄乱数2を更新する乱数更新処理1を実行し(S905)、続いて特図変動表示ゲームにおける変動パターンを決定するための変動パターン乱数を更新する乱数更新処理2を実行する(S906)。乱数更新処理1及び乱数更新処理2では、各種乱数にランダム性を付与するために、各種乱数に対応するカウンタ(大当り乱数カウンタ、当り乱数カウンタ、演出決定用乱数カウンタ等)の値を1ずつ加算する。
その後、遊技制御装置500は、各種入賞口スイッチ等を監視したり、枠の不正な開放等のエラーを監視したりする入賞口スイッチ/エラー監視処理を実行する(S907)。各種入賞口スイッチには、例えば、始動口1スイッチ37d、始動口2スイッチ38d、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ44a〜44n、カウントスイッチ42dが含まれる。入賞口スイッチ/エラー監視処理では、これらのスイッチから正常な信号が入力されているか否かを監視したりする。エラーの監視としては、前面枠3やガラス枠18が不正に開放されていないか等を対象としている。
S907の処理後、遊技制御装置500は、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理を実行し(S908)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理を実行する(S909)。
なお、特図ゲーム処理の詳細については、図16を参照して後述する。
S909の処理後、遊技制御装置500は、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDの表示内容を制御するセグメントLED編集処理を実行する(S910)。具体的には、特図変動表示ゲーム及び普図変動表示ゲームの結果をセグメントLED(例えば、一括表示装置50)に出力するためのパラメータを編集する。
遊技制御装置500は、磁気センサスイッチ39aや振動センサスイッチ39bからの検出信号をチェックし、異常があるか否かを判定する磁石不正監視処理を実行する(S911)。異常の発生を検出した場合には、上スピーカ30a及び下スピーカ30bから報知音を出力したり、遊技状態LED29を点灯させたりする等して外部に報知する。
その後、遊技制御装置500は、外部情報端子508から出力する各種信号を編集する外部情報編集処理を実行し(S912)、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する(S913)。
S913の処理後、遊技制御装置500は、S901の処理で一時退避されていたレジスタを復帰させ(S914)、禁止設定されていた外部機器による割込み及びタイマ割込みを許可し(S915)、タイマ割込み処理を終了する。
〔特図ゲーム処理〕
次に、図16を参照して、図15のタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(S908)の詳細について説明する。図16は、遊技制御装置500によって実行される特図ゲーム処理のフローチャートである。
特図ゲーム処理では、始動口1スイッチ37d及び始動口2スイッチ38dによる入力信号の監視、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図(識別図柄、識別情報)の表示の設定が行われる。
特図ゲーム処理が開始されると、遊技制御装置500は、まず、始動口1スイッチ37d及び始動口2スイッチ38dの入賞を監視する始動スイッチ監視処理を実行する(S1001)。
始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口37、第2始動入賞口に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。なお、始動口スイッチ監視処理の詳細については、図17を参照して後述する。
その後、遊技制御装置500は、カウントスイッチ監視処理を実行する(S1002)。カウントスイッチ監視処理では、特別変動入賞装置42内に設けられたカウントスイッチ42dによって当該特別変動入賞装置42に入賞した遊技球を検出し、入賞した遊技球の数を監視する。
次に、遊技制御装置500は、特図ゲーム処理タイマが既にタイムアップしているか、又は、特図ゲーム処理タイマを更新(−1)した結果、当該特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたか否かをチェックする(S1003)。なお、特図ゲーム処理タイマは、後述する特図ゲーム処理番号に応じて分岐させる各処理(S1009〜S1015)を実行するときに初期値がセットされ、S1003の処理で当該特図ゲーム処理タイマの値を1減じる。この初期値としてセットされる値は、当該特図ゲーム処理番号に応じた処理を終了させるまでの時間値であり、例えば特図普段処理(S1009;特図ゲーム処理番号「0」)においてセットされる値は、特図変動表示ゲームにおいて特別図柄が変動表示されている時間値がセットされる。そして、特図ゲーム処理タイマの値が0になると、タイムアップしたと判断される。
特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない場合には(S1004の結果が「N」)、遊技制御装置500は、S1016以降の処理を実行する。
一方、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした場合には(S1004の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する(S1005)。その後、遊技制御装置500は、当該テーブルに基づいて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する(S1006)。そして、遊技制御装置500は、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させ(S1007)、ゲーム処理番号に応じて処理を分岐させる(S1008)。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「0」の場合には(S1008の結果が「0」)、特図普段処理を実行する(S1009)。特図普段処理は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定、特図変動中処理を実行するために必要な情報の設定等を行う。なお、特図普段処理の詳細については、図21を参照して後述する。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「1」の場合には(S1008の結果が「1」)、特図変動中処理を実行する(S1010)。特図変動中処理は、特図変動表示ゲームにおける識別情報の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「2」の場合には(S1008の結果が「2」)、特図表示中処理を実行する(S1011)。特図表示中処理は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間を設定したり、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「3」の場合には(S1008の結果が「3」)、ファンファーレ/インターバル中処理を実行する(S1012)。ファンファーレ/インターバル中処理は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「4」の場合には(S1008の結果が「4」)、大入賞口開放中処理を実行する(S1013)。大入賞口開放中処理は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定したり、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報を設定したりする。
また、大入賞口開放中処理は、特図変動表示ゲームの結果が特別結果になった場合に大入賞口の開放時間に基づいて特別変動入賞装置42の開閉扉42aを開放して遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態を発生させるものであるため、遊技制御装置500が特別遊技状態制御手段をなす。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「5」の場合には(S1008の結果が「5」)、大入賞口残存球処理を実行する(S1014)。大入賞口残存球処理は、大当りラウンドが最終ラウンドの場合に大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定したり、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
大入賞口残存球処理では、特別図柄の処理タイマの更新とファンファーレ/インターバル中処理、又は大当り終了処理を行うために必要な情報を設定する。また、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数(所定数)だけ入賞したかを判定し、いずれかの条件が成立した場合に開閉扉42aを閉鎖する。これが所定ラウンド数繰り返し実行された後、特図ゲーム処理番号を6に設定する。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「6」の場合には(S1008の結果が「6」)、大当り終了処理を実行する(S1015)。大当り終了処理は、S1009の特図普段処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
その後、遊技制御装置500は、一括表示装置50の特図1表示器における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備し(S1016)、特図1表示器に係る図柄変動制御処理を実行する(S1017)。
そして、遊技制御装置500は、一括表示装置50の特図2表示器における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備し(S1018)、特図2表示器に係る図柄変動制御処理を実行して(S1019)、特図ゲーム処理を終了する。
〔始動口スイッチ監視処理〕
図17を参照して、図16の特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理(S1001)の詳細について説明する。図17は、遊技制御装置500によって実行される始動口スイッチ監視処理のフローチャートである。
始動口スイッチ監視処理が開始されると、遊技制御装置500は、まず、第1始動入賞口37に遊技球が入賞したことによる保留の情報を設定するテーブルを準備する(S1101)。
続いて、遊技制御装置500は、第1始動入賞口37又は第2始動入賞口に遊技球が入賞した場合に共通して実行される特図始動口スイッチ共通処理を実行する(S1102)。なお、特図始動口スイッチ共通処理の詳細については、図18を参照して後述する。
次に、遊技制御装置500は、普通電動役物(始動入賞装置38の可動部材38a)が作動中であるか否か、すなわち可動部材38aが遊技球の入賞が可能な開状態となっているか否かをチェックする(S1103)。普通電動役物が作動中である場合には(S1103の結果が「Y」)、遊技制御装置500はS1106以降の処理を実行する。
一方、普通電動役物が作動中でない場合には(S1103の結果が「N」)、遊技制御装置500は、第2始動入賞口への不正入賞数が不正発生判定個数以上であるかをチェックし(S1104)、不正入賞数が不正発生判定個数以上であるか否かを判定する(S1105)。
不正入賞について具体的に説明すると、第2始動入賞口は、可動部材38aが閉状態の場合には遊技球が入賞不可能であり、開状態でのみ遊技球が入賞可能である。よって、閉状態で遊技球が入賞した場合には何らかの異常や不正が発生した可能性が高く、閉状態で入賞した遊技球があった場合はその数を不正入賞数として計数している。S1104及びS1105の処理では、遊技制御装置500は、このように計数された不正入賞数が所定の不正発生判定個数(上限値)以上であるかを判定する。
不正入賞数が不正判定個数以上の場合には(S1105の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、第2始動入賞口への遊技球の入賞を無効として特図変動表示ゲームに関する処理を実行せずに始動口スイッチ監視処理を終了する。
一方、不正入賞数が不正判定個数未満の場合には(S1105の結果が「N」)、遊技制御装置500は、第2始動入賞口による保留の情報を設定するテーブルを準備し(S1106)、特図始動口スイッチ共通処理を実行して(S1007)、始動口スイッチ監視処理を終了する。
〔特図始動口スイッチ共通処理〕
図18を参照して、図17の始動口スイッチ監視処理における特図始動口スイッチ共通処理(S1102及びS1107)の詳細について説明する。図18は、遊技制御装置500によって実行される特図始動口スイッチ共通処理のフローチャートである。
特図始動口スイッチ共通処理は、第1始動入賞口37や第2始動入賞口に遊技球が入賞したことによって始動口1スイッチ37dや始動口2スイッチ38dから信号入力があった場合に共通して実行される処理である。
遊技制御装置500は、まず、始動口1スイッチ37d及び始動口2スイッチ38dのうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば始動口1スイッチ37d)から信号が入力されたか否かをチェックする(S1201、S1202)。対象の始動口スイッチから信号が入力されていない場合には(S1202の結果が「N」)、遊技制御装置500は特図始動口スイッチ共通処理を終了する。
一方、対象の始動口スイッチから信号が入力された場合には(S1202の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、当該対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグをRWMの所定の領域にセーブする(S1203)。そして、遊技制御装置500は、対象始動口スイッチに対応するハード乱数ラッチレジスタに抽出された大当り乱数をロードし、以降の処理で使用するための準備を行う(S1204)。
続いて、遊技制御装置500は、対象の始動口スイッチに対応する始動入賞口への入賞の回数に関する情報、すなわち遊技機1の外部の管理装置に対して出力された回数(始動口信号出力回数)をロードして、ロードした値に1加算して更新し、始動口信号出力回数がオーバーフローするか否かをチェックする(S1205、S1206)。
そして、遊技制御装置500は、始動口信号出力回数がオーバーフローしない場合には(S1206の結果が「N」)、更新後の始動口信号出力回数の値をRWMの始動口信号出力回数領域にセーブする(S1207)。
遊技制御装置500は、S1207の処理が終了した後、又は始動口信号出力回数がオーバーフローする場合には(S1206の結果が「Y」)、対象の始動口スイッチに対応する更新対象の特図保留(始動記憶)数が上限値未満か否かをチェックする(S1208、S1209)。
遊技制御装置500は、特図保留数が上限値未満の場合には(S1209の結果が「Y」)、始動口スイッチによって検出された入賞に対応する情報を設定する。遊技制御装置500は、更新対象の特図保留数(例えば、特図1保留数)を1加算して更新する(S1210)。
続いて、遊技制御装置500は、飾り特図保留数コマンドを準備する。飾り特図保留数コマンドは、MODE部とACTION部によって構成される。具体的に説明すると、遊技制御装置500は、まず対象の始動口スイッチの飾り特図保留数コマンド(MODE)を準備し(S1211)、特図保留数に対応する飾り特図保留数コマンド(ACTION)を準備する(S1212)。そして、遊技制御装置500は、準備された飾り特図保留数コマンドを設定するためのコマンド設定処理を実行し(S1213)、更新された特図保留数に対応する乱数セーブ領域のアドレスを算出する(S1214)。
次に、遊技制御装置500は、大当り乱数をRWMの対象の乱数セーブ領域にセーブし(S1215)、対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数を抽出して、RWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1216)。続いて、遊技制御装置500は、対応する変動パターン乱数1を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1217)。その後、遊技制御装置500は、対応する変動パターン乱数2を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブし(S1218)、対応する変動パターン乱数3を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1219)。変動パターン乱数1〜3は、例えば、前半と後半の変動パターンを個別に設定したり、特定の演出を実行したりするために用いられる。
本実施形態において、大当り乱数は、始動口1スイッチ37d及び始動口2スイッチ38dのどちらの始動口スイッチが遊技球の入賞を検出しても同じ手順で抽出される。すなわち、第1始動入賞口37から入賞した場合であっても、第2始動入賞口から入賞した場合であっても、入賞した遊技球が大当りとなる乱数は同じである。なお、始動入賞口毎に大当り乱数を設定してもよい。
ここで、特図変動表示ゲームにおける変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数(変動パターン1〜3)は、大当り図柄乱数のように乱数生成回路のソフトウェアによって更新されるものとは異なり、遊技制御用プログラムによって更新されるものである。なお、変動パターン乱数の更新は遊技制御用プログラムによって更新することに限らず、乱数生成回路のハードウェア又はソフトウェアで更新するようにしてもよい。
S1219の処理後、遊技制御装置500は、対応する転落抽選乱数を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1220)。転落抽選は遊技状態が高確率状態であるときに実行されるが、S1220の処理は遊技状態に関係なく毎回実行される。
S1220の処理後、遊技制御装置500は、S1216の処理でRWMにセーブされた対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数をロードし、ロードした値を後述する特図保留情報判定処理にて使用するために準備する(S1221)。そして、遊技制御装置500は、特図保留情報判定処理を実行し(S1222)、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。なお、特図保留情報判定処理については、図19を参照して後述する。
ところで、特図保留数が上限値未満でない場合には(S1209の結果が「N」)、遊技制御装置500は、対象の始動口スイッチが始動口1スイッチ37dであるか否かをチェックする(S1230、S1231)。対象が始動口1スイッチ37dでない場合には(S1231の結果が「N」)、遊技制御装置500は飾り特図保留数コマンド(オーバーフローコマンド)を準備し(S1232)、コマンド設定処理を実行する(S1233)。
一方、対象が始動口1スイッチ37dである場合(S1231の結果が「Y」)、又は、S1233のコマンド設定処理が終了した場合には、遊技制御装置500は特図始動口スイッチ共通処理を終了する。
〔特図保留情報判定処理〕
図19を参照して、図18の特図始動口スイッチ共通処理における特図保留情報判定処理(S1223)の詳細について説明する。図19は、遊技制御装置500によって実行される特図保留情報判定処理のフローチャートである。
特図保留情報判定処理は、各始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である。
遊技制御装置500は、まず、特図始動口スイッチ共通処理における監視対象の始動口スイッチが始動口2スイッチ38dであるか否かをチェックする(S1301)。監視対象が始動口2スイッチ38dでない場合には(S1302の結果が「N」)、遊技制御装置500は、普通電動役物(第2始動入賞口に備えられた可動部材38a)の開放延長機能が作動中、すなわち普電サポート中であるか否かを判定する(S1303)。
遊技制御装置500は、普電サポート中でない場合には(S1303の結果が「N」)、遊技機1が大当り中(特別遊技状態)であるか否かを判定する(S1304)。そして、遊技機1が大当り中でない場合には(S1304の結果が「N」)、遊技制御装置500は、転落判定処理を実行する(S1305)。転落判定処理では、遊技制御装置500は、保留中の始動記憶に含まれる転落抽選乱数値が転落当選範囲にあるか否かを判定する。なお、転落判定処理の詳細については、図20を参照して後述する。
S1305の処理後、遊技制御装置500は、転落抽選に当選したという転落情報があるか否かを判定する(S1306)。転落情報がない場合には(S1306の結果が「N」)、遊技制御装置500は、保留中の始動記憶が大当りであるか否かを判定する大当り判定処理を実行する(S1307)。大当り判定処理では、遊技制御装置500は、保留中の始動記憶に含まれる大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かを判定することによって、当該始動記憶にかかる変動表示ゲームの結果が大当りであるか否かを判定する。
一方、遊技制御装置500は、普電サポート中の場合(S1303の結果が「Y」)、大当り中の場合(S1304の結果が「Y」)、又は、転落情報がある場合には(S2306の結果が「Y」)、特図保留情報判定処理を終了する。すなわち、監視対象の始動口スイッチが始動口1スイッチ37dであって、かつ、普電サポート中又は大当り中の場合には、当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定する先読み処理を実行しないように構成される。また、先読み処理に進んでも、転落判定処理において転落抽選に当選した場合には、大当り判定処理以降の処理を実行しないように構成される。本実施形態では、遊技制御装置500は、S1305の処理実行時の始動記憶に対して転落判定処理を実行しているが、これに限らず、保留中の始動記憶に転落抽選に当選した始動記憶がある場合は、当該始動記憶が消化されるまでS1305及びS1306の処理を実行しないようにしてもよい。すなわち、転落抽選に当選した始動記憶以降に保留される始動記憶に対しては、最大で4回の変動表示ゲームが終了するまで、転落判定処理を実行しないように構成される。
また、遊技制御装置500は、監視対象が始動口2スイッチ38dの場合には(S1302の結果が「Y」)、転落判定処理を実行する(S1305)。すなわち、監視対象の始動口スイッチが始動口2スイッチ38dの場合には、普電サポート中又は大当り中であるか否かにかかわらず、当該始動記憶に対応した先読み処理を実行する。
その後、遊技制御装置500は、S1307の大当り判定処理の判定結果が大当りであるか否かを判定する(S1308)。大当り判定処理の判定結果が大当りでない場合には(S1308の結果が「N」)、遊技制御装置500は、演出内容を選択するためのテーブルとしてはずれ情報テーブルを設定し(S1316)、S1317以降の処理を実行する。
一方、大当り判定処理の判定結果が大当りの場合には(S1308の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、監視対象の始動口スイッチが始動口1スイッチ37dであるか否かをチェックする(S1309、S1310)。
監視対象の始動口スイッチが始動口1スイッチ37dでない場合には(S1310の結果が「N」)、遊技制御装置500は、大当り図柄乱数チェックテーブル2を大当り時の識別図柄を特定するためのテーブルとして準備する(S1311)。これに対して、監視対象の始動口スイッチが始動口1スイッチ37dである場合には(S1310の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、大当り図柄乱数チェックテーブル1を大当り時の識別図柄を特定するためのテーブルとして準備する(S1312)。
遊技制御装置500は、大当り図柄乱数をチェックして、大当り図柄乱数に対応する入賞情報ポインタを取得し(S1313)、大当り情報テーブルのアドレステーブルを設定する(S1314)。そして、遊技制御装置500は、入賞情報ポインタに対応する大当り情報テーブルを取得して設定する(S1315)。
続いて、遊技制御装置500は、S1315又はS1316の処理で設定した情報テーブルから図柄情報を取得し(S1317)、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S1318)。
そして、遊技制御装置500は、設定した情報テーブルから始動口入賞演出図柄コマンドを取得し(S1319)、当該始動口入賞演出図柄コマンドをRWMの入賞演出図柄コマンド領域にセーブする(S1320)。
次に、遊技制御装置500は、監視対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグを準備し(S1321)、始動口入賞演出コマンドを設定する対象のテーブルを準備する(S1322)。
その後、遊技制御装置500は、監視対象の始動口に関して設定された特図情報を設定するための特図情報設定処理を実行する(S1323)。続いて、特図変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理を実行した後(S1324)、特図変動表示ゲームの前半変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S1325)。
後半変動パターン設定処理(S1324)及び変動パターン設定処理(S1325)は、識別情報の変動態様を示す複数の変動パターンから一つの変動パターンを選択する処理であり、特図変動表示ゲームはこれらの処理によって選択された変動パターンに基づいて実行される。
そして、遊技制御装置500は、前半変動番号に対応する変動(始動口入賞演出)コマンド(MODE)を算出して準備し(S1326)、後半変動番号の値を変動コマンド(ACTION)として準備し(S1327)、コマンド設定処理を実行する(S1328)。
その後、遊技制御装置500は、入賞演出図柄コマンド領域から始動口入賞演出図柄コマンドをロードして準備し(S1329)、コマンド設定処理を実行して(S1330)、特図保留情報判定処理を終了する。
すなわち、S1325及びS1327の処理で始動口入賞演出コマンドを準備し、さらに、S1329の処理で始動口入賞演出図柄コマンドを準備して、始動記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置550に対して通知することが可能になっている。演出制御装置550は、表示装置48に表示されている保留表示の表示態様を変化させる等して、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する。
〔転落判定処理〕
図20を参照して、図19の特図保留情報判定処理における転落判定処理(S1305)の詳細について説明する。図19は、遊技制御装置500によって実行される転落判定処理のフローチャートである。
遊技制御装置500は、まず、大当りの確率状態が高確率状態(確変状態)であるか否かを判定する(S1401)。高確率状態でない場合は(S1401の結果が「N」)、遊技制御装置500は転落判定処理を終了する。
一方、高確率状態である場合は(S1401の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、S1402以降の処理で転落当選を判定する。
ここで、遊技制御装置500は、S1220においてRWMの乱数セーブ領域にセーブした転落抽選乱数値が、転落当選判定値と一致するか否かを判定する。本実施形態では、転落当選判定値として連続する複数の値が設定され、転落当選範囲が設けられている。本実施形態では、転落当選の確率は1/70である。
遊技制御装置500は、まず、転落抽選乱数値と比較する転落当選範囲の下限値、すなわち転落当選判定値の下限判定値をRWMに設定する(S1402)。その後、遊技制御装置500は、転落抽選乱数値が下限判定値未満であるか否かをチェックして(S1403、S1404)、転落抽選乱数値が下限判定値未満である場合は(S1404の結果が「Y」)、転落判定処理を終了する。
転落抽選乱数値が下限判定値以上である場合は(S1404の結果が「N」)、遊技制御装置500は、転落当選範囲の上限値、すなわち転落当選判定値の上限判定値をRWMに設定して(S1405)、転落抽選乱数値が上限値以下であるか否かをチェックする(S1406、S1407)。
転落抽選乱数値が上限値より大きい場合は(S1407の結果が「N」)、遊技制御装置500は転落判定処理を終了する。
一方、転落抽選乱数値が上限値以下である場合は(S1407の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、転落抽選に当選したと判定して、転落情報をRWMの作業用の設定情報領域にセーブする(S1408)。
S1408の処理後、遊技制御装置500は、当選した転落抽選乱数を記憶する始動記憶に対応して転落情報コマンドを準備し(S1409)、コマンド設定処理を実行して(S1410)、転落判定処理を終了する。
〔特図普段処理〕
次に図21を参照して、図16の特図ゲーム処理における特図普段処理(S1009)の詳細について説明する。図21は、遊技制御装置500によって実行される特図普段処理のフローチャートである。
遊技制御装置500は、まず、特図2保留数(特図2始動記憶数)が0であるか否かをチェックする(S1501、S1502)。
遊技制御装置500は、特図2保留数が0の場合には(S1502の結果が「Y」)、特図1保留数(特図1始動記憶数)が0であるか否かをチェックする(S1503、S1504)。このように、特図2保留数のチェック(S1501)を、特図1保留数のチェック(S1503)よりも先に行うことによって、特図1変動表示ゲームよりも遊技者にとって有利な特図2変動表示ゲームを優先して実行するようにしている。
さらに、遊技制御装置500は、特図1保留数が0の場合には(S1504の結果が「Y」)、既に客待ちデモが開始されているか否かをチェックする(S1505、S1506)。客待ちデモを開始していない、すなわち開始済みでない場合には(S1506の結果が「N」)、遊技制御装置500は、客待ちデモフラグ領域に客待ちデモ中フラグを設定する(S1507)。その後、遊技制御装置500は、客待ちデモコマンドを準備し(S1508)、コマンド設定処理を実行する(S1509)。
一方、既に客待ちデモが開始されている場合には(S1506の結果が「Y」)、既に客待ちデモフラグ領域に客待ちデモ中フラグが設定済みであり、客待ちデモコマンドが演出制御装置550に送信済みであるため、遊技制御装置500は、S1510の処理を実行する。
遊技制御装置500は、特図普段処理に移行するためのテーブルを準備する特図普段処理移行設定処理1を実行する(S1510)。遊技制御装置500は、当該テーブルに、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を実行し、その後、特図普段処理を終了する。
一方、特図2保留数が0でない場合(S1502の結果が「N」)、すなわち第2始動入賞口に遊技球が入賞したことによる特図2変動表示ゲームが実行される場合には、遊技制御装置500は特図2変動開始処理1を実行する(S1511)。なお、S1511における特図2変動開始処理1の詳細については、図23を参照して後述する。
S1511の処理後、遊技制御装置500は、特図変動中処理に移行するためのテーブル(第2特図用)を準備する特図変動中処理移行設定処理(特図2)を実行する(S1512)。遊技制御装置500は、当該テーブルに、特図変動中処理に係る特図ゲーム処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第2特図の変動中に係る試験信号、特図2表示器における特図2変動表示ゲームの制御用の情報(特図2表示器の変動中に係るフラグ、特図2表示器の点滅の周期のタイマの初期値等)を設定する処理を実行し、その後、特図普段処理を終了する。
また、特図1保留数が0でない場合(S1504の結果が「N」)、すなわち第1始動入賞口37に遊技球が入賞したことによる特図1変動表示ゲームが実行される場合には、遊技制御装置500は特図1変動開始処理1を実行する(S1513)。なお、S1513における特図1変動開始処理1の詳細については、図22を参照して後述する。
そして、遊技制御装置500は、特図変動中処理に移行するためのテーブル(第1特図用)を準備する特図変動中処理移行設定処理(特図1)を実行する(S1514)。遊技制御装置500は、当該テーブルに、特図変動中処理に係る特図ゲーム処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第1特図の変動中に係る試験信号、特図1表示器における特図1変動表示ゲームの制御用の情報(特図1表示器の変動中に係るフラグ、特図1表示器の点滅の周期のタイマの初期値等)を設定し、その後、特図普段処理を終了する。
〔特図変動開始処理1〕
図22及び図23を参照して、図21の特図普段処理における特図1変動開始処理1(S1513)及び特図2変動開始処理1(S1511)の詳細について説明する。図22は遊技制御装置500によって実行される特図1変動開始処理1のフローチャートであり、図23は遊技制御装置500によって実行される特図2変動開始処理1のフローチャートである。
図22の特図1変動開始処理1は、特図1変動表示ゲームの開始時に実行される
遊技制御装置500は、まず転落抽選処理を実行する(S1601a)。図20の転落判定処理は、始動記憶に対する先読み処理の一つであるので、当該始動記憶で転落するか否かを判定するのみである。転落抽選処理では、高確率状態から低確率状態に実際に転落させるための処理を実行する。なお、転落抽選処理の詳細については、図24を参照して後述する。
次に、遊技制御装置500は、特図1変動表示ゲームが大当りであるか否かを判定するための大当りフラグ1に、はずれ情報又は大当り情報を設定する大当りフラグ1設定処理を実行する(S1602a)。
その後、遊技制御装置500は、特図1変動表示ゲームが小当りであるか否かを判定するための小当りフラグ1に、はずれ情報又は小当り情報を設定する小当りフラグ1設定処理を実行する(S1603a)。なお、小当りフラグ1設定処理の詳細については、図26を参照して後述する。
ここで、大当りと小当りとの違いについて説明する。
大当りとは条件装置の作動を伴う特別結果であり、小当りとは条件装置の作動を伴わない特別結果である。条件装置とは、特図変動表示ゲームで大当りが発生(大当り図柄の停止表示)した場合に作動するもので、条件装置が作動するとは、例えば大当り状態が発生して特別電動役物としての特別変動入賞装置42を連続して作動させるための特定のフラグがセットされることを意味する。条件装置が作動しないとは、例えば小当り抽選に当選した場合のように上述のフラグがセットされないことを意味する。なお、「条件装置」は、上記のようなソフトウェア的にオンオフされるフラグのようなソフトウェア手段であってもよいし、電気的にオンオフされるスイッチのようなハードウェア手段であってもよい。また、「条件装置」は、その作動が電動役物の連続作動に必要条件とされる装置として、パチンコ遊技機の分野においては一般的に使用されている用語であり、本明細書においても同様の意味を有する用語として使用している。
そして、大当りの場合には大当りフラグが設定されることにより特別変動入賞装置42が開放されるのに対して、小当りの場合には小当りフラグが設定されることにより特別変動入賞装置42が開放される。
S1603aの処理後、遊技制御装置500は、特図1変動表示ゲームにおける停止図柄(特図1停止図柄)を設定する特図1停止図柄設定処理を実行する(S1604a)。
その後、遊技制御装置500は、第1特図停止図柄番号(特図1停止図柄)に対応する試験信号をセーブする(S1605a)。続いて、遊技制御装置500は、図柄情報領域から設定された図柄情報をロードした後(S1606a)、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S1607a)。
そして、遊技制御装置500は、特図1変動フラグ(変動中フラグ)をロードして準備し(S1608a)、特図1変動フラグをRWMの特図変動フラグ領域にセーブする(S1609a)。
続いて、遊技制御装置500は、特図後半変動の設定に係るテーブルを準備し(S1610a)、特図情報を設定する特図情報設定処理を実行する(S1611a)。遊技制御装置500は、特図1変動表示ゲームにおける変動態様のうち後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理を実行し(S1612a)、前半変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S1613a)。
S1613aの処理後、遊技制御装置500は、特図1変動表示ゲームを開始するための情報を設定する変動開始情報設定処理を実行し(S1614a)、特図1変動開始処理1を終了する。
なお、図23の特図2変動表示ゲームの開始時に実行される特図2変動開始処理1(図21のS1511)についても、図22の特図1変動開始処理1と同様の手順で実行される。図23のS1601b〜S1614bの処理は図22のS1601a〜S1614aの処理に対応して、S1602b及びS1603bの処理でフラグ2が処理対象となり、S1604b及びS1605bの処理で特図2停止図柄が処理対象となり、S1608b及びS1609bの処理で特図2変動フラグが処理対象となる。
〔転落抽選処理〕
図24を参照して、図22及び図23の特図1及び特図2変動開始処理1における転落抽選処理(S1601a及びS1601b)の詳細について説明する。図24は、遊技制御装置500によって実行される転落抽選処理のフローチャートである。
遊技制御装置500は、遊技制御装置500は、図18のS1220においてRWMの乱数セーブ領域にセーブした転落抽選乱数をロードし、以降の処理で使用するための準備を行う(S1701)。
S1702〜S1708の処理は、図20の転落判定処理のS1401〜S1407の処理と同様である。転落判定処理では、まだ対象の始動記憶は保留状態であるので、転落抽選に当選したか否かを判定するのみで、当選しても実際に転落を実行しない。転落抽選処理では、対象の始動記憶の特図変動表示ゲームが開始される際に再び転落抽選に当選したか否かを判定し、当選したら実際に転落を実行するための処理を実行する。
S1701の処理後、遊技制御装置500は、大当りの確率状態が高確率状態であるか否かを判定する(S1702)。
高確率状態でない場合は(S1702の結果が「N」)、遊技制御装置500は、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S1710)、転落抽選処理を終了する。
一方、高確率状態である場合は(S1702の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、転落当選判定値の下限判定値をRWMに設定し(S1703)、転落抽選乱数値が下限判定値未満であるか否かをチェックする(S1704)。そして、転落抽選乱数値が下限判定値未満である場合は(S1705の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S1710)、転落抽選処理を終了する。
転落抽選乱数値が下限判定値以上である場合は(S1705の結果が「N」)、遊技制御装置500は、転落当選判定値の上限判定値をRWMに設定して(S1706)、転落抽選乱数値が上限値以下であるか否かをチェックする(S1707)。そして、転落抽選乱数値が上限値より大きい場合は(S1708の結果が「N」)、遊技制御装置500は、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S1710)、転落抽選処理を終了する。
一方、転落抽選乱数値が上限値以下である場合は(S1708の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、転落抽選に当選したと判定して、転落時情報設定処理を実行する(S1709)。なお、転落時情報設定処理についての詳細は、図25を参照して後述する。
S1709の処理後、遊技制御装置500は、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S1710)、転落抽選処理を終了する。
〔転落時情報設定処理〕
図25を参照して、図24の転落抽選処理における転落時情報設定処理(S1709)の詳細について説明する。図25は、遊技制御装置500によって実行される転落時情報設定処理のフローチャートである。
遊技制御装置500は、まず、RWMの遊技状態表示番号領域に低確率状態を示す番号をセーブする(S1801)。
その後、遊技制御装置500は、RWMの特図ゲームモードフラグ領域に特図低確率フラグをセーブし(S1802)、停電復旧後に停電前の遊技状態に復旧できるようにRWMの停電復旧時送信コマンド領域に低確率状態である確率情報コマンドをセーブする(S1803)。
S1803の処理後、遊技制御装置500は、低確率状態である確率情報コマンドを演出制御装置550に送信するためにコマンド設定処理を実行して(S1804)、転落時情報設定処理を終了する。
〔小当りフラグ設定処理〕
図26及び図27を参照して、特図1及び特図2変動開始処理(図22及び図23)における小当りフラグ設定処理(S1603a、S1603b)の詳細について説明する。図26は遊技制御装置500によって実行される小当りフラグ1設定処理のフローチャートであり、図27は遊技制御装置500によって実行される小当りフラグ2設定処理のフローチャートである。
図26を参照して、特図1変動開始処理1で実行される小当りフラグ1設定処理について説明する。
遊技制御装置500は、まず、RWMの小当りフラグ1領域にはずれ情報をセーブする(S1901a)。その後、遊技制御装置500は、小当り1フラグ設定処理の前に実行されるS1602aの大当り1フラグ設定処理の結果、大当りフラグ1が大当りか否かをチェックする(S1902a、S1903a)。
大当りである場合には(S1903aの結果が「Y」)、遊技制御装置500は、小当りフラグ1ははずれ情報を保持した状態で、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域を0クリアして(S1911a)、小当りフラグ1設定処理を終了する。
一方、大当りでない場合には(S1903aの結果が「N」)、遊技制御装置500は、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域から大当り乱数をロードして、準備する(S1904a)。
本実施形態では、小当り判定に用いる小当り乱数は、大当り判定に用いる大当り乱数を併用する。なお、大当り乱数とは別に小当り乱数を設定してもよい。また、小当りとなる確率は、大当りとなる確率よりも大きく設定され、例えば、大当り確率が1/399に対して、小当り確率は1/100とする。
S1904aの処理後、遊技制御装置500は、特図1判定データを準備して(S1905a)、小当り乱数値、すなわち大当り乱数値が小当り判定値と一致するか否かを判定する小当り判定処理を実行する(S1906a、1907a)。
判定結果が小当りにならない場合は(S1907aの結果が「N」)、遊技制御装置500は、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域を0クリアして(S1911a)、小当りフラグ1設定処理を終了する。
一方、判定結果が小当りになる場合は(S1907aの結果が「Y」)、遊技制御装置500は、小当りフラグ1領域のはずれ情報を小当り情報に置き換えてセーブする(S1908a)。
続いて、遊技制御装置500は、図22のS1601aの転落抽選処理の結果、転落抽選に当選して遊技状態が高確率状態から低確率状態に転落するか否かを判定し(S1909a)、転落しない場合には(S1909の結果が「N」)RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域を0クリアして(S1911a)、小当りフラグ1設定処理を終了する。
一方、転落する場合には(S1909の結果が「Y」)、遊技制御装置500は、確率状態を報知する確率状態報知設定処理を実行して(S1910a)、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域を0クリアした後(S1911a)、小当りフラグ1設定処理を終了する。
なお、図27の小当りフラグ2設定処理についても、図26の小当りフラグ1設定処理と同様の手順で実行される。具体的には、図27のS1901b〜S1911bの処理は図26のS1901a〜S1911aの処理に対応して、S1901b及びS1908bの処理で小当りフラグ2が処理対象となり、S1902bの処理で大当りフラグ2が処理対象となる。また、S1904b及びS1911bの処理で特図2用の大当り乱数セーブ領域が用いられ、S1905bの処理で特図2判定データが用いられる。
また、小当りフラグ1に対応するS1906aの小当り判定処理と、小当りフラグ2に対応するS1906bの小当り判定処理とでは、小当りとなる確率を変えてもよいし、同じにしてもよい。例えば、特図1変動表示ゲームにおいて小当りとなる確率を1/100と設定して、特図2変動表示ゲームにおいて小当りとなる確率を1/200と設定する。
以下では、図28〜図34を参照して、演出制御装置550によって実行される各種処理について説明する。
〔確率状態報知処理〕
図28は、演出制御装置550によって実行される確率状態報知処理のフローチャートである。確率状態報知処理は、遊技制御装置500によって特図変動開始処理1(S1511、S1513)が実行された後に、演出制御装置550によって実行される。
演出制御装置550は、まず、遊技制御装置500から出力された確率状態報知データを受信しているか否かを判定する(S2001)。確率状態報知データは、図26のS1910a又は図27のS1910bの処理において設定されるデータである。
確率状態報知データを受信していない場合には(S2001の結果が「N」)、演出制御装置550は、確率状態報知処理を終了する。これに対して、確率状態報知データを受信している場合には(S2001の結果が「Y」)、演出制御装置550は、特図変動表示ゲーム終了後に現在の確率状態を表示装置48に表示し(S2002)、確率状態報知処理を終了する。
〔第1演出表示選択変更処理〕
図29は、演出制御装置550によって実行される第1演出表示選択変更処理のフローチャートである。第1演出表示選択変更処理は、飾り特図変動表示ゲームにおける遊技演出の演出表示パターンの変更を許可又は禁止する処理である。
演出制御装置550は、まず、飾り特図変動表示ゲームが開始されたか否かを判定する(S2101)。飾り特図変動表示ゲームが開始されていない場合には(S2101の結果が「N」)、演出制御装置550はS2101の処理を再度実行する。これに対して、飾り特図変動表示ゲームが開始された場合には(S2101の結果が「Y」)、演出制御装置550は特図始動記憶数(特図1始動記憶数又は特図2始動記憶数)が3未満であるか否かを判定する(S2102)。
特図始動記憶数が0〜2の場合には(S2102の結果が「Y」)、演出制御装置550は第1タイマTM1をセットする(S2103)。演出制御装置550は、飾り特図変動表示ゲームが開始してから3つの識別情報(第1〜第3図柄)の変動表示が停止するまでの時間を第1タイマTM1として設定する。なお、飾り特図変動表示ゲームがリーチ状態となる場合には、飾り特図変動表示ゲームが開始してからリーチ状態となるまで(2つの識別情報の変動表示が停止するまで)の時間が第1タイマTM1として設定される。
一方、特図始動記憶数が3又は4の場合には(S2102の結果が「N」)、演出制御装置550は、第2タイマTM2をセットする(S2104)。演出制御装置550は、飾り特図変動表示ゲームが開始してから3つの識別情報(第1〜第3図柄)の変動表示が停止するまでの時間を第2タイマTM2として設定する。飾り特図変動表示ゲームがリーチ状態となる場合には、飾り特図変動表示ゲームが開始してからリーチ状態となるまで(2つの識別情報の変動表示が終了するまで)の時間が第2タイマTM2として設定される。特図始動記憶数が3又は4の場合には、飾り特図変動表示ゲームの実行時間が通常時(特図始動記憶数が0〜2の場合)よりも短縮され、飾り特図変動表示ゲーム開始後から全ての識別情報の変動表示が停止するまでの時間等も短くなるので、第2タイマTM2には第1タイマTM1よりも短い時間がセットされることになる。
S2103又はS2104の処理後、演出制御装置550は、飾り特図変動表示ゲームが開始し、3つの識別情報が停止している状態からそれら識別情報の全てが変動を開始する状態までの時間を、第1無効時間として設定する。したがって、第1無効時間は、第1タイマTM1及び第2タイマTM2より短い時間となる。演出制御装置550は、第1無効時間中はボタン装置60の規制部61を駆動して演出ボタン31をロック(下部ロック又は上部ロック)し、演出ボタン31による入力操作を規制する。これにより、第1無効時間中における演出表示パターンの切り替えが禁止される。なお、演出制御装置550は、第1無効時間中、演出ボタン31をロックするのではなく、演出ボタン31からの入力操作信号を受け付けないようにしてもよい。
S2105の処理後、演出制御装置550は、第1タイマTM1又は第2タイマTM2がタイムアップしたか否かを判定する(S2106)。演出制御装置550は、第1タイマTM1又は第2タイマTM2がタイムアップしていない場合にはタイムアップするまでS2106の処理を繰り返し、第1タイマTM1又は第2タイマTM2がタイムアップした場合には第1タイマTM1又は第2タイマTM2をリセットする(S2107)。第1無効時間経過後から第1タイマTM1又は第2タイマTM2がタイムアップするまでは、演出ボタン31はロックされておらず、演出ボタン31の入力操作に基づく演出表示パターンの切り替えが可能な有効時間となる。
S2107の処理後、演出制御装置550は、第1タイマTM1又は第2タイマTM2の経過後から飾り特図変動表示ゲームの終了までの時間を第2無効時間として設定する(S2108)。演出制御装置550は、第2無効時間中はボタン装置60の規制部61を駆動して演出ボタン31をロックし、演出ボタン31による入力操作を規制する。これにより、第2無効時間中における演出表示パターンの切り替えが禁止される。なお、演出制御装置550は、第2無効時間中、演出ボタン31をロックするのではなく、演出ボタン31からの入力操作信号を受け付けないようにしてもよい。
その後、演出制御装置550は、飾り特図変動表示ゲームが終了したか否かを判定する(S2109)。飾り特図変動表示ゲームが終了していない場合には(S2109の結果が「N」)、演出制御装置550はS2109の処理を再度実行する。これに対して、飾り特図変動表示ゲームが終了した場合には(S2109の結果が「Y」)、演出制御装置550は始動記憶数が0であるか否かを判定する(S2111)。
始動記憶数が0でない場合には(S2110の結果が「N」)、演出制御装置550は第1演出表示選択変更処理を終了する。
一方、始動記憶数が0である場合には(S21110の結果が「Y」)、演出制御装置550は、表示装置48に客待ちデモ画面を表示して客待ちデモを実行するとともに、飾り特図変動表示ゲーム終了後から所定時間が経過したか否かを判定する(S2111)。ここでの所定時間は第3無効時間であり、演出制御装置550は、第3無効時間中はボタン装置60の規制部61を駆動して演出ボタン31をロックし、演出ボタン31による入力操作を規制する。これにより、第3無効時間中における演出表示パターンの切り替えが禁止される。なお、演出制御装置550は、第3無効時間中、演出ボタン31をロックするのではなく、演出ボタン31からの入力操作信号を受け付けないようにしてもよい。
飾り特図変動表示ゲーム終了後(客待ちデモ開始後)から第3無効時間を経過していない場合には(S2111の結果が「N」)、演出制御装置550は第3無効時間を経過するまでS2111の処理を繰り返す。これに対して、客待ちデモ開始後から第3無効時間を経過した場合には(S2111の結果が「Y」)、演出制御装置550は、第3無効時間経過後から客待ちデモ終了までの時間を、次回の飾り特図変動表示ゲームにおける遊技演出の演出表示パターンの切り替えが可能な有効時間とし(S2112)、第1演出表示選択変更処理を終了する。
〔第2演出表示選択変更処理〕
図30は、演出制御装置550によって実行される第2演出表示選択変更処理のフローチャートである。第2演出表示選択変更処理は、リーチ状態中に演出ボタン31の連続操作要求(連打要求)が発生した場合における演出表示パターンの変更を許可又は禁止する処理である。
演出制御装置550は、飾り特図変動表示ゲームのリーチ状態中に、演出ボタン31の連続操作要求があるか否かを判定する(S2201)。連続操作要求がない場合には(S2201の結果が「N」)、演出制御装置550は第2演出表示選択変更処理を終了する。これに対して、連続操作要求がある場合には(S2201の結果が「Y」)、演出制御装置550は、3つの識別情報(第1〜第3図柄)の変動表示が停止したか否かを判定する(S2202)。
全ての識別情報の変動表示が停止していない場合には(S2202の結果が「N」)、演出制御装置550は、第2演出表示選択変更処理を終了する。
一方、全ての識別情報の変動表示が停止している場合には(S2202の結果が「Y」)、演出制御装置550は、現在実施中の飾り特図変動表示ゲームにおいて、全ての識別情報の変動表示が停止してから特図変動表示ゲームが終了するまでの時間を、第2無効時間として設定する(S2203)。
その後、演出制御装置550は、次回行われる飾り特図変動表示ゲームの開始後からの所定時間を第1無効時間として設定し、第2演出表示選択変更処理を終了する(S2204)。S2204における第1無効時間は、図29のS2105における第1無効時間と同時間としてもよいし、それよりも若干長く設定してもよい。S2204で設定される第1無効時間を、図29のS2105で設定される第1無効時間よりも長く設定すれば、遊技者が次の飾り特図変動表示ゲーム開始直後まで演出ボタン31を連打した場合であっても、遊技者の意志に関係なく演出表示パターンが変更されるのをより確実に防止することができる。
上記した第1演出表示選択変更処理及び第2演出表示選択変更処理による無効時間(第1〜第3無効時間)の設定について、図31及び図32を参照して説明する。
図31は、連続して飾り特図変動表示ゲームが実行され、1回目の飾り特図変動表示ゲームがリーチ状態になった後にはずれ、続けて実施される2回目の飾り変動表示ゲームがリーチ状態にならずにはずれた場合の、無効時間の設定を例示したタイミングチャートである。
図31に示すように、1回目の飾り特図変動表示ゲームがリーチ状態となる場合には、2つ目の識別情報(第3図柄)の変動表示の停止後から飾り特図変動表示ゲームが終了するまでの時間が第2無効時間として設定される(図29のS2108)。1回目の飾り特図変動表示ゲームの終了して2回目の飾り特図変動表示ゲームが実行されると、2回目の飾り特図変動表示ゲーム開始時から全ての識別情報(第1〜第3図柄)が変動し始めるまでの時間が第1無効時間として設定される(図29のS2105又は図30のS2204)。そのため、1回目の飾り特図変動表示ゲームのリーチ状態中に遊技者が演出ボタン31を連続操作した場合であっても、2回目の飾り特図変動表示ゲーム開始後から第1無効時間が設定されているので、遊技者が意図しないタイミングで演出表示パターンが変更されることがない。
2回目の飾り特図変動表示ゲームにおいて第1無効時間の経過後は有効時間となり、この有効時間中は演出ボタン31に操作に基づく演出表示パターンの変更が可能になる。2回目の飾り特図変動表示ゲームはリーチ状態とならずに、はずれになるので、3つ目の識別情報(第2図柄)の変動表示が停止後から飾り特図変動表示ゲームが終了するまでの時間が第2無効時間として設定される(図29のS2108)。
なお、1回目の飾り特図変動表示ゲームのリーチ状態中に演出ボタン31の連続操作要求があった場合には、3つ目の識別情報(第2図柄)の変動表示が停止後から飾り特図変動表示ゲーム終了までが第2無効時間となる(図30のS2203)。連続操作要求時に、全ての識別情報停止後から第2無効時間を開始するのは、リーチ状態中に演出ボタン31がロックされてしまうのを回避し、遊技者による演出ボタン31の連続操作を可能にするためである。ただし、連続操作要求中における演出ボタン31の連続操作によっては、演出表示パターンは変更されないようになっている。
図32は、客待ちデモ中における無効時間の設定を例示したタイミングチャートである。
特図始動記憶数が0の状態で飾り特図変動表示ゲームが終了すると、図32に示すように客待ちデモが実行され、表示装置48には客待ちデモ画面が表示される。本実施形態の遊技機1は、この客待ちデモ中においても、次回の飾り特図変動表示ゲームにおける遊技演出の演出表示パターンを変更可能に構成されている。
飾り特図変動表示ゲームがリーチ状態後にはずれとなる場合には、2つ目の識別情報(第3図柄)の変動表示の停止後から飾り特図変動表示ゲームが終了するまでが第2無効時間となる(図29のS2108)。その後、飾り特図変動表示ゲームが終了すると、客待ちデモが実行されるとともに、客待ちデモ開始後からの所定時間が第3無効時間として設定される(図29のS2111)。飾り特図変動表示ゲームのリーチ状態中に遊技者が演出ボタン31を連続操作した場合であっても、客待ちデモ開始後に第3無効時間が設定されているので、遊技者が意図しないタイミングで演出表示パターンが変更されることがない。
次に、図33及び図34を参照して、演出制御装置550で実行される操作要求時無効時間許可判定処理及び電サポ時無効時間許可判定処理について説明する。
〔操作要求時無効時間許可判定処理〕
図33は、演出制御装置550によって実行される操作要求時無効時間許可判定処理のフローチャートである。操作要求時無効時間許可判定処理は、演出ボタン31の連続操作(連打)の有無に基づいて、第1演出表示選択変更処理及び第2演出表示選択変更処理で設定された無効時間を許可するか否かを判定する。
演出制御装置550は、まず、連続操作要求中に演出ボタン31が連続操作(連打)されているか否かを判定する(S2301)。演出制御装置550は、連続操作要求中に演出ボタン31が5秒間に10回以上連打されたときに、連続操作ありと判断する。
連続操作要求中に演出ボタン31が連続操作されている場合には(S2301の結果が「Y」)、演出制御装置550は無効時間許可処理を実行し、操作要求時無効時間許可判定処理を終了する(S2302)。無効時間許可処理では、演出制御装置550は、第1演出表示選択変更処理及び第2演出表示選択変更処理での無効時間(第1〜第3無効時間)の設定を許可し、無効時間中における演出表示パターンの切り替えを禁止する。
一方、連続操作要求中に演出ボタン31が連続操作されていない場合には(S2301の結果が「N」)、演出制御装置550は無効時間解除処理を実行し、操作要求時無効時間許可判定処理を終了する(S2303)。無効時間解除処理では、演出制御装置550は、第1演出表示選択変更処理及び第2演出表示選択変更処理で設定された無効時間(第1〜第3無効時間)を解除し、解除された無効時間中において演出表示パターンの切り替えを可能にする。
上記の通り、演出制御装置550は、連続操作要求中に実際に演出ボタン31が連打されている場合にのみ、無効時間中における演出表示パターンの切り替えを禁止するので、遊技者の意志によらない演出表示パターンの変更を確実に防止でき、さらに演出表示パータンの変更可能なタイミングが少なくなるのを抑制することができる。
〔電サポ時無効時間許可判定処理〕
図34は、演出制御装置550によって実行される電サポ時無効時間許可判定処理のフローチャートである。電サポ時無効時間許可判定処理は、始動入賞装置38の普電サポート状態の有無に基づいて、第1演出表示選択変更処理及び第2演出表示選択変更処理で設定された無効時間を許可するか否かを判定する。
演出制御装置550は、まず、始動入賞装置38が普電サポート状態であるか否かを判定する(S2401)。
始動入賞装置38が普電サポート状態でない場合には(S2401の結果が「N」)、演出制御装置550は無効時間許可処理を実行し、電サポ時無効時間許可判定処理を終了する(S2402)。無効時間許可処理では、演出制御装置550は、第1演出表示選択変更処理及び第2演出表示選択変更処理での無効時間(第1〜第3無効時間)の設定を許可し、無効時間中における演出表示パターンの切り替えを禁止する。
一方、始動入賞装置38が普電サポート状態である場合には(S2401の結果が「Y」)、演出制御装置550は無効時間解除処理を実行し、操作要求時無効時間許可判定処理を終了する(S2403)。無効時間解除処理では、演出制御装置550は、第1演出表示選択変更処理及び第2演出表示選択変更処理で設定された無効時間(第1〜第3無効時間)を解除し、解除された無効時間中における演出表示パターンの切り替えを可能にする。
普電サポート状態中は飾り特図変動表示ゲームの実行時間が短縮されるので、飾り特図変動表示ゲーム中に遊技演出の演出表示パターンを変更可能な有効時間も短くなってしまう。普電サポート状態は特図変動表示ゲームを所定回数実行した後に解除されるため(図9参照)、普電サポート状態の間ずっと演出表示パターンの変更可能なタイミングが少なくなると、遊技の興趣が低下してしまう。演出制御装置550は、始動入賞装置38が普電サポート状態である場合には無効時間の設定を解除し、演出ボタン31の入力操作に基づく演出表示パターンの切り替えを可能にするので、演出表示パターンの変更可能なタイミングが少なくなるのを抑制することができる。
上記した遊技機1によれば、以下の効果を得ることができる。
遊技機1は、飾り特図変動表示ゲームを表示する表示装置48と、飾り特図変動表示ゲーム中に表示装置48で実行される遊技演出の演出表示パターンを選択するために操作される演出ボタン31と、飾り特図変動表示ゲームの実行を制御する演出制御装置550と、を備える。演出制御装置550は、異なる複数の演出表示パターンを記憶する記憶手段と、選択された演出表示パターンで飾り特図変動表示ゲームを実行する実行手段と、演出ボタン31の入力操作に基づいて演出表示パターンを切り替える切替手段と、飾り特図変動表示ゲーム開始後から第1無効時間の間、演出ボタン31からの入力操作を受け付けず、演出表示パターンの切替を禁止する切替制御手段とを備える。このように飾り特図変動表示ゲーム開始後の第1無効時間中は演出表示パターンの切替を禁止するので、前回の変動表示ゲームでの連続操作要求による勢いで、遊技者が演出ボタン31を連打していても、飾り特図変動表示ゲーム開始後に遊技者の意志に関係なく演出表示パターンが変更されることがない。
演出制御装置550(演出制御装置550の切替制御手段)は、飾り特図変動表示ゲームが開始して第1無効時間の経過後、3つの識別情報(第1〜第3図柄)のうち2つの識別情報(第1及び第3図柄)が停止するまで(複数の識別情報がリーチ状態を発生可能な態様で停止するまで)の間は演出表示パターンの切替を許可するので、飾り特図変動表示ゲームの比較的早い時期に演出表示パターンを切り替えることが可能となる。
演出制御装置550(演出制御装置550の切替制御手段)は、始動入賞装置38が普電サポート状態である場合には、無効時間を解除し、演出ボタン31の入力操作を受け付けて演出表示パターンの切替を可能にするので、普電サポート状態中に飾り特図変動表示ゲームの実行時間が短縮されても、演出表示パターンの変更可能なタイミングが少なくなるのを抑制することができる。
演出制御装置550は、無効時間中にボタン装置60の規制部61を駆動して、演出ボタン31をロック(下部ロック又は上部ロック)するので、遊技者は演出表示パターンを変更できないタイミングであることを把握しやすくなる。これにより、演出ボタン31が無駄に操作されることが減少し、ボタン装置60の破損や劣化を抑制することが可能となる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。
本実施形態では、演出制御装置550によって図29、図30、図33、図34の処理を実行したが、遊技制御装置500によってこれら処理を実行してもよい。
また、本実施形態では、始動入賞装置38の普電サポート状態中に無効時間解除処理を実行したが、始動記憶数の数が、特図変動表示ゲームの実行時間が短縮されるように設定されている数(例えば4つ)である場合にも無効時間解除処理を実行してもよい。
さらに、本実施形態では、演出ボタン31の入力操作に基づいて演出表示パターンを変更するようにしたが、遊技機1に備えられた操作レバーの入力操作に基づいて演出表示パターンを変更したり、遊技機1に備えられた動作検知装置が遊技者の所定動作を検知した場合に演出表示パターンを変更したりしてもよい。