以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の斜視図である。
遊技機1は、島設備に固定される本体枠(外枠)2にヒンジ4を介して一側部が開閉回動自在に取り付けられる開閉枠を備える。開閉枠は、前面枠(遊技枠)3及びガラス枠(前枠)12によって構成される。
前面枠3には、遊技領域10aを有する遊技盤10(図2参照)が、裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。また、前面枠3には、遊技盤10の前面を覆うカバーガラス(透明部材)12aを備えたガラス枠12が取り付けられる。前面枠3及びガラス枠12は、それぞれ個別に開放することが可能であり、例えば、ガラス枠12のみを開放して遊技盤10の遊技領域10a(図2参照)にアクセスすることができる。また、前面枠3をガラス枠12が開放されていない状態で開放することによって、遊技盤10の裏側に配置された遊技制御装置100(図3参照)などにアクセスすることができる。
ガラス枠12のカバーガラス12aの周囲には、装飾光を発光する装飾部材18が備えられている。装飾部材18の内部にはランプやLED等によって構成された枠装飾装置43(図4参照)が備えられている。枠装飾装置43を所定の発光態様によって発光させることによって、装飾部材18が所定の発光態様によって発光する。
ガラス枠12の上方中央部には、照明ユニット11が備えられる。照明ユニット11の内部には、LEDやランプなどの発光部材が備えられる。
照明ユニット11の左側には第1可動式照明13が、右側には第2可動式照明14が備えられる。第1可動式照明13及び第2可動式照明14は、上スピーカ19aの上方に配置されている。第1可動式照明13及び第2可動式照明14には、LEDなどの照明部材の他に、照明駆動モータ(枠演出装置45)がそれぞれ備えられており、演出内容に応じて動作(例えば、回転)するように制御される。
また、遊技機1には、音響(効果音、警報音、報知音等)を発するスピーカ19が備えられる。スピーカ19には、上スピーカ19a及び下スピーカ19bが含まれる。上スピーカ19aはガラス枠12の上方に配置され、下スピーカ19bは後述する上皿21の下方に配置される。
第1可動式照明13の右側には、遊技機1において異常が発生したことなどを報知するための遊技状態LED29が備えられている。遊技機1において異常が発生した場合には、さらに、スピーカ19から異常を報知するための報知音が出力される。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施などが含まれる。不正行為は、例えば、発射された遊技球の軌道を磁石によって不正に操作する行為や、遊技機1を振動させて入賞を狙う行為などである。これらの不正行為は、磁気センサスイッチ(SW)61(図3参照)によって磁気を検出したり、振動センサスイッチ(SW)62(図3参照)によって振動を検出したりすることによって検知される。また、不正に開閉枠を開放する行為も不正行為に含まれる。このとき、枠開放センサスイッチ(前面枠開放検出スイッチ63、ガラス枠開放検出スイッチ64、図3参照)によって前面枠3やガラス枠12の開閉枠が開放されたことが検出され、営業時間中であればスピーカ19より報知音が報知される。以上のような不正行為が検出されると、遊技状態LED29やスピーカ19などによって異常が報知されるようになっている。
ガラス枠12のカバーガラス12aの下方には、上皿21などを含む上皿ユニットが備えられる。上皿21は、図示しない打球発射装置に遊技球(遊技媒体)を供給する。上皿ユニットには、演出ボタン25を備えた上皿カバーユニット20が含まれている。
さらに、ガラス枠12の下方位置であって前面枠3に固定される固定パネル22には、下皿23及び打球発射装置の操作部24等が備えられる。遊技者が操作部24を回動操作することによって、打球発射装置は、上皿21から供給される遊技球を遊技盤10の遊技領域10a(図2参照)に発射する。
下皿23には、下皿23に貯まった遊技球を排出するための下皿球抜き機構16が備えられる。前面枠3の下部右側には、ガラス枠12を施錠するための鍵26が備えられている。
また、上皿ユニットのうち上皿21の手前側には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタン(操作手段)25が備えられている。遊技者は、演出ボタン25を操作することによって、表示装置(変動表示装置)41(図2参照)における変動表示ゲームにおいて遊技者の操作を介入させた演出を行うことが可能となる。例えば、演出内容を選択させることができる。なお、変動表示ゲームには、特図変動表示ゲームと普図変動表示ゲームが含まれ、本明細書では、単に変動表示ゲームとした場合には、特図変動表示ゲームを指すものとする。
また、変動表示ゲームの実行中だけでなく、変動表示ゲームが実行されていない客待ち中又は通常状態に遊技者が演出ボタン25を操作することによっても演出パターンを変更可能である。なお、通常状態(通常遊技状態)とは、例えば、確変状態(特定遊技状態)、時短状態(特定遊技状態)もしくは、大当り状態(特別遊技状態)が発生していない遊技状態である。
また、変動表示ゲームが開始された後、演出ボタン25の操作を促進するための操作促進演出が実行され、操作促進演出が実行されている間に演出ボタン25を操作することによって、始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を事前に予告する予告演出などを実行することができる。
上皿21の右上部には、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する球貸ボタン27、及び、図示しないカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作される排出ボタン28が設けられている。
図2は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1に備えられる遊技盤10の正面図である。
遊技盤10は、各種部材の取り付けベースとなる平板状の遊技盤本体10b(木製又は合成樹脂製)を備え、該遊技盤本体10bの前面にガイドレール32で囲まれた遊技領域10aを有している。また、遊技盤本体10bの前面であってガイドレール32の外側には、前面構成部材(サイドケース)33が取り付けられている。そして、このガイドレール32で囲まれた遊技領域10a内に打球発射装置から遊技球を発射して遊技を行うようになっている。遊技領域10aには、多数の障害釘(図示略)が配設されており、発射された遊技球は障害釘などにより転動方向を変えながら遊技領域10aを流下する。
遊技領域10aの略中央には、変動表示ゲームの表示領域となる窓部を形成するセンターケース46が取り付けられている。センターケース46に形成された窓部の後方には、複数の識別情報を変動表示(可変表示)する変動表示ゲームの演出を実行可能な演出表示装置としての表示装置41が配置されている。表示装置41は、例えば、液晶ディスプレイを備え、センターケース46の窓部を介して遊技盤10の前面側から表示内容が視認可能となるように配置される。なお、表示装置41は、液晶ディスプレイを備えるものに限らず、EL、CRT等のディスプレイを備えるものであってもよい。
表示装置41において画像を表示可能な表示画面(表示領域)には、複数の変動表示領域が設けられており、各変動表示領域に識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクターが表示される。その他、表示画面には遊技の進行に基づく画像(例えば、大当り表示、ファンファーレ表示、エンディング表示等)が表示される。
遊技領域10aのセンターケース46の左側には、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。普図始動ゲート34の内部には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ(SW)34a(図3参照)が設けられている。そして、遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、普図変動表示ゲームが実行される。
さらに、センターケース46の左下側には、三つの一般入賞口35が配置され、センターケース46の右下側には、一つの一般入賞口35が配置されている。また、一般入賞口35への遊技球の入賞は、一般入賞口35に備えられた入賞口スイッチ(SW)35a〜35n(図3参照)によって検出される。
また、センターケース46の下方には、特図変動表示ゲームの開始条件を与える第1始動入賞口(第1始動入賞領域)36が設けられ、その直下には上部に逆「ハ」の字状に開いて遊技球が流入し易い状態に変換する一対の開閉部材37bを備えるとともに内部に第2始動入賞口(第2始動入賞領域)37が配設されている。そして、遊技球が第1始動入賞口36又は第2始動入賞口37に入賞した場合には、補助遊技として特図変動表示ゲームが実行される。
第2始動入賞口37の一対の開閉部材37bは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいて閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。ただし、第2始動入賞口37の上方には、第1始動入賞口36が設けられているので、閉じた状態では遊技球が入賞できないように構成されている。
そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイド37c(図3参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて第2始動入賞口37に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるように構成されている。
第2始動入賞口37の開閉部材37bの動作態様(普電サポート)には、入賞非容易状態(普電サポートなし)と入賞容易状態(普電サポートあり、時短状態)とが含まれる。
入賞非容易状態は、第2始動入賞口37の開閉部材37bが開放状態になりにくく、第2始動入賞口37に遊技球が入賞しにくい状態である。一方、入賞容易状態は、入賞非容易状態と比較して第2始動入賞口37の開閉部材37bが開放状態になりやすい状態である。例えば、入賞非容易状態では、普図変動表示ゲームの当選確率が1/251、開放時間が0.1秒であり、入賞容易状態では、普図変動表示ゲームの当選確率が250/251、開放時間が1.7秒、さらに開放回数が3回とする。
さらに、第2始動入賞口37の下方の遊技領域10aには、大入賞口ソレノイド38b(図3参照)によって上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉を有する大入賞口を備えた特別変動入賞装置38が設けられている。特別変動入賞装置38は、特図変動表示ゲームの結果によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態、特別遊技状態)に変換し、大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としてのカウントスイッチ38a(図3参照)が配設されている。
一般入賞口35、第1始動入賞口36、第2始動入賞口37、及び特別変動入賞装置38の大入賞口に遊技球が入賞すると、払出制御装置200(図3参照)は、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球を払出装置から前面枠3の上皿21又は下皿23に排出するように制御する。また、特別変動入賞装置38の下方には、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口39が設けられている。
また、遊技領域10aの外側(例えば、遊技盤10の右下部)には、表示装置41における特図変動表示ゲーム、及び、普図始動ゲート34への入賞をトリガとする普図変動表示ゲームを実行する一括表示装置50が設けられている。さらに、一括表示装置50には、現在の遊技状態などの情報を表示する表示部が設けられている。
なお、特図変動表示ゲームには、第1始動入賞口36に遊技球が入賞した場合に実行される特図1変動表示ゲーム(第1変動表示ゲーム)と、第2始動入賞口37に遊技球が入賞した場合に実行される特図2変動表示ゲーム(第2変動表示ゲーム)とが含まれる。
ここで、一括表示装置50について説明する。一括表示装置50は、7セグメント型の表示器(LEDランプ)等で構成された変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特図1表示器)51及び第2特図変動表示部(特図2表示器)52と、普図変動表示ゲーム用の変動表示部(普図表示器)53と、同じくLEDランプで構成された各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55、普図保留表示器56)を備える。
また、一括表示装置50には、大当りが発生すると点灯して大当り発生を報知する第1遊技状態表示部(第1遊技状態表示器)57、時短状態が発生すると点灯して時短状態発生を報知する第2遊技状態表示部(第2遊技状態表示器)60、遊技機1の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態となっているエラーを表示するエラー表示器58、大当り時のラウンド数(特別変動入賞装置38の開閉回数)を表示するラウンド表示部59が設けられている。
特図1表示器51又は特図2表示器52における特図変動表示ゲームは、変動表示ゲームの実行中、7セグメント型の表示器のセグメントを点滅させることによって、特別識別情報(特図、特別図柄)を所定時間毎に切り替える変動表示を行う。特図1表示器51又は特図2表示器52において特図変動表示ゲームが行われている間、それに対応して表示装置41においても飾り特図変動表示ゲームが行われる。
そして、特別識別情報の変動表示の開始時点で決定されている変動時間が経過すると、変動表示ゲームの結果に対応する特別識別情報で変動表示を停止して、特図1表示器51又は特図2表示器52における特図変動表示ゲームを終了する。
普図表示器53は、変動中はランプを点滅させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、例えば、ランプを消灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときはランプを点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
特図1保留表示器54は、特図1表示器51の変動開始条件となる第1始動入賞口36への入賞球数のうち未消化の球数(始動記憶数=保留数)を表示する。具体的には、保留数が「0」のときは4つのランプを全て消灯状態にし、保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、保留数が「3」のときはランプ1と2と3を点灯状態にし、保留数が「4」のときは4つのランプ1〜4をすべて点灯状態にする。
特図2保留表示器55は、特図2表示器52の変動開始条件となる第2始動入賞口37の始動記憶数(=保留数)を、特図1保留表示器54と同様にして表示する。
普図保留表示器56は、普図表示器53の変動開始条件となる普図始動ゲート34の始動記憶数(=保留数)を表示する。例えば、保留数が「0」のときはランプ1と2を消灯状態にし、保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、保留数が「3」のときはランプ1を点滅、ランプ2を点灯状態にし、保留数が「4」のときはランプ1と2を点滅状態にする。
第1遊技状態表示器57は、例えば、通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生している場合にはランプを点灯状態にする。第2遊技状態表示器60は、例えば、通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、時短状態が発生している場合にはランプを点灯状態にする。
エラー表示器58は、例えば、遊技機1の電源投入時に大当りの確率状態が低確率状態の場合にはランプを消灯状態にし、遊技機1の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態の場合にはランプを点灯状態にする。
ラウンド表示部59は、例えば、通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生した場合にはその大当りのラウンド数に対応するランプ(2ラウンドor15ラウンド)を点灯状態にする。なお、ラウンド表示部59は7セグメント型の表示器で構成してもよい。
ここで、本発明の第1の実施の形態の遊技機1における遊技の流れ、及び変動表示ゲーム(普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム)の詳細について説明する。
前述のように、本発明の第1の実施の形態の遊技機1では、図示しない打球発射装置から遊技領域10aに向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域10a内の各所に配置された障害釘等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域10aを流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口35、第1始動入賞口36、第2始動入賞口37又は特別変動入賞装置38に入賞するか、遊技領域10aの最下部に設けられたアウト口39へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口35、第1始動入賞口36、第2始動入賞口37又は特別変動入賞装置38に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が、払出制御装置200によって制御される払出ユニットから、前面枠3の上皿21又は下皿23に排出される。
前述のように、普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ34a(図3参照)が設けられている。普図始動ゲート34は、例えば、非接触型のスイッチである。遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、ゲートスイッチ34aによって検出され、普図変動表示ゲームが実行される。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない場合や、普図変動表示ゲームの結果が当りとなって第2始動入賞口37が開放状態に変換されている場合に、普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満ならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。普図始動入賞の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の普図保留表示器56に表示される。
また、普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられた変動表示部(普図表示器)53で実行されるようになっている。普図表示器53は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当りを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
なお、普通識別情報として例えば、数字、記号、キャラクター図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成してもよい。この普図変動表示ゲームの停止表示が特定結果となれば、普図の当りとなって、第2始動入賞口37の一対の開閉部材37bが所定時間(例えば、0.3秒間)開放される開放状態となる。これにより、第2始動入賞口37に遊技球が入賞し易くなり、特図2変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
普図始動ゲート34への通過検出時に抽出した普図乱数値が当り値であるときには、普図表示器53に表示される普通図柄が当り状態で停止し、当り状態となる。このとき、第2始動入賞口37は、内蔵されている普電ソレノイド37c(図3参照)が駆動されることにより、開閉部材37bが所定の時間だけ開放する状態に変換され、第2始動入賞口37への遊技球の入賞が許容される。
第1始動入賞口36への入賞球及び第2始動入賞口37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36a(図3参照)と始動口2スイッチ37a(図3参照)によって検出される。第1始動入賞口36に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、第2始動入賞口37に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース46の表示装置41においても表示される。
遊技制御装置100は、第1始動入賞口36又は第2始動入賞口37への入賞、もしくはそれらの始動記憶(第1始動記憶、第2始動記憶)に基づいて、特図表示器(変動表示装置、特図1表示器51又は特図2表示器52)で特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームを行う。
特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば、前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、変動している図柄を所定時間後に順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置41では、特図入賞記憶の記憶数に対応する飾り特別図柄による飾り特図変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクターの出現など多様な演出表示が行われる。
さらに、第1始動入賞口36又は第2始動入賞口37への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の大当り乱数の値が当り値であるとき)には、特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当り状態(特別遊技状態)となる。また、これに対応して表示装置41の表示態様も特別結果態様(例えば、「7,7,7」等のゾロ目数字のいずれか)となる。
このとき、特別変動入賞装置38は、大入賞口ソレノイド38b(図3参照)への通電によって、大入賞口が所定の時間(例えば、30秒)だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、特別変動入賞装置38に備えられた大入賞口が所定の時間又は所定数の遊技球が入賞するまで大きく開くので、この間遊技者は多くの遊技球を獲得することができるという特典が付与される。
なお、特図1表示器51、特図2表示器52は、別々の表示器でもよいし同一の表示器でもよいが、各特図変動表示ゲームが同時に実行されないようにする。また、表示装置41における飾り特図変動表示ゲームについても、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームとを別々の表示装置や別々の表示領域で実行するようにしてもよいし、同一の表示装置や表示領域で実行するようにしてもよい。この場合、特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが同時に実行されないようにする。
また、特図2変動表示ゲームは、特図1変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。すなわち、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームの始動記憶があり、特図変動表示ゲームの実行が可能な状態になった場合は、特図2変動表示ゲームが実行される。
また、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、かつ、始動記憶数が0の状態で、第1始動入賞口36(第2始動入賞口37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶される。このとき、始動記憶数が1加算されるとともに、直ちに始動記憶に基づいて、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。
一方、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、第1始動入賞口36(第2始動入賞口37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶される。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了もしくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始される。
なお、以下の説明において、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
なお、特に限定されるわけではないが、前述した第1始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、第2始動入賞口37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aには、磁気検出用のコイルを備え該コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサ(以下、近接スイッチと称する)が使用されている。前面枠3に前枠開放検出スイッチ63やガラス枠12に設けられたガラス枠開放検出スイッチ64には、機械的な接点を有するマイクロスイッチを用いることができる。
図3は、本発明の第1の実施の形態の遊技制御装置100の構成を示すブロック図である。
遊技機1は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン111と、入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113などを有する。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能に構成される。
電源装置400は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V,DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータなどを有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAM111cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部420と、停電監視回路や初期化スイッチを有し、遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部430などを備える。
図3では、電源装置400は、遊技制御装置100と別個に構成されているが、バックアップ電源部420及び制御信号生成部430は、別個の基板上あるいは遊技制御装置100と一体、すなわち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤10及び遊技制御装置100は機種変更の際に交換の対象となるので、電源装置400もしくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部420及び制御信号生成部430を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
バックアップ電源部420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAM111cに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、例えば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。遊技制御装置100は、停電復旧後、RAM111cに保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。なお、バックアップ電源部420は、遊技データを2〜3日以上保持させることが可能となっている。
初期化スイッチ信号は初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン111内のRAM111c及び払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。特に限定されるわけではないが初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット、マイクロプロセッサ)111a、データを書き換え不能に記憶する(読出し専用の)ROM(リードオンリメモリ、不揮発性記憶手段)111b及びデータを書き換え可能に記憶する(随時読出し書込み可能な)RAM(ランダムアクセスメモリ、揮発性記憶手段)111cを備える。
ROM111bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に(書き換え不能に)記憶し、RAM111cは、遊技制御時にCPU111aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM111b又はRAM111cとして、EEPROM(登録商標)のような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
また、ROM111bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶している。
変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数(振り分け乱数)をCPU111aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報である。また、変動パターン振り分け情報には、結果がはずれとなる場合に選択されるハズレ変動パターン振り分け情報、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターン振り分け情報等が含まれる。例えば、特図変動表示ゲームがリーチなしの変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてノーマル(N)リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)1リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)2リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、大当りとなる特図変動表示ゲームにてプレミアムリーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報等がある。
ここで、ROM111bは、特図変動表示ゲームにおける実行時間の設定に係る変動振り分け情報を複数記憶した変動振り分け情報記憶手段を構成している。
また、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め設定された特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機1において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態(例えば、最後に停止する識別情報を除く複数の識別情報が特別遊技状態となる特別結果を発生可能な識別情報で停止し、最後に停止する識別情報が変動表示している状態)をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置41における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしてもよい。
また、リーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ、スペシャル2リーチ、プレミアムリーチ等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<プレミアムリーチの順に高くなるようになっている。また、リーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。すなわち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定される場合(はずれとなる場合)における変動表示態様が含まれることもある。
CPU111aは、ROM111b内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置(演出制御手段)300に対する制御信号(コマンド)を生成したり、ソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力したりして遊技機1全体の制御を行う。
また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当り乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、普図変動表示ゲームの普図当り乱数等を生成するための乱数生成回路を備えている。さらに、水晶発振器113からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU111aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
また、CPU111aは、後述する特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理や特図普段処理にて、ROM111bに記憶されている複数の変動パターン振り分け情報の中から、何れか一の変動パターン振り分け情報を取得する。具体的には、CPU111aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り又ははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態又は高確率状態)、現在の遊技状態としての第2始動入賞口37の動作状態(通常動作状態又は時短動作状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターン振り分け情報の中から、何れか一の変動パターン振り分け情報を選択して取得する。
払出制御装置200は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置100からの賞球払出し指令(コマンドやデータ)に従って、払出ユニットの払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置200は、カードユニットからの貸球要求信号に基づいて払出ユニットの払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。
遊技用マイコン111の入力部120には、第1始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、第2始動入賞口37内の始動口2スイッチ37a、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aに接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V−5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)121が設けられている。近接I/F121は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出することができ、異常が検知された場合には異常検知信号を出力するように構成されている。このとき、異常検知信号は、入力ポート123に入力される。
近接I/F121に入力された信号の出力はすべて入力ポート122に供給され、データバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるとともに、遊技制御装置(主基板)100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F121の出力のうち始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、入力ポート122の他、反転回路112を介して遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。反転回路112を設けているのは、遊技用マイコン111の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、すなわち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
したがって、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aとしてマイクロスイッチを使用する場合には、反転回路112を設けずに遊技用マイコン111に検出信号を直接入力させるように構成することができる。つまり、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aからの負論理の信号を遊技用マイコン111に直接入力させたい場合には、近接スイッチを使用することはできない。前述のように近接I/F121は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F121には、電源装置400から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
また、入力部120には、遊技機1の前面枠3等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ61及び振動センサスイッチ62からの信号及び近接I/F121により変換された第1始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、第2始動入賞口37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aからの信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する入力ポート122が設けられている。入力ポート122が保持しているデータは、遊技用マイコン111が入力ポート122に割り当てられているアドレスをデコードすることによってイネーブル(CE)信号1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる。後述の他のポートも同様である。
さらに、入力部120には、遊技機1の前面枠3に設けられた前枠開放検出スイッチ63及びガラス枠12に設けられたガラス枠開放検出スイッチ64からの信号、及び払出制御装置200からの払出異常を示すステータス信号や払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する入力ポート123が設けられている。オーバーフロースイッチ信号は、下皿23に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号である。
また、入力部120には、電源装置400からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの信号を遊技用マイコン111等に入力するためのシュミットトリガ回路124が設けられており、シュミットトリガ回路124はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置400からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦、入力ポート123に入力され、データバス140を介して遊技用マイコン111に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン111に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
一方、シュミットトリガ回路124によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン111に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部130の各出力ポートに供給される。また、リセット信号RSTは出力部130を介さずに中継基板70に直接出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板70のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板70を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。なお、リセット信号RSTは入力部120の各入力ポート(122、123)には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン111によって出力部130の各出力ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部120の各入力ポートから遊技用マイコン111が読み込んだデータは、遊技用マイコン111のリセットによって廃棄されるためである。
出力部130は、データバス140に接続され払出制御装置200へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置300へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート131と、演出制御装置300へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート132と、を備える。遊技制御装置100から払出制御装置200及び演出制御装置300へは、パラレル通信でデータが送信される。また、出力部130には、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにするため、すなわち、片方向通信を担保するために第1出力ポート131からのデータストローブ信号SSTB及び第2出力ポート132からの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ133が設けられている。なお、第1出力ポート131から払出制御装置200へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。
さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。このバッファ134は遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、近接I/F121から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ134を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。
一方、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦、遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号もしくは情報に加工される。例えば、遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、バッファ134から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル(CE)信号も供給され、該CE信号により選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
また、出力部130には、データバス140に接続され特別変動入賞装置38を開閉させるソレノイド(大入賞口ソレノイド38b)や第2始動入賞口37の開閉部材37bを開閉させるソレノイド(普電ソレノイド37c)の開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート135、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート136、大当り情報など遊技機1に関する情報を外部情報端子71へ出力するための第5出力ポート137が設けられている。外部情報端子71から出力された遊技機1に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末(図示省略)や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。
さらに、出力部130には、第1ドライバ(駆動回路)138a、第2ドライバ138b、第3ドライバ138c、及び第4ドライバ138dが設けられている。第1ドライバ138aは、第3出力ポート135から出力される大入賞口ソレノイド38bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号や普電ソレノイド37cの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する。第2ドライバ138bは、第3出力ポート135から出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する。第3ドライバ138cは、第4出力ポート136から出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する。第4ドライバ138dは、第5出力ポート137から管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子71へ出力する。
第1ドライバ138aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置400から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第3ドライバ138cには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第2ドライバ138bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。12Vを出力する第3ドライバ138cによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第2ドライバ138bによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子71へ出力する第4ドライバ138dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ134や第3出力ポート135、第1ドライバ138a等は、遊技制御装置100の出力部130、すなわち、主基板ではなく、中継基板70側に設けるようにしてもよい。
さらに、出力部130には、外部の検査装置500へ各遊技機の識別コードやプログラムなどの情報を送信するためのフォトカプラ139が設けられている。フォトカプラ139は、遊技用マイコン111が検査装置500との間でシリアル通信によってデータの送受信を行えるように双方通信可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン111が有するシリアル通信端子を利用して行われるため、入力ポート122のようなポートは設けられていない。
次に、図4を用いて、演出制御装置300の構成について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置300の構成を示すブロック図である。
演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップからなる主制御用マイコン(1stCPU)311と、該主制御用マイコン311の制御下で専ら映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312と、該映像制御用マイコン312からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)313と、各種のメロディや効果音などの出力を制御する音源LSI314と、を備えている。
主制御用マイコン311と映像制御用マイコン312には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるプログラムROM321、322がそれぞれ接続され、VDP313にはキャラクター画像や映像データが記憶された画像ROM323が接続され、音源LSI314には音声データが記憶された音声ROM324が接続されている。主制御用マイコン311は、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。主制御用マイコン311と映像制御用マイコン312の作業領域を提供するRAM(311a、312a)は、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAMはチップの外部に設けるようにしてもよい。
特に限定されるわけではないが、主制御用マイコン311と映像制御用マイコン312との間、主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。また、映像制御用マイコン312との間、主制御用マイコン311とVDP313との間は、パラレル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアル方式の場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。VDP313には、画像ROM323から読み出されたキャラクターなどの画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)313aや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ313b、LVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置41へ送信する映像信号を生成する信号変換回路313cなどが設けられている。
VDP313から主制御用マイコン311へは表示装置41の映像と前面枠3や遊技盤10に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。さらに、VDP313から映像制御用マイコン312へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン312からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが入力される。また、映像制御用マイコン312から主制御用マイコン311へは、映像制御用マイコン312が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン312には、主制御用マイコン311よりも高速なつまり高価なCPUが使用されている。主制御用マイコン311とは別に映像制御用マイコン312を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン311のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置41に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン312と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。また、CPUを2つ設けることによって、2つのCPUの制御プログラムを別々に並行して開発することが可能となり、これによって新機種の開発期間を短縮することができる。
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100から送信されてくるコマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)331が設けられている。このコマンドI/F331を介して、遊技制御装置100から演出制御装置300へ送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置300の主制御用マイコン311はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F331には信号のレベル変換の機能が設けられている。
また、演出制御装置300には、外部からの検出信号を主制御用マイコン311に受け渡すSW入力回路336、前面枠3に設けられた上スピーカ19aを駆動するオーディオパワーアンプなどからなるアンプ回路337a、前面枠3に設けられた下スピーカ19bを駆動するアンプ回路337bが設けられている。SW入力回路336の入力側は、演出ボタン25が操作されたときに検出信号を発する第1操作手段SW25a、及び盤演出装置44内のモータの初期位置を検出する演出モータSW10hと接続されている。
また、演出制御装置300には、遊技盤10(センターケース46を含む)に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置38を制御する盤装飾LED制御回路332、前面枠3に設けられているLED(発光ダイオード)を有する枠装飾装置43を制御する枠装飾LED制御回路333、遊技盤10(センターケース46を含む)に設けられている盤演出装置(例えば表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物等)44を駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路334、前面枠3に設けられている枠演出装置(例えば前述した第1可動式照明13、第2可動式照明14を動作させるモータ等)45を駆動制御する枠演出モータ制御回路335が設けられている。なお、ランプやモータ及びソレノイドなどを駆動制御するこれらの制御回路(332、333、334、335)は、アドレス/データバス340を介して主制御用マイコン311と接続されている。
電源装置400の通常電源部410は、前述のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給するため、複数種類の電圧を生成可能に構成されている。具体的には、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネル等からなる表示装置41を駆動するためのDC12V、コマンドI/F331の電源電圧となるDC5Vの他に、LEDやスピーカ19を駆動するためのDC18Vやこれらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させるのに使用するNDC24Vの電圧を生成することが可能となっている。さらに、主制御用マイコン311や映像制御用マイコン312として、3.3Vあるいは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5Vに基づいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC−DCコンバータが演出制御装置300に設けられる。なお、DC−DCコンバータは通常電源部410に設けるようにしてもよい。
電源装置400の制御信号生成部430により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン311、映像制御用マイコン312、VDP313、音源LSI314、ランプやモータなどを駆動制御する制御回路(332〜335)、スピーカ19を駆動するアンプ回路337a、337bに供給され、これらをリセット状態にする。また、制御信号生成部430は、映像制御用マイコン312の有する汎用のポートを利用して、VDP313に対するリセット信号を生成して供給する機能を有するように構成されている。これにより、映像制御用マイコン312とVDP313の動作の連携性を向上させることができる。
以上が、本発明の第1の実施の形態における遊技機1の構成である。次に、これらの制御回路によって行われる遊技制御について説明する。
遊技制御装置100のCPU111aは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aを通過した遊技球の検出信号の入力に基づき、普図当り乱数を抽出してROM111bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当り外れを判定する。そして、普図表示器53に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する。この普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普図表示器53に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、第2始動入賞口37の開閉部材37bを所定時間開放する制御を行う。
なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合には、CPU111aは、普図表示器53にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
また、遊技制御装置100のCPU111aは、第1始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶する。そして、この始動記憶に基づき、特図1変動表示ゲームの大当り乱数を抽出してROM111bに記憶されている判定値と比較し、特図1変動表示ゲームの当り外れを判定する。
また、遊技制御装置100のCPU111aは、第2始動入賞口37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶する。そして、この始動記憶に基づき、特図2変動表示ゲームの大当り乱数を抽出してROM111bに記憶されている判定値と比較し、特図2変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。
そして、遊技制御装置100のCPU111aは、上記の特図1変動表示ゲームや特図2変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、特図1表示器51や特図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
また、演出制御装置300は、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
さらに、演出制御装置300は、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、スピーカ19(19a、19b)からの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等を行う。
そして、遊技制御装置100のCPU111aは、特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。
特別遊技状態を発生させる処理においては、遊技制御装置100のCPU111aは、例えば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉を開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。
そして、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば、25秒又は1秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回又は2回)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。
また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
続いて、遊技制御装置100による制御について具体的に説明する。
〔メイン処理(遊技制御装置)〕
まず、メイン処理について説明する。図5Aは、本発明の第1の実施の形態のメイン処理の前半手順を示すフローチャートである。図5Bは、本発明の第1の実施の形態のメイン処理の後半手順を示すフローチャートである。
メイン処理は、遊技機1の電源投入時に実行される。例えば、遊技場で営業を開始するために遊技機の電源を投入する場合や停電から復帰した場合に実行される。
遊技制御装置100は、メイン処理の実行が開始されると、まず、割込みを禁止する(S501)。次いで、割込みが発生した場合に実行されるジャンプ先を示すベクタアドレスを設定する(S502)。さらに、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定する(S503)。さらに、割込み処理のモードを設定する(S504)。
次に、遊技制御装置100は、払出制御装置(払出基板)200のプログラムが正常に起動するまで待機する(S505)。例えば、4ミリ秒間待機する。このように制御することによって、電源投入の際に遊技制御装置100が先に起動してしまい、払出制御装置200の起動が完了する前にコマンドを当該払出制御装置200に送信し、払出制御装置200が送信されたコマンドを取りこぼしてしまうことを回避できる。
続いて、遊技制御装置100は、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ)に対するアクセスを許可する(S506)。さらに、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(S507)。また、遊技用マイコン111に予め搭載されているシリアルポートを使用しない状態に設定する(S508)。本発明の実施の形態では、遊技制御装置100は払出制御装置200及び演出制御装置300とパラレル通信を行うことから、シリアルポートを使用しないためである。
続いて、遊技制御装置100は、電源装置400内の初期化スイッチ信号がオンに設定されているか否かを判定する(S509)。初期化スイッチ信号は、遊技機1に電源が投入された場合に、初期化された状態で遊技を開始するか否かを設定するための信号である。例えば、閉店時などに確変状態のまま電源が切断され、翌日の開店時に電源が投入された場合には、初期化された状態で遊技が開始されるように、初期化スイッチ信号がオンに設定される。一方、停電発生後に再度電源が投入された場合には、遊技を可能な限り停電前の遊技状態に近い状態で再開するために、遊技機が初期化されないように、初期化スイッチ信号がオフに設定される。
遊技制御装置100は、初期化スイッチ信号がオフに設定されている場合には(S509の結果が「N」:NO)、RWM内の停電検査領域のデータが正常であるか否かをチェックする(S510〜S513)。さらに詳しく説明すると、停電検査領域には、停電検査領域1及び停電検査領域2が含まれている。そして、停電検査領域1には停電検査領域チェックデータ1、停電検査領域2には停電検査領域チェックデータ2が記憶される。S510及びS511の処理では停電検査領域1に記憶された停電検査領域チェックデータ1が正常であるか否かをチェックする。同様に、S512及びS513の処理では停電検査領域2に記憶された停電検査領域チェックデータ2が正常であるか否かをチェックする。
遊技制御装置100は、RWM内の停電検査領域の停電検査領域チェックデータが正常であると判定された場合には(S513の結果が「Y」:YES)、チェックサムと呼ばれる検証用データを算出するチェックサム算出処理を実行する(S514)。
そして、遊技制御装置100は、チェックサム算出処理で算出されたチェックサムの値と、電源切断時に算出されたチェックサムの値とを比較し(S515)、これらの値が一致するか否かを判定する(S516)。
一方、遊技制御装置100は、初期化スイッチ信号がオンに設定されている場合(S509の結果が「Y」)、停電検査領域の値が正常でない場合(S511又はS513の結果が「N」)、電源切断時のチェックサムの値とS514の処理で算出されたチェックサムの値とが一致しない場合には(S516の結果が「N」)、図5BのS539〜S543の初期化処理を実行する。初期化処理の詳細については後述する。
遊技制御装置100は、算出されたチェックサムの値と電源切断時のチェックサムの値とが一致する場合には(S516の結果が「Y」)、停電処理が正常に実行されたため、停電前の状態に復旧させるための処理を実行する(図5BのS517〜S523)。
遊技制御装置100は、まず、停電時の情報が正常に記憶されていたか否かを判定するための情報が記憶されていた、RWM(リードライトメモリ:実施例ではRAM)内の領域をクリア(初期化)する。具体的には、すべての停電検査領域をクリアし(S517)、チェックサムが記憶されていた領域をクリアする(S518)。さらに、エラー関連の情報、及び不正行為を監視するための情報を記憶する領域をリセットする(S519)。
次に、遊技制御装置100は、RWM内の遊技状態を記憶する領域から停電発生時の遊技状態が高確率状態であったか否かを判定する(S520)。高確率状態でないと判定された場合には(S520の結果が「N」)、S523以降の処理を実行する。
また、遊技制御装置100は、停電発生時の遊技状態が高確率状態であったと判定された場合には(S520の結果が「Y」)、高確率報知フラグをオンに設定して高確率報知フラグ領域にセーブする(S521)。続いて、一括表示装置50に設けられる高確率報知LED(第3遊技状態表示器)をオン(点灯)に設定してセグメント領域にセーブする(S522)。
さらに、遊技制御装置100は、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置300に送信する(S523)。特図ゲーム処理番号は、特図ゲームの状態を示す番号であり、停電発生時にRWMの所定の領域に記憶されている。このように、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置300に送信することによって、可能な限り停電発生前に近い状態で遊技を再開することができるのである。
ここで、初期化処理を実行する場合について説明する。前述のように、初期化処理は、正常に電源が切断された遊技機を起動する場合や停電発生前の状態に復帰できない場合に実行される。
遊技制御装置100は、初期化処理において、まず、アクセス禁止領域よりも前の全作業領域をクリアする(S539)。さらに、アクセス禁止領域よりも後の全スタック領域をクリアする(S540)。そして、初期化すべき領域に電源投入時用の初期値をセーブする(S541)。
続いて、遊技制御装置100は、RWMクリアに関する外部情報(セキュリティ信号)を出力する出力タイマ初期値をセキュリティ信号制御タイマ領域にセーブする(S542)。そして、初期化処理の最後に電源投入時のコマンドを演出制御装置300に送信し(S543)、S524以降の処理を実行する。
遊技制御装置100は、S523又はS543の処理が終了すると、遊技用マイコン111(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動させる(S524)。
なお、CTC回路は、遊技用マイコン111内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器113からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、前述したCTC回路とを備えている。タイマ割込み信号は、分周された信号に基づいてCPU111aに所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込みを発生させるための信号である。乱数更新トリガ信号(CTC)は、分周された信号に基づいて乱数生成回路に供給され、乱数生成回路が乱数を更新するトリガとなる。
遊技制御装置100は、CTC回路を起動すると、乱数生成回路の起動設定を行う(S525)。具体的には、CPU111aが乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)に乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)を設定するなどの処理を実行する。さらに、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブする(S526)。その後、遊技制御装置100は、割込みを許可する(S527)。
なお、本実施形態のCPU111a内の乱数生成回路では、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変更されるように構成されており、ソフト乱数レジスタの初期値に基づいて各種初期値乱数の初期値(スタート値)を設定することによって、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことが可能となり、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。各種初期値乱数には、例えば、大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数)、普図変動表示ゲームの当りを決定する乱数(当り乱数)が含まれる。
続いて、遊技制御装置100は、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を実行する(S528)。また、本実施形態では、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数を使用して生成するように構成されている。すなわち、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、普図当り乱数、変動パターン乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。なお、各種乱数の発生源は前述の態様に限定されるわけではなく、大当り乱数がソフトウェア乱数であってもよいし、大当り図柄乱数、普図当り乱数、変動パターン乱数がハードウェア乱数であってもよい。
次に、遊技制御装置100は、電源装置400から入力され、ポート及びデータバスを介して読み込まれる停電監視信号をチェックする回数を設定する(S529)。チェック回数には、通常、2以上の値が設定される。停電監視信号をチェックすることによって停電が発生したか否かを判定することができる。
次に、遊技制御装置100は、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(S530)。停電監視信号がオンでない場合、すなわち、停電していない場合には(S530の結果が「N」)、S528の初期値乱数更新処理を再び実行し、S528からS530までの処理を繰り返し実行する(ループ処理)。
また、初期値乱数更新処理(S528)の前に割り込みを許可(S527)することによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生した場合に、割込み処理を優先して実行することが可能となる。したがって、初期値乱数更新処理の実行が完了するまでタイマ割込み処理を実行できないために、割込み処理に含まれる各種処理を実行する時間が不足してしまうことを回避できる。
なお、初期値乱数更新処理(S528)は、メイン処理の他に、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行してもよい。ただし、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行する場合には、両方の処理で初期値乱数更新処理が実行されることを回避するため、メイン処理における初期値乱数更新処理の実行時に割込みを禁止し、初期値乱数を更新後に割込みを解除する必要がある。しかし、本実施形態のようにタイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行せず、メイン処理でのみ初期値乱数更新処理を実行すれば、初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても問題が生じることはなく、さらに、メイン処理が簡素化されるという利点がある。
一方、停電監視信号がオンに設定されている場合には(S530の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がS529の処理で設定したチェック回数に到達したか否かを判定する(S531)。停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達していない場合には(S531の結果が「N」)、再度、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(S530)。すなわち、停電監視信号がオンである場合にはチェック回数分だけ停電監視信号がオンであるか否かを判定する。
停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達した場合には(S531の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、停電が発生したものと見なして停電発生時の処理を実行する(S532〜S538)。
停電発生時の処理では、遊技制御装置100は、割込みを禁止し(S532)、全出力ポートをオフに設定する(S533)。その後、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(S534)、さらに、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(S535)。
さらに、遊技制御装置100は、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し(S536)、算出されたチェックサムの値をRWMのチェックサム領域にセーブする(S537)。最後に、RWMの内容が変更されないように、RWMへのアクセスを禁止し(S538)、遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。このように、停電復旧検査領域にチェック用のデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出して記憶させることで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判定することが可能となる。
〔初期値乱数更新処理〕
次に、上述したメイン処理における初期値乱数更新処理の詳細について説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態の初期値乱数更新処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、まず、当り初期値乱数の値をインクリメント(+1更新)する(S601)。「当り初期値乱数」は、普図変動ゲームの当りを決定する乱数の初期値である。
次に、遊技制御装置100は、大当り図柄初期値乱数1の値をインクリメントする(S602)。「大当り図柄初期値乱数1」は、特図1の大当り停止図柄を決定する乱数の初期値である。
最後に、遊技制御装置100は、大当り図柄初期値乱数2の値をインクリメントする(S603)。「大当り図柄初期値乱数2」は、特図2の大当り停止図柄を決定する乱数の初期値である。
このように、メイン処理の中で時間が許す限り乱数をインクリメントし続けることによって、乱数のランダム性を高めるように構成されている。
〔タイマ割込み処理(遊技制御装置)〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態のタイマ割込み処理の手順を示すフローチャートである。
タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路によって生成される周期的(例えば、1ミリ秒周期)なタイマ割込み信号がCPU111aに入力されることによって開始される。
遊技制御装置100は、まず、所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すことによってレジスタを退避させる(S701)。なお、本実施形態では遊技用マイコンとしてZ80系のマイコンを使用している。Z80系のマイコンには、表レジスタと裏レジスタが備えられており、表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避させることでS701の処理を実装することが可能である。
次に、遊技制御装置100は、入力部120を介して入力される各種センサやスイッチなどからの入力信号を取り込み、各入力ポートの状態を読み込む入力処理を実行する(S702)。各種センサには、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図ゲートスイッチ34a、カウントスイッチ38aなどが含まれる。また、入力処理では、入力信号にチャタリング除去等を行って入力情報を確定させる。
次に、遊技制御装置100は、各種処理でセットされた遊技制御に関する出力データを、演出制御装置300及び払出制御装置200に送信するための出力処理を実行する(S703)。出力データは、ソレノイド等のアクチュエータの駆動制御などを行うための情報であり、制御対象となるソレノイドには、例えば、大入賞口ソレノイド(SOL)38b、普電ソレノイド(SOL)37cが含まれる。また、出力処理では、遊技機1の各種遊技データを収集する情報収集端末装置(図示略)に遊技データを出力する処理も含まれる。
次に、遊技制御装置100は、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出払出制御装置200、制御装置300等に送信(出力)するコマンド送信処理を実行する(S704)。
次に、遊技制御装置100は、大当り図柄乱数1及び大当り図柄乱数2を更新する乱数更新処理1を実行し(S705)、特図変動表示ゲームにおける変動パターンを決定するための変動パターン乱数を更新する乱数更新処理2を実行する(S706)。乱数更新処理1及び乱数更新処理2では、各種乱数にランダム性を付与するために、各種乱数に対応するカウンタ(大当り乱数カウンタ、普図当り乱数カウンタ、演出決定用乱数カウンタなど)の値を1ずつ加算する。
次に、遊技制御装置100は、各種入賞口スイッチなどを監視したり、枠の不正な開放などのエラーを監視したりする入賞口スイッチ/エラー監視処理を実行する(S707)。各種入賞口スイッチには、例えば、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aが含まれる。入賞口スイッチ/エラー監視処理では、これらのスイッチから正常な信号が入力されているか否かを監視したりする。エラーの監視としては、前面枠3やガラス枠12が不正に開放されていないかなどを対象としている。
次に、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理を実行する(S708)。続いて、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理を実行する(S709)。
次に、遊技制御装置100は、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDの表示内容を制御するセグメントLED編集処理を実行する(S710)。具体的には、特図変動表示ゲーム及び普図変動表示ゲームの結果をセグメントLED(例えば、一括表示装置50)に出力するためのパラメータを編集する。
次に、遊技制御装置100は、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62からの検出信号をチェックし、異常があるか否かを判定する磁石エラー監視処理を実行する(S711)。異常の発生を検出した場合には、スピーカ19から報知音を出力したり、遊技状態LED29を点灯させたりするなどして外部に報知する。
次に、遊技制御装置100は、外部情報端子71から出力する各種信号を編集する外部情報編集処理を実行し(S712)、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する(S713)。
最後に、遊技制御装置100は、S701の処理で一時退避されていたレジスタを復帰させ(S714)、禁止設定されていた外部機器による割込み及びタイマ割込みを許可し(S715)、本処理を終了する。本処理の終了後はメイン処理に復帰する。
〔コマンド送信処理〕
次に、上述したタイマ割込み処理におけるコマンド送信処理について説明する。図8は、本発明の第1の実施の形態のコマンド送信処理の手順を示すフローチャートである。
コマンド送信処理は、遊技制御装置100が、特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、停電復旧処理を実行させる停電復旧コマンド、を演出制御装置300に送信したり、払出装置から払い出す賞球数を指定する賞球コマンドを払出制御装置200に送信する処理である。
遊技制御装置100は、まず、演出制御装置300に対して各種の演出制御コマンドを送信するための演出制御コマンド送信処理を実行する(S801)。
次に、遊技制御装置100は、払出制御装置200に対して賞球の払出指令などの払出コマンドを送信するための払出コマンド送信処理を実行し(S802)、タイマ割込み処理に復帰する。
演出制御装置300へのコマンド送信も払出制御装置200へのコマンド送信もパラレル通信で送信される。払出制御装置200への通信は、不正信号を受け付けない様に暗号化してもよい。
〔演出制御コマンド送信処理〕
次に、上述したコマンド送信処理における演出制御コマンド送信処理について説明する。図9は、本発明の第1の実施の形態の演出制御コマンド送信処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、送信コマンドをRWMに設定するときに「+1」されるライトカウンタの値と、RWMから送信コマンドを読み出すときに「+1」されるリードカウンタの値とを比較して、コマンドが設定されているかチェックし(S901)、未送信コマンドの有無を判定する(S902)。ライトカウンタの値とリードカウンタの値とが同一である場合には(S902の結果が「N」)、未送信のコマンドがないため、本処理を終了する。
一方、ライトカウンタの値とリードカウンタの値とが一致していない場合には(S902の結果が「Y」)、未送信のコマンドがあるため、遊技制御装置100は、リードカウンタを「+1」更新し(S903)、リードカウンタの値に対応するコマンド送信領域(MODE(上位バイト))から未送信のコマンドをロードする(S904)。
次に、遊技制御装置100は、取得したコマンドが格納されていた領域(MODE(上位バイト))をリセットし(S905)、リードカウンタの値に対応するコマンド送信領域(ACTION(下位バイト))からコマンドをロードする(S906)。
最後に、遊技制御装置100は、取得したコマンドが格納されていた領域(ACTION(下位バイト))をリセットし(S910)、演出制御コマンドを演出制御装置300へ送信し(S908)、本処理を終了する。
〔特図ゲーム処理〕
次に、前述したタイマ割込み処理における特図ゲーム処理の詳細について説明する。図10は、本発明の第1の実施の形態の特図ゲーム処理の手順を示すフローチャートである。
特図ゲーム処理は、遊技制御装置100が、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aによる入力信号の監視、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図(識別図柄、識別情報)の表示設定を行う処理である。
遊技制御装置100は、まず、第1始動入賞口36、第2始動入賞口37に遊技球が入賞すると、各種乱数(大当り乱数など)を抽出し遊技結果を事前に判定する始動口スイッチ監視処理を実行する(S1001)。
次に、遊技制御装置100は、特別変動入賞装置38内に設けられたカウントスイッチ38aによって当該特別変動入賞装置38に入賞した遊技球を検出し、アタッカに入賞した遊技球の数を監視する(S1002)。
次に、遊技制御装置100は、特図ゲーム処理タイマが既にタイムアップしているか、又は、特図ゲーム処理タイマを−1更新した結果、当該特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたか否かをチェックする(S1003)。なお、特図ゲーム処理タイマは、初期値として、実行される特図変動表示ゲームの変動時間がセットされる。
ここで、遊技制御装置100は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない場合には(S1004の結果が「N」)、S1016以降の処理を実行する。
一方、遊技制御装置100は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした場合には(S1004の結果が「Y」)、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する(S1005)。
次に、遊技制御装置100は、当該テーブルに基づいて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得し(S1006)、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させて(S1007)、ゲーム処理番号に応じて分岐処理を実行する(S1009〜S1015)。
ゲーム処理番号が「0」の場合には、遊技制御装置100は、特図普段処理を実行する(S1009)。特図普段処理は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定、特図変動中処理を実行するために必要な情報の設定等を行う。
ゲーム処理番号が「1」の場合には、遊技制御装置100は、特図変動中処理を実行する(S1010)。特図変動中処理は、特図変動表示ゲームにおける識別情報の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
ゲーム処理番号が「2」の場合には、遊技制御装置100は、特図表示中処理を実行する(S1011)。特図表示中処理は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間を設定したり、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
ゲーム処理番号が「3」の場合には、遊技制御装置100は、ファンファーレ/インターバル中処理を実行する(S1012)。ファンファーレ/インターバル中処理は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
ゲーム処理番号が「4」の場合には、遊技制御装置100は、大入賞口開放中処理を実行する(S1013)。大入賞口開放中処理は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定したり、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報を設定したりする。
ゲーム処理番号が「5」の場合には、遊技制御装置100は、大入賞口残存球処理を実行する(S1014)。大入賞口残存球処理は、大当りラウンドが最終ラウンドの場合に大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定したり、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
大入賞口残存球処理では、特別図柄の処理タイマの更新とファンファーレ/インターバル中処理、又は大当り終了処理を行うために必要な情報を設定する。また、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数(所定数)だけ入賞したかを判定し、いずれかの条件が成立した場合に開閉扉を閉鎖する。これが所定ラウンド数繰り返し実行された後、特図ゲーム処理番号を6に設定する。
ゲーム処理番号が「6」の場合には、遊技制御装置100は、大当り終了処理を実行する(S1015)。大当り終了処理は、S1009の特図普段処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
次に、遊技制御装置100は、特図1変動表示ゲームにおける図柄の変動、具体的には、特図1表示器51における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(S1016)。続いて、特図1表示器51に係る図柄変動制御処理を実行する(S1017)。
次に、遊技制御装置100は、特図2変動表示ゲームにおける図柄の変動、具体的には、特図2表示器52における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(S1018)。続いて、特図2表示器52に係る図柄変動制御処理を実行し(S1019)、本処理を終了する。
〔始動口スイッチ監視処理〕
次に、上述した特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理の詳細について説明する。図11は、本発明の第1の実施の形態の始動口スイッチ監視処理の手順を示すフローチャートである。
始動口スイッチ監視処理は、第1始動入賞口36、第2始動入賞口37に遊技球が入賞すると、遊技制御装置100が各種乱数を抽出し、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する処理である。
遊技制御装置100は、まず、第1始動入賞口36に遊技球が入賞したことによる保留の情報を設定するテーブルを準備する(S1101)。さらに、第1始動入賞口36(始動口1)に遊技球が入賞したことによって送信される始動口入賞演出コマンドを設定するテーブルを準備する。
次に、遊技制御装置100は、第1始動入賞口36又は第2始動入賞口37に遊技球が入賞した場合に共通して実行される特図始動口スイッチ共通処理を実行する(S1102)。
次に、遊技制御装置100は、普通電動役物(普通変動入賞装置、第2始動入賞口37の開閉部材37b)が作動中であるか否かを判定し(S1103)、普通電動役物が作動中である場合には(S1103の結果が「Y」)、S1106以降の処理を実行する。
一方、普通電動役物が作動中ではない場合には(S1103の結果が「N」)、遊技制御装置100は、第2始動入賞口37への不正入賞数が不正発生判定個数以上であるかをチェックし(S1104)、不正入賞数が不正発生判定個数以上であるか否かを判定する(S1105)。
不正入賞について具体的に説明すると、第2始動入賞口37は、開閉部材が閉状態の場合には遊技球が入賞不可能であり、開状態でのみ遊技球が入賞可能である。よって、閉状態で遊技球が入賞した場合には何らかの異常や不正が発生している可能性が高く、閉状態で入賞した遊技球があった場合はその数を不正入賞数として計数している。そして、S1104及びS1105の処理において、このように計数された不正入賞数が所定の不正発生判定個数(上限値)以上であるかを判定する。
ここで、不正入賞数が不正判定個数以上の場合には(S1105の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、第2始動入賞口37への遊技球の入賞と無効として特図変動表示ゲームに関する処理を実行せずに、本処理を終了する。
一方、不正入賞数が不正判定個数未満の場合には(S1105の結果が「N」)、遊技制御装置100は、第2始動入賞口37による保留の情報を設定するテーブルを準備する(S1106)。このとき、第2始動入賞口37による始動口入賞演出コマンドを設定するテーブルも準備しておく。
最後に、遊技制御装置100は、後述する特図始動口スイッチ共通処理を実行し(S1107)、本処理を終了する。
〔特図始動口スイッチ共通処理〕
次に、上述した始動口スイッチ監視処理における特図始動口スイッチ共通処理の詳細について説明する。図12は、本発明の第1の実施の形態の特図始動口スイッチ共通処理の手順を示すフローチャートである。
特図始動口スイッチ共通処理は、第1始動入賞口36や第2始動入賞口37に遊技球が入賞したことによって始動口1スイッチ36aや始動口2スイッチ37aから信号入力があった場合に共通して実行される処理である。
遊技制御装置100は、まず、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aのうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば、始動口1スイッチ36a)から信号が入力されたか否かをチェックする(S1201、S1202)。監視対象の始動口スイッチから信号が入力されていない場合には(S1202の結果が「N」)、本処理を終了する。
一方、監視対象の始動口スイッチから信号が入力された場合には(S1202の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、当該監視対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグをRWMの所定の領域にセーブする(S1203)。続いて、監視対象始動口スイッチに対応するハード乱数ラッチレジスタに抽出された大当り乱数をロードし、以降の処理で使用するための準備を行う(S1204)。
次に、遊技制御装置100は、監視対象の始動口スイッチに対応する始動入賞口への入賞の回数に関する情報をロードし(S1205)、遊技機1の外部の管理装置に対して出力された回数(始動口信号出力回数)を+1更新する(S1206)。
次に、遊技制御装置100は、始動口信号出力回数がオーバーフローするか否かを判定する(S1207)。始動口信号出力回数がオーバーフローしない場合には(S1207の結果が「N」)、更新後の始動口信号出力回数の値を、RWMの始動口信号出力回数領域にセーブする(S1208)。
次に、遊技制御装置100は、S1208の処理が終了した後、又は、始動口信号出力回数の値がオーバーフローする場合には(S1207の結果が「Y」)、対象の始動口スイッチに対応する特図保留(始動記憶)数が上限値未満か否かを判定する(S1209、S1210)。
ここで、特図保留数が上限値未満ではない場合には(S1210の結果が「N」)、遊技制御装置100は、S1211〜S1214の処理を実行する。
S1210の結果が「N」の場合には、遊技制御装置100は、始動口信号が始動口1スイッチ36aで検出された入力信号か否かを判定し(S1211、S1212)、始動口信号が始動口1スイッチ36aからの信号ではない場合には(S1212の結果が「N」)、本処理を終了する。
始動口信号が始動口1スイッチ36aからの信号である場合には(S1212の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、飾り特図保留数コマンド(オーバーフローコマンド)を準備して(S1213)、コマンド設定処理を実行し(S1214)、本処理を終了する。
一方、特図保留数が上限値未満の場合には(S1210の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、S1215〜S1224の処理を実行する。
S1210の結果が「Y」の場合には、遊技制御装置100は、始動口スイッチによって検出された入賞に対応する情報を設定する。具体的には、更新対象の特図保留数(例えば、特図1保留数)を+1更新する(S1215)。
次に、遊技制御装置100は、飾り特図保留数コマンドを準備する。飾り特図保留数コマンドは、MODE部とACTION部によって構成される。具体的に説明すると、遊技制御装置100は、監視対象の始動口スイッチの飾り特図保留数コマンド(MODE)を準備し(S1216)、特図保留数に対応する飾り特図保留数コマンド(ACTION)を準備する(S1217)。そして、準備された飾り特図保留数コマンドを設定するためのコマンド設定処理を実行する(S1218)。
次に、遊技制御装置100は、更新された特図保留数に対応するRWMの乱数セーブ領域のアドレスを算出する(S1219)。
次に、遊技制御装置100は、S1204の処理で準備された大当り乱数を乱数セーブ領域(特図始動記憶領域)にセーブする(S1220)。このときセーブされた大当り乱数は、遊技球が入賞した始動口、すなわち、特図1であるか特図2であるかに依存しない、共通の乱数となっている。さらに、対象の始動口スイッチの大当り図柄乱数を準備(大当り図柄乱数を抽出)し、乱数セーブ領域にセーブする(S1221、S1222)。
次に、遊技制御装置100は、対応する変動パターン乱数を抽出し、抽出した値を乱数セーブ領域にセーブする(S1223)。変動パターン乱数は、各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む変動パターンを決定するための乱数である。
ここで、変動パターン乱数は、大当り図柄乱数のように乱数生成回路のソフトウェアによって更新されるものとは異なり、遊技制御用プログラムによって更新されるものである。なお、変動パターン乱数の更新は遊技制御用プログラムによって更新することに限らず、乱数生成回路のハードウェア又はソフトウェアで更新するようにしてもよい。
最後に、遊技制御装置100は、特図保留情報判定処理を実行し(S1224)、本処理を終了する。
〔特図保留情報判定処理〕
次に、上述した特図始動口スイッチ共通処理における特図保留情報判定処理の詳細について説明する。図13は、本発明の第1の実施の形態の特図保留情報判定処理の手順を示すフローチャートである。
特図保留情報判定処理は、各始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である。
遊技制御装置100は、まず、先読み演出を実行してよい条件を満たしているか否かをチェックする(S1301、S1302)。先読み演出を実行してよい条件とは、例えば、遊技状態が特別遊技状態(大当り中)ではないことである。そして、先読み演出を実行してよい条件を満たしていない場合、すなわち、大当り中である場合は(S1302の結果が「N」)、以降の先読み処理を行わずに本処理を終了する。
先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合には(S1302の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、保留中の始動記憶が大当りであるか否かを判定する大当り判定処理を実行する(S1303)。大当り判定処理は、保留中の始動記憶に含まれる大当り乱数値が大当り判定値として設定されている所定の範囲の数値であるかを判定することによって、当該始動記憶にかかる変動表示ゲームの結果が大当りであるか否かを判定する処理である。
そして、大当り判定処理の判定結果が大当りである場合には(S1304の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数チェックテーブルを大当り時の識別図柄を特定するためのテーブルとして設定する(S1305)。大当り図柄乱数チェックテーブルには、大当りか否かの振分率を表す乱数の判定値や当該判定値に対応する大当り情報テーブルのアドレスが定義されている。
次に、遊技制御装置100は、当該大当り図柄乱数に対応する大当り情報テーブルを取得して設定する(S1306)。大当り情報テーブルには、図柄情報や始動口入賞演出図柄コマンドが定義されている。
一方、大当り判定処理の判定結果が大当りではない場合には(S1304の結果が「N」)、遊技制御装置100は、演出内容を選択するためのテーブルとしてはずれ情報テーブルを設定する(S1307)。
このように保留中の始動記憶に基づく変動表示ゲームの結果に応じて演出内容が設定されるので、遊技制御装置100は、変動表示ゲームの結果に対応するテーブルを設定する(S1306、S1307)。
次に、遊技制御装置100は、設定した情報テーブルから図柄情報を取得し、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S1308)。続いて、設定した情報テーブルから始動口入賞演出図柄コマンドを取得し、当該始動口入賞演出図柄コマンドをRWMの入賞演出図柄コマンド領域にセーブする(S1309)。
次に、遊技制御装置100は、対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグを準備し(S1310)、始動口入賞演出コマンドを設定する対象のテーブルを準備する(S1311)。
次に、遊技制御装置100は、対象の始動口に関して設定された特図情報を設定するための特図情報設定処理を実行し(S1312)、特図変動表示ゲームの変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S1313)。
変動パターン設定処理(S1313)は、識別情報の変動態様を示す複数の変動パターンから一つの変動パターン(変動パターン番号)を選択する処理であり、特図変動表示ゲームはこれらの処理によって選択された変動パターンに基づいて実行される。
次に、遊技制御装置100は、変動パターン番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)及び変動パターン番号の値を始動口入賞演出コマンド(ACTION)を準備し(S1314)、準備したコマンドの設定処理を実行する(S1315)。
次に、遊技制御装置100は、入賞演出図柄コマンド領域から始動口入賞演出図柄コマンドをロードして(S1316)、コマンド設定処理を実行する(S1317)。その後、本処理を終了する。
本処理中、変動パターン設定処理(S1313)後の処理では、取得した変動パターン番号に基づいて始動口入賞演出コマンドを準備し(S1314)、さらに、始動口入賞演出図柄コマンドを準備する(S1316)。そのため、始動記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置300に対して通知することが可能になっている。演出制御装置300は、表示装置41に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する先読み演出を行う。なお、常に先読み演出を行う必要はない。
〔大当り判定処理〕
次に、前述した特図ゲーム処理における大当り判定の詳細について説明する。図14は、本発明の第1の実施の形態の大当り判定処理の手順を示すフローチャートである。
大当り判定処理は、入賞時に取得して特図始動記憶領域に格納された大当り乱数が、大当り判定値として設定されている所定の範囲の数値であるかを判定する処理である。
大当り判定値は、大当り抽選で用いる判定値であり、大当り乱数(例えば、0〜65535の間で循環する乱数)の取り得る数値の中で設定されている。大当り判定値は、遊技状態が通常遊技状態(低確率状態)の時の大当り抽選で用いる低確率用の大当り判定値と、遊技状態が確変状態(高確率状態)の時の大当り抽選で用いる高確率用の大当り判定値とがあり、確変状態時の大当り判定値の数は、通常遊技状態時の大当り判定値の数よりも多く設定されている。例えば、低確率用の大当り判定値として500から699までの「200」個の数値が、高確率用の大当り判定値として500から2499までの「2000」個の数値が設定されているとすると、大当り抽選で大当りに当選する確率は、通常遊技状態時が「200/65536(≒1/328)」となり、確変状態時が「2000/65536(≒1/32.8)」となる。
遊技制御装置100は、まず、大当り判定値の下限判定値を設定する(S1401)。下限判定値は、低確率用の判定値も高確率用の判定値も同一の数値である。
次に、遊技制御装置100は、判定対象の大当り乱数の値がS1401でセットした下限判定値よりも小さい値であるかをチェックし、判定する(S1402、S1403)。判定対象の大当り乱数の値が下限判定値未満である場合には(S1403の結果が「Y」)、判定結果としてはずれを設定し(S1409)、本処理を終了する。
判定対象の大当り乱数の値が下限判定値未満ではない場合には(S1403の結果が「N」)、遊技制御装置100は、現時点が高確率時であるか否か、すなわち、現在の遊技状態が確変状態か否かを判定する(S1404)。高確率時である場合には(S1404の結果が「Y」)、高確率時の上限演判定値を設定し(S1405)、高確率時ではない場合には(S1404の結果が「N」)、低確率時の上限判定値を設定する(S1406)。
次に、遊技制御装置100は、判定対象の大当り乱数の値がS1405又はS1406でセットした上限判定値よりも大きい値であるかをチェックし、判定する(S1407、S1408)。判定対象の大当り乱数の値が上限判定値を超える場合には(S1408の結果が「Y」)、判定結果としてはずれを設定し(S1409)、本処理を終了する。
判定対象の大当り乱数の値が上限判定値を超えない場合には(S1408の結果が「N」)、遊技制御装置100は、判定結果として大当りを設定し(S1410)、本処理を終了する。
〔特図普段処理〕
次に、前述した特図ゲーム処理における特図普段処理の詳細について説明する。図15は、本発明の第1の実施の形態の特図普段処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、まず、特図2保留数(第2始動記憶数)が0であるか否かをチェックする(S1501、S1502)。
遊技制御装置100は、特図2保留数が0の場合には(S1502の結果が「Y」)、第1始動記憶数(特図1保留数)が0であるか否かをチェックする(S1503、S1504)。このように、特図2保留数のチェック(S1501)を、特図1保留数のチェック(S1503)よりも先に行うことによって、特図1変動表示ゲームよりも遊技者にとって有利な特図2変動表示ゲームを優先して実行するようにしている。
さらに、遊技制御装置100は、特図1保留数が0の場合には(S1504の結果が「Y」)、既に客待ちデモが開始されているか否かをチェックする(S1505、S1506)。客待ちデモを開始していない、すなわち、開始済みではない場合には(S1506の結果が「N」)、客待ちデモフラグ領域に客待ちデモ中フラグを設定する(S1507)。続いて、客待ちデモコマンドを準備し(S1508)、コマンド設定処理を実行する(S1509)。
一方、既に客待ちデモが開始されている場合には(S1506の結果が「Y」)、既に客待ちデモフラグ領域に客待ちデモ中フラグが設定済みであり、客待ちデモコマンドが演出制御装置300に送信済みであるため、遊技制御装置100は、S1510以降の処理を実行する。
次に、遊技制御装置100は、特図普段処理に移行するためのテーブルを準備する特図普段処理移行設定処理1を実行する(S1510)。具体的には、当該テーブルに、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を実行する。その後、本処理を終了する。
一方、遊技制御装置100は、特図2保留数が0でない場合(S1502の結果が「N」)、すなわち、第2始動入賞口37に遊技球が入賞したことによる特図変動表示ゲームが実行される場合には、特図2変動開始処理を実行する(S1511)。そして、特図変動中処理に移行するためのテーブル(第2特図用)を準備する特図変動中処理移行設定処理(特図2)を実行する(S1512)。
具体的には、当該テーブルに、特図変動中処理に係る特図ゲーム処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第2特図の変動中に係る試験信号、特図2表示器52における特図2変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、特図2表示器52の変動中に係るフラグ、特図2表示器52の点滅の周期のタイマの初期値など)等を設定する処理を実行する。その後、本処理を終了する。
また、遊技制御装置100は、特図1保留数が0でない場合(S1504の結果が「N」)、すなわち、第1始動入賞口36に遊技球が入賞したことによる特図変動表示ゲームが実行される場合には、特図1変動開始処理を実行する(S1513)。
そして、遊技制御装置100は、特図変動中処理に移行するためのテーブル(第1特図用)を準備する特図変動中処理移行設定処理(特図1)を実行する(S1514)。具体的には、当該テーブルに、特図変動中処理に係る特図ゲーム処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第1特図の変動中に係る試験信号、特図1表示器51における特図1変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、特図1表示器51の変動中に係るフラグ、特図1表示器51の点滅の周期のタイマの初期値など)等を設定する。その後、本処理を終了する。
〔特図変動開始処理〕
次に、上述した特図普段処理における特図1変動開始処理の詳細について説明する。図16Aは、本発明の第1の実施の形態の特図1変動開始処理の手順を示すフローチャートである。
特図1変動開始処理は、特図1変動表示ゲームの開始時に行う処理である。
遊技制御装置100は、まず、特図1変動表示ゲームが大当りであるか否かを判定するための大当りフラグ1に、はずれ情報又は大当り情報を設定する大当りフラグ1設定処理を実行する(S1601a)。すなわち、大当りフラグ1設定処理において特図1変動表示ゲームが大当りであるか否かを判定している。
次に、遊技制御装置100は、第1特図停止図柄(特図1停止図柄)の設定に係る特図1停止図柄設定処理を実行する(S1602a)。その後、第1特図停止図柄番号(特図1停止図柄)に対応する試験信号を試験信号出力データ領域にセーブし(S1603a)、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S1604a)。即ち、特図変動表示ゲームが大当りであれば大当り図柄情報が設定され、特図変動表示ゲームがはずれであれば、はずれ図柄情報が設定される。
次に、遊技制御装置100は、特図1変動フラグ(変動中フラグ)をロードして準備し(S1605a)、特図1変動フラグをRWMの変動図柄判別フラグ領域にセーブする(S1606a)。
次に、遊技制御装置100は、変動パターンに関する情報を設定する対象のテーブルを準備し(S1607a)、特図情報を設定する特図情報設定処理を実行する(S1608a)。続いて、特図1変動表示ゲームにおける変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S1609a)。
最後に、遊技制御装置100は、特図1変動表示ゲームを開始するための情報を設定する変動開始情報設定処理を実行し(S1610a)、本処理を終了する。
また、図16Bは、本発明の第1の実施の形態の特図2変動開始処理の手順を示すフローチャートである。特図2変動開始処理は、特図1変動開始処理と同様の手順である。相違点は、S1602bの処理で特図2停止図柄設定処理が実行される点、S1603bの処理で特図1停止図柄番号に変わって特図2停止図柄番号に対応する信号をセーブする点、S1605b及びS1606bの処理で特図1変動フラグが特図2変動フラグとなる点である。
〔大当りフラグ1設定処理〕
次に、上述の特図1変動開始処理における大当りフラグ1設定処理の詳細について説明する。図17Aは、本発明の第1の実施の形態の大当りフラグ1設定処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、まず、大当りフラグ1領域にはずれ情報をセーブして、前回のセーブ内容をはずれ情報にてクリアする(S1701a)。
次に、遊技制御装置100は、RWMの特図1用の大当り乱数セーブ領域(特図始動記憶領域)から判定対象となる特図1用の大当り乱数をロードして準備した後(S1702a)、前述した大当り判定処理を実行し(S1703a)、判定対象の大当り乱数が大当りか否かを判定する(S1704a)。
次に、遊技制御装置100は、大当り判定処理の判定結果が大当りである場合には(S1704aの結果が「Y」)、大当りフラグ1領域に大当り情報を上書きしてセーブする(S1705a)。大当り判定処理の判定結果が大当りではない場合には(S1704aの結果が「N」)、S1705aの処理は実行しない。
最後に、遊技制御装置100は、RWMの特図1用の大当り乱数セーブ領域(特図始動記憶領域)を0クリアして(S1706a)、本処理を終了する。
また、図17Bは、本発明の第1の実施の形態の大当りフラグ2設定処理の手順を示すフローチャートである。大当りフラグ2設定処理は、大当りフラグ1設定処理と同様の手順であり、処理に用いるRWMの領域が異なる。
〔変動パターン設定処理〕
次に、前述した特図1変動開始処理及び特図2変動開始処理における変動パターン設定処理の詳細について説明する。図18は、本発明の第1の実施の形態の変動パターン設定処理の手順を示すフローチャートである。
変動パターン設定処理は、開始する変動表示ゲームの結果に対応する変動パターン選択テーブルに基づいて、変動パターンを選択する処理である。変動パターン選択テーブルには、図24に示すように大当り用とはずれ用の変動パターン選択テーブルが定義されている。
遊技制御装置100は、まず、RWMの図柄情報領域に格納された作業用の図柄情報がはずれ図柄情報であるかをチェックし、判定する(S1801、S1802)。
作業用の図柄情報がはずれ図柄情報である場合には(S1802の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、はずれ変動パターン選択テーブルのアドレスを取得して準備する(S1803)。
一方、作業用の図柄情報がはずれ図柄情報ではない場合には(S1802の結果が「N」)、当り変動パターン選択テーブルのアドレスを取得して準備する(S1804)。
次に、遊技制御装置100は、RWMの乱数記憶領域から変動パターン乱数をロードし(S1805)、圧縮振分コードに基づいて変動パターン番号を取得する圧縮値振分処理を実行する(S1806)。
最後に、遊技制御装置100は、取得した変動パターン番号を対象の変動パターン番号領域にセーブし(S1807)、本処理を終了する。
〔圧縮値振分処理〕
次に、上述した変動パターン設定処理における圧縮値振分処理の詳細について説明する。図19は、本発明の第1の実施の形態の圧縮値振分処理の手順を示すフローチャートである。
圧縮値振分処理は、1バイトに圧縮された圧縮振分コード(第1判定値)から振分値を算出し、算出された振分値(第2判定値)及び取得した変動パターン乱数に基づいて、対象となる当り/はずれの変動パターン選択テーブル(図23参照)より変動パターン番号を取得する処理である。
変動パターン番号の取得にあたって、従来は、圧縮されていない2バイトの振分値を変動パターン選択テーブルより読み込み、変動パターン乱数の値(選択値)がマイナスになるまで、選択値から順に振分値を減算し、選択値がマイナスになる場合の振分値に対応付けられた変動パターン番号を変動パターン選択テーブルより取得していた。
これに対し、本発明の第1の実施の形態では、2バイトの振分値の代わりに1バイトに圧縮された圧縮振分コードを振分値として利用する。
ここで、変動パターン乱数及び振分値について説明する。変動パターン乱数は、例えば、1999を上限値として、0〜1999までの2000の値を循環する乱数である。これに対し振分値は、変動パターン乱数に変動パターンがそれぞれ振り分けられる(割り振られる)乱数値の幅を表す数値であり、変動パターン乱数の値の区切り値としての役割を有する。
図24(B)を参照して説明すると、はずれ時の変動パターン番号「01」には、値が0〜1471の1472個の変動パターン乱数が振り分けられており、振分値は「1472」である。取得した変動パターン乱数が、01〜06のいずれの変動パターンに該当するかは、変動パターン乱数の値から変動パターン「01」の振分値「1472」、変動パターン「02」の振分値「400」、と順次減算処理して求める。減算処理の結果、変動パターン乱数の値がマイナスになるところが変動パターン乱数に振り分けられた(変動パターン乱数の属する)変動パターン番号である。このように、遊技制御装置100は、変動パターン乱数の値から変動パターン番号「01」の振分値、「02」の振分値、と順次減算することで、値がマイナスになる振分値に対応付けられた変動パターン番号を取得する。
本処理では、かかる処理を実行して、入賞時に取得した変動パターン乱数から変動パターン番号を取得する。
遊技制御装置100は、まず、S1803又はS1804で準備した変動パターン選択テーブル(選択テーブル)の先頭のデータが振り分けなしのコード(例えば、「0」)であるか否かをチェックし、判定する(S1901、S1902)。例えば、はずれ変動においてリーチなしの場合には、振り分けの必要がないため、振り分けなしのコードが先頭に定義されている。選択テーブルの先頭のデータが振り分けなしのコードである場合には(S1902の結果が「Y」)、振り分けなしに該当する変動パターン番号を取得し(S1909)、本処理を終了する。
一方、選択テーブルの先頭のデータが振り分けなしのコードではない場合には(S1902の結果が「N」)、遊技制御装置100は、対象の変動パターン乱数の値を一時記憶領域にロードし、選択値Sとしてセットする(S1903)。
次に、遊技制御装置100は、S1803又はS1804で準備した選択テーブルの1段目(最上段)の圧縮振分コード(振分値f)を取得して準備する(S1904)。例えば、S1804で準備した選択テーブルを用いる場合には、図24(A)の1行目の圧縮振分コード「10010010」を取得して準備する。なお、本願において、振分値(圧縮振分コード)fの書き込まれた行と、変動パターン番号の書き込まれた次の行との2行分を合わせて「1段」と呼ぶ。
次に、遊技制御装置100は、圧縮振分コードfに基づいて振分値Fを算出する圧縮振分コード変換処理を実行する(S1905)。圧縮振分コード変換処理の詳細は図21において説明するが、8ビットのバイナリデータから所定の変換式に上位2ビットと下位6ビットの数値を代入して振分値Fを算出する。具体的には、圧縮振分コード「10010010」からは、振分値「288」を得ることができる。
次に、遊技制御装置100は、選択値SからS1905で算出した振分値Fを減算し(S1906)、減算後の選択値sがマイナスになるか否かを判定する(S1907)。ここでは、選択値sがマイナスになる振分値Fと対応付けられた変動パターン番号を取得するので、選択値Sの取り得る最大値よりも各振り分けの振分値を合計した値のほうが大きくなるように設定されていれば、選択値と選択テーブルの最下段の行の振分値とが一致しなくてもよい。
減算後の選択値sがマイナスになる場合には(S1907結果が「Y」)、変動パターン乱数に振り分けられた変動パターン番号が特定されたため、遊技制御装置100は、振り分け結果により得られた変動パターン番号を取得し(S1909)、本処理を終了する。
一方、減算後の選択値sがマイナスにはならない場合には(S1907結果が「N」)、遊技制御装置100は、選択テーブルの次の行の圧縮振分コードを取得し(S1908)、選択値がマイナスになるまでS1905〜S1908の処理を繰り返し実行する。ここで、選択値sは、繰り返し実行される処理(S1906)では選択値Sとして使用され、前回の減算結果から引き続いて次の振分値を減算する。
〔変動開始情報設定処理〕
次に、前述した特図1変動開始処理及び特図2変動開始処理における変動開始情報設定処理の詳細について説明する。図20は、本発明の第1の実施の形態の変動開始情報設定処理の手順を示すフローチャートである。
変動開始情報設定処理は、特図変動表示ゲームを開始するために必要な処理を含み、例えば、変動時間を算出したり、変動コマンドを生成したりする。
遊技制御装置100は、まず、実行対象の特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲーム、特図2変動表示ゲーム)に対応する変動パターン乱数のセーブ領域を0クリアする(S2001)。
次に、遊技制御装置100は、変動時間値テーブルのアドレスを取得して、作業用の一時領域にセットする(S2002)。
次に、遊技制御装置100は、変動時間値テーブルからS1909で取得した変動パターン番号に対応する変動時間の値を取得し(S2003)、当該変動時間の値を特図ゲーム処理タイマ領域にセーブする(S2004)。
次に、遊技制御装置100は、変動パターン番号に対応する変動コマンドを生成して準備し(S2005)、コマンド設定処理を実行することによって変動コマンド(MODE及びACTION)を演出制御装置300に送信する(S2006)。
次に、遊技制御装置100は、飾り特図コマンド領域にセーブされた飾り特図コマンドを、演出制御装置300に送信するためにロードして準備し(S2007)、コマンド設定処理を実行する(S2008)。
次に、遊技制御装置100は、S1606a又はS1606bでセーブした変動図柄判別フラグ(特図1変動フラグ又は特図2変動フラグ)に対応する飾り特図保留数コマンド(MODE)を準備し(S2009)、特図1又は特図2の乱数セーブ領域のアドレスをセットする(S2010)。
次に、遊技制御装置100は、変動図柄判別フラグに対応する特図保留数を−1更新する(S2011)。続いて、特図保留数に対応する飾り特図保留数コマンド(ACTION)を準備し(S2012)、コマンド設定処理を実行する(S2013)。
最後に、遊技制御装置100は、変動図柄判別フラグに対応する特図乱数セーブ領域をシフトし(S2014)、シフト後の空き領域を0クリア(S2015)した後に、本処理を終了する。
〔圧縮振分コード変換処理〕
次に、前述した圧縮値振分処理における圧縮振分コード変換処理の詳細について説明する。図21は、本発明の第1の実施の形態の圧縮振分コード変換処理の手順を示すフローチャートである。この圧縮値振分処理は、遊技制御装置が備える判定値変換手段にて行われる。
圧縮振分コード変換処理は、8ビットに圧縮して判定値記憶手段に記憶されている圧縮振分コードfのうち、上位2ビットをn、下位6ビットをaとし、所定の変換式「F=bn×a」に各値を代入して振分値「F」を算出する処理である。なお、bは、任意の正の値をとり、必ずしも整数である必要はないが、好適な値として「4」が挙げられる。なお、本実施形態においては、断りがない限りbを「4」とする。
遊技制御装置100は、まず、S1904又はS1908で取得した圧縮振分コードの上位2ビットをチェックし(S2101)、上位2ビットによる値をnにセットする(S2102)。
次に、遊技制御装置100は、圧縮振分コードの下位6ビットをチェックし(S2103)、下位6ビットによる値をaにセットする(S2104)。
次に、遊技制御装置100は、変換式「F=bn×a」を計算する(S2105)。具体的には、圧縮振分コードを上述の「10010010」にすると、nは上位2ビットの値「10」、つまり10進数での「2」を、aは下位6ビットの値「010010」、つまり10進数での「18」をとる。n及びaの値を変換式に代入すると、「F=42×18」であり、Fは「288」が算出される。
最後に、遊技制御装置100は、得られた値「F」を振分値にセットし(S2106)、本処理を終了する。
〔圧縮振分コード及び変換式〕
図22は、本発明の第1の実施の形態の圧縮振分コードの構成を説明する図である。圧縮振分コードは、前述のように、上位nビットに対応する第1ビット、及び、下位aビットに対応する第2ビットで構成されている。本実施形態では、圧縮振分コードfは8ビットとなっており、さらに、第1ビット(n)は上位2ビット、第2ビット(a)は下位6ビットとなっている。
第1ビット(n)は、2ビットで構成されるため、0〜11、つまり10進数での0〜3の値が設定される。同様に、第2ビット(a)は、6ビットで構成されるため、0〜111111、つまり10進数での0〜63の値が設定される。しかし、aの値が0の場合には変換式の結果がnの値にかかわらず0になってしまうため、ここでは1〜63の値を設定することとする。
したがって、変換式(F=bn×a)において、Fの範囲は、1(=40×1)〜4032(=43×63)となる。変換式及び振分値「F」についての詳細な説明は、図26で後述する。
図23は、bを4とした場合の圧縮振分コードが表現可能な最小値と最大値を表す図であり、(A)は振分値の最小値、(B)は振分値の最大値を表す。
図23(A)(B)に示すように、振分値Fの最小値は「1」であり、最大値は「4032」である。1バイトでは通常は255までの値が表現可能であるが、本発明の第1の実施の形態では、b=4の変換式を使用するため、1バイトで最大4032まで表現可能となる。ただし、変換式の特性上、64以上252未満の値であって4の倍数ではない値は算出することができない。同様に、253以上1008未満の値であって16の倍数ではない値は算出することができない。しかし、本実施形態では、後述するように、変動パターンを選択する場合に大きな不都合は生じない。
〔当り/はずれ変動パターン選択テーブル〕
次に、変動パターン選択テーブルの詳細について説明する。図24は、本発明の第1の実施の形態の変動パターン選択テーブルを説明する図であり、(A)は抽選結果が大当りの場合に選択される当り変動パターン選択テーブル、(B)は抽選結果がはずれの場合に選択されるはずれ変動パターン選択テーブルである。2つのテーブルの構造は同一である。
変動パターン選択テーブルは、通常変動、ノーマルリーチ、プレミアムリーチ等の各種変動に対応する変動パターン番号及び振分値を定義するテーブルである。振分値は、0〜1999の値を循環する変動パターン乱数の区切りを示す値であるため、各振分値と各変動パターン番号とは、1対1の関係で1行毎に定義される。
振分値fは圧縮振分コードとして1バイトで表現され、図24では、説明のため「;(セミコロン)」右側に、計算された振分値Fを示している。なお、1列目の「DB(Define Byte)」は、1バイトの定数が定義されていることを示す。テーブル中の「;(セミコロン)」の右側に記された変換式の計算と変動パターン名(通常変動及びリーチA〜E)は、プログラムリストのコメントに相当する部分なので、実際には遊技制御装置100が読み込まないようにするか、テーブルに書き込まないようにする。
〔変動パターンと振分値等〕
図25は、本発明の第1の実施の形態の変動パターンを説明する図であり、(A)は各変動パターンの当り時/はずれ時の振分値Fと期待度を表し、(B)は各変動パターンと変動パターン乱数の値との対応を表す。
図25(A)に示すように、変動パターンには通常変動及びリーチ変動A〜Eの変動名があり、各変動パターンは対応する変動パターン番号を有する。また、各変動パターンには大当り期待度が規定されており、通常変動では期待度0%、リーチAでは期待度0.2%、リーチBでは期待度1.1%、リーチCでは期待度6.6%、リーチDでは63.1%、リーチEでは100%と、リーチA<リーチB<リーチC<リーチD<リーチEの順に期待度が高い。
変動パターン毎の振分値Fは、当り時用とはずれ時用とに別個に規定され、当り/はずれ変動パターン選択テーブルにおいて1バイトの圧縮振分コードfとして保持される(図24参照)。各振分値Fは変換式「F=4n×a」の結果に対応する値が設定される。
図25(B)では、各変動パターンに対応する変動パターン乱数の値を示す。変動パターン乱数は入賞時に取得し(S1223)、当り/はずれに関わらず同一の乱数を用いる。例えば、遊技制御装置100は、入賞時に値が「1300」の変動パターン乱数を取得すると、変動表示ゲームの結果がはずれの場合には通常変動を取得するが、変動表示ゲームの結果が当りの場合にはリーチDを取得する。
〔変換式及び振分値の特性〕
次に、変換式及び振分値「F」の特性について説明する。図26は、圧縮振分コードが表現可能な値を帯状に表した図である。帯の右側の縦の破線は、4032の中央値を示す。
図26に示すように、本発明の第1の実施の形態では、圧縮振分コードは、値の範囲全体を均一に圧縮するのではなく、小さな値の方が細かく設定可能となるように圧縮している。具体的には、中央値よりも大きな値では、64刻みの値しか設定できないが、中央値よりも小さな値である1〜63は1刻みの値を、64〜252は4刻みの値を設定可能であり、小さな値の方がより細かな振り分け設定が可能となっている。
例えば、振分値Fが1の場合(F=40×1)と2の場合(F=40×2)とを比較すると、振り分け率がそれぞれ1/2000又は2/2000となり、振分値Fの値が1異なるだけで該当する変動パターンの出現率が2倍に変化してしまうため、遊技性能に大きな違いが生じてしまう。それに対し、例えば、振分値Fが1472の場合(F=43×23)と1536の場合(F=43×24)とを比較すると、振り分け率がそれぞれ1472/2000又は1536/2000となり、これにより生じる変動パターンの出現率の差異は微差であるため遊技性能に大きな影響はない。つまり、小刻みな設定が必要となる小さな値に対しては細かく設定可能とする形式で、圧縮振分コードは設けられている。
遊技機における遊技では、超プレミアムリーチとして稀にしか実行されない変動パターン(例えば、稀にしか登場しないレアキャラ)や、はずれ変動のように高頻度で実行される変動パターンに基づいて変動表示ゲームが実行される。本実施形態では、値が小さいほど所定の範囲内で設定可能な値の数を多くすることにより、振分値を1バイトに圧縮しながら、実行頻度の低い変動パターンについては細かく振り分け可能とし、実行頻度の高い変動パターンについては精度を大きく低下させることなく振り分け可能としている。
また、従来2バイトで表現していた振分値を1バイトの圧縮振分コードに置き換えても、1から63までは全ての値を振分値に設定できるため、従来設定されていた振分値を変更することなく細かな振り分けを行うことが可能となっている。
図27は、本発明の第1の実施の形態の変動パターン選択テーブル(A)と従来の変動パターン選択テーブル(B)とを対比するために表す図である。(B)の1列目の「DW(Define Word)」は、2バイトの定数が定義されていることを示す。
従来の変動パターン選択テーブルに書き込まれる振分値は、バイナリデータとしてそのまま値を取得できるが、本実施形態の振分値(圧縮振分コード)でも63よりも小さい値は、bn=1(n=1)であるため、そのまま値を取得することができる。例えば、振分値が1及び19の場合には、従来の振分値の上位8ビットはすべて「0」であり、従来の振分値の下位8ビットと、本願の圧縮振分コードは同じビットデータである。
このように、小さな値(1〜63)の振分値であれば、ビットデータを変更することなく1単位(圧縮振分コードの下位6ビット)で表現することが可能である。
〔第1の実施の形態の効果〕
以上のように、本発明の第1の実施の形態によれば、従来は256以上の値の振分値を設定するために2バイト以上を要していた振分値を圧縮振分コードとして圧縮することで、1バイトの容量でも2バイトの値に近似して表現することができる。このため、振分値を記憶するROMの容量を削減することが可能である。
また、圧縮された振分値を算出する式は、算出値が小さいほど小さな間隔で算出できるため、値の小さい振分値を詳細に設定可能である。また、一方で大きな値も算出できるため、大きな振分値も設定可能である。そのため、出現率の極めて低い演出も出現率の高い演出も同一の圧縮コードで効果的に設定することができる。上述のとおり、小さな値では振分値がひとつ異なるだけでも振分率に大きな影響が生じてしまうが、大きな値の場合は振分値に若干の差があっても振分率に大きな影響は生じない。具体的には、1/2000が2/2000となると振り分けの精度が半減するが、1472/2000が1536/2000となっても振り分けの精度に大差はなく、例えば、全体を8刻みで均一に圧縮するよりも、所定の範囲で細かく設定可能な圧縮コードであるほうが遊技機の制御に利用する場合により適している。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、1バイトの圧縮振分コードを第1ビット(上位2ビット)及び第2ビット(下位6ビット)に分けて変換式に代入し、振分値を算出した。これに対して、第2の実施の形態では、圧縮振分コードの各ビットを分けずに振分値を算出する。
以下、第2の実施の形態について図28から図30を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と共通する事項については記載を省略し、相違する事項のみ説明する。
〔圧縮振分コード変換処理2〕
図28は、本発明の第2の実施の形態の圧縮振分コード変換処理2の手順を示すフローチャートである。
圧縮振分コード変換処理2は、圧縮振分コードの値「f」が所定の範囲の値である場合には、fから200を減算し、所定の範囲の値ではない場合には、fに10を積算して振替値「F」を算出する処理である。なお、減算する値及び積算する値は、それぞれ任意の値を設定可能である。
遊技制御装置100は、まず、S1904又はS1908で取得した圧縮振分コードの値「f」をチェックし(S2801)、fが201から255の範囲の値であるかを判定する(S2802)。値「f」は圧縮振分コードのビットデータをバイナリデータとしてそのまま値を取得する。
fが201から255ではない場合には(S2802の結果が「N」)、遊技制御装置100は、fに10を積算した値を振分値「F」として算出する(S2803)。一方、fが201から255である場合には(S2802の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、fから200を減算した値を振分値「F」として算出する(S2804)。
次に、遊技制御装置100は、算出したFを振分値に設定し(S2106)、本処理を終了する。なお、S2801、S2802及びS2803の処理に代えて、fが所定の範囲の値の場合には、F=fとし、fが所定の範囲の値ではない場合には、fに任意の数値を演算してFを算出するようにしてもよい。
図29は、本発明の第2の実施の形態の圧縮振分コードの値「f」と振分値算出法及び振分値「F」の対応をまとめた図である。
圧縮振分コードの値「f」は、1から255の値をとる。fが1から200である場合には、fに10を積算するため、振分値「F」は10から2000の範囲において10刻みで算出される。また、fが201から255である場合には、fから200を減算するため、振分値「F」は1から55の範囲において1刻みで算出される。
図30は、本発明の第2の実施の形態の変動パターン選択テーブルを説明する図であり、(A)は抽選結果が大当りの場合に選択される当り変動パターン選択テーブル、(B)は抽選結果がはずれの場合に選択されるはずれ変動パターン選択テーブルである。
本実施形態の振分値「F」の算出法は、テーブル中の「;(セミコロン)」の右側に記された変換式の計算に示すように、遊技機の開発者は圧縮振分コードから振分値「F」を容易に算出することができる。
図31は、本発明の第2の実施の形態の圧縮振分コードが表現可能な値を説明する図である。
図31に示すように、振分値「F」は1から55まで1刻みで設定可能であり、実行頻度の低い変動パターンについては細かく振り分け可能である。また60から2000までは10刻みで設定可能であるため、本発明の第1の実施の形態と比較して、小さい間隔で振分値の設定が可能である。
〔本発明の第2の実施の形態の効果〕
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、振分値「F」を1/10に圧縮して記憶容量を削減しつつ、Fが小さな値(1〜55)である場合には、振分値を細かく設定可能である。
また、上述のとおり、圧縮状態のコード(圧縮振分コード)から振分値「F」の算出が容易である。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、変動パターン選択テーブルに、変動パターン番号を重複せずに配置した。これに対して、第3の実施の形態では、一の判定結果に複数の振分値を設定可能とすることで、つまり、変動パターン選択テーブルに同一番号の変動パターン番号を複数の振分値に設定可能とすることで、きめ細かな振分値の設定及び振分処理を可能とする。
以下、第3の実施の形態について図32から図34を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と共通する事項については記載を省略し、相違する事項のみ説明する。
図32は、本発明の第3の実施の形態のはずれ変動パターン選択テーブルを説明する図である。本実施形態では、振分値の算出は、変換式「F=bn×a」を用いる。また、圧縮値振分処理は、図19を参照し、圧縮振分コード変換処理は、図21を参照する。
図32のテーブルの1段目及び2段目を参照すると、ともに「01」の変動パターン番号が配置されている。このように、同一の変動パターン番号の複数段にわたる配置が本実施形態の特徴である。
1段目の振分値は1472であるため、例えば、変動パターン乱数の値が1471の場合には、1段目での計算(1471−1472=−1)がマイナスとなり(S1907)、遊技制御装置100は、当該変動パターン乱数から「01」の変動パターン番号を取得する。
また、例えば、変動パターン乱数の値が1473の場合には、選択値は1段目での計算(1473−1472=1)ではマイナスにならないが、2段目での計算(1−28=−27)においてマイナスになるため(S1904〜1908)、遊技制御装置100は、2段目の変動パターン番号「01」を取得する。
このように、値が0〜1499の変動パターン乱数に対して、変動パターン番号「01」を振り分けることができる。つまり、変換式では1500を算出できないが、変換式の算出可能な値である1472と28とを合計することで、1500の振分値を設定可能とする。中でも、下位6ビットは1〜63の範囲の値をとるため、1〜63の任意の値を2段目に配置することができる。そのため、変換式の算出値が64間隔であっても、1〜63の任意の値を2段目に配置することによって、算出不可能な範囲(例えば、1473から1535の範囲)に、1刻みで振分値の設定が可能となる。
図33は、本発明の第3の実施の形態の振分値の設定可能な値を説明する図として、1472を起点として振分値の設定可能な値を示す図である。
図33に示す、1472から1536へと向かう上側の矢印は、本発明の第1の実施の形態における振分値の設定可能な値が64刻みであり、1473〜1535へは設定不能であることを示す。これに対して図33の下側の3本の矢印は、本実施形態において、1472から1刻みで任意の値を設定可能であることを示す。
このように、振分値として、1472から1536までの値のみならず、1から最大値までの値において、1刻みで任意の値を設定可能である。そのため、任意の振り分け率を正確に実現できる。
図34は、本発明の第3の実施の形態の圧縮振分コードの構成例を表す図であり、(A)は第1ビット(n)が上位2ビット、第2ビット(a)が下位6ビットで構成される図、(B)は第1ビット(n)が上位1ビット、第2ビット(a)が下位7ビットで構成される図である。
図34(A)に示すように、2ビット+6ビットでは、第1ビット(a)は0〜63の範囲の値をとるため、図33の下側の矢印のとおり、b0×aが64間隔の算出不可能な範囲を補う働きをする。
次に、図34(B)に示す、1ビット+7ビットでは、第1ビット(a)は0〜127の範囲の値をとるため、b=128とする変換式においてb0×aは128間隔の算出不可能な範囲を補う働きをする。つまり、b=128では、1280×a(aは1〜127)を2段目に配置すれば、1から16256まで全て1刻みで振分値の設定が可能となる。
「bnの最大値」(例えば、43=64)は、変換式における算出値の最大間隔(1刻み、4刻み、16刻み、64刻みのうちの最大値である64刻み)である。そのため、間隔を補う働きをする「aの最大値+1」が「bnの最大値」と等しいか大きい場合には、1からbnの最大値まで1刻みで振分値の設定が可能である。
つまり、1ビット+7ビットでは、1<b≦128と設定することで、1から最大値である16256まで1刻みで振分値の設定が可能であり、2ビット+6ビットでは、1<b≦4と設定することで、1から最大値である4032まで1刻みで振分値の設定が可能となる。特に、「bnの最大値=aの最大値+1」の場合には、変換式で算出可能な最大値までを、最大でも2段配置すれば、1刻みで設定可能である。
このように、2段配置においては、「bnの最大値≦aの最大値+1」となるように第1ビットと第2ビットとを分け、bに任意の値を設定することで、1からbnの最大値まで1刻みで振分値の設定が可能である。
さらに、同一の変動パターン番号の振分値を2段配置に限定せずに、多段配置としても良い。例えば、2ビット+6ビットでのb=64とした場合には、変換式「64n×a」の643×aの間隔において、642×aが4096刻みで、641×aが64刻みで、640×aが1刻みで、当該間隔を補うことができる。そのため、同一の変動パターン番号の振分値を2段、3段、4段と配置することで、1から16515072(643×63)までの値を1刻みに設定可能である。なお、16515072をバイナリデータとして表すと3バイトが必要である。
〔本発明の第3の実施の形態の効果〕
以上のように、本発明の第3の実施の形態では、変換式が算出できない値でもテーブル内に同一の変動パターン番号の振分値を複数段に配置することで、精度の高い振り分けを実現することができる。
特に、「bnの最大値=aの最大値+1」とすると、1段で表現しきれなかった値の間隔を2段目で補うのに好適となる。
このように、本発明の第3の実施の形態では、振分値全体を2バイトで構成するよりは、必要な箇所のみ2段(2バイト)とするだけなので、全体的な記憶容量を抑えつつ、任意の振分率を正確に実現できるようになる。つまり、変換式「F=4n×a」では表せない振分値を設定したい箇所だけを2段(計2バイト)とすることで、全てを2バイトの振分値とした場合に比べて記憶容量を削減しつつ、第1の実施の形態と共通のモジュールを使用して、より詳細に所望の振分値を設定することができる。
なお、本実施の形態において、圧縮振分コード変換処理を圧縮振分コード変換処理2にかえて実行してもよい。
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、テーブルに同一の変動パターン番号の振分値を複数段配置した。これに対して、第4の実施の形態では、変換式で算出できない値を振分値に設定したい場合には、本来の振分値よりも大きな値を示す圧縮振分コードをテーブルの最下段に配置する。
以下、第4の実施の形態について図35から図36を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と共通する事項については記載を省略し、相違する事項のみ説明する。
図35は、本発明の第4の実施の形態のはずれ変動パターン選択テーブルである。最上段の変動パターン番号が「01」ではなく「02」であり、「01」は最下段に配置されている点が、本実施形態の特徴である。
変動パターン番号「01」に振り分けたい本来の振分値は1500であるが、変換式から1500は算出できない。そのため、変動パターン番号「02」から「05」を「01」よりも先に振り分け、「02」から「05」の振分値の合計をもって「01」を振り分ける仕組みとする。
図35に示すように、変動パターン番号「02」から「05」の振分値の合計は500である。圧縮振分処理のループ処理(図19参照)において、変動パターン乱数の値が500未満のものは、「02」から「05」のいずれかに振り分けられ、変動パターン乱数の値が500を超えるものは、「01」に振り分けられる。
図36は、本発明の第4の実施の形態の変動パターン番号と変動パターン乱数の値との対応を表す図である。
これまでの本発明の第1の実施形態から第3の実施形態までと異なり、変動パターン番号「01」に対応する変動パターン乱数の値は、500〜1999の値に設定される。ここで、実際の振り分け数は1500であるが、振分値Fは1536である。振分値Fが振り分け数よりも大きいのは、S1907の処理で変動パターン番号「01」に該当する選択値を全てマイナスにするためであり、振分値と実際の振り分け数とは必ずしも同じ値である必要はない。
このように、変動パターン番号「02」、「03」、「04」、「05」には変換式で算出できる任意の値の振分値を設定し、「01」の振分値には実際の振り分け数よりも大きい値を設定してテーブルの最下段に配置することで、遊技制御装置100は、取得した変動パターン乱数から各変動パターン番号へと正確に振り分けることができる。
〔本発明の第4の実施の形態の効果〕
以上のように、変換式では算出できない振り分け数であっても、変動パターン選択テーブルの最下段に実際の振り分け数(変動パターン乱数の上限値)よりも大きな振分値として配置することで、記憶容量を削減しつつ、正確な振り分けが可能である。
なお、本実施の形態において、圧縮振分コード変換処理を圧縮振分コード変換処理2にかえて実行してもよい。
また、本願で説明する圧縮データ(圧縮振分コード)は、全ての実施の形態において、変動パターン乱数の振り分けの他、大当り乱数の判定や普図の判定に用いてもよく、また、スロットマシンでの乱数判定に用いてもよい。