JP5500731B2 - 加工ウメ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
請求項3に記載の発明の要旨は、梅の果実だけを容器内に充填し、続いて、その梅の果実を充填した容器をムロ内に置き、その後、50℃〜90℃の温度範囲内にして50日以上で90日以内の期間で温めて熟成して、該梅の果実を黒色化させることを特徴とする加工ウメの製造方法にある。請求項4の発明たる加工ウメの製造方法は、請求項3で、梅の果実を黒色化させた後、これを乾燥させ、次いで、その梅の果実を種子ごと粉末化させることを特徴とする。請求項5の発明たる加工ウメの製造方法は、請求項3で、梅の果実を黒色化させた後、これを磨り潰してペースト状にすることを特徴とする。
(1)加工ウメの製造方法
本発明の加工ウメの製造は、例えば図1,図2のごとくの工程にしたがって造られる。まず、梅の果実3を水洗い洗浄する(前処理工程1)。梅の果実3には、六月頃の熟した梅の果実(梅干し用に主に用いられる)でもよいが、ここでは梅酒に主に用いられる青梅3を使用する。先ず、水洗い洗浄で、青梅3に付着した汚れを取り除く。
次いで、5リットル又は10リットルのガラス容器1内へ水切りを終えた前記青梅3だけを入れていき、容器1内に青梅3のみを充填する(充填工程)。容器1内には図2(イ)のごとく、7分目から8分目ほどまで青梅3が投入,充填されて蓋2がされる。
ここで、ムロ内の環境条件を50℃〜90℃の温度範囲内に設定するのは、50℃未満になると、青梅3だけを用いており、無塩,無添加であるため腐敗進行し易くなるからである。一方、90℃を越えると、クエン酸の生成が減ってくるからである。さらに、高温になれば炭化,変質する虞もあるからである。本加工ウメ6を製造するためのムロ内のより好ましい熟成温度は50℃〜90℃である。
また、青梅3の充填容器1をムロ内に置き、上記温度範囲内にして50日以上温めて青梅3を熟成するが、その熟成日数は50日以上で90日以下の範囲にある。50日未満であると、青梅3の黒色化が不十分になり、食したときににがみが残る。加工ウメ6のクエン酸含有量も低下する。一方、90日を越えると、加工ウメ6のクエン酸含有量が殆ど変わらず、熟成に要するエネルギロスが増え、且つ生産性も低下する。熟成日数としてより好ましい範囲は、熟成温度が50℃〜90℃で、50日〜90日の範囲にある。
加温熟成下の容器1内では次のような変化が起きる。青梅3の充填容器1をムロ内に置き、50℃以上の温度に設定し熟成開始する。約1週間経過したあたりから青梅3から汁4が外に流出し、容器1内に汁4が溜まり始める。この時点の汁4の色は薄茶色である。容器1内に溜まる汁4は徐々に増えはじめ、その後、25日から約1ヶ月目あたりで最高になる。この段階になると、汁4の色は薄茶色から茶色,こげ茶色と濃くなっていく。また、この段階になると、当初の青梅3の外観がこげ茶色した中間物5に変化している。図2(ロ)のごとく、容器1内に当初充填された中間物5(当初の青梅3の相当品)の容積とほぼ同等の量の汁4が溜まる。汁4が中間物5を浸し、汁の液面41が容器1に充填された中間物5よりも上方位置にある。しかるに、その後の経過状況は一変する。青梅3から吐き出された汁4が、今度は時間経過と共に上記中間物5へ吸収されていく。本実施形態は、熟成開始から25日目で蓋2を少し開けている。汁4内の水分を蒸散させるためである。その後も、乾燥具合をみながら、蓋2を開けたり閉めたりを繰り返している。尚、熟成開始した後の数日間は、容器1に蓋2を締め付けておいても、時間が経つと蓋2が緩むので、その蓋2を再度締め付け実施している。
50日以上で90日以下の範囲内で温めて熟成すると、図2(ロ)で中間物5を浸していた汁4が図3のごとく減り、容器1の底に僅かに汁4の液面42が残る程度になる。こうして、大半の上記汁4が中間物5に吸収される。青梅3を黒色化させた加工ウメ6が出来上がる。
加工ウメ6は例えば前述した製法によって得られる固形物(粉末やペースト物を含む)で、梅の果実3だけを充填した容器1をムロ内で温め、該梅の果実3を熟成して黒色化させた食品である。加工ウメ6は、無塩,無添加で、梅の果実3だけを容器1に入れて熟成して得られる。梅の果実3だけを充填した容器1をムロ内で、50℃〜90℃で、50日〜90日の範囲内の期間をかけて熟成される加工ウメ6である。
次に、本発明の加工ウメ及びその製造方法の具体的実施例について述べる。本発明は勿論これらによって限定されるものではない。
(3−1)実施例1
青梅3(梅の果実3)だけを容器1内に充填し、続いて、その青梅3を充填した容器1をムロ内に置き、その後、50℃にして50日間温めて熟成して、該青梅3を黒色化させた加工ウメ6を得た。こうして出来た加工ウメ6中のクエン酸量を高速液体クロマトグラフを使って調べたところ、11.0g/100gであった(財団法人日本食品分析サンターの分析試験結果)
一部は、加温熟成を続行し、50℃にして90日間温めて熟成して、該青梅3を黒色化させた加工ウメ6を得た。両方とも、青梅3だけを充填した容器1をムロ内で温め、該梅の果実3を熟成して黒色化させてなる加工ウメ6が出来た。50日間の加工ウメ6と90日間の加工ウメ6とは外観がほぼ同じで、両者は食しても味が変わらなかった。
青梅3だけを容器1内に充填し、続いて、その青梅3を充填した容器1をムロ内に置き、その後、90℃にして50日間温めて熟成して、該青梅3を黒色化させた加工ウメ6を得た。上記青梅3の一部は、加温熟成を続行し、90℃にして90日間温めて熟成して、該青梅3を黒色化させた加工ウメ6を得た。50日間の加工ウメ6と90日間の加工ウメ6とは外観がほぼ同じで、両者は食しても味が変わらなかった。
実施例1で得られた塊状の加工ウメを熱風乾燥させて水分を除去した後、種子ごと家庭用のミルで粉砕して、粉末状の加工ウメを得た。こうして出来た粉末状加工ウメ6中のクエン酸量を高速液体クロマトグラフを使って調べたところ、16.6g/100gであった(財団法人日本食品分析サンターの分析試験結果)
(3−4)実施例4
実施例1で得られた塊状の加工ウメを種子ごとニーダーミキサーで磨り潰して、ペースト状の加工ウメを得た。
このように構成した加工ウメ6及びその製造方法によれば、加工ウメ6中のクエン酸が通常の梅干しに含まれる量に対し多く含有し、クエン酸の効能を高める食品になる。通常の梅干しが約4wt%であるのに対し、本発明の加工ウメ6では例えば実施例1に記載のごとく11wt%も含まれている。他のいずれの実施例でも通常の梅干しよりも多くクエン酸を含有していることが確認され、クエン酸がもつ消化吸収,食欲増進や疲労回復等といった効能に一段と優れた効果を発揮できる。
さらに、本加工ウメ6は無塩,無添加で梅の果実3だけから造られるので、それ単体で健康食品として有用であるばかりか、種々の商品への栄養供給材に有効活用できる。従来、梅の果実3に添加物を加えて有用な目的物が造られているが、その後、当該添加物が不用だからといって、当該添加物を取り除くのは至難になる。梅の果実100%成分を熟成させただけの本加工ウメ6は、混ざり物が一切ないので、塩分や添加物等に注意を払うことなく、様々な加工食品や料理に加工ウメ6が含有する栄養をブレンド補給でき、極めて有益である。さらにいえば、本加工ウメは食すると梅果実の香り,味が残っている。塩分や他の添加物を全く含まないので、安全性に富み、様々な加工食品や料理に本発明に係る加工ウメ6を味付けとして、また隠し味,栄養補給要素として添えることも可能である。加えて、梅果実だけの成分からなる自然食品材料として、食品分野に限らず多岐にわたる技術分野に適用範囲を広げることも期待できるなど極めて有益である。
2 蓋
3 梅の果実(青梅)
4 汁
5 中間物
6 加工ウメ
Claims (5)
- 梅の果実だけを充填した容器をムロ内で温め、該梅の果実を熟成して黒色化させてなることを特徴とする加工ウメ。
- 前記梅の果実だけを充填した容器をムロ内で、50℃〜90℃の温度範囲内にして温める請求項1記載の加工ウメ。
- 梅の果実だけを容器内に充填し、続いて、その梅の果実を充填した容器をムロ内に置き、その後、50℃〜90℃の温度範囲内にして50日以上で90日以内の期間で温めて熟成して、該梅の果実を黒色化させることを特徴とする加工ウメの製造方法。
- 前記梅の果実を黒色化させた後、これを乾燥させ、次いで、その梅の果実を種子ごと粉末化させる請求項3に記載の加工ウメの製造方法。
- 前記梅の果実を黒色化させた後、これを磨り潰してペースト状にする請求項3に記載の加工ウメの製造方法。
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