JP7286235B2 - 分離液状調味料の胡麻油の風味増強方法、及び分離液状調味料 - Google Patents
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ドレッシング等の液状調味料は、風味素材や呈味成分の組み合わせによって、様々な味を作り出すことができるが、多くの原料を組み合わせながら、液状調味料中の特定の風味を増強したり、持続させることが課題の一つになっている。そして、胡麻油を配合した液状調味料についても、喫食時に胡麻油の独特の風味がはっきりと感じられ、かつ、風味が持続する、深みのある胡麻油風味の調味料が求められていた。
(2)胡麻油を1~20質量%、及びにんにく粉砕物を固形分換算で0.03~1.50質量%含有する分離液状調味料。
(3)前記胡麻油に対する前記にんにく粉砕物の含有量比が0.003~0.200である(2)に記載の分離液状調味料。
(4)油相を5~40質量%含有する(2)又は(3)に記載の分離液状調味料。
本発明の分離液状調味料は、油相と水相とを含む調味料であり、さらに、特定量の胡麻油、及びにんにく粉砕物を含む胡麻油の風味が増強された分離液状調味料である。ここで、本発明における胡麻油の風味とは、喫食時に口腔内から鼻腔に抜けるときに感じる香気を指す。また、胡麻油の風味増強とは、前記香気が元来よりも強く、かつ、持続して感じられる状態を指す。また、本発明における胡麻油の風味は、胡麻の風味とは明確に区別される。
本発明の分離液状調味料は、静置時には油相と水相とがほぼ分離しており、使用時に振盪するなどして混ぜ合わせて使用されるものである。具体的には、ドレッシング、タレ、ソース、又はその他これらに類する食品を指す。本発明の分離液状調味料の好ましい態様としてはドレッシングが挙げられ、より具体的には、日本農林規格(JAS)において定義される「分離液状ドレッシング」等が挙げられる。
本発明の油相は、胡麻油を含有し、他は従来の分離液状調味料の油相成分と同様のものが使用できる。具体的には、胡麻油を除く食用油、油溶性のフレーバー及び乳化剤等が挙げられる。また、前記胡麻油を除く食用油は、大豆油、菜種油、コーン油、ヤシ油、パーム油、中鎖脂肪酸油、米油、綿実油、ひまわり油、紅花油、亜麻仁油、シソ油、オリーブ油、落花生油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、アボカド油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、米糠油、小麦胚芽油等から選択される1種又は2種以上を組み合わせた混合油脂が挙げられる。また、これらの油脂の分別油、硬化油、エステル交換油等を用いることもできる。
本発明の分離液状調味料中の油相の含有量は、好ましくは5~40質量%、より好ましくは8~30質量%、最も好ましくは10~20質量%である。油相の含有量が前記の範囲内にあると本発明の効果を奏しやすい。
本発明の胡麻油は、食用で使用されるものであれば特に限定されない。具体的には、焙煎胡麻油が挙げられる。また、本発明の胡麻油は、ロビボンド比色値(25.4mmセル)が好ましくは130~350、より好ましくは160~300である。ここで、ロビボンド比色値(25.4mmセル)は、ロビボンド法(日本油化学協会、基準油脂分析試験法2.2.1.1)に基づいて測定したY,R,Bの数字を以下の式に当てはめることにより求めることができる。
ロビボンド比色値(25.4mmセル)=Y+10×R+10×B
Y:黄色スライドの数字
R:赤色スライドの数字
B:青色スライドの数字
本発明の分離液状調味料中の胡麻油の含有量は、1~20質量%であり、好ましくは3~15質量%、最も好ましくは5~10質量%である。胡麻油の含有量が上記の範囲にあると、本発明の効果を奏しやすい。また、本発明の分離液状調味料の油相中における、胡麻油の含有量は10~100質量%であり、好ましくは15~95質量%、より好ましくは20~80質量%、最も好ましくは35~65質量%である。
本発明の水相は、従来の分離液状調味料の水相成分と同様のものが使用できる。具体的には、本発明の効果を損なわない範囲で、食酢等の液状調味料、食塩、糖、フレーバー等の呈味料、更に調味料、安定剤、着色料等の各種添加剤、及び粉砕した野菜や果実の固形分が挙げられる。また、加水時に使用する水は、特に限定されず、水道水、井水、精製水、イオン交換水等を用いることができる。
本発明の分離液状調味料中の水相の含有量は、好ましくは60~95質量%、より好ましくは70~92質量%、最も好ましくは80~90質量%である。
また、本発明の分離液状調味料が食塩を含む場合は、水相中の食塩の含有量は、好ましくは2~15質量%、より好ましくは3~12質量%、最も好ましくは4~10質量%である。さらに、本発明の分離液状調味料が食酢を含む場合は、水相中の食酢の含有量は酢の酢酸酸度によるが、酢酸酸度として、好ましくは0.3~3質量%、より好ましくは0.5~2.5質量%、最も好ましくは0.7~2質量%である。
本発明におけるにんにく粉砕物は、食用で使用される生にんにくを細かく刻んだり、すり下ろした形態や、それらを乾燥(例えば、凍結乾燥など)したものであってもよい。前記にんにく粉砕物の粒子径は特に限定されないが、15~100メッシュ(JIS規格)が90%以上である、にんにく粉砕物を使用することが好ましい。
本発明の分離液状調味料は、通常の分離液状調味料の製造方法に従って製造できる。例えば、本発明の分離液状調味料の一つの態様であるドレッシングの製造方法の場合、油相と水相を別々に調製し、重層して製造する。具体的には、食用油(胡麻油を含有する)、及び油溶性原料を均一に混合し油相部を調製し、それとは別に、水相の原料(例えば、糖類、増粘多糖類、酢、食塩、水等)を加熱撹拌して原料を均一に分散させ水相部を調製する。水相部の加熱攪拌は加圧、減圧又は常圧下で可能であり、通常は常圧下で行われる。加熱温度に特に制限はなく、原材料が溶解、殺菌がなされる温度であればよく、通常は40~95℃の温度で、好ましくは60~95℃の温度で行われる。攪拌は原料が均一に分散できるものであればどのようなものでも実施することができ、例えば、プロペラ、ホモミキサー、ブレンダー、ディスパー、パドルミキサー、スタティックミキサー、超音波等の攪拌機又は方法を用いることができる。その後、常温程度まで冷却し、得られた水相部に、別で調製した油相部を加えて重層することによってドレッシングを得る。
本発明の分離液状調味料の胡麻油の風味増強方法によれば、胡麻油を含有する分離液状調味料に、にんにく粉砕物を固形分換算で特定量配合することにより、該分離液状調味料の胡麻油の風味を増強することができる。
表1~3の配合に従い、油脂以外の各種原料、及び水を撹拌機付きの加温可能な容器に投入し、撹拌しながら品温が90℃になるまで加熱保持して原料を溶解し、その後、室温まで冷却して水相部を調製した。次に、透明の容器に水相部を充填後、別に菜種油と胡麻油とを混合した油相部を重層して密封し分離液状ドレッシング(実施例1~9、比較例1~6)を製造した。また、表1~3の各種の分離液状ドレッシングにおいて、にんにく粉砕物を含有していない分離液状ドレッシングも製造し、対照例(対照例1~3)とした。
なお、胡麻油は、日清オイリオグループ(株)製の日清純正ごま油本胡麻絞り(ロビボンド比色値:182)を使用し、にんにく粉砕物は、ヤスマ(株)製のガーリックコースA(固形分94.2質量%、18~60メッシュ(JIS規格)が90%以上)を使用した。
分離液状ドレッシングのスパイスの風味評価は、上記で製造した容器入り分離液状ドレッシングを上下に10回振って一時的に乳化し、これをカットレタス10gの上に5gかけたサラダについて、5名の専門パネルが食して下記の採点基準に従い採点し、5名の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1~3に示す。
(採点基準)
2点:対照例と比べて、1点よりもさらに胡麻油の風味が強く、かつ、持続して感じられる。
1点:対照例と比べて、胡麻油の風味が強く、かつ、持続して感じられる。
0点:対照例と比べて、胡麻油の風味が同等又は弱く感じられる。もしくは、にんにくに由来するエグ味が強く感じられる。
(評価基準)
9点以上、10点以下:◎(非常に良好)
6点以上、8点以下 :○(良好)
0点以上、5点以下 :×(不良)
Claims (3)
- 胡麻油を5~10質量%含有する分離液状調味料に、にんにく粉砕物を固形分換算で0.30~0.80質量%配合し、かつ、該胡麻油に対する該にんにく粉砕物の含有量比を0.050~0.080とする、該分離液状調味料の胡麻油の風味増強方法。
- 胡麻油を5~10質量%、及びにんにく粉砕物を固形分換算で0.30~0.80質量%含有し、かつ、該胡麻油に対する該にんにく粉砕物の含有量比が0.050~0.080である、分離液状調味料。
- 油相を10~30質量%含有する請求項2に記載の分離液状調味料。
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