JP2021000033A - チリソース、チリソース調製用組成物及びチリソース調製用組成物の製造方法 - Google Patents

チリソース、チリソース調製用組成物及びチリソース調製用組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、強いトップインパクトのあるチリソース及びチリソース調製用組成物を提供することを解決課題とする。【解決手段】本発明のチリソースは、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有することにより、トップインパクトのある香味特性を有する。本発明のチリソース調製用組成物は、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上及び未糊化デンプンを含有する。本発明のチリソースを調理することでチリソースを調製することができる。本発明はまた、容器に充填されたチリソース調製用組成物の製造方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、チリソースに関する。
本発明はまた、チリソースを調製するためのチリソース調製用組成物に関する。
本発明はまた、チリソース調製用組成物の製造方法に関する。
トマト加工品品質表示基準においてチリソースとはトマトベースに香辛料等を加えて調味したものと定義されている。チリソースに配合される香辛料としてはトウガラシ等が用いられている。
特許文献1は、酢酸及び蔗糖を特定の濃度で含む酢酸発酵液に、生とうがらし又はその処理物を添加し、熟成せしめることを特徴とする、チリソースの製造法に関する。このようにして調製したチリソースでは、刺激的で強烈な辛味を、口当りのよい温和な辛味とすることができる。
特開2001−340067号公報
トウガラシを主たる香辛料として含むチリソースの香味特性としては、辛味が強いが、香味が単調で、トップインパクト(豊かな芳香及び香味と、これらを引き立てる刺激香を有する性能のことをいう)が不足するという課題があった。上記の特許文献1に記載の技術は、チリソースの香味特性として、トップインパクトを改善する技術ではない。
また、一般に、レトルトパウチ入りのチリソースや、加水後に加熱することでチリソースを調製するためのチリソース調製用組成物が上市されている。これらでは、トップインパクトのある香味が満足されず、また、レトルト処理を施すことによって、更に香味が低下しやすく、香味を維持することが困難であるという問題点がある。
そこで本発明は、トップインパクトのあるチリソース及びチリソース調製用組成物を提供することを解決課題とする。
本発明者らは、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有するチリソースが、トップインパクトのある辛味を有していることを見出し、以下の発明を完成するにいたった。
(1)青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有するチリソース。
(2)青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有するチリソース調製用組成物。
(3)酢酸リナリル及びテルピネン−4−オールを香気成分として含み、ガスクロマトグラフィー質量分析法により香気成分のピーク面積を測定したときの、酢酸リナリルに由来するピーク面積が、テルピネン−4−オールに由来するピーク面積の20倍以上である、(1)に記載のチリソース、又は、(2)に記載のチリソース調製用組成物。
(4)青花椒(乾燥物換算)を、チリソース全量あたり0.1〜1質量%含有する、及び/又は、青花椒抽出物を、チリソース全量あたり0.01〜3質量%含有する、(1)又は(3)に記載のチリソース。
(5)青花椒(乾燥物換算)を、チリソース調製用組成物全量あたり0.3〜3質量%含有する、及び/又は、青花椒抽出物を、チリソース調製用組成物全量あたり0.03〜9質量%含有する、(2)又は(3)に記載のチリソース調製用組成物。
(6)未糊化デンプンを更に含む、(2)、(3)又は(5)に記載のチリソース調製用組成物。
(7)トマト原料、未糊化デンプン、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上、並びに、水を含有する、容器に充填されたチリソース調製用組成物の製造方法であって、
(工程1)トマト原料及び水を含有する原料混合物を加熱調理して加熱調理組成物を調製する工程、
(工程2)90℃以下の温度の前記加熱調理組成物と、未糊化デンプンと、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上とを混合してチリソース調製用組成物を調製する工程、並びに、
(工程3)チリソース調製用組成物を容器充填及び加熱殺菌処理する工程
を含むことを特徴とするチリソース調製用組成物の製造方法。
(8)工程3における加熱殺菌処理を、チリソース調製用組成物の温度が90℃以下となる条件で行う、(7)に記載のチリソース調製用組成物の製造方法。
本発明のチリソースは、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含むことにより、トップインパクトを有する。また、当該トップインパクトは、レトルト処理等で失われにくいという特性がある。
本発明のチリソース調製用組成物を調理することで、トップインパクトを有するチリソースを調製することができる。
本発明のチリソース調製用組成物の製造方法は、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上に特有の香味を損なうことなく、トップインパクトを有するチリソースを調製することができるチリソース調製用組成物を製造することができる。
異なる試料から取得した揮発成分試料のガスクロマトグラフィー質量分析によるトータルイオンクロマトグラムを示す。図1A:青花椒油脂抽出物、図1B:花椒油脂抽出物、図1C:実施例1の工程2での加熱殺菌処理を行う前のチリソース調製用組成物、図1D:実施例6にて120℃でレトルト加熱殺菌後のチリソース調製用組成物。 異なる試料から取得した揮発成分試料のガスクロマトグラフィー質量分析において記録された質量スペクトルデータから、酢酸リナリルを代表する質量電荷比のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間36.77分から36.68分の部分)を示す。図2A:青花椒油脂抽出物、図2B:花椒油脂抽出物、図2C:実施例1の工程2での加熱殺菌処理を行う前のチリソース調製用組成物、図2D:実施例6にて120℃でレトルト加熱殺菌後のチリソース調製用組成物。 異なる試料から取得した揮発成分試料のガスクロマトグラフィー質量分析において記録された質量スペクトルデータから、テルピネン−4−オールを代表する質量電荷比のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間40.10分から40.58分の部分)を示す。図3A:青花椒油脂抽出物、図3B:花椒油脂抽出物、図3C:実施例1の工程2での加熱殺菌処理を行う前のチリソース調製用組成物、図3D:実施例6にて120℃でレトルト加熱殺菌後のチリソース調製用組成物。
<青花椒及び他の香辛料>
本発明において青花椒とは、藤椒又は花椒の青い実(若い実)のことをいう。
青花椒の形態は任意であり、生あるいは乾燥物の、ホール、粉砕物等を使用できる。果皮又は果実のいずれも用い得、果皮及び果実(全果)が好ましい。
青花椒抽出物は、青花椒の果皮又は果実の抽出物であり、果皮及び果実の抽出物(全果抽出物)が好ましい。溶剤や抽出方法は、限定されない。一般には、油脂、熱水、アルコール等の溶媒を使用して抽出すればよい。油脂抽出物であることが好ましい。青花椒の油脂抽出物は、青花椒の固形分1に対して、油脂が1以上、好ましくは3〜4の質量比となる比率で用い、常法により行うとよい。例えば前記質量比の青花椒と油脂との混合物を、50〜100℃の温度で、10〜60分間保持して、青花椒の油溶成分を油脂中に抽出し、その後に固体をろ別してろ液を油脂抽出物として回収することができる。抽出後に固体をろ別せずに、油脂抽出物として回収してもよい。油脂は常温で液状の油脂を用いることが好ましく、例えば菜種油、大豆油等の食用油を用いることができる。
本発明では他の香辛料を更に用いることができる。
他の香辛料としては、ショウガ、花椒、トウガラシ等が挙げられる。
ショウガの形態は任意であり、生あるいは乾燥物の、切片又は粉砕物等の形態であってよい。ショウガ抽出物を用いることもできる
花椒の形態は任意であり、生あるいは乾燥物の、ホール、粉砕物等を使用できる。果皮又は果実のいずれも用い得る。花椒抽出物を用いることもできる。
ショウガ抽出物及び花椒抽出物は、上記の青花椒抽出物と同様に、油脂、熱水、アルコール等の溶媒を使用して抽出すればよく、油脂抽出物であることが好ましい。ショウガ及び花椒の油脂抽出物の製造は、青花椒の油脂抽出物と同様の条件で行うことができる。
<チリソース>
トマト加工品品質表示基準(消費者庁)にはチリソースとは、次に掲げるものをいうと定義されている。
1 トマトを刻み、又は粗く砕き、種子の大部分を残したまま皮を除去した後濃縮したもの(固形状のものを除く。)に食塩、香辛料、食酢及び砂糖類を加えて調味したもので可溶性固形分が25%以上のもの
2 1にたまねぎ、にんにく、ピーマン、セルリーその他の野菜類、酸味料(かんきつ類の果汁を含む。)、調味料(アミノ酸等)、カルシウム塩等(野菜類以外の農畜水産物及び着色料を除く。)を加えたもので可溶性固形分が25%以上のもの
本発明において「チリソース」という用語は、この定義に該当するものと、一般に「チリソース」といわれているものを含む。
本発明の一以上の実施形態に係るチリソースは、糊化デンプンを含み粘性が付与されたチリソースであることが好ましい。このようなチリソースは、未糊化デンプンを含むチリソース調製用組成物に、必要に応じて加水した後に、加熱してデンプンを糊化することにより調製することができる。
本発明のチリソースは、香辛料の少なくとも一部として、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有することを特徴とする。この特徴を備えたチリソースは、柑橘系の爽やかな香りを有し、青花椒の豊かな芳香及び香味と、それを引き立てる刺激香(トップインパクト)を呈する。
青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有する本発明のチリソースは、酢酸リナリル(Linalyl acetate)及びテルピネン−4−オール(Terpinen−4−ol)を香気成分として含み、ガスクロマトグラフィー質量分析法により前記チリソース中の香気成分のピーク面積を測定したときの、酢酸リナリルに由来するピーク面積が、テルピネン−4−オールに由来するピーク面積の20倍以上、より好ましくは40倍以上、より好ましくは50倍以上、より好ましくは60倍以上、より好ましくは70倍以上であることを特徴とする。
ここで、酢酸リナリルは、CAS:115−95−7で登録された、香気成分となる物質である。テルピネン−4−オールは、CAS:20126−76−5で登録された、香気成分となる物質である。
具体的には、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有する本発明のチリソースは、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法により吸着される揮発成分試料をガスクロマトグラフィー質量分析法により分析して取得したトータルイオンクロマトグラムにおいて、酢酸リナリルに由来するピーク面積が、テルピネン−4−オールに由来するピーク面積の、好ましくは20倍以上、より好ましくは40倍以上、より好ましくは50倍以上、より好ましくは60倍以上、より好ましくは70倍以上であることを特徴とする。
これらの特徴を備えるチリソースは、青花椒に由来する上記の好ましい香味が特に顕著である。前記の酢酸リナリルに由来するピーク面積は、前記のテルピネン−4−オールに由来するピーク面積のより好ましくは200倍以下、特に好ましくは100倍以下である。
ガスクロマトグラフィー質量分析法では実施例の「GC/MS分析」の「使用機器」、「ガスクロマトグラフィー」、「質量分析」の各欄に記載の条件を用いて実施することができる。ヘッドスペース固相マイクロ抽出法は、実施例の「GC/MS分析」の「固相マイクロ抽出(SPME)」の欄に記載の条件を用いて実施することができる。ヘッドスペース固相マイクロ抽出法及びガスクロマトグラフィー質量分析法の具体的な実施形態としては実施例に記載の方法が例示できる。
本発明のチリソース中での酢酸リナリル及びテルピネン−4−オールの含有量は特に限定されず、例えば、青花椒及び/又は青花椒抽出物を、下記する含有量で配合することで、両者の含有量が所定量となる。
本発明のチリソースの別の好ましい実施形態では、青花椒(乾燥物換算)を、チリソース全量あたり0.1〜1質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%含有する。本発明のチリソースの別の好ましい実施形態では、青花椒抽出物を、チリソース全量あたり0.01〜3質量%、好ましくは0.2〜0.8質量%含有する。青花椒又は青花椒抽出物の含有量が範囲であるチリソースは、青花椒に由来する上記の好ましい風味が特に顕著である。
本発明のチリソースの別の好ましい実施形態は、ショウガ及びショウガ抽出物から選択される1以上を更に含有する。この実施形態によれば、青花椒又は青花椒抽出物によるトップインパクトが更に高められる。この実施形態のチリソースにおける、ショウガ及びショウガ抽出物から選択される1以上の含有量は特に限定されないが、ショウガ(乾燥物換算)を、チリソース全量あたり0.1〜1質量%含有し、及び/又は、ショウガ抽出物を、チリソース全量あたり0.01〜3質量%含有する例が挙げられる。
本発明のチリソースは、上記で挙げたような香辛料のほか、トマト原料、調味料、油脂、デンプン、糖質、野菜類(たまねぎ、にんにく、ピーマン、セルリー等)、水等の成分を含む。
トマト原料としては、トマトペーストが例示できる。
調味料としては、例えば、食塩等の無機塩、トウガラシ等の更なる香辛料、エキス類(畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキス、酵母エキス)、砂糖等の糖、アスコルビン酸、リンゴ酸、クエン酸、脂肪酸等のカルボン酸等の酸、食酢、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、アラニン等のアミノ酸類、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の核酸等が挙げられる。
油脂としては、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブオイル、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、サフラワー油、パーム油、米油等の植物油脂、牛脂(ヘット)、豚脂(ラード)、魚油、バター、ギー等の動物油脂、ジアシルグリセロール、マーガリン等の加工油脂が挙げられる。
デンプンとしては、小麦デンプン、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン等のデンプンが挙げられる。デンプンは、小麦粉、米粉、もち米粉等のデンプンを含有する穀物粉の形態であってもよい。上記デンプンに対し、湿熱処理を行った湿熱処理澱粉や、架橋や官能基付与等の化学修飾した加工澱粉を使用してもよい。デンプンは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい
糖質としては、ブドウ糖等の単糖、ショ糖、麦芽糖、トレハロース等の二糖、オリゴ糖、マルトシルトレハロース、水あめ、デキストリン、糖アルコール(キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、オリゴ糖アルコール等)等が挙げられる。糖質は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。糖質は水溶性の糖質であることが好ましい。糖質はデンプンを含まない。
本発明の一以上の実施形態に係るチリソースは、糊化デンプンを含み粘性が付与されたチリソースであることが好ましい。糊化デンプンの材料は、前掲のものが挙げられる。
<チリソース調製用組成物>
本発明のチリソース調製用組成物は、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有することを特徴とする。
本発明のチリソース調製用組成物は、前述のチリソースを調製し得るもので、例えば、直接に加熱等で調理することにより、或いは、加水(希釈)した後に加熱等で調理することにより、チリソースを調製し得るものである。
本発明のチリソース調製用組成物は、一実施形態において、未糊化デンプンを更に含有する。未糊化デンプンを含むチリソース調製用組成物は、加熱等により未糊化デンプンを糊化して、粘性を呈するチリソースを調製するために用いることができる。
本発明のチリソース調製用組成物を用いて調製されるチリソースは、柑橘系の爽やかな香味を有し、青花椒の豊かな芳香及び香味と、それを引き立てる刺激香(トップインパクト)を呈する。
青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有する本発明のチリソース調製用組成物は、酢酸リナリル及びテルピネン−4−オールを香気成分として含み、ガスクロマトグラフィー質量分析法により前記チリソース中の香気成分のピーク面積を測定したときの、酢酸リナリルに由来するピーク面積が、テルピネン−4−オールに由来するピーク面積の20倍以上、より好ましくは40倍以上、より好ましくは50倍以上、より好ましくは60倍以上、より好ましくは70倍以上であることを特徴とする。
具体的には、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有する本発明のチリソース調製用組成物は、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法により吸着される揮発成分試料を、ガスクロマトグラフィー質量分析法により分析して取得したトータルイオンクロマトグラムにおいて、酢酸リナリルに由来するピーク面積が、テルピネン−4−オールに由来するピーク面積の、好ましくは20倍以上、より好ましくは40倍以上、より好ましくは50倍以上、より好ましくは60倍以上、より好ましくは70倍以上であることを特徴とする。この特徴を備えるチリソース調製用組成物から調製されるチリソースは、青花椒に由来する上記の好ましい香味が特に顕著である。前記の酢酸リナリルに由来するピーク面積は、前記のテルピネン−4−オールに由来するピーク面積のより好ましくは200倍以下、特に好ましくは100倍以下である。
ガスクロマトグラフィー質量分析法では実施例の「GC/MS分析」の「使用機器」、「ガスクロマトグラフィー」、「質量分析」の各欄に記載の条件を用いて実施することができる。ヘッドスペース固相マイクロ抽出法は、実施例の「GC/MS分析」の「固相マイクロ抽出(SPME)」の欄に記載の条件を用いて実施することができる。ヘッドスペース固相マイクロ抽出法及びガスクロマトグラフィー質量分析法の具体的な実施形態としては実施例に記載の方法が例示できる。
本発明のチリソース調製用組成物中での酢酸リナリル及びテルピネン−4−オールの含有量は特に限定されず、例えば、青花椒及び/又は青花椒抽出物を、下記する含有量で配合することで、両者の含有量が所定量となる。なお、本明細書において、チリソース調製用組成物中での各成分、材料の含有量は、チリソースを調製する際の、希釈率が2〜3体積倍(例えば、体積比で調製用組成物1:水1〜2)の当該組成物中の割合を示す。
本発明のチリソース調製用組成物の別の好ましい実施形態では、青花椒(乾燥物換算)を、チリソース調製用組成物全量あたり0.3〜3質量%含有する。本発明のチリソース調製用組成物の別の好ましい実施形態では、青花椒抽出物を、チリソース調製用組成物全量あたり0.03〜9質量%含有する。青花椒又は青花椒抽出物の含有量が範囲であるチリソース調製用組成物から得られるチリソースは、青花椒に由来する上記の好ましい香味が特に顕著である。
本発明のチリソース調製用組成物の別の好ましい実施形態は、ショウガ及びショウガ抽出物から選択される1以上を更に含有する。この実施形態によれば、青花椒又は青花椒抽出物によるトップインパクトが更に高められる。この実施形態のチリソース調製用組成物における、ショウガ及びショウガ抽出物から選択される1以上の含有量は特に限定されないが、ショウガ(乾燥物換算)を、チリソース調製用組成物全量あたり0.3〜3質量%含有する、及び/又は、ショウガ抽出物を、チリソース調製用組成物全量あたり0.03〜9質量%含有する例が挙げられる。
本発明のチリソース調製用組成物は、未糊化デンプンを更に含むものであってもよい。この実施形態に係る未糊化デンプンを更に含むチリソース調製用組成物を、直接に加熱することにより、或いは、加水した後に加熱することにより、未糊化デンプンを糊化して、粘性を呈するチリソースを調製する形態とする場合も、前記のチリソース及びチリソース調製用組成物と同様の組成を取り得る。すなわち、チリソース調製用組成物は、前記で挙げたような香辛料のほか、トマト原料、調味料、油脂、デンプン、糖質、野菜類(たまねぎ、にんにく、ピーマン、セルリー等)、水等の成分を含む。各成分の具体例はチリソースに関して既述の通りである。
本発明のチリソース調製用組成物の特に好ましい実施形態は、トマト原料、未糊化デンプン、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上、並びに、水を含有する。本実施形態に係るチリソース調製用組成物は更に糖質を含有することが好ましい。
前記のチリソース調製用組成物では、未糊化デンプンを含有することで、安定な粘性を呈するチリソースを調製することができる。糖質を含有することで、加熱殺菌処理等の際澱粉の糊化を抑制して、未糊化デンプンを維持し、かつ、下記するような適切な条件で加熱殺菌処理された、チリソース調製用組成物を提供することができる。
<チリソース調製用組成物の製造方法>
本発明はまた、前記の形態のチリソース調製用組成物を製造するための製造方法として、次の発明を包含する。すなわち、トマト原料、未糊化デンプン、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上、並びに、水を含有する、容器に充填されたチリソース調製用組成物の製造方法であって、
(工程1)トマト原料及び水を含有する原料混合物を加熱調理して加熱調理組成物を調製する工程、
(工程2)90℃以下の温度の前記加熱調理組成物と、未糊化デンプンと、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上とを混合してチリソース調製用組成物を調製する工程、並びに、
(工程3)チリソース調製用組成物を容器充填及び加熱殺菌処理する工程
を含むことを特徴とするチリソース調製用組成物の製造方法に関する。
上記の製造方法において、原料に糖質を更に含み、糖質を、それぞれ、工程1の原料混合物及び工程2のチリソース調製用組成物の一方又は両方に添加することができる。
これらの方法によれば、チリソース調製用組成物の、デンプンの糊化による増粘、及び、組成物中でのデンプンの沈降分離を効果的に抑制することができ、同時に、保存性があり、安定な粘性を呈するチリソースを調製することができる、チリソース調製用組成物を提供できる。
このことから、工程1では、トマト原料及び水を含有する原料混合物を撹拌混合しながら、混合物の温度が例えば60〜95℃に達するまで加熱調理したのち、90℃以下、例えば20〜80℃まで冷却して、加熱調理組成物を調製することが好ましい。
工程2では、90℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下、特に好ましくは20℃〜30℃の温度にまで冷却された工程1で得た加熱調理組成物と、未糊化デンプンと、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上とを混合してチリソース調製用組成物を調製する。工程2では、未糊化デンプンが高温に曝されないため、糊化が抑制される。また、工程2では、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上が高温に曝されないため、それらに含まれる香気成分が揮散せず、最終的なチリソースに、トップインパクトを付与することができる。
糖質は、それぞれ、工程1の原料混合物に添加してもよいし、工程2のチリソース調製用組成物に添加してもよいし、両方に添加してもよい。糖質は、前記製造方法において、デンプンの糊化を抑制し、チリソース調製用組成物においてデンプンの沈降分離を抑制する作用を奏する。
工程3では、チリソース調製用組成物を容器に充填し密封する。容器としては内容物を取り出し可能なものであれば限定されないが、例えばパウチ状容器、口栓付きパウチ、チューブ状容器、ボトル状容器、缶、瓶容器などを利用することができる。
工程3でのチリソース調製用組成物の容器への充填密封と加熱殺菌処理との順序は特に限定されず、加熱殺菌処理はチリソース調製用組成物の容器への充填前に行ってもよいし、容器への充填後に行ってもよいし、あるいは容器への充填の前後に行うこともできる。典型的には、チリソース調製用組成物を容器に充填密封した後に加熱殺菌処理を施す様式(後殺菌)と、チリソース調製用組成物を予め加熱殺菌処理し、加熱殺菌処理の温度を保持した状態で容器に充填密封し、容器を殺菌する様式(ホットパック殺菌)とが挙げられる。
工程3では、より好ましくは、加熱殺菌処理を、チリソース調製用組成物の温度が90℃以下となる条件で行う。この温度での加熱殺菌処理では、チリソース調製用組成物中の未糊化デンプンが高温に曝されないため、糊化が抑制されるとともに、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上が高温に曝されないため、それらに含まれる香気成分が揮散せず、最終的なチリソースに、トップインパクトを付与することができるため好ましい。
工程3での加熱殺菌処理温度はより好ましくは60℃〜90℃、特に好ましくは60℃〜85℃、更に好ましくは65℃〜85℃である。
<青花椒の油脂抽出物>
(1)粉砕した青花椒(花椒の若い青い実)の全果乾燥物:25質量%
(2)菜種油:75質量%
約100℃に加熱した(2)に、(1)を添加して、約3分間混合した。混合物をろ過し、(1)の固形物を分離して、青花椒の油脂抽出物を調製した。
(GC/MS分析)
前記青花椒油脂抽出物を、以下の条件でGC/MS分析に供した。
(サンプルの調製)
前記青花椒油脂抽出物に、5ppbの割合で2,3−ジメチル−5−インプロピルビラジンを内部標準物質として添加した試料を分析に供した。後記チリソース調製用組成物の場合も同様に試料に供した。
(使用機器)
ガスクロマトグラフ質量分析計(ThermoFisherScientific社製)
(固相マイクロ抽出(SPME))
SMPE用ファイバー:120μm厚カーボンモレキュラーシーブ分散ポリジメチルシロキサン flexタイプ
吸着条件:ファイバーを、試料とともに収容し密閉したバイアル内で60℃、15分間暴露して揮発成分を吸着させる。
(ガスクロマトグラフィー)
カラム:Agilent DB−WAX(60m×0.25mm,0.25μm)
注入口:250℃
カラムオーブン昇温条件:40℃(1min)→2.5℃/min→200℃→30℃/min→245℃(5min)
(質量分析)
イオン源:230℃
イオン化電圧:70eV
スキャン範囲:30m/zから450m/z
イオン化法:EIイオン化
スキャンモード:フルスキャン
青花椒油脂抽出物のガスクロマトグラフィー質量分析によるトータルイオンクロマトグラムを図1Aに示す。青花椒油脂抽出物のガスクロマトグラフィー質量分析において記録された質量スペクトルデータから、酢酸リナリルを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間36.77分から36.68分の部分)を図2Aに示し、テルピネン−4−オールを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間40.10分から40.58分の部分)を図3Aに示す。
図1Aに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間37.5分付近のピークが酢酸リナリルと同定され、そのピーク面積は約991.42×10であった。図1Aに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間40.4分付近のピーク(図1Aでは表示されていないが、図3Aに表れる)がルピネン−4−オールと同定され、そのピーク面積は約17.13×10であった。酢酸リナリルのピーク面積は、テルピネン−4−オールのピーク面積の約58倍であった。
<花椒の油脂抽出物>
(1)粉砕した花椒の全果乾燥物:25質量%
(2)菜種油:75質量%
約100℃に加熱した(2)に、(1)を添加して、約3分間混合した。混合物をろ過し、(1)の固形物を分離して、花椒の油脂抽出物を調製した。
花椒油脂抽出物のガスクロマトグラフィー質量分析によるトータルイオンクロマトグラムを図1Bに示す。花椒油脂抽出物のガスクロマトグラフィー質量分析において記録された質量スペクトルデータから、酢酸リナリルを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間36.77分から36.68分の部分)を図2Bに示し、テルピネン−4−オールを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間40.10分から40.58分の部分)を図3Bに示す。
図1Bに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間37.5分付近のピークが酢酸リナリルと同定され、そのピーク面積は約131.49×10であった。図1Bに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間40.4分付近のピークがテルピネン−4−オールと同定され、そのピーク面積は約16.74×10であった。酢酸リナリルのピーク面積は、テルピネン−4−オールのピーク面積の約8倍であった。
<チリソース調製用組成物>
糊化していないコーンスターチを含み、水と混合して加熱することにより粘性を呈するチリソースを調製することのできる組成物(以下「チリソース調製用組成物」と称する)として、下記表に示す組成の実施例1〜6及び比較例1を調製した。
青花椒油脂抽出物及び花椒油脂抽出物は、前記のものを使用した。青花椒粉末は、青花椒の実(花椒の若い青い実)の全果乾燥物の粉砕物である。
(組成)
表中で各成分の配合量の単位は質量%である。
Figure 2021000033
(製造方法)
上記の組成を有する実施例1〜6及び比較例1のチリソース調製用組成物を以下の工程により調製した。
(工程1)
成分(2)、(3)、(5)、(6)、(7)及び(9)の全部と、(8)の一部とを混合し、混合物を約95℃で加熱処理して、加熱調理組成物を調製した。
(工程2)
ほぼ常温に冷却した前記加熱調理組成物と、成分(1)及び(4)の全部と、(8)の残部とを混合して、ペースト状のチリソース調製用組成物を調製した。
(工程3)
工程2で得られた前記チリソース調製用組成物を、100gずつ柔軟性のパウチ状容器に充填して密封した。密封した容器を、中心温度が80℃(実施例6では120℃)となるように加熱殺菌処理した。
(調理、官能評価)
白身魚の切り身約200gを油で焼き、前記チリソース調製用組成物1袋分(100g)と水200gを加え、混ぜながら煮込んで、白身魚のチリソース煮を調理した。
8名のパネラーが、調理したチリソースを喫食して「トップインパクト」、「全体の香味」を評価した。
「トップインパクト」の評価基準
◎:チリソースは、口に入れた瞬間に、柑橘系の爽やかな香りと香味を感じ、青花椒の豊かな芳香及び香味と、これらを引き立てる刺激香を有する性能(トップインパクト)を有する、特有の香味特性のものである。
○:口に入れた瞬間に、柑橘系の爽やかな香りと香味、トップインパクトを感じるが、◎より弱い。
△:柑橘系の爽やかな香りと香味、トップインパクトを感じにくく、香り立ちがやや遅い。
「全体の香味」の評価基準
◎:トップインパクトがあり、全体的に香味にまとまりがある。
◎+α:トップインパクトの立ち上がりが、◎よりさらに良くなる。
※1:トップインパクトはあるが、原料由来の痺れと辛味がやや強いため、◎ほどまとまりがない。
※2:トップインパクトは◎より弱いが、全体的にまとまりがある。
△:トップインパクトが弱く、香味のまとまりにやや欠ける。
(実施例1のチリソース調製用組成物から調製したチリソース)
実施例1のチリソース調製用組成物から調製したチリソースは、トップインパクトのある特有の香味特性のものであり、白身魚の風味を引き立てるものであった。
また、実施例1の工程2で調製したチリソース調製用組成物を、工程3の加熱殺菌処理を施さず、そのまま前記の場合と同様に用いて、白身魚のチリソース煮を調理したところ、トップインパクトのある香味特性のものであり、白身魚の風味を引き立てるものであった。つまり、工程3の加熱殺菌処理を施したチリソース調製用組成物は、加熱殺菌処理前のものと同等の、香味の特性をもつ、高品質のものであった。
さらに、実施例1のチリソース調製用組成物について、前記工程2での加熱殺菌処理を行う前の試料、及び前記工程3での加熱殺菌処理した後の試料について、内部標準物質の量を500ppbの割合とした以外は、前記と同様にガスクロマトグラフィー質量分析を行った。なお、チリソース及びチリソース調製用組成物の分析においては、全て前記の割合で内部標準物質を添加した。
実施例1の前記工程2での加熱殺菌処理を行う前の試料のガスクロマトグラフィー質量分析によるトータルイオンクロマトグラムを図1Cに示す。このガスクロマトグラフィー質量分析において記録された質量スペクトルデータから、酢酸リナリルを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間36.77分から36.68分の部分)を図2Cに示し、テルピネン−4−オールを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間40.10分から40.58分の部分)を図3Cに示す。
図1Cに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間37.4分付近のピークが酢酸リナリルと同定され、そのピーク面積は約89.54×10であった。図1Cに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間40.4分付近のピークがテルピネン−4−オールと同定され、そのピーク面積は約1.17×10であった。酢酸リナリルのピーク面積は、テルピネン−4−オールのピーク面積の約77倍であった。
図示しないが、実施例1の前記工程3での加熱殺菌処理後の試料のガスクロマトグラフィー質量分析によるトータルイオンクロマトグラムは、図1Cに示したトータルイオンクロマトグラムと実質的に同一であり、酢酸リナリルのピーク面積は、テルピネン−4−オールのピーク面積の約77倍であった。
ここで、前記酢酸リナリル及び前記テルピネン−4−オールは、いずれも香味成分であり、特に前記酢酸リナリルがトップインパクトのある香味を形成し、これらのトータルイオンクロマトグラムが、本発明で特定したものとなることで、チリソースがトップインパクトのある特有の香味特性を有するものとなることが分かった。つまり、前記酢酸リナリル及び前記テルピネン−4−オールが、本発明で特定したトータルイオンクロマトグラムとなるチリソース調製用組成物によって、求める香味特性のチリソースを調理することができる。
(実施例2)
実施例2のチリソース調製用組成物は、実施例1のチリソース調製用組成物と比較して、青花椒油脂抽出物の配合量が多く、ショウガ末を含まない点が異なる。
実施例2のチリソース調製用組成物から調製したチリソースは、実施例1と同様にトップインパクトのある香味特性を有していたが、全体の香味が実施例1と比較してやや低評価であった。
(実施例3)
実施例3のチリソース調製用組成物は、実施例1のチリソース調製用組成物と比較して、青花椒油脂抽出物の配合量が少なく、ショウガ末を含まない点が異なる。
実施例3のチリソース調製用組成物から調製したチリソースは、実施例1と比較して、トップインパクト、全体の香味の評価がいずれもやや低かった。
(実施例4)
実施例4のチリソース調製用組成物は、実施例1のチリソース調製用組成物と比較して、青花椒油脂抽出物ではなく青花椒粉末を含み、ショウガ末を含まない点が異なる。
実施例4のチリソース調製用組成物から調製したチリソースは、トップインパクト及び全体の香味が良好であった。
(実施例5)
実施例5のチリソース調製用組成物は、実施例1のチリソース調製用組成物と比較して、ショウガ末を含まない点が異なる。
実施例5のチリソース調製用組成物から調製したチリソースは、トップインパクト、全体の香味はいずれも良好であった。
(実施例6)
実施例6のチリソース調製用組成物は、実施例1のチリソース調製用組成物と同じ組成であるが、工程3での加熱殺菌温度が120℃である点で実施例1(加熱殺菌温度80℃)と異なる。
実施例6のチリソース調製用組成物から調製したチリソースは、トップインパクトのある香味特性を有していたが、全体の香味の評価は、実施例1と比較してやや低かった。
さらに、実施例6の前記工程3での加熱殺菌処理後のチリソース調製用組成物について、前記と同様にガスクロマトグラフィー質量分析を行った。
実施例6のチリソース調製用組成物のガスクロマトグラフィー質量分析によるトータルイオンクロマトグラムを図1Dに示す。このガスクロマトグラフィー質量分析において記録された質量スペクトルデータから、酢酸リナリルを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間36.77分から36.68分の部分)を図2Dに示し、テルピネン−4−オールを代表する質量電荷比(m/z=93.07)のイオンの強度(絶対値)を時間の関数として表した抽出イオンクロマトグラム(保持時間40.10分から40.58分の部分)を図3Dに示す。
図1Dに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間37.4分付近のピークが酢酸リナリルと同定され、そのピーク面積は約66.29×10であった。図1Dに示すトータルイオンクロマトグラムにおいて、保持時間40.4分付近のピーク(図1Dでは表示されない)がテルピネン−4−オールと同定され、そのピーク面積は約1.49×10であった。酢酸リナリルのピーク面積は、テルピネン−4−オールのピーク面積の約44倍であった。
このことから、チリソース調製用組成物を、120℃の比較的高温で加熱殺菌した場合であっても、トータルイオンクロマトグラムにおいて酢酸リナリルのピーク面積と、テルピネン−4−オールのピーク面積との比が所定の範囲内である場合に、求める香味特性のものとなることが分かった。
(比較例1)
比較例1のチリソース調製用組成物は、実施例1のチリソース調製用組成物と比較して、青花椒油脂抽出物ではなく花椒油脂抽出物を配合した点が異なる。
比較例1のチリソース調製用組成物から調製したチリソースは、実施例1と比較して、トップインパクト、全体の香味の評価がいずれも低かった。
さらに、比較例1の前記工程3での加熱殺菌処理後のチリソース調製用組成物について、前記と同様にガスクロマトグラフィー質量分析を行った。
図示しないが、比較例1のチリソース調製用組成物のガスクロマトグラフィー質量分析によるトータルイオンクロマトグラムは、図1Bに示した花椒油脂抽出物のトータルイオンクロマトグラムと実質的に同一であり、酢酸リナリルのピーク面積は、テルピネン−4−オールのピーク面積の約8倍であった。
このことから、比較例1の花椒油脂抽出物を配合したチリソース調製用組成物では、トータルイオンクロマトグラムにおいて酢酸リナリルのピーク面積と、テルピネン−4−オールのピーク面積との比が、本発明で規定した所定の範囲とならず、これを用いて調製したチリソースは、同様のトータルイオンクロマトグラムを示すもので、トップインパクトが乏しく、求める香味特性のものにならないことが分かった。
さらに、実施例2〜5のチリソース調製用組成物について、前記と同様にガスクロマトグラフィー質量分析を行った結果、トータルイオンクロマトグラムでの酢酸リナリルのピーク面積とテルピネン−4−オールのピーク面積との比が、本発明で規定した所定の範囲内となった。これらのことからも、チリソース調製用組成物から得たトータルイオンクロマトグラムでの酢酸リナリルのピーク面積とテルピネン−4−オールのピーク面積との比が、本発明で規定した所定の範囲内である場合に、それを用いて調製されるチリソースが求める香味特性のものとなることが分かった。
(実施例7)
実施例1の、前記工程2で得られたチリソース調製用組成物25gと、比較例1の、前記工程2で得られたチリソース調製用組成物75gとを混合し、前記工程3と同様にして、パウチ状容器に密封して加熱殺菌処理した。このチリソース調製用組成物を用いて、前記と同様にして白身魚のチリソース煮を調理したところ、適当にトップインパクトのある求める香味特性のものであった。
このチリソース調製用組成物は、前記の実施例1及び比較例1のチリソース調製用組成物について、ガスクロマトグラフィー質量分析を行った結果から、理論上、トータルイオンクロマトグラムでの保持時間37.4〜5分付近に現れる酢酸リナリルのピークの面積が、保持時間40.4付近に現れるテルピネン−4−オールのピークの面積の約20倍となる。
すなわち、ガスクロマトグラフィー質量分析で、トータルイオンクロマトグラムでの保持時間37.4〜5分付近に現れる酢酸リナリルのピークの面積が、保持時間40.4付近に現れるテルピネン−4−オールのピークの面積が少なくとも約20倍であれば、トップインパクトのある求める香味特性のチリソースが得られることが示された。

Claims (8)

  1. 青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有するチリソース。
  2. 青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上を含有するチリソース調製用組成物。
  3. 酢酸リナリル及びテルピネン−4−オールを香気成分として含み、ガスクロマトグラフィー質量分析法により香気成分のピーク面積を測定したときの、酢酸リナリルに由来するピーク面積が、テルピネン−4−オールに由来するピーク面積の20倍以上である、請求項1に記載のチリソース、又は、請求項2に記載のチリソース調製用組成物。
  4. 青花椒(乾燥物換算)を、チリソース全量あたり0.1〜1質量%含有する、及び/又は、青花椒抽出物を、チリソース全量あたり0.01〜3質量%含有する、請求項1又は3に記載のチリソース。
  5. 青花椒(乾燥物換算)を、チリソース調製用組成物全量あたり0.3〜3質量%含有する、及び/又は、青花椒抽出物を、チリソース調製用組成物全量あたり0.03〜9質量%含有する、請求項2又は3に記載のチリソース調製用組成物。
  6. 未糊化デンプンを更に含む、請求項2、3又は5に記載のチリソース調製用組成物。
  7. トマト原料、未糊化デンプン、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上、並びに、水を含有する、容器に充填されたチリソース調製用組成物の製造方法であって、
    (工程1)トマト原料及び水を含有する原料混合物を加熱調理して加熱調理組成物を調製する工程、
    (工程2)90℃以下の温度の前記加熱調理組成物と、未糊化デンプンと、青花椒及び青花椒抽出物から選択される1以上とを混合してチリソース調製用組成物を調製する工程、並びに、
    (工程3)チリソース調製用組成物を容器充填及び加熱殺菌処理する工程
    を含むことを特徴とするチリソース調製用組成物の製造方法。
  8. 工程3における加熱殺菌処理を、チリソース調製用組成物の温度が90℃以下となる条件で行う、請求項7に記載のチリソース調製用組成物の製造方法。
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