JP2016101149A - 液状調味料 - Google Patents

液状調味料 Download PDF

Info

Publication number
JP2016101149A
JP2016101149A JP2014242631A JP2014242631A JP2016101149A JP 2016101149 A JP2016101149 A JP 2016101149A JP 2014242631 A JP2014242631 A JP 2014242631A JP 2014242631 A JP2014242631 A JP 2014242631A JP 2016101149 A JP2016101149 A JP 2016101149A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid seasoning
fish
extract
component
knot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014242631A
Other languages
English (en)
Inventor
綾子 清水
Ayako Shimizu
綾子 清水
翔子 島田
Shoko Shimada
翔子 島田
陽平 野口
Yohei Noguchi
陽平 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kewpie Jyozo Co Ltd
QP Corp
Original Assignee
Kewpie Jyozo Co Ltd
QP Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kewpie Jyozo Co Ltd, QP Corp filed Critical Kewpie Jyozo Co Ltd
Priority to JP2014242631A priority Critical patent/JP2016101149A/ja
Publication of JP2016101149A publication Critical patent/JP2016101149A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Abstract

【課題】魚節抽出液を使用した液状調味料において、アミノ酸や香料を外添することなく、香味のバランスと旨みを向上させる。【解決手段】魚節を有機酸水溶液で抽出した魚節抽出液を含有する液状調味料であって、トリプトファン濃度が60nmol/mL以下、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(ヘッドスペースSPME−GC−MS法)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、魚節の豊かな香りを有する液状調味料に関する。
従来、魚節抽出液の製造方法としては、魚節を水で煮出す方法の他、酢酸水溶液で抽出する方法が知られており(特許文献1)、酢酸水溶液で抽出した魚節抽出液と生醤油とを混合し加熱処理することにより液状調味料を製造することが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、従来の魚節抽出液は、魚節抽出液特有の味わい深い香りや旨みと共に苦みや魚臭さも有する。そのため、魚節抽出液を使用してドレッシング、たれ、ポン酢醤油等の液状調味料を製造する場合、苦みや魚臭さを抑えて香味のバランスをとり、かつ十分な旨みを持たせるために、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸等のアミノ酸や香料を外添することがなされている。
特開2007−159550号公報 特開2010−88371号公報
上述の従来技術に対し、本発明の課題は、魚節抽出液を使用した液状調味料において、アミノ酸や香料を外添することなく、香味のバランスと旨みを向上させることにある。
本発明者は、魚節抽出液に含まれる種々の香気成分の含有量が液状調味料の香味と旨みに及ぼす影響を検討した結果、特定の成分の濃度を制御することにより、香料やアミノ酸を外添しなくても香味のバランスと旨みが向上した液状調味料を得られることを見いだし、本発明を想到した。
即ち、本発明は、魚節を有機酸水溶液で抽出した魚節抽出液を含有する液状調味料であって、トリプトファン濃度が60nmol/mL以下、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(後述のヘッドスペースSPME−GC−MS法による)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上である液状調味料を提供する。
また、本発明は、上述の液状調味料を用いた調理食品を提供する。
本発明の液状調味料は、香料やアミノ酸を外添しなくても魚節の豊かな香りを有し、かつ苦みが抑制され、味わいがすっきりしている。したがって、本発明の液状調味料を温野菜等の食品にかけると、食品がもつ食味と、本発明の液状調味料の爽やかな酸味と魚節の豊かでかつすっきりした香味とがマッチした調理食品を得ることができる。
図1は、魚節抽出液の調製時の抽出時間と成分濃度との関係図である。 図2は、魚節抽出液の調製時の抽出時間と成分濃度との関係図である。 図3は、魚節抽出液の調製時の温度と成分濃度との関係図である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を表し、「部」は質量部を表す。
<液状調味料の成分の特徴>
本発明の液状調味料は、魚節を有機酸水溶液で抽出した魚節抽出液を含有する液状調味料であって、トリプトファンの濃度が60nmol/mL以下、好ましくは30nmol/mL以下であり、かつ4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(後述のヘッドスペースSPME−GC−MS法による)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上、好ましくは40以上である。
上述のトリプトファンは苦み成分であり、臭気成分の前躯体でもある。4−エチルグアヤコールは燻製香成分であり、ジメチルスルフィドは悪臭成分である。一般に、魚節を有機酸水溶液で抽出した魚節抽出液には、これらの成分の他に、それ自体臭気成分であり他の臭気成分の前躯体でもあるシステイン、松茸香成分である1−オクテン−3−オール、グアヤコール等が含まれ、これらの含有量は、抽出材料として使用する魚節の種類、抽出時の有機酸濃度、抽出温度、抽出時間等によって変わる。
例えば、図1に示すように、鰹荒節8部を酢酸水溶液(酸度1%)92部で90℃にて抽出すると、抽出開始から30分までは相対的にシステインとジメチルスルフィドの抽出割合が高く、硫化物の臭気が強い。抽出開始30分から80分では4−エチルグアヤコールの燻製香が感じられ、硫化物の臭気は抑制されてバランスのよい香りを有し、イノシン酸濃度も高いが、次第にトリプトファン濃度もピークを迎え、苦みが強くなってくる。抽出開始80分以降では再度硫化物の臭気が強くなり、4−エチルグアヤコールの燻製香が弱くなってくる。
図2に示すように、鰹荒節8部を酢酸水溶液(酸度0.14%)92部で90℃にて抽出すると、抽出開始8分までは香りが弱く、8分から25分まではトリプトファンによる苦みやジメチルスルフィドによる悪臭の増加よりも4−エチルグアヤコールによる燻製香の影響が大きく、香り全体としては好ましいものになる。そして25分以降はトリプトファン濃度が増加し、苦みが強くなる。
また、この抽出条件で、鰹荒節2部に代えて鰹荒節1部と宗田節2部を使用すると4−エチルグアヤコールの影響をより大きくすることができ、鰹荒節2部に代えて鰹荒節2部とあご節4部を使用すると燻煙香は低下するが1−オクテン−3−オールによる香気が強くなると共にイノシン酸による旨みも増加させることができる。
図3に示すように、鰹荒節2部を酢酸水溶液(酸度0.14%)92部で異なる温度にて抽出すると、75℃では香りが弱く、80〜95℃では4−エチルグアヤコールの燻製香が強いが温度上昇と共にトリプトファン濃度が増加し、苦みが強くなり、95℃を超えると香り全体が飛散してしまう。
このように魚節抽出物に含まれる香気成分、魚臭成分、悪臭成分及び旨み成分の出方は抽出条件や魚節の種類によって異なり、魚節抽出物の香味は複数の香り成分と旨み成分のバランスで構成されている。そして、香気成分を多く抽出しようとすると苦み成分や魚臭成分も多く抽出されてしまうことが多い。しかしながら、本発明者は、魚節から抽出される種々の香気成分ないし臭気成分のうち、トリプトファンの濃度が60nmol/mL以下、好ましくは40nmol/mL以下であり、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(後述のヘッドスペースSPME−GC−MS法による)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上、好ましくは40以上となるように抽出条件を選択し、あるいは抽出物同士をブレンドすると、トリプトファン、4−エチルグアヤコール及びジメチルスルフィド以外の他の香り成分も含めた香り全体のバランスが良く、旨みも十分に引き出され、豊かでかつすっきりした味わいを得られることを見出したのである。
これに対し、トリプトファンの濃度が60nmol/mLを超える場合や、ピーク面積比(EG/DS)が25未満の場合には、4−エチルグアヤコール、グアヤコール、1−オクテン−3−オール、等の香気成分よりもジメチルスルフィド、システイン、スカトール、メルカプタン等の臭気成分の影響が強くなる。
<魚節>
本発明において、魚節とは、魚体を茹でて干しただけの「なまり節」、それを燻製にした「荒節」、さらに黴付けして熟成した「枯節」を含む。また、魚節に加工する魚体の種類としては、鰹、宗田鰹、鯖、鰯、鰺、鮪等をあげることができる。
魚節抽出液を得るにあたり、魚節としては1種を使用してもよく、魚体や加工方法により異なる複数種を合わせて使用してもよい。
<魚節の抽出方法>
本発明の液状調味料には、魚節の種類や抽出条件により選択される一種や又は複数種の魚節抽出液を含有することができ、その少なくとも一つは魚節を有機酸水溶液で抽出したものとする。魚節の抽出溶媒として有機酸水溶液を使用することにより、臭気成分であるアンモニアの飛散を抑え、またシステイン等硫化物の分解を早めることができる。
・有機酸水溶液
魚節の抽出溶媒としての有機酸水溶液を構成する有機酸としては、1個以上のカルボキシル基を有し、食材として用いられているものを使用することができる。有機酸の具体例としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、プロピオン酸、アジピン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸等を挙げることができ、これらの1種又は複数種を合わせて使用することができる。特に、産業上の入手容易性の点で酢酸を使用することができ、また、酸味のバランスの点で乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、クエン酸から選ばれる酸を使用することができる。
・有機酸の濃度
有機酸水溶液における有機酸の濃度は、産業上の入手容易性、抽出時の刺激臭抑止、および抽出効率の点から0.1〜5.0%とすることができる。
・添加剤
魚節の抽出に使用する有機酸水溶液には、浸透圧調整の点から、ショ糖、ブドウ糖、果糖、デキストリン、又はこれらの還元物等の糖類を添加することができる。糖類の添加量は、5%以下、特に1〜0%とすることができる。
また、腐敗防止、抽出率向上の点から、エタノール、酒精などのアルコール類を添加することができる。アルコール類の添加量は、10%以下、特に5〜0%とすることができる。 さらに、有機酸水溶液には、食塩、醤油等の調味料を添加してもよい。
・加熱条件
抽出時の加熱条件としては、80〜95℃で10〜80分間とすることが好ましい。また、80〜95℃に加熱した後、急冷し、常温で1〜120日間としても良い。
<液状調味料>
本発明の液状調味料は、上述のようにして得られる魚節抽出液の1種又は複数種を適宜混合し、トリプトファン濃度が60nmol/mL以下、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(後述のヘッドスペースSPME−GC−MS法による)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上となるように調整し、必要に応じて酸味料を添加することによりpH調整し、また、必要に応じて糖アルコール、糖類、塩類等を配合したものである。但し、本発明の液状調味料は好ましい魚節の香りと十分な旨みを有しているので、旨み等の増強のためにアミノ酸を添加することは不要である。
・pH
本発明の液状調味料は、必要に応じて酸を添加することによりpH4以上5以下に調整することが好ましく、特にpH4.0以上4.4以下とする。このようなpHに調整することにより、魚節抽出液の魚臭を低減させることができ、また、本発明の液状調味料を野菜にかけた場合に、野菜の苦みを緩和することができ、さらに液状調味料の保存性を向上することができる。
pH調整に使用する酸味料としては、上述の有機酸を使用することができ、特に、液状調味料を温野菜などの食品にかけた場合に、揮散した酸が鼻につかないように、グルコン酸、クエン酸等を使用することができる。また、有機酸の添加のために、有機酸を含有する米酢、りんご酢、ワインビネガー、モルトビネガー、粕酢等の醸造酢を使用してもよく、レモン、かぼすなどの柑橘果汁又はその濃縮物を使用してもよく、発酵乳酸等を使用してもよい。
・糖アルコール
本発明の液状調味料に糖アルコールを添加することにより、魚節抽出物に含まれる苦みや野菜の苦みを軽減することができる。
糖アルコールとしては、単糖の糖アルコール及び二糖の糖アルコールの少なくとも1種を使用することができ、単糖の糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール等を使用することができ、二糖の糖アルコールとしては、マルチトール等を使用することができる。本発明の液状調味料に糖アルコールを含有させるため、還元澱粉糖化物のように単糖や二糖の糖アルコールと、それ以外の糖アルコールを含んだ混合物を使用してもよい。還元澱粉糖化物としては、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、タピオカ澱粉等の澱粉類を分解して得られるデキストリン、マルトデキストリン、水飴等と称される澱粉糖化物に水素を添加して得られる還元物を使用することができる。
・糖アルコールの含有量
本発明の液状調味料に糖アルコールを含有させる場合に、その含有量は、固形分換算で液状調味料の30%以下が好ましく、特に14%以上30%以下、さらには16%以上24%以下が好ましい。糖アルコールを過度に含有させると、本発明の液状調味料を野菜にかけた場合に、野菜の風味が損なわれる場合があり、反対に糖アルコールの含有量が少なすぎると上述の糖アルコールの添加効果を得られない。
・糖類
本発明の液状調味料に糖類を添加することにより、魚節抽出物に含まれる苦みや野菜の苦みを軽減することができる。
糖類としては、果糖、ショ糖、ブドウ糖等を使用することが好ましい。糖類の添加量は液状調味料の10%以下が好ましく、特に1.5%以上10%以下が良く、2%以上8%以下が好ましい。
・塩類
本発明の液状調味料において、塩類は、本発明の液状調味料を温野菜などの食品にかけた場合の食味の向上のために添加することが好ましい。
塩類の添加量は、食塩として、液状調味料の4%以上9%以下が好ましい。
<液状調味料の製造方法>
本発明の液状調味料は、前述のように魚節抽出液の一種又は複数種調製し、各魚節抽出液のトリプトファン、4−エチルグアヤコール及びジメチルスルフィドの濃度に応じてそれらの複数種を混合し、トリプトファン濃度が60nmol/mL以下、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(後述のヘッドスペースSPME−GC−MS法による)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上となるように調整する。また、液状調味料に、必要に応じて前述のように糖アルコール、糖類、塩類等を配合することにより液状調味料を製造する。
<調理食品>
本発明の調理食品は、本発明の液状調味料を食品に用いたものである。調理食品の種類には特に制限はないが、例えば、ダイコン、キャベツ、キュウリ、タマネギ、ニンジン、レタス等の野菜にかけてサラダとすることができる。特に、これらの野菜を加熱した温野菜に本発明の液状調味料をかけた調理食品は、魚節の香りがバランス良く立ち、温野菜の香りとマッチし、魚節の旨みが温野菜に味に加わるので、美味しい調理食品となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1〜17、比較例1〜9
(1)魚節抽出液の調製
(1-A)魚節抽出液A
酢酸1%含有する有機酸水溶液(酸度1%)92部を90℃に加熱し、そこに鰹の荒節の粉砕物を有機酸水溶液の8部となるように投入し、加熱時間15分、30分、60分又は90分間加熱し、各加熱時間で得た魚節抽出液から抽出滓をストレーナーで除去し、常温(約25℃)まで冷却し、試験液を得た。
(a)香気成分の分析
この試験液を50℃に温めたときのヘッドスペース部分の香気成分を試料とする固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(ヘッドスペースSPME−GC−MS)で以下の条件に従って測定した。
(a-1)香気成分の分離濃縮方法
SPMEファイバーと揮発性成分抽出装置を用い、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出法で香気成分の分離濃縮を行う。
<固相マイクロ抽出条件>
・SPMEファイバー StableFlex 50/30μm, DVB/Carboxen/PDMS(Agilent社製)
・揮発性成分抽出装置 Combi PAL(CTC Analitics社製)
・予備加温 50℃、15min
・撹拌速度 300rpm
・揮発性成分抽出 50 ℃、20min
・脱着時間 10min
(a-2)香気成分の測定方法及び測定条件
ガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、以下の条件に従って、液状調味料中のジメチルスルフィドのピーク面積に対する、4−エチルグアヤコールのピーク面積の比を測定する。
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器 Agilent7890B(AgilentTechnologies社製)
・カラム SOLGEL−WAX(SGE社製)
長さ30m,口径0.25mm,膜厚0.25μm
・温度条件 35℃(5min)保持→120℃まで5℃/min昇温
→220℃まで15℃/min昇温→6min保持
・キャリアー Heガス、ガス流量1.0mL/min
<質量分析条件>
・質量分析計 Agilent5977A(AgilentTechnologies社製)
・スキャン質量 m/z 29.0〜350.0
・イオン化方式 EI(イオン化電圧70eV)
(b)苦み成分及び旨み成分の分析
試験液に含まれる苦み成分及び旨み成分の濃度を液体クロマトグラフ法(JEOL社製全自動アミノ酸分析器JLC−500/V2)により測定した。
これらの結果を表1及び図1に示す。
Figure 2016101149
(1-B)魚節抽出液B
魚節の抽出時間が魚節抽出液に及ぼす香気、臭気及び旨みの影響を調べるために、魚節抽出液Aの調製において、鰹の荒節の使用量を2部とし、酢酸0.14%含有する有機酸水溶液(酸度0.14%)98部とし、魚節抽出液Aと同様に魚節抽出液Bを得た。そして、魚節抽出液Bに含まれる苦み成分及び旨み成分の濃度を魚節抽出液Aと同様に測定した。
また官能評価として、大根を厚さ2〜4mmに切断し(約100g)、それを電子レンジ(200W)で2分間加熱し、得られた温大根に上述の液状調味料を10gかけ、香りのバランスについて次の基準で官能評価した。
[香りのバランス]
A:魚臭さが抑えられつつ魚節の燻製香が強く、温めた野菜とあわせたときの香りのバランスが優れている。
B:魚臭さが多少残りつつも魚節の燻製香があり、温めた野菜とあわせたときの香りのバランスが比較的よい。
C:魚節の燻製香以外の魚臭さが目立ち、温めた野菜とあわせたときの香りのバランスが悪い。
これらの結果を表2及び図2に示す。図2から、8分から16分まではトリプトファンによる苦みやジメチルスルフィドによる悪臭の増加よりも4−エチルグアヤコールによる燻製香の影響が大きく、香り全体としては好ましいものになり、16分以降はトリプトファン濃度が高まり、苦みが強くなることがわかる。
Figure 2016101149
(1-C)魚節抽出液C
また、荒節抽出液Bの調製において、魚節として鰹の荒節を1部、宗田鰹の荒節2部を使用し、酢酸1.4%含有する有機酸水溶液(酸度0.14%)97部で、90℃、8分間、抽出することにより魚節抽出液Cを得た。そして、魚節抽出液Cに含まれる苦み成分及び旨み成分の濃度を(1-A)と同様に測定すると共に、(1-B)と同様に官能評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2016101149
(1-D)魚節抽出液D
また、荒節抽出液Bの調製において、魚節として鰹の荒節2部、あごの荒節を4部使用し、酢酸1.4%含有する有機酸水溶液(酸度を0.14%)94部で、抽出を90℃、8分間行うことにより魚節抽出液Dを得た。そして、魚節抽出液Dに含まれる苦み成分及び旨み成分の濃度を(1-A)と同様に測定すると共に、(1-B)と同様に官能評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2016101149
(1-E)魚節抽出液E
魚節の抽出温度が魚節抽出液に及ぼす香気、臭気及び旨みの影響を調べるために、魚節抽出液Aの調製において、鰹の荒節の使用量を2部とし、また酢酸1.4%含有する有機酸水溶液(酸度を0.14%)98部で、抽出温度を表5に示すように変え、魚節抽出液Aと同様に魚節抽出液Eを得た。そして、魚節抽出液Eに含まれる苦み成分及び旨み成分の濃度を(1-A)と同様に測定すると共に、(1-B)と同様に官能評価を行った。結果を表5及び図3に示す。図3から、75℃では香りが弱く、80〜95℃では4−エチルグアヤコールの燻製香が強いが温度上昇と共にトリプトファン濃度が高まり、苦みが強くなり、95℃を超えると香り全体が飛散してしまうことがわかる。
Figure 2016101149
(1-F)魚節抽出液F及び椎茸抽出液
魚節抽出液Aの調製における酢酸1%含有する有機酸水溶液(酸度1%)に代えて、酢酸4.5%含有する有機酸水溶液(酸度4.5%)を使用することにより次のようにして魚節抽出液Fと椎茸抽出液を得た。
鰹荒節10部と有機酸水溶液(酸度4.5%)90部とを混合して加熱し、90℃に達温してから15秒間保持し、次に4℃に冷却して24時間保持することにより魚節抽出液Fを得た。
また、鰹荒節10部に代えて干し椎茸10部を使用し、同様に椎茸抽出液を得た。
魚節抽出液Fと椎茸抽出液に含まれる香り成分及び臭気成分の濃度を(1-A)と同様に測定した。結果を表6に示す。
Figure 2016101149
(2)魚節抽出液F及び椎茸抽出液
魚節を抽出するときの酸度と魚節抽出液に含まれる香気成分、臭気成分、苦み成分及び旨み成分の関係を調べるため、(1)で魚節抽出液を得るときの酸度と、(1)で測定した魚節抽出液の成分量を魚節の単位使用量(1%)あたりの成分量に換算した数値とを表7にまとめた。
Figure 2016101149
表7から魚節1%あたりの抽出物収率は、1−オクテン−3−オールについては魚節抽出液Aが、イノシン酸については魚節抽出液Bが高いことがわかる。また、同じ鰹荒節を対象としたもので比較した場合では、トリプトファンの収率が最も低いものが魚節抽出液B、次いで魚節抽出液F、ピーク面積比(EG/DS)が高いものが魚節抽出液Fであることがわかる。
(3)魚節抽出液のブレンドによる液状調味料の調製
・実施例1〜17及び比較例1〜3
表8に示すように、(1)で得た魚節抽出液をブレンドし、酢酸を用いて酸度0.5%になるまで調整し、実施例1〜9、実施例11〜16及び比較例1〜3の液状調味料を得た。
また実施例10及び実施例17として、それぞれ実施例9及び実施例16と同量の魚節抽出液A、B、C、D、F又は椎茸抽出液をブレンドし、この場合に魚節抽出液F又は椎茸抽出液から抽出滓を抜き出さず、還元澱粉糖化物30%(単糖の糖アルコール及び/又は二糖の糖アルコール相当で25.5%以上含有)、醤油(食塩含有量15%)20%、食塩4%、及びキサンタンガム0.1%を加え、残りを全量が100%となるよう清水でメスアップし、一度75℃に加温して冷却し、65℃まで下げた状態でガラス容器に充填密封し、常温(15〜25℃)で30日放置後に評価した。
これら実施例1〜17及び比較例1〜3のpHはすべて4.0〜4.4の範囲にはいっていた。またこれらの香気成分、臭気成分、苦み成分及び旨み成分の濃度測定を(1-A)と同様に行った。
また、(1-B)と同様に官能評価を行い、さらに、下記の基準で食味評価を行った。
[苦み]
A:苦みが感じられず、すっきりとした味わいで、温めた野菜とあわせたときに野菜の美味しさを感じられる。
B:苦みが若干感じられるが、温めた野菜とあわせたときに野菜の美味しさを感じられる。
C:苦みが感じられ、温めた野菜とあわせたときに雑味を呈し、野菜の美味しさを十分に感じられない。
これらの結果を表8A、表8Bに示す。
Figure 2016101149
Figure 2016101149
・比較例4〜9
魚節抽出液を用いた市販の液状調味料7種を比較例4〜9とし、そのトリプトファン濃度、香気成分及び旨み成分の濃度測定を(1-A)と同様に行った。また、(1-B)と同様に官能評価を行い、(3)と同様に食味評価も行った。
これらの結果を表8Cに示す。
Figure 2016101149
表8A、表8B、表8Cから、トリプトファン濃度が30nmol/mLを超えると苦みが感じられはじめ、さらに60nmol/mLを超えると温めた野菜にかけたときに雑味を呈してしまうことが分かった。これは、通常トリプトファン単体で味覚上知覚できる限界(1000〜4000nmol/mL程度)以下の数字であるが、魚節の酢酸抽出物中には各種タンパク質の分解されたペプタイドも含まれ、トリプトファン濃度が上昇するとともに苦みを呈するペプタイドやその他の分解物の濃度が上昇し、苦みを呈しているのではないかと考えられる。
また、表2、表8A、表8B、表8Cから、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(ヘッドスペースSPME−GC−MS法による)におけるピーク面積比(EG/DS)が40を下回ると鰹節の燻製香の中に魚臭さが感じられはじめ、さらに25を下回ると鰹節の燻製香以外の魚臭さが目立ち、温めた野菜とあわせたときの香りのバランスが悪くなることが分かった。
表8Cから、市販の液状調味料には、トリプトファン濃度が60nmol/mL以下で、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(ヘッドスペースSPME−GC−MS法による)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上のものはなく、香味のバランスが「苦みがあるが香りのバランスの良いもの」か「苦みがなく香りのバランスの悪いもの」に偏っていることがわかる。
・実施例18
実施例9、10、16及び17で得られた液状調味料10gを、カットした生キャベツ100gに和えて喫食したところ、キャベツの苦みが十分軽減され、かつキャベツの風味を損なわず、大変優れていた。
・実施例19
実施例9、10、16及び17で得られた液状調味料10gを、薄切り後に茹でて約50℃まで冷めた蒟蒻100gに和えて喫食したところ、実施例10及び17は特に蒟蒻の表面によく絡み、かつ蒟蒻の風味を損なわず、大変優れていた。
・実施例20
実施例9、10、16及び17で得られた液状調味料10gを、薄切り後に茹でて約50℃まで冷めた豚肉100gに和えて喫食したところ、豚肉の臭みが軽減され、かつ豚肉の風味を損なわず、大変優れていた。

Claims (6)

  1. 魚節を有機酸水溶液で抽出した魚節抽出液を含有する液状調味料であって、トリプトファン濃度が60nmol/mL以下、4−エチルグアヤコールとジメチルスルフィドのガスクロマトグラフィ(ヘッドスペースSPME−GC−MS法)におけるピーク面積比(EG/DS)が25以上である液状調味料。
  2. 請求項1記載の液状調味料であって、pH4以上5以下であり、単糖の糖アルコール又は二糖の糖アルコールの少なくとも一方を固形分換算で14質量%以上30質量%以下含有する液状調味料。
  3. 請求項1又は2記載の液状調味料であって、食塩を4質量%以上9質量%以下含有する液状調味料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の液状調味料であって、酢酸を含有する液状調味料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の液状調味料を用いた調理食品。
  6. 請求項5記載の調理食品であって、該調理食品が、液状調味料が温野菜に用いられた温野菜サラダである調理食品。
JP2014242631A 2014-11-29 2014-11-29 液状調味料 Pending JP2016101149A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014242631A JP2016101149A (ja) 2014-11-29 2014-11-29 液状調味料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014242631A JP2016101149A (ja) 2014-11-29 2014-11-29 液状調味料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016101149A true JP2016101149A (ja) 2016-06-02

Family

ID=56087700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014242631A Pending JP2016101149A (ja) 2014-11-29 2014-11-29 液状調味料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016101149A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6382461B1 (ja) * 2018-02-01 2018-08-29 株式会社Mizkan Holdings 酢酸含有飲食品及びその製造方法、酢酸含有穀類加工品のための調製用飲食品、酢酸含有飲食品の酸味酸臭抑制・風味増強方法
JP2018170979A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 焼津水産化学工業株式会社 魚節類エキスの製造方法
JP2019010005A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 株式会社Mizkan Holdings 液体調味料及びその製造方法、並びに液体調味料の風味改善方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010088371A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Q P Corp 酸性液状調味料の製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010088371A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Q P Corp 酸性液状調味料の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018170979A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 焼津水産化学工業株式会社 魚節類エキスの製造方法
JP2019010005A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 株式会社Mizkan Holdings 液体調味料及びその製造方法、並びに液体調味料の風味改善方法
JP7079393B2 (ja) 2017-06-29 2022-06-02 株式会社Mizkan Holdings 液体調味料及びその製造方法、並びに液体調味料の風味改善方法
JP6382461B1 (ja) * 2018-02-01 2018-08-29 株式会社Mizkan Holdings 酢酸含有飲食品及びその製造方法、酢酸含有穀類加工品のための調製用飲食品、酢酸含有飲食品の酸味酸臭抑制・風味増強方法
WO2019151465A1 (ja) * 2018-02-01 2019-08-08 株式会社Mizkan Holdings 酢酸含有飲食品及びその製造方法、酢酸含有穀類加工品のための調製用飲食品、酢酸含有飲食品の品質改善方法
JP2019129806A (ja) * 2018-02-01 2019-08-08 株式会社Mizkan Holdings 酢酸含有飲食品及びその製造方法、酢酸含有穀類加工品のための調製用飲食品、酢酸含有飲食品の酸味酸臭抑制・風味増強方法
EP3747281A4 (en) * 2018-02-01 2021-10-27 Mizkan Holdings Co., Ltd. FOOD AND BEVERAGE CONTAINING ACETIC ACID AND PROCESS FOR THE MANUFACTURING THEREOF, MANUFACTURED FOOD AND BEVERAGE CONTAINING ACETIC ACID, PROCESSED GRAIN PRODUCTS AND METHODS FOR IMPROVING FOOD CONTAINING QUALITY
US11388915B2 (en) 2018-02-01 2022-07-19 Mizkan Holdings Co., Ltd. Acetic acid-containing food and drink and method for producing same, preparation food and drink for acetic acid-containing cereal processed products, and method for improving quality of acetic acid-containing food and drink

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5916179B1 (ja) だしの抽出方法および当該だしを用いた液状調味料
JP5385517B2 (ja) 容器詰液体調味料
JP5993526B1 (ja) ぽん酢醤油調味料
JP5465479B2 (ja) タマネギ抽出物およびその製造方法
JP2019129806A (ja) 酢酸含有飲食品及びその製造方法、酢酸含有穀類加工品のための調製用飲食品、酢酸含有飲食品の酸味酸臭抑制・風味増強方法
JP5480456B1 (ja) マヨネーズ様食品
JP2016101149A (ja) 液状調味料
JP6545408B1 (ja) 穀物加工食品用改良剤
JP5236598B2 (ja) 容器詰しょうゆ含有液体調味料
JP7085903B2 (ja) 酸性液状調味料
BR112020023263A2 (pt) agente de melhoria de sabor de galinha, métodos para produzir um alimento com sabor de galinha e para melhorar sabor de galinha, e, composição de sabor.
JP6037451B2 (ja) 味噌調味材、これを使用した調味ソース、及びこれらの製造方法
EP3738445A1 (en) Acidic liquid seasoning containing plant-derived crushed materials
JP6587813B2 (ja) 香辛料感向上剤
JP6563205B2 (ja) 低分子エステル類を含む醤油様調味料又は醤油の風味改善剤
JP6186190B2 (ja) レトルト調味液及びその製造方法
JP6098814B2 (ja) 味噌調味材及びその製造方法、並びに調味ソース及びその製造方法
JP2021000033A (ja) チリソース、チリソース調製用組成物及びチリソース調製用組成物の製造方法
JP2010130978A (ja) 節類抽出物または節類抽出物入り調味料の風味向上方法
JP6932226B1 (ja) 食酢、飲食品、燻製香の付加方法、及び不快臭のマスキング方法
TWI798528B (zh) 含乙酸之調味液、加有配料之已調理食品、彼等之製造方法、及針對加有配料之已調理食品抑制長時間保管中之自配料之離水及/或配料之色調變化之方法
JP4456174B1 (ja) 節類抽出物入り調味料、その製造方法、および、節類抽出物入り調味料の風味向上方法
JP6200143B2 (ja) 液体調味料
JP6981308B2 (ja) 水中油型乳化食品
JP4658091B2 (ja) わさび香味組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170427

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180403

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180725

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180925