本発明の実施の形態について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数や量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数や量などに限定されない。また、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、各実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
[1.画像形成システムの装置構成]
まず、本発明の実施の形態に従う画像形成システム1の装置構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成システム1の装置構成を示す模式図である。
図1を参照して、画像形成システム1は、主として、画像形成装置3と、画像形成装置3に装着される後処理装置2とから構成される。
画像形成装置3は、複写機、プリンタ、複合機といった装置であり、記録媒体であるシートS上に画像を形成する。より具体的には、画像形成装置3は、コピー動作やスキャン動作における原稿の自動連続搬送を実行する原稿自動送り装置(ADF:Auto Document Feeder)31と、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナー32と、スキャナー32が生成した画像データまたは予め記憶された画像データに基づき用紙(以下「シート」とも称す。)S上に画像を形成するプリントエンジン33と、プリントエンジン33によって画像が形成されるシートSを給紙する給紙ユニット34とを含む。
後処理装置2は、画像形成装置3において画像が形成されたシートSに対して、ステープル処理(綴じ処理)、パンチ処理(穴あけ処理)、スタンプ処理などの後処理を行なう。より具体的には、後処理装置2は、画像形成装置3から送出されるシートを処理用トレイに順次収容し、収容されたシート束に対して設定された後処理を行なった上で、排出する。すなわち、後処理装置2は、用紙(シート)に対して後処理を実行する。本実施の形態に従う後処理装置2は、後処理のジョブを実行中にジャムが発生した場合に、ジャム処理をより容易化することが可能となっている。
以下、本実施の形態に従う後処理装置2について説明する。
[2.後処理装置の装置構成]
図2は、本発明の実施の形態に従う後処理装置2の装置構成を示す模式図である。図2を参照して、後処理装置2は、主として、後処理部100と、水平搬送部200とから構成される。水平搬送部200は、画像形成装置3(図1)より送出されるシートSを後段の後処理部100へ搬送する。後処理部100は、水平搬送部200により搬送されるシートSに対して、ステープル処理(綴じ処理)、パンチ処理(穴あけ処理)、スタンプ処理などに加えて、仕分け処理やシート折り処理などを行なう。なお、図2には、後処理機構が回動して後処理を行なうための構成を主として描いているため、仕分け処理やシート折り処理などに関する構成については図示していない。
水平搬送部200は、シートSを搬送するための複数の水平搬送ローラー204,206,208と、シートSの有無を検出するための複数のセンサー212,214とを含む。これらのローラー204,206,208およびセンサー212,214は、シートSの搬送経路202に沿って配置される。
画像形成装置3の本体排出ローラー38によりシートSの送出が開始されると、第1水平搬送ローラー204、第2水平搬送ローラー206、第3水平搬送ローラー208の順に、回転駆動が開始される。そして、それぞれの水平搬送ローラーは、図中の矢印方向に回転駆動する。これによって、画像形成装置3の本体排出ローラー38により送出されるシートSを搬送速度V1で後処理部100へ搬送する。その後、画像形成装置3の本体排出ローラー38によるシートSの送出が完了すると、すなわち、シートSのすべてが後処理装置2内へ送出されると、搬送速度V1より高速である搬送速度V2でシートSを後処理部100へ向けて搬送する。このようなシートSの搬送状態については、画像形成装置3の本体排出ローラー38の側に設けられたセンサー212、および、後処理部100の側に設けられたセンサー214によって検出される。
後処理部100においては、水平搬送部200によって送出されるシートSは、搬送経路110および114に沿って、メイントレイ160に向けて搬送される。この搬送経路110と搬送経路114との接続点がスイッチバックポイント116であり、ユーザー設定などに応じて、搬送経路110に沿って搬送されたシートSは、スイッチバック経路112へ導かれて、スイッチバックされる。
後処理部100は、搬送経路110に沿って配置された、レジストローラー102および中間ローラー104と、スイッチバック経路112に沿って配置されたスイッチバックローラー106と、搬送経路114に沿って配置された収容ローラー108とを含む。また、後処理部100は、シートSの搬送状態を検出するための、レジストセンサー122と、スイッチバックセンサー124と、収容センサー126とを含む。
さらに、後処理部100は、シートS(典型的には、複数のシートSからなる用紙束(シート束))に対して後処理を実行するための後処理機構130を含む。後処理機構130は、後述するように、後処理の実行にあたってシート束に対して回動する部位を含んでいる。このような後処理機構130の典型例としては、ステープル機構(ステープラー)、パンチ機構(パンチャー)、スタンプ機構(スタンパー)などが挙げられるが、以下の説明においては、シート束に対してステープル処理を実行するステープラーを一例とする。なお、後処理機構130として、パンチ機構(パンチャー)やスタンプ機構(スタンパー)を採用した場合には、後処理機構130が移動しつつ1穴ずつ穿孔/1スタンプずつ形成するような機構となる。
また、ステープル処理としては、複数のシートを重ねた状態で、ステープラー針を特定の場所で貫通させてシート束として結束するための処理(平綴じステープル処理)について例示する。なお、シートを2つ折りにした状態でステープラー針を貫通させて綴じるステープル処理についても同様に適用できる。
この後処理機構130の前段には、シートSを収容するためのメイン処理トレイ142が設けられる。このメイン処理トレイ142は、少なくとも1枚の用紙を収容するための後処理用トレイに相当する。そして、後処理機構130は、このメイン処理トレイ142に収容された用紙に対して後処理を実行する。メイン処理トレイ142に関連付けて、メイン処理トレイ142にシートSを搬送するための収容ベルト140と、メイン処理トレイ142に収容されたシートSを検出するためのメイン処理トレイセンサー132とが設けられる。また、シートSに応力を与えるとともにシートSを搬送するためのパドルがメイン処理トレイ142の下側および上側に設けられる(収容下パドル150および収容上パドル152)。また、収容上パドル152に関連付けて、その回転位置を検出するための収容上パドルスイッチ154が設けられる。
最終的に、シートSまたは後処理がなされたシート束は、メイン排出ローラー156によって、メイントレイ160へ排出される。
以下の説明では、説明の便宜上、後処理機構130に向けてシートSが搬送される方向をY方向と称し、シートS(または、シート束)の綴じ方向をX方向と称し、シート束の厚み方向をZ方向と称する。なお、X方向をシートSの幅方向とも称する。
図3は、図2に示す後処理機構130のより詳細な装置構成を示す模式図である。図3を参照して、後処理機構130には、Y方向に沿ってシートSが順次搬送され収容されるものとする。また、収容された複数のシートSに対して後処理が実行された後、当該シートSは、メイン排出ローラー156によって搬出される。
後処理機構130には、このシートSが搬送されるY方向に平行な面でシートSに接触する一対の平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)が設けられる。この平綴じ整合板1381,1382は、後処理対象のシートSのサイズに応じて、X方向へ移動可能に構成されている。さらに、奥側平綴じ整合板1382のホーム位置を検出するための整合板ホーム位置センサー1383が設けられている。
また、シートSの搬送方向(Y方向)の収容時における後端を位置決めするためのストッパーが設けられている。より具体的には、後処理機構130は、シートSのX方向の中心部付近に固定して配置される固定後端ストッパー136と、シートSのX方向(幅方向)の長さに応じて位置を変化可能な一対の可動後端ストッパー1371,1372とを含む。さらに、可動後端ストッパー1372のホーム位置を検出するための可動後端ストッパーホーム位置センサー1373が設けられている。
すなわち、シートSがメイン処理トレイ142に収容される際に、平綴じ整合板1381,1382がシートSをX方向に揃え、固定後端ストッパー136および可動後端ストッパー1371,1372がシートSをY方向に揃える。
後処理機構130は、さらに、シートS(シート束)に対して実際に後処理(この例では、ステープル処理)を実行するステープラー本体131を含む。このステープラー本体131は、シートSが収容される範囲に応じて形成された移動経路133に沿って移動可能に構成される。この移動経路133は、レール状または溝状で構成されており、ステープラー本体131が移動できる経路を規定する。
後述するように、ステープラー本体131は、指定されたステープルモード(斜め綴じ、または、平行綴じ)に応じた位置へ移動し、ステープル処理を実行する。すなわち、ステープラー本体131は、指定された後処理に応じて、メイン処理トレイ142に相対して移動可能に構成される。この移動経路133は、シートSの角部に近接した位置において、湾曲するように構成されており、この部分をステープラー本体131が通過することで、シートSの角部に対して斜めにステープラー針を貫通させることができる。
ステープラー本体131は、後述するように、移動経路133に沿って移動するためのモーターと、ステープル処理を実行する、すなわちステープル針を発射するためのモーターとを内蔵する。さらに、移動経路133上には、ステープラー本体131のホーム位置を検出するための、第1ステープラーホーム位置センサー134および第2ステープラーホーム位置センサー135が設けられている。
次に、図3に示す後処理機構130に関する電気的構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態に従う後処理装置2の電気的構成の要部を示すブロック図である。
図4を参照して、後処理装置2は、その主要な制御要素である制御部22を含む。制御部22は、典型的には、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、ワーキングメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)と、プログラムなどを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)と、通信インターフェイスなどとを含む。制御部22は、後処理機構130を制御するためのセンサーやモーターなどと電気的に接続される。なお、制御部22の全部または一部の制御機能をソフトウェアによって実現してもよい。あるいは、制御部22の全部または一部を専用のハードウェアによって実現してもよい。
より具体的には、後処理装置2は、手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382を移動させるための整合板移動モーター138Mと、整合板移動モーター138Mを駆動するための電力を供給する整合板駆動ドライバー1382Dとを含む。制御部22は、一対の平綴じ整合板の移動制御を行なうための構成として、整合板駆動ドライバー1382Dへ駆動指令を与えるとともに、整合板ホーム位置センサー1383からの検出信号を受信する。なお、図4においては、手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382を共通の整合板移動モーター138Mで駆動する構成を示すが、後述するように、手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382をそれぞれ独立に駆動する構成を採用した場合には、それぞれの平綴じ整合板に対応して、モーターおよび駆動ドライバーをそれぞれ設けることが好ましい。
後処理装置2は、さらに、ステープラー本体131を移動させるためのステープラー移動モーター1311Mと、ステープル針を発射するためのステープラー発射モーター1312Mと、ステープラー移動モーター1311Mを駆動するための電力を供給するステープラー移動モータードライバー1311Dと、ステープラー発射モーター1312Mを駆動するための電力を供給するステープラー発射モータードライバー1312Dとを含む。なお、ステープラー移動モーター1311Mおよびステープラー発射モーター1312Mは、ステープラー本体131に内蔵されている。制御部22は、ステープラー本体131を制御するための構成として、ステープラー移動モータードライバー1311Dおよびステープラー発射モータードライバー1312Dへそれぞれ駆動指令を与えるとともに、第1ステープラーホーム位置センサー134および第2ステープラーホーム位置センサー135からの検出信号をそれぞれ受信する。
後処理装置2は、さらに、一対の可動後端ストッパー1371,1372を移動させるための可動後端ストッパーモーター137Mと、可動後端ストッパーモーター137Mを駆動するための電力を供給する可動後端ストッパードライバー137Dとを含む。制御部22は、一対の可動後端ストッパーの移動制御を行なうための構成として、可動後端ストッパードライバー137Dへ駆動指令を与えるとともに、可動後端ストッパーホーム位置センサー1373からの検出信号を受信する。
制御部22は、さらに、メイン処理トレイセンサー132からの検出信号を受信する。
上述のモーターは、いずれも位置制御を行なう必要があるため、パルスモーターなどの回転数・回転角度を検出可能なモーターおよび対応するドライバーを採用することが好ましい。本実施の形態においては、いずれのモーターもパルスモーターが採用されるものとする。このようにパルスモーターを採用した場合には、駆動指令としては、モーターの回転量を示すパルス数が用いられる。
また、制御部22は、上述したような各種センサーからの検出信号やモーターの動作状況などから、ジャムの発生を検出するためのジャム発生検出ロジック24を含む。このジャム発生検出ロジック24は、ソフトウェアとして実現してもよいし、その全部または一部を専用のハードウェアとして実現してもよい。また、ジャムの発生を検出するためのアルゴリズムとしては、公知の任意の方法を採用できる。
なお、発生するジャムとしては、後処理実行後のシート束の排出中、先行のシートと後続のシートとが噛込む形態、シートを収容(集積)中などが挙げられる。
[3.後処理動作]
次に、本実施の形態に従う後処理装置2における後処理動作について説明する。
(3.1:全体処理)
再度、図2を参照して、後処理部100においては、レジストローラー102、中間ローラー104、収容ローラー108を駆動して、水平搬送部200によって搬送されたシートSを搬送速度V2でメイントレイ160の方向へ搬送する。
ここで、シートSに対して、後処理(ステープル処理)を行なうためにメイン処理トレイ142へシートSを収容する場合には、メイン排出ローラー156を予め所定距離だけ離間しておき、搬送されるシートSの後端が収容センサー126を通過した直後に、収容ローラー108を減速する。続いて、シートSの後端が収容ローラー108を通過した直後に、収容上パドル152および収容ベルト140の駆動を開始して、シートSをメイン処理トレイ142に収容する。
シートSの収容動作が完了すると、一対の平綴じ整合板(図3に示す手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)および収容下パドル150を駆動することにより、シートSの束揃え動作を行なう。
以上の動作を繰り返し、後処理対象であるシート束の最終シートの束揃え動作が完了すると、ステープラー本体131を駆動して、シート束に対してユーザー設定に応じたステープル処理が実行される。すなわち、ユーザー設定に応じた位置に、ステープル針が打ち込まれる。
ステープル処理が完了すると、メイン排出ローラー156の圧接が開始される。そして、圧接動作が完了すると、メイン排出ローラー156を図中の矢印方向に回転駆動し、ステープル処理後のシート束をメイントレイ160へ排出する。
(3.2:ステープラー本体の挙動)
次に、ステープラー本体131の挙動について説明する。図5は、本発明の実施の形態に従う後処理装置2において実行可能な平綴じステープル処理を説明するための図である。図6および図7は、本発明の実施の形態に従う後処理装置2におけるステープラー本体131の移動動作を説明するための図である。
まず、図5を参照して、本実施の形態に従う後処理装置2においては、平綴じステープル処理の典型的な設定としては、シート束に対して、その角部の1点にステープル針を貫通させる1点綴じモード、および、シート幅方向(綴じ方向)の2点にステープル針を貫通させる2点綴じモードがある。図5(a)および図5(c)に示すように、1点綴じモードでは、基本的には、シート束に対して斜めにステープル針を貫通させる。これに対して、図5(b)に示すように、2点綴じモードでは、シート束に対して平行にステープル針を貫通させる。なお、より多くの位置にステープル針を貫通させるようにしてもよい。
図6および図7に示すように、ステープラー本体131および可動後端ストッパー1371,1372は、メイン処理トレイ142に収容されたシート束の後端に沿って移動可能に構成されている。
平綴じステープル処理を実行しない場合には、ステープラー本体131はステープラー奥側ホーム位置に位置しており、可動後端ストッパー1371は可動後端ストッパーホーム位置にいる。ステープラー奥側ホーム位置は、第1ステープラーホーム位置センサー134(図3)によって検出され、後端ストッパーホーム位置は、可動後端ストッパーホーム位置センサー1373によって検出される。本実施の形態においては、ステープラー奥側ホーム位置は、シートSがA4サイズである場合に、その奥側を1点綴じする場合のステープラー本体131の存在する位置でもある。また、後端ストッパーホーム位置は、シートSに対して2点綴じを行なう場合に、可動後端ストッパー1371の退避位置でもある。
上述したように、本実施の形態において、平綴じ設定としては、シート束に対して、奥側1点綴じ、2点綴じ、および手前側1点綴じが可能となっている。1点綴じモードにおいては、基本的に、シート束に対して斜めにステープル針を打ち込む。また、2点綴じモードにおいては、シート束に対して平行にステープル針を打ち込む。そのため、上述したように、移動経路133内の所定領域において、ステープラー本体131を回動させる構成となっている。
図6には、1点綴じモードにおける、シートのサイズと、ステープラー本体131の位置・向きとの関係を模式的に示す。より具体的には、ステープル処理の対象となる用紙がA4サイズの場合およびB5Sサイズの場合をそれぞれ示す。後処理対象のシートSがA4サイズの場合には、奥側または手前側の隅部に対して、斜めにステープル針を打ち込むために、シートSに相対して両隅においてステープラー本体131が斜めに(所定角度を有するように)位置決めされる。また、シートSがA3Sサイズの場合も同様である。
なお、シートSがB5Sサイズの場合には、ステープラー本体131をシートSの隅部において斜めに位置決めすることができないので、シートSの隅部において、シート束の綴じ方向と平行に1箇所だけステープル針を打ち込む。
図7には、2点綴じモードにおける、シートのサイズと、ステープラー本体131の位置・向きとの関係を模式的に示す。本実施の形態に従う後処理装置2においては、2点綴じモードにおけるステープル針を打ち込む位置の間隔は、一定であるとする。すなわち、図7に示すように、2点綴じモードが選択された場合には、シートSのシート幅方向の長さにかかわらず、ステープル処理は同じ綴じ位置で実行される。
(3.3:処理手順)
次に、本実施の形態に従う後処理装置2における後処理動作の処理手順について説明する。図8は、本発明の実施の形態に従う後処理装置2における後処理動作の処理手順を示すフローチャートである。図8に示す各ステップは、制御部22(図4)によって主体的に実行される。
図8を参照して、まず、制御部22は、平綴じステープル処理が開始されたか否かを判断する(ステップS2)。より具体的には、制御部22は、画像形成装置3からの情報に基づいて、平綴じステープル処理が設定されたジョブの開始が指示されたことを検出する。平綴じステープル処理が開始されていなければ(ステップS2においてNO)、ステップS2の処理が繰り返される。
平綴じステープル処理が開始されていれば(ステップS2においてYES)、制御部22は、画像形成装置3から後処理装置2へ送出されるシートSのサイズ、坪量(単位面積当たりの重量)、綴じ設定などの設定情報(用紙の属性情報)を画像形成装置3から取得する(ステップS4)。
続いて、制御部22は、画像形成装置3から取得した設定情報に基づいて、対象のシートSについての、シート束揃え待機位置までの平綴じ整合板1381,1382の移動量、綴じ位置までのステープラー本体131の移動量、可動後端ストッパー1371,1372の移動量を算出する(ステップS6)。具体的には、整合板移動モーター138M、ステープラー移動モーター1311M、および可動後端ストッパーモーター137Mのそれぞれの駆動パルス数が算出される。そして、制御部22は、算出したそれぞれの駆動パルス数を整合板移動モーター138M、ステープラー移動モーター1311M、および可動後端ストッパーモーター137Mへそれぞれ出力し、平綴じ整合板1381,1382、ステープラー本体131、および可動後端ストッパー1371,1372を後処理対象のシートSを収容するための位置へ移動させる(ステップS8)。さらに、制御部22は、メイン排出ローラー156を予め所定距離だけ離間させる(ステップS10)。
制御部22は、上述のようなシートSの収容に係る前処理に併せて、メイン処理トレイ142に収容されるシートSの枚数をカウントするためのリセット処理を実行する。すなわち、制御部22は、ジョブ開始時には、メイン処理トレイ142に何らのシートSも存在しないため、内部パラメータであるトレイ内シート枚数値をゼロクリアする(ステップS12)。
続いて、画像形成装置3からのシートSの排出が開始されると、制御部22は、新たなシートSのメイン処理トレイ142への収容が完了したか否かを判断する(ステップS14)。この判断は、収容センサー126やメイン処理トレイセンサー132などの検出結果などに基づいて行なわれる。典型的には、収容センサー126の検出結果がシート有からシート無へ変化したことをもって、新たなシートSの収容が完了したと判断される。新たなシートSのメイン処理トレイ142への収容が完了していなければ(ステップS14においてNO)、ステップS14の処理が繰り返される。
これに対して、新たなシートSのメイン処理トレイ142への収容が完了していれば(ステップS14においてYES)、制御部22は、一対の平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)を用いて、収容したシートSに対するシート束揃え動作を行ない(ステップS16)、さらに、トレイ内シート枚数値を1だけカウントアップする(ステップS18)。このトレイ内シート枚数値は、後述する後処理装置2においてジャムが発生した場合の制御にも使用される。
続いて、制御部22は、新たに収容したシートSが指定されたシート束の最終シートであるか否かを判断する(ステップS20)。すなわち、制御部22は、メイン処理トレイ142へのシートSの収容が完了した時点で、当該シートSによって指定されたシート束の収容が完了したか否かを判断する。この判断は、予め後処理対象のシート束の枚数についての設定情報を画像形成装置3から受信しておくことで判断してもよい。あるいは、画像形成装置3から後処理装置2へシートSを送出する際に、シートS毎に当該シートSが対象のシート束の最終シートであるかどうかの情報を通知することにより、後処理装置2において最終シートの判断を行なうようにしてもよい。新たに収容したシートSが指定されたシート束の最終シートでなければ(ステップS20においてNO)、ステップS14以下の処理が再度実行される。
新たに収容したシートSが指定されたシート束の最終シートであれば(ステップS20においてYES)、制御部22は、綴じ設定に応じてステープル処理を実行する。すなわち、まず、制御部22は、設定されている綴じモードを判断する(ステップS22)。
設定されている綴じモードが1点綴じモードであれば(ステップS22において「1点綴じモード」)、ステップS26に示すステープル処理が実行される。これに対して、設定されている綴じモードが2点綴じモードであれば(ステップS22において「2点綴じモード」)、ステップS30〜S34に示すステープル処理が実行される。
1点綴じモードが設定されている場合(ステップS22において「1点綴じモード」)、制御部22は、ステープラー本体131からステープル針をシート束へ発射させる(ステップS26)。その後、処理はステップS36へ進む。なお、1点綴じ位置は、ユーザー設定に応じて、奥側または手前側が選択される。また、図6に示すようにシートSの用紙サイズおよび1点綴じ位置によっては、ステップS8においてステープラー本体131が移動しない場合もある。
これに対して、2点綴じモードが設定されている場合(ステップS22において「2点綴じモード」)、制御部22は、ステープラー本体131からステープル針をシート束へ発射させる(ステップS30)。続いて、制御部22は、ステープラー本体131を2点綴じ位置の他方へ移動させる(ステップS32)。そして、制御部22は、ステープラー本体131からステープル針をシート束へ発射させる(ステップS34)。その後、処理はステップS36へ進む。
ステップS36において、後処理が実行されたシート束を排出するための処理が実行される。すなわち、制御部22は、ステープル処理の完了後、メイン排出ローラー156を圧接するとともに、排出方向へ駆動することで、後処理が実行されたシート束をメイントレイ160へ排出する(ステップS36)。このシート束の排出処理と並行して、制御部22は、平綴じ整合板1381,1382、ステープラー本体131、および可動後端ストッパー1371,1372をそれぞれのホーム位置へ移動させる(ステップS38)。そして、平綴じステープル処理を終了する。
(3.4:シート束とステープラー本体131との接触)
上述したように、本実施の形態に従う後処理装置2においては、ステープラー本体131がシート束に相対して移動しつつ、ステープル処理を行なうので、メイン処理トレイ142に収容されているシート束の状況によっては、ステープラー本体131の回動(移動)に伴ってシート束の一部と接触する場合がある。
例えば、シートSのシート幅方向長さが相対的に長い場合には、ステープラー本体131の回動領域内にシート束が存在することになる。このような場合には、ステープラー本体131の回動時(移動時)にステープラー本体131がシート束に接触することになる。
再度、図6を参照して、例えば、シートSのシート幅方向長さがA3SやA4(297mm)である場合において、手前側1点綴じ位置、または、2点綴じ位置に、ステープラー本体131が位置している場合には、そのステープル動作によって、シート束と2回または4回接触することになる。
すなわち、ステープラー本体131は、以下のような軌跡で移動することになる。
・軌跡A:2点綴じ位置→ステープラー奥側ホーム位置→2点綴じ位置(2回接触)
・軌跡B:手前側1点綴じ位置→ステープラー奥側ホーム位置→手前側1点綴じ位置(4回接触)
このようにステープラー本体131とシート束との接触が生じ得るため、後処理装置2においてジャムが発生した場合に、そのジャム処理の容易化のために、ステープラー本体131を退避させようとすると、ステープラー本体131を移動させるためのステープラー移動モーター1311Mの脱調が生じ得る可能性がある。そこで、本実施の形態に従う後処理装置2においては、ジャムが発生した場合に、ステープラー本体131を退避させて、ジャム処理を容易化するとともに、装置の小型化を実現する。この際、メイン処理トレイ142に収容されたシートをステープラー本体131と干渉しない位置へ移動させることで、ステープラー本体131をより確実に退避させる。
すなわち、本実施の形態に従う後処理装置2においては、後処理の実行中に制御部22のジャム発生検出ロジック24がジャムの発生を検出したことに応答して、所定条件が満たされていれば、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるとともに、シート束の移動後に、ステープラー本体131(後処理機構)を退避位置などへ移動させる。
このようなメイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させる形態としては、各種の方法を採用できるが、以下の説明では、シート(シート束)をシート排出方向へ移動させる例、および、シート(シート束)をシート幅方向へ移動させる例について説明する。このとき、シート(シート束)を移動させるべき距離については、ステープラー本体131との大きさの依存して定まるが、多くの場合、数mm程度で十分である。
なお、本実施の形態において、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるのは、ステープラー本体131とシート束との接触を防止することが目的であるので、発生したジャムの処理において、ステープラー本体131(後処理機構)がメイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)に接触することが予想される場合に限って、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるようにしてもよい。
[4.ジャム発生時の動作(その1)]
以下、平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生した場合の動作について説明する。より具体的には、第1の実施形態として、平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理部100においてジャムが発生した場合に、メイン処理トレイ142(ステープル用トレイ)に収容されているシート(シート束)をシート排出方向へ移動させる例について説明する。
(4.1:全体処理)
図9〜図11は、本発明の実施の形態1に従う後処理装置2におけるジャム発生時の動作を説明するための模式図である。図9を参照して、メイン処理トレイ142に所定枚数のシート束が収容されている状態でジャムが発生し、ステープラー本体131を退避位置まで移動させる場合を考える。この退避位置は、第1ステープラーホーム位置センサー134によって検出されるステープラー奥側ホーム位置である。
このとき、メイン処理トレイ142に収容(集積)されているシート束の状態によっては、ステープラー本体131がシート束(の隅部)に接触することになる。すなわち、ステープラー本体131とシート束との接触により、ステープラー本体131を移動させるためのステープラー移動モーター1311Mが脱調し得る。
そこで、本実施の形態においては、メイン排出ローラー156を正転駆動(シート束を搬出する方向への回転駆動)させることにより、メイン処理トレイ142に収容されているシート束を排出方向へ移動させる。すなわち、メイン処理トレイ142に収容されているシート束は、Y方向に沿ってステープラー本体131から離される方向へ移動する。
これによって、図10に示すように、ステープラー本体131が手前側1点綴じ位置を通過する際にも、ステープラー本体131とシート束との接触はなくなる。また、図11に示すように、ステープラー本体131が奥側1点綴じ位置を通過する際にも、ステープラー本体131とシート束との接触はなくなる。すなわち、ステープラー本体131は、シート束に接触することなく、退避位置(ステープラー奥側ホーム位置)まで移動することができる。
なお、図10に示すようなステープラー本体131の移動は、メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート有からシート無へ変化したことをもって開始される。すなわち、メイン排出ローラー156の正転駆動を開始した後、メイン処理トレイセンサー132によってシートの存在が検出されなくなると、メイン排出ローラー156の正転駆動(すなわち、シート束の搬出方向への移動)を停止するとともに、ステープラー本体131の移動を開始する。
すなわち、後処理の実行中にジャムの発生を検出したことに応答して、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるとともに、シート束の移動後に、ステープラー本体131(後処理機構)を退避位置などへ移動させる。このような制御ロジックを採用することで、ステープラー本体131を確実に退避位置へ移動させて、その後のジャム処理をより容易化できる。
(4.2:処理手順)
次に、本実施の形態に従う後処理装置2におけるジャム発生時の処理手順について説明する。図12は、本発明の実施の形態1に従う後処理装置2におけるジャム発生時の処理手順を示すフローチャートである。図12に示す各ステップは、制御部22(図4)によって主体的に実行される。
図12を参照して、制御部22は、平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生したか否かを判断する(ステップS100)。平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生していない場合(ステップS100においてNO)、ステップS100の処理が繰り返される。
平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生した場合(ステップS100においてYES)、制御部22は、平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)以外の負荷を停止する(ステップS102)。続いて、制御部22は、平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)をシート束の端部(X方向における最外部)へ移動させる(ステップS104)。すなわち、制御部22は、平綴じ整合板をシート束揃え待機位置からシート束の端部へ移動させて、シート束を押圧することにより、シート束のシート幅方向(X方向)を固定する。
平綴じ整合板の移動完了後、制御部22は、平綴じ整合板の移動を停止し、メイン排出ローラー156をシート束に圧接する(ステップS106)。すなわち、制御部22は、平綴じ整合板のシート束端部への移動が完了すると、メイン排出ローラー156をシート束に対して圧接することにより、シート束の長さ方向(搬送方向:Y方向)を固定する。
メイン排出ローラー156の圧接完了後、制御部22は、ステープラー本体131とシート束との接触の可能性を評価する。すなわち、制御部22は、ステープラー本体131をジャム処理時の退避位置(ステープラー奥側ホーム位置)へ移動させる場合に、ステープラー本体131とシート束とが接触するか否かを判定する。言い換えれば、制御部22は、発生したジャムの処理において、ステープラー本体131がメイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)に接触することが予想されるか否かを判断し、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の移動の要否を決定する。
より具体的には、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)のシート幅方向のサイズ情報およびステープラー本体131の現在位置の情報に基づいて、ステープラー本体131の移動時に、ステープラー本体131がシート束に接触するか否かを判断する(ステップS108)。シート(シート束)のシート幅方向のサイズ情報については、画像形成装置3から取得する用紙の属性情報に含まれる。
ステープラー本体131がシート束に接触すると判断されると(ステップS108においてYES)、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS110)。すなわち、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量を算出し、当該算出した重量に基づいて、ステープラー本体131とシート束との接触により、ステープラー移動モーター1311Mの脱調が生じ得る可能性の有無を判定する。このシート束の重量は、メイン処理トレイ142に収容されたそれぞれのシートのサイズ、坪量(単位面積あたりの重量)、枚数などに基づいて算出される。
この算出されたシート束の重量と比較される所定値は、ステープラー移動モーター1311Mの脱調の可能性を判定するものであり、シート束の負荷や、ステープラー移動モーター1311Mの駆動トルクマージン(ステープラー本体131がシート束に接触した場合に生じ得る脱調の可能性)などを考慮して決定される。
メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値以上であれば(ステップS110においてYES)、制御部22は、メイン排出ローラー156を正転駆動(シート束を搬出する方向への回転駆動)させる(ステップS112)。すなわち、制御部22は、メイン排出ローラー156を正転駆動させることで、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を排出方向へ移動させる。このように、本実施の形態においては、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を移動させるタイミングは、実質的に、ジャムの発生が検出されたタイミングである。
続いて、制御部22は、メイン排出ローラー156を正転駆動させてメイン処理トレイ142に収容されたシート束を排出方向へ移動させている間、メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート有からシート無へ変化したか否かを判断する(ステップS114)。メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート有からシート無へ変化していなければ(ステップS114においてNO)、ステップS114の処理が繰り返される。
メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート有からシート無へ変化すれば(ステップS114においてYES)、制御部22は、メイン排出ローラー156の正転駆動を停止する(ステップS116)。すなわち、シート束の搬送中にメイン処理トレイ142内に配設されたメイン処理トレイセンサー132がシート無を検出すると、ステープラー本体131が退避動作中にシート束に接触しない位置まで搬送されたものと判断して、シート束の移動を停止する。
このように、本実施の形態に従う後処理装置2は、後処理の対象となるシート(用紙)の属性情報を取得する情報取得手段を有しており、この属性情報に基づいて、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるか否かが判断される。より具体的には、シートの重量およびシート幅方向の長さに基づいて、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるか否かが判断される。すなわち、ステープラー本体131がメイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)に接触することが予想される場合であって、シートの重量が予め定められた値を超えている場合に、ステープラー本体131の移動時に当該ステープラー本体131と接触しない位置に、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させる。
なお、ステープラー本体131がシート束に接触しないと判断された場合(ステップS108においてNO)、あるいは、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値未満である場合(ステップS110においてNO)には、ステープラー移動モーター1311Mが脱調する可能性は低いので、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の移動は行なわれない。
その後、ステップS116の実行後、または、ステープラー本体131がシート束に接触しないと判断されると(ステップS108においてNO)、あるいは、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値未満であれば(ステップS110においてNO)、制御部22は、ステープラー本体131をジャム処理時の退避位置であるステープラー奥側ホーム位置へ移動させる(ステップS118)。このように、本実施の形態においては、ジャムの発生を検出した場合に、ステープラー本体131(後処理機構)を移動させる。そして、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の移動が完了した後に、ステープラー本体131(後処理機構)の移動を開始する。
上述したように、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値未満であれば(ステップS110においてNO)、ステープラー本体131の移動中に、ステープラー本体131がシート束と接触することになるが、シート束の重量が所定値未満であるので、ステープラー移動モーター1311Mに過大な負荷がかかって脱調する可能性は低い。
ステープラー本体131のジャム処理時の退避位置(ステープラー奥側ホーム位置)への移動が完了すると、制御部22は、ユーザーによるジャム処理が完了したか否かを判断する(ステップS120)。ユーザーによるジャム処理が完了していなければ(ステップS120においてNO)、ステップS120の処理が繰り返される。
ユーザーによるジャム処理が完了すると(ステップS120においてYES)、制御部22は、ステープラー本体131をジャム発生前のステープル位置へ移動させる(ステップS122)。典型的には、後処理装置2(後処理部100)の図示しない扉が開いた状態から閉じた状態に変化したときに、レジストセンサー122、スイッチバックセンサー124、収容センサー126の検出結果がすべてシート無である場合に、ジャム処理完了であると判断される。
ステープラー本体131の移動が完了すると、制御部22は、メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート無であるか否かを判断する(ステップS124)。メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート無であれば(ステップS124においてYES)、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を排出方向へ移動させた状態であるので、制御部22は、メイン排出ローラー156を逆転駆動(シート束を収容する方向への回転駆動)させる(ステップS126)。すなわち、制御部22は、メイン排出ローラー156を逆転駆動させることで、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を収容方向へ搬送する。
続いて、制御部22は、メイン排出ローラー156を逆転駆動させてシート束を収容方向へ移動させている間、メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート無からシート有へ変化したか否かを判断する(ステップS128)。メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート無からシート有へ変化していなければ(ステップS128においてNO)、ステップS128の処理が繰り返される。
メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート無からシート有へ変化すれば(ステップS128においてYES)、制御部22は、メイン排出ローラー156の逆転駆動を停止する(ステップS130)。すなわち、シート束の搬送中にメイン処理トレイ142内に配設されたメイン処理トレイセンサー132がシート有を検出すると、シート束がジャム発生前の位置に復帰したものとして、シート束の移動を停止する。
このように、本実施の形態においては、発生したジャムの処理の完了に応答して、ステープラー本体131(後処理機構)を本来の位置に復帰させるとともに、発生したジャムの処理の完了に応答して、メイン処理トレイ142(ステープル用トレイ)に収容されているシート(シート束)を本来の位置に復帰させる。
なお、メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート有であれば(ステップS124においてNO)、ステップS126〜S130の処理はスキップされる。
ステップS130の実行後、または、メイン処理トレイセンサー132の検出結果がシート有であれば(ステップS124においてNO)、制御部22は、メイン排出ローラー156をシート束から離間する(ステップS132)。すなわち、制御部22は、シート束がジャム発生前の状態に復帰すると、メイン排出ローラー156をシート束から離間することにより、シート束の長さ方向(搬送方向:Y方向)の固定を解除する。続いて、制御部22は、平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)をジャム発生前のシート束揃え待機位置へ移動させる(ステップS134)。すなわち、制御部22は、シート束のシート幅方向(X方向)の固定を解除する。
そして、平綴じステープル処理が再開される。
[5.ジャム発生時の動作(その2)]
上述の実施の形態においては、平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理部100においてジャムが発生した場合に、メイン処理トレイ142(ステープル用トレイ)に収容されているシート(シート束)をシート排出方向へ移動させる例について説明したが、シート幅方向(用紙幅方向)へ移動させるようにしても同様の作用効果を得ることができる。
以下では、第2の実施形態として、平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理部100でジャムが発生した時に、メイン処理トレイ142(ステープル用トレイ)に収容されているシート(シート束)をシート幅方向(用紙幅方向)へ移動させる例について説明する。
(5.1:全体処理)
図13および図14は、本発明の実施の形態2に従う後処理装置2におけるジャム発生時の動作を説明するための模式図である。より具体的には、図13には、メイン処理トレイ142に収容されているシート束を奥側へ移動させた状態を示し、図14には、メイン処理トレイ142に収容されているシート束を手前側へ移動させた状態を示す。
図9を参照して上述したように、メイン処理トレイ142に所定枚数のシート束が収容されている状態でジャムが発生し、ステープラー本体131を退避位置まで移動させる場合を考える。このとき、メイン処理トレイ142に収容(集積)されているシート束の状態によっては、ステープラー本体131がシート束(の隅部)に接触することになる。すなわち、ステープラー本体131とシート束との接触により、ステープラー本体131を移動させるためのステープラー移動モーター1311Mが脱調し得る。
そこで、本実施の形態においては、平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)を適宜駆動させることにより、メイン処理トレイ142に収容されているシート束をシート幅方向(用紙幅方向)へ移動させる。すなわち、メイン処理トレイ142に収容されているシート束は、X方向に沿ってステープラー本体131から離される方向へ移動させられる。なお、ステープラー本体131は、移動経路133に沿って移動するので、このステープラー本体131とシート束との相対的な位置関係に応じて、シート束をX方向に沿って手前側または奥側へ移動させる。
すなわち、図13に示すように、ステープラー本体131が手前側1点綴じ位置を通過する際には、メイン処理トレイ142に収容されているシート束を奥側へ移動させる。これに対して、図14に示すように、ステープラー本体131が奥側1点綴じ位置を通過する際には、メイン処理トレイ142に収容されているシート束を手前側へ移動させる。
このようなメイン処理トレイ142に収容されているシート束の移動は、典型的には、手前側平綴じ整合板1381および/または奥側平綴じ整合板1382を適宜駆動することで実現できる。もちろん、平綴じ整合板とは別の移動機構を設けて、シート束をX方向に沿って自在に移動できるようにしてもよい。
より具体的には、ジャム発生時におけるステープラー本体131の位置などに応じて、メイン処理トレイ142に収容されているシート束の移動要否などが決定される。例えば、設定されている綴じモードが奥側1点綴じモードであれば、ステープラー本体131はジャム処理時の退避位置に位置するので、シート束を移動させる必要はない。
これに対して、設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードであれば、ステープラー本体131をジャム処理時の退避位置まで移動させる過程で、ステープラー本体131がシート束の手前側および奥側の隅部をそれぞれ通過するので、ステープラー本体131の移動に伴って、シート束を奥側および手前へそれぞれ移動させる必要がある。また、ステープラー本体131を元の位置に復帰させる場合も同様である。
また、設定されている綴じモードが2点綴じモードであれば、ステープラー本体131をジャム処理時の退避位置まで移動させる過程で、ステープラー本体131がシート束の奥側の隅部のみを通過するので、シート束を手前へ移動させる必要がある。また、ステープラー本体131を元の位置に復帰させる場合も同様である。
このようにシート束を移動させることで、ステープラー本体131がいずれの位置を通過する場合であっても、ステープラー本体131とシート束との接触はなくなる。すなわち、ステープラー本体131は、シート束に接触することなく、退避位置(ステープラー奥側ホーム位置)まで移動することができる。すなわち、後処理の実行中にジャムの発生を検出したことに応答して、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるとともに、シート束の移動後に、ステープラー本体131(後処理機構)を退避位置などへ移動させる。このような制御ロジックを採用することで、ステープラー本体131を確実に退避位置へ移動させて、その後のジャム処理をより容易化できる。
なお、本実施の形態に従う後処理機構130においては、手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382をそれぞれ独立に駆動できるように構成することが好ましい。このためには、手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382を駆動するためのモーターおよび駆動ドライバーをそれぞれ独立に設ける構成を採用することが好ましい。
(5.2:処理手順)
次に、本実施の形態に従う後処理装置2におけるジャム発生時の処理手順について説明する。図15は、本発明の実施の形態2に従う後処理装置2におけるジャム発生時の処理手順を示すフローチャートである。図15に示す各ステップは、制御部22(図4)によって主体的に実行される。
図15を参照して、制御部22は、平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生したか否かを判断する(ステップS200)。平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生していない場合(ステップS200においてNO)、ステップS200の処理が繰り返される。
平綴じステープル処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生した場合(ステップS200においてYES)、制御部22は、ステープラー本体131とシート束との接触の可能性を評価する。すなわち、制御部22は、ステープラー本体131をジャム処理時の退避位置(ステープラー奥側ホーム位置)へ移動させる場合に、ステープラー本体131とシート束とが接触するか否かを判定する。言い換えれば、制御部22は、発生したジャムの処理において、ステープラー本体131がメイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)に接触することが予想されるか否かを判断し、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の移動の要否を決定する。
より具体的には、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)のシート幅方向のサイズ情報およびステープラー本体131の現在位置の情報に基づいて、ステープラー本体131の移動時に、ステープラー本体131がシート束に接触するか否かを判断する(ステップS202)。シート(シート束)のシート幅方向のサイズ情報については、画像形成装置3から取得する用紙の属性情報に含まれる。
ステープラー本体131がシート束に接触すると判断されると(ステップS202においてYES)、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS204)。すなわち、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量を算出し、当該算出した重量に基づいて、ステープラー本体131とシート束との接触により、ステープラー移動モーター1311Mの脱調が生じ得る可能性の有無を判定する。このシート束の重量は、メイン処理トレイ142に収容されたそれぞれのシートのサイズ、坪量(単位面積あたりの重量)、枚数などに基づいて算出される。
この算出されたシート束の重量と比較される所定値は、ステープラー移動モーター1311Mの脱調の可能性を判定するものであり、シート束の負荷や、ステープラー移動モーター1311Mの駆動トルクマージン(ステープラー本体131がシート束に接触した場合に生じ得る脱調の可能性)などを考慮して決定される。
メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値以上であれば(ステップS204においてYES)、制御部22は、設定されている綴じモードを判断する(ステップS206)。
設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードであれば(ステップS206において「手前側1点綴じモード」)、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を奥側へ移動させる(ステップS208)。より具体的には、制御部22は、まず、奥側平綴じ整合板1382を奥側方向へ所定距離だけ移動させる。奥側平綴じ整合板1382の移動が完了すると、次に、シート束の奥側端部が奥側平綴じ整合板1382に当接する位置まで手前側平綴じ整合板1381を奥側へ移動させ、シート束のシート幅方向(X方向)を固定する。奥側平綴じ整合板1382および手前側平綴じ整合板1381によるシート束の奥側への移動が完了すると、処理はステップS212へ進む。
これに対して、設定されている綴じモードが2点綴じモードであれば(ステップS206において「2点綴じモード」)、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を手前側へ移動させる(ステップS210)。より具体的には、制御部22は、まず、手前側平綴じ整合板1381を手前側方向へ所定距離だけ移動させる。手前側平綴じ整合板1381の移動が完了すると、次に、シート束の手前側端部が手前側平綴じ整合板1381に当接する位置まで奥側平綴じ整合板1382を手前側へ移動させ、シート束のシート幅方向(X方向)を固定する。手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382によるシート束の手前側への移動が完了すると、処理はステップS212へ進む。
このように、本実施の形態に従う後処理装置2は、後処理の対象となるシート(用紙)の属性情報を取得する情報取得手段を有しており、この属性情報に基づいて、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるか否かが判断される。より具体的には、シートの重量およびシート幅方向の長さに基づいて、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させるか否かが判断される。すなわち、ステープラー本体131がメイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)に接触することが予想される場合であって、シートの重量が予め定められた値を超えている場合に、ステープラー本体131の移動時に当該ステープラー本体131と接触しない位置に、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)を移動させる。言い換えれば、本実施の形態においては、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を移動させるタイミングは、実質的に、ジャムの発生が検出されたタイミングである。
なお、ステープラー本体131がシート束に接触しないと判断された場合(ステップS202においてNO)には、ステープラー移動モーター1311Mが脱調する可能性は低いので、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の移動は行なわれない。そのため、ステップS202およびS204の処理はスキップされ、処理はステップS212へ進む。
メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の重量が所定値未満である場合(ステップS204においてNO)には、制御部22は、平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)をシート束の端部(X方向における最外部)へ移動させる(ステップS205)。そして、処理はステップS212へ進む。
ステップS212において、制御部22は、ステープラー本体131をジャム処理時の退避位置であるステープラー奥側ホーム位置へ移動させる(ステップS212)。続いて、制御部22は、設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードであるか否かを判断する(ステップS214)。設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードであれば(ステップS214においてYES)、制御部22は、ステープラー本体131がシート束の手前側の隅部を通過したか否かを判断する(ステップS216)。より具体的には、制御部22は、第2ステープラーホーム位置センサー135がステープラー本体131の通過を検出したか否かを判断する。ステープラー本体131がシート束の手前側の隅部を通過していなければ(ステップS216においてNO)、ステップS216の処理が繰り返される。
ステープラー本体131がシート束の手前側の隅部を通過すれば(ステップS216においてYES)、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を手前側へ移動させる(ステップS218)。より具体的には、制御部22は、まず、手前側平綴じ整合板1381を手前側方向へ所定距離だけ移動させる。手前側平綴じ整合板1381の移動が完了すると、次に、シート束の手前側端部が手前側平綴じ整合板1381に当接する位置まで奥側平綴じ整合板1382を手前側へ移動させ、シート束のシート幅方向(X方向)を固定する。手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382によるシート束の手前側への移動が完了すると、処理はステップS220へ進む。
設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードでなければ(ステップS214においてNO)、処理はステップS220へ進む。
ステップS220において、ステープラー本体131のジャム処理時の退避位置であるステープラー奥側ホーム位置への移動が完了したか否かを判断する(ステップS220)。ステープラー本体131のジャム処理時の退避位置への移動が完了していなければ(ステップS220においてNO)、ステップS220の処理が繰り返される。
このように、本実施の形態においては、ジャムの発生を検出した場合に、ステープラー本体131(後処理機構)を移動させる。そして、メイン処理トレイ142に収容されたシート(シート束)の移動が完了した後に、ステープラー本体131(後処理機構)の移動を開始する。
ステープラー本体131のジャム処理時の退避位置への移動が完了すれば(ステップS220においてYES)、制御部22は、メイン排出ローラー156をシート束に圧接する(ステップS222)。すなわち、制御部22は、平綴じ整合板のシート束端部への移動が完了すると、メイン排出ローラー156をシート束に対して圧接することにより、シート束の長さ方向(搬送方向:Y方向)を固定する。続いて、制御部22は、ユーザーによるジャム処理が完了したか否かを判断する(ステップS224)。典型的には、後処理装置2(後処理部100)の図示しない扉が開いた状態から閉じた状態に変化したときに、レジストセンサー122、スイッチバックセンサー124、収容センサー126の検出結果がすべてシート無である場合に、ジャム処理完了であると判断される。ユーザーによるジャム処理が完了していなければ(ステップS224においてNO)、ステップS224の処理が繰り返される。
ユーザーによるジャム処理が完了すると(ステップS224においてYES)、制御部22は、メイン排出ローラー156をシート束から離間する(ステップS226)。すなわち、制御部22は、シート束がジャム発生前の状態に復帰すると、メイン排出ローラー156をシート束から離間することにより、シート束の長さ方向(搬送方向:Y方向)の固定を解除する。
メイン排出ローラー156のシート束からの離間が完了すると、制御部22は、ステープラー本体131をジャム発生前のステープル位置へ移動させる(ステップS228)。続いて、制御部22は、設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードであるか否かを判断する(ステップS230)。設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードであれば(ステップS230においてYES)、制御部22は、ステープラー本体131がシート束の奥側の隅部を通過したか否かを判断する(ステップS232)。より具体的には、制御部22は、第2ステープラーホーム位置センサー135がステープラー本体131の通過を検出したか否かを判断する。ステープラー本体131がシート束の奥側の隅部を通過していなければ(ステップS232においてNO)、ステップS232の処理が繰り返される。
ステープラー本体131がシート束の奥側の隅部を通過すれば(ステップS232においてYES)、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を奥側へ移動させる(ステップS234)。より具体的には、制御部22は、まず、奥側平綴じ整合板1382を奥側方向へ所定距離だけ移動させる。奥側平綴じ整合板1382の移動が完了すると、次に、シート束の奥側端部が奥側平綴じ整合板1382に当接する位置まで手前側平綴じ整合板1381を奥側へ移動させ、シート束のシート幅方向(X方向)を固定する。奥側平綴じ整合板1382および手前側平綴じ整合板1381によるシート束の手前側への移動が完了すると、処理はステップS236へ進む。
設定されている綴じモードが手前側1点綴じモードでなければ(ステップS230においてNO)、処理はステップS236へ進む。
ステップS220において、ステープラー本体131のジャム発生前のステープル位置への移動が完了したか否かを判断する(ステップS236)。ステープラー本体131のジャム発生前のステープル位置への移動が完了していなければ(ステップS236においてNO)、ステップS236の処理が繰り返される。
ステープラー本体131のジャム発生前のステープル位置への移動が完了すれば(ステップS236においてYES)、制御部22は、メイン処理トレイ142に収容されたシート束をジャム発生前の元の位置へ移動させる(ステップS238)。より具体的には、手前側1点綴じモードが設定されている場合には、メイン処理トレイ142に収容されたシート束が奥側へ移動しているため、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を手前側へ移動して元の状態へ復帰させる。これに対して、2点綴じモードが設定されている場合には、メイン処理トレイ142に収容されたシート束が手前側へ移動しているため、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を奥前側へ移動して元の状態へ復帰させる。
メイン処理トレイ142に収容されたシート束の復帰が完了すると、制御部22は、平綴じ整合板(手前側平綴じ整合板1381および奥側平綴じ整合板1382)をジャム発生前のシート束揃え待機位置へ移動させる。すなわち、制御部22は、シート束のシート幅方向(X方向)の固定を解除する。
このように、本実施の形態においては、発生したジャムの処理の完了に応答して、ステープラー本体131(後処理機構)を本来の位置に復帰させるとともに、発生したジャムの処理の完了に応答して、メイン処理トレイ142(ステープル用トレイ)に収容されているシート(シート束)を本来の位置に復帰させる。
そして、平綴じステープル処理が再開される。
[6.ジャム発生時の動作(変形例)]
上述の実施の形態1においては、シート(シート束)をシート排出方向へ移動させる構成を例示し、実施の形態2においては、シート(シート束)をシート幅方向へ移動させる構成を例示した。さらに、それぞれの構成を適宜組み合わせる構成を採用してもよい。例えば、シート(シート束)を移動できる量が相対的に小さい場合には、両方向にそれぞれ移動させることで、シート束とステープラー本体131との間の距離を確保することができる。あるいは、ジャムが発生した際のステープラー本体131の位置や収納されているシートの枚数などに応じて、いずれの方向にシート束を移動させるかを決定してもよい。
上述の実施の形態においては、ジャムの発生が検出されたタイミングで、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を移動させる例を示したが、後処理装置2(後処理部100)の扉が開いたタイミングでシート束を移動させてもよい。すなわち、ユーザーが後処理装置2(後処理部100)の扉を開いた場合は、後処理装置2(後処理部100)内で何らかの処理をすることが予想されるため、このような場合にも、ステープラー本体131をジャム処理時の退避位置まで移動させるために、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を移動させる。このように、メイン処理トレイ142に収容されたシート束を移動させるタイミングは、後処理装置2(後処理部100)の扉が開かれたタイミングであってもよい。
上述したように、後処理機構130としては、ステープル機構(ステープラー)、パンチ機構(パンチャー)、スタンプ機構(スタンパー)などを採用することができる。
[7.本発明に従う他の局面]
本発明によれば、以下のような局面の後処理装置を含む。
すなわち、本発明の他の局面に従う後処理装置は、設定された後処理モードを検出する手段と、検出した後処理モードにおいて搬送される複数の用紙(シート)を後処理用のトレイに溜める手段と、溜められた用紙に後処理を施す移動可能な後処理機構と、後処理モードにおいて搬送される用紙のジャムを検出する手段と、検出したジャム情報に基づいて後処理用トレイの用紙を移動させる手段と、後処理用トレイの用紙移動後に後処理機構を移動させる手段とを含む。
好ましくは、後処理機構とはステープル機構である。
好ましくは、後処理機構とはパンチ機構である。
好ましくは、後処理機構とはスタンプ機構である。
好ましくは、用紙の重量および用紙幅方向の長さに応じて後処理機構を動かすか否かを決定する。
好ましくは、ジャム検知時に後処理機構を動かす。
好ましくは、後処理機構と用紙束とが接触する場合のみ後処理機構を動かす。
好ましくは、動かすタイミングはジャム検知タイミングである。
好ましくは、動かすタイミングは後処理装置の扉を開いたタイミングである。
好ましくは、接触すると判定した場合に用紙の重量が所定重量以上かどうかを判定し、所定重量以上と判定した場合にステープル機構を移動させる際に用紙束と接触しない位置に用紙束を移動させる手段を備える。
好ましくは、用紙束の移動において、用紙束を排出方向へ移動させる。
好ましくは、用紙束の移動において、用紙束を用紙幅方向へ移動させる。
好ましくは、用紙束の移動完了後に、ステープル機構の退避動作を開始する。
好ましくは、ジャム処理の完了を認識した後に、ステープル機構をジャム発生前のステープル位置に復帰させ、復帰完了後に集積された用紙をジャム発生前の位置に復帰させるべく、用紙束を移動させる。
本発明のさらに別の局面に従えば、ステープル用トレイに集積される各々の用紙(シート)の重量および用紙幅方向の長さを認識する手段と、集積される用紙の枚数を計測する手段と、認識手段および計測手段からトレイに集積された全ての用紙の重量を算出する手段と、ステープルモード設定中にフィニッシャ内部でジャムが発生した場合にステープル機構をジャム処理の妨げにならない位置に退避させる手段を備えた後処理装置において、認識手段による用紙幅方向長さ情報よりステープル機構の退避中にステープル機構と集積された用紙が接触するかどうかを判定する。
この判定により、接触すると判定した場合は、さらに算出手段による用紙の重量が所定重量以上かどうかを判定する。この判定により、所定重量以上と判定した場合は、ステープル機構を移動させる際に接触しない位置に用紙束を移動させるように制御する。用紙束の移動完了後にステープル機構の退避動作を開始するように制御する。
以上により、ステープラーの退避中にステープラーがステープル用トレイに集積された用紙と接触することによってステープラー移動モーターが脱調するのを防止し、ステープラーをジャム処理のための退避位置に確実に移動させることができる。
さらに、ジャム処理の完了を認識した後に、ステープル機構をジャム発生前のステープル位置に復帰させ、復帰完了後に集積された用紙をジャム発生前の位置に復帰させるべく、用紙束を移動させるよう制御する。
これにより、ジャム処理後のジョブはジャム発生前の状態より継続されるため、正常にステープル処理されたシート束を生成することができる。
[8.利点]
本発明の実施の形態によれば、ステープルなどの後処理のジョブ実行中に後処理装置2(後処理部100)においてジャムが発生した場合に、メイン処理トレイ142(後処理用トレイ)に収容(集積)されたシート束の状態にかかわらず、ステープラー本体131(後処理機構130)をジャム処理時の退避位置へ確実に移動させることができる。そのため、ユーザーは、ジャム処理を容易に行なうことができる。また、装置の小型化も併せて実現可能である。
また、ジャム発生時に、ステープラー本体131(後処理機構)がシート束と接触して、ステープラー本体131を駆動するモーターが脱調する可能性がある場合に限って、メイン処理トレイ142(後処理用トレイ)に収容(集積)されたシート束をステープラー本体131(後処理機構)と接触しない位置へ移動させる。これにより、必要な場合に限って、メイン処理トレイ142(後処理用トレイ)に収容(集積)されたシート束を移動させるので、無駄な処理を行なわなくてよい。
さらに、ジャム処理後は、ジャム発生前の状態よりジョブを再開することが可能であるため、正常にステープル処理されたシート束を生成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。