以下、本発明に関わる排出ユニットとしてのシート後処理ユニットB及びこれを取り付ける画像形成ユニットAについて図を参照して説明する。図1は画像形成ユニットAとシート後処理ユニットBと画像読取ユニットCとを組み合わせた画像形成システムの全体構成を示す説明図である。原稿等の画像を画像読取ユニットCで読み取り、その画像データに基づいて画像形成ユニットAでシート上に画像が形成される。そして画像形成されたシートを、シート後処理ユニットBで穿孔及び部揃え積載して綴じ処理を施し、シート搬送方向下流側に位置する第1スタックトレイ(第1の積載部)に積載する。または、シート後処理ユニットBで処理を行わないシートを、シート後処理ユニットBの上方の第2スタックトレイ(第2の積載部、第3の積載部、第4の積載部)に積載する。
後述するシート後処理ユニットBは、画像形成ユニットAのハウジングに形成された排紙空間19にユニットとして内蔵され、第1排出口40(第1の排出部)に送られた画像形成後のシートに穿孔処理を施すパンチユニット30、ユニット間でシートの受け渡しを行う中継搬送ユニット31、シートを処理トレイ上に部揃え集積して、綴じ処理した後にシート搬送方向下流側に配置した第1スタックトレイに積載するシート綴じユニット32とで構成されている。また、図示しないが、シートに穿孔処理を施すパンチユニット30、ユニット間でシートの受け渡しを行う中継搬送ユニット31を備えず、第1排出口40から送られたシートをシート綴じユニット32が直接受け取る形態であってもよい。
また、画像読取ユニットCでの読取モード(片面読取、両面読取、カラー、モノクロ読取など)の選択、画像形成ユニットAでの画像形成モード(片面印刷、両面印刷、シートサイズの選択など)の選択、シート後処理ユニットBでの処理モード(パンチ、綴じなど)の選択を、画像形成装置を操作する操作者が、装置に対して操作、及び情報、状態を確認するための操作部42を備えている。
なお、本装置の説明において装置フロント側Frは、装置を使用する操作者(オペレータ)が各種操作を実行する装置の正面側を云う。通常、この装置フロント側Frには装置に処理を入力したり装置の状態を表示したりする操作部42(オペレーションパネル)、画像形成装置の給紙カセットの装着カバー(扉)、或いはステープラユニットの針を補充するための開閉カバーが配置されている。また、装置リア側Reとは、例えば装置を設置する際に建造物の壁面に面する側(装置の設計上、背面に壁がある設計条件)を云う。また、装置をフロント側から見た各断面図において、右方向から左方向への移動を特に断りのない限りシートの排出方向とする。
[画像形成ユニット]
図1に示す画像形成ユニットAは、インクジェット方式を用いたもので画像形成部2の下方にシートを収納する4段の給紙カセット1a、1b、1c、1dからなる給紙部1と、画像形成部2の上方にシート後処理ユニットB、さらにその上方に画像読取ユニットCが配置されている。したがって、シート後処理ユニットBの配置は、画像読取ユニットCと画像形成部2との間の空間を利用する所謂胴内設置タイプの装置となっている。シート後処理ユニットBを画像形成ユニットAに装着しない時は、画像形成部Bと画像読取ユニットCとの間の排紙空間19を、画像形成部Bから排出されるシートを積載する積載部として使用することもできる。
上記の画像形成部2はインクジェット方式を採用している。すなわち、4色の色成分でそれぞれ印字ヘッド(シアン2C、マゼンタ2M、イエロー2Y、ブラック2K)を用いており、搬送パスP1上を通過するシートに対して印刷処理を行う。
この様に画像形成されたシートは、第1本体排出ローラ14により第1排出口40よりシート後処理ユニットBに向けられるが、シートの両面に画像形成を行う場合は、切替ゲート15により第2排出口41に向けてシートの搬送方向先端が向けられる。その後、図示しないセンサでシートの後端を検出まで、搬送ローラ28及び第2本体排出ローラ18でシートの搬送を行う。シートの後端を検出すると、シートの搬送を停止し第2排出口41に向けて搬送したシートをスイッチバックさせて、循環経路17に搬送して再び二次転写ローラ10に送りシートの裏面側に画像形成する。
画像形成がされたシートは、その後行われる処理もしくはシートのサイズにより、画像形成ユニットAから排出される排出口が選択される。シートに穿孔や綴じを行う処理が選択された場合、第1排出口40からシート後処理ユニットBに向けて排出され、選択に応じてパンチユニット30にて穿孔処理がされ、中継搬送ユニット31を介してシート綴じユニット32へシートが搬送され、選択に応じて綴じ処理が行われ、第1スタックトレイに積載される。それに対し、第1スタックトレイに収納できない長尺のシート(例えばA3の長手方向420mmより長いサイズ)が選択され画像形成された場合、第2排出口41(第2の排出部)からシートが排出され、シート後処理ユニットBの上方に設けられた第2スタックトレイに積載される。
[画像読取ユニット]
画像読取ユニットCは、画像読取装置20と原稿自動送り装置24とで構成されている。画像読取装置20はプラテン21と、このプラテン21に沿って往復動する読取キャリッジ22で構成されている。プラテン21は透明ガラスで形成され、プラテン21の上面に対象となる原稿を置き読取キャリッジ22を移動させて読取を行う静止画像読取モードと、原稿自動送り装置24により所定の搬送速度で搬送される原稿を、読取キャリッジ22を所定の位置に停止させて読取を行う走行画像読取モードとが選択できる。
読取キャリッジ22は、光源ランプと、原稿からの反射光を偏光する反射ミラーとで構成されている。反射ミラーで偏光された原稿からの反射光は、集光レンズを介してCCD基板23上に実装された光電変換素子に照射される。光電変換素子はプラテン21上の原稿幅方向(主走査方向)に配列されたラインセンサで構成され、これと直交する副走査方向に読取キャリッジ22が往復移動することで、線順次で原稿画像を読み取るようになっている。画像読取装置20の上方には、原稿を所定の速度で搬送させる原稿自動送り装置24が搭載されている。この原稿自動送り装置24は原稿スタッカ25上にセットした原稿シートを1枚ずつプラテン21に給送し、画像を読み取った後に排紙トレイに収納するフィーダ機構で構成されている。
[パンチユニット]
パンチユニット30には、第1排出口40から排出されパンチユニット30内のシート搬送パスを通過するシートに穿孔処理を施す穿孔手段38が配置されている。穿孔手段38のシート搬送方向上流側には、シートを搬送する第1本体排出ローラ14が配置され、図示しない駆動モータに連結されている。この駆動モータに駆動信号を送るモータドライバに接続された図示しない制御手段(CPU等)は、後述するユーザーの操作を受け付ける操作部から穿孔処理を行うという命令を受けると、シートを穿孔位置に一時的に停止するように構成されている。
穿孔手段38は、パンチユニット30内のシート搬送パスを通過するシートに、パンチ穴を穿孔する図示しない穿孔機構38aと、穿孔機構38aによって穿孔されたシートの屑を収納する屑箱39を備えている。
以下に穿孔機構38aについてその構成を説明が、回転する偏心カムと穿孔刃を組み合わせた一般的な機構であり、特に図を用いた説明は省略する。パンチユニット30内のシート搬送パスを介して穿孔刃(パンチ)を有する穿孔部材と、刃受け孔を有するダイ部材とが対向配置されている。穿孔部材はユニットフレームに所定ストロークで上下動可能に軸受指示され、上下動する穿孔駆動手段が連結されている。
穿孔駆動手段は、駆動モータと、これに連結された駆動カムで構成されている。駆動カムは偏心カムで構成され穿孔部材とリンク連結されている。穿孔駆動手段の駆動モータのドライバは、図示しない制御手段に接続され制御される。穿孔機構38aは1つ若しくは複数の穿孔部材を所定ストロークで上死点から下死点へと往復動するシフト機構で構成し、その機構は駆動カムと駆動モータなどで構成する。このほか、穿孔機構としては回転体の周囲に突起状のパンチ部材を一体的に形成し、回転体の回転で通過するシートにファイル穴を穿孔する機構(ロータリーパンチ機構)を採用することも可能である。
[中継搬送ユニット]
パンチユニット30内のシート搬送パスを通過したシートは、中継搬送ユニット31内のシート搬送パスを経由し、シート綴じユニット32へと搬送される。中継搬送ユニット31内のシート搬送パスには、第1中継搬送ローラ対34と第2中継搬送ローラ対35とが略水平な位置に間隔をあけて備えられている。第1中継搬送ローラ対34と第2中継搬送ローラ対35との間の長さは、第1本体排出ローラ14と第1中継搬送ローラ対34との間の長さ、及び第2中継搬送ローラ対35と後述するシート綴じユニット32に備えられた搬入ローラ51との間の長さに略等しい長さに設定され、画像形成ユニットAで使用される種々のシートの中でシート搬送方向の最小シート長よりも短い長さに設定される。
[シート綴じユニット]
シート綴じユニット32は図2に装置全体を斜視した構成を、図3にその断面構成を示すように、装置ハウジング55と、このハウジングに配置されたシート搬入経路52と、そのシート搬入経路52のシート搬送方向下流側に配置された処理トレイ54と、さらにその下流側に配置された第1スタックトレイ26とで構成されている。
処理トレイ54にはシートを搬入するシート搬入手段65と、搬入されたシートを束状に集積するシート端規制手段61と、束状に集積されたシートをシート搬送方向と直交する方向から叩いて整合するシート整合手段62が配置されている。これらと共に、処理トレイ54には整合されたシート束をステープルの針で綴じるステープル綴じ手段56(第1の綴じ手段)と、整合されたシート束をステープル針等の針を用いずに綴じる針無綴じ手段57(第2の綴じ手段)が配置されている
装置ハウジング55は、装置フレーム55aと、外装ケーシング55bで構成され、装置フレーム55aは、後述する各機構部(経路機構、トレイ機構、搬送機構など)を支持するフレーム構造で構成される。図示の装置は互いに対向する一対の側枠フレーム(不図示)の間に綴じ機構、搬送機構、トレイ機構及び駆動機構が配置され、外装ケーシング55bで一体化されたモノコック構造で構成されている。外装ケーシング55bは一対の側枠フレーム55c、55dと、両側枠フレームを連結するステーフレームを樹脂などのモールド加工で一体化したモノコック構造構成され、その一部(装置フロント側は)は外部から操作可能に露出している。
シート綴じユニット32は上述した構成となり、つまり、フレーム枠組みの外周を外装ケーシング55bでカバーし、第1スタックトレイ26及び第1スタックトレイ26周辺に配置されたガイド部、駆動部以外のシート綴じ機構部が画像形成ユニットAの排紙空間19に内蔵される。この状態で外装ケーシング55bの装置フロント側Frの一部も、外部から操作可能な状態に露出している。この外装ケーシング55bの装置フロント側Frには、後述するステープル針交換カバー66と、手差しセット部(挿入部)と、マニュアル操作釦68(図示のものは表示ランプを内蔵したスイッチ)が装備されている。
上記外装ケーシング55bはシートの搬送方向の長さ寸法Lxと、搬送方向と直交する方向の長さLyとは、シート綴じユニット32で処理が行える最大サイズシートを基準に設定され、画像形成ユニットAの排紙空間19より小さい寸法に設定されている。また、装置を設置した際の上下方向(重力方向)の長さ寸法Lzは、後述するステープル綴じ手段56、針無綴じ手段57などの処理部が配置されている箇所(長さ寸法Lz1)が画像形成ユニットAの排紙空間19より小さい寸法に設定さて、第1スタックトレイ26及び第1スタックトレイ26周辺に配置されたガイド部、駆動部が配置されている箇所(長さ寸法Lz2)が第1スタックトレイ26のシート積載量、つまりシート積載最大量で設定される第1スタックトレイ26の移動量に設定されている。
[シート搬送経路]
装置ハウジング55には、図3に示すように搬入口50を有するシート搬入経路52が配置され、図示ものは中継搬送ユニット31から水平方向にシートを受け取り、略水平方向(シート搬送方向において若干上向きに傾いた方向)に搬送して排紙口53から搬出するように構成されている。このシート搬入経路52は適宜のペーパーガイド(板)52aで形成され、シートを搬送する搬送機構が内蔵されている。この搬送機構は、経路長に応じて所定間隔の搬送ローラ対で構成され、図示のものは搬入口50の近傍に搬入ローラ51が、排紙口53の近傍に排紙ローラ58が配置されている。またシート搬入経路52にはシートの先端及び/又は後端を検出するシートセンサSe1、Se2が配置されている。
上記シート搬入経路52は、装置ハウジング55を横断するように略水平方向の直線経路で形成されている。これは湾曲した経路でシートにストレスを及ぼすのを避ける為であり、装置レイアウトから許容される直線性で経路形成する。上述の搬入ローラ51と排紙ローラ58とは、図示しない同一の駆動モータM1(以下「搬送モータ」という)に連結され、同一周速度でシートを搬送する。
[処理トレイ]
図3に従って説明すると、シート搬入経路52の排紙口53には、そのシート搬送方向の下流側に段差dを形成して処理トレイ54が配置されている。この処理トレイ54は排紙口53から送られたシートを上方に積み重ねて束状に集積するため、シートの少なくとも一部を支持する紙載面54aを備えている。図示のものは後述する第1スタックトレイ26でシート先端側を支持し、シート後端側を処理トレイ54で支持する構造(ブリッジ支持構造)を採用している。これによりトレイ寸法を小型化している。
上記処理トレイ54は排紙口53から送られたシートを束状に集積して、所定姿勢に整合した後に綴じ処理を施し、処理後のシート束をシート搬送方向下流側の第1スタックトレイ26に搬出するように構成されている。このため処理トレイ54には、「シート搬入手段65」と、「シート整合手段62」と、「ステープル綴じ手段56」と、「針無綴じ手段57」と、「シート束搬出手段70」が組み込まれている。
[シート搬入手段]
上述の排紙口53には段差dを形成して処理トレイ54が配置されている。この処理トレイ54上にシートを正しい姿勢で円滑に搬送するシート搬入手段65が必要となる。図示のシート搬入手段65(摩擦回転体)は、昇降するパドル回転体59で構成され、排紙口53からシート後端がトレイ上に搬出した段階でパドル回転体59がシートを排紙する方向と反対方向(図3において左から右に向かう方向)に移送して、後述するシート端規制手段61に突き当て整合(位置決め)する。
このため排紙口53には装置フレーム55aに支軸60xで搖動可能に軸支持された昇降アーム60が設けられ、この昇降アーム60の先端部にパドル回転体59が回転可能に軸支持されている。上記支軸60xには図示しないプーリが装備され、このプーリには前述した搬送モータM1が連結されている。
これと共に昇降アーム60には昇降モータM3(以下「パドル昇降モータ」という)がバネクラッチ(トルクリミッタ)を介して連結され、パドル昇降モータM3の回転で昇降アーム60を上方の待機位置Wpと下方の作動位置(シートとの係合位置)Apとの間で昇降するように構成されている。つまりバネクラッチは、パドル昇降モータM3の一方向回転で昇降アーム60を作動位置Apから待機位置Wpに上昇させ、図示しない係止ストッパに突き当たった後は、待機位置Wpで待機する。またパドル昇降モータM3の反対方向回転でバネクラッチは弛緩して昇降アーム60はその自重で待機位置Wpから下方の作動位置Apに下降して処理トレイ54上に集積されている最上位置のシートと係合する。
図示の装置はパドル回転体59が図5に示すようにシートセンタ(センタ基準Sx)を基準に所定距離離れて左右対称に一対配置されている。この他、シートセンタとその両サイドに合計3個のパドル回転体を配置しても、あるいはシートセンタに1つのパドル回転体を配置してもよい。
上記パドル回転体59はゴム質の板状部材、プラスチック製の羽根部材などのフレキシブルな回転体で構成されている。このパドル回転体以外にシート搬入手段65としてはローラ体、ベルト体などの表面に適当な摩擦を持つ回転部材で構成することが可能である。また図示の装置はシートの後端が排紙口53から搬出したのちにパドル回転体59を上方の待機位置Wpから下方の作動位置Apに降下する機構を示したが、次の昇降制御を採用することも可能である。
例えば、シートの先端が排紙口53から搬出した段階で、摩擦回転体を待機位置から作動位置に降下させ、同時にシートが搬出されている方向に合わせて摩擦回転体を回転させる。それから、シートの後端が排紙口53から搬出するタイミングでこの摩擦回転体を搬出されている方向とは反対方向に回転させる。これによって排紙口53から搬出されるシートを高速で、かつスキューすることなく処理トレイ54の所定位置に移送することが可能である。
上述の排紙口53に配置されたシート搬入手段65(パドル回転体)でシートを処理トレイ54の所定位置に搬送する場合に、カールしたシート、スキューしたシートなどのシート先端を確実にシート端規制手段61に案内するために掻き込み搬送手段63が必要となる。
図示の装置は、排紙ローラ58の下方で後述するシート端規制手段61の上流側に積載されたシートの最上シートを、シート端規制手段61側に向けて搬送する掻き込み回転体(掻き込み搬送手段)63が配置されている。図示のものはリング形状のベルト部材69(以下「掻き込みベルト」という)を処理トレイ54の排紙ローラ58を挟んでシート搬入手段65と対向する位置に配置する。この掻き込みベルト69は処理トレイ54上の最上シートと係合するとともに、シート端規制手段61側にシートを搬送する方向に回転する。
このため掻き込みベルト69はゴム質などの柔軟な材料で、摩擦力の高いベルト材(ローレットベルトなど)で構成し、駆動モータ(図示のものは搬送モータM1と共通)に連結された回転軸69xとアイドル軸69yとの間に挟まれ支持されている。そして図3における反時計方向の回転力が回転軸69xから付与されている。これと共に、掻き込みベルト69は処理トレイ54上に積載されている最上シートに沿って搬入してくるシートを押圧しながら、そのシートの先端をシート端規制手段61に突き当てる。
上記掻き込みベルト69は、ベルトシフトモータM5(以下「ローレット昇降モータ」という)で処理トレイ54上の最上シートの上方に上下動するように構成されている(その昇降機構の説明は省略する)。そして、シートの先端がベルト表面と最上シートとの間に侵入したタイミングで、掻き込みベルト69が下降してシートと係合する。また、掻き込みベルト69は後述するシート束搬出手段70で処理トレイ54から第1スタックトレイ26に移送するときには、最上シートから離間して上方に待機するようにローレット昇降モータM5を制御する。
[シート整合機構]
処理トレイ54には、搬入されたシートを所定の位置(処理位置)に位置決めするシート整合機構が配置されている。図示のシート整合機構は、排紙口53から搬出されたシートのシート搬送方向の端面(先端か後端のいずれか)を位置規制する「シート端規制手段61」とシートを搬送する方向と直交する方向(シートサイド方向)を幅寄せ整合する「シート整合手段62」とで構成されている。以下この順に説明する。
図示のシート端規制手段61は、シートの排出方向の後端を突き当て規制する後端規制部材71で構成されている。この後端規制部材71は、処理トレイ54上の紙載面54aに沿って搬入されるシートの排紙方向の後端縁を突き当て規制する規制面71aを備え、前述の掻き込み搬送手段63で送られるシートの排紙方向の後端を突き当てて停止させる。
この後端規制部材71は、後述するステープル綴じ手段56でマルチ綴じを行う際、ステープラユニットの移動(シートの排紙方向と直交する方向の移動)の妨げとならないように構成される。例として、(1)後端規制部材71をステープル綴じ手段56の移動路(移動軌跡)に対して進入及び退避する機構とするか、(2)ステープル綴じ手段56と一体的に位置移動する機構とするか、(3)後端規制部材71を、ステープル綴じ手段56のヘッドとアンビルで構成される綴じ空間の内部に、チャンネル形状の折り曲げ片で構成する機構があげられる。
図示のものは、上記の3番目にあげた構成を採用するもので、後端規制部材71をステープル綴じ手段56の綴じ空間内に配置する断面コ字状(チャンネル形状)の板状折り曲げ部材で構成している。そして、最小サイズシートを基準にシートセンタに第1後端規制部材71Aを、これと距離を隔ててその両側に第2、第3後端規制部材71B、71Cを配置している(図5参照)。これによってステープル綴じ手段56のシートの排紙方向と直交する方向の移動を可能にしている。
処理トレイ54には上述の後端規制部材71に突き当たったシートを、シートの排紙方向と直交する方向(以下「シート幅方向」という)に位置決めするシート整合手段62が設けられている。シート整合手段62は、処理トレイ54上に異なるサイズのシートをセンター基準で整合するか、片側基準で整合するか、によってその構成は異なる。
図5に示す装置は、排紙口53からセンター基準で異なるサイズのシートが排出され、このシートを処理トレイ54上でシートのセンターを基準に整合する。そして、センター基準で束状に整合されたシートの束を綴じ処理を施す。更に綴じ処理の選択に応じて、シートの複数の箇所に綴じ処理を行うマルチ綴じのときには、センターを基準に整合を行った位置で、綴じ位置Ma1、Ma2に、シート幅方向の角部付近に綴じ処理を行うコーナー綴じのときには、シート幅方向のどちらか一方に所定量シート束をオフセット移動させ、綴じ位置Cp1、Cp2にてステープル綴じ手段56で綴じ処理を行う。
これらの整合動作を行うために、シート整合手段62は、処理トレイ54の紙載面54aから上方に突出し、シートのシート幅方向の側縁と係合する規制面72xを有するサイド整合部材72(72F、72R)を、シート幅方向で一対に、互いに対向するように配置する。そしてこの一対のサイド整合部材72を所定のストロークで往復動可能に処理トレイ54に配置する。このストロークの量は、シート後処理ユニットBが処理する最大サイズのシートと最小サイズのシートのサイズ差、および整合した後のシート束をシート幅方向のいずれか一方の方向にオフセット移動させるオフセット量によって設定する。つまり、サイド整合部材72F、72Rの移動可能なストローク量は、異なるサイズのシートを整合するための移動量と、整合後のシート束をオフセット移動させる量で設定されている。
このためサイド整合部材72は、図6に示すように、フロント側サイド整合部材72Rとリア側サイド整合部材72Lで構成され、2つのサイド整合部材72には、シートのシート幅方向の側縁と係合する規制面72xが互いに接近方向又は離間方向に移動するように処理トレイ54に取り付け支持されている。処理トレイ54には表裏を貫通するスリット溝54xが設けられ、このスリット溝に処理トレイ54上面でシート幅方向の側縁と係合する規制面72xを有するサイド整合部材72が摺動可能に嵌合されている。
各サイド整合部材72F、72Rは処理トレイ54の背面側で複数のガイドコロ73(レール部材であっても良い)で摺動可能に支持され、ラック74が一体形成されている。フロント側、リア側両方のラック74にはピニオン75を介して整合モータM6、M7が連結されている。これら2つの整合モータM6、M7はステッピングモータで構成され、図示しない位置検出センサで2つのサイド整合部材72F、72Rの位置を検出し、その検出値を基準に各サイド整合部材をフロント、リアのいずれの方向にも、指定された移動量で位置移動できるように構成されている。
なお、図示のラック&ピニオン機構によることなく、各サイド整合部材72F、72Rをベルトに固定し、このベルトをフロント、リア方向に往復動させるモータにプーリで連結する構成を採用することも可能である。
このような構成で図示しない制御手段は、画像形成ユニットAから提供されるシートのサイズ情報に基づいて2つのサイド整合部材72を所定の待機位置(シートの幅+α位置)に待機させる。この状態で処理トレイ54上にシートを搬入し、シートの排出方向後端が後端規制部材71に突き当たったタイミングで整合動作を開始する。この整合動作は2つの整合モータM6、M7を同一量ずつ、2つのサイド整合部材72が接近する方向に回転する。すると、処理トレイ54に搬入されたシートはシートセンタを基準に位置決めされ束状に積み重ねられる。このシートの搬入動作と整合動作の繰り返しにより、シートは処理トレイ54上に束状に部揃え集積される。
上記のようにセンター基準で処理トレイ54上に集積されたシートは、整合された姿勢でシートの後端または先端を所定間隔で複数個所綴じ処理する、所謂マルチ綴じ処理をすることができる。また、シートの角部付近を綴じる、所謂コーナー綴じ処理を行う場合は、2つのサイド整合部材72の内の一方を、指定された綴じ位置にシートのシート幅方向の側縁が一致する位置に移動して静止させる。そして、残った他方のサイド整合部材72を先に移動させたサイド整合部材72に接近する方向に位置移動させる。この接近方向の移動量はシートサイズに応じて算出する。これによって、処理トレイ54上に搬入されたシートは、シートのフロント側にコーナー綴じを処理するときには、シートのシート幅方向のフロント側縁が綴じ位置に一致するように整合され、リア側にコーナー綴じを処理するときには、シートのシート幅方向のリア側縁が綴じ位置に一致するように整合される。
[綴じ手段]
上述したようにシート搬入経路52の排紙口53から搬出されたシートは、処理トレイ54上に部揃え集積され、シート端規制手段61とシート整合手段62とで予め設定された位置と姿勢で整合される。その後、整合されたシート束は綴じ処理を施され、シートの排紙方向下流側に位置する第1スタックトレイ26に搬出される。この綴じ処理について以下に説明を行う。
シート綴じユニット32は、綴じ処理の機構として「シート束にステープル針などの針を用いて綴じ処理を施すステープル綴じ手段56(以下「第1綴じ手段」という)」と、「シート束に針などを用いずに圧着変形させて綴じ処理を施す針無綴じ手段57(以下「第2綴じ手段」という)」とを、処理トレイ54に備える。シート束をステープル針などの針で綴じ処理すると容易に離脱しない製本綴じが可能であるが、使用者の用途によっては綴じたシート束を簡単に引き離す利便性が要求されることがある。また、使用後のシート束をシュレッダなどで切断するときなどに、金属針が問題となることから、「針有り」、「針無し」綴じ手段を選択して使用できることは、使用者にとって好適となる。
また、シート綴じユニット32は、シート搬入経路52からシートを搬出して部揃え集積した後に綴じ処理を施す一連の処理動作とは別に、本画像形成装置の外部で作成、又は綴じ処理を選択せず排出したシート束に、綴じ処理することも可能としている。このため、外装ケーシング55bに外部からシート束をセットする手差しセット部67が配置され、シート束をセットする手差しセット面67aを外装ケーシング55bに形成し、前述の第1綴じ手段56を、処理トレイ54のシート搬入エリアArから手差しエリアFrへ位置移動するように構成している。外装ケーシング55bに形成された手差しセット面67aは、図2に示すように、画像形成装置の胴内から胴外に跨って、装置のフロント側の隅に配置されている。
図5に示すように、シート綴じユニット32は、ステープル針でシートの複数個所を綴じ処理する「マルチ綴じ位置Ma1、Ma2」と、シートのコーナーを綴じ処理する「コーナー綴じ位置Cp1、Cp2」と、手差しセット面67aにセットしたシートを綴じ処理する「マニュアル綴じ位置Mp」と、シートのコーナーに対して針を用いずに綴じ処理する「針なし綴じ位置Ep」とが設定されている。本装置において、マルチ綴じ、コーナー綴じ、及びマニュアル綴じは第1綴じ手段で、針なし綴じは第2綴じ手段で綴じ処理が行われる。
まず、「マルチ綴じ処理」について説明する。図5において、マルチ綴じ処理は処理トレイ54上にシート端規制手段61とシート整合手段62とで整合され位置決めされたシート束(以下「整合シート束」という)の、シート排出方向の後端に綴じ処理を行う。図5には間隔を隔てて2箇所を綴じ処理する綴じ位置Ma1、Ma2が設定されている。第1綴じ手段56は所定の待機位置(ホームポジション)から綴じ位置Ma1、次いでMa2の順に移動してそれぞれ綴じ処理を行う。なお、このマルチ位置綴じ位置は、2箇所に限らず、3箇所、或いはそれ以上に綴じ処理位置を設定することが可能である。
「コーナー綴じ処理」は、処理トレイ54に集積された整合シート束の装置フロント側のコーナーを綴じ処理する第1コーナー綴じ位置Cp1と、整合シート束の装置リア側のコーナーを綴じ処理する第2コーナー綴じ位置Cp2との2箇所に綴じ位置が設定されている。このコーナー綴じを行う場合、第1綴じ手段をシート端縁に対して所定角度(約30°~60°)傾斜させて綴じ処理を行う。綴じ処理されたステープル針は、シート端縁に対して所定角度傾いて整合シート束を綴じる。
図示の装置仕様は整合シート束のフロント側、リア側いずれか一方を選択して綴じ処理する場合と、ステープル針を所定角度傾けて綴じ処理する場合を示した。これに限らず、整合シート束のフロント側、リア側いずれか一方のみに綴じ処理する構成も、また、ステープル針をシート端縁に対して所定角度傾けず、長辺、短辺いずれかの一辺の端縁と平行に綴じる構成も採用することができる。
「マニュアル綴じ処理」を行うマニュアル綴じ位置Mpは、外装ケーシング55bに形成された手差しセット面67aには位置されている。この手差しセット面67aは処理トレイ54の紙載面54aとほぼ同一平面を形成する高さで、紙載面54aと側枠フレーム55cを介して隣接する位置に並列配置されている。図示のものは処理トレイ54の紙載面54aと手差しセット面67aとは、いずれもシートを略水平な姿勢で支持し、略同一な高さ一に配置している。
つまり、図5において側枠フレーム55cを介して、フロント側に手差しセット面67aが、リア側に紙載面54aが配置されている。そして、このマニュアル綴じ位置Mpは紙載面54aに配置された前述のマルチ綴じ位置Maと同一直線状に配列されている。これは両方の綴じ処理を共通のステープル綴じ手段56で処理するためである。したがって処理トレイ54にはシート搬入エリアArと、装置フロント側に手差しエリアFrと、装置リア側に針なし綴じ(エコ綴じ)エリアRrが配置されている。
「針なし綴じ処理」は、図5に示すようにシートの角部付近(コーナー)を綴じ処理するように、装置リア側に配置された針なし綴じ位置Ep(以下「エコ綴じ位置」という)で処理が行われる。図示のエコ綴じ位置Epは、整合シート束の排紙方向の後端でリア側のコーナーを綴じ処理する位置に配置され、シート端縁に対して所定角度傾斜した角度位置を綴じ処理する。そして、エコ綴じ位置Epは、処理トレイ54のシート搬入エリアArから装置リア側に離れたエコ綴じエリアRrに配置されている。
ステープル綴じ手段56及び針無綴じ手段57の構成及びその制御については、ステープラユニット及びプレスバインダユニットの機構が特開2015-16970で知られている。本願発明のステープル綴じ手段56及び針無綴じ手段57において、同様の構成、制御を採用しているため、詳細な説明は行わない。
[シート束搬出手段]
図7に示すシート束搬出手段70について説明する。上述の処理トレイ54には、第1綴じ手段56、第2綴じ手段57で綴じ処理されたシート束をシートの排出方向下流側に配置された第1スタックトレイ26に搬出するシート束搬出機構が配置されている。図5に従って説明した処理トレイ54には、シートセンタSxに第1後端規制部材71Aが、そのシート幅方向の両側に距離を隔てて第2、第3後端規制部材71B、71Cが配置されている。そしてこの後端規制部材71に係止したシート束を第1綴じ手段56、第2綴じ手段57で綴じ処理した後に、シートの排出方向下流側の第1スタックトレイ26に搬出するように構成されている。
このため処理トレイ54には、紙載面54aに沿ってシート束搬出手段70が配置されている。図示のシート束搬出手段70は、第1束搬送部材70Aと第2束搬送部材70Bとで構成され、処理トレイ54上の第1の区間Tr1を第1束搬送部材70Aで、第2の区間Tr2を第2束搬送部材70Bでリレー搬送する。このように第1束搬送部材70A、第2束搬送部材70Bでシートを引き継ぎ搬送することによって、各搬出部材の機構を異なる構造とすることができる。そして、シート端規制手段61とほぼ同一の始点からシート束を搬送する第1束搬送部材70Aは、揺るぎの少ない部材(長尺支持部材)で構成し、搬出終点で第1スタックトレイ26にシート束を落下させる第2束搬送部材70Bは、ループ状の軌跡に沿って移動させるため小型に構成する必要がある。
第1束搬送部材70Aは、断面チャンネル形状の折り曲げ片で形成された第1搬出部材76で構成され、この部材にはシート束のシート排出方向の後端縁を係止する係止面76aと、この面に係止したシートの上面を押圧する、弾性フィルム材等で形成された紙面押圧部材78が設けられている。この第1搬出部材76は、図示のようにチャンネル形状の折り曲げ片で構成されているため、後述するベルトで構成されたキャリア部材79に固定したとき、揺るぐことが少なくベルトと一体的に走行してシート束の後端をシートの排出方向に繰り出す。そして、この第1搬出部材76は、後述するように湾曲したループ状の軌跡を走行することなく、ほぼ直線状の軌跡で図7に示すStr1の区間を往復動する。
第2束搬送部材70Bは、爪形状の第2搬出部材77で構成され、シート束の排出方向の後端縁を係止する係止面77aと、シート束の上面を押圧する紙面押圧部材80が設けられている。この紙面押圧部材80は、第2搬出部材77に搖動可能に軸支持されていると共に、紙面押圧面80aが設けられ、この紙面押圧面はシート束の上面を押圧するように付勢力を働かせる付勢スプリング80bで付勢されている。
また、紙面押圧面80aは、図示のように第2搬出部材77の走行する方向に対して傾斜した、傾斜面で構成され、図7(b)の矢視方向に移動すると挟み角γでシートの後端と係合する。このとき紙面押圧面80aは付勢スプリング80bに抗して、同図において反時計方向に変形する。すると、図7(c)に示すように紙面押圧面80aは付勢スプリング80bの作用でシート束の上面を紙載面54a側に押圧する。
第2搬出部材77も第1搬出部材76と同様に、ベルトで構成されたキャリア部材79に固定され、ベルトと一体的に走行してシート束の後端をシートの排出方向に繰り出す。第1搬出部材76は第1キャリア部材79aで、第2搬出部材77は第2キャリア部材79bで、紙載面54aの基端部から処理トレイ54の排出方向下流側端部(以下「出口端部」という)に往復動する。このため、紙載面54aには、搬送ストロークを隔てた位置に駆動プーリ81a、81bと従動プーリ81cが配置されている。図示81d、81eはアイドルプーリである。
そして、駆動プーリ81aと従動プーリ81cとの間に第1キャリア部材79a(図示のものは歯付きベルト)が架け渡してあり、駆動プーリ81bと従動プーリ81cとの間に第2キャリア部材79b(歯付きベルト)がアイドルプーリ81d、81eを介して架け渡してある。駆動プーリ81a、81bには駆動モータM4が連結してあり、モータの回転は第1キャリア部材79aには低速で、第2キャリア部材79bには高速で駆動が伝達されるように駆動プーリ81aは小径に、駆動プーリ81bは大径に形成されている。
つまり共通の駆動モータM4に、第1束搬送部材70Aは低速で、第2束搬送部材70Bは高速で走行するようにベルト、プーリ、歯車連結などの減速機構を介して連結されている。これと共に駆動プーリ81bには、駆動の伝達を遅延させるカム機構が内蔵されている。これは、後述するように第1束搬送部材70Aの移動するストローク範囲Str1と、第2束搬送部材70Bの移動するストローク範囲Str2とが異なることと、各部材の待機位置を位置調整するためである。
以上の構成で、第1束搬送部材70Aは、処理トレイ54の後端規制部材71が配置された位置から、ストローク範囲Str1を直線状の軌跡で往復動する。このストローク範囲Str1の中に第1束搬送部材70Aだけでシート束を搬送する第1区間Tr1が設定してある。また、第2束搬送部材70Bは、第1区間Tr1の途中から処理トレイ54の出口端部の間で、ストローク範囲Str2を半ループ状の軌跡で往復動する。このストローク範囲Str2の中に第2束搬送部材70Bだけでシート束を搬送する第2区間Tr2が設定してある。
そして、駆動モータM4の一方向回転で第1束搬送部材70Aは後端規制部材71の位置から速度V1でシートの排出方向に移動し、その係止面76aでシート束の排出方向の後端を押して搬送する。この第1束搬送部材70Aから所定時間遅延して第2束搬送部材70Bが、処理トレイ54の背面側の待機位置から紙載面54a上に突出し、第1束搬送部材70Aに追随してシートの排出方向に速度V2で移動する。このとき、速度V1<V2となるように前述した減速機構を設定するので、処理トレイ54上のシート束は、第1束搬送部材70Aから第2束搬送部材70Bに、第1区間Tr1の途中でその搬送を引き継がれる。
図7(b)は搬送の引き継ぎがされる状態を示し、速度V1で搬送されるシート束は、速度V2で移動する第2束搬送部材70Bに追いつかれる。つまり第1区間Tr1を過ぎると第1束搬送部材70Aは第2束搬送部材70Bに追いつかれ、第2束搬送部材70Bがシート束の排出方向の後端と係合して、第2区間Tr2を搬送する。そして、第2束搬送部材70Bがシート束の後端を保持しながら第1スタックトレイ26に向けて搬出する。
[第1スタックトレイ]
図8に従って第1スタックトレイ26の構成について説明する。第1スタックトレイ26は処理トレイ54のシート排出方向下流側に配置され、処理トレイ54で処理されたシート束を積載及び収納する。この第1スタックトレイ26の積載する積載量に応じて、順次繰り下がるようにトレイを昇降する機構を備えている。この第1スタックトレイ26の積載面(最上シート高さ)は、処理トレイ54の紙載面54aと略同一平面となる高さ位置まで上昇させることができる。
第1スタックトレイ26を昇降させる機構を具体的に説明する。装置フレーム55aにはシート束の積載方向(上下方向)に昇降レール85が固定されている。第1スタックトレイ26のシート排紙方向の下流側の端部がトレイ基台26xに固定されている。トレイ基台26xには、第1スタックトレイ26の固定されている部分を挟んで昇降する方向の2箇所に、スライドコロ86が回転可能に軸支持され固定されている。このスライドコロ86の外周と昇降レール85が摺動可能に嵌合されている。
これと共にトレイ基台26xには、昇降する方向に並んでラック26rが一体に形成してある。このラック26rは、装置フレーム55aに軸支持された駆動ピニオン87に形成されたギヤ歯と歯合される。さらに駆動ピニオン87の外周の更に外側には、ウォームホイール88が一体形成さえており、このウォームホイール88がウォームギヤ89を介して昇降モータM10と連結されている。昇降モータM10も装置フレーム55aに固定されている。
従って、昇降モータM10を正逆転させると、駆動ピニオン87に連結されたラック26rが装置フレーム55aに対して上方と下方に上下動する。この機構でトレイ基台26xは第1スタックトレイ26のシート排出方向の上流側端部を、片持ち支持した状態で昇降動作することとなる。図8では、トレイを昇降させる機構として、ラックとピニオンを用いた機構で説明を行ったが、これ以外にプーリにベルトを懸架しプーリをモータで回転させ昇降させる機構などが採用可能である。
また、トレイ基台26xに一体的に取り付けられている第1スタックトレイ26の積載面は、シート束がその自重で排出方向の後端がトレイ整合面55fに突き当たるよう、排出方向の上流側が下方となるように、所定の角度(例えば20°~60°)に設定されている。
トレイ基台26xが移動する方向をガイドする昇降レール85は、シート綴じユニット32が排紙空間19に設置される胴内設置面36を挟んで第1スタックトレイ26の昇降する方向に延設される。これにより第1スタックトレイ26を胴内設置面36より下方に降下させることが可能となり、排紙空間19より広い範囲でシートを積載することができる。
ウォームホイール88が一体形成された駆動ピニオン87、及びウォームギヤ89を備えた昇降モータM10で構成される、所謂トレイを昇降させるための駆動部は、シート綴じユニット32が排紙空間19に設置される胴内設置面36より下方に配置される。さらに、画像形成ユニットAの外装の側面で、装置フレーム55aが第1スタックトレイ26の昇降する方に延設された部分に配置される。
これにより、胴内設置面36の上方に駆動部を配置させた時と比べ、一つの昇降モータM10とラック26rの組み合わせで、第1スタックトレイ26の昇降させる範囲を広げることが容易となる。また、第1スタックトレイ26には、トレイが異常下降しないように下限位置が設定してあり、この下限位置にはトレイを検出するリミットセンサSe3が配置されている。
第1スタックトレイ26を昇降させるための駆動部は、シートの排出方向の最も下流となる位置に第1スタックトレイ26、その第1スタックトレイ26を固定するトレイ基台26x、トレイ基台26xの第1スタックトレイ26と対向する位置に形成されたラック26rが、この順に配置されているため、駆動部はトレイ基台26xに形成されたラック26rと画像形成ユニットAの側面に沿って延設された外装ケーシング55bとの間で、第2綴じユニットカバー45bの胴外に延長された部分の下方に配置される。
昇降モータM10は、このラック26rと画像形成ユニットAの側面に沿って延設された外装ケーシング55bとの間に、画像形成ユニットAの側面90を延長する方向に対して、モータの回転軸を所定の角度傾けて配置され、装置フレーム55aに固定される。これにより、モータの回転軸を画像形成ユニットAの側面90を延長する方向と平行になるように配置するのと比較し、少ないスペースで昇降モータM10を配置することができる。
昇降モータM10を斜めに配置することにより、モータ軸に固定され共に回転するウォームギヤ89が、外装ケーシング55bに近づく。シート綴じユニット32を画像形成ユニットAに取り付ける際、中継搬送ユニット31からシート綴じユニット32へシートを受け渡す面を基準に取り付けを行うと、外装ケーシング55bの第1スタックトレイ26が昇降する方向に延長した部分がたわみ、外装ケーシング55bとウォームギヤ89とが干渉する虞が生じる。
そこで、第1スタックトレイ26が昇降する方向に延長した外装ケーシング55bの画像形成ユニットAの側面90と接する外装ケーシングの延設面91を、設置時に位置決めする規制面とする。これにより、駆動部に近い外装ケーシングの延設面91でシート綴じユニット32の画像形成ユニットAへの固定位置が規制されるため、外装ケーシング55bとウォームギヤ89とが干渉する虞が生じなくなる。
[操作部]
図9に示す操作部42は、画像読取ユニットC、画像形成ユニットA、シート後処理ユニットBそれぞれに対する入力を受け付ける操作入力部42aと、各種情報の表示出力を行う操作表示部42bを備えている。この画像形成装置においては、略板状の操作パネル部42cが設けられている。また、操作パネル部42cはその正面側(フロント側)にタッチパネルを有している。タッチパネルは、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成され、各種の情報を表示するとともに操作者からの操作入力を受け付けることが可能である。たとえば、タッチパネルにおいては、メニュー画像が表示される。操作者は、タッチパネル内に仮想的に配置されるボタン(ボタンの形状をした画像)を押下することによって、画像形成装置の各種動作内容を設定することなどが可能である。タッチパネルは、操作入力部42aの一部としても機能するとともに、操作表示部42bの一部としても機能する。
上記操作部42は、画像読取装置20の外装ケーシングと一体に形成されたケーシング内、もしくは画像読取装置20の外装ケーシングとは別体で、その外装ケーシングにヒンジなどの回動可能な取り付け具を介して固定される。いずれの構成についても、画像読取装置20のフロント側から突出して、画像読取ユニットCの原稿スタッカ25の配置された側で第1排出口40、第2排出口41に重なる位置に配置されている。
[第2スタックトレイ]
図9を用いて、シート後処理ユニットBの上方に設けられた第2スタックトレイ27について説明を行う。第2スタックトレイ27は、排紙空間19に配置されたパンチユニット30、中継搬送ユニット31、シート綴じユニット32それぞれのユニットの最上位位置に設けられた外装ケーシングである、パンチユニットカバー43、中継ユニットカバー44、綴じユニットカバー45の連接配置により形成されている。
パンチユニットカバー43と中継ユニットカバー44とは、シートの排出方向に対して水平を保ち、平らな面で形成されている。パンチユニットカバー43と中継ユニットカバー44の上方に配置された画像読取装置20の底面20aとの間の距離も、略均一に設定されている。
綴じユニットカバー45は、中継ユニットカバー44と隣接する搬入口50付近では、中継ユニットカバー44から続く水平の形状が保たれているが、搬入ローラ51のシート排出方向の上流側の部分から上方に向かって傾斜角度を持って形成されている。そして、排紙ローラ58のシート排出方向の下流側の部分で再び略水平でフラットな面となり、そのフラットな面は画像形成装置の胴内に位置する排紙空間19から、胴外に位置する第1スタックトレイ26の上方に向かって、装置の胴内から胴外へと跨って延設されている。
画像形成ユニットAの第2本体排出ローラ18からシートが排出される第2排出口41は、画像読取装置20の底面20aからd1の距離を隔てて配置されている。パンチユニットカバー43と中継ユニットカバー44の上面は、画像読取装置20の底面20aからd2の距離を隔てて配置されている。d1とd2との長さは、d1<d2となるような長さに設定されている。そのため、第2排出口41からパンチユニットカバー43と中継ユニットカバー44の上面までに段差が形成され、第2排出口41から搬出されるシートを積載することができる。
綴じユニットカバー45は、搬入口50を一方の端部とする第1綴じユニットカバー45a(開放カバー)と、排紙空間19の外側で胴外に位置する第1スタックトレイ26の上方に延設された部分を有する第2綴じユニットカバー45bとで構成されている。第1綴じユニットカバー45aは、装置フレーム55aに固定されたカバー軸支点82を支点とし、シート搬入経路52の搬入口50側を開放するように回動可能に取り付けられている。つまり、第2スタックトレイのシート積載空間と、第1綴じユニットカバー45aの回動する領域が兼用されている。
搬入ローラ51のローラ対の内、駆動側の搬入ローラ51a(駆動ローラ)に従動する搬入ローラ51b(従動ローラ)は、第1綴じユニットカバー45aに回転可能に軸支持され、図示しない弾性部材により搬入ローラ51aに向けて付勢されている。第1綴じユニットカバー45aを上方に向けて開けると、そのカバーに支持された搬入ローラ51bも追従するため、搬入ローラ51のニップが解除される。
上記搬入ローラ51のニップ解除により、中継搬送ユニット31の第2中継搬送ローラとシート綴じユニット32の搬入ローラ51との間で、何らかの原因で搬送が停止(以下「JAM」という)してしまった場合、容易にJAMしたシートにアクセスすることができ、シート搬入経路52で停止してしまったシートを操作者が取り除くことができる。
また、シート綴じユニット32の搬入ローラ51と排紙ローラ58との間でJAMが発生した場合も、容易にJAMしたシートにアクセスし、シートを取り除くことができる。この第1綴じユニットカバー45aの搬入口50側の端部は、操作部42のシート排出方向下流側の端部から、さらに下流側に所定の距離離れた位置に配置されている。具体的には、図9に示す操作部42の一方の端部から搬入口50までの長さd4が50mm~70mm程度に設定されている。これにより、第1綴じユニットカバー45aの開口部に容易にアクセスすることができる。
さらに、第1綴じユニットカバー45aの搬入口50側の一端に対して、第1綴じユニットカバー45aの回動支点となるカバー軸支点が上方に配置されている。この高低差により、第1綴じユニットカバー45aの少ない回動角で、搬入口50側の一端を大きく開口することができる。これにより、シート搬入経路52でJAMしたシートにアクセスし易くなる。
第2綴じユニットカバー45bは、前述した第1綴じユニットカバー45aが成す傾斜角度と同じ角度の部分と、排紙ローラ58のシート排出方向の下流側の部分で再び略水平でフラットな面とで形成されている。そのフラットな面は、画像読取装置20の底面20aからd3の距離を隔てて配置されている。つまり、第2スタックトレイ27はシートの排出方向に向かって、装置の胴内から胴外までシートを積載可能な面が延設されているため、より長い長尺のシートをトレイ上に積載し、保持することができる。さらに、第2綴じユニットカバー45bをシートの排出方向の下流側に超える長いシートを第2排出口より搬出した場合に、第1スタックトレイ26でそのシートの先端を受け止めることができる。
[ステープル針交換カバー]
上記説明の中で、図5を用いて綴じ手段の説明を行ったが、シート綴じユニット32は、綴じ処理の機構として、シート束にステープル針などの針を用いて綴じ処理を施す第1綴じ手段56と、シート束に針などを用いずに圧着変形させて綴じ処理を施す第2綴じ手段57とを備える。第1綴じ手段56は、ステープル針を用いて綴じ処理を行うため、ステープル針を使い切った際に補充する必要がある。
この針を補充する際に、図示しない駆動手段によりマニュアル綴じ位置Mpまで第1綴じ手段56を移動させ、さらにステープル針交換カバー66に向けて所定角度回転させ停止する。ステープル針交換カバー66は針交換カバー軸66xに軸支持され、シート綴じユニット32の搬入口50側(シート排出方向下流側)の一端を開口部として回動可能に外装ケーシング55bに固定されている。
ステープル針交換カバー66のシート排出方向下流側の一端は、前述した第1綴じユニットカバー45aと同じく、操作部42のシート排出方向下流側の端部から、さらに下流側に所定の距離(長さd4)離れた位置に配置されている。よって、ステープルの針交換時にステープル針交換カバー66へのアクセス性が良く、針交換に対して操作部42が障害とならない。
[制御構成の説明]
上述した画像形成システムの制御構成を図10のブロック図に従って説明する。図10に示す画像形成システムは、画像形成ユニットAの制御部100(以下「本体制御部」という)と後処理ユニットB(シート束綴じ処理装置;以下同様)の制御部110(以下「後処理制御部」という)を備えている。本体制御部100は印字制御部101と給紙制御部102と読取制御部103と入力部(操作部42)とを備えている。
そして入力部42から「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行う。画像形成モードはカラー・モノクロ印刷、両面・片面印刷などのモード設定と、シートサイズ、シート紙質、プリントアウト部数、拡大・縮小印刷、などの画像形成条件を設定する。また「後処理モード」は、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じ処理モード」「エコ綴じ処理モード」「ジョグ仕分けモード」などに設定する。なお図示の装置には「マニュアル綴じモード」が設けられ、このモードは画像形成ユニットAの本体制御部100とは別にオフラインでシート束の綴じ処理動作を実行する。
また、本体制御部100は後処理制御部110に後処理モードとシート枚数、部数情報及び画像形成するシートの紙厚さ情報などをデータ転送する。これと同時に本体制御部100は画像形成を終了する都度、ジョブ終了信号を後処理制御部110に転送する。また、本実施形態では、印刷情報、とくにシートに対するインクの吐出量の情報を後処理制御部100に転送する。
また、本実施形態の本体制御部100が後処理制御部110に転送する情報として、上記の情報の他に印刷情報(例えば、シートに対するインクの吐出量や画像読取ユニットCで読み取った画像情報、もしくはその画像情報から算出したインク吐出量や印字率情報等)を後処理制御部100に転送する。
[束排出処理の説明]
本実施形態の画像形成部2はインクジェット方式が採用されているため、シートに対して多量のインクを用いて印刷すると(例えば全面ベタ画像を印刷)、インクの水分によってシートが重くなる。このような重いシートを処理トレイ54上で複数枚重ねてシート束を形成し、通常のシート束と同じように第1スタックトレイ26に束排出しようとすると、シート束排出手段70の駆動力がシート束の重さに負けてしまい、正常に束排出できなくなる可能性がある。
本実施形態は、後処理制御部110が、処理トレイ54上に形成されるシート束の重さ情報に基づいて第1スタックトレイ26を昇降させる駆動(駆動モータM10)を制御することで、重いシート束でも正常に第1スタックトレイ26に排出できるように構成されている。
<シート束の重量情報の取得>
本実施形態の後処理制御部110は、下記方法のいずれか(またはその組み合わせ)でシート束の重量情報を取得又は算出(検出)する。(1)本体制御部100から転送されるインク吐出量情報(各ヘッド2C、2M、2Y、2Kから実際に吐出した量でもよいし、印刷画像情報から算出されるインク吐出量でもよい)からシート束の重さを算出。(2)本体制御部100から印刷画像情報を後処理制御部110に転送し、後処理制御部110側でインク吐出量を算出してシート束の重さを算出。なお、印刷画像情報は画像読取ユニットCで読み取った画像情報である。そして、上記(1)(2)の情報にそれぞれシート枚数やシート種類、両面印刷の有無の情報を組み合わせることでシート束全体の重量となる。
また、シート後処理ユニットB側でシート束の重量を検出することも可能である。例えば(3)処理トレイ54に重量センサ113を設け、直接シート束の重さを検出。(4)シート後処理ユニットBのシート搬送パスにカメラ等の画像読取部を設け、読み取った画像情報からシートの白い部分とそうでない部分とを判別し、印字率(インク吐出量)を算出。(5)シート搬送ローラ対に、シートの含水率を検出する検出センサ(113)を設け、搬送されるシートの含水率を検出することで、重さを算出。なお、上記(4)(5)の情報にそれぞれシート枚数やシート種類の情報を組み合わせることでシート束全体の重量となる。また、(4)(5)はシート後処理ユニットB側ではなく、画像形成ユニットA側に画像読取部や含水率センサを設けて本体制御部100経由で情報を取得するようにしてもよい。
なお、後処理制御部110が「シート束が重い」と判断するには、シート束の重量を算出する必要はなく、取得する情報についてそれぞれ閾値を設定し、閾値を超えたらシート束が重いと判断するようにしてもよいことは言うまでもない。
また、インク吐出量(またはシートの含水量)が多くても、処理トレイ54上に一回で形成するシート束のシート枚数が少ない場合は、シート束が重くないと判断できる。逆に、インク吐出量が少なくても、大量の厚紙でシート束を形成する場合はシート束が重いと判断できる。つまり、上記(3)のシート束の重量を直接検出する方法以外では、インク吐出量(シート含水量や印字率)とシート枚数やシート種類(サイズや材質、坪量等)そして印刷モード(両面か片面か)の情報を組み合わせて閾値を設定する必要がある。
<シート束が重いと判断された場合の処理>
重いシート束の搬送が難しい理由としては、シート束排出手段70の駆動モータM4のトルクが足りないことが挙げられる。そこで、本実施形態では、第1スタックトレイ26を昇降させる駆動モータM10の駆動を制御して、シート束の排出時に所定のタイミングで第1スタックトレイ26を昇降させることでシート束の排出の補助を行う。
図11は、シート束が軽い場合と重い場合とで積載トレイ(第1スタックトレイ26)の下降タイミングを異ならせることを説明したフローチャートである。まず、束排出処理がスタートする(ST1)。シート処理が完了したことを確認すると(ST2)、処理トレイ54に形成されたシート束の重量が軽いか重いかを判断する(ST3)。シート束が軽い場合は、駆動モータM4を駆動して(ST4)、束排出動作を開始する。その後、シート束が第1スタックトレイ26に排出されたら、駆動モータM10を駆動して第1スタックトレイ26を下降させ(ST5)、次のシート束を受け入れる位置で停止する(ST6)。なお、この動作は図12の動作図に対応している。
一方、シート束が重いと判断したら、駆動モータM10を駆動して第1スタックトレイ26を所定量下降させる(ST7)。その後駆動モータM4を駆動してシート束を移動させる(ST8)。これにより、シート束の落差が大きくなるので、シート束の自重が第1スタックトレイ26への搬送を補助することになる。なお、図13の動作図では、先に駆動モータM4を駆動してシート束を所定量移動させてから第1スタックトレイ26を下降させている。シート束が軽い場合と比べると、シート束が重い場合は、シート束が第1スタックトレイ26に排出完了する前に第1スタックトレイ26を下降させればよい。その後、第1スタックトレイ26の下降を停止して(ST9)、束排出処理が完了する。
図14はシート束が重い場合の動作の変形例である。この変形例では、まず駆動モータM4を駆動して第1および第2束搬送部材70A、70Bによってシート束を第1スタックトレイ26側に搬送する。シート束の先端が第1スタックトレイ26に接触したら、駆動モータM10を駆動して第1スタックトレイ26を下降させ、シート束の自重により束排出の補助をする。その後、第2束搬送部材70Bがトレイ整合面55f付近まで到達すると、駆動モータM10を駆動して第1スタックトレイ26を所定量上昇させる。第1スタックトレイ26が下降した状態で第2束搬送部材70Bがシート束を第1スタックトレイ26に押し出すと、シート束の先端(シート束排出方向下流側の端部)がトレイ整合面55fに近い状態で押し出されるため、シート束の後端がトレイ整合面55fに引っかかってしまい、所謂後端残りという現象が起きてしまう可能性がある。
そこで、シート束を完全に排出する前に第1スタックトレイ26を上昇させることで、シート束の先端がトレイ整合面55fよりも遠ざかる方向に移動するため(図14の上から4番目の図と5番目の図とを比較)、後端残りを抑制することができる。
また、図11では、シート束が軽い場合と重い場合とで第1スタックトレイ26の下降タイミングが異なる態様を示したが、同じタイミングで第1スタックトレイ26が下降しても下降量を異ならせるようにしてもよい(図15参照)。
まず、束排出処理がスタートする(ST21)。シート処理が完了したことを確認すると(ST22)、処理トレイ54に形成されたシート束の重量が軽いか重いかを判断する(ST23)。シート束が軽い場合は、駆動モータM4を駆動してシート束を第1スタックトレイ26の方向に移動させる(ST24)。シート束の先端が第1スタックトレイ26に到達したら駆動モータM10を駆動して第1スタックトレイ26を下降させる(ST25)。その後、第1スタックトレイ26を所定量(所定時間A)移動させたら(ST26)、第1スタックトレイ26の下降を停止し(ST27)、束排出動作を完了する(ST32)。
一方、シート束が重いと判断したら、駆動モータM4を駆動してシート束を第1スタックトレイ26に向けて移動させる(ST28)。シート束の先端が第1スタックトレイ26に到達したら駆動モータM10を駆動して第1スタックトレイ26を下降させる(ST29)。その後、第1スタックトレイ26を所定量(所定時間B)移動させたら(ST30)、第1スタックトレイ26の下降を停止し(ST31)、束排出動作を完了する(ST32)。この実施形態では、所定時間Bは所定時間Aよりも長く、言い換えるとシート束が重い場合の方が第1スタックトレイ26の移動量が大きい。こうすることで、重いシート束の方が、よりシート束の自重を使って束排出される。これにより、第1、第2束搬送部材70A、70Bのみの力ではなく、シート束の自重を使って束排出をすることができるので、重いシート束でも確実に第1スタックトレイ26への排出を行うことができる。