JP4142023B2 - 用紙後処理装置及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、用紙後処理装置を備えた画像形成装置に係り、より詳細には、ステープル機構部周辺の冷却効率を向上させた用紙後処理装置及び画像形成装置に関する。
近年、画像形成装置の多機能化に伴い、印字された用紙を後処理する用紙後処理装置の開発が進んでいる。このような用紙後処理装置の機能としては、例えば、ステープル機能、パンチ穴開け機能、製本機能等がある。ところが、いずれの機能を有する用紙後処理装置も処理機構が大型化しており、用紙後処理装置をコンパクトな画像形成装置に設ける場合には、用紙後処理装置を画像形成装置の外部に配置しなければならかった。
そして、上述のように、用紙後処理装置を画像形成装置の外部に配置することは、装置全体の占有面積の増大を招くだけでなく、装置全体の消費電力の増大を招来するという問題点があった。
そこで、用紙後処理装置自体をコンパクトに構成し、用紙後処理装置を、画像形成装置の外部にではなく、画像形成装置に形成される空間内に配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、用紙後処理装置を、原稿読取部と印字部と給紙部とによって形成されているコ字状の空間を利用し、このコ字状の空間内に設けることによって、上述のような問題点の解消を図ろうとしている。
特開2003−335449号報
一方、このように、用紙後処理装置を画像形成装置に形成されるコ字状の空間内に配置する構造では、用紙後処理装置と画像形成装置とが近接した配置構造となり、装置内に熱が溜まりやすい構造となってしまう。特に、用紙後処理装置を画像形成装置に近接配置すると、画像形成装置側で発生する熱、特に定着ローラなどから発せられる熱が用紙後処理装置側にまで伝達される可能性があるため、用紙後処理装置側においても何らかの冷却構造が必要となる。また、用紙後処理装置側に冷却構造を形成したとしても、十分な冷却効果を得るためには、装置内に十分な空気流路を確保する必要があるが、コンパクトに設計されている用紙後処理装置の内部に最初から十分な空気流路を確保することは難しい。
本発明はかかる実情に鑑みて創案されたもので、その目的は、用紙後処理装置側に冷却構造を形成するとともに、必要に応じて空気流路を確保できるようにした用紙後処理装置及び画像形成装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の用紙後処理装置は、画像形成装置に用いられる用紙後処理装置であって、前面側に位置する冷却ファンと、前記冷却ファンの空気流路上に位置するステープル機構部とを備え、待機時は前記ステープル機構部を前記冷却ファンの近傍で待機させ、画像形成装置の動作時は前記冷却ファンを動作させるとともに前記ステープル機構部を用紙後処理装置の奥側に向かって移動して停止させ、ステープル処理時は前記ステープル機構部を所定のステープル位置まで移動させてステープル処理を実行することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記構成の用紙後処理装置を備えた画像形成装置であって、画像形成装置本体上部に原稿読取部が配置され、画像形成装置本体下部に給紙部が配置され、前記原稿読取部と給紙部との間に印字部が配置され、前記原稿読取部と印字部と給紙部とによって形成される画像形成装置本体の空間部に、前記用紙後処理装置と排紙部とが配置されている構成であることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、動作待機時には、用紙後処理装置の前面側であって前記冷却ファンの近傍でステープル機構部が待機することから、針の交換や補充を容易に行うことが可能となる。一方、冷却ファン動作時には、ステープル機構部が用紙後処理装置の奥側に向かって移動して、予め設定されている所定位置で停止するため、冷却ファンとステープル機構部との間に十分な空間、すなわち空気流路が確保される。これにより、用紙後処理装置の奥側に配置されている回路基板等まで十分に空気を流すことが可能となる。そして、ステープル処理時には、所定のステープル位置まで移動してステープル処理を実行し、実行後は、再び所定位置まで移動して停止する。
また、本発明の用紙後処理装置は、画像形成装置本体に対して移動可能に設けられており、用紙後処理装置の移動を固定および固定解除する操作部材が設けられており、前記冷却ファンはこの操作部材の近傍に設けられている。このように、冷却ファンを操作部材の近傍に設けることで、操作部材を効率良く冷却し、操作部材の熱上昇を抑えることができる。
また、前記冷却ファンは、画像形成開始時に回転を開始し、前記ステープル機構部は、画像形成開始時に前記待機位置から奥側への移動を開始するように構成する。すなわち、画像形成開始と同時に定着ローラの温度も上昇するため、画像形成開始と同時に冷却ファンを回転し、空気流路を確保することで、効率的な冷却を開始することが可能となる。
また、本発明の用紙後処理装置によれば、前記ステープル機構部の針無し状態を検知する針無し検知手段と、前記装置本体での紙詰まりを検知する紙詰まり検知手段とを備えており、前記ステープル機構部は、後処理動作時に前記針無し検知手段が針無しを検知した場合には、前記待機位置に移動し、後処理動作時に前記紙詰まり検知手段が紙詰まりを検知した場合には、現在位置に留まるよう制御される。これにより、針無しの場合には、針交換がスムーズに行えるとともに、紙詰まりの場合には、それ以上紙詰まり状態を悪化させることがないように制御することができる。
本発明の用紙後処理装置及びこれを備えた画像形成装置は、上記のように構成したので、動作待機時には、用紙後処理装置の前面側であって冷却ファンの近傍でステープル機構部が待機することから、針の交換や補充を容易に行うことができる。一方、冷却ファン動作時には、ステープル機構部が用紙後処理部の奥側に向かって移動して停止するため、冷却ファンとステープル機構部との間に十分な空気流路が確保され、用紙後処理装置の奥側に配置されている回路基板等まで十分に空気を流して冷却することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、本発明の用紙後処理装置を備える画像形成装置を複合機に適用した場合について説明する。図1は、そのような複合機の内部構成の概略を示している。まず、この複合機の全体構成について説明し、その後で、本発明に係わる用紙後処理装置の冷却構造について説明する。
図1に示すように、複合機1は、原稿読取手段としてのスキャナ部2と、画像形成部3と、原稿自動給紙部4と、用紙後処理手段としての用紙後処理部(請求項に記載の用紙後処理装置)5とを備えている。なお、以下では、便宜上、複合機1のうち、用紙後処理部5および排紙トレイ8以外の部分を「装置本体」と称する。
この複合機1は、記録用紙(OHP等の記録媒体を含む。)に画像を形成する画像形成モードとして、コピアモード、プリンタモード、FAXモードを有し、各モードはユーザによって選択される。以下、複合機1の各部についてまず説明し、その次に、本発明に係わる用紙後処理部周辺の構造および動作時の処理について説明する。
−スキャナ部2の説明−
スキャナ部2は、透明なガラス等より成る原稿台41上に載置された原稿の画像や、原稿自動給紙部4により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って原稿画像データを作成する部分である。このスキャナ部2は、露光光源21、複数の反射鏡22、23、24、結像レンズ25、光電変換素子(CCD;Charge Coupled Device)26を備えている。
露光光源21は、原稿自動給紙部4の原稿台41上に載置された原稿や、原稿自動給紙部4を搬送される原稿に対して光を照射するものである。各反射鏡22、23、24は、図1中、一点鎖線Aで光路を示すように、原稿からの反射光を、一旦、図1中、左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、結像レンズ25に向かうように、図1中、右方向に反射させるようになっている。
原稿の画像読取動作には、次の2つがある。原稿台41上に載置された原稿を読み取る場合(「シート固定方式」として使用する場合)には、露光光源21および各反射鏡22、23、24が、原稿台41に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取ることになる。一方、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合(「シート移動方式」として使用する場合)には、露光光源21および各反射鏡22、23、24が、図1に示す位置に固定され、後述する原稿自動給紙部4の原稿読取部42を原稿が通過する際にその画像を読み取ることになる。
各反射鏡22、23、24で反射されて結像レンズ25を通過した光は、光電変換素子26に導かれ、この光電変換素子26において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。
−画像形成部3の説明−
画像形成部3は、印字手段としての画像形成系31と、用紙搬送系32とを備えている。
画像形成系31は、レーザスキャニングユニット31aおよびドラム型の像担持体としての感光体ドラム31bを備えている。レーザスキャニングユニット31aは、光電変換素子26において変換された原稿画像データ、または、外部の端末装置等から入力された画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射するものである。感光体ドラム31bは、図1中、矢印で示す方向に回転し、レーザスキャニングユニット31aからのレーザ光が照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
また、感光体ドラム31bの外周囲には、レーザスキャニングユニット31aの他に、現像ユニット(現像機構)31c、転写ローラ31dを有する図示しない転写ユニット(転写機構)、クリーニングユニット(クリーニング機構)31e、図示しない除電器、帯電ローラ31fを有する図示しない帯電ユニット(帯電機構)が周方向にわたって順に配設されている。
現像ユニット31cは、感光体ドラム31bの表面に形成された静電潜像をトナー(顕像化物質)により可視像に現像するものである。転写ローラ31dは、感光体ドラム31bの表面に形成されたトナー像を記録媒体としての記録用紙に転写するものである。クリーニングユニット31eは、トナー転写後において感光体ドラム31bの表面に残留したトナーを除去するものである。除電器は、感光体ドラム31bの表面の残留電荷を除去するものである。帯電ローラ31fは、静電潜像が形成される前の感光体ドラム31bの表面を所定の電位に帯電させるものである。
一方、用紙搬送系32は、給紙手段としての用紙カセット33に収納された記録用紙、または手差トレイ34に載置された記録用紙を1枚ずつ搬送して画像形成系31による画像形成を行わせるとともに、画像形成された記録用紙を排紙手段としての排紙トレイ8へ、後述する用紙後処理部5を経由して排出するものである。排紙トレイ8は、用紙カセット33の上方であってスキャナ部2の下方に設けられている。排紙トレイ8については、詳しくは後述する。
用紙搬送系32は、装置本体における主搬送路36、反転搬送路37と、図2に示す用紙後処理部5における主搬送路51、スイッチバック搬送路52とを備えている。装置本体の主搬送路36と用紙後処理部5の主搬送路51とは、装置本体の排出ローラ36eを境に互いに繋がっている。
装置本体の主搬送路36の一端側は、2つに分岐されており、一方の分岐端は用紙カセット33の排出側に対向しているとともに、他方の分岐端は手差トレイ34の排出側に対向している。また、主搬送路36の他端側は、用紙後処理部5のパンチングユニット60に対向している。反転搬送路37は、一端側が転写ローラ31dの配設位置よりも上流側(図1中、下側)で主搬送路36に繋がっているとともに、他端側が転写ローラ31dの配設位置よりも下流側(図1中、上側)で主搬送路36に繋がっている。
主搬送路36の一方の分岐端(用紙カセット33の排出側に対向する部分)には、断面が半円状のピックアップローラ36aが配設されており、主搬送路36の他方の分岐端(手差トレイ34の排出側に対向する部分)には、同様に断面が半円状のピックアップローラ36bが配設されている。
この主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも上流側には、レジストローラ36dが配設されている。このレジストローラ36dは、感光体ドラム31b表面のトナー像と記録用紙との位置合わせを行いながら記録用紙を搬送するものである。
主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも下流側には、記録用紙に転写されたトナー像を加熱により定着させるための一対の加熱ローラ39a、加圧ローラ39bを備えた定着ユニット39が配設されている。さらに、主搬送路36の下流端には、記録用紙を用紙後処理部5に排出するための排出ローラ36eが、用紙後処理部5の主搬送路51との境に配設されている。
主搬送路36に対する反転搬送路37の上流端の接続位置には、分岐爪38が配設されている。この分岐爪38は、図1中、第1位置(実線で示す位置)と、この第1位置から、図1中、反時計回り方向に回動して反転搬送路37を開放する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この分岐爪38が第1位置にあるときには、記録用紙が用紙後処理部5の主搬送路51に向けて搬送され、第2位置にあるときには、記録用紙が反転搬送路37へ供給可能となっている。
反転搬送路37には、搬送ローラ37aが配設されており、用紙後処理部5におけるスイッチバック搬送路52でスイッチバックされた記録用紙が、反転搬送路37に供給された場合には、この搬送ローラ37aによって記録用紙が搬送され、レジストローラ36dの上流側で記録用紙が主搬送路36に導入されて、再び転写ローラ31dに向かって主搬送路36を搬送されるようになっている。つまり、記録用紙の裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
−原稿自動給紙部4の説明−
原稿自動給紙部4は、いわゆる自動両面原稿搬送装置として構成されている。この原稿自動給紙部4は、シート移動式として使用可能であって、原稿載置部としての原稿トレイ43、中間トレイ44、原稿排出部としての原稿排紙トレイ45、および各トレイ43、44、45間で原稿を搬送する原稿搬送系46を備えている。
原稿搬送系46は、原稿トレイ43に載置された原稿を、原稿読取部42を経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ搬送するための主搬送路47と、中間トレイ44上の原稿を主搬送路47に供給するための副搬送路48とを備えている。
主搬送路47の上流端(原稿トレイ43の排出側に対向する部分)には、原稿ピックアップローラ47aおよび捌きローラ47bが配設されている。また、捌きローラ47bの下側には、捌き板47cが配設されている。原稿ピックアップローラ47aの回転に伴って、原稿トレイ43上の原稿のうちの1枚が、捌きローラ47bと捌き板47cとの間を通過して主搬送路47に給紙されるようになっている。主搬送路47と副搬送路48との合流部分(図1中、Bの部分)よりも下流側には、PSローラ47e、47eが配設されている。このPSローラ47e、47eは、原稿の先端とスキャナ部2の画像読取タイミングとを調整して原稿を原稿読取部42に供給するものである。つまり、PSローラ47e、47eは、原稿が供給された状態でその原稿の搬送を一旦停止し、上記タイミングを調整して、原稿を原稿読取部42に供給するようになっている。
原稿読取部42は、プラテンガラス42aと原稿押え板42bとを備え、PSローラ47e、47eから供給された原稿がプラテンガラス42aと原稿押え板42bとの間を通過する際に、露光光源21からの光がプラテンガラス42aを通過して原稿に照射されるようになっている。
プラテンガラス42aの下流側には、搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gが備えられている。プラテンガラス42a上を通過した原稿が搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gを経て、中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ排紙されるようになっている。
原稿排紙ローラ47gと中間トレイ44との間には、中間トレイ揺動板44aが配設されている。この中間トレイ揺動板44aは、中間トレイ44側の端部が揺動中心とされて、図1中、ポジション1(実線で示す位置)と、このポジション1から上方へ跳ね上げられたポジション2との間で揺動可能となっている。中間トレイ揺動板44aがポジション2にある場合には、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は原稿排紙トレイ45へ回収される。一方、中間トレイ揺動板44aがポジション1にある場合には、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は中間トレイ44へ排出されるようになっている。この中間トレイ44への排紙時には、原稿の端縁が原稿排紙ローラ47g、47g間に挟持された状態となっており、この状態から原稿排紙ローラ47gが逆回転することによって原稿が副搬送路48に供給され、この副搬送路48を経て、再び主搬送路47に送り出されるようになっている。この原稿排紙ローラ47gの逆回転動作は、主搬送路47への原稿の送り出しと画像読取タイミングとを調整して行われる。これにより、原稿の裏面の画像が原稿読取部42によって読み取られるようになっている。
−用紙後処理部5の説明−
用紙後処理部5は、印字処理の終了後に装置本体から排出される記録用紙に対して、パンチング処理、ステープル処理等の複数の用紙後処理を可能とするものである。このような用紙後処理部5における用紙後処理は、印字要求の際、印字条件として用紙後処理の要求があったときに行われる。
この例では、用紙後処理部5および排紙トレイ8を、複合機1の装置本体の外部へ設けるのではなく、装置本体によって形成される空間Cを利用して設けるようにしている。具体的には、複合機1の装置本体では、用紙カセット33と、画像形成部3(画像形成系31)と、スキャナ部2とが略「コ」字状に配置されており、この装置本体によって形成されている「コ」字状の内部の空間Cに用紙後処理部5および排紙トレイ8を設けるようにしている。これにより、複合機1内の限られたスペースに用紙後処理部5および排紙トレイ8を設置でき、記録用紙に対する複数の用紙後処理を行うことができる。また、用紙後処理部5を備えた複合機1の占有面積を抑え、省スペース化を図ることが可能となる。
以下、用紙後処理部5および排紙トレイ8について、図2〜図9を用いて詳しく説明する。なお、記録用紙の搬送方向(図3に示す方向)を「用紙搬送方向」と称し、これに直交する記録用紙の幅方向(図3に示す方向)を「用紙幅方向」と称する。
図2に示すように、用紙後処理部5は、装置本体の排出ローラ36eの下流側に配置されている。用紙後処理部5には、用紙後処理ユニットとして、パンチ穴開け機能を備えるパンチングユニット60と、ステープル機能を備えるステープルユニット70とが備えられている。用紙後処理部5の前面(手前側の面)は、開閉可能なカバー50により覆われている。そして、用紙後処理部5においては、パンチングユニット60が上流側に配置され、ステープルユニット70が下流側に配置されている。用紙後処理部5の下流側には、排紙トレイ8が設けられている。排出ローラ36eから排出される記録用紙は、パンチングユニット60、ステープルユニット70を経て排紙トレイ8に排出される。この排紙トレイ8は、用紙後処理部5のステープルユニット70によってステープル処理を行うときには、ステープル処理用の用紙受け部分として使用される。
<パンチングユニット60の説明>
パンチングユニット60は、排出ローラ36eから排出される記録用紙に対してパンチ穴開けの処理(パンチング処理)を行うものである。パンチングユニット60には、パンチ穴開け機構部61、ガイド板62、パンチ屑収納ボックス63等が備えられている。また、上述した用紙搬送系32として、主搬送路51が形成されている。パンチングユニット60には、主搬送路51の途中に搬送ローラ56が設けられている。なお、パンチングユニット60は、後述するステープルユニット70とは異なり、装置本体に固定されている。
パンチングユニット60では、印字要求の際、印字条件としてパンチング処理の要求があった場合には、パンチングユニット60に搬送されてきた記録用紙をガイド板62上で停止させ、1枚毎にパンチ穴開け機構部61によりパンチ穴を開ける。このとき、印字用紙サイズを基に決定される位置にパンチ穴を開けるようにしている。
パンチ穴開け機構部61は、パンチングユニット60の上部に配置されており、パンチ穴開け機構部61には、パンチ穴の径と一致する径の芯材64が用紙幅方向に沿って所定の間隔で2箇所に設けられている。芯材64は、上下に昇降可能に設けられており、芯材64が下降する際に記録用紙に対してパンチ穴を開口する。また、芯材64は、用紙搬送方向に沿う方向および用紙幅方向に沿う方向にそれぞれ往復移動可能に設けられており、後述するように、パンチング処理を行う際の位置合わせが可能となっている。
ガイド板62は、パンチ穴開け機構部61の下方に配置されており、ガイド板62には、パンチ穴を開ける所定位置に対応する開口部が形成されている。パンチ屑収納ボックス63は、パンチングユニット60の下部に配置されており、パンチ屑収納ボックス63によりパンチ穴開け処理によって生じたパンチ屑を回収するようにしている。パンチ屑収納ボックス63は、用紙幅方向に沿ってスライド可能に設けられており、後述するように、カバー50を開けたとき、手前側に取り出すことが可能となっている。これにより、パンチ屑収納ボックス63内に収納されるパンチ屑を取り出すことができる。
パンチングユニット60でパンチング処理を行う際には、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に対応する位置にパンチ穴開け機構部61の芯材64を移動するようにしている。
加えて、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に正確にパンチ穴を開けることができるように、パンチングユニット60のパンチ穴開け機構部61の芯材64の微調整移動を行うようにしているが、この微調整移動については説明を省略する。
<ステープルユニット70の説明>
ステープルユニット70は、上流側のパンチングユニット60から搬送される記録用紙に対してステープル処理を行うものである。ステープルユニット70は、カバー50を上開きで手前に開けたとき、用紙搬送方向に沿う方向にスライド可能に設けられている。また、ステープルユニット70は、ステープルユニット70の上流側に配置されているパンチングユニット60に対して係脱可能に設けられている。
ステープルユニット70には、ステープル機構部71、ステープル台72、整合板73、排紙ローラ74等が備えられている。また、上述した用紙搬送系32として、主搬送路51およびスイッチバック搬送路52が形成されている。ステープルユニット70には、主搬送路51の下流側とスイッチバック搬送路52の上流側との接続位置には、記録用紙を案内する方向を切り替える分岐爪53と、記録用紙をステープル台72に排出する排出ローラ54が設けられている。また、スイッチバック搬送路52の下流側には、スイッチバックローラ55が設けられている。
ステープルユニット70では、印字要求の際、印字条件としてステープル処理の要求があった場合には、ステープル台72に積載される所定枚数の記録用紙に対して、ステープル機構部71によりステープル処理を施す。このとき、印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定される位置にステープル処理を施すようにしている。所望ステープル位置は、例えば、記録用紙の左上隅部に1箇所止めとか、左端部に2箇所止めとかというように、ユーザの所望するステープル処理を施す位置のことである。
ステープル機構部71は、排出ローラ54の下方に配置されており、ステープル台72上に積載される記録用紙の後端部をステープル針で綴じるものである。ステープル機構部71は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に構成されており、上述の印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定された位置にステープル処理を施すことができるようになっている。ステープルユニット70でステープル処理を行う際には、上述の印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定された位置に対応する位置にステープル機構部71を移動する。
ステープル台72は、排出ローラ54から排出される記録用紙を積載するものであり、ステープル機構部71によるステープル処理用の処理台となるものである。ステープル台72は、用紙搬送方向下流側を上方に傾けて配置されている。排出ローラ54から排出される記録用紙は、ステープル処理が行われる場合には、自重によりステープル台72の傾斜に沿って用紙搬送方向上流側へ滑り落ちる。一方、ステープル処理が行われない場合には、記録用紙は、排紙ローラ74から排紙トレイ8に排出される。
整合板73は、ステープル台72の上面(記録用紙が排出される面)の用紙幅方向に沿う方向の両サイドに対向して配置されている。一対の整合板73は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に設けられている。そして、ステープルユニット70でステープル処理を行う場合に、整合板73を用紙幅方向に沿って移動させることで、ステープル台72上に排出される記録用紙1枚毎に用紙幅方向の整合を行うようにしている。このとき、印字用紙サイズを基に、つまり、搬送される記録用紙のサイズを基に決定される可動幅に応じて整合板73を動かすようにしている。一対の整合板73の往復移動は、例えば、ラックピニオン機構により可能となっている。
<ステープルユニット70のスライドについての説明>
ここで、ステープルユニット70の用紙搬送方向に沿う方向への移動について説明する。この例では、ステープルユニット70は、後述する排紙トレイ8および排紙トレイ8下方の底部89とともに、用紙搬送方向に沿って往復移動するように構成されている。
ステープルユニット70の下部と、装置本体の外装90との間には、スライド式のレール75が設けられている。スライド式レール75は、例えば、アキュライド(登録商標)のようなボールベアリングを用いたスライドレールとすることができる。具体的には、スライド式レール75は、ステープルユニット70下部に取り付けたレールと、装置本体の外装90に取り付けたレールとの間に、ボールベアリングを保持する保持部材を介在させた構成としている。そして、装置本体の外装90側のレールに対して、ボールベアリングを介してステープルユニット70側のレールがスライドすることで、ステープルユニット70の装置本体に対するスムーズなスライドが可能となる。
通常時には、ステープルユニット70は、装置本体に固定されているパンチングユニット60と接するように配置されている。一方、主搬送路51またはスイッチバック搬送路52でジャムが発生した場合、ステープル針の交換、補充を行う場合等には、ステープルユニット70を用紙搬送方向に沿って下流側へスライドさせる。このスライドによって、図7に示すように、ステープルユニット70とパンチングユニット60との間に空間が形成される。これにより、視認性がよくなり、この空間に手を入れて作業をすることが可能となる。この結果、主搬送路51またはスイッチバック搬送路52でジャムした記録用紙を容易に取り出すことができ、ジャム処理作業を容易に行うことができる。また、ステープル針を交換、補充する作業も容易に行うことができる。
このとき、ステープルユニット70の用紙搬送方向下流側へスライド可能な距離は、最大限、ステープルユニット70の用紙搬送方向下流側の端部が複合機1の側面から突出しない距離となっている。つまり、ステープルユニット70は、用紙搬送方向下流側の端部が装置本体から突出しない範囲でスライド可能となっている。このように、ステープルユニット70がスライド可能な範囲に制限を設けて、スライド式レール75が変形等することのないようにしている。
上述したように、ステープルユニット70は、通常時には、装置本体に固定されているパンチングユニット60と接するように配置されている。このとき、ステープルユニット70は、図8(a)に示すように、ステープルユニット70に設けられているフック76がパンチングユニット60に設けられている係合溝66に係合することで、パンチングユニット60に固定されている。フック76は、回動支点76aを中心に回動可能に設けられている。また、フック76は、回動支点76aを中心に時計回り方向に回動する方向に付勢されている。フック76の先端部76bは、係合溝66と係合するように、略L字状に形成されている。そして、フック76の他端側は、ロック解除レバー77と連結されている。
ステープルユニット70を用紙搬送方向下流側へスライドさせるには、次のようにする。フックレバー77を操作して、フック76を付勢力に抗して、回動支点76aを中心に反時計回り方向に回動することによって、フック76と係合溝66との係合を解除する。これにより、ステープルユニット70を用紙搬送方向下流側へ移動させることができる。ステープルユニット70を用紙搬送方向下流側に移動することで、上述したように、ジャム処理作業や針の交換、補充作業等を容易に行うことができる。
逆に、ジャム処理作業や針の交換、補充作業等を終えて、ステープルユニット70をパンチングユニット60に固定するには、次のようにする。ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせてパンチングユニット60に近づけていくと、図8(b)に示すように、フック76の先端部76bが係合溝66の傾斜面66aに当接する。この状態から、さらに、ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせることで、図8(c)に示すように、フック76は、付勢力に抗して、回動支点76aを中心に反時計回り方向に回動する。さらに、ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせることで、フック76は係合溝66の頂点66bを乗り越えて、図8(a)に示すように、フック76が係合溝66に係合する。これにより、ステープルユニット70がパンチングユニット60に固定され、ステープルユニット70の用紙搬送方向下流側への移動が不可能となる。なお、ステープルユニット70に係合溝を設け、パンチングユニット60にフックを設けるようにしてもよい。
<カバー50についての説明>
カバー50は、上述したように、用紙後処理部5の手前側の面に開閉可能に設けられている。カバー50は、その下端部に設けられている回動軸50aと中心に回動可能となっている。図3〜図5に示すように、カバー50は、閉じた状態では、垂直に配置されて用紙後処理部5の手前側の面を覆っている。逆に、図6、図7に示すように、カバー50は、開いた状態では、略水平に配置されて用紙後処理部5の手前側を開放する。このように、カバー50を開くと、パンチ屑収納ボックス63を手前側に取り出して、パンチ屑収納ボックス63内のパンチ屑を処分することができる。
カバー50は、正面視矩形に形成されており、パンチングユニット60およびステープルユニット70の手前側の面を全面にわたって覆うことが可能な大きさに形成されている。カバー50には、奥側(用紙後処理部5の内部側)へ向けて突出する突起50bが形成されており、カバー50を閉じると、この突起50bがステープルユニット70に形成されている係合穴部70bと係合することで、用紙後処理部5に対してカバー50が固定される。また、カバー50の外縁にも、奥側へ向けて突出する突起が形成されており、カバー50を閉じると、カバー50の突起がパンチングユニット60およびステープルユニット70の手前側の面の端部と当接する。このうち、ステープルユニット70側の端部に形成されている突起50cは、ステープルユニット70の位置を規制するための規制用突起として設けられている。
規制用突起50cは、ステープルユニット70の手前側の面の用紙搬送方向上流側の端部に形成されている規制用溝部70cと当接する。規制用突起50cは、図9に示すように、平面視で、規制用溝部70cとの当接面50dが用紙幅方向に沿う方向(図9中、一点鎖線で示す)に平行には形成されておらず、用紙幅方向に沿う方向に対して角度αだけ傾斜して形成されている。このように、規制用突起50cの用紙搬送方向に沿う方向の幅が、先端側へ向かうにつれて(用紙後処理部5の内部側へ向かうにつれて)、次第に狭くなるように形成されている。一方、ステープルユニット70の規制用溝部70c側の当接面70dは、平面視で用紙幅方向に沿う方向に平行に形成されている。
カバー50に、上述のような規制用突起50cを設けることにより、次のようなメリットがある。上述したように、ステープルユニット70は、パンチングユニット60に対して係脱可能に設けられている。そして、ステープルユニット70のフック76がパンチングユニット60の係合溝66に係合することで、ステープルユニット70がパンチングユニット60に固定されている。このとき、互いの境界面60f、70fが対向するようになっている。ところが、フック76の先端部76bが係合溝66の頂点66bを乗り越えて、フック76を係合溝66に係合させているため、互いの境界面60f、70fの間に隙間が生じてしまう。
この例では、ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせてフック76を係合溝66に係合させて、ステープルユニット70を固定した後、カバー50を閉じるようにしている。この場合、カバー50を回動して閉じていくと、カバー50の規制用突起50cがステープルユニット70の規制用溝部70cに当接する。さらに、カバー50を閉じていくと、規制用突起50cと規制用溝部70cとの当接位置が、規制用突起50cの当接面50dの傾斜に沿って、手前側へ次第に移動する。これにより、ステープルユニット70がパンチングユニット60側へ押し付けられる。そして、上述した突起50bを係合穴部70bに係合させて、カバー50を完全に閉じると、ステープルユニット70の境界面70fがパンチングユニット60の境界面60fに略隙間のない位置まで近づき、この状態でステープルユニット70が固定される。
このように、カバー50を閉じたときにステープルユニット70の端部と当接する規制用突起50cを設けることにより、カバー50を閉じたとき、ステープルユニット70とパンチングユニット60との間に生ずる隙間をできる限り小さくすることができる。これにより、ステープルユニット70の固定位置を規制することができ、ステープルユニット70の振動を防止することができる。
また、カバー50は、複合機1の動作のオン/オフを切り替えるスイッチの役目を果たすように設けられている。複合機1の動作とは、印字処理、用紙後処理時等の複合機1各部の動作のことで、カバー50が閉じているときは、複合機1の動作がオンとなり、印字処理時、用紙後処理等の各種の処理が許容され、可能となる。逆に、カバー50が開いているときは、複合機1の動作がオフとなり、印字処理、用紙後処理等の各種の処理が禁止され、不可能となる。このように、カバー50の開閉にしたがって、複合機1の動作のオン/オフが切り替わるようにしている。また、印字要求の際、カバー50が開いている場合には、ユーザに対してカバー50を閉じるように促すようにしている。
このようなオン/オフスイッチの役割を果たすカバー50を用紙後処理部5に設けることによって、ジャム処理作業や、ステープル針の交換、補充作業等を行っている場合等のように、カバー50が開いている状態で、印字処理、用紙後処理等が行われることがないようにしている。これにより、用紙後処理部5を備える複合機1の安全性を確保することができる。
なお、複合機1には、カバー50の他にも、開閉する扉(ドア)が設けられている。したがって、カバー50を含めた複合機1の扉が全て閉じている状態で、複合機1の動作をオンとし、カバー50を含めた複合機1の扉のいずれかが開いている状態で、複合機1の動作をオフとするようにしてもよい。
<排紙ローラ74についての説明>
排紙ローラ74は、ステープル台72の用紙搬送方向の最も下流側に、排紙トレイ8に臨むように上下一対で配置されており、ステープル台72上の記録用紙を排紙トレイ8に排出するものである。排紙ローラ74は、後述するように、記録用紙を排紙トレイ8に仕分け排出するシフターローラとしても兼用される。上下の排紙ローラ74は、ともに駆動ローラとして設けられている。つまり、上下の排紙ローラ74は、ともに駆動源と連結されている。
また、上下の排紙ローラ74は、接離可能に設けられており、一方(この場合、上側)の排紙ローラ74が他方(この場合、下側)の排紙ローラ74に対して上下方向に移動可能に設けられている。記録用紙を排紙トレイ8に排出する場合には、上下の排紙ローラ74を互いに圧接する状態とし、一方、記録用紙に対するステープル処理を行う場合には、上下の排紙ローラ74を互いに離間する状態とする。なお、上下の排紙ローラ74のホームポジションは、互いに圧接しているときの位置となっている。
ここで、排紙ローラ74によるシフター処理について説明する。この例では、排紙ローラ74によって記録用紙にシフター処理を施すことで、記録用紙を仕分けて排紙トレイ8に排出するようにしている。
シフター処理は、記録用紙を用紙幅方向に沿った複数の位置から排紙トレイ8に排出することで、排紙トレイ8上での記録用紙の排出位置を用紙幅方向に沿う方向にずらして記録用紙の仕分けを行うものである。このようなシフター処理は、例えば、上下の排紙ローラ74を軸方向(用紙幅方向に沿う方向)に往復移動可能に設けることで可能となる。具体的には、上下の排紙ローラ74で記録用紙をチャックした状態で、上下の排紙ローラ74を軸方向に移動させる。これにより、上下の排紙ローラ74でチャックされている記録用紙が用紙幅方向に沿って移動する。そして、その位置で記録用紙を排紙トレイ8に排出すると、排紙トレイ8上での記録用紙の排出位置を用紙幅方向に沿う方向にずらすことができる。このようにして、例えば、記録用紙の部数毎の仕分けを行うことができ、1部目の最終ページと2部目の最初のページとが排紙トレイ8の同じ位置に排出されないようにすることができる。また、排紙ローラ74をシフターローラとして兼用することで、部材点数の削減、コスト削減等を図ることができる。なお、記録用紙の排出後には、上下の排紙ローラ74を元の位置まで戻すようにする。
−排紙トレイ8の説明−
排紙トレイ8は、複合機1の装置本体によって形成されている「コ」字状の内部の空間Cに、上述した用紙後処理部5とともに設けられている。排紙トレイ8には、用紙後処理部5において、パンチング処理、ステープル処理等の用紙後処理が施された記録用紙が排出される。排紙トレイ8は、用紙搬送方向(記録用紙の排出方向)に沿って伸縮可能に設けられている。また、上下に昇降可能に設けられている。さらに、装置本体に対してスライド可能に設けられている。
図3、図5に示すように、排紙トレイ8は、用紙搬送方向に沿う方向に、1段〜3段に伸縮可能なトレイとして形成されている。この例では、排紙トレイ8は、印字用紙サイズに応じて、用紙搬送方向に沿ってユーザが手動で伸縮できるように構成されている。
また、図3、図4に示すように、排紙トレイ8は、上下方向に昇降可能なトレイとして形成されている。この例では、排紙トレイ8は、積載される記録用紙の量(枚数)に応じて、昇降するように構成されている。
排紙トレイ8に排出される記録用紙の量は、下側の排紙ローラ74の近傍に設けられている上限センサ84によって検出される。この上限センサ84は、接触式のセンサとして設けられている。そして、排紙トレイ8上に積載される記録用紙の最上位面が所定の高さに達すると、上限センサ84がオンとなる。これにより、排紙トレイ8の満杯が検出される。すると、この満杯検出によって排紙トレイ8を所定の距離だけ下降する。この排紙トレイ8の下降により、上限センサ84がオフとなる。このように、上限センサ84がオン/オフが切り替わることで、排紙トレイ8上に積載される記録用紙の量を検出している。この例では、排紙トレイ8のホームポジションを、排紙トレイ8の最上昇位置(図3に示す位置)とし、排紙トレイ8の上流側の端部が排紙ローラ74の直下に配置されている。そして、積載される記録用紙の量が増えるほど、排紙トレイ8を次第に下降させるようにしている。なお、上限センサ84を光学式のセンサとして設けてもよい。
排紙トレイ8は、上述したように、伸縮可能に設けられているが、その昇降移動の際には、第1排紙トレイ81が昇降することで、この第1排紙トレイ81とともに第2排紙トレイ82および第3排紙トレイ83が昇降するように構成されている。
第1排紙トレイ81の昇降は、例えば、次のようにして行われる。第1排紙トレイ81の奥側には、第1排紙トレイ8を昇降移動するための駆動部85が設けられている。この駆動部85には、駆動ベルト(図示せず)が収納されており、駆動ベルトは、配線86により接続されている図示せぬ駆動電源により駆動可能となっている。駆動部85には、第1排紙トレイ81の先端部を支持する支持部材が連結されている。支持部材は、駆動ベルトを駆動することで上下に往復移動するように設けられている。そして、このような支持部材を介して、駆動部85の駆動ベルトの動力が第1排紙トレイ81に伝達され、これにより、第1排紙トレイ81が昇降移動する。また、第1排紙トレイ81の下部には、第1排紙トレイ81を支持するアーム88が設けられている。アーム88は、第1排紙トレイ81と底部89との間に配置されている。そして、アーム88は、L字状に屈曲して設けられており、その屈曲角度が可変となっている。このアーム88の屈曲角度は、第1排紙トレイ81の昇降位置にしたがって変化する。なお、第1排紙トレイ81の用紙後処理部5寄りの端部には、突起が設けられている。この突起は、用紙後処理部5に設けられている上下に長く伸びる溝部と係合し、溝部内をスライド可能となっている。
以上が、複合機1の全体説明である。
−本発明に係わる用紙後処理部5の構造の説明−
図10および図11は、カバー50を開いた状態で、ステープルユニット70を用紙搬送方向に沿って下流側へスライドさせた状態の斜視図であり、図7に示す角度とは若干異なる角度から見た図である。また、図12は、ステープル機構部71の駆動系を概略的に示した説明図であり、ステープルユニット70を用紙搬送方向の上流側から見た図である。
本発明に係わる用紙後処理部5では、カバー50に通気孔51が設けられている。また、ステープルユニット70の前面側には、通気孔78aが形成された前フレーム78に、前記したロック解除レバー77が設けられており、このロック解除レバー77とは反対側である前フレーム78の奥側に、冷却ファン91が配置されている。この冷却ファン91は、ステープルユニット70の正面側から奥側に向かって(すなわち、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に向かって)空気流路が形成されるように配置されている。そして、この冷却ファン91の空気流路上であって、ステープルユニット70の奥側に、ステープル機構部(ステープラ)71が近接して配置されている。
ステープル機構部71は、ステープルユニット70内において、用紙幅方向に往復移動可能に設けられている。すなわち、図12に示すように、ステープル機構部71の前フレーム78と後ろフレーム79との間には、用紙幅幅方向に沿って水平にスライドレール101が配置されており、ステープル機構部71は、このスライドレール101に沿って用紙幅方向に往復移動可能となっている。すなわち、ステープル機構部71に形成された貫通孔71aにこのスライドレール101が貫挿された状態となっている。
一方、このスライドレール101の上部近傍位置には、前フレーム78寄りに従動ローラ102が配置され、後ろフレーム79の奥側に、駆動モータ104に連結された駆動ローラ103が配置されており、これら駆動ローラ103と従動ローラ102とに無端の駆動ベルト105が巻回されている。そして、この駆動ベルト105の一部がステープル機構部71の上面に固定されている。これにより、ステープル機構部71は、駆動モータ104の右回転駆動制御および左回転駆動制御により、前フレーム78と後ろフレーム79との間を用紙幅方向に沿って往復移動可能となっている。
このような構成のステープル機構部71は、動作待機時には、図10および図12に破線で示すように、ステープルユニット70の前面側であって冷却ファン91の近傍で待機する。これにより、針の交換や補充は、従来と同様に容易に行うことが可能となる。
一方、冷却ファン91の動作時には、図11に示すように、ステープルユニット70の奥側に向かって移動し、図12に実線で示すように、前フレーム78と後ろフレーム79のほぼ中央位置で停止する。これにより、冷却ファン91とステープル機構部71との間に十分な空間、すなわち空気流路が確保されるため、用紙後処理部5の奥側に配置されている図示しない回路基板等まで十分に空気を流すことが可能となる。そして、ステープル処理時には、所定のステープル位置まで移動してステープル処理を実行する。
図13は、上記構成の用紙後処理部5の制御系を示す機能ブロック図である。
複合機1の画像形成部3と用紙後処理部5とは相互に通信を行って連係をとっている。用紙後処理部5は、当該用紙後処理部5を制御する制御手段501、ステープル台72上に積載された1冊分の記録用紙のステープル処理を行うステープル機構部71、このステープル機構部71が待機位置(ホームポジション位置)に位置しているか否かを検出する待機位置検出センサ502、ステープル機構部71を用紙幅方向に往復移動させるステープラ移動手段である駆動モータ104、ステープルユニット70の前面に設けられた冷却ファン91、ステープル機構部71に補充されているステープル針が無くなったことを検知する針無し検知センサ503、用紙後処理部5内の主搬送路51上の記録用紙を検知する用紙検知センサ504を備えている。
次に、上記構成の複合機1における画像形成時の用紙後処理部5の処理動作について、図14および図15に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図14および図15では、ステープル機構部71をステープラと称して記載している。
画像形成開始前の待機状態では、冷却ファン91は回転を停止し、ステープル機構部71は冷却ファン91に近接した待機位置(ホームポジション位置)で待機している。この状態において、図示しない装置本体の操作パネルや外部パソコン等から印刷開始(画像形成開始)の指示が入力されると(ステップS1でYesと判断されると)、制御手段501は冷却ファン91を駆動してファンの回転を開始し(ステップS2)、駆動モータ104を起動して、ステープル機構部71をステープルユニット70の奥側に向かって移動し、前フレーム78と後ろフレーム79のほぼ中央位置で停止する(ステップS3)。これにより、冷却ファン91とステープル機構部71との間に十分な空間が形成され、冷却のための空気流路がステープルユニット70内に確保される。
この後、画像形成動作(印刷動作)が完了したか否かを監視し(ステップS4)、画像形成動作が完了した場合(ステップS4でYesと判断された場合)には、次に用紙後処理部5でエラーが発生したか否かを確認し(ステップS5)、エラーが発生することなく完了している場合(ステップS5でYesと判断された場合)には、中央位置で停止していたステープル機構部71を、ステープルユニット70の前面側に向かって待機位置(ホームポジション位置)まで移動して停止する(ステップS6)。また、冷却ファン91の回転を停止する(ステップS7)。
一方、ステップS5において、用紙後処理部5でエラーが発生している場合(Noと判断された場合)には、そのエラー内容が、ステープル機構部71の針無しか否かを針無し検知センサ503のセンサ出力によって確認する(ステップS8)。その結果、針無し状態である場合(ステップS8でYesと判断された場合)には、ステップS6へ動作を進め、中央位置で停止していたステープル機構部71を、ステープルユニット70の前面側に向かって待機位置(ホームポジション位置)まで移動して停止する。これにより、針無しの場合には、針交換や針補充をスムーズに行うことができる。
一方、エラー内容が針無し状態によるものでない場合(ステップS8でNoと判断された場合)には、用紙後処理部5で紙詰まりが発生しているか否かを用紙検知センサ504のセンサ出力によって確認する(ステップS9)。その結果、紙詰まりである場合(ステップS9でYesと判断された場合)には、ステープル機構部71を中央位置で停止した状態のままステップS7へ動作を進め、冷却ファン91の回転を停止する。これにより、紙詰まりの場合には、ステープル機構部71を移動させてしまうことによって、それ以上紙詰まり状態を悪化させるといったさらなる不具合の発生を防止することができる。
一方、エラー内容が針無し状態でも用紙後処理部5での紙詰まりでもない場合(ステップS9でNoと判断された場合)には、それぞれのエラー内容に応じた他のエラー処理を実行する(ステップS10)。
上記処理(ステップS1〜ステップS10)において、印刷開始指示にステープル処理が含まれている場合には、ステップS4で画像形成動作の完了を監視している過程において、図15に示すフローチャートのステープル処理が実行される。
すなわち、ステープル処理(綴じ処理)を実行するか否かを監視するとともに(ステップS11)、その監視中にエラーが発生したか否かを監視する(ステップS15)。そして、エラーが発生した場合(ステップS15でYesと判断された場合)には、エラー処理を実行する(ステップS16)。ここでのエラー処理は、具体的にはステップS5でNoと判断された後のエラー処理(ステップS6〜ステップS10)と同じである。
一方、ステップS11での監視状態において、ステープル台72に1冊分の記録用紙が蓄積されることによってステープル処理の実行可能状態になると(ステップS11でYesと判断されると)、ステープル機構部71を、停止していた搬送幅方向の中央位置からステープル位置(綴じ位置)に移動させて(ステップS12)、ステープル処理動作(綴じ処理動作)を行い(ステップS13)、その後、ステープル機構部71を再び搬送幅方向の中央位置まで移動して停止する(ステップS14)。ステープル機構部71は、画像形成動作中において、ステープル処理が実行されるたびに、上記の処理(ステップS11〜ステップS14)を繰り返す。
なお、ステープル台72に1冊分の記録用紙の蓄積が完了よりも先立って、ステープル機構部71を、停止していた搬送幅方向の中央位置からステープル位置(綴じ位置)に移動させてもよい。すなわち、1冊分の記録紙がN枚からなるものである場合、N−m枚がステープル台に蓄積された時点でステープル機構部を移動させ、ステープル台にN枚が蓄積されてから綴じ処理をさせればよい。このようにすることで、ステープル移動の為の待ち時間を無くし、効率の高い後処理が可能になる。
本発明を適用する複合機の概略構成を示す図である。 用紙後処理部および排紙トレイの概略構成を示す説明図である。 用紙後処理部および排紙トレイを示す斜視図であり、排紙トレイが収縮かつ上昇した状態、およびカバーが閉じた状態を示す図である。 排紙トレイが下降した状態を示す斜視図である。 排紙トレイが伸張した状態を示す斜視図である。 カバーが開いた状態を示す斜視図である。 排紙トレイおよびステープルユニットがスライドした状態を示す斜視図である。 ステープルユニットのフックと、パンチングユニットの係合溝との係合を示す説明図である。 カバーの規制用突起と、ステープルユニットの規制用溝部との当接を示す説明図である。 カバーを開いた状態で、ステープルユニットを用紙搬送方向に沿って下流側へスライドさせた状態の斜視図である。 カバーを開いた状態で、ステープルユニットを用紙搬送方向に沿って下流側へスライドさせた状態の斜視図である。 ステープル機構部の駆動系を概略的に示した説明図である。 用紙後処理部の制御系を示す機能ブロック図である。 画像形成時の用紙後処理部の処理動作を示すフローチャートである。 画像形成時の用紙後処理部の処理動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 複合機
2 スキャナ部
3 画像形成部
5 用紙後処理部(用紙後処理装置)
8 排紙トレイ
31 画像形成系
33 用紙カセット
50 カバー
51 主搬送路
52 スイッチバック搬送路
53 分岐爪
54 排出ローラ
57 ガイド板
60 パンチングユニット
70 ステープルユニット
71 ステープル機構部
72 ステープル台
74 排紙ローラ
78 前フレーム
79 後ろフレーム
91 冷却ファン
101 スライドレール
102 従動ローラ
103 駆動ローラ
104 駆動モータ
105 駆動ベルト
501 制御手段
502 待機位置検出センサ
503 針無し検知センサ
504 用紙検知センサ

Claims (5)

  1. 画像形成装置に用いられる用紙後処理装置において、
    前面側に位置する冷却ファンと、
    前記冷却ファンの空気流路上に位置するステープル機構部とを備え、
    待機時は前記ステープル機構部を前記冷却ファンの近傍で待機させ、
    画像形成装置の動作時は前記冷却ファンを動作させるとともに前記ステープル機構部を用紙後処理装置の奥側に向かって移動して停止させ、
    ステープル処理時は前記ステープル機構部を所定のステープル位置まで移動させてステープル処理を実行することを特徴とする用紙後処理装置。
  2. 請求項1記載の用紙後処理装置を備えた画像形成装置であって、
    画像形成装置本体上部に原稿読取部が配置され、画像形成装置本体下部に給紙部が配置され、前記原稿読取部と給紙部との間に印字部が配置され、前記原稿読取部と印字部と給紙部とによって形成される画像形成装置本体の空間部に、前記用紙後処理装置と排紙部とが配置されている構成であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 用紙後処理装置は前記画像形成装置本体に対して移動可能に設けられており、
    用紙後処理装置の移動を固定および固定解除する操作部材が設けられており、前記冷却ファンはこの操作部材の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
  4. 前記冷却ファンは画像形成開始時に回転を開始し、前記ステープル機構部は画像形成開始時に前記待機位置から奥側への移動を開始することを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
  5. 前記ステープル機構部の針無し状態を検知する針無し検知手段と、前記装置本体での紙詰まりを検知する紙詰まり検知手段とを備えており、
    前記ステープル機構部は後処理動作時に前記針無し検知手段が針無しを検知した場合には前記待機位置に移動し、後処理動作時に前記紙詰まり検知手段が紙詰まりを検知した場合には現在位置に留まるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
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