以下、本発明に係るシート束綴じ装置の好適な実施の形態について、図に基づいて詳しく説明する。
本発明は後述する画像形成システムなどにおいて画像形成され部揃え集積されたシート束を綴じ処理するシート束綴じ処理機構に関する。図1に示す画像形成システムは画像形成ユニットAと、画像読取ユニットCとシート束綴じ装置Bで構成される。
そして原稿画像を画像読取ユニットCで読み取り、その画像データに基づいて画像形成ユニットAでシート上に画像を形成する。そして画像形成されたシートを、シート束綴じ装置Bで部揃え集積して綴じ処理を施し、下流側のスタックトレイ25に収納する。
後述するシート束綴じ装置Bは、画像形成ユニットAのハウジングに形成された排紙空間15にユニットとして内蔵され、排紙口16aに送られた画像形成シートを処理トレイ24上に部揃え集積して、綴じ処理した後に下流側に配置したスタックトレイ25に収納するシート束綴じ処処理機構を備えたインナーフィニッシャ構造を示している。本発明はこれに限らず画像形成ユニットAと画像読取ユニットCと後処理ユニットBを独立したスタンドアロン構造で構成し、各装置間をネットワークケーブルで接続してシステム化することも可能である。
[シート束綴じ装置]
シート束綴じ装置Bは図2にその斜視構成を、図3にその断面構成を示すように、装置ハウジング20と、このハウジングに配置されたシート搬入経路22(第1排紙経路;以下同様)と、その経路排紙口23の下流側に配置された処理トレイ24と、さらにその下流側に配置されたスタックトレイ25で構成されている。
そして、シート搬入経路22の搬入口(第1搬入口)21aは、画像形成ユニットAの排紙口(第1排紙口)16aに連結され、画像形成されたシートを排紙口(第1排紙口)16aに配置されている画像形成装置側の入口ローラ17aにて受け取った後、処理トレイ24に案内して、シート束綴じ処理を施した後に下流側のスタックトレイ25に収納するように構成されている。また装置ハウジング20にはシート搬入経路22の上方に第2排紙経路68が配置され、画像形成ユニットAの排紙口(第2排紙口)16bに経路の搬入口21bが連結されている。
上記シート搬入経路(第1排紙経路)22に案内されたシートは、経路排紙口23から下流側の処理トレイ24に集積され、このトレイ上で綴じ処理された後にスタックトレイ25に収納される。また、第1排紙経路22では処理できない或いは並行処理するシートを第2排紙経路68に案内する。図示の装置はこの第2排紙経路68に、(1)第1排紙経路22からオーバフローしたシート、(2)割込み印刷されたシート、(3)両面印刷するためにスイッチバック反転させるシートを収納または一時的に保持するようにしている。
[装置ハウジング]
装置ハウジング20は、装置フレーム20aと、外装ケーシング20bで構成され、装置フレームは、後述する各機構部(経路機構、トレイ機構、搬送機構など)を支持するフレーム構造で構成される。
図示のものは互いに対向する左右一対の側枠フレーム(不図示)に綴じ機構、搬送機構、トレイ機構及び駆動機構が配置され、外装ケーシング20bで一体化されたモノコック構造で構成されている。外装ケーシング20bは左右側枠フレーム20c、20dと、両側枠フレームを連結するステーフレーム(後述の底枠フレーム20e)を樹脂などのモールド加工で一体化したモノコック構造で構成され、その一部(装置フロント側は)は外部から操作可能に露出している。
つまり、フレーム枠組の外周を外装ケーシング20bでカバーし、後述する画像形成ユニットAの排紙空間15に内蔵される。その状態で装置フロント側の外装ケースは外部から操作可能な状態に露出している。この外装ケーシング20bのフロント側には後述するステープル針のカートリッジ装着開口28と、手差しセット部(挿入部)29と、マニュアル操作釦30(図示のものは表示ランプを内蔵したスイッチ)が装備される。
上記外装ケーシング20bは排紙方向の長さ寸法Lxと、排紙直交方向の長さ寸法Lyとは、最大サイズシートを基準に設定され、後述する画像形成ユニットAの排紙空間15より小さい寸法に設定されている。
[第1排紙経路の構成]
装置ハウジング20には第1排紙経路22と第2排紙経路68が上下に配置されている。第1排紙経路(シート搬入経路;以下同様)22は、図3に示すように第2排紙経路(シート載置ガイド;以下同様)68の下方に配置され、両経路は排紙方向上下にほぼ平行に配置されている。第1排紙経路22は画像形成ユニットAの第1排紙口16aに連結する搬入口(第1搬入口)21aを備え、装置ハウジング20を横断するように水平方向に配置された直線状の経路で構成されている。
この第1排紙経路22は適宜のペーパーガイド(板)22aで形成され、シートを搬送する搬送ローラ対が内蔵されている。図示のものは第1搬入口21aの近傍に搬入ローラ対31が、排紙口23の近傍に排紙ローラ対32が配置されている。また第1排紙経路22にはシートの先端及び/又は後端を検出するシートセンサSe1、及びSe2が配置されている。上述の搬入ローラ対31と排紙ローラ対32とは、同一の駆動モータM1(以下搬送モータと云う)に連結され、同一周速度でシートを所定の搬送方向に搬送する。
[第2排紙経路の構成]
第2排紙経路68は、第1排紙経路22の上方に配置され画像形成ユニットAの第2排紙口16bと連なる搬入口(第2搬入口)21bを有している。この第2排紙経路68は前述したように、オーバフロー、および割り込み印刷シートの収容と、デュープレックス経路に送るシートを一時的に保持する。このため第2排紙経路68には複数のシートを積載可能とするため、ローラベルトなどの排紙機構は備えられていない。また第2排紙経路68は下方に配される第1排紙経路22のシートジャムを除去するための機構を備えている。
図示の第2排紙経路68は、シートを積載可能な紙載面69を有するガイドプレート(ガイド部材)で構成され、このガイドプレートは、第1排紙経路22の経路ガイドを兼用している。つまりこのガイドプレート68を開放すると第1排紙経路22の経路内部が外部に露出するようになっている。
このように構成された紙載面69には、シートの排紙方向後端部を規制する後端規制面69eが一体に形成されている。そして紙載面69は、この後端規制面69eを有する可動紙載面69aと、固定紙載面69bとで構成され、可動紙載面69aは、回転軸69xで装置フレーム20aに回転可能に支持され、固定紙載面69bは装置フレーム20aに固定されている。
上記可動紙載面69aと固定紙載面69bとは、図4に示す開蓋状態ではシートの排紙方向後端側に位置する可動紙載面69aは第2排紙口16bから徐々に下方に傾斜し、固定紙載面69bは徐々に上方に傾斜し、両紙載面は反対方向にV字状に傾斜している。従って可動紙載面69aを回転軸69xを中心に反時計方向に所定角度揺動回転させると(図4の状態)、紙載面上に積載されているシートは湾曲して両紙載面に支持される。これと共に第1排紙経路22は、第1搬入口21aが大きく拡開され経路内のジャムシートを除去する空間が確保される。尚、図示4Dは装置ハウジング4に設けられた開閉扉である。
なお、可動紙載面69aの回動軸69xは第1排紙経路22より下方に配置されている。これは回転中心を後端規制面69eから遠い位置に設定しているためである。これと共に、後端規制面69eは、可動紙載面69aの閉蓋状態(作動状態)では、第2排紙口16bに配置されている画像形成装置側の排紙ローラ17bより排紙方向上流側に位置するように位置設定されている。そして可動紙載面69aの開蓋状態(ジャム処理状態)では、後端規制面69eは排紙ローラより排紙方向下流側に位置するようになっている。
処理トレイ24にはシートを搬入するシート搬入手段と、搬入シートを束状に集積するシート規制手段40と整合手段45が配置されている。これと共に処理トレイ24にはシート束をステープル綴じするステープルユニット26(第1の綴じ手段)と、シート束を針なし綴じする無針綴じ手段27(第2の綴じ手段)が配置されている。以下各構成について詳述する。
[処理トレイ]
図3に従って説明すると、第1排紙経路22の排紙口23には、その下流側に段差dを形成して処理トレイ24が配置されている。この処理トレイ24は排紙口23から送られたシートを上方に積み重ねて束状に集積するため、シートの少なくとも一部を支持する紙載面24aを備えている。図示のものは後述するスタックトレイ25でシート先端側を支持し、シート後端側を処理トレイ24で支持する構造(ブリッジ支持構造)を採用している。これによってトレイ寸法を小型化している。
上記処理トレイ24は、排紙口23から送られたシートを束状に集積して、所定姿勢に整合したのちに綴じ処理を施し、処理後のシート束を下流側のスタックトレイ25に搬出するように構成されている。このため処理トレイ24には、「シート搬入機構」と、「シート整合機構45」と、「綴じ処理機構26,27」と、「シート束搬出機構60」が組込まれている。
[シート搬入機構(シート搬入手段)]
排紙口23には、段差dを形成して処理トレイ24が配置されている。この処理トレイ24上にシートを正しい姿勢で円滑に搬送するシート搬入手段が必要となる。シート搬入手段(摩擦回転体)は、昇降するパドル回転体36で構成され、排紙口23からシート後端がトレイ上に搬出した段階でパドル回転体36がシートを排紙反対方向(図3右方向)に移送して後述するシート端規制手段40に突き当て整合(位置決め)する。
このため排紙口23には装置フレーム20aに支軸37xで揺動可能に軸支持された昇降アーム37が設けられ、この昇降アームの先端部にパドル回転体36が回転可能に軸支持されている。上記支軸37xには図示しないプーリが装備され、このプーリには前述の搬送モータM1が連結されている。
これと共に昇降アーム37には昇降モータM3(以下パドル昇降モータという)がバネクラッチ(トルクリミッタ)を介して連結され、モータの回転で昇降アーム37を上方の待機位置Wpと下方の作動位置(シート係合位置)Apとの間で昇降するように構成されている。つまりバネクラッチは、パドル昇降モータM3の一方向回転で昇降アーム37を作動位置Apから待機位置Wpに上昇させ、図示しない係止ストッパに突き当たった後はその待機位置で待機する。またパドル昇降モータM3の反対方向回転でバネクラッチは弛緩して昇降アーム37はその自重で待機位置Wpから下方の作動位置Apに下降して処理トレイ24上の最上シートと係合する。
図示の装置はパドル回転体36が図6に示すようにシートセンタ(センタ基準Sx)を基準に所定距離離れて左右対称に一対配置されている。この外、シートセンタとその両サイドに計3個のパドル回転体を配置しても、或いはシートセンタに1つのパドル回転体を配置してもよい。
また、上記パドル回転体36はゴム質の板状部材、プラスチックの羽根部材などフレキシブルな回転体で構成されている。このパドル回転体以外にシート搬入手段としてはローラ体、ベルト体などの摩擦回転部材で構成することが可能である。また図示の装置はシート後端が排紙口23から搬出したのちにパドル回転体36を上方の待機位置Wpから下方の作動位置Apに降下する機構を示したが次の昇降機構を採用することも可能である。
図示と異なる昇降機構は、例えばシート先端が排紙口23から搬出した段階で、摩擦回転体を待機位置から作動位置に降下させ、同時に排紙方向に回転させて、シート後端が排紙口23から搬出するタイミングでこの回転体を排紙反対方向に逆回転する。これによって排紙口23から搬出されるシートを高速で、かつスキューすることなく処理トレイ24の所定位置に移送することが可能である。
[掻き込み回転体(掻き込み搬送手段)]
上述の排紙口23に配置されたシート搬入機構(パドル回転体)でシートを処理トレイ24の所定位置に搬送する場合に、カールしたシート、スキューしたシートなどの影響でシート先端を下流側の規制ストッパ40に案内する掻き込み搬送手段33が必要となる。
図示の装置は、排紙ローラ対32の下方で後述するシート端規制ストッパ40の上流側に積載されたシートの最上シートを規制部材側に搬送力を付与する掻き込み回転体(掻き込み搬送手段)33が配置されている。図示のものはリング形状のベルト部材34(以下「掻き込みベルト」という)を処理トレイ24の先端部上方に配置し、この掻き込みベルト34は紙載面上の最上シートと係合するとともに規制部材側にシートを搬送する方向に回転する。
このため掻き込みベルト34はゴム質などの柔軟な材料で、摩擦力の高いベルト材(ローレットベルトなど)で構成し、駆動モータ(図示のものは搬送モータM1と共通)に連結された回転軸34xとアイドル軸34yとの間にニップ支持されている。そして図5反時計方向の回転力が回転軸34xから付与されている。これと共に、掻き込みベルト34は処理トレイ24上に積載されている最上シートに沿って搬入してくるシート先端を押圧しながら下流側の規制ストッパ40に突き当てる。
上記掻き込みベルト34は、ベルトシフトモータM5(以下ローレット昇降モータという)でトレイ上の最上シートの上方に上下動するように構成されている(その昇降機構は省略する)。そしてシート先端がベルト表面と最上シートとの間に進入したタイミングで、掻き込みベルト34が下降して搬入シートと係合する。また掻き込みベルト34は後述するシート束搬出手段60で処理トレイ24から下流側のスタックトレイ25に移送するときには最上シートから離間して上方に待機するようにローレット昇降モータM5を制御する。
[シート整合機構]
処理トレイ24には、搬入されたシートを所定の位置(処理位置)に位置決めするシート整合機構45が配置されている。図示のシート整合機構45は、排紙口23から排紙ローラ対32により、搬入ローラ対31がシートを搬送する搬送方向に沿った排紙方向に送られたシートの排紙方向端面(先端面か後端面のいずれか)を位置規制する「シート端規制手段40」と搬送方向・排紙方向と直交し且つシートの面に沿った排紙直交方向(幅方向)にシートを幅寄せ整合する「サイド整合手段45」で構成されている。以下この順に説明する。
[シート端規制手段]
図示のシート端規制手段40は、排紙方向後端縁を突き当て規制する後端規制部材41で構成されている。この後端規制部材41は、処理トレイ24上の紙載面24aに沿って搬入されるシートの排紙方向後端縁を突き当て規制する規制面41aを備え、前述の掻き込み搬送手段33で送られるシートの後端縁を突き当てて停止させる。
この後端規制部材41は、後述するステープルユニット26でマルチ綴じするときステープルユニットがシート後端に沿って(排紙直交方向に)移動する。このユニット移動の妨げとならないように(1)後端規制部材を綴じユニットの移動路(運動軌跡)に対して進入および退避する機構を採用するか、(2)綴じユニットと一体的に位置移動する機構を採用するか、(3)後端規制部材を、綴じユニットのヘッドとアンビルで構成される綴じ空間の内部に例えばチャンネル形状の折曲げ片で構成する。
図示のものは、後端規制部材41をステープルユニット26の綴じ空間内に配置する断面コ字状(チャンネル形状)の板状折曲げ部材で構成している。そして最小サイズシートを基準にシートセンタに第1の部材41Aを、これと距離を隔てて左右に第2第3の部材41B,41Cを配置している(図6参照)。これによってステープルユニット26のシート幅方向への移動を可能にしている。
図8に示すように処理トレイ24にはチャンネル形状の折曲げ片からなる複数の後端規制部材41が固定(部材先端部をトレイ背面壁にネジで固定している)されている。上記各後端規制部材41には規制面41aが形成してあり、その折曲げ先端部にはシート端を規制面に案内する傾斜面41bが連設している。
[サイド整合手段]
処理トレイ24には上述の後端規制部材41に突き当たったシートを排紙直交方向(シート幅方向)に位置決めする整合手段45が設けられている。
整合手段45は、処理トレイ24上に異なるサイズのシートをセンター基準で整合するか、片側基準で整合するか、によってその構成は異なる。図6に示す装置は、排紙口23からセンター基準で異なるサイズのシートが排出され、このシートを処理トレイ24上にセンター基準で整合する。そしてセンター基準で束状に整合されたシート束を綴じ処理に応じて、マルチ綴じのときには整合姿勢で綴じ位置Ma1、Ma2に、左右コーナ綴じのときには左右方向に所定量シート束をオフセットさせて綴じ位置Cp1、Cp2に、ステープルユニット26で綴じ処理する。
このため、整合手段45は、処理トレイ24の紙載面24aから上方に突出し、シートの側縁と係合する規制面46xを有するサイド整合部材46(46F,46R)を、左右一対互いに対向するように配置する。そしてこの一対の左右サイド整合部材46を所定ストロークで往復動可能に処理トレイ24に配置する。
このストロークは、最大サイズシートと最小サイズシートのサイズ差および整合した後のシート束を左右いずれかの方向に位置移動(オフセット搬送)するオフセット量によって設定する。つまり、左右のサイド整合部材46F,46Rの移動ストロークは、異なるサイズシートを整合するための移動量と、整合後のシート束のオフセット量で設定されている。
サイド整合部材46は、図7に示すように、右サイド整合部材46F(装置フロント側)と左サイド整合部材46R(装置リア側)で構成され、両サイド整合部材46には、シート側端と係合する規制面46xが互いに接近方向又は離間方向に移動するように処理トレイ24に支持されている。
処理トレイ24には、表裏を貫通するスリット溝24xが設けられ、このスリットからトレイ上面にシート側縁と係合する規制面46xを有するサイド整合部材46が摺動可能に嵌合されている。
各サイド整合部材46F,46Rはトレイ背面側で複数のガイドコロ49(レール部材であっても良い)で摺動可能に支持され、ラック47が一体形成されている。左右のラック47にはピニオン48を介して整合モータM6、M7が連結されている。
この左右の整合モータM6,M7はステッピングモータで構成され、図示しないポジションセンサで左右のサイド整合部材46F,46Rを位置検出し、その検出値を基準に各規制部材を左右いずれの方向にも、指定された移動量で位置移動できるように構成されている。
なお、図示のラック-ピニオン機構によることなく、各サイド整合部材46F,46Rをタイミングベルトに固定し、このベルトを左右往復動させるモータにプーリで連結する構成を採用することも可能である。このような構成で後述する制御手段75は、画像形成ユニットAなどから提供されるシートサイズ情報に基づいて左右のサイド整合部材46を所定の待機位置(シートの幅サイズ+α位置)に待機させる。
この状態で処理トレイ24上にシートを搬入し、シート端がシート端規制部材41に突き当たったタイミングで整合動作を開始する。この整合動作は左右の整合モータM6、M7を同一量ずつ反対方向(接近方向)に回転する。すると処理トレイ24に搬入されたシートはシートセンタを基準に位置決めされ束状に積み重ねられる。このシートの搬入動作と整合動作の繰り返しでシートは処理トレイ24上に束状に部揃え集積される。このとき異なるサイズのシートは、センター基準で位置決めされる。
このようにセンター基準で処理トレイ24上に集積されたシートは、その姿勢でシート後端縁(または先端縁)を所定間隔で複数箇所綴じ処理する(マルチ綴じ処理)ことができる。またシートコーナを綴じ処理する場合には、左右のサイド整合部材46F,46Rの片側を指定された綴じ位置にシート側端が一致する位置に移動して静止させる。そして反対側のサイド整合部材を、接近方向に位置移動する。この接近方向の移動量はシートサイズに応じて算出する。
これによって処理トレイ24上に搬入されたシートは、右コーナ綴じのときには右側縁が綴じ位置に一致するように整合され、左コーナ綴じ位置のときには左側縁が綴じ位置に一致するように整合される。
上述のように処理トレイ24上の所定位置に整合されたシート束を後述する「エコ綴じ処理」のためにオフセット移動する場合には、
(1)移動方向前方側の整合部材をオフセット予定位置から離れた位置に退避させた状態で移動方向後方側の整合部材を予め設定された量搬送直交方向に移動するか、
(2)左右の整合部材を、同一量ずつ搬送直交方向に移動するかいずれかの駆動制御を採用する。
なお、左右のサイド整合部材46F、46Rとその整合モータM6,M7には、ポジションセンサ、エンコードセンサなどのポジションセンサ(不図示)が配置され、サイド整合部材46の位置を検出するようになっている。また整合モータM6、M7をステッピングモータで構成し、サイド整合部材46のホームポジションをポジションセンサ(不図示)で検出し、モータをPWM制御することによって比較的簡単な制御構成で左右のサイド整合部材46F,46Rをコントロールすることができる。
[シート束搬出機構]
図10に示すシート束搬出機構(シート束搬出手段60)について説明する。上述の処理トレイ24には第1、第2綴じ手段26,27で綴じ処理したシート束を下流側のスタックトレイ25に搬出するシート束搬出機構が配置されている。図6に従って説明した処理トレイ24には、シートセンタSxに第1のシート後端規制部材41Aが、その左右に距離を隔てて第2、第3のシート後端規制部材41B,41Cが配置されている。そしてこの規制部材41に係止したシート束を綴じ手段26(27)で綴じ処理した後に下流側のスタックトレイ25に搬出するように構成されている。
このため処理トレイ24には紙載面24aに沿ってシート束搬出手段60が配置されている。図示のシート束搬出手段60は第1搬送部材60Aと第2搬送部材60Bで構成され、処理トレイ24上の第1の区間を第1搬送部材60Aで、第2の区間を第2搬送部材60Bでリレー搬送する。このように第1、第2搬送部材60A,60Bでシートを引継ぎ搬送することによって、各搬送部材の機構を異なる構造とすることができる。
そして、シート後端規制手段40と、ほぼ同一の始点からシート束を搬送する部材は、揺るぎの少ない部材(長尺支持部材)で構成し、搬送終点でスタックトレイ25にシート束を落下させる部材は、小型(ループ軌跡を走行するため)である必要がある。
第1搬送部材60Aは、断面チャンネル形状の折曲げ片で形成された第1搬出部材61で構成され、この部材にはシート束の後端面を係止する係止面と、この面に係止したシートの上面を押圧する紙面押圧部材62(弾性フィルム部材;マイラー片)が設けられている。この第1搬送部材60Aは、図示のようにチャンネル形状の折曲げ片で構成されているため、後述するキャリア部材65a(ベルト)に固定したとき、揺るぐことが少なくベルトと一体的に走行してシート束の後端を搬送方向に移動(繰り出す)する。そしてこの第1搬送部材60Aは、後述するように湾曲したループ軌跡を走行することなく、ほぼ直線状の軌跡でストロークStr1を往復動する。
第2搬送部材60Bは、爪形状の第2搬出部材63で構成され、シート束の後端面を係止する係止面63aと、シート束の上面を押圧する紙面押圧部材64が設けられている。この紙面押圧部材64は、第2搬出部材63に揺動可能に軸支持されていると共に紙面押圧面64aが設けられ、この紙面押圧面はシート束の上面を押圧するように付勢スプリング64bで付勢されている。
また、紙面押圧面64aは、図示のように走行方向に傾斜した傾斜面で構成され、図10(b)矢視方向に移動すると挟み角γでシートの後端と係合する。このとき紙面押圧面64aは付勢スプリング64bに抗して矢印方向に上向き(同図反時計方向)変形する。すると図10(c)に示すように紙面押圧面64aは付勢スプリング64bの作用でシート束の上面を紙載面側に押圧する。
上述したように、第1搬出部材61は、第1キャリア部材65aで、第2搬出部材63は、第2キャリア部材65bで、紙載面24aの基端部から出口端部に往復動する。このため、紙載面24aには、搬送ストロークを隔てた位置に駆動プーリ66a、66bと従動プーリ66cが配置されている。図示66d,66eはアイドルプーリである。
そして駆動プーリ66aと従動プーリ66c間に第1キャリア部材65a(図示のものは歯付ベルト)が架け渡してあり、駆動プーリ66bと従動プーリ66cとの間に第2キャリア部材65b(歯付ベルト)がアイドルプーリ66d、66eを介して架け渡してある。駆動プーリ66a、66bには、駆動モータM4が連結してあり、モータの回転は第1キャリア部材65aには低速で、第2キャリア部材65bには高速で駆動が伝達されるように第1駆動プーリ65aは小径に、第2駆動プーリ65bは大径に形成されている。
つまり共通の駆動モータM4に、第1搬送部材60Aは低速で、第2搬送部材60Bは高速で走行するように減速機構(ベルト-プーリ、歯車連結など)を介して連結されている。これと共に第2駆動プーリ66bには、駆動伝達を遅延させるカム機構が内蔵されている。これは後述するように第1搬送部材60Aの移動ストロークStr1と第2搬送部材60Bの移動ストロークStr2が異なることと、各部材の待機位置を位置調整する為である。
以上の構成で、第1搬送部材60Aは、処理トレイ24の後端規制位置から第1ストロークStr1で直線軌跡で往復動し、このストローク内に第1区間Tr1が設定してあり、第2搬送部材60Bは、第1区間Tr1から処理トレイ24の出口端に第2ストロークStr2で半ループ状軌跡で往復動し、このストローク内に第2区間Tr2が設定してある。
そして、駆動モータM4の一方向回転で第1搬送部材60Aはシート後端規制位置から速度V1で下流側(図10(a)から(b))に移動し、その係止面でシート束の後端を押して移送する。この第1搬送部材60Aから所定時間遅延して第2搬送部材60Bが、処理トレイ24背面側の待機位置(図10(a))から紙載面上に突出し、第1搬送部材60Aに追随して同方向に速度V2で走行移動する。このとき速度V1<V2に設定してあるから処理トレイ24上のシート束は第1搬送部材60Aから第2搬送部材60Bに引き継がれる。
図10(b)は、引継搬送状態を示し、速度V1で走行するシート束は、速度V2で走行する第2搬送部材60Bに追いつかれる。つまり第1区間Tr1を過ぎると第1搬送部材60Aは第2搬送部材60Bに追いつかれて、第2搬送部材60Bがシート後端面と係合して、下流側に第2区間Tr2を搬送する。
そして、速度V1で走行するシート束を引継ポイントで第2搬送部材60Bが高速度で突き当たるときに紙面押圧部材64は、紙面押圧面64aがシート束の上面を押圧してキャリア部材(ベルト)65a(65b)との間でニップするようにシート束後端を保持しながらスタックトレイ25に向けて搬出する。
[綴じ処理方法(綴じ位置)]
上述したように第1排紙経路22の搬入口21に送られたシートは処理トレイ24上に部揃え集積され、シート端規制部材40とサイド整合部材46で予め設定された位置と姿勢で位置決め(整合)される。そこでこのシート束に綴じ処理を施し、下流側のスタックトレイ25に搬出する。この場合の綴じ処理方法について説明する。
図示の装置は、綴じ処理方法として「シート束をステープル綴じする第1綴じ手段26」と、「シート束を針なし綴じする第2綴じ手段27」を処理トレイ24に備える。そして後述する制御手段75は、第1、第2の選択された綴じ手段26(27)でシート束を綴じ処理した後に下流側に搬出することを第1の特徴としている。
これは、シート束をステープル針で綴じ処理すると容易に離脱しない製本綴じが可能であるが、使用者の用途によっては綴じたシート束を簡単に引き離す利便性が必要となることがある。また使用後のシート束を、シュレッダなどで切断するとき、古紙再生するとき、などに金属針が問題となることから「針有り」、「針なし」綴じ手段を選択して使用できるようにするためである。
また、図示の装置は、シート搬入経路(排紙経路)22からシートを搬入して部揃え集積した後に綴じ処理する一連のシート束綴じ処理動作とは別に、装置外部(システム外)で作成したシートを綴じ処理する(以下「マニュアルステープル処理」という)ことを第2の特徴としている。
このため、外装ケーシング20bに外部からシート束をセットする手差セット部29が配置され、シート束をセットする手差セット面(マニュアルセット面)29aをケーシングに成形し、前述の綴じ手段(ステープルユニット26)を、処理トレイ24のシート搬入エリアArから手差しエリアFrに位置移動するように構成している。
図6に基づいて各綴じ処理方法を説明する。図示の装置は、ステープル針でシートの複数箇所を綴じ処理する「マルチ綴位置Ma1,Ma2」と、シートコーナを束綴じ処理する「コーナ綴位置Cp1,Cp2」と、マニュアルセットしたシートを綴じ処理する「マニュアル綴位置Mp」と、シートコーナを針なし綴じする「針なし綴位置Ep」が設定されている。各綴じ位置の位置関係を説明する。
[マルチ綴じ]
図6に示すように、 マルチ綴じ処理は、処理トレイ24上にシート端規制部材41とサイド整合部材46で位置決めされたシート束(以下「整合シート束」という)の端縁(図示のものは後端縁)を綴じ処理する。図9には間隔を隔てて2箇所を綴じ処理する綴位置Ma1、Ma2が設定されている。後述するステープルユニット26はホームポジションから綴位置Ma1、次いで綴位置Ma2の順に移動してそれぞれ綴じ処理する。なおこのマルチ綴位置Maは、2箇所に限らず、3箇所、或いはそれ以上に綴じ処理する場合がある。図11(a)はマルチ綴じした状態を示している。
[コーナ綴じ]
コーナ綴じ処理は、処理トレイ24に集積された整合シート束の右コーナを綴じ処理する右コーナ綴位置Cp1と、整合シート束の左コーナを綴じ処理する左コーナ綴位置Cp2との左右2箇所に綴位置が設定されている。この場合ステープル針を所定角度(約30度~約60度)傾斜させて綴じ処理する。(後述するステープルユニット26はこの位置でユニット全体が所定角度傾斜するように装置フレームにマウントされている。)図11(b)(c)はコーナ綴じした状態を示している。
図示の装置仕様はシート束の左右いずれか一方を選択して綴じ処理する場合と、ステープル針を所定角度傾斜させて綴じ処理する場合を示した。これに限らず左右いずれか一方のみにコーナ綴じする構成も、ステープル針を傾斜させることなくシート端縁と平行に綴じる構成も採用可能である。
[マニュアル綴じ]
マニュアル綴位置Mpは、後述する外装ケーシング20b(装置ハウジングの一部)に形成された手差セット面29aに配置されている。この手差セット面29aは処理トレイ24の紙載面24aとほぼ同一平面を形成する高さ位置で、紙載面24aと側枠フレーム20cを介して隣接する位置に配置(並行配置)されている。
図示のものは、処理トレイ24の紙載面24aと手差セット面29aとは、いずれもシートを略水平姿勢で支持し、略同一高さ位置に配置されている。図11(d)は、マニュアル綴じした状態を示している。
すなわち、図6において側枠フレーム20cを介して、その右側に手差セット面29aが、左側に紙載面24aが配置されている。そしてこのマニュアル綴位置Mpは紙載面に配置された前述のマルチ綴位置Maと同一直線上に配列されている。これは両綴じ位置を共通のステープルユニット26で綴じ処理するためである。従って処理トレイ24にはシート搬入エリアArと、その装置フロント側に手差しエリアFrが、装置リア側に後述するエコ綴じエリアRrが配置されている。
[針なし綴位置]
針なし綴位置Ep (以下「エコ綴位置」という)は、図6に示すようにシートの側縁部(コーナ部)を綴じ処理するように配置されている。図示のエコ綴位置Epは、シート束の排紙方向側縁部1箇所を綴じ処理する位置に配置され、シートに対して所定角度傾斜した角度位置を綴じ処理する。そして、エコ綴位置Epは、処理トレイ24のシート搬入エリアArから装置リア側に離れたエコ綴じエリアRrに配置されている。図11(e)は、エコ綴じした状態を示している。
[各綴位置相互の関係]
マルチ綴位置Ma1,Ma2は、処理トレイ24に排紙口23から搬入されるシートの搬出エリアAr内(内側)に配置されている。また、コーナ綴位置Cp1,Cp2は、シート搬入エリアArの外側で、シートの排紙基準Sx(センタ基準)から右、左いずれか一方に所定距離離れた基準位置(サイド整合基準)に配置されている。
図7に示すように、(綴じ処理する)最大サイズシートの側縁より外側であって、右コーナ綴位置Cp1は、シート側縁から所定量(δ1)右側に偏った位置に、左コーナ綴位置Cp2は、シート側縁から所定量(δ2)左側に偏った位置に配置されている。この両偏り量は同一距離(δ1=δ2)に設定されている。
マルチ綴位置Ma1,Ma2とマニュアル綴位置Mpは略直線上に配置されている。また、コーナ綴位置Cp1,Cp2は排紙基準Sxを介して左右対称となる傾斜角度(例えば45度角度位置)に設定されている。
マニュアル綴位置Mpは、シート搬入エリアArの外側であって装置フロント側Frの手差しエリアFrに配置され、エコ綴位置Epは、シート搬入エリアArの外側であって装置リア側Reのエコ綴じエリアRrに配置されている。
また、マニュアル綴位置Mpは、処理トレイ24の右コーナ綴じ位置から所定量(Of1)オフセットした位置に配置され、エコ綴位置Epは、処理トレイ24の左コーナ綴じ位置から所定量(Of2)オフセットした位置に配置されている。
このように、シートを搬入する処理トレイ24の搬出基準(センタ基準)に基づいてマルチ綴じ位置Mpを設定し、最大サイズシートに基づいてコーナ綴じ位置Cpを設定し、更に左右のコーナ綴じ位置から装置フロント側に所定量オフセットOf1した位置にマニュアル綴じ位置Mpを設定し、同様に装置リア側に所定量オフセットOf2した位置にエコ綴位置Epを設定することによってシート移動が互いに干渉することがなく整然と配列することができる。
各綴じ処理におけるシート移動について説明すると、マルチ綴じ処理のときシートは処理トレイ24にセンター基準(片側基準であってもよい)で搬入され、その状態で整合されて綴じ処理される。綴じ処理後はその姿勢で下流側に搬出される。コーナ綴じ処理のときにはシートは指定されたサイドの整合位置に整合され、綴じ処理される。
綴じ処理後はその姿勢で下流側に搬出する。またエコ綴じ処理のときには、処理トレイ24上に搬入されたシートは束状に集積された後に装置リア側に所定量オフセットOf2され、そのオフセット移動後に綴じ処理される。綴じ処理後は、シートセンタ側に所定量(例えばオフセットOf2と同一又は小さいシフト量)オフセットされその後下流側に搬出する。
またマニュアル綴じでは、オペレータは処理トレイ24からフロント側に位置する整合基準から所定量オフセットOf1、離れた手差しセット面にシートをセットする。これによって複数の綴じ処理を、シートのセット位置を搬送直交方向に、振り分けられ、綴じ処理を実行するから処理スピードが迅速で、シートジャムの少ない処理が可能である。
なお、エコ綴じ処理のとき後述する制御手段75は、シートを後端基準位置から排紙方向に所定量オフセットOf3させて綴じ位置Epを設定している。これはシートの左コーナ綴じのためにステープルユニット26と、針無し綴じユニット27が干渉するのを避けるためである。従って、針無し綴じユニット27をステープルユニット26と同様に綴じ位置と、これから退避した退避位置との間で移動可能に装置フレーム20にマウントすると、排紙方向にオフセットOf3させる必要はなくなる。
なお、ここで装置フロント側FRは、装置設計時に設定されオペレータが各種操作を実行する外装ケーシング20bの正面側を云う。通常この装置フロント側にはコントロールパネル、シートカセットの装着カバー(扉)、或いはステープルユニット26の針を補充する開閉カバーが配置されている。また、装置リア側REとは、例えば装置を設置する際に建造物の壁面に面する側(設計上は背面に壁がある設置条件)を云う。
このように図示の装置は、シート搬入エリアArを基準に、エリア外部であって装置フロント側FRにマニュアル綴位置Mpを、装置リア側REにエコ綴位置Epを配置している。このときシート搬入エリアArの基準(シート搬入基準Sx)とマニュアル綴位置Mpとの間の距離Ofxは、搬入基準Sxとエコ綴位置Epとの距離Ofyより長く(離れた位置;Ofx>Ofy)に設定してある。
このようにマニュアル綴位置Mpを処理トレイ24のシート搬入基準(Sx)から遠く離れた位置に、エコ綴位置Epを搬入基準近くの接近した位置に設定したのは、マニュアル綴位置Mpに外部からシート束をセットするとき、処理トレイ24から離れているためその操作が容易であるという利便性のためである。これと同時にエコ綴位置Epを搬入基準Sxから接近した(近い)位置に設定したのは処理トレイ24上に搬入したシート(整合シート束)を綴じ位置にオフセット移動する際の移動量を少なくしてスピーディ(プロダクタビリティの向上)に綴じ処理する為である。
[ステープルユニットの移動機構]
ステープルユニット26(第1の綴じ処理手段)は、その構造について後述するがユニットフレーム26a(第1ユニットフレームという)に針カートリッジ39と、ステープルヘッド26bと、アンビル部材26cを装備している。このステープルユニット26は、処理トレイ24のシート端面に沿って所定ストロークで往復動するように装置フレーム20aに支持されている。以下その支持構造について説明する。
図9は、ステープルユニット26を案内するガイドレール機構の部分説明図を示す。図8に示すように、装置フレーム20aを構成する左右の側枠フレーム20c,20dには、シャーシフレーム20e(以下「底枠フレーム」という)が配置されている。この底枠フレーム20eに、ステープルユニット26が所定ストロークで移動可能にマウントされている。
底枠フレーム20eには、走行ガイドレール42
(以下単に「ガイドレール」という)とスライドカム43が配置されている。ガイドレールには走行レール面42xが、スライドカム43には走行カム面43xが形成され、この走行レール面42xと走行カム面43xが互いに協同してステープルユニット26を所定ストロークで往復動可能に支持し、同時にその角度姿勢を制御している。
上記走行ガイドレール42とスライドカム43は、ステープルユニット26の移動範囲(シート搬入エリアと手差しエリアとエコ綴じエリア)SLで往復動するようにレール面42xとカム面43xが形成されている(図9参照)。上記走行ガイドレール42は、処理トレイ24の後端規制部材41に沿ってストロークSLを有するレール部材で構成され、図示のものは底枠フレーム20eに形成された開口溝で構成されている。
その開口縁に走行レール面42xが形成され、この走行レール面は処理トレイ24の後端規制部材41と同一直線で互いに平行な関係に配置されている。また走行レール面と間隔を隔ててスライドカム43が配置され、図示のものは底枠フレーム20eに形成した溝カムで構成されている。この溝カムには走行カム面43xが形成されている。
ステープルユニット26には、駆動モータ(走行モータ)M11に連結された走行ベルト44に固定されている。この走行ベルト44は装置フレーム20eに軸支した一対のプーリ44pに巻回され、プーリの一方に駆動モータが連結されている。従って、走行モータM11の正逆転でステープルユニット26はストロークSLで往復動することとなる。
上記走行レール面と走行カム面は、互いに平行な平行間隔部(スパンG1)43a、43bと、狭い首振り間隔部(スパンG2)43c、43dと、更に狭い間隔の首振り間隔部(スパンG3)43eに間隔が形成されている。そして、スパンG1>スパンG2>スパンG3の関係に構成されている。スパンG1ではユニットはシート後端縁と平行な姿勢に、スパンG2ではユニットは左右何れかに傾斜した姿勢で、スパンG3ではユニットは更に傾斜した角度姿勢となるように首振り角度変更する。
なお走行ガイドレール42は、開口溝構造に限らず、ガイドロッド、突起状リブ、その他種々の構造が採用可能である。またスライドカム43は溝カムに限らず、突起条リブ部材、など、所定のストローク方向にステープルユニット26を案内するカム面を備えていればその形状は種々のものが採用可能である。
上記ステープルユニット26は、上記走行ガイドレール42とスライドカム43に次のように係合している。図8に示すように、ステープルユニット26には、走行レール面42xと係合する第1転動コロ50(レール嵌合部材)と、走行カム面43xと係合する第2転動コロ51(カムフォロア部材)が設けられている。これと共にステープルユニット26には底枠フレーム20eのサポート(支持)面と係合する滑動コロ52(図示のものは2箇所にボール形状の滑動コロ52a、52bが形成されている)。また、移動ユニットには底枠部フレームの底面と係合するガイドコロ51xが形成してあり、底枠フレームからステープルユニット26が浮上するのを防止している。
以上の構成において、ステープルユニット26は底枠フレーム20eに滑動コロ52a、52bとガイドコロ51xで移動可能に支持されている。これと共に第1転動コロ50は走行レール面42xに、第2転動コロ52は走行カム面43xに沿って回転しながらレール面42xとカム面43xに倣って走行移動する。
そこでレール面42xとカム面43xとの間隔は、平行間隔部(スパンG1)が前述のマルチ綴じ位置Ma1Ma2に対向する図示位置43aと、マニュアル綴じ位置Mpに対向する図示位置43bに形成されている。このスパンG1ではステープルユニット26は首振りすることなくシート端縁と直交する姿勢で保持されている。従ってマルチ綴じ位置とマニュアル綴じ位置ではシート束はシート端縁と平行なステープル針で綴じ処理される。
また、レール面42xとカム面43xとの間隔は、首振り間隔(スパンG2)が、右コーナ綴じ位置に対向する図示位置43cと、左コーナ綴じ位置に対向する図示位置43dに形成されている。そして移動ユニットは右傾き角度姿勢(例えば右45度傾き)と、左傾き角度姿勢(例えば左45度傾き)に傾斜した姿勢で保持されている。
また、レール面42xとカム面43xとの間隔は、首振り間隔(スパンG3)が、針装填に位置に対向する図示位置43eに形成されている。このスパンG3はスパンG2より短い間隔に形成され、この状態でステープルユニット26は右傾き角度姿勢(例えば60度傾き)に保持されている。
後に詳しく説明するが、右コーナ綴位置Cp1は針装填位置でもあり、針装填の際には、ステープルユニット26の右傾き角度姿勢を、ユニットに針カートリッジ39を装着する角度方向にユニット姿勢を一致させるために、例えば60度から45度へと変更する。この角度は、外装ケーシングに配置する開閉カバーとの関係で決められる。
以上の走行レール面42xと走行カム面43xで移動ユニットの角度姿勢を偏向する際に、移動長さを短くするために、第2の走行カム面を設けるか、ストッパカム面を設けて走行カム面と協調して角度偏向することがレイアウトのコンパクト性から好ましい。
図示するストッパカム面について説明する。図8に示すように側枠フレーム20eには装置フロント側の右コーナ綴じ位置Cp1と、マニュアル綴じ位置Mpでユニット姿勢を変更するために移動ユニットの一部(図示のものは滑動コロ52a)と係合するストッパ面43y、43zが図示位置に配置してある。これによって針装填位置で傾斜しているユニットを、マニュアル綴位置Mpで傾斜を矯正する必要があるが、前述のカム面とレール面のみで角度変更することは移動ストロークが冗長となる。
そこでストッパ面43yで移動ユニットを係止した状態でマニュアル綴じ側に進めるとユニットは傾斜した状態から元の状態に戻る。またこのユニットをマニュアル綴じ位置から反対方向に復帰動させるときには、ストッパ面43zがユニットを(強制的に)傾斜させてコーナ綴じ位置に向ける。
[ステープルユニット]
ステープルユニット26はステープル針で綴じ処理する装置としてすでに広く知られている。その一例を図12(a)に従って説明する。ステープルユニット26はシート束綴じ装置Bとは別にユニット構成されている。ボックス形状のユニットフレーム26aと、このフレームに揺動可能に軸支持されたドライブカム26dと、このドライブカム26dを回動する駆動モータM8がフレームにマウントされている。
そしてドライブカム26dには、ステープルヘッド26bとアンビル部材26cが綴じ位置に対向配置され、ステープルヘッドはドライブカムに付勢スプリング(不図示)で上方の待機位置から下方のステープル位置(アンビル部材)に上下動する。そしてユニットフレームには針カートリッジ39が着脱可能に装着されている。
針カートリッジ39には直線状のブランク針が収納され、針送り機構でヘッド26bに針を供給する。ヘッド部26bには、内部に直線針をコ字状に折り曲げるフォーマ部材と、折り曲げられた針をシート束に圧入するドライバーが内蔵されている。このような構成で駆動モータM8でドライブカム26dを回転し、付勢スプリングに蓄勢する。そして、回転角度が所定角度に達するとヘッド部26bは勢いよくアンビル部材26c側に下降する。この動作でステープル針はコ字状に折り曲げられた後にドライバーでシート束に刺入する。そしてその先端はアンビル部材26cで折り曲げられステープル綴じされる。
また、針カートリッジ39とステープルヘッド26bとの間には針送り機構が内蔵されこの針送り部には針なしを検出するセンサ(エンプティセンサ)が配置されている。またはユニットフレーム26aには、針カートリッジ39が挿入されているか否かを検出するカートリッジセンサ(不図示)の配置されている。
図示の針カートリッジ39は、ボックス形状のカートリッジに帯状に連結したステープル針を積層状に積み重ねて収納する構造と、ロール状に収納する構造が採用されている。
また、ユニットフレーム26aには、上述の各センサを制御する回路と駆動モータM8を制御する回路基盤が設けられ、針カートリッジ39が収納されていないとき、ステープル針なしのときには、警告信号を発するようになっている。またこのステープル制御回路は、ステープル針信号でステープル動作を実行するように駆動モータを制御し、ステープルヘッドが待機位置からアンビル位置に移動して、再び待機位置に復帰したときに「動作終了信号」を発信するように構成されている。
[針無し綴じユニット]
図12(b)に従って針無し綴じユニット27の構成について説明する。針無し綴じ機構としては数枚のシートを綴じ部に切り欠き開口を形成してその一辺を折り合わせることによって結束する折曲げ結束機構(特開2011-256008号公報参照)と、互いに圧接離間自在の加圧面27b、27cに凹凸面を形成してシート束を圧着変形させて結束する針無し綴じ機構が知られている。
図12(b)には針無し綴じユニット27を示し、ベースフレーム部材27aに可動フレーム部材27dを揺動可能に軸支持し、支軸で両フレームは圧接離間可能に揺動する。可動フレーム部材27bにはフォロワーコロが配置され、このフォロアコロはベースフレーム27aに配置されているドライブカムが係合している。
上記ドライブカムにはベースフレーム部材27aに配置した駆動モータM9が減速機構を介して連結され、モータの回転でドライブカムが回転し、そのカム面(図示のものは偏心カム)で可動フレーム部材27dを揺動させるように構成されている。
そしてベースフレーム部材27aには下部加圧面27cが、可動フレーム部材27dには上部材加圧面27bがそれぞれ対向する位置に配置されている。このベースフレーム部材27aと可動フレーム部材27dの間には図示しないが付勢スプリングが配置され、両加圧面が離間する方向に付勢されている。
上記上部加圧面27bと下部加圧面27cは図12(b)に拡大図を示すように一方に突起条が、他方にはこれと適合する凹陥溝が形成されている。この突起条と凹陥溝は所定長さの畝(リブ)形状に形成されている。従って上部加圧面27bと下部加圧面27cで挟圧されたシート束は波板形状に変形して密着することとなる。上記ベースフレーム部材27a(ユニットフレーム)には図示しないポジションセンサが配置され、上下加圧面27b、27cが加圧位置か離間位置にあるか否かを検出するように構成されている。また、針無し綴じユニット27は装置フレームに固定する方法と移動可能に配置する方法の何れを選択してもよい。
[スタックトレイ]
図13に基づいて、スタックトレイ25の構成について説明する。スタックトレイ25は処理トレイ24の下流側に配置され、処理トレイ24に集積されたシート束を積載収納する。このスタックトレイ25の積載量に応じて順次繰り下がるようにトレイ昇降機構備えている。このトレイの積載面(最上シート高さ)は処理トレイ24の紙載面と略同一平面となる高さ位置に制御される。また積載されたシートは、その自重で排紙方向後端縁がトレイ整合面(立ち面)20fに突き当たった角度に傾斜している。
その具体的構成を移動すると、装置フレーム20aには積載方向上下に昇降レール54が固定され、昇降レールにトレイ基体25xが昇降可能にスライドコロ55などで摺動可能に嵌合されている。これと共にトレイ基体25xには昇降方向にラック25rが一体に形成してあり、このラックには装置フレームに軸支持した駆動ピニオン56が噛合してある。そして駆動ピニオン56にはウオームギア57とウオームホイール58を介して昇降モータM10が連結してある。
従って、昇降モータM10を正逆転すると、駆動ピニオン56に連結されたラック25rが装置フレームの上方と下方に上下動する。この構成でトレイ基体25xは片持状態で昇降動作することとなる。トレイ昇降機構としては、ラックピニオン機構、以外にプーリ懸架ベルト機構などが採用可能である。
トレイ基体25xにはスタックトレイ25が一体に取り付けられ、その積載面25a上にシートを積載収納するように構成されている。また装置フレームには、シートの積載方向上下にシートの後端縁を支持するトレイ整合面20fが形成され、図示のものは外装ケーシングでトレイ整合面を形成している。また、トレイ基体25xに一体に取り付けられているスタックトレイ25は図示角度方向に傾斜して形成され、シートの自重でその後端がトレイ整合面20fに突き当たるように角度設定(例えば20度~60度)されている。
[シート押え機構]
上記スタックトレイ25には、集積された最上シートを押圧する紙押え機構53が設けられている。図示の紙押え機構は、最上シートを押圧する弾性押圧部材53aと、この弾性押圧部材を装置フレーム20aに回動可能に軸支する軸支部材53bと、この軸支部材を所定角度方向に回転する駆動モータM2と、その伝動機構で構成されている。
図示の駆動モータM2は、シート束搬出機構の駆動モータを駆動源として駆動連結し、シート束をスタックトレイ25に搬入(搬出)する際には弾性押圧部材53aは、トレイ外方に退避し、シート束の後端がスタックトレイ25の最上シートの上に収納された後に、待機位置から図示反時計方向に回転して最上シートの上に係合してこれを押圧する。
また、上記弾性押圧部材53aは、処理トレイ24上のシート束をスタックトレイ25向けて搬出する駆動モータM2の初期回転動作で、スタックトレイ25上の最上シートの紙面から退避位置に退避する。
[レベルセンサ]
上記スタックトレイ25には最上シートの紙面高さを検出するレベルセンサが配置され、このレベルセンサの検知信号によって前述の巻き上げモータを回転させてトレイ紙載面25aを繰り上げ上昇させる。このレベルセンサ機構は種々のものが知られているが、図示のものは装置フレームのトレイ整合面20fからトレイ上方に検出光を照射し、その反射光を検出してその高さ位置にシートが存在するか否かを検出する検出方法を採用している。
[積載シート量センサ]
上記スタックトレイ25には、レベルセンサと同様にトレイ上からシートが取り外されたのを検出するセンサが配置されている。その構造は詳述しないが、例えば前述の紙押さえ弾性押圧部材53と一体的に回転するセンサレバーを設け、このセンサレバーをセンサ素子で提出することによって積載面上にシートが存在するか否かを検知することができる。
そして後述する制御手段75はシート束の搬出の前後でこのセンサレバーの高さ位置が異なった(変化した)ときには、例えば排紙動作を停止するかトレイを所定位置に上昇させる。なお、このような操作は異常操作であって、装置の稼働中に使用者が不用意にスタックトレイ25からシートを取り出したときなどに生ずる不具合である。また、スタックトレイ25にはトレイが、異常下降しないように下限位置が配定してあり、この下限位置にはトレイを検出するリミットセンサSe3が配置さている。
[画像形成システム]
画像形成ユニットAは、図1に示すように給紙部1と画像形成部2と排紙部3と信号処理部(不図示)で構成され装置ハウジング4に内蔵されている。給紙部1はシートを収納するカセット5で構成され図示のものは複数のカセット5a,5b,5cで構成され、異なるサイズのシートを収納可能に構成されている。各カセット5a~5cにはシートを繰出す給紙ローラ6と、シートを1枚ずつ分離する分離手段(分離爪、分離ローラなど;不図示)が内蔵されている。
また、給紙部1には給紙経路7が設けられ各カセット5からシートを画像形成部2に給送する。この給紙経路7の経路端にはレジストローラ対8が設けられ各カセット5から送られたシートを先端揃えすると共に画像形成部2の画像形成タイミングに応じて給紙するまで待機させる。
このように給紙部1は装置仕様に応じて複数のカセットで構成され制御部で選択されたサイズのシートを下流側の画像形成部2に給送するように構成されている。この各カセット5はシートを補給可能なように装置ハウジング4に着脱可能に装着されている。
画像形成部2はシート上に画像形成する種々の画像形成機構が採用可能である。図示のものは静電式画像形成機構を示している。図1に示すように装置ハウジング4に感光体(ホトコンダクタ)で構成されるドラム9a~9dが色成分に応じて複数配置されている。各ドラム9a,9b,9c,9dには発光器(レーザヘッドなど)10と現像器11が配置されている。そして各ドラム9a~9dに発光器10で潜画像(静電画像)を形成し、現像器11でトナーインクを付着する。この各ドラム上に付着されたたインク画像は、色成分毎に転写ベルト12に転写され画像合成される。
このベルト上に形成された転写画像は給紙部1から送られたシートにチャージャ13で画像転写され、定着器(加熱ローラ)14で定着された後に排紙部3に送られる。排紙部3は、装置ハウジング4に形成された排紙空間15にシートを搬出する排紙口16aと、この排紙口に画像形成部2からシートを案内する排紙経路17で構成されている。なお排紙部3には後述するデュープレックス経路18が連設され、表面に画像形成したシートを表裏反転して再び画像形成部2に給送するようになっている。
デュープレックス経路18は画像形成部2で表面側に画像形成したシートを表裏反転して画像形成部2に再送する。そして画像形成部2で裏面側に画像形成した後に排紙口16aから搬出する。このためデュープレックス経路18は画像形成部2から送られたシートを、搬送方向を反転して装置内に返送するスイッチバックパスと、装置内に返送されたシートを表裏反転するUターンパス18aで構成されている。図示の装置はこのスイッチバックパスを後述するシート束綴じ装置Bの第1排紙経路22に形成している。
[画像読取ユニット]
画像読取ユニットCはプラテン19aと、このプラテンに沿って往復動する読取キャリッジ19bで構成されている。プラテン19aは透明ガラスで形成され、静止画像を読取キャリッジ19bの移動で走査する静止画像読取面と、所定速度で走行する原稿画像を読み取る走行画像読取面で構成されている。
読取キャリッジ19bは光源ランプと、原稿からの反射光を変更する反射ミラーと、光電変換素子(不図示)で構成されている。光電変換素子はプラテン上の原稿幅方向(主走査方向)に配列されたラインセンサで構成され、これと直交する副走査方向に読取キャリッジ19bが往復移動することによって線順位で原稿画像を読取ようになっている。
また、プラテン19aの走行画像読取面の上方には原稿を所定速度で走行させる原稿自動給送ユニットDが搭載されている。この原稿自動給送ユニットDは給紙トレイ上にセットした原稿シートを1枚ずつプラテン19aに給送し、画像を読み取った後に排紙トレイに収納するフィーダ機構で構成されている。
[制御構成の説明]
上述した画像形成システムの制御構成を図14のブロック図に従って説明する。図14に示す画像形成システムは、画像形成ユニットAの制御部70(以下「本体制御部」という)とシート束綴じ装置Bの制御部75(以下「綴じ処理制御部」という)を備えている。本体制御部70は印字制御部71と給紙制御部72と入力部73(コントロールパネル)を備えている。
そして入力部73(コントロールパネル)から「画像形成モード」と「シート束綴じ処理モード」の設定を行う。画像形成モードはカラー・モノクロ印刷、両面・片面印刷などのモード設定と、シートサイズ、シート紙質、プリントアウト部数、拡大・縮小印刷、などの画像形成条件を設定する。また「シート束綴じ処理モード」は、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じ処理モード」「エコ綴じ処理モード」「ジョグ仕分けモード」などに設定する。なお図示の装置には「マニュアル綴じモード」が設けられ、このモードは画像形成ユニットAの本体制御部70とは別にオフラインでシート束の綴じ処理動作を実行する。
また、本体制御部70は綴じ処理制御部75にシート束綴じ処理モードとシート枚数、部数情報及び画像形成するシートの紙厚さ情報などをデータ転送する。これと同時に本体制御部70は画像形成を終了する都度、ジョブ終了信号を綴じ処理制御部75に転送する。
上述のシート束綴じ処理モードについて説明すると、上記「プリントアウトモード」は、排紙口23からのシートを、綴じ処理することなく処理トレイ24を介してスタックトレイ25に収容する。この場合にはシートを処理トレイ24に重ね合わせて集積し、本体制御部70からのジョグ終了信号で集積後のシート束をスタックトレイ25に搬出する。
上記「ステープル綴じ処理モード(第2排紙モード)」は、排紙口23からのシートを処理トレイ24上に集積して部揃えし、このシート束を綴じ処理した後にスタックトレイ25に収容する。この場合には画像形成されるシートは原則として同一紙厚さで同一サイズのシートにオペレータによって指定される。このステープル綴じ処理モードは、「マルチ綴じ」「右コーナ綴じ」「左コーナ綴じ」のいずれかが選択され指定される。各綴じ位置については前述した通りである。
上記「ジョグ仕分けモード」は、画像形成ユニットAで画像形成されたシートを処理トレイ24上にオフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けられ、スタックトレイ25には交互にオフセットされたシート束とオフセットされないシート束が積み上げられる。
特に図示の装置は、装置フロント側にオフセットエリア(図6参照)を設け、処理トレイ24上に排紙口23からセンター基準Sxで搬出されたシートをその姿勢で集積するグループと、同様にセンター基準Sxで搬出されたシートを装置フロント側FRに所定量オフセットさせて集積するグループに区分けている。
このように装置フロント側FRにオフセットエリアを配置したのは、装置フロント側でマニュアル綴じ処理、針カートリッジの交換処理などの作業エリアを確保する為である。またこのオフセットエリアは、シート束を区分けする寸法(数センチ程度)に設定されている。
[マニュアル綴じモード]
外装ケーシング20bには装置フロント側に、オペレータが綴じ処理するシート束をセットする手差しセット部29が設けられている。この手差しセット部29のセット面29aには、セットされたシート束を検出するセンサ(不図示)が配置され、このセンサからの信号で後述する綴じ処理制御部75は、ステープルユニット26をマニュアル綴じ位置に位置移動する。そしてオペレータが作動スイッチ30を押下すると、綴じ処理を実行するように構成されている。
従ってこのマニュアル綴じモードは綴じ処理制御部75と本体制御部70とはオフラインで制御される。ただし、マニュアル綴じモードとステープル綴じモードが同時に実行するときには、いずれか一方が優先するようにモード設定されている。
[綴じ処理制御部]
綴じ処理制御部75は、画像形成制御部70で設定されたシート束綴じ処理モードに応じてシート束綴じ装置Bを動作させる。図示の綴じ処理制御部75は制御CPUで構成されている。制御CPU75には、ROM76とRAM77が連結され、ROM76に記憶された制御プログラムとRAM77に記憶された制御データで後述する排紙動作を実行する。このため、制御CPU75には前述したすべての駆動モータの駆動回路に連結され、各モータを起動、停止および正逆転制御する。
次に印刷ジョブの途中でステープル針なしを認識した場合の動作について説明する。この動作も制御CPU75の制御により行われる。
制御CPU75は、針カートリッジ39に設けられる図示しない針センサからの検知信号から印刷ジョブの途中でステープルカートリッジ内のステープル針の残量が予め定められた量となりステープル針なし・ステープル針の不足状態が発生したと認識すると、警告信号を本体制御部70に通知すると共に、ステープルユニット26の針装填位置への移動が可能になったと認識したとき、針カートリッジ39にステープル針が装填可能な位置(針装填位置)への移動を開始する。ステープルユニット26は、針装填位置への移動中にセンサフラグSfにてホームポジションセンサHpSを検知することで移動動作を停止する。
よって、制御CPU75は、ステープル針残量認識手段がステープル針の残量が予め定められた量(ステープル針の不足状態)になったことを認識し、中断認識手段が上流装置からのシートの排出が中断されたことを認識したとき、ステープルユニット26をステープル針装填位置へ移動させるように制御する装填移動制御手段の各機能を含む。
また、制御CPU75は、中断認識手段が上流装置からのシートの排出が中断されてから中断が解除されるまでを認識する間に、ステープル針残量認識手段がステープル針の残量が予め定められた量(ステープル針の不足状態)になっていることを認識したとき、ステープルユニット26をステープル針装填位置へ移動させるように制御する装填移動制御手段の各機能を含むものであってもよい。
制御CPU75は、ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了すると、ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了したことを本体制御部70へ通知する。本体制御部70は、コントロールパネルにステープル針の装填を促すメッセージを表示し、ユーザーはこの時点でステープル針の装填作業を開始することが可能となる。
しかし、従来装置にあっては、印刷ジョブの途中でステープル針なしを認識したとき、有効シート束が処理トレイ24に残留している場合は、ステープルユニット26は有効シート束との干渉を避けるためステープルユニット26の針装填位置への移動を行わない。
この問題に対し、特許文献2の装置では、印刷ジョブの途中でステープル針なしを認識した場合は、有効シート束が処理トレイ24に残留しないように、ステープル束の区切り目まで印刷ジョブを継続することで問題解決している。その後、ステープル束の区切り目までの処理が完了すると、処理トレイ24に有効シート束が残留していない状態でステープル針装填のためにステープルユニット26を針装填位置へ移動させている。
しかし、印刷ジョブの途中でステープル針なしを認識してステープル束の区切り目まで印刷ジョブを継続している途中で、画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由により印刷ジョブが中断した際、有効シート束とステープルユニット26の干渉の有無に関わらずにステープルユニット26は針装填位置への移動を行わないため、この時点では、ユーザーはステープル針の装填を実施することが出来ないという新たな問題がある。
ここで、ステープルユニット26を針装填位置へ移動する際の有効シート束とステープルユニット26の干渉について説明する。
ステープルユニット26が針装填位置へ移動する際、処理トレイ24に有効シート束が残留している場合、有効シート束の情報(シート幅や処理トレイ24への積載位置など)や装置の構成によっては有効シート束とステープルユニット26の干渉が発生する。
図15は、ステープル針装填位置における有効シート束とステープルユニット26の干渉についての説明図である。点線で示すステープルユニット26の位置が右コーナ綴じ位置Cp1(例えば45度傾き)、実線で示すステープルユニット26の位置が針装填位置(例えば60度傾き)である。
右コーナ綴じ位置Cp1と針装填位置は、通常は装置の小型化のために近傍に設けられており、針装填位置では針カートリッジ39を装着する角度方向にステープルユニット26の姿勢を一致させるために、首振り動作を行うことで右コーナ綴じ位置Cp1に対して右傾き角度を異ならせている。なお、針装填位置でステープルユニット26を角度変更したのは、ユニットに針カートリッジ39を装着する角度方向にユニット姿勢を一致させるためであり、外装ケーシングに配置する開閉カバーとの関係で角度設定する。
図15の例では、処理トレイ24には有効シート束としてA4サイズが積載されているものとし、この状態でステープル針の装填のためにステープルユニット26を右コーナ綴じ位置Cp1(例えば45度傾き)から針装填位置(例えば60度傾き)へ移動させる場合に針装填位置にて有効シート束の端部とステープルユニット26の干渉が発生している状態を示している。
図16は、有効シート束とステープルユニット26の干渉有無の例の説明図である。この例では、有効シート束が処理トレイ24に残留している状態でステープルユニット26を針装填位置へ移動させる場合、A4サイズ、B5サイズでは有効シート束とステープルユニット26の干渉が発生するが、LTR-Rサイズ、A4Rサイズの場合は有効シート束とステープルユニット26の干渉が発生しないことになる。
有効シート束とステープルユニット26が干渉してしまうと、有効シート束へのダメージが発生したり、有効シート束の束厚が厚い場合はステープルユニット26自体が異常を検知してステープルユニット26の移動動作を緊急停止する場合もある。
このような状況を避けるために特許文献2の装置では、ステープル束の区切り目まで印刷ジョブを継続しているが、ステープル束の区切り目まで印刷ジョブを継続している途中で画像形成装置の給紙カセットのシート切れやシートジャム等の理由により印刷ジョブが中断した場合に処理トレイ24に有効シート束が残留していると、ステープルユニット26は針装填位置への移動を行わないため、この時点ではユーザーはステープル針の装填を実施することが出来ない。
しかし、実際には上述したように、有効シート束とステープルユニット26の干渉が発生しない場合もあるため、このようなケースであれば、本来は画像形成装置での問題の解決を待たずにステープルユニット26を針装填位置へ移動させることは可能である。
図17は、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生した後、ステープルユニット26を綴じ位置から針装填位置へ移動させ、ステープル針の装填作業が完了してからステープルユニット26を元の綴じ位置へ戻すまでの制御(以後、ステープル針装填制御という)の特許文献2の装置における動作のフローチャートについて示している。また、図18は、ステープル針装填制御の本発明における動作のフローチャートについて示している。
本発明と比較するために図17を参照しながら、特許文献2の装置におけるステープル針装填制御の詳細について、有効シート束とステープルユニット26の干渉が発生しない場合の説明を行う。ここでは便宜的に、特許文献2の発明を図14で説明した制御構成で実現したものとして説明する。
ステープル針装填制御が開始されると、制御CPU75は、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生したか否かを判定する(S001)。印刷ジョブ中にステープル針なしが発生したと判定した場合(S001:Y)、制御CPU75は、S002にて警告信号を本体制御部70に通知する。
S001にて、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生していないと判定した場合(S001:N)は、ステープル針装填制御を終了する。
S002にて、警告信号を本体制御部70に通知した後、制御CPU75は、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了するのを待つ(S003)。S003にて、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了したと判定した場合(S003:Y)、制御CPU75は、ステープル針の装填を行うために印刷ジョブの停止要求を本体制御部70に送信し、本体制御部70は印刷ジョブの停止要求を受信することで印刷ジョブの中断を行う(S006)。その後、S007にてステープル針の装填を行うためにステープルユニット26は針装填位置への移動を開始する。
また、S003にて、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了していないと判定した場合(S003:N)、画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由により印刷ジョブが中断したか否かを判定する(S004)。
S004にて、画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由による印刷ジョブの中断がされていないと判定した場合(S004:N)は、処理をS003に戻す。従って、S003にて、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了したと判定する(S003:Y)までにS004にて1回も印刷ジョブの中断がされていないと判定した場合(S004:N)は、S007にてステープルユニット26が針装填位置へ移動開始する前に印刷ジョブが中断される回数はS006の処理における1回のみとなる。
次に、S004にて画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由による印刷ジョブの中断がされと判定した場合(S004:Y)について説明する。この場合、制御CPU75は、画像形成装置のシート切れやシートジャム等の問題が解決されて印刷ジョブが再開されたか否かを判定する(S005)。
S005にて、画像形成装置のシート切れやシートジャム等の問題が解決されずに印刷ジョブが再開されていないと判定した場合(S005:N)は、S005にて画像形成装置の問題が解決して印刷ジョブが再開されたと判定する(S005:Y)まで処理を進めることは出来ないため、制御CPU75は、画像形成装置の問題が解決して印刷ジョブが再開するのを待ち続ける。
画像形成装置の問題が解消して印刷ジョブが再開されたと判定する(S005:Y)と、制御CPU75は、処理をS003に戻し、その後、S003にてステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了したと判定した場合(S003:Y)、S006にて、ステープル針の装填を行うために再度、印刷ジョブの中断が発生する。従って、この場合は、S007にてステープルユニット26が針装填位置へ移動開始する前に少なくとも2回以上の印刷ジョブが中断されることになる。
S007にて、ステープルユニット26の針装填位置への移動が開始されると、制御CPU75は、ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了したか否かを判定する(S008)。ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了していないと判定した場合(S008:N)は処理を再度S008に戻し、ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了したと判定した場合(S008:Y)は処理をS009へと進める。
ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了(S008:Y)すると、ユーザーはこの時点で針装填作業を開始することが可能となる。制御CPU75は、例えば針装填スイッチがオンしたかで、ステープル針の装填が完了したか否かを判定(S009)し、ステープル針の装填が完了していないと判定した場合(S009:N)は処理を再度009に戻し、ステープル針の装填が完了したと認識した場合(S009:Y)は処理をS010へと進める。
S009にて、ステープル針の装填が完了したと判定する(S009:Y)と、制御CPU75は、有効シート束へのステープル綴じ処理が可能なようにステープルユニット26を元の綴じ位置へ移動開始させる(S010)。
S010にて、ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が開始されると、制御CPU75は、ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が完了したか否かを判定する(S011)。ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が完了していないと判定した場合(S011:N)は処理を再度S011に戻し、ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が完了したと判定した場合(S011:Y)はステープル針装填制御を終了する。
次に、図18を参照しながら、本発明におけるステープル針装填制御の詳細について、有効シート束とステープルユニット26の干渉が発生しない場合の説明を行う。
ステープル針装填制御が開始されると、制御CPU75は、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生したか否かを判定する(S101)。印刷ジョブ中にステープル針なしが発生したと判定した場合(S101:Y)、制御CPU75は、S102にて警告信号を本体制御部70に通知する。
S101にて、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生していないと判定した場合(S101:N)は、ステープル針装填制御を終了する。
S102にて、警告信号を本体制御部70に通知した後、制御CPU75は、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了するのを待つ(S103)。S103にて、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了したと判定した場合(S103:Y)、制御CPU75は、ステープル針の装填を行うために印刷ジョブの停止要求を本体制御部70に送信し、本体制御部70は印刷ジョブの停止要求を受信することで印刷ジョブの中断を行う(S109)。その後、S110にてステープル針の装填を行うためにステープルユニット26は針装填位置への移動を開始する。
また、S103にて、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了していないと判定した場合(S103:N)、画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由により印刷ジョブが中断したか否かを判定する(S104)。
S104にて、画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由による印刷ジョブの中断がされていないと判定した場合(S104:N)は、処理をS103に戻す。従って、S103にて、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了したと判定する(S103:Y)までにS104にて1回も印刷ジョブの中断がされていないと判定した場合(S104:N)は、S110にてステープルユニット26が針装填位置へ移動開始する前に印刷ジョブが中断される回数はS109の処理における1回のみとなる。
次に、S104にて画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由による印刷ジョブが中断されたと判定した場合(S104:Y)について説明する。この場合、制御CPU75は、処理トレイ24に有効シート束が残留しているか否かを判定する(S105)。
S105にて、処理トレイ24に有効シート束が残留していないと判定した場合(S105:N)、制御CPU75は、ステープル針の装填を行うためにステープルユニット26を針装填位置へ移動開始させる(S110)。
また、S105にて、処理トレイ24に有効シート束が残留していると判定した場合(S105:Y)、制御CPU75は、有効シート束とステープルユニット26の干渉が発生するか否かの判定を行う(S106)。よって、制御CPU75は、シート束と移動手段によって移動するステープルユニット26が干渉するか否かを認識する干渉認識手段の機能を含む。有効シート束とステープルユニット26の干渉なしと判定した場合(S106:Y)、制御CPU75は、ステープル針の装填を行うためにステープルユニット26を針装填位置へ移動開始させる(S110)。
なお、S106にて、有効シート束とステープルユニット26の干渉ありと判定した場合(S106:N)については後述する。
S110にて、ステープルユニット26の針装填位置への移動が開始されると、制御CPU75は、ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了したか否かを判定する(S111)。ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了していないと判定した場合(S111:N)は処理を再度S111に戻し、ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了したと判定した場合(S111:Y)は処理をS112へと進める。
ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了(S111:Y)すると、ユーザーはこの時点で針装填作業を開始することが可能となる。従って、本発明によれば、S104にて画像形成装置のシート切れやシートジャム等の理由による印刷ジョブの中断がされたと判定した場合(S104:Y)であっても画像形成装置の問題の解決を待つ必要はないため、S110にてステープルユニット26が針装填位置へ移動開始する前に印刷ジョブが中断される回数は、必ずS104、もしくはS109の処理における1回のみとなる。
S112では、ステープル針の装填が完了したか否かの判定が行われ、ステープル針の装填が完了していないと判定した場合(S112:N)は処理を再度112に戻し、ステープル針の装填が完了したと判定した場合(S112:Y)は処理をS113へと進める。
S112にて、ステープル針の装填が完了したと判定する(S112:Y)と、制御CPU75は、有効シート束へのステープル綴じ処理が可能なようにステープルユニット26を元の綴じ位置へ移動開始させる(S113)。
S113にて、ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が開始されると、制御CPU75は、ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が完了したか否かを判定する(S114)。ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が完了していないと判定した場合(S114:N)は処理を再度S114に戻し、ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が完了したと判定した場合(S114:Y)は処理をS115へと進める。なお、S115以降の処理については、後述する。
次に、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生してから予め設定されている全ての印刷ジョブが終了するまでのステープル針装填制御について図19を参照しながら説明する。図19の(a)は、特許文献2の装置におけるステープル針装填制御の説明図であり、図19の(b)は、本発明の実施例におけるステープル針装填制御についての説明図である。印刷ジョブ内容は図16におけるA4Rサイズの右コーナ綴じであるとし、有効シート束とステープルユニット26の干渉は発生しないものとする。
また、図19の例では、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生してからステープル束の区切り目まで印刷ジョブを継続している途中で、画像形成装置の給紙カセットでシート切れが発生したケースを想定している。なお、説明図内のイベントごとに所要時間を記載しているが、これは本発明の効果を分かり易くするために記載したものであり、これに限定されるものではない。
以下に、特許文献2の発明装置におけるステープル針装填制御について図19の(a)を参照して説明する。印刷ジョブ中にステープル針なしが発生すると、シート綴じ装置(制御CPU75)はステープル針なしの警告信号を画像形成装置(本体制御部70)に通知する(より詳細にはステープル針の装填を行うための印刷ジョブの停止要求も同時に通知する)。なお、時間tは、この時点を基準(t=0)とし、予め設定されている全ての印刷ジョブが終了するまでの経過時間を示すものとする。
画像形成装置は、ステープル針なしの警告信号を受信するとステープル束の区切り目までの印刷ジョブを継続するが、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブの実行が完了する前に画像形成装置の給紙カセットにてシート切れが発生すると、画像形成装置は、給紙カセットへのシートの補給を行うため印刷ジョブを中断する(t=120)。
この際、処理トレイ24には有効シート束が残留しているため、ステープルユニット26を針装填位置へ移動させず、画像形成装置の給紙カセットのシート補給作業の完了を待機することになる。
画像形成装置の給紙カセットにてシートが補給されて、このときシートの補給作業時間が180秒としたとき、画像形成装置は印刷ジョブを再開させる(t=300)。また、シート綴じ装置は、印刷ジョブが再開されたことにより初期化動作を実行する。初期化動作時間は20秒とする。
その後、ステープル束の区切り目までの印刷ジョブが終了する(再開後のステープル束の区切り目までの印刷ジョブの実行時間は120秒とする)と、画像形成装置は、シート束装置にステープルユニット26の針装填位置への移動を開始させるために2回目の印刷ジョブの中断を行う(t=440)。
2回目の印刷ジョブが中断されると、シート束装置はステープルユニット26の針装填位置への移動を開始する。ステープルユニット26の針装填位置への移動時間は30秒とする。ステープルユニット26の針装填位置への移動が完了すると、ユーザーはこの時点で初めてステープルユニット26へ針装填作業を行うことが可能となる。
ユーザーによるステープル針の装填作業が完了し、このときステープル針の装填作業時間は60秒とすると、シート束装置は画像形成装置に対してステープル針の装填作業が完了したことを通知し、予め設定されている印刷ジョブに対する残りの印刷ジョブが再開される(t=530)。
印刷ジョブが再開されると、シート綴じ装置にて初期化動作が行われた後、残りの印刷ジョブを実施することで予め設定されている全ての印刷ジョブが終了する(t=730)。
従って、特許文献2の装置におけるステープル針装填制御の実施例(a)では、印刷ジョブの中断が2回、シート綴じ装置の初期化動作が2回、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生してから予め設定されている全ての印刷ジョブが終了するまでの総経過時間は730秒となる。
次に、本発明におけるステープル針装填制御について図19の(b)を参照して説明する。なお、給紙カセットのシート切れが発生するタイミングやシート補給作業時間等の各条件については、上述した特許文献2におけるステープル針装填制御の実施例と同じであるものとし、説明が重複する部分については省略する。
印刷ジョブ中にステープル針なしが発生してからステープル束の区切り目までの印刷ジョブを継続している途中で画像形成装置の給紙カセットにてシート切れが発生すると、画像形成装置は、給紙カセットへのシートの補給を行うため印刷ジョブを中断する(t=120)。
この際、本発明においては、処理トレイ24に有効シート束が残留していてもステープルユニット26を針装填位置へ移動させることが可能であり、画像形成装置の給紙カセットへのシート補給作業の完了を待つ必要がない。そのため、ステープルユニット26はこの時点で針装填位置への移動を開始する。
実施例では、ステープルユニット26の針装填位置への移動と並列して画像形成装置の給紙カセットへのシート補給作業を開始しており、ユーザーによって画像形成装置の給紙カセットへのシート補給作業が完了したタイミング(t=300)では、ステープルユニット26の針装填位置への移動は完了している。
なお、本発明においては、画像形成装置の給紙カセットへシートが補給されても印刷ジョブは再開されず、ユーザーはそのままステープルユニット26への針装填作業が可能となる(実施例においては、画像形成装置の給紙カセットへのシート補給完了までの作業を優先させているが、実際には、ステープルユニット26が針装填位置へ移動完了した後は、ユーザーはいつでもステープルユニット26への針装填作業が可能である)
ユーザーによるステープル針の装填作業が完了すると、シート束装置は画像形成装置に対してステープル針の装填作業が完了したことを通知し、予め設定されている印刷ジョブに対する残りの印刷ジョブが再開される(t=360)。
印刷ジョブが再開されると、シート綴じ装置にて初期化動作が行われた後、残りの印刷ジョブを実施することで予め設定されている全ての印刷ジョブが終了する(t=680)。
従って、本発明におけるステープル針装填制御の実施例(b)では、印刷ジョブの中断が1回、シート綴じ装置の初期化動作が1回、印刷ジョブ中にステープル針なしが発生してから予め設定されている全ての印刷ジョブが終了するまでの総経過時間が680秒となり、本発明におけるステープル針装填制御では、特許文献2におけるステープル針装填制御に比べて、印刷ジョブの中断回数、初期化回数、印刷ジョブの総経過時間を減らすことが可能である。
以上、本発明におけるステープル針装填制御について、有効シート束とステープルユニット26が干渉しない場合について説明したが、以下に有効シート束とステープルユニット26が干渉する場合について、図18に示した本発明におけるステープル針装填制御のフローチャートにて説明する。
有効シート束とステープルユニット26が干渉しない場合のみステープルユニット26の針装填位置への移動を行い、有効シート束とステープルユニット26が干渉する場合はステープルユニット26の針装填位置への移動を行わないことも可能であるが、図18に示した本発明におけるステープル針装填制御のフローチャートに従って制御することで、有効シート束とステープルユニット26の干渉を発生させることなく、ステープルユニット26を確実に針装填位置へ移動させることが出来る。
有効シート束とステープルユニット26が干渉すると判定した場合(S106:N)、制御CPU75は、S107にて有効シート束を元の積載位置から有効シート束とステープルユニット26が干渉しない位置(以後、非干渉位置という)へ移動開始させる。
非干渉位置は、有効シート束の情報(シート幅や処理トレイ24への積載位置など)や装置の構成(処理トレイ24内での移動可能方向、移動可能距離など)から総合的に決定されるが、有効シート束とステープルユニット26が干渉しない最小の移動量とするのが好ましい。よって、制御CPU75は、シート束の搬送方向の非干渉位置までの移動距離と幅方向の非干渉位置までの移動距離とを認識するシート束移動距離認識手段の機能を備える。
S107にて、有効シート束の非干渉位置への移動が開始されると、制御CPU75は、有効シート束の非干渉位置への移動が完了したか否かを判定する(S108)。有効シート束の非干渉位置への移動が完了していないと判定した場合(S108:N)は処理を再度S108に戻し、有効シート束の非干渉位置への移動が完了したと判定した場合(S108:Y)は処理をS110へと進める。
また、有効シート束を非干渉位置へ移動させている場合、ステープル綴じ処理を施すために有効シート束を再度、元の積載位置へ戻す必要がある。S114にて、ステープルユニット26の元の綴じ位置への移動が完了したと判定した場合(S114:Y)、制御CPU75は、有効シート束が非干渉位置へ移動したか否かの判定を行う(S115)。
S115にて、有効シート束の非干渉位置への移動は行われていないと判定した場合(S115:N)は、ステープル針装填制御を終了する。逆に、有効シート束の非干渉位置への移動は行われたと判定した場合(S115:Y)は、制御CPU75は、S116にて有効シート束を元の積載位置へ移動開始させる。
S116にて、有効シート束の元の積載位置への移動が開始されると、制御CPU75は、有効シート束の元の積載位置への移動が完了したか否かを判定する(S117)。有効シート束の元の積載位置への移動が完了していないと判定した場合(S117:N)は処理を再度S117に戻し、有効シート束の元の積載位置への移動が完了したと判定した場合(S117:Y)は処理をS118へと進める。
また、有効シート束を移動させることで有効シート束のズレが発生する可能性があるが、必要に応じて(整合手段45やパドル回転体36などにより)搬送方向と直交する方向、若しくは搬送方向の逆転方向の少なくとも一方の方向に再整合することで有効シート束のズレを抑制することが可能である。ただし、図18の本発明におけるステープル針装填制御のフローチャートでは、S118にて無条件で有効シート束の再整合を実施している。
次に、有効シート束の非干渉位置へのシート束移動手段の具体例について、図20A及び図20Bを参照しながら説明する。この例では、有効シート束の非干渉位置への移動手段として整合手段45を用いるが、装置の構成上、搬送方向と直交する方向へ移動できない場合もあり、その場合はシート束搬出手段60などを用いて搬送方向へ移動させることも可能であり、有効シート束の移動方法、移動方向についてはこれらに限定されるものではない。
図20A(a)は、処理トレイ24に有効シート束としてA4サイズが積載されており、ステープルユニット26は右コーナ綴じ位置Cp1(例えば45度傾き)で待機している状態を示している。また、図20A(b)は、整合手段45を用いて有効シート束を非干渉位置へ移動させている状態を示している。
図20A(c)は、整合手段45による有効シート束の非干渉位置への移動が完了した後、ステープルユニット26を右コーナ綴じ位置Cp1(例えば45度傾き)から針装填位置(例えば60度傾き)へ移動させている状態を示している。この時、有効シート束は整合手段45によって非干渉位置へ退避しているため、有効シート束とステープルユニット26の干渉は発生しない。
図20B(d)は、ユーザーによるステープル針の装填作業が完了した後、ステープルユニット26を針装填位置(例えば60度傾き)から右コーナ綴じ位置Cp1(例えば45度傾き)へ移動させている状態を示している。この場合も、有効シート束は整合手段45によって非干渉位置へ退避しているため、有効シート束とステープルユニット26の干渉は発生しない。
図20B(e)は、ステープルユニット26の右コーナ綴じ位置Cp1(例えば45度傾き)への移動が完了した後、ステープル綴じ処理を施すために有効シート束を再度、元の積載位置へ移動させている状態を示している。
従って、図18の本発明におけるステープル針装填制御のフローチャートのS106の処理にて、有効シート束とステープルユニット26が干渉すると判定した場合(S106:N)であっても、図20A及び図20Bの各(a)乃至(e)に示すように有効シート束を非干渉位置へ退避させることによって、有効シート束とステープルユニット26を干渉させることなく、確実にステープルユニット26を針装填位置へ移動させることが可能となる。
以上、本発明におけるステープル針装填制御について、有効シート束とステープルユニット26が干渉する場合の動作例について説明したが、図18の本発明におけるステープル針装填制御のフローチャート、及び、図20A及び図20Bの有効シート束の非干渉位置への移動例では、確実に有効シート束とステープルユニット26の干渉を避けるため有効シート束の移動手段とステープルユニット26の移動手段のいずれか一方の動作が完了した後に他方の動作を開始している。
しかし、本来は、ステープルユニット26がより短時間で針装填位置へ到達するように動作させることが好ましい。例えば、有効シート束の移動手段とステープルユニット26を同時に起動する方法があるが、ステープルユニット26の移動開始位置によっては、有効シート束の非干渉位置への移動完了よりも、ステープルユニット26が有効シート束と干渉する位置(以後、干渉位置という)へ到達する方が早くなって干渉する可能性がある。
そこで、制御CPU75は、シート束の非干渉位置への移動が完了するのに要する時間を認識する非干渉時間認識手段と、ステープルユニット26がシート束と干渉までに要する時間を認識する干渉時間認識手段との機能を有している。そして、有効シート束の非干渉位置移動完了までの時間と、ステープルユニット26の有効シート束との干渉位置到達までの時間とから、干渉タイミングを予測した上でステープルユニット26移動手段の動作開始タイミングを制御(以後、干渉タイミング予測処理という)することで、干渉を発生させることなく、ステープルユニット26をより短時間でステープル針装填位置へ到達することが可能となる。ただし、干渉を防止する方法としては、有効シート束の移動速度を上げるなどの方法もあり、以下に説明する干渉タイミング予測処理だけに限定させるものではない。
図21は、干渉予測処理を備えた本発明におけるステープル針装填制御のフローチャートについて示している。図21を参照しながら、干渉予測処理の詳細について説明する。
S107にて、有効シート束を非干渉位置へ移動開始した後、制御CPU75は、有効シート束の非干渉位置移動完了までの時間の取得(S201)、ステープルユニット26の有効シート束との干渉位置到達までの時間の取得(S202)を行う。
制御CPU75は、S203にて、S201で取得した有効シート束の非干渉位置移動完了までの時間とS202で取得したステープルユニット26の有効シート束との干渉位置到達までの時間の比較を行う。
有効シート束の非干渉位置移動完了までの時間が、ステープルユニット26の有効シート束との干渉位置到達までの時間以上に必要である(同時に動作を開始した場合に干渉が発生する)と認識した場合(S203:Y)は、処理をS204に進める。また、同時に動作しても干渉が発生しないと認識した場合(S203:N)はそのまま処理をS110へ進め、ステープルユニット26を待ち時間なく針装填位置へ移動開始させる。
制御CPU75は、S203にて、同時に動作を開始した場合に干渉が発生すると認識した場合(S203:Y)は、S204にて、(有効シート束の非干渉位置移動完了時間 - ステープルユニット26の有効シート束との干渉位置到達時間)以上の時間が経過したか否かを判定する。
(有効シート束の非干渉位置移動完了時間 - ステープルユニット26の有効シート束との干渉位置到達時間)以上の時間が経過していないと判定した場合(S204:N)は処理を再度S204に戻し、(有効シート束の非干渉位置移動完了時間 - ステープルユニット26の有効シート束との干渉位置到達時間)以上の時間が経過したと判定した場合(S204:Y)は処理をS110へと進め、ステープルユニット26を針装填位置へ移動開始させる。
従って、上述した干渉タイミング予測処理を用いることで、有効シート束とステープルユニット26の干渉を発生させることなく、ステープルユニット26をより短時間でステープル針装填位置へ到達することを可能としている。
この場合、有効シート束とステープルユニット26を(同時に起動を開始する方法を含め)最適なタイミングで移動開始させるため、制御CPU75は、S301にて、ステープルユニット26と有効シート束の両方の移動が完了したか否かを判定する。両方の移動が完了していないと判定した場合(S301:N)は処理を再度S301に戻し、両方の移動が完了したと判定した場合(S301:Y)は処理をS112へと進める。
また、干渉タイミング予測処理は有効シート束を非干渉位置から元の積載位置へ移動させる場合も適用可能である。S115にて、有効シート束の非干渉位置への移動は行われたと判定した場合(S115:Y)、制御CPU75は、有効シート束の元の積載位置移動完了までの時間の取得(S401)、ステープルユニット26の針装填位置からの有効シート束との干渉位置到達までの時間の取得(S402)を行う。
制御CPU75は、S403にて、S401で取得した有効シート束の元の積載位置移動完了までの時間とS402で取得したステープルユニット26の針装填位置からの有効シート束との干渉位置到達までの時間の比較を行う。
有効シート束の元の積載位置移動完了までの時間がステープルユニット26の針装填位置からの有効シート束との干渉位置到達までの時間以上に必要である(同時に動作を開始した場合に干渉が発生する)と認識した場合(S403:Y)は、処理をS404に進める。また、同時に動作しても干渉が発生しないと認識した場合(S403:N)はそのまま処理をS116へ進め、有効シート束を待ち時間なく元の積載位置へ移動開始させる。
制御CPU75は、S403にて、同時に動作を開始した場合に干渉が発生すると認識した場合(S403:Y)は、S404にて、(有効シート束の元の積載位置移動完了時間 - ステープルユニット26の針装填位置からの有効シート束との干渉位置到達時間)以上の時間が経過したか否かを判定する。
(有効シート束の元の積載位置移動完了時間 - ステープルユニット26の針装填位置からの有効シート束との干渉位置到達時間)以上の時間が経過していないと判定した場合(S404:N)は処理を再度S404に戻し、(有効シート束の元の積載位置移動完了時間 - ステープルユニット26の針装填位置からの有効シート束との干渉位置到達時間)以上の時間が経過したと判定した場合(S404:Y)は処理をS116へと進め、有効シート束を元の積載位置へ移動開始させる。
従って、上述した干渉タイミング予測処理を用いることで、有効シート束とステープルユニット26の干渉を発生させることなく、有効シート束をより短時間で元の積載位置へ移動させることを可能としている。この場合、有効シート束とステープルユニット26を(同時に起動を開始する方法を含め)最適なタイミングで移動開始させるため、制御CPU75は、S501にて、ステープルユニット26と有効シート束の両方の移動が完了したか否かを判定する。両方の移動が完了していないと判定した場合(S501:N)は処理を再度S501に戻し、両方の移動が完了したと判定した場合(S501:Y)は処理をS118へと進める。
以上より、本発明によれば、シート切れやシートジャム等の理由により画像形成装置からのシート排出が中断されたと認識した際にステープル針なし状態を認識した場合は、処理トレイ24に有効シート束が残留している場合であってもステープルユニット26を確実、かつ最適なタイミングで針装填位置へ移動させることから、印刷ジョブの中断回数を減らすことが可能となり、印刷ジョブ全体としての処理効率の低下を十分に抑えることができる。