JP5497388B2 - エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

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本発明はエポキシ化合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、C=C二重結合を分子内に有する有機化合物を酸化し、高収率でエポキシ化する方法に関する。
C=C二重結合を分子内に1個以上有する有機化合物をタングステン化合物と過酸化水素とを用いてエポキシ化する反応は、従来より種々知られている。例えば、α−アミノメチルホスホン酸及び相間移動触媒を用いてエポキシ化する方法(非特許文献1)が知られている。
また、別の手法として、タングステン化合物、85%リン酸水溶液および過酸化水素水を含む水相をC=C二重結合を分子内に有する有機化合物および第4級アンモニウム塩を含む有機相に1時間以上かけて滴下しこの有機化合物をエポキシ化する方法(特許文献1)が知られている。
しかしながら、前者の方法において、活性は高いものの必須成分のα−アミノメチルホスホン酸が高価であるとの理由から、安価で汎用性が高く、且つ触媒活性の高い、新たな酸化触媒の出現が望まれていた。
また、後者の方法では、リン酸水溶液をpH調整剤として使用しているため、エポキシ化に対して活性を有するタングステン触媒が系中で安定に存在していないと考えられる。
上記のタングステン触媒はpHに対する依存性が強く、ある特定のpH領域でしか存在できない。リン酸水溶液を用いると、系中のpHが時間の経過とともに上昇していくため、エポキシ化に関する活性種は時間の経過とともに少なくなり、エポキシ化の反応速度は時間の経過とともに遅くなってくると考えられる。このことから、後者の方法では反応中にpHが上昇し、エポキシ化が十分進む前にエポキシ化反応が極端に遅くなり、エポキシ化合物収率が不十分であった。
Bull.Chem.Soc.Jpn.,70,905(1997).
特開2003−192679号公報
本発明は、タングステン化合物のうちエポキシ化に関する触媒の活性種を系中で維持することにより、エポキシ化合物収率が優れるエポキシ化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるC=C二重結合を分子内に1個以上有する有機化合物(B)の二重結合部位を酸化して下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物(A)の製造法において、タングステン化合物(C)、りん酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中に対して、該有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、反応させることを特徴とするエポキシ化合物(A)の製造方法である。
[式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。R4は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、C=C二重結合を1個以上有する置換されていてもよいアルケニル基(但し、基中の複数個のC=C二重結合は互いに非共役関係にあり、かつ該C=C二重結合は式中のC=C二重結合と非共役関係にある。)を表し、それらの一部がエーテル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。R5は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、R4のC=C二重結合が反応してエポキシ基に置換された有機基を表し、それらの一部がエーテル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。また、R1とR3、R2とR4、R2とR5が結合して環を形成していてもよい。]
本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、タングステン化合物、りん酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中に対して、C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、反応させるものである。この製造方法を用いることで、エポキシ化反応を安定的に高収率で行うことが可能である。
本発明は、C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)の二重結合部位を酸化してエポキシ化合物(A)の製造する際に、
(i)タングステン化合物(C)、りん酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中に対して、
(ii)C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、反応させることを特徴とするエポキシ化合物(A)の製造方法である。
本発明のエポキシ化合物の製造方法において用いられるC=C二重結合を分子内に1個または2個以上有する有機化合物(B)は、下記一般式(1)で示される有機化合物(B)である。
[式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
R4は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、C=C二重結合を1個以上有する置換されていてもよいアルケニル基(但し、基中の複数個のC=C二重結合は互いに非共役関係にあり、かつ該C=C二重結合は式中のC=C二重結合と非共役関係にある。)を表し、それらの一部がエーテル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
また、R1とR3、R2とR4が結合して環を形成していてもよい。]
R1、R2およびR3としては、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素、炭素数4〜20の芳香族炭化水素を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基、またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されているものを表す。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を表す。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基、2-エチルヘキシロキシ基、ノニロキシ基、デシロキシ基、ウンデシロキシ基、ドデシロキシ基、トリデシロキシ基、テトラデシロキシ基、ペンタデシロキシ基、ヘキサデシロキシ基、ヘプタデシロキシ基、オクタデシロキシ基、ノナデシロキシ基、エイコシロキシ基等を表す。
炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基、ノルボルニル基等を表す。
炭素数4〜20の芳香族炭化水素としては、チエニル基、ピリジル基、フェニル基、ビチエニル基、ビピリジル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ナフチル基、アントラニル基等を表す。
R1、R2およびR3は、以上の1価の炭化水素基そのものだけでなく、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
一部がカルボニル基で置換されているものとしては例えば、アセチル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
エステル基で置換されているものとしては例えば、メチルエステル基、シクロヘキシルエステル基、安息香酸エステル基等が挙げられる。
カルボキシル基で置換されているものとしては例えば、メチルカルボキシレート、シクロヘキサン酸、安息香酸の残基等が挙げられる。
また、その塩基で置換されているものとしては、置換メチルカルボキシレートのナトリウム塩、シクロヘキサン酸のナトリウム塩、安息香酸のナトリウム塩等が挙げられる。
これらのうち、好ましい例としては、水素原子、ノルボルニル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、シクロオクチル基が挙げられる。
R4は、R1、R2およびR3の説明で例示した炭化水素基などの置換基に加えて、C=C二重結合を1個以上有する置換されていてもよいアルケニル基を表し、その一部がエーテル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基、もしくはその塩基で置換されているものを表す。すなわち、R4がC=C二重結合を1個以上有する置換されていてもよいアルケニル基の場合は、全体として有機化合物(B)はC=C二重結合を2個以上有する。
但し、このアルケニル基中に存在するC=C二重結合同士は共役していないものであり、上記一般式(1)中のC=C二重結合とアルケニル基に存在するC=C二重結合とも共役していないものを表す。
このようなアルケニル基としては、アリル基、メタリル基、プレニル基、7−オクテニル基、ネリル基、ゲラニル基等が挙げられ、他にも下記一般式(3)や一般式(4)のような有機基が挙げられる。
[式(3)、(4)中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の2価のアルキレン基、炭素数1〜20の2価のオキシアルキレン基、炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基、またはカルボニル基を表す。
OAは、鎖中に−(O−R−、−[O−R−O−C(=O)]−、または−[O−C(=O)−R−を含む2価の官能基であり、1種以上の組み合わせであってもよい。Rは、炭素数2〜20の2価のアルキレン基、炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基、または炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基を表す。
nは0〜100の整数を表す。また、X1とX3、Y2の一部とX2、Yの一部とX2が結合して環を形成していてもよい。]
X1、X2およびX3は、C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)の一般式(1)中のR1、R2およびR3の説明で例示した置換基である。
Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の2価のアルキレン基、炭素数1〜20の2価のオキシアルキレン基、炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基、または結合基としてのカルボニル基を表す。
炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2-エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、エイコシレン基等が挙げられる。
炭素数1〜20の2価のオキシアルキレン基としては、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシイソプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシヘプチレン基、オキシオクチレン基、オキシ−2-エチルヘキシレン基、オキシノニレン基、オキシデシレン基、オキシウンデシレン基、オキシドデシレン基、オキシトリデシレン基、オキシテトラデシレン基、オキシペンタデシレン基、オキシヘキサデシレン基、オキシヘプタデシレン基、オキシオクタデシレン基、オキシノナデシレン基、オキシエイコシレン基等が挙げられる。
炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素としては、チエニル基、ピリジル基、フェニル基、ビチエニル基、ビピリジル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。
Y1、Y2およびYの好ましい例としては、メチレン基、エチレン基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、フェニル基が挙げられる。特に好ましくはメチレン基である。
なお、X1とX3、式(3)中のY2の一部とX2、または式(4)中のY3の一部とX2が結合して環を形成してもよい。
このような有機基としては、例えば、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロドデセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、2−メチルシクロヘキセニル基、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキセニル基等のシクロオレフィン環を形成しているもの;2−メトキシ−4−シクロヘキセニル基等のアルコキシシクロオレフィン環を形成しているもの;2−アセトキシ−3−シクロヘキセニル基等のエステル型シクロオレフィン環を形成しているもの;2−アセチル−3−シクロヘキセニル基等のケトン型シクロオレフィン環を形成しているもの等が挙げられる。
OAは、鎖中に−(O−R−、−[O−R−O−C(=O)]−、または−[O−C(=O)−R−を含む2価の官能基であり、1種以上の組み合わせであってもよい。Rは、炭素数2〜20の2価のアルキレン基、炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基、または炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基を表す。
−(O−R−としては、Rが炭素数2〜20の2価のアルキレン基、炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基の−(O−R−が挙げられる。
nは1〜100の整数を表す。
が炭素数2〜20の2価のアルキレン基であり、nが1の場合の−(O−R−としては、例えば、オキシエチレン基、1−オキシプロピレン基、2−オキシプロピレン基、1−オキシブチレン基、1−オキシデシレン基、3−オキシデシレン基、1−オキシエイコシル等のオキシアルキレンが挙げられる。
が炭素数2〜20の2価のアルキレン基であり、nが2〜100の場合の−(O−R−としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの重合物、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物や、nが1の場合に例示したオキシアルキレン単位の繰り返しより得られる重合物等より得られるポリオキシアルキレン等が挙げられる。
が炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基であり、nが1の場合の−(O−R−としては、例えば、オキシシクロペンチレン基、オキシシクロヘキシレン基、オキシシクロヘプチレン基、オキシシクロオクチレン基、オキシシクロノニレン基、オキシシクロデシレン基、オキシシクロウンデシレン基、オキシシクロドデシレン基、オキシシクロトリデシレン基、オキシシクロテトラデデシレン基、オキシシクロペンタデシレン基、2−エチル−1オキシシクロヘキシレン基、オキシシクロエイコシレン基、2,4−ブチル−1−オキシシクロヘキシレン基等のオキシシクロアルキレン基が挙げられる。
が炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基であり、nが2〜100の場合の−(O−R−としては、例えば、前記オキシシクロアルキレンの繰り返し重合物;シクロヘキサンジオールへのエチレンオキサイド付加重合物、スチレンオキサイド重合物の水添物などの重合物;および下記一般式(5)で表されるオキシシクロアルキレン構造を表す
[式中、Xは、2価のメチレン基、1−メチルエタン−1,1−ジイル基[―C(CH―]、プロピレン基、スルホン基を表す。]
が炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基でありnが1である−(O−R−としては、例えば、Rがチエニレン基、ピリジレン基、フェニレン基、ビチエニレン基、ビピリジレン基、ビフェニレン基、フェナントリレン基、ナフチレン基、アントラニレン基由来の2価の芳香族炭化水素であるオキシアリーレン基が挙げられる。
が炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基であり、nが2〜100の場合の−(O−R−としては前記オキシアリーレン基の繰り返し重合物、スチレンオキサイドの重合物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加重合物等の重合物;および下記一般式(6)で表される−(O−R−を表す。
[式中、Xは、2価のメチレン基、1−メチルエタン−1,1−ジイル基、プロピレン基、スルホン基を表す。]
−(O−R−の好ましい例としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、上記一般式(5)または(6)のXが1−メチルエタン−1,1−ジイル基であるものが挙げられる。
−[O−R−O−C(=O)]−で表される2価の官能基としては、下記一般式(7)で表される化学構造を有する(ポリ)カーボネートジオール残基が挙げられる。
式中、ZおよびZはそれぞれ独立して、2価の炭化水素基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2-エチルヘキシレン基等のアルキル基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基、チエニレン基、ピリジレン基、フェニレン基、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェニレン基等の芳香族炭化水素基等を表す。
−[O−C(=O)−R−で表される2価の官能基としては、下記一般式(8)で表される化学構造を有する(ポリ)エステルジオール残基が挙げられる。
式中、Z1およびZ2はそれぞれ独立して、2価の炭化水素基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2-エチルヘキシレン基等のアルキレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基、チエニレン基、ピリジレン基、フェニレン基、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェニレン基等の芳香族基を表す。
OAの好ましい例としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、1,4−オキシブチレン基、前述の一般式(5)のXが1−メチルエタン−1,1−ジイル基またはプロピレン基、前述の一般式(6)のXが1−メチルエタン−1,1−ジイル基またはプロピレン基であるもの、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオール残基、ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオール残基が挙げられる。特に好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピル基、オキシブチレン基、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンである。
また、C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)を表す化学式(1)中のRとしてのアルケニル基に関して、前述の一般式(3)や一般式(4)で表すことのできる有機基が挙げられることは既に例示したが、このようなアルケニル基を含む化合物としては、
例えば、ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、水素化ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、ビスフェノールFのジアリルエーテル化物、水素化ビスフェノールFのジアリルエーテル化物、ビスフェノールSのジアリルエーテル化物及び水素化ビスフェノールSのジアリルエーテル化物等;
(1)ポリエチレングリコールのジアリルエーテル化物、ポリプロピレングリコールのジアリルエーテル化物、及びポリテトラメチレングリコールのジアリルエーテル化物等;
アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオールのジアリルエーテル化物及びテレフタル酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステルジオールのジアリルエーテル化物等;
(2)ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物、トリシクロデカンジメタノールとプロピレンカーボネートより得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物及びポリカプロラクトンジオールと炭酸ジメチルのエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物等;
(3)エチレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル等が挙げられる。
これらのR4のうち、好ましい例としては、水素原子、ノルボルニル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、シクロオクチル基、アリル基、前述の一般式(5)で表される基、一般式(6)で表される基が挙げられる。
また、式(1)中のR1とR3、R2とR4が結合して環を形成していてもよい。
このような環状不飽和化合物としては、例えば、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロドデセン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、1−メチルシクロヘキセン、4−イソプロピル−1−メチルシクロヘキセン、1,5−ジメチルシクロオクテン、1,2,3,3−テトラメチルシクロヘキセン等のシクロオレフィン類;1−メトキシ−3−シクロヘキセン等のアルコキシシクロオレフィン;1−アセトキシ−2−シクロヘキセン等のエステル型シクロオレフィン;1−アセチル−2−シクロヘキセン等のケトン型シクロオレフィン等が挙げられる。
一般式(1)で示されるC=C二重結合を分子内に1個または2個以上有する有機化合物(B)としては、直鎖状モノオレフィン、分岐状モノオレフィン、エーテル型オレフィン、エステル型オレフィン、直鎖状非共役ジエン、芳香族系オレフィン、ケトン系オレフィン、シクロオレフィンのジアリルエーテル化合物、ポリオキシアルキレングリコールのアリル化物、ポリエステルジオールのアリル化物、ポリカーボネートジオールのアリル化物、シクロオレフィンのジビニル化合物、ジエン系のシクロオレフィン、アルコキシシクロアルケン、エステル型シクロアルケンおよびケトン型シクロアルケン等が挙げられる。
直鎖状モノオレフィンとしては、例えば1−へキセン、2−へキセン、3−へキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテンおよび4−オクテンなどが挙げられる。
分岐状モノオレフィンとしては、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテンおよび2−メチル−2−ヘプテン、2,3,4−トリメチル−2−ペンテンなどが挙げられる。
エーテル型オレフィンとしては、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトロネロール、ラバンジュロール、フィトール、イソフィトールなどのアルコール型オレフィン;
ジプレニルエーテル、ジイソプレニルエーテルおよびメチルゲラニルエーテルなどが挙げられる。
エステル型オレフィンとしては、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、シトロネリルアセテート、ラバンジュリルアセテート、イソフィトールアセテート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸シトロネリル、酢酸ファルネシル、酢酸イソフィチルおよび桂皮酸メチルなどが挙げられる。
直鎖状非共役ジエンとしては、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンおよび1,9−デカジエンンなどが挙げられる。
芳香族系オレフィンとしては、スチレンおよび1−フェニル−1−プロペンなどが挙げられる。
ケトン系オレフィンとしては、メチルビニルケトン、エチルプロペニルケトンおよびメチルアリルケトンなどが挙げられる。
シクロオレフィンのジアリルエーテル化物としては、シクロヘキサンジアリルエーテル、ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、水素化ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、ビスフェノールFのジアリルエーテル化物、水素化ビスフェノールFのジアリルエーテル化物、ビスフェノールSのジアリルエーテル化物および水素化ビスフェノールSのジアリルエーテル化物
ポリオキシアルキレングリコールのアリル化合物としては、ポリエチレングリコールのジアリルエーテル化物、ポリプロピレングリコールのジアリルエーテル化物および及びポリテトラメチレングリコールのジアリルエーテル化物が挙げられる。
ポリエステルジオールのアリル化物としては、アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオールのジアリルエーテル化物およびテレフタル酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステルジオールのジアリルエーテル化物などが挙げられる。
ポリカーボネートジオールのアリル化物としては、ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物、トリシクロデカンジメタノールとプロピレンカーボネートより得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物およびポリカプロラクトンジオールと炭酸ジメチルのエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物などが挙げられる。
シクロオレフィンのジビニル化合物としては、エチレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルおよびプロピレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルなどが挙げられる。
ジエン系のシクロオレフィンとしては、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロドデセン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、1−メチルシクロヘキセン、4−イソプロピル−1−メチルシクロヘキセン、1,5−ジメチルシクロオクテンおよび1,2,3,3−テトラメチルシクロヘキセンなどが挙げられる。
アルコキシシクロアルケンとしては、1−メトキシ−3−シクロヘキセンおよび3−メトキシ−5−メチル−3−シクロヘキセンなどが挙げられる。
エステル型シクロアルケンとしては、1−アセトキシ−2−シクロヘキセンおよび1−プロポキシ−3−シクロヘキセンなどが挙げられる。
ケトン型シクロアルケンとしては、1−アセチル−2−シクロヘキセンおよび1−ブチリル−5−ノルボルネンなどが挙げられる。
以上のC=C二重結合を分子内に1個以上有する有機化合物(B)の好ましい例としては、1−オクテン、2−オクテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、水素化ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、ポリエチレングリコールのジアリルエーテル化物及びエチレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルである。
本発明でのエポキシ化合物の製造方法で製造されるエポキシ化合物(A)は、下記一般式(2)で示される分子内に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(A)である。
[式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
R5は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、R4のC=C二重結合が反応してエポキシ基に置換された有機基を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
また、R1とR3、R2とR5が結合して環を形成していてもよい。]
R1、R2およびR3は、原料となるC=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)の一般式(1)の説明で例示したものと同じ置換基である。
R5は、R1、R2およびR3の説明で例示した炭化水素基などの置換基に加えて、一般式(1)中のR4の説明で例示したアルケニル基中のC=C二重結合がエポキシ化されてエポキシ基に置換された有機基を表す。
R5において、R4の説明に用いた一般式(3)および一般式(4)についても置換基や繰り返し単位であるX1、X2、X3、Y1、Y2、Y3、AOおよびnは同じであり、一般式(3)および一般式(4)中に存在するC=C二重結合がエポキシ化されてエポキシ基に置換された有機基を表す。
このようなアルケニル基のC=C二重結合がエポキシ化されてエポキシ基に置換された有機基を含む目的のエポキシ化合物としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル及び水素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、及びポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル及びテレフタル酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル等のポリエステルジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールとプロピレンカーボネートより得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル及びポリカプロラクトンジオールと炭酸ジメチルのエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル等のポリカーボネートジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
エチレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルなどが挙げられる。
一般式(2)中のR5の好ましい例としては、水素原子、ノルボルニル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、シクロオクチル基、2−エポキシプロピル基、前述の一般式(7)で表されたカーボネート基、一般式(8)で表されたエステル基カーボネート基が挙げられる。
また、R1とR3、R2とR5が結合して環を形成していてもよい。
このような環状エポキシ化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキサン、エポキシシクロオクタン、エポキシシクロドデカン、ジエポキシシクロヘキサン、ジエポキシシクロオクタン、1−メチルエポキシシクロヘキサン、4−イソプロピル−1−メチルエポキシシクロヘキサン、1,5−ジメチルエポキシシクロオクタン、1,2,3,3−テトラメチルエポキシシクロヘキサン等のシクロオレフィン類から製造されるエポキシ化合物;1−メトキシ−3−エポキシシクロヘキサン等のアルコキシシクロオレフィンから製造されるエポキシ化合物;1−アセトキシ−2−シクロヘキセン等のエステル型シクロオレフィンから製造されるエポキシ化合物;1−アセチル−2−シクロヘキセン等のケトン型シクロオレフィンから製造されるエポキシ化合物等が挙げられる。
一般式(2)で示されるエポキシ化合物(A)としては、例えば
(1)1−エポキシへキサン、2−エポキシへキサン、3−エポキシへキサン、1−エポキシヘプタン、2−エポキシヘプタン、3−エポキシヘプタン、1−エポキシオクタン、2−エポキシオクタン、3−エポキシオクタン、4−エポキシオクタンなどの直鎖状オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(2)3,3−ジメチル−1−エポキシブタン、2−エポキシ−4−メチルペンタン、2−エポキシ−2−メチルペンタン、2−エポキシ−3−メチルペンタン、2,3−ジメチル−2−エポキシブタン、2−エポキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−エポキシ−2−メチルヘプタン、2−エポキシ−2,3,4−トリメチルペンタンなどの分岐状オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(3)エポキシゲラニオール、エポキシネロール、エポキシリナロール、エポキシシトロネロール、エポキシラバンジュロール、エポキシフィトール、エポキシイソフィトールなどのアルコール型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(4)ジエポキシプロピルエーテル、ジエポキシイソプロピルエーテル、エポキシメチルゲラニルエーテルなどのエーテル型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;エポキシゲラニルアセテート、エポキシネリルアセテート、エポキシシトロネリルアセテート、エポキシラバンジュリルアセテート、エポキシイソフィトールアセテートなどのエステル型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(5)1,5−ジエポキシヘキサン、1,7−ジエポキシオクタン、1,9−ジエポキシデカンなどの直鎖状非共役ジエンから製造されるジエポキシ化合物;
(6)スチレンオキシド、1−フェニル−1−エポキシプロパン等の芳香族系オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(7)アクリル酸メチルのエポキシ化物、メタクリル酸メチルのエポキシ化物、酢酸ゲラニルのエポキシ化物、酢酸ネリルのエポキシ化物、酢酸シトロネリルのエポキシ化物、酢酸ファルネシルのエポキシ化物、酢酸イソフィチルのエポキシ化物、桂皮酸メチルのエポキシ化物等のエステル型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(8)メチル−エポキシエチルケトン等のケトン型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(9)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル及び水素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(10)ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、及びポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(11)アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル及びテレフタル酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル等のポリエステルジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(12)ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールとプロピレンカーボネートより得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル及びポリカプロラクトンジオールと炭酸ジメチルのエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル等のポリカーボネートジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(13)エチレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルなどが挙げられる。
以上のエポキシ化合物のうち、好ましい例としては、1−エポキシオクタン、2−エポキシオクタン、エポキシシクロオクタン、ジエポキシシクロオクタン、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルである。
本発明の製造方法で必須の触媒であるタングステン化合物(C)としては、タングステン酸化合物及び酸化タングステンからなるタングステン化合物(C1)、タングステン酸塩(C2)及び2種以上のポリ原子(W,Mo,V)を有する複合タングステン化合物(C3)等が挙げられる。
タングステン化合物(C1)としては、タングステン酸化合物;タングステン酸(HWO)、リンタングステン酸 (H3[PW1240].xH2O)、ケイタングステン酸(H4[SiW1240].xH2O)、ホウタングステン酸(H5[BW1240].xH2O)、(ただし、xは1以上の整数を示す。)、酸化タングステン(WO)が挙げられる。
これらのうち好ましいのはタングステン酸(HWO)、リンタングステン酸(H3[PW1240].xH2O)である。
タングステン酸塩(C2)としては、上記タングステン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、銅塩、金塩、ガリウム塩及びアンモニウム塩が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム塩が挙げられる。その他の塩としては、銅、金、ガリウム及びアンモニウム塩が挙げられる。
タングステン酸塩(C2)の好ましい例としては、上記の好ましいタングステン酸のナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、セシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム等が挙げられる。特に好ましくはケイタングステン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、リンタングステン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩である。
複合タングステン化合物(C3)とはタングステンとさらにもう1種のポリ原子(Mo、V)を有するタングステン化合物であり、これらの例としては、リンバナドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、リンモリブドタングステン酸等の複合タングステン化合物;及び上記複合タングステン化合物の塩等が挙げられる。
複合タングステン化合物の塩としては、上記タングステン酸塩で例示したものと同じアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、銅塩、金塩、ガリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
複合タングステン化合物(C3)の好ましい例としては、リンモリブドタングステン酸である。
これらのタングステン化合物(C)は単独化合物で使用してもよいし、タングステン化合物(C1)同士、タングステン酸塩(C2)同士、複合タングステン化合物(C3)同士、またはタングステン化合物(C1)とタングステン酸塩(C2)を混合して使用してもよいし、タングステン化合物(C1)とタングステン酸塩(C2)及び複合タングステン化合物(C3)を混合してもよい。
好ましくは、タングステン化合物(C1)とタングステン酸塩(C2)を混合して使用することが触媒活性の点から好ましい。
タングステン化合物(C)の使用量は、二重結合に対してタングステン原子の当量が0.001〜0.1当量であり、好ましくは0.01〜0.05当量である。
本発明の製造方法で必須の過酸化水素は、酸化剤として用いる。通常、過酸化水素は水溶液として用い、その濃度は安全性の観点から1〜60重量%で使用する。好ましい濃度範囲としては、5〜40重量%であり、さらに好ましくは10〜30重量%である。
本発明の製造方法では、リン酸アンモニウムを併用することで、活性の高いタングステン化合物が反応系中に得られ、エポキシ化反応に対して活性を有するタングステン触媒をリン酸アンモニウムの働きにより維持できるため必須成分として用いる。
ここでいうエポキシ化反応に対して活性を有するタングステン触媒の構造を維持するように働くリン酸アンモニウムは他のリン酸類とは異なる。
たとえば、リン酸を用いたとき、反応時間の経過につれてpHが上昇する。これによりタングステン化合物において、エポキシ化に活性を有するタングステン触媒の構造が変化し、エポキシ化に関して活性のない構造になる。しかし、リン酸アンモニウムを用いるとpHの上昇をおさえることができ、反応時間が経過してもエポキシ化に活性を有するタングステン触媒の構造を維持できる。これにより、他のリン化合物にはない特徴を見出すことができる。
本発明の製造方法では、タングステン化合物(C)、リン酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中にオレフィン(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、エポキシ化させるものである。
タングステン化合物(C)、リン酸アンモニウムおよび過酸化水素水溶液からなる水相の調製において、反応槽に仕込む順序は、どの順序で投入してもよい。ただし、過酸化水素水溶液より先にタングステン化合物を投入しておくことは好ましくない。好ましくは、過酸化水素水溶液、タングステン化合物、リン酸アンモニウムの順で投入するのがよい。
なお、過酸化水素水溶液とタングステン化合物を同時に投入することは好ましくない。
本発明の製造方法では、有機相はC=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる。
オニウム塩(D)は、反応収率を向上させるために、相間移動触媒として作用する。
本発明のオニウム塩(D)は、第四級アンモニウム塩(D1)およびホスホニウム塩(D2)が挙げられる。
第四級アンモニウム塩(D1)としては、
(1)塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリオクチルエチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化トリカプリルメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の塩化物;
(2)臭化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化トリオクチルエチルアンモニウム、臭化ジラウリルジメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ステアリルジメチルアンモニウム、臭化トリカプリルメチルアンモニウム、臭化ジデシルジメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム等の臭化物;
(3)ヨウ化トリオクチルメチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルエチルアンモニウム、ヨウ化ジラウリルジメチルアンモニウム、ヨウ化ラウリルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ステアリルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、ヨウ化ステアリルジメチルアンモニウム、ヨウ化トリカプリルメチルアンモニウム、ヨウ化ジデシルジメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリエチルアンモニウム等のヨウ化物;
(4)リン酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、リン酸水素化トリオクチルエチルアンモニウム、リン酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム、リン酸水素化ラウリルトリメチルアンモニウム、リン酸水素化ステアリルトリメチルアンモニウム、リン酸水素化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、リン酸水素化ステアリルジメチルアンモニウム、リン酸水素化トリカプリルメチルアンモニウム、リン酸水素化ジデシルジメチルアンモニウム、リン酸水素化テトラブチルアンモニウム、リン酸水素化ベンジルトリメチルアンモニウム、リン酸水素化ベンジルトリエチルアンモニウム等のリン酸水素化物;
(1)硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素化トリオクチルエチルアンモニウム、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化トリカプリルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジデシルジメチルアンモニウム、硫酸水素化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリエチルアンモニウム等の硫酸水素化物等が挙げられる。
ホスホニウム塩(D2)としては、例えば
(1)テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド等の臭化物;
(2)テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド等の塩化物;
テトラブチルホスホニウムアイオダイド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド等のヨウ化物;
(3)テトラブチルホスホニウムハイドロホスフェート、テトラフェニルホスホニウムアハイドロホスフェートのリン酸水素化物;
(4)テトラブチルホスホニウムハイドロサルフェート、テトラフェニルホスホニウムアハイドロサルフェート等の硫酸水素化物が挙げられる。
これらのオニウム塩(D)の好ましい例としては、硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化トリカプリルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジデシルジメチルアンモニウム、硫酸水素化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリエチルアンモニウムが挙げられる。特に好ましくは硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウムである。
本発明の有機相は、C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)とオニウム塩(D)以外に溶媒を含んでも良い。
溶媒は、有機化合物(B)及び目的生成物の種類等により適当に選択できる。
溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;
ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;
シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;
四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;
シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;
ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの鎖状または環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は一種で、又は二種以上混合して用いられる。
本発明の製造方法では、水相に有機相を添加し、C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)をエポキシ化する。
有機相を水相に加える方法としては、一括投入、滴下、連続投入などが挙げられる。好ましくは、反応温度の観点から、滴下により有機相を投入する方法である。なお、好ましくない添加方法としては、反応温度の観点から、一括投入する方法である。
水相を有機相に加える方法は、(1)過酸化水素水溶液、タングステン化合物およびリン酸またはリン酸塩の三種の混合物を投入する、もしくは、(2)タングステン化合物とリン酸またはリン酸塩の水溶液と過酸化水素水溶液を同じ時間をかけて投入する方法が挙げられる。
(1)の場合は、過酸化水素水濃度がタングステン化合物との接触によって水へと分解し、滴下初期と滴下後期で過酸化水素濃度が異なるので、無駄な過酸化水素を消費することとなり好ましくない。
(2)の場合は、有機相中に2つの水溶液を混合せずに滴下するので、過酸化水素の寿命は長いが、肝心のエポキシ化に活性を有するタングステン触媒であるタングステン化合物が生成しにくい。したがって、反応時間が長くなったり、収率が悪くなったりするので好ましくない。
有機相を水相に滴下して加えるときの時間は、1〜5時間で滴下を行う。好ましくは1.5〜2.5時間である。
エポキシ化の反応温度は、有機化合物(B)や反応の種類などに応じ、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、例えば、0〜100℃、好ましくは50〜80℃程度である。エポキシ化は常圧で行ってもよく、加圧下に行ってもよい。また、バッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。
得られたエポキシ化合物(A)は、抽出、分液、ろ過、遠心分離、蒸留などの通常の方法によって精製分離される。本発明の酸化反応用触媒は、水に対する溶解性が高く、疎水性の有機溶媒への溶解性が低いため、抽出、分液による方法が好ましい。
有機化合物の酸化によるエポキシ化合物の製造方法において、エポキシ化合物収率が高いことが望まれる。エポキシ化合物収率は、反応基質であるC=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)に対しエポキシ化合物(A)がどれだけ効率よく生成したかを表す。
エポキシ化合物の反応率と選択性は、有機相中の酸化反応生成物をガスクロマトグラフィ(GC)で定量分析し、モノエポキシ化合物、および出発物質がジエンの場合のジエポキシ化合物以外に、反応系中の水によるエポキシ化合物の開環物(ジオール、テトラオールなど)などの目的物以外のその他の副生物成分の含有比率(%)を求める。
後述の実施例においてはそれらの分析値(%)を表1に示した。
以上詳述した本発明によれば、目的のエポキシ化合物収率が高く、タングステン触媒を高活性に保ったままエポキシ化合物を製造することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
[製造例1]<原料の水添ビスフェノールAのジアリルエーテル(B−1)の製造例1>
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、メチルエチルケトンを200部、水添ビスフェノールA(新日本理化社製、「リカビノールHB」)を234部(1モル部)仕込み、300rpmで撹拌しながら、50℃に加熱した。そこにアリルクロライドを161部(2.1モル部)滴下した。滴下終了後、50℃で3時間熟成し、水500gを加えた後、室温で静置した。分液後メチルエチルケトンを50℃10Torrで減圧除去し、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル(B−1)を得た。
[製造例2]<原料のエチレングリコール−ビス(5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテル(B−2)の製造例2>
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、エチレングリコールを62部(1モル部)仕込み、300rpmで撹拌しながら、60℃に加熱した。5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(サンペトロケミカル社製)を240部(2モル部)滴下した。滴下終了後、60℃で3時間熟成後、150℃1Torrで未反応物及びエチレングリコールを減圧除去し、エチレングリコール−ビス(5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテル(B−2)を得た。
[実施例1]
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、タングステン酸(C−1)、タングステン酸ナトリウム(C−2)、30%過酸化水素水溶液およびリン酸アンモニウムを表1に示した重量比率で仕込み、水相を調製した。300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。
表1に記載した量の1−オクテン、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D−1)およびトルエンを混合し、有機相を調製した。この有機相を、先に反応槽に調製していた水相に2時間かけて滴下した。滴下後の水相のpHは2.8であった。
滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、3時間反応させた。反応後のpHは3.0であった。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。この製造方法における有機相中の酸化反応生成物のGCによる分析値(%)を表1に示した。
[実施例2]
実施例1において、1−オクテンをシクロオクテンとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、エポキシシクロオクタンを得た。なお、仕込量および得られた酸化反応生成物の分析値は表1に記載の通りである(以下の実施例でも同様。)。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.1であった。
[実施例3]
実施例1において、1−オクテンをシクロオクタジエンとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、ジエポキシシクロオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.1であった。
[実施例4]
実施例1において、1−オクテンを、製造例1の水添ビスフェノールAジアリルエーテル(B−1)とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.1であった。
[実施例5]
実施例1において、1−オクテンを、製造例2のエチレングリコール−ビス(5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテル(B−2)とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、エチレングリコール−ビス(5−エポキシシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテルを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.0であった。
[実施例6]
実施例1において、タングステン酸(C−1)とタングステン酸ナトリウム(C−2)の組合せを、タングステン酸ナトリウム(C−2)とリンタングステン酸(C−3)の組合せとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.7であり、反応後のpHは3.0であった。
[実施例7]
実施例1において、過酸化水素水溶液の濃度を30%から6%とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは3.0であり、反応後のpHは3.0であった。
[実施例8]
実施例1において、オニウム塩の硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D−1)を硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム(D−2)とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.2であった。
[実施例9]
実施例1において、タングステン化合物としてタングステン酸(C−1)のみを使用する以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは3.8であった。
[比較例1]
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、1−オクテン、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D−1)およびトルエンを表2に示した重量比率で仕込み、有機相を調製した。300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。
表2に記載した量のタングステン酸(C−1)、30%過酸化水素水溶液および85%リン酸水溶液を混合し、水相を調製した。実施例とは異なり、この水相を反応槽に先に調製していた有機相に2時間かけて滴下した。滴下後の水相のpHは2.5であった。
滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、3時間反応させた。反応後の水相のpHは6.6であった。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。この比較のための製造方法における有機相中の酸化反応生成物の分析値を表2に示した。
1−エポキシオクタン(A)以外に未反応の1−オクテン及び1−エポキシオクタンの開環副反応物などの副生物が12%存在していた。
[比較例2]
比較例1において、タングステン化合物をタングステン酸ナトリウム(C−2)とした以外は、比較例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。なお、仕込量および有機相中の酸化反応生成物の分析値は表2に記載の通りである(以下の比較例でも同様。)。
1−エポキシオクタン以外に、未反応の1−オクテンと1−エポキシオクタンの開環副反応物などの副生物が合計量で25%存在していた。
滴下後の水相のpHは3.8であり、反応後のpHは6.3であった。
[比較例3]
比較例1において、85%リン酸水溶液をリン酸ナトリウムとした以外は、比較例1と同様な操作を行った。1−エポキシオクタン以外に、未反応の1−オクテンと1−エポキシオクタンの開環副反応物などの副生物が合計量で29%存在していた。
滴下後の水相のpHは3.0であり、反応後のpHは6.5であった。
[比較例4]
比較例1において、1−オクテンをシクロオクテンとした以外は、比較例1と同様な操作を行った。1−エポキシシクロオクタン以外に、未反応のシクロオクテンと1−エポキシシクロオクタンの開環副反応物などの副生物が合計量で10%存在していた。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは6.5であった。
[比較例5]
比較例1において、1−オクテンをシクロオクタジエンとした以外は、比較例1と同様な操作を行った。ジエポキシシクロオクタン以外に、未反応のシクロオクタジエンやエポキシ開環副反応物などの副生物などが合計量で3%と、C=C二重結合が1個しか酸化されていないモノエポキシシクロオクテンが15%も存在していた。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは6.5であった。
[比較例6]
比較例1において、1−オクテンを水添ビスフェノールAジアリルエーテル(B−1)とした以外は、比較例1と同様な操作を行った。水添ビスフェノールAジアリルエーテル以外に、未反応の水添ビスフェノールAジアリルエーテルやエポキシ化合物の開環副反応物などの副生物などが合計量で15%と、C=C二重結合が1個しか酸化されていない水添ビスAジアリルエーテルのモノエポキシ化合物が15%も存在していた。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは6.6であった。
[比較例7]
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、1−オクテン(B)、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D)およびトルエンを表2に示した比率で仕込み、有機相を調製した。300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。
表2に記載した量のタングステン酸(C−1)、30%過酸化水素水溶液および85%リン酸水溶液を混合し、水相を調製した。水相のpHは、pH調整剤である硫酸を用いて、2.5から3.0に調整した。比較例1と同様に、この水相を反応槽に先に調製していた有機相に2時間かけて滴下した。滴下後の水相のpHは2.5であった。滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、24時間反応させた。
比較例1とは異なり、反応系中のpHを調整するために、30分毎に水相のpHを分析し、その都度pH調整剤である硫酸を用いてpHを2.5から3.5の領域内に入るように調整した。反応後の水相のpHは3.3であった。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。この製造方法における有機相中の酸化反応生成物の分析を行った。
1−エポキシシクロオクタンが97%と高収率で得られるが、このためには上記のような煩雑なpH調整と長時間(24時間)の反応が必要であった。
<GCによる酸化反応生成物の分析条件>
下記のGC装置と分析条件により反応生成物を分析した。
機器:島津製作所製 GC−2014
検出器:FID
カラム:キャピラリカラム Rtx−5(長さ30m、内径0.25mm ID、液相
の膜厚:0.25μM、Restek社製)
サンプル注入量:1.0μL
INJ温度:200℃
キャリアーガスHe圧力:129kPa
キャリアーガスHe全流量:23.0mL/min
キャリアーガスHeカラム流量:1.8mL/min
線速度:37.8cm/sec
スプリット比:10.0
DET温度:300℃
メイクアップガスHe圧力:10.0kPa
H2圧力:60kPa
Air圧力:50kPa
カラム温度:50℃〜10℃/min昇温;最高到達温度300℃、保持時間5分
表1と表2の結果から明らかなように、実施例1〜9の製造方法は、比較例1〜6の製造方法に比べ、いずれも酸化反応生成物中の未反応のC=C二重結合を分子内に有する有機化合物やその他の成分の含有率が少なく、目的のエポキシ化合物の比率が高い。特に、実施例3,4,5のようなC=C二重結合を分子内に2個有する有機化合物からの酸化反応によるエポキシ化の場合でも、比較例5、6と違って、モノエポキシ化合物の比率が極度に少なく、効率よくジエポキシ化合物が得られている。また、本発明の実施例は、比較例7のように反応をとめてpH分析をし、pH調整するなどの煩雑な操作も一切必要なく、反応時間も長くかからない。したがって実施例1〜9の製造方法は、比較例1〜7の製造方法に比べて簡便であり優れていることがわかる。
本発明のエポキシ化合物の製造方法は、酸化反応収率が高く製造方法も簡便であるため、工業的に製造する際にとても有用である。また、本発明の製造方法によって得られたエポキシ樹脂は、安価で、電気特性が重視される電子材料用途に使用できる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるC=C二重結合を分子内に少なくとも1個有する有機化合物(B)の二重結合部位を酸化して下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物(A)の製造法において、タングステン化合物(C)、りん酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中に対して、該有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、反応させることを特徴とするエポキシ化合物(A)の製造方法。
    [式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。R4は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、C=C二重結合を1個以上有する置換されていてもよいアルケニル基(但し、基中の複数個のC=C二重結合は互いに非共役関係にあり、かつ該C=C二重結合は式中の炭素−炭素二重結合と非共役関係にある。)を表し、それらの一部がエーテル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。R5は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、R4のC=C二重結合が反応してエポキシ基に置換された有機基を表し、それらの一部がエーテル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。また、R1とR3、R2とR4、R2とR5が結合して環を形成していてもよい。]
  2. 該タングステン化合物(C)が、タングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、ホウタングステン酸および酸化タングステンからなる群より選ばれる1種以上のタングステン化合物(C1)である請求項1記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
  3. 請求項2記載の該タングステン化合物(C1)と、タングステン酸塩(C2)を組み合わせて使用する請求項2記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
  4. 該タングステン酸塩(C2)が、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムおよびタングステン酸カリウムからなる群より選ばれる1種以上のタングステン酸塩 である請求項3記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
  5. 該オニウム塩(D)が第四級アンモニウム塩である請求項1〜4いずれか記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
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