JP5497388B2 - エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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また、別の手法として、タングステン化合物、85%リン酸水溶液および過酸化水素水を含む水相をC=C二重結合を分子内に有する有機化合物および第4級アンモニウム塩を含む有機相に1時間以上かけて滴下しこの有機化合物をエポキシ化する方法(特許文献1)が知られている。
また、後者の方法では、リン酸水溶液をpH調整剤として使用しているため、エポキシ化に対して活性を有するタングステン触媒が系中で安定に存在していないと考えられる。
上記のタングステン触媒はpHに対する依存性が強く、ある特定のpH領域でしか存在できない。リン酸水溶液を用いると、系中のpHが時間の経過とともに上昇していくため、エポキシ化に関する活性種は時間の経過とともに少なくなり、エポキシ化の反応速度は時間の経過とともに遅くなってくると考えられる。このことから、後者の方法では反応中にpHが上昇し、エポキシ化が十分進む前にエポキシ化反応が極端に遅くなり、エポキシ化合物収率が不十分であった。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるC=C二重結合を分子内に1個以上有する有機化合物(B)の二重結合部位を酸化して下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物(A)の製造法において、タングステン化合物(C)、りん酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中に対して、該有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、反応させることを特徴とするエポキシ化合物(A)の製造方法である。
(i)タングステン化合物(C)、りん酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中に対して、
(ii)C=C二重結合を分子内に有する有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、反応させることを特徴とするエポキシ化合物(A)の製造方法である。
R4は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、C=C二重結合を1個以上有する置換されていてもよいアルケニル基(但し、基中の複数個のC=C二重結合は互いに非共役関係にあり、かつ該C=C二重結合は式中のC=C二重結合と非共役関係にある。)を表し、それらの一部がエーテル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
また、R1とR3、R2とR4が結合して環を形成していてもよい。]
一部がカルボニル基で置換されているものとしては例えば、アセチル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
エステル基で置換されているものとしては例えば、メチルエステル基、シクロヘキシルエステル基、安息香酸エステル基等が挙げられる。
カルボキシル基で置換されているものとしては例えば、メチルカルボキシレート、シクロヘキサン酸、安息香酸の残基等が挙げられる。
また、その塩基で置換されているものとしては、置換メチルカルボキシレートのナトリウム塩、シクロヘキサン酸のナトリウム塩、安息香酸のナトリウム塩等が挙げられる。
これらのうち、好ましい例としては、水素原子、ノルボルニル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、シクロオクチル基が挙げられる。
但し、このアルケニル基中に存在するC=C二重結合同士は共役していないものであり、上記一般式(1)中のC=C二重結合とアルケニル基に存在するC=C二重結合とも共役していないものを表す。
Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の2価のアルキレン基、炭素数1〜20の2価のオキシアルキレン基、炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基、またはカルボニル基を表す。
OAは、鎖中に−(O−R6)n−、−[O−R6−O−C(=O)]n−、または−[O−C(=O)−R6]n−を含む2価の官能基であり、1種以上の組み合わせであってもよい。R6は、炭素数2〜20の2価のアルキレン基、炭素数5〜20の2価の脂環族炭化水素基、または炭素数4〜20の2価の芳香族炭化水素基を表す。
nは0〜100の整数を表す。また、X1とX3、Y2の一部とX2、Y3の一部とX2が結合して環を形成していてもよい。]
なお、X1とX3、式(3)中のY2の一部とX2、または式(4)中のY3の一部とX2が結合して環を形成してもよい。
nは1〜100の整数を表す。
例えば、ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、水素化ビスフェノールAのジアリルエーテル化物、ビスフェノールFのジアリルエーテル化物、水素化ビスフェノールFのジアリルエーテル化物、ビスフェノールSのジアリルエーテル化物及び水素化ビスフェノールSのジアリルエーテル化物等;
(1)ポリエチレングリコールのジアリルエーテル化物、ポリプロピレングリコールのジアリルエーテル化物、及びポリテトラメチレングリコールのジアリルエーテル化物等;
アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオールのジアリルエーテル化物及びテレフタル酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステルジオールのジアリルエーテル化物等;
(2)ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物、トリシクロデカンジメタノールとプロピレンカーボネートより得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物及びポリカプロラクトンジオールと炭酸ジメチルのエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジアリルエーテル化物等;
(3)エチレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル等が挙げられる。
このような環状不飽和化合物としては、例えば、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロドデセン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、1−メチルシクロヘキセン、4−イソプロピル−1−メチルシクロヘキセン、1,5−ジメチルシクロオクテン、1,2,3,3−テトラメチルシクロヘキセン等のシクロオレフィン類;1−メトキシ−3−シクロヘキセン等のアルコキシシクロオレフィン;1−アセトキシ−2−シクロヘキセン等のエステル型シクロオレフィン;1−アセチル−2−シクロヘキセン等のケトン型シクロオレフィン等が挙げられる。
ジプレニルエーテル、ジイソプレニルエーテルおよびメチルゲラニルエーテルなどが挙げられる。
R5は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20の1価の脂環族炭化水素基、炭素数4〜20の芳香族炭化水素基、R4のC=C二重結合が反応してエポキシ基に置換された有機基を表し、それらの一部がカルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩基で置換されていてもよい。
また、R1とR3、R2とR5が結合して環を形成していてもよい。]
R5において、R4の説明に用いた一般式(3)および一般式(4)についても置換基や繰り返し単位であるX1、X2、X3、Y1、Y2、Y3、AOおよびnは同じであり、一般式(3)および一般式(4)中に存在するC=C二重結合がエポキシ化されてエポキシ基に置換された有機基を表す。
ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、及びポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル及びテレフタル酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル等のポリエステルジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールとプロピレンカーボネートより得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル及びポリカプロラクトンジオールと炭酸ジメチルのエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル等のポリカーボネートジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
エチレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルなどが挙げられる。
このような環状エポキシ化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキサン、エポキシシクロオクタン、エポキシシクロドデカン、ジエポキシシクロヘキサン、ジエポキシシクロオクタン、1−メチルエポキシシクロヘキサン、4−イソプロピル−1−メチルエポキシシクロヘキサン、1,5−ジメチルエポキシシクロオクタン、1,2,3,3−テトラメチルエポキシシクロヘキサン等のシクロオレフィン類から製造されるエポキシ化合物;1−メトキシ−3−エポキシシクロヘキサン等のアルコキシシクロオレフィンから製造されるエポキシ化合物;1−アセトキシ−2−シクロヘキセン等のエステル型シクロオレフィンから製造されるエポキシ化合物;1−アセチル−2−シクロヘキセン等のケトン型シクロオレフィンから製造されるエポキシ化合物等が挙げられる。
(1)1−エポキシへキサン、2−エポキシへキサン、3−エポキシへキサン、1−エポキシヘプタン、2−エポキシヘプタン、3−エポキシヘプタン、1−エポキシオクタン、2−エポキシオクタン、3−エポキシオクタン、4−エポキシオクタンなどの直鎖状オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(2)3,3−ジメチル−1−エポキシブタン、2−エポキシ−4−メチルペンタン、2−エポキシ−2−メチルペンタン、2−エポキシ−3−メチルペンタン、2,3−ジメチル−2−エポキシブタン、2−エポキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−エポキシ−2−メチルヘプタン、2−エポキシ−2,3,4−トリメチルペンタンなどの分岐状オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(3)エポキシゲラニオール、エポキシネロール、エポキシリナロール、エポキシシトロネロール、エポキシラバンジュロール、エポキシフィトール、エポキシイソフィトールなどのアルコール型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(4)ジエポキシプロピルエーテル、ジエポキシイソプロピルエーテル、エポキシメチルゲラニルエーテルなどのエーテル型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;エポキシゲラニルアセテート、エポキシネリルアセテート、エポキシシトロネリルアセテート、エポキシラバンジュリルアセテート、エポキシイソフィトールアセテートなどのエステル型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(5)1,5−ジエポキシヘキサン、1,7−ジエポキシオクタン、1,9−ジエポキシデカンなどの直鎖状非共役ジエンから製造されるジエポキシ化合物;
(6)スチレンオキシド、1−フェニル−1−エポキシプロパン等の芳香族系オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(7)アクリル酸メチルのエポキシ化物、メタクリル酸メチルのエポキシ化物、酢酸ゲラニルのエポキシ化物、酢酸ネリルのエポキシ化物、酢酸シトロネリルのエポキシ化物、酢酸ファルネシルのエポキシ化物、酢酸イソフィチルのエポキシ化物、桂皮酸メチルのエポキシ化物等のエステル型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(8)メチル−エポキシエチルケトン等のケトン型オレフィンから製造されるエポキシ化合物;
(9)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル及び水素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(10)ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、及びポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(11)アジピン酸とエチレングリコールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル及びテレフタル酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステルジオールのジグリシジルエーテル等のポリエステルジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(12)ジメチルカーボネートの1,5−ペンタンジオールをエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールとプロピレンカーボネートより得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル及びポリカプロラクトンジオールと炭酸ジメチルのエステル交換により得られるポリカーボネートジオールのジグリシジルエーテル等のポリカーボネートジアリルエーテルから製造されるエポキシ樹脂;
(13)エチレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテル及びプロピレングリコール−ビス(2−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5(6)−イル)エーテルなどが挙げられる。
これらのうち好ましいのはタングステン酸(H2WO4)、リンタングステン酸(H3[PW12O40].xH2O)である。
好ましくは、タングステン化合物(C1)とタングステン酸塩(C2)を混合して使用することが触媒活性の点から好ましい。
たとえば、リン酸を用いたとき、反応時間の経過につれてpHが上昇する。これによりタングステン化合物において、エポキシ化に活性を有するタングステン触媒の構造が変化し、エポキシ化に関して活性のない構造になる。しかし、リン酸アンモニウムを用いるとpHの上昇をおさえることができ、反応時間が経過してもエポキシ化に活性を有するタングステン触媒の構造を維持できる。これにより、他のリン化合物にはない特徴を見出すことができる。
タングステン化合物(C)、リン酸アンモニウムおよび過酸化水素水溶液からなる水相の調製において、反応槽に仕込む順序は、どの順序で投入してもよい。ただし、過酸化水素水溶液より先にタングステン化合物を投入しておくことは好ましくない。好ましくは、過酸化水素水溶液、タングステン化合物、リン酸アンモニウムの順で投入するのがよい。
なお、過酸化水素水溶液とタングステン化合物を同時に投入することは好ましくない。
オニウム塩(D)は、反応収率を向上させるために、相間移動触媒として作用する。
本発明のオニウム塩(D)は、第四級アンモニウム塩(D1)およびホスホニウム塩(D2)が挙げられる。
(1)塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリオクチルエチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化トリカプリルメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の塩化物;
(2)臭化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化トリオクチルエチルアンモニウム、臭化ジラウリルジメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ステアリルジメチルアンモニウム、臭化トリカプリルメチルアンモニウム、臭化ジデシルジメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム等の臭化物;
(3)ヨウ化トリオクチルメチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルエチルアンモニウム、ヨウ化ジラウリルジメチルアンモニウム、ヨウ化ラウリルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ステアリルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、ヨウ化ステアリルジメチルアンモニウム、ヨウ化トリカプリルメチルアンモニウム、ヨウ化ジデシルジメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリエチルアンモニウム等のヨウ化物;
(4)リン酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、リン酸水素化トリオクチルエチルアンモニウム、リン酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム、リン酸水素化ラウリルトリメチルアンモニウム、リン酸水素化ステアリルトリメチルアンモニウム、リン酸水素化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、リン酸水素化ステアリルジメチルアンモニウム、リン酸水素化トリカプリルメチルアンモニウム、リン酸水素化ジデシルジメチルアンモニウム、リン酸水素化テトラブチルアンモニウム、リン酸水素化ベンジルトリメチルアンモニウム、リン酸水素化ベンジルトリエチルアンモニウム等のリン酸水素化物;
(1)硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素化トリオクチルエチルアンモニウム、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化トリカプリルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジデシルジメチルアンモニウム、硫酸水素化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリエチルアンモニウム等の硫酸水素化物等が挙げられる。
(1)テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド等の臭化物;
(2)テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド等の塩化物;
テトラブチルホスホニウムアイオダイド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド等のヨウ化物;
(3)テトラブチルホスホニウムハイドロホスフェート、テトラフェニルホスホニウムアハイドロホスフェート等のリン酸水素化物;
(4)テトラブチルホスホニウムハイドロサルフェート、テトラフェニルホスホニウムアハイドロサルフェート等の硫酸水素化物が挙げられる。
溶媒は、有機化合物(B)及び目的生成物の種類等により適当に選択できる。
溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;
ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;
シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;
四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;
シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;
ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの鎖状または環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は一種で、又は二種以上混合して用いられる。
有機相を水相に加える方法としては、一括投入、滴下、連続投入などが挙げられる。好ましくは、反応温度の観点から、滴下により有機相を投入する方法である。なお、好ましくない添加方法としては、反応温度の観点から、一括投入する方法である。
(2)の場合は、有機相中に2つの水溶液を混合せずに滴下するので、過酸化水素の寿命は長いが、肝心のエポキシ化に活性を有するタングステン触媒であるタングステン化合物が生成しにくい。したがって、反応時間が長くなったり、収率が悪くなったりするので好ましくない。
後述の実施例においてはそれらの分析値(%)を表1に示した。
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、メチルエチルケトンを200部、水添ビスフェノールA(新日本理化社製、「リカビノールHB」)を234部(1モル部)仕込み、300rpmで撹拌しながら、50℃に加熱した。そこにアリルクロライドを161部(2.1モル部)滴下した。滴下終了後、50℃で3時間熟成し、水500gを加えた後、室温で静置した。分液後メチルエチルケトンを50℃10Torrで減圧除去し、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル(B−1)を得た。
撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、エチレングリコールを62部(1モル部)仕込み、300rpmで撹拌しながら、60℃に加熱した。5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(サンペトロケミカル社製)を240部(2モル部)滴下した。滴下終了後、60℃で3時間熟成後、150℃1Torrで未反応物及びエチレングリコールを減圧除去し、エチレングリコール−ビス(5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテル(B−2)を得た。
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、タングステン酸(C−1)、タングステン酸ナトリウム(C−2)、30%過酸化水素水溶液およびリン酸アンモニウムを表1に示した重量比率で仕込み、水相を調製した。300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。
表1に記載した量の1−オクテン、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D−1)およびトルエンを混合し、有機相を調製した。この有機相を、先に反応槽に調製していた水相に2時間かけて滴下した。滴下後の水相のpHは2.8であった。
滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、3時間反応させた。反応後のpHは3.0であった。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。この製造方法における有機相中の酸化反応生成物のGCによる分析値(%)を表1に示した。
実施例1において、1−オクテンをシクロオクテンとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、エポキシシクロオクタンを得た。なお、仕込量および得られた酸化反応生成物の分析値は表1に記載の通りである(以下の実施例でも同様。)。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.1であった。
実施例1において、1−オクテンをシクロオクタジエンとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、ジエポキシシクロオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.1であった。
実施例1において、1−オクテンを、製造例1の水添ビスフェノールAジアリルエーテル(B−1)とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.1であった。
実施例1において、1−オクテンを、製造例2のエチレングリコール−ビス(5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテル(B−2)とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、エチレングリコール−ビス(5−エポキシシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン)エーテルを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.0であった。
実施例1において、タングステン酸(C−1)とタングステン酸ナトリウム(C−2)の組合せを、タングステン酸ナトリウム(C−2)とリンタングステン酸(C−3)の組合せとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.7であり、反応後のpHは3.0であった。
実施例1において、過酸化水素水溶液の濃度を30%から6%とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは3.0であり、反応後のpHは3.0であった。
実施例1において、オニウム塩の硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D−1)を硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム(D−2)とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.8であり、反応後のpHは3.2であった。
実施例1において、タングステン化合物としてタングステン酸(C−1)のみを使用する以外は、実施例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは3.8であった。
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、1−オクテン、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D−1)およびトルエンを表2に示した重量比率で仕込み、有機相を調製した。300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。
表2に記載した量のタングステン酸(C−1)、30%過酸化水素水溶液および85%リン酸水溶液を混合し、水相を調製した。実施例とは異なり、この水相を反応槽に先に調製していた有機相に2時間かけて滴下した。滴下後の水相のpHは2.5であった。
滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、3時間反応させた。反応後の水相のpHは6.6であった。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。この比較のための製造方法における有機相中の酸化反応生成物の分析値を表2に示した。
1−エポキシオクタン(A)以外に未反応の1−オクテン及び1−エポキシオクタンの開環副反応物などの副生物が12%存在していた。
比較例1において、タングステン化合物をタングステン酸ナトリウム(C−2)とした以外は、比較例1と同様な操作を行い、1−エポキシオクタンを得た。なお、仕込量および有機相中の酸化反応生成物の分析値は表2に記載の通りである(以下の比較例でも同様。)。
1−エポキシオクタン以外に、未反応の1−オクテンと1−エポキシオクタンの開環副反応物などの副生物が合計量で25%存在していた。
滴下後の水相のpHは3.8であり、反応後のpHは6.3であった。
比較例1において、85%リン酸水溶液をリン酸ナトリウムとした以外は、比較例1と同様な操作を行った。1−エポキシオクタン以外に、未反応の1−オクテンと1−エポキシオクタンの開環副反応物などの副生物が合計量で29%存在していた。
滴下後の水相のpHは3.0であり、反応後のpHは6.5であった。
比較例1において、1−オクテンをシクロオクテンとした以外は、比較例1と同様な操作を行った。1−エポキシシクロオクタン以外に、未反応のシクロオクテンと1−エポキシシクロオクタンの開環副反応物などの副生物が合計量で10%存在していた。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは6.5であった。
比較例1において、1−オクテンをシクロオクタジエンとした以外は、比較例1と同様な操作を行った。ジエポキシシクロオクタン以外に、未反応のシクロオクタジエンやエポキシ開環副反応物などの副生物などが合計量で3%と、C=C二重結合が1個しか酸化されていないモノエポキシシクロオクテンが15%も存在していた。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは6.5であった。
比較例1において、1−オクテンを水添ビスフェノールAジアリルエーテル(B−1)とした以外は、比較例1と同様な操作を行った。水添ビスフェノールAジアリルエーテル以外に、未反応の水添ビスフェノールAジアリルエーテルやエポキシ化合物の開環副反応物などの副生物などが合計量で15%と、C=C二重結合が1個しか酸化されていない水添ビスAジアリルエーテルのモノエポキシ化合物が15%も存在していた。
滴下後の水相のpHは2.5であり、反応後のpHは6.6であった。
攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、1−オクテン(B)、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム(D)およびトルエンを表2に示した比率で仕込み、有機相を調製した。300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。
表2に記載した量のタングステン酸(C−1)、30%過酸化水素水溶液および85%リン酸水溶液を混合し、水相を調製した。水相のpHは、pH調整剤である硫酸を用いて、2.5から3.0に調整した。比較例1と同様に、この水相を反応槽に先に調製していた有機相に2時間かけて滴下した。滴下後の水相のpHは2.5であった。滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、24時間反応させた。
比較例1とは異なり、反応系中のpHを調整するために、30分毎に水相のpHを分析し、その都度pH調整剤である硫酸を用いてpHを2.5から3.5の領域内に入るように調整した。反応後の水相のpHは3.3であった。室温まで冷却、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。この製造方法における有機相中の酸化反応生成物の分析を行った。
1−エポキシシクロオクタンが97%と高収率で得られるが、このためには上記のような煩雑なpH調整と長時間(24時間)の反応が必要であった。
下記のGC装置と分析条件により反応生成物を分析した。
機器:島津製作所製 GC−2014
検出器:FID
カラム:キャピラリカラム Rtx−5(長さ30m、内径0.25mm ID、液相
の膜厚:0.25μM、Restek社製)
サンプル注入量:1.0μL
INJ温度:200℃
キャリアーガスHe圧力:129kPa
キャリアーガスHe全流量:23.0mL/min
キャリアーガスHeカラム流量:1.8mL/min
線速度:37.8cm/sec
スプリット比:10.0
DET温度:300℃
メイクアップガスHe圧力:10.0kPa
H2圧力:60kPa
Air圧力:50kPa
カラム温度:50℃〜10℃/min昇温;最高到達温度300℃、保持時間5分
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるC=C二重結合を分子内に少なくとも1個有する有機化合物(B)の二重結合部位を酸化して下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物(A)の製造法において、タングステン化合物(C)、りん酸アンモニウムおよび過酸化水素を含む水相中に対して、該有機化合物(B)とオニウム塩(D)からなる有機相を添加し、反応させることを特徴とするエポキシ化合物(A)の製造方法。
- 該タングステン化合物(C)が、タングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、ホウタングステン酸および酸化タングステンからなる群より選ばれる1種以上のタングステン化合物(C1)である請求項1記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
- 請求項2記載の該タングステン化合物(C1)と、タングステン酸塩(C2)を組み合わせて使用する請求項2記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
- 該タングステン酸塩(C2)が、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムおよびタングステン酸カリウムからなる群より選ばれる1種以上のタングステン酸塩 である請求項3記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
- 該オニウム塩(D)が第四級アンモニウム塩である請求項1〜4いずれか記載のエポキシ化合物(A)の製造方法。
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