JP5496340B2 - ハイドロゲル積層体、ハイドロゲル積層体の製造方法およびハイドロゲル - Google Patents
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Description
本発明は、ハイドロゲル積層体、ハイドロゲル積層体の製造方法およびハイドロゲルに関する。さらに詳しくは、本発明は、表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体、前記ハイドロゲル積層体の製造方法および表面材との接着性に優れたハイドロゲルに関する。
従来、ハイドロゲルを用いたシートが、保水性、保湿性、冷却効果等に優れるため、化粧用パック材、冷却用シート材、医療用貼付材等のシート素材として幅広く利用されている。
前記のハイドロゲルは顔や手などに貼り付けられて使用されるが、貼り付け面と反対面のハイドロゲル面が露出していると、ハイドロゲルは不要な部分に接着してしまったり、乾燥によってその性能が低下してしまうことがある。このため、取扱性の向上や乾燥防止の観点から、ハイドロゲルは貼り合わせ面の反対面に表面材を積層させたハイドロゲル積層体として用いられることがある。
例えば特開2002−29913号公報(特許文献1)には、水溶性高分子を含むハイドロゲルを用いたシート状化粧材が記載されている。
しかしながら、このようなハイドロゲル積層体は表面材との接着力が十分ではない場合が多く、ハイドロゲルを表面材と直接貼り合わせても接着強度が不十分となり、使用時にハイドロゲルから表面材が剥離してしまうことがあった。このため、ハイドロゲルと表面材とを貼り合わせる場合、通常接着剤や粘着剤が用いられる。しかし、この場合、実用的な接着強度を得るには接着剤や粘着剤が多量に必要であり、ハイドロゲル積層体の製造コストが上昇するという問題があった。この問題は特に高含水のハイドロゲルにおいて顕著であった。
他方、低含水のハイドロゲルであれば、接着剤を用いなくても表面材との実用的な接着強度が得られる場合があるものの、これらを化粧材等として用いた場合、使用感、べとつき等について問題となることがあった。また、保水性、保湿性、冷却効果等のハイドロゲルに求められる特性についても満足のいくものではない場合があった。
従って、これらの問題点に鑑みて、使用感に優れたハイドロゲルを用い、表面材との接着性に優れたハイドロゲル積層体の提供が望まれている。また、接着剤を用いずに直接表面材と貼り合わせても十分な接着強度が得られ、使用感に優れたハイドロゲルの提供も求められている。
かくして本発明によれば、水、ゲル骨格形成成分としてのカルボン酸系高分子、架橋成分としての難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含むハイドロゲルと表面材とを含み、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体が提供される。
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体が提供される。
また、水、カルボン酸系高分子、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を混合することによってハイドロゲルを得る工程と、
表面材と前記ハイドロゲルとを貼り合わせる工程を含み、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲル積層体の製造方法も提供される。
表面材と前記ハイドロゲルとを貼り合わせる工程を含み、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲル積層体の製造方法も提供される。
さらに、水、カルボン酸系高分子および難水溶性の多価金属塩を混合することによってゲルを得る工程と、
前記ゲルおよび表面材をパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液の存在下に貼り合わせることで前記ゲルに由来するハイドロゲルと前記表面材とを含むハイドロゲル積層体を得る工程を含み、
前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液が、前記ゲルと前記表面材との貼り合わせ面の少なくとも一方に塗布され、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲル積層体の製造方法も提供される。
前記ゲルおよび表面材をパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液の存在下に貼り合わせることで前記ゲルに由来するハイドロゲルと前記表面材とを含むハイドロゲル積層体を得る工程を含み、
前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液が、前記ゲルと前記表面材との貼り合わせ面の少なくとも一方に塗布され、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲル積層体の製造方法も提供される。
他方、水、ゲル骨格形成成分としてのカルボン酸系高分子、架橋成分としての難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含むハイドロゲルであり、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲルも提供される。
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲルも提供される。
本発明によれば、表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。
また本発明によれば、ハイドロゲルがハイドロゲル100重量部に対してパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0005〜0.25重量部含む場合、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の界面活性効果をより引き出すことができるため、表面材との接着強度により優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。
また本発明によれば、水がハイドロゲル100重量部中に50〜97重量部含まれる場合であっても、ハイドロゲルを表面材に直接貼付でき、表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。さらにこの場合、接着剤を用いず、接着処理を行うことも要さないため製造コスト的にも優位である。
また本発明によれば、カルボン酸系高分子がハイドロゲル100重量部中に1〜40重量部含まれ、かつ、1万〜500万の平均分子量を有する場合、水を保持する網目構造をより容易に構築することができるため、さらにより保水性等の物性が良好で表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。
また本発明によれば、難水溶性の多価金属塩がアルミニウム系金属塩、カルシウム系金属塩、マグネシウム系金属塩およびこれらの組み合わせから選択される場合、同様に、より保水性等の物性が良好で表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。
また本発明によれば、難水溶性の多価金属塩がハイドロゲル100重量部中に0.1〜10重量部含まれる場合、カルボン酸系高分子をより適当に架橋することができるため、さらにより保水性等の物性が良好で表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。
また本発明によれば、ハイドロゲルが保湿成分、薬効成分または保湿成分および薬効成分の両方を含む場合、より保湿効果、薬効効果または保湿効果および薬効効果の両方が良好で、表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。
また本発明によれば、表面材が非水溶性の疎水性樹脂からなるフィルムおよび不織布から選択される場合、ハイドロゲルの乾燥を防止し、ハイドロゲルを表面材により強固に接着させることができるため、表面材との接着強度により優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。
また本発明によれば、本発明のハイドロゲル積層体は表面材との接着強度に優れるため、本発明のハイドロゲル積層体は、特に、化粧用パック材、冷却用シート材および医療用貼付材として使用することができる。
本発明によれば、表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を容易に製造することができる。
本発明によれば、表面材とハイドロゲルとの間の界面においてより接着性に優れたハイドロゲル積層体を容易に製造することができる。
本発明によれば、表面材との接着性に優れたハイドロゲルを容易に得ることができる。
本発明は、水、ゲル骨格形成成分としてのカルボン酸系高分子、架橋成分としての難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含むハイドロゲルと表面材とを含み、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体である。
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体である。
具体的には、本発明のハイドロゲルは、水、ゲル骨格形成成分としてのカルボン酸系高分子、架橋成分としての難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含むため、難水溶性の多価金属塩は、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の界面活性効果、難水溶性の多価金属塩へのマスキング効果等を利用しつつ、カルボン酸系高分子を適度に架橋することができ、また、架橋反応制御効果を容易に得ることができる。このため、本発明のハイドロゲルは3次元的な網目構造を有し、その内部に水を効果的に内包させることができる。本発明において架橋反応制御効果とは、前記のマスキング効果等による難水溶性の多価金属塩とカルボン酸系高分子との錯形成能を制御し得る効果を意味する。
また、本発明のハイドロゲルは、ハイドロゲル100重量部中にパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むため、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の架橋反応制御効果を効果的かつ十分に引き出すことによって、前記の網目構造の保水力、大きさ等を容易に調節することができる。
このため、本発明のハイドロゲルは、従来問題となっていた粘着力を十分発現することができ、さらにハイドロゲルが高含水ハイドロゲルであっても前記の粘着力を十分発現することができる。これにより本発明のハイドロゲルを表面材に貼り付けた際、ハイドロゲルが脱離等を起こすことなく十分な接着性を維持することができる。よって、本発明のハイドロゲル積層体は表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体である。
以下、本発明のハイドロゲル積層体について詳説する。
以下、本発明のハイドロゲル積層体について詳説する。
(ハイドロゲル)
本発明のハイドロゲルは水、カルボン酸系高分子、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含む。このため、本発明のハイドロゲルは表面材との接着性に優れた粘着性ハイドロゲルである。
本発明のハイドロゲルは水、カルボン酸系高分子、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含む。このため、本発明のハイドロゲルは表面材との接着性に優れた粘着性ハイドロゲルである。
本発明において、カルボン酸系高分子とは、側鎖にカルボキシル基を有する親水性高分子であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の1以上のカルボキシル基を有する単量体成分に由来する高分子重合体または、前記高分子重合体中のカルボキシル基の一部あるいは全てを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物やエタノールアミン等の塩基性アミン化合物等で中和した高分子重合体を意味する。具体的には、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−スルホン酸系共重合体あるいは、それらを中和したポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明においては、ハイドロゲル内部に容易に網目構造を構築することができるため、カルボン酸系高分子はポリアクリル酸およびポリアクリル酸ナトリウムのいずれかが好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。なお、ポリアクリル酸ナトリウムを使用する場合、所望の粘着力を得ることができる限り、カルボキシル基は定量的にナトリウム塩またはその他の金属塩となっていてもよく、その一部が前記の塩となっていてもよい。
また、ハイドロゲル内の水を捕捉する空間確保の観点から、本発明で用いる高分子化合物はハイドロゲル100重量部中に、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部含まれる。
さらに、同様の観点から、本発明で用いる高分子化合物の平均分子量は1万〜500万であることが好ましい。
平均分子量が1万より低い場合、ゲル吸水時に高分子マトリックスの網目が開いた際に、それが網目の拘束から外れて溶出しやすいことがある。他方、平均分子量が500万より高い場合、例えば、これら重合体が液状の場合でも、粘度が高すぎ、仮に、水や液状の重合性単量体を用いて希釈したとしても、ゲルの原料となる配合液の粘度が十分に低下せず、ハンドリングが悪くなると共に、ゲルに成型する際に気泡が混入し、また、脱泡作業が困難になることがある。
本発明において平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)で測定した数平均分子量を意味する。
また、本発明で使用する高分子化合物は、所望の物性等に影響を与えない限り、アルキル基、ビニル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基等のその他の官能基を含んでいてもよく、その他の単量体由来の成分を含んでいてもよい。
その他の単量体としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸系単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその塩、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸とその塩等の(メタ)アクリルアミド系単量体;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド系単量体;
ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸およびその塩等のスルホン酸系単量体
等の単量体が挙げられる。これらの単量体は、1種のみを使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその塩、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸とその塩等の(メタ)アクリルアミド系単量体;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド系単量体;
ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸およびその塩等のスルホン酸系単量体
等の単量体が挙げられる。これらの単量体は、1種のみを使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
本発明においては、ハイドロゲル内部により広範囲に亘る網目構造を構築することができるため、高分子化合物は架橋性単量体由来の成分を含んでいてもよい。架橋性単量体の具体例として、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、ジアリルアンモニウムクロライド等を挙げることができ、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、本発明で使用する高分子化合物は、高分子化合物を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、粘着力等に影響を与えない限り、その他の重合体成分を含んでいてもよい。
さらに、本発明のハイドロゲルは難水溶性の多価金属塩を含むため、難水溶性の多価金属塩が高分子化合物との架橋構造を形成し、その結果、ハイドロゲル内に適度に水を捕捉する3次元的空間を確保することができる。
本発明において難水溶性の多価金属塩とは、水に対して溶解性を実質的に示さない二価以上の金属イオンを含む金属塩を意味し、アルミニウム系金属塩、カルシウム系金属塩、マグネシウム系金属塩等を挙げることができる。より具体的には、難水溶性の多価金属塩として、水酸化アルミニウムおよびその塩、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、マグネシウムアルミニウム酸化物、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、マグネシウムアルミニウムハイドロオキサイドカーボネートハイドレート、水酸化アルミニウム炭酸ナトリウム共沈澱物の三価のアルミニウムイオンを含む化合物が好適であり、さらには非晶質構造であるものがより好適である。所望の架橋構造、網目構造等をより容易に構築することができるため、難水溶性の多価金属塩としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウムがより好ましい。
また、同様の観点から、本発明のハイドロゲルは、難水溶性の多価金属塩をハイドロゲル100重量部に対して、0.1〜10重量部含むことが好ましく、0.5〜8重量部含むことがより好ましい。
さらに本発明においては、前記のパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の技術的効果をより効果的に引き出すことができるため、高分子化合物と難水溶性の多価金属塩との組み合わせとして、ポリアクリル酸ナトリウムとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの組み合わせが好ましい。
本発明においては、本発明のハイドロゲルはパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含むため、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の界面活性効果等を利用し、ハイドロゲル内部に水をより容易に内包させることができる。具体的には、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩は、アスコルビン酸がリン酸エステル化され、また、高級脂肪酸エステル化されているため、適度な架橋反応制御効果を得ることができる。
所望の技術的効果を得ることができるため、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩に含まれるアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等が好ましく、ナトリウムがより好ましい。よって、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩としてはパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムが好ましい。
また、前記の架橋反応制御効果をより効果的に引き出すことができるため、本発明のハイドロゲルは、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩をハイドロゲル100重量部中に、0.0001重量部以上含む。0.0001重量部より少ないとハイドロゲルと表面材との接着性が向上しない場合がある。一方、多量に添加しても、それ以上のハイドロゲルと表面材との接着性向上効果が見られなくなり、ゲルがちぎれ易くなったり、製造コストが上昇することがある。このため、本発明のハイドロゲルは、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩をハイドロゲル100重量部中に0.0001〜0.3重量部含むことが好ましく、0.0005〜0.25重量部含むことがより好ましく、0.001〜0.2重量部含むことが特に好ましい。例えば、ハイドロゲルは、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩をハイドロゲル100重量部中に0.0001、0.0005、0.001、0.01、0.02、0.1、0.2、0.25または0.3重量部含む。
本発明においては、所望の接着性を得ることができる限り、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩はハイドロゲル内で均一に存在してもよく、偏在していてもよい。特に表面材とハイドロゲルとの貼り合わせ面に偏在していてもよい。この場合、貼り合わせ面において、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の界面活性効果、難水溶性の多価金属塩へのマスキング効果等をより引き出すことができる。
本発明のハイドロゲル積層体に用いられるハイドロゲルは水を含む。ここで、水の含有量が少ないと、人体等に対する粘着力が強すぎて、使用感が悪くなったり、べたつきが問題となることがある。一方、水の含有量が多いと、ハイドロゲルの強度が不十分となることがある。また、ハイドロゲルと表面材との接着力が不十分となることがある。このため、水はハイドロゲル100重量部中に50〜97重量部含むことが好ましく、60〜85重量部含むことがより好ましい。本発明では、ハイドロゲル100重量部中に水が50重量部以上含まれる場合に高含水ハイドロゲルという。本発明のハイドロゲル積層体は表面材との接着強度に優れるため、前記のような高含水ハイドロゲルであっても表面材との接着力に優れている。
なお、前記の水はハイドロゲルの物性に影響を与えない限り、その他の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等を含んでいてもよく、無機塩、有機塩等を含んでいてもよい。
さらに、本発明においては、より保湿効果、薬効効果または保湿効果および薬効効果に優れたハイドロゲルを得ることができるため、本発明のハイドロゲルは保湿成分、薬効成分または保湿成分および薬効成分の両方を含むことが好ましい。
具体的には、保湿成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルビトール、トレハロース、ラフィノース、キシリトール、マンニトール、ヒアルロン酸およびその塩、トレハロースやラフィノース等の各種誘導体、トリメチルグリシン、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ヒアルロン酸およびその塩等のグリコール類、多価アルコール類および多糖類等が挙げられる。
また、薬効成分として、美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分、海藻エキス等が挙げられる。保湿成分および薬効成分はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、保湿効果、薬効効果を十分に得ることができるため、保湿成分、薬効成分はそれぞれハイドロゲル100重量部に対して1〜30重量部、0.0001〜10重量部含まれることが好ましく、2〜20重量部、0.001〜5重量部含まれることがより好ましい。
他方、本発明のハイドロゲルは中間基材を含むことがハイドロゲルへの強度付与等の観点から好ましい。具体的には、本発明の中間基材はナイロン6等によって製造される編布等が挙げられる。
本発明においては、ハイドロゲルの可塑性を向上させ、良好な粘弾性を導入することができるため、ハイドロゲルは可塑剤を含んでいてもよい。また、可塑剤としては、溶媒成分の保持力があり、湿潤剤としての役割も果たす多価アルコールを用いることができる。
具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等のジオール;
グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の2価以上の多価アルコール類;
ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体;
ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変性体
等が使用可能である。これら多価アルコールは、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これら多価アルコールの内、常温で液状であることが、ゲルの粘弾性特性を維持する点、重合反応後のゲル体の透明性を確保する点、製造時のハンドリング性を向上させる点等で好ましい。そのような多価アルコールとして、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の2価以上の多価アルコール類;
ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体;
ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変性体
等が使用可能である。これら多価アルコールは、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これら多価アルコールの内、常温で液状であることが、ゲルの粘弾性特性を維持する点、重合反応後のゲル体の透明性を確保する点、製造時のハンドリング性を向上させる点等で好ましい。そのような多価アルコールとして、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
また、本発明に係るパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の架橋反応制御効果をより引き出すことができるため、ハイドロゲル内のpH調整を目的にpH調整成分として酒石酸等の酸成分や塩基性成分がハイドロゲル内に含まれていてもよい。
本発明においては、ハイドロゲルの所望の物性に影響を与えない限り、ハイドロゲルは、他に油剤、粉体(顔料、色素)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、紫外線防御剤(有機系、無機系を含む。UV−A、Bのいずれに対応していても構わない)、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤等の各種成分を含むこともできる。
本発明のハイドロゲル積層体、ハイドロゲル等の形状は、適用部位の形状、所望の物性等に合わせて、正方形、長方形、円形、ハート形、半円形、半楕円形またはこれらを組み合わせた形状等として用いることができる。また、よりしなやかで、使用感に優れたハイドロゲルを得ることができるため、本発明のハイドロゲルは、0.3〜2mmの厚みを有することが好ましく、0.5〜1.5mmの厚みを有することがより好ましい。
(ハイドロゲルの製造方法)
本発明においては、ハイドロゲルは公知の製造方法を用いて製造することができる。具体的には、ハイドロゲルは、予め製造した高分子化合物と、水、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩等のその他の成分を混合してもよく、高分子化合物を得るためのモノマー配合液を作製し、高分子化合物を得るための重合反応を行いつつ、その他の成分を配合してもよい。また、ハイドロゲルは、予め製造した高分子化合物と、水、難水溶性の多価金属塩等のその他の成分を混合することによって予めゲルを作製し、次いでパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液をゲルに塗布すること等によってハイドロゲルを製造してもよい。
本発明においては、ハイドロゲルは公知の製造方法を用いて製造することができる。具体的には、ハイドロゲルは、予め製造した高分子化合物と、水、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩等のその他の成分を混合してもよく、高分子化合物を得るためのモノマー配合液を作製し、高分子化合物を得るための重合反応を行いつつ、その他の成分を配合してもよい。また、ハイドロゲルは、予め製造した高分子化合物と、水、難水溶性の多価金属塩等のその他の成分を混合することによって予めゲルを作製し、次いでパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液をゲルに塗布すること等によってハイドロゲルを製造してもよい。
本発明においては、所望のハイドロゲルを容易に得ることができるため、予め製造した高分子化合物と前記のその他の成分とを混合することが好ましい。また、混合方法としては、その他の成分を高分子化合物に同時に、連続的に、逐次的に混合してもよく、個別に混合してもよい。本発明においては、容易、かつ、均一に、接着性に優れたハイドロゲル積層体を製造することができるため、両者を同時に混合することもできる。また、混合方法としては、通常用いられている混合器、ミキサー等を用いて行うことができる。
(ハイドロゲル積層体)
本発明のハイドロゲルは優れた表面材との接着性を有するため、本発明のハイドロゲルと表面材とを組み合わせることによって、表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる(図1参照)。
本発明のハイドロゲルは優れた表面材との接着性を有するため、本発明のハイドロゲルと表面材とを組み合わせることによって、表面材との接着強度に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる(図1参照)。
表面材としては、紙、セルロース系、ポリウレタン系のフィルムや不織布、樹脂フィルムや不織布が挙げられる。この中でも、非水溶性の疎水性樹脂からなるフィルムや不織布が乾燥防止の点から好ましい。非水溶性の疎水性樹脂からなる不織布としては、例えば、ポリエチレン(PE)系不織布、ポリプロピレン系(PP)不織布、レーヨン系不織布、ポリエステル(PET)系不織布及びこれらの芯鞘構造化した不織布が挙げられ、非水溶性の疎水性樹脂からなるフィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエステル(PET)フィルム、アクリル系樹脂フィルム等が挙げられる。なお、表面材の厚さは、特に限定されないが、例えば10〜500μmの間で適宜設定できる。ここで、非水溶性とは、20℃の水100gに1g以上溶解しないことを意味する。
本発明によれば、
水、カルボン酸系高分子、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を混合することによってハイドロゲルを得る工程と、
表面材とハイドロゲルとを貼り合わせる工程を含む製造方法によって、
ハイドロゲル100重量部に対してパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体を作製することができる。前記の方法によれば、公知の混合方法、貼付方法に従って接着性に優れたハイドロゲル積層体を極めて容易に得ることができる。
水、カルボン酸系高分子、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を混合することによってハイドロゲルを得る工程と、
表面材とハイドロゲルとを貼り合わせる工程を含む製造方法によって、
ハイドロゲル100重量部に対してパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体を作製することができる。前記の方法によれば、公知の混合方法、貼付方法に従って接着性に優れたハイドロゲル積層体を極めて容易に得ることができる。
また、本発明によれば、
水、カルボン酸系高分子および難水溶性の多価金属塩を混合することによってゲルを得る工程と、
ゲルおよび表面材をパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液の存在下に貼り合わせることでゲルに由来するハイドロゲルと表面材とを含むハイドロゲル積層体を得る工程を含み、
パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液が、ゲルと表面材との貼り合わせ面の少なくとも一方に塗布される製造方法によって、
ハイドロゲル100重量部に対してパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体を作製することもできる。この場合、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩が表面材に接触するハイドロゲルの表層に存在するため、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の界面活性効果、難水溶性の多価金属塩へのマスキング効果等をより引き出すことによって、より接着性に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。また、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩量を調整することによって、より容易に貼り合わせ面における接着性を適宜調整することもできる。
水、カルボン酸系高分子および難水溶性の多価金属塩を混合することによってゲルを得る工程と、
ゲルおよび表面材をパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液の存在下に貼り合わせることでゲルに由来するハイドロゲルと表面材とを含むハイドロゲル積層体を得る工程を含み、
パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液が、ゲルと表面材との貼り合わせ面の少なくとも一方に塗布される製造方法によって、
ハイドロゲル100重量部に対してパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体を作製することもできる。この場合、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩が表面材に接触するハイドロゲルの表層に存在するため、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩の界面活性効果、難水溶性の多価金属塩へのマスキング効果等をより引き出すことによって、より接着性に優れたハイドロゲル積層体を得ることができる。また、パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩量を調整することによって、より容易に貼り合わせ面における接着性を適宜調整することもできる。
本発明のハイドロゲル積層体は、好適なハイドロゲルを含むため、剥離試験において、好ましくは30gf/20mm以上(もしくは材料破壊)、より好ましくは40gf/20mm以上(もしくは材料破壊)の接着強度を示す。30gf/20mm以上であれば通常の使用において表面材の剥離が発生しにくい。なお、剥離試験の評価手順、評価方法等については実施例において詳説する。
前記剥離試験の結果、本発明のハイドロゲル積層体はハイドロゲルと表面材との接着性に優れるため、本発明のハイドロゲル積層体は、化粧用パック材、冷却用シート材、医療用貼付材等の用途において好適に使用することができる。
(ハイドロゲル積層体の剥離試験方法)
ハイドロゲルと表面材とを含むハイドロゲル積層体を幅20mm、長さ100mmの短冊状にカットする。次に引張り試験機(テンシロン、オリエンテック社製、製品名RTE−1210)にて表面材の剥離強度を測定する。測定は上記短冊状の試験片のベースフィルムを剥がしたのち、ハイドロゲルを片方の測定冶具に固定し、もう片方の冶具には表面材のみを固定し、300mm/分の速度で引き剥がす(T剥離)方法にて実施する(図2参照)。剥離力は引き剥がしから20、30、40、50、60mmでの引張り力の平均を接着強度とする(単位:gf/20mm)。
ハイドロゲルと表面材とを含むハイドロゲル積層体を幅20mm、長さ100mmの短冊状にカットする。次に引張り試験機(テンシロン、オリエンテック社製、製品名RTE−1210)にて表面材の剥離強度を測定する。測定は上記短冊状の試験片のベースフィルムを剥がしたのち、ハイドロゲルを片方の測定冶具に固定し、もう片方の冶具には表面材のみを固定し、300mm/分の速度で引き剥がす(T剥離)方法にて実施する(図2参照)。剥離力は引き剥がしから20、30、40、50、60mmでの引張り力の平均を接着強度とする(単位:gf/20mm)。
本発明においては、
(1)接着強度が30gf/20mm以上(もしくは材料破壊)である場合:合格(○)
(2)接着強度が30gf/20mm未満である高い場合:不合格(×)
と判定する。
(1)接着強度が30gf/20mm以上(もしくは材料破壊)である場合:合格(○)
(2)接着強度が30gf/20mm未満である高い場合:不合格(×)
と判定する。
実施例1
30重量%酒石酸水溶液(酸液)、メチルパラベン(防腐剤)の10重量%DPG溶液(メチルパラベン液)、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム(昭和電工社製、製品名アプレシエ)の5重量%水溶液(アスコルビン酸液)をそれぞれ作製した。次にゲル骨格成分としてのポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成株式会社製、製品名アロンビス、平均分子量30万)4gと架橋成分としてのメタケイ酸アルミン酸マグネシウム1gを混合し、それらをDPG(ジプロピレングリコール)9.1g中に分散させ、次いで、それらにメチルパラベン液1g、薬効成分として海藻エキス0.1g、アスコルビン酸液0.02g、水78.11gおよび酸液6.67gを加え、撹拌して混合液を作製した。得られた下記の表1に示す組成を有する混合液を、手早く100μm厚のシリコン処理を施したPETフィルム(ベースフィルム)の上に展延した。混合液の周囲に厚み1mmのスペーサーを置き、中間基材としてナイロン6製編布(ナイロン6の密度は1.14g/cm3、15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、編布目付量17g/m2)を展延した混合液の上に乗せ、さらに混合液を前記中間基材の上に展延し、最上部に表面材として38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。その状態で24時間室温静置、固化させた。ハイドロゲルの片面で表面材のPETフィルムが積層され、ハイドロゲル層の厚みが約1.0mmのハイドロゲル積層体を得た。
30重量%酒石酸水溶液(酸液)、メチルパラベン(防腐剤)の10重量%DPG溶液(メチルパラベン液)、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム(昭和電工社製、製品名アプレシエ)の5重量%水溶液(アスコルビン酸液)をそれぞれ作製した。次にゲル骨格成分としてのポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成株式会社製、製品名アロンビス、平均分子量30万)4gと架橋成分としてのメタケイ酸アルミン酸マグネシウム1gを混合し、それらをDPG(ジプロピレングリコール)9.1g中に分散させ、次いで、それらにメチルパラベン液1g、薬効成分として海藻エキス0.1g、アスコルビン酸液0.02g、水78.11gおよび酸液6.67gを加え、撹拌して混合液を作製した。得られた下記の表1に示す組成を有する混合液を、手早く100μm厚のシリコン処理を施したPETフィルム(ベースフィルム)の上に展延した。混合液の周囲に厚み1mmのスペーサーを置き、中間基材としてナイロン6製編布(ナイロン6の密度は1.14g/cm3、15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、編布目付量17g/m2)を展延した混合液の上に乗せ、さらに混合液を前記中間基材の上に展延し、最上部に表面材として38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。その状態で24時間室温静置、固化させた。ハイドロゲルの片面で表面材のPETフィルムが積層され、ハイドロゲル層の厚みが約1.0mmのハイドロゲル積層体を得た。
実施例2
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムと水の配合量を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムと水の配合量を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例3
実施例1の表面材を表1に記載のようにLDPE#60(60μm低密度ポリエチレンフィルム(富士カガク社製))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1の表面材を表1に記載のようにLDPE#60(60μm低密度ポリエチレンフィルム(富士カガク社製))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例4
実施例1の表面材を表1に記載のようにHDPE#60(60μm高密度ポリエチレンフィルム(タマ化学社製))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1の表面材を表1に記載のようにHDPE#60(60μm高密度ポリエチレンフィルム(タマ化学社製))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例5
実施例1の表面材を表1に記載のようにOPP#40(40μmポリプロピレンフィルム(二村化学社製))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1の表面材を表1に記載のようにOPP#40(40μmポリプロピレンフィルム(二村化学社製))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例6
実施例1の表面材を表1に記載のようにPET製不織布(ポリエステル製不織布(シンワ社製、製品名9825−8F))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1の表面材を表1に記載のようにPET製不織布(ポリエステル製不織布(シンワ社製、製品名9825−8F))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例7
実施例1の表面材を表1に記載のようにPP製不織布(ポリプロピレン製不織布(出光ユニテック社製、製品名RW2070))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1の表面材を表1に記載のようにPP製不織布(ポリプロピレン製不織布(出光ユニテック社製、製品名RW2070))に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例8
30重量%酒石酸水溶液(酸液)、メチルパラベン(防腐剤)の10重量%DPG溶液(メチルパラベン液)、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム(昭和電工社製、製品名アプレシエ)の5重量%水溶液(アスコルビン酸液)をそれぞれ作製した。次に、ゲル骨格成分としてのポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量30万)4gと架橋成分としてのメタケイ酸アルミン酸マグネシウム1gを混合し、それらをDPG9.1g中に分散させ、次いで、それらにメチルパラベン液1g、薬効成分として海藻エキス0.1g、水77.73gおよび酸液6.67gを加え、撹拌して混合液を作製した。得られた下記の表1に示す組成を有する混合液を、手早く100μm厚のシリコン処理を施したPETフィルム(ベースフィルム)の上に展延した。混合液の周囲に厚み1mmのスペーサーを置き、中間基材としてナイロン6製編布(ナイロン6の密度は1.14g/cm3、15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、編布目付量17g/m2)を展延した混合液の上に乗せ、さらに混合液(総量99.6g)を前記中間基材の上に展延した。その表面に前記5%アスコルビン酸液を0.4g(ハイドロゲル総量に対して0.02重量%)塗布した後、最上部に表面材として38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。その状態で24時間室温静置、固化させた。粘着性高含水ハイドロゲルの片面が表面材のPETフィルムが積層され、ハイドロゲル層の厚みが約1.0mmのハイドロゲル積層体を得た。
30重量%酒石酸水溶液(酸液)、メチルパラベン(防腐剤)の10重量%DPG溶液(メチルパラベン液)、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム(昭和電工社製、製品名アプレシエ)の5重量%水溶液(アスコルビン酸液)をそれぞれ作製した。次に、ゲル骨格成分としてのポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量30万)4gと架橋成分としてのメタケイ酸アルミン酸マグネシウム1gを混合し、それらをDPG9.1g中に分散させ、次いで、それらにメチルパラベン液1g、薬効成分として海藻エキス0.1g、水77.73gおよび酸液6.67gを加え、撹拌して混合液を作製した。得られた下記の表1に示す組成を有する混合液を、手早く100μm厚のシリコン処理を施したPETフィルム(ベースフィルム)の上に展延した。混合液の周囲に厚み1mmのスペーサーを置き、中間基材としてナイロン6製編布(ナイロン6の密度は1.14g/cm3、15デニールのモノフィラメント糸をトリコットハーフ織りしたもの、編布目付量17g/m2)を展延した混合液の上に乗せ、さらに混合液(総量99.6g)を前記中間基材の上に展延した。その表面に前記5%アスコルビン酸液を0.4g(ハイドロゲル総量に対して0.02重量%)塗布した後、最上部に表面材として38μm厚のPETフィルムをかぶせ、その上から平坦な金属板でプレスした。その状態で24時間室温静置、固化させた。粘着性高含水ハイドロゲルの片面が表面材のPETフィルムが積層され、ハイドロゲル層の厚みが約1.0mmのハイドロゲル積層体を得た。
実施例9
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムと水の配合量を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムと水の配合量を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例1
実施例1においてパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1においてパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例2
実施例3においてパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを使用しなかったこと以外は、実施例3と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例3においてパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを使用しなかったこと以外は、実施例3と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例3
実施例4においてパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを使用しなかったこと以外は、実施例4と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例4においてパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを使用しなかったこと以外は、実施例4と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例4
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸ナトリウム(第一ファインケミカル社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸ナトリウム(第一ファインケミカル社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例5
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸2−リン酸マグネシウム(昭和電工社製、製品名アスコルビン酸PM)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸2−リン酸マグネシウム(昭和電工社製、製品名アスコルビン酸PM)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例6
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸2−グルコシド(テクノーブル社製、製品名AS−G)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸2−グルコシド(テクノーブル社製、製品名AS−G)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例7
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム(日光ケミカルズ社製、製品名NIKKOL VC−SS)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
実施例1のパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを表1に記載のようにアスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム(日光ケミカルズ社製、製品名NIKKOL VC−SS)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例8
比較例2の表面材としての38μm厚のPETフィルムの代わりに、アクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルの共重合による粘着剤を38μm厚のPETフィルムに積層した粘着テープを、粘着剤面をゲル面に接触するように用いたこと以外は比較例2と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
比較例2の表面材としての38μm厚のPETフィルムの代わりに、アクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルの共重合による粘着剤を38μm厚のPETフィルムに積層した粘着テープを、粘着剤面をゲル面に接触するように用いたこと以外は比較例2と同様にしてハイドロゲル積層体を得た。
表1および2において、実施例1〜9および比較例1〜8の原料種、評価結果を詳説する。
実施例1〜9については、ハイドロゲルが表面材に強固に積層されており、剥離時にハイドロゲルが破壊した。他方、比較例1〜8については表面材からハイドロゲルが簡単に、きれいに剥がれてしまうことがわかる。
実施例10
各実施例及び比較例のハイドロゲル積層体を顔全体を覆う型に打ち抜いた化粧品パックのサンプルを作成し、ベースフィルムを剥離して顔上に乗せ、20分後に剥がした時の使用性及び保湿感を評価したところ、実施例は表面材の剥がれも無く、パック効果が高く、保湿感が感じられた。比較例については、使用時に表面材が部分的に剥がれてしまい、使用性が悪かった。また、浮いたところはパック効果も弱く、保湿感も十分ではなかった。
各実施例及び比較例のハイドロゲル積層体を顔全体を覆う型に打ち抜いた化粧品パックのサンプルを作成し、ベースフィルムを剥離して顔上に乗せ、20分後に剥がした時の使用性及び保湿感を評価したところ、実施例は表面材の剥がれも無く、パック効果が高く、保湿感が感じられた。比較例については、使用時に表面材が部分的に剥がれてしまい、使用性が悪かった。また、浮いたところはパック効果も弱く、保湿感も十分ではなかった。
本発明の実施例に係るハイドロゲル積層体は、剥離試験において優れた接着強度、状態を示している。このため、本発明のハイドロゲル積層体は表面材との接着性に優れたハイドロゲル積層体であるといえる。このため、本発明のハイドロゲル積層体は、化粧用パック材、冷却用シート材、医療用貼付材等の用途において好適に使用することができる。
a1 表面材
a2 中間基材
a3 ハイドロゲル
a2 中間基材
a3 ハイドロゲル
b1 300mm/分で上昇
b2 測定治具(可動)
b3 表面材
b4 ハイドロゲル(中間基材を含む)
b5 測定治具(固定)
b2 測定治具(可動)
b3 表面材
b4 ハイドロゲル(中間基材を含む)
b5 測定治具(固定)
Claims (12)
- 水、ゲル骨格形成成分としてのカルボン酸系高分子、架橋成分としての難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含むハイドロゲルと表面材とを含み、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル積層体。 - 前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0005〜0.25重量部含む請求項1に記載のハイドロゲル積層体。
- 前記水が、前記ハイドロゲル100重量部中に50〜97重量部含まれる請求項1又は2に記載のハイドロゲル積層体。
- 前記カルボン酸系高分子が、前記ハイドロゲル100重量部中に1〜40重量部含まれ、かつ、1万〜500万の平均分子量を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体。
- 前記難水溶性の多価金属塩が、アルミニウム系金属塩、カルシウム系金属塩、マグネシウム系金属塩およびこれらの組み合わせから選択される請求項1〜4のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体。
- 前記難水溶性の多価金属塩が、前記ハイドロゲル100重量部中に0.1〜10重量部含まれる請求項1〜5のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体。
- 前記ハイドロゲルが、保湿成分、薬効成分または保湿成分および薬効成分の両方を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体。
- 前記表面材が、非水溶性の疎水性樹脂からなるフィルムおよび不織布から選択される請求項1〜7のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体。
- 前記ハイドロゲル積層体が、化粧用パック材、冷却用シート材および医療用貼付材のいずれかである請求項1〜8のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体。
- 請求項1〜9のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体の製造方法であって、
水、カルボン酸系高分子、難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を混合することによってハイドロゲルを得る工程と、
表面材と前記ハイドロゲルとを貼り合わせる工程を含み、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲル積層体の製造方法。 - 請求項1〜9のいずれか1つに記載のハイドロゲル積層体の製造方法であって、
水、カルボン酸系高分子および難水溶性の多価金属塩を混合することによってゲルを得る工程と、
前記ゲルおよび表面材をパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液の存在下に貼り合わせることで前記ゲルに由来するハイドロゲルと前記表面材とを含むハイドロゲル積層体を得る工程を含み、
前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩水溶液が、前記ゲルと前記表面材との貼り合わせ面の少なくとも一方に塗布され、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含む
ハイドロゲル積層体の製造方法。 - 水、ゲル骨格形成成分としてのカルボン酸系高分子、架橋成分としての難水溶性の多価金属塩およびパルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を含むハイドロゲルであり、
前記ハイドロゲルが、前記ハイドロゲル100重量部に対して前記パルミチン酸アスコルビルリン酸のアルカリ金属塩を0.0001重量部以上含むハイドロゲル。
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