JP2006271927A - 創傷被覆用組成物、及び創傷シート状創傷被覆材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、乾燥及び湿潤皮膚に対する粘着力に優れ、かつ剥がすときに皮膚を傷つけない適度の粘着力及び凝集力を有し、皮膚への糊残りもない、シート状創傷被覆材用組成物、並びに、それらを用いたシート状創傷被覆材用を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体と蜂蜜とを必須成分とする組成物であり、本組成物が(メタ)アクリルエステル系共重合体と本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤、多価アルコール、および蜂蜜からなることにより、より効果的に本課題を達成できる。
【解決手段】本発明のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体と蜂蜜とを必須成分とする組成物であり、本組成物が(メタ)アクリルエステル系共重合体と本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤、多価アルコール、および蜂蜜からなることにより、より効果的に本課題を達成できる。
Description
本発明は、乾燥及び湿潤皮膚に対する十分な接着力を有し、皮膚から剥離する際に糊残りのない、創傷治癒に優れた効果を有するシート状創傷被覆材用組成物、およびシート状創傷被覆材に関する。
蜂蜜が、創傷、火傷、皮膚潰瘍、などの治療および皮膚細胞活性化用化粧品として有効であることは古くから周知であり広く応用されてきた。創傷などの損傷皮膚の治癒プロセスにおける組織の再増殖は湿潤環境によって促進され、かつ組織の再増殖が湿潤状況においてより速やかに再生することは最近の知見である。一方において湿潤状況は感染菌の増殖にも好都合である。患部のバクテリヤ感染防止のための防腐剤は組織損傷を引き起こし、それによって治癒プロセスを遅延させる。それに反し、蜂蜜は組織損傷を起こさず、しかも実際に治癒プロセスを促進する働きを有する。特にニュージーランド原産のマヌカハニーは細胞活性化と共に抗菌作用をも有することが知られている。
蜂蜜を含有する皮膚治療剤および皮膚用化粧品は現在まで公知である。特表2003−516357には、蜂蜜を主成分とする医療用ドレッシングが報告されているが、本特許に開示されている剤形は軟膏、ゲル、パテ、などの形態であり創傷皮膚への手当てにはガーゼ、包帯、などが必要であり取り扱いに極めて不便である。
特表2004−527453号公報には蜂蜜を含む組成物と基材とを含有する被覆剤が報告されている。しかしながら本特許に開示されている被覆剤はきわめて複雑な構成であり製造法の難易度が高く、かつ複数の層から構成されているためフレキシビリティに乏しくなりがちであり創傷患部への密着も悪いという欠点を有する。
特表2004−527453号公報には蜂蜜を含む組成物と基材とを含有する被覆剤が報告されている。しかしながら本特許に開示されている被覆剤はきわめて複雑な構成であり製造法の難易度が高く、かつ複数の層から構成されているためフレキシビリティに乏しくなりがちであり創傷患部への密着も悪いという欠点を有する。
本発明の目的は、蜂蜜の有する優れた細胞再生力、殺菌力、に注目して、現在の蜂蜜含有皮膚治療剤、化粧品の欠点を解消した新剤形であるシート状創傷被覆材を提供することにある。本被覆材は、乾燥及び湿潤皮膚に対する粘着力に優れ、かつ剥がすときに皮膚を傷つけない適度の粘着力及び凝集力を有し、皮膚への糊残りもない粘着剤組成物からなるものであって、本組成物を用いた簡明な構造であり、取り扱い性に優れシート状創傷被覆材を提供することを目的とする。
請求項1記載のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体と蜂蜜との組み合わせを必須成分とする組成物である。
請求項2記載のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体と蜂蜜との組合わせを含む組成物であり組成物中の少なくとも0.1%は蜂蜜であることを特徴とする組成物である。
請求項3記載のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体が水中膨潤度10−900%であることを特徴とする組成物である。
請求項4記載のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体、本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤、多価アルコール、および蜂蜜とからなる組成物であることを特徴とする。
請求項5記載のシート状創傷被覆材用組成物は、その成分である(メタ)アクリルエステル系共重合体の水中膨潤度が10−900%であることを特徴とする。
請求項6記載のシート状創傷被覆材用組成物は、水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体100重量部、本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤10−100重量部、多価アルコール5−80重量部、および蜂蜜0.2−100重量部からなる組成物であることを特徴とする。
請求項7記載のシート状創傷被覆材用組成物は、請求項4記載のシート状創傷被覆材用組成物における前記水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体が、アクリル酸メトキシエチルと(メタ)アクリル酸ラウリルを最大必須成分とする(メタ)アクリルエステル系共重合体であることを特徴とする。
請求項8記載のシート状創傷被覆材用組成物は、請求項4記載のシート状創傷被覆材用組成物における前記水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体が、アクリル酸メトキシエチルと(メタ)アクリル酸ラウリルを最大必須成分とし、さらにN−ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルを構成モノマーとする(メタ)アクリルエステル系共重合体であることを特徴とする。
請求項9記載のシート状創傷被覆材用組成物は、請求項4〜8のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物中において前記(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤が、コスモール13、ラブラヒールM1944CS、スパン80、85、ツイン80、85、から選ばれ少なくとも一種以上であることを特徴とする。
請求項10記載のシート状創傷被覆材用組成物は、請求項4〜9のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物中において前記多価アルコールが、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上であることを特徴とする。
請求項11記載のシート状創傷被覆材用組成物は、請求項1〜10のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物中において前記蜂蜜がマヌカハニーであることを特徴とする。
請求項12記載のシート状創傷被覆材用組成物は、請求項1〜11のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物が、皮膚用有価物を溶解もしくは分散していることを特徴とする。本発明の皮膚有価物の例としては皮膚細胞再生に効果を有する本組成物中に安定に存在する化合物であれば特に制限されない。例えば、ビタミンE等の血行促進成分、ヒアルロン酸のような細胞活性化成分、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンK等のビタミン類、等が特に好適に含有される。
請求項13記載のシート状創傷被覆材用組成物は、請求項1〜12のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物中において前記粘着剤が、多価イソシアネート、アルミニウムアセチルアセトネート又はアルミニウムグリシネートより選ばれる少なくとも一種以上の架橋剤によって後架橋されていることを特徴とする。
請求項14記載の創傷被覆材は、請求項1〜13のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物層からなるシート状被覆材であることを特徴とする。
請求項15記載の皮膚用テープは、請求項1〜13のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物よりなる層が、支持体の少なくとも片面に設けられてなることを特徴とする。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の請求項1記載のシート状創傷被覆材用組成物においては、(メタ)アクリルエステル系共重合体を基材として用いる。より具体的には(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、アクリル酸メトキシエチル等のようなアクリル酸エステルを主モノマーとし、アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒトロキシエチル、ビニルピロリドン、などのような親水性モノマーを共重合させて得ることが出来る。本発明の必須成分である蜂蜜は日本薬局方蜂蜜、化粧品原料用蜂蜜、マヌカハニー、等を用いる。蜂蜜は組成物中に均一に溶解あるいは分散し本発明の組成物に優れた細胞再生能、殺菌性能、等を与える。
本発明の請求項1記載のシート状創傷被覆材用組成物においては、(メタ)アクリルエステル系共重合体を基材として用いる。より具体的には(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、アクリル酸メトキシエチル等のようなアクリル酸エステルを主モノマーとし、アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒトロキシエチル、ビニルピロリドン、などのような親水性モノマーを共重合させて得ることが出来る。本発明の必須成分である蜂蜜は日本薬局方蜂蜜、化粧品原料用蜂蜜、マヌカハニー、等を用いる。蜂蜜は組成物中に均一に溶解あるいは分散し本発明の組成物に優れた細胞再生能、殺菌性能、等を与える。
本発明の請求項2記載のシート状創傷被覆材用組成物における蜂蜜の基材中の配合量は0.1重量%以上である。配合量が0.1重量%以下であると創傷治癒に関する有効性を発揮しにくい。
本発明のシート状創傷被覆材用組成物において、水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体を用いると本発明の目的達成にさらに有効である(請求項3)。本発明における水中膨潤度は以下のように定義される。(メタ)アクリルエステル系共重合体の一定量(重量w)を36℃の水中に24時間浸漬した後取り出し表面付着の水を除去した後の重量(W)を測定する。水中膨潤度={(W/w)−1}x100で定義される。
水中膨潤度が10%以上であり900%以下である(メタ)アクリルエステル系共重合体は本発明の組成物の必須構成物である蜂蜜の多量含浸に有利であり、本(メタ)アクリルエステル系共重合体を用いる創傷被覆材は、湿潤皮膚への密着性、創傷部からの滲出液の吸収、等に関して良好でありかつ創傷部からの滲出液によって膨潤が大きく型崩れを起こしにくい。
本発明の請求項4記載のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体、本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤、多価アルコール、および蜂蜜からなる。アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤の添加により組成物に適度の柔らかさを与えて皮膚への追随を良くしまた皮膚への接着力が強化される。多価アルコールは粘着剤組成物を親水化し湿潤皮膚への接着力を上げることと、より重要な働きとして組成物を創傷部に貼付した場合滲出液を吸収し治癒を促進することにある。
水中膨潤度10〜900%の(メタ)アクリルエステル系共重合体を上記組成物に用いるとさらに有効性が増加する(請求項5)
水中膨潤度10〜900%の(メタ)アクリルエステル系共重合体を上記組成物に用いるとさらに有効性が増加する(請求項5)
本発明の請求項6記載のシート状創傷被覆材用組成物は、上記水中膨潤度10〜900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体100重量部に上記可塑剤を10−100重量部添加する。可塑剤量が10部より少ないと添加の目的達成には不十分でありまた100部より多いと組成物の凝集力が弱くなりすぎて良好な皮膚用粘着剤となりがたい。本発明の可塑剤としてはコスモール13、ラビラヒールM1944CS、スパン80、85、ツイン80、85、などが好適に用いられる(請求項9)。
上記水中膨潤度10〜900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体を重合する具体的方策としては(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチル、等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし10%以上アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒトロキシエチル、ビニルピロリドン、などのような親水性モノマーと共重合させればよい。またはアクリル酸メトキシエチル等のような親水性モノマーを主モノマーとして(メタ)アクリル酸ラウリルのような疎水性モノマーと共重合させて得ることが出来る(請求項7)。アクリル酸メトキシエチルは全モノマー中の40−50重量%が望ましく、また(メタ)アクリル酸ラウリルは30−45重量%が望ましい。
本発明においては、上記(メタ)アクリルエステル系共重合体に上記多価アルコールを添加するとさらに創傷治癒に有効である。上記多価アルコールの添加量は(メタ)アクリルエステル系共重合体100部に対し5−80重量部である。多価アルコールの添加量が80部以上になると組成物中で多価アルコールの溶解度を越えてブリードが起こりがちである。また5部以下であると組成物の親水化が不十分であり滲出液の吸収性能が発揮できない(請求項6)。多価アルコールとしてはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上が好適に用いられる(請求項10)。
本発明における必須成分である蜂蜜の添加量は上記(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対し0.2〜100重量部である(請求項6)。100部以上になると組成物中でブリードし組成物の皮膚接着性を低下させがちである。また0.2部以下であると細胞再生、殺菌、などの性能を十分に発揮できないことがある。日本薬局方蜂蜜、化粧品用蜂蜜等が好適に用いうるが中でもニュージーランド原産のマヌカハニーが最も性能的に望ましい(請求項11)。
本発明はさらに皮膚細胞再生に効果を有する薬物、化粧品原料、などを上記粘着剤組成物中に添加することにより、より効果的に創傷治癒を促進させることができる(請求項12)。添加する皮膚用有価物は本組成物中に溶解もしくは分散し安定に存在する薬物、化粧品原料であれば特に制限されない。例えば、ビタミンE、カプサイン、等の血行促進成分、ヒアルロン酸のような細胞活性化成分、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンK、等のビタミン類、等が特に好適である。上記薬物,化粧品原料、の添加量は、適度な粘着力、凝集力及び薬効を得るため、シート状創傷被覆材用組成物中0.0001〜40重量%が好適である。
本発明のシート状創傷被覆材用組成物において、(メタ)アクリルエステル系共重合体を架橋し前記組成物の凝集力を向上させることは滲出液の吸収によっても組成物が型崩れを起こさないという性能上望ましいことである。上記金属キレート化合物は、上記(メタ)アクリルエステル系共重合体をイオン架橋するために用いられる。本発明のシート状創傷被覆材用組成物が目的とする適度の凝集力と粘着性を得るためには、金属キレート化合物が共重合体100重量部に対し0.01〜2.0重量部添加されるのが好ましい(請求項13)。上記金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムグリシネート等が挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい
上記金属キレート化合物を用いて上記組成物を後架橋させた架橋性組成物は乾湿両皮膚への粘着性に優れ、該組成物を使用した創傷被覆材は、汗をかいた皮膚、滲出液のある皮膚、等に貼付しても剥がれず、皮膚刺激性などに優れるので、創傷治療用途に好適に用いられる。 上記創傷被覆材は、請求項1〜13のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物よりなる層が、支持体の少なくとも片面に設けられてなる(請求項15)。
本発明に使用される(メタ)アクリルエステル系共重合体は、例えば、前記モノマー、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル及び極性モノマーを用いて、ラジカル重合により作製することができる。重合方法としては、例えば、溶液重合、懸濁重合等が採用可能である。特に、溶液重合は分子量分布が比較的狭く、粘着力のバラツキが小さい点で良好である。
本発明のシート状創傷被覆材を作製するには、例えば、上記共重合体溶液に可塑剤、多価アルコール、蜂蜜、及び架橋剤(金属キレート化合物)を添加し、その他の成分(皮膚有価物、等)を適宜目的に応じて加え、支持体上にナイフコーター、ロールコーター等で塗布し、オーブン温度50〜100℃で、1〜10分乾燥して前記粘着剤組成物よりなる層(粘着剤組成物層)を形成し、剥離紙上に粘着剤組成物層を形成して作成する(請求項14)。または、剥離紙上に粘着剤組成物層を形成して粘着剤組成物層が支持体に接するようにラミネートすればよい(請求項15)。
本発明のシート状創傷被覆材を作製するには、例えば、上記共重合体溶液に可塑剤、多価アルコール、蜂蜜、及び架橋剤(金属キレート化合物)を添加し、その他の成分(皮膚有価物、等)を適宜目的に応じて加え、支持体上にナイフコーター、ロールコーター等で塗布し、オーブン温度50〜100℃で、1〜10分乾燥して前記粘着剤組成物よりなる層(粘着剤組成物層)を形成し、剥離紙上に粘着剤組成物層を形成して作成する(請求項14)。または、剥離紙上に粘着剤組成物層を形成して粘着剤組成物層が支持体に接するようにラミネートすればよい(請求項15)。
上記粘着剤組成物層の乾燥後の厚さは50〜1,000μmが好ましい。50μm未満では粘着力が弱くなり、一方、1,000μmを超えると粘着剤の塗布及び乾燥が困難となる。
上記支持体としては、厚さ10〜100μmのプラスチックス製成形体が好適であり、織布、不織布、多孔性膜、フィルム、シート等の形態を取りうる。織布、不織布及び多孔性膜は水蒸気透過性が良好な点で、フィルム及びシートはバクテリア遮蔽性及び防水性が良好な点で好適である。
本発明のシート状創傷被覆材用組成物は、(メタ)アクリルエステル系共重合体と蜂蜜を必須構成要因とし、本組成物からなるシート状創傷被覆材は取り扱い性に優れ、創傷部の治癒効果に優れた効果を示す。本発明の目的をさらに有効に達成するには、水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体100重量部、本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤10−100重量部、多価アルコール5−80重量部、および蜂蜜0.2−100重量部からなることを特徴とするシート状創傷被覆材用組成物を用い、該組成物が皮膚用有価物を含有しさらに金属キレート架橋剤で後架橋されてなることが有効である。 本発明のシート状創傷被覆材用組成物は上記構成となるので、乾燥及び湿潤皮膚に対する粘着力、特に、湿潤皮膚に対する粘着力に優れ、かつ剥がすときに皮膚を傷つけない適度の粘着力及び凝集力を有し、皮膚への糊残りもない。
それらを用いた皮膚用テープは優れた創傷治癒材となるものである。
それらを用いた皮膚用テープは優れた創傷治癒材となるものである。
以下に本発明を実施例を示し、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において「部」とあるのは、特に断らない限り、重量部を表す。
以下の実施例及び比較例において「部」とあるのは、特に断らない限り、重量部を表す。
(実施例及び比較例用共重合体の製造;水−アセトン混合溶媒を用いる重合)
重合溶媒としては酢酸エチル100gとアセトン100gの混合溶媒、開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.005g及び下記第1表に示すモノマー(単位はg)を、500ml反応容器内に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、75℃で15時間重合を行った。
得られた共重合体溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着剤層乾燥厚さが100μmになるよう設定したナイフコーターを使用して塗膜を作成し、温度100℃で15分間溶媒を乾燥させて粘着シートを作製した。シートの一部の重量を正確に測定し(重量w)、36℃の水中に24時間浸漬した後取り出し表面付着の水を除去した後の重量(W)を測定して水中膨潤度を求めた。水中膨潤度は{(W/w)−1}x100で定義される。得られた結果を表1に示す。
重合溶媒としては酢酸エチル100gとアセトン100gの混合溶媒、開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.005g及び下記第1表に示すモノマー(単位はg)を、500ml反応容器内に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、75℃で15時間重合を行った。
得られた共重合体溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着剤層乾燥厚さが100μmになるよう設定したナイフコーターを使用して塗膜を作成し、温度100℃で15分間溶媒を乾燥させて粘着シートを作製した。シートの一部の重量を正確に測定し(重量w)、36℃の水中に24時間浸漬した後取り出し表面付着の水を除去した後の重量(W)を測定して水中膨潤度を求めた。水中膨潤度は{(W/w)−1}x100で定義される。得られた結果を表1に示す。
実施例1〜4、比較例1〜3
(基本的粘着物性の評価)
固形分10gを含む共重合体溶液または比較共重合体、可塑剤、多価アルコール、0.15gの架橋剤(アルミニウムアセチルアセトネートを4%THF溶液として使用)、蜂蜜、を良く混合した。次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着剤組成物層の乾燥厚さが300μmになるよう設定したナイフコーターを使用して、得られた組成物溶液を塗布し、室温で6時間風乾した後、温度90℃で30分間溶媒を乾燥させて粘着シートを作製した。本シートから幅1.2cmのテープを作製し、ベークライト板、及び湿ベークライト板(ベークライト表面をNo.3サンドペーパーで疎面化して凹凸をつけ凹面に水を張って供試)へ貼付し、加重300gのローラーを1往復させて密着させた後、180°方向に300mm/minの速度で剥離し、その際の剥離力を測定した。また、湿ベークライト板剥離後の糊残りをも観察し凝集力を評価した。
得られた結果を表2に示す。
(基本的粘着物性の評価)
固形分10gを含む共重合体溶液または比較共重合体、可塑剤、多価アルコール、0.15gの架橋剤(アルミニウムアセチルアセトネートを4%THF溶液として使用)、蜂蜜、を良く混合した。次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着剤組成物層の乾燥厚さが300μmになるよう設定したナイフコーターを使用して、得られた組成物溶液を塗布し、室温で6時間風乾した後、温度90℃で30分間溶媒を乾燥させて粘着シートを作製した。本シートから幅1.2cmのテープを作製し、ベークライト板、及び湿ベークライト板(ベークライト表面をNo.3サンドペーパーで疎面化して凹凸をつけ凹面に水を張って供試)へ貼付し、加重300gのローラーを1往復させて密着させた後、180°方向に300mm/minの速度で剥離し、その際の剥離力を測定した。また、湿ベークライト板剥離後の糊残りをも観察し凝集力を評価した。
得られた結果を表2に示す。
実施例5〜7、比較例4〜6
(ラットの皮膚欠損モデルにおける傷の癒合促進効果の評価)
Wistar系ラットの背部を剃毛し、直径約1.5cmの欠損部をハサミで作成した。創傷面に直径3cmの試料シートを貼付し、さらに絆創膏にて固定した。治癒効果は、欠損部の短径、長径を測定し、欠損部の面積を求め、初期(0日目)の欠損部面積に対する6、9、12日目の創傷面の面積割合(面積率)により、創傷治癒促進効果を評価した。実施例6と比較例5、6との治癒曲線を図1に示す。本発明の組成物は市販のハイドロコロイド型治療材に比べ治癒の促進に優れていることが明瞭である。本図より、6日目の面積割合が両者の差を明瞭に示すことがわかったので以後の実施例においては治癒効果を6日目の面積割合で評価した。実施例、及び比較例に用いた試料シートの組成、創傷部面積割合を表3に示す。また比較例に使用したシートの詳細を表4に示す。
(ラットの皮膚欠損モデルにおける傷の癒合促進効果の評価)
Wistar系ラットの背部を剃毛し、直径約1.5cmの欠損部をハサミで作成した。創傷面に直径3cmの試料シートを貼付し、さらに絆創膏にて固定した。治癒効果は、欠損部の短径、長径を測定し、欠損部の面積を求め、初期(0日目)の欠損部面積に対する6、9、12日目の創傷面の面積割合(面積率)により、創傷治癒促進効果を評価した。実施例6と比較例5、6との治癒曲線を図1に示す。本発明の組成物は市販のハイドロコロイド型治療材に比べ治癒の促進に優れていることが明瞭である。本図より、6日目の面積割合が両者の差を明瞭に示すことがわかったので以後の実施例においては治癒効果を6日目の面積割合で評価した。実施例、及び比較例に用いた試料シートの組成、創傷部面積割合を表3に示す。また比較例に使用したシートの詳細を表4に示す。
Claims (15)
- (メタ)アクリルエステル系共重合体と蜂蜜とを必須成分とするシート状創傷被覆材用組成物。
- 組成物中の少なくとも0.1重量%が蜂蜜である請求項1に記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- (メタ)アクリルエステル系共重合体が水中膨潤度10−900%であることを特徴とする請求項1または2記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- (メタ)アクリルエステル系共重合体と本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤、多価アルコール、および蜂蜜からなることを特徴とする請求項1〜3記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 前記(メタ)アクリルエステル系共重合体が水中膨潤度10−900%であることを特徴とする請求項4記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体100重量部、本(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤10−100重量部、多価アルコール5−80重量部、および蜂蜜0.2−100重量部からなることを特徴とする請求項5記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 前記水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体が、アクリル酸メトキシエチルと(メタ)アクリル酸ラウリルを最大必須成分とする(メタ)アクリルエステル系共重合体であることを特徴とする請求項4〜6記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 前記水中膨潤度10−900%である(メタ)アクリルエステル系共重合体が、アクリル酸メトキシエチルと(メタ)アクリル酸ラウリルを最大必須成分とし、さらにN−ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルを構成モノマーとする(メタ)アクリルエステル系共重合体であることを特徴とする請求項4〜7記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 前記(メタ)アクリルエステル系共重合体と相溶する可塑剤が、乳酸オクチルドデシル、ラブラフィルM1944CS、スパン80、85、ツイン80、85から選ばれ少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項4〜8記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 前記多価アルコールが、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項4〜9に記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 前記蜂蜜がマヌカハニーであることを特徴とする請求項1〜10に記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 前記組成物が、皮膚用有価物を溶解もしくは分散していることを特徴とする請求項1〜11記載のシート状創傷被覆材用組成物
- 前記組成物が、多価イソシアネート、アルミニウムアセチルアセトネート又はアルミニウムグリシネートより選ばれる少なくとも一種以上の架橋剤によって後架橋されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のシート状創傷被覆材用組成物。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の組成物よりなる層からなるシート状創傷被覆材。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の組成物よりなる層が、支持体の少なくとも片面に設けられてなるシート状創傷被覆材。
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