JP5494671B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒドロシリル化反応により硬化する含フッ素重合体を含む硬化性樹脂組成物に関する。
従来、含フッ素重合体を用いた硬化性樹脂組成物としては、末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する硬化性含フッ素重合体に関する組成物(特許文献1)が提案されている。また、エチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素重合体をヒドロシリル化反応により硬化させることが、特許文献2で提案されている。
国際公開第02/18457号パンフレット 国際公開第2008/153002号パンフレット
特許文献1に開示されている架橋反応は光硬化反応であり、ヒドロシリル化反応による硬化系は開示されていない。
特許文献2に記載されている含フッ素重合体はフッ化エチレン性単量体と非フッ化エチレン性単量体との共重合体であって、エチレン性炭素−炭素二重結合を与える構造単位は非フッ化エチレン性単量体に由来する重合体である。エチレン性炭素−炭素二重結合を与える構造単位が非フッ化エチレン性の構造単位の場合、含フッ素重合体のフッ素含有率を高くすることができず、光透過性や屈折率などの光学的特性や高温での耐熱性、耐光性などの点で、さらなる改善の余地がある。
本発明の目的は、フッ素含有率を高めることができ、しかも容易にヒドロシリル化反応を起こすことができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、ヒドロシリル化反応に関与しない有機溶剤を含有しなくても容易に硬化可能な硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、
(A)式(I):
Figure 0005494671
(式中、X1およびX2は、同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;X4およびX5は同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは1〜3の整数;R1は炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭素数2〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1個のフッ素原子をX1〜X5のいずれかに含む)で表される構造単位(I)を含む含フッ素重合体、
(B)ヒドロシリル化架橋剤、および
(C)ヒドロシリル化触媒
を含む硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物にも関する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、フッ素含有量を大きくすることができるため、得られる硬化物の屈折率や紫外域ないし近赤外域での透明性などの光学的特性、耐光性、耐候性、耐熱性、吸水性、撥水撥油性、耐薬品性を改善することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物の架橋反応は、水や塩などの脱離成分が発生する反応ではなく付加反応であるため、副生成物を除去する工程を必要としない。
また、ヒドロシリル化架橋剤または溶剤を適切に選択することにより、架橋反応に関与しない溶剤を使用しなくても、所定の粘度の組成物を調製でき、架橋(硬化)も簡便に行うことができると共に、得られる硬化物から溶剤を除去する工程を必要としない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)式(I)で表される構造単位(I)を含む含フッ素重合体、(B)ヒドロシリル化架橋剤、および(C)ヒドロシリル化触媒を含む。
以下、各成分について説明する。
(A)式(I)で表わされる構造単位(I)を含む含フッ素重合体
本発明の組成物の特徴の1つは、含フッ素重合体(A)がエチレン性炭素−炭素二重結合を有する鎖を有する含フッ素構造単位(I)を含む点にある。
かかる含フッ素構造単位(I)は式(I):
Figure 0005494671
(式中、X1およびX2は、同じかまたは異なり、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;X4およびX5は同じかまたは異なり、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは1〜3の整数;R1は炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭素数2〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1個のフッ素原子をX1〜X5のいずれかに含む)で表される。
なかでも、式(Ia):
Figure 0005494671
(式中、Zは1価の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭化水素基、Yは2価の有機基または単結合;mは0〜5の整数)で表わされる含フッ素アリルエーテル構造単位が、溶解性、相溶性、透明性が良好な点から好ましい。
Zの具体例としては、たとえばビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などのアルケニル基;ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基などのアルケニル基含有アリール基;ビニルフェニルメチル基、式:
Figure 0005494671
で表される基などのアルケニル基含有アラルキル基があげられる。
Yとしては、炭素−炭素二重結合をポリマー鎖に導入する反応上、必要な連結基に相当し、エステル化、ウレタン化、エーテル化を経由して炭素−炭素二重結合を導入する場合はそれぞれ、−C(=O)O−、もしくは−O(C=O)−、−C(=O)N(−H)−、もしくは−N(−H)C(=O)−、−O−があげられる。これらの中で、特に耐熱性、耐候性、耐光性が良好な点から、−C(=O)O−、もしくは−O(C=O)−もしくは−O−が好ましい。また、合成の容易さから−C(=O)N(−H)−が好ましい。
含フッ素構造単位(I)は、具体的には、透明性などの光学的特性、耐光性、耐候性、耐熱性が良好な点から、つぎの構造単位が好ましい。
Figure 0005494671
(mは0〜5の整数)
含フッ素重合体(A)は、構造単位(I)以外にも他の構造単位を含んでいてもよい。
具体的には、たとえば含フッ素重合体(A)としては、式(1):
−(A)−(M)−(N)−
(式中、Aは式(I)で示される構造単位;Mは官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位;Nは構造単位AおよびMを与える単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位)で表わされ、かつ、構造単位Aを1〜100モル%、構造単位Mを0〜99モル%および構造単位Nを0〜80モル%含む)で表わされる含フッ素重合体があげられる。
そのようなM、Nの構造を与える単量体の具体例は、国際公開第02/18457号パンフレット記載の構造単位AやMの中で炭素−炭素二重結合をもたないものがすべて採用できる。
その中でも、透明性などの光学的特性、耐光性、耐候性、耐熱性が良好な点で、特に構造単位Mとしては、
Figure 0005494671
(nは1〜5の整数)などの官能基を有する含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位が好ましい。
構造単位Nとしては、CF2=CF2、CH2=CF2、CH2=CF−CF3に由来する構造単位が好ましい。
共重合割合は、好ましくは、構造単位A/構造単位M/構造単位Nが1〜100/99〜0/80〜0(モル%比)、さらには5〜50/95〜50/50〜0(モル%比)である。
含フッ素重合体(A)の数平均分子量としては、特に限定はないが、後述するように、ヒドロシリル化架橋剤(B)や溶剤(D)への溶解性の点から、5000〜1000000、特に7000〜500000であることが好ましい。
(B)ヒドロシリル化架橋剤
ヒドロシリル化反応は、エチレン性炭素−炭素二重結合とケイ素原子に直接結合している水素原子との付加反応であり、したがって、本発明におけるヒドロシリル化架橋剤(B)は、水素原子がケイ素原子に直接結合した基を分子内に2個以上有するケイ素化合物である。
ヒドロシリル化架橋剤(B)としては、たとえば国際公開第2008/153002号パンフレット、国際公開第2008/044765号パンフレット、国際特許出願PCT/JP2007/074066号明細書、国際特許出願PCT/JP2008/060555号明細書などに記載されているものが使用できる。
具体的には、たとえば国際公開第2008/044765号パンフレット記載のB1、B2、B3がそのまま使用できる。
本発明においては、含フッ素重合体(A)との親和性、特に溶解性や分散性という新しい観点から、ヒドロシリル化架橋剤(B)を含フッ素重合体(A)を溶解または分散可能な水素原子がケイ素原子に直接結合した基を2個以上有する液状のシロキサン系化合物(B4)(以下、「溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)」ということもある)と、それ以外、すなわち含フッ素重合体(A)を溶解または分散しない液状または固体状であって水素原子がケイ素原子に直接結合した基を2個以上有するシロキサン系化合物(B5)(以下、「非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)」ということもある)に分類する。
(B4)溶解性ヒドロシリル化架橋剤
水素原子がケイ素原子に直接結合した基を2個以上有する液状のシロキサン系化合物であって、ヒドロシリル化反応によって含フッ素重合体(A)を架橋(硬化)させる能力を有するほか、含フッ素重合体(A)を溶解または分散させる能力を有するシロキサン系化合物である。
この溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)を用いるときは、ヒドロシリル化反応に関与せず含フッ素重合体(A)を溶解・分散するためだけの有機溶剤(後述の溶剤(D2))を特に必要とせず、いわゆる無溶剤型の硬化性組成物とすることができる。
無溶剤型の硬化性組成物とするときは、有機溶剤の除去が不要となり、成形工程などを簡略化できる。さらに成形加工条件の関係から揮発分が許されないケースに対しても無溶剤型の硬化性樹脂組成物は有用である。例えば、密閉容器内の充填、封止のような用途において有利である。
溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)としては、たとえば国際公開第2008/044765号パンフレット記載のB1、B2がそのまま使用できる。
具体的には、式:
CH3Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
CH3(C65)Si{OSi(CH32H}2
で表されるシロキサン化合物、式:
37Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
49Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
613Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
817Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
65Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
(C652Si{OSi(CH32H}2
で表されるシロキサン化合物、式:
CF324Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
Figure 0005494671
で表されるシロキサン系化合物、式:
Figure 0005494671
で表されるシロキサン系化合物、式:
Figure 0005494671
で表されるシロキサン系化合物、式:
Figure 0005494671
で表されるシロキサン系化合物、式:
Figure 0005494671
で表されるシロキサン系化合物、式:
Figure 0005494671
で表されるシロキサン系化合物、式:
{(CH32HSiO}3Si−C24−Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
{(CH32HSiO}3Si−C612−Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
{(CH32HSiO}2CH3Si−C24−SiCH3{OSi(CH32H}2
で表されるシロキサン化合物、式:
{(CH32HSiO}2CH3Si−C612−SiCH3{OSi(CH32H}2
で表されるシロキサン化合物、式:
{(C652HSiO}3Si−C24−Si{OSi(C652H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
{(C652HSiO}3Si−C612−Si{OSi(C652H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
{(CH32HSiO}3Si−C36(OC24m(OC36nOC36−Si{OSi(CH32H}3
(式中、mは0以上の整数であり、nは0以上の整数であり、但し、m、nは共に0となることはない。)
で表されるシロキサン化合物などがあげられる。
特に溶解性や相溶性が良好な点から、式:
CH3(C65)Si{OSi(CH32H}2
で表されるシロキサン化合物、式:
37Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
49Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物、式:
613Si{OSi(CH32H}3
で表されるシロキサン化合物が好ましい。
(B5)非溶解性ヒドロシリル化架橋剤
溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)以外のシロキサン系化合物であって、含フッ素重合体(A)を溶解または分散しない液状または固体状であって水素原子がケイ素原子に直接結合した基を2個以上有するシロキサン系化合物である。
この非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)を用いる場合は、含フッ素重合体(A)を溶解または分散する溶剤(D)を使用するか、また、溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)を併用することが求められる。
具体的な非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)としては、たとえば国際公開第2008/044765号パンフレットに記載のB3がそのまま使用できる。
非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)としては、具体的には、平均単位式:
{H(CH32SiO1/2d(SiO4/2f'
で表されるシロキサン系化合物、平均単位式:
{H(CH32SiO1/2d(CH3SiO3/2e'(SiO4/2f'
で表されるシロキサン系化合物、平均単位式:
{H(CH32SiO1/2d(C65SiO3/2e'(SiO4/2f'
で表されるシロキサン系化合物、平均単位式:
{H(CH32SiO1/2d(CH3SiO3/2e'
で表されるシロキサン系化合物、平均単位式:
{H(CH32SiO1/2d(C65SiO3/2e'
で表されるシロキサン系化合物、平均単位式:
{H(CH3)(C65)SiO1/2d(SiO4/2f'
で表されるシロキサン系化合物などがあげられ(なお、上記式中、d、e’、f’はいずれも正の数である。)、前記(A)成分との相溶性が優れることから、平均単位式:
{H(CH32SiO1/2d(SiO4/2f'
(式中、d、f’はいずれも正の数である。)
で表されるシロキサン系化合物であることが好ましい。
ヒドロシリル化架橋剤(B)の配合量は、含フッ素重合体の種類、ヒドロシリル化架橋剤の種類、溶剤の有無、種類などによって異なるが、架橋剤としての機能の点からは、含フッ素重合体(A)100質量部に対して、5質量部以上、さらには10質量部以上、特に20質量部以上であり、また、90質量部以下、さらには70質量部以下、特に50質量部以下が好ましい。
また、含フッ素重合体(A)の溶剤としての役割も兼ねる場合(溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)の場合)は、含フッ素重合体(A)100質量部に対して、30質量部以上、さらには50質量部以上、特に70質量部以上であり、また、500質量部以下、さらには300質量部以下、特に200質量部以下が好ましい。
(C)ヒドロシリル化触媒
公知のヒドロシリル化反応を触媒する化合物が使用できる。たとえば、国際公開第2008/153002号パンフレット、国際公開第2008/044765号パンフレット、国際特許出願PCT/JP2007/074066号明細書、国際特許出願PCT/JP2008/060555号明細書などに記載されているものが使用できる。
ヒドロシリル化反応用触媒(C)は、本発明の組成物のヒドロシリル化反応を促進するための触媒である。このような触媒としては、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒、イリジウム系触媒が例示され、比較的入手しやすいことから白金系触媒が好ましい。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、白金のカルボニル錯体、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体が例示される。
具体的な白金錯体の例としては、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体などがあげられ、一般には白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体のビニルメチル環状シロキサン溶液、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の両末端ビニルポリジメチルシロキサン溶液、白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体の環状メチルビニルシロキサン溶液といった白金濃度で1〜5%の試薬として入手できる。
本発明の組成物において、ヒドロシリル化反応用触媒(C)の含有量は本発明の組成物の硬化を促進する触媒量であり、具体的には、本発明の組成物中、触媒金属の含有量が質量単位で0.1〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に1〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物の硬化を十分に促進することができなくなる傾向があり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる硬化物に着色等の問題を生じるからである。
(D)溶剤
本発明における溶剤(D)は主として含フッ素重合体(A)を溶解または分散する役割をもつ。しかし、含フッ素重合体(A)を溶解または分散するだけに用いる溶剤は、除去が不充分な場合、有機溶剤が硬化物内に残存するといった問題が生じたり、残存する有機溶剤の影響として耐熱性、機械的強度の低下、白濁するといった問題が生じる場合、あるいは、溶剤の揮発によってボイドが発生する場合があるので、溶剤の除去をできるだけ完全に行うことが望まれる。したがって、そのためのエネルギーも含め、環境やコスト面から、できるだけ使用しない方が望ましい。
ところで、本発明では、溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)のように含フッ素重合体(A)を溶解・分散する能力をさらに有する化合物を使用するとき、また、後述のように、ヒドロシリル化架橋反応に関与して硬化物中に組み入れられる溶剤を用いるときには、含フッ素重合体(A)を溶解または分散するだけの溶剤は不要である。
そこで本発明においては、ヒドロシリル化架橋反応に関与するか否かという新しい観点から、含フッ素重合体(A)を溶解または分散可能な溶剤(D)を、ヒドロシリル化架橋反応に関与する非ケイ素系反応性溶剤(D1)と、ヒドロシリル化架橋反応に関与しない溶剤(D2)に分類する。
(D1)ヒドロシリル化架橋反応に関与する非ケイ素系反応性溶剤
前記溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)も、同じく含フッ素重合体(A)を溶解・分散しヒドロシリル化架橋反応に関与する化合物であるが、シロキサン系化合物であるので、溶剤(D1)ではない。
本発明で「ヒドロシリル化架橋反応に関与する」とは、エチレン性炭素−炭素二重結合とケイ素原子に直接結合している水素原子との付加反応であるヒドロシリル化反応に関与するいずれかの反応基(エチレン性炭素−炭素二重結合またはケイ素原子結合水素原子含有基)を有し、結果として、ヒドロシリル化架橋反応の反応物中に組み込まれることを意味する。また、架橋性があるという観点からは複数の反応基をもつことが好ましい。
具体的には、たとえばエチレングリコールジアリル、ジエチレングリコールジジアリル、トリエチレングリコールジジアリル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジジアリル、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)などの多価アリル化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ビスフェノールAビス(ビニルオキシエチレン)エーテル、ビス(ビニルオキシエチレン)エーテル、ヒドロキノンビス(ビニルオキシエチレン)エーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、
Figure 0005494671
などの多価ビニルエーテル化合物;エチレングリコールジアクリレート(EDA)、ジエチレングリコールジアクリレート(DiEDA)、トリエチレングリコールジアクリレート(TriEDA)、1,4−ブタンジオールジアクリレート(1,4−BuDA)、1,3−ブタンジオールジアクリレート(1,3−BuDA)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GA)、2,2−ビス(4−アクリロキシフェニル)プロパン(BPDA)、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−AEPP)、2,2−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(Bis−APEPP)、ジ(アクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPA)などの多価アクリル化合物;エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DiEDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(1,4−BuDMA)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート(1,3−BuDMA)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEPP)、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(Bis−MPEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)などの多価メタクリル化合物などがあげられる。
なかでも、溶解性、相溶性が良好な点から、TAIC、EDMA、EDA、TMPT、TMPAが好ましい。
非ケイ素系反応性溶剤(D1)は、含フッ素重合体(A)の反応性溶剤として単独で使用してもよいし、同じく溶剤として機能する前記溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)や非反応性溶剤(D2)と併用してもよい。
非ケイ素系反応性溶剤(D1)の配合量は、含フッ素重合体の種類、溶剤(D1)の種類、他の溶剤の有無、種類などによって異なるが、ヒドロシリル化反応性としての機能の点からは、含フッ素重合体(A)100質量部に対して、5質量部以上、さらには10質量部以上、特に20質量部以上であり、また、90質量部以下、さらには70質量部以下、特に50質量部以下が好ましい。
また、含フッ素重合体(A)の溶剤としての役割もかねる場合は、含フッ素重合体(A)100質量部に対して、30質量部以上、さらには50質量部以上、特に70質量部以上であり、また、500質量部以下、さらには300質量部以下、特に200質量部以下が好ましい。
(D2)ヒドロシリル化架橋反応に関与しない溶剤
この溶剤(D2)は、前記溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)や非ケイ素系反応性溶剤(D1)を配合しない場合、またはそれらだけでは含フッ素重合体(A)の溶解性や分散性が十分ではない場合に使用すればよい。
具体例としては、たとえばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、tert−アミルアルコールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類;1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシドなどがあげられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶剤などがあげられる。
またさらに、フッ素系の溶剤としては、たとえばCH3CCl2F(HCFC−141b)、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、
H(CF2CF2nCH2OH(n:1〜3の整数)、
F(CF2nCH2OH(n:1〜5の整数)、
CF3CH(CF3)OHなどのフッ素系アルコール類;
ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCF2CFClCF2CFCl2などがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤などがあげられる。
上記のとおり、本発明の硬化性樹脂組成物は、ヒドロシリル化架橋反応に関与しない溶剤(D2)を用いない、いわゆる無溶剤型の硬化性樹脂組成物とすることができる(ただし、溶剤として非ケイ素系反応性溶剤(D1)のみを用いる場合も無溶剤型という)。このように無溶剤型とすることにより、溶剤(D2)の除去が不要となり、成形工程などを簡略化でき、また、溶剤(D2)が硬化物内に残存するといった問題が生じない。残存する溶剤(D2)の影響として耐熱性、機械的強度の低下、白濁するといった問題がある。さらに成形加工条件の関係から揮発分が許されないケースに対しても無溶剤型の硬化性樹脂組成物は有用である。たとえば、密閉容器内の充填、封止のような用途である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、その用途によって異なるが、たとえば封止などの用途に対しては、30℃における粘度は、粘性が低すぎると液だれが多く、かえって取り扱い性が低下するため1mPa・s以上が好ましく、薄膜形成性が良好であるという観点から、5mPa・s以上がより好ましく、硬化の際の硬化収縮が小さいという観点から、10mPa・s以上がさらに好ましい。また、取り扱い性が良好であるという観点から、20000mPa・s以下が好ましく、成形加工の際に細部にわたって硬化性組成物がいきわたるという観点から、5000mPa・s以下がより好ましく、薄膜を形成した際にレベリング(表面平滑)性が良好であるという観点から、2000mPa・s以下がさらに好ましい。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物の好ましい形態を具体的な組合せを示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
形態1(無溶剤型)
(A)含フッ素重合体:
式(1)において、構造単位Aが式(Ia)であり、構造単位Mが
Figure 0005494671
である重量平均分子量5000〜20000の含フッ素重合体
(B)ヒドロシリル化架橋剤
溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)
(C)ヒドロシリル化触媒
白金触媒
(D)溶剤
なし
(調製方法)
(A)を(B4)に均一溶解させた後に(C)を添加し、硬化性組成物とする。
形態2(無溶剤型)
(A)含フッ素重合体:
式(1)において、構造単位Aが式(Ia)であり、構造単位Mが
Figure 0005494671
である重量平均分子量5000〜20000の含フッ素重合体
(B)ヒドロシリル化架橋剤
溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)および非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)
(C)ヒドロシリル化触媒
白金触媒
(D)溶剤
なし
(調製方法)
(A)を(B4)に均一溶解させた後に(B5)を添加する。その後、(C)を添加し、硬化性組成物とする。
形態3(無溶剤型)
(A)含フッ素重合体:
式(1)において、構造単位Aが式(Ia)であり、構造単位Mが
Figure 0005494671
である重量平均分子量5000〜20000の含フッ素重合体
(B)ヒドロシリル化架橋剤
溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)および/または非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)
(C)ヒドロシリル化触媒
白金触媒
(D)溶剤
非ケイ素系反応性溶剤(D1)
(調製方法)
(A)を(D1)に均一溶解させた後に(B4)および/または(B5)を加えて均一にする。その後(C)を添加し、硬化性組成物とする。
形態4(溶剤型)
(A)含フッ素重合体:
式(1)において、構造単位Aが式(Ia)であり、構造単位Mが
Figure 0005494671
である重量平均分子量50000〜200000の含フッ素重合体
(B)ヒドロシリル化架橋剤
溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)および/または非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)
(C)ヒドロシリル化触媒
白金触媒
(D)溶剤
非反応性溶剤(D2)
(調製方法)
(A)を(D2)に均一溶解させた後、(B4)および/または(B5)を添加後、均一にする。その後、(C)を添加し、硬化性組成物とする。
形態5(溶剤型)
(A)含フッ素重合体:
式(1)において、構造単位Aが式(Ia)であり、構造単位Mが
Figure 0005494671
である重量平均分子量50000〜200000の含フッ素重合体
(B)ヒドロシリル化架橋剤
溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)および/または非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)
(C)ヒドロシリル化触媒
白金触媒
(D)溶剤
非反応性溶剤(D2)および非ケイ素系反応性溶剤(D1)
(調製方法)
(A)を(D2)と(D1)の混合液に均一溶解させた後、(B4)および/または(B5)を添加後、均一にする。その後、(C)を添加し、硬化性組成物とする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記にあげたもの以外に、たとえば反応抑制剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤などを任意に添加してもよい。
反応抑制剤としては、たとえば1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−エチニルイソプロパノール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オールなどのアセチレン系アルコール;1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンなどのアルケニルシロキサン;ジアリルフマレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレートなどのマレート化合物;その他、トリアリルシアヌレート、トリアゾールなどがあげられる。反応抑制剤を配合することにより、得られる組成物の一液化や、得られる組成物のポットライフ(可使時間)を十分に長くすることができるという効果が奏される。この反応抑制剤の含有量は特に限定されないが、本発明の組成物中に、10〜50,000ppm(質量基準)となるような量であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物はヒドロシリル化架橋することで硬化させ、得られる硬化物を種々の形態で各種の用途に利用できる。
たとえば硬化膜を形成して各種用途に利用できる。膜を形成する方法としては用途に応じた適切な公知の方法を採用することができる。例えば膜厚をコントロールする必要がある場合は、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法などが採用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、膜形成に用いてもよいが、各種成形品の成形材料として特に有用である。成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、トランスファー成形、光造形、ナノインプリント、真空成形などが採用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物の用途としては、例えば、封止部材、光学材料、光電子撮像管、各種センサー、反射防止材などがあげられる。
封止部材の使用形態としては、例えば発光ダイオード(LED)、EL素子、非線形光学素子などの発光素子やCCDやCMOS、PDのような受光素子などの光機能素子のパッケージ(封入)、実装などが例示できる。また、深紫外線顕微鏡のレンズなどの光学部材用封止材(または充填材)などもあげられる。封止された光素子は種々の場所に使用されるが、非限定的な例示としては、ハイマウントストップランプやメーターパネル、携帯電話のバックライト、各種電気製品のリモートコントロール装置の光源などの発光素子;カメラのオートフォーカス、CD/DVD用光ピックアップ用受光素子などがあげられる。
光学材料としては特にフッ素を含有しているため、低屈折率の光学材料になる。例えば光伝送用媒体として有用である。特にコア材が石英、もしくは光学ガラスであるプラスチッククラッド光学ファイバーのクラッド材料、コア材がプラスチックである全プラスチック光学ファイバーのクラッド材料、反射防止コーテイング材料、レンズ材料、光導波路材料、プリズム材料、光学窓材料、光記憶ディスク材料、非線形型光素子、ホログラム材料、フォトリソグラティブ材料、発光素子の封止材料などといった光学材料に使用可能である。また、光デバイス用の材料としても使用できる。光デバイスとしては、光導波路、OADM、光スイッチ、光フィルター、光コネクター、合分波器などの機能素子および光配線などの光実装が知られており、これらのデバイスを形成するのに有用な材料である。さらに種々の機能性化合物(非線形光学材料、蛍光発光性の機能性色素、フォトリフラクティブ材料など)を含有させて、モジュレータ、波長変換素子、光増幅器などの光デバイス用の機能素子として用いるのにも適している。
センサー用途としては、特に光学センサーや圧力センサーなどの感度向上や撥水撥油特性によるセンサーの保護などの効果があり有用である。
そのほか、電子半導体用の封止部材用材料、耐水耐湿性接着剤、光学部品や素子用の接着剤としても使用できる。
用途として前記のような例示ができるが、これらに限定されるものではない。
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本明細書で採用している測定法について、以下にまとめた。
(1)NMR分析
装置:BRUKER社製
1H−NMR測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F−NMR測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
(2)IR分析
装置:PERKIN ELMER社製フーリエ変換赤外分光光度計1760X
条件:室温にて測定する。
(3)数平均分子量および重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより、数平均分子量および重量平均分子量を算出する。
(4)水酸基価(mgKOH/g)
無水酢酸を用いたアセチル化法により、常法に従って水酸基価を求める。
(5)フッ素含有量(質量%)
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより求める。
(6)粘度(mPa・s)
東海八神株式会社製のコーンプレート型粘度計CV−1Eを用いて25℃における粘度をCP−100コーンを使用し、100rpmの条件で測定し、60秒間で安定した値を採用する。
(7)屈折率(nD
ナトリウムD線(589nm)を光源として25℃において(株)アタゴ光学機器製作所製のアッベ屈折率計を用いて測定する。
(8)熱分解温度(℃)
熱重量計((株)島津製作所のTGA−50)を用い、窒素雰囲気の条件で昇温速度10℃/minの条件で測定し、1%質量減の温度で評価する。
(9)光透過率(%)
自記分光光度計((株)日立製作所製のU−3310(商品名))を用いて波長300〜800nmにおける約100μm厚のサンプル(硬化フィルム)の分光透過率曲線を測定した値を採用する。
(10)耐溶剤性
10mm×10mm×0.1mmのサンプルを20mLの酢酸ブチルに浸漬して、室温8時間経過後の様子を目視で観察する。
(11)耐熱性
温度180℃において各サンプルを1時間保持し、外観の変化を目視で観察する。
合成例1
攪拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)(AEH1):
Figure 0005494671
を20.4gと
Figure 0005494671
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を10.5g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で24時間攪拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体13.2gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は86000、重量平均分子量は108000であった。
得られたポリマーを5.1g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)20gに溶解させ、攪拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。滴下ロートより、アリルイソシアネート(CH2=CHCH2NCO)を0.102g、室温で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。その後、オイルバスにつけ、内温を70±5℃に保ち5時間攪拌した。反応溶液のIRを測定することで、原料のアリルイソシアネートが系内に無いことを確認した。その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、得られたポリマーの19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、
Figure 0005494671
(m:n=9.8:90.2)のポリマーであった。
合成例2(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
攪拌装置、温度計を備えた300mlのガラス製四ツ口フラスコに、AEH1を100.2gと、HCFC−225を42.5g、重合開始剤としてパーブチルPV(日本油脂(株)製のパーオキサイド系重合開始剤)を3.36g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下65℃で12時間攪拌を行なったところ、高粘度の溶液となった。
得られた高分子溶液をパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体61.8gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は11000、重量平均分子量は15700であった。
得られたポリマーを10.5g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、攪拌装置、温度計を備えた200mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、トリエチルアミンを1.7g加えた後、滴下ロートより、メタリル酸クロライド(CH2=C(CH3)COCl)を1.53g、氷浴下で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。2時間攪拌後、室温にもどした。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4時間攪拌を継続した。
反応後のMIBK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
このMIBK溶液を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により調べたところ、
Figure 0005494671
(m:n=62:38)のポリマーであった。
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、粘調なポリマーを3.4g得た。
合成例3
攪拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、AEH1を9.6gと9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸メチル(AEE1):
Figure 0005494671
を9.6g入れ、よく攪拌し、
Figure 0005494671
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を2.0g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で20時間攪拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをHCFC225/n−ヘキサン=1/1溶液に注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体15.5gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記のヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルと、メチルエステル構造を有する含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる含フッ素共重合体であった。その組成比はNMRより、42:58(モル比)と求められた。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は7200、重量平均分子量は11000であった。
得られたポリマーを5.1g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)20gに溶解させ、攪拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。滴下ロートより、昭和電工(株)製のカレンズAOI(CH2=CHCOOCH2CH2NCO)を0.35g、室温で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。その後、オイルバスにつけ、内温を80±5℃に保ち5時間攪拌した。反応溶液のIRを測定することで、原料のカレンズAOIが系内に無いことを確認した。その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製をおこなった。この精製操作を合計3回繰り返し、得られたポリマーの19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、
Figure 0005494671
(m:n:o=20:22:58)のポリマーであった。
合成例4(OH基を有する含フッ素アリルエーテルとフッ化ビニリデンの共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた300ml容のステンレススチール製オートクレーブに、AEH1を34.2gとCH3CCl2F(HCFC−141b)を200g、ジノルマルプロピルパーオキシカーボネート(NPP)の50重量%メタノール溶液を0.16g入れ、ドライアイス/メタノール溶液で冷却しながら系内をチッ素ガスで充分置換した。ついでバルブからフッ化ビニリデン(VdF)を5.8g仕込み、40℃にて振とうさせながら反応を行なった。反応の進行とともに、系内のゲージ圧が反応前の4.4MPaGから12時間後に0.98MPaGまで低下した。
この時点で未反応モノマーを放出し、析出した固形物を取り出し、アセトンに溶解させ、ついでヘキサンとトルエンの混合溶剤(50/50)で再沈殿させることにより共重合体を分離した。この共重合体を恒量になるまで真空乾燥し、共重合体31.2gを得た。
この共重合体の組成比は、1H−MNR分析および19F−NMR分析により分析したところ、VdF/OH基含有含フッ素アリルエーテルが55/45(モル%)であった。また、THFを溶媒として用いるGPC分析により測定した数平均分子量は12000、重量平均分子量は18000であった。
得られたポリマーを10.2g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、攪拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。滴下ロートより、昭和電工(株)製のカレンズMOI(CH2=C(CH3)COOCH2CH2NCO)を1.59g、室温で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。その後、オイルバスにつけ、内温を80±5℃に保ち5時間攪拌した。反応溶液のIRを測定することで、原料のカレンズMOIが系内に無いことを確認した。その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、得られたポリマーの19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、
Figure 0005494671
(m:n:o=23:22:55)のポリマーであった。
合成例5
合成例1で得られたAEHのホモポリマーを4.9g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)20gに溶解させ、攪拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。その後、トリエチルアミンを0.1g加えた後、滴下ロートより、アクリル酸クロライド(CH2=CHCOCl)を0.056g、氷浴下で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。2時間攪拌後、室温にもどした。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4時間攪拌を継続した。
反応後のMIBK溶液を分液ロートに入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
このMIBK溶液を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により調べたところ、
Figure 0005494671
(m:n=5.1:94.9)のポリマーであった。
比較合成例1
100mlの3つ口フラスコに、20質量%NaCl水溶液を50g入れ、−15℃に冷却した。Na22を1.05g加えると−10℃まで温度が上昇した。再び−15℃に冷却し、式:
(CH33C−OCH2CF2COCl
で表わされる化合物を4.91g滴下した。滴下終了後、−15℃に冷却しながら30分間攪拌した。−15℃に冷却した1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンを5.0ml加えて、さらに30分間攪拌した。静置するとすぐに2層に分離したので、下層のパーオキサイドを含む白色懸濁液を採取した(6.0ml)。ヨウ素滴定法によりこの懸濁液中のパーオキサイドの濃度を求めたところ、134mg/mlの濃度であった。
得られたパーオキサイドの1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン溶液4.6mlを−50℃に冷却した100mlのステンレス製反応容器に加え、窒素ガスで置換した後、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)10.9g、フッ化ビニリデン(VdF)6.5gを仕込んだ。反応容器を20℃で2.5時間振とうさせて、重合を行った。反応容器の内圧は、1.28MPa・Gから1.17MPa・Gまで低下した。重合終了後、未反応モノマーと1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンを蒸発させて、液状のポリマー(1)4.2gを得た。MNR分析の結果、VdF単位76.5モル%とHFP単位23.5モル%の共重合体であった。
得られた液状ポリマー(1)に対して同質量のトリフルオロ酢酸を加えて、70℃で2時間加熱した。反応後水洗し、ついで乾燥を行い、液状ポリマー(2)を得た。このポリマー(2)をNMR分析およびIR分析したところ、液状ポリマー(1)の末端のt−ブトキシ基が水酸基に変換されていることが分かった。
得られた液状ポリマー(2)3.5gにアリルイソシアネート(CH2=CHCH2NCO)1.0gを混合し、常温で24時間反応させた後、100℃に加熱し、反応を完結させた。さらに減圧下100℃に加熱し、過剰のアリルイソシアネートを揮発させて除き、含フッ素ポリマー(3)を得た。この含フッ素ポリマー(3)をNMR分析およびIR分析したところ、ポリマー末端にアリル基を有するポリマーであることが分かった。
含フッ素ポリマー(3)は、常温で流動性を有し、数平均分子量は5400であった。
比較合成例2
攪拌装置、温度計を備えた500mlのガラス製四ツ口フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)を80gとヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を20gとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1.5g、溶媒として酢酸ブチルを300gいれ、室温でよく攪拌し、窒素気流下で温度を70℃、16時間の条件で重合した。得られたポリマーをn−ヘキサン中に再沈させ、91gのポリマーを得た。その数平均分子量は33000であった。この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、MMAとHEMAの共重合体であることが確認された。その組成比はNMRより、MMA:HEMA=83:17(モル比)と求められた。
得られたポリマーを10g計量し、あらかじめモレキュラーシーブス4Aで脱水したメチルイソブチルケトン(MIBK)40gに溶解させ、攪拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに仕込んだ。滴下ロートより、アリルイソシアネートを0.74g、室温で滴下し、十分に攪拌して均一化させた。その後、オイルバスにつけ、内温を80±5℃に保ち5時間攪拌した。反応溶液のIRを測定することで、原料のアリルイソシアネートが系内に無いことを確認した。その後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮後、キャスト法により溶媒を除去後、析出した固体を少量のアセトンに再度溶解させた。この溶液を十分に多量のn−ヘキサン中に再沈させることによりポリマーの精製を行った。この精製操作を合計3回繰り返し、得られたポリマーを19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、
Figure 0005494671
(m:n:o=10:6:84)のポリマーであった。
実施例1
合成例2で得られたポリマー2.1gに溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン:
Figure 0005494671
を0.32g(ヒドロシリル化反応の理論当量)加えて、40℃の恒温槽に入れた。12時間後に取り出すと均一で透明な粘稠な組成物となった。この組成物に白金触媒としてAZMAX社製の白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体(製品番号SIP6832.2)を5μL加えて無溶剤の硬化性組成物とした。
硬化前の組成物の25℃における液状組成物の外観を目視で評価した。結果を表1に示す。評価基準は以下のとおりである。
○:透明でかつ均一であり、550nmの光の透過率が80%以上である。
△:一部に白濁(ゲル状物)が認められる。
×:不透明、白濁。
また、硬化前の組成物の25℃における液状組成物の粘度、液状組成物の外観の評価結果を表1に示す。
ついで、ガラス板上に離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚さ100μm)を敷き、アプリケーターを用いて膜厚が約100μmとなるように塗布し、さらに、離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚み100μm)を上部よりかぶせて、さらに厚さ1mmのスライドガラスをのせた後に、100℃で2時間、引き続いて150℃で1時間硬化させた。硬化後、離型用のフッ素樹脂フィルムを剥がして、硬化フィルムとした。
サンプルフィルム(硬化後)のフッ素含有量、屈折率(n)、熱分解温度(Td)、光透過率可視(550nm)(T)を測定した。結果を表1に示す。
また、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:透明でかつ均一である。
△:一部に白濁(にごり)が認められる。
×:不透明、白濁。
また、耐溶剤性の評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
○:目視で膨潤が見られない。
△:目視で膨潤が見られる。
×:溶解する。
さらに、耐熱性の評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
○:目視で変化が見られない。
△:目視でわずかな変色、濁りがみられる。
×:目視で明らかな変色、白濁、変形等が見られる。
以上の結果を表1に示す。
実施例2
合成例3で得られたポリマー2.2gに溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン:
Figure 0005494671
を0.2g加えて、さらに、非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)として、Gelest社製のHPM−502:
Figure 0005494671
を0.1g加えて50℃の恒温槽に入れた。12時間後に取り出すと均一で透明な粘稠な組成物となった。この組成物に白金触媒としてAZMAX社製の白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体(製品番号SIP6832.2)を5μL加えて無溶剤型の硬化性組成物とした。
実施例1と同様に硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
合成例4で得られたポリマー1.2gに溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン:
Figure 0005494671
を1.8g、非ケイ素系反応性溶剤(D1)としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を1.2g加え、40℃の恒温槽に入れた。12時間後に取り出すと均一で透明な粘稠な組成物となった。この組成物に白金触媒としてAZMAX社製の白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体(製品番号SIP6832.2)を5μL加えて無溶剤型の硬化性組成物とした。
実施例1と同様に硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例4
合成例1で得られたポリマー2.0gに溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン:
Figure 0005494671
を0.16g、非反応性溶剤(D2)としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を2.5g加え、40℃の恒温槽に入れた。12時間後に取り出すと均一で透明な粘稠な組成物となった。この組成物に白金触媒としてAZMAX社製の白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体(製品番号SIP6832.2)を5μL加えて溶剤型の硬化性組成物とした。
溶剤の揮発後に厚さが約100μmになるように塗布後、100℃で20分間乾燥させた以外は実施例1と同様に硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例5
合成例5で得られたポリマー1.0gに溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン:
Figure 0005494671
を1.5g、非ケイ素系反応性溶剤(D1)としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を1.0g、非反応性溶剤(D2)としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を2.5g加え、40℃の恒温槽に入れた。12時間後に取り出すと均一で透明な粘稠な組成物となった。この組成物に白金触媒としてAZMAX社製の白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体(製品番号SIP6832.2)を5μL加えて溶剤型の硬化性組成物とした。
実施例4と同様に硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例6
実施例1で用いた溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)としてテトラキス(ジメチルシリルオキシ)シラン:
Figure 0005494671
を用いた以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製し、ついで硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例7
実施例2において、非溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B5)として1,3,5,7−テトラメチル−シクロ−テトラシロキサン:
Figure 0005494671
を用いた以外は実施例2と同様に硬化性組成物を調製し、ついで硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例8
実施例3において非ケイ素系反応性溶剤(D1)としてエチレングリコールジアクリレートを用いた以外は実施例3と同様に硬化性組成物を調製し、ついで硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例9
実施例4において非反応性溶剤(D2)として酢酸ブチルを用いた以外は実施例4と同様に硬化性組成物を調製し、ついで硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例10
実施例5において溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として、3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサンを1.0g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを0.2g用いた以外は実施例5と同様に硬化性組成物を調製し、ついで硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
合成例3で得られたポリマー5g、メチルメタクリレート1gおよび1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート(CH2=CHCOOCH248H)4gをトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPA)1gに溶解させ、均一な組成物を得た。UV開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンを0.1g加え、硬化性組成物とした。ついで、ガラス板上に離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚さ100μm)を敷き、アプリケーターを用いて膜厚が約100μmとなるように塗布し、さらに、離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚さ100μm)を上部よりかぶせて、さらに厚み1mmのスライドガラスをのせた後に、高圧水銀灯を用い、上部より、1500mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射したのち、離型用のフッ素樹脂フィルムを剥がして、硬化フィルムとした。
実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表1に示す。表1から明らかなように、明確に耐熱性が劣っていた。
比較例2
比較合成例1で得られたポリマー2.5gに溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン:
Figure 0005494671
を0.5g加えて、40℃の恒温槽に入れた。24時間後に取り出しても、不均一で白濁した組成物であった。さらに温度を70℃まであげたが、不均一な状態は変わらなかった。
比較例3
比較合成例2で得られたポリマー2.0gに溶解性ヒドロシリル化架橋剤(B4)として3−(ジメチルシリルオキシ)−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニルトリシロキサン:
Figure 0005494671
を0.21g、非反応性溶剤(D2)としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を2.5g加え、40℃の恒温槽に入れた。12時間後に取り出すと均一で透明な粘稠な組成物となった。この組成物に白金触媒としてAZMAX社製の白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体(製品番号SIP6832.2)を5μL加えて溶剤型の硬化性組成物とした。
溶剤の揮発後に厚さが約100μmになるように塗布後、100℃で20分間乾燥させた以外は実施例1と同様に硬化させ、各種物性を測定した。結果を表1に示す。表1から明らかなように、明確に耐熱性が劣っていた。
Figure 0005494671
表1から、本発明の硬化性組成物は優れた耐熱性を備えた透明な硬化物を与えることがわかる。また、フッ素含有率をコントロールすることで屈折率の制御が可能であることから、様々な光学デバイスへの応用が可能であるということが分かる。

Claims (7)

  1. (A)式(Ia):
    [化1]
    Figure 0005494671
    (式中、Zは1価の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個含有する炭化水素基、Yは2価の有機基または単結合;mは0〜5の整数)で表される含フッ素アリルエーテル構造単位を含む含フッ素重合体、
    (B)ヒドロシリル化架橋剤、および
    (C)ヒドロシリル化触媒
    を含む硬化性樹脂組成物。
  2. ヒドロシリル化架橋剤(B)が、含フッ素重合体(A)を溶解または分散可能な液状のケイ素原子結合水素原子を有するシロキサン系化合物(B1)である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 含フッ素重合体(A)を溶解または分散可能で、かつヒドロシリル化架橋反応に関与する非ケイ素系反応性溶剤(D1)を含む請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 含フッ素重合体(A)が、式(1):
    −(A)−(M)−(N)−
    (式中、Aは式(Ia)で示される構造単位;Mは官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位;Nは構造単位AおよびMを与える単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位)で表わされ、かつ、構造単位Aを1〜100モル%、構造単位Mを0〜99モル%および構造単位Nを0〜80モル%含む)で表わされる含フッ素重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 硬化性樹脂組成物の30℃における粘度が1〜20000mPa・sである請求項1〜のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  6. LEDの封止剤に用いる請求項1〜のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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