JP5494471B2 - 光学素子の成形方法および成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスレンズなどの光学素子を加熱しつつ成形することにより光学素子を製造(成形)する方法および装置に関する。
従来、光学素子を種々の形状に成形する際には、光学素子を搬送皿に載せた状態で加熱して軟化させた後、この光学素子を搬送皿に載せたまま成形室に搬送し、上下一対の成形型で光学素子を押圧して成形する方法が提案されていた。例えば、特許文献1参照。
特開平7−267657号公報(段落〔0011〕〔0012〕の欄、図1)
しかしながら、この方法では、光学素子を成形する前に、光学素子の温度をガラス転移点Tg(例えば、約500〜600℃)の近傍にまで上げるべく、光学素子を予備加熱する素子予熱工程を設ける必要がある。この素子予熱工程においては、光学素子の各部位の温度ばらつきに起因して光学素子が割れてしまう事態を避けつつ、光学素子の予備加熱に要する時間をできるだけ短縮する観点から、光学素子全体を均一に昇温させることが強く要望されていた。
また、この方法では、光学素子とともに搬送皿をも加熱しなければならず、搬送皿の分だけ余計に熱エネルギーを必要とするため、省エネルギー性に劣るという課題があった。
そこで、搬送皿を用いる代わりに所定の搬送装置を使用して光学素子を搬送する方法を採用することが考えられる。このような方法を採用する場合、搬送装置を使用して、光学素子を成形室に搬入したり、光学素子を成形室から搬出したりするときに、この光学素子は高温(例えば、約500℃)となっているため、搬送装置との温度差に起因して光学素子が割れてしまう恐れがある。
また、この方法を用いて光学素子を成形した後に、光学素子の温度を常温(室温)にまで下げるべく、光学素子を冷却する冷却工程を設ける必要がある。この冷却工程においては、光学素子を所定の冷却支持部材で支持して冷却する方法を採用することが考えられる。このような方法を採用する場合、光学素子が冷却支持部材に支持されたときには、この光学素子はまだ高温を維持しているため、冷却支持部材との温度差に起因して光学素子が割れてしまう恐れがある。また、光学素子が冷却支持部材に支持された後も、両者の温度差が大きすぎると、光学素子が割れてしまう恐れがある。
また、上記方法とは別の方法として、図18に示すように、上成形型12および下成形型13を備えた素子成形部11に光学素子W自体(つまり、搬送皿を伴うことなく)を供給し、この素子成形部11において、光学素子Wに対して、予熱、加熱、加圧、徐冷、冷却という一連の工程を実施する技術が提案されていた。例えば、特許文献2参照。
特開2005−22879号公報(特に段落〔0025〕〜〔0033〕の欄、図1)
特開2005−22879号に記載の方法では、予熱から冷却までの全製造工程が素子成形部11で行われるため、1つの光学素子Wの製造工程が完了するまでは次の光学素子Wの製造工程を開始することができない。したがって、タクトタイムの短縮が自ずと制限され、光学素子の生産性をあまり高くすることができない。
特開昭61−26528号公報(特許文献3)は、プレスレンズを高速で且つ連続的に製造する装置を開示している。この装置は、ガラスプリフォームの取入れ室、予備加熱室、加熱室、プレス室、徐冷室、急冷室及び取出し室を有する。ガラスプリフォームは型及び保持具と共にコンベアベルトによって各室に搬送される。それゆえ、ガラスプリフォームは、型と共に冷却された後に取出し室にて型から取り出される。また、多数のガラスプリフォームを金型に入れたままタクト回転させる盆を備えた装置もこの文献の実施例3で開示されているが、この装置はガラスプリフォームの数だけ型が必要となる。
特開昭61−26528号公報
本発明は、このような事情に鑑み、多数の光学素子を連続的に製造する際に、省エネルギー性に優れるとともに、タクトタイムを短縮し、光学素子の生産性を高めることが可能な光学素子の成形装置及び製造方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、光学素子の成形プロセス中に光学素子を搬送する際に光学素子の割れを防止することが可能な光学素子の搬送装置を備える成形装置及び製造方法を提供することである。また、本発明の付属的な目的は、光学素子を予備加熱する際に光学素子全体を均一に昇温させることが可能な光学素子の加熱装置を備える成形装置及び製造方法を提供することにある。本発明の更なる付属的な目的は、光学素子を冷却する際に光学素子の割れを防止することが可能な光学素子の冷却装置を備える成形装置及び製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、複数の光学素子を順次成形する成形方法であって:光学素子を素子加熱部で予備加熱すること(S2,S4)と;予備加熱した光学素子を前記素子加熱部から成形型に搬送すること(S5)と;前記成形型中で、前記光学素子をガラス転移点より高い温度に加熱しながら成形すること(S6)と;成形された光学素子をガラス転移点より低く且つ400℃以上の温度で成形型から取り出すこと(S6‘)と;成形型から取り出した光学素子を、その光学素子の温度よりも200℃より低くない温度に加熱した部材で把持して冷却部に搬送すること(S7)と;前記冷却部で前記光学素子を冷却すること(S8,S10)を含む光学素子の成形方法が提供される。
複数の光学素子を順次成形する際に、予備加熱装置、成形型及び冷却器が直列して配列された成形システムが用いられる。このようなシステムにおける成形型内で光学素子を自然冷却した場合の光学素子の温度を、図7に仮想線CMで示した。仮想線CMから分かるように、光学素子を成形型内で自然冷却すると光学素子を収容した成形型が所定の温度に冷却されるまでかなり長い待機時間を要する。これでは前記成形システムを用いて製造する場合に、成形型での処理時間が全体の光学素子の製造プロセスの速度を制限してしまう。一方、金型ごと強制冷却することも考えられるが、金型は熱容量が大きいので冷却には多くのエネルギーを要する。また、光学素子の数だけ金型が必要となりコスト高となり、メンテナンスにも費用と手間もかかる。
本発明では、一つの光学素子の成形に要する時間を短縮するために、成形型内で加熱及び成形された光学素子を光学素子のガラス転移点より低く且つ400℃より高い温度で成形型から取り出す(高温リリース)。成形型から取り出す際または取り出し後に素子の変形などを防止するために、取り出し温度はガラス転移点より低くする必要がある。また、素子の温度が余り低いと、図7の仮想線CMから分かるように、光学素子のプロセス時間を短くできないので、本発明では400℃を下限とした。こうすることで、比較的時間のかかる成形工程を、予備加熱工程及び冷却工程と同程度の時間に短縮することができることが分かった。400℃以上の比較的高温の光学素子を型から取り出し、冷却部に搬送するためには耐熱性の搬送部材が用いられる。しかし、そのような搬送部材の温度が搬送される光学素子と200℃を超える温度差があると、光学素子が歪んだり、クラックが発生することが本発明者の実験で分かった。そこで、本発明では、そのような光学素子の欠陥の発生を防止しつつ高温リリースを実現するために、成形型から取り出した光学素子を、その光学素子の温度よりも200℃より低くない温度に加熱した部材で把持して冷却部に搬送することとした。
本発明の第2の態様に従えば、 光学素子を成形する成形装置(1)であって:光学素子(W)をガラス転移点(Tg)より高い温度に加熱しながら成形する成形部(11)と;成形部(11)で成形された光学素子(W)が冷却される冷却部(19,20)と;光学素子を把持する把持部(23)を有し、光学素子の温度が前記ガラス転移点より低く且つ400℃以上の温度にて、上記光学素子を把持部(23)で把持して成形部(11)から取り出して前記冷却部に搬送する搬送部(41)と;前記把持部(23)を、成形部(11)から取出された光学素子(W)の温度より200℃より低くない温度に加熱する加熱部(25)とを備える成形装置(1)が提供される。
上記説明では、本発明をわかりやすく説明するため、発明の構成要素に、実施の形態で使用した図面の符号を付したが、各構成要素がそれらの符号が付された具体化物に限定されるものでない。
本発明によれば、成形工程後に、光学素子を400℃以上という高温度で型から取り出して冷却しているので、冷却時間を短縮して複数の光学素子の連続製造プロセスを高効率で実施することができる。また、そのような高温リリースに伴う光学素子の割れなどの欠陥の発生を有効に防止することができる。
本発明の実施の形態1に係る光学素子の搬送装置が組み込まれた光学素子の成形装置を示す平面図である。 図1に示す光学素子の成形装置のII−II線による断面図である。 本発明の実施の形態1に係る成形装置の透視図である。 図3に示す吸着パッドによる光学素子の支持状態を示す断面図である。 図3に示す吸着パッドの加熱方法を示す断面図である。 図1に示す光学素子の成形装置による光学素子の製造方法を示す模式図である。 図1に示す光学素子の成形装置による光学素子の製造方法における温度サイクルを示すタイムチャートである。 図2に示す光学素子の成形装置の補助アーム近傍を示す図であって、(a)はその正面図、(b)はその右側面図である。 (a)〜(d)は図8に示す補助アームによる光学素子の受け渡し方法を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る成形装置に用いた吸着パッドの斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る成形装置で用いた加熱装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る成形装置で用いた冷却装置を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る成形装置で用いた冷却装置を示す概念図である。 本発明の実施の形態2に係る成形装置で用いた光学素子の搬送装置を示す斜視図である。 図14に示す光学素子の搬送装置の垂直断面図である。 本発明の実施の形態2に係る成形装置で用いた加熱装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る成形方法の工程を表すフローチャートである。 従来の光学素子の製造方法を示す模式図である。
符号の説明
1……光学素子の成形装置、2……機体フレーム、3……成形室
5……真空チャンバー、6、7……スライド扉、9……ワークストッカー
11……素子成形部(素子成形手段)、12……上成形型
13……下成形型、14……石英管、15……成形ヒーター
16……第1素子予熱部、16a……第1ヒーター
17……第2素子予熱部、17a……第2ヒーター
19……第1素子冷却部、19a……第1放熱装置
20……第2素子冷却部、20a……第2放熱装置
21……ガイドレール、22……搬送アーム
23……吸着パッド(素子搬送部材)、23a……吸気口
23b……パッド本体、23c……素子当接部位、23d……熱抵抗部
25……ホットプレート(搬送部材加熱手段)、26……補助アーム
26a……アーム本体、26b……ワーク支持片
27……ワーク支持台、27a、27b……ワーク搭載片
31……パレット、32……ガイドレール、33……搬送アーム
34……吸着パッド、35……制御部、41……加熱装置、43……伝熱板
45……ヒーター、49……温度センサ、51……ヒーター電力供給部
52……シーケンスコントローラ、53……モーター制御部
55……モーター、56……オン/オフ弁、57……通気管
58……温度制御部(温度制御手段)、59……ボールねじ
60……素子把持具(素子搬送部材)、61……把持片
61a……素子当接部位、141……搬送装置(素子搬送手段)
241……載置台、W……光学素子、
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
実施の形態1に係る光学素子の成形装置を、図1〜13を用いて説明する。成形装置1は、図3の透視図に示したように、機体フレーム2上に、成形室3、真空チャンバー5及びワークストッカー9が区画されて設けられている。後の説明上、成形装置1の向きを図1及び3に示したX、YおよびZ方向で表わす。成形室3内は窒素でパージされて窒素雰囲気となっている。ロードロックチャンバーなどの真空チャンバー5が成形室3に隣接して設けられている。成形室3と真空チャンバー5との間にはスライド扉6が開閉自在に設置されている。さらに、ワークストッカー9が真空チャンバー5を包囲しており、真空チャンバー5とワークストッカー9との間にはスライド扉7が開閉自在に設置されている。
成形室3には、図1〜図3に示すように、素子成形部11が設置されており、素子成形部11は、図2および図6に示すように、上成形型12、下成形型13、石英管14および成形ヒーター15を備えている。上成形型12は成形室3に対して固定されており、下成形型13は上成形型12の下方で上成形型12に対してZ軸方向(図2矢印C、D方向)に昇降自在に支持されている。また、上成形型12の周囲には、図6に示すように、石英管14が設置されており、石英管14内は、成形室3内と連通しているため、窒素でパージされた状態となっている。さらに、石英管14の周囲には成形ヒーター15が設置されている。この成形ヒーター15としては、例えば赤外線ヒーターを使用することができる。なお、上成形型12、下成形型13としては、例えば金型を用いることができる。この金型の材料としては、表面に貴金属コーティングを施したセラミックス、貴金属、炭化ケイ素、炭化タングステンなどを使用することができる。
また、成形室3には、図1〜図3に示すように、第1素子予熱部(第1加熱エリア)16が素子成形部11の後方(図2右方)に設置されているとともに、第2素子予熱部(第2加熱エリア)17が素子成形部11の前方(図2左方)に設置されている。ここで、図1に示すように、第1素子予熱部16は第1ヒーター16aを有しており、第2素子予熱部17は第2ヒーター17aを有している。そして、第2ヒーター17aの加熱温度は第1ヒーター16aの加熱温度より高く設定されている。第1ヒーター16aおよび第2ヒーター17aとしては、光学素子Wの部位によって温度ばらつきが生じないように加熱できるものが好ましい。例えば、加熱用の載置台に光学素子Wを載置した状態で放射熱(輻射熱)により光学素子Wを加熱するヒーターを使用することができる。ここで、第2素子予熱部17について、図11を参照しながら説明する。
第2素子予熱部17には、図11に示すように、加熱装置41が設置されており、加熱装置41は、テーブル47、短円筒状の加熱載置台42、円筒状の壁体46、石英管48、円筒状の赤外線ヒーター(加熱手段)43および熱電対49から構成されている。
テーブル47の上側には、図11に示すように、ステンレスSUS304などの金属からなる加熱載置台42が搭載されている。加熱載置台42の上面には、光学素子Wの下面の形状に対応した球面状の、即ち凹状の放熱面42aが設けられている。放熱面42aの上方には光学素子Wの載置予定領域S1が区画されている。さらに、この載置予定領域S1と放熱面42aとの間には放熱空間S2が形成されており、この放熱空間S2は、放熱方向(放熱面42aに垂直な方向)の寸法L1が5mm以下となっている。また、放熱面42aには、光学素子Wの有効径の外側部位(例えば、光学素子Wの載置予定領域S1の外周縁から5mm以内の内側)に当接して支持する支持凸部42bが、光学素子Wの載置予定領域S1に下側から接する形で円環状に立設されている。この支持凸部42bは、光学素子Wの載置予定領域S1の外周縁から半径方向5mm以内の内側に位置している。さらに、加熱載置台42の底部には、加熱載置台42の温度を測定するための熱電対49が埋設されている。
また、テーブル47の上側には、図11に示すように、壁体46が、加熱載置台42の周囲で加熱載置台42を押さえ込んで固定するように立設されており、壁体46の高さH1は、光学素子Wの載置予定領域S1の上端と同じ高さとなっている。壁体46は、炭化タングステン(WC)、炭化ケイ素(SiC)などの金属炭化物から形成され得る。
また、壁体46の周囲には、図11に示すように、石英管48が設置されており、石英管48内は窒素でパージされた状態となっている。さらに、石英管48の周囲には赤外線ヒーター43が設置されており、石英管48と赤外線ヒーター43との間の空間は大気に開放されている。なお、赤外線ヒーター43は、加熱載置台42を光学素子Wよりも高い温度に加熱する能力を備えている。
成形室3には、図1〜図3に示すように、第1素子冷却部19が第1素子予熱部16の後方(+X側:搬送方向上流側)に設置されているとともに、第2素子冷却部20が第1素子冷却部19の後方(+X側:搬送方向上流側に設置されている。ここで、図1に示すように、第1素子冷却部19は第1放熱装置19aを有しており、第2素子冷却部20は第2放熱装置20aを有している。そして、第2放熱装置20aの冷却温度は第1放熱装置19aの冷却温度より低く設定されている。
第1放熱装置19aおよび第2放熱装置20aとしては、光学素子Wの部位によって温度ばらつきが生じないように冷却できるものが好ましい。例えば、円周上に等角度間隔で配置された3個の支持片によって光学素子Wを支持した状態で光学素子Wを自然放冷する放熱装置を使用することができる。また、ファンを回転させて光学素子Wを強制冷却する放熱装置や、常温の窒素ガスを吹き付けて光学素子Wを強制冷却する放熱装置を使用することもできる。
第1素子冷却部19の具体例を以下に説明する。図13に示すように、第1素子冷却部19には冷却装置40が設置されており、冷却装置40は、冷却支持部材44、ヒーター電力供給部51、シーケンスコントローラ52、制御部35から構成されている。冷却支持部材44は、アルミニウムなどの金属からなる平板状の載置台241を有しており、載置台241上には3個の支持片42が、円周上に等角度間隔(つまり、120°間隔)で配置されている。各支持片42はそれぞれ、金属(例えば、ステンレスSUS304)からなる爪43と、この爪43を加熱するための電気式のヒーター45と、断熱部材46とから構成されている。ここで、爪43はヒーター45の上側に載置されており、ヒーター45は断熱部材46を介して載置台241の上側に取り付けられている。そして、3個の支持片42のヒーター45には、図4に示すように、ヒーター電力供給部51が接続されており、ヒーター電力供給部51にはシーケンスコントローラ52が接続されている。さらに、シーケンスコントローラ52には制御部35が接続されている。また、3個の支持片42の爪43は、その全熱容量が光学素子Wの熱容量と同程度になるようにしてもよい。
なお、ヒーター45としては、爪43を短時間で加熱できる観点から、熱容量の小さいものが望ましく、例えば、株式会社ミスミ製の小型セラミックヒーター MMCPH-20-10などを採用することができる。また、断熱部材46としては、ヒーター45から載置台241へ伝わる熱量をできるだけ抑制するものが望ましく、例えば、ポリイミド樹脂(例えば、デュポン株式会社製の「ベスペル(登録商標)」、日本ポリペンコ株式会社製の「PBI(登録商標)」、ナラサキ産業株式会社製の「ユピモール(登録商標)」)などを採用することができる。
また、第2放熱装置20aを有する第2素子冷却部20は、図1〜図3に示すように、アルミニウムなどの金属からなる載置台47を有しており、この載置台47は第1素子冷却部19の載置台241と一体に形成されている。
第2放熱装置20aとしては、第1放熱装置19aと同様に、光学素子Wの部位によって温度ばらつきが生じないように冷却できるものが好ましい。第2放熱装置20aは、例えば、第1放熱装置19aと同様に、円周上に等角度間隔で配置された3個の支持片によって光学素子Wを支持した状態で光学素子Wを自然放冷する放熱装置を使用することができる。また、ファンを回転させて光学素子Wを強制冷却する放熱装置や、常温の窒素ガスを吹き付けて光学素子Wを強制冷却する放熱装置を使用することもできる。
また、成形室3には、図1および図2に示すように、搬送装置141が設置されており、搬送装置141は、ガイドレール21、搬送アーム22、高温耐性樹脂からなる吸着パッド(素子搬送部材)23および吸着パッド用の加熱部としてのホットプレート(搬送部材加熱手段)25から構成されている。また、成形室3には、成形室3と真空チャンバー5との間で光学素子Wを搬送する補助アーム26が設けられている。
ここで、ガイドレール21はX軸方向(図1矢印A、B方向)に配設されており、ガイドレール21には搬送アーム22が、第1素子予熱部16、第2素子予熱部17から素子成形部11を経て第1素子冷却部19、第2素子冷却部20に至る搬送経路に沿ってX軸方向に移動駆動自在に支持されている。さらに、搬送アーム22の下面には吸着パッド23がZ軸方向(図2矢印C、D方向)に昇降駆動自在に支持されており、この吸着パッド23により、光学素子Wの上面を減圧吸着して光学素子Wを支持することができる。
すなわち、成形室3には、図4(および図13)に示すように、モーター55が設置されており、モーター55にはモーター制御部53が接続されている。このモーター55の出力軸にはボールねじ59が連結されており、ボールねじ59には搬送アーム22が螺合している。一方、吸着パッド23は、図4および図10に示すように、円盤状のパッド本体23bを有している。パッド本体23bには、周縁部にリング状の素子当接部位23cがパッド本体23bと一体に下向きに突設されている。素子当接部位23cの内周側直近に薄肉状の熱抵抗部23dが円周上に形成されている。また、パッド本体23bの中心部には、吸気口23aがパッド本体23bを貫通するように形成されている。そして、この吸着パッド23には、真空ラインに接続された通気管57が吸気口23aに連通する形で接続されており、通気管57の途中にはオン/オフ弁56が取り付けられている。さらに、オン/オフ弁56にはシーケンスコントローラ52が接続されている。
したがって、モーター55に通電してボールねじ59を正逆方向に回転させれば、搬送アーム22および吸着パッド23がX軸方向(図4矢印A、B方向)に移動することになる。また、図4に実線で示すように、吸着パッド23を光学素子Wの上部に当接させた状態で、オン/オフ弁56を開放すれば、光学素子Wが吸着パッド23の下側に減圧吸着されて支持される。逆に、この状態でオン/オフ弁56を閉塞すれば、吸着パッド23による光学素子Wの吸着状態が解除される。
一方、ホットプレート25は、吸着パッドの温度を制御する部位であり、図1〜図3に示すように、素子成形部11と第1素子予熱部16との間に設置されている。このホットプレート25は、図5に示すように、金属からなる平板状の伝熱板43を有しており、伝熱板43には電気式のヒーター45が内装されている。ヒーター45にはヒーター電力供給部51が接続されており、ヒーター電力供給部51には温度制御部58が接続されている。また、伝熱板43の近傍には、伝熱板43の表面温度を測定する温度センサ49が設けられており、温度センサ49は温度制御部58に接続されている。さらに、温度制御部58には制御部35が接続されている。制御部35は、成形装置1を制御して後述する光学素子の製造工程を実施する。前述のようにホットプレート25は吸着パッドの温度を制御するための部材であるため、吸着パッド自体が加熱装置を持つ必要がない。吸着パッドに加熱装置が存在しないことにより、吸着パッドの熱容量が少なく、それにより吸着パッド自体を急速に温度制御できる点に注目すべきである。
なお、吸着パッド23の高温耐性樹脂は、光学素子Wの高温に耐えるものであればいかなる樹脂でもよく、例えば、ポリイミド樹脂(例えば、デュポン株式会社製の「ベスペル(登録商標)」、日本ポリペンコ株式会社製の「PBI(登録商標)」、ナラサキ産業株式会社製の「ユピモール(登録商標)」)、ポリベンゾイミダゾール樹脂(例えば、日本ポリペンコ株式会社製の「ポリペンコPBI(登録商標)」)、窒化ボロンなどを採用することができる。
また、補助アーム26は、成形室3から真空チャンバー5に至る可動領域において、図8(a)及び(b)に示すように、X軸方向(矢印A、B方向)に移動駆動自在に、かつZ軸方向(矢印C、D方向)に昇降駆動自在に設けられている。補助アーム26は、平板状のアーム本体26aを有しており、アーム本体26a上にはU字形のワーク支持片26bが取り付けられている。この補助アーム26の幅L1はいずれも、図8(b)に示すように、光学素子Wの幅L2より狭くなっている。
さらに、真空チャンバー5内には、図8(a)に示すように、ワーク支持台27が載置されている。ワーク支持台27は、互いに対向する一対のL字形のワーク搭載片27a、27bから構成されており、これらのワーク搭載片27a、27bの間隔L3は、図8(b)に示すとおり、一対のL字形のワーク搭載片27a、27bで光学素子Wの幅方向の両端部を支持するとともに、ワーク搭載片27a、27bの間を補助アーム26が通過することができるように、光学素子Wの幅L2より狭く、かつ補助アーム26の幅L1より広くなっている。
また、ワークストッカー9には、図1および3に示すように、成形前および成形後の光学素子Wをストックするためのパレット31が設置されている。さらに、ワークストッカー9にはガイドレール32がY軸方向(図1矢印E、F方向)に配設されており、ガイドレール32には搬送アーム33が、Y軸方向およびX軸方向(図1矢印G、H方向)に移動駆動自在に支持されている。さらに、搬送アーム33の下面には吸着パッド34がZ軸方向に昇降駆動自在に支持されており、この吸着パッド34により、光学素子Wを減圧吸着して支持することができるように構成されている。
次に、光学素子の成形装置1の動作(作用)について図17のフローチャートを参照しながら説明する。
光学素子の成形装置1は以上のような構造を有するので、この光学素子の成形装置1を用いて非球面ガラスレンズなどの光学素子Wを成形する際には、その旨を制御部35に指令する。これを受けて制御部35は、以下に述べるとおり、成形すべき光学素子Wをワークストッカー9から成形室3に搬入した後、図7に示すタイムチャート中の予熱工程A(第1予熱工程A1、第2予熱工程A2)、成形工程B、冷却工程C(第1冷却工程C1、第2冷却工程C2)に従い、この光学素子Wに対して、2段階の予熱、成形、2段階の冷却という一連の工程を順に実施し、最後に、この光学素子Wを成形室3からワークストッカー9に搬出するように制御する。なお、光学素子Wの成形工程を細かく見ると、図6に示すように、加熱、加圧、徐冷の3工程から構成される。
すなわち、素子搬入工程で、光学素子Wをワークストッカー9から真空チャンバー5経由で成形室3に搬入し、第1素子予熱部16に搬送する(S1)。
それには、まず、スライド扉6を閉じた後、スライド扉7を開け、この状態で、搬送アーム33をY軸方向およびX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド34をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを吸着パッド34で減圧吸着して支持した状態のままパレット31から真空チャンバー5に搬送して、図9(a)に示すように、ワーク支持台27に載置した後、吸着パッド34による光学素子Wの支持状態を解除し、光学素子Wをワーク支持台27に残したまま搬送アーム33および吸着パッド34を退避させる。
次に、スライド扉7を閉じた後、真空ポンプ(図示せず)により真空チャンバー5を真空引きしたのちに、真空チャンバー5に窒素ガスを導入する。真空チャンバー5が大気圧になるまで窒素ガスが導入されたら、スライド扉6を開け、この状態で、図9(a)に示すように、補助アーム26を矢印D方向に所定距離だけ下降させ、図9(b)に示すように、補助アーム26を矢印B方向に所定距離だけ移動させ、図9(c)に示すように、補助アーム26を矢印C方向に所定距離だけ上昇させ、図9(d)に示すように、補助アーム26を矢印A方向に所定距離だけ移動させることにより、光学素子Wを真空チャンバー5から成形室3内に搬送する。このとき、ワーク支持台27の一対のL字形のワーク搭載片27a、27bの間隔L3が補助アーム26の幅L1より広くなっているので、真空チャンバー5から成形室3への光学素子Wの受け渡し動作は、上述したように補助アーム26を駆動するだけで簡易に実行することができる。
最後に、搬送アーム22をX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド23をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを吸着パッド23で減圧吸着して支持した状態のまま補助アーム26のワーク支持片26bから第1素子予熱部16に搬送した後、吸着パッド23による光学素子Wの支持状態を解除し、光学素子Wを第1素子予熱部16に残したまま搬送アーム22および吸着パッド23を退避させた後、スライド扉6を閉じる。
ここで、素子搬入工程(S1)が終了する。このように、光学素子Wを真空チャンバー5経由で成形室3に搬入することにより、光学素子Wの成形室3への搬入に伴って大気中の酸素が成形室3内に流れ込む不具合を避けることができる。
なお、この素子搬入工程において、吸着パッド23は、図4に示すように、光学素子Wを支持するときに素子当接部位23cが光学素子Wの外周部(有効径の外側部位)に当接する。したがって、この支持動作によって光学素子Wが細かい損傷を受けたとしても、光学素子Wとしての製品価値が低下する恐れはない。
光学素子Wが成形室3に搬入されると、素子予熱工程(図6の「予熱工程A」参照)に移行し、第1素子予熱部16および第2素子予熱部17で、光学素子Wをガラス転移点(温度)Tgの近傍まで段階的に予備加熱する(S2)。光学素子Wが成形室3に搬入されて第1素子予熱部16に搬送されると、第1段階の素子予熱工程(図7の「第1予熱工程A1」及び図17のステップS2参照)が始る。この工程では、第1素子予熱部16の第1ヒーター16aにより、ある程度の温度(例えば、200〜300℃)に達するまで光学素子Wを予備加熱する。第1ヒーター16aとして、例えば、加熱した窒素ガスを光学素子Wに吹き付けるガスヒーター、または、後述するホットプレート25と同様のものを用いることができる。
こうして光学素子Wが第1素子予熱部16である程度の温度に達するまで予備加熱されたところで、第1予熱工程から第1素子搬送工程に移行し、光学素子Wを第1素子予熱部16から第2素子予熱部17に搬送する(S3)。それには、搬送アーム22をX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド23をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを吸着パッド23で減圧吸着して支持する。光学素子Wを吸着パッド23で支持したまま第1素子予熱部16から第2素子予熱部17に搬送した後、吸着パッド23による光学素子Wの支持状態を解除する。次いで、光学素子Wを第2素子予熱部17に残したまま搬送アーム22および吸着パッド23を退避させる。
なお、この第1素子搬送工程(S3)においても、吸着パッド23は、光学素子Wを支持するときに素子当接部位23cが光学素子Wの外周部(有効径の外側部位)に当接する。したがって、この支持動作によって光学素子Wが細かい損傷を受けたとしても、光学素子Wとしての製品価値が低下する恐れはない。
こうして光学素子Wが第2素子予熱部17に搬送されたところで、第2段階の素子予熱工程(図7の「第2予熱工程A2」及び図17のステップS4参照)に移行し、第2素子予熱部17の第2ヒーター17aにより、ガラス転移点Tgの近傍の温度(例えば、400〜500℃)に達するまで光学素子Wをさらに予備加熱する(S4)。なお、ガラス転移点Tgとは、ガラスを加熱したときに剛性および粘度が急速に低下して流動性が増す温度を意味する。この第2段階の素子予熱工程における予備加熱動作は、制御部35からの指令に基づき、次のとおり実行される。
すなわち、制御部35は、図11に示すように、光学素子Wが載置予定領域S1に載置された状態で、赤外線ヒーター43に通電して赤外線を加熱載置台42に向けて照射する。すると、この赤外線は石英管48を通過して加熱載置台42に到達する。その結果、加熱載置台42は、赤外線を吸収して昇温し、放熱面42aから放熱空間S2を介して光学素子Wに熱を放射(輻射)する。すると、光学素子Wは、この熱を吸収して昇温する。
このとき、光学素子Wの下面は、支持凸部42bが当接する狭小な領域を除いて全面が加熱載置台42の放熱面42aに対向しているので、光学素子Wは、全体が均一に加熱されて昇温する。その結果、光学素子Wの各部位の温度ばらつきに起因して光学素子Wが割れてしまうことを避けつつ、光学素子Wの予備加熱に要する時間を短縮することが可能となる。
また、放熱空間S2は、放熱方向の寸法L1が5mm以下(例えば、4mm)と短くなっているため、加熱載置台42の放熱面42aから放射された熱を無駄なく光学素子Wに到達させ、加熱載置台42による光学素子Wの加熱動作を効率よく行うことができる。
さらに、光学素子Wは、素子予熱工程において、加熱載置台42の支持凸部42bによって有効径の外側部位で支持されている。したがって、この支持動作によって光学素子Wが細かい損傷を受けたとしても、光学素子Wとしての製品価値が低下する恐れはない。
しかも、支持凸部42bは円環状に設けられているため、光学素子Wを安定して支持することができる。また、同心円状に熱が伝わるため、部分的に突起を有する形状に比べて、光学素子Wの温度ムラが発生しにくい。
さらにまた、光学素子Wは、図11に示すように、赤外線ヒーター43から見て壁体46の裏側に隠れるため、赤外線ヒーター43からの赤外線が直接、光学素子Wに照射されて光学素子Wが割れてしまう事態を未然に防止することができる。
また、加熱載置台42は、金属から構成されているため、熱伝達に優れ、赤外線ヒーター43から受け取った熱で加熱載置台42全体が素早く一様に昇温することになる。
また、壁体46は、金属炭化物から構成されているため、様々な利点がある。第1に、金属より軽量であり、システム全体の軽量化が可能となる。第2に、高温での変形が少ないため、光学素子Wの出し入れの際に障害にならない。第3に、高温での劣化が少ないため、長寿命である。
なお、加熱載置台42には熱電対49が設けられているので、制御部35は、この熱電対49によって加熱載置台42の温度をリアルタイムで測定し、加熱載置台42が所定の温度を維持するように制御することができる。こうして、加熱載置台42に置かれた光学素子Wがガラス転移点Tgの近傍の温度(例えば、400〜500℃)に加熱される。
このように、光学素子Wは第1素子予熱部16および第2素子予熱部17で段階的に予備加熱されるので、急に温度が上昇したときに発生しやすい光学素子Wの各部位の温度ばらつきに起因するクラック(割れ目)の発生を未然に阻止することができる。また、第1素子予熱部16の第1ヒーター16aによる予熱開始温度に比べて、第2素子予熱部17の第2ヒーター17aによる予熱開始温度が高いので、光学素子Wの予備加熱動作を円滑に行うことができる。さらに、吸着パッド23は、その可動範囲内において、光学素子Wを支持する支持状態と当該支持状態が解除された非支持状態とを切り替え可能となっており、光学素子Wを予備加熱する時点では、吸着パッド23が非支持状態で、第1素子予熱部16、第2素子予熱部17には光学素子Wのみが存在し、搬送アーム22や吸着パッド23は退避しているので、光学素子Wは単体で(つまり、搬送アーム22や吸着パッド23を伴うことなく)予備加熱が行われることになる。そのため、加熱対象の熱容量が最小限となり、省エネルギー性に優れる。
こうして光学素子Wがガラス転移点Tgの近傍まで予備加熱されたところで、第2素子搬送工程に移行し、光学素子Wを第2素子予熱部17から素子成形部11に搬送する(S5)。それには、搬送アーム22をX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド23をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを吸着パッド23で減圧吸着して支持した状態のまま第2素子予熱部17から素子成形部11に搬送した後、吸着パッド23による光学素子Wの支持状態を解除し、光学素子Wを素子成形部11に残したまま搬送アーム22および吸着パッド23を退避させる。
なお、この第2素子搬送工程(S5)においても、吸着パッド23は、光学素子Wを支持するときに素子当接部位23cが光学素子Wの外周部(有効径の外側部位)に当接する。したがって、この支持動作によって光学素子Wが細かい損傷を受けたとしても、光学素子Wとしての製品価値が低下する恐れはない。
また、この第2素子搬送工程においては、光学素子Wの温度が高温(400℃以上)となっているので、光学素子Wを吸着パッド23で吸着して搬送する際に両者の温度差に起因して光学素子Wが割れる事態を回避すべく、この第2素子搬送工程に先立ち、ホットプレート25を用いて、吸着パッド23の素子当接部位23cを所定の温度(例えば、光学素子Wの温度に対して、+100℃〜−200℃の範囲内の温度、但し、Tgを超えない温度)に昇温させる。次の成形工程において光学素子Wの温度がさらに上昇することからすれば、光学素子Wの温度よりも高いほうが、加熱時間を短縮することができるために望ましい。この第2素子搬送工程における吸着パッド23の昇温動作は、制御部35からの指令に基づき、次のとおり実行される。
すなわち、制御部35は、図4および図5に示すように、シーケンスコントローラ52に対して、吸着パッド23の素子当接部位23cをホットプレート25の伝熱板43に押し当てるように指令する。これを受けてシーケンスコントローラ52は、吸着パッド23をZ軸方向(図5矢印D方向)に下降させる。その結果、吸着パッド23は、ホットプレート25側に下降し、図5に実線で示すように、素子当接部位23cがホットプレート25の伝熱板43に押し当てられた状態となる。
こうして吸着パッド23の素子当接部位23cがホットプレート25の伝熱板43に押し当てられた状態で、制御部35は、図5に示すように、温度制御部58に対して伝熱板43の昇温動作を指令する。これを受けて温度制御部58は、ヒーター電力供給部51に対してヒーター45への通電動作を指令する。これを受けてヒーター電力供給部51は、ヒーター45に通電する。その結果、伝熱板43は、ヒーター45に加熱されて昇温する。
このとき、伝熱板43には吸着パッド23の素子当接部位23cが当接しているので、伝熱板43の昇温に伴って吸着パッド23の素子当接部位23cも昇温する。
そして、伝熱板43の表面温度は、温度センサ49で測定されて温度制御部58にフィードバックされるので、温度制御部58は、吸着パッド23の素子当接部位23cがホットプレート25の伝熱板43に当接した状態における両者の温度の対応関係に基づき、素子当接部位23cが所定の温度範囲に収まるように制御する。
このように吸着パッド23の素子当接部位23cが予め加熱されている光学素子Wの温度に近くなっているので、光学素子Wを吸着パッド23で吸着する際に、両者の温度差に起因して光学素子Wが割れる事態を回避することが可能となる。
なお、ホットプレート25は、吸着パッド23の素子当接部位23cが伝熱板43に接触した状態で素子当接部位23cを加熱するので、吸着パッド23の素子当接部位23cは下側(つまり、光学素子Wが当接する側)から加熱される。したがって、加熱効率が良好となる。
また、ホットプレート25は、成形室3内、すなわち吸着パッド23の可動範囲内にあるため、ホットプレート25による吸着パッド23の昇温動作は、円滑に行うことができる。
さらに、吸着パッド23には、素子当接部位23cの内周側直近に熱抵抗部23dが設けられているため、ホットプレート25による吸着パッド23の昇温時に、吸着パッド23の素子当接部位23cから他の部位(熱抵抗部23dより内側の部位)へ伝わる熱量を抑制することができる。その結果、素子当接部位23cのみを短時間で効率よく昇温させることができる。
さらにまた、吸着パッド23は成形室3内でX軸方向およびZ軸方向に駆動されるのに対して、ホットプレート25は成形室3に固定されているため、ホットプレート25回りの配線(ヒーター電力供給部51とヒーター45とを接続する配線、温度センサ49と温度制御部58とを接続する配線)の取り回しが容易となる。
また、吸着パッド23の素子当接部位23cはホットプレート25で加熱されるため、吸着パッド23側に加熱手段(図示せず)を設ける場合と比べて、吸着パッド23の素子当接部位23cの温度制御を短時間で行うことができる。その結果、扱う搬送工程によって設定温度が異なる場合でも、迅速に対応することが可能となる。
こうして光学素子Wが素子成形部11に搬送されたところで、素子成形工程(図7の「成形工程B」及び図17のステップS6参照)に移行し、素子成形部11で光学素子Wを所望の形状(例えば、非球面状)に成形する(S6)。それには、まず、下成形型13を、図6に示した配置から上方、すなわち上成形型12側に適宜上昇させることにより、光学素子Wを上成形型12と下成形型13との間に挟み込む。この状態で、成形ヒーター15に通電することにより、ガラス転移点Tgを超えてガラス屈伏点(温度)Atに達するまで光学素子Wを加熱する。なお、ガラス屈伏点Atとは、温度上昇に伴うガラスの膨張が止まって収縮が始まる温度を意味し、これはガラスの成形可能温度にほぼ相当する。次に、下成形型13をさらに上昇させることにより、光学素子Wを加圧して成形する。このとき、光学素子Wは、その温度がガラス屈伏点Atに達しているので、成形動作を円滑に行うことができる。最後に、成形ヒーター15への通電と停止を繰り返すことにより、光学素子Wを徐冷する。そして、光学素子Wがガラス転移点Tg未満の温度に低下して硬化したところで、成形ヒーター15への通電を停止し、下成形型13を下降させて上成形型12から離隔させる。このとき、光学素子Wは既に硬化しているので、下成形型13を下降させても、光学素子Wが変形してしまう恐れはない。そして、光学素子Wを下成形型13から取り出す(S6’)。
光学素子Wの下成形型13からの取出しは、下成形型13の温度が400℃未満になる前に行う。下成形型13は熱容量が比較的大きいので、光学素子Wを下成形型13(および上成形型12)とともに冷却すると、光学素子Wの温度が十分低下するには長時間を要するからである。成形型内で光学素子を自然冷却した場合の光学素子の温度を、図7に仮想線CMで示した。仮想線CMから分かるように、光学素子を成形型内で自然冷却すると光学素子を収容した成形型が所定の温度に冷却されるまでかなり長い待機時間を要する。これでは実施形態1の成形装置1を用いて後述するように複数の光学素子を連続的に製造する場合に、成形型での処理時間が全体の光学素子の製造プロセスの速度を制限してしまう。そこで、本発明では、光学素子Wの温度が400℃以上の温度で、光学素子Wを下成形型13から取り出して第1素子冷却部19に搬送する。なお、成形室内は、前述のように窒素ガスなどの不活性ガスで満たされており、しかも、金型材料は前述のように耐酸化性の高い材料から形成されているので、400℃以上で上下成形型を開いても、金型および光学素子には問題は生じない。
こうして光学素子Wが所望の形状に成形されたところで、第3素子搬送工程に移行し、光学素子Wを素子成形部11から第1素子冷却部19に搬送する(S7)。それには、搬送アーム22をX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド23をZ軸方向に適宜昇降させる。次いで、図12および13に示すように、光学素子Wを吸着パッド23で減圧吸着して支持した状態のまま素子成形部11から第1素子冷却部19に搬送し、冷却支持部材44の真上に位置決めする。次いで、吸着パッド23による光学素子Wの支持状態を解除し、光学素子Wを第1素子冷却部19に残したまま搬送アーム22および吸着パッド23を退避させる。
なお、この第3素子搬送工程においても、吸着パッド23は、光学素子Wを支持するときに素子当接部位23cが光学素子Wの外周部(有効径の外側部位)に当接する。したがって、この支持動作によって光学素子Wが細かい損傷を受けたとしても、光学素子Wとしての製品価値が低下する恐れはない。
また、この第3素子搬送工程においても、光学素子Wの温度が高温(400℃以上)となっているので、この第3素子搬送工程に先立ち、上述した第2素子搬送工程における吸着パッド23の昇温動作と同様の手順で、ホットプレート25を用いて、吸着パッド23の素子当接部位23cを所定の温度範囲、例えば、光学素子Wの温度に対して、+100℃〜−200℃、に昇温させる。その結果、光学素子Wを吸着パッド23で吸着して搬送する際に、両者の温度差に起因して光学素子Wが割れる事態を回避することが可能となる。第3素子搬送工程の次の工程が素子冷却工程であるので、タクトタイムを短くする観点からすれば、吸着パッド23の素子当接部位23cの温度は、光学素子Wの温度よりも低い方が望ましい。それゆえ、吸着パッド23の素子当接部位23cの温度範囲は、光学素子Wの温度に対して、0℃〜−200℃が望ましい。
こうして光学素子Wが第1素子冷却部19に搬送されたところで、第1段階の素子冷却工程(図7の「第1冷却工程C1」及び図17のステップS8参照)に移行し、第1素子冷却部19の第1放熱装置19aにより、ある程度の温度(例えば、150〜200℃)に達するまで光学素子Wを冷却する(S8)。この第1素子冷却部19における冷却動作は、制御部35からの指令に基づき、次のとおり実行される。
すなわち、制御部35は、図13に示すように、シーケンスコントローラ52に対して光学素子Wの冷却動作を指令する。これを受けてシーケンスコントローラ52は、まず、高温状態にある光学素子Wを受け取って支持する3個の支持片42の爪43を光学素子Wの温度に対応させて昇温させるべく、ヒーター電力供給部51に対して各ヒーター45への通電動作を指令する。これを受けてヒーター電力供給部51は、各ヒーター45に通電する。その結果、各爪43は、各ヒーター45に加熱されて昇温する。
そして、各爪43の温度が光学素子Wの温度に対して所定の温度範囲に収まった時点で、制御部35は、吸着パッド23をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを載置台241に静置する。この状態で、シーケンスコントローラ52は、光学素子Wを冷却支持部材44に載置すべく、オン/オフ弁56を閉塞し、かつ通気管57に窒素ガスを導入すると同時に、ヒーター電力供給部51に対してヒーター45への通電中止動作を指令する。ここで、所定の温度範囲とは、+100℃〜−200℃(例えば、光学素子Wの温度が500℃の場合、各爪43の温度は600℃〜300℃)が望ましい。
すると、それまで光学素子Wを減圧吸着していた吸着パッド23の吸引力が低下して光学素子Wの支持状態が解除されるため、光学素子Wは、載置台41上に確実に載置され、3個の支持片42に当接して3点で支持された状態となる。このとき、各爪43の温度は光学素子Wの温度に対して所定の温度範囲にあるので、光学素子Wと各爪43とが当接しても、両者の温度差に起因して光学素子Wが割れてしまう心配はない。そして、光学素子Wが3個の支持片42に支持されたところで、光学素子Wを第1素子冷却部19に残したまま搬送アーム22および吸着パッド23を退避させる。
また、これと同時に、ヒーター電力供給部51は、各ヒーター45への通電を中止する。すると、光学素子Wは、3個の支持片42に支持されたまま自然に放冷される(S8)。このとき、3個の支持片42の爪43の熱容量を出来るだけ小さくして、さらに断熱部材46を介在させることにより、光学素子Wの爪43に接する部分の温度が極端に下がることを回避することができる。したがって、光学素子Wの放冷時において、各爪43の温度は光学素子Wの温度に対して所定の温度範囲に維持されるため、光学素子Wと各爪43とが当接していても、両者の温度差に起因して光学素子Wが割れてしまう心配はない。
このように、ヒーター45への通電の中止動作は、支持片42による光学素子Wの支持動作と連動して行われるので、光学素子Wの冷却動作をタイミングよく開始することができる。
また、ヒーター45は、図13に示すように、断熱部材46を介して載置台41の上に設置されているので、ヒーター45から供給される熱エネルギーは、その大部分が爪43側へ流れることになる。そのため、熱エネルギーが載置台41側へ無駄に流れてしまう不具合を回避することができ、省エネルギー性に優れる。
さらに、光学素子Wは、冷却動作が終了するまで3点で支持された状態を維持するので、冷却動作を安定して行うことができる。
こうして光学素子Wが第1素子冷却部19である程度の温度に達するまで冷却されたところで、第4素子搬送工程に移行し、光学素子Wを第1素子冷却部19から第2素子冷却部20に搬送する(S9)。それには、搬送アーム22をX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド23をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを吸着パッド23で減圧吸着して支持した状態のまま第1素子冷却部19から第2素子冷却部20に搬送した後、吸着パッド23による光学素子Wの支持状態を解除し、光学素子Wを第2素子冷却部20に残したまま搬送アーム22および吸着パッド23を退避させる。
なお、この第4素子搬送工程(S9)においても、吸着パッド23は、光学素子Wを支持するときに素子当接部位23cが光学素子Wの外周部(有効径の外側部位)に当接する。したがって、この支持動作によって光学素子Wが細かい損傷を受けたとしても、光学素子Wとしての製品価値が低下する恐れはない。
こうして光学素子Wが第2素子冷却部20に搬送されたところで、第2段階の素子冷却工程(図7の「第2冷却工程C2」及び図17のステップS10参照)に移行し、第2素子冷却部20の第2放熱装置20aにより、常温の近傍の温度(例えば、50℃)に達するまで光学素子Wをさらに冷却する(S10)。なお、この第2放熱装置20aによる冷却方法に代えて、光学素子Wの外周をリング状の載置台(図示せず)に載せて放冷する冷却方法を採用することも可能である。
このように、光学素子Wは第1素子冷却部19および第2素子冷却部20で段階的に冷却されるので、急に温度が下降したときに発生しやすい光学素子Wの各部位の温度ばらつきに起因するクラックの発生を未然に阻止することができる。また、第1素子冷却部19の第1放熱装置19aによる冷却開始温度に比べて、第2素子冷却部20の第2放熱装置20aによる冷却開始温度が低いので、光学素子Wの冷却動作を円滑に行うことができる。また、吸着パッド23は、その可動範囲内において、光学素子Wを支持する支持状態と当該支持状態が解除された非支持状態とを切り替え可能となっており、光学素子Wを冷却する時点では、吸着パッド23が非支持状態で、第1素子冷却部19、第2素子冷却部20には光学素子Wのみが存在し、搬送アーム22や吸着パッド23は退避しているので、光学素子Wは単体で(つまり、搬送アーム22や吸着パッド23を伴うことなく)冷却が行われることになる。そのため、冷却対象の熱容量が最小限となり、省エネルギー性に優れる。
こうして光学素子Wが常温まで冷却されたところで、素子搬出工程に移行し、光学素子Wを成形室3から真空チャンバー5経由でワークストッカー9に搬出する(S11)。
それには、まず、搬送アーム22をX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド23をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを吸着パッド23で減圧吸着して支持した状態のまま第2素子冷却部20から補助アーム26に搬送して、図9(d)に示すように、補助アーム26のワーク支持片26b上に載置した後、吸着パッド23による光学素子Wの支持状態を解除し、光学素子Wをワーク支持片26b上に残したまま搬送アーム22および吸着パッド23を退避させる。
次に、スライド扉7が閉じた状態のまま、スライド扉6を開け、この状態で、図9(d)に示すように、補助アーム26を矢印C方向に所定距離だけ上昇させ、図9(c)に示すように、補助アーム26を矢印B方向に所定距離だけ移動させ、図9(b)に示すように、補助アーム26を矢印D方向に所定距離だけ下降させ、図9(a)に示すように、補助アーム26を矢印A方向に所定距離だけ移動させることにより、光学素子Wを成形室3から真空チャンバー5内に搬送する。このとき、ワーク支持台27の一対のL字形のワーク搭載片27a、27bの間隔L3が補助アーム26の幅L1より広くなっているので、成形室3から真空チャンバー5への光学素子Wの受け渡し動作は、上述したように補助アーム26を駆動するだけで簡易に実行することができる。
最後に、スライド扉6を閉じた後、スライド扉7を開け、この状態で、搬送アーム33をY軸方向およびX軸方向に適宜移動させるとともに、吸着パッド34をZ軸方向に適宜昇降させることにより、光学素子Wを吸着パッド34で減圧吸着して支持した状態のまま真空チャンバー5からパレット31に搬送した後、吸着パッド34による光学素子Wの支持状態を解除し、光学素子Wをパレット31に残したまま搬送アーム33および吸着パッド34を退避させた後、スライド扉7を閉じる。
ここで、素子搬出工程が終了する。このように、光学素子Wを真空チャンバー5経由で成形室3から搬出することにより、光学素子Wの成形室3からの搬出に伴って大気中の酸素が成形室3内に流れ込む不具合を避けることができる。
なお、この素子搬出工程においても、吸着パッド23は、光学素子Wを支持するときに素子当接部位23cが光学素子Wの外周部(有効径の外側部位)に当接する。したがって、この支持動作によって光学素子Wが細かい損傷を受けたとしても、光学素子Wとしての製品価値が低下する恐れはない。
ここで、光学素子の成形装置1による光学素子の製造工程が終了する。上記の成形装置1を用いて製造工程に従って、実際の光学素子を成形した実験例を以下に示す。
[素子成形実験例]
光学素子Wの成形前の材料として、フリント系ガラス(Tg=560℃)からなる球面レンズを用いた。この材料を、第1予熱工程で250℃に加熱し、さらに第2予熱工程で450℃に加熱した。次いで、加熱された材料を吸着パッド23を用いて素子成形部11に搬送した。この際、吸着パッド23(ポリイミド製)はホットプレート25で300℃に予め加熱した。成形部11の上下成形型に導入時の材料の温度は420℃であった。成形型中で加熱及び加圧する過程での材料の最大温度は650℃であった。加熱及び加圧終了後、成形された材料の温度が420℃に降下したときに成形材料を上下成形型から取出し、吸着パッド23により第1素子冷却部19に搬送し、90℃まで冷却した。この際、吸着パッド23はホットプレート25で300℃に予め加熱しておき、また、成形材料が搬送される第1素子冷却部19の爪43(ステンレスSUS304)の温度は予め380℃に加熱しておいた。次いで、成形材料を第1素子冷却部19から第2素子冷却部20に搬送し、55℃まで冷却した。こうして得られた光学素子は、型通りの平滑な曲面を有しており、クラックや歪は無かった。
[吸着パッドの温度変化に対する実験]
上記実験では成形された材料の温度が420℃に降下したときに成形材料を上下成形型から取出し、300℃に加熱した吸着パッド23で搬送したが、この追加実験では、成形された材料の温度を400℃に降下させて上下成形型から取出し且つ吸着パッド23の温度を以下のように変更した以外は、上記実験例と同様の操作を行った。追加実験1−1では、吸着パッド23の温度を170℃とした(成形材料との温度差230℃)。2種類のフリント系ガラスについてこの実験を行ったところ、1種類のフリント系ガラスの成形材料に欠陥が生じた。また、1種類のクラウン系ガラスについても同じ実験を行ったところ、成形材料に欠陥が生じた。追加実験1−2では、吸着パッド23の温度を220℃とした(成形材料との温度差180℃)。追加実験1−1と同じ3種の成形材料(2種のフリント系ガラスと1種のクラウン系ガラス)についてこの実験を行ったが、得られた成形材料には、いずれもクラックなどの欠陥は見出されなかった。
[爪の温度変化に対する実験]
上記実験では成形された材料の温度が420℃に降下したときに成形材料を上下成形型から取出し、380℃に予め加熱した第1素子冷却部19の爪43で成形された材料を受け取ったが、この追加実験では、成形された材料の温度を400℃に降下させて上下成形型から取出し且つ第1素子冷却部19の爪43の温度を以下のように変更した以外は、先の実験例と同様の操作を行った。追加実験2−1では、爪43の温度を300℃とした(成形材料との温度差100℃)。追加実験1−1で用いたのと同じ2種類のフリント系ガラスについてこの実験を行ったところ、1種類のフリント系ガラスの成形材料に欠陥が生じた。また、追加実験2−1で用いたのと同じ1種類のクラウン系ガラスについて同じ実験を行ったところ、成形材料に欠陥が生じた。追加実験2−2では、爪43の温度を400℃とした(成形材料と同温度)。追加実験2−1と同じ3種類の成形材料(2種類のフリント系ガラスと1種類のクラウン系ガラス)についてこの実験を行ったが、いずれも成形材料に欠陥は生じなかった。
上記実施形態および実験例では、1個の光学素子Wの製造工程(素子搬入工程、第1段階の素子予熱工程、第1素子搬送工程、第2段階の素子予熱工程、第2素子搬送工程、素子成形工程、第3素子搬送工程、第1段階の素子冷却工程、第4素子搬送工程、第2段階の素子冷却工程、素子搬出工程)について順を追って説明したが、実際には、図6に示すように、複数(製造個数)の光学素子Wに対して順次、これらの製造工程を実施する。
このとき、任意の光学素子Wの素子成形工程において、この光学素子Wとは別個の光学素子Wの素子予熱工程または素子冷却工程を同時に行なう。例えば、ある光学素子Wの素子冷却工程と次の光学素子Wの素子成形工程とを同時に行なう。また、ある光学素子Wの素子成形工程と次の光学素子Wの素子予熱工程とを同時に行なう。このように、素子成形部11で行う必要がある製造工程(素子成形工程)のみを素子成形部11で実施することにより、1つの光学素子Wの製造工程が完了しなくても次の光学素子Wの製造工程を開始することが可能となる。その結果、光学素子の成形装置1で単位時間あたりに処理できる個数が増大する。また、光学素子Wを支持しながら搬送し、加工工程を行うときには支持を解除する構成となっている。このため、1つの光学素子Wが予熱、成形、冷却のいずれかの工程を行っているときに他の光学素子Wを搬送することができる。その結果、同時に複数の光学素子Wについて複数の工程の処理を行なうことができる。したがって、タクトタイムを短縮し、光学素子Wの生産性を高めることができる。
さらに、成形工程Bが律速工程となることを踏まえて、図7に示すように、成形工程B以外の4工程(第1予熱工程A1、第2予熱工程A2、第1冷却工程C1、第2冷却工程C2)の時間をいずれも成形工程Bの時間に合致させれば、第1の光学素子Wについて成形工程Bを行っているときに、第2の光学素子Wの第1予熱工程A1、第3の光学素子Wの第2予熱工程A2、第4の光学素子Wの第1冷却工程C1、第5の光学素子Wの第2冷却工程C2をすべて同時に行なうことができる。しかし、本発明では、前述のように成形工程Bで光学素子を取り出す温度を400℃より高くしたために、成形工程Bに光学素子が留まる時間が短縮される。それゆえ、成形工程Bの時間を他の工程に容易にあわせることができる。その結果、第1〜第5の5個の光学素子Wが次々と同時進行的に成形されることになる。こうすることにより、タクトタイムを大幅に短縮し、光学素子Wの生産性を飛躍的に高めることが可能となる。
また、この実施の形態1によれば、光学素子Wを搬送する際には、光学素子Wを直接吸着して支持するので、光学素子Wを搬送皿に載せて搬送する特開平7−267657号公報と比べて、作業の煩雑化を回避することができる。しかも、こうした搬送皿が不要となるため、光学素子の成形装置1の部品点数を減らして製造コストを削減することができる。
また、成形室3内においては、素子成形部11および第2素子予熱部17が他の部位(第1素子予熱部16、第1素子冷却部19、第2素子冷却部20、ホットプレート25)より高温となるため、メンテナンスの頻度が高くなるが、図1に示すように、これらの素子成形部11、第2素子予熱部17は、搬送アーム22の搬送経路における一端側(図1左端側)に配設されているので、メンテナンスが容易となる。
また、成形室3内は、窒素雰囲気となっており、酸素が排除されているため、上成形型12や下成形型13が高温下で酸化するのを予防し、上成形型12および下成形型13を長期にわたって使用することができる。
[発明の実施の形態2(素子把持具の変形例)]
図14および図15は、本発明の実施の形態2で用いた素子把持具(素子搬送部材)60を示す図である。実施の形態2では、実施の形態1で用いた素子搬送部材と異なる素子搬送部材を用いた以外は実施の形態1と同様の成形装置1を用い、同様の操作で光学素子を成形した。実施の形態1と共通する説明は省略する。
成形室3には、吸着パッド23の代わりに、図14および図15に示すように、素子把持具(素子搬送部材)60が設けられており、素子把持具60は、円周上に等角度間隔(つまり、120°間隔)で配置された3個のL字形の把持片61から構成されている。各把持片61は、光学素子Wの径方向(矢印M、N方向)に進退駆動自在に支持されており、先端部には半球状の素子当接部位61aが形成されている。そして、3個の把持片61を光学素子Wの中心CT1に近づく求心方向(矢印M方向)に前進させると、各素子当接部位61aが光学素子Wに点接触して光学素子Wを3点で確実に把持することができるとともに、3個の把持片61を光学素子Wの中心CT1から遠ざかる遠心方向(矢印N方向)に後退させると、これらの把持片61による光学素子Wの把持状態を解除することができるように構成されている。
そして、光学素子Wを成形する際には、上述した実施の形態1と同様の手順に従う。3個の把持片61の素子当接部位61aを加熱するための加熱手段として、例えば、光学素子Wの形状に対応した円柱状または円筒状のヒーターを用意する。そして、第2素子搬送工程や第3素子搬送工程に先立ち、3個の把持片61の素子当接部位61aをそのようなヒーターに押し当てる。あるいは、非接触型のヒーター、例えば、輻射熱ヒーターを用いても良い。
この実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同じ効果を奏するのに加えて、素子把持具60で光学素子Wの側面を支持するために、光学素子Wの光学面の凹凸の影響を受けにくく、光学素子Wの曲率が大きくても、光学素子Wを安定して支持しやすいという効果を奏する。
[発明の実施の形態3(加熱装置の変形例)]
図16は、本発明の実施の形態3で用いた加熱装置を示す図である。実施の形態3では、図16に示すように、実施の形態1で用いた加熱装置41において、テーブル47および壁体46が省かれ、赤外線ヒーター43が加熱載置台42の下方に設置されている点で相違する以外は、実施の形態1と同様の成形装置1を用い、同様の操作で光学素子を成形した。実施の形態1と共通する説明は省略する。この実施の形態においては、上述した実施の形態と同じ効果を奏するのに加えて、光学素子Wの外周に壁体46が無いため、光学素子Wの出し入れが円滑になり、また、レンズの形状(直径、凹面形状、凸面形状)に依存しないという利点がある。
なお、上述した実施の形態1〜3では、加熱装置41の壁体46の高さH1が光学素子Wの載置予定領域S1の上端と同じ高さである場合について説明したが、壁体46の高さH1を光学素子Wの載置予定領域S1の上端より高くしても構わない。この場合も、赤外線ヒーター43から見て光学素子Wが壁体46の裏側に隠れるため、赤外線ヒーター43からの赤外線が直接、光学素子Wに照射されて光学素子Wが割れてしまう事態を未然に防止することができる。
また、上述した実施の形態で用いた加熱装置41では支持凸部42bによって光学素子Wをその下側から支持する場合について説明した。しかし、支持凸部42bによる支持方法はこれに限るわけではなく、例えば、光学素子Wをその周囲から包囲して支持するようにしても構わない。
さらに、上述した実施の形態では、加熱手段として赤外線ヒーター43を用いる場合について説明したが、赤外線ヒーター43以外の加熱手段(例えば、赤外線以外の電磁波を照射するもの、ハロゲンヒーター、電磁誘導加熱装置、レーザ加熱装置、窒素ガスなどの熱風加熱装置など)を代用または併用することもできる。
さらにまた、上述した実施の形態で用いた加熱装置41では、金属からなる加熱載置台42を用いる場合について説明した。しかし、加熱載置台42の材質は、金属に限るわけではなく、金属以外の材質(例えば、炭化タングステン(WC)、炭化ケイ素(SiC)などの金属炭化物や、窒化ケイ素(SiN)などの金属窒化物、カーボン、窒化ボロン(BN)、アルミナなどのセラミックスなど)を代用または併用することもできる。
また、上述した実施の形態で用いた加熱装置41では、加熱載置台42その他の部品から構成された加熱装置41が第2素子予熱部17に設置された光学素子の成形装置1について説明したが、この加熱装置41を第1素子予熱部16に設置することも勿論できる。
[その他の変形形態]
上述した実施の形態では、吸着パッド23の素子当接部位23cを加熱するのに、吸着パッド23とは別個のホットプレート25にこの素子当接部位23cを押し当てる場合について説明した。しかし、油浴または金属浴により、吸着パッド23の素子当接部位23cを高温の液体に浸漬して加熱することもできる。また、吸着パッド23の素子当接部位23cを放射熱(輻射熱)で加熱することも可能である。さらに、小型軽量の搬送部材加熱手段(図示せず)、例えば、電熱ヒーター、セラミックヒーターを吸着パッド23に組み込んでも構わない。この場合には、ホットプレート25などの吸着パッド加熱装置を省略することができる。
上述した実施の形態では、高温耐性樹脂製の吸着パッド23について説明した。しかし、この吸着パッド23の材質としては、高温耐性樹脂に限るわけではなく、例えば、ジルコニア(酸化ジルコニウム)などの低熱伝導性セラミックスや、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどの耐熱ガラスを代用することもできる。
上述した実施の形態において、光学素子Wに温度センサ(図示せず)を設置しておき、光学素子Wの温度が低下する速度をモニタしながら、光学素子Wが割れない温度範囲で可能な限り速い速度となるようにヒーター45を制御するようにしても構わない。この場合、3個の支持片42の爪43の全熱容量と光学素子Wの熱容量との大小関係の如何にかかわらず、光学素子Wと爪43との温度差に起因する光学素子Wの割れを防止しつつ、光学素子Wの冷却作業を効率よく実施することができる。
上述した実施の形態では、金属製の爪43について説明したが、この爪43の材質としては、金属に限るわけではなく、高温耐性樹脂(例えば、ポリイミド樹脂など)を代用することもできる。
上述した実施の形態では、ヒーター45から載置台41への伝熱性を低下させるため、載置台41とヒーター45との間に断熱部材46を介在させる場合について説明したが、さらに、断熱部材46の形状を工夫すること(具体的には、伝熱方向に直角な断面積を小さくし、伝熱方向の長さを長くすること)により、熱抵抗を大きくして伝熱性を一層低下させることもできる。
上述した実施の形態では、素子冷却工程において、第1素子冷却部19で光学素子Wを冷却支持部材44に載置するときに、吸着パッド23が所定の位置に位置決めされた状態で、オン/オフ弁56を閉塞することにより、冷却支持部材44の3個の支持片42で光学素子Wを支持する場合について説明した。しかし、光学素子Wが支持片42に支持されたことを検出するセンサ(例えば、光センサ、リミットスイッチなど)を設けておき、このセンサの出力信号に基づいて光学素子Wの支持を検出しても構わない。こうすれば、光学素子Wの支持を確実に検出することができるので、例えば、何らかの理由により、吸着パッド23の位置決め動作やオン/オフ弁56の閉塞動作に支障が生じ、光学素子Wが的確に支持されなかった場合に、迅速に対処することが可能となる。
上述した実施の形態では、光学素子Wを3個の支持片42上に3点で支持する場合について説明したが、光学素子Wを4点以上で支持しても構わない。
上述した実施の形態では、ホットプレート25が素子成形部11と第1素子予熱部16との間に設置されている場合について説明した。しかし、ホットプレート25の設置場所は、吸着パッド23の可動範囲内であれば、素子成形部11と第1素子予熱部16との間に限らず、どこであっても構わない。
上述した実施の形態では、吸着パッド23の素子当接部位23cを加熱する際に、温度センサ49で伝熱板43の表面温度を測定し、この表面温度から素子当接部位23cの温度を算出することにより、ホットプレート25による素子当接部位23cの加熱動作を制御する場合について説明した。しかし、必ずしも温度センサ49で伝熱板43の表面温度を測定する必要はない。例えば、予め、ヒーター45の通電時間と素子当接部位23cの温度との相関関係を求め、この相関関係を示す相関テーブル(図示せず)を記憶手段(図示せず)に格納しておき、素子当接部位23cを加熱する際には、記憶手段から相関テーブルを読み出し、この相関テーブルに基づき、素子当接部位23cが所望の温度になるようにヒーター45の通電時間を適宜設定することにより、ホットプレート25による素子当接部位23cの加熱動作を制御するようにしても構わない。この場合、温度センサ49を省くことができるので、搬送装置141の部品点数を減らしてコストを削減することができる。
上述した実施の形態では、成形室3内をパージする不活性ガスとして窒素を採用した場合について説明したが、窒素以外の不活性ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノンなどの希ガスその他)を代用または併用することもできる。
上述した実施の形態では、素子予熱工程において、2段階で光学素子Wを予備加熱する場合について説明したが、3段階以上で光学素子Wを予備加熱しても構わない。
上述した実施の形態では、素子冷却工程において、2段階で光学素子Wを冷却する場合について説明したが、3段階以上で光学素子Wを冷却しても構わない。冷却(装置)は積極的に冷却する場合のみならず、熱伝導性の高い物体と接触させて放熱により冷却する場合(装置)も含む。
上述した実施の形態では、第2素子搬送工程および第3素子搬送工程において、高温(200℃以上)の光学素子Wに対応させて吸着パッド23の素子当接部位23cを加熱する場合について説明した。このとき、必ずしも光学素子Wの温度を検出する必要はなく、例えば、図7に示すような工程により、第2素子搬送工程および第3素子搬送工程における吸着パッド23の素子当接部位23cの予熱温度を設定してもよい。
上述した実施の形態では、真空チャンバー5と成形室3との間における光学素子Wの搬送(真空チャンバー5から成形室3への搬送および成形室3から真空チャンバー5への搬送)を搬送アーム22および吸着パッド23で行う場合について説明したが、このときの光学素子Wの搬送手法はこれに限るわけではない。例えば、真空チャンバー5と成形室3との間における光学素子Wの搬送を行う別の搬送装置(図示せず)を成形室3内に設置しておき、スライド扉6が開いた状態で、真空チャンバー5と成形室3の一方から他方へ光学素子Wを移送して退避した後、スライド扉6を閉めるようにしてもよい。この場合、搬送アーム22は、成形室3内でのみ駆動すれば済むので、その機構を簡素化することができる。
上述した実施の形態では、球面状の光学素子Wを非球面状に成形する場合について説明したが、成形後の形状は非球面状に限るわけではない。例えば、球面状その他の形状に成形する場合に本発明を同様に適用することも可能である。
本発明の具体例を上記実施の形態において説明したが、本発明はそれらに限定されるものではない。本願の請求の範囲に記載した以外の事項については、本願発明の実施に必ずしも必要ではない。例えば、本発明の成形方法において、予備加熱工程を二段に分けて行なっているが一段階で行なってもよく、冷却工程もまた一段階で行なってもよい。上記実施の形態の成形装置は、予備加熱装置および冷却装置(冷却部)は、それぞれ、二つ備えていたが、そられは一つずつでもよい。あるいは、予備加熱装置および冷却装置(冷却部)は、成形装置が設置される工場などに既存の設備を代用してもよい。真空チャンバー5及びワークストッカー9もまた本発明の成形装置と別個に設けてもよい。すなわち、請求の範囲に特定されていない成形装置の構成要素について、実施の形態に記載された成形装置が備えている場合には、それらは発明の実施に本質的な部品などではないか、あるいは成形装置のオプション部品や設置場所で入手可能な部品として利用可能であるということを理解されたい。一方、請求の範囲に記載さえた構成要素については、それらが実施の形態に記載された具体化物に限定されるものではない。
本発明は、レンズを高温で成形する工程を含むレンズ製造業に好適であり、本発明により高精度なレンズを高い効率で量産することが可能となる。それゆえ、本発明はオプト産業の著しい発展に貢献する。

Claims (26)

  1. 複数の光学素子を順次成形する成形方法であって:
    光学素子を素子加熱部で予備加熱することと;
    予備加熱した光学素子を前記素子加熱部から成形型に搬送することと;
    前記成形型中で、前記光学素子をガラス転移点より高い温度に加熱しながら成形することと;
    成形された光学素子をガラス転移点より低く且つ400℃以上の温度で成形型から取り出すことと;
    成形型から取り出した光学素子を、その光学素子の温度よりも200℃より低くない温度に加熱した部材で把持して冷却部に搬送することと;
    前記冷却部で前記光学素子を冷却することを含む光学素子の成形方法。
  2. 前記光学素子を前記成形型に搬送するときに、その光学素子の温度よりも200℃より低くない温度に加熱した前記部材で把持して前記成形型に搬送する請求項1に記載の成形方法。
  3. 冷却部が光学素子と接触する部位を有し、この部位の温度を、冷却部に搬送される光学素子の温度よりも200℃より低くない温度に維持する請求項1に記載の成形方法。
  4. 前記部材を、当該部材と異なる加熱体に接触させることで加熱する請求項1に記載の成形方法。
  5. 複数の光学素子が少なくとも第1〜第3の光学素子を含み、第1の光学素子が予備加熱されているときに、第2の光学素子が成形され且つ第3の光学素子が前記冷却部で冷却されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形方法。
  6. 第1の光学素子を予備加熱している間に、前記部材を加熱する請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形方法。
  7. 前記部材が光学部材に当接する当接部と光学素子を減圧吸引する吸引口を有する請求項1に記載の成形方法。
  8. 前記光学素子の加熱及び冷却時には、前記部材が光学素子から離脱している請求項1に記載の成形方法。
  9. 前記素子加熱部が複数の加熱エリアを有し、それらの加熱エリアにおいて光学素子が段階的に加熱される請求項1に記載の成形方法。
  10. 冷却部が複数の冷却エリアを有し、それらの冷却エリアで光学素子が段階的に冷却される請求項1に記載の成形方法。
  11. 光学素子を成形する成形装置であって:
    光学素子をガラス転移点より高い温度に加熱しながら成形する成形部と;
    成形部で成形された光学素子が冷却される冷却部と;
    光学素子を着脱可能に把持する把持部を有し、光学素子の温度が前記ガラス転移点より低く且つ400℃以上の温度で、上記光学素子を把持部で把持して成形部から取り出して前記冷却部に搬送する搬送部と;
    前記把持部を、成形部から取出された光学素子の温度より200℃より低くない温度に加熱する加熱部とを備える成形装置。
  12. 前記加熱部は伝熱板を有し、前記把持部が伝熱板に接触することで前記把持部を加熱する請求項11に記載の成形装置。
  13. 前記把持部は光学素子を減圧吸着する吸気口を有する請求項11に記載の成形装置。
  14. 把持部は、光学素子に当接する当接部を有し、該当接部が前記伝熱板に接触することで加熱される請求項12に記載の成形装置。
  15. 前記当接部が、高温耐性樹脂、低熱伝導性セラミックス及び耐熱ガラスからなる群から選ばれた一種から形成されている請求項14に記載の成形装置。
  16. 前記把持部は、前記光学素子を冷却部に搬送した後、当該光学素子の把持を解除し、把持部から解除された状態で光学素子が冷却される請求項11に記載の成形装置。
  17. 前記冷却部は、冷却温度の異なる複数の放熱装置を備える請求項11に記載の光学素子の成形装置。
  18. さらに、光学素子を予備加熱する素子加熱部を有する請求項11に記載の光学素子の成形装置。
  19. 前記素子加熱部は、加熱温度の異なる複数の加熱装置を備える請求項18に記載の光学素子の成形装置。
  20. 前記素子加熱部、前記成形部、前記冷却部は、不活性ガス雰囲気の成形室に設けられ、成形室には真空チャンバーが付設され、前記成形室と前記真空チャンバーとの間には扉が開閉自在に取り付けられている請求項18に記載の光学素子の成形装置。
  21. 前記冷却部は、前記光学素子を支持する支持部材と支持部材を加熱する加熱装置を有し、前記支持部材が前記光学素子を支持したときに、当該支持部材の当該光学素子に当接する部位の温度が当該光学素子の温度に対して光学素子の温度より200℃より低くない温度範囲になるように加熱装置を制御する温度制御部が設けられている請求項11に記載の光学素子の成形装置。
  22. 前記温度制御部は、前記支持部材が前記光学素子を支持した後、前記加熱装置による当該支持部材の加熱動作を中止して当該光学素子を放冷する請求項21に記載の光学素子の成形装置。
  23. 前記支持部材は、前記光学素子を支持する爪と、この爪を加熱するヒーターと、このヒーターを断熱部材を介して支持する載置台とを備える請求項21に記載の光学素子の成形装置。
  24. 前記素子加熱部が、前記光学素子に対して熱を放射する放熱面及び前記光学素子の外周部に当接して支持する支持凸部が設けられた載置台と、前記加熱載置台を加熱する加熱具を備え、前記放熱面と前記光学素子の載置予定領域との間には放熱空間が形成されている請求項18に記載の光学素子の成形装置。
  25. 前記加熱載置台の周囲には、壁体が設けられ、前記加熱具は、前記壁体の周囲に設けられている請求項23に記載の光学素子の成形装置。
  26. 前記壁体は、金属炭化物から形成されている請求項25に記載の光学素子の成形装置。
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