JP5493413B2 - 電子写真感光体用基体、電子写真感光体用基体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体用基体、電子写真感光体用基体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体用基体、電子写真感光体用基体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
近年、電子写真感光体は、高速、かつ高印字品質が得られるという利点を有するため、複写機及びレーザビームプリンター等の分野において多く利用されている。これら電子写真装置において用いられる電子写真感光体として、従来からのセレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム等無機光導電材料を用いた電子写真感光体に比べ、安価で製造性及び安全性の点で優れた利点を有するフタロシアニン系の顔料等の有機光導電材料を電荷発生物質として含有した電子写真感光体が主流を占めるようになってきている。
中でも、露光により電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送する電荷輸送層とからなる感光層を有する機能分離型感光体は、感度・帯電性及びその繰り返し安定性等、電子写真特性の点で優れており、種々の提案が成され、実用化されている。この機能分離型感光体の場合、現在ではアルミニウム基体等の導電性支持体(基体)上に下引層を形成し、その後、下引層上に電荷発生層及び電荷輸送層を順次形成する場合が多い。
電子写真感光体は、例えば、素管の表面にブラスト処理、研磨処理、切削加工などを行い、基体表面に粗さを形成した基体を用いた電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献1から特許文献4等)。
特開2003−307866号公報 実開平7−146577号公報 特開平6−282089号公報 特開平1−206357号公報
本発明の課題は、軸方向の表面粗度を考慮しない場合に比べ、アルミニウム又はその合金基体であっても、帯電時のリーク発生を抑制した電子写真感光体用基体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
表面に切削加工を施されてなり、
軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(1)とし、軸方向端辺から中央部に向かった距離が50mm以内の領域のうち、軸方向の距離が少なくとも3mm以上の領域において、軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分とは切削加工条件を変更して切削加工した切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(2)としたとき、下記式(1)乃至(3)で示される条件を満たし、
且つ、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される電子写真感光体用基体。
式(1): 1.2μm≦Rmax(1)≦5μm
式(2): 0.5μm≦Rmax(2)≦4μm
式(3): Rmax(2)<Rmax(1)
請求項2に係る発明は、
前記切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面が、前記軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面よりも遅い加工速度で切削加工を施されてなる請求項1に記載の電子写真感光体用基体。
請求項3に係る発明は、
前記切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面が、前記軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面よりも大きい加工バイトの切り込み角度で切削加工を施されてなる請求項1に記載の電子写真感光体用基体。
請求項4に係る発明は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体用基体と、
前記電子写真感光体用基体上に設けられる感光層と、
を備える電子写真感光体。
請求項5に係る発明は、
請求項4に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段、及び、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
請求項6に係る発明は、
前記帯電手段が、接触方式の帯電手段である請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
請求項7に係る発明は、
請求項4に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像形成する静電潜像手段と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
請求項8に係る発明は、
前記帯電手段が、接触方式の帯電手段である請求項7に記載の画像形成装置。
請求項9に係る発明は、
アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された素管を準備する工程と、
軸方向中央を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(1)とし、軸方向端辺から中央部に向かった距離が50mm以内の領域のうち、軸方向の距離が少なくとも3mm以上の領域において、軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分とは切削加工条件を変更して切削加工する切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(2)としたとき、下記式(1)乃至(3)で示される条件を満たし、前記素管の表面に対して切削加工を施す工程と、
を有する電子写真感光体用基体の製造方法。
式(1): 1.2μm≦Rmax(1)≦5μm
式(2): 0.5μm≦Rmax(2)≦4μm
式(3): Rmax(2)<Rmax(1)
請求項10に係る発明は、
前記素管の表面に対して切削加工を施す工程が、前記素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって切削加工を行う工程であって、切削加工終わり部分となる前記素管の軸方向端部の表面を切削加工する加工速度を、前記素管の軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面を切削加工する加工速度よりも遅くする工程である請求項9に記載の電子写真感光体用基体の製造方法。
請求項11に係る発明は、
前記素管の表面に対して切削加工を施す工程が、前記素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって切削加工を行う工程であって、切削加工終わり部分となる前記素管の軸方向端部の表面を切削加工する加工バイトの切り込み角度を、前記素管の軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面を切削加工する加工バイトの切り込み角度を大きくする工程である請求項9に記載の電子写真感光体用基体の製造方法。
請求項1に係る発明によれば、軸方向中央部と一端部との表面粗度を考慮しない場合に比べ、アルミニウム又はその合金基体であっても、帯電時のリーク発生が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、軸方向中央部と一端部との表面の切削加工における加工速度を考慮しない場合に比べ、帯電時のリーク発生が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、軸方向中央部と一端部との表面の切削加工における加工バイトの切り込み角度を考慮しない場合に比べ、帯電時のリーク発生が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、帯電時のリーク発生に起因する画像欠陥が抑制される。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、帯電時のリーク発生に起因する画像欠陥が抑制される。
請求項6に係る発明によれば、帯電時にリークを発生させ易い接触帯電方式を採用した場合でも、帯電時のリーク発生に起因する画像欠陥が抑制される。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、帯電時のリーク発生に起因する画像欠陥が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、帯電時にリークを発生させ易い接触帯電方式を採用した場合でも、帯電時のリーク発生に起因する画像欠陥が抑制される。
請求項9に係る発明によれば、切削加工において軸方向の表面粗度を考慮しない場合に比べ、アルミニウム又はその合金基体であっても、帯電時のリーク発生が抑制された電子写真感光体用基体が得られる。
請求項10に係る発明によれば、表面の切削加工における加工速度を考慮しない場合に比べ、帯電時のリーク発生が抑制された電子写真感光体用基体が得られる。
請求項11に係る発明によれば、表面の切削加工における加工バイトの切り込み角度を考慮しない場合に比べ、帯電時のリーク発生が抑制され電子写真感光体用基体が得られる。
実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。 実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 加工バイトの切り込み角度を説明するための模式図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
(電子写真感光体用基体)
本実施形態に係る電子写真感光体用基体は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される。そして、本実施形態に係る電子写真用基体は、当該基体の軸方向中央部の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(1)とし、当該基体の軸方向端部の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(2)としたとき、下記式(1)乃至(3)で示される条件1を満たす。なお、望ましくは、下記式(1−2)乃至(3−2)で示される条件2を満たすことであり、より望ましくは下記式(1−3)乃至(3−3)で示される条件3を満たすことである。
但し、基体の軸方向中央部の表面粗度とは、基体の軸方向中央を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面粗度である。また、基体の軸方向端部の表面粗度とは、基体の軸方向端辺から中央部に向かった距離が50mm以内の領域のうち、基体の軸方向の距離が少なくとも3mm以上の領域において、基体の軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる基体の軸方向端部以外の部分とは切削加工条件を変更して切削加工する切削加工終わり部分となる基体の軸方向端部の表面粗度である。
−条件1−
・式(1): 1.2μm≦Rmax(1)≦5μm
・式(2): 0.5μm≦Rmax(2)≦4μm
・式(3): Rmax(2)<Rmax(1)
−条件2−
・式(1−2): 1.2μm≦Rmax(1)≦4μm
・式(2−2): 0.5μm≦Rmax(2)≦3μm
・式(3−2): Rmax(2)<Rmax(1)
−条件3−
・式(1−3): 1.2μm≦Rmax(1)≦3μm
・式(2−3): 0.5μm≦Rmax(2)≦2μm
・式(3−3): Rmax(2)<Rmax(1)
本実施形態に係る電子写真感光体用基体では、上記構成とすることで、アルミニウム又はその合金基体であっても、帯電時のリーク発生が抑制される。これは、以下に示す理由によるものと推測される。
まず、アルミニウム又はその合金基体は、その表面を平坦化させる目的で切削加工(所謂仕上加工)が施されるが、旋盤での切削加工終わり部分で切り粉が立ちやすく、脱脂洗浄時や浸漬塗布時に切り粉が遊離しやすく、当該基体を適用した電子写真感光体は、帯電時にリークを誘発し、それに起因する画質欠陥が生じ易くなる。これは、特に、アルミニウム又はその合金基体が備えられた電子写真感光体を、接触帯電方式を採用する画像形成装置やプロセスカートリッジに適用する場合に顕著に生じ易くなる。この画像欠陥は、例えば、白筋、色点、及び色むらの少なくともいずれかとして現れ易い。
そこで、基体の表面切削加工により、アルミニウム又はその合金基体の軸方向中央部での切削加工により表面粗度を上記範囲としつつ、基体の切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面粗度を当該基体中央部の表面粗度よりも低く且つ上記範囲となることで、切削加工終わり部分となる基体軸方向端部で切り粉の発生が抑制された基体となる。このため、本実施形態に係る電子写真用基体では、アルミニウム又はその合金基体であっても、帯電時のリーク発生が抑制されると考えられる。結果、本実施形態に係る電子写真用感光体基体を電子写真感光体に適用すると、これを搭載する画像形成装置やプロセスカートリッジでは、帯電時のリーク発生に起因する画像欠陥(具体的には例えば例えば、白筋、色点、及び色むらの少なくともいずれかとして現れる画像欠陥)が抑制される。
このため、本実施形態に係る電子写真感光体用基体において、表面粗度Rmax(1)を持つ基体の軸方向中央部の表面は、表面粗度Rmax(2)を持つ基体の軸方向端部の表面以外の領域表面をも意味する。
また、表面粗度Rmax(2)を持つ基体の軸方向端部の表面とは、基体の軸方向端辺から中央部に向かった距離(軸方向長さ)が2.4mmから50mmまで(望ましくは2.4mmから3.0mmまで)の領域を意味する。
そして、表面粗度は、JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さを意味し、当該JIS B0601(1982)に準じ、フィルタなし、1基準長さ、カットオフフィルムなしで計測した「断面曲線」から算出される値である。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体用基体について、その製法に従って詳細に説明する。
本実施形態に係る電子写真用基体では、まず、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された素管を準備する。この素管は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金をポートホール法又はマンドレル法により熱間押出加工、続いて冷間抽伸加工を施してたものを切削前の素管として得る。
次に、素管の表面に対して切削加工を施す。この切削加工に適用する加工バイトとしては、多結晶ダイヤモンドにより構成された円弧形状(一般的にRバイトと称する)や平坦な(一般的に平バイトと称する)先端を持つ加工バイトを適用することがよい。
切削加工は、例えば、回転させた素管と素管表面に当て付けた加工バイトとを相対的に素管軸方向に移動して行う。切削加工は、荒加工及び仕上げ加工の双方を行ってもよく、仕上げ加工のみを行ってもよい。なお、仕上げ加工により基体の表面粗度が制御される。
また、切削加工は、荒加工及び仕上げ加工の双方を行う場合、切削加工は、一つの加工バイトを基体の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部までの移動を往復させて、往路で荒加工、復路で仕上げ加工を行ってもよいが、2つの加工バイトを基体の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部までの移動させて、往路のみで荒加工及び仕上げ加工を同時行うことがよい。
ここで、本実施形態に係る電子写真感光体用基体は、一回の切削加工(仕上げ加工)において素管軸方向端部(切削加工終わり部分)の加工条件を他の部分と変更することで、表面粗度を変更して作製することがよい。これは、素管軸方向中央部と素管軸方向端部と表面粗度が異なるように、追加切削加工を施してもよいが、低コスト化を考慮すれば、工程数の追加は避けることがよいためである。
具体的には、下記(1)乃至(2)で示す手法を採用することがよい。無論、(1)乃至(2)で示す手法を組み合わせてもよい。
1)素管の軸方向端部の表面に対して素管の軸方向中央部の表面よりも遅い加工速度で切削加工を施す手法。つまり、素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって切削加工を行う際、切削加工終わり部分となる素管の軸方向端部の表面を切削加工する加工速度を、素管の軸方向中央部の表面を切削加工する加工速度よりも遅くする手法。
2)素管の軸方向端部の表面に対して素管の軸方向中央部の表面よりも大きい加工バイトの切り込み角度で切削加工を施す手法。つまり、素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって切削加工を行う際、切削加工終わり部分となる素管の軸方向端部の表面を切削加工する加工バイトの切り込み角度を、素管の軸方向中央部の表面を切削加工する加工バイトの切り込み角度を大きくする手法。
上記1)の手法では、具体的には、例えば、素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって、加工速度(バイト送り速度)0.2mm/rev以上0.5mm/rev以下の範囲で切削加工を行う。この加工速度を維持しつつ素管の軸方向中央部を経てた後、維持していた加工速度を例えば20%以上80%以下(望ましくは30%以上50%以下)の範囲で減速して、切削加工終わり部分となる素管の軸方向端部の表面の切削加工を行い終了する。ここで、加工速度を減速(遅くする)領域は、切削加工終わり部分となる素管の軸方向端辺から中央部に向かった距離(軸方向長さ)が50mm以内の距離であることが望ましく、短ければ短いよいが切削加工終わり部分となる素管の軸方向端部での切り粉の発生を抑制する観点から少なくとも3mm以上の距離であることがよい。
この加工速度(バイト送り速度)の制御は、例えば、NC(numerical control:数値制御)付き旋盤を適用し、NC制御で行うことがよい。無論、NCの付随していない旋盤を適用し、手動で加工速度の制御を行ってもよい。但し、NC付き旋盤を適用し、NC制御を行うことが、品質の安定性から望ましい。
なお、素管の軸方向中央部での加工速度が、0.2mm/rev未満であると加工速度が遅すぎて低コスト化の観点で望ましくなく、0.5mm/revを超えると得られる基体の真円度や真直度等の悪化が顕著に現れ易くなることがある。
一方、上記2の手法では、具体的には、例えば、素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって、加工バイトの切り込み角度70度を超え90度以下の範囲で切削加工を行う(但し、ここの示した角度は、バイトの先端形状により異なる。前述した角度は、平バイトの場合である)。この加工バイトの切り込み角度を維持しつつ素管の軸方向中央部を経てた後、維持していた加工バイトの切り込み角度を増大して、即ち、バイトの瞬間加工部位を増大させて、切削加工終わり部分となる素管の軸方向端部表面の切削加工を行い終了する。ここで、加工バイトの切り込み角度を増大(大きく)する領域は、上記同様に、切削加工終わり部分となる素管の軸方向端辺から中央部に向かった距離(軸方向長さ)が50mm以内の距離であることが望ましく、短ければ短いほどよいが切削加工終わり部分となる素管の軸方向端部での切り粉の発生を抑制する観点から少なくとも3mm以上の距離であることがよい。
この加工バイトの切り込み角度の制御も、NC(numerical control:数値制御)付き旋盤を適用し、NC制御で行うことがよい。無論、NCの付随していない旋盤を適用し、手動で加工バイトの切り込み角度の制御を行ってもよい。但し、加工バイトの切り込み角度を変更することは、切り込み量も変動するため、切り込み量を補正する必要があることから、加工バイトの切り込み角度と共に切り込み量を制御し易いNC付き旋盤を適用することが望ましい。
なお、素管の軸方向中央部での加工バイトの切り込み角度が、70度未満であると粗度が大きく、バリが発生し易くなり、90度を超えても同様の現象が発生することがある。
この加工バイトの切り込み角度とは、図6に示すように、平バイト(加工バイト)の加工方向線と加工するワーク稜線(素管稜線)とのなす角度と定義される角度である。なお、図6中、2Aが素管を示し、2Bが加工バイトを示す。また、θが加工バイトの切り込み角度を示す。
以上工程を経て、本実施形態に係る電子写真感光体用基体が得られる。
ここで、本実施形態に係る電子写真感光体用基体は、例えば、基体表面に酸性水溶液による処理又はベーマイト処理が施されていてもよい。リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行なわれる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらに被膜溶解性の低い電解質溶液(アジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)を用いて陽極酸化処理してもよい。
(電子写真感光体)
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性支持体と、導電性支持体上に設けられ感光層と、を備える。そして、導電性支持体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体用基体を適用する。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体1は、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6が順次積層された構造を有するものである。電子写真感光体1においては、電荷発生層5、及び電荷輸送層6により感光層3が構成されている。
以下、各要素について説明する。以下、符号を省略して説明する。
まず、下引層について説明する。
下引層は、周知の構成であればよいが、カップリング剤を用いて被覆処理された金属酸化物粒子と、バインダー樹脂とを含み、下引層の層厚が17μmよりも大きく50μm以下であることが望ましい。
下引層は、カップリング剤を用いて被覆処理された金属酸化物粒子と、バインダー樹脂とを含んでいる。そして、下引層は、感光層の帯電時において、導電性支持体層から感光層への電荷の注入を阻止する機能を有する。また、この下引層は、感光層を導電性支持体層に対して一体的に接着保持せしめる接着層としても機能する。更に、この下引層は、導電性支持体層の光反射を防止する機能を有する。
そして、下引層の層厚は、上述したように17μmよりも大きく50μm以下である。バインダー樹脂となる熱硬化性樹脂としては尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。
硬化剤は、イソシアネートであることが好ましい。イソシアネートとしては、ポリイソシアネート化合物にブロック剤となる活性水素を有する化合物を反応させて得られるイソシアネートのうち、常温(25℃)で安定であり、特定の条件(例えば、50℃から200℃)の下で加熱するとブロック剤が解離して、イソシアネート基が再生されるイソシアネートが好ましい。
上ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイシアネート、ジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェルポリイソシアネート等が挙げられる。
ブロック剤としては、例えば、カプロラクトム等のラクタム類、メチルエチルケトオキシムやアセトオキシム等のオキシム類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸ジエチル等のβ−ジケトン類が挙げられる。
下引層の電気抵抗値(体積抵抗率)は104Ω・cmから1013Ω・cmであることが好ましく、108Ω・cmから1013Ω・cmであることがより好ましく、109Ω・cmから1012Ω・cmであることが更に好ましい。体積抵抗率が104Ω・cm未満であると、十分なリーク耐性を得ることが困難となる傾向が大きくなり、1013Ω・cmを超えると、残留電位上昇を引き起こしてしまう傾向が大きくなる。
下引層の電気抵抗値は、例えば、金属酸化物粒子自体の電気抵抗値とその添加量を変化させること、金属酸化物粒子のバインダー樹脂中への分散状態を変化させることで制御される。
金属酸化物粒子は、酸化錫、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の粒子であることが好ましい。
金属酸化物粒子の粒径は、平均粒子径で100nm以下が好ましい。なお、ここでいう粒径とは、平均1次粒径を意味する。金属酸化物粒子としては、粉体抵抗値(体積抵抗率)が102Ω・cmから1011Ω・cmであるものを利用することがよく、下引層の優れたリーク耐性を得る観点から、特に、粉体抵抗値(体積抵抗率)が104Ω・cmから1010Ω・cmであるものが好ましい。102Ω・cm未満であると、十分なリーク耐性が得られず、1011Ω・cmを超えると残留電位の上昇がおこる傾向が大きくなる。
使用環境における温度や湿度の変動による下引層の電気抵抗値の変動を抑制する観点から、金属酸化物粒子はカップリング剤で表面処理されている。これにより、下引層の電気抵抗に大きな影響を与える金属酸化物粒子の分散状態が、上述の好適な電気抵抗値を得るのに適した状態に容易にコントロールされる。
ここで、表面処理とは、金属酸化物粒子の表面にカップリング剤を吸着させ、そこでカップリング剤のアルコキシ基を加水分解反応させる処理を示す。
カップリング剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、シランカップリング剤を用いた金属酸化物粒子の被覆処理は、金属酸化物粒子の全体を覆う処理でもよく、一部分を覆う処理でもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメ トキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシランN,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルピロホフェート)、イソプロピルトリ(N―アミノエチルーアミノエチル)チタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらのカップリング剤は2種以上を混合して使用してもよい。
カップリング剤の使用量は、金属酸化物粒子の0.1質量%から10質量%であることが好ましい。カップリング剤の使用量が金属酸化物粒子の0.1質量%未満であると、画質欠陥が発生する傾向が大きくなる。また、カップリング剤の使用量が金属酸化物粒子の10質量%を超えると、感光体の電気特性が低下して感度が低下するおそれがある。
カップリング剤による金属酸化物粒子の表面処理の方法は特に限定されず、例えば、乾式法、湿式法、気相法など公知の方法を使用してよい。
例えば、乾式法に基づいて表面処理を行う場合の手順の一例を説明する。先ず、表面処理前に金属酸化物粒子を100℃から150℃の温度で予備乾燥し、表面吸着水を除去する。この表面吸着水を処理前に除去することによって、金属酸化物粒子表面にカップリング剤を吸着させる。このとき、金属酸化物粒子はせん断力の大きなミキサで攪拌しながら予備乾燥させてもよい。
次に、カップリング剤を金属酸化物粒子の表面に吸着させる。このとき、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサで攪拌しながら、カップリング剤を乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させるか、あるいは、カップリング剤を溶剤(有機溶媒、水等)に溶解させた液を乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させる。これにより、金属酸化物粒子の表面にカップリング剤が吸着させられる。
カップリング剤を金属酸化物粒子の表面に吸着させる際の温度は、50℃以上の温度で行われることが好ましい。また、溶剤を使用する場合には溶剤の沸点に近い温度で行うことが好ましい。
そして、その後、100℃以上の温度で焼き付け処理を行う。これにより、カップリング剤の加水分解反応を進行させられる。焼き付け処理は150℃から250℃の温度で行うことが好ましい。150℃未満であると、カップリング剤の加水分解反応を進行させられないおそれがある。250℃を超えるとカップリング剤の分解が起こるおそれがある。
次に、必要に応じて、表面処理後の金属酸化物粒子を粉砕する。これにより、金属酸化物粒子の凝集体が粉砕されるので、下引層中における金属酸化物粒子の分散性が向上される。
下引層には、その電気特性の向上、使用環境における形状安定性の向上、画質向上のために、他の添加物を含有させてもよい。例えば、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3',5,5'テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物等の公知の材料を含有させてもよい。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。なお、これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いられる。
また、接触帯電時の電流リークの一因となる、外部からの導電性粉等の異物が感光体を貫くことを防止し、耐久性の高い下引層を形成する観点から、下引層の硬度を高くすることが有効であり、硬度の指標として下引層のビッカース硬度を30以上好ましくは35以上とすることが好ましい。
また、モアレ像防止の観点から、下引層の表面粗さは、使用される露光用レーザ波長λとした場合に、1/4n(nは上層の屈折率)乃至λに調整されていることが好ましい。なお、ここでいう表面とは、下引層の感光層の側の表面である。また、この表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)の粒子等が用いられる。
更に、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
この下引層は、例えば、上述の金属酸化物粒子をカップリング剤を用いて表面処理した後、バインダー樹脂中に分散させて得られる塗布液を導電性支持体層上に塗布することにより形成する。
下引層の形成用の塗布液を調整するための溶媒としては、公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択する。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす溶剤であれば、いかなるものでも使用してもよい。
カップリング剤を用いて表面処理した金属酸化物をバインダー樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法が用いられる。さらにこの下引層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
次に、電荷発生層について説明する。
電荷発生層に含有される顔料(電荷発生物質)は特に限定されず、公知の顔料が使用される。
赤外光を利用する感光体では、例えば、フタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン顔料、ジチオケトピロロピロール顔料が使用される。また、可視光レーザを利用する感光体では、例えば、縮合多環顔料、ビスアゾ顔料、ペリレン顔料、トリゴナルセレン、色素増感した金属酸化物等が使用される。
上述した顔料の中では、優れた画像を得られることから、フタロシアニン系顔料を使用することが好ましい。これにより、特に高感度で、繰り返し使用しても良好な画質を安定して得る電子写真感光体が構成される。
フタロシアニン顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いられる。特に、フタロシアニン顔料の中でも下記構造式(1)から(6)に示されるフタロシアニン顔料、構造式(4)の配位中心となるGaに結合しているCl原子を−OH基に置換したヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましく用いられる。

上記の構造式(1)から(6)中、構造式(4)のクロルガリウムフタロシアニンとしては、Cukα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の値が7.4°,16.6°,25.5°,28.3°である位置に回折ピークを少なくとも有するものが好ましい。また、構造式(6)のチタニルフタロシアニンとしては、Cukα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の値が9.6°,24.1°,27.3°である位置に回折ピークを少なくとも有し、最大ピークを27.3°に有するものが好ましい。
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、Cukα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の値が7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°, 25.1°,28.1°である位置に回折ピークを少なくとも有するものが好ましい。
更に、この顔料は、公知の方法で製造される顔料結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造する。
上記の湿式粉砕処理において使用される溶剤としては、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系が挙げられる。
また、この溶剤は、顔料結晶に対して、1質量部以上200質量部以下、好ましくは10質量部以上100質量部以下の範囲で使用する。更に、処理温度は、0℃以上溶剤の沸点以下、好ましくは10℃以上60℃以下の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いてもよい。
そして、磨砕助剤は顔料に対し0.5倍以上20倍以下、好ましくは1倍以上10倍以下用いればよい。また、公知の方法で製造される顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御してもよい。
アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度(質量パーセント濃度)70%から100%、好ましくは95%から100%のものが使用され、溶解温度は、−20℃から100℃、好ましくは−20℃から60℃の範囲に設定される。濃硫酸の量は、顔料結晶の質量に対して、1倍から100倍、好ましくは3倍から50倍の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤、アンモニア水等が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
また、顔料の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、10質量%から90質量%であることが好ましく、40質量%から70質量%であることがより好ましい。顔料の含有量がそれぞれ上記の数値範囲の下限値未満となると、十分な感度が得られにくくなる。一方、顔料の含有量がそれぞれ上記の数値範囲の上限値を超えると、帯電性の低下、感度の低下などの弊害が発生する傾向が大きくなる。
電荷発生層に含有されるバインダー樹脂は、絶縁性樹脂であれば特に限定されるものではなく、広範な絶縁性樹脂から選択して使用する。例えば、好ましいバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられる。
電荷発生層用のバインダー樹脂としては、顔料の分散性の観点から、特にポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。なお、上記のバインダー樹脂は、単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
また、顔料とバインダー樹脂との配合比(質量比)は、電荷発生層の場合、10:1から1:10の範囲が好ましい。顔料の質量に対してバインダー樹脂の質量が上記の配合比で示される値未満となると、成膜性が悪くなる等の弊害が発生する傾向が大きくなる。一方、顔料の質量に対してバインダー樹脂の質量が上記の配合比で示される値を超えると、膜中の含有量が相対的に少なくなるため十分な感度が得られなくなる傾向が大きくなる。更に、電荷発生層を形成するための塗布液に含まれる有機溶剤は、バインダー樹脂を溶かす溶剤であり、かつ、顔料(電荷発生物質)の結晶型を変化させる影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではなく、公知の有機溶剤を使用する。
例えば、アルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いる。そして、これらの有機溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
この電荷発生層には、その電気特性の向上、画質向上などのために下引層の説明において記載したものと同じ他の添加剤を添加してもよい。
更に、電荷発生層の層厚は、良好な電気特性と画質を与えるために、0.05μmから5μmであることが好ましく、0.1μmから1μmであることがより好ましい。電荷発生層の厚みが0.05μm未満であると、十分な感度を与えることができない。一方、電荷発生層の厚みが5μmを超えると、帯電性の不良などの弊害を生じさせ易い。
電荷発生層は、顔料(電荷発生物質)、有機溶剤、バインダー樹脂、添加剤(例えば、顔料の分散助剤等)等を混合して塗布液を調製し、これを下引層上に塗布して更に乾燥させることにより形成してもよい。また、電荷発生層は、電荷発生物質を下引層上に真空蒸着することによって形成してもよい。
電荷発生層の形成用の塗布液を調製するには、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤、その他の添加剤(例えば、顔料の分散助剤等)等とともに混合する。顔料を液中に高分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの分散方法を用いる。
更に、成膜性の観点から、電荷発生層を形成するための塗布液に含まれる顔料などの分散粒子の粒子径は、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.15μm以下であることが更に好ましい。分散粒子の粒子径が0.5μmを超えると、電荷発生層の成膜性が悪くなり、画質欠陥を生じ易い。
電荷発生層の形成用の塗布液を下引層上に塗布する場合の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いる。
次に、電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層について説明する。電荷輸送層に含有される電荷輸送物質は、特に限定されるものではなく、公知の物質を使用する。
例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3',5,5'テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質等が挙げられる。
更には、電荷輸送物質は、以上例示した化合物の基本構造を主鎖又は側鎖に有する重合体等も挙げられる。そして、これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂は特に限定されるものではなく、公知のものを使用してもよいが、電機絶縁性のフィルムを形成する樹脂が好ましい。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。
そして、これらのバインダー樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いてもよい。特に、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送物質との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れているので、好ましく用いられる。
また、バインダー樹脂と電荷輸送物質との配合比(質量比)は電気特性低下、膜強度低下に考慮しつつ設定する。この電荷輸送層の層厚は5μmから50μmであることが好ましく、10μmから35μmであることがより好ましい。が適当である。
電荷輸送層は、電荷輸送物質、有機溶剤、バインダー樹脂等を混合して塗布液を調製し、これを電荷発生層上に塗布して更に乾燥させることにより形成する。電荷輸送層の形成用の塗布液を調製するには、電荷輸送物質、有機溶剤、バインダー樹脂等とともに混合する。電荷輸送物質を液中に高分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの分散方法を用いる。
更に、成膜性の観点から、電荷輸送層を形成するための塗布液に含まれる顔料などの分散粒子の粒子径は、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.15μm以下であることが更に好ましい。分散粒子の粒子径が0.5μmを超えると、電荷輸送層の成膜性が悪くなり、画質欠陥を生じ易い。
更に、電荷輸送層の形成用の塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いる。
電荷輸送層の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いる。
なお、本実施形態に係る電子写真感光体は、上記構成に限られず、周知の構成が採用され、例えば、導電性支持体上に感光層を設けた構成(下引層を配設しない構成)、感光層上に保護層を設けた構成、感光層が単層型感光層(電荷発生物質及び電荷輸送性物質の双方を含む、電荷発生/電荷輸送層)であってもよい。
(画像形成装置及びプロセスカートリッジ)
図2は、実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図2に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、上述した本実施形態に係る電子写真感光体1を備えるプロセスカートリッジ20と、露光装置30と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1を露光する位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその少なくとも一部が電子写真感光体1に接触するように配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に電子写真感光体1とともに帯電装置21、現像装置25、クリーニング装置27及び繊維状部材(平ブラシ状)29を、組み合わせて一体化したものである。なお、一体化したものを収納するケースには、露光のための開口部が設けられている。
ここで、帯電装置21は、電子写感光体1を接触方式により帯電させるものである。また、現像装置25は、電子写真感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
以下、現像装置25に使用されるトナーについて説明する。かかるトナーとしては、平均形状係数(ML/A×π/4×100、ここでMLはトナー粒子の最大長を表し、Aはトナー粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、100以上140以下であることがより望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が2μm以上12μm以下であることが望ましく、3μm以上12μm以下であることがより望ましく、3μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。この如く平均形状係数及び体積平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、他のトナーと比べ、高い現像、転写性、及び高画質の画像が得られる。
トナーは、上記平均形状係数及び体積平均粒子径を満足する範囲のものであれば特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用してもよい。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤からなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示される。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示される。
また、帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられ得る。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが望ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置25に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
現像装置25に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の如く脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の如く植物系ワックス、ミツロウの如く動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の如く鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用される。但し、体積平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置25に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも望ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等が挙げられる。
粒子径としては、体積平均平均粒子径で望ましくは5nm以上1000nm以下、より望ましくは5nm以上800nm以下、さらに望ましくは5nm以上700nm以下でのものが使用される。体積平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが望ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが望ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用してもよいが、精密な帯電制御を行なう為にはシリカと酸化チタンを併用することが望ましい。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために望ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、任意に設定される。
クリーニング装置27は、繊維状部材(ロール形状)27aと、クリーニングブレード(ブレード部材)27bとを備える。
クリーニング装置27は、繊維状部材27a及びクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状(平ブラシ状)としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに感光体軸方向にオシレーション可能に支持されていてもよい。繊維状部材27aとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリル等や、トレシー(東レ社製)等の極細繊維からなる布状のもの、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を基材状又は絨毯状に植毛したブラシ状のもの等が挙げられる。また、繊維状部材27aとしては、上述したものに、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部又は外部に導電層が形成されたもの等を用いてもよい。導電性を付与した場合、その抵抗値としては繊維単体で10Ω以上10Ω以下のものが望ましい。また、繊維状部材27aの繊維の太さは、望ましくは30d(デニール)以下、より望ましくは20d以下であり、繊維の密度は望ましくは2万本/inch以上、より望ましくは3万本/inch以上である。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められる。この目的を長期に渡って達成すると共にクリーニング部材の機能を安定化させるために、クリーニング部材には、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を供給することが望ましい。
例えば、繊維状部材27aとしてロール状のものを用いる場合、金属石鹸、ワックス等の潤滑性物質と接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが望ましい。クリーニングブレード27bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。このようにクリーニングブレード27bとしてゴムブレードを使用する場合には、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することは、ブレードの欠けや磨耗を抑制することに特に効果的である。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザを用いることが望ましい。
転写装置40としては、電子写真感光体1上のトナー像を被転写媒体(中間転写体50)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものが用いられる。なお、この中間転写体を備えていない直接転写方式の画像形成装置もあるが、本実施形態に係る電子写真感光体はこの如く画像形成装置に好適である。
なお、被転写媒体とは、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体1から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図3は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図3に示す画像形成装置110は、電子写真感光体1が画像形成装置本体に固定され、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。なお、帯電装置22は、コロナ放電方式により帯電させる帯電装置を備えている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体1とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27が画像形成装置本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着自在である。
なお、画像形成装置110は、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図4は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図4に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
タンデム方式の画像形成装置120では、各色の使用割合により各電子写真感光体の磨耗量が異なってくるために、各電子写真感光体の電気特性が異なってくる傾向がある。これに伴い、トナー現像特性が初期の状態から除々に変化してプリント画像の色合いが変化し、安定な画像を得ることができなくなる傾向にある。特に、画像形成装置を小型化するために、小径の電子写真感光体が使用される傾向にあり、30mmφ以下のものを用いたときにはこの傾向が顕著になる。ここで、電子写真感光体に、本実施形態に係る電子写真感光体の構成を採用すると、その直径を30mmφ以下とした場合にもその表面の磨耗が抑制される。したがって、本実施形態に係る電子写真感光体は、タンデム方式の画像形成装置に対して特に有効である。
図5は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図5に示す画像形成装置130は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、所謂4サイクル方式の画像形成装置である。画像形成装置130は、駆動装置(図示せず)により特定の回転速度で図中の矢印Aの方向に回転される感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の上方には、感光体ドラム1の外周面を帯電させる帯電装置22が設けられている。
また、帯電装置22の上方には面発光レーザアレイを露光光源として備える露光装置30が配置されている。露光装置30は、光源から射出される複数本のレーザービームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム1の外周面上を感光体ドラム1の軸線と平行に走査させる。これにより、帯電した感光体ドラム1の外周面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム1の側方には現像装置25が配置されている。現像装置25は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器25Y,25M,25C,25Kが設けられている。現像器25Y,25M,25C,25Kは各々現像ローラ26を備え、内部に各々イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の色のトナーを貯留している。
画像形成装置130でのカラーの画像の形成は、感光体ドラム1が4回画像形成することにより行われる。すなわち、感光体ドラム1が4回画像形成する間、帯電装置22は感光体ドラム1の外周面の帯電、露光装置30は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザビームを感光体ドラム1の外周面上で走査させることを、感光体ドラム1が1回画像形成する毎にレーザビームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また現像装置25は、現像器25Y,25M,25C,25Kの何れかの現像ローラ26が感光体ドラム1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム1が1画像形成する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。これにより、感光体ドラム1が1回画像形成する毎に、感光体ドラム1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が順次形成されることになる。
また、感光体ドラム1の下方には無端の中間転写ベルト50が配設されている。中間転写ベルト50はローラ51,53,55に巻掛けられており、外周面が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置されている。ローラ51,53,55は図示しないモータの駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト50を図中矢印B方向に回転させる。
中間転写ベルト50を挟んで感光体ドラム1の反対側には転写装置(転写器)40が配置されており、感光体ドラム1の外周面上に順次形成されたY,M,C,Kのトナー像は1色づつ転写装置40によって中間転写ベルト50の画像形成面に転写され、最終的には、Y,M,C,K全ての画像が中間転写ベルト50上に積層される。
また、感光体ドラム1を挟んで現像装置25の反対側には、感光体ドラム1の外周面に潤滑剤供給装置29及びクリーニング装置27が配置されている。感光体ドラム1の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト50に転写されると、潤滑剤供給装置29により感光体ドラム1の外周面に潤滑剤が供給され、当該外周面のうち転写されたトナー像を保持していた領域がクリーニング装置27により清浄化される。
中間転写ベルト50よりも下方側には給紙装置60が配置されており、給紙装置60内には記録材料としての用紙Pが多数枚積層された状態で収容されている。給紙装置60の左斜め上方には取り出しローラ61が配置されており、取り出しローラ61による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対63、ローラ65が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラ61が回転されることにより給紙装置60から取り出され、ローラ対63、ローラ65によって搬送される。
また、中間転写ベルト50を挟んでローラ55の反対側には転写装置42が配置されている。ローラ対63、ローラ65によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト50と転写器42の間に送り込まれ、中間転写ベルト50の画像形成面に形成されたトナー像が転写装置42によって転写される。転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着装置44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着装置44によって溶融定着された後に画像形成装置130の機体外へ排出され、排紙受け(図示せず)上に載る。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
−基体Aの準備−
アルミニウム基体は、JIS H4080に規定されたA6063TD、ポートホール法にて熱間押出加工して管形状を形成し、これを冷間抽伸加工して精度を整えてH14とし、切削用素管を得た。外径はφ30.3、内径はφ28.5、全長は406mmであった。
該素管の外側を把持し、両端にインロー加工を施した。インロー加工された内径はφ28.5mmで、その深さは10mmであった。両端加工も同時に施し、その全長は404mmであった。
該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが10mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)の送り速度を0.3mm/revに設定し、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[実施例2]
−基体Bの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが20mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)のバイト送り速度(加工速度)を0.3mm/revに設定し、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[実施例3]
−基体Cの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが25mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)のバイト送り速度(加工速度)を0.3mm/revに設定し、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[実施例4]
−基体Dの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが20mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)のバイト先端角度をバイト送り方向に30度傾斜(バイトの切り込み角度を8度大きく)させ、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(バイトの切り込み角度を大きくさせた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(バイトの切り込み角度を大きくさせた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[実施例6]
−基体Gの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが10mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)のバイト送り速度(加工速度)を0.4mm/revに設定し、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[実施例7]
−基体Hの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが15mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)のバイト送り速度(加工速度)を0.4mm/revに設定し、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[比較例1]
−基体Eの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが20mmの円弧状バイトである。初期のバイトの送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分までそのまま、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(切削加工終わり部分20mmの領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
[比較例3]
−基体Kの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが8mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)のバイト送り速度(加工速度)を0.4mm/revに設定し、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[比較例4]
−基体Lの準備−
基体Aと同じインロー加工済み素管を準備し、該インロー加工済み素管を感光ドラム外径仕上CNC旋盤・RL−550EX(複写機、レーザープリンタ等の感光ドラム外径のダイヤモンドバイトによる外径仕上加工機、株式会社エグロ製)にて外径切削加工した。バイトは多結晶ダイヤモンドを刃先とした先端Rが15mmの円弧状バイトである。初期のバイト送り速度(加工速度)を0.5mm/rev、バイト先端角度(バイトの切り込み角度)を80度に設定し、切削加工終わり部分20mmの領域(切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が20mm以内の領域)のバイト送り速度(加工速度)を0.55mm/revに設定し、外径をφ30mmに仕上げた。
得られた基体の軸方向中央部の表面粗度Rmax(1)と、軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)と、を表面粗度計(東京精密社製サーフコム1400)を用いて計測した。計測は、それぞれの部表面の任意の3ヶ所計で行い、各表面粗度Rmaxはこれの平均として示す。結果は表1に示す。
なお、基体の軸方向端部(加工速度を低下させた領域)の表面粗度Rmax(2)は、切削加工終わり部分となる素管軸方向端辺から中央部に向かった距離が2.4mmから20mmまでの領域について測定した。
[評価]
まず、各例で作製した基体を用いて、以下の手順にて電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
下引き層に用いる表面処理例を次のようにして準備した。酸化亜鉛粒子(商品名:Nano Tek ZnO シーアイ化成社製):100質量部をステンレス製バット内にて120℃で2時間加熱し、予備乾燥した。次に、この予備乾燥した酸化亜鉛を攪拌しながら、これにN−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)の4質量%のトルエン溶液:40質量部を噴霧し、100℃で攪拌を1時間行った。その後、さらに175℃で1時間焼き付け処理を行った後、乳鉢により粉砕処理をした。
次に、得られた表面処理例で表面処理した酸化亜鉛:25質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175,住友バイエルンウレタン社製) :10質量部と、ブチラール樹脂 BM−1(積水化学社製):9質量部と、メチルエチルケトン:60質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、シリコーンボール トスパール120(東芝シリコーン社製):3質量部と、シリコーンオイルSH29PA(東レダウコーニングシリコーン社製):0.01質量部とを添加し、下引層塗布用液を得た。
この塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基体上に塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、層厚が25μmの下引層を形成した。
次に、下引層上に層構造の感光層を形成した。まず、電荷発生物質としてのCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜,16.6゜,25.5゜,28.3゜の位置に回折ピークを有する塩化ガリウムフタロシアニン:15質量部、バインダー樹脂となる塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−ブチルアアセテート:300質量部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液を電荷発生層形成用の塗布液として下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、層厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−[1、1']ビフェニル−4,4'−ジアミン:4質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万):6質量部とをクロルベンゼン:80質量部に加えて溶解した。
得られた分散液を電荷輸送層形成用の塗布液として電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃、40分の乾燥を行うことにより層厚が25μmの電荷輸送層を形成した。
−評価−
得られた電子写真感光体を、上記各例で作製した基体毎に1,000本づつ作製し、得られた電子写真感光体をプロセスカートリッジに組み込み、画像形成装置DocuCentre−III C4400(富士ゼロックス株式会社製)の黒色部分にて、画質確認を行った。詳しくは、1本の電子写真感光体につき、A3サイズ、1枚、白紙のプリントアウトで確認を行った。プリントアウトした画像を確認し、径0.5mm以上の黒点が発生した電子写真感光体を不良と判定し、上記各例で作製した基体毎に作製した1,000本の電子写真感光体のうち、不良と判定される数(1)を調べた。また、同時に濃度30%のハーフトーン画像を調査し、切削マークが筋として画質に現れ、実用上耐えかね、不良と判定される数(2)も調べた。(1)と(2)を合わせてNG数(表1中NG数と標記)とした。結果を表1に示す。
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、黒点が発生し、又はハーフトーンに筋が発生し、不良と判定される電子写真感光体が得られ難いことがわかる。
1…電子写真感光体
2…導電性支持体
3…感光層
4…下引層
5…電荷発生層
6…電荷輸送層
20…プロセスカートリッジ
100,110,120,130…画像形成装置

Claims (11)

  1. 表面に切削加工を施されてなり、
    軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(1)とし、軸方向端辺から中央部に向かった距離が50mm以内の領域のうち、軸方向の距離が少なくとも3mm以上の領域において、軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分とは切削加工条件を変更して切削加工した切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(2)としたとき、下記式(1)乃至(3)で示される条件を満たし、
    且つ、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される電子写真感光体用基体。
    式(1): 1.2μm≦Rmax(1)≦5μm
    式(2): 0.5μm≦Rmax(2)≦4μm
    式(3): Rmax(2)<Rmax(1)
  2. 前記切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面が、前記軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面よりも遅い加工速度で切削加工を施されてなる請求項1に記載の電子写真感光体用基体。
  3. 前記切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面が、前記軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面よりも大きい加工バイトの切り込み角度で切削加工を施されてなる請求項1に記載の電子写真感光体用基体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体用基体と、
    前記電子写真感光体用基体上に設けられる感光層と、
    を備える電子写真感光体。
  5. 請求項4に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段、及び、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 前記帯電手段が、接触方式の帯電手段である請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
  7. 請求項4に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体に静電潜像形成する静電潜像手段と、
    前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段と、
    前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記帯電手段が、接触方式の帯電手段である請求項7に記載の画像形成装置。
  9. アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された素管を準備する工程と、
    軸方向中央を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(1)とし、軸方向端辺から中央部に向かった距離が50mm以内の領域のうち、軸方向の距離が少なくとも3mm以上の領域において、軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分とは切削加工条件を変更して切削加工する切削加工終わり部分となる軸方向端部の表面粗度(JIS B0601に準じた断面曲線の最大高さ)をRmax(2)としたとき、下記式(1)乃至(3)で示される条件を満たし、前記素管の表面に対して切削加工を施す工程と、
    を有する電子写真感光体用基体の製造方法。
    式(1): 1.2μm≦Rmax(1)≦5μm
    式(2): 0.5μm≦Rmax(2)≦4μm
    式(3): Rmax(2)<Rmax(1)
  10. 前記素管の表面に対して切削加工を施す工程が、前記素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって切削加工を行う工程であって、切削加工終わり部分となる前記素管の軸方向端部の表面を切削加工する加工速度を、前記素管の軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面を切削加工する加工速度よりも遅くする工程である請求項9に記載の電子写真感光体用基体の製造方法。
  11. 前記素管の表面に対して切削加工を施す工程が、前記素管の一方の軸方向端部から他方の軸方向端部に向かって切削加工を行う工程であって、切削加工終わり部分となる前記素管の軸方向端部の表面を切削加工する加工バイトの切り込み角度を、前記素管の軸方向中央部を含み且つ切削加工終わり部分となる軸方向端部以外の部分の表面を切削加工する加工バイトの切り込み角度を大きくする工程である請求項9に記載の電子写真感光体用基体の製造方法。
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