JP5490012B2 - 焼結機 - Google Patents
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Description
そこで、例えば、特許文献1には、シンターケーキの重みを受ける板状のシンターケーキ支持スタンド(以下、単にスタンドともいう)を、焼結原料層に埋没するように焼結パレット台車に立設させた焼結機が開示されている。なお、スタンドは、その前後方向(幅方向)をパレット台車の進行方向に合わせている。
このように、スタンドの前側部と後側部での摩耗が進行すると、徐々にシンターケーキを支えられなくなるだけでなく、スタンドを頻繁に新品に交換する必要があり、その結果、メンテナンス性が悪化し、焼結製造コストが大幅に増加する。
しかし、この方法ではスタンドの製造費用が高くなり、焼結製造コストの観点から得策ではない。
になされた本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)焼結パレットを構成する各パレット台車上に板状のシンターケーキ支持スタンドを立設した下方吸引式の焼結機であって、前記シンターケーキ支持スタンドの前後の両側部及びこれに続く上部の領域に、該シンターケーキ支持スタンドの前後方向中央部の厚みの1倍超1.5倍以下の厚肉部が設けられ、かつ1台の前記パレット台車上に複数の前記シンターケーキ支持スタンドを該パレット台車の進行方向に沿って並べて立設した際に、該パレット台車上の最下流側に配置された前記シンターケーキ支持スタンドの前側の前記厚肉部の幅長aが、後側の該厚肉部の幅長bより長く、かつ前記パレット台車上の最上流側に配置された前記シンターケーキ支持スタンドの後側の前記厚肉部の幅長cが、前側の該厚肉部の幅長dより長く、しかも前記幅長a、bの比a/bと前記幅長c、dの比c/dがそれぞれ2倍以上6倍以下の範囲内であることを特徴とする焼結機。
特に、1台のパレット台車上に複数のスタンドをパレット台車の進行方向に沿って並べて立設した際に、各パレット台車上の最下流側のスタンドの前側厚肉部の幅長aを、そのスタンドの後側厚肉部の幅長bより長くするので、焼結パレットの排出部に滞留した焼結鉱の中を通過する際に摩耗し易い前側部の厚肉部の幅長を充分に確保されている。
また同様に、最上流側のスタンドの後側厚肉部の幅長cを、そのスタンドの前側厚肉部の幅長dより長くすることで、後続するスタンドから排出された焼結鉱に衝突され摩耗し易い後側部の厚肉部の幅長も充分に確保されている。
更に、幅長a、bの比a/bと幅長c、dの比c/dを、それぞれ規定することで、最下流側のスタンドの後側厚肉部の幅長bに対する前側厚肉部の幅長aと、最上流側のスタンドの前側厚肉部の幅長dに対する後側厚肉部の幅長cを、それぞれ適正な長さに容易に設定することができる。
これにより、各スタンドの寿命が、最下流側のスタンドの前側厚肉部と最上流側のスタンドの後側厚肉部の摩耗に依存することを抑制し、防止できる。
従って、シンターケーキ支持スタンドの長寿命化が図れ、スタンドの交換に要する手間や焼結製造コストの低減が図れる焼結機を提供できる。
図1、図2(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る焼結機は、焼結パレット10を構成する各パレット台車11上の進行方向上流側に板状のシンターケーキ支持スタンド(以下、単にスタンドともいう)12、13を立設した下方吸引式の焼結機であり、各スタンド12、13の前後の両側部及びこれに続く上部の領域には、スタンド12、13の前後方向中央部14、15の厚みより厚い厚肉部16、17が設けられている。なお、各スタンド12、13は、パレット台車11上に、その前後方向をパレット台車11の進行方向に合わせて立設されている。以下、詳しく説明する。
各パレット台車11上には、複数(図1では2個)のスタンド12、13が、パレット台車11の進行方向に沿って並べられており、スタンド12とその上流側のスタンド13が、隣合う側端部を近接配置させて立設されている。この隣合うスタンド12とスタンド13の側端部は、当接してもよく、また僅少の隙間を有してもよい。
なお、各スタンド列を構成するスタンドの個数は、3個又は4個でもよい。この場合、パレット台車上の最下流側と最上流側のスタンドは、各スタンド列の最前部と最後部に位置するスタンドとなる。
スタンド12の支持部18の高さは、パレット台車11上に装入される焼結原料層に埋没する高さ、即ち焼結原料層の高さの0.3〜0.7倍程度(例えば、焼結原料層の高さが800mm程度であれば、支持部18の高さHが240〜560mm程度)である。
厚肉部16の厚みT2を、中央部厚みT1より厚くすると、厚肉部16の摩耗の進行を抑えることができる。図6に、中央部厚みT1が40mmのスタンドを約1年間使用したときの、支持スタンドの厚肉部16の厚みT2と摩耗速度(mm/日)の関係を示す。厚肉部16が厚くなるほど摩耗速度が減少することがわかる。しかし、厚肉部の厚みT2と中央部厚みT1の比(T2/T1)が1.5倍を超えると焼成した焼結鉱を排出する際に、固化した焼結鉱が厚肉部16に引っ掛かって排出に支障をきたす恐れがある。
焼結鉱の排鉱の安定性を考慮して、厚肉部16の厚みT2は、中央部厚みT1より厚く、厚み比で下限を1.0倍超、好ましくは1.1倍、上限を1.5倍、好ましくは1.4倍にするのがよい。
また、厚肉部16は、支持部18の厚み方向の両面を、支持部18の中央部14の表面よりも、同じ厚みだけ突出させて設けている。これにより、スタンド12の厚み方向の片側が一方的に摩耗することを抑制できる。
このスタンド12、13の上部の厚肉部16、17の高さ方向の幅長eは、支持部18の前後方向中央部にかけて長くなっている。すなわち、幅長eは幅長a、b、c、dの長さ以上の長さであり、幅長eの最大値は幅長aまたはc以上である。
ここで、前側と後側の厚肉部の幅長a、bの比a/b(幅長c、dの比c/dも同様)とスタンドの寿命との関係を調査した結果を、図3を参照しながら説明する。なお、使用したスタンドは、その頭部の形状が丸形のものであり、その厚み寸法が、支持部の中央部:43mm、厚肉部の上部:48mm、厚肉部の前側:50mm、厚肉部の後側:50mm、のものである(つまり、厚肉部の厚みが、中央部の厚みの1.0倍超となっている)。このスタンドの幅長a、bの比a/bは、後側の厚肉部の幅長bを22mmにして、前側の厚肉部の幅長aを種々変化させることで調整した。なお、上部の厚肉部の幅長eを70mmとした。
図3から、幅長a、bの比a/bを2倍以上にすることで、スタンドの寿命を通常の2倍以上に延長することができることを確認した。
以上のことから、幅長a、bの比a/bと幅長c、dの比c/dを、それぞれ2倍以上6倍以下の範囲内とした。また、a/bが5以上としても、寿命延長の効果があまりかわらないので、好ましくは、下限を2倍、上限を5倍とするのがよい。
ここで、幅長a、bの比a/bと幅長c、dの比c/dを、それぞれ2以上6以下の範囲内としている。
スタンド30は、パレット台車11上に突出する側面視して台形状の支持部31と、この支持部31の下部に設けられ、パレット台車11に嵌め込まれる取付け部19を有している。このスタンド30は、支持部31の前後の両側部及びこれに続く上部の領域に設けられた厚肉部32のうち、上部の厚肉部32の高さ方向の幅長eが、支持部31の前後方向に渡って同一であること以外は、前記したスタンド12と同様の構成である。
スタンド35は、パレット台車11上に突出する、上端部の形状が側面視して丸形状の支持部36と、この支持部36の下部に設けられ、パレット台車11に嵌め込まれる取付け部19を有している。このスタンド35は、支持部36の前後の両側部及びこれに続く上部の領域に設けられた厚肉部37のうち、最下流側に配置するスタンド35の前側の厚肉部37の幅長a´と、最上流側に配置するスタンド35の後側の厚肉部37の幅長c´を、支持部36の上側から下側へかけて徐々に幅狭にしていること以外は、前記したスタンド12と同様の構成である。なお、前側の厚肉部37の上端位置の幅長は2a´で、下端位置の幅長はa´/2であり、また後側の厚肉部37の上端位置の幅長は2c´で、下端位置の幅長はc´/2である。
なお、スタンド35をパレット台車11に取付けるに際しては、最下流側に配置されたスタンド35の前側の厚肉部37の幅長a´が、後側の厚肉部37の幅長bより長く、かつ最上流側に配置されたスタンド35の後側の厚肉部37の幅長c´が、前側の厚肉部37の幅長dより長くなるように行う。
このように、支持部36の厚肉部37の幅長を変えることで、摩耗し易い部位の厚肉部37の幅長を特に長くでき、スタンドの長寿命化が図れる。
まず、焼結条件について説明する。
焼結機の条件は、パレット台車の有効床面積:660m2、焼結原料の装入層厚:800mm、パレット台車の移動速度:3m/分、である。
また、各パレット台車には、それぞれパレット台車の進行方向に隣合う2個のスタンドを、パレット台車の幅方向に間隔を有して4列配置した。この各スタンドの高さHは、400mmである。
このため、スタンドの前側及び後側が摩耗して、その寿命が実施例1〜4よりも短くなった(比較例1:730日、比較例3:750日)。
また、比較例2は、スタンドの厚肉部の幅長の比が2倍以上6倍以下の条件を満足している(2.4倍)が、中央部の厚みT1に対する厚肉部の厚みT2の比が、厚肉部の上部で1.68倍(=47mm/28mm)、前側及び後側で1.79倍(=50mm/28mm)であり、前記した条件の上限値を超えている(1.5倍超)。このため、シンターケーキがスタンドに引っ掛かって、パレット台車から排出することが困難になる場合があり、安定した操業を実施できなかったため、操業を途中で中止した。
以上のことから、本発明の焼結機を使用することで、シンターケーキ支持スタンドの長寿命化が図れ、スタンドの交換に要する手間や焼結製造コストの低減が図れることを確認できた。
前記実施の形態においては、各パレット台車上の最下流側のスタンドと最上流側のスタンドに、同一形状のものを使用した場合について説明した。しかし、各パレット台車上の最下流側にスタンド12を、最上流側にスタンド30又はスタンド35をそれぞれ配置したり、また最下流側にスタンド30を、最上流側にスタンド13又はスタンド35をそれぞれ配置したり、更には、最下流側にスタンド35を、最上流側にスタンド13又はスタンド30をそれぞれ配置したり、異なる形状のスタンドを組合わせて使用してもよい。
このとき、各パレット台車上の最下流側に配置されるスタンドの前側の厚肉部の幅長が、最上流側に配置されるスタンドの後側の厚肉部の幅長よりも長くなるように、各パレット台車上に設けるスタンドを選択することで、摩耗の進行速度に応じた取付けができる。
11 パレット台車
12、13 シンターケーキ支持スタンド
14、15 中央部
16、17 厚肉部
18 支持部
19 取付け部
20 床面
30 シンターケーキ支持スタンド
31 支持部
32 厚肉部
35 シンターケーキ支持スタンド
36 支持部
37 厚肉部
Claims (6)
- 焼結パレット台車上にシンターケーキ支持スタンドを立設した下方吸引式の鉄鋼原料の焼結機において、
前記シンターケーキ支持スタンドの前記パレット台車進行方向の前後の両側部及びこれに続く上部の領域に、該シンターケーキ支持スタンドの前後方向中央部の厚みの1倍超1.5倍以下の厚肉部が設けられ、かつ1台の前記パレット台車上に複数の前記シンターケーキ支持スタンドを該パレット台車の進行方向に並べて立設した際に、前記シンターケーキ支持スタンドの側面視において、該パレット台車上の進行方向最下流側に配置された前記シンターケーキ支持スタンドの前側の前記厚肉部の幅である幅長aが、後側の厚肉部の該側面の幅である幅長bより長く、かつ前記パレット台車上の最上流側に配置された前記シンターケーキ支持スタンドの後側の前記厚肉部の幅長cが、前側の該厚肉部の幅長dより長く、かつ前記幅長a、bの比a/bと前記幅長c、dの比c/dがそれぞれ2倍以上6倍以下の範囲内であることを特徴とする焼結機。 - 前記厚肉部は、前記各シンターケーキ支持スタンドの厚み方向の両面を、該各シンターケーキ支持スタンドの前後方向中央部の表面よりも突出させて設けたことを特徴とする請求項1に記載の焼結機。
- 前記シンターケーキ支持スタンドの側面視の形状が、台形状であることを特徴とする請求項1に記載の焼結機。
- 前記シンターケーキ支持スタンドの側面視の形状が、上部が上に凸の曲線形状であることを特徴とする請求項1に記載の焼結機。
- 前記シンターケーキ支持スタンドの側面視において、前記シンターケーキ支持スタンドの少なくとも前後部どちらかの厚肉部の幅が、下方から上方に向け変化していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結機。
- 前記厚肉部の幅の下方から上方の差が1mm〜10mmであることを特徴とする請求項5に記載の焼結機。
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