JP5488382B2 - 超音波モータ - Google Patents

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Description

本発明は、圧電磁器及びこれを備える圧電素子、並びにかかる圧電素子を備える圧電デバイスに関する。
圧電磁器(圧電セラミックス)をハイパワーデバイスに応用した例として、超音波モータや圧電トランスなどが挙げられる。これらのデバイスには、高振動速度で駆動するとともに、大きな振幅が得られる材料が必要である。また、デバイスの作製時や使用時の衝撃による破壊のほか、大振幅励振時における応力集中点での破壊に耐えられる十分な強度を有する材料も必要となる。さらに、プロセス上の問題として、焼成温度や半田耐熱性などの特性も、これらのデバイスに用いられる材料の重要な要素である。特に、焼成温度を低下することが可能であると、省エネルギー化の点で有益である。加えて、電極と一体焼成で製造される積層型圧電素子の場合、焼結温度を低下することができれば、内部電極の組成においてパラジウムを減らし、銀の比率を増大させることが可能であり、製造コスト面で有利になると期待される。
このような特性を満足するセラミックスとしては、ペロブスカイト型化合物であるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O(PZT))系の主成分と、リラクサーと呼ばれる副成分とからなる圧電磁器が用いられてきた。特に、特許文献1、2のような亜鉛ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O−Pb(Zn,Nb)O(PZT―PZN)系の圧電磁器は、高破壊強度を有し、低温焼成が可能であるといった優れた特性を示した。
特許第2957564号公報 特許第2957537号公報
上述したような従来の圧電磁器は、所望の特性に応じて各種の添加元素を含む組成を有するものであった。ところが、近年では、環境への負荷を軽減する観点から、圧電磁器に用いられる物質が徐々に制限されつつある。そこで、環境に対する負荷を小さくする観点からは、圧電磁器において、環境への負荷が大きいと考えられる添加元素をできるだけ用いないことが求められるようになっている。
しかしながら、圧電磁器の特性は、添加元素の種類によって大きく変化することから、添加元素を用いなかったり、また重要な添加元素を適当に置き換えたりした場合、これまでと同等の特性を得ることは困難となる。特に、上記の特許文献1、2等に示した圧電磁器から添加元素を代えて、十分な振動速度を維持しながら、優れた強度を有する圧電磁器を得ることは、これまで極めて困難であった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、十分な振動速度を有するとともに優れた強度を有する圧電磁器を提供することを目的とする。本発明はまた、そのような圧電磁器を用いた圧電素子、及びこれを備える圧電デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の圧電磁器は、AサイトにPb、並びにCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含み、且つ、BサイトにZn、Nb、Ti並びにZrを含むペロブスカイト系の主成分と、Mn及びYbを含む副成分と、を含有しており、主成分に対して、MnをMnCOに換算して0.4〜1質量%含み、YbをYbに換算して0.1〜1質量%含むことを特徴とする。
上記本発明の圧電磁器は、PZT−PZN系の組成を有し、主成分に対してMn及びYbをそれぞれ特定の割合で含むことにより、十分な振幅速度が得られるとともに、高い強度(特に高折強度)を有するものとなる。また、それに加えて、製造工程においては、低い温度での焼成が可能であるほか、十分に高い耐熱性を発揮することも可能である。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推察している。すなわち、主成分に添加しているMnやYbは、アクセプタとして作用するため、これを含むことで酸素空孔が生成され、焼結中のイオンの拡散が増加して、これによって焼結温度が効果的に低下すると考えられる。また、リラクサーやTiに対するZrの比によって結晶構造が変化していることにより、キュリー温度も変化した結果、耐熱性が向上したと考えられる。さらに、強度については、セラミックスの結晶粒構造に影響されるところが大きいが、本発明では、MnとYbの添加により、焼結時等において強度の向上に好適な粒成長が生じたものと考えられる。本発明においては、特にYbを含むことによってそのような効果が著しく生じたと推測される。
そして、上述したような作用は、主成分のリラクサーや主成分におけるTi及びZrの割合、或いは添加物質の量によって互いに影響されることから、本発明は、全体として上述したような特定の組成を有することによって、各特性が阻害されることなく、優れた特性を発現することが可能となったと考えられる。
本発明の圧電磁器においては、主成分が、式(1)で表される組成を有することが好ましい。主成分がこのような組成を有することで、振動速度及び強度においてより優れた特性が得られるようになる。
(Pb1−a)(Zn1/3Nb2/3TiZr1−x−y (1)
[式(1)中、Aは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、x及びyは、それぞれ、0≦a≦0.1、0.03≦x≦0.4、0.1≦y≦0.5を満たす数値である。]
また、本発明は、上記本発明の圧電磁器を備える圧電素子を提供する。かかる圧電素子としては、圧電磁器と電極とを備える振動子が挙げられる。このような圧電素子は、上述した本発明の圧電磁器を備えることから、十分な振動速度を有し、且つ優れた高強度を有することから、圧電トランス、超音波モータ、超音波振動子や、共振変位を利用した圧電アクチュエータ等として好適に使用することが可能である。
さらに、本発明は、上記本発明の圧電素子を備える圧電デバイスを提供する。かかる圧電デバイスは、高振動速度及び高強度を有する本発明の圧電素子の特性から、十分に高い出力を有するデバイスとして用いることが可能である。
本発明によれば、十分な振動速度を有するとともに優れた強度を有する圧電磁器を提供することが可能となる。また、そのような圧電磁器を用いた圧電素子、及びこれを備える圧電デバイスを提供することが可能となる。
好適な実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。 圧電素子の別の実施形態を示す断面図である。 評価に用いた振動速度測定装置の概要を示す説明図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一または同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
図1は、好適な実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。当該構成を有する圧電素子は、例えば、振動子として適用することができる。図1に示す圧電素子20は、互いに対向して配置された一対の電極2,3と、これらの間に挟まれた圧電磁器5とを備えている。圧電素子20としては、例えば、縦12〜32mm、横3〜8mm、高さ1〜2.6mmの大きさを有するものが挙げられる。
電極2,3としては、圧電素子に用いられる電極材料からなるものを適用することができ、例えば、Agからなる電極が挙げられる。
圧電磁器5は、その厚さ方向、すなわち電極2,3の対向方向に分極されており、電極2,3間に電圧が印加されることで、長辺方向に伸縮する振動を生じる。この圧電磁器5は、次のような組成を有する圧電磁器によって構成されるものである。すなわち、圧電磁器5は、AサイトにPb、並びにCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含み、且つ、BサイトにZn、Nb、Ti並びにZrを含むペロブスカイト系の主成分と、Mn及びYbを含む副成分とを含有しており、主成分に対して、MnをMnCOに換算して0.4〜1質量%含み、YbをYbに換算して0.1〜1質量%含む。
圧電磁器5の主成分は、Aサイト及びBサイトに上述した各元素を含むペロブスカイト系の複合酸化物であり、いわゆるPZT−PZN系の組成を有する。一方、副成分であるMnやYbは、金属単体や酸化物等の形態で圧電磁器5に含まれる。圧電磁器5は、焼結体、すなわち多結晶体の構造を有するが、Mn及びYbは、化合物として主成分に固溶していてもよく、また酸化物等の形態で主成分の結晶粒の粒界に存在(偏析等)していてもよい。
圧電磁器5の主成分としては、式(1)で表される組成を有するものが好ましい。
(Pb1−a)(Zn1/3Nb2/3TiZr1−x−y (1)
式(1)中、Aは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、なかでもCaが好ましい。
aは、0≦a≦0.1を満たす数値であると好ましく、0≦a≦0.04を満たす数値であるとより好ましく、0.02≦a≦0.04を満たす数値であると更に好ましい。aが0以上、すなわち、PbがAの元素によって置換されていることで、抗折強度が一層向上する傾向にある。ただし、焼成温度を十分に低くする観点からは、aの上限値は、上述した範囲の上限値以下とすることが望ましい。
xは、0.03≦x≦0.4を満たす数値であると好ましく、0.03≦x≦0.18を満たす数値であるとより好ましく、0.03≦x≦0.05を満たす数値であると更に好ましい。xがこの好適な範囲であるほど、焼成温度をより低くしながら、高い振動速度及び抗折強度が得られるようになる。
yは、0.1≦y≦0.5を満たす数値であると好ましく、0.4≦y≦0.49を満たす数値であるとより好ましく、0.48≦y≦0.49を満たす数値であると更に好ましい。yがこのような好適な範囲であるほど、焼成温度、振動速度及び抗折強度の特性が良好に得られるようになる。
一方、副成分であるMnは、Mn単体やMn酸化物として圧電磁器5中に含まれる。圧電磁器中のMnの含有量は、MnCOに換算して、主成分に対して0.4〜1質量%であり、0.6〜0.9質量%であると好ましく、0.7〜0.8質量%であるとより好ましい。Mnの含有量が好適な範囲であるほど、低い焼成温度でも高い抗折強度が得られるようになる傾向にある。
また、Ybは、Yb単体やYb酸化物として圧電磁器5中に含まれる。圧電磁器中のYbの含有量は、Ybに換算して、主成分に対して0.1〜1質量%であり、0.1〜0.2質量%であると好ましく、0.15〜0.2質量%であるとより好ましい。Ybの含有量が好適な範囲であるほど、とりわけ抗折強度の点で高い特性が、他の特性を十分に維持しながら得られるようになる。
さらに副成分としては、Fe、Co、Sc、Ga、Cr、Mg、Cu等の単体や化合物等を、所望の特性に応じて含んでいてもよい。副成分としてこれらを更に含有する場合、その含有量は、対応する酸化物に換算して、主成分に対して0.1〜1質量%であることが好ましい。
圧電磁器5の組成は、例えば、X線回折やICP発光分光分析で測定することができる。圧電磁器5において、主成分の含有量は、圧電磁器5の全体を基準として、90質量%以上であると好ましく、95質量%以上であるとより好ましく、98質量%以上であると更に好ましい。主成分の含有割合がこのような範囲内であることで、圧電磁器として実用に十分な振動速度が得られるようになる。
また、圧電磁器は、95%以上の相対密度を有することが好ましい。ここで、本明細書において、相対密度とは、理論密度に対する、密度の実測値をいう。なお、理論密度は、X船回折によって求めた格子定数と、完全結晶を仮定して求めた量論比により計算される値である。このように高い相対密度を有する圧電磁器によれば、優れた圧電特性が得られるようになる。圧電磁器の相対密度は、例えば、アルキメデス法によって測定することができる。また、圧電磁器の相対密度は、その製造の際の焼成温度や焼成時間を変えることによって調整することができる。
また、圧電磁器5の結晶粒径は、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下である。圧電磁器の結晶粒径が3μmを超えると、抗折強度が大きく低下する場合がある。ここで、本明細書において、圧電磁器の結晶粒径とは、円面積相当径をいうものとする。
次に、上述したような圧電素子20の製造方法の好適な実施形態について以下に説明する。
まず、圧電磁器5の出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、炭酸マンガン(MnCO)及び酸化イッテルビウム(Yb)や、必要に応じて炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、炭酸バリウム(BaCO)等の粉末を準備する。これらの粉末原料を、焼成後に上述したような実施形態に係る圧電磁器5の組成が得られるようにそれぞれ秤量してする。
次に、秤量した各原料粉末を、ボールミル等により湿式混合する。湿式混合により得られた混合物を仮焼することにより仮焼物を得る。仮焼は、例えば、空気中で施すことができる。また、仮焼温度は700〜850℃であることが好ましく、仮焼時間は2時間程度が好ましい。
得られた仮焼物を、ボールミル等で湿式粉砕した後、これを乾燥させることにより、仮焼物の粉体を得る。それから、この仮焼物の粉体に、少量の結合剤を添加し、例えばプレス成形等より成形して、成形体を得る。この際、成形圧力は例えば5t/cmとすることができる。成形体の形状は特に制限されず、所望の圧電磁器5の形状が得られ易い形状とすればよいが、例えば、平面寸法50mm×50mm、厚さ10mm程度の板状成形体とすることができる。
それから、得られた成形体を焼成することにより圧電磁器を得る。焼成は、例えば空気中で施すことができる。焼成温度は、900〜1000℃とすることが好ましく、焼成時間は2時間程度であることが好ましい。これにより、95%以上の相対密度を有する圧電磁器を得ることができる。
次いで、焼成後の圧電磁器を、必要に応じて所望の寸法に切出すことで、所望の形状を有する圧電磁器5が得られる。切出しの寸法は特に制限されないが、例えば、12mm×3mm、厚さ1mm程度の寸法とすることができる。それから、この圧電磁器5の両面に、銀等の金属電極を焼き付けて、電極2,3を形成する。
そして、電極2,3が焼き付けられた圧電磁器5に対し、例えば120℃程度のシリコーンオイル中において分極処理をすることによって、圧電特性を有する圧電素子20を得ることができる。分極処理の条件は特に制限されないが、例えば、2kV/mm程度の電界により、厚み方向に30分間程度の分極処理を施すことが好ましい。
上記では、一対の電極間に圧電磁器が挟まれた構造の単板型圧電素子について説明したが、圧電素子としては、例えば、圧電磁器中に複数の内部電極が埋設された積層型の圧電素子も挙げられる。以下、圧電素子の他の実施形態として、積層型の圧電素子について説明する。
図2は圧電素子の別の実施形態を示す断面図である。図2に示す積層型の圧電素子である積層型圧電素子10は、直方体状の積層体11と、この積層体11の対向する端面にそれぞれ形成された一対の端子電極17A,17Bとを備えている。
積層体11は、圧電体層12を介して内部電極層(電極層)13A,13Bを交互に積層してなる素体14と、この素体14をその積層方向の両端面側(図中上下方向)から挟み込むように設けられた一対の保護層15及び16とから構成される。すなわち、素体14では、圧電体層12と内部電極層13A,13Bとが、交互に積層されている。
圧電体層12は、圧電磁器から構成される層であり、上述した実施形態の圧電磁器5と同様の材料を適用することができる。この圧電体層12の1層当たりの厚さは、任意に設定することができるが、例えば1〜100μmとすることができる。
内部電極層13A,13Bはそれぞれ平行となるように設けられている。内部電極層13Aは、一方の端部が積層体11における端子電極17Aが形成された端面に露出するように形成されている。また、内部電極層13Bは、一方の端部が積層体11における端子電極17Bが形成された端面に露出するように形成されている。そして、各内部電極13A,13Bは、積層体11の対向する異なる端面に交互に露出した状態となっている。さらに、内部電極層13Aと内部電極13Bとは、これらの大部分が積層方向において重なり合うように配置されている。
積層体11において、内部電極13A,13B間に挟まれた圧電体層12の活性領域18が、内部電極13A,13Bに電圧を印加したときに積層方向に伸縮(変位)する活性部分となる。なお、内部電極13A,13B間に挟まれていない領域19は変位しない不活性部分である。
内部電極層13A,13Bの材質としては、例えば、Au、Pt、Pd、Ni、Cu、Ag等の金属、又はこれらの金属を2種以上含有する合金(Ag−Pd合金など)等が挙げられる。本実施形態では、圧電体層12は、上述した特定の圧電磁器によって構成されることから、比較的低い温度(例えば1015℃以下)で焼成可能である。そのため、内部電極層13A,13Bの材料としては、低温焼成に対応できるような比較的安価なものを適用することができる。具体的には、Agに対するPdの比が15%以下であるAg−Pd合金や、Ag単体を適用することが可能である。
保護層15,16は、セラミックスから構成され、圧電磁器で構成される層であることが好ましい。この保護層15,16を形成する圧電磁器としては、圧電体層12と同様のものが挙げられる。なお、図2においては、保護層15,16が圧電体層12と同様のものである場合を例示しているが、保護層15,16は、圧電体層12とは異なる層であってもよい。
端子電極17A,17Bは、これらが設けられている積層体11の端面において、当該端面に露出している内部電極13A,13Bの端部とそれぞれ接している。これにより、端子電極17A,17Bは、内部電極13A,13Bとそれぞれ電気的に接続される。この端子電極17A,17Bは、Ag,Au,Cu等を主成分とする導電材料から構成することができる。端子電極17A,17Bの厚さは、用途や積層型圧電素子のサイズ等によって適宜設定されるが、例えば10〜50μmにすることができる。
次に上述した形態の積層型圧電素子10の製造方法の一例について説明する。
積層型圧電素子10の製造においては、まず、上述の圧電磁器5の製造方法と同様にして、出発原料(粉末原料)を準備し、それらの混合物を仮焼して仮焼物の粉体を得る。次いで、この仮焼物の粉体に、有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等を加えてボールミル等により20時間程度の混合を行い、圧電体ペーストを得る。
そして、この圧電体ペーストを、例えばドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のベースフィルム上等に塗布して、圧電体層12を形成するための圧電体グリーンシートを得る。この圧電体グリーンシートは、上記の仮焼物の粉体及びバインダを主に含有する構成を有する。
その後、圧電体グリーンシート上に、スクリーン印刷法等により内部電極13A,13B形成用の電極ペーストを塗布し、この電極ペーストからなる電極ペースト層を形成する。こうして、圧電体グリーンシート上に電極ペースト層を備える積層用シートを得る。この際、電極ペースト層は、上述した内部電極13A及び13Bの形状が得られるようなパターンでそれぞれ形成する。
ここで、電極ペースト層を形成するための電極ペーストとしては、内部電極13A,13Bを構成する金属(Au、Pt、Pd、Ni、Cu、Ag等の金属、又はこれらの金属を2種以上含有する合金(Ag−Pd合金など))に、バインダ及び有機溶剤を加えたものが挙げられる。バインダ及び有機溶剤としては、公知のものが使用できる。電極ペースト中の金属の合計含有量は、40質量%以上とすることが好ましく、50〜60質量%とすることがより好ましい。
次に、上記で得られた積層用シートを、電極ペースト層と圧電体グリーンシートとが交互に配置されるように複数重ねるとともに、この積層構造の積層方向の両端面の表面上に、更に圧電体グリーンシートを複数層ずつ積層する。こうして得られた積層体を、適宜加熱しながら積層方向に加圧し、更に必要に応じて所望のサイズに切断することで、積層体グリーン(積層体)を得ることができる。
その後、この積層体グリーンを、マグネシアセッター等に載置した後、大気雰囲気中で加熱することによって、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層中に含まれるバインダや有機溶剤を除去する脱脂処理を行う。
それから、脱バインダ後の積層体グリーンに対し、密閉された容器中(例えば空気雰囲気)で、焼成処理(本焼成)を行い、積層体11を得る。なお、当該焼成処理における焼成温度及び焼成時間は特に制限されないが、例えば900〜1015℃及び1〜10時間とすることができる。この本焼成処理において、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層が一体焼成され、電極ペースト層から内部電極13A,13Bが形成され、内部電極13A,13B間に挟まれた圧電体グリーンシートから圧電体層12が形成される。また、積層体グリーンの積層方向の両端面上に積層された圧電体グリーンシートから、保護層15,16がそれぞれ形成される。
次に、得られた積層体11の積層方向に平行であり互いに対向している端面(内部電極13A,13Bの端部が露出している端面)に、端子電極17A,17Bをそれぞれ焼き付ける。具体的には、端子電極17A,17Bを構成する金属及び有機バインダ等を含む端子電極形成用のペーストを、積層体11の上記端面に塗布した後、これを焼成することで、端子電極17A,17Bを形成することができる。このようにして、図2に示す構造を有する積層型圧電素子10が得られる。なお、端子電極17A,17Bは、上記の焼付けのほか、スパッタリング、蒸着、無電解めっき等の方法によっても形成することができる。
そして、例えば、この積層型圧電素子10に対し、室温〜120℃の環境下で、端子電極17A,17B間に電界強度が1〜3kV/mmとなるように10〜30分間程度電圧を印加する分極処理を行うことで、圧電特性を具備する積層型圧電素子10を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態として、圧電素子(振動子)を例に挙げて説明したが、このような圧電素子は、振動速度が高く、しかも高い強度(抗折強度)を有することから、例えば、圧電トランス、超音波モータをはじめ、超音波振動子、共振変位を利用した圧電アクチユエータ等の圧電デバイスに好適に用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、圧電素子においては、圧電磁器以外の構成には、上述した実施形態のもの以外の公知のものを適宜用いることもできる。また、例えば、圧電素子の製造においては、原料の粉体を仮焼きして得られる仮焼物の粉体は、水熱合成法等によって製造してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[振動子(圧電素子)の製造:試料No.1〜21及び31〜34]
まず、圧電磁器の出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)および炭酸バリウム(BaCO)、炭酸マンガン(MnCO)および酸化イッテルビウム(Yb)を準備し、これらの粉末を、焼成後の組成が、(Pb1−a)(Zn1/3Nb2/3TiZr1−x−y+bwt%MnCO+cwt%Ybにおいて、a、b、c、x及びyが表1に示す各試料の値となるようにそれぞれ配合を代えて混合し、各種の配合物を調製した。
各配合物を、ボールミルにより湿式混合し、得られた混合物を空気中、700〜850℃で2時間仮焼した後、仮焼物をボールミルで湿式粉砕した。次いで、粉砕された仮焼物に少量の結合剤を添加した後、約5t/cmの圧力で成形して、平面寸法50mm×50mm、厚さ10mmの板状成形体を得た。
次に、これらの成形体を、空気中において900〜1060℃で2時間焼成(本焼成)して、圧電磁器の試料を得た。これらの圧電磁器の試料について密度測定を行ったところ、すべての試料の密度(相対密度)が、理論密度に対し95%以上であることがわかった。
これらの圧電磁器の試料を、12mm×3mm、厚さ1mmとなるように切り出し、それらの両面にAg電極を焼き付けた。次いで、120℃のシリコーンオイル中において、2kV/mmの電界により厚み方向に30分間の分極処理を行い、振動子(圧電素子)を得た。
[特性評価]
得られた全ての振動子の試料について、まず、耐熱性の確認のために、LCRメーターを用いて室温から500℃までの誘電率の温度変化を測定し、キュリー温度(Tc)を求めた。
次に、各振動子のハイパワー駆動特性を調べるため、各振動子について、図3に示す測定システムを用いて振動速度を測定した。この測定システムでは、図3に示すように、測定素子の電極の中央部をコンタクトプローブにより保持し、駆動電圧は150V、駆動波形は矩形波とし、あらかじめインピーダンスアナライザーで求めた共振周波数近傍の数値とした駆動周波数の信号を印加した。そして、このときの、レーザードップラー変位計により測定した値から振動速度を、また、放射温度計から発熱量を求めた。
また、各振動子に用いた圧電磁器の試料を、12mm×3mm、厚さ0.25mmとなるように切り出して試験片を作製し、これらの試験片に対し、JISR 1601に従って3点曲げ抗折強度試験を行うことにより、各圧電磁器の抗折強度を測定した。
得られた結果を表1にまとめて示す。なお、表1中の焼成温度とは、各振動子について、上述した本焼成温度の範囲内で焼成温度を変化させた場合に、最大の振動速度が得られたときの焼成温度を指す。また、表1中、Aの欄は、A元素として含有させた元素の種類を示し、当該欄に「−」と記載されている場合は、A元素を含有させなかった場合、すなわち、aを0とした場合を示している。
表1より、試料No.1〜21の振動子に用いた圧電磁器は、試料No.31〜34の振動子に用いた圧電磁器と比較した場合、焼成温度、振動速度及びTcの点では同等以上の特性を維持しながら、極めて高い抗折強度を有することが確認された。
ここで、表1に示す結果を更に検討すると、0.03≦x≦0.18において、焼成温度を1000℃以下にすることができ、Tcも300℃以上と高い耐熱性が得られることに加えて、振動速度も実用上十分な程度に高く、且つ抗折強度も250MPa以上と駆動試験における破壊が生じ難い値を有することが確認された。
また、0.4≦y≦0.49とすれば、焼成温度を985℃以下にすることができ、Tcも300℃以上と十分な耐熱性が得られるほか、振動速度も実用上十分に高く、且つ250MPa以上という高い抗折強度が得られることが判明した。
さらに、0.4≦b≦1、0.1≦c≦1とすることで、十分に低い焼成温度が得られるほか、Tcも300℃以上と十分な耐熱性が得られることに加えて、振動速度も実用上十分な程度に高く、250MPa以上と高い抗折強度が得られることが確認された。
また、0≦a≦0.04において、十分に低い焼成温度が得られるほか、Tcも300℃以上と十分な耐熱性が得られることに加えて、振動速度も実用上十分な程度に高く、250MPa以上と高い抗折強度が得られることが確認された。
5…圧電磁器、2,3…電極、20…振動子、10…積層型圧電素子、11…積層体、12…圧電体層、13A,13B…内部電極層、14…素体、15,16…保護層、17A,17B…端子電極、18…活性部分、19…不活性部分。

Claims (1)

  1. 主成分が、下記式(1)で表される組成を有し、
    (Pb1−a)(Zn1/3Nb2/3TiZr1−x−y (1)
    [式(1)中、Aは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、x及びyは、それぞれ、0≦a≦0.1、0.03≦x≦0.4、0.1≦y≦0.5を満たす数値である。]
    且つ、Bサイトに、Zn、Nb、Ti並びにZrを含むペロブスカイト系の主成分と、Mn及びYbを含む副成分と、を含有しており、
    前記主成分に対して、MnをMnCOに換算して0.4〜1質量%含み、YbをYbに換算して0.1〜1質量%含み、
    前記副成分であるMnは、Mn単体やMn酸化物として含み、YbはYb単体やYb酸化物として含む、ことを特徴とする圧電磁器を備える超音波モータ
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