JP5485319B2 - 二次電池搭載車両のパワーフロー制御方法および制御装置 - Google Patents
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Description
一方、近年、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池、あるいは電気二重層キャパシタなど、蓄電装置の性能が向上したため、蓄電装置を搭載して電化区間におけるパワーアシストに利用したり、非電化区間において充電ステーションで適宜充電して車両駆動系に使用したりする電池搭載車両が開発されている。
しかし、開示の架線レス交通システムは、電化区間に設けられる架線を利用する構成を備えず、電化区間と非電化区間を通して運行する電車に適用することは考慮されていない。
駆動用電池を車載することにより非電化区間走行が可能となるが、電化区間を走行している間に次の非電化区間を走りきれるだけの電力量を電池に充電しておかなければならない。また、ラッシュ時間帯においては複数の列車が同時に力行する確率が高くなり架線電圧が下がり気味となる。架線電圧が下がりすぎると所定の加速性能が発揮できずに列車が遅延して、列車運行に障害を来す場合がある。
したがって、電化区間と非電化区間を跨って運行する駆動用蓄電装置を搭載した電車を円滑に運用するためには、システムに適合した電池充放電制御技術が求められる。
充電要求時には電池電流が電池電流目標値になるようにフィードバック制御する定電流定電圧充電制御系と、放電要求時には架線とパンタグラフの間に流れる電流が0になるようにフィードバック制御するパンタ電流抑制制御系と、充放電不要時には電池電流を0にするようにフィードバック制御する電池電流0制御系をさらに備えて、
充電要求時には定電流定電圧充電制御系の制御出力が直流リンク電圧制御系の指令値を増減し、放電要求時にはパンタ電流抑制制御系の制御出力が直流リンク電圧制御系の指令値を増減し、充放電不要時には電池電流0制御系の制御出力が直流リンク電圧制御の指令値を増減することを特徴とする。
パンタグラフが上がっていて、SOCが所定値より高いかブレーキが働いている状態を検知したときに、放電要求時と判定して制御を切り替えればよいが、判定論理はこれに限定されないことはいうまでもない。
なお、列車が回生状態にある場合は、回生失効を防ぎかつ回生電力を有効に蓄えるために電池充電がされることになる。これは、上記のパンタ電流抑制制御が働くからである。
なお、ここで、パンタ電流とは、架線とパンタグラフの間に流れる電流をいう。
図1は本実施例に係るパワーフロー制御を適用する二次電池搭載車両の充放電制御装置の回路図、図2は本実施例のパワーフロー制御方法において電化区間と非電化区間における運転状態と二次電池の充電状態にしたがって変化する電力のフローを説明する図面、図3は本実施例のパワーフロー制御装置の回路図、図4は本実施例のパワーフロー制御装置において制御モードを切り換えるスイッチを操作するロジックを説明する論理図である。
本実施例のパワーフロー制御回路17は、四象限チョッパ回路16を制御する。四象限チョッパ回路16の一端側にパンタグラフ12の電力取り込み線が接続され、他端側にニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池15が接続される。
パンタグラフ12は架線11から直流電力を取り込んで直流リンク線を介してインバータ13に供給する。インバータ13は、供給された直流電力を交流に変換してモータ14に供給し、モータ14を回転駆動させる。図外の二次電池搭載車両はモータ14の回転により軌道上を走行する。
もちろん、二次電池搭載車両が電化区間を走行する間に架線11の電圧が不足したりした場合にも、二次電池15が電力を供給し直流リンク線の電圧、すなわち直流リンク電圧を維持することができる。
パワーフロー制御回路17には、本発明のパワーフロー制御機能が組み込まれている。
V1=γ1×Vi
Vi×I×ton=(Vo−Vi)×I×toff
ここで、T=ton+toff、b=toff/T、出口側レグの通流率γ2=ton/Tとすれば、昇圧チョッパとして動作するときの可逆チョッパ回路16のチョッパ出力電圧V2は、
γ2+b=1
V2=Vi×T/toff=Vi/(1−γ2)
電化区間を運行する間の運転状態および二次電池15の充電状態における電池駆動車両の電力のフローを図2(a)〜(i)の9図、非電化区間における運転状態および二次電池15の充電状態における二次電池搭載車両の電力のフローを図2(j),(k),(m)の3図で示す。
本実施例においては、二次電池15のSOCの保持されるべき範囲(適正な範囲)は60〜80%であり、好ましくは70〜78%である。したがって、二次電池15のSOCが低いとはSOCが下限値の60%あるいは70%より低いことをいい、SOCが高いとはSOCが上限値の80%あるいは78%より高いことをいい、SOCが高くないとはSOCが上限値の80%あるいは78%より低いことをいう。
図2(a)は二次電池15のSOCが高いときの状態を示す。このとき、二次電池搭載車両のパンタグラフ12が架線11に接触しているにもかかわらずパンタグラフ12から取り込む電流が0になるように制御するパンタグラフ電流抑制制御を行い、二次電池15のSOCが適正値に低下するまで二次電池15から供給される電力が電動機14を作動させる主制御装置と空調機などの補機に供給されるようにする。
図2(b)は二次電池15のSOCが適正な範囲にあるときを示す。二次電池15は充放電せず、パンタグラフ12から取り込んだ電力のみが主制御装置と補機に供給されるようにする。ただし、直流リンク線の電圧が低下した場合は電圧を運転可能な値に保つため、二次電池15は直流リンク線の電圧低下をアシストする放電を行う。
図2(c)は二次電池15のSOCが低いときを示す。パンタグラフ12から取電した電力の一部を使って、二次電池15のSOCが適正値になるまで二次電池15の充電をする。
図2(e)は二次電池搭載車両のブレーキを掛けたときに得られる回生電力が補機の動力より小さい場合を示す。パンタグラフ12から取り込む電流を0に抑制し直流リンク電圧の変動を抑える。このとき、電動機14からの回生電力では補機の動力に不足する場合、その不足分を二次電池15が補給する。
図2(f)はブレーキを掛けたときであって、回生電力が補機電力より大きい場合を示す。パンタグラフ12から取り込む電流を0に抑制し直流リンク電圧の変動を抑える。このとき、補機の動力に使った余りの回生電力を二次電池15に供給する。
図2(h)は二次電池15のSOCが適正な範囲にあるときの状態を示す。二次電池15は基本的に充放電せず、補機にはパンタグラフ12から取り込んだ電力を供給する。
図2(i)は二次電池15のSOCが低いときの状態を示す。架線11から供給される電力を補機に供給するほかに、二次電池15にも供給する。
図2(k)は非電化区間で二次電池搭載車両がブレーキを掛けたときに得られる、電動機14で回生電力が発生しているときの状態を示す。二次電池15のSO
Cが上限値より低い場合は回生電力が補機に供給される他に二次電池15にも供給される。ただし、SOCが上限値より高いときは二次電池15には充電しない。
図2(m)は非電化区間で二次電池搭載車両が停車中の状態を示す。空調等の補機は停車中でも稼働させる必要があるので、二次電池15から放電した電力で直流リンク電圧を一定に制御することで、必要な動力を供給する。
図3のパワーフロー制御回路17は、可逆チョッパ回路16の通流率を調整するための半導体スイッチのオンオフの操作を制御する操作信号を生成する第2制御系と、第2制御系の設定値信号となる直流リンク電圧指令値に必要な変成を加えるための第1制御系とから構成される。
図4に例示したように、パンタグラフ12が上がって架線に接触していること、二次電池15のSOCが低いこと、またSOCが高くないこと、ブレーキが働いていないこと、あるいは運転台における充電指令スイッチがオンであることなどの条件が満たされるとき充電要求スイッチ41がオンして定電流定電圧充電制御器31が接続される。
ただし、回生時には、充放電不要スイッチ44が作動しても、別途、パンタ電流抑制制御が働いて電池が充電される。回生電力が吸収あるいは消費されないと回生失効が起こり、車両の運行上悪影響が出ると共に省エネに反することになるので、余剰の回生電力を電池に蓄えている。
これにより、充電初期においては電流値一定で充電して充電に必要な時間の短縮を図り、充電末期においては一定電圧で充電することにより過電圧を防止して二次電池15を保護する。
そこで、電池走行では直流リンク電圧制御器22により、たとえば設定値600Vとして直流リンク電圧制御を行って、直流リンク電圧の変動を抑えることにより、回生電力による電力増加分を二次電池15に充電する。
上下限リミッタ51の上限値は、スイッチング素子の耐圧により決まる。本実施例では、公称電圧600Vの時に使用する素子に対して、750Vに設定したが、700Vや800Vとしてもよい。また、公称電圧が変われば上限値も変化する。
また、下限値としては、インバータを含めたモータからなる駆動系の動作可能な下限電圧を設定する。本実施例では公称電圧600Vに対して500Vとしたが、450Vあるいは550Vであってもよい。また、公称電圧が変われば下限値も変化する。
なお、二次電池としては、アルカリイオン電池やニッケル水素電池など特に充放電特性に優れたものを使用することが好ましいが、鉛蓄電池なども利用できることはいうまでもない。
電池の電流制御は、電池の状態や環境条件によって電池特性が変化するため、電流振動が発生するなど制御性が悪化する場合がある。PI−D制御を適用することで、指令値変化による外乱を与えることなく、微分補償をかけ、電池の内部抵抗低下などの特性変動による振動発生を抑える効果が得られる。
12 パンタグラフ
13 インバータ
14 モータ
15 二次電池
16 パルス幅変調方式可逆チョッパ回路
17 制御回路
21 電池電流制御器
22 直流リンク電圧制御器
23 ダンピング制御器
31 定電流定電圧充電制御器
32 パンタ電流抑制制御器
33 電池電流0制御器
34 SOC制御器
35 電池電圧制御器
36 残距離補正器
37 電池温度補正器
41 充電要求スイッチ
42 放電要求スイッチ
43 定電圧充電スイッチ
44 充放電不要スイッチ
51 上下限リミッタ
Claims (11)
- 架線から直流電力を取得して直流リンク線に供給するパンタグラフと、該直流リンク線から入力される直流電力を交流に変換するインバータと、車両駆動用の二次電池と、前記直流リンク線と前記二次電池の間に設けた可逆チョッパとを備え電化区間と非電化区間に跨って運行する二次電池搭載車両に適用される制御系であって、前記直流リンク線の電圧である直流リンク電圧の指令値と該直流リンク電圧の測定値との偏差に基づいてフィードバック制御し前記二次電池に充電する電池電流を定める電池電流指令値を出力する直流リンク電圧制御系と、前記電池電流の計測値と前記電池電流指令値との偏差に基づいてフィードバック制御して前記可逆チョッパのチョッパ通流率を調整する電池電流制御系とを含む二次電池の充放電制御系において、
前記二次電池における充電要求時には前記電池電流が電池電流目標値になるようにフィードバック制御する定電流定電圧充電制御系と、放電要求時には前記架線と前記パンタグラフの間に流れるパンタ電流が0になるようにフィードバック制御するパンタ電流抑制制御系と、充放電不要時には前記電池電流を0にするようにフィードバック制御する電池電流0制御系をさらに備えて、
充電要求時には前記定電流定電圧充電制御系の制御出力が前記直流リンク電圧制御系の指令値を増減し、放電要求時には前記パンタ電流抑制制御系の制御出力が前記直流リンク電圧制御系の指令値を増減し、充放電不要時には前記電池電流0制御系の制御出力が前記直流リンク電圧制御の指令値を増減することを特徴とする二次電池搭載車両のパワーフロー制御方法。 - 前記二次電池のSOCがSOCの目標値になるようフィードバック制御するSOC制御の制御出力が、前記定電流定電圧充電制御における電池電流指令値を増減して電池電流目標値を修正することを特徴とする請求項1記載のパワーフロー制御方法。
- 電池温度に基づいて定められる充電電流補正値が、前記定電流定電圧充電制御における電池電流指令値を増減して電池電流目標値を修正することを特徴とする請求項1または2記載のパワーフロー制御方法。
- 車両位置から非電化区間までの残り距離を求め、該残り距離に基づいて定められる補正値が、前記定電流定電圧充電制御における電池電流指令値を増減して電池電流目標値を修正することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパワーフロー制御方法。
- 前記充電要求時であってSOCが所定値より高く電池電圧が所定値より高いときには、電池電圧が電池電圧指令値になるようにフィードバック制御する電池電圧制御の制御出力を、前記定電流定電圧充電制御における目標値とすることを特徴とする請求項1記載のパワーフロー制御方法。
- 前記直流リンク電圧制御系と前記電池電流制御系が直列に接続されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のパワーフロー制御方法。
- 架線から直流電力を取得して直流リンク線に供給するパンタグラフと、該直流リンク線から入力される直流電力を交流に変換するインバータと、車両駆動用の二次電池と、前記直流リンク線と前記二次電池の間に設けた可逆チョッパとを備え電化区間と非電化区間に跨って運行する二次電池搭載車両の二次電池の充放電制御装置に付帯するパワーフロー制御装置において、前記直流リンク線の電圧である直流リンク電圧に係る直流リンク電圧指令値を与える回路に並列に、前記二次電池における充電要求時に切り替わる第1切換回路を介して該充電要求時には前記二次電池に充電する電池電流が電池電流指令値に近づくようにフィードバック制御する定電流定電圧充電制御器が接続され、放電要求時に切り替わる第2切換回路を介して前記架線と前記パンタグラフの間に流れるパンタ電流が0になるようにフィードバック制御するパンタ電流抑制制御器が接続され、充放電不要時に切り替わる第3切換回路を介して前記電池電流を0にするようにフィードバック制御する電池電流0制御器が接続されてなることを特徴とするパワーフロー制御装置。
- 前記二次電池のSOCを入力してSOC目標値に対する偏差について積分要素を含むフィードバック制御演算を行って制御出力を出力するSOC制御器を備えて、該制御出力が前記定電流定電圧充電制御器における電池電流指令値を増減して電池電流目標値を修正することを特徴とする請求項7記載のパワーフロー制御装置。
- 前記二次電池の温度測定値を入力して前記二次電池の温度に基づいて定められる充電電流補正値を出力する充電電流電池温度補正器を備えて、該充電電流補正値を用いて前記定電流定電圧充電制御器における電池電流指令値を増減して修正し電池電流目標値とすることを特徴とする請求項7または8記載のパワーフロー制御装置。
- 車両位置により非電化区間までの残り距離を求めて該残り距離に基づいて定められる補正値を出力する充電電流残距離補正器を備えて、該補正値を用いて前記定電流定電圧充電制御器における電池電流指令値を増減して修正し電池電流目標値とすることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のパワーフロー制御装置。
- 前記充放電制御装置が、前記直流リンク電圧が設定された直流電圧指令値になるようにフィードバック制御して前記電池電流指令値を出力する直流リンク電圧制御器と、前記電池電流の計測値と前記電池電流指令値との偏差に基づいてフィードバック制御して前記可逆チョッパのチョッパ通流率を調整する電池電流制御器を備え、前記直流リンク電圧制御器と前記電池電流制御器が直列に接続されることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のパワーフロー制御装置。
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