以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(自動分析装置1の内部構成)
図1は、各実施態様に係る自動分析装置1の構成を示したブロック図である。自動分析装置1は、操作部5と、表示部6と、キャリア搬送部16と、システム制御部100と、サンプル部102と、試薬部103と、反応部104と、記憶部105と、成分分析部106から構成される。なお、自動分析装置1の構成はこれに限られるものではなく、自動分析装置1に適宣構成要素を追加し、あるいは省略しても構わない。
システム制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などから構成される。システム制御部100は後述する操作部5から入力された指示信号に従って、ROMやRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って処理を実行する。システム制御部100は、各部から供給される信号を処理し、また種々の制御信号を生成して各部に供給することで、自動分析装置1を統括的に制御する。
成分分析部104は、後述する測光部13から出力された透過光の波長情報に基づいてサンプルの成分分析を行う。成分分析部104は成分分析を行うと、この分析情報をシステム制御部100へと出力する。
記憶部105は、電気的に書き換えや消去が可能なHDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリであるフラッシュメモリなどの記憶媒体で構成され、成分分析部104から出力された分析情報を格納する。また記憶部105は、後述する試薬バーコード46及びサンプルバーコード66から読み取られた情報を記憶する。また記憶部105は、試薬ボトル30内の試薬の消費量を記憶する。試薬の消費量は、後述する第1試薬プローブ18や第2試薬プローブ19が試薬ボトル30から試薬を分注する度に、その分注量を加算してゆくことで計算される。あるいは、試薬ボトル30内の試薬の液面を検知する液面センサを後述する試薬テーブル10内に取り付け、一定時間毎に試薬の液面の高さを検出することでその消費量を検出しても構わない。また記憶部105は、自動分析装置1が行う分析のスケジュールを記憶する。スケジュールの情報としては、例えば分析を行うサンプルの識別番号、分析する項目、分析のために用いる試薬の種類、サンプル及び試薬の分注量、試薬を分注する順番、サンプルと試薬が混合された後反応を起こすまでに要する反応時間、成分分析を行う測光波長などの様々な情報を含むことができる。なおスケジュールの情報は、記憶部105に記憶する代わりに自動分析装置1にネットワーク接続されたHIS(Hospital Information Server)などに記憶されるものであっても構わない。
(自動分析装置1の概観)
図2は、本発明に係る自動分析装置1の外観斜視図であり、図3は自動分析装置1の上面図である。以下、図2及び図3を参照して操作部5、表示部6、キャリア搬送部16、サンプル部102、試薬部103、及び反応部104の構成について述べる。
操作部5は、例えばキーボードやタッチパネルディスプレイ、機械的なボタンなどから構成され、自動分析装置1の操作者が操作部5に対して行った入力を受け付ける。操作部5は使用者の入力を受け付けると入力に応じた指示信号を生成し、指示信号をシステム制御部100へと出力する。
表示部6は、例えばLCD(Lucid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)から構成されるディスプレイである。表示部6は例えば成分分析部106から出力された分析情報や、自動分析装置1が行う分析の進捗情報、操作部5が入力を行うための入力画面など、種々の情報を表示する。また、表示部6はシステム制御部100から出力された信号に基づいて試薬の補充や試薬キャリア44の再挿入を促す画面を表示する。
キャリア搬送部16は、後述する試薬キャリア44及びサンプルキャリア64を移動させるための機構部である。キャリア搬送部16は試薬キャリア44及びサンプルキャリア64を配置するキャリアラック24と、搬送レール33に沿って試薬キャリア44及びサンプルキャリア64を移動させる搬送アーム20、バーコードを読み取るバーコードリーダ14から構成される。
キャリアラック24は、図1に示すように自動分析装置1の手前側に設けられる。キャリアラック24は試薬キャリア44及びサンプルキャリア64を設置するための溝部16Mを並べることで構成される。操作者は、試薬キャリア44及びサンプルキャリア64をこの溝部16Mに嵌め込むことで、試薬キャリア44及びサンプルキャリア64をキャリアラック24へ設置する。
搬送アーム20は、試薬キャリア44及びサンプルキャリア64を把持し、搬送レール33に沿って移動させるための機構部である。搬送アーム20は搬送レール33上を移動可能に取り付けられる。搬送アーム20は搬送レール33上を移動して任意の試薬キャリア44あるいはサンプルキャリア64が収められた溝部16Mの前へと移動し、試薬キャリア44及びサンプルキャリア64の一端に設けられたフック48あるいはフック68を把持する。搬送アーム20がフック48あるいはフック68を把持すると、搬送アーム20は試薬キャリア44あるいはサンプルキャリア64を持ち上げて溝部16Mから取り外し、バーコードリーダ14の読取位置か、サンプル部102、あるいは試薬部103のいずれかへと移動させる。
バーコードリーダ14は、試薬キャリアバーコード47や、サンプルキャリアバーコード67、試薬バーコード46、サンプルバーコード66を光学的に読み取るための装置である。バーコードリーダ14は、例えば読取対象に向かって特定波長の光を照射する発光部と、読取対象から反射された光を受光する受光部とを組み合わせて構成される。バーコードリーダ14がバーコードの読取を行う際には、まず発光部がバーコードへ向かって光を照射する。照射された光はバーコードの印刷パターンに従ってその反射光強度を変化して、受光部へと入射する。受光部は入射した反射光強度を検出することによって、バーコードの印刷パターンを検知する。バーコードリーダ14はバーコードを読み取ると、読み取った情報を電気信号に変換してシステム制御部100へと送信する。バーコードリーダ14は自動分析装置1の奥側を向き、搬送アーム20が搬送する試薬キャリア44及びサンプルキャリア64の搬送位置に対応した位置にくるよう設けられる。
サンプル部102は、サンプル容器50から任意のサンプルを抽出し、後述する反応部104へと分注する機構部である。サンプル部102はサンプルラック64をレールに沿って搬送するサンプルキャリア搬送部200と、サンプルを反応部104の反応管へと分注するサンプルプローブ17から構成される。
サンプルキャリア搬送部200は、キャリア搬送部16から搬送されたサンプルキャリア64をレールに沿って移動させる機構部である。キャリア搬送部16は搬送アーム20を用いてサンプルキャリア64を持ち上げ、サンプルキャリア搬送部200のレール上に設置する。サンプルキャリア搬送部200は設置されたサンプルキャリア64をレールに沿って移動させることで、後述するサンプルプローブ17の分注位置に任意のサンプル容器50を位置させる。
サンプルプローブ17は、サンプル容器50からサンプルを規定量だけ抽出し、後述する反応部104の反応管内へ分注する操作を行うための、可動アームによって支持された中空の針である。サンプルプローブ17には図示せぬモータが取り付けられ、システム制御部100が出力した指示信号に応じてプローブ先端を分注位置あるいは反応管の上部へと移動させる。具体的には、サンプルプローブ17がサンプル容器50からサンプルを抽出する際には、サンプルプローブ17に取り付けられたモータを駆動してサンプルプローブ17の据付軸を中心にサンプルプローブ17を回転させ、サンプルプローブ17の先端をサンプル容器50の上部まで移動させる。サンプルプローブ17の先端がサンプル容器50の上部まで移動すると、サンプルプローブ17の可動アームを下降させて、サンプル容器50の内部へサンプルプローブ17の先端を移動させる。サンプルプローブ17の先端がサンプル容器50の内部へ移動すると、サンプルプローブ17に取り付けられた図示せぬポンプを駆動して、サンプル容器50に収容されたサンプルを吸い出すことでサンプルプローブ17の内部へとサンプルを抽出する。サンプルプローブ17がサンプルを抽出すると、サンプルプローブ17の可動アームを駆動してサンプル容器50の上部へサンプルプローブ17を移動させたあと、サンプルプローブ17の先端を反応管の上部へと移動させる。サンプルプローブ17の先端が反応管の上部に移動すると、サンプルプローブ17の可動アームを駆動して反応管の内部へサンプルプローブ17を移動させ、更に図示せぬポンプを駆動して抽出したサンプルを反応管の内部へと吐出する。こうした一連の動作によって、サンプルプローブ17はサンプル容器50のサンプルを反応管の内部へと分注する。
試薬部103は、試薬ボトル30から任意の試薬を抽出し、後述する反応部104へと分注する機構部である。試薬部103は試薬ボトル30を円状に並べて収納する試薬テーブル10と、試薬テーブル10内に配置された試薬ボトル30の試薬バーコード46を読み取る試薬テーブルバーコードリーダ14R、試薬ボトル30を把持して試薬テーブル10へと移動させる試薬ボトル搬送部21、キャリア搬送部16が搬送した試薬キャリア44を一時的に配置する試薬キャリア置場40、及び試薬を反応部104の反応管へと分注する第1試薬プローブ18及び第2試薬プローブ19から構成される。図3は、試薬テーブル10、試薬テーブルバーコードリーダ14R、試薬ボトル搬送部21、試薬キャリア置場40、第1試薬プローブ18及び第2試薬プローブ19の構成を示した外観斜視図である。以下、図3を用いて試薬部103の構成について述べる。
試薬テーブル10は、試薬ボトル30を内周と外周の2列に並べて収納する円筒状の容器である。試薬テーブル10は、分析に用いる試薬を第1試薬と第2試薬とに分類して、例えば外周に第1試薬を、内周に第2試薬を配置することができる。試薬テーブル10には図示せぬ回転モータが取り付けられ、試薬テーブル10が回転することで試薬ボトル30の位置を移動させる。また、試薬テーブル10の上面には蓋10Cが設けられ、蓋10Cが試薬テーブル10の上面を覆うことで、自動分析装置1の操作者などが不用意に試薬テーブル10の内部に手を侵入させてしまう事態を防止する。後述する試薬ボトル搬送部21が試薬ボトル30を試薬テーブル10内部へ移動させる場合には、蓋10Cが図2中の10D方向に回転して試薬テーブル10の内部を露出させる。
試薬テーブルバーコードリーダ14Rは、試薬バーコード46を光学的に読み取るためのバーコードリーダである。試薬テーブルバーコードリーダ14Rは発光部及び受光部が試薬テーブル10内に配置された試薬ボトル30の背面に対向するように、試薬テーブル10の外側に設けられる。試薬テーブルバーコードリーダ14Rは試薬ボトル30の背面にある試薬バーコード46に向けて発光及び受光を行い、試薬バーコード46の情報を読み取ってシステム制御部100へと出力する。試薬テーブル10が試薬ボトル30を回転させることで、試薬テーブルバーコードリーダ14Rは試薬テーブル10に並べられた試薬ボトル30の試薬バーコード46を次々と読み取ることができる。
試薬キャリア置場40は、キャリア搬送部16が搬送した試薬キャリア44を一時的に配置する領域である。試薬キャリア44はキャリア搬送部16によって試薬キャリア置場40まで搬送されると、試薬ボトル搬送部21によって試薬ボトル44が摘出されるまでの間試薬キャリア置場40上で待機する。なお、試薬キャリア置場40は複数の試薬キャリア44を設置可能なように設けても構わない。例えば本実施例においては、第1配置場所22と第2配置場所23とを設けることで、搬送を待つ試薬キャリア44を2つ配置しておくことができる。
試薬ボトル搬送部21は、試薬キャリア置場40に配置された試薬キャリア44から試薬ボトル44を摘出し、試薬テーブル10内へ移動させる機構部である。試薬ボトル搬送部21は、例えば試薬ボトル30を挟んで把持するロボットアームなどを用いて構成することができる。試薬ボトル搬送部21は、試薬キャリア置場40と試薬テーブル10との上部を移動可能に取り付けられる。試薬ボトル搬送部21が試薬ボトル30を試薬テーブル10内に移動させる際には、まず試薬ボトル搬送部21が試薬キャリア置場40の上部へと移動し、試薬キャリア44にセットされている試薬ボトル30を把持して持ち上げる。試薬ボトル搬送部21が試薬ボトル30を持ち上げると、試薬ボトル搬送部21は試薬テーブル10の上部へと移動し、試薬ボトル30を試薬テーブル10の内部へと移動させる。試薬ボトル搬送部21が試薬ボトル30を試薬テーブル10の内部へ移動させると、試薬ボトル搬送部21は把持していた試薬ボトル30を離して、試薬ボトル30を試薬テーブル10内に配置する。試薬ボトル搬送部21は、試薬ボトル30内の試薬が第1試薬に分類されている場合は試薬ボトル30を試薬テーブル10の外周に、第2試薬に分類されている場合は試薬ボトル30を試薬テーブル10の内周に設置する。この第1試薬及び第2試薬の分類は試薬ボトル30の背面に貼り付けられた試薬バーコード46に記されており、この試薬バーコード46は後述するバーコードリーダ14によって読み取られ、システム制御部100によって認識される。
第1試薬プローブ18及び第2試薬プローブ19は、試薬ボトル30から試薬を規定量だけ抽出し、後述する反応部104の反応管内へ分注する操作を行うための、可動アームによって支持された中空の針である。各試薬プローブにはサンプルプローブ17と同様に図示せぬモータが取り付けられ、システム制御部100が出力した指示信号に応じてプローブ先端を分注位置あるいは反応管の上部へと移動させる。具体的には、例えば第1試薬プローブ18が試薬ボトル30から試薬を抽出する際には、第1試薬プローブ18に取り付けられたモータを駆動して第1試薬プローブ18の先端を試薬テーブル10の上部まで移動させる。第1試薬プローブ18の先端が試薬テーブル10の上部まで移動すると、試薬テーブル10が回転して任意の試薬ボトル30を第1試薬プローブ18の下部へと移動させる。試薬ボトル30が第1試薬プローブ18の下部へと移動すると、試薬プローブ18の可動アームを下降させて、試薬ボトル30の内部へ第1試薬プローブ18の先端を移動させる。第1試薬プローブ18の先端が試薬ボトル30の内部へ移動すると、第1試薬プローブ18に取り付けられた図示せぬポンプを駆動して、試薬ボトル30に収容された試薬を吸い出すことで第1試薬プローブ18の内部へ試薬を抽出する。第1試薬プローブ18が試薬を抽出すると、第1試薬プローブ18の可動アームを駆動して試薬テーブル10の上部へ第1試薬プローブ18を移動させたあと、第1試薬プローブ18の先端を反応管の上部へと移動させる。第1試薬プローブ18の先端が反応管の上部に移動すると、第1試薬プローブ18の可動アームを駆動して反応管の内部へ第1試薬プローブ18の先端を移動させ、更に図示せぬポンプを駆動して抽出した試薬を反応管の内部へと吐出する。こうした一連の動作によって、第1試薬プローブ18は任意の試薬ボトル30内の試薬を反応管の内部へと分注する。なお、第2試薬プローブ19も第1試薬プローブ18と同等の動作によって、試薬の分注動作を行う。
反応部104は、サンプル部102及び試薬部103から分注されたサンプルと試薬とを混合して、その混合液を測光分析する機構部である。反応部104は混合液を収納する図示せぬ反応管と、反応管を円状に並べて収納する反応層11、反応管内の混合液を攪拌するスターラ12、混合液を測光分析する測光部13、及び反応管を洗浄する反応管洗浄部15から構成される。以下、図2を用いて反応部104の構成について述べる。
反応槽11は反応管を円状に並べて配置する容器である。反応槽11には図示せぬモータが取り付けられ、回転することで任意の反応管をサンプルプローブ17、第1試薬プローブ18、第2試薬プローブ19の分注位置や、スターラ12、反応管洗浄部15の下部へと移動させる。
スターラ12は反応管内に挿入される攪拌棒と、これに接続した振動子とを組み合わせることで構成される。混合液の混合を行う場合には、まず攪拌棒を反応管の内部へと挿入する。攪拌棒が反応管の内部へと挿入されると、攪拌棒に取り付けられた振動子が振動することで、攪拌棒が混合液を攪拌する。攪拌が終了すると、攪拌棒は反応管の上部へと移動する。
測光部13は、特定波長の光を照射する発光部と、混合液を透過した透過光を受光する受光部とを組み合わせて構成される。発光部は反応管内の混合液へ向かって光を照射する。照射された光は混合液を透過して受光部へと入射する。このとき、透過光の波長成分は、混合液の成分に応じて変化することとなる。受光部は透過光を受光すると、透過光の波長成分を分析して、波長成分情報を取得する。測光部13はこの波長成分情報を後述する成分分析部41へと出力する。
反応管洗浄部15は、反応管内へ洗剤や純水を吐出する吐出管と、洗剤や純水などと混合された混合液を吸い出す吸出管とを組み合わせて構成される。反応管洗浄部15は、反応管内部の混合液を吸い出した上で、洗剤や純水などを反応管内へと吐出し、反応管の内壁に付着した混合液の残滓などを洗い流す。吐出された洗剤や純水などは再び吸出管によって吸い出され、自動分析装置1の外部へと排出される。
(試薬キャリア44及びサンプルキャリア64の構成)
図4は試薬ボトル30の構成を示す外観斜視図である。試薬ボトル30は、例えば三角形の形状を持つ容器として構成される。試薬ボトル30の上部には吸出口45が設けられ、先述の第1試薬プローブ18及び第2試薬プローブ19はこの吸出口45の内部へプローブを挿入することにより試薬の分注を行う。一方、試薬ボトル30の背面には試薬ボトル30が収容する試薬の情報を示した試薬バーコード46が貼り付けられる。
試薬バーコード46には、例えば収容された試薬の名称、内容量、試薬の使用期限、試薬の濃度、試薬が化学反応を起こした際に反応が観測できる波長、化学反応を発生するまでに要する時間、あるいは試薬の製造識別番号や製造社名などの種々の情報が記載される。
図6は試薬キャリア44の構成を示す外観斜視図である。試薬キャリア44は、試薬ボトル30の形状に対応した、試薬ボトル30の置場としての空洞を有する長方形の容器として構成される。試薬ボトル30はこの空洞にセットされることで試薬キャリア44に固定される。試薬ボトル30は、例えばその背面が試薬キャリア44の短辺側の側面に対向する向きに固定される。
試薬キャリア44の空洞のうち、試薬ボトル30の背面に対向する領域には、試薬バーコード46の像を反射するための鏡49が設けられる。鏡49は試薬ボトル30の背面に貼り付けられた試薬バーコード46の像を反射するために、少なくとも試薬バーコードの表示領域が収まるような大きさを持つよう設けられる。また、鏡49は試薬ボトル30の背面と試薬キャリア44の長辺側の側面に対して斜め方向に設けられる。斜め方向に設けられた鏡49に対して、試薬ボトル30の背面に貼り付けられた試薬バーコード46の像が入射すると、試薬キャリア44の長辺側の側面に向けてこの像を反射する。つまり、試薬キャリア44の長辺側の側面から鏡49を見ると、鏡49に試薬バーコード46の像が映って見えることとなる。
試薬キャリア44の長辺側の側面には、試薬キャリア44の情報を示した試薬キャリアバーコード47が貼り付けられる。試薬キャリアバーコード47には、例えば試薬キャリア44が試薬ボトル30を搬送していることを示す情報や、試薬キャリア44を識別するキャリア識別情報などの種々の情報が記載される。
また、試薬キャリア44の短辺側の側面には、先述した搬送アーム20が試薬キャリア44を把持するためのフック48が設けられる。
図6はサンプルキャリア64の構成を示す外観斜視図である。サンプルキャリア64は、サンプル容器50の形状に対応した空洞を複数有する長方形の容器として構成される。サンプル容器50はこの空洞にセットされることでサンプルキャリア64に固定される。
サンプル容器50の側面には、サンプル容器50が収容するサンプルの情報を示したサンプルバーコード66が貼り付けられる。サンプルバーコード66には、例えば収容されたサンプルの種別(血液、血清、髄液、尿などのサンプルの種別)を示す情報、サンプルの収集元である披検体を識別する識別ID、サンプルの内容量、サンプル収集日などの種々の情報が記載される。サンプル容器50はサンプルバーコード66がサンプルキャリア64の長辺側の側面を向くように、その向きを調節してサンプルキャリア64に固定される。
サンプルキャリア64の長辺側の側面には、サンプルキャリア64の情報を示したサンプルキャリアバーコード67が貼り付けられる。サンプルキャリアバーコード67には、例えばサンプルキャリア64がサンプル容器50を搬送していることを示す情報や、サンプルキャリア64を識別するキャリア識別情報などの種々の情報が記載される。
また、サンプルキャリア64の短辺側の側面には、先述した搬送アーム20がサンプルキャリア64を把持するためのフック48が設けられる。
なお、本実施例において試薬バーコード46、試薬キャリアバーコード47、サンプルバーコード66、及びサンプルキャリアバーコード57などのバーコードは、シート状のラベルに印刷されて、試薬ボトル30、試薬キャリア44、サンプル容器50、及びサンプルキャリア64の一面に貼り付けられる。そしてこのラベル上には、例えば線の太さなどによって情報を表現する所謂一次元バーコードが印刷される。しかし、本発明の構成はこれに限定されるものではない。例えばラベルを用いる替わりにバーコードを試薬ボトル30、試薬キャリア44、サンプル容器50、及びサンプルキャリア64の一面に直接印刷しても構わない。また、例えば一次元バーコードを用いる替わりに、ドットの2次元的な配置によって情報を表現する所謂2次元バーコードや、色の濃淡を用いて情報を表現するバーコード、あるいは文字情報などの種々の情報を用いて構成するものであっても構わない。
(試薬キャリア44及びサンプルキャリア64搬送の流れ)
先に述べた構成に基づいて、自動分析装置1はサンプルラック24にセットされた試薬キャリア44及びサンプルキャリア64をサンプル部102や試薬部103へと搬送して、分析動作を行う。ここで、試薬キャリア44及びサンプルキャリア64の搬送はキャリア搬送部16が行うと先述したが、キャリア搬送部16の搬送処理は、次の大きく3つに大別することができる。
1つ目の搬送処理は、溝部16Mに新たにセットされた試薬キャリア44及びサンプルキャリア64をバーコードリーダ14まで搬送し、試薬バーコード46、試薬キャリアバーコード47、サンプルバーコード66、及びサンプルキャリアバーコード67を読み取る搬送処理である。これらのバーコードを読み取ることにより、システム制御部100は溝部16Mにセットされた試薬キャリア44及びサンプルキャリア64が何を積載しているかを認識する。バーコードリーダ14のバーコード読取が終了すると、キャリア搬送部16は搬送した試薬キャリア44及びサンプルキャリア64を再び溝部16Mへと戻す。
2つめの搬送処理は、バーコード読取の終了した試薬キャリア44を試薬キャリア置場40へと移動させる搬送処理である。サンプルテーブル10に新たに試薬ボトル30を追加し、あるいは試薬の少なくなった試薬ボトル30を交換するために、キャリア搬送部16は溝部16Mにセットされた試薬キャリア44のうち、対応する試薬ボトル30を積載する試薬キャリア44を試薬キャリア置場40へと移動させる。この搬送処理は、下記の2つの場合を契機に行われる。1つ目は、試薬テーブル10内の試薬ボトル30に保存された試薬残量が少なくなった場合である。より具体的には、システム制御部100が記憶部105に書き込まれた試薬の消費量を参照して、この消費量が予め定めた閾値を上回ると判断した場合である。2つ目は、試薬テーブル10内に無い新たな試薬を試薬テーブル10内に追加する場合である。より具体的には、システム制御部100が記憶部105に書き込まれた分析のスケジュールを参照して、分析に用いる試薬が試薬テーブル10内に無いと判断した場合である。
そして3つめの搬送処理は、バーコード読取の終了した試薬キャリア64をサンプルキャリア搬送部200へと移動させる搬送処理である。任意のサンプル容器50に保存されたサンプルを分析するために、キャリア搬送部16は溝部16Mにセットされたサンプルキャリア64のうち、対応するサンプル容器50を積載するサンプルキャリア64をサンプルキャリア搬送部200へと移動させる。
なお、本実施例においてはバーコードリーダ14によってバーコードを読み取られた試薬キャリア44及びサンプルキャリア64を一旦溝部16Mへ戻す動作について述べるが、本発明の動作はこれに限られるものではない。例えば試薬バーコード46及び試薬キャリアバーコード47の読み取られた試薬キャリア44を溝部16Mに戻さず直接試薬キャリア置場40へと移動させても構わない。あるいは、サンプルバーコード66及びサンプルキャリアバーコード67の読み取られたサンプルキャリア64を溝部16Mに戻さず直接サンプルキャリア搬送部200へと移動させても構わない。
(バーコードリーダ14の読取動作)
次に、バーコードリーダ14が試薬キャリア44及びサンプルキャリア64からバーコードを読み取る動作の流れについて述べる。
まず、溝部16Mに試薬キャリア44がセットされると、サンプルラック24は溝部16Mに新たなキャリアがセットされたことを示す信号をシステム制御部100へと出力する。システム制御部100は新たなキャリアがセットされたことを検知すると、搬送アーム20を駆動して、新たにセットされた試薬キャリア44を持ち上げる。更に、システム制御部100は試薬キャリア44を持ち上げると、これをバーコードリーダ14の読取位置へと移動させる。
図8は、試薬バーコード46をバーコードリーダ14の読取位置へと移動させた際の、試薬キャリア44及びバーコードリーダ14との位置関係を示す上面図である。図8に示すように、搬送アーム20は読取位置において、試薬キャリア44の長辺側の側面をバーコードリーダ14に向けて位置させる。更に詳しくは、搬送アーム20は読取位置において、バーコードリーダ14の読取範囲が鏡49の反射面を収めるように位置させる。図6を用いて先述した通り、鏡49は試薬ボトル30の背面と試薬キャリア44の長辺側の側面に対して斜め方向を向くように設けられる。鏡49は試薬ボトル30の背面に貼り付けられた試薬バーコード46の像を、試薬キャリア44の長辺側の側面に対して反射する。従って、試薬バーコード46の像は反射してバーコードリーダ14へと入射するため、バーコードリーダ14はこの反射した像を用いて試薬キャリア44の長辺側の側面から試薬バーコード46を読み取ることができる。
一方図9は、試薬キャリアバーコード47をバーコードリーダ14の読取位置へと移動させた際の、試薬キャリア44及びバーコードリーダ14との位置関係を示す上面図である。試薬キャリアバーコード47を読み取る際、搬送アーム20は読取位置において、バーコードリーダ14の読取範囲が試薬キャリアバーコード47を収めるように位置させる。図5を用いて述べたように試薬キャリアバーコード47は試薬キャリア44の長辺側の側面に貼り付けられているため、バーコードリーダ14は長辺側の側面から試薬キャリアバーコード47を読み取ることができる。
即ち、鏡49によって反射された試薬バーコード46と試薬キャリアバーコード47とは、何れも試薬キャリア44の長辺側の側面に表示されることとなる。搬送アーム20を用いて試薬キャリア44を長辺方向に移動させるだけで、試薬バーコード64と試薬キャリアバーコード47の何れのバーコードも共通のバーコードリーダ14を用いて読み取ることができる。
そして図10は、サンプルバーコード66をバーコードリーダ14の読取位置へと移動させた際の、サンプルキャリア64及びバーコードリーダ14との位置関係を示す上面図である。図7を用いて先述したように、サンプル容器50がその向きを調節してサンプルキャリア64にセットされることによって、サンプルバーコード66は何れもサンプルキャリア64の長辺側の側面に向けて表示される。サンプルバーコード66を読み取る際、搬送アーム20は読取位置において、バーコードリーダ14の読取範囲がサンプルバーコード66を収めるように位置させる。バーコードリーダ14は長辺側の側面からサンプルバーコード66を読み取ることができる。
一方図11は、サンプルキャリアバーコード67をバーコードリーダ14の読取位置へと移動させた際の、サンプルキャリア64及びバーコードリーダ14との位置関係を示す上面図である。サンプルキャリアバーコード67を読み取る際、搬送アームは読取位置において、バーコードリーダ14の読取範囲がサンプルキャリアバーコード67を収めるように位置させる。図6を用いて述べたようにサンプルキャリアバーコード67はサンプルキャリア64の長辺側の側面に貼り付けられているため、バーコードリーダ14は長辺側の側面からサンプルキャリアバーコード67を読み取ることができる。
即ち、サンプル容器50の表面に貼り付けられたサンプルバーコード66とサンプルキャリアバーコード67とは、何れもサンプルキャリア64の長辺側の側面に表示させることとなる。搬送アーム20を用いてサンプルキャリア64を長辺方向に移動させるだけで、サンプルバーコード66とサンプルキャリアバーコード67の何れのバーコードも共通のバーコードリーダ14を用いて読み取ることができる。
以上述べたように、試薬バーコード46、試薬キャリアバーコード47、サンプルバーコード66、及びサンプルキャリアバーコード67は、何れもキャリアの長辺側の側面に表示される。特に、試薬バーコード46は試薬ボトル30の背面に貼り付けられているため、長方形の試薬キャリア44上においては試薬バーコード46が短辺側の側面に表示されることとなる。しかし、本発明においては鏡49を配置することによって、他のバーコードである試薬キャリアバーコード47、サンプルバーコード66、及びサンプルキャリアバーコード67と同一の方向に試薬バーコード46の像を表示させている。これにより、搬送アーム20が試薬キャリア44やサンプルキャリア64の長辺側の側面をバーコードリーダ14と対向させるように搬送を行うことで、何れのバーコードも共通のバーコードリーダ14を用いて読み取ることができる。
(バーコードリーダ14のエラー検知動作)
先述したように、システム制御部100は試薬キャリア44が溝16Mにセットされたことを検知すると、これをバーコードリーダ14の読取位置へと移動させ、試薬バーコード46と試薬キャリアバーコード47を読み取った後に試薬キャリア44を再び溝16Mへと戻す。システム制御部100は試薬バーコード46と試薬キャリアバーコード47から読み取られた情報を利用して、試薬ボトル30の保存する試薬が正しい試薬であるか否かを判断する。システム制御部100は試薬ボトル30の保存する試薬が誤った試薬であると判断すると、これをエラーとして検知して表示部6にエラーを示す警告表示を行う。システム制御部100は表示部6に警告表示を行った後、搬送アーム20を駆動して試薬キャリア44を再び溝16Mへと戻す。
システム制御部100は、例えば以下の5つの場合に試薬が誤った試薬であると判断する。1つ目は、試薬バーコード46から読み取った試薬の使用期限が既に超過している場合である。システム制御部100はバーコードリーダ14から出力された試薬バーコード46の情報を受信すると、受信した情報から試薬の使用期限の情報を抽出する。システム制御部100は使用期限が現在の日にちを超過しているか否かを判別して、使用期限が既に超過している場合は試薬キャリア44の積載する試薬が誤った試薬であると判断する。
2つ目は、試薬キャリア44の積載する試薬が試薬テーブル10内に既に設置されており、しかもこの試薬に補充の必要が無い場合である。システム制御部100はバーコードリーダ14から出力された試薬バーコード46の情報を受信すると、受信した情報から試薬の種類の情報を抽出する。システム制御部100は試薬テーブルバーコードリーダ14Rから出力された試薬テーブル10内の試薬の情報を用いて、試薬キャリア44が積載する試薬と同種の試薬が試薬テーブル10内に既に設置されているか否かを判断する。システム制御部100は試薬テーブル10内に同種の試薬が既に設置されていると判断すると、記憶部105から試薬の消費量を読み出して、試薬テーブル10内の試薬の消費量が、予め定められた閾値を上回るか否かを判断する。試薬の消費量が閾値を下回る場合には、試薬テーブル10内の同種の試薬が多くは消費されておらず、当面補充の必要が無いため、システム制御部100は試薬キャリア44の積載する試薬が誤った試薬であると判断する。
3つ目は、試薬キャリア44の積載する試薬を分析に用いる予定が無い場合である。システム制御部100はバーコードリーダ14から出力された試薬バーコード46の情報を受信すると、受信した情報から試薬の種類の情報を抽出する。システム制御部100は記憶部105から読み出した分析のスケジュールの情報を読み出して、自動分析装置1が行う分析にこの試薬を用いる予定があるか否かを判断する。システム制御部100はこの試薬を分析に用いる予定が無いと判断すると、試薬キャリア44の積載する試薬が誤った試薬であると判断する。
4つ目は、試薬キャリア44に試薬ボトル30が積載されていない場合である。バーコードリーダ14は試薬キャリアバーコード47を読み取ると、キャリアが試薬ボトル30を積載していると判断する。しかし、試薬バーコード46の示す情報が誤っている場合や、試薬キャリア44に試薬ボトル30以外の積載物が載せられている場合には、システム制御部100は試薬バーコード46には含まれない情報を鏡49に反射される像から読み取ることとなる。システム制御部100は試薬キャリアバーコード47から読み取った情報と鏡49に反射される像から読み取る情報とを比較して、鏡49に反射される像に試薬バーコード46には含まれない情報が読み取られたと判断すると、試薬キャリア44が誤った積載物を運んでいると判断する。
5つ目は、試薬ボトル30の汚れや試薬バーコード46の印刷不良が原因で、試薬バーコード46を読み取ることができない場合である。試薬バーコード46の読取位置へ試薬キャリア44が移動しているにも関わらずバーコードリーダ14が試薬バーコード46を読み取ることができない場合には、システム制御部100は試薬キャリア44の積載する試薬が誤った試薬であると判断する。
システム制御部100によるエラーの検知はサンプルキャリア64に対しても同様に行われる。システム制御部100はサンプルキャリア64が溝16Mにセットされたことを検知すると、これをバーコードリーダ14の読取位置へと移動させ、サンプルバーコード66及びサンプルキャリアバーコード67を読み取った後にサンプルキャリア64を再び溝16Mへと戻す。システム制御部100はサンプルバーコード66とサンプルキャリアバーコード67から読み取られた情報を利用して、サンプル容器50の保存するサンプルが正しいサンプルであるか否かを判断する。システム制御部100はサンプル容器50の保存するサンプルが誤った試薬であると判断すると、これをエラーとして検知して表示部6にエラーを示す警告表示を行う。システム制御部100は表示部6に警告表示を行った後、搬送アーム20を駆動してサンプルキャリア64を再び溝16Mへと戻す。
システム制御部100は、例えば以下の3つの場合にサンプルが誤ったサンプルであると判断する。1つ目は、サンプルキャリア64の積載するサンプルを分析に用いる予定が無い場合である。システム制御部100はバーコードリーダ14から出力されたサンプルバーコード66の情報を受信すると、受信した情報からサンプルの種類の情報を抽出する。システム制御部100は記憶部105から読み出した分析のスケジュールの情報を読み出して、このサンプルを分析する予定があるか否かを判断する。システム制御部100はこのサンプルを分析する予定が無いと判断すると、サンプルキャリア64の積載するサンプルが誤ったサンプルであると判断する。
2つ目は、サンプルキャリア64にサンプル容器50が積載されていない場合である。バーコードリーダ14はサンプルキャリアバーコード67を読み取ると、キャリアがサンプル容器50を積載していると判断する。しかし、サンプルバーコード66の示す情報が誤っている場合や、サンプルキャリア64にサンプル容器50以外の積載物が載せられている場合には、バーコードリーダ14はサンプルバーコード66の読取位置においてサンプルバーコード66には含まれない情報を読み取ることとなる。システム制御部100はサンプルキャリアバーコード67から読み取った情報とサンプルバーコード66の読取位置で読み取られた情報とを比較して、サンプルバーコード66の読取位置でサンプルバーコード66には含まれない情報が読み取られたと判断すると、サンプルキャリア64が誤った積載物を運んでいると判断する。
3つ目は、サンプルボトル50の汚れやサンプルバーコード66の印刷不良が原因で、サンプルバーコード66を読み取ることができない場合である。サンプルバーコード66の読取位置へサンプルキャリア64が移動しているにも関わらずバーコードリーダ14がサンプルバーコード66を読み取ることができない場合には、システム制御部100はサンプルキャリア64の積載するサンプルが誤ったサンプルであると判断する。
以上の処理により、システム制御部100がバーコードリーダ14の読み取った情報を用いてエラーを検知すると、システム制御部100は表示部6に先に列挙したエラーのうちどのエラーが発生したかを表示し、溝16Mのうちどの場所にセットされたキャリアにエラーが発生したかを表示する。これにより、自動分析装置1の操作者は溝16Mにセットしたキャリアのうち、どのキャリアにどのエラーが発生したかを確認することができる。特に試薬バーコード46については、試薬ボトル30が試薬テーブル10に設置されて試薬テーブルバーコードリーダ14Rによって試薬バーコード46が読み取られる段階よりも前に、バーコードリーダ14が試薬バーコード46を読み取ってエラーを検知することができる。操作者は早い段階で試薬ボトル30や試薬キャリア44に対するエラーを検知することができ、より効率のよい分析操作を行うことができる。
なお、システム制御部100がエラーを検知するのは上記列挙した場合だけに限定されない。例えば試薬キャリアバーコード47やサンプルキャリアバーコード67の印刷不良によってバーコードリーダ14がバーコードを読み取れなかった場合など、種々の場合に応じてエラーを検知するようにシステム制御部100を構成しても構わない。
(キャリア搬送及びエラー検知処理の流れ)
図12は、システム制御部100が行うキャリア搬送及びエラー検知処理の流れを示したフローチャートである。以下、図12を用いて処理の流れについて述べる。
まず、システム制御部100が自動分析装置1の動作を開始すると(ステップ1000)、システム制御部100はキャリアラック24から出力されるキャリア挿入を待ち受ける(ステップ1001)。キャリアラック24は溝16Mに試薬キャリア44あるいはサンプルキャリア64が挿入されたことを検知すると、キャリアが挿入されたことを示す信号を、キャリアの挿入された溝16Mの位置情報と共にシステム制御部100へと出力する。システム制御部100はキャリア挿入を検知すると(ステップ1001のYes)、搬送アーム20を駆動して挿入されたキャリアを持ち上げ、バーコードリーダ14の試薬キャリアバーコード47及びサンプルキャリアバーコード67の読取位置へと移動させる(ステップ1002)。搬送アーム20がキャリアをバーコードリーダ14の読取位置へと移動させると、システム制御部100はバーコードリーダ14を駆動して、試薬キャリアバーコード47あるいはサンプルキャリアバーコード67を読み取る(ステップ1003)。バーコードリーダ14はバーコードを読み取ると、読み取られた情報をシステム制御部100へと出力する。システム制御部100はバーコードリーダ14から出力された情報を基に、バーコードを読み取ったキャリアが試薬キャリア44であるかサンプルキャリア64であるかを判断する(ステップ1004)。
システム制御部100が、バーコードを読み取ったキャリアが試薬キャリア44であると判断すると(ステップ1004の「試薬キャリア」)、システム制御部100は搬送アーム20を駆動して試薬キャリア44を試薬バーコード46の読取位置、即ち鏡49の設置位置へと移動させる。搬送アーム20が試薬キャリア44を試薬バーコード46の読取位置へと移動させると、システム制御部100はバーコードリーダ14を駆動して、試薬バーコード46を読み取る(ステップ1006)。バーコードリーダ14はバーコードを読み取ると、読み取られた情報をシステム制御部100へと出力する。システム制御部100はバーコードリーダ14から出力された試薬バーコード46の情報、及び試薬キャリアバーコード47の情報を用いて、試薬キャリア44が積載する試薬にエラーが無いか否かを判断する(ステップ1006)。ステップ1006におけるエラーの判断は、例えば試薬キャリア44が試薬ボトル30を積載しているか否か、試薬バーコード46は読み取り可能であるか、試薬は使用期限を超過していないかなどによって行われる。ステップ1006において試薬にエラーが無いと判断されると(ステップ1006のNo)、システム制御部100は試薬バーコード46の情報、記憶部105から読み出した分析のスケジュールの情報、及び試薬テーブル10に設置された試薬の消費量情報に基づいて、試薬キャリア44が積載する試薬が分析に新たに使用される予定のある試薬であるか、あるいは補充予定のある試薬であるかを判断する(ステップ1008)。システム制御部100は、ステップ1006及びステップ1008の判断において試薬にエラーがあると判断すると(ステップ1006のYes、あるいはステップ1008のNo)、表示部6にエラーの内容、及び更に溝16Mのうちどの位置にセットされた試薬キャリア44がエラーを生じたかを表示する(ステップ1007)。システム制御部100は表示部6にエラーを表示すると、搬送アーム20を駆動して試薬キャリア44を挿入された溝16Mへと戻し(ステップ1013)、処理を終了する(ステップ1004)。一方システム制御部100がステップ1006及びステップ1008の判断において試薬にエラーがないと判断すると(ステップ1006のNo、かつステップ1008のYes)、システム制御部100は試薬バーコード46から読み取った試薬の情報を記憶部105に書き込む(ステップ1009)。システム制御部100は記憶部105に試薬の情報を書き込むと、搬送アーム20を駆動して試薬キャリア44を挿入された溝16Mへと戻し(ステップ1013)、処理を終了する(ステップ1004)。
一方、ステップ1004においてシステム制御部100が、バーコードを読み取ったキャリアがサンプルキャリア64であると判断すると(ステップ1004の「サンプルキャリア」)、システム制御部100は搬送アーム20を駆動してサンプルキャリア64をサンプルバーコード66の読取位置へと移動させる。搬送アーム20がサンプルキャリア64をサンプルバーコード66の読取位置へと移動させると、システム制御部100はバーコードリーダ14を駆動して、サンプルバーコード66を読み取る(ステップ1010)。バーコードリーダ14はバーコードを読み取ると、読み取られた情報をシステム制御部100へと出力する。システム制御部100はバーコードリーダ14から出力されたサンプルバーコード66の情報、サンプルキャリアバーコード67の情報、及び記憶部105から読み出した情報を用いて、サンプルキャリア44が積載するサンプルにエラーが無いか否かを判断する(ステップ1011)。ステップ1011におけるエラーの判断は、例えばサンプルキャリア64がサンプル容器50を積載しているか否か、サンプルバーコード66は読み取り可能であるか、あるいはサンプル容器50に保存されたサンプルは分析予定のあるサンプルであるか、などの判断によって行われる。システム制御部100は、ステップ1011の判断においてサンプルにエラーがあると判断すると(ステップ1011のYes)、表示部6にエラーの内容、及び更に溝16Mのうちどの位置にセットされたサンプルキャリア64がエラーを生じたかを表示する(ステップ1007)。システム制御部100は表示部6にエラーを表示すると、搬送アーム20を駆動してサンプルキャリア64を挿入された溝16Mへと戻し(ステップ1013)、処理を終了する(ステップ1004)。一方システム制御部100がステップ1011の判断においてサンプルにエラーがないと判断すると(ステップ1011のNo)、システム制御部100はサンプルバーコード46から読み取ったサンプルの情報を記憶部105に書き込む(ステップ1012)。システム制御部100は記憶部105にサンプルの情報を書き込むと、搬送アーム20を駆動してサンプルキャリア64を挿入された溝16Mへと戻し(ステップ1013)、処理を終了する(ステップ1004)。
以上の処理によって、システム制御部100はキャリアラック24にセットされたキャリアの搬送及びエラー検出処理を行う。試薬バーコード46及び試薬キャリアバーコード47から読み取られた情報を照合し、あるいはサンプルバーコード66及びサンプルキャリアバーコード67から読み取られた情報を照合してエラー検知を行うことにより、バーコードリーダ14を用いてキャリアの搬送する積載物に異常がないかを検知することができる。また、試薬バーコード46あるいはサンプルバーコード66から読み取られた情報と、記憶部105に記憶された試薬の消費量や分析のスケジュールを照合してエラー検知を行うことにより、バーコードリーダ14を用いてキャリアの搬送する積載物が分析に使用する予定があるか否かを検知することができる。
本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することが可能である。例えば搬送アーム20は試薬キャリア44のフック48あるいはサンプルキャリア64のフック68を把持することでキャリアを持ち上げると述べたが、例えばキャリアの側面全体を把持し、あるいはキャリアの底面を支持することによってキャリアを持ち上げる動作を行っても構わない。
あるいは試薬キャリア44において、試薬バーコード46の像を光学的に反射する反射手段として鏡49を用いる例を述べた。しかし、反射手段の構成方法はこれに限られるものではなく、鏡49の替わりに試薬キャリア44の一面に光を反射する媒質を貼り付け、媒質の貼り付けられた一面を試薬ボトル30の背面と試薬キャリア44の長辺側の側面に対して斜め方向に設けることで鏡49に替えても構わない。
あるいはシステム制御部100において、試薬のエラー検知は試薬バーコード45及び試薬キャリアバーコード47の2つを読み取ることで行うと述べた。しかし、本発明の構成はこれに限られるものではなく、試薬キャリアバーコード47を省略して、システム制御部100が試薬バーコード45から読み取った情報に基づいて試薬のエラー検知を行う構成としても構わない。
あるいは試薬ボトル30は図5に示すような三角形の形状を持つと述べたが、試薬ボトル30の形状はこれに限られるものではなく、例えば直方体や円筒形、台形などの種々の形状を有するものであっても構わない。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適当な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。あるいは、異なる実施例にわたる構成要素を適宣組み合わせてもよい。