以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目に対応する標準試料や被検試料等の試料及び各検査項目に対応する試薬を分注し、各試料及び各試薬の混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部10を備えている。分析部10は、各試料の分注や各試薬の分注等を行う複数のユニットからなり、これらのユニットを駆動する駆動部29を備えている。
また、自動分析装置100は、分析部10の分注が行われる位置へ試料を搬送するための複数のレーンを有する搬送部30と、搬送部30の各レーンでの試料の移動や各レーンへの試料の搬送を行う搬送機構部40とを備えている。また、自動分析装置100は、搬送部30の所定のレーン上の試料の有無を検出する検出部50を備えている。また、自動分析装置100は、駆動部29及び搬送機構部40の動作を制御する分析制御部60を備えている。
また、自動分析装置100は、分析部10で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成するデータ処理部70を備えている。また、自動分析装置100は、データ処理部70で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部80を備えている。
また、自動分析装置100は、各検査項目の分析データを生成させる分析パラメータを設定するための入力、再検査を実行させる各検査項目の再検査パラメータを設定するための入力、各試料に対して試料IDや検査項目を設定するための入力等を行う操作部90を備えている。また、自動分析装置100は、分析制御部60、データ処理部70及び出力部80を統括して制御するシステム制御部91を備えている。
図7は、分析部10の構成の一例を示した斜視図である。この分析部10は、各検査項目の標準試料や被検試料などの各試料に含まれる各検査項目の成分と反応する試薬である例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する第1試薬容器13と、複数の第1試薬容器13を移動可能に保持する第1試薬ラック14とを備えている。
また、分析部10は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する第2試薬容器15と、複数の第2試薬容器15を移動可能に保持する第2試薬ラック16とを備えている。また、分析部10は、円周上に配置された複数の反応容器17と、この反応容器17を回転移動可能に保持する反応ディスク18を備えている。
また、分析部10は、搬送機構部40により搬送された搬送部30上の各試料が収容された試料容器11を保持する試料ラック12から当該試料を吸引して、反応容器17内に吐出する分注を行う試料分注プローブ19と、試料分注プローブ19を移動可能に支持する試料分注アーム20とを備えている。また、分析部10は、第1試薬ラック14に保持された第1試薬容器13内の第1試薬を吸引して、試料が分注された反応容器17内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ21と、第1試薬分注プローブ21を移動可能に支持する第1試薬分注アーム22とを備えている。
また、分析部10は、第2試薬ラック16に保持された第2試薬容器15内の第2試薬を吸引して、第1試薬が分注された反応容器17内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ23と、第2試薬分注プローブ23を移動可能に支持する第2試薬分注アーム24とを備えている。また、分析部10は、反応容器17に分注された試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌子25を備えている。
また、分析部10は、撹拌子25により撹拌が行われた混合液を収容する反応容器17に光を照射し、反応容器17内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を検出して標準データや被検データを生成する測定部26を備えている。また、分析部10は、測定を終了した反応容器17内を洗浄する洗浄ノズル27を備えている。そして、洗浄ノズル27により洗浄が行われた反応容器17は、再び試料の分注、試薬の分注及び測定に使用される。
図1に戻り、駆動部29は、分析部10の第1及び第2試薬ラック14,16をそれぞれ回動駆動して第1及び第2試薬容器13,15を移動する。また、駆動部29は、反応ディスク18を回転駆動して反応容器17を移動する。また、駆動部29は、試料分注アーム20、第1試薬分注アーム22及び第2試薬分注アーム24をそれぞれ回動及び上下駆動して、試料分注プローブ19、第1試薬分注プローブ21、及び第2試薬分注プローブ23を移動する。また、駆動部29は、撹拌子25の移動及び撹拌駆動を行う。また、洗浄ノズル27の移動及び洗浄ノズル27から洗浄水の吐出及び吸引を行わせるポンプの洗浄駆動を行う。
図8は、搬送部30の構成の一例を示した平面図である。この搬送部30は、試料ラック12が載置されるトレイ部37と、トレイ部37が載置され、長手方向が分析部10の前後方向に平行になるように分析部10の右方に近接配置された投入レーン31とを備えている。
また、搬送部30は、長手方向が分析部10の左右方向に平行になるように分析部10の前方に近接配置された分注レーン32と、長手方向が分注レーン32の長手方向に平行になるように分注レーン32の前方に配置された待機レーン33とを備えている。また、搬送部30は、長手方向が分析部10の前後方向に平行になるように分析部10の左方に近接配置された回収レーン34を備えている。
また、搬送部30は、投入レーン31と分注レーン32の間に配置され、試料ラック12に記されたラックID及びその試料ラック12に保持される試料容器11に記された試料IDを読み取るリーダ35を備えている。また、搬送部30は、待機レーン33に配置され、待機レーン33上に載置された試料ラック12の位置を検出する複数の位置検出器36を備えている。
投入レーン31は、分析部10で分注を行わせる試料が収容された試料容器11を保持する試料ラック12が載置されたトレイ部37が載置され、トレイ部37上に載置された試料ラック12を搬送機構部40が矢印L1方向の第1の位置P1や第1の位置P1の試料ラック12に対してL1方向に隣り合う投入位置Taに移動するレーンである。
分注レーン32は、投入レーン31と回収レーン34の間に配置され、搬送機構部40により投入レーン31から搬送された試料ラック12を、搬送機構部40が矢印L2方向の分析部10の試料分注プローブ19により試料の分注が行われる位置へ移動するレーンである。そして、分注レーン32は、例えば搬送機構部40を構成しているプーリに巻回されたベルトを有する。
待機レーン33は、投入レーン31と回収レーン34の間に配置され、長手方向の長さが分析部10の長手方向の長さ以下の例えば平板を有する。そして、待機レーン33は、搬送機構部40により分注レーン32から搬送された試料ラック12が載置されるレーンである。
回収レーン34は、搬送機構部40により分注レーン32又は待機レーン33から搬送された試料ラック12を、搬送機構部40が矢印L3方向に移動するレーンである。
リーダ35は、例えばバーコードリーダであり、搬送機構部40に投入レーン31から分注レーン32に搬送されている途中の試料ラック12に記されたラックID及び試料容器11に記された試料IDを読み取って分析制御部60に出力する。また、位置検出器36は、例えば投光素子とこの投光素子から照射されて反射した光を受光する受光素子とを有し、待機レーン33上に載置された試料ラック12を検出し、その試料ラック12の待機レーン33上の位置を示す位置情報を分析制御部60に出力する。
図1に戻り、搬送機構部40は、搬送部30の投入レーン31上に載置されたトレイ部37上の試料ラック12を移動する第1の移動機構41を備えている。また、搬送機構部40は、投入レーン31、分注レーン32及び待機レーン33の各レーン上の試料ラック12を搬送する搬送機構42を備えている。また、搬送機構部40は、分注レーン32上の試料ラック12を移動する第2の移動機構43を備えている。また、搬送機構部40は、回収レーン34上の試料ラック12をL3方向に移動する第3の移動機構44を備えている。
検出部50は、搬送部30の投入レーン31上に載置されたトレイ部37上の第1の位置P1の試料ラック12の有無を検出することにより、第1の位置P1の試料ラック12がトレイ部37に保持されているか否かを検出する第1及び第2の検出器51,52を備えている。また、トレイ部37上の投入位置Taの試料ラック12の有無を検出する第3の検出器53を備えている。また、搬送機構部40における第1の移動機構41の一部の有無を検出することにより、第3の検出器53に検出された投入位置Taの試料ラック12が進行方向に対して最後尾の試料ラック12であるか否かを検出する第4の検出器54を備えている。
分析制御部60は、操作部90から入力された各検査項目の分析パラメータ、再検査パラメータ、試料ID、この試料IDで識別される試料に設定された検査項目等の入力情報及びに基づき駆動部29及び搬送機構部40を制御して、分析部10の各ユニットや搬送機構部40の各機構を作動させる。そして、試料ラック12の移動や搬送、第1試薬容器13の移動、第2試薬容器15の移動、試料の分注、第1試薬の分注、第2試薬の分注、混合液の撹拌、測定等を実行させる。
データ処理部70は、分析部10の測定部26で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部71と、演算部71で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部72とを備えている。
演算部71は、例えばCPUと記憶回路を有し、測定部26から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値の関係を示す検量データを生成する。そして、生成した検量データを用いて被検データから濃度値や酵素の活性値で表される分析データを生成する。
データ記憶部72は、例えばハードディスクドライブ(HDD)等のストレージを有し、演算部71で生成された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部71で生成された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
出力部80は、データ処理部70の演算部71で生成された検量データや分析データを印刷出力する印刷部81及び表示出力する表示部82を備えている。そして、印刷部81は、プリンタなどを備え、検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
表示部82は、例えばCRTや液晶パネルなどのモニタを有し、演算部71で生成された検量データや分析データを表示する。また、検査項目毎に試料の分注量、第1試薬の分注量及び第2試薬の分注量等の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面を表示する。また、検査項目毎に再検査パラメータを設定するための再検査パラメータ設定画面を表示する。また、被検試料毎にこの被検試料を識別する試料ID及び検査対象の検査項目を設定するための検査項目設定画面を表示する。
操作部90は、例えばキーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備えている。そして、各検査項目の分析パラメータや再検査パラメータを設定するための入力、試料ID及び検査項目を設定するための入力等を行う。
システム制御部91は、CPU及び記憶回路を備え、操作部90からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータ、再検査パラメータ、試料ID及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部60、データ処理部70及び出力部80を統括してシステム全体を制御する。
次に、図9を参照して、試料ラック12の構成の詳細を説明する。
図9は、試料ラック12の構成の一例を示した図である。そして、図9(a)は、試料ラック12の平面図を示している。また、図9(b)は、試料ラック12の短手方向からの側面図を示している。
試料ラック12は直方体をなし、長方形をなす上面の長手方向に複数の試料容器11を一列に保持可能な開口部121が形成されている。また、試料ラック12は、上面の長方形の長辺を同じく長辺とする長方形をなす第1の側面122及びこの第1の側面122に対向する第2の側面123間を貫通して切り抜かれた2つの長穴124を有する。また、試料ラック12は、第1及び第2の側面122,123の長手方向における中央から少し離れた下部から底面にかけて第1及び第2の側面122,123間を貫通して切り抜かれたT字型の凹部125を有する。
そして、試料ラック12は、凹部125がトレイ部37の一部と係合してトレイ部37上に載置されると、トレイ部37上に保持された状態で搬送機構部40の第1の移動機構41により、L1方向に移動される。
次に、図8乃至図11を参照して、搬送機構部40の第1の移動機構41、第2の移動機構43、第3の移動機構44及び搬送機構42の構成を説明する。
第1の移動機構41は、図10に示すように、投入レーン31上に載置されたトレイ部37上の試料ラック12の第1の側面122に当接可能なように配置されたアーム411と、このアーム411をL1方向及びL1方向とは反対方向の矢印L4方向に駆動するモータとを有する。そして、第1の移動機構41は、試料ラック12を1個分(試料ラック12の短手方向の長さ分)移動する距離を1ピッチとして、アーム411をL1方向へ1ピッチ移動してから停止させる動作を繰り返すことにより、トレイ部37上に載置された試料ラック12をL1方向に間欠的に移動する。
そして、第1の移動機構41は、トレイ部37上に複数個の試料ラック12が載置されている場合、最後尾の試料ラック12の第1の側面122にアーム411を当接させてトレイ部37上に載置されたすべての試料ラック12を同時にL1方向に間欠的に移動し、先頭の試料ラック12をトレイ部37上の投入位置Taまで移動する。
第2の移動機構43は、分注レーン32のベルトが巻回された2つのプーリ及びこのプーリを回転駆動するモータにより構成される。そして、第2の移動機構43は、図8に示すように、搬送機構42により分注レーン32上の搬入位置Tbに搬送された試料ラック12を、L2方向へ移動して分注位置Tcで停止させる。また、第2の移動機構43は、試料の分注が終了した試料容器11を保持する試料ラック12を更にL2方向に移動して搬出位置Tdで停止させる。
第3の移動機構44は、回収レーン34に搬送された試料ラック12に当接可能なように配置されたアームと、このアームを駆動するモータを有する。そして、第3の移動機構44は、図8に示すように、回収レーン34上の回収位置Teに搬送された試料ラック12をL3方向に移動する。
図11は、搬送機構42の構成の一例を示した側面図である。この搬送機構42は、長穴124に係合して試料ラック12を保持可能な2つの保持アーム45を備えている。また、搬送機構42は、保持アーム45を移動して試料ラック12を保持アーム45に保持させる保持動作を行わせ、試料ラック12を保持した保持アーム45を移動して試料ラック12から保持アーム45を解放させる解放動作を行わせる第1の機構46を備えている。
そして、搬送機構42は、第1の機構46が保持アーム45を下端位置BPから軌道T1を描いて、上端位置UPまで移動させることにより、トレイ部37上の投入位置Taの試料ラック12を保持アーム45に保持させて持ち上げて分注レーン32まで搬送する。また、搬送機構42は、試料ラック12を保持している保持アーム45を、上端位置UPから軌道T2を描いて下端位置BPまで移動することにより、当該試料ラック12を、分注レーン32上等に載置する。
次に、図12を参照して、搬送部30のトレイ部37及び検出部50の第1乃至第4の検出器51乃至54の構成の詳細を説明する。
図12は、トレイ部37及び第1乃至第4の検出器51乃至54の構成の一例を示した図である。そして、図12(a)はトレイ部37の平面図を示し、図12(b)は図12(a)のA-A矢視断面図を示している。
このトレイ部37は、試料ラック12が載置されるトレイ38と、トレイ38上に配置され、トレイ38上に載置された試料ラック12と係合することにより、試料ラック12を移動可能に保持するガイドレール39とにより構成される。そして、トレイ38は、試料ラック12が載置される上面が長方形の平面をなし、上面の短手方向の両端部に側壁が形成されている。また、トレイ38は、第1の位置P1のガイドレール39に保持された試料ラック12底面と接触する上面のうち、ガイドレール39近傍の上面から下方の下面に貫通する開口部381を有する。
ガイドレール39は、短手方向の断面形状がT字型をなし、長手方向がトレイ38の長手方向に平行になるようにトレイ38上に配置されている。また、ガイドレール39は、凹部125が係合した試料ラック12をガイドレール39に沿ってL1方向へ移動可能にトレイ38上に保持する。また、ガイドレール39は、L1方向の端部が第1の位置P1にあり、L1方向においては試料ラック12を第1の位置P1のまで保持可能なように配置されている。
このように、ガイドレール39のL1方向の端部を第1の位置P1にすることにより、ガイドレール39に保持されることのない投入位置Taの試料ラック12を、搬送機構部40の搬送機構42が持ち上げることができる。
そして、作業者が試料ラック12をトレイ部37上に載置する際には、トレイ38のL4方向の端部に試料ラック12を載置してから、L1方向にスライドさせて試料ラック12の凹部125を、ガイドレール39に係合させることにより、ガイドレール39は係合載置された試料ラック12をトレイ38上に保持する。
なお、ガイドレール39を投入レーン31上に配置し、ガイドレール39に係合させて試料ラック12を投入レーン31上に載置してように実施してもよい。
このように、ガイドレール39のL1方向における端部を第1の位置P1にすることにより、第1の移動機構41によりトレイ38上の投入位置Taまで移動された試料ラック12がガイドレール39に保持されないため、搬送機構42が当該試料ラック12を保持して持ち上げることができる。
検出部50の第1乃至第4の検出器51乃至54は、搬送部30の投入レーン31に配置されている。
第1の検出器51は、投入レーン31上に載置されたトレイ38上の第1の位置P1の試料ラック12に対してL2方向に配置され、例えばL2方向とは反対方向に投光する投光素子及びその反射光を受光する受光素子を有する反射型光センサを備えている。そして、第1の検出器51は、第1の移動機構41に移動された試料ラック12が第1の位置P1に停止すると試料ラック12があることを検出し、第1の位置P1に停止する試料ラック12がないと、試料ラック12がないことを検出する。
第2の検出器52は、第1の位置P1のガイドレール39に保持された試料ラック12底面と接触するトレイ38上面の下側に配置され、例えば開口部381を通過して上方に投光する投光素子及びその反射光を受光する受光素子を有する反射型光センサを備えている。そして、第2の検出器52は、第1の検出器51により第1の位置P1に試料ラック12があることが検出されたとき、第1の位置P1に試料ラック12がガイドレール39に保持された状態、即ち第1の位置P1の試料ラック12底面の略全体がトレイ38の上面に接触している状態であると、第1の位置P1の試料ラック12底面との距離が検出可能な距離となるため、第1の位置P1に試料ラック12があることを検出する。
また、第2の検出器52は、第1の検出器51により第1の位置P1に試料ラック12があることが検出されたとき、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない状態、即ち、図13(a)に示すように、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39上に位置して底面全体がトレイ38上面から離間している状態、又は図13(b)に示すように、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39上で傾いて底面の大部分がトレイ38上面から離間している状態であると、第1の位置P1の試料ラック12底面との距離が検出可能な距離を超えているため、第1の位置P1に試料ラック12がないことを検出する。
検出部50は、第1及び第2の検出器51,52が第1の位置P1に試料ラック12のあることを検出した場合、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39に保持されていることを検出することができる。また、検出部50は、第1の検出器51が第1の位置P1に試料ラック12のあることを検出し、第2の検出器52が第1の位置P1に試料ラック12のないことを検出した場合、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39に保持されていないことを検出することができる。
そして、分析制御部60は、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39に保持されていないと検出されると、第1の移動機構41に移動アーム411の移動動作を停止させ、第1の位置P1の試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させる制御を行う。
このように、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39に保持されていないことを検出した場合、第1の移動機構41を停止させることにより、ガイドレール39に保持されていない不安定な試料ラック12の、ガイドレール39上の高い第1の位置P1から、ガイドレール39のない低い投入位置Taへの移動を停止させることができる。これにより、第1の位置P1から段状の高低差のある投入位置Taへの移動による試料ラック12の転倒を防ぐことができる。
なお、第1の位置P1に停止した試料ラック12がガイドレール39に保持されている場合に当該試料ラック12に押下され、第1の位置P1に停止した試料ラック12がガイドレール39に保持されていない場合に当該試料ラック12に押下されない高さに例えばマイクロスイッチを配置し、マイクロスイッチが押下されている場合に第1の位置P1に試料ラック12があることを検出し、マイクロスイッチが押下されていない場合に第1の位置P1に試料ラック12がないことを検出するように実施してもよい。
また、各試料ラック12に磁場を発生する位置センサトランスミッタを配置すると共に、トレイ38に開口部381を設けることなく、第1の位置P1のガイドレール39に保持された試料ラック12底面と接触するトレイ38上面の下側に位置センサトランスミッタが発生する磁場を検出する位置センサレシーバを配置し、位置センサレシーバを第2の検出器として用いるように実施してもよい。この場合、第2の検出器は、第1の位置P1に試料ラック12がガイドレール39に保持された状態であると第1の位置P1の試料ラック12底面との間が所定の距離以内であるため、第1の位置P1に試料ラック12があることを検出し、第1の位置P1の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない状態であると、第1の位置P1の試料ラック12底面との間が所定の距離を超えているため、第1の位置P1に試料ラック12がないことを検出する。
第3の検出器53は、トレイ38上の投入位置Taの試料ラック12に対してL1方向に配置され、例えばL4方向に投光する投光素子及びその反射光を受光する受光素子を有する反射型光センサを備えている。そして、第3の検出器53は、第1の移動機構41に移動された試料ラック12が投入位置Taに停止すると試料ラック12があることを検出し、投入位置Taに停止する試料ラック12がないと、試料ラック12がないことを検出する。
第4の検出器54は、トレイ38上の第1の位置P1の試料ラック12に対してL2方向とは反対方向に配置され、第1の移動機構41の移動アーム411の有無を検出する例えば投光素子及び受光素子を有する透過型光センサを備えている。そして、第4の検出器54は、移動アーム411がL1方向に移動して第1の位置P1の試料ラック12に当接する位置に到達しても移動アーム411がないことを検出し、投入位置Taの試料ラック12に当接する位置に停止すると、移動アーム411があることを検出する。そして、第4の検出器54は、投入位置Taの試料ラック12が最後尾の試料ラック12であることを検出する。
以下、図1乃至図14を参照して、自動分析装置100の動作の一例について説明する。
搬送部30の投入レーン31上に載置されたトレイ部37上には、図14に示すように、進行方向の先頭の試料ラック12を1番目とし、1番目の試料ラック12に対してL4方向に隣り合う試料ラック12を2番目とし、2番目の試料ラック12に対してL4方向に隣り合う最後尾の試料ラック12を3番目とする3個の試料ラック12が載置されている。操作部90から検査開始の入力が行われると、システム制御部91は、分析制御部60に検査を指示する。分析制御部60は、駆動部29及び搬送機構部40を制御して分析部10及び搬送機構部40を作動させる。
搬送機構部40の第1の移動機構41は、移動アーム411をL1方向に間欠的に移動する。第1乃至第3の検出器51乃至53は、第1の移動機構41の移動アーム411の停止毎に、試料ラック12の有無を検出する。また、第4の検出器54は、第1の移動機構41の移動アーム411の停止毎に、移動アーム411の有無を検出する。分析制御部60は、各第1乃至第4の検出器51乃至54の検出結果に基づいて、搬送機構部40の動作を制御する。
以下では、第1の位置P1における試料ラック12に対してL4方向に隣接する試料ラック12の位置を第2の位置P2とする。
図2は、1番目の試料ラック12が第2の位置P2に停止したときの搬送機構部40の動作の制御を説明するための図である。
1番目の試料ラック12が第2の位置P2に停止すると、第1乃至第3の検出器51乃至53は、試料ラック12のないことを検出する。第4の検出器54は、移動アーム411のないことを検出する。この場合、分析制御部60は、第1の移動機構41に移動アーム411をL1方向に1ピッチ移動させる。
図3は、1番目の試料ラック12が第1の位置P1に停止したときの搬送機構部40の動作の制御を説明するための図である。
第1の移動機構41による移動アーム411のL1方向への1ピッチ移動後に、1番目の試料ラック12が第1の位置P1に停止すると、第1の検出器51は、試料ラック12のあることを検出する。第2の検出器52は、試料ラック12のあること又は試料ラック12のないことを検出する。第3の検出器53は、試料ラック12のないことを検出する。第4の検出器54は、移動アーム411のないことを検出する。
そして、第2の検出器52が試料ラック12のあることを検出した場合、1番目の試料ラック12がガイドレール39に保持された状態で第1の位置P1に停止しているため、分析制御部60は、第1の移動機構41を作動させて第1の位置P1の1番目の試料ラック12を投入位置Taへ移動させる制御を行う。
また、第2の検出器52が試料ラック12のないことを検出した場合、第1の位置P1に1番目の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない状態で停止しているため、分析制御部60は、第1の移動機構41を停止させて第1の位置P1の1番目の試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させる制御を行う。その後、分析制御部60は、第1の位置P1の1番目の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない情報を例えば表示部82に表示出力させる。システム制御部91が検査の中止を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する。
このように、第1の検出器51より試料ラック12があることが検出され、第2の検出器52により試料ラック12がないことが検出された場合、第1の移動機構41を停止させることにより、第1の位置P1のガイドレール39に保持されていない1番目の試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させることができる。これにより、第1の位置P1から段状の高低差のある投入位置Taへの移動による試料ラック12の転倒を防ぐことができる。
図4は、2番目の試料ラック12が第1の位置P1に停止したときの搬送機構部40の動作の制御を説明するための図である。
第1の移動機構41による移動アーム411のL1方向への1ピッチ移動後に、1番目の試料ラック12が投入位置Taに停止し、2番目の試料ラック12が第1の位置P1に停止すると、第1及び第3の検出器51、53は、試料ラック12を検出する。第2の検出器52は、試料ラック12のあること又は試料ラック12のないことを検出する。第4の検出器54は、移動アーム411のないことを検出する。
そして、第2の検出器52が試料ラック12のあることを検出した場合、第1の位置P1に2番目の試料ラック12がガイドレール39に保持された状態で第1の位置P1に停止しているため、分析制御部60は、搬送機構42により投入位置Taの1番目の試料ラック12を分注レーン32に搬送させてから、第1の移動機構41を作動させて第1の位置P1の2番目の試料ラック12を投入位置Taへ移動させる制御を行う。
また、第2の検出器52が試料ラック12のないことを検出した場合、第1の位置P1に2番目の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない状態で停止しているため、分析制御部60は、第1の移動機構41を停止させて第1の位置P1の2番目の試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させる制御を行う。
その後、分析制御部60は、第1の位置P1の2番目の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない情報を例えば表示部82に表示出力させる。また、分析制御部60は、搬送機構42により投入位置Taの1番目の試料ラック12を分注レーン32に搬送させる。1番目の試料ラック12に保持されたすべての試料容器11内の試料の分注が終了し、分注が行われたすべての試料に対応する分析データが出力部80から出力されたとき、システム制御部91が検査の終了を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する。
このように、第1の検出器51より試料ラック12があることが検出され、第2の検出器52により試料ラック12がないことが検出された場合、第1の移動機構41の移動動作を停止させることにより、第1の位置P1のガイドレール39に保持されていない2番目の試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させることができる。これにより、第1の位置P1から段状の高低差のある投入位置Taへの移動による試料ラック12の転倒を防ぐことができる。
図5は、3番目の試料ラック12が第1の位置P1に停止したときの搬送機構部40の動作の制御を説明するための図である。
第1の移動機構41による移動アーム411のL1方向への1ピッチ移動後に、2番目の試料ラック12が投入位置Taに停止し、3番目の試料ラック12が第1の位置P1に停止すると、第1及び第3の検出器51,53は、試料ラック12を検出する。第2の検出器52は、試料ラック12のあること又は試料ラック12のないことを検出する。第4の検出器54は、移動アーム411のないことを検出する。
そして、第2の検出器52が試料ラック12のあることを検出した場合、第1の位置P1に3番目の試料ラック12がガイドレール39に保持された状態で第1の位置P1に停止しているため、分析制御部60は、搬送機構42により投入位置Taの試料ラック12を分注レーン32に搬送させてから、第1の移動機構41を作動させて第1の位置P1の3番目の試料ラック12を投入位置Taへ移動させる制御を行う。
また、第2の検出器52が試料ラック12のないことを検出した場合、第1の位置P1に3番目の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない状態で停止しているため、分析制御部60は、第1の移動機構41を停止させて第1の位置P1の3番目の試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させる制御を行う。
その後、分析制御部60は、第1の位置P1の3番目の試料ラック12がガイドレール39に保持されていない情報を表示部82に表示出力させる。また、分析制御部60は、搬送機構42により投入位置Taの2番目の試料ラック12を分注レーン32に搬送させる。1番目及び2番目の試料ラック12に保持されたすべての試料容器11内の試料の分注が終了し、分注が行われたすべての試料に対応する分析データが出力部80から出力されたとき、システム制御部91が検査の終了を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する。
このように、第1の検出器51より試料ラック12があることが検出され、第2の検出器52により試料ラック12がないことが検出された場合、第1の移動機構41を停止させることにより、第1の位置P1のガイドレール39に保持されていない3番目の試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させることができる。これにより、第1の位置P1から段状の高低差のある投入位置Taへの移動による試料ラック12の転倒を防ぐことができる。
図6は、3番目の試料ラック12が投入位置Taに停止したときの搬送機構部40の動作の制御を説明するための図である。
第1の移動機構41による移動アーム411のL1方向への1ピッチ移動後に、3番目の試料ラック12が投入位置Taに停止すると、第1及び第2の検出器51,52は、試料ラック12がないことを検出する。第3の検出器53は、試料ラック12があることを検出する。第4の検出器54は、移動アーム411があることを検出する。
分析制御部60は、搬送機構42により投入位置Taの3番目の試料ラック12を分注レーン32に搬送させ、第1の移動機構41の移動動作を終了させる。1番目乃至3番目の試料ラック12に保持されたすべての試料容器11内の試料の分注が終了し、分注が行われたすべての試料に対応する分析データが出力部80から出力されたとき、システム制御部91が検査の終了を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する。
なお、上記実施形態に限定されるものではなく、第2の検出器52を第1の位置P1よりもL4方向の位置に配置して実施するようにしてもよい。この場合、例えば第2の位置P2のガイドレール39に保持された試料ラック12底面と接触するトレイ38の上面のうち、ガイドレール39近傍の上面から下方の下面に貫通する開口部を設け、第2の位置P2の試料ラック12の下側の前記開口部の位置に第2の検出器52を配置する。そして、第2の検出器52が第2の位置P2の試料ラック12のないことを検出してからの第1の移動機構41による移動アーム411のL1方向への1ピッチ移動後に、第1の検出器51が第1の位置P1に試料ラック12のあることを検出すると、第1の移動機構41の移動動作を停止させる。これにより、第1の位置P1のガイドレール39に保持されていない試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させることが可能となり、第1の位置P1から段状の高低差のある投入位置Taへの移動による試料ラック12の転倒を防ぐことができる。
以上述べた実施形態によれば、第1の移動機構41による移動アーム411のL1方向への1ピッチ移動後に、第1の検出器51が第1の位置P1に試料ラック12があることを検出し、第2の検出器52が第1の位置P1に試料ラック12がないことを検出した場合、第1の位置P1に停止している試料ラック12の投入位置Taへの移動を停止させることができる。これにより、第1の位置P1から投入位置Taへの移動による試料ラック12の転倒を防ぐことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。