JP5482596B2 - 仕上げ面粗さに優れたcbnインサート - Google Patents

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本発明は、CBN(立方晶窒化硼素)を主成分としてこれを超高圧、高温下にて焼結成形してなるCBNインサートに関し、特に、合金鋼、軸受鋼等の焼入れ材からなる高硬度鋼の仕上げ切削加工あるいはAl合金、Cu合金等の非鉄金属材料の仕上げ切削加工において、境界摩耗の発生を抑制し得るとともに、すぐれた仕上げ面精度を長期の使用にわたって維持し得るCBNインサートに関するものである。
従来、仕上げ切削加工用インサートとしては、立方晶窒化硼素(以下、CBNで示す)基焼結体等が用いられているが、仕上げ切削加工における被削材の仕上げ面精度の向上を目的として種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に示されるように、CBN基焼結体製切削工具の表面(特に、すくい面)にTiN皮膜を形成した切削工具(従来インサート1という)は、切屑の溶着を抑制することができるため、溶着発生を原因とする仕上げ面精度の低下を防止し得るとされている。
また、例えば、特許文献2に示されるように、工具のすくい面に微細なうねり形状を設けた切削工具(従来インサート2という)は、切削工具の長寿命化や切削抵抗の低減、仕上げ面性状を改善できることが知られている。
特開平7−75902号公報 特開2009−202283号公報
しかし、前記の従来インサートを用いて仕上げ切削加工を行った場合、例えば、従来インサート1を用いて高硬度被削材の仕上げ切削加工を行った場合には、TiN皮膜が切削途中で剥離してしまうため、溶着抑制効果が持続せず、長期の使用に亘って十分な仕上げ面精度を維持できないという問題点があった。また、従来インサート2を用いて高硬度被削材の仕上げ切削加工を行った場合には、逃げ面に欠損が生じた場合面粗さ精度が維持できなくなるとともに、うねり形状が刃先に形成されると所望の面粗さ精度にて加工ができないという問題点があった。
そこで、本発明者らは、合金鋼、軸受鋼等の焼入れ材からなる高硬度鋼の仕上げ切削加工あるいはAl合金、Cu合金等の非鉄金属材料の仕上げ切削加工において、すぐれた仕上げ面精度を長期の使用にわたって発揮すべく、境界摩耗の発生・進展を抑制することができるインサート形状について鋭意研究を行った結果、CBN基焼結体から所定形状のインサートを作製した後、図1に示すように、インサートの逃げ面に、溝を形成し、かつ、溝のテラス幅及び溝幅が特定の数値範囲になるように溝形状を定めたところ、CBNインサートの境界摩耗の発生が低減され、その結果、長期の使用に亘って、すぐれた仕上げ面精度を維持しつつ、同時にすぐれた耐摩耗性を発揮し得ることを見出したのである。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 逃げ面に溝と被膜が形成されたCBNインサートにおいて、
(a)その被膜後の溝形状が溝の凹凸を含む断面を見た時、溝幅W1とテラス幅W2はW1が1μm以上25μm以下、W2が3μm以上25μm以下、表面から溝の最も低い位置までの高さHが1.5μm以上15μm以下であり、1つのテラスと溝の組み合わせを1周期とした時、2周期以上で構成される形状であり、
(b)被膜は、TiN、TiAlN、TiAlSiN、CrAlNの内、1膜あるいは2膜以上の膜で、被膜の厚さ合計が1.0μm以上10μm以下にて構成され、
(c)溝が形成される逃げ面内の領域が、チャンファーホーニング面と逃げ面の交線から逃げ面側に5μm以上300μm以下の範囲であり、
(d)溝を形成する方向が、刃先稜線と平行な線と溝形成方向の成す角θ(刃先先端と反対方向)が
−10°≦θ≦10°の範囲であることを特徴とするCBNインサート。
(2) 前記被膜は、溝の凹凸を含む断面を見た時、母材の最表面上の被膜数が溝の凹部内面上の被膜数に比べて1層以上多い事を特徴とする(1)に記載のCBNインサート。
(3) 前記被膜は、溝の凹凸を含む断面を見た時、溝の凹部内で膜が分断されていることを特徴とする(1)または(2)に記載のCBNインサート。
(4) 前記溝は、溝の凹凸を含む断面を見た時、溝の凸部を構成する母材形状のテラス面と溝底部面をつなぐ側面の傾きΘがテラス側から見て30°以上90°以下であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のCBNインサート。
(5) 前記溝は、溝の凹凸を含む断面を見た時、1つの溝の凸部を構成する母材表面形状が3面以上で構成されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のCBNインサート。
(6) 前記CBNインサートに使用されるCBN粒子の平均粒径が6μm以下である事を特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載のCBNインサート。
(7) 前記CBNインサートに含まれるCBN粒子は40〜90容量%の範囲であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載のCBNインサート。」
を特徴とするものである。
ここで、前記(5)、すなわち請求項5において、「1つの溝の凸部を構成する母材表面形状が3面以上で構成されている」とは、図2に示すように溝の凹凸を含む断面を見た時、斜線部の様にテラス部(凸部)領域において逃げ面側母材表面が2面にて構成される形状を三角形、それ以外を多角形と呼ぶと規定すると多角形であることを意味している。
以下、本発明について説明する。
図1に、溝の凹凸を含む断面を見た時の被膜形成後の溝形状を示す。溝幅W1が1μmより小さいと溝部の形成が十分でないため凹部に溶着が入り込み被覆の剥離が生じ易くなる。W1が25μm以上であると形状加工の時間に対して得られる効果は少ないため好ましくない。テラス幅W2が3μmより小さいとテラス部の強度が不足し欠損する可能性が高くなる。W2が25μmより大きいと万一コーティングが剥離した際に分断する面積が大きいため長時間にわたって優れた仕上げ面を維持する効果が少なくなる。
表面から溝の最も低い位置までの高さHが1.5μmより小さいと溝部の形成が十分でないため凹部に溶着等が入り込み被覆の剥離が生じ易くなる。Hが30μm以上であるとテラス部の強度が不足し欠損する可能性が高くなるため好ましくない。
溝が形成される逃げ面内の領域が刃先から5μmより近いと刃先強度が保てず欠損する可能性が高くなり、300μmより遠いと溝の効果は得られないため好ましくない。
溝を形成する方向が、刃先稜線と溝形成方向の成す角(刃先先端と反対方向)が10°より大きいと溝の凹凸が仕上げ面に影響を施し所望の面粗さが得られないため好ましくない。−10°より小さいのも溝の凹凸が仕上げ面に影響を施し所望の面粗さが得られないため好ましくない。(溝の具体的形状については、図4参照)
密着性を確保しやすい膜としてはTiN、TiAlN、硬さと耐熱性に優れる膜としてはTiAlN、TiAlSiN、耐酸化性に優れる膜としてはCrAlNの被膜が良い。2層以上にする場合はCBNとの密着性を考えた場合1層目はTiNである事が望ましく、最上層はTiAlN、TiAlSiN、CrAlNが望ましい。
TiAlNは、Ti1−xAlNと考えた場合、Alの含有割合X(原子比)の値が0.4〜0.6の範囲内である事が望ましい。0.4未満であると高温硬さと耐熱性が低下し耐摩耗性が低下し、0.6より大きいと高温強度が低下し剥離を生じ易くなるため0.4〜0.6の範囲外は望ましくない。
CrAlNは、Cr1−xAlNと考えた場合、Alの含有割合X(原子比)の値が0.4〜0.8の範囲内である事が望ましい。0.4未満では耐摩耗性が低下し、0.8より大きくても耐摩耗性が低下するため0.4〜0.8の範囲外は望ましくない。
AlTiSiNは、(AlTi1−x−ySi)Nと考えた場合、Alの含有割合X(原子比)の値が0.1〜0.7、Siの含有割合Y(原子比)の値が0.01〜0.1の範囲内である事が望ましい。Xが0.1未満、あるいはYが0.01未満であると十分な耐酸化性の効果が得られなく、Xが0.75より大、あるいはYが0.1より大であると膜の結晶構造が立方晶から六方晶へ変化する事により硬さが低下して十分な耐摩耗性が得られないためXは0.1〜0.7、Yは0.01〜0.1の範囲外は望ましくない。
なお、TiN、TiAlN、TiAlSiN、CrAlNの各被膜を、(Ti)N、(TiAl)N、(TiAlSi)N、(CrAl)Nと表記した場合、各被膜において窒素Nとその他原子との比は1:1に限られるものではなく、両者の比は特に限定されない。
被膜の厚さの合計は1.0μmより小さいと被覆の効果が少なく、10μm以上であると被覆膜自体が剥がれ易くなるため好ましくない。
請求項2の態様は、テラス上の狭い領域にのみ被膜数を多くすることで、母材が膜に与える応力を低減し2層以上にした際の膜間の剥離を抑制できる。
請求項3の態様は、膜が分断されていることにより、万一剥離を生じた場合、剥離の進行を抑えられる。
請求項4の態様は、テラスと溝底部をつなぐ側面の傾きΘがテラス側から見て30°より小さいと被覆後の凹部の形成が十分でなく凹部に溶着が入り込み被膜の剥離が生じ易くなるため好ましくない。90°より大きいと形状加工の時間に対して得られる効果は少ない事や被覆膜と凹部表面に隙間を生じアンカー効果が十分得られなくなり被覆膜の剥離を生じる事、角度が大きすぎると母材凸部の強度が不足し欠損する可能性が高くなる事などから好ましくない。
請求項5の態様は、1つの溝の凸部を構成する母材表面側の断面形状が2面(三角形)で構成されると角部の強度が不足して凸部が欠損する可能性が高くなる。
請求項6の態様は、母材のCBN粒子の平均粒径が6μmより大きい場合、溝を形成した際にCBN1粒子内にテラス部を2個以上形成する確率が高くなり、溝の強度が十分得られないため好ましくない。また、CBN粒子と結合材との接触面積が減少しCBN粒子と結合材との結合力が弱まるため、被膜を保持する溝としての母材強度が十分でないため好ましくない。
請求項7の態様は、CBNインサートに含まれるCBN粒子は40%より小さいと被膜を保持する母材の強度が十分でなく、90%より大きくても被覆を保持する母材強度が十分でなくなるため好ましくない。(上記の溝と被膜の関係については、図3参照)
本発明のCBNインサートは、その逃げ面に、溝と被膜が形成されていることによって、これを仕上げ切削加工に供した場合、前記溝によって、境界摩耗の発生・進展が抑制されるとともに、コーティング剥離を抑制し、剥離の進展を防ぐため、シャープな刃先を維持することができ、また、長期間の使用に亘って良好な仕上げ面精度とすぐれた耐摩耗性が得ることができる。
被膜形成後の溝形状を溝の凹凸を含む断面を見た断面模式図。 溝形状の定義を示す断面模式図。 本発明のバリエーションを示す断面模式図。 本発明の請求項1の概念を示す概念図。 本発明の請求項5の溝凸部形成方法例概念図。
つぎに、本発明のCBNインサートを実施例により具体的に説明する。
表3に実施例を示す。以下に実施例試料の作製方法を示す。
1.工具基体の作製
(1−1)原料粉末として平均粒径8μm以下の立方晶窒化硼素原料を粉末、窒化チタン粉末、アルミナ粉末を準備し、これら原料粉末を表1に占められる配合組成に配合し、各々ボールミルで24時間、アセトンを用いて湿式混合する。
(1−2)得られた混合粉末を乾燥後、油圧プレスにて成形圧1MPaで成形する。
(1−3)成形体を真空中1Pa、1,000℃、30分の条件で熱処理し、揮発成分および、粉末表面への吸着成分を除去する。
(1−4)成形体と超硬合金基材を積層し、代表的には圧力5GPa、温度1,500℃、保持時間30分の条件で超高圧高温処理し、CBN焼結体を得る。
(1−5)CBN焼結体円板をワイヤ放電加工機で所定寸法に切断する。
(1−6)超硬合金インサートのコーナ部にくぼみを設け、ここに切断されたCBN片を950℃でAg−Cu−Ti系ロウ材でロウ付する。
(1−7)上下面および外周研磨、ホーニング処理を施し、CNGA120408のインサート形状を得る。
以上のようにCNGA120408のインサート形状をもった工具基体AからF(表1)をそれぞれ作製した。
2.インサートの作製
1.にて作製した工具基体上に溝と被膜を以下の3から7に示す手順のいずれかにて作製した。溝形状と被膜形成条件の一部(溝形成の開始位置、溝角度(刃先稜線を0°とした角度)、被膜の総膜厚)は表2に示した様な条件にて形成した。
3.1膜あるいは2膜以上の被膜を有するインサートの作製
1.にて作製したインサート上に平滑な面を有する溝を形成するためには波長が600nm以下のレーザーを用いて加工を行なうことが望ましい。今回、波長が紫外域のレーザーを用いて加工を行った。
(3−1)YAGの4倍波(出力1W、走査速度10mm/sec、繰り返し10kHzの条件)を用いて所望のテラス幅、溝幅、溝高さ、側面角度、周期の溝をチャンファーホーニング面と逃げ面の交線から逃げ面側に形成する。
例)テラス幅W2:1.0μm、溝幅W1:13.0μm、溝高さH:8μm、側面角度Θ:90°の形状を25周期(工具基体D)
(3−2)PVD装置を用いて被膜を施す。
例)3−1にて作製した試料上に全体厚み1μmのTiAlSiN膜(表3内No.6)を被膜する。
4.母材の最表面上の被膜数が溝の凹部内面上の被膜数に比べて1層以上多い被膜を有するインサートの作製(請求項2)
(4−1)工具基体上にPVD装置を用いて被膜を形成する。
例)工具基体C上にPVD装置を用いて平均厚み1.0μmのTiN膜をインサート上に形成する。
(4−2)4−1にて作製した被膜付きインサート上に平滑な仕上げ面を有する溝を形成するためには波長が600nm以下のレーザーを用いて加工を行なうことが望ましい。今回、波長が紫外域のレーザーを用いて加工を行った。
例)YAGの4倍波を用いて、出力1W、走査速度10mm/sec、繰り返し10kHzの条件で
テラス幅W2:5.0μm、溝幅W1:10.0μm、溝高さH:8.0μm、側面角度Θ:70°の形状を8周期(工具基体C)
(4−3)PVD装置を用いて被膜を施す。
例)4−2にて作製した試料上に厚み2.0μmのTiAlN膜(表3内No.22)を被膜する。
5.溝の凹凸を含む断面を見た時、溝の凹部内で膜が分断されている被膜を有するインサートの作製(請求項3)
1.にて作製したインサート上に平滑な仕上げ面を有する溝を形成するためには波長が600nm以下のレーザーを用いて加工を行なうことが望ましい。今回、波長が紫外域のレーザーを用いて加工を行った。
(5−1)YAGの4倍波を用いて、出力1W、走査速度10mm/sec、繰り返し10kHzの条件により所望のテラス幅、溝幅、溝高さ、側面角度、周期の溝をチャンファーホーニング面と逃げ面の交線から逃げ面側に形成する。
例)テラス幅W2:3.5μm、溝幅W1:12.0μm、溝高さH:6μm、側面角度Θ:70°の形状を10周期(工具基体C)
(5−2)PVD装置を用いて被膜を施す。
例)5−1にて作製した試料上に全体厚み3μmのTiAlSiN膜(表3内No.8)を被膜する。
(5−3)5−1にて使用したレーザーを用いて溝部幅の中心付近に溝加工を施し、膜の分断を行なう。
例)5−2にて被膜した試料の溝部幅の中心を基準として幅2μm、高さ5μmの溝を各溝内に形成し、膜の分断を行なう。
6.溝の凹凸を含む断面を見た時、1つの溝の凸部断面の表面側形状が3面以上で構成されている溝形状を有するインサートの作製(請求項5)
1.にて作製したインサート上に平滑な仕上げ面を有する溝を形成するためには波長が600nm以下のレーザーを用いて加工を行なうことが望ましい。今回、波長が紫外域のレーザーを用いて加工を行った。
(6−1)YAGの4倍波を用いて、出力1W、走査速度10mm/sec、繰り返し10kHzの条件により所望のテラス幅、溝幅、溝高さ、側面角度、周期の溝をチャンファーホーニング面と逃げ面の交線から逃げ面側に形成する。
例1)テラス幅W2:12.0μm、溝幅W1:26.5μm、溝高さH:15μm、側面角度70°の形状を5周期(工具基体C)
(6−2)6−1にて作製したテラス部の凸部の端をレーザー加工する。
例1)には、さらにテラス部の両角を端から1μmの位置から45°の傾斜が付くように傾斜面を形成する(1’)。
3)6−1にて溝を形成する際に凸部を同時に加工しても良い。
(6−3)PVD装置を用いて被膜を施した。
例)6−2の1’にて作製した試料上に全体厚み10μm(1層目TiN:5μm、2層目CrAlN:5μm)
(表3内No.22)を被膜する。
インサートの作製方法は本実施例のみに限定されない。
溝形成手段はレーザーのみに限定されない(化学エッチングなど)
7.切削評価
焼入れした合金鋼を用いて湿式で連続切削試験を行い、仕上げ面粗さを測定することで確認する。その結果を表3に示す。
被削材: SCr420(HRc60)丸棒、
切削速度: 200m/min.、
送り: 0.15mm/rev.、
切込み: 0.2mm、
切削距離: 2km
比較例
表5に比較例用試料を作製する際の溝形状と被膜形成条件の一部(溝形成の開始位置、溝角度(刃先稜線を0°とした角度)、被膜の総膜厚)を、表6に比較例の加工情報と試験結果を示す。また、以下に比較例試料の作製方法を示す。
1.工具基体の作製方法は実施例内の「1.工具基体の作製」と同じであり、CNGA120408のインサート形状をもった工具基体AからIをそれぞれ作製した(表4)
2.1膜あるいは2膜以上の被膜を有する逃げ面に溝加工がないインサートの作製
1.にて作製したインサート上にPVD装置を用いて被膜を施す
例)1.にて作製した工具表面に全体厚み3μm(1層目TiAlN:1μm、2層目CrAlN:2μm)(表6内No.6)を被膜する。
3.逃げ面に溝を有するインサートの作製
1.にて作製したインサート上に平滑な面を有する溝を形成するためには波長が600nm以下のレーザーを用いて加工を行なうことが望ましい。今回、波長が紫外域のレーザーを用いて加工を行った。
溝形状と被膜形成条件の一部(溝形成の開始位置、溝角度(刃先稜線を0°とした角度))は表5に示した様な条件にて形成した。
YAGの4倍波を用いて、出力1W、走査速度10mm/sec、繰り返し10kHzの条件により所望のテラス幅、溝幅、溝高さ、側面角度、周期の溝をチャンファーホーニング面と逃げ面の交線から逃げ面側に形成する。
例1)テラス幅W1:11μm、溝幅W2:5μm、溝高さH:8μm、側面角度Θ:70°、8周期(工具基体C) (表6内No.10)
例2)テラス幅W1:3μm、溝幅W2:3μm、溝高さH:1.5μm、側面角度Θ:90°、38周期(工具基体C)
例2にて作製したテラス部の凸部の端をレーザー加工する。
例1)には、凸部中心から45°の傾斜が付くように傾斜を形成する(凸部断面が三角形になる様に加工する)(表6内No.16)
4.逃げ面に溝と被膜を有するインサートの作製
(4−1)溝の形成は比較例3.逃げ面に溝を有するインサートの作製、及び実施例内の3から6と同じである。
例)テラス幅W2:2.8μm、溝幅W1:1.0μm、溝高さH:1.5μm、側面角度Θ:85°の形状を24周期(工具基体D)
(4−2)PVD装置を用いて被膜を施す。
例)4−1にて作製した試料上に全体厚み0.3μmのTiAlN膜(表6内No.21)を被膜する。
5.切削評価
焼入れした合金鋼を用いて湿式で連続切削試験を行い、仕上げ面粗さを測定することで確認する。その結果を表6に示す。
被削材: SCr420(HRc60)丸棒、
切削速度: 200m/min.、
送り: 0.15mm/rev.、
切込み: 0.2mm、
切削距離: 2km
表3および表6に示される結果から、本発明のCBNインサートは、その逃げ面に、溝と被膜が形成されていることによって、高硬度鋼の仕上げ切削加工においても、境界摩耗の発生・進展が抑制されるため、良好な仕上げ面精度が得ることができ、切削距離2kmの使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮した。
これに対して、本発明で規定する溝形状から外れる溝を形成した比較例の切削加工用インサートでは、いずれも切削距離2kmに到達するまでに境界摩耗の発生・進展により短時間で欠損等が発生するため、短時間で使用寿命に至ることは明らかである。
本発明のCBNインサートは、高硬度鋼の仕上げ切削およびAl合金、Cu合金等の非鉄金属材料の仕上げ切削のいずれにおいても、すぐれた仕上げ面精度を長時間に亘って維持することが可能である。

Claims (7)

  1. 逃げ面に溝と被膜が形成されたCBNインサートにおいて、
    (a)その被膜後の溝形状が溝の凹凸を含む断面を見た時、溝幅W1とテラス幅W2はW1が1μm以上25μm以下、W2が3μm以上25μm以下、表面から溝の最も低い位置までの高さHが1.5μm以上15μm以下であり、1つのテラスと溝の組み合わせを1周期とした時、2周期以上で構成される形状であり、
    (b)被膜は、TiN、TiAlN、TiAlSiN、CrAlNの内、1膜あるいは2膜以上の膜で、被膜の厚さ合計が1.0μm以上10μm以下にて構成され、
    (c)溝が形成される逃げ面内の領域が、チャンファーホーニング面と逃げ面の交線から逃げ面側に5μm以上300μm以下の範囲であり、
    (d)溝を形成する方向が、刃先稜線と平行な線と溝形成方向の成す角θ(刃先先端と反対方向)が
    −10°≦θ≦10°の範囲であることを特徴とするCBNインサート。
  2. 前記被膜は、溝の凹凸を含む断面を見た時、母材の最表面上の被膜数が溝の凹部内面上の被膜数に比べて1層以上多い事を特徴とする請求項1に記載のCBNインサート。
  3. 前記被膜は、溝の凹凸を含む断面を見た時、溝の凹部内で膜が分断されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のCBNインサート。
  4. 前記溝は、溝の凹凸を含む断面を見た時、溝の凸部を構成する母材形状のテラス面と溝底部面をつなぐ側面の傾きΘがテラス側から見て30°以上90°以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のCBNインサート。
  5. 前記溝は、溝の凹凸を含む断面を見た時、1つの溝の凸部を構成する母材表面形状が3面以上で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のCBNインサート。
  6. 前記CBNインサートに使用されるCBN粒子の平均粒径が6μm以下である事を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のCBNインサート。
  7. 前記CBNインサートに含まれるCBN粒子は40〜90容量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のCBNインサート。
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